説明

建設機械の油圧制御装置

【課題】 ネガティブコントロールにより油圧ポンプの容量制御を行うと共に、排気ガス浄化手段のフィルタを簡単な構成により再生処理することができる。
【解決手段】 ネガティブコントロール用の絞り21と並列に設けられるリリーフ弁22を、ピストン30およびパイロット油室32等からなる設定圧可変部29が付設された設定圧可変式のリリーフ弁22として構成する。ホイールローダ1に搭載された全ての油圧アクチュエータが停止状態にあることを中立位置検出器42により検出し、かつ、エンジン9の排気側に設けた排気ガス浄化装置38のフィルタ前,後差圧が、差圧センサ39により規定値以上であると検出したときに、コントローラ41は電磁弁36を切換える。これにより、リリーフ弁22のリリーフ設定圧を低圧な状態から高圧な状態に変更する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械に好適に用いられる建設機械の油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械は、油圧ポンプを駆動する原動機としてのエンジンを搭載し、このエンジンにはディーゼルエンジンが用いられている。ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中には、例えば粒子状物質(PM:Particulate Matter)、窒素酸化物(NOx)等の有害物質が含まれることがある。このため、建設機械には、エンジンの排気側に排気ガス浄化装置が設けられている。
【0003】
この排気ガス浄化装置は、例えば排気ガス中に含まれる一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する酸化触媒手段(通常、Diesel Oxidation Catalyst、略してDOCとも呼ばれている)と、該酸化触媒手段の下流側に配置され排気ガス中の粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去手段(通常、Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)等とからなる後処理装置を備えている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
また、建設機械の油圧制御装置として、ネガティブコントロールにより油圧ポンプの吐出容量を可変に制御する構成としたものが知られている。ネガティブコントロールを採用することにより、油圧ポンプから吐出された圧油が油圧アクチュエータを介することなく、タンクへと無駄に循環して排出されるのを抑えることができ、省エネルギ化を図ることができる(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−166840号公報
【特許文献2】特開2009−79500号公報
【特許文献3】実公平7−35128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、排気ガス浄化装置(例えば、粒子状物質除去手段)のフィルタに排気ガス中の粒子状物質が堆積すると、排気ガス浄化装置としての浄化機能が低下する。このため、上述した特許文献1による従来技術では、エンジンにより駆動される油圧ポンプを可変容量型のポンプにより構成している。前記フィルタの再生処理(即ち、フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去する処理)を行うときには、前記油圧ポンプの吐出流量と吐出圧力とを同時に上昇させ、エンジンの負荷を増大させることにより排気ガスの温度を高めるようにしている。
【0007】
また、特許文献2による従来技術では、フィルタの再生処理時に燃料噴射量を一時的に増加させる制御を行い、排気ガスの温度を上昇させることによって、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼し、除去する構成としている。
【0008】
しかし、特許文献1,2によるフィルタの再生処理方法では、全体の構成部品が増える上に、エンジンと油圧ポンプとの制御方法が複雑になるという問題がある。このため、排気ガス浄化装置のフィルタをより簡単な方法で再生処理することが望まれている。
【0009】
そこで、本願の発明者等は、特許文献3に記載のネガティブコントロールによる油圧ポンプの制御と、排気ガス浄化装置のフィルタを再生処理する制御とを組合わせることを検討した。しかし、この両者を単に組合わせるだけでは、ネガティブコントロールに用いるリリーフ弁のリリーフ設定圧が低いために、必ずしも十分な油圧負荷をエンジンに与えることが難しく、フィルタの再生に必要な温度まで排気ガスの温度を高めることができない場合がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ネガティブコントロールにより油圧ポンプの容量制御を行うと共に、排気ガス浄化手段のフィルタを簡単な構成により再生処理することができ、装置全体の簡素化を図ることができるようにした建設機械の油圧制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、建設機械の原動機を構成するエンジンと、該エンジンによって駆動されタンクと共に油圧源を構成する油圧ポンプと、該油圧ポンプによる圧油の吐出容量を制御する容量制御手段と、前記油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される少なくとも1個以上の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプをタンクに接続するセンタバイパス管路の途中に設けられ前記油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給する圧油を切換え制御する方向制御弁と、該方向制御弁よりも下流側に位置して前記センタバイパス管路に設けられ前記タンクに向けて排出される油液の流量を制限する絞りと、該絞りと並列に設けられ該絞りの前,後差圧を予め決められたリリーフ設定圧以下に抑えるリリーフ弁と、前記エンジンの排気側に設けられ排気ガスを浄化するフィルタを有した排気ガス浄化手段と、該排気ガス浄化手段に設けられ前記フィルタ前,後の差圧を検出する差圧検出手段とを備え、前記容量制御手段は、前記絞りの前,後差圧に従って当該差圧が所定の圧力範囲内に収まるように前記油圧ポンプの吐出容量を可変に制御する構成としてなる建設機械の油圧制御装置に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記リリーフ弁には、前記リリーフ設定圧を指令信号に従って変化させる設定圧可変手段を設け、前記指令信号を出力する指令信号出力手段は、前記方向制御弁が中立位置に戻り、前記差圧検出手段で検出した前記フィルタ前,後の差圧が予め決められた規定値を越えたときに、前記設定圧可変手段により前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させる構成としたことにある。
【0013】
また、請求項2の発明によると、前記リリーフ弁は、前記設定圧可変手段によってリリーフ設定圧が上昇されたときに、前記エンジンの排気ガス温度を上げるための油圧負荷を前記センタバイパス管路内に発生させる構成としている。
【0014】
一方、請求項3の発明によると、前記設定圧可変手段は、前記指令信号としてのパイロット圧が供給されることにより該パイロット圧に従って前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を変化させる構成とし、前記指令信号出力手段は、前記指令信号を低圧と高圧のパイロット圧として前記設定圧可変手段に切換可能に出力する電磁弁と、該電磁弁を低圧位置と高圧位置とに選択的に切換える制御信号を該電磁弁に出力するコントローラとを含んで構成し、該コントローラは、前記方向制御弁が中立位置に戻り、前記差圧検出手段で検出した前記フィルタ前,後の差圧が前記規定値を越えたときに、前記電磁弁を低圧位置から高圧位置に切換える制御を行う構成としている。
【0015】
また、請求項4の発明によると、前記リリーフ弁は、環状の弁座が形成された筒状の弁ケースと、該弁ケース内に変位可能に設けられ軸方向の一側が前記弁座に離着座する弁体と、該弁体を軸方向一側に向けて付勢するように前記弁ケース内に設けられ前記リリーフ設定圧を撓み量に応じて変化させる圧力設定ばねとを含んで構成し、前記設定圧可変手段は、前記圧力設定ばねの軸方向他側に位置して前記弁ケース内に変位可能に設けられ前記圧力設定ばねを前記弁体との間で軸方向両側から挟むピストンと、該ピストンの軸方向他側に位置して前記弁ケース内に形成され前記パイロット圧が供給されるパイロット油室とを有する構成とし、前記ピストンは、前記パイロット油室に供給されたパイロット圧を受圧することにより前記弁ケース内で前記圧力設定ばねを軸方向の一側に押動し、前記弁体との間で前記圧力設定ばねの撓み量を変化させる構成としている。
【0016】
請求項5の発明によると、前記設定圧可変手段は、前記指令信号としての制御信号に従って励磁または消磁されることにより前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を変化させる電磁アクチュエータにより構成し、前記指令信号出力手段は、前記電磁アクチュエータを励磁または消磁するための前記制御信号を前記電磁アクチュエータに出力するコントローラにより構成している。
【0017】
