説明

小口径管埋設用先導体

【課題】 200mm程度の小口径塩ビ管にも適用可能な泥濃方式で、各種条件の地山・切羽の安定、施工の高速化、立坑設備の簡素化が行なえ、長距離土砂移送効率が高く、道路開放に好適で、施工精度の高い小口径管埋設用先導体を提供する。
【解決手段】 水密状態で連結された複数の外筒からなり、前面に土砂切削装置を有し後端に小口径管を連結する先導体外筒と、掘削土砂が注入された添加材と共に攪拌された掘削流動化土砂を所定の切羽圧力が保持されるように土圧センサ及びピンチバルブにより調圧する土圧調整装置と、掘削流動化土砂を小口径管の後端に亘り内部に延設された排泥管状体を介して地上のバキューム装置によりバキューム吸引排土する排土装置と、さらに先導体外筒の上下を貫通して立設された密閉縦型筒状ケーシング内の上方部に縦型電磁コイル及びその下半部に交叉する排泥管に連結可能な排泥用通路を有する縦型誘導磁界発生装置と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道管、水道管、電線管等を敷設するため地中に非開削で埋設される塩ビ管等の小口径管を先導して地山を掘削する小口径管埋設用先導体に関し、特に、地上での測定精度を高める位置検出手段を備え、泥濃式により掘削土砂を流動化排土させながら低耐荷力方式で発進立坑から到達立坑まで小口径管を地中に圧入推進させる小口径管埋設用先導体に関する。
【背景技術】
【0002】
小径口管を埋設する小口径管埋設用先導体を用いる工事において、小径口管のうち主に下水道用管路として用いられる口径200mm、250mm、300mmの推進用塩ビ管は、外径がそれぞれ216mm、267mm、318mmとなっており、先導体もそれぞれのサイズに対応した外径を有している。なかでも口径200mmの塩ビ管に対応した先導体は、外径が240mm前後と小径で構成されるため先導体内の設備も限定される。
【0003】
また、塩ビ管埋設先導体を用いる工事は、その管径の目的から住宅街等の狭い道路での工事が多く、先導体や塩ビ管を地中に挿入するための発進立坑はφ2000mm程度の小さな立坑サイズが主流になってきている。
【0004】
塩ビ管などの小口径管埋設用工事に求められる要求も長距離施工、あらゆる土質条件に対する切羽の安定、施工の高速化、立坑設備の簡素化また道路開放に伴う移動設備の採用、既存人孔到達のための施工精度の確保、発進立坑設備の簡素化等が挙げられる。
【0005】
従来の塩ビ管などの小口径管埋設用先導体の掘削方式は、先導体内に2本の配管を設備して、立坑及び路上等に設置したポンプの力で泥水を切羽近くで循環して、泥水圧管理で切羽の安定を図ると共に、切羽で切削した土砂を泥水の中に取り込んで、立坑や路上の土砂分離装置まで流体輸送し、土砂分離装置で土砂と泥水を分離し、泥水は再度調整して再利用する泥水方式や、切羽の土砂を切削するためのカッタを駆動する駆動軸に、スクリュウ羽根を設けて、掘削と同時に掘削土砂をスクリュウ排土する泥土オーガ式や、スクリュウ軸にピンチバルブを設けて、切羽の安定を図る泥土圧方式がある。
【0006】
しかしながら、小口径管埋設用先導体のサイズが小さいために、このような従来の泥水工法では配管が2本必要であると同時に、機内バイパス装置を必要とするために配管サイズを大きくすることができず、泥水の長距離環流が困難であった。また、透水性の高い砂礫土では切羽に送った泥水が地山に浸透して、地山安定が不十分でありあるいは環流が困難になることが多い。
【0007】
一方、オーガ工法や泥土圧工法では、発進立坑に設置した元押推進装置に駆動装置を設ける必要があるために設備が複雑となり、特に小立坑での作業はより狭くなって作業性が悪くなるとともに、駆動軸でカッタの回転動作とスクリュウ羽根での排土を行なわせるために長距離施工には限界があるという問題点があった。
【0008】
そこで、先導体の掘削方式を従来比較的大口径管推進装置に用いられている泥濃方式を小口径管埋設用先導体に適用できれば、切羽で切削した土砂と添加材及び加泥材等を攪拌することで掘削土砂を十分流動性を持った掘削流動化土砂とし、その掘削流動化土砂の持つ圧力を管理することにより透水係数が高く崩壊し易い砂礫土層や玉石混じり土質でも地山の安定が行なえる。また、泥濃方法の排土方法であるバキューム排土は、排泥管1本で行なえるため排泥管を大きくでき、長距離化による土砂運搬効率の低下を防ぐことができる。また、狭い立坑内での土砂搬出もホース一本で行なえるため、オーガ工法や泥土圧工法でのズリ缶等の荷揚げ作業が不要となる。泥濃方式で排土はバキューム装置で行なわれるため、泥水処理設備に比べ、簡素になる。さらに、固定設備が設けられない路上作業等では小型バキューム車等で対応できる等々のメリットがある。
【0009】
これまで、埋設管の管径が、最も小さなものとして、φ800〜φ2200mm、或はφ700〜φ1650mmに適用可能な泥濃式推進装置が各種開発されているが、最近、内径φ150〜φ700mm程度のヒューム管、塩ビ管、鋼管、ダクタイル管、陶管等の小口径推進管を対象とする次の代表的な2例の泥濃式(例えば、特許文献1、2)あるいはそれに類似の小口径管推進装置が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0010】
特許文献1の泥濃式小口径管推進装置は、図5、6に示すように、発進立坑506の坑内に設置された元駆動装置103と、面盤111と、面盤111の内部に設けたチャンバ113と、面盤111の前部に設けたカッタ115と、面盤111の前部に設けた開口117と、開口117近辺に設け、開口117の開口面積を調整可能なシャッタ119と、面盤111に設けられ、チャンバ113にエアを供給可能なエアーアクチュエータ121と、面盤111後部外周にシール装置を介して接続するケーシング125と、発進立坑506内に配置された測量装置127と、掘進機本体105内に設けた方向修正装置129と、掘進機本体105に接続可能な小口径の推進管107と、推進管107の内部に回転自在に保持できる排泥管109と、を備えている。
【0011】
また、地上に配置され、エアーインテークバルブ121にエアを供給するエア供給装置131と、シャッタ駆動シリンダ120に油圧を供給する油圧駆動源133を備えている。そして、発進立坑506内面に設置された操作盤150を介してシャッタ駆動シリンダ120により、開口117から流入する掘削泥水流入量Rを調整するとともに、エアーインテークバルブ121によりエア空気量Aを調整して、地山崩壊を防止し、円滑な泥水流通を確保するようになっている。さらに、バキューム装置160が地上に設置され、吸引配管165の先端が排泥管109中に配置され、先端から掘削土砂を吸引するよう構成されている。
【0012】
