説明

平板表示装置及びその製造方法

【課題】平板表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース/ドレイン電極とコンタクトされる半導体層と、基板上に形成されたゲートと、ソース/ドレイン電極とゲートとの間に形成され、開口部を備える絶縁膜と、絶縁膜の開口部によって一部分が露出される画素電極と、を備える平板表示装置である。絶縁膜は、ゲート絶縁膜と画素電極とを限定する画素定義膜として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板表示装置に係り、さらに具体的には、画素を限定する開口部を有するゲート絶縁膜を備える有機電界発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、フレキシブル有機電界発光表示装置は、基板としてフレキシブル基板を使用し、前記フレキシブル基板は、プラスチック基板などを備える。プラスチック基板は、熱安定性が非常に脆弱であるので、低温工程を利用して有機電界発光表示装置を製造することが要求されている。半導体層として有機膜を使用する有機薄膜トランジスタ(OTFT:Organic Thin Film Transistor)は、低温工程が可能であるので、フレキシブル有機電界発光表示装置のスイッチング素子として注目されている。OTFTは、次世代ディスプレイ装置の駆動素子として活発な研究が進められている。OTFTは、半導体層としてシリコン膜の代りに有機膜を使用するものであって、有機膜の材料によってオリゴチオフェン、ペンタセンのような低分子有機物とポリチオフェン系列のような高分子有機物とに分類される。
【0003】
有機電界発光表示装置は、有機膜層からの光が発光する経路によって、背面発光構造、前面発光構造、そして、両面発光構造を有する。背面発光型の有機電界発光表示装置では、有機発光層から発光する光が基板側に放出され、前面発光型の有機電界発光表示装置では、有機発光層から発光する光が基板の反対方向に放出され、両面発光型の有機電界発光表示装置では、有機発光層から光が基板と基板の反対方向とに同時に放出される。
【0004】
従来のOTFTを備えた有機電界発光表示装置は、基板上にソース及びドレイン電極、半導体層及びゲートを備える薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成され、前記TFTの上部に保護膜が形成され、保護膜上に下部電極、有機膜層及び上部電極を備える有機発光素子が形成される構造を有する。前記TFTのソース及びドレイン電極とゲートとの間には、ゲート絶縁膜が形成される。前記下部電極は、保護膜に形成されたビアホールを通じて前記TFTのソース及びドレイン電極のうち一つに連結される。画素分離膜は、下部電極の一部分を露出させる開口部を備え、前記開口部の下部電極上に有機膜層が形成され、その上に上部電極が形成される。
【0005】
前記のような構造を有する有機電界発光表示装置は、ソース及びドレイン電極、半導体層及びゲートを備えるTFTを形成する工程と、保護膜を形成する工程と、保護膜にマスク工程を通じてビアホールを形成する工程と、保護膜上にビアホールを通じてTFTに連結される下部電極を形成する工程と、前記下部電極を露出させるための開口部を形成する工程と、有機膜及び上部電極を形成する工程と、を含むので、工程が非常に複雑であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−46087号公報
【特許文献2】特開2004−87458号公報
【特許文献3】特開2003−258265号公報
【特許文献4】特開2003−92407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の技術の問題点を解決するためのものであって、画素分離膜として使われるゲート絶縁膜を備える平板表示装置を提供することをその目的とする。
【0008】
また、本発明の目的は、画素を限定する開口部を有するゲート絶縁膜をレーザアブレーション法で形成して、工程を単純化した平板表示装置の製造方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、画素を限定する開口部を備えるゲート絶縁膜をインクジェット方式で形成して、工程を単純化した平板表示装置の製造方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、画素を限定する開口部を備えるゲート絶縁膜をレーザ転写法で形成して、工程を単純化した平板表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の平板表示装置は、基板と、前記基板上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、前記ソース及びドレイン電極とコンタクトされる半導体層と、基板上に形成されたゲートと、前記ソース及びドレイン電極とゲートとの間に形成され、開口部を備える絶縁膜と、前記絶縁膜の開口部によって一部分が露出される画素電極と、を備える。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記画素電極は、ソース及びドレイン電極のうち一つの電極から延びる反射膜と、前記反射膜とオーバーラップされるように形成された透明電極層とを備える。前記半導体層は、有機半導体物質を含み、前記ソース及びドレイン電極は、異なる物質からなる。前記ソース及びドレイン電極のうち一つの電極は、反射率に優れた物質として、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物から選択される反射膜を備える。前記画素電極の透明電極層は、ITO、IZO、ZnO及びInから選択される透明導電膜を備える。前記ソース電極/ドレイン電極のうち他の一つの電極は、前記半導体層より大きい仕事関数を有する電極物質を含む。前記ソース及びドレイン電極のうち他の一つの電極は、Au、Pd、Pt、酸化MOW及びPEDOT(Polyethylenedioxythiophene)から選択される電極物質を含む。
【0013】
前記絶縁膜は、ゲート絶縁膜として作用すると同時に、前記画素電極を限定する画素分離膜として作用する。前記絶縁膜は、有機絶縁膜または無機絶縁膜を備えるか、または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。前記絶縁膜は、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZT、ポリスチレン(PS)、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びパリレンを含むグループから選択される。
【0014】
また、前記絶縁膜は、レーザ吸収が可能な物質として、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。絶縁膜は、SiO、ポリイミド、ポリビニルフェノール(PVP)、パリレン及びPI/Alを使用する。また、絶縁膜は、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体となったポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはフッ素系高分子物質を含むグループから選択される一つ以上の膜を備える。前記レーザは、エキシマーレーザを使用し、前記ゲート絶縁膜に含まれている発色団の量は、0.005wt%である。
【0015】
また、前記絶縁膜は、インクジェット方式で形成された物質として、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0016】
また、前記絶縁膜は、レーザ転写が可能な物質として、異なる種類のポリマーを2つ以上混合した物質を使用するか、またはポリマーに低分子物質を混合した物質を使用する。前記ポリマーは、ポリイミド、PVP、PVA、PVC、PMMA、パリレン及びポリスチレンから選択され、前記低分子物質は、ジルコニア及びアルミナから選択される。前記ポリマーと低分子物質とは、1:1ないし1:3の割合で混合する。前記半導体層とソース及びドレイン電極との厚さの和は、5000Å未満であり、望ましくは、前記半導体層とソース及びドレイン電極との厚さの和は、2000ないし3000Åである。
【0017】
前記絶縁膜の開口部は、各画素領域に配列された画素電極の一部分を露出させるようにメッシュ状に配列される。前記絶縁膜の開口部は、複数の画素領域のうちゲートラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるライン形態に配列されるか、またはデータラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるライン形態に配列される。