さらに、請求項6の発明によると、前記設定圧可変手段は、前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させたときに前記油圧ポンプの吐出容量が前記容量制御手段によって増大されるように、前記絞りの前,後差圧に替えて前記絞りの下流側圧力を前記容量制御手段に導く構成としている。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、請求項1の発明によれば、センタバイパス管路の途中に設けた方向制御弁よりも下流側となる位置に絞りと並列に配置されたリリーフ弁のリリーフ設定圧を、設定圧可変手段で上昇させることにより、センタバイパス管路を流れる圧油の圧力を上昇させて油圧負荷を発生することができる。従って、方向制御弁が中立位置に戻されてエンジンの負荷が小さくなり、フィルタ前,後の差圧が規定値を越えるような場合には、リリーフ弁の設定圧を上昇させてエンジンに油圧負荷を与えることにより、排気ガス浄化手段のフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させてフィルタを再生することができ、排気ガスの浄化処理を安定して行うことができ、これにより、排気ガス浄化手段の信頼性を向上することができる。装置全体の簡素化、省スペース化を図ることができる。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、設定圧可変手段によってリリーフ弁のリリーフ設定圧が上昇されると、エンジンの排気ガス温度を上げるための油圧負荷をセンタバイパス管路内に発生させる。これにより、エンジンは油圧ポンプを回転駆動する上での負荷が増大するので、負荷の増大に伴って燃料の噴射量を増やすことにより、燃料の燃焼温度を高めてエンジン出力を上げることができ、結果として排気ガスの温度を上昇することができる。このため、排気ガス浄化手段のフィルタに粒子状物質が堆積し、当該フィルタの前,後の差圧が規定値よりも大きくなった状態でも、前記フィルタを再生するために必要な温度以上まで排気ガスの温度を上昇させることができる。この結果、排気温度の高いガスを排気ガス浄化手段内に導くことができ、例えば粒子状物質除去用のフィルタに堆積した粒子状物質を高温なガスで焼き切ることにより当該フィルタの再生を円滑に行うことができる。
【0020】
一方、請求項3の発明によれば、設定圧可変手段は指令信号としてのパイロット圧に従ってリリーフ弁のリリーフ設定圧を変化させる構成とし、指令信号出力手段は電磁弁とコントローラとを有する構成としている。これにより、該コントローラは、方向制御弁が中立位置に戻り、フィルタ前,後の差圧が規定値を越えたときに、前記電磁弁を低圧位置から高圧位置に切換える制御を行い、前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を高圧のパイロット圧に従って低圧から高圧の設定値に上昇することができる。
【0021】
また、請求項4の発明によると、リリーフ弁を、弁ケース、弁体および圧力設定ばねにより構成し、設定圧可変手段は、前記弁ケース内に設けられたピストンと、該ピストンの軸方向他側に位置して前記弁ケース内に形成されパイロット圧が供給されるパイロット油室とを有する構成としている。これにより、前記ピストンは、前記パイロット油室に供給されたパイロット圧を受圧すると、前記弁ケース内で前記圧力設定ばねを軸方向に押動し、前記弁体との間で前記圧力設定ばねの撓み量を変化させるため、リリーフ弁のリリーフ設定圧を前記撓み量に応じて低圧な設定値と高圧な設定値とに変えることができる。
【0022】
しかも、この場合には、設定圧可変手段のピストンとパイロット油室とをリリーフ弁の弁ケース内に設けることにより、設定圧可変式のリリーフ弁を構成することができる。従って、このような設定圧可変式のリリーフ弁を既存のリリーフ弁と、例えば後付けで交換することにより、前述の如き排気ガス浄化手段のフィルタを簡単な構成により再生処理することができ、装置全体の簡素化を図ることができる。
【0023】
請求項5の発明によると、コントローラからの制御信号に従って電磁アクチュエータを励磁または消磁することにより、リリーフ弁のリリーフ設定圧を低圧な設定値と高圧な設定値とに可変に制御することができる。
【0024】
さらに、請求項6の発明によると、設定圧可変手段は、リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させたときに、センタバイパス管路の下流側に設けた絞りの前,後差圧に替えて前記絞りの下流側圧力を容量制御手段に導くので、これによって、容量制御手段は油圧ポンプの吐出容量が大容量となるようにポンプ容量の制御を行う。このため、エンジンは大容量状態の油圧ポンプを駆動することによって大きな負荷を受けるようになり、負荷の増大に伴って燃料の噴射量を増やす。これにより、燃料の燃焼温度を高めてエンジン出力を上げることができ、結果として排気ガスの温度を早期に上昇することができる。この結果、排気温度の高いガスを排気ガス浄化手段内に速やかに導くことができ、フィルタの再生処理を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧制御装置を備えたホイールローダを示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態による油圧制御装置の油圧回路等を示す回路構成図である。
【図3】図2中の設定圧可変式のリリーフ弁を拡大して示す縦断面図である。
【図4】リリーフ設定圧を高圧に設定した状態でのリリーフ弁を示す図3と同様位置での縦断面図である。
【図5】図2中のコントローラによるリリーフ弁の設定圧可変制御処理を示す流れ図である。
【図6】第2の実施の形態による油圧制御装置の油圧回路等を示す回路構成図である。
【図7】図6中の設定圧可変式のリリーフ弁を拡大して示す縦断面図である。
【図8】リリーフ設定圧を高圧に設定した状態でのリリーフ弁を示す図7と同様位置での縦断面図である。
【図9】第3の実施の形態による油圧制御装置の油圧回路等を示す回路構成図である。
【図10】第4の実施の形態による油圧制御装置の油圧回路等を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態による建設機械の油圧制御装置を、ホイールローダに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0027】
ここで、図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した建設機械としてのホイールローダである。そして、該ホイールローダ1は、後述の後輪6および前輪5により自走可能となった車体2を有している。
【0028】
ホイールローダ1の車体2は、後部車体3と、該後部車体3の前側に連結された前部車体4とにより構成されている。例えば、ステアリング操作時には、前部車体4が後部車体3に対して左,右に揺動するように走行方向が操舵されるものである。前部車体4には左,右の前輪5が設けられ、後部車体3には左,右の後輪6が設けられている。
【0029】
これらの前輪5および後輪6は、ホイールローダ1の車輪を構成し、例えば油圧閉回路(HST)を用いた走行用の油圧モータ(図示せず)等により4輪駆動されるものである。なお、本発明で採用した建設機械としてのホイールローダ1は、4輪駆動に限るものではなく、例えば前輪5または後輪6のみを駆動する構成であってもよい。また、走行用の油圧モータを用いることなく、後述するエンジン9からの回転出力により前輪5及び/又は後輪6を、走行用減速機(図示せず)等を介して駆動する構成とした建設機械にも適用することができる。
【0030】
7は車体2の前部側に設けられた作業装置で、該作業装置7は、前部車体4に俯仰動可能に取付けられたブーム7Aと、該ブーム7Aの先端側に回動可能に取付けられたローダバケット7Bと、ブーム7Aを上,下に昇降駆動する油圧シリンダからなる左,右一対のブームシリンダ7Cと、ローダバケット7Bを上,下に回動するバケットシリンダ7Dとにより大略構成されている。そして、作業装置7は、例えば土砂の掘起こし作業、すくい採り作業等をローダバケット7Bを用いて行うものである。
【0031】
8は後部車体3の前側位置に設けられたキャブで、該キャブ8は、作業装置7の後側に位置して車体2に搭載されたオペレータ用の操作運転部を構成するものである。そして、キャブ8は、オペレータが乗降する運転室を内部に画成し、この運転室内には、運転席、ステアリングハンドル、走行用ペダル、作業用レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0032】
9は後部車体3の後側に配置されたエンジンで、このエンジン9は、ホイールローダ1の原動機として搭載され、例えばディーゼルエンジンにより構成されている。また、エンジン9には、排気ガス通路の一部をなす排気管9Aの途中に後述の排気ガス浄化装置38が接続して設けられている。
【0033】
10はエンジン9により回転駆動される油圧ポンプで、該油圧ポンプ10は、図2に示すように作動油タンク11(以下、タンク11という)と共にホイールローダ1の油圧源を構成するものである。油圧ポンプ10は、例えば可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプ等によって構成されている。油圧ポンプ10は、例えば斜板、弁板等からなる容量可変部10Aを有し、該容量可変部10Aは、後述のレギュレータ12により駆動される。
【0034】
12は油圧ポンプ10に付設されたレギュレータで、該レギュレータ12は、油圧ポンプ10の容量を所謂ネガティブコントロールにより可変に制御する容量制御手段を構成している。レギュレータ12には、図2に示す後述の制御管路33A,33Bを介して絞り21の前,後の差圧(ネガティブコントロール用の制御圧)が供給される。レギュレータ12は、この制御圧に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを駆動し、前記差圧が所定の圧力範囲内に収まるように油圧ポンプ10の吐出容量(押のけ容積)を可変に制御する。
【0035】
13はメインの油圧ポンプ10の吐出側に接続された吐出管路で、該吐出管路13は、その先端側が後述する圧油の供給管路14、センタバイパス管路16に接続されている。そして、油圧ポンプ10から吐出された圧油は吐出管路13から供給管路14およびセンタバイパス管路16に向けて供給される。
【0036】