特許文献2の泥濃式小口径先導掘削機は、図7に示すように、掘進用外筒202に回転駆動自在に内装されたロータ203の先頭には、切羽を掘削する回転カッタ204が設けられ、回転カッタ204による掘削土砂E1と、送泥管205により別途圧送された高濃度泥水E2との撹拌混合による掘削流動化土砂Eが収得される回転カッタ204後側の前面側チャンバ206を備え、この前面側チャンバ206と掘進用外筒202に設けたステータ207により形成の排出チャンバ208との間に、前面側チャンバ206内における掘削流動化土砂Eの内圧を所定圧以上に保有させるための開閉機構部209を介設し、排出チャンバ208へ流入の掘削流動化土砂Eが真空力により排泥管210を介して排出されるようにした小口径管推進工法用の先導掘進機にあって、開閉機構部209は、ロータ203に形成された回転隔壁板203cに、掘進用外筒202の軸心から偏心して前面側チャンバ206に開口する排土流入口203bが穿設されていると共に、回転隔壁板203cに添設されたステータ207に形成の固定隔壁板207cには、ロータ203の回転駆動によって周期的に排土流入口203bと連通状態となるよう開口の排土流出口207bが穿設されている。
【0013】
特許文献3の泥濃式に類似の管推進機は、図8に示すように、先導体本体301と掘削外径が先導体本体301の外径よりも大きい回転掘削具302とを有する先導体を備え、先導体本体301を推進しつつ回転掘削具302で地山を掘削するとともに、掘削土砂へ粘性付与液を注入して塑性流動性のある泥土401を生成し、その泥土401を先導体本体301の周囲の泥土通路307を通過させつつ先導体を掘進させる管推進機の先導体本体301の外周部に設けられ、地山に食い込ませることにより回転掘削具302の回転反力を地山に伝達する管推進機の反力伝達板330において、地山に食い込ませる反力伝達板330の部分に耐摩耗材330Aが施されている。
【0014】
また、泥土401の一部を先導体本体301の後部の土砂取込み口301Cに取り込んで、土砂圧送パイプ323を通じて土砂圧送ポンプ309により地上に圧送、排出し、残りを埋設管321の外周に送るように構成されている。
【0015】
一方、従来の管推進機における施工精度の管理は、発進立坑の元押推進架台の後方にセットしたレーザーセオドライト装置等から照射されるレーザー光を、先導体に装備されたターゲット受光板に当て、レーザー光のスポットをカメラ等で監視し、計画線からのズレから先導体の方向修正を行い軌道修正することで、施工精度を確保している。
【0016】
また、近年、先導体にレーザー受光装置及び誘導磁界発生装置を併用した埋設管推進機の方向制御又は状態推定方法が提案されている(例えば、特許文献4、5)。
【0017】
特許文献4の埋設管推進機の方向制御方法は、先導体のレーザー受光装置の水平変位を示す信号を直線施工時に選択し、誘導磁界発生装置の水平変位を示す信号を曲線施工時に選択する方法である。
【0018】
特許文献5の埋設管推進機の状態推定方法は、直線施工時に先導体に設けられたレーザー受光装置を用いたレーザーターゲット法による水平位置検知及び垂直位置検知システムを適用し、曲線施工時に先導体に設けられた誘導磁界発生装置を用いた電磁法による水平位置検知システムと先導体に内蔵された圧力センサを用いた液圧差法による垂直位置検知システムを併用している。
【特許文献1】特開2000−160994号公報
【特許文献2】特開2003−13694号公報
【特許文献3】特開2004−100330号公報
【特許文献4】特開2002−129882号公報
【特許文献5】特開2003−253986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、特許文献1の小口径管推進装置は、元駆動装置103が排泥管109及び面盤111を一体回転させることによりカッタ115にて土砂が掘削されるとともに、シャッタ駆動シリンダ120及びエアーインテークバルブ121が適宜駆動されて切羽安定と地山保持がなされながらバキューム装置160で掘削土砂が吸引されるようになっており、これら駆動機構の構造が重厚長大かつ複雑で、メンテナンスも煩雑となるなどの問題点がある。また、掘進機本体(先導体)105からさらに推進管107及びその内部の排泥管109が逐次継ぎ足されて長大となり、その長大な排泥管109及び面盤111を一体回転させる元駆動装置103の駆動力も増大するという問題点がある。
【0020】
特許文献2の小口径先導掘削機は、ロータ203の回転駆動によりロータ203の排土流入口203bとステータ207の排土流出口207bとを間欠的に連通させ、ロータ203の回転数すなわち回転カッタ204の回転数を特定することにより、これに応じた間欠的経時毎に掘削流動化土砂Eがステータ207内の排出チャンバ208に連設の排泥管210を介して真空力により搬出されるように構成された開閉機構部209の構造が複雑である。また、ロータ203における排土流入口を、ステータ207に開口の排土流出口に対して一回転毎に連通状態となるように開設され、ロータ203の回転に連動して掘削流動化土砂Eを間欠的に搬出するので、掘削流動化土砂Eの内圧がロータ203の回転に左右されて必ずしも所要の一定圧に保持することができず掘削中の切羽崩壊を確実に防止するには信頼性に乏しいとともに、掘削流動化土砂Eの連続的な搬出ができず掘削の効率性に欠けるという問題点がある。
【0021】
また、特許文献3の管推進機は、先導体本体301の外周と掘削孔の孔壁との間の環状の泥土通路307を介して導かれる泥土401の一部を先導体本体301の後部の土砂取込み口301Cに取り込み、土砂圧送パイプ323を通じて地上に圧送、排出するための土砂圧送ポンプ309を先導体本体301内に装備しており、重厚長大な構造となっている。このため、小口径の先導体本体301内の土砂圧送ポンプ309等の駆動機器のメンテナンスが難しいとともに、例えば直径200mm程度の小口径の塩ビ管などを埋設する場合の先導体本体内に土砂圧送ポンプ等の駆動機器を装備することができないという問題点がある。
【0022】
一方、従来の埋設管推進機の方向制御などの施工精度の管理に利用されるレーザー光は、直進性を利用するため、施工の僅かな蛇行や地中の玉石や障害物等による曲線施工管理ができないとともに、長距離になると坑内の温度変化でレーザースポットの揺らぎが発生して正確な位置把握ができないという問題点がある。
【0023】
また、特許文献4、5の埋設管推進機の方向制御あるいは状態推定方法では、直線施工時にレーザー光を、曲線施工時に誘導磁界を利用することが示されているが、特に、誘導磁界発生装置自体あるいはその取り付けの構造などは具体的に開示されていないとともに、泥濃式小口径管埋設用先導体に適用することについても一切言及されていない。
【0024】
また、特許文献1〜3の泥濃式あるいはそれに類似の小口径管推進装置においても、施工精度の管理に関しては一切言及されていない。
