説明

屈曲振動片、屈曲振動子、発振器および電子機器

【課題】圧電体膜の段差部へ第2電極を延伸して確実に形成することが可能な圧電振動片を提供する。
【解決手段】水晶振動片(屈曲振動片)1は、基部2と、基部2から延長して形成され屈曲振動をする振動腕3と、励振電極(第1電極)12と、励振電極(第2電極)22と、励振電極12および励振電極22との間に配置された圧電体層6と、を含み、励振電極12を振動腕3の側にして少なくとも振動腕3に形成された積層構造体9と、を有し、励振電極22は、積層構造体9からさらに延伸し、圧電体層6の端部の段差部7を含んで基部2にまで形成され、段差部7では振動腕3に形成された励振電極22より幅の広い拡幅部4を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲する振動腕を有する屈曲振動片および屈曲振動片を有する屈曲振動子、並びに屈曲振動子を備えた発振器および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲振動片は、基部から延出する振動腕の表面に圧電体素子を備えていて、圧電体素子へ駆動電圧を印加して圧電体素子を変形させることにより、振動腕を所定方向へ屈曲させている。この場合、圧電体素子は、2つの電極で圧電体膜を挟みこんだ構成のものであり、これら2つの電極に対して駆動電流を印加して圧電体膜を変形させるようになっている。つまり、屈曲振動片は、圧電特性の良い膜体である圧電体素子を振動腕に形成し、この圧電体素子を変形させて振動腕を屈曲させている。そのため、屈曲振動片は、振動腕を構成する基材が圧電性を有していなくても良く、また、振動腕の形状に対する制約も少ない、という特徴を有している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−5022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、基部に設けられている電気パッドから、基部に設けられた圧電体膜に形成されている電極へ、駆動電流を印加するための接続部は、基部に対して圧電体膜の厚さに相当する段差を生じさせている、圧電体膜の側面を含めて形成されている。このような接続部は、蒸着等により形成されるが、屈曲振動片の小型化等に伴い、より細く形成しなければならず、その場合、接続部を圧電体膜の側面へ確実に形成することが困難になっている。即ち、圧電体膜の側面への接続部の形成が不十分となり、駆動電流を電気パッドから電極へ確実に印加することができなくなってしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る屈曲振動片は、基部と、前記基部から延長して形成され屈曲振動をする振動腕と、第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、前記第1電極を前記振動腕の側にして少なくとも前記振動腕に形成された積層構造体と、を有し、前記第2電極は、前記積層構造体からさらに延伸し、前記圧電体層の端部の段差部を含んで前記基部にまで形成され、前記段差部では前記振動腕に形成された前記第2電極より幅の広い拡幅部を有していることを特徴とする。
【0007】
この屈曲振動片によれば、積層構造体(背景技術における圧電体素子)は、少なくとも振動腕には形成されていて、積層構造体の圧電体層(圧電体膜)は、その端部において、振動腕または基部に対して圧電体層の厚さ分だけ段状をなす段差部を有している。この段差部は、圧電体層の側面が該当する。ここで、第2電極は、第1電極との間に圧電体層を挟持しており、積層構造体からさらに該段差部へ形成されて延伸することにより、延伸した部分(接続部)が基部の領域では第1電極と同一面に位置することになる。このような配置であれば、第1電極および第2電極が同一面に存し、それぞれへ駆動電流を印加し易くなる好ましい形態である。これら第1電極および第2電極は、蒸着等により形成される金属等の導電層である。屈曲振動片は、第2電極が蒸着等により段差部へ確実に形成されて、駆動電流を流せるように、段差部の第2電極が拡幅部となっている。拡幅部は、振動腕に形成されている第2電極の幅よりも広い幅となっている。そのため、段差部へ拡幅部を形成するための蒸着等による処理がばらついたとしても、拡幅部が形成されるべき段差部のいずれかの部分には、確実に、導電層が形成され、断線状態になることを回避することが可能である。このように、段差部に拡幅部を設けることにより、第2電極の振動腕側と基部側との電気的接続が確保され、駆動電流の確実な印加が可能となる。これにより、屈曲振動片は、安定した屈曲振動を行うことが可能である。
【0008】
[適用例2]本適用例に係る屈曲振動片は、基部と、前記基部から延長して形成され屈曲振動をする振動腕と、第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、前記第1電極を前記振動腕の側にして少なくとも前記振動腕に形成された積層構造体と、を有し、前記第2電極は、前記積層構造体からさらに延伸し、前記圧電体層の端部の段差部を含んで前記基部にまで形成され、前記第2電極が形成される前記段差部は、平面視で凸状または凹状に形成された変形領域であることを特徴とする。