【0018】
本発明の平板表示装置の製造方法は、基板上にソース及びドレイン電極、画素電極、前記ソース及びドレイン電極とコンタクトされる半導体層を形成する工程と、前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜を基板上に形成する工程と、前記半導体層に対応する絶縁膜上にゲートを形成する工程と、を含む。
【0019】
前記絶縁膜は、レーザ吸収可能な絶縁物質を基板全面に蒸着した後、レーザアブレーション工程を通じて前記開口部に対応する部分をエッチングして形成するか、またはインクジェットプリンティング可能な絶縁物質を前記開口部に対応する部分を除外した基板上に塗布して形成するか、またはレーザ転写法を利用して形成する。前記絶縁膜を形成する前に、前記開口部に対応する基板の表面をAr及びOプラズマを利用してプラズマ処理するか、または前記開口部を除外した基板の表面をCFまたはCを利用したフッ素系プラズマを利用してプラズマ処理する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有機電界発光表示装置及びその製造方法によれば、ゲート絶縁膜が前記画素電極を限定する画素分離膜として作用するので、画素電極とTFTのソース/ドレイン電極のうち一つの電極と連結させるビアホールを形成するためのマスク工程と、画素電極の発光領域を限定する画素定義膜を形成するための工程とが排除される。これにより、素子の構造及び工程が単純化しうる。
【0021】
また、本発明では、レーザアブレーション法、レーザ転写法またはインクジェット方式などを利用して、ゲート絶縁膜に画素電極を定義するための開口部を形成する場合には、通常的な画素分離膜の開口部を形成するための写真エッチング工程が排除されるので、感光性物質の残存物が残り、これにより、パターンの不良を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。
【図2A】本発明の有機電界発光表示装置において、ゲート絶縁膜の開口部パターンの一例を示す図面である。
【図2B】本発明の有機電界発光表示装置において、ゲート絶縁膜の開口部パターンの一例を示す図面である。
【図2C】本発明の有機電界発光表示装置において、ゲート絶縁膜の開口部パターンの一例を示す図面である。
【図3A】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図3B】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図3C】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図3D】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図4A】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である
【図4B】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である
【図4C】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である
【図4D】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図5A】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図5B】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図5C】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図5D】本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。
【図7A】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図7B】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図7C】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図7D】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図8A】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図8B】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図8C】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図8D】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図9A】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図9B】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図9C】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図9D】本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。
【図11A】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図11B】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図11C】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図11D】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図12A】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図12B】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図12C】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図12D】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図13A】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図13B】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図13C】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【図13D】本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置100は、基板上にマトリックス状に配列された複数の画素を備え、各画素は、TFT、例えば、スイッチングTFTと駆動TFT、キャパシタ及び有機発光素子を備える。図1は、有機発光素子と前記有機発光素子を駆動するための駆動TFTとについて示したものである。
【0025】
図1を参照すれば、基板110上にソース及びドレイン電極121,125が形成され、下部電極160が前記ソース及びドレイン電極121,125のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極125から延設される。前記下部電極160は、各画素の画素電極として作用する。前記ソース及びドレイン電極121,125とコンタクトされるように半導体層130が形成される。
【0026】
基板上に絶縁膜140が形成され、前記絶縁膜140上にゲート150が形成される。前記絶縁膜140は、前記下部電極160に対応する部分に開口部145を備えて下部電極160を限定する画素分離膜の役割を行い、またゲート電極150の下部に対応する部分は、ゲート絶縁膜として作用する。
【0027】
前記開口部145の下部電極160上に有機膜層170が形成され、基板上に上部電極180が形成される。前記有機膜層170は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜を備える。一実施形態では、前記有機膜層170が絶縁膜140の開口部145内に形成されることを例示したが、これに必ずしも限定されず、各画素の発光層(図示せず)は、開口部145内に形成されて、隣接する画素の発光層とは分離されるように形成され、共通層である電荷輸送層は、基板全面に形成されてもよい。
