説明

建設機械

【課題】 サポート部材にヒンジを介して開閉カバーを取付けるときの作業性を高める。
【解決手段】 左後開閉カバー16に固着されたヒンジ17のサポート側取付部17Bに雌ねじ部材21を設け、左後サポート部材15には移動ボルト22を回転可能に支持し、この移動ボルト22を雌ねじ部材21に螺合することにより、左後サポート部材15に対し、締結ボルト18による締着方向A−Aと直交する移動方向B−Bにヒンジ17を移動させる。従って、雌ねじ部材21に対する移動ボルト22の螺入量を調整することにより、例えば作業者が左後開閉カバー16を手で支えて移動させることなく、左後サポート部材15の長溝孔15Dの範囲内で左後サポート部材15に対する左後開閉カバー16の位置調整を行うことができ、左後開閉カバー16を取付けるときの作業性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械に関し、特に、搭載機器用の建屋を構成する開閉カバーを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
【0003】
ここで、上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前部左側に設けられ運転室を画成するキャブと、旋回フレームの後端側に設けられ作業装置との重量バランスをとるカウンタウエイトと、カウンタウエイトの前側に位置して旋回フレーム上に設けられた建屋とにより大略構成されている。そして、建屋は、旋回フレームに搭載されたエンジン、油圧ポンプ、熱交換装置等の搭載機器を覆うものである。
【0004】
ところで、旋回フレーム上に設けられる建屋は、通常、旋回フレームに固定して設けられたサポート部材と、搭載機器の周囲に配置されサポート部材にヒンジを介して開,閉可能に取付けられる開閉カバーとにより大略構成されている。そして、建屋内に収容されたエンジン等の搭載機器に対する保守、点検作業を行うときには、開閉カバーを開,閉する構成となっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−158921号公報
【特許文献2】特開2000−212997号公報
【0006】
ここで、建屋を構成する開閉カバーは、通常、他の開閉カバー等に隣接して配置されるので、油圧ショベルの外観美を高めるためには、これら隣接するカバー間に形成される隙間をできるだけ均一にする必要がある。
【0007】
このため、開閉カバーをヒンジを介してサポート部材に取付ける場合には、通常、開閉カバーに固着されたヒンジを締着ボルトを用いてサポート部材に仮止めし、開閉カバーを閉じた状態で隣合う他のカバーとの間に形成される隙間を確認する。そして、開閉カバーと他のカバーとの間の隙間が均一になるように、サポート部材に対するヒンジの取付け位置を調整した後、締着ボルトを締込むことにより、サポート部材に開閉カバーを取付けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、開閉カバーと他のカバーとの間の隙間が均一になるように、サポート部材に対するヒンジの取付け位置を調整するときには、作業者が開閉カバーを手で支えた状態で締着ボルトを緩め、開閉カバーに固定されたヒンジをサポート部材に対して移動させる必要がある。また、開閉カバーと他のカバーとの間の隙間が均一となった位置で、作業者が開閉カバーを支えたまま締着ボルトを締込む必要がある。
【0009】
このように、従来技術では、作業者は重量物である開閉カバーを手で支えて移動させながら、サポート部材に対するヒンジの取付け位置を調整する必要があるため、ヒンジの取付け位置を調整するときの作業性が悪いという問題がある。
【0010】
また、サポート部材に対するヒンジの取付け位置を調整するときに、作業者はヒンジが固定された開閉カバーを手で支えて移動させるため、サポート部材に対するヒンジの取付け位置を微調整することが困難であるという問題がある。
【0011】
さらに、開閉カバーと他のカバーとの間に生じる隙間の確認作業は、開閉カバーを閉じた状態で行う必要があるのに対し、開閉カバーのヒンジを締着ボルトによってサポート部材に取付ける作業は、開閉カバーを開いた状態で行う必要がある。従って、作業者は、開閉カバーを閉じたときに、当該開閉カバーと他のカバーとの間に生じるであろう隙間を予測しながら、開閉カバーを開いた状態で、ヒンジを締着ボルトによってサポート部材に取付ける作業を行うことになる。
【0012】
このため、開閉カバーをサポート部材に取付けた後、開閉カバーを閉じてみたとき、取付時の予測が外れて開閉カバーと他のカバーとの間に不均一な隙間が生じることがある。この結果、従来技術では、上述した開閉カバーと他のカバーとの間の隙間を確認する作業と、開閉カバーをサポート部材に取付ける作業を何度も繰返すことになり、開閉カバーを取付けるときの作業効率が低下してしまうという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、サポート部材にヒンジを介して開閉カバーを取付けるときの作業性を高めることができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに搭載されるエンジンを含む搭載機器と、該搭載機器を覆って前記フレームに設けられた建屋とを備え、前記建屋は、前記フレームに固定して設けられたサポート部材と、前記搭載機器の周囲に開,閉可能に配置される開閉カバーと、該開閉カバーに固着して設けられ前記サポート部材に取付けられるヒンジとにより構成してなる建設機械に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ヒンジを前記サポート部材に締着するヒンジ締着部材と、該ヒンジ締着部材を緩めた状態で前記ヒンジを前記ヒンジ締着部材による締着方向に対してほぼ直交する移動方向に移動させるヒンジ移動機構とを設けたことにある。