【0025】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、内径200mm程度の小口径の塩ビ管にも適用可能な先導体の掘削方式を泥濃方式として、透水係数が高く崩壊し易い砂礫土層や玉石混じり土質などあらゆる土質条件に対する切羽の安定、地山の安定が行なえるとともに、長距離化による土砂運搬効率の低下を防ぐことができ、施工の高速化、立坑設備の簡素化、道路開放のための移動設備の採用、施工精度の確保が可能な小口径管埋設用先導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の小口径管埋設用先導体は、水密状態で連結された複数の外筒からなり、中折れ機構を有するとともに、前面には土砂切削装置を、後端部には埋設する小口径管及び該小口径管内に逐次継ぎ足されて延設されるケーシング管を連結する小口径管継手を備えた先導体外筒と、掘削土砂を石ごと破砕し前記土砂切削装置先端から注入された添加材と共に攪拌して掘削土砂を流動化する破砕攪拌装置と、所定の切羽圧力が保持されるように掘削流動化土砂の圧力を調整する土圧調整装置と、前記破砕攪拌装置後面から前記小口径管の後端に亘り内部に水密状態で延設された1系統の排泥管状体を備え、前記調圧された掘削流動化土砂を地上のバキュウーム装置により一貫して連続的にバキューム吸引排土する排土装置と、を具備し、発進立坑内の元押推進ジャッキにより前記ケーシング管を介して地中に圧入掘進し小口径管を逐次連結しながら先導する小口径管埋設用先導体であって、前記土圧調整装置は、前記添加材を掘削土砂内に注入する添加材吐出装置、前記攪拌装置内の掘削流動化土砂の圧力を感知する土圧センサ、及び前記排泥管状体の中途に連結され、前記土圧センサを監視して内部のゴムチュ―ブに圧縮空気を送り加圧することにより弁開度が調整されて前記掘削流動化土砂の所定の圧力を保持するピンチバルブとから構成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項2の発明は、請求項1記載の小口径管埋設用先導体であって、前記破砕攪拌装置は、前記土砂切削装置の後面に連結された末広がり状の破砕コーン、該破砕コーンを内包し、前記土砂切削装置の後面に設けられた複数の土砂取込み口に連通する破砕チャンバ、及び該破砕コーンの後面周辺部に装着された複数の攪拌羽根を備えた破砕攪拌回動部と、前記破砕コーンの後面に連結され、前記攪拌羽根を内包して前記破砕コーンと破砕チャンバ内面との狭い隙間に形成された掘削流動化土砂通路に連通するとともに後面に掘削流動化土砂排出口を有する中空リング状に形成された攪拌室と、から構成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項3の発明は、請求項1記載の小口径管埋設用先導体であって、前記排土装置は、前記先導体外筒内に亘り延設され、前記攪拌室の掘削流動化土砂排出口に連結されてその近傍中途に前記ピンチバルブ及び排泥管伸縮継手を介して連結された機内排泥管、及び前記ケーシング管内に逐次連結されて延設され、前記機内排泥管の後端に連結されたケーシング管内排泥管からなる1系統の排泥管状体と、一端が前記機内排泥管の前方中途に設けられた開口部に連通して接続され、他端に給気バルブが設けられ、前記先導体外筒内の大気を前記機内排泥管内に供給する給気管と、を備え、前記給気バルブは、前記掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれている間は前記機内排泥管内に給気するように開放され、前記掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれない間は掘削流動化土砂が前記先導体外筒内に漏れ出すのを阻止するように閉塞されていることを特徴とする。
【0029】
請求項4の発明の小口径管埋設用先導体は、水密状態で連結された複数の外筒からなり、中折れ機構を有するとともに、前面に土砂切削装置を備え、後端部に埋設する小口径管を連結する先導体外筒と、掘削土砂が注入された添加材と共に攪拌されて所定の切羽圧力が保持されるように調圧された掘削流動化土砂を前記小口径管の後端に亘り内部に延設された排泥管状体を介して地上のバキューム装置によりバキューム吸引排土する排土装置と、前記先導体外筒内に設けられ、発進立坑内に設置されたレーザーセオドライトから施工計画線に合せて照射されるレーザー光を受けるターゲット板及びそのレーザースポット監視用カメラと、縦型電磁コイルに通電して磁界を発生させる縦型誘導磁界発生装置とを少なくとも有し、前記先導体外筒の姿勢や位置情報を検出する位置管理装置と、を具備し、発進立坑内の元押推進ジャッキにより小口径管を逐次連結しながら先導して地中に圧入掘進する小口径管埋設用先導体であって、前記縦型誘導磁界発生装置は、前記先導体外筒の上下を貫通するように立設され、上下開口端が上・下蓋により密閉されたいずれも樹脂又は非磁性体製の縦型筒状ケーシングと、該縦型筒状ケーシング内の上方部に両極が上下になるように略垂直に立設された縦型電磁コイルと、前記縦型筒状ケーシングの下半部に交叉する前記先導体外筒内に延設された排泥管に連結可能なように前記縦型筒状ケーシングを水平に貫通して設けられた樹脂又は非磁性体製の排泥用通路と、から構成されていることを特徴とする。
【0030】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項4記載の小口径管埋設用先導体であって、それぞれ油圧アクチュエータにより駆動され、前記土砂切削装置及び破砕攪拌回動部を一体的に回転駆動する駆動装置、あるいは中折れ機構を介して前記位置管理装置による先導体の位置情報に基づき施工計画線に沿って前記先導体の推進方向の修正を行なう推進方向修正装置を備え、前記油圧アクチュエータの駆動制御を行う油圧制御機器が前記先導体外筒内部に設けられていることを特徴とすることを特徴とする。
【0031】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の小口径管埋設用先導体であって、前記小口径管は、口径300mm程度までの細い塩ビ管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明によれば、細い先導体内部に、土砂切削装置の後面から順次、破砕攪拌装置、土圧調整装置、1系統の排泥管状体等を逐次後継される小口径管及びケーシング管内に亘り水密状態で延設しコンパクトに収容可能とし、土砂切削装置で掘削された土砂を石ごと破砕し添加材と共に攪拌して掘削土砂流動化するとともに切羽圧力が適正に保持されるように掘削流動化土砂の圧力を調整しながら地上までバキューム吸引排土を一貫して連続的に効率よく行う泥濃式の小口径管埋設用先導体を提供することができる。
【0033】
この場合、土圧調整装置のピンチバルブが、内部のゴムチュ―ブに送られる圧縮空気圧を調整することにより、流動化した掘削流動化土砂の圧力が相対的に空気圧より高くなると弁開度の絞りが弱くなって自動的に開き掘削流動化土砂を排土し、掘削流動化土砂の圧力が下がると相対的に空気圧が高くなって弁開度を絞り始めることによって、従来の特許文献2等におけるような土砂切削装置の回転に左右されることなく、独立的に適正な掘削流動化土砂圧力を保持することができる。このように、掘削流動化土砂の圧力を適正管理することにより、透水係数が高く崩壊し易い砂礫土層や玉石混じり土質でも地山の安定を図りながら施工することができるという効果がある。
【0034】
また、このような泥濃方式によるバキューム排土は、排泥管状体1系統で行なえるため細い先導体内においても排泥管状体口径を比較的大きくでき、長距離化による土砂運搬効率の低下を防ぐことができる。また、狭い発進立坑内での土砂搬出も排泥ホース1本で行なえるため、従来のオーガ工法や泥土圧工法でのズリ缶等の荷揚げ作業が不要となる。さらに、泥濃方式による排土はバキューム車などの移動式の簡易バキューム装置を利用することができるため、従来の泥水処理設備に比べ付帯設備共簡素になるとともに、固定設備が設けられない路上作業等に好適である等々の優れた効果がある。
【0035】