【0009】
この屈曲振動片によれば、積層構造体は、少なくとも振動腕には形成されていて、積層構造体の圧電体層は、その端部において、振動腕または基部に対して圧電体層の厚さ分だけ段状をなす段差部を有している。この段差部は、圧電体層の側面が該当する。ここで、第2電極は、第1電極との間に圧電体層を挟持しており、積層構造体からさらに該段差部へ形成されて延伸することにより、基部の領域では第1電極と同一面に位置することになる。このような配置であれば、第1電極および第2電極が同一面に存し、それぞれへ駆動電流を印加し易くなる好ましい形態である。これら第1電極および第2電極は、蒸着等により形成される金属等の導電層である。屈曲振動片は、第2電極が蒸着等により段差部へ確実に形成されて、駆動電流を流せるように、第2電極が形成されるべき段差部が変形領域となっている。変形領域は、段差部である圧電体層の側面が平面視すると凸状または凹状を描いた形状に形成されている領域である。つまり、変形領域の導電層は、第2電極の幅とほぼ同じ幅内に形成されたとしても、凸状または凹状をなして第2電極の幅より長い範囲に延在することが可能である。そのため、変形領域へ導電層を形成するための蒸着等による処理がバラついたとしても、変形領域のいずれかの部分には、確実に、導電層が形成され、断線状態になることを回避することが可能である。このように、変形領域を介することにより、第2電極の振動腕側と基部側とが接続され、第2電極の電気的接続が確保され、駆動電流の確実な印加が可能となる。これにより、屈曲振動片は、安定した屈曲振動を行うことが可能である。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記基部は、前記第1電極および前記第2電極の形成されている前記振動腕の腕面より幅が広く、前記段差部が設けられていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、基部は、その幅が振動腕より広く設定されていて、さらに、基部には、第2電極が延伸して形成される段差部が設けられている。これにより、振動腕において、第2電極が腕面とほぼ同じ幅に形成されているとしても、振動腕より幅広の基部側に段差部があれば、段差部に形成される第2電極は、その形状に関わらず、腕面の幅より長い範囲に延在することが可能である。一方、振動腕側に段差部があれば、段差部に形成される第2電極を振動腕に形成される第2電極より確実に幅広くするためには、振動腕の第2電極を腕面幅より狭く形成しなくてはならない。振動腕の第2電極を狭くすれば、振動腕を屈曲させるための電界の強度が弱くなってしまう。従って、段差部が設けられる基部の幅が振動腕の幅より広ければ、段差部を容易に幅広にして導電層を形成でき、この段差部を介することにより、第2電極の振動腕側と基部側との電気的接続を確保することが可能である。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る屈曲振動片において、前記振動腕は、平面視で延長方向と直交する方向に沿って複数本配列され、奇数番目の前記振動腕の前記第1電極と、偶数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続され、偶数番目の前記振動腕の前記第1電極と、奇数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続されている構成であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、屈曲振動片は、複数の振動腕を有していて、駆動電流が印加されると、隣り合う振動腕が異なる方向へ屈曲するように、各振動腕の第1電極と第2電極とが相互に接続されている。このような複数の振動腕に対しても、段差部に導電層を形成することにより、各第2電極の振動腕側と基部側との電気的接続を確実に確保することが可能である。
【0014】
[適用例5]本適用例に係る屈曲振動子は、上記適用例の屈曲振動片と、前記屈曲振動片を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする。
【0015】
この屈曲振動子によれば、段差部に形成された導電層により、第2電極の振動腕側と基部側との電気的接続を確保することが可能な構成を有する屈曲振動片が、パッケージ内に備えられている。このような屈曲振動片を備えた屈曲振動子は、駆動電流が印加されると、確実で安定した振動を維持することが可能である。
【0016】
[適用例6]本適用例に係る発振器は、上記適用例の屈曲振動子と、前記屈曲振動子を発振させるための発振回路を有する回路素子と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
この発振器によれば、屈曲振動子に回路素子を付加してパッケージ化したものであって、回路素子等との配線の煩わしさを解消して、実装等を容易にすることが可能である。
【0018】
[適用例7]本適用例に係る電子機器は、上記適用例の屈曲振動子または発振器を備えていることを特徴とする。
【0019】