【0016】
請求項2の発明は、前記ヒンジと前記サポート部材のうち少なくとも一方には、前記ヒンジ締着部材がその締着方向に対してほぼ直交する移動方向に移動可能に遊嵌される遊嵌孔を設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項3の発明は、前記ヒンジは、前記開閉カバーに固着されるカバー側取付部と、前記サポート部材に取付けられるサポート側取付部とを有し、前記ヒンジ締着部材は、前記ヒンジのサポート側取付部を前記サポート部材に締着する締着ボルトにより構成し、前記ヒンジ移動機構は、前記ヒンジのサポート側取付部に前記締着ボルトの締着方向とほぼ直交して設けられた雌ねじ部材と、前記サポート部材に回転可能に支持され前記雌ねじ部材に螺合することにより前記遊嵌孔の範囲で前記サポート部材に対し前記ヒンジを移動させる移動ボルトとにより構成したことにある。
【0018】
請求項4の発明は、前記ヒンジは、前記開閉カバーに固着されるカバー側取付部と、前記サポート部材に取付けられるサポート側取付部とを有し、前記ヒンジ締着部材は、前記ヒンジのサポート側取付部を前記サポート部材に締着する締着ボルトにより構成し、前記ヒンジ移動機構は、前記サポート部材に前記締着ボルトの締着方向とほぼ直交して設けられた雌ねじ部材と、前記ヒンジのサポート側取付部と前記サポート部材との間に設けられ一面側に前記締着ボルトが挿通されると共に他面側が前記雌ねじ部材と対面したL字状の中間板体と、該中間板体の他面側に回転可能に支持され前記雌ねじ部材に螺合することにより前記中間板体を介して前記遊嵌孔の範囲で前記サポート部材に対し前記ヒンジを移動させる移動ボルトとにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、ヒンジ締着部材を緩めた状態で、開閉カバーに固着したヒンジを、ヒンジ移動機構を用いてヒンジ締着部材による締着方向とほぼ直交する移動方向に移動させることにより、サポート部材に対するヒンジの位置調整を行うことができる。そして、ヒンジの位置調整を行った後に、ヒンジ締着部材によって開閉カバーのヒンジをサポート部材に締着することにより、サポート部材に開閉カバーを取付けることができる。
【0020】
この場合、サポート部材に対するヒンジの位置調整をヒンジ移動機構によって行うことができるので、例えば作業者が開閉カバーを手で支えて移動させながらサポート部材に対する位置調整を行う場合に比較して、サポート部材に開閉カバーを取付けるときの作業性を高めることができる。また、サポート部材に対するヒンジの微妙な位置調整を、ヒンジ移動機構によって容易に行うことができる。
【0021】
しかも、開閉カバーに固着されたヒンジは、ヒンジ移動機構によってヒンジ締着部材による締着方向に対してほぼ直交する方向に移動するので、開閉カバーを閉じた状態でも、この開閉カバーをサポート部材に対して移動させることができる。従って、開閉カバーと隣接する他のカバーとの間に生じる隙間を調整する作業を、開閉カバーを閉じた状態で効率良く行うことができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、ヒンジ締着部材を緩めた状態では、該ヒンジ締着部材は、ヒンジとサポート部材のうち少なくとも一方に設けた遊嵌孔の範囲で、その締着方向と直交する移動方向に移動することができる。これにより、開閉カバーに固着されたヒンジをサポート部材に対して移動させることができ、サポート部材に対するヒンジの位置調整を行うことができる。
【0023】
請求項3の発明によれば、サポート部材に回転可能に支持された移動ボルトを、ヒンジのサポート側取付部に設けた雌ねじ部材に螺合させることにより、開閉カバーに固着されたヒンジを、遊嵌孔の範囲でサポート部材に対し締着ボルトの締着方向とほぼ直交する移動方向に移動させることができる。従って、雌ねじ部材に対する移動ボルトの螺入量に応じて、サポート部材に対するヒンジの位置を微妙に調整することができる。この結果、サポート部材に対する開閉カバーの微妙な位置調整を容易に行うことができるので、開閉カバーと隣接する他のカバーとの間の隙間を均一化することができ、建設機械の外観美を高めることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、中間板体に回転可能に支持された移動ボルトを、サポート部材に設けた雌ねじ部材に螺合させることにより、開閉カバーに固着されたヒンジを、中間板体を介して、遊嵌孔の範囲でサポート部材に対し締着ボルトの締着方向とほぼ直交する移動方向に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
まず、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、サポート部材に締着ボルトが遊嵌される遊嵌孔を設け、ヒンジに雌ねじ部材を設け、該雌ねじ部材に螺合する移動ボルトをサポート部材に設けた場合を例示している。
【0027】
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示している。ここで、油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成され、土砂の掘削作業等に好適に用いられるものである。そして、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム5、キャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、建屋11等により構成されている。