【0028】
前記基板110は、ガラス基板、プラスチック基板または金属基板を備える。前記金属基板は、望ましくは、SUS(Steel Use Stainless)を含む。前記プラスチック基板は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択されるプラスチックフィルムを含む。
【0029】
前記半導体層130は、有機半導体層を備え、ペンタセン、テトラセン、アントラセン、ナフタレン、アルファ(α)−6−チオフェン、ぺリレン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、コロネン及びその誘導体、ぺリレンテトラカルボン酸ジイミド及びその誘導体、ぺリレンテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリチオフェンビニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリチオフェン−ヘテロ環芳香族共重合体及びその誘導体、ナフタレンのオリゴアセン及びこれらの誘導体、アルファ(α)−5−チオフェンのオリゴチオフェン及びこれらの誘導体、金属含有/非含有のフタロシアニン及びこれらの誘導体、ピロメリット酸二無水物及びその誘導体、ピロメリット酸ジイミド及びこれらの誘導体、ぺリレンテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びこれらの誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物及びこれらの誘導体から選択される有機膜を備える。一方、前記半導体層130は、非晶質シリコン膜または多結晶シリコン膜のようなシリコン膜を備え、前記ソース/ドレイン電極121,125とコンタクトされる部分に高濃度の不純物がドーピングされたソース/ドレイン領域を備えても良い。
【0030】
前記絶縁膜140は、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。絶縁膜140のための無機絶縁膜は、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZTからなるグループから選択される。絶縁膜140のための有機絶縁膜は、PS、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、パリレンを含むグループから選択される一つ以上の有機絶縁膜を備える。
【0031】
また、前記絶縁膜140は、レーザアブレーションが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜140は、レーザエネルギーの吸収が可能な物質として、SiO、PI/Alまたは芳香族物質、すなわち、ベンゼンを有する機能基を含む物質、例えば、ポリイミド、PVP、パリレンを含む。レーザエネルギーの吸収がない物質、例えば、PVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁物質を使用してもよい。
【0032】
しかも、前記絶縁膜140は、インクジェットプリンティングが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜140は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0033】
また、前記絶縁膜140は、レーザ転写が可能な物質として、汎用ポリマー、例えば、ポリイミド、PVP、PVA、PVC、PMMA、パリレン、ポリスチレンなどを含む。望ましくは、前記絶縁膜140は、レーザ転写が容易になるように位相分離を誘発させねばならないので、2種類以上の異なる汎用ポリマーを混合して使用するか、または前記汎用ポリマーに低分子物質を混合して使用してもよい。望ましくは、前記汎用ポリマーにジルコニア、アルミナのような低分子物質を1:1ないし1:3の割合で混合する。一方、レーザ転写が円滑になるためには、絶縁膜140の下部に存在する膜、すなわち、半導体層130とソース/ドレイン電極121,125との厚さの和が5000Å未満でなければならない。前記半導体層130と前記ソース/ドレイン電極121,125との厚さの和は、2000ないし3000Åであることが望ましい。
【0034】
一実施形態による有機電界発光表示装置100で、ソース電極121とドレイン電極125とは、異なる物質からなる。ソース電極121は、半導体層130とのコンタクト抵抗を得るためには、前記半導体層130による仕事関数を有する物質を含む。すなわち、前記ソース電極121は、有機半導体層130より大きい仕事関数を有する電極物質を含み、Au、Pt及びPdから選択される金属電極物質を含む。
【0035】
一方、前記ドレイン電極125は、絶縁膜140によって露出される部分が下部電極160、すなわち、陰極電極として作用するので、ドレイン電極は、下部電極物質を含むことが望ましい。例えば、前記有機電界発光表示装置100が背面発光構造を有する場合、前記下部電極160は、透過電極を含むことが望ましい。下部電極160は、ITO、IZO、ZnO、またはInのような透明導電膜を備えることが望ましい。前面発光構造を有する場合には、前記下部電極160は、反射電極を備え、望ましくは、下部電極160は、透明導電膜と、前記透明導電膜の下部に反射率に優れた反射膜とを備える。前記下部電極160のための透明導電膜は、ITO、IZO、ZnO、またはInを含み、反射膜としては、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物を含む。
【0036】
前記上部電極180は、背面発光構造を有する場合には、反射電極を備え、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を含む。前面発光構造を有する場合には、上部電極180は、透過電極を備え、金属膜と透明導電膜との積層構造を有する。前記上部電極180のための金属膜は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を含み、透明導電膜は、ITO、IZO、ZnO、またはInを含む。
【0037】
図2Aないし図2Cは、本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置において、絶縁膜140の開口部145のパターン例を示す図面である。図2Aないし図2Cは、ゲートライン101、データライン103及び画素領域105に配列される画素電極160に限定して概略的に示す図面である。本発明の有機電界発光表示装置100は、複数のゲートライン101と複数のデータライン103とが基板110上に配列され、前記複数のゲートライン101と複数のデータライン103とによって限定される複数の画素領域105を備える。各画素領域105には、図1に示したような下部電極160である画素電極を備える有機発光素子と、前記有機発光素子を駆動するためのTFTとが配列される。また、電源電圧を供給するための電源ライン(図示せず)が配列されるが、前記ゲートライン105とは交差し、前記データラインとは平行に配列されうる。
【0038】
図2Aを参照すれば、絶縁膜140が基板上に形成され、前記絶縁膜140の開口部145は、各画素領域105に配列される画素電極160の一部分をそれぞれ露出させるメッシュ状に配列される。図2Bを参照すれば、前記絶縁膜140の開口部145は、複数の画素領域105に配列される画素電極160のうち一方向に配列される画素電極、すなわち、データラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるように、ライン形態に配列される。図2Cを参照すれば、前記絶縁膜140の開口部145は、複数の画素領域に配列される画素電極160のうち一方向に配列される画素電極、すなわち、ゲートラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるように、ライン形態に配列される。
【0039】
図3Aないし図3Dは、本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0040】
図3Aを参照すれば、基板110上にソース電極121及びドレイン電極125を形成し、前記ソース電極121及びドレイン電極125とコンタクトされるように半導体層130を形成する。前記ドレイン電極125のうち一部分160は、画素電極として作用する。前記ソース電極121を形成した後にドレイン電極125を形成するか、または前記ドレイン電極125を形成した後にソース電極121を形成してもよい。