この電子機器によれば、確実な振動を安定して維持することが可能な屈曲振動子または発振器をタイミングデバイス等として備えており、これら屈曲振動子または発振器を搭載した電子機器は、確実で安定した動作を保障することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における第1実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図。
【図2】水晶振動片の拡幅部を示す斜視図。
【図3】水晶振動片の屈曲原理を示すための模式図。
【図4】本発明における第2実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図。
【図5】水晶振動片の変形領域を示す斜視図。
【図6】(a)屈曲振動子の蓋体を開けた状態を示す平面図、(b)屈曲振動子を示す断面図。
【図7】(a)発振器の蓋体を開けた状態を示す平面図、(b)発振器を示す断面図。
【図8】変形領域の他の一例を示す斜視図。
【図9】(a)携帯電話を示す斜視図、(b)モバイルコンピューターを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、屈曲振動片について、具体的な実施形態を図面に従って説明する。本実施形態の屈曲振動片は、3本の振動腕がいわゆる面外振動する水晶振動片である場合を一例にして説明する。なお、図面において、描かれている屈曲振動片は、部分的に縮尺を異ならせて、分かりやすいように強調してある。
(第1実施形態)
【0022】
図1は、本発明における第1実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図である。この水晶振動片(屈曲振動片)1においては、図1に示すように、基部2と振動腕3とが同一平面である側を表面側とし、基部2と振動腕3とが段状をなしている側を裏面側とする。
【0023】
最初に、水晶振動片1を形成する水晶について、簡単に説明する。水晶振動片1は、六角柱の水晶柱から切り出され、水晶柱は、柱の長手方向に光軸であるz軸と、z軸に垂直な六角形面のx−y平面において六角形の辺に平行な電気軸であるx軸と、x軸に垂直な機械軸であるy軸とを有している。また、六角形の辺に平行なx軸は、それぞれ120度の等角度で3本あって、これらのx軸によりx−y平面に形成される3つの面は、エッチング方向によるエッチング進行速度の違い等がそれぞれの面で同一である、という三方晶の性質を有している。このような水晶柱において、水晶振動片1は、x−y平面を、x軸とy軸との交点(座標原点)からみてx軸回りに角度5度傾けた平面に沿う水晶z板から切り出されたものである。この水晶z板は、x軸と、y’軸およびz’軸と、により表される。
【0024】
水晶を基材とした水晶振動片1は、x軸方向を幅方向とする基部2と、基部2からy’軸方向へそれぞれ延長している3本の振動腕3(3a,3b,3c)と、を有している。振動腕3は、振動腕3bを中央にして、3本がx軸に沿って順に並んでいて、この場合、振動腕3aおよび振動腕3cが奇数番目に該当し、振動腕3bが偶数番目に該当する。また、基部2は、z’軸方向の厚さが振動腕3より厚く設定されている。
【0025】
水晶振動片1は、振動腕3aの表面に、駆動電流の印加により振動腕3を屈曲させる役目を果たす第1電極としての励振電極12aが形成され、振動腕3bの表面に、第1電極としての励振電極12bが形成され、振動腕3cの表面に、第1電極としての励振電極12cが形成されている。なお、振動腕3に設けられたこれら励振電極12a,12b,12cは、振動腕3の各先端部分には形成されていない。
【0026】
そして、水晶振動片1において、基部2の振動腕3近傍と、先端部を除く振動腕3と、の表面側には、励振電極12a,12b,12cを覆って、圧電体層6(6a)が形成されている。基部2における圧電体層6aの端部は、基部2に対して圧電体層6aの厚さ分の段差が生じている段差部7である。この段差部7は、圧電体層6aの側面に該当するものである。また、この場合、圧電体層6aは、圧電性を有する酸化亜鉛(ZnO)で形成されている。
【0027】
さらに、各振動腕3には、振動腕3aの励振電極12aに対し圧電体層6aを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22aが形成され、振動腕3bの励振電極12bに対し圧電体層6aを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22bが形成され、振動腕3cの励振電極12cに対し圧電体層6aを挟んで対向する位置に、第2電極である励振電極22cが形成されている。これら励振電極12と、圧電体層6aと、励振電極22とは、積層構造体9を構成しており、積層構造体9は、振動腕3aにおいては、励振電極12aと、圧電体層6aと、励振電極22aとで構成され、振動腕3bにおいては、励振電極12bと、圧電体層6aと、励振電極22bとで構成され、振動腕3cにおいては、励振電極12cと、圧電体層6aと、励振電極22cとで構成されている。即ち、積層構造体9は、第1電極である励振電極12a,12b,12cを振動腕3の側にした構成となっている。
【0028】