14は圧油の供給管路で、該供給管路14は、図2に示すように吐出管路13の先端側に接続して設けられている。後述のバケット用制御弁17、ブーム用制御弁19は、供給管路14により油圧ポンプ10に対して並列となるようにパラレル接続されている。供給管路14は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ7C、バケットシリンダ7D等に後述のバケット用制御弁17,ブーム用制御弁19を介して圧油を供給する。
【0037】
15はタンク11に接続された戻し管路で、該戻し管路15は、例えば後述する絞り21の下流側となる位置でセンタバイパス管路16と連通するように接続されている。戻し管路15は、センタバイパス管路16側から導かれた戻り油をタンク11に向けて排出(還流)させる。また、戻し管路15には、後述するバケット用制御弁17,ブーム用制御弁19等との間に分岐管部15A,15B等が設けられている。これらの分岐管部15A,15Bは、ブームシリンダ7C、バケットシリンダ7Dからの戻り油をタンク11へと排出(還流)させるものである。
【0038】
16は油圧ポンプ10の吐出側を戻し管路15を介してタンク11に接続するセンタバイパス管路である。このセンタバイパス管路16は、図2に示す如く一端側が吐出管路13の先端側で供給管路14に接続され、他端側は下流側となる位置で戻し管路15と接続されている。センタバイパス管路16は、後述のバケット用制御弁17,ブーム用制御弁19が共に中立位置(a)にある間は油圧ポンプ10をタンク11に接続して圧油を戻し管路15側に還流させる。しかし、図2に示すバケット用制御弁17,ブーム用制御弁19のうち、少なくとも一方の制御弁が中立位置(a)から切換位置(b),(c)に完全に切換わったときには、センタバイパス管路16を介した圧油の還流が遮断される。
【0039】
17はバケットシリンダ7D用の方向制御弁(以下、バケット用制御弁17という)で、該バケット用制御弁17は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成され、センタバイパス管路16の途中位置に配置されている。バケット用制御弁17は、中立位置(a)にある間はバケットシリンダ7Dに対する圧油の給排を停止する。バケット用制御弁17は、外部からパイロット圧が供給されることにより、図2に示す中立位置(a)から左,右の切換位置(b),(c)に切換えられる。
【0040】
18A,18Bはバケット用制御弁17とバケットシリンダ7Dとの間に設けられたバケットシリンダ用の主管路である。これらの主管路18A,18Bは、バケット用制御弁17が図2に示す中立位置(a)から切換位置(b)に切換わったときに、供給管路14からの圧油をバケットシリンダ7Dに対して給排し、バケットシリンダ7Dを縮小方向に駆動する。また、バケット用制御弁17が図2に示す中立位置(a)から切換位置(c)に切換わったときには、バケットシリンダ7Dが伸長方向に駆動されるものである。
【0041】
19はブームシリンダ7C用の方向制御弁(以下、ブーム用制御弁19という)で、該ブーム用制御弁19は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁として構成され、図2に示す如くバケット用制御弁17よりも下流側に位置してセンタバイパス管路16の途中に設けられている。ブーム用制御弁19は、外部からパイロット圧が供給されることにより、図2に示す中立位置(a)から左,右の切換位置(b),(c)に切換えられる。
【0042】
20A,20Bはブーム用制御弁19とブームシリンダ7Cとの間に設けられたブームシリンダ用の主管路である。これらの主管路20A,20Bは、ブーム用制御弁19が図2に示す中立位置(a)から切換位置(b)に切換わったときに、供給管路14からの圧油をブームシリンダ7Cに対して給排し、ブームシリンダ7Cを縮小方向に駆動する。また、ブーム用制御弁19が図2に示す中立位置(a)から切換位置(c)に切換わったときには、ブームシリンダ7Cが伸長方向に駆動されるものである。
【0043】
21はセンタバイパス管路16の下流側に設けられた絞りで、該絞り21は、センタバイパス管路16を流れる圧油、即ち戻し管路15に向けて流れる圧油に対し絞り作用を与え、その流量を制限する。このため、絞り21の前,後に位置する接続点21A,21B間には、絞り21による管路抵抗分の圧力差(差圧)が発生する。ここで、絞り21は、図3、図4中に示すように、後述する弁座筒26の径方向に穿設された複数のオリフィス孔により構成される。これらのオリフィス孔からなる絞り21は、弁ブロック23の油路23A,23B間、即ちセンタバイパス管路16と戻し管路15との間を、後述のリリーフ弁22を迂回して連通させるものである。
【0044】
22は本実施の形態で採用した設定圧可変式のリリーフ弁で、該リリーフ弁22は、図2に示す如く絞り21と並列になるように、接続点21A,21Bの間に接続して設けられている。リリーフ弁22は、絞り21の前,後差圧を予め決められたリリーフ設定圧以下に抑えるものである。リリーフ弁22は、後述の圧力設定ばね28によりリリーフ設定圧が決められている。リリーフ弁22は、センタバイパス管路16内を流れる圧油の圧力を後述の弁座筒26側で受圧する。弁座筒26内の圧力が圧力設定ばね28による設定圧を越えると、リリーフ弁22は開弁し、このときの過剰圧を弁筒25の径方向孔25A側から油路23A、戻し管路15側に流通させてリリーフ機能を発揮する。
【0045】
ここで、リリーフ弁22は、図3、図4に示すように弁ブロック23内に着脱可能に取付けられた後述の弁ケース24、弁体27および圧力設定ばね28により構成され、後述のピストン30およびパイロット油室32等からなる設定圧可変部29が付設されている。即ち、設定圧可変式のリリーフ弁22は、後述の弁ケース24、弁体27、圧力設定ばね28、ピストン30および蓋体31等により、弁ブロック23の弁取付穴23Cに対して後付けで着脱可能なカートリッジタイプのリリーフ弁として構成されている。
【0046】
弁ブロック23は、例えばバケット用制御弁17とブーム用制御弁19との弁ハウジングを兼用し、戻し管路15を構成する油路23Aと、センタバイパス管路16を構成する油路23B等とが形成されている。また、弁ブロック23には、油路23A,23Bの交差位置に後述する弁ケース24用の弁取付穴23Cが形成されている。弁取付穴23Cは、軸方向の一側が油路23Bと同軸となるように配置され、軸方向の他側は、弁ブロック23の外側面に開口する開口端23Dとなっている。
【0047】
24はリリーフ弁22の一部を構成する段付筒状の弁ケースで、該弁ケース24は、弁ブロック23の弁取付穴23C内に開口端23D側から挿入され弁取付穴23C内に螺着される段付筒状の弁筒25と、該弁筒25の軸方向一側に嵌合して設けられ弁筒25と一体化される弁座筒26とにより構成されている。弁ケース24の弁筒25内には、後述の弁体27、圧力設定ばね28およびピストン30が軸方向に変位可能に設けられている。
【0048】
弁筒25の軸方向一側には、複数の径方向孔25Aが穿設され、これらの径方向孔25Aは、弁ブロック23の油路23Aと常時連通する油孔となっている。また、弁筒25の軸方向他側は、弁ブロック23の開口端23Dから外側に突出し、その外周面は、例えば六角形状の角部25Bとなっている。この角部25Bにスパナ等の工具を係合させることにより、弁筒25は弁ブロック23の弁取付穴23C内に螺着される。
【0049】
弁ケース24の弁座筒26は、弁ケース24を弁ブロック23の開口端23D側から弁取付穴23C内に組付けるときに、弁筒25の先端側(軸方向の一側)に予め嵌合して弁筒25と一体化される。弁座筒26は弁筒25と一緒に、この状態で弁取付穴23Cの奥所側へと挿入され、弁座筒26の軸方向一側は、弁ブロック23の油路23B側に嵌合して固定される。また、弁座筒26の軸方向他側には、後述の弁体が離着座する環状の弁座26Aが形成されている。ここで、図3、図4中に示すように、弁座筒26の径方向に穿設されたオリフィス孔からなる絞り21は、弁座筒26の内周側(弁ブロック23の油路23B側)を油路23Aに対して常時連通させる。
【0050】
27は弁筒25の軸方向一側に摺動変位可能に挿嵌して設けられた弁体で、該弁体27は、弁座筒26の弁座26Aと軸方向で対向するように弁筒25内に取付けられている。弁体27は、弁座26Aに離着座することにより、弁ブロック23の油路23A,23B間を弁座筒26、弁筒25の各径方向孔25A等を介して連通,遮断するものである。
【0051】
28は弁ケース24の弁筒25内に設けられた圧力設定ばねで、該圧力設定ばね28は、後述のピストン30と弁体27との間にプリセット状態(弾性変形状態)で配置され、弁体27を軸方向一側の弁座26Aに向けて常時閉弁方向に付勢している。これにより、圧力設定ばね28は、その初期撓み量に応じてリリーフ弁22のリリーフ設定圧を規定するものである。
【0052】
29は設定圧可変手段を構成する設定圧可変部で、該設定圧可変部29は、圧力設定ばね28の軸方向他側に位置して弁ケース24の弁筒25内に摺動変位可能に設けられ、弁体27との間で圧力設定ばね28を軸方向両側から挟むばね受を兼用したピストン30と、後述のパイロット油室32等とにより構成されている。設定圧可変部29のピストン30は、パイロット油室32に供給されたパイロット圧を受圧することにより、弁筒25内を軸方向に摺動変位して圧力設定ばね28を弁体27側に押動する。
【0053】
このため、圧力設定ばね28の初期撓み量は、ピストン30の軸方向変位に応じて可変に設定される。リリーフ弁22のリリーフ設定圧は、圧力設定ばね28の初期撓み量に従って決定され、図3に示すように初期撓み量が小さいときには低圧な設定値となる。図4に示すように圧力設定ばね28の初期撓み量が大きくなると、リリーフ弁22のリリーフ設定圧は上昇し高圧な設定値に変更される。
【0054】