また、特許文献1等におけるような排泥管と共にカッタを回転駆動する構成とは異なり、土砂切削装置を駆動する駆動装置を先導体内に装備した構成とすることが容易であるため、発進立坑内の元押推進架台に従来のようなカッタ回転駆動装置が必要なく、元押推進ジャッキを装備した元押推進架台等の最低限の設備で済むため、付帯設備の経済性及び作業性が向上するという効果もある。
【0036】
さらに、先導体を前方に推進する元押推進ジャッキの推力は、ケーシング管を介して伝達されるため、細くかつ長く延設される小口径管に無理な外力を与えることなく安全に施工することができ、小口径管埋設施工の信頼性を確保することができる。
【0037】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、土砂切削装置の後面に連結された破砕攪拌回動部を内包して中空リング状に攪拌室を形成したことにより、小口径管に適用される細い先導体外筒内に前記駆動装置等の機器類共コンパクトに収容する機内スペースを確保することができる。また、破砕コーンを内包する破砕チャンバ及び複数の攪拌羽根を備えた破砕攪拌回動部及び攪拌室により掘削土砂の土塊及び石を効率よく破砕し、従来のように土塊や石は別途取出して輸送する手段を設けることなく、それらの掘削土砂を一貫して添加材と共に攪拌して掘削土砂流動化することができ、前記バキューム車による一層効率よい一貫して連続的なバキューム吸引排土を実現することができるという効果がある。
【0038】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、機内排泥管の中途に設けた排泥管伸縮継手により中折れ機構作動時の中折れ変形を吸収することができ、排泥管状体やこれが連結する攪拌室等への無理な外力による変形や損傷を防ぐことができる。
【0039】
また、機内排泥管の前方中途に分岐連結された給気管の給気バルブは、掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれない間は閉塞されることにより掘削流動化土砂が先導体外筒内に漏れ出すのを防止し、掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれている間は開き大気開放された状態では機内排泥管内に給気することによりバキューム吸引される掘削流動化土砂を後押ししてバキューム排土をスムースに行うことができる。さらに、機内排泥管あるいはケーシング管内排泥管等の排泥管状体が閉塞した場合、この給気バルブを閉じ、発進立坑側から排泥管状体に水や空気あるいは添加材等を送ることにより、その閉塞解除も容易に行なうことができる等々の効果がある。
【0040】
請求項4の発明によれば、レーザー受光ターゲット板を用いたレーザーターゲット法及び密閉縦型筒状ケーシング内部に立設された縦型電磁コイルを用いた縦型誘導磁界発生装置の併用により先導体の位置は検出・管理が行われるので、先導体の位置情報を確実に把握する信頼性が向上する。特に、レーザー光の直進性を利用したレーザーターゲット法のみでは、施工の僅かな蛇行が生じた場合や地中の玉石や障害物等を回避する曲線施工が必要となった場合、さらには、掘削が長距離になって坑内の温度変化によるレーザースポットの揺らぎが発生するような場合には正確な位置把握ができないが、このような場合にも、縦型誘導磁界発生装置を用いて先導体の位置情報を確実に把握することができ、これにより施工精度を確保することができるという効果がある。
【0041】
また、縦型誘導磁界発生装置は、内部に収容される縦型電磁コイル以外の全ての部材をいずれも樹脂又は非磁性体製とし、縦型電磁コイルが作り出す磁界域に磁界を乱すような金属部材がないので、この磁界を地上で位置探査装置により捕らえることにより先導体の位置検出を正確に行うことができる。
【0042】
さらに、縦型誘導磁界発生装置の縦型筒状ケーシングに先導体外筒内に延設された排泥管に連結可能な樹脂又は非磁性体製の排泥用通路を設けたことにより、縦型電磁コイルからの誘導磁界を乱すことなく、縦型誘導磁界発生装置を細い小口径管埋設用先導体の上下を貫通するように配置することができる等々の効果がある。
【0043】
請求項5の発明によれば、請求項1又は請求項4の発明と同様な効果を有するのに加えて、駆動装置及び推進方向修正装置の駆動用に油圧アクチュエータを用いたことにより、電動機駆動式に比べコンパクトで強力かつ駆動制御性に優れる。また、油圧アクチュエータの油圧制御機器とも先導体外筒内部に設けたことにより、発進立坑内における従来のようなカッタ回転駆動装置等が必要なく、付帯設備の経済性及び作業性とも一層向上するという効果がある。
【0044】
請求項6の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項の発明と同様な効果を有するのに加えて、下水道管、水道管、電線管等に用いられる口径300mm程度までの細い埋設用塩ビ管に対して従来適用不可能とされた前記必要な装置・機器類を細い先導体内部にコンパクトに収納することにより排土効率等上記多くの優れた利点を有する泥濃方式による小口径管埋設用先導体を適用することができたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明を図示する実施例により具体的に説明する。
【実施例1】
【0046】
図1は本発明の小口径管埋設用先導体による泥濃式工法の施工概要図、図2は本発明の実施例1の小口径管埋設用先導体の縦断面図である。
【0047】
本発明の小径口管埋設用先導体(以下、「先導体」とも略称する)1は、内径200mm程度の小口径の塩ビ管にも適用可能な泥濃式小口径管埋設用先導体である。この先導体1を用い、例えば塩ビ管3を推進工法で埋設する場合、図1に示すように、一般の推進工法と同様の発進立坑8に据えられた元押推進ジャッキ5を装備する元押推進架台4に沿って先導体1が地中に埋設される塩ビ管3を計画線に沿って誘導する。先導体1から掘進に伴って排土される土砂は、地上に設置された添加材プラントMPから発進立坑8内の添加材供給ホースMHを通じて先導体1先端の掘削土砂内に注入された添加材と共に攪拌され流動化した性状を持つ掘削流動化土砂として、先導体1内に延設された機内排泥管61と塩ビ管3の中にあって塩ビ管3の延伸と同時に接続され延伸されるケーシング管2内に延設されたケーシング管内排泥管63(図2)及びこれに連結される発進立坑8内に設けられた排泥ホース6を通じて地上に設置されたバキューム車BCの真空吸引力によりバキューム排土され運搬処理される。このように掘削土砂の排土は、先導体1先端からバキューム車BCまで一貫して前記排泥管61,63及び排泥ホース6まで水密状態で連結されて輸送されるため先導体1内部、塩ビ管2内部及び発進立坑8内を泥水等の漏出により汚すことなく連続的に効率よく搬送される。
【0048】
バキューム車BCによるバキュームを利用して掘削流動化土砂のバキューム吸引排土が行われるため、特に固定設備が設けられない路上作業等では、移動自在な小型バキューム車BC等で一層好適に対応できる。
【0049】
また、発進立坑8の設備は、元押推進ジャッキ5を有する元押推進架台4の他、排泥ホース6、位置管理用でレーザー光を照射するためのレーザーセオドライト7のみで構成される。このため、従来の泥水工法等の設備に比べ狭い作業空間での作業が効率的に行なえるとともに段取り時間を大幅に削減でき、付帯設備の経済性及び作業性共に優れている。