【0028】
5は上部旋回体3のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図5等に示すように、厚肉な鋼板を用いて形成され前,後方向に延びた底板5Aと、該底板5A上に立設され前,後方向に延びた左縦板5B、右縦板5Cと、底板5Aと左縦板5Bとに複数の張出しビームを介して接続され前,後方向に延びた左サイドフレーム5Dと、底板5Aと右縦板5Cとに複数の張出しビームを介して接続され前,後方向に延びた右サイドフレーム5Eとにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。
【0029】
ここで、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの前端部には、作業装置4の基端側が回動可能に取付けられ、左,右の縦板5B,5Cの後端部には、後述のカウンタウエイト7が取付けられる構成となっている。また、左,右の縦板5B,5C間の後端側にはエンジン支持ブラケット5Fが設けられ、該エンジン支持ブラケット5F上には後述のエンジン8が取付けられる構成となっている。
【0030】
6は旋回フレーム5の前部左側に配設されたキャブで、該キャブ6は、オペレータが搭乗する運転室を画成するものである。そして、キャブ6の内部には、オペレータが着席する運転席、オペレータによって操作される各種の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
【0031】
7は旋回フレーム5の後端側に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト7は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後端部に取付けられ、作業装置4との重量バランスをとるものである。
【0032】
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に搭載された搭載機器としてのエンジンで、該エンジン8は、図2に示すように、旋回フレーム5のエンジン支持ブラケット5F上に左,右方向に延在する横置き状態で取付けられている。そして、エンジン8の左側には、後述の熱交換装置10に冷却風を供給するための冷却ファン8Aが設けられ、エンジン8の右側には、後述の油圧ポンプ9が取付けられている。
【0033】
9はエンジン8の右側に取付けられた搭載機器としての油圧ポンプで、該油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されるものである。そして、油圧ポンプ9は、下部走行体2、上部旋回体3、作業装置4に設けられた各種の油圧アクチュエータに向け、作動用の圧油を吐出するものである。
【0034】
10はエンジン8の左側に冷却ファン8Aと対面して設けられた搭載機器としての熱交換装置で、該熱交換装置10は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ10A、作動油を冷却するオイルクーラ、ターボ過給機によって圧縮された吸入空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。
【0035】
11はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋で、該建屋11は、図2等に示すように、旋回フレーム5上に搭載されたエンジン8、油圧ポンプ9、熱交換装置10等の搭載機器を覆うものである。ここで、建屋11は、図2ないし図4に示すように、上面カバー11A、ボンネット11B、右開閉カバー11C、後述の左前サポート部材12、左前開閉カバー13、左後サポート部材15、左後開閉カバー16等により構成されている。
【0036】
12はキャブ6の後側に位置して旋回フレーム5上に設けられた左前サポート部材で、該左前サポート部材12は、後述の左前開閉カバー13が取付けられるものである。ここで、左前サポート部材12は、図4及び図5に示すように、例えば鋼板材等に折曲加工を施すことにより、全体として矩形な平板状に形成されている。そして、左前サポート部材12は、旋回フレーム5に設けられたねじ座(図示せず)にボルト等を用いて固定されることにより、左サイドフレーム5Dとほぼ直交した状態で旋回フレーム5上に立設されている。
【0037】
13は左前サポート部材12に開,閉可能に取付けられた左前開閉カバーで、該左前開閉カバー13は、図4に示すように、例えば鋼板材等を用いて全体として矩形な平板状に形成されている。そして、左前開閉カバー13は、左前サポート部材12に上,下のヒンジ14を介して開,閉可能に取付けられ、後述する左後開閉カバー16と共に建屋11の左側面を構成するものである。
【0038】
15はカウンタウエイト7の左前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた左後サポート部材で、該左後サポート部材15は、後述のヒンジ17を介して左後開閉カバー16が取付けられるものである。ここで、左後サポート部材15は、図5ないし図8に示すように、例えば鋼板材等に折曲加工を施すことにより、全体として矩形な平板状に形成され、旋回フレーム5から上,下方向に立上る立上り板部15Aと、立上り板部15Aの外周縁部を直角に折曲げることにより当該立上り板部15Aを取囲む枠状に形成された枠板部15Bとにより構成されている。
【0039】
また、立上り板部15Aの左端側には、後述の移動ボルト22が挿通される2個のボルト挿通孔15C,15Cが上,下に離間して穿設されている(図6参照)。さらに、枠板部15Bのうち各ボルト挿通孔15Cの近傍部位には、後述の各長溝孔15Dが設けられている。