31は弁筒25の軸方向他側に螺着して設けられたねじ付きの蓋体で、該蓋体31は、短尺の鍔付プラグとして形成され、弁筒25の他側部位を外部に対して閉塞している。蓋体31は、ピストン30との間で弁筒25内に後述のパイロット油室32を形成する。また、蓋体31の中心側には、パイロット圧の導入穴31Aが軸方向穴として形成され、この導入穴31Aには、後述の指令圧管路35が接続される。
【0055】
32はリリーフ弁22の弁筒25内に形成されたパイロット油室で、該パイロット油室32は、弁筒25内でピストン30と蓋体31との間に位置する油圧室として形成されている。パイロット油室32内には、蓋体31の導入穴31A、指令圧管路35を介してパイロット圧が供給される。
【0056】
33A,33Bは一対の制御管路で、該制御管路33A,33Bのうち一方の制御管路33Aは、図2に示すように、絞り21の前,後に位置する接続点21A,21Bのうち一方の接続点21A側に接続され、他方の制御管路33Bは、他方の接続点21B側に接続されている。即ち、一方の制御管路33Aには絞り21の上流側圧力が導かれ、他方の制御管路33Bには絞り21の下流側圧力が導かれる。また、制御管路33A,33Bは、その先端側が図2に示す如くレギュレータ12に接続され、絞り21の前,後差圧をレギュレータ12に導くものである。
【0057】
これにより、絞り21の前,後に発生する差圧は、制御管路33A,33Bを介してレギュレータ12にネガティブコントロール用の制御圧となって供給される。レギュレータ12は、この制御圧に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを駆動し、前記差圧が所定の圧力範囲内に収まるように油圧ポンプ10の吐出容量(押除け容積)を可変に制御する。
【0058】
34はタンク11と共に副油圧源を構成するパイロットポンプで、該パイロットポンプ34は、図2に示すメインの油圧ポンプ10と共にエンジン9によって回転駆動される。パイロットポンプ34は、タンク11内から吸込んだ作動油を指令圧管路35内に向けて吐出することにより後述のパイロット圧を発生させるものである。ここで、指令圧管路35は、その一端側が後述の電磁弁36に接続され、他端側が前記蓋体31の導入穴31Aに接続されている。
【0059】
36は指令信号を低圧と高圧のパイロット圧として設定圧可変部29に切換可能に出力する遠隔操作弁としての電磁弁を示している。この電磁弁36は、後述のコントローラ41と共に指令信号出力手段を構成している。電磁弁36は、例えば3ポート2位置の電磁式方向制御弁により構成され、後述のコントローラ41から出力される制御信号によって低圧位置(d)から高圧位置(e)に切換えられる。電磁弁36が低圧位置(d)にある間は、指令圧管路35内のパイロット圧がタンク圧に等しい低圧状態に保持される。
【0060】
電磁弁36が低圧位置(d)から高圧位置(e)に切換わると、指令圧管路35内にはパイロットポンプ34の吐出圧がパイロット圧となって供給される。これにより、設定圧可変部29のパイロット油室32には、パイロットポンプ34からのパイロット圧が供給され、ピストン30は、このパイロット圧を受圧することにより弁筒25内を軸方向に摺動変位して圧力設定ばね28を弁体27側に押動する。この結果、圧力設定ばね28の初期撓み量が大きくなって、リリーフ弁22はリリーフ設定圧が上昇し、高圧な設定圧に変更される。
【0061】
37は油圧ポンプ10の吐出側に設けられたメインのリリーフ弁を示し、該リリーフ弁37は、高圧リリーフ弁を構成し、吐出管路13と戻し管路15との間に設けられている。そして、リリーフ弁37は、メインの油圧ポンプ10による圧油の最高吐出圧を設定し、これ以上の過剰圧をタンク11側にリリーフするものである。
【0062】
38はエンジン9の排気側に設けられた排気ガス浄化手段(以下、排気ガス浄化装置38という)で、該排気ガス浄化装置38は、エンジン9の排気ガス中に含まれる有害物質を除去して浄化するものである。即ち、ディーゼルエンジンからなるエンジン9は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)等の有害物質が排気ガスと一緒に排出されてしまう。
【0063】
そこで、エンジン9の排気管9A側に取付けられる排気ガス浄化装置38は、一酸化炭素(CO)等を酸化して除去する酸化触媒、粒子状物質(PM)を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(いずれも図示せず)を含んで構成されている。前記粒子状物質除去フィルタは、エンジン9の排気ガス中から前記粒子状物質を捕集すると共に、捕集した粒子状物質を燃焼して除去することにより排気ガスの浄化を行う。そして、粒子状物質除去フィルタは、前述の如く捕集した粒子状物質を燃焼させることにより、フィルタの再生が行われるものである。
【0064】
39はエンジン9の排気ガス浄化装置38に付設された差圧検出手段としての差圧センサで、該差圧センサ39は、排気ガス浄化装置38に設けられた前記粒子状物質除去フィルタの上流側(入口側)と下流側(出口側)とに配置され、その前,後差圧を検出する。差圧センサ39は、その検出信号を後述のコントローラ41に出力する。コントローラ41は、差圧センサ39からの検出信号により前記粒子状物質除去フィルタに付着した粒子状物質、未燃焼残留物等の堆積量を推定することができる。
【0065】
40はフィルタ再生指令スイッチで、該フィルタ再生指示スイッチ40は、例えばキャブ8(図1参照)内に設けられ、オペレータにより手動で閉成,開成操作される。フィルタ再生指示スイッチ40を閉成したときに、コントローラ41は、このときの指示信号に従って前記粒子状物質除去フィルタの再生を行う時期であるか否かを判定する。
【0066】
41はマイクロコンピュータ等からなる制御手段としてのコントローラで、該コントローラ41は、電磁弁36と共に指令信号出力手段を構成している。コントローラ41の入力側は、差圧センサ39、フィルタ再生指示スイッチ40および中立位置検出器42等に接続され、その出力側は電磁弁36等に接続されている。また、コントローラ41は、ROM、RAMおよび不揮発性メモリ等からなる記憶部41Aを有し、この記憶部41A内には、後述の図5に示す電磁弁36の切換制御用処理プログラム等が格納されている。
【0067】
前記中立位置検出器42は、図2に示す油圧回路を例に挙げた場合に、バケット用制御弁17とブーム用制御弁19とが全て中立位置(a)に戻っているときに、これを中立位置として検出する。即ち、ホイールローダ1に搭載された全ての油圧アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ7C、バケットシリンダ7D等)が停止状態にあるか否かを、中立位置検出器42は検出するものである。
【0068】
本実施の形態によるホイールローダ1の油圧制御装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0069】
まず、ホイールローダ1のオペレータが車体2のキャブ8に搭乗した状態でエンジン9を起動すると、エンジン9によって油圧ポンプ10とパイロットポンプ34とが回転駆動される。これにより、油圧ポンプ10から吐出管路13、供給管路14、センタバイパス管路16に向けて圧油が吐出される。
【0070】
バケット用制御弁17とブーム用制御弁19とが共に中立位置(a)にある間は、センタバイパス管路16により油圧ポンプ10とタンク11とが接続されるので、センタバイパス管路16内を流れる圧油は戻し管路15を通じてタンク11に還流される。このとき、接続点21A,21B間に配置した絞り21は、センタバイパス管路16内を流れる圧油に対して絞り作用を与え、絞り21の前,後に差圧を発生させる。このときの差圧は、絞り21を流通する圧油の流量が大きいときには上昇し、流量が小さくなると低下する。
【0071】
そこで、レギュレータ12は、制御管路33A,33Bを介して供給されるネガティブコントロール用の制御圧(絞り21による差圧)に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを駆動し、前記差圧が所定の圧力範囲内に収まるように油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を可変に制御する。
【0072】
即ち、絞り21の前,後の差圧が大きいときには、油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を減少させるように、レギュレータ12は油圧ポンプ10の容量可変部10Aを小流量側に駆動する。絞り21の前,後の差圧が小さくなると、油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を増大させるように、レギュレータ12は油圧ポンプ10の容量可変部10Aを大流量側に駆動する。これにより、油圧ポンプ10からセンタバイパス管路16を介してタンク11へと無駄に排出される圧油の流量を減らし、省エネルギ化を図ることができる。
【0073】
一方、キャブ8内のオペレータが作業用の操作レバーを操作して、バケット用制御弁17を中立位置(a)から切換位置(b),(c)にいずれかに切換えると、供給管路14からの圧油がバケットシリンダ7Dに主管路18A,18Bを介して供給,排出され、作業装置7のローダバケット7Bがバケットシリンダ7Dにより回動される。また、ブーム用制御弁19を中立位置(a)から切換位置(b),(c)にいずれかに切換えると、供給管路14からの圧油がブームシリンダ7Cに主管路20A,20Bを介して供給,排出され、ブーム7Aがブームシリンダ7Cにより上,下に昇降される。このように、作業装置7はブーム7Aとローダバケット7Bを作動させることにより、例えば土砂の掘起こし作業、すくい採り作業等を行うことができる。
【0074】
ここで、コントローラ41による電磁弁36の切換制御処理について、図5を参照して説明する。即ち、処理動作がスタートすると、ステップ1でフィルタ再生指示スイッチ40が閉成されているか否かを判定する。ステップ1で「NO」と判定する間は、フィルタ再生指示スイッチ40が開成されているので、次のステップ2に移って電磁弁36に対する制御信号の出力を停止し、電磁弁36を図2に示す低圧位置(d)に保持する。
