弁開閉時期制御装置
【課題】 内燃機関の始動時において、ハウジング部材に対してロータ部材を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させること。
【解決手段】 作動油の供給によりアンロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、進角油室R1及び遅角油室R2への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路Cを備えた弁開閉時期制御装置において、油圧回路Cとして、内燃機関の始動時に、進角油室R1及び遅角油室R2と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用した。
【解決手段】 作動油の供給によりアンロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、進角油室R1及び遅角油室R2への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路Cを備えた弁開閉時期制御装置において、油圧回路Cとして、内燃機関の始動時に、進角油室R1及び遅角油室R2と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用した。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の動弁装置において吸気弁または排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置(内燃機関用バルブ開閉タイミング調整装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の弁開閉時期制御装置の一つとして、内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えたものがあり、例えば特開平9−324613号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した弁開閉時期制御装置においては、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する状態にて、内燃機関の良好な始動性が得られるように、吸気弁及び排気弁の開閉時期が設定されている。このため、内燃機関の始動時において、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を中間位相位置にて規制しない場合には、内燃機関の始動性が損なわれるおそれがある。
【0004】ところで、内燃機関の始動時において、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を中間位相位置にて規制することを阻害する要因としては、油圧回路の設定に起因するものや、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構に作動油が残留することに起因するものがある。因みに、従来の油圧回路においては、油圧回路が備える制御弁の非通電時に作動油が進角油室または遅角油室に供給されるように設定されているものがあり、かかる設定の油圧回路においては、内燃機関の始動時に制御弁が非通電状態であると、作動油が進角油室または遅角油室に供給されて、ハウジング部材に対してロータ部材が中間位相位置に相対回転しないおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題に対処すべく、上記した弁開閉時期制御装置において、進角油室及び遅角油室への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路として、内燃機関の始動時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用したこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0006】また、上記した弁開閉時期制御装置において、進角油室及び遅角油室への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路として、作動油の給排制御異常時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とする油圧回路を採用したこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0007】また、本発明の実施に際しては、前記油圧回路が備える一つの制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とすること(請求項3に係る発明)、或いは、前記油圧回路が備える複数の制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とすること(請求項4に係る発明)が望ましい。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明による弁開閉時期制御装置(請求項1に係る発明)においては、内燃機関の始動時に、油圧回路にて進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能である。このため、内燃機関の始動時において進角油室及び遅角油室に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材とロータ部材の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材に対してロータ部材を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、内燃機関の始動時において相対回転制御機構から作動油を排出することができて、相対回転制御機構にて的確なロック作動が得られ、ハウジング部材とロータ部材の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0009】また、本発明による弁開閉時期制御装置(請求項2に係る発明)においては、内燃機関の駆動時において、作動油の給排制御異常が生じたとき、油圧回路にて進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能である。このため、作動油の給排制御異常が生じたときに進角油室及び遅角油室に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材とロータ部材の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材に対してロータ部材を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、作動油の給排制御異常が生じたときに相対回転制御機構から作動油を排出することができて、相対回転制御機構にて的確なロック作動が得られて、ハウジング部材とロータ部材の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、作動油の給排制御異常時においても、内燃機関の良好な始動性を確保することができるとともに、内燃機関が最低限必要とする機能を発揮する状態で内燃機関を駆動させることができる。
【0010】また、本発明の実施に際して、油圧回路が備える一つの制御弁にて、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能とした場合(請求項3に係る発明)には、油圧回路をシンプルかつコンパクトに構成することができる。また、本発明の実施に際して、油圧回路が備える複数の制御弁にて、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能とした場合(請求項4に係る発明)には、既存の制御弁(非通電時に作動油が進角油室または遅角油室に供給されるように設定されている制御弁)を複数の制御弁の一つとしてそのまま利用して容易に実施することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11に示した本発明による弁開閉時期制御装置は、カム軸10の先端部(図1の左端)に一体的に組付けたロータ部材20と、このロータ部材20に所定範囲で相対回転可能に外装されたハウジング部材30と、ハウジング部材30とロータ部材20間に介装したトーションスプリングSと、ハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を制御する相対回転制御機構Bを備えるとともに、後述する進角油室R1及び遅角油室R2への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構Bへの作動油の給排を制御する油圧回路Cを備えている。
【0012】カム軸10は、吸気弁(図示省略)を開閉する周知のカム(図示省略)を有していて、内燃機関のシリンダヘッド40に回転自在に支持されており、内部にはカム軸10の軸方向に延びる進角通路11と遅角通路12が設けられている。進角通路11は、径方向の通孔13と環状の通路14と接続通路P1を介して油圧制御弁100の接続ポート101に接続されている。また、遅角通路12は、径方向の通孔15と環状の通路16と接続通路P2を介して油圧制御弁100の接続ポート102に接続されている。なお、径方向の通孔13,15と環状の通路16はカム軸10に形成されており、環状の通路14はカム軸10とシリンダヘッド40の段部間に形成されている。
【0013】ロータ部材20は、メインロータ21と、このメインロータ21の前方(図1の左方)に一体的に組付けた段付筒状のフロントロータ22によって構成されていて、ボルト50によってカム軸10の前端に一体的に固着されており、ボルト50の頭部によって前端を閉塞された各ロータ21,22の中心内孔はカム軸10に設けた進角通路11に連通している。
【0014】メインロータ21は、フロントロータ22が同軸的に組付けられる内孔21aを有するとともに、4個のベーン23とこれを径外方へ付勢するスプリング24(図1参照)を組付けるためのベーン溝21bを有している。各ベーン23は、ベーン溝21bに組付けられて径外方に延びており、ハウジング部材30内に4個の進角油室R1及び遅角油室R2を区画形成している。また、メインロータ21には、径方向内端にて中心内孔を通して進角通路11に連通し径方向外端にて進角油室R1に連通する径方向の通孔21cが4個設けられるとともに、遅角通路12に連通する軸方向の通孔21dと、径方向内端にて通孔21dに連通し径方向外端にて遅角油室R2に連通する径方向の通孔21eがそれぞれ4個設けられている。
【0015】ハウジング部材30は、ハウジング本体31と、フロントプレート32と