説明

市街景観画像情報較正システム

【課題】 実画像を用いた都市景観3次元動画を提供するシステムに対して実画像取得にともなう位置情報、撮影方向等のメタデータの精度向上手段を提供する。
【解決手段】 都市市街を地上から高密度に多方向から撮影した画像をデータベース化し、任意の都市の位置に対して任意の視点経路と視線方向に対応した画像をデータベースから検索して、検索した画像を実際の視点との視差に対応してモーフィング処理により連続した滑らかな3次元動画に生成することを特徴とする都市景観3次元動画システムにおいて、生成する3次元動画の品質を向上させるの区的で、実画像取得にともなう位置情報、撮影方向等のメタデータの精度向上を行う手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市街および商店街および売り場を含む地上の景観を様々な角度から撮像した写真を利用する3次元景観の動画を生成表示するシステムにおいて、該写真を動画生成に使用するために不可欠な画像撮影点位置および画像撮影方向などのメタデータを効果的に計出し、誤差を較正することを目的とする都市景観画像情報較正システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、市街および商店街および売り場を含む地上の景観を3次元で動画表示する方式として、市街および商店街および売り場の立体モデルを作成し、該表面をテクスチャーマッピングにより貼り付け、得られた3次元モデルに対して3次元画像処理により3次元動画を得る方法がある。
【0003】
また、別の方法では、空中および通路上に高密度のメッシュ点を設定してそこから多方向の画像を広範囲に撮像できるシステムを構築し、これら大量の画像をデータベース化し、市街および商店街および売り場を含む地上の景観の任意の位置を、任意の視点で、任意の方向から見た場合の最も視差の少ない画像を高速に検索するシステムを構築し、さらに指定した視点、視線、市街および商店街および売り場を含む地上の対象物の位置に対応して最も視差の少ない画像から連続的になめらかな動画像をモーフィングにより生成する方法もある。(特許文献1)
【0004】
この方法は極めて大量かつ多視点、多視線方向の市街および商店街および売り場を含む地上の路上写真あるいは航空写真を事前に画像撮影位置や画像撮影方向といったメタデータとともに撮影蓄積することが不可欠である。特許文献1には路上写真の取得方法が記述されているが路上で撮影した写真の画像撮影位置、画像撮影方向などのメタデータを正確に得ることは一般に計測システムが整備されていないため容易ではない。この問題を解決する方法として、既存のメタデータの判明している画像と関連付けることによりメタデータの判明していない画像のメタデータを推定し、一般からの投稿により大量の画像を蓄積する方法がある。(特許文献2)
【0005】
航空写真を取得する従来技術として、最近はディジタル技術の急速な進歩によりアナログ式航空カメラからディジタル方式の1次元ラインセンサないし2次元撮像素子を用いた航空写真用カメラが実用化されている。さらに汎用デジタルカメラの高性能化により、航空写真分野へも適用可能となってきている。専用ソフトウェアによりディジタルカメラで撮影した斜め写真からオルソ画像を作成するシステムが特許文献3では提案されている。測量目的の航空写真では地上に基準点を予め設定し、該基準点を参照してカメラ位置と姿勢を計算し、地物の座標を求めていたが、航空機にGPS(Global Positioning System)及びIMU(Inertial Measurement Unit)を装備し、撮像時点のカメラの位置と姿勢を測定することできる。(特許文献4)撮像方向が異なる3台のCCDラインセンサで測量用航空写真を撮像する技術が特許文献5で提案されている。
【0006】
【特許文献1】特願2008-60351
【特許文献2】特願2008-136125
【特許文献3】特開2002-357419号公報。
【特許文献4】特開2004-245741号公報。
【特許文献5】特許2807622号公報。
【非特許文献6】都市移動体におけるGNSS技術の測位精度と課題について 久保信明東京海洋大学 2007年11月 シンポジウム論文
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2の方法はいずれも市街または商店街など多視点、多方向からの実画像を用いて3次元動画を生成しようとする点において、市街の3次元モデルを生成した上でテクスチャ貼り付けによりリアリティーを実現する方法より作業コストが少ない利点があるが、この方法は使用する画像の画像撮影位置、画像撮影方向などのメタデータが画像ごとに正確に把握されていなくてはならない。しかしながら画像撮影位置の把握は一般にGPSないしDGPSを用いて行うが、GPS信号の受信は室内、地下街では不可能で正しい位置把握が不可能である。また、高層ビルが林立する地域にあっては上空の見通しが悪くGPSにより正確な位置を得ることが一般に困難を伴う。さらに画像撮影方位にいたっては専用の計測機器がないと正確な値を得ることができない。特許文献1および特許文献2における課題の実現は画像撮影点の位置精度が10cmレベルで要求され、地上とくに市街地、商店街においては画像撮影を高密度で行うにものの各画像に対するメタデータが正確に得られないという課題があった。
【0008】
地上の景観を様々角度から撮影した写真を利用する3次元景観の動画を生成するシステムにおいては、市街および商店街および売り場を含む地上の景観を様々な角度から撮像した写真に対して各々の画像の正確なメタデータを取得するには困難を伴うが、一方、各画像は画像撮影位置、画像撮影方向をずらして相互に重複しながら撮影されるという特徴があり、さらに通路に沿って移動するため、別の手段で得られる通路の境界に関する正確な位置情報を得られるという特徴がある。上記の解決すべき課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者はこの特徴を利用すれば各々の画像のメタデータを計出可能であることに気がついた。
また、市街および商店街および売り場における撮影は撮影システムを移動させながら頻繁に撮影し、かつ撮影した画像データをメタデータとともに記憶させることが必要であるため、タイミング的な問題からも精度よく画像撮影位置を各々の画像に対して把握することが困難であるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明者は各々の画像のメタデータを正確に得ることの最大の障壁は、該メタデータを各々の画像を撮影する時点で単独に独立して得ようとすることにあると理解し、画像が相互に重複していることを利用して正確にメタデータの判明している画像からメタデータのない各画像のメタデータを計出することによりこの解決を図ることとした。また、さらに各画像は通路に沿って移動しながら撮影されることを利用して位置の判明している地図データ、オルソ衛星画像、フロアプラン等の情報を統合して誤差を収束させることにより解決することとした。
【0010】
この目的のために、第一に、正確に画像撮影位置と画像撮影方向の判明している2点以上の画像撮影点における対象の重複している画像中にタイポイントをもとめ、該タイポイントの位置座標を写真測量の手法で計出し、さらに位置座標の判明しているタイポイントを撮影した隣接するメタデータの判明していない画像のメタデータを計出する。この手順を連鎖的に繰り返すことにより相互に重複する各画像のメタデータを順次計出できることに注目した。第二に、以上に述べた方法は、正確に計測したメタデータをもとに画像の重複を利用して順次、連鎖的に相互に重複する画像のメタデータを計出するものであるため、誤差が蓄積拡大することが避けられない。これを避けるため、連鎖する画像撮影点の最終点の位置と画像撮影方向を正確に測定して該連鎖的に計出したメタデータの最終点と比較し誤差の集積値を求めて該誤差を補正することとした。
【0011】
誤差の集積を補正する目的で、第一に連鎖する最初の画像撮影点対と最後の画像撮影点対の位置座標と画像撮影方向を正確に測定して誤差を収束させる方法を案出し、第二は正確な画像撮影位置と画像撮影方向を連鎖する画像撮影点の途中にも配して誤差の累積を防止する方法を導入した。第三には、画像撮影点が通路上を移動すること、タイポイントが通路の境界線上に位置していることを利用して地図上あるいは、オルソ衛星画像上の通路境界線上に該タイポイントを一致させて誤差を解消する方法を導入した。第四に通路がグラフ構造と閉路を構成していることに注目して、該情報を利用して該グラフ上に該タイポイントを一致させることにより誤差を解消する方法を案出した。第五に、画像撮影点の連鎖を地上だけでなく、地下街、あるいは建物中の売り場が面する通路である場合を考慮してDEM、フロアプランなどの高度情報にタイポイントの高さ方向座標値を一致化させて誤差を収束させる方法を導入した。第六に画像撮影対象点が通路の境界線上に存在することを利用して逆に地図を作成する方法を案出し、最後に画像撮影システムを剛体で固定した複数の画像撮影方向を有する複数のカメラで構成することにより効率的に画像撮影とメタデータ計出を行う方法を案出した。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明の市街景観画像情報較正システムによれば、画像撮影位置および画像撮影方向などの正確なメタデータが得難い市街および商店街および売り場を含む地上の景観を様々な角度から撮像した画像においてメタデータを正確に計出することが可能となり該画像を利用する3次元景観の動画を生成表示するシステムに利用することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら以下に説明する。図1は本発明になる市街景観画像情報較正システムの全体構成を示す図であり、各構成システムは画像データベース150のメタデータを較正し誤差を減少させるものであり、スーパーバイザー100の統括の下に、画像撮影点メタデータ実測値取得較正システム110、DEMデータ統合システム130、マルチカメラデータ誤差較正システム140よりなる処理サブシステムより構成され、さらに、画像撮影点メタデータ実測値取得較正システム110、DEMデータ統合システム130の共通処理ルーチンとして連鎖画像撮影点誤差較正システム120が存在する。データベースとしては画像データベース150、道路データベース155、衛星画像データベース160、DEMデータベース165より構成される。画像データベース150の構成例は図40に示され、道路データベース155の構成例は図39のほか、特許文献1に示される。オペレータ170は画像較正スーパーバイザ100のグラフィックユーザインタフェース105を介して全体システムに対して指令および操作を行う。これらの構成サブシステムはその一部を除いても機能させることが出来る。以下、図2から図40までを用いてその原理と処理の内容を説明する。
【0014】