【0040】
15D,15Dは左後サポート部材15に設けられた遊嵌孔としての一対の長溝孔で、該一対の長溝孔15Dは、後述の締着ボルト18が遊嵌されるものである。ここで、各長溝孔15Dは、左後サポート部材15の枠板部15Bのうち各ボルト挿通孔15Cの近傍となる部位に上,下に離間して配置され、前,後方向に溝状に延びている。
【0041】
そして、左後サポート部材15は、旋回フレーム5に設けられたねじ座(図示せず)にボルト等を用いて固定されることにより、左サイドフレーム5Dとほぼ直交した状態で旋回フレーム5上に立設され、左後サポート部材15の立上り板部15Aは、カウンタウエイト7の前面と間隔をもって対面している(図9参照)。
【0042】
16は左後サポート部材15に開,閉可能に取付けられた左後開閉カバーで、該左後開閉カバー16は、左前開閉カバー13の後側に隣接して配置され、例えば図4に示すように、建屋11内に収容された熱交換装置10に対する保守、点検作業時に開,閉されるものである。ここで、左後開閉カバー16は、図5及び図6に示すように、例えば鋼板材等を用いて全体として矩形な平板状に形成され、左後サポート部材15とほぼ等しい高さ寸法をもって旋回フレーム5から上方に立上がっている。
【0043】
また、左後開閉カバー16の内側面には、上,下方向に延びる柱状をなす補強材16Aが前,後に離間して固着されている。そして、後側の補強材16Aには後述の各ヒンジ17が取付けられ、左後開閉カバー16は、これら各ヒンジ17を介して左後サポート部材15に開,閉可能に取付けられる構成となっている。
【0044】
17,17は左後開閉カバー16に固着されると共に左後サポート部材15に取付けられる上,下のヒンジで、これら各ヒンジ17は、左後サポート部材15に対し左後開閉カバー16を開,閉可能に支持するものである。ここで、図7ないし図10に示すように、ヒンジ17は、左後開閉カバー16の補強材16Aに溶接等によって固着されたカバー側取付部17Aと、後述の締着ボルト18を用いて左後サポート部材15に取付けられるサポート側取付部17Bとを有し、これらカバー側取付部17Aとサポート側取付部17Bとは、ピン17Cによって回動可能に連結されている。
【0045】
そして、サポート側取付部17Bには、左後サポート部材15に形成された長溝孔15Dに対応する一対のボルト挿通孔17Dが穿設されている。また、サポート側取付部17Bの前部側には、サポート側取付部17Bから直角に折曲げられることにより左後サポート部材15側へと突出する突出板部17Eが設けられ、該突出板部17Eは、左後サポート部材15のボルト挿通孔15Cと対面している。さらに、突出板部17Eには、ボルト挿通孔15Cに対応するボルト挿通孔17Fが穿設されている。
【0046】
18はヒンジ締着部材としての締着ボルトで、該締着ボルト18は、左後開閉カバー16に一体に固着されたヒンジ17のサポート側取付部17Bを、左後サポート部材15に締着するものである。そして、図7ないし図10に示すように、締着ボルト18は、ヒンジ17のサポート側取付部17Bに設けられたボルト挿通孔17Dと、左後サポート部材15(枠板部15B)に設けられた長溝孔15Dとに挿通した状態で、ナット19を螺着することにより、ヒンジ17のサポート側取付部17Bを左後サポート部材15の枠板部15Bに締着するものである。
【0047】
ここで、図7及び図9に示すように、締着ボルト18による締着方向A−Aは、締着ボルト18の軸方向と一致している。そして、締着ボルト18は、左後サポート部材15の長溝孔15Dに遊嵌され、その締着方向(軸方向)A−Aと直交して前,後方向に延びる移動方向B−Bに移動可能となっている。従って、締着ボルト18を用いてヒンジ17を左後サポート部材15に取付けるときに、ヒンジ17は、後述のヒンジ移動機構20によって長溝孔15Dの範囲内で前,後方向に移動することができる構成となっている。
【0048】
そして、ヒンジ17のサポート側取付部17Bを、締着ボルト18を用いて左後サポート部材15に取付けた状態では、左後サポート部材15のボルト挿通孔15Cと、ヒンジ17の突出板部17Eとが前,後方向で対面し、この左後サポート部材15のボルト挿通孔15Cとヒンジ17の突出板部17Eとの間には、後述のヒンジ移動機構20が設けられる構成となっている。
【0049】
20は左後サポート部材15とヒンジ17の突出板部17Eとの間に設けられたヒンジ移動機構で、該ヒンジ移動機構20は、ヒンジ17のサポート側取付部17Bを、締着ボルト18による締着方向(軸方向)A−Aに対してほぼ直交する移動方向B−Bに移動させるものである。ここで、ヒンジ移動機構20は、図7ないし図10に示すように、後述の雌ねじ部材21と、移動ボルト22とにより大略構成されている。
【0050】
21はヒンジ17のサポート側取付部17Bに設けられた雌ねじ部材で、該雌ねじ部材21は、サポート側取付部17Bの突出板部17Eに溶接された裏ナットにより構成され、雌ねじ部材21の内周側は、後述の移動ボルト22が螺合する雌ねじ孔となっている。そして、図9に示すように、雌ねじ部材21は、突出板部17Eに穿設されたボルト挿通孔17Fと同心上に配置され、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交して設けられている。
【0051】
22は左後サポート部材15に回転可能に支持された移動ボルトで、該移動ボルト22は、ヒンジ17のサポート側取付部17Bに設けられた雌ねじ部材21に螺合することにより、左後開閉カバー16に固着されたヒンジ17を、左後サポート部材15に対し、長溝孔15Dの範囲で締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−Bに移動させるものである。