【0075】
このため、指令圧管路35内のパイロット圧は、タンク11内の圧力と同等な低圧状態となり、リリーフ弁21の設定圧可変部29は、圧力設定ばね28を図3に示す如くばね長が長い状態にして、その初期撓み量を相対的に小さく保ち、リリーフ設定圧を低圧な状態に保持する。そして、その後はステップ3に移ってリターンされる。
【0076】
一方、ステップ1で「YES」と判定したときには、フィルタ再生指示スイッチ40が閉成され、オペレータが前記粒子状物質除去フィルタの再生処理を行うように指示している場合である。そこで、次のステップ4に移って中立位置検出器42からの検出信号により、バケット用制御弁17とブーム用制御弁19とが全て中立位置(a)に戻っているか否かを判定する。ステップ4で「NO」と判定する間は、バケット用制御弁17及び/又はブーム用制御弁19が中立位置(a)から切換操作されているので、ステップ2に移って電磁弁36に対する制御信号の出力を停止した状態に保つ。
【0077】
ステップ4で「YES」と判定したときには、次のステップ5に移って前記粒子状物質除去フィルタの前,後差圧が規定圧以上まで上昇しているか否かを、差圧センサ39からの検出信号により判定する。ステップ5で「NO」と判定する間は、差圧センサ39による差圧が規定圧まで上昇していない。即ち、前記粒子状物質除去フィルタに付着した粒子状物質、未燃焼残留物等の堆積量は、フィルタの再生を行う必要なレベルまで増加していないと判断することができる。このため、ステップ2で電磁弁36に対する制御信号の出力を停止、または停止状態を継続し、電磁弁36を図2に示す低圧位置(d)に保持する。
【0078】
しかし、ステップ5で「YES」と判定したときには、差圧センサ39による差圧が規定圧以上となり、フィルタの再生を行う必要がある。このため、次のステップ6に移って電磁弁36に制御信号を出力し、電磁弁36を図2に示す低圧位置(d)から高圧位置(e)に切換える。これにより、指令圧管路35内にはパイロットポンプ34からの圧油が高圧なパイロット圧として導入され、設定圧可変部29のパイロット油室32には、高圧なパイロット圧が供給される。
【0079】
このため、設定圧可変部29のピストン30は、このパイロット圧を受圧することにより弁筒25内を軸方向に摺動変位して圧力設定ばね28を弁体27側に押動する。この結果、リリーフ弁22は、図4に示す如く圧力設定ばね28の初期撓み量が大きくなって、リリーフ設定圧が上昇し、高圧な設定圧に変更される。このように、リリーフ弁22のリリーフ設定圧が高圧に設定されると、センタバイパス管路16内には高圧なリリーフ設定圧に対応した油圧負荷が発生する。
【0080】
また、バケット用制御弁17とブーム用制御弁19とが共に中立位置(a)にある間は、油圧ポンプ10からの圧油がセンタバイパス管路16から絞り21、戻し管路15を介してタンク11に還流され、絞り21の前,後差圧は大きくなっている。このため、レギュレータ12は、制御管路33A,33Bを介して供給されるネガティブコントロール用の制御圧(絞り21の前,後差圧)に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを小容量側に駆動する。
【0081】
しかし、このときには、リリーフ弁22のリリーフ設定圧が高圧状態にあるので、センタバイパス管路16内に発生する油圧負荷が増加し、エンジン9は油圧ポンプ10を回転駆動する上での負荷が増大している。このため、エンジン9は負荷の増大に伴って燃料の噴射量を増やすことにより、燃料の燃焼温度を高めてエンジン出力を上げることができ、結果として排気ガスの温度を上昇することができる。従って、排気温度の高いガスを排気ガス浄化装置38内に導くことができ、例えば粒子状物質除去用のフィルタに堆積した粒子状物質を、高温なガスで焼き切ることにより当該フィルタの再生を円滑に行うことができる。
【0082】
かくして、第1の実施の形態によれば、ネガティブコントロール用の絞り21と並列に設けられるリリーフ弁22を、ピストン30およびパイロット油室32等からなる設定圧可変部29が付設された設定圧可変式のリリーフ弁22として構成している。コントローラ41は、ホイールローダ1に搭載された全ての油圧アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ7C、バケットシリンダ7D等)が停止状態にあることを中立位置検出器42で検出し、かつ、エンジン9の排気側に設けた排気ガス浄化装置38のフィルタ前,後差圧が規定値以上であると差圧センサ39により検出したときに、リリーフ弁22のリリーフ設定圧を低圧な状態から高圧な状態に変更する構成としている。
【0083】
このため、排気ガス浄化装置38のフィルタに粒子状物質が堆積し、当該フィルタの再生処理が必要なときには、ホイールローダ1の全ての油圧アクチュエータが停止状態にあるときでも、リリーフ弁22のリリーフ設定圧を高圧状態に変更することにより、センタバイパス管路16内に高圧なリリーフ設定圧に対応した油圧負荷を発生させることができる。
【0084】
これにより、エンジン9は油圧負荷の増大に伴って燃料の噴射量を増やすことにより、燃料の燃焼温度を高めてエンジン出力を上げることができ、排気ガス浄化装置38のフィルタを再生するために必要な温度以上まで排気ガスの温度を上昇させることができる。この結果、排気ガス浄化装置38は、フィルタの再生処理を必要に応じて行うことが可能となり、排気ガスの浄化処理を長期にわたって安定的に行うことができる。これにより、排気ガス浄化装置38の信頼性を向上することができる。
【0085】
しかも、リリーフ弁22の弁ケース24(弁筒25)内には、設定圧可変部29のピストン30とパイロット油室32とを設けることにより、設定圧可変式のリリーフ弁22を構成している。このリリーフ弁22は、弁ブロック23の弁取付穴23Cに対して後付けで着脱可能なカートリッジタイプのリリーフ弁として構成している。このため、設定圧可変式のリリーフ弁22を既存のリリーフ弁に対して、後付けで容易に交換することができる。即ち、ネガティブコントロールによりポンプ容量の制御を行う油圧制御装置に対して、設定圧可変式のリリーフ弁22を高い汎用性をもって適用することができる。
【0086】
従って、第1の実施の形態によれば、設定圧可変式のリリーフ弁22をカートリッジタイプとして構成することにより、エンジン9の排気側に設ける排気ガス浄化装置38のフィルタを、簡単な構成により再生処理することができ、装置全体の簡素化、省スペース化を図ることができる。設定圧可変式のリリーフ弁22は、バケット用制御弁17、ブーム用制御弁19と共に単一の弁ブロック23にコンパクトに収納して組立てることができ、組立て時の作業性を向上することができる。
【0087】
また、設定圧可変式のリリーフ弁22に対して指令信号を出力する指令信号出力手段を、前記指令信号を低圧と高圧のパイロット圧としてリリーフ弁22の設定圧可変部29に切換可能に出力する電磁弁36と、該電磁弁36を低圧位置(d)と高圧位置(e)とに選択的に切換える制御信号を電磁弁36に出力するコントローラ41とにより構成している。
【0088】
このため、コントローラ41は、バケット用制御弁17およびブーム用制御弁19等が全て中立位置(a)に戻り、差圧センサ39で検出した前記フィルタ前,後の差圧が規定値を越えたときに、電磁弁36を低圧位置(d)から高圧位置(e)に切換える制御を行うことにより、設定圧可変部29のパイロット油室32に高圧なパイロット圧を供給することができ、リリーフ弁22のリリーフ設定圧を高圧状態に変更することができる。
【0089】
この結果、センタバイパス管路16内に高圧なリリーフ設定圧に対応した油圧負荷を発生させることができ、油圧ポンプ10に対する油圧負荷を増大できる。これにより、エンジン9は油圧ポンプ10を回転駆動する上での負荷が増大するので、負荷の増大に伴って燃料の噴射量を増やす。このため、燃料の燃焼温度を高めてエンジン出力を上げることができ、結果として排気ガスの温度を上昇することができる。
【0090】
従って、エンジン9の負荷が小さい状態での運転により排気ガスの温度が下がったときには、前記油圧負荷によってエンジン9の負荷を高めることができる。これにより、排気ガス浄化装置38のフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させてフィルタを再生することができ、排気ガスの浄化処理を安定して行うことができる。そして、排気ガス浄化装置38の信頼性を向上することができる。
【0091】
次に、図6ないし図8は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、設定圧可変手段によりリリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させたときに、ネガティブコントロールによる油圧ポンプの吐出容量を増大させる構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0092】
図中、51は本実施の形態で採用した弁ブロックで、該弁ブロック51は、第1の実施の形態で述べた弁ブロック23とほぼ同様にバケット用制御弁17とブーム用制御弁19との弁ハウジングを兼用して構成され、戻し管路15を構成する油路51Aと、センタバイパス管路16を構成する油路51B等とが形成されている。また、弁ブロック51には、油路51A,51Bの交差位置に後述する弁ケース53用の弁取付穴51Cが形成されている。
【0093】
弁ブロック51の弁取付穴51Cは、軸方向の一側が油路51Bと同軸となるように配置され、軸方向の他側は、弁ブロック51の外側面に開口する開口端51Dとなっている。また、弁ブロック51には、弁取付穴51Cから径方向外向きに延びる2つの油穴51E,51Fが形成され、該油穴51E,51Fは、弁取付穴51Cの軸方向で互いに離間した位置に配置されている。このうち一方の油穴51Eは、その先端側(図示せず)が戻し管路15を構成する油路51Aに連通し、他方の油穴51Fは、後述の制御管路58Aと連通している。