特願2008-60351「都市景観の3次元動画アミューズメントシステム」に詳細に記載されている都市景観3次元動画生成システムでは、都市空間の空中および通路上に高密度に設定されたメッシュ点から撮影した多方向の画像をデータベース化し、都市の任意の位置を任意の視点で任意の方向から見た場合の最も視差の少ない画像を該データベースより高速に検索し、さらに指定した視点、視線、都市中の位置に対応して最も視差の少ない画像から連続的になめらかな動画像をモーフィングにより連続的に生成する。この方法ではモーフィングを行う原画像の画像撮影点位置と画像撮影方向と画像撮影光軸廻りの回転角と画角または焦点距離よりなるメタデータが正確に把握されていないと動画生成の原画像として用いることができない。このうち、画角または焦点距離はカメラを選択すれば決まるが、画像撮影点位置と画像撮影方向、画像光軸回りの回転角は各画像毎に求めておく必要がある。画像撮影点位置の精度については、10cm程度の精度が求められるが、この精度は特に高層ビルのある市街地では従来の技術では実現が困難であった。
【0015】
図2に示すのは、画像データベース150の画像を取得するために通路画像を撮影するための画像撮影の運用概念図であり、特願2008-60351「都市景観の3次元動画アミューズメントシステム」に詳述されている。該ディジタルカメラ集合体200は複数のディジタルカメラ201を水平各方向に配置し、図2(b)に記載のように車両202に搭載するか、図38のようにカートに実装して図2(c)のように市街を図2(a)のような経路に従って走行する。移動経路210は通路206に沿って通路境界線212に平行に設定される。車両205は移動経路210上のほぼ一定間隔ごとに存在する画像撮影点位置240で画像撮影方向211の画像を撮影する。ディジタルカメラ集合体200は撮影が計算機制御されており、一定周期ごとにディジタルカメラ集合体200内の全ディジタルカメラa〜p 201a〜pに一斉に撮影指令を出すとともにその時点の画像を記録する。なお、歩道と車道の分離されている通路では、両側の歩道を各々走行することがある。
【0016】
該ディジタルカメラ集合体200の詳細は図37とその関連説明に示され、画像撮影方向211は水平方向を向いているディジタルカメラ201a〜hと上方に仰角をもって配置されているディジタルカメラ201i〜pより構成されるが、水平方向だけのディジタルカメラでの構成でもよく、また、水平方向もその数を増減させることも出来る。画像撮影点位置240は撮影画像が相互に重複するように近接して設定され、図2(a)に示すように移動経路210上に画像撮影点列を構成する。図4に示すように建物220の前を移動経路210に沿って移動すると、同一の建物220に対して、視線方向1 221、視線方向2 222、および視線方3 223の各方向から、視線方向1より見た画像224、視線方向2より見た画像225、および視線方向3より見た画像226が得られ記憶される。
【0017】
図4に示すように移動経路210に沿って移動しながら撮影した画像データベース150の画像は必ず相互に重複していて、図5および図6のように表示される。図5において異なる視線方向より見た同一対象画像の対応点、すなわちタイポイントa230、タイポイントb231、タイポイントc232、タイポイントd233は視線方向1より見た画像224と視線方向2より見た画像225の双方に存在し、これらのタイポイントをグラフィックユーザインターフェイス105によりモニタ上に表示してオペレータ170が手動で行うことも、画像処理により自動的に行うことも出来る。タイポイント自動選定はステレオ画像からDEM(Digital Elevation Map)を抽出する場合などに利用されるパターンマッチングを使用することが可能で、かかる技術はオルソ画像生成用のDEM抽出ソフトなどで公然実施されている。
【0018】
本発明の主要な部分は画像データベース150の各画像が、相互にかなりの割合で重複していることを利用し、メタデータの正確な実測値が存在する同一対象を撮影した一対の画像撮影点(画像撮影点対)の画像内の複数の対象点をタイポイントとして相互に対応をつけることにより該対象点の座標位置を写真測量の原理により計出する。該画像撮影点対に隣接する画像撮影点(隣接画像撮影点)の画像より該隣接画像撮影点の座標位置、画像撮影方向等のメタデータを算出する。メタデータが求まった該隣接画像撮影点と、該画像撮影点対のうち該隣接画像撮影点に近いほうの画像撮影点を用いてさらに写真測量により該隣接画像撮影点の外側に隣接する画像撮影点に同様の手順を繰り返すことにより、次々に連鎖的に画像撮影点列のメタデータを求めることである。
【0019】
以下の説明で、変数の右肩に*を付したものは計算により推定された値を示し、変数の右肩に*を付していないものと区別するものとする。また、明細書中にスミ付き括弧で記載した数式は通常の数学記法に従うが、本文中では記号の記述に制約があるので下記原則に従う。3次元または2次元の点は大文字のローマ字で表記し、3次元または2次元の成分を有する。時間的変化のある場合は()を後につけ、その中に時間情報を記す。スミ付き括弧で記載した数式では、ベクトルをイタリックスの大文字ローマ字で記載するが、本文中では大文字ローマ字で記載し、識別が必要な場合には文字の前に”(ベクトル)”と付記する。3次元または2次元の点は3次元または2次元座標による表記と、原点または基準点に対するベクトルによる表記を必要により使い分ける。とくにベクトル演算式中に出現する場合の点はベクトルによる表記である。スミ付き括弧で記載した数式では、行列を太字の大文字ローマ字で記載するが、本文中では大文字ローマ字で記載し、識別が必要な場合には文字の前に”(行列)”と付記する。角度についてはギリシャ文字を用い、平面、線等を示す記号については記号の前に平面、線等の記述を付記する。
図7は実測値の存在する画像撮影点1実測位置X 340と画像撮影点2実測位置X 341から撮影した共通の撮影対象である画像撮影対象点1,1位置 Z1,1 250、画像撮影対象点1,2位置 Z1,2 251、画像撮影対象点1,3位置 Z1,3 252、画像撮影対象点1,4位置 Z1,4 253をタイポイントa〜dとして該3次元座標を計出する。図5でいえば、視線方向1より見た画像224と視線方向2より見た画像 225が対応する。該画像撮影対象は画像撮影点3計出位置X*3 353でも撮影されており、撮影された画像上の位置より該画像撮影点3計出位置X*3 353の3次元位置、撮影方向と画像光軸回りの回転角が計出できる。図6に該画像撮影点3計出位置X*3 353からの画像が視線方向3より見た画像226として示され、3次元位置の判明しているタイポイントa〜d 230〜233の画像上の位置から該画像撮影点3計出位置X*3 353の3次元位置と撮影方向が後述するように計出できる。
【0020】
なお、すべての画像撮影点における撮影のカメラ特性は同一であるとしている。次に、画像撮影点2実測位置X 341と画像撮影点3計出位置X*3 353から撮影した共通の撮影対象である画像撮影対象点2,1位置Z2,1 254、画像撮影対象点2,2位置Z2,2 255、画像撮影対象点2,3位置 Z2,3 256、画像撮影対象点2,4位置 Z2,4 257をタイポイントa〜dとして該3次元座標を計出する。該撮影対象は画像撮影点4計出位置X*4 354でも撮影されており、撮影された画像上の位置より該画像撮影点4計出位置X4 354の3次元位置と撮影方向が計出できる。このプロセスを繰り返して連鎖的に画像撮影点k計出位置X*k 357の3次元位置と撮影方向を計出する。該プロセスを連鎖メタデータ計出法と以下称する。
【0021】
該連鎖メタデータ計出法は第一に、開始地点の一対の画像撮影点の位置が正確に得られる必要があるが実際は容易ではない。また、第二に、連鎖計算を繰り返す結果、誤差が蓄積するという問題もある。本発明のもう一つの主要な部分はデータフュージョンの技術を用いて、この問題を解決することである。図3は非特許文献6に記載の東京大手町近辺における路上のGPS測位実測値である。高精度のRTKとDGPSを用いているが、閉路1 300を構成する通路206を移動しながら計測した測位結果は50%以上が正しい値となっていない。これは高層ビル壁面によるGPS電波の反射、見通せるGPS衛星数の減少によることに起因している。
【0022】
これら障害がない場合には10cm程度の精度が得られることが非特許文献6で示されているが、正しくない計測結果を該連鎖画像メタデータ計出の開始点に使用しないように除外する必要がある。また、図3の例では閉路1 300の南側しかGPS実測値(正)215のような正しい値が得られていないので、北側では他のデータによるデータフュージョンが不可欠となる。また、該閉路の南側に於いてもGPS実測値(誤)216のように、部分的に電波反射により正しい測位が行われていないことに注目すべきである。カーナビゲーションにおいては、DGPS測位結果を慣性センサと統合し道路データ上に位置を一致化させることにより位置を路上に示しているが、位置精度が5から10mもあればこの目的を果たせるのであり、本発明の目的である10cm程度の精度目標達成には不十分である。データフュージョンにより本発明で使用する画像撮影点位置を求める場合、元となるデータおよび情報には下記(1)から(5)のフュージョンデータ源がある。各々に一長一短があり、これらを合理的、合目的的に統合するのが本発明による新規な部分である。
【0023】
(1)RTKおよびDGPSを用いた実計測値
位置精度は絶対値で10cm程度まで得られる。また個別画像撮影点間距離も隣接するものの間では精度10cm程度が期待できる。ただし、GPS衛星からの信号がマルチパスで受信されると精度が劣化し本目的では使用できなくなり、このような値を排除する必要がある。
(2)オルソ衛星画像
位置精度の高いオルソ画像が広域で得られるが、衛星の画像分解能の制約から絶対位置精度は50cm程度である。通路の直角方向の拘束力は強いが、通路進行方向に対する拘束力は弱い。位置精度が50cm程度であるので個々の画像撮影点間の距離精度向上には有効ではない。
(3)グラフ・閉路
50cm程度の精度のオルソ衛星画像を利用しても、端点、変曲点、閉路情報を利用することにより通路進行方向に対する拘束力を強めることが出来、特に閉路の場合は、一周することにより誤差の蓄積を解消できる。
(4)隣接画像撮影点間の連鎖メタデータ計出法
計出連鎖による誤差蓄積は避けられないが隣接画像撮影点間の距離は最も正確に求められる。
(5)通路の構造的特性
通路は直線ないし直線に近い曲線と曲がり角で出来ているという構造的特徴を(3)グラフ・閉路と併せて利用する。
図8以降、上記(1)から(5)のデータフュージョンを行う方法を詳述する。
【0024】
図1に示した市街景観画像情報較正システムの全体構成において、画像データベース150において、オペレータ170は画像校正スーパーバイザ100のグラフィックユーザインターフェイス105を介して、画像データベース150の画像毎の較正済みと較正未了の属性に従い画像撮影点の画像メタデータを較正していない画像撮影点を表示することが出来る。かかる属性表示方法は地理情報システムとして公然実施されている。オペレータ170は画像メタデータの較正が行われていない画像データベース150の部分を選択してメタデータの校正を開始する。図1の市街景観画像情報較正システムは画像較正スーパーバイザの指令に従い、図8の処理フローに従って処理する。図2でいうと、処理ブロック275では画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理を行う。通路203に沿った画像撮影点列303に対して該データユージョン源(1)から(5)を統合して画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理を行う。