【0052】
ここで、移動ボルト22は、左後サポート部材15の立上り板部15Aに設けたボルト挿通孔15Cに挿通されることにより、当該ボルト挿通孔15Cによって回転可能に支持されている。また、移動ボルト22には、ボルト挿通孔15Cよりも大径なワッシャ23が挿通され、該ワッシャ23は、移動ボルト22に差込んだ割ピン24によって軸方向に抜止めされている。
【0053】
このように、移動ボルト22は、ボルトヘッド22Aとワッシャ23とによって左後サポート部材15の立上り板部15Aを挟込むことにより、左後サポート部材15に対して軸方向(前,後方向)への移動が禁止された状態で回転可能に支持されている。そして、移動ボルト22の先端側は、ヒンジ17の突出板部17Eに設けられたボルト挿通孔17Fを通じて雌ねじ部材21に常に螺合する構成となっている。
【0054】
従って、図9及び図10に示すように、締着ボルト18を緩めた状態で移動ボルト22を回転させると、雌ねじ部材21が設けられたヒンジ17のサポート側取付部17Bが、左後サポート部材15に設けた長溝孔15Dの範囲内で、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−Bに移動する。
【0055】
これにより、ヒンジ17のカバー側取付部17Aに固着された左後開閉カバー16が、左後サポート部材15に対して前,後方向に移動するので、図3に示すように、左前開閉カバー13と左後開閉カバー16との間の隙間Sを、雌ねじ部材21に対する移動ボルト22の螺入量に応じて適宜に調整し、当該隙間Sを均一化することができる構成となっている。
【0056】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場まで自走し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【0057】
ここで、本実施の形態では、左後サポート部材15と左後開閉カバー16に固定されたヒンジ17との間にヒンジ移動機構20を設けることにより、左後サポート部材15に左後開閉カバー16を取付けるときの作業性を高めることができるようになっており、以下、この左後開閉カバー16の取付作業について説明する。
【0058】
まず、図8に示すように、左後サポート部材15に設けたボルト挿通孔15Cに移動ボルト22を挿通し、この移動ボルト22をワッシャ23、割ピン24によって軸方向に抜止めする(図9参照)。これにより、移動ボルト22は、ボルトヘッド22Aとワッシャ23とによって左後サポート部材15の立上り板部15Aを挟込み、左後サポート部材15に、軸方向(前,後方向)への移動が禁止された状態で回転可能に支持される。
【0059】
次に、ヒンジ17が固定された左後開閉カバー16を左後サポート部材15の近傍に配置し、ヒンジ17のサポート側取付部17Bに設けたボルト挿通孔17Dと、左後サポート部材15の枠板部15Bに設けた長溝孔15Dとに締着ボルト18を挿通する。そして、締着ボルト18にナット19を螺合させることにより、ヒンジ17のサポート側取付部17Bを左後サポート部材15に仮止めし、締着ボルト18によって左後開閉カバー16を長溝孔15Dの範囲で移動可能に支持する。
【0060】
このとき、左後サポート部材15のボルト挿通孔15Cと、ヒンジ17の突出板部17Eとが前,後方向で対面するので、図9及び図10に示すように、突出板部17Eのボルト挿通孔17Fと同心上に設けた雌ねじ部材21に、左後サポート部材15に回転可能に支持された移動ボルト22を螺合させる。
【0061】
ここで、移動ボルト22は、左後サポート部材15に対して軸方向への移動が禁止されているので、雌ねじ部材21に螺合した移動ボルト22を回転させて螺入量を調整することにより、雌ねじ部材21が設けられたヒンジ17のサポート側取付部17Bは、左後サポート部材15に設けた長溝孔15Dの範囲内で、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−Bに沿って前,後方向に移動する。
【0062】
このようにして、本実施の形態によれば、作業者が左後開閉カバー16を手で支えて移動させることなく、左後サポート部材15に対して左後開閉カバー16を前,後方向に移動させることができ、例えば図3に示すように、左後開閉カバー16と左前開閉カバー13との間の隙間Sを均一化することができる。
【0063】
しかも、図9に示すように、ヒンジ移動機構20を構成する雌ねじ部材21と移動ボルト22とは、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交して配置されているので、例えば上面カバー11Aを取外した状態、あるいはカウンタウエイト7を取付ける前段階において、左後開閉カバー16を閉じたまま、移動ボルト22のボルトヘッド22Aを回転させて雌ねじ部材21への螺入量を調整することができる。この結果、図3に示すように、左後開閉カバー16と左前開閉カバー13とを閉じた状態で、両者間の隙間Sが均一となるように左後開閉カバー16の位置調整を行うことができるので、その作業性を一層高めることができる。
【0064】
そして、左後開閉カバー16の位置調整を行った後には、締着ボルト18を締込んでヒンジ17のサポート側取付部17Bを左後サポート部材15に締着することにより、左後開閉カバー16の取付作業が終了する。
【0065】
かくして、本実施の形態によれば、左後開閉カバー16に固定されたヒンジ17のサポート側取付部17Bに、締着ボルト18による締着方向A−Aとほぼ直交する雌ねじ部材21を設け、左後サポート部材15には移動ボルト22を回転可能に支持し、この移動ボルト22を雌ねじ部材21に螺合することにより、ヒンジ17を、締着ボルト18による締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−B(前,後方向)に移動させる構成としている。