【0041】
図3Bを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜140を形成する。前記ゲート絶縁膜140は、レーザ吸収が可能な物質として、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。ゲート絶縁膜140は、SiO、ポリイミド、PVP、パリレン及びPI/Alを使用する。また、レーザ吸収のないPVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁体として使用することによって、レーザ吸収を可能にする。
【0042】
図3Cを参照すれば、レーザアブレーション法を利用して、前記ゲート絶縁膜140のうち前記ドレイン電極125に対応する部分にレーザ5を照射する。前記レーザ5の照射された部分のゲート絶縁膜140がエッチングされて開口部145が形成される。前記ゲート絶縁膜140は、図2Aないし図2Cに示したような開口部145を備える。前記ドレイン電極125のうちゲート絶縁膜140の開口部145に露出される部分は、陽極電極の下部電極160となる。
【0043】
前記レーザ5は、エキシマーレーザを使用する。前記エキシマーレーザは、248nm及び308nm波長の光を発生するので、前記ゲート絶縁膜140が248nmまたは308nm波長の光を吸収すれば、レーザアブレーションが可能になる。このとき、前記ゲート絶縁膜140は、レーザのビーム波長の最小0.005%以上を吸収することが望ましい。一実施形態で、前記レーザ5としてエキシマーレーザを例示したが、これに必ずしも限定されていない。また、前記レーザアブレーション法以外に、フォト工程を利用して前記絶縁膜140に開口部145を形成してもよい。
【0044】
図3Dを参照すれば、前記絶縁膜140のうち半導体層130に対応する部分にゲート150を形成する。次いで、基板上に有機膜層170と上部電極180とを形成すれば、図1に示したような一実施形態による有機電界発光表示装置100が製造される。
【0045】
図4Aないし図4Dは、本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0046】
図4Aを参照すれば、基板110上にソース電極121とドレイン電極125とを形成し、前記ソース電極121及びドレイン電極125とコンタクトされるように半導体層130を形成する。図4Bを参照すれば、前記ソース及びドレイン電極121,125のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極125の一部分160の表面160aを表面処理する。このとき、表面処理工程は、フッ素系プラズマ15を使用して表面を疎水性にする。このとき、フッ素系プラズマを利用した表面処理工程は、CFまたはCのようなフッ素系ガスを利用する。
【0047】
図4Cを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜のための絶縁物質を含む溶液をインクジェットヘッド(図示せず)から吐出させてゲート絶縁膜140を形成する。このとき、前記ドレイン電極125のうち表面処理された部分160aには、ゲート絶縁膜140が形成されず、前記ドレイン電極125の一部分160を露出させる開口部145が形成される。
【0048】
前記ゲート絶縁膜140は、図2Aないし図2Cに示したような開口部145を備え、前記開口部145によって露出される部分160は、画素電極として作用する。前記ゲート絶縁膜140は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0049】
他の例として、基板の表面とインクとの接着力が良好でない場合には、すなわち、基板の表面が疎水性を帯びる場合には、ドレイン電極125の一部分を露出させる開口部145に対応する部分、すなわち、画素電極160を除外した基板の表面を表面処理して開口部145を備えるゲート絶縁膜140を形成することも可能である。すなわち、開口部145に対応するドレイン電極125の表面160aを除外した基板の全面に対するAr及びOプラズマを利用した表面処理工程を行って、基板の表面を親水性に改質する。次いで、ゲート絶縁物質を含むインキを基板の表面に吐出すれば、表面処理された部分にのみゲート絶縁膜140がコーティングされる。したがって、プラズマ表面処理されないドレイン電極125の表面160aには、ゲート絶縁膜140が形成されない。
【0050】
図4Dを参照すれば、前記ゲート絶縁膜140のうち半導体層130に対応する部分にゲート150を形成する。次いで、基板上に有機膜層170と上部電極180とを形成すれば、図1に示したような一実施形態による有機電界発光表示装置100が製造される。
【0051】
図5Aないし図5Dは、本発明の一実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して形成する方法を説明するための断面図である。
【0052】
図5Aを参照すれば、基板110上にソース電極121とドレイン電極125とを形成し、前記ソース電極121及びドレイン電極125とコンタクトされるように半導体層130を形成する。図5Bを参照すれば、ゲート絶縁膜を形成するためのドナーフィルム10を準備する。ドナーフィルム10は、ベースフィルム11、光−熱変換層12及び転写層13を備える。前記ベースフィルム11は、支持フィルムとしての役割を行い、透明性高分子を含む。例えば、前記ベースフィルム11は、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレンを含む。
【0053】
前記光−熱変換層12は、赤外線−可視光線領域の光を吸収する光吸収性物質を含む。前記転写層13は、基板110上に形成されるゲート絶縁膜と同じ物質が蒸着またはコーティング工程を通じて光−熱変換層12上に形成される。前記ドナーフィルム10は、図5Bに示した構造に限定されず、反射によって転写層13の特性が低下することを防止するために、反射防止用のコーティング処理を行うか、またはフィルムの感度を向上させるために、光−熱変換層12の下部にガス生成層をさらに備えるなど多様な構造を有しうる。
【0054】
図5Cを参照すれば、前記ドナーフィルム10を基板110に接着させた後、開口部145が形成される部分を除外したドナーフィルム10にレーザを照射すれば、前記転写層13が基板上に転写される。これにより、前記ドレイン電極125の一部分を露出させる開口部145を備えるゲート絶縁膜140が形成される。前記ゲート絶縁膜140は、図2Aないし図2Cに示したような形態の開口部145を備える。前記ドレイン電極125のうちゲート絶縁膜140の開口部145によって露出される部分は、陽極電極である下部電極160となる。図5Dを参照すれば、前記ゲート絶縁膜140のうち半導体層130に対応する部分にゲート150を形成する。次いで、基板上に有機膜層170と上部電極180とを形成すれば、図1に示したような一実施形態による有機電界発光表示装置100が製造される。
【0055】
図6は、本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置200は、基板上にマトリックス状に配列される複数の画素を備え、各画素は、TFT、例えば、スイッチングTFTと駆動TFT、キャパシタ及び有機発光素子を備える。図6は、有機発光素子と有機発光素子とを駆動するための駆動TFTに限定して示す図面である。
【0056】
図6を参照すれば、基板210上にソース及びドレイン電極221,225が形成され、下部電極260が前記ソース及びドレイン電極221,225のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極225に連結されるように基板上に形成される。一実施形態と同様に、前記基板210は、ガラス基板、プラスチック基板または金属基板を備え、前記半導体層230は、有機半導体膜またはシリコン膜を備える。前記下部電極260は、各画素の画素電極として作用する。前記ソース及びドレイン電極221,225とコンタクトされるように半導体層230が形成される。
【0057】
基板上に絶縁膜240が形成され、前記絶縁膜240上にゲート250が形成される。前記絶縁膜240は、前記下部電極260に対応する部分に開口部245を備えて下部電極260を限定する画素分離膜の役割を行い、またゲート電極250の下部に対応する部分は、ゲート絶縁膜として作用する。前記開口部245の下部電極260上に有機膜層270が形成され、基板上に上部電極280が形成される。前記有機膜層270は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜を備える。他の実施形態では、前記有機膜層270が絶縁膜240の開口部245内に形成されることを例示したが、これに必ずしも限定されず、各画素の発光層(図示せず)は、開口部245内に形成されて隣接する画素の発光層とは分離されるように形成され、共通層である電荷輸送層は、基板の全面に形成されてもよい。