【0050】
実施例1の先導体1は、埋設する塩ビ管3の外径より僅かに大きな外径を有する先導体外筒10と、先導体外筒10の前面に回動自在に支持され、回転駆動され掘進方向の切刃面土砂を掘削する土砂切削装置20と、先導体外筒10内部に収容され、土砂切削装置20の後面に一体的に連設されて回動し、掘削された土砂の土塊及び石を破砕するとともにそれらの掘削土砂を土砂切削装置20の先端部に設けられた添加材注入口から注入された粘性付与材である添加材や加泥材と共に攪拌して掘削土砂流動化する破砕攪拌装置30と、破砕攪拌装置30の後部に一体的に連設され、土砂切削装置20及び破砕攪拌装置30を回転駆動する駆動装置40と、所定の切羽圧力を保持するように前記掘削流動化土砂の圧力を調整する土圧調整装置50と、前記切羽圧力を管理しながら発進立坑8内に設けられた排泥ホース6を通してバキューム車BCによるバキュームにより前記掘削流動化土砂を吸引排土する排土装置60と、施工精度を維持するための先導体1の推進方向の修正を行なう推進方向修正装置70と、駆動装置40及び推進方向修正装置70駆動用の油圧アクチュエータ駆動制御を行う油圧制御機器80と、先導体1の姿勢や位置情報を検出する位置管理装置90とから概略構成されている。
【0051】
先導体外筒10は、先端側から逐次、前面に土砂切削装置20が装着された第1外筒10a、第2外筒10b、第3外筒10c、第4外筒10dに4分割され、それぞれ外筒継手11により全体が水密状態で連結されるとともに、第4外筒10dの後端には塩ビ管継手12が連結されている。特に、第1外筒10aと第2外筒10bとは、第1外筒10aに接続された外筒継手11を介して後述する推進方向修正装置70の中折れ機構71により屈曲(中折れ)自在に連結されている。
【0052】
塩ビ管継手12は、塩ビ管3が連結される外管12aと、塩ビ管3内に逐次継ぎ足されて延設され発進立坑8内に設置された元押推進架台4の元押推進ジャッキ5の推力を伝達するケーシング管2が連結される内管12bとを備えた2重管構造である。先導体1が前方に進む推進力は、元押推進架台4の元押推進ジャッキ5の推力により塩ビ管3と共に逐次追加して連結されるケーシング管2を介して伝達される。このため、細くかつ長く延設される塩ビ管3に無理な外力を与えることなく安全に施工することができ、小口径管埋施工の信頼性を確保することができる。
【0053】
土砂切削装置20は、第1外筒10aの前面に回転可能に図示しないシールパッキンにより水密状態で支持されたカッタディスク21及びカッタディスク21の前面に土質に合わせて効率よく配置されて地山を切削するための複数の切削ビット22からなり、カッタディスク21の回転作用により地山を掘削する。土砂切削装置20は、カッタディスク21の右回転又は左回転のいずれの回転方向でも土砂を掘削できるようになっている。カッタディスク21の周辺部には、複数の掘削土砂取込み口21aが開設されている。
【0054】
破砕攪拌装置30は、第1外筒10a内に収容され、カッタディスク21の後面に連結された破砕コーン31、破砕コーン31を内包する破砕チャンバ32、及び破砕コーン31の後面の周辺部に装着された複数の攪拌羽根33からなる破砕攪拌回動部と、破砕コーン31の後面に連結され、これらの攪拌羽根33を内包して破砕コーン31と破砕チャンバ32内面との間(狭い隙間)に形成された掘削流動化土砂通路に連通するとともに後面に掘削流動化土砂排出口34aを有する中空リング状の攪拌室34とから構成されている。カッタディスク21の周辺部の複数の掘削土砂取込み口21aは、破砕チャンバ32と連通するように配置されている。
【0055】
このように、攪拌室34を中空リング状に形成したことにより、塩ビ管3に適用される細い先導体外筒10内の軸心中央部に後述する駆動装置40をコンパクトに収容する機内スペースを確保している。
【0056】
破砕攪拌装置30は、前記破砕攪拌回動部によりカッタディスク21と連動して掘削土砂中の粒径の大きな石や土鬼を細かく破砕するとともに、細かく破砕され上記破砕コーン31と破砕チャンバ32内面との狭い隙間を通過した掘削土砂を土砂切削装置20の先端部から注入された添加材や加泥材と共に攪拌して掘削土砂流動化する。
【0057】
このように、細い先導体1内に設けられた破砕攪拌装置30は、破砕コーン31を内包する破砕チャンバ32及び複数の攪拌羽根33を備えた破砕攪拌回動部及び攪拌室34により掘削土砂の土塊及び石を効率よく破砕するので、従来のように土塊や石は別途取出し及び輸送する手段を設けることなく、それらの掘削土砂を一貫して添加材や加泥材と共に攪拌して掘削土砂流動化することができ、バキューム車BCによる効率よい一貫・連続的なバキューム吸引排土を実現することができる
【0058】
駆動装置40は、第1外筒10a内に収容され、破砕コーン31の後面の中央部に連結された減速機41及び減速機41に連結された油圧モータ42からなり、この減速機41付き油圧モータ42により土砂切削装置20及び破砕攪拌装置30の破砕攪拌回動部を一体的に右回転又は左回転のいずれの回転方向にも回転駆動する。このように先導体1内に駆動装置40を設けたことにより、発進立坑8内における従来の特許文献1などのような駆動装置等が必要なく、付帯設備の経済性及び作業性とも一層向上する。
【0059】
土圧調整装置50は、第1外筒10a内に収容され、土砂切削装置20の先端中央部に設けられて添加材や加泥材を掘削土砂内に注入する添加材吐出口51aに連通する添加材吐出装置51と、攪拌室34内の掘削流動化土砂の圧力を感知する土圧センサ52と、攪拌室34後面の掘削流動化土砂排出口34aに連通して装備された機内排泥管61の中途に連結され、土圧センサ52を監視して内部のゴムチュ―ブに圧縮空気を送り加圧することにより弁開度を調整して掘削流動化土砂の所定の圧力を保持するピンチバルブ53とから構成されている。添加材吐出装置51は、発進立坑8内に設けられた添加材供給ホースMHを介して地上に設置された添加材プラントMPに連結される。
【0060】
ピンチバルブ53は、掘削流動化土砂の圧力が地山の適正な切羽圧力以上になると徐々に弁開度を開き排土を行ない、これにより掘削切羽面や攪拌室34内の掘削流動化土砂の圧力を適正に保持することができる。すなわち、ピンチバルブ53は、圧縮空気圧を調整することにより流動化した掘削流動化土砂の圧力が相対的に空気圧より高くなると弁開度の絞りが弱くなって自動的に開き掘削流動化土砂を排土し、掘削流動化土砂の圧力が下がると相対的に空気圧が高くなって弁開度を絞り始めることにより掘削流動化土砂の圧力を適正に保持することができる。このように、掘削流動化土砂の圧力を適正に保持することにより、透水係数が高く崩壊し易い砂礫土層や玉石混じり土質でも地山の安定を図りながら施工することができる。
【0061】
排土装置60は、いずれも先導体外筒10の第1〜第4先導体外筒10a、10b、10c、10d内に亘り水密状態で延設され、攪拌室34の掘削流動化土砂排出口34aに連通して攪拌室34近傍の中途に設けられたピンチバルブ53及び排泥管伸縮継手62を介して連結された機内排泥管61と、ケーシング管2内に水密状態で延設され、機内排泥管61の後端に連結されたケーシング管内排泥管63とからなる1系統の排泥管状体、一端が排泥管伸縮継手62の近傍の機内排泥管61に設けられた開口部61aに連通して分岐接続され、他端に給気バルブ65が設けられ、先導体外筒10内の大気(空気)の供給を行う給気管64とから構成されている。