【0094】
52は本実施の形態で採用した設定圧可変式のリリーフ弁で、該リリーフ弁52は、第1の実施の形態で述べたリリーフ弁22とほぼ同様に構成され、絞り21の前,後差圧を圧力設定ばね28によるリリーフ設定圧以下に抑えるものである。即ち、リリーフ弁52は、弁座筒26内の圧力が圧力設定ばね28による設定圧を越えると後述の弁体55が開弁し、このときの過剰圧を弁筒54の径方向孔54A側から油路51A、戻し管路15側に流通させてリリーフ機能を発揮する。
【0095】
ここで、リリーフ弁52は、図7、図8に示すように弁ブロック51内に着脱可能に取付けられた後述の弁ケース53、弁体55および圧力設定ばね28により構成され、後述のピストン57およびパイロット油室32等からなる設定圧可変部56が付設されている。即ち、設定圧可変式のリリーフ弁52は、後述の弁ケース53、弁体55、圧力設定ばね28、蓋体31およびピストン57等により、弁ブロック51の弁取付穴51Cに対して後付けで着脱可能なカートリッジタイプのリリーフ弁として構成されている。
【0096】
53はリリーフ弁52の一部を構成する段付筒状の弁ケースで、該弁ケース53は、第1の実施の形態で述べた弁ケース24と同様に、弁ブロック51の弁取付穴51C内に開口端51D側から挿入され弁取付穴51C内に螺着される段付筒状の弁筒54と、該弁筒54の軸方向一側に嵌合して設けられ弁筒54と一体化される弁座筒26とにより構成されている。弁ケース53の弁筒54内には、後述の弁体55、圧力設定ばね28およびピストン57が軸方向に変位可能に設けられている。
【0097】
弁筒54には、第1の実施の形態で述べた弁筒25と同様に、軸方向一側に複数の径方向孔54Aが穿設され、軸方向他側には、例えば六角形状の角部54Bが設けられている。また、弁筒54の軸方向他側には蓋体31が螺着して設けられ、蓋体31と後述のピストン57との間には、弁筒54内に位置してパイロット油室32が形成されている。しかし、この場合の弁筒54には、軸方向の中間部に位置し後述のピストン57が挿嵌されるピストン摺動穴54Cと、該ピストン摺動穴54Cの軸方向中間位置に互いに離間して形成された環状の油溝54D,54Eとが設けられている。これらの油溝54D,54Eは、弁ブロック51の油穴51E,51Fと恒常的に連通する油通路を構成している。
【0098】
55は弁筒54の軸方向一側に摺動変位可能に挿嵌して設けられた弁体で、該弁体55は、第1の実施の形態で述べた弁体27と同様に構成され、弁座筒26の弁座26Aと軸方向で対向するように弁筒54内に取付けられている。弁体55は、圧力設定ばね28に抗して弁座26Aに離着座することにより、弁ブロック51の油路51A,51B間を弁座筒26、弁筒54の各径方向孔54A等を介して連通,遮断するものである。また、弁体55の軸方向一側には、弁座筒26内と恒常的に連通する連通穴55Aが形成されている。
【0099】
56は設定圧可変手段を構成する設定圧可変部で、該設定圧可変部56は、第1の実施の形態で述べた設定圧可変部29とほぼ同様に、パイロット油室32とピストン57等とにより構成されている。しかし、この場合の設定圧可変部56は、ピストン57により圧力設定ばね28の初期撓み量を大,小に変化させるばかりではなく、下記の構成を備えている。即ち、設定圧可変部56は、図6に示すように初期位置(f)と切換位置(g)とに指令圧管路35からのパイロット圧に従って切換わる油圧パイロット式切換弁を弁筒54等と共に構成している。
【0100】
ここで、ピストン57は、第1の実施の形態で述べたピストン30とほぼ同様に構成され、圧力設定ばね28の軸方向他側に位置して弁筒54のピストン摺動穴54C内に変位可能に挿嵌されている。ピストン57の軸方向一側部位は、弁体55との間で圧力設定ばね28を軸方向両側から挟むばね受を兼用している。ピストン57は、その軸方向他側でパイロット油室32に供給されたパイロット圧を受圧することにより、弁筒54のピストン摺動穴54C内を軸方向に摺動変位して圧力設定ばね28を弁体55側に押動する。
【0101】
しかし、この場合のピストン57には、その外周側に形成され軸方向に互いに離間した2つの環状溝57A,57Bと、該環状溝57A,57Bのうち軸方向一側寄りに位置する小さい方の環状溝57Bと連通するようにピストン57内に形成された油通路57Cとが設けられている。この油通路57Cは、ピストン57の軸方向一側の端面に開口し、圧力設定ばね28の内側部位および弁体55の連通穴55Aを介してセンタバイパス管路16(油路51B)と常時連通している。前記環状溝57Aは、前記環状溝57Bよりもピストン57の軸方向他側位置で環状溝57Bよりも軸方向に長く延びて形成されている。この環状溝57Aは、ピストン57の摺動変位に応じて弁筒54の油溝54D,54E間を連通,遮断する機能を有している。
【0102】
図7に示すように圧力設定ばね28の初期撓み量が小さいとき(リリーフ設定圧が低圧のとき)に、前記環状溝57Bは弁筒54の油溝54Eと径方向で対向し、互いに連通した状態となる。このとき、環状溝57Aは、弁筒54の油溝54Dのみと連通し、油溝54Eに対して遮断され、図6に示す設定圧可変部56は、初期位置(f)に配置されている。このため、弁ブロック51の油穴51F(後述の制御管路58A)は、ピストン57の油通路57C、圧力設定ばね28の内側部位および弁体55の連通穴55Aを介してセンタバイパス管路16(油路51B)と連通し、弁体55が開弁するまでは戻し管路15側に対して遮断される。
【0103】
しかし、パイロット油室32内のパイロット圧によりピストン57が圧力設定ばね28に抗して軸方向一側に変位し、図6に示す設定圧可変部56が初期位置(f)から切換位置(g)に切換わると、圧力設定ばね28の初期撓み量が大きくなり、リリーフ設定圧が高圧に変更される。このとき、図8に示すように環状溝57Bは、弁筒54の油溝54Eに対して遮断され、弁筒54の油溝54D,54E間は環状溝57Aを介して互いに連通した状態となる。このため、弁ブロック51の油穴51F(後述の制御管路58A)は、油溝54E、環状溝57A、油溝54Dを介して油穴51E(戻し管路15)と連通し、ピストン57の環状溝57B、油通路57Cに対しては遮断される。
【0104】
58A,58Bは本実施の形態で採用した一対の制御管路で、該制御管路58A,58Bは、第1の実施の形態で述べた制御管路33A,33Bと同様に、その先端側が図6に示す如くレギュレータ12に接続され、絞り21の前,後差圧をレギュレータ12に導くものである。しかし、この場合の制御管路58A,58Bのうち一方の制御管路58Aは、弁ブロック51の油穴51Fに接続され、他方の制御管路58Bは、絞り21の前,後に位置する接続点21A,21Bのうち接続点21B側に接続されている。
【0105】
ここで、リリーフ弁52の設定圧可変部56が初期位置(f)にある間は、一方の制御管路58Aがピストン57の油通路57C、弁体55の連通穴55Aを介して絞り21の一方の接続点21A(センタバイパス管路16)側に接続される。これにより、絞り21の前,後に発生する差圧は、制御管路58A,58Bを介してレギュレータ12にネガティブコントロール用の制御圧となって供給される。レギュレータ12は、この制御圧に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを駆動し、前記差圧が所定の圧力範囲内に収まるように油圧ポンプ10の吐出容量(押除け容積)を可変に制御する。
【0106】
しかし、指令圧管路35からのパイロット圧によりリリーフ弁52の設定圧可変部56が初期位置(f)から切換位置(g)に切換わったときには、一方の制御管路58Aがピストン57の環状溝57A等を介して戻し管路15に連通すると共に、他方の制御管路58Bにも連通した状態となる。即ち、制御管路58A,58Bは、絞り21の下流側に位置する接続点21Bに対して共に接続され、戻し管路15を介してタンク11に接続される。
【0107】
このため、制御管路58A,58B内の圧力は、互いにほぼ等しい圧力(タンク圧)状態となり、レギュレータ12にはネガティブコントロール用の制御圧が零に近い圧力となって供給される。従って、レギュレータ12は、油圧ポンプ10の容量可変部10Aを大傾転位置まで駆動し、油圧ポンプ10の吐出容量(押除け容積)が最大となるように容量制御を行う。
【0108】
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、排気ガス浄化装置38のフィルタに粒子状物質が堆積し当該フィルタの再生処理が必要なときには、リリーフ弁52のリリーフ設定圧を高圧状態に変更することにより、センタバイパス管路16内に高圧なリリーフ設定圧に対応した油圧負荷を発生させることができ、第1の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0109】
しかも、第2の実施の形態によれば、リリーフ弁52の設定圧可変部56(ピストン57)を指令圧管路35からのパイロット圧により、図6に示す初期位置(f)から切換位置(g)に切換えたときには、センタバイパス管路16内に油圧負荷を発生させるばかりでなく、絞り21の前,後差圧に替えて絞り21の下流側圧力を制御管路58A,58B内へと共に導く。これにより、制御管路58A,58B内は互いにほぼ等しい圧力となり、レギュレータ12にはネガティブコントロール用の制御圧が零に近い圧力となって供給される。
【0110】
このため、油圧ポンプ10の容量可変部10Aは、レギュレータ12により大傾転位置まで傾転駆動され、油圧ポンプ10は、吐出容量(押除け容積)が最大となるように容量制御される。従って、エンジン9は、大容量状態の油圧ポンプ10を回転駆動するために回転負荷が大きくなり、これに伴って排気ガスの温度を、より短時間で上昇することができる。これによって、排気ガス浄化装置38のフィルタに堆積した粒子状物質を、第1の実施の形態よりも短時間で燃焼させて当該フィルタを再生することができ、排気ガスの浄化処理をより一層に安定して行うことができると共に、排気ガス浄化装置38としての信頼性を向上することができる。