【0058】
前記絶縁膜240は、前記下部電極260を露出させるための開口部245を備える。開口部245は、図2Aないし図2Cに示したように、メッシュ状またはライン形態の構造を有する。絶縁膜240は、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。前記絶縁膜240は、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZTからなるグループから選択される無機膜を備える。また、前記絶縁膜240は、PS、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、パリレンを含むグループから選択される一つ以上の有機絶縁膜を備える。
【0059】
また、前記絶縁膜240は、レーザアブレーションが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜240は、レーザエネルギーの吸収が可能な物質として、SiO、PI/Alまたは芳香族物質、すなわち、ベンゼンを有する機能基を含む物質、例えば、ポリイミド、PVP、パリレンを含む。レーザエネルギーの吸収のない物質、例えば、PVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁体を使用してもよい。
【0060】
しかも、前記絶縁膜240は、インクジェットプリンティングが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜240は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0061】
また、前記ゲート絶縁膜240は、レーザ転写が可能な物質として、汎用ポリマー、例えば、ポリイミド、PVP、PVA、PVC、PMMA、パリレン、ポリスチレンなどを含む。望ましくは、前記ゲート絶縁膜140は、レーザ転写が容易になるように位相分離を誘発させねばならないので、2種類以上の異なる汎用ポリマーを混合して使用するか、または前記汎用ポリマーに低分子物質を混合して使用してもよい。望ましくは、前記汎用ポリマーにジルコニア、アルミナのような低分子物質を1:1ないし1:3の割合で混合する。
【0062】
一方、レーザ転写が円滑になるためには、ゲート絶縁膜240の下部に存在する膜、すなわち半導体層230とソース/ドレイン電極221,225との厚さの和が5000Å未満でなければならない。望ましくは、前記半導体層130と前記ソース/ドレイン電極221,225との厚さの和は、2000ないし3000Åであることが望ましい。
【0063】
前記ソース及びドレイン電極221,225が半導体層230との間に低いコンタクト抵抗を得るためには、前記半導体層230による仕事関数を有する物質を含む。前記ソース/ドレイン電極221,225は、半導体層230より大きい仕事関数を有する電極物質を含み、Au、Pt及びPdから選択される金属電極物質を含む。
【0064】
前記下部電極260は、前記有機電界発光表示装置200が背面発光構造を有する場合、透過電極を備えることが望ましい。下部電極260は、ITO、IZO、ZnO、またはInのような透明導電膜を備えることが望ましい。一方、前面発光構造を有する場合には、前記下部電極260は、反射電極を備え、望ましくは、下部電極260は、透明導電膜と、前記透明導電膜の下部に反射率に優れた反射膜とを備える。前記下部電極260のための透明導電膜は、ITO、IZO、ZnO、またはInを含み、反射膜としては、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物を含む。
【0065】
前記上部電極280は、背面発光構造を有する場合には、反射電極を備え、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を含む。一方、前面発光構造を有する場合には、上部電極280は、透過電極を備え、金属膜と透明導電膜との積層構造を有する。前記上部電極280のための金属膜は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を含み、透明導電膜は、ITO、IZO、ZnO、またはInを含む。
【0066】
図7Aないし図7Dは、本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0067】
図7Aを参照すれば、基板210上にソース電極221とドレイン電極225とを形成し、前記ソース及びドレイン電極221,225のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極225に連結される下部電極260を形成する。次いで、前記ソース電極221及びドレイン電極225とコンタクトされるように半導体層230を形成する。前記下部電極260を形成した後に前記半導体層230を形成することを例示したが、これに限定されず、前記下部電極260の形成は、前記有機電界発光表示装置の素子特性に及ぼす影響を最小化する範囲内で前記半導体層230を形成した後に形成してもよい。
【0068】
図7Bを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜240を形成する。前記ゲート絶縁膜240は、レーザ吸収が可能な物質として、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。ゲート絶縁膜240は、SiO、ポリイミド、PVP、パリレン及びPI/Alを使用する。レーザ吸収のないPVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁体として使用することによってレーザ吸収を可能にする。
【0069】
図7Cを参照すれば、レーザアブレーション法を利用して、前記ゲート絶縁膜240のうち前記下部電極260に対応する部分にレーザ6を照射する。前記レーザ6が照射された部分のゲート絶縁膜240がエッチングされて開口部245が形成される。前記ゲート絶縁膜240は、図2Aないし図2Cに示したような開口部245を備える。
【0070】
前記レーザ6としてエキシマーレーザが使われる。前記エキシマーレーザは、248nm及び308nm波長の光を発生するので、前記ゲート絶縁膜240が248nmまたは308nm波長の光を吸収すれば、レーザアブレーションが可能になる。このとき、前記ゲート絶縁膜240は、レーザのビーム波長の最小0.005%以上を吸収することが望ましい。他の実施形態で、前記レーザ6としてエキシマーレーザを例示したが、これに必ずしも限定されていない。また、前記レーザアブレーション以外に、フォト工程を利用して前記絶縁膜240に開口部245を形成してもよい。
【0071】
図7Dを参照すれば、前記絶縁膜240のうち半導体層230に対応する部分にゲート250を形成する。次いで、基板上に有機膜層270と上部電極280とを形成すれば、図6に示したような他の実施形態による有機電界発光表示装置200が製造される。
【0072】
図8Aないし図8Dは、本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0073】
図8Aを参照すれば、基板210上にソース電極221とドレイン電極225とを形成し、前記ソース及びドレイン電極221,225のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極225に連結される下部電極260を形成する。次いで、前記ソース電極221及びドレイン電極225とコンタクトされるように半導体層230を形成する。図8Bを参照すれば、前記下部電極260の表面260aを部分的に表面処理する。このとき、表面処理工程は、フッ素系プラズマ25を使用して開口部が形成される部分の表面260aを疎水性にする。このとき、フッ素系プラズマ25を利用した表面処理工程は、CFまたはCのようなフッ素系ガスを利用する。
【0074】
図8Cを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜のための絶縁物質を含む溶液をインクジェットヘッド(図示せず)から吐出させてゲート絶縁膜240を形成する。このとき、前記下部電極260のうち表面処理された部分260aには、ゲート絶縁膜240が形成されず、前記下部電極260を露出させる開口部245が形成される。前記ゲート絶縁膜240は、図2Aないし図2Cに示したような開口部245を備える。したがって、前記ゲート絶縁膜140は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0075】