【0025】
その後、処理ブロック276においてDEMデータ統合処理を行う。ここでは、DEMによる標高データを画像撮影点が地上の場合には高さ方向の3次元位置データとして統合する。地下街あるいはビル内である場合には、DEMによる標高データに加えフロアプランによる高度情報を3次元位置データとして統合する。処理ブロック275と処理ブロック276で、ディジタルカメラ集合体200のうち選択したディジタルカメラについて画像撮影点列303の位置の3次元座標が較正されたので、処理ブロック277で図37の例に示ディジタルカメラ集合体の幾何的位置関係を使用して処理ブロック275と処理ブロック276が選択したディジタルカメラ以外のカメラについても画像メタデータを計出する。
【0026】
処理ブロック275のより詳細な内容を図9に示す。画像データベース150中の画像は移動経路210に沿って撮影されたものであり画像撮影点列303は必ずしも閉路を形成していない。処理ブロック280および処理ブロック281では、すべての該画像撮影点列303を再編成して最小の閉路を構成するようにする。図10を用いてより詳細に説明する。図10(a)は閉路を形成する前の画像撮影点列であり、実際の画像撮影経路に従い移動経路1 290より移動経路10 299までに沿って画像撮影点列303が並んでいる。画像撮影点列303が市街における最小の市街ブロックを周回するように閉路1 300、閉路2 301を構成しなおす。図10の端点1 305についてみると移動経路2 291による画像撮影点列303と移動経路6 295による画像撮影点列303が交叉している。処理ブロック281では、図10(b)に示すように市街ブロック1 288、市街ブロック2 289以下を順次指定し、該市街ブロックを周回する閉路1 300、閉路2 301以下を構成する。端点1 305を例にとると閉路1 300に沿って画像撮影点列303を構成しなおす。このようにして閉路ごとに該閉路を周回する画像撮影点列としてすべての画像撮影点列303が再編成される。
【0027】
処理ブロック282から処理ブロック287までの処理は、隣接画像撮影点間の連鎖画像メタデータ計出法と該データフュージョン(1)から(5)を行う具体的方法である。処理ブロック282は該データフュージョンの(3)グラフ・閉路の特性を活かすため再編成した閉路を構成する全画像撮影点列について、画像メタデータ較正処理を行う処理ループである。処理ブロック283から処理ブロック287までは選択された閉路についての該データフュージョンをおこなう。処理ブロック283ではRTK実測値を道路地図またはオルソ高分解能画像上に緯度経度位置で表示する。図38は画像撮影点において画像データベース150に格納する画像を取得する装置の例であり、RTK/DGPS測位装置492が緯度経度を計測し、ディジタルカメラ制御装置493がディジタルカメラ集合体200を構成する各ディジタルカメラa〜p 201a〜pに同時に一定距離移動するごとに画像撮影指令を出す。RTK/DGPS測位装置492による測位とディジタルカメラa〜p 201a〜pによる撮影は画像撮影点ごとに同一位置でおこないディジタルカメラ制御装置493に記憶する。RTK/DGPS測位装置492による測位は画像撮影点に対して飛び飛びに行ってもよい。
【0028】
処理ブロック284は指定された閉路に対してRTK/DGPS相違装置492による測位結果が正しいか否かを判定する。不正値は高層ビルによる反射、受信可能な衛星数が過少であることから発生し、図3に見られるように大きく乱れる特色がある。下記基準により不正値と判断する。
(1)閉路が取り囲む市街ブロックからから期待値以上に離れている
(2)前後の位置関係が乱れている(前後の画像撮影点との距離、方位が合理的でない)
(3)測定時に受信した衛星数が少ない
さらに、地図または衛星画像上に表示して必要に応じて目視で不適切な値を排除してもよい。処理ブロック284が終了した時点で市街ブロックを取り囲む閉路の画像撮影点列を構成する画像撮影点に対して部分的に正確な実測位置データが得られていることになる。
【0029】
処理ブロック285は処理ブロック284までの処理で選択された閉路について、実測値が散在する状態となっているので閉路に沿って画像メタデータ実測値対で囲まれる画像メタデータ実測値のない画像撮影点列の区間を閉路上を通路に沿って順次処理する処理ループである。処理ブロック286の内容をさらに詳細に図13で説明する。図14に示すように画像の画像撮影点列303のうち正確な実測値がある画像撮影点と正確な実測値のないものが混在しており、構造的には正確な実測値のある画像撮影点にはさまれて正確な実測値のない画像撮影点列が存在していると捉えることができるので、正確な実測値のある画像撮影点対より出発して次に正確な実測値のある画像撮影点対が存在するまで連鎖画像撮影点誤差較正処理を行い、閉路1 300を一周し終わるまで実施する。
【0030】
処理ブロック286では、連鎖画像撮影点誤差較正処理として部分的に正確に位置情報が得られている画像撮影点対を出発点として図7で示した隣接画像撮影点間の連鎖画像メタデータ計出法により隣接する画像撮影点の画像メタデータを計出していく。処理ブロック321から処理ブロック324までは、正確な実測値のある画像撮影点対より出発して次に正確な実測値のある画像撮影点対が存在するまで連鎖画像撮影点誤差較正処理を行うプロセスである。処理ブロック321は通路に沿って該区間の最初の画像撮影点から最後の画像撮影点まで画像撮影点を一個ずつ前進するための処理ループであり、図7で示すと、実測値の存在する画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341から出発して最終的に画像撮影点k Xk 249の3次元位置と撮影方向を計出するまでの繰り返し連鎖プロセスである。
【0031】
処理ブロック322のタイポイント設定と処理ブロック323のタイポイント自動測量
は図7で実測値の存在する画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341から撮影した画像の共通の撮影対象である画像撮影対象点1,1位置 Z1,1 250、画像撮影対象点1,2位置 Z1,2 251、画像撮影対象点1,3位置 Z1,3 252、画像撮影対象点1,4位置 Z1,4 253をタイポイントa〜dとして該3次元座標を計出する。処理ブロック324のメタデータ算出処理では、該タイポイントa〜dが画像撮影点3計出位置X*3 353でも撮影されていることを利用して、撮影された画像上の位置より該画像撮影点3計出位置X3 353を含む画像メタデータすなわち3次元位置と撮影方向と画像の光軸回りの回転角を計出する。
【0032】
処理ブロック323のタイポイント設定処理の内容を図18に説明する。処理ブロック360でタイポイント選定を自動処理するか手動処理するか選択する。自動処理が選択された場合は処理ブロック363で画像処理により自動的に行う。タイポイント自動選定はステレオ画像からDEM(Digital Elevation Map)を抽出する場合などに利用されるパターンマッチングを使用することが可能で、かかる技術は公然実施されている。手動処理が選定された場合には図5に例示するように画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341からの撮影対象が重複する画像をグラフィックユーザインターフェイスでモニタ上に表示入力する。画面左側に建物220を左側から撮影した視線方向1より見た画像324を表示し、画面右側に視線方向2より見た画像225を表示する。モニタ上の左右両側を対比して対応する点を選定する。これがタイポイントa〜d 230〜233であり、カーソルを移動させながらクリックして指定することができる。
【0033】
処理ブロック323のタイポイント自動測量処理でタイポイントで指定された各点の3次元座標を求める。この時点で判明しているのは図20において、画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341の画像の撮影位置、撮影方向等の画像メタデータとタイポイント3点以上の画像上での2次元座標である。画像上の2次元座標と、実世界の3次元座標の対応付け方を、以下図19、図21、および図22を使用して説明する。
【0034】
図19は撮影画像と実世界の対応関係を示す図であり、画像撮影位置X 240
X=(xx,y,)より画像ベクトルR375 XYZの各成分がr
でノルムが1の方向の画像範囲Λ 385を撮影する。撮影された画像は画像面Ω378上に2次元座標で投影される。画像面Ω378に画像ベクトルR375は直交する。画像距離ρ377は画像撮影位置X 240、と画像面Ω378との間の距離である。図21は画像面Ω378に関する変数定義と画像面Ω378上のタイポイントの2次元座標位置とタイポイントの実世界における3次元座標関係を示す。画像面Ω378はフレーム横幅H417とフレーム縦幅V418の寸法を有し、画像撮影位置X240より画像ベクトルR375の方向に、画像距離ρ377の距離の位置に画像中心点O376を中心に視線方向を示す画像ベクトルR375に直交して存在する。
【0035】
撮影カメラの焦点距離特性により、フレーム横幅H417に対するフレーム画角(横)ΨH415とフレーム縦幅V418に対するフレーム画角(縦)Ψ416が決まる。画像面Ω378は横軸である画像V軸420と縦軸である画像W軸421により2次元座標が定義される。画像撮影位置X240と画像面タイポイントa Y390とタイポイントa実座標Za410は一直線上に存在する。この関係は、その他の画像面タイポイントb Yb391とタイポイントb実座標Zb411の間、画像面タイポイントc Yc392とタイポイントc実座標Zc412の間にも成立する。画像面Ω378は一般に横軸である画像V軸420が水平線419に対して傾いており、これをフレーム回転角φ379と表わす。
【0036】
画像面Ω378上のタイポイントは画像V軸420と画像W軸421による、すなわちVW軸による2次元座標と実世界におけるXYZ軸による3次元座標が存在する。図22はこの2つの座標体系間の関連と相互変換を説明するものである。画像面Ω378上のVW軸2次元座標点をIi=(IiV,IiW)とし、同一点のXYZ軸3次元座標を
i=(yix,yiy,yiz)とする。ここでi=a,b,c,d,…であり、タイポイントの識別子を表す。図22(a)は画像面Ω378が原点上でXY軸面に一致している場合であり、Yi=(IiV,Iiw.0)関係がある。画像撮影位置X240はZ軸上に存在し座標は、(0, 0,-ρ)である。画像ベクトルR375はZ軸と一致する。図22(a)をZ軸の周りにφ回転させたのが図22(b)であり、変換はΦZで与えられ、図22(b)をX軸の周りにθ回転させたのが図22(c)であり、変換はΦXで与えられ、、図22(c)をY軸の周りにδ回転させたのが図22(d)であり、変換はΦYで与えられる。
【数1】