【0066】
従って、締着ボルト18を緩めてヒンジ17のサポート側取付部17Bを左後サポート部材15に仮止めした状態で、雌ねじ部材21に対する移動ボルト22の螺入量を調整することにより、左後サポート部材15の長溝孔15Dの範囲内で左後開閉カバー16を前,後方向に移動させ、当該左後開閉カバー16の左後サポート部材15に対する位置調整を行うことができる。
【0067】
この場合、左後開閉カバー16は、ヒンジ17のサポート側取付部17Bと左後サポート部材15とに挿通された締着ボルト18によって支持されているので、例えば作業者が左後開閉カバー16を手で支えて移動させながら左後サポート部材15に対する位置調整を行う必要がなく、左後開閉カバー16を取付けるときの作業性を高めることができる。
【0068】
また、ヒンジ17のサポート側取付部17Bに設けた雌ねじ部材21に対する移動ボルト22の螺入量を調整することにより、左後サポート部材15に対するヒンジ17の位置を微妙に調整することができる。この結果、例えば図3に示すように、ヒンジ17を介して左後サポート部材15に取付けられた左後開閉カバー16と、当該左後開閉カバー16に隣接した左前開閉カバー13との間の隙間Sを均一化することができ、油圧ショベル1の外観美を高めることができる。
【0069】
さらに、図9に示すように、ヒンジ移動機構20を構成する雌ねじ部材21と移動ボルト22とは、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交して配置されているので、例えば上面カバー11Aを取外した状態、あるいはカウンタウエイト7を取付ける前段階において、左後開閉カバー16を閉じたまま、移動ボルト22のボルトヘッド22Aを回転させて雌ねじ部材21への螺入量を調整することができる。この結果、図3に示すように、左後開閉カバー16と左前開閉カバー13とを閉じた状態で、両者間の隙間Sが均一となるように左後開閉カバー16の位置調整を行うことができる。従って、例えば従来技術のように、開閉カバーと他のカバーとの間の隙間を確認する作業と、開閉カバーをサポート部材に取付ける作業を何度も繰返す必要がなく、左後開閉カバー16を取付けるときの作業効率を高めることができる。
【0070】
次に、図11ないし図14は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、サポート部材に設けられた雌ねじ部材と、ヒンジのサポート側取付部とサポート部材との間に設けられた中間板体と、この中間板体に回転可能に支持され雌ねじ部材に螺合する移動ボルトとによってヒンジ移動機構を構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
図中、31は左後サポート部材で、該左後サポート部材31は、上述した第1の実施の形態による左後サポート部材15に代えて本実施の形態に用いたもので、後述のヒンジ32を介して左後開閉カバー16が取付けられるものである。ここで、左後サポート部材31は、第1の実施の形態による左後サポート部材15とほぼ同様に、立上り板部31Aと、枠板部31Bとにより構成され、全体として矩形な平板状に形成されている。
【0072】
また、立上り板部31Aの左端側には、後述の移動ボルト36が挿通されるボルト挿通孔31Cが上,下に離間して穿設されている(上側のみ図示)。さらに、枠板部31Bのうちボルト挿通孔31Cの近傍部位には、締着ボルト18が遊嵌される遊嵌孔としての一対の長溝孔31D,31Dが上,下に離間して設けられている(上側のみ図示)。
【0073】
32は左後サポート部材31と左後開閉カバー16との間に設けられたヒンジで、該ヒンジ32は、上述した第1の実施の形態によるヒンジ17とほぼ同様に、左後開閉カバー16の補強材16Aに溶接等によって固着されたカバー側取付部32Aと、左後サポート部材31に締着ボルト18を用いて取付けられるサポート側取付部32Bとを有し、カバー取付部32Aとサポート側取付部32Bとは、ピン32Cによって回動可能に連結されている。そして、サポート側取付部32Bには、左後サポート部材31に形成された長溝孔31Dに対応する一対のボルト挿通孔32Dが穿設されている。
【0074】
33は左後サポート部材31とヒンジ32のサポート側取付部32Bとの間に設けられたヒンジ移動機構で、該ヒンジ移動機構33は、ヒンジ32のサポート側取付部32Bを、締着ボルト18による締着方向(軸方向)A−Aに対してほぼ直交する移動方向B−Bに移動させるものである。ここで、ヒンジ移動機構33は、後述の雌ねじ部材34と、中間板体35、移動ボルト36とにより大略構成されている。
【0075】
34は左後サポート部材31に設けられた雌ねじ部材で、該雌ねじ部材34は、左後サポート部材31の立上り板部31Aに溶接された裏ナットにより構成され、その内周側は後述の移動ボルト36が螺合する雌ねじ孔となっている。そして、図13に示すように、雌ねじ部材34は、立上り板部31Aに穿設されたボルト挿通孔31Cと同心上に配置され、締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交して設けられている。
【0076】
35はヒンジ32のサポート側取付部32Bと左後サポート部材31との間に設けられた中間板体で、該中間板体35は、平板状の板体を直角に折曲げることによりL字状に形成されている。ここで、中間板体35は、一面側が左後サポート部材31とヒンジ32のサポート側取付部32Bとの間に挟込まれる取付面35Aとなり、他端側が雌ねじ部材34と対面し移動ボルト22を回転可能に支持するボルト支持面35Bとなっている。また、取付面35Aには、ヒンジ32のボルト挿通孔32Dに対応する位置に一対のボルト挿通孔35Cが穿設され、ボルト支持面35Bには、雌ねじ部材34に対応する位置に1個のボルト挿通孔35Dが穿設されている。