他の例として、基板の表面とインクとの接着力が良好でない場合には、すなわち、基板の表面が疎水性である場合には、下部電極260の一部分を露出させる開口部245に対応する部分を除外した基板の表面を表面処理して開口部245を備えるゲート絶縁膜240を形成することも可能である。すなわち、開口部245に対応する下部電極260の表面260aを除外した基板全面に対するAr及びOプラズマを利用した表面処理工程を行って、基板の表面を親水性に改質して接着力を向上させる。次いで、ゲート絶縁物質を含むインクを基板の表面に吐出させれば、表面処理された部分にのみゲート絶縁膜240がコーティングされる。したがって、プラズマ表面処理されていない下部電極260の表面260aに開口部245を備えたゲート絶縁膜240が形成される。
【0076】
図8Dを参照すれば、前記絶縁膜240のうち半導体層230に対応する部分にゲート250を形成する。次いで、基板上に有機膜層270と上部電極280とを形成すれば、図6に示したような他の実施形態による有機電界発光表示装置200が製造される。
【0077】
図9Aないし図9Dは、本発明の他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造方法を説明するための断面図である。
【0078】
図9Aを参照すれば、基板210上にソース電極221とドレイン電極225とを形成し、前記ソース/ドレイン電極221,225のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極225に連結される下部電極260と、前記ソース電極221及びドレイン電極225とコンタクトされるように半導体層230を形成する。図9Bを参照すれば、ゲート絶縁膜を形成するためのドナーフィルム20を準備する。ドナーフィルム20は、一実施形態によるドナーフィルム10と同じ構造を有し、ベースフィルム21、光−熱変換層22及び転写層23を備える。前記転写層23は、前記ゲート絶縁膜のための膜を備える。
【0079】
図9Cを参照すれば、前記ドナーフィルム20を基板210に接着させた後、開口部245が形成される部分を除外したドナーフィルム20にレーザを照射すれば、前記転写層23が基板上に転写される。これにより、前記下部電極260の一部分を露出させる開口部245を備えるゲート絶縁膜240が形成される。ゲート絶縁膜240の開口部245は、図2Aないし図2Cに示したような形態を有する。図9Dを参照すれば、前記絶縁膜240のうち半導体層230に対応する部分にゲート250を形成する。次いで、基板上に有機膜層270と上部電極280とを形成すれば、図6に示したような他の実施形態による有機電界発光表示装置200が製造される。
【0080】
図10は、本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置の断面図である。本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置300は、基板上にマトリックス状に配列される複数の画素を備え、各画素は、TFT、例えばスイッチングTFTと駆動TFT、キャパシタ及び有機発光素子を備える。図10は、有機発光素子と有機発光素子とを駆動するための駆動TFTに限定して示す図面である。
【0081】
図10を参照すれば、基板310上にソース及びドレイン電極321,325が形成され、下部電極360が前記ソース及びドレイン電極321,325のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極325に連結されるように基板上に形成される。前記ソース及びドレイン電極321,325とコンタクトされるように半導体層330が形成される。一実施形態と同様に、前記基板310は、ガラス基板、プラスチック基板または金属基板を備え、前記半導体層330は、有機半導体膜またはシリコン膜を備える。
【0082】
基板上に絶縁膜340が形成され、前記絶縁膜340上にゲート350が形成される。前記絶縁膜340は、前記下部電極360に対応する部分に、図2Aないし図2Cに示したように、メッシュまたはライン形態の開口部345を備える。したがって、前記絶縁膜340は、下部電極360の発光領域を限定する画素分離膜の役割を行い、またゲート絶縁膜として作用する。前記開口部345の下部電極360上に有機膜層370が形成され、基板上に上部電極380が形成される。前記有機膜層370は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜を備える。さらに他の実施形態では、前記有機膜層370が絶縁膜340の開口部345内に形成されることを例示したが、これに必ずしも限定されず、各画素の発光層(図示せず)は、開口部345内に形成されて隣接する画素の発光層とは分離されるように形成され、共通層の電荷輸送層は、基板全面に形成されてもよい。
【0083】
絶縁膜340は、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなる。絶縁膜340のための無機絶縁膜は、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZTからなるグループから選択される。絶縁膜340のための有機絶縁膜は、PS、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、パリレンを含むグループから選択される一つ以上の有機絶縁膜を備える。
【0084】
また、前記絶縁膜340は、レーザアブレーションが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜340は、レーザエネルギーの吸収が可能な物質として、SiO、PI/Alまたは芳香族物質、すなわち、ベンゼンを有する機能基を含む物質、例えば、ポリイミド、PVP、パリレンを含む。レーザエネルギーの吸収のない物質、例えば、PVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁体を使用してもよい。
【0085】
しかも、前記絶縁膜340は、インクジェットプリンティングが可能な物質を使用できる。前記絶縁膜340は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0086】
また、前記ゲート絶縁膜340は、レーザ転写が可能な物質として、汎用ポリマー、例えば、ポリイミド、PVP、PVA、PVC、PMMA、パリレン、ポリスチレンなどを含む。望ましくは、前記ゲート絶縁膜340は、レーザ転写が容易になるように位相分離を誘発させねばならないので、2種類以上の異なる汎用ポリマーを混合して使用するか、または前記汎用ポリマーに低分子物質を混合して使用してもよい。望ましくは、前記汎用ポリマーにジルコニア、アルミナのような低分子物質を1:1ないし1:3の割合で混合する。一方、レーザ転写が円滑になるためには、ゲート絶縁膜340の下部に存在する膜、すなわち、半導体層330とソース/ドレイン電極321,325との厚さの和が5000Å未満でなければならない。前記半導体層330と前記ソース/ドレイン電極321,325との厚さの和は、2000ないし3000Åであることが望ましい。
【0087】
前記ソース電極321とドレイン電極325とは、異なる物質からなり、前記ソース電極321は、半導体層330との低いコンタクト抵抗を得るためには、有機半導体層330より大きい仕事関数を有する電極物質を含み、Au、Pt、Pd、酸化MoW及びPEDOTから選択される導電性物質を含む。前記ドレイン電極325は、下部電極360の反射膜361としても作用するので、反射率に優れた物質、例えば、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物を含む。
【0088】
前記下部電極360は、各画素の画素電極として作用し、反射膜361と透明電極365とを備える。下部電極360のうち反射膜361は、ドレイン電極325から延設され、前記のように、反射率に優れた物質としてAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物などを含む。前記透明電極365は、ITO、IZO、ZnO、またはInのような透明導電膜を備える。
【0089】
上部電極380は、有機電界発光表示装置が前面発光構造を有するので、透過電極を備える。前記上部電極380は、金属膜と透明導電膜との積層構造を有する。前記金属膜は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはこれらの化合物を含み、透明導電膜は、ITO、IZO、ZnO、またはInなどを含む。