【0037】
Z軸から開始して、Z軸、X軸、Y軸の周りにそれぞれφ θ δ回転させることにより任意の画像ベクトルR375と、画像面Ω378を得ることができるので、次の変換Φとその逆変換Φ-1は、それぞれVW軸による2次元座標を実世界におけるXYZ軸による3次元座標へ写像する変換と、その逆変換である。
【数2】

【数3】

【0038】
したがって、画像ベクトルR375は回転φ θ δを用いて、下記のように表現できる。ここでcosθの負値は棄却してある。
【数4】

【0039】
これにより、画像面タイポイントi実写値Yi430を画像面Ω378上の2次元座標と実世界の3次元座標に相互に変換する式は数5により与えられる。
【数5】

【0040】
数5の第一式により、画像上のタイポイント2次元座標は、画像のメタデータが判明すれば実世界の3次元座標に変換できるので、以下、処理ブロック323の処理内容を図20を用いて説明する。
画像撮影点1実測位置X1340および画像撮影点2実測位置X2341の画像は画像メタデータの判明している画像であり、画像撮影点3計出位置X3353の画像はメタデータが判明していない。
【0041】
いま、画像撮影位置1X1371および画像撮影位置2X2372の座標を数6で表し、
【数6】


画像面1のタイポイントiの3次元座標を
【数7】


画像面2のタイポイントiの3次元座標を
【数8】

とする。また、タイポイントiの対象物の実世界における3次元座標を
【数9】

とする。ここで、添え字iはタイポイントa〜dを一般的に表しており、i=a,b,c,d,…である。
【数10】


【数11】


数10と数11からZiを消去して、
【数12】

【0042】
1/K1iおよび1/K2iについて解いて
【数13】


【数14】


数13と数14より数15と数16を得る。すなわち、処理ブロック323で求めるべきタイポイントの実世界での3次元座標値である。
【数15】


【数16】

【0043】
次に処理ブロック324の画像メタデータ算出処理に移行する。処理ブロック324の画像メタデータ算出処理を説明するにあたって、計算の原理を図20と図23を用いて、以下説明する。図20において、画像撮影点3計出位置X3353の画像は、画像撮影点3計出位置X3353、画像撮影方向(画像ベクトルR375とフレーム回転角φ、またはXYZ各軸周りの回転角(φ θ δ)より構成されるメタデータが判明していない。焦点距離(フレーム画角(縦)Ψ416、フレーム画角(横)Ψ415)はすべての画像に対して同一に設定しているので既知である。図6による視線方向3より見た画像226と視線方向2より見た画像225で、タイポイントa 230、タイポイントb 231、タイポイントc 232、タイポイントd 233、i=a,b,c,d,…のタイポイントについては、全ての点について、画像上の2次元座標と、実世界における対応点の3次元座標が判明している。このような条件のもとで該メタデータを算出するのが処理ブロック324の内容である。該画像メタデータについては解析的に解けないことが分かっているので、初期条件を与えた上で収束計算により、数値計算で解く。
【0044】
図23(a)はメタデータが解けた状態を示す。画像撮影点3計出位置X*3353と画像面タイポイントi実写値Yi430とタイポイントi実座標Zi432は同一直線上に存在する。しかし、メタデータが正しく求められていない状態では、図23(b)のようにタイポイントi実座標Zi432と画像撮影点3計出位置X3353を結んだ直線と画像面Ω378の交点である画像面タイポイントi計算値Y*i431は画像面タイポイントi実写値Yi430と一致しない。Y*iとYiをi=a,b,c,d,…に対して一致させるプロセスでメタデータを収束計算により求める。X*3353は数17で定義される。以下、処理ブロック324の内容を図24に詳述しているので、図24に沿って説明する。
【数17】

【0045】
処理ブロック440では、画像メタデータに対して収束計算の初期値を設定する。
画像撮影点3計出位置X*3 353、画像撮影方向(画像ベクトルR275)は収束計算の初期値を隣接するメタデータの判明している画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341の中間として平均値で数18により求める。
【数18】

【0046】
撮影方向を示す画像ベクトルRは数4によりX軸、Y軸周りの回転、θおよびδに変換できる。また、フレーム回転角φは水平として0、焦点距離に関係する画像距離ρ377については画像撮影点1実測位置X1340と画像撮影点2実測位置X2341の画像を含めすべての画像について同一で既知ある。収束計算刻み係数εは処理ブロック447〜452で自動調整機能があるので、たとえば0.01などとしてよい。画像メタデータを一般的にPj、ただしj=1,6と記述する。Pjはxux、xuy、xuz、θ、δ、φより構成される。
【0047】
図23(a)よりX*3、Yi、Ziが同一直線上にあること、(ベクトル)Rと(平面)Ωが直交することから数19が成り立つ。ここでkは定数である。
【数19】


ここでk,Oを消去すると、
【数20】


となり、
【数21】


の関係が有ることから、画像面タイポイント計算値C431が数22で求まる。
【数22】

【0048】
数22で求まった画像面Ω上のタイポイントiの位置はタイポイントiの実世界での3次元座標から逆算したものであり、メタデータPjが実際と異なるため画像面タイポイントi実写値Yi430と一致しない。処理ブロック441では、実写値の2次元座標位置を
Vi、Iwiをとすると、数23の評価関数
【数23】


により全てのタイポイントに対して画像面Ω上での誤差の2乗の和を求める。求めるべきメタデータ未知数が6つあるので、独立な方程式が6以上必要であり、タイポイントは3以上必要となる。ただし、最小二乗法による数値計算を用いているのでタイポイントは3より多くてもかまわない。
【0049】
処理ブロック442ではメタデータPjの変化に対する評価関数変化の感度を求める。数23をメタデータPjで偏微分した以下の数25から数29の式の計算を行う。