【0077】
そして、ヒンジ32のサポート側取付部32Bと左後サポート部材31の枠板部31Bとの間に中間板体35の取付面35Aを挟込んだ状態で、ヒンジ32のボルト挿通孔32D、中間板体35のボルト挿通孔35C、左後サポート部材31の長溝孔31Dに締着ボルト18を挿通し、この締着ボルト18にナット19を螺合させることにより、中間板体35は、左後サポート部材31に対し長溝孔31Dの範囲で前,後方向に移動可能となっている。
【0078】
36は中間板体35のボルト支持面35Bに回転可能に支持された移動ボルトで、該移動ボルト36は、左後サポート部材31に設けられた雌ねじ部材34に螺合することにより、左後開閉カバー16に固着されたヒンジ32を、左後サポート部材31に対し、中間板体35を介して長溝孔31Dの範囲で締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−Bに移動させるものである。
【0079】
ここで、移動ボルト36は、中間板体35のボルト支持面35Bに設けたボルト挿通孔35Dとワッシャ37とに挿通され、該ワッシャ37は、移動ボルト36に差込んだ割ピン38によって軸方向に抜止めされている。これにより、移動ボルト36は、ボルトヘッド36Aとワッシャ37とによって中間板体35のボルト支持面35Bを挟込み、軸方向(前,後方向)への移動が禁止された状態で中間板体35に回転可能に支持されている。そして、移動ボルト36の先端側は、左後サポート部材31の立上り板部31Aに設けられたボルト挿通孔31Cを通じて雌ねじ部材34に常に螺合する構成となっている。
【0080】
従って、図13及び図14に示すように、締着ボルト18を緩めた状態で移動ボルト36を回転させて雌ねじ部材34への螺入量を変化させると、該移動ボルト36を支持する中間板体35が、左後サポート部材31に対し、長溝孔31Dの範囲内で締着ボルト18の締着方向A−Aとほぼ直交する移動方向B−Bに沿って前,後方向に移動する。
【0081】
この場合、締着ボルト18は、中間板体35のボルト挿通孔35Cと共にヒンジ32のボルト挿通孔32Dに挿通されているため、中間板体35を介してヒンジ32を前,後方向に移動させることができる。これにより、ヒンジ32のカバー側取付部32Aに固着された左後開閉カバー16を前,後方向に移動させ、当該左後開閉カバー16の左後サポート部材31に対する位置調整を行うことができる構成となっている。
【0082】
本実施の形態は上述の如きヒンジ移動機構33を備えたもので、締着ボルト18を緩めた状態で、移動ボルト36を回転させて雌ねじ部材34への螺入量を調整することにより、中間板体35を介して左後開閉カバー16を前,後方向に移動させ、当該左後開閉カバー16の左後サポート部材31に対する位置調整を行うことができる。これにより、本実施の形態においても、例えば作業者が左後開閉カバー16を手で支えて移動させながら左後サポート部材31に対する位置調整を行う必要がなく、左後開閉カバー31を取付けるときの作業性を高めることができる。
【0083】
また、左後サポート部材31に設けた雌ねじ部材34に対し、中間板体35に支持された移動ボルト36の螺入量を調整することにより、左後サポート部材31に対する左後開閉カバー16の位置を微妙に調整することができる。この結果、図3に示すように、左後開閉カバー16と、当該左後開閉カバー16に隣接した左前開閉カバー13との間の隙間Sを均一化することができ、油圧ショベル1の外観美を高めることができる。
【0084】
なお、上述した第1の実施の形態では、ヒンジ17のサポート側取付部17Bと左後サポート部材15のうち、左後サポート部材15にのみ遊嵌孔としての長溝孔15Dを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図15に示す第1の変形例のように、ヒンジ17のサポート側取付部17Bにのみ遊嵌孔としての長溝孔17D′を設け、左後サポート部材15には円形なボルト挿通孔15D′を設ける構成としてもよい。
【0085】
また、例えば図16に示す第2の変形例のように、左後サポート部材15に遊嵌孔としての長溝孔15Dを設けると共に、ヒンジ17のサポート側取付部17Bに遊嵌孔としての長溝孔17D′を設ける構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態によるヒンジ32のサポート側取付部32Bと左後サポート部材31とについても同様である。
【0086】
また、上述した第1の実施の形態では、遊嵌孔として左後サポート部材15に前,後方向に延びる長溝孔15Dを設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば長溝孔15Dに代えて楕円形状の孔、大径孔等を遊嵌孔として用いる構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態による左後サポート部材31の長溝孔31Dについても同様である。
【0087】
また、上述した第1の実施の形態では、左後サポート部材15と左後開閉カバー16との間に上,下2個のヒンジ17を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個または3個以上のヒンジを設ける構成としてもよい。
【0088】