【0090】
図11Aないし図11Dは、本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザアブレーション法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0091】
図11Aを参照すれば、基板310上にソース電極321とドレイン電極325とを形成する。前記ソース及びドレイン電極321,325のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極325とオーバーラップされるように透過電極365を形成して下部電極360を形成する。前記下部電極360は、前記ドレイン電極325から延びる反射膜361と前記透過電極365との積層構造を有する。次いで、前記ソース電極321及びドレイン電極325とコンタクトされるように半導体層330を形成する。前記ソース電極321を形成した後にドレイン電極325を形成するか、または前記ドレイン電極325を形成した後にソース電極321を形成してもよい。また、前記透過電極365を形成した後に前記半導体層330を形成することを例示したが、これに限定されず、前記透過電極365の形成は、前記有機電界発光表示装置の素子特性に及ぼす影響を最小化する範囲内で前記半導体層330を形成した後に形成してもよい。
【0092】
図11Bを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜340を形成する。ゲート絶縁膜340は、レーザ吸収が可能な物質として、有機絶縁膜、無機絶縁膜または有機−無機ハイブリッド膜を含み、単一膜または多層膜からなる。ゲート絶縁膜340は、SiO、ポリイミド、PVP、パリレン及びPI/Alを使用する。また、レーザ吸収のないPVA、PVC、PMMA、またはフッ素系高分子物質の場合には、レーザのビーム波長の吸収帯のある発色団が0.005wt%以上混合されるか、または共重合体からなる絶縁体として使用することによってレーザ吸収を可能にする。
【0093】
図11Cを参照すれば、レーザアブレーション法を利用して、前記ゲート絶縁膜340のうち前記下部電極360に対応する部分にレーザ6を照射する。レーザ6が照射されたゲート絶縁膜340がエッチングされて開口部345が形成される。これにより、前記下部電極360の一部分を露出させる開口部345を備えるゲート絶縁膜340が形成される。前記ゲート絶縁膜340は、図2Aないし図2Cに示したような形態の開口部345を備える。
【0094】
前記レーザ6は、エキシマーレーザを使用する。前記エキシマーレーザは、248nm及び308nm波長の光を発生するので、前記ゲート絶縁膜340が248nmまたは308nm波長の光を吸収すれば、レーザアブレーションが可能になる。このとき、前記ゲート絶縁膜340は、レーザのビーム波長の最小0.005%以上を吸収することが望ましい。他の実施形態で、前記レーザ6としてエキシマーレーザを例示したが、これに必ずしも限定されず、前記絶縁膜340に照射されて開口部345を形成できるレーザは何れも使用可能である。また、前記レーザアブレーション法以外、フォト工程を利用して前記絶縁膜340に開口部345を形成してもよい。
【0095】
図11Dを参照すれば、前記絶縁膜340のうち半導体層330に対応する部分にゲート350を形成する。次いで、基板上に有機膜層370と上部電極380とを形成すれば、図10に示したような他の実施形態による有機電界発光表示装置300が製造される。
【0096】
図12Aないし図12Dは、本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をインクジェット方式を利用して製造方法を説明するための断面図である。
【0097】
図12Aを参照すれば、基板310上にソース電極321とドレイン電極325とを形成し、前記ソース及びドレイン電極321,325のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極325とオーバーラップされるように透過電極365を形成する。次いで、前記ソース電極321及びドレイン電極325とコンタクトされるように半導体層330を形成する。図12Bを参照すれば、前記下部電極360の一部分の表面360aを表面処理する。このとき、表面処理工程は、フッ素系プラズマ35を使用して前記表面360aを疎水性にして後続のインクジェット工程時にインクとの接着力を減少させる。このとき、フッ素系プラズマを利用した表面処理工程は、CFまたはCのようなフッ素系ガスを利用する。
【0098】
図12Cを参照すれば、基板上にゲート絶縁膜のための絶縁物質を含む溶液をインクジェットヘッド(図示せず)から吐出させてゲート絶縁膜340を形成する。このとき、前記下部電極360のうち表面処理表面360aには、ゲート絶縁膜340が形成されず、前記下部電極360を露出させる開口部345が形成される。前記ゲート絶縁膜340は、図2Aないし図2Cに示したような開口部345を備える。前記ゲート絶縁膜340は、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択される膜を備える。
【0099】
他の例として、基板の表面とインクとの接着力が良好でない場合には、すなわち、基板の表面が疎水性である場合には、画素電極360を露出させる開口部345に対応する部分を除外した基板の表面を表面処理して開口部345を備えるゲート絶縁膜340を形成することも可能である。すなわち、開口部345に対応する画素電極360の表面を除外した基板全面に対するAr及びOプラズマを利用した表面処理工程を行って、基板の表面を親水性に改質して接着力を向上させる。次いで、ゲート絶縁物質を含むインクを基板の表面に吐出すれば、表面処理された部分にのみゲート絶縁膜340がコーティングされる。したがって、プラズマ表面処理されていない画素電極360の表面には、ゲート絶縁膜340が形成されない。
【0100】
図12Dを参照すれば、前記絶縁膜340のうち半導体層330に対応する部分にゲート350を形成する。次いで、基板上に有機膜層370と上部電極380とを形成すれば、図10に示したようなさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置300が製造される。
【0101】
図13Aないし図13Cは、本発明のさらに他の実施形態による有機電界発光表示装置をレーザ転写法を利用して製造する方法を説明するための断面図である。
【0102】
図13Aを参照すれば、基板310上にソース電極321とドレイン電極325とを形成し、前記ソース/ドレイン電極321,325のうち一つの電極、例えば、ドレイン電極325とオーバーラップされるように透明電極層365を形成し、前記ソース電極321及びドレイン電極325とコンタクトされるように半導体層330を形成する。図13Bを参照すれば、ゲート絶縁膜を形成するためのドナーフィルム30を準備する。ドナーフィルム30は、一実施形態によるドナーフィルム10と同じ構造を有し、ベースフィルム31、光−熱変換層32及び転写層33を備える。前記転写層33は、前記ゲート絶縁膜のための膜を備える。
【0103】
図13Cを参照すれば、前記ドナーフィルム30を基板310に接着させた後、開口部345が形成される部分を除外したドナーフィルム30にレーザを照射すれば、前記転写層33が基板上に転写される。これにより、前記下部電極360の一部分を露出させる開口部345を備えるゲート絶縁膜340が形成される。ゲート絶縁膜340の開口部345は、図2Aないし図2Cに示したような形態を有する。図13Dを参照すれば、前記絶縁膜340のうち半導体層330に対応する部分にゲート350を形成する。次いで、基板上に有機膜層370と上部電極380とを形成すれば、図10に示したような他の実施形態による有機電界発光表示装置300が製造される。
【0104】
本発明の実施形態では、ゲート絶縁膜が画素分離膜として作用するので、ゲート電極上に直ぐ上部電極がコンタクトされる構造を例示したが、図面上には示していないが、ゲート電極と上部電極との間に絶縁膜を形成する方法を利用して、これらを電気的に分離させる。
【0105】
本発明の実施形態では、OTFTを備える有機電界発光表示装置において、ゲート絶縁膜を画素電極を限定する画素分離膜として使用する構造を例示したが、これに必ずしも限定されず、TFTをスイッチング素子として使用する液晶表示装置のような平板表示装置にも適用できる。
【0106】
本発明の実施形態では、トップゲート方式のTFTを備える有機電界発光表示装置について説明したが、これに必ずしも限定されず、ゲート絶縁膜を画素定義膜として共有する構造には何れも適用可能である。