【数24】

【0050】
【数25】



【0051】
【数26】

【0052】
【数27】



【0053】
【数28】



【0054】
【数29】

【0055】
処理ブロック443、446〜454は収束計算の制御に関するロジックであり、処理ブロック442で求めた感度により処理ブロック444でメタデータを修正して処理ブロック445で数23による評価関数Jの計算を行う。処理ブロック444の修正刻み幅εは評価関数Jの値が減少する限り2倍ずつ増加される。また、評価関数Jが減少しない場合は減少するまで1/2され、自動調整される。処理部ブロック454では評価関数が十分0に近づいたか判定し、0に近い、すなわち、メタデータが実際に撮影したカメラの値に一致したとき計算を終了する。処理ブロック322から処理ブロック324までの処理を処理ブロック321の制御のもとで繰り返し、連鎖メタデータ計出を行うのである。以上で図13の処理ブロック324の処理は完了し、隣接画像のメタデータが計出された。
【0056】
処理ブロック325から処理ブロック328の処理は処理ブロック321から処理ブロック324までと同一のアルゴリズムであるが、画像撮影点列における連鎖メタデータ計出における連鎖進行の向きが逆となっている。この関係を図16を用いて説明する。図16(a)は処理ブロック321から処理ブロック324の処理方向であり、図16(b)は処理ブロック325から処理ブロック328の処理方向である。いずれも対を成す画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測実測X2 341、対を成す画像撮位置k−1実測位置Xk-1345と画像撮影点k実測位置Xk 346について実測値が存在し、該2対の画像撮影位置にはさまれる画像撮影点列に対しては撮影位置等メタデータの実測値がない。図16(a)は対を成す画像撮影点1実測X1 344と画像撮影点2実測位置X2 341より出発して点線矢印の向きに左側に計出を進める。すでに対を成す画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点2実測位置X2 341から画像撮影点3計出位置X*3 353を計出するアルゴリズムを述べたが、このプロセスを繰り返し、画像撮影点2実測位置X2 341と画像撮影点3計出位置X*3 353から画像撮影点4計出位置X4 354を求める。以下このプロセスを繰り返し適用して画像撮影点k計出位置 X*k 357まで求める。
【0057】
図16(b)は対を成す画像撮影点k実測位置Xk 346と画像撮影点k−1実測位置 Xk-1 345より出発して点線矢印の向きに右側に計出を進める。図16(a)と同様に対を成す画像撮影点k実測位置Xk 346と画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345から画像撮影点k−2計出位置X*k-2 355を計出し、以下このプロセスを繰り返し適用して画像撮影点1計出位置X*1 351まで求めることが出来る。
【0058】
図16(a)の計出では、画像撮影点k実測位置Xk 346と画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345と画像撮影点k計出位置X*k 357と画像撮影点k−1計出位置X*k-1 356の間の誤差が明確に計算できる。画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345と画像撮影点k−1計出位置X*k-1 356における誤差を画像撮影点k−1位置誤差εk-1 337という。図15はこの間の事情を図示するものである。実際の位置と計出された位置の間の誤差は画像撮影点3計出位置X*3 353から発生し、画像撮影点3実測位置X3 342との相違となるが、画像撮影点3実測位置X3 342については知ることが出来ない。以降、実際の画像撮影点列303の位置に対して計出画像撮影点列370の位置が計算で求められてその差異が誤差となり、実際の画像撮影対象点列304に対して計出画像撮影対象点列371の位置が計算で求められてその差異が誤差となる。
【0059】
図16(b)の計出では、画像撮影点1実測位置X1 340と画像撮影点1計出位置
*1 351、画像撮影点2実測位置X2 341と画像撮影点2計出位置X*2 352の間の誤差が明確に計算できる。画像撮影点2実測位置X2 341と画像撮影点2計出位置X*2 352との誤差を画像撮影点2位置誤差ε2 336という。図17はこの間の事情を図示するものである。実際の位置と計出された位置の間の誤差は画像撮影点k−2計出位置X*k-2 355から発生し、画像撮影点k−2実測位置Xk-2 349の相違となるが、画像撮影点k−2実測位置Xk-2 344については知ることが出来ない。以降、実際の画像撮影点列303の位置に対して計出画像撮影点列358の位置が計算で求められてその差異が誤差となり、実際の画像撮影対象点列304に対して計出画像撮影対象点列371の位置が計算で求められてその差異が誤差となる。
【0060】
以下、処理ブロック329の実測メタデータ誤差配分処理について説明する。より詳細な内容を図25の処理フローに記載する。処理ブロック510では前進連鎖画像メタデータ計出の誤差補正処理を行う。すなわち、処理ブロック321から処理ブロック324により前進連鎖計出計算により求まった画像撮影点k−1計出位置X*k-1 356 を含む計出画像撮影点列 370、 計出画像撮影対象点列 371および、画像撮影点k−1位置誤差εk-1 337と、画像撮影点k−1実測位置Xk-1345を用いて最も誤差の少ない計出画像撮影点列と計出画像撮影対象点列を求めることである。処理ブロック510の内容を図26の処理フローでさらに詳細に記す。
【0061】
処理ブロック520は計出最終画像撮影点位置偏角計算を行う。計出最終画像撮影点位置偏角とは図27で画像撮影点として実測値のある最後の点である画像撮影点実測位置2
2 341より画像撮影点k−1計出位置X*k-1 356と画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345を見込む角度であり、計出最終画像撮影点位置偏角Δk-1 531と定義する。ここで、変数の右肩の*は計出値を示し、*のないものは実測値または真値をしめす。
【数30】



【0062】
処理ブロック521では数30で求めた偏角Δk-1 を各画像撮影点に均等に配分する。これは図27において偏角Δk-1の発生する箇所が特定できず結果として画像撮影点k−1計出位置X*k-1 356と画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345の位置で偏角Δk-1の偏差が発生しているためである。誤差の補正は角度方向と、径方向に分離して行う。角度方向の誤差は各画像撮影点において次の画像撮影点に進むときの方位誤差の積算として生じる。ただし、画像撮影点k−1における位置誤差εk-1 337へ与える影響は画像撮影点k−1実測位置Xk-1 345から離れた画像撮影点ほど大きい。X2 からXk-2 の各点で発生する方位誤差を均等にδ とすると近似的に(数32)が成り立つ。下記δが処理ブロック521で求める数値である。
【数31】

【0063】
処理ブロック522では、(数32)で求めた角度誤差δ を用いて各画像撮影点位置を再計算する。角度誤差δによる水平面(XY平面)での回転変換をΦとすれば、
【数32】


i=k-1 まで

となる。ここで、変数右上肩の*は演算による計出値を示し、*+1は演算による計出値の更新値を表す。
【0064】
次に、画像撮影点計出位置の更新に伴い、画像撮影対象計出位置についても更新する。図27において、画像撮影点i−1計出位置X*i-1 358、画像撮影点i計出位置X*i 359で撮影した画像を用いて3次元座標を計出した画像撮影対象i-1,m計出位置Z*i-1,m 274に対して相互の幾何的位置が同一となるように下記で補正を行う。ここで添え字m(m=1,j)は複数の画像撮影対象計出位置を表記するためのものである。
【数33】


数32は近似的にしか成り立たないので、処理ブロック521と処理ブロック522で求めた補正値は残差が残り、計出最終画像撮影点位置偏角Δk-1531は一度の計算で0になる保証はない。そのため、処理ブロック523で計出最終画像撮影点位置偏角Δk-1531に残差が残っている場合には再計算を行い、目標値以下となるまで計算を繰り返す。目標値の目安は位置誤差を10cm以下としているので、画像撮影点k計出位置距離L*k535が100mとすると0.06度が目安となる。
【0065】
次に、処理ブロック524から処理ブロック526では、画像撮影点k−1位置誤差εk-1 337の径方向誤差成分を補正する。最終画像撮影点位置倍率係数Mk-1540および画像撮影点i計出位置X*i 359、画像撮影対象点i-1,m計出位置Z*i-1,m 274は数34で得られる。なお、数33と数34による画像撮影対象点i-1,m計出位置Z*i-1,m 274を全てのiとmに対してプロットすることにより通路(道路)地図を作成することが出来る。
【数34】

【0066】
以上、処理ブロック510の説明を行ったが、次に処理ブロック511の説明を行う。処理ブロック511のアルゴリズムは処理ブロック510と同様に図26で記述できる。処理ブロック510と連鎖計出の進行方向が逆である以外の相違はなく図27の替わりに図28を用いて説明することが出来る。対応を述べると下記となる。
処理ブロック510 処理ブロック511
対応図 図27 図28
計算開始実測画像撮影点対 Xi ,X2k,Xk-1
計出最終画像撮影点 Xk-12
計算順序 3,4,・・・k-2,k-1 k-2.・・・,4,3,2
数式の対応 数30 数35
数31 数36
数33 数38
数34 数39

【0067】
【数35】




【数36】



【数37】


i=2まで

【数38】




【数39】



【0068】
図25の処理ブロック512では、処理ブロック510で求めた結果と処理ブロック511で求めた結果の平均値を数40で求める。処理ブロック510の前進連鎖計出の画像撮影点列をX*fi 、画像撮影対象位置をZ*fi-1,m、処理ブロック511の後進連鎖計出の画像撮影点列をX*bi 、画像撮影対象位置をZ*bi-1,mとする。ここで、右上肩の添え字f,bは前進と後進を表し、*は最終計算結果による補正値である。また、両端の画像撮影点列X1、X2、Xk-1、Xkには実測値が存在するので、計出による値はi=3,k-1の範囲である。m=1,nであり、nは写真測量用のタイポイント数で3以上である。
【数40】