【0111】
さらに、この場合でも、設定圧可変式のリリーフ弁52を、弁ケース53、弁体55、圧力設定ばね28、蓋体31およびピストン57等によりカートリッジタイプのリリーフ弁として構成することにより、既存の弁装置(図示せず)に対しても後付けで着脱可能に交換して取付けることができる。設定圧可変式のリリーフ弁52は、バケット用制御弁17、ブーム用制御弁19と共に単一の弁ブロック51にコンパクトに収納して組立てることができ、組立て時の作業性を向上することができる。
【0112】
次に、図9は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、設定圧可変手段として電磁アクチュエータを採用することにより、リリーフ弁を電磁式の圧力制御弁として構成したことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0113】
61は第3の実施の形態で採用した設定圧可変式のリリーフ弁で、該リリーフ弁61は、第1の実施の形態で述べたリリーフ弁22と同様に、絞り21と並列になるように接続点21A,21Bの間に設けられている。また、リリーフ弁61は、第1の実施の形態で述べた圧力設定ばね28と同様の圧力設定ばね62を有し、絞り21の前,後差圧を予め決められたリリーフ設定圧以下に抑えるものである。
【0114】
しかし、この場合のリリーフ弁61には、設定圧可変手段としての電磁アクチュエータ63が設けられ、リリーフ弁61は、電磁式の圧力制御弁として構成されている。電磁アクチュエータ63は、後述のコントローラ64から出力される制御信号により励磁または消磁される。電磁アクチュエータ63が消磁されている間、リリーフ弁61のリリーフ設定圧は、圧力設定ばね62によって決定され、低圧な設定値となる。一方、電磁アクチュエータ63が励磁されると、リリーフ弁61のリリーフ設定圧は、高圧な設定値に変更される。
【0115】
即ち、電磁アクチュエータ63は、コントローラ64からの制御信号により励磁されると、リリーフ弁61を閉弁状態に保ち、当該リリーフ弁61を介した油液の流通を遮断する。このため、油圧ポンプ10からタンク11へとセンタバイパス管路16を通じて流れる圧油は、接続点21Aから絞り21のみを介して接続点21Bへと流れ、リリーフ弁61の前,後を流通することはなくなる。従って、電磁アクチュエータ63を励磁している間は、リリーフ弁61が高圧設定されるため、油圧ポンプ10に対する油圧負荷を増大することができ、結果としてエンジン9の排気ガスの温度を上昇させることができる。
【0116】
64は第3の実施の形態で採用した指令信号出力手段としてのコントローラで、該コントローラ64は、第1の実施の形態で述べたコントローラ41とほぼ同様に構成され、その入力側は、差圧センサ39、フィルタ再生指示スイッチ40および中立位置検出器42等に接続されている。しかし、この場合のコントローラ64は、その出力側がリリーフ弁61の電磁アクチュエータ63に信号線65を介して接続されている。
【0117】
また、コントローラ64は、ROM、RAMおよび不揮発性メモリ等からなる記憶部64Aを有し、この記憶部64A内には、図5に例示した切換制御用処理プログラムとほぼ同様なプログラム等が格納されている。しかし、この場合のコントローラ64は、信号線65を介して制御信号を出力すると、電磁アクチュエータ63が励磁されることにより、リリーフ弁61は高圧設定される。一方、コントローラ64は、制御信号の出力を停止したときに、電磁アクチュエータ63は消磁される。これにより、リリーフ弁61は、リリーフ設定圧が低圧な設定値に変更され、低圧設定される。
【0118】
かくして、このように構成される第3の実施の形態でも、排気ガス浄化装置38のフィルタに粒子状物質が堆積し当該フィルタの再生処理が必要なときには、リリーフ弁61のリリーフ設定圧を高圧な設定値に変更することにより、センタバイパス管路16内に高圧なリリーフ設定圧に対応した油圧負荷を発生させることができ、第1の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0119】
特に、第3の実施の形態によれば、リリーフ弁61の電磁アクチュエータ63をコントローラ64からの制御信号により直接的に励磁,消磁して、リリーフ設定圧を可変に制御す構成としている。このため、第1の実施の形態のように、パイロットポンプ34、指令圧管路35および電磁弁36等を設ける必要がなくなり、装置全体の構造を簡素化することができる。しかも、リリーフ弁61の設定圧を可変に制御する上での応答性を向上することができる。
【0120】
次に、図10は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、設定圧可変手段として電磁アクチュエータを採用することにより、リリーフ弁を電磁式の圧力制御弁として構成すると共に、リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させたときには、ネガティブコントロールによる油圧ポンプの吐出容量を増大させる構成としたことにある。なお、第4の実施の形態では、前述した第2の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0121】
71は第4の実施の形態で採用した設定圧可変式のリリーフ弁で、該リリーフ弁71は、前記第2の実施の形態で述べたリリーフ弁52とほぼ同様に構成され、圧力設定ばね28および設定圧可変部72等を有している。しかし、この場合の設定圧可変部72は、後述の電磁アクチュエータ73により圧力設定ばね28に抗して初期位置(f)と切換位置(g)とに切換えられる点で、第2の実施の形態で述べた設定圧可変部56とは異なっている。
【0122】
即ち、第4の実施の形態で採用した設定圧可変手段を構成する設定圧可変部72は、リリーフ弁71のリリーフ設定圧をピストン57、圧力設定ばね28を介して変化させる電磁アクチュエータ73を備えている。この場合、設定圧可変部72は、ピストン57を電磁アクチュエータ73により圧力設定ばね28に抗して初期位置(f)と切換位置(g)とに切換える電磁式切換弁として構成されている。これにより、リリーフ弁71は、電磁式の圧力制御弁として構成されるものである。
【0123】
ここで、電磁アクチュエータ73は、後述のコントローラ74から出力される制御信号により励磁または消磁される。電磁アクチュエータ73が消磁されている間、設定圧可変部72のピストン57は、圧力設定ばね28により初期位置(f)に配置される。このため、リリーフ弁71のリリーフ設定圧は、圧力設定ばね28によって決定され、低圧な設定値となる。一方、電磁アクチュエータ73が励磁されると、設定圧可変部72のピストン57は、圧力設定ばね28に抗して初期位置(f)から切換位置(g)に切換えられる。このため、リリーフ弁71のリリーフ設定圧は、高圧な設定値に変更される。
【0124】
74は第4の実施の形態で採用した指令信号出力手段としてのコントローラで、該コントローラ74は、第1,2の実施の形態で述べたコントローラ41とほぼ同様に構成され、その入力側は、差圧センサ39、フィルタ再生指示スイッチ40および中立位置検出器42等に接続されている。しかし、この場合のコントローラ74は、その出力側がリリーフ弁71の設定圧可変部72の電磁アクチュエータ73に信号線75を介して接続されている。
【0125】
また、コントローラ74は、ROM、RAMおよび不揮発性メモリ等からなる記憶部74Aを有し、この記憶部74A内には、図5に例示した切換制御用処理プログラムとほぼ同様なプログラム等が格納されている。しかし、この場合のコントローラ74は、信号線75を介して制御信号を出力すると、電磁アクチュエータ73が励磁されることにより、設定圧可変部72のピストン57は、圧力設定ばね28に抗して初期位置(f)から切換位置(g)に切換えられると共に、リリーフ弁71は高圧設定される。
【0126】
このように、高圧設定されたリリーフ弁71は、センタバイパス管路16内に油圧負荷を発生させるばかりでなく、切換位置(g)に切換えられた設定圧可変部72は、絞り21の下流側圧力を制御管路58A,58B内へと共に導くことにより、制御管路58A,58B内は互いにほぼ等しい圧力となる。これによって、レギュレータ12にはネガティブコントロール用の制御圧が零に近い圧力となって供給されるため、油圧ポンプ10の容量可変部10Aは、レギュレータ12により大傾転位置まで傾転駆動され、油圧ポンプ10は、吐出容量が最大となるように容量制御される。従って、エンジン9は、大容量状態の油圧ポンプ10を回転駆動するために回転負荷が大きくなり、これに伴って排気ガスの温度を、より短時間で上昇することができる。
【0127】
一方、コントローラ74は、制御信号の出力を停止したときに、電磁アクチュエータ73は消磁される。これにより、設定圧可変部72のピストン57は、圧力設定ばね28によって初期位置(f)に戻されると共に、リリーフ弁71は、リリーフ設定圧が低圧な設定値に変更され、低圧設定される。リリーフ弁71の設定圧可変部72が初期位置(f)にある間は、絞り21の前,後に発生する差圧が、制御管路58A,58Bを介してレギュレータ12にネガティブコントロール用の制御圧となって供給される。このため、レギュレータ12は、この制御圧に従って油圧ポンプ10の容量可変部10Aを駆動し、前記差圧が所定の圧力範囲内に収まるように油圧ポンプ10の吐出容量を可変に制御する。
【0128】
かくして、このように構成される第4の実施の形態でも、排気ガス浄化装置38のフィルタに粒子状物質が堆積し当該フィルタの再生処理が必要なときには、電磁アクチュエータ73を励磁して設定圧可変部72を初期位置(f)から切換位置(g)に切換えると共に、リリーフ弁71のリリーフ設定圧を高圧な設定値に変更することにより、前述した第2の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0129】