また、基部2には、振動腕3c寄りの端部に電極端子10が形成されていて、この電極端子10と励振電極12aとを電気的に接続するために、電極配線11aが基部2に形成されている。さらに、電極配線11aから分岐し電極配線11aと励振電極12cとを電気的に接続するために、電極配線11cが基部2に形成され、電極配線11cから分岐し電極配線11cと圧電体層6aに形成されている励振電極22bとを電気的に接続するために、電極配線11bが形成されている。なお、電極配線11a,11b,11cは、励振電極12,22とほぼ同幅で形成されている。
【0029】
この場合、電極配線11bは、基部2に形成された状態から圧電体層6aに形成された励振電極22bを接続するために、圧電体層6aの段差部7には拡幅部4(4b)として形成されている。電極配線11bの拡幅部4bは、励振電極22bおよび電極配線11bより幅広に形成されている。
【0030】
また、基部2には、振動腕3a寄りの端部に電極端子20が形成されていて、この電極端子20と圧電体層6aに形成された励振電極22aとを電気的に接続するために、電極配線21aが基部2に形成されている。電極配線21aは、基部2に形成された状態から圧電体層6aに形成された励振電極22aを接続するために、圧電体層6aの段差部7にも拡幅部4(4a)として形成されている。電極配線21aの拡幅部4aは、励振電極22aおよび電極配線21aより幅広に形成されている。
【0031】
さらに、電極配線21aから分岐し電極配線21aと圧電体層6aに形成された励振電極22cとを電気的に接続するために、電極配線21cが形成されている。この場合、電極配線21cは、基部2に形成された状態から圧電体層6aに形成された励振電極22cを接続するために、圧電体層6aの段差部7にも拡幅部4(4c)として形成されている。電極配線21cの拡幅部4cは、励振電極22cおよび電極配線21cより幅広に形成されている。
【0032】
この構成では、電極配線21cは、基部2の表面において、電極配線11a,11cと交叉しなくてはならない。そこで、基部2の該交差する領域に、電極配線11a,11cを覆う酸化亜鉛(ZnO)の圧電体層6(6b)を設け、設けた圧電体層6bへ電極配線21cを形成することにより、電極配線21cと電極配線11a,11cとの短絡を回避している。この場合においても、基部2に形成された電極配線21cと圧電体層6bに形成された電極配線21cとを接続するために、圧電体層6bの側面には、拡幅部4と同様の機能を有する幅広部5が設けられている。
【0033】
また、圧電体層6bに形成された電極配線21cから分岐し電極配線21cと振動腕3bに形成された励振電極12bとを電気的に接続するために、電極配線21bが形成されている。この電極配線21bは、圧電体層6bの他の側面に設けられた幅広部5を介して、圧電体層6bの面から基部2の表面へ形成されている。これら電極配線21a,21b,21cは、励振電極12,22とほぼ同じ幅で形成され、幅広部5は、励振電極12,22および電極配線21b,21cより幅広に形成されている。以上説明した電極端子10,20、電極配線11,21、拡幅部4、幅広部5および励振電極12,22は、Cr膜とAu膜との2層からなる金属膜であって、スパッタリング等の蒸着により形成されている。
【0034】
次に、拡幅部4について、より詳細に説明する。図2は、水晶振動片の拡幅部を示す斜視図である。図2は、振動腕3aの圧電体層6aに形成され励振電極22aから延伸した電極配線21aと、基部2の表面に形成された電極配線21aと、を確実に接続するために、圧電体層6aの段差部7に設けられた電極配線21aである拡幅部4aを示している。図2に示すように、基部2の表面および圧電体層6aに形成された電極配線21aは、それぞれの配線が幅W1を有し、この場合、幅W1は、励振電極22aの幅と同じである。また、圧電体層6aの側面である段差部7は、その高さが圧電体層6aの厚さに相当するHである。
【0035】
電極配線21aは、基部2の表面および圧電体層6aの面へは蒸着で均一に形成され易いが、これらの面に対してほぼ直交して位置する段差部7へは同条件の蒸着で均一に形成することが困難な場合がある。電極配線21aが細線になるほど、段差部7における電極配線21aの形成がより困難になり、段差部7で短絡状態になり易い。水晶振動片1では、この段差部7に、蒸着により電極配線21aが拡幅部4aとして形成されている。
【0036】
拡幅部4aは、幅W2を有し、段差部7における幅W2と段差部7の高さHとで指定される領域50と、領域50が電極配線21aの形成されている圧電体層6aの面にまで延在して形成され、圧電体層6aの電極配線21aに接続している領域51と、領域50が電極配線21aの形成されている基部2の面にまで延在して形成され、基部2の電極配線21aに接続されている領域52と、から成っている。ここで、拡幅部4aの幅W2は、幅W1より広い設定であり、段差部7のような、蒸着で金属膜を均一に形成することが困難な領域であっても、幅の広い領域50であれば、そのいずれかの部分には領域51と領域52との接続を可能にする金属膜を形成することができる。つまり、拡幅部4aは、段差部7を電気的に導通な領域とすることができ、これにより、段差部7に拡幅部4aを有する電極配線21aは、電極端子20と励振電極22aとを確実に接続することができる。