ここで、i=3,k-1、m=1,n である。

数40の結果を図示したのが図29である。ここまでの説明で、図9の処理ブロック286の画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理までの説明を完了する。これまでに閉路を周回する画像撮影点のうち位置実測値として採用可能なもののみ選択して信頼すべき位置実測値の存在しない画像撮影点列については連鎖メタデータ計出の手法による計出を行った。この結果、図10で閉路1 300が周回する市街ブロック1 288を周回する形で閉路1 300に沿って画像撮影点列の3次元座標を得ることが出来た。
【0069】
以下、図9に戻り処理ブロック287の説明を行う。処理ブロック286までで得た画像撮影点列は実測位置が得られない区間距離が長いと精度劣化が起こる。この誤差を補正するために、先に挙げた該データフュージョン源のうち、地図・オルソ衛星画像およびグラフ・閉路を含む通路の構造的特性を統合して精度の向上を図る。図11および図12を用いて方法を説明する。利用する特性は、画像撮影対象が高層ビルを含む市街地であり、通路境界が建造物となているか、あるいは大きな建造物ではその境界が明確で衛星画像で視認可能であることである。図11を例にすると、画像撮影対象点列304は通路境界線212上に重なる場合が多く、画像撮影対象点列304を通路境界線212に一致化させる。このような状況は衛星画像の場合、50cmまで分解能が期待でき、航空写真の場合は25cm程度まで分解能が期待できるのでかなり改善できる。一般には衛星画像の方が画像のひずみが少なくオルソ性が高いので使用しやすい。
【0070】
ここで注意すべきは、地図・オルソ衛星画像を使用する場合、画像撮影点と画像撮影対象点位置を直接確定することは出来ないことである。なぜなら、地図・オルソ衛星画像には画像撮影点の位置および画像撮影対象点位置に関する情報は直接には含まれていないからである。利用できるのは、画像撮影対象点列を通路境界線上に選定した場合これを通路境界線上に一致化させることができるだけである。すなわち、画像撮影対象点の位置に関して通路に垂直方向の位置情報が50cmから25cmの精度で得られるが通路に平行な方向の位置情報は得られない。画像撮影点位置は画像撮影点位置より間接的に得られるので、同様に通路に垂直方向の位置情報が50cmから25cmの精度で得られるが通路に平行な方向の位置情報は得られない。この欠点を解決するために、通路の変曲点の前後を含む通路の変曲区間(図12の端点1 305、端点2 307、端点3 309が該当する。)を通路境界線で一致化させれば、通路進行方向に垂直な位置のみを一致化しても全方向に対する25〜50cm以上の位置精度が確保できる。変曲は90度が最もよい精度が得られるが、通路の変曲は90度近辺であることが極めて多い。
【0071】
処理ブロック287の詳細内容を図30の処理フローで説明する。処理ブロック550は閉路に沿ってすべての画像撮影点について順次処理する、すなわち閉路1 300に沿って画像撮影点列を一周することである。処理ブロック551では閉路に沿って変曲区間を抽出し、画像撮影点列を画像撮影点ごとに「変曲区間」と「非変曲区間」に区分して属性を付与する。これは図12の例で言うと端点1 305、端点2 307、端点3 309のようなグラフでいう端点を見つけることである。実際の閉路の端点は図12の端点拡大図305に例示するようにある曲率をもって曲がっている。閉路に沿って画像撮影点列/撮影対象点列 データテーブル591を図38(b)のように記述しておけば
(Xj+1-j)・(Xj−Xj-1)で隣接するベクトルのなす角度を追跡することにより処理ブロック551の変曲区間は検出できる。変曲部の前後に2〜3の画像撮影点を付加して、端点1拡大図305に示す部分を変曲区間として区分する。なお、変曲区間以外は非変曲区間と定義し、画像撮影点の属性として付与する。処理ブロック552では、閉路に沿って画像撮影点列を画像撮影点ごとに「実測位置」と「計出位置」に区分して属性を付与する。実測位置とはGPSなどで高精度実測位置が存在する画像撮影点をいう。
【0072】
処理ブロック553は地図・オルソ衛星画像を用いた通路変曲部の位置修正処理であり、図31にさらに詳細に説明する。処理ブロック560は閉路に含まれる全ての変曲区間について順次処理するためのループである。該変曲部は両端に少なくとも2〜3点の画像撮影点の区間の直線部を有するように設定されており、処理ブロック561では該直線部分に対して対応する画像撮影対象点が地図?オルソ衛星画像による通路境界線212上に乗るように補正処理をおこなう。図33は該補正処理の説明のための記号を図示したものである。通路境界線212は変曲区間において画像撮影対象点列304と本来一致すべきであるが位置誤差のためずれが生じている。通路境界線212は図39の通路境界線ベクトルデータテーブル590に示されるように、位置座標を結ぶベクトルとして定義されている。
【0073】
図33において通路変曲部の両側の直線部にある画像撮影対象点を画像撮影対象点iZi 596、 画像撮影対象点jZj 597とし、通路境界線212に対する垂線の足をそれぞれ、 画像撮影対象点iZi垂線の足Yi 598、画像撮影対象点jZj垂線の足Yj 599 とする。また、Yi、Yjを含む通路境界線212の区間は、通路境界線構成点m O592、通路境界線構成点m+1 Om+1593、通路境界線構成点nO594、通路境界線構成点n+1
n+1595に対して、それぞれ[O,Om+1],[O,On+1]とする。このとき、数41が成り立つ。
【数41】


実際には、画像撮影対象点Zi、Zjが与えられると、数41の0≦a≦1, 0≦b≦1,が成り立つ区間、[O,Om+1],[O,On+1]を通路境界線ベクトルデータテ−ブル 590から検索するのである。
【0074】
通路変曲部の両側の直線部での通路垂直方向修正ベクトル値は、数42に記すように数41より、それぞれYi−Zi、Yj−Zjであたえられる。
【数42】

【0075】
処理ブロック562において、変曲区間両端の直線部分の通路垂直方向修正ベクトル値を合成して変曲点部画像撮影点と画像撮影対象点の位置修正ベクトルを計算するが、これはベクトルとしてYi−Zi、Yj−Zjを合成すればよく、(数43)におけるDで与えられる。該変曲部の全ての画像撮影対象点、画像撮影点に対する地図・オルソ衛星画像による位置修正値はDとなる。
【0076】
処理ブロック563から処理ブロック566までの処理は、該変曲区間に含まれる画像撮影点のなかに、RTK/DGPSによるDPS精密位置測定に成功した画像撮影点実測値が含まれている場合のデータフュージョンを行うものである。該画像撮影点実測値が含まれていない場合は、変曲部内の全ての画像撮影点と画像撮影対象点に対して処理ブロック562の位置修正ベクトルで位置補正値を修正する。RTK/DGPSによるDPS精密位置測定は10cm程度の位置精度があり、地図・オルソ衛星画像による位置精度は処理ブロック562の方法によっても25〜50cm程度である。処理ブロック564は地図・オルソ衛星画像による位置修正値が計測誤差内かを判定する。判定基準はRTK/DGPSによる最大誤差15cm+地図・オルソ衛星画像による最大誤差50cmで65cmであるので、Dのノルムが65cm以下であれば計測誤差内と判定する。変曲区内に実測値がある場合には既に画像メタデータ連鎖計出法により周囲の誤差がRTK/DGPSによるDPS精密位置測定解消されているので、この場合は何も補正を行わない。Dのノルムが計測誤差(65cm)を超える場合は、データフュージョンする位置情報に矛盾があることを意味し、そのまま処理を帰属することは好ましくない。処理ブロック565へと進み警報表示を行って手動による入力データの適切・不適切を再度チェックする。
【0077】
次に図30の処理ブロック554に進み、通路非変曲部処理を行う。これは図12でいうと変曲区間である、端点1 305、端点2 307、端点3 309にはさまれるアーク1 314およびアーク2 315の非変曲部が該当する。より詳細な処理内容を図32に示す。処理ブロック553により通路変曲部の位置精度は向上しているので、処理ブロック580は変曲部の両端に存在する直線部の画像撮影点を実測値として扱い、変曲部または非変曲部間の実測点対に囲まれる全ての画像撮影点列区間について順次処理する。すなわち実測値の精度がない画像撮影点列の区間について順次処理する。この部分の処理は新たに更新された高精度の画像撮影点に基づいて図9の処理ブロック286の連鎖画像撮影点誤差較正処理を繰り返す。
【0078】
次に処理ブロック584で通路進行方向に垂直方向の誤差を修正する。この処理は
図33における通路変曲部の両側にある直線部の一方の処理と同様である。画像撮影対象点をZiとし、通路境界線212に対する垂線の足をYiとし、Yiを含む通路境界線212の区間を[O,Om+1]とする。このとき、数43が成り立つ。
【数43】


実際には、画像撮影対象点Ziが与えられると、数43の0≦a≦1が成り立つ区間、
[O,Om+1]を通路境界線ベクトルデータテ−ブル 590から検索するのである。通路垂直方向修正ベクトル値は、数44でYi−Ziであたえられる。
【数44】


該通路非変曲部の各画像撮影対象点Ziに対する地図・オルソ衛星画像による位置修正値はDiとなり、Ziの修正値に基づき画像撮影点Xiを再計算して求める。
【0079】
以上で図8の処理ブロック275の説明が終了し、以下、図8の処理ブロック276のDEMデータ統合処理についてその詳細を図34により説明する。処理ブロック470は処理対象通路を閉路の集合に再編してあるので、再編した画像撮影対象の全閉路について順次処理するためのループである。処理ブロック471は選択されて指定された閉路について全画像撮影点を順次処理するためのループである。図8の処理ブロック275までの処理では画像撮影点位置、画像撮影対象点位置のうち鉛直方向情報は処理の起点となる画像撮影点位置に対する相対値でしか表現されていないため、これを標高値に置き換えるのが、処理ブロック472の処理である。DEMデータベースの形式は業界公知の情報として公開されており、また、処理ブロック275までの処理で画像撮影点位置、画像撮影対象点位置の水平面座標はは緯度経度で与えられているから公知の方法で標高値を求めることが出来るので該標高値で該鉛直方向情報を置換する。これにより異なる閉路に対して共通の鉛直方向座標を得ることが出来る。図35は閉路1 300の存在する緯度経度に対応してDEM480が格子点の標高値点481で与えられている例を図示しており、標高値は近傍の格子点の標高値を補間することにより得られる。なお、地下街、ビル内のフロアについては該標高データに対してフロアプランより得られた高度情報を加えて鉛直方向座標データとする。
【0080】
処理ブロック473では、隣接画像撮影点の傾斜が置換前の高さ情報を用いた傾斜値と一定微小値以上の差があるか判定をする。本システムを適用する都市は大部分が平地にあるので傾斜は2度以下であるが、ここでは判定の閾値を2度とすることにより、傾斜地による誤差発生を防止するために処理ブロック474から処理ブロック476の再計算処理を行う。処理ブロック475では地図・オルソ高分解能画像を利用して画像撮影点列の通路進行方向の直角方向の補正を行う。内容は処理ブロック584と同一である。ここまでの説明で図8の処理ブロック275の説明を終了する。
【0081】
次に図8の処理ブロック277の説明を行う。詳細な内容は図36の処理フローで説明する。処理ブロック485は再編した画像撮影対象の全閉路についてい順次処理する。処理ブロック486は指定の閉路について全画像撮影点を順次処理するループである。画像撮影カメラはディジタルカメラ集合体200の形に実装され、図2(b)または図38の形態で運用される。処理ブロック487は図37のディジタルカメラ集合体200の幾何学的構造に基づいて計算される。以上述べてきた画像撮影点列におけるカメラは通路境界線に面し(進行方向より90度の方向)水平方向を向いていることを前提としているので図37でディジタルカメラ集合体がCの方向(図面下方)に進行するとすればディジタルカメラa201aがこれまでの処理の前提としたカメラである。他のディジタルカメラb〜p 201a〜pの位置と撮影方向をディジタルカメラa 201aの位置と撮影方向から求めるのが処理ブロック487の内容である。
【0082】
図37のディジタルカメラ集合体200においてディジタルカメラ集合体中心A204から見てディジタルカメラa 201aの方向をz軸、鉛直上方をx軸、ディジタルカメラg 201gの方向をy軸とした場合、各カメラの方向はノルムを1として数45で表現できる。ここで、Rの添え字のa〜pが各カメラに対応し、0はディジタルカメラ集合体200の基準位置、姿勢に対するべくとるであることを示す。また、簡単のためa〜pのカメラ識別子をwで表し(w=a,b,・・・,P)、ディジタルカメラwの基準方向をRw0
と表す。
【数45】