【0062】
給気バルブ65は、掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれない間は掘削流動化土砂が先導体外筒10内に漏れ出すのを防止するため閉塞され、通常、掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれている間は開き大気開放されている。このように、給気バルブ65が開放された状態では、先導体外筒10内の大気がバキューム車BCにより真空吸引される掘削流動化土砂を後押ししてバキューム排土をスムースに行うことができる。
【0063】
また、機内排泥管61あるいはケーシング管内排泥管63等の排泥管状体が閉塞した場合、この給気バルブ65を閉じ、発進立坑8側から前記排泥管状体に水や空気あるいは添加材等を送ることにより、その閉塞解除も容易に行なうことができる。
【0064】
また、このような泥濃方式によるバキューム排土は、水密状態で延設された排泥管状体1系統で行なえるため排泥管状体口径を比較的大きくでき、長距離化による土砂運搬効率の低下を防ぐことができる。また、狭い発進立坑8内での土砂搬出も1本の排泥ホース6で一貫して掘削流動化土砂のバキューム排土を連続的に効率よく行なえるため、従来のオーガ工法や泥土圧工法でのズリ缶等の荷揚げ作業が不要となる。
【0065】
先導体1が前方に掘進されるに従い、塩ビ管3及びケーシング管2と共にケーシング管内排泥管63も逐次追加して連結され延伸される。
【0066】
推進方向修正装置70は、第1外筒10aに接続された外筒継手11に接続されるとともに第2外筒10bを屈曲(中折れ)自在に連結する中折れ機構71と、中折れ機構71と第2外筒10bとの間に設けられた複数本の方向修正ジャッキ72とからなり、方向修正ジャッキ72のストローク差で中折れ機構71が屈曲(中折れ)することにより先導体1を計画線に沿って精度良く推進することができる。各方向修正ジャッキ72には図示しないストロークセンサを装備しており、先導体の折れ角等の状態が確認できるようになっている。このようにして、推進方向修正装置70は後述する位置管理装置90による先導体1の位置情報に基づいて先導体1の推進方向を修正する。
【0067】
中折れ機構71の屈曲(中折れ)するときの中折れ箇所の目地の開きは、図示しないシールパッキンにより水封密閉されており、地山からの漏水を防止している。なお、中折れ機構71作動時においては、機内排泥管61の中途に設けた排泥管伸縮継手62が機内排泥管61の中折れ変形を吸収することにより、機内排泥管61やこれが連結する攪拌室34等への無理な外力による変形や損傷を防ぐことができる。
【0068】
油圧制御機器80は、先導体外筒10の例えば第4先導体外筒10d内に設置された複数のソレノイドバルブ81、油圧センサ82、マニホールド83及び図示しない油圧配管等からなり、前記駆動装置40の油圧モータ42及び推進方向修正装置70の方向修正ジャッキ72等の油圧アクチュエータを駆動する油圧制御を行う。
【0069】
この油圧制御は、発進立坑8上に設置した油圧ユニットHUからの油圧源が前記油圧配管に連結される発進立坑8内に設けられた油圧ホースHHを介して先導体1の第4先導体外筒10d内の油圧制御機器80に送られ、発進立坑8上に設置した中央操作盤COで操作することにより中央操作盤COと油圧制御機器80との間に連結された配線CLを介して行なわれる。
【0070】
このように、駆動装置及び推進方向修正装置の駆動用に上記油圧アクチュエータを用いたことにより、電動機駆動式に比べコンパクトで強力かつ駆動制御性に優れる。また、上記油圧アクチュエータ及び油圧制御機器を先導体1内部に設けたことにより、地上からの油圧配管及びその制御配線等も最小限に削減できる。
【0071】
位置管理装置90は、いずれも先導体外筒10の例えば第3先導体外筒10cあるいは第4先導体外筒10d内に設けられ、先導体1の上下方向の位置を検出する高精度の液圧レベル計91、先導体1の傾き角度を検出する傾斜計92、発進立坑8の元押推進架台の後方に設置されたレーザーセオドライト7から施工計画線に合せて先導体外筒10内に照射されるレーザー光を受ける碁盤目を有するターゲット板93、ターゲット板93上に照らされるレーザースポットを常時撮影して発進立坑8上の中央操作盤COのモニターに映し出し監視するカメラ94、及び樹脂製の縦型筒状ケーシング95a内部に立設された縦型電磁コイル95bに通電し磁界を発生させ、この磁界を地上で位置探査装置SNを用いて検出することにより先導体1の位置検出を行なうための縦型誘導磁界発生装置95等から構成されている。
【0072】
図3は、縦型誘導磁界発生装置95の縦型電磁コイル95b部の磁界発生による地上での位置検出状況の説明図である。
誘導磁界発生装置95は、先導体外筒10の例えば第3先導体外筒10cの上下を貫通するように立設され、上下開口端がテフロン(登録商標)、NCナイロン(いずれも商品名)などの樹脂製の上・下蓋95d、95eにより密閉された同じく樹脂製の縦型筒状ケーシング95aと、縦型筒状ケーシング95a内の上部に両極が上下になるように略垂直に立設された縦型電磁コイル95bと、縦型筒状ケーシング95aの下半部に交叉する金属性の機内排泥管61に連結可能なように縦型筒状ケーシング95aを水平に貫通して設けられた同じく樹脂製の排泥用通路95cとからなっている。
【0073】
このように、先導体外筒10内の下半部を横断的に通過する機内排泥管61が交叉する縦型筒状ケーシング95aの下半部位に排泥用通路95cを設け、排泥用通路95cに連結された機内排泥管61を支持及び止水できる密閉構造として排泥管の一部としての機能も持たせたことにより、縦型誘導磁界発生装置95を細い先導体10の上下を貫通するように配置することができる。
【0074】
また、誘導磁界発生装置95は、縦型電磁コイル95bが作り出す磁界域に磁界を乱すような金属製の物質が入り込まないように、内部に収容される縦型電磁コイル95b以外のすべての部材をいずれもテフロン(登録商標)、NCナイロンなどの樹脂製としている。このため、縦型電磁コイルが作り出す磁界域に磁界を乱すことなく、この磁界を地上で位置探査装置SNにより捕らえることにより先導体の位置検出を正確に行うことができる。
【0075】
先導体1を計画線に沿って精度良く推進するために、先導体1の位置情報や姿勢情報が重要である。通常、先導体1の位置情報は、発進立坑8の元押推進架台4の後方に据えられたレーザーセオドライト7から、施工計画線に合わせて照射されるレーザー光を、先導体1内に設けられた碁盤目を有するターゲット板93に当て、ターゲット板93上に照らされるレーザースポットをカメラ94で常時撮影し、発進立坑8上(地上)の中央操作盤COのモニターに映し出して監視する。
【0076】