しかも、第4の実施の形態によれば、リリーフ弁71の電磁アクチュエータ73をコントローラ74からの制御信号により直接的に励磁,消磁して、リリーフ設定圧を可変に制御する構成としている。このため、第2の実施の形態のように、パイロットポンプ34、指令圧管路35および電磁弁36等を設ける必要がなくなり、装置全体の構造を簡素化することができる。さらに、リリーフ弁71の設定圧を可変に制御する上での応答性を向上することができる。
【0130】
なお、前記第1,第2の実施の形態では、排気ガス浄化装置38のフィルタを再生処理するときに、リリーフ弁22,52のリリーフ設定圧を低圧から高圧に変更する制御を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば寒冷地等でエンジン9を暖機運転する場合でも、コントローラ41からの制御信号により電磁弁36を低圧位置(d)から高圧位置(e)に切換える制御を行うことができる。これにより、リリーフ弁22,52のリリーフ設定圧を高圧状態に変更することができ、エンジン9の暖機運転を短時間で行うことができる。
【0131】
また、前記第3,第4の実施の形態についても、排気ガス浄化装置38のフィルタを再生処理するときに、リリーフ弁61,71のリリーフ設定圧を低圧から高圧に変更する制御を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば寒冷地等でエンジン9を暖機運転する場合に、コントローラ64,74からの制御信号により電磁アクチュエータ63,73を励磁することにより、リリーフ弁61,71のリリーフ設定圧を高圧状態に変更することができ、エンジン9の暖機運転を短時間で行うことができる。
【0132】
特に、第2,第4の実施の形態では、油圧ポンプ10の吐出容量をコントローラ41,74からの制御信号により大容量側に切換える制御が可能なため、エンジン9の暖機運転をより一層に短時間で行うことができる。また、通常の作業時においても、コントローラ41,74の設定を作業状況、作業内容等に応じて変更することにより、油圧ポンプ10の吐出容量を作業状況に適した特性をもって制御することが可能となる。
【0133】
また、前記第1の実施の形態では、油圧制御装置を備えた建設機械としてホイールローダ1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばクローラ式の油圧ショベル、ホイール式の油圧ショベル、フォークリフト、クレーン、ブルドーザ等の建設機械にも広く適用することができる。そして、この点は、前記第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0134】
さらに、前記第1〜第4の実施の形態では、油圧アクチュエータとしてブームシリンダ7Cとバケットシリンダ7Dとを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば走行用の油圧モータ及び/又は旋回用の油圧モータを油圧アクチュエータとして備える機種の建設機械にあっては、全ての油圧アクチュエータが停止状態にあるか否かを、中立位置検出器42により検出する構成とすればよいものである。
【符号の説明】
【0135】
1 ホイールローダ(建設機械)
2 車体
7 作業装置
7A ブーム
7B ローダバケット
7C ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
7D バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 キャブ
9 エンジン
10 油圧ポンプ(油圧源)
11 作動油タンク
12 レギュレータ(容量制御手段)
14 供給管路
15 戻し管路
16 センタバイパス管路
17 バケット用制御弁(方向制御弁)
19 ブーム用制御弁(方向制御弁)
21 絞り
22,52,61,71 リリーフ弁
23,51 弁ブロック(弁ハウジング)
23C,51C 弁取付穴
23D,51D 開口端
24,53 弁ケース
25,54 弁筒
26 弁座筒
26A 弁座
27,55 弁体
28,62 圧力設定ばね
29,56,72 設定圧可変部(設定圧可変手段)
30,57 ピストン
31 蓋体
32 パイロット油室
33A,33B,58A,58B 制御管路
34 パイロットポンプ
35 指令圧管路
36 電磁弁(指令信号出力手段)
38 排気ガス浄化装置(排気ガス浄化手段)
39 差圧センサ(差圧検出手段)
40 フィルタ再生指示スイッチ
41,64,74 コントローラ(指令信号出力手段)
42 中立位置検出器
63,73 電磁アクチュエータ(設定圧可変手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の原動機を構成するエンジンと、該エンジンによって駆動されタンクと共に油圧源を構成する油圧ポンプと、該油圧ポンプによる圧油の吐出容量を制御する容量制御手段と、前記油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される少なくとも1個以上の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプをタンクに接続するセンタバイパス管路の途中に設けられ前記油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給する圧油を切換え制御する方向制御弁と、該方向制御弁よりも下流側に位置して前記センタバイパス管路に設けられ前記タンクに向けて排出される油液の流量を制限する絞りと、該絞りと並列に設けられ該絞りの前,後差圧を予め決められたリリーフ設定圧以下に抑えるリリーフ弁と、前記エンジンの排気側に設けられ排気ガスを浄化するフィルタを有した排気ガス浄化手段と、該排気ガス浄化手段に設けられ前記フィルタ前,後の差圧を検出する差圧検出手段とを備え、
前記容量制御手段は、前記絞りの前,後差圧に従って当該差圧が所定の圧力範囲内に収まるように前記油圧ポンプの吐出容量を可変に制御する構成としてなる建設機械の油圧制御装置において、
前記リリーフ弁には、前記リリーフ設定圧を指令信号に従って変化させる設定圧可変手段を設け、
前記指令信号を出力する指令信号出力手段は、前記方向制御弁が中立位置に戻り、前記差圧検出手段で検出した前記フィルタ前,後の差圧が予め決められた規定値を越えたときに、前記設定圧可変手段により前記指令信号に従って前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させる構成としたことを特徴とする建設機械の油圧制御装置。
【請求項2】
前記リリーフ弁は、前記設定圧可変手段によってリリーフ設定圧が上昇されたときに、前記エンジンの排気ガス温度を上げるための油圧負荷を前記センタバイパス管路内に発生させる構成としてなる請求項1に記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項3】
前記設定圧可変手段は、前記指令信号としてのパイロット圧が供給されることにより該パイロット圧に従って前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を変化させる構成とし、
前記指令信号出力手段は、前記指令信号を低圧と高圧のパイロット圧として前記設定圧可変手段に切換可能に出力する電磁弁と、該電磁弁を低圧位置と高圧位置とに選択的に切換える制御信号を該電磁弁に出力するコントローラとを含んで構成し、
該コントローラは、前記方向制御弁が中立位置に戻り、前記差圧検出手段で検出した前記フィルタ前,後の差圧が前記規定値を越えたときに、前記電磁弁を低圧位置から高圧位置に切換える制御を行う構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項4】
前記リリーフ弁は、環状の弁座が形成された筒状の弁ケースと、該弁ケース内に変位可能に設けられ軸方向の一側が前記弁座に離着座する弁体と、該弁体を軸方向一側に向けて付勢するように前記弁ケース内に設けられ前記リリーフ設定圧を撓み量に応じて変化させる圧力設定ばねとを含んで構成し、
前記設定圧可変手段は、前記圧力設定ばねの軸方向他側に位置して前記弁ケース内に変位可能に設けられ前記圧力設定ばねを前記弁体との間で軸方向両側から挟むピストンと、該ピストンの軸方向他側に位置して前記弁ケース内に形成され前記パイロット圧が供給されるパイロット油室とを有する構成とし、
前記ピストンは、前記パイロット油室に供給されたパイロット圧を受圧することにより前記弁ケース内で前記圧力設定ばねを軸方向の一側に押動し、前記弁体との間で前記圧力設定ばねの撓み量を変化させる構成としてなる請求項3に記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項5】
前記設定圧可変手段は、前記指令信号としての制御信号に従って励磁または消磁されることにより前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を変化させる電磁アクチュエータにより構成し、前記指令信号出力手段は、前記電磁アクチュエータを励磁または消磁するための前記制御信号を前記電磁アクチュエータに出力するコントローラにより構成してなる請求項1または2に記載の建設機械の油圧制御装置。
【請求項6】
前記設定圧可変手段は、前記リリーフ弁のリリーフ設定圧を上昇させたときに前記油圧ポンプの吐出容量が前記容量制御手段によって増大されるように、前記絞りの前,後差圧に替えて前記絞りの下流側圧力を前記容量制御手段に導く構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載の建設機械の油圧制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−255434(P2012−255434A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106802(P2012−106802)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】