【0037】
同様な形態を有する拡幅部4bは、圧電体層6aにおいて励振電極22bから延伸した電極配線11bと、基部2の側の電極配線11bと、を接続して、電極端子10と励振電極22bとを確実に接続することができ、拡幅部4cは、圧電体層6aにおいて励振電極22cから延伸した電極配線21cと、基部2の側の電極配線21cと、を接続して、電極端子20と励振電極22cとを確実に接続することができる。なお、拡幅部4と接続している電極配線21a,21cおよび電極配線11bは、この場合、第2電極に該当する。
【0038】
また、圧電体層6bの側面に設けられた幅広部5のそれぞれは、拡幅部4と同様な機能を発揮する。幅広部5は、電極配線21aから分岐した電極配線21cが、電極配線11aおよび電極配線11cとの交叉を回避するための圧電体層6bを経由して、励振電極22cから延伸する電極配線21cへ確実に接続できるようにすると共に、励振電極12bから延伸する電極配線21bへも確実に接続できるようにしている。
【0039】
次に、水晶振動片1が、屈曲して振動する原理について説明する。図3は、水晶振動片の屈曲原理を示す模式図である。水晶振動片1には、電極端子10または電極端子20から駆動電流が印加される。例えば、電極端子10から電極端子20へ駆動電流が印加されると、振動腕3aにおける駆動電流は、励振電極12aから励振電極22aを経て電極端子20へ至る方向となる。同様に、振動腕3cにおける駆動電流は、励振電極12cから励振電極22cを経て電極端子20へ至る方向となる。つまり、振動腕3aおよび振動腕3cでは、振動腕3a,3cの裏面側から表面側の方向へ駆動電流が印加されるため、共に、同一方向へ向いた電界が生じる。一方、振動腕3bにおける駆動電流は、励振電極22bから励振電極12bを経て電極端子20へ至る方向となる。つまり、振動腕3bでは、振動腕3bの表面側から裏面側の方向へ駆動電流が印加されるため、振動腕3aおよび振動腕3cとは異なる方向の電界が生じる。
【0040】
従って、振動腕3aおよび振動腕3cが、z’軸に沿って表面側の方向へ屈曲する際、振動腕3bは、z’軸に沿って裏面側の方向へ屈曲することになる。そして、電極端子10および電極端子20へ印加する駆動電流の方向を変えると、各振動腕3は、それぞれ逆方向へ屈曲する。つまり、振動腕3へ印加する駆動電流の方向を交互に変えることにより、振動腕3は、屈曲を繰り返して振動し、その振動は、隣り合って位置する振動腕3が互いに逆の位相で屈曲する、いわゆる面外振動である。
【0041】
以上説明した屈曲振動片の一例である、実施形態1における水晶振動片1の主要な効果を述べる。
【0042】
水晶振動片1は、各振動腕3の圧電体層6aに形成された励振電極22a,22b,22cからそれぞれ延伸し、圧電体層6aの段差部7を介して基部2の表面に至る電極配線21a,11b,21cが、段差部7においてそれぞれ拡幅部4a,4b,4cを有している。拡幅部4は、電極配線21a,11b,21cの幅よりも広い幅となっているため、段差部7へ拡幅部4を形成する蒸着処理がバラツイたとしても、拡幅部4が形成されるべき段差部7のいずれかの部分には、確実に、拡幅部4が形成され、断線状態になることを回避できる。これにより、電極配線21a,11b,21cの振動腕側と基部側との電気的接続が確保され、駆動電流の確実な印加が可能となる。従って、水晶振動片1は、安定した屈曲振動を維持することができる。
(第2実施形態)
【0043】
次に、屈曲振動片として水晶振動片1以外の他の実施形態について説明する。図4は、本発明における第2実施形態に係る水晶振動片の外観を示す斜視図である。本実施形態の水晶振動片30と、実施形態1における水晶振動片1と、の相違点は、電極配線の構成および電極配線が形成される段差部7の形状が異なっていることである。従って、水晶振動片1と同一の構成部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、水晶振動片30の各振動腕3には、励振電極12、圧電体層6(6c)および励振電極22から成る積層構造体9が形成され、圧電体層6cは、基部2の振動腕3近傍と、先端部を除く振動腕3と、の表面側に、励振電極12を覆って形成されている。また、基部2には、振動腕3a寄りの端部に電極端子20が形成され、振動腕3c寄りの端部に電極端子10が形成されている。
【0045】
そして、電極端子10と励振電極12cとを電気的に接続するための電極配線41cが基部2の面に形成され、電極配線41cから分岐し電極配線41cと励振電極12aとを電気的に接続するための電極配線41aが基部2の面に形成されている。さらに、基部2の面には、振動腕3bの励振電極12bから延伸した電極配線41bが形成されている。この電極配線41bは、電極配線41a,41cとは接続されておらず、基部2に単独で存している。
【0046】
また、基部2の電極配線41a,41bおよび電極配線41cの一部を覆っている圧電体層6cは、2つの貫通孔35,45を有している。貫通孔35は、電極端子10と、振動腕3aの励振電極12aと、振動腕3cの励振電極12cと、にそれぞれ電気的に接続している電極配線41aに対向して設けられ、貫通孔45は、振動腕3bの励振電極12bと導通している電極配線41bに対向して設けられている。