【0083】
図22のxyz軸の定義と各軸回りの回転φ θ δの定義を用いてディジタルカメラ200aの方向をRaを表現すると数4と同様に
【数46】



さらに数2を適用して、各ディジタルカメラの撮影方向は(数48)で表現される。
【数47】

【0084】
各ディジタルカメラの光軸回りの回転角は、回転角を求めようとする水平方向のディジタルカメラw (w=a,b,…,h)に対して、図37で上方よりディジタルカメラ集合体 200を見て、時計回りに90度回転した位置にあるカメラをw+π/2と添え字表現すると(例:カメラaに対してカメラg)時計回りの回転角φwは(数49)で求められる。
【数48】


【数49】



以上の数値を図40の原画像データベース 500において撮影パラメタのカメラ位置(緯度,経度,高度)、正規化視線ベクトル(X Y Z)、カメラ回転角として、カメラごと撮影画像ごとに格納すればよい。なお、カメラパラメタはカメラを決めた時点で決定される固定値であり、ヘッダーは画像撮影時点に関する情報で別途定まる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の市街景観画像情報較正システムは都市景観に関するWeb情報サービスにおいて、3次元動画生成システム用画像デタベース構築システムとして産業上利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の市街景観画像情報較正システムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す画像データベースシステムを構成する画像を撮影するための運用方法の概念を示す図である。
【図3】GPSを用いた高精度測位の高層ビル地域での実測値例を示す図である。
【図4】図1に示す画像データベースシステムを構成する画像の構成を概略的に示す図である。
【図5】図1に示す画像データベースシステムを構成する画像のタイポイント例を示す図である。
【図6】図1に示す画像データベースシステムを構成する画像のタイポイント例を示す図である。
【図7】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理を示す図である。
【図8】本発明の市街景観画像情報較正システムの全体の処理フローを示す図である。
【図9】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理の処理フローを示す図である。
【図10】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において画像撮影点列を閉路として構成し直す方法例を示す図である。
【図11】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理においてオルソ画像または地図を用いて画像撮影対象点を通路境界線に拘束する方法を示す図である。
【図12】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において画像撮影点列を閉路として構成しさらにオルソ画像または地図を用いて画像撮影対象点を通路境界線に拘束し、閉路の端点近傍の画像撮影対象点を端点に拘束する方法を示す図である。
【図13】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖画像撮影点誤差較正処理の処理フローを示す図である。
【図14】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において最初と最後の画像撮影点の実測位置のほかに途中の画像撮影点の実測位置を与えて欠く画像撮影点の位置を連鎖計出する方法を示す図である。
【図15】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において最初の画像撮影点の実測位置から出発して連鎖計出する場合の最終画像撮影点に向かっての誤差蓄積を示す図である。
【図16】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において最初の画像撮影点の実測位置から出発して前進連鎖計出により画像撮影点位置を求める方法と、最後の画像撮影点の実測位置から出発して後進連鎖計出により画像撮影点位置を求める方法の関係を示す図である。
【図17】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において最後の画像撮影点の実測位置から出発して後進連鎖計出する場合の最初の画像撮影点に向かっての誤差蓄積を示す図である。
【図18】本発明の市街景観画像情報較正システムのタイポイント設定処理の処理フローを示す図である。
【図19】本発明の市街景観画像情報較正システムのタイポイント自動測量システムの変数を図示した図である。
【図20】本発明の市街景観画像情報較正システムのタイポイント自動測量システムの処理を図示した図である。
【図21】本発明の市街景観画像情報較正システムで使用する画像とタイポイント自動測量システムおよびメタデータ算出システムで使用される変数の関係を示す図である。
【図22】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像上で使用する2次元座標系と実世界の3次元座標系の変換を図示する図である。
【図23】本発明の市街景観画像情報較正システムのメタデータ算出システムで収束計算のアルゴリズムと評価基準を示す図である。
【図24】本発明の市街景観画像情報較正システムのメタデータ算出処理の処理フローを示す図である。
【図25】本発明の市街景観画像情報較正システムの実測メタデータ誤差配分処理の処理フローを示す図である。
【図26】本発明の市街景観画像情報較正システムの実測メタデータ誤差配分処理のうち前進連鎖計出または後進連鎖計出について誤差配分の処理フローを示す図である。
【図27】本発明の市街景観画像情報較正システムの実測メタデータ誤差配分処理の前進連鎖計出の誤差配分を方式を示す図である。
【図28】本発明の市街景観画像情報較正システムの実測メタデータ誤差配分処理の後進連鎖計出の誤差配分を方式を示す図である。
【図29】本発明の市街景観画像情報較正システムの連鎖的に画像撮影点の位置を計出する処理において最初の画像撮影点の実測位置から出発して連鎖計出する場合と最後の画像撮影点の実測位置から出発して連鎖計出する場合の誤差蓄積を統合して誤差を構成する方法を示す図である。
【図30】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理のうち地図・オルソ画像拘束処理の処理フローを示す図である。
【図31】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理のうち地図・オルソ画像拘束処理の通路変曲部処理フローを示す図である
【図32】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理のうち地図・オルソ画像拘束処理の通路非変曲部処理フローを示す図である
【図33】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像撮影点メタデータ実測値取得・較正処理のうち地図・オルソ画像拘束処理の通路変曲部の変数の名称を示す図である。
【図34】本発明の市街景観画像情報較正システムのDEMデータ統合処理の処理フローを示す図である。
【図35】本発明の市街景観画像情報較正システムにおいてDEM情報を統合する概念を示す図である。
【図36】本発明の市街景観画像情報較正システムのマルチカメラデータ誤差較正処理の処理フローを示す図である。
【図37】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像データ取得のためのディジタルカメラ集合体の構成例を示す図である。
【図38】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像データ取得のための移動式画像取得装置の構成例を示す図である
【図39】本発明の市街景観画像情報較正システムの通路境界線ベクトルデータテ−ブルと画像撮影点列/画像撮影対象点列 データテーブルの構成を示す図である。
【図40】本発明の市街景観画像情報較正システムの画像データベースの較正例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100 画像校正スーパーバイザー
105 グラフィックユーザインターフェイス
110 画像撮影点メタデータ実測値取得較正システム
120 連鎖画像撮影点誤差較正システム
130 DEMデータ統合システム
140 マルチカメラデータ誤差較正システム
150 画像データベース
155 道路データベース
160 衛星画像データベース
165 DEMデータベース
170 オペレータ
200 ディジタルカメラ集合体
201a〜p ディジタルカメラa〜p
202 上向きディジタルカメラ仰角Θ
203 ディジタルカメラ設置距離 L
204 ディジタルカメラ集合体中心 A
205 車両
206 通路
210 移動経路
211 画像撮影方向
212 道路境界線
213 画像撮影点
214 高層ビル群
215 GPS実測値(正)
216 GPS実測値(誤)
220 建物
221 視線方向1
222 視線方向2
223 視線方向3
224 視線方向1より見た画像
225 視線方向2より見た画像
226 視線方向3より見た画像
230 タイポイントa
231 タイポイントb
232 タイポイントc
233 タイポイントd
240 画像撮影点位置
250 画像撮影対象点1,1位置Z1,1
251 画像撮影対象点1,2位置Z1,2
252 画像撮影対象点1,3位置Z1,3
253 画像撮影対象点1,4位置Z1,4
254 画像撮影対象点2,1位置Z2,1
255 画像撮影対象点2,2位置Z2,2
256 画像撮影対象点2,3位置Z2,3
257 画像撮影対象点2,4位置Z2,4
258 画像撮影対象点3,1位置Z3,1
259 画像撮影対象点3,2位置Z3,2
260 画像撮影対象点3,3位置Z3,3
261 画像撮影対象点3,4位置Z3,4
262 画像撮影対象点k-3,1位置Zk-3,1
263 画像撮影対象点k-3,2位置Zk-3,2
264 画像撮影対象点k-3,3位置Zk-3,3
265 画像撮影対象点k-3,4位置Zk-3,4
266 画像撮影対象点k-2,1位置Zk-2,1
267 画像撮影対象点k-2,2位置Zk-2,2
268 画像撮影対象点k-2,3位置Zk-2,3
269 画像撮影対象点k-2,4位置Zk-2,4
270 画像撮影対象点k-1,1位置Zk-1,1
271 画像撮影対象点k-1,2位置Zk-1,2
272 画像撮影対象点k-1,3位置Zk-1,3
273 画像撮影対象点k-1,4位置Zk-1,4
274 画像撮影対象点i-1,m計出位置Z*i-1,m
275〜277 処理ブロック
280〜287 処理ブロック
288 市街ブロック1
289 市街ブロック2
290 移動経路1
291 移動経路2
292 移動経路3
293 移動経路4
294 移動経路5
295 移動経路6
296 移動経路7
297 移動経路8
298 移動経路9
299 移動経路10
300 閉路1
301 閉路2
302 画像撮影点列/画像撮影対象点列連鎖
303 画像撮影点列
304 画像撮影対象点列
305 端点1
306 端点1拡大図
307 端点2
308 端点2拡大図
309 端点3
310 端点3拡大図