また、前記レーザースポットの管理が、施工中万一先導体1の僅かな蛇行が発生したり、地中の玉石や障害物等による曲線施工管理ができずレーザー光がターゲット板93まで届かなかったり、あるいは長距離掘進して坑内の温度変化でレーザースポットの揺らぎが発生してレーザー光による位置管理が精度よくできなくなった場合には、先導体1内に設けられた縦型誘導磁界発生装置95内の縦型電磁コイル95bに通電し、磁界を発生することにより地上で位置探査装置SNを用いて位置検出を行なう。このような場合には、先導体1の平面的な位置情報は、先導体1内に装備された縦型電磁コイル95bに通電して得られる電磁界を利用し位置検出をおこなうことにより管理される。
【0077】
一方、先導体1内に装備され、先導体1の上下方向の位置は、発進立坑8に設置された液圧レベル基準タンク13と水ホース14で連結される高精度の液圧レベル計91により、液圧レベル基準タンク13の水の水頭圧を検出し、その信号を地上の中央操作盤COに送って数値表示させることにより管理される。
【0078】
このように、先導体1の上下方向の位置は高精度の液圧レベル計91により、先導体の水平方向の位置はレーザー受光ターゲット板93を用いたレーザーターゲット法及び縦型誘導磁界発生装置95の併用により検出・管理が行われるので、先導体の姿勢や位置情報を把握する信頼性が向上する。特に、施工の僅かな蛇行が生じた場合や地中の玉石や障害物等を回避する曲線施工が必要となった場合、さらには、掘削が長距離になって坑内の温度変化によるレーザースポットの揺らぎが発生するような場合には、レーザー光の直進性を利用したレーザーターゲット法のみでは正確な先導体1の位置把握ができないため、縦型誘導磁界発生装置を用いて先導体の位置情報を確実に把握し、施工精度を確保することができる。
【0079】
以上のように構成された実施例1の先導体1の作動について、以下に整理して説明する。
先導体1を地盤内に推進して地山を掘削する際には、同時に土砂切削装置20の先端中央部の添加材吐出口51aから添加材や加泥材を吐出し、カッタディスク21と共に回転する切削ビット22により掘削された土砂と混ぜ合わされ、流動化した掘削流動化土砂に性状を変化させる。流動化した掘削流動化土砂はカッタディスク21の複数の掘削土砂取込み口21aから破砕攪拌装置30の破砕コーン31を内包する破砕チャンバ32内に取り込まれる。
【0080】
破砕チャンバ32内に取り込まれ流動化した掘削流動化土砂の中に、粒径の大きな石や土鬼は、破砕コーン31のせん断破砕作用で細かく破砕され、破砕コーン31の周囲の狭い隙間を通り中空リング状の攪拌室34に入る。攪拌室34では破砕によって混ぜ合わされが不十分な土粒子を再度、破砕コーン31の背面に設けられた攪拌羽根33によって練り合わせることで、流動化がさらに均一化される。
【0081】
このときに流動化した掘削流動化土砂は添加材や加泥材に含まれ高分子材により流動性を持つが、この流動性を持った掘削流動化土砂を前記土圧調整装置50により加圧することで、地山の切羽面に泥膜を形成して切羽面の地山を押圧する効果が高まり、地山崩壊を防止することができる。また、透水係数の高い砂礫土でも切羽面に泥膜を形成することで、地山からの地下水の逸水や、添加材が地山に逃げていくことを防止することができ、効率的な地山掘削を安定して行なうことができる。
【0082】
攪拌室34内で再攪拌された掘削流動化土砂は、切削した土砂の増加と加えられた添加材や加泥材の量で容積が増し、徐々に加圧されていく。この加圧状態を攪拌室34内の土圧センサ52で監視して地山の適正な圧力以上になったらピンチバルブ53を徐々に開き、掘削流動化土砂の排土を行なうと同時に掘削切羽面や破砕攪拌装置30内の圧力の不適正上昇を防止することができる。
【0083】
また、ピンチバルブ53は、内部のゴムチュ―ブに圧縮空気を送り加圧することで開口を絞っているが、この圧縮空気圧を調整することで流動化した掘削流動化土砂の圧力が、相対的に空気圧より高くなると開口の絞りが弱くなって、自動的に開き掘削流動化土砂を排土し、土砂の圧力が下がると相対的に空気圧が高くなって開口を絞り始める効果も期待できる。
【0084】
ピンチバルブ53を通過した流動性を持った掘削流動化土砂は、発進立坑8上(地上)に配置されたバキューム車BCなどの真空吸引装置の真空吸引力や先導体1内の給気管64を介して機内排泥管61内に吸い込まれる大気(空気)の流れに乗って、先導体1内の機内排泥管61、それに密封接続されたケーシング管内排泥管63、及び発進立坑8でケーシング管内排泥管63に密封接続された排泥ホース6を通じて地上のバキューム車BCなどの真空吸引装置まで一気に一貫して連続的に移送される。
【実施例2】
【0085】
図4は本発明の実施例2の小口径管埋設用先導体の前半部の縦断面図である。ここで分かり易くするため、実施例2においても、実施例1に対して部分的に形状が異なっていても同一の機能を有する部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0086】
実施例2においては、前記実施例1における土砂切削装置20の切削ビット22に代えて玉石や巨礫などを含む堅固な地山を切削するのに適したローラビット22aが設けられた構成で、他の構成は実施例1と同じである。
【0087】
この実施例の土砂切削装置20は、第1外筒10aの前面に回転可能に水密状態で支持されたカッタディスク21及びカッタディスク21の前面に設けられて地山を切削するための複数のローラビット22aからなり、このローラビット22aはカッタディスク21の回転作用と共に自転して、玉石や巨礫などを含む堅固な地山を掘削するのに好適である。土砂切削装置20は、駆動装置40の減速機41付き油圧モータ42によりカッタディスク21及び破砕攪拌装置30の破砕攪拌回動部と共に一体的に右回転又は左回転のいずれの回転方向にも回転駆動される点も、前記実施例1と全く同様である。
【0088】
したがって、実施例2においては、前記実施例1と同様な優れた利点を有するのに加えて、玉石や巨礫などを含む堅固な地山を掘削しながら塩ビ管等の細い小口径管を先導して埋設するのに好適である。
【0089】
なお、本発明の小口径管埋設用先導体1aは、図2〜4等に示した実施例以外にも例えば破砕攪拌装置などの形状あるいは各種部材の材質等を任意に変更した構成とすることができる。また、本発明における縦型誘導磁界発生装置は、泥濃式以外の他の形式の小口径管埋設用先導体、あるいはこれより径の大きい口径管埋設用先導体にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の小口径管埋設用先導体による泥濃式工法の施工概要図である。
【図2】本発明の実施例1の小口径管埋設用先導体の縦断面図である。
【図3】図2の縦型電磁コイル部の磁界発生による地上での位置検出状況の説明図である。
【図4】本発明の実施例2の小口径管埋設用先導体の前半部の縦断面図である。
【図5】従来(特許文献1)の泥濃式小口径管推進装置の先導体の要部縦断面図である。
【図6】特許文献1の泥濃式小口径管推進装置による施工概要図である。
【図7】従来(特許文献2)の小口径管推進工法用の先導掘削機の要部縦断面図である。
【図8】従来(特許文献3)の管推進機の先導体の要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0091】
1、1a 小口径管埋設用先導体(又は「先導体」)
2 ケーシング管