【0047】
また、電極端子20と励振電極22aとを電気的に接続するために、基部2の面から、圧電体層6cの段差部7を経て、圧電体層6cの面にかけて、電極配線31aが形成されている。この場合、電極配線31aが形成される段差部7は、図5を参照して後述する変形領域8となっている。そして、電極配線31aから分岐し電極配線31aと励振電極22cとを電気的に接続するための電極配線31cが、圧電体層6cに形成されている。さらに、圧電体層6cには、振動腕3bの励振電極22bから延伸した電極配線31bが形成されている。この電極配線31bは、電極配線31a,31cとは接続されておらず、圧電体層6cに単独で存している。
【0048】
圧電体層6cに設けられた貫通孔35,45の孔壁には、励振電極22および電極配線31を形成する際に、Cr膜とAu膜との2層からなる金属膜が同時に形成される。この場合、貫通孔35,45は、平面視すると四角形の形状であり、孔壁が4方向を向いている。そのため、金属膜を蒸着させる時に、蒸着方向が偏っていたとしても、いずれかの孔壁には、金属膜が形成でき、電気的な接続の役目を果たすことができる。これにより、貫通孔35を介して、電極配線31bと電極配線41aとが接続され、電極端子10と、振動腕3aの励振電極12a、振動腕3bの励振電極22bおよび振動腕3cの励振電極12cと、が接続される。同様に、貫通孔45を介して、電極配線31cと電極配線41bとが接続されて、電極端子20と、振動腕3aの励振電極22a、振動腕3bの励振電極12b、および振動腕3cの励振電極22cとが接続される。
【0049】
以上のような構成によれば、水晶振動片30において、各振動腕3の積層構造体9へは、水晶振動片1と同様に駆動電流が印加(図3)されることになり、振動腕3が面外振動をする。
【0050】
次に、変形領域8について説明する。図5は、水晶振動片の変形領域を示す斜視図である。図5は、振動腕3aの圧電体層6cに形成され励振電極22aから延伸した電極配線31aと、基部2の表面に形成された電極配線31aと、を確実に接続するために、電極配線31aが形成されるべき段差部7に設けられた変形領域8を示している。
【0051】
変形領域8は、圧電体層6cの段差部7に形成されていて、平面視すると励振電極22aの側に窪んだ矩形の凹状をなしていて、この凹状の変形領域8は、電極配線31aの幅W1の範囲内となるように設定されている。つまり、変形領域8を含めて形成された電極配線31aは、平面視で幅W1の均一幅の配線に見えるが、変形領域8の段差部7の長さは、W1より長くなっている。変形領域8における段差部7が長いことにより、段差部7のような、蒸着を均一に形成することが困難な領域であっても、変形領域8のいずれかの部分には確実に金属膜を形成することができ、基部2の側の電極配線31aと、励振電極22a側の電極配線31aと、の電気的接続を可能にすることができる。これにより、変形領域8を有する電極配線31aは、電極端子20と励振電極22とを確実に接続することができる。なお、変形領域8を含めて形成されている電極配線31aは、この場合、第2電極に該当する。
【0052】
以上説明した屈曲振動片の一例である水晶振動片30は、変形領域8を有することにより、変形領域8に金属膜を形成して駆動電流の確実な印加が可能となり、水晶振動片1と同様、安定した屈曲振動を維持することができる。
【0053】
次に、実施形態1の水晶振動片1または実施形態2の水晶振動片30を用いた水晶振動子について説明する。図6(a)は、屈曲振動子の蓋体を開けた状態を示す平面図である。図6(b)は、屈曲振動子を示す断面図であり、図6(a)のE−E’における断面図である。図6では、変形領域8を有する水晶振動片30を用いた場合を示しているが、水晶振動片1を用いても同様な効果が得られる。
【0054】
図6において、水晶振動子(屈曲振動子)100は、水晶振動片30と、水晶振動片30を収容したパッケージ70を備えている。パッケージ70は、一方に開口を有する箱状のパッケージベース71と、パッケージベース71の開口を閉鎖するための蓋体73と、パッケージベース71と蓋体73とを接合するためのシームリング72と、により構成されている。また、パッケージベース71は、その箱状内部に形成され水晶振動片30を載置するための段部77と、段部77に設けられ水晶振動片30の電極端子10,20と接続するための2つの振動片接続端子76と、パッケージベース71の外周部に設けられ振動片接続端子76から配線により電気的に接続されている外部接続端子75と、を有している。この場合、パッケージベース71および蓋体73は、セラミックにより形成され、シームリング72は、コパール合金で形成されている。なお、形成材は、これらに限定されるものではない。
【0055】
そして、段部77には、水晶振動片30の基部2の裏面が、接着剤79を介して、接着固定され、振動腕3a,3b,3cが自由端として片持ち支持されている。また、水晶振動片30の電極端子10,20は、ボンディングワイヤー78によって、振動片接続端子76にそれぞれ接続されている。そして、水晶振動子100は、パッケージベース71と蓋体73とを、減圧状態下において、シームリング72で接合することにより、水晶振動片30を収容した空間を減圧雰囲気にしている。なお、水晶振動片30を収容した空間は、減圧雰囲気ではなく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを封入した雰囲気等でも良い。