【0107】
また、本発明は、画素領域に配列される一つの画素構造として駆動TFT及び有機発光素子のみを例示したが、これに必ずしも限定されず、多様な形態の画素構造を有する有機電界発光表示装置に適用できる。
【0108】
以上、本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させうるということが分かるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、OTFTをスイッチング素子として利用する液晶表示素子のような平板表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
100 有機電界発光表示装置
110 基板
121 ソース電極
125 ドレイン電極
130 半導体層
140 絶縁膜
145 開口部
150 ゲート
160 下部電極
170 有機膜層
180 上部電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記ソース及びドレイン電極とコンタクトされる半導体層と、
基板上に形成されたゲートと、
前記ソース及びドレイン電極とゲートとの間に形成され、開口部を備える絶縁膜と、
前記絶縁膜の開口部によって一部分が露出される画素電極と、を備え、
前記半導体層は、有機半導体物質を含み、
前記ソース/ドレイン電極は、異なる物質からなり、
前記画素電極は、ソース及びドレイン電極のうち一つの電極から延設される反射膜と、前記反射膜とオーバーラップされるように形成された透明電極層とを備えることを特徴とする平板表示装置。
【請求項2】
前記ソース電極/ドレイン電極のうち一つの電極と前記画素電極の前記反射膜とは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr及びこれらの化合物から選択され、前記画素電極の前記透明電極層は、前記ITO、IZO、ZnO及びInから選択されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項3】
前記ソース電極/ドレイン電極のうち他の一つの電極は、前記半導体層より大きい仕事関数を有する電極物質として、Au、Pd、Pt、酸化MoW及びPEDOTから選択される導電性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は、有機絶縁膜または無機絶縁膜を備えるか、または有機−無機ハイブリッド膜を備え、単一膜または多層膜からなることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項5】
前記絶縁膜は、SiO、SiNx、Al、Ta、BST、PZT、PS、フェノール系高分子、アクリル系高分子、ポリイミドのようなイミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びパリレンを含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項6】
前記絶縁膜は、レーザ吸収が可能な物質として、SiO、ポリイミド、PVP、パリレン及びPI/Alを含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、レーザのビーム波長の吸収帯を有する発色団が混合されるか、または共重合体からなるPVC、PVA、PMMA及びフッ素系高分子物質を含むグループから選択される少なくとも何れか一つ以上の膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項8】
前記絶縁膜に備えられている発色団の量は、0.005wt%であることを特徴とする請求項7に記載の平板表示装置。
【請求項9】
前記絶縁膜は、インクジェット方式で形成可能な物質として、PI/Al、ポリイミド、PVP、パリレン、PVA、PVC、PMMAを含むグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項10】
前記ゲート絶縁膜は、レーザ転写が可能な物質として、異なる種類のポリマーを2つ以上混合した物質を使用するか、またはポリマーに低分子物質を混合した物質を使用することを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項11】
前記ポリマーは、ポリイミド、PVP、PVA、PVC、PMMA、パリレン及びポリスチレンから選択され、前記低分子物質は、ジルコニア及びアルミナから選択されることを特徴とする請求項10に記載の平板表示素子。
【請求項12】
前記ポリマーと低分子物質とは、1:1ないし1:3の割合で混合することを特徴とする請求項10に記載の平板表示装置。
【請求項13】
前記半導体層及びソース/ドレイン電極の厚さの和は、5000Å未満であることを特徴とする請求項10に記載の平板表示装置。
【請求項14】
前記半導体層及びソース/ドレイン電極の厚さの和は、2000ないし3000Åであることを特徴とする請求項13に記載の平板表示装置。
【請求項15】
基板上で交差して配列される複数のゲートライン及びデータラインと、
前記複数のゲートライン及びデータラインによって限定される複数の画素領域と、をさらに備え、
各画素領域には、前記ソース/ドレイン電極、前記半導体層及び前記ゲートを備える薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタの前記ソース電極またはドレイン電極のうち一つに連結される前記画素電極とを備え、
前記絶縁膜の開口部は、各画素領域に配列された画素電極の一部分を露出させるようにメッシュ状に配列されるか、または複数の画素領域のうちゲートラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるライン形態またはデータラインに沿って配列される画素電極の一部分を露出させるライン形態に配列されることを特徴とする請求項1に記載の平板表示装置。
【請求項16】
基板上にソース及びドレイン電極、画素電極、前記ソース及びドレイン電極とコンタクトされる半導体層を形成する工程と、
前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜を基板上に形成する工程と、
前記半導体層に対応する絶縁膜上にゲートを形成する工程と、を含み、
前記ソース/ドレイン電極は、異なる物質からなり、
前記画素電極は、前記ソース及びドレイン電極のうち一つの電極から延設される反射膜と、前記反射膜とオーバーラップされるように形成された透明電極層とを備えることを特徴とする平板表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記絶縁膜は、レーザ吸収が可能な絶縁物質を基板全面に蒸着した後、レーザアブレーション工程を通じて前記開口部に対応する部分をエッチングして形成することを特徴とする請求項16に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記絶縁膜は、インクジェット方式で形成された絶縁物質を前記開口部に対応する部分を除外した基板上に塗布して形成することを特徴とする請求項16に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記絶縁膜を形成する工程前に、基板の表面をプラズマ処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記プラズマ処理工程は、前記開口部に対応する基板の表面をAr及びOプラズマを利用してプラズマ処理するか、または前記開口部を除外した基板の表面をCFまたはCを利用したフッ素系プラズマを用いてプラズマ処理することを特徴とする請求項19に記載の平板表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記絶縁膜は、レーザ転写法を利用して形成することを特徴とする請求項16に記載の平板表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【公開番号】特開2010−147027(P2010−147027A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219(P2010−219)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【分割の表示】特願2006−167901(P2006−167901)の分割
【原出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】