3 塩ビ管(又は「小口径管」)
4 元押推進架台
5 元押推進ジャッキ
6 排泥ホース
7 レーザーセオドライト
8 発進立坑
9 発進坑口設備
10 先導体外筒
11 外筒継手
12 塩ビ管継手
12a 外管
12b 内管
13 液圧レベル基準タンク
14 水ホース
20 土砂切削装置
21 カッタディスク
21a 土砂取込み口
22 切削ビット
22a ローラビット
30 破砕攪拌装置
31 破砕コーン
32 破砕チャンバ
33 攪拌羽根
34 攪拌室
34a 掘削流動化土砂排出口
40 駆動装置
41 減速機
42 油圧モータ
50 土圧調整装置
51 添加材吐出装置
51a 添加材吐出口
52 土圧センサ
53 ピンチバルブ
60 排土装置
61 機内排泥管
62 排泥管伸縮継手
63 ケーシング管内排泥管
64 給気管
65 給気バルブ
70 推進方向修正装置
71 中折れ機構
72 方向修正ジャッキ
80 油圧制御機器
81 ソレノイドバルブ
82 油圧センサ
83 マニホールド
90 位置管理装置
91 液圧レベル計
92 傾斜計
93 ターゲット板
94 カメラ
95 縦型誘導磁界発生装置
95a 縦型筒状ケーシング
95b 縦型電磁コイル
95c 排泥用通路
CL 配線
CO 中央操作盤
BC バキューム車(又は「バキューム装置」)
HU 油圧ユニット
HH 油圧ホース
MP 添加材プラント
MH 添加材供給ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水密状態で連結された複数の外筒からなり、中折れ機構を有するとともに、前面には土砂切削装置を、後端部には埋設する小口径管及び該小口径管内に逐次継ぎ足されて延設されるケーシング管を連結する小口径管継手を備えた先導体外筒と、掘削土砂を石ごと破砕し前記土砂切削装置先端から注入された添加材と共に攪拌して掘削土砂を流動化する破砕攪拌装置と、所定の切羽圧力が保持されるように掘削流動化土砂の圧力を調整する土圧調整装置と、前記破砕攪拌装置後面から前記小口径管の後端に亘り内部に水密状態で延設された1系統の排泥管状体を備え、前記調圧された掘削流動化土砂を地上のバキュウーム装置により一貫して連続的にバキューム吸引排土する排土装置と、を具備し、発進立坑内の元押推進ジャッキにより前記ケーシング管を介して地中に圧入掘進し小口径管を逐次連結しながら先導する小口径管埋設用先導体であって、
前記土圧調整装置は、前記添加材を掘削土砂内に注入する添加材吐出装置、前記破砕攪拌装置内の掘削流動化土砂の圧力を感知する土圧センサ、及び前記排泥管状体の中途に連結され、前記土圧センサを監視して内部のゴムチュ―ブに圧縮空気を送り加圧することにより弁開度が調整されて前記掘削流動化土砂の所定の圧力を保持するピンチバルブとから構成されていることを特徴とする小口径管埋設用先導体。
【請求項2】
前記破砕攪拌装置は、
前記土砂切削装置の後面に連結された末広がり状の破砕コーン、該破砕コーンを内包し、前記土砂切削装置の後面に設けられた複数の土砂取込み口に連通する破砕チャンバ、及び該破砕コーンの後面周辺部に装着された複数の攪拌羽根を備えた破砕攪拌回動部と、
前記破砕コーンの後面に連結され、前記攪拌羽根を内包して前記破砕コーンと破砕チャンバ内面との狭い隙間に形成された掘削流動化土砂通路に連通するとともに後面に掘削流動化土砂排出口を有する中空リング状に形成された攪拌室と、から構成されていることを特徴とする請求項1記載の小口径管埋設用先導体。
【請求項3】
前記排土装置は、
前記先導体外筒内に亘り延設され、前記攪拌室の掘削流動化土砂排出口に連結されてその近傍中途に前記ピンチバルブ及び排泥管伸縮継手を介して連結された機内排泥管、及び前記ケーシング管内に逐次連結されて延設され、前記機内排泥管の後端に連結されたケーシング管内排泥管からなる1系統の排泥管状体と、
一端が前記機内排泥管の前方中途に設けられた開口部に連通して接続され、他端に給気バルブが設けられ、前記先導体外筒内の大気を前記機内排泥管内に供給する給気管と、を備え、
前記給気バルブは、前記掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれている間は前記機内排泥管内に給気するように開放され、前記掘削流動化土砂のバキューム排土が行なわれない間は掘削流動化土砂が前記先導体外筒内に漏れ出すのを阻止するように閉塞されていることを特徴とする請求項1記載の小口径管埋設用先導体。
【請求項4】
水密状態で連結された複数の外筒からなり、中折れ機構を有するとともに、前面に土砂切削装置を備え、後端部に埋設する小口径管を連結する先導体外筒と、掘削土砂が注入された添加材と共に攪拌されて所定の切羽圧力が保持されるように調圧された掘削流動化土砂を前記小口径管の後端に亘り内部に延設された排泥管状体を介して地上のバキューム装置によりバキューム吸引排土する排土装置と、前記先導体外筒内に設けられ、発進立坑内に設置されたレーザーセオドライトから施工計画線に合せて照射されるレーザー光を受けるターゲット板及びそのレーザースポット監視用カメラと、縦型電磁コイルに通電して磁界を発生させる縦型誘導磁界発生装置とを少なくとも有し、前記先導体外筒の姿勢や位置情報を検出する位置管理装置と、を具備し、発進立坑内の元押推進ジャッキにより小口径管を逐次連結しながら先導して地中に圧入掘進する小口径管埋設用先導体であって、
前記縦型誘導磁界発生装置は、前記先導体外筒の上下を貫通するように立設され、上下開口端が上・下蓋により密閉されたいずれも樹脂又は非磁性体製の縦型筒状ケーシングと、該縦型筒状ケーシング内の上方部に両極が上下になるように略垂直に立設された縦型電磁コイルと、前記縦型筒状ケーシングの下半部に交叉する前記先導体外筒内に延設された排泥管に連結可能なように前記縦型筒状ケーシングを水平に貫通して設けられた樹脂又は非磁性体製の排泥用通路と、から構成されていることを特徴とする小口径管埋設用先導体。
【請求項5】
それぞれ油圧アクチュエータにより駆動され、前記土砂切削装置及び破砕攪拌回動部を一体的に回転駆動する駆動装置、あるいは中折れ機構を介して前記位置管理装置による先導体の位置情報に基づき施工計画線に沿って前記先導体の推進方向の修正を行なう推進方向修正装置を備え、
前記油圧アクチュエータの駆動制御を行う油圧制御機器が前記先導体外筒内部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項4記載の小口径管埋設用先導体。
【請求項6】
前記小口径管は、口径300mm程度までの細い塩ビ管であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の小口径管埋設用先導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−8034(P2008−8034A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179650(P2006−179650)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000115500)ラサ工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】