また、上述した第1の実施の形態では、左後開閉カバー16に取付けたヒンジ17と左後サポート部材15との間にヒンジ移動機構20を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左前開閉カバー13に取付けたヒンジ14と左前サポート部材12との間にヒンジ移動機構を設ける構成としてもよい。
【0089】
さらに、上述した実施の形態では建設機械として油圧ショベル1を例に挙げている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】エンジン、建屋、左後サポート部材、左後開閉カバー等を図1中の矢示II−II方向からみた断面図である。
【図3】図1中の左前開閉カバー、左後開閉カバー等を示す拡大正面図である。
【図4】上部旋回体を、左前開閉カバーと左後開閉カバーを開いた状態で示す斜視図である。
【図5】旋回フレーム上に左前サポート部材、左前開閉カバー、左後サポート部材、左後開閉カバーを配置した状態を示す斜視図である。
【図6】左後サポート部材、左後開閉カバー、ヒンジ等を示す分解斜視図である。
【図7】左後サポート部材、左後開閉カバー、ヒンジ、締着ボルト、ヒンジ移動機構等の要部を拡大して示す斜視図である。
【図8】図7中の締着ボルト、ヒンジ移動機構等を分解して示す分解斜視図である。
【図9】左後サポート部材、左後開閉カバー、ヒンジ、締着ボルト、ヒンジ移動機構等を図3中の矢示IX−IX方向からみた断面図である。
【図10】ヒンジ移動機構によって左後開閉カバーを移動させた状態を示す図9と同様位置の断面図である。
【図11】第2の実施の形態によるヒンジ移動機構等の要部を拡大して示す斜視図である。
【図12】図11中の締着ボルト、ヒンジ移動機構等を分解して示す分解斜視図である。
【図13】第2の実施の形態によるヒンジ移動機構等を示す図9と同様位置の断面図である。
【図14】ヒンジ移動機構によって左後開閉カバーを移動させた状態を示す図13と同様位置の断面図である。
【図15】ヒンジのサポート側取付部に長溝孔を設けた第1の変形例を示す図8と同様な分解斜視図である。
【図16】ヒンジのサポート側取付部とサポート部材とに長溝孔を設けた第2の変形例を示す図8と同様な分解斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1 油圧ショベル
5 旋回フレーム
8 エンジン(搭載機器)
9 油圧ポンプ(搭載機器)
10 熱交換装置(搭載機器)
11 建屋
15,31 左後サポート部材
15D,31D,17D′ 長溝孔(遊嵌孔)
16 左後開閉カバー
17,32 ヒンジ
17A,32A カバー側取付部
17B,32B サポート側取付部
18 締着ボルト(ヒンジ締着部材)
20,33 ヒンジ移動機構
21,34 雌ねじ部材
22,36 移動ボルト
35 中間板体
A−A 締着方向
B−B 移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、該フレームに搭載されるエンジンを含む搭載機器と、該搭載機器を覆って前記フレームに設けられた建屋とを備え、
前記建屋は、前記フレームに固定して設けられたサポート部材と、前記搭載機器の周囲に開,閉可能に配置される開閉カバーと、該開閉カバーに固着して設けられ前記サポート部材に取付けられるヒンジとにより構成してなる建設機械において、
前記ヒンジを前記サポート部材に締着するヒンジ締着部材と、該ヒンジ締着部材を緩めた状態で前記ヒンジを前記ヒンジ締着部材による締着方向に対してほぼ直交する移動方向に移動させるヒンジ移動機構とを設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記ヒンジと前記サポート部材のうち少なくとも一方には、前記ヒンジ締着部材がその締着方向に対してほぼ直交する移動方向に移動可能に遊嵌される遊嵌孔を設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ヒンジは、前記開閉カバーに固着されるカバー側取付部と、前記サポート部材に取付けられるサポート側取付部とを有し、
前記ヒンジ締着部材は、前記ヒンジのサポート側取付部を前記サポート部材に締着する締着ボルトにより構成し、
前記ヒンジ移動機構は、前記ヒンジのサポート側取付部に前記締着ボルトの締着方向とほぼ直交して設けられた雌ねじ部材と、前記サポート部材に回転可能に支持され前記雌ねじ部材に螺合することにより前記遊嵌孔の範囲で前記サポート部材に対し前記ヒンジを移動させる移動ボルトとにより構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記ヒンジは、前記開閉カバーに固着されるカバー側取付部と、前記サポート部材に取付けられるサポート側取付部とを有し、
前記ヒンジ締着部材は、前記ヒンジのサポート側取付部を前記サポート部材に締着する締着ボルトにより構成し、
前記ヒンジ移動機構は、前記サポート部材に前記締着ボルトの締着方向とほぼ直交して設けられた雌ねじ部材と、前記ヒンジのサポート側取付部と前記サポート部材との間に設けられ一面側に前記締着ボルトが挿通されると共に他面側が前記雌ねじ部材と対面したL字状の中間板体と、該中間板体の他面側に回転可能に支持され前記雌ねじ部材に螺合することにより前記中間板体を介して前記遊嵌孔の範囲で前記サポート部材に対し前記ヒンジを移動させる移動ボルトとにより構成してなる請求項1または2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−7764(P2009−7764A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167824(P2007−167824)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】