【0056】
このような構成の水晶振動子100は、外部接続端子75を介して外部から駆動電流が印加されることにより、水晶振動片30が励振され、所定の周波数で振動して発振することができる。また、水晶振動子100は、水晶振動片30が変形領域8を有し、段差部7にも確実に電極配線31aを形成できるため、駆動電流の安定した印加により優れた振動特性を維持することができる。
【0057】
また、水晶振動片1,30は、発振器にも搭載され、図7(a)は、発振器の蓋体を開けた状態を示す平面図である。図7(b)は、発振器を示す断面図であり、図7(a)のE−E’における断面図である。発振器200は、上記水晶振動子100の構成に回路素子をさらに備えた構成となっている。この場合、発振器200は、水晶振動片30と、水晶振動片30を発振させる発振回路を有する回路素子としてのICチップ60と、を備えているが、水晶振動片30にかえて水晶振動片1を用いても良い。ICチップ60は、パッケージベース71の底部に固着され、外部接続端子75や振動片接続端子76等の配線と接続されている。この発振器200は、ICチップ60の発振回路からの駆動信号により水晶振動片30が励振され、所定の周波数で発振する。
【0058】
このように、発振器200は、水晶振動片30を備えていることから、駆動電流の安定した印加が行え、優れた振動特性を維持することができる。
【0059】
これら水晶振動子100および発振器200は、水晶振動片1または水晶振動片30を備えていて、安定した振動を維持することができ、搭載された電子機器等の精度向上を図ることができる。例えば、図9(a)は、携帯電話を示す斜視図であり、図9(b)は、モバイルコンピューターを示す斜視図である。一例である携帯電話300およびモバイルコンピューター400に、水晶振動子100または発振器200を搭載することにより、電子機器の確実で安定した動作を保障することができる。
【0060】
最後に、変形例について説明する。水晶振動片1,30、水晶振動子100および発振器200は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
【0061】
(変形例1)水晶振動片1における拡幅部4は、圧電体層6a側に形成された領域51および基部2側に形成された領域52を省略して、段差部7に形成された領域50のみでも良い。但し、領域51,52を設けた方がより確実な接続が図れて好ましい。
【0062】
(変形例2)水晶振動片1の段差部7に設けられている拡幅部4は、水晶振動片30の有する変形領域8であっても良い。
【0063】
(変形例3)水晶振動片1における圧電体層6bは、圧電体層6aと同じ酸化亜鉛(ZnO)で形成されているが、これに限定されることなく、電極配線21cと、電極配線11a,11cと、を絶縁することができる絶縁体であれば良い。
【0064】
(変形例4)水晶振動片30の変形領域8は、平面視すると励振電極22aの側に窪んだ矩形の凹状をなしているが、矩形の凹状に限定されず、曲線等による凹状であっても良い。
【0065】
(変形例5)水晶振動片30における変形領域8は、平面視すると圧電体層6cが励振電極22aの側に窪んだ矩形の凹状をなしているが、凹状に限定されるものではない。図8は、変形領域の他の一例を示す斜視図である。図8に示すように、水晶振動片30は、平面視すると基部2の側に突起した矩形の凸状をなす変形領域80を有する形態であっても良い。変形領域80であれば、変形領域80における段差部7が長いことに加え、圧電体層6cの段差部7から突起しているため、蒸着による金属膜をより確実に形成することができ、基部2側の電極配線31aと励振電極22a側の電極配線31aとの電気的接続が行える。なお、変形領域80は、矩形の凸状に限定されず、曲線等による凸状であっても良い。
【0066】
(変形例6)水晶振動片30における変形領域8は、水晶振動片1の有する拡幅部4であっても良い。
【0067】
(変形例7)水晶振動片1,30は、3本の振動腕3a,3b,3cを有している構成であるが、3本以外の本数であっても良い。
【0068】
(変形例8)水晶振動片1,30は、積層構造体9が振動腕3の表面側にのみ設けれている構成を一例として示すものであって、積層構造体9が振動腕3の裏面側にのみ設けれている構成や、振動腕3の表裏両面に積層構造体9が設けられた構成であっても良い。
【0069】
(変形例9)屈曲振動片は、水晶を用いた水晶振動片1,30に限定されることなく、水晶以外のニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等の圧電体を用いたものであっても良い。更に、屈曲振動片は、水晶のような圧電性材料を用いることに限定されるものではなく、シリコンやゲルマニウムなどの非圧電材料であっても良い。これにより、屈曲振動片において、要求特性や用途等に応じて、適切な材料を選ぶことができ選択肢が拡大する。