311 画像撮影点通路境界線間距離
312 閉路アーク間距離1
313 閉路アーク間距離2
314 アーク1
315 アーク2
320〜329 処理ブロック
330 計出画像撮影点列1
331 計出画像撮影点列2
332 計出画像撮影点列3
333 計出画像撮影対象点列1
334 計出画像撮影対象点列2
335 計出画像撮影対象点列3
336 画像撮影点2位置誤差ε2
337 画像撮影点k−1位置誤差εk-1
338 画像撮影点m−1位置誤差εm-1
339 画像撮影点nー1位置誤差εn-1
340 画像撮影点1実測位置X1
341 画像撮影点2実測位置X2
342 画像撮影点3実測位置X3
343 画像撮影点4実測位置X4
344 画像撮影点k-2実測位置Xk-2
345 画像撮影点k-1実測位置Xk-1
346 画像撮影点k実測位置X
347 画像撮影点m-1実測位置Xm-1
348 画像撮影点m実測位置Xm
349 画像撮影点n-1実測位置Xn-1
350 画像撮影点n実測位置Xn
351 画像撮影点1計出位置X*1
352 画像撮影点2計出位置X*2
353 画像撮影点3計出位置X*3
354 画像撮影点4計出位置X*4
355 画像撮影点k-2計出位置X*k-2
356 画像撮影点 k-1計出位置X*k-1
357 画像撮影点k計出位置X*
358 画像撮影点i−1計出位置X*i-1
359 画像撮影点i計出位置 X*i
360〜363 処理ブロック
370 計出画像撮影点列
371 計出画像撮影対象点列
375 画像ベクトル(正規化)
376 画像中心点
377 画像距離
378 画像面
379 フレーム回転角
380 画像中心点対象物座標
381 画像右下対象物座標
382 画像右上対象物座標
383 画像左上対象物座標
384 画像左下対象物座標
385 画像範囲
386 画像面1
387 画像面2
388 画像面3
390 画像面タイポイントa
391 画像面タイポイントb
392 画像面タイポイントc
393 画像面タイポイントd
394 画像面1タイポイントa
395 画像面1タイポイントb
396 画像面1タイポイントc
397 画像面1タイポイントd
398 画像面2タイポイントa
399 画像面2タイポイントb
400 画像面2タイポイントc
401 画像面2タイポイントd
402 画像面3タイポイントa
403 画像面3タイポイントb
404 画像面3タイポイントc
405 画像面3タイポイントd
410 タイポイントa実座標
411 タイポイントb実座標
412 タイポイントc実座標
413 タイポイントd実座標
415 フレーム画角(横)
416 フレーム画角(縦)
417 フレーム横幅
418 フレーム縦幅
419 水平線
420 画像V軸
421 画像W軸
422 画像右下端点
423 画像右上端点
424 画像左上端点
425 画像左下端点
426 Z軸廻りフレーム回転角
427 X軸廻りフレーム回転角
428 Y軸廻りフレーム回転角
430 画像面タイポイントi実写値
431 画像面タイポイントi計算値
432 タイポイントi実座標
440〜454 処理ブロック
470〜476 処理ブロック
480 DEM
481 標高値点
485〜487 処理ブロック
490 GPSアンテナ
491 水平維持装置
492 RTK/DGPS測位装置
493 ディジタルカメラ制御装置
494 モニタ
496 キーボード
496 カート
501 画像メタデータ部分
502 画像データ部分
510〜512 処理ブロック
520〜526 処理ブロック
530 計出最初画像撮影点位置偏角Δ
531 計出最終画像撮影点位置偏角Δk-1
532 画像撮影点2実測位置距離L2
533 画像撮影点2計出位置距離L*2
534 画像撮影点k−1実測位置距離Lk-1
535 画像撮影点k−1計出位置距離L*k-1
539 最初画像撮影点位置倍率係数M2
540 最終画像撮影点位置倍率係数Mk-1
550〜554 処理ブロック
560〜567 処理ブロック
580〜584 処理ブロック
590 通路境界線ベクトルデータテーブル
591 画像撮影点列/画像撮影対象点列 データテーブル
592 通路境界線構成点m Om
593 通路境界線構成点m+1 Om+1
594 通路境界線構成点n On
595 通路境界線構成点n+1 On+1
596 画像撮影対象点iZi
597 画像撮影対象点jZj
598 画像撮影対象点iZi垂線の足Y
590 画像撮影対象点j Zj垂線の足Y
600 通路1垂直方向修正ベクトルY−Zj
601 通路2垂直方向修正ベクトルY−Zj
601 修正ベクトルD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら該市街または商店街または売り場またはそのすべての画像を相互に部分的に重複させながら撮影するシステムにおいて、部分的にまたは全体的に重複する該市街または商店街または売り場またはそのすべての画像を撮影する少なくとも1対の異なる撮影点の位置と該撮影点における撮影方向の測定値をもとに、該異なる撮影点から撮影した該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の3次元座標位置を3点以上計出し、該共通撮影対象を撮影している隣接する他の撮影点の画像から該隣接撮影点座標と撮影方向を計出し、この手順を連鎖的に繰り返すことにより該市街または商店街または売り場またはそのすべてを移動しながら撮影したすべて画像について撮影点と撮影方向を計出することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項2】
請求項1の市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムにおいて、該繰り返し手順の最終の撮影点の位置と撮影方向を測定し、請求項1の該計出により求めた該最終撮影点の位置と撮影方向の誤差を解消すると同時に、最初の撮影点と最終の撮影点の間の撮影位置と撮影方向の誤差を推定し、解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該繰り返し手順の最終の撮影点と、該繰り返し手順の中間の単数または複数の撮影点との位置と撮影方向を測定し、請求項1の該計出により求めた測定点に対応する該撮影点の位置と撮影方向の誤差を解消すると同時に、最初の撮影点と最終の撮影点の間の測定点以外の撮影点の撮影位置と撮影方向の誤差を推定し、解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該異なる撮影点から撮影した該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の3次元座標位置が通路の境界線上に存在することを利用して、該通路の境界線の地図データまたは衛星または航空機より撮影したオルソ画像を用いて該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置を該通路境界線上に拘束することにより、最初の撮影点と最終の撮影点の間の測定点以外の撮影点の撮影位置と撮影方向の誤差を解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該異なる撮影点から撮影した該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の3次元座標位置が通路の境界線上に存在することおよび該通路の境界線が多重グラフ構造または閉路を構成していることを利用して、該通路の境界線の地図データまたは衛星または航空機より撮影したオルソ画像を用いて該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置を該通路境界線上に拘束することにより、最初の撮影点と最終の撮影点の間の測定点以外の撮影点の撮影位置と撮影方向の誤差を解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、部分的にまたは全体的に重複する該市街または商店街または売り場またはそのすべての画像を撮影する少なくとも1対の異なる撮影点の位置の測定値が該通路の部分によっては正確に得られない場合に、該撮影点列を該通路が閉路となるように構成し、該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置を該通路境界線上に高分解能オルソ衛星画像または航空画像または地図により拘束し、該閉路を構成する端点近傍の該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置および該撮影点を該端点の高分解能オルソ衛星画像または航空画像または地図により拘束することにより撮影点の撮影位置と撮影方向の誤差を解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該異なる撮影点から撮影した該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の3次元座標位置がDEM(Digital Elevation Model)上またはフロアプラン上に存在することを利用して、該撮影点および該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置をDEM情報または高度情報により高さ方向座標を拘束することにより、最初の撮影点と最終の撮影点の間の該撮影点および該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の該3次元座標位置の誤差を解消することを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該異なる撮影点から撮影した該重複画像部分に含まれる共通の撮影対象の3次元座標位置が該通路境界線上に位置することを利用して通路の地図ないし形状を求めることを特徴とする画像撮影情報較正システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかの市街または商店街または売り場またはそのすべてを通路に沿って移動しながら画像を撮影するシステムおいて、該撮影システムを複数のカメラを複数の撮影方向を向くように剛体で固定し構成することにより、撮影点の位置と該撮影点における撮影方向が計出できる画像を多数同時に撮影することが可能であることを特徴とする撮影システムと画像撮影情報較正システム。




【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図36】
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【図39】
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【図40】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図35】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2010−45766(P2010−45766A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119493(P2009−119493)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(708002816)小平アソシエイツ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】