【0070】
(変形例10)水晶振動片1,30の圧電体層6は、スパッタリングにより形成された酸化亜鉛(ZnO)であるが、これに限定されるものではなく、例えば、圧電性を有する窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等であっても良い。
【0071】
(変形例11)水晶振動片1,30は、隣り合う振動腕3が互いに異なる位相で振動する形態であるが、振動腕3が同位相で振動する形態であっても良い。
【0072】
(変形例12)水晶振動子100および発振器200は、水晶振動片30の裏面側がパッケージベース71の段部77に接着固定されているが、表面側がパッケージベース71の段部77に接着固定されている構成であっても良い。この場合、段部77の振動片接続端子76が水晶振動片30の電極端子10,20と導電性接着剤で直接接続される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
屈曲振動片としての水晶振動片1,30を備えた水晶振動子(屈曲振動子)100や発振器200は、拡幅部4または変形領域8により、段差部を介する励振電極(第2電極)22の電気的接続が確実になされており、携帯電話300やモバイルコンピューター400をはじめ、電子時計、ビデオレコーダー、テレビ等の電子機器に広く用いることができ、これら電子機器のタイミングデバイスなどとして、確実で安定した動作を保障することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…屈曲振動片としての水晶振動片、2…基部、3…振動腕、4…拡幅部、5…幅広部、6圧電体層、7…段差部、8…変形領域、9…積層構造体、10…電極端子、11…電極配線、12…第1電極としての励振電極、20…電極端子、21…電極配線、22…励振電極、30…屈曲振動片としての水晶振動片、31…電極配線、35…貫通孔、41…電極配線、45…貫通孔、60…回路素子としてのICチップ、100…屈曲振動子としての水晶振動子、200…発振器、300…電子機器としての携帯電話、400…電子機器としてのモバイルコンピューター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から延長して形成され屈曲振動をする振動腕と、
第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、前記第1電極を前記振動腕の側にして少なくとも前記振動腕に形成された積層構造体と、を有し、
前記第2電極は、前記積層構造体からさらに延伸し、前記圧電体層の端部の段差部を含んで前記基部にまで形成され、前記段差部では前記振動腕に形成された前記第2電極より幅の広い拡幅部を有していることを特徴とする屈曲振動片。
【請求項2】
基部と、
前記基部から延長して形成され屈曲振動をする振動腕と、
第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極との間に配置された圧電体層と、を含み、前記第1電極を前記振動腕の側にして少なくとも前記振動腕に形成された積層構造体と、を有し、
前記第2電極は、前記積層構造体からさらに延伸し、前記圧電体層の端部の段差部を含んで前記基部にまで形成され、前記第2電極が形成される前記段差部は、平面視で凸状または凹状に形成された変形領域であることを特徴とする屈曲振動片。
【請求項3】
請求項1または2に記載の屈曲振動片において、
前記基部は、前記第1電極および前記第2電極の形成されている前記振動腕の腕面より幅が広く、前記段差部が設けられていることを特徴とする屈曲振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の屈曲振動片において、
前記振動腕は、平面視で延長方向と直交する方向に沿って複数本配列され、奇数番目の前記振動腕の前記第1電極と、偶数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続され、偶数番目の前記振動腕の前記第1電極と、奇数番目の前記振動腕の前記第2電極とが接続されている構成であることを特徴とする屈曲振動片。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の屈曲振動片と、
前記屈曲振動片を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とする屈曲振動子。
【請求項6】
請求項5に記載の屈曲振動子と、
前記屈曲振動子を発振させるための発振回路を有する回路素子と、を備えていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の屈曲振動子または請求項6に記載の発振器を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−9922(P2012−9922A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141386(P2010−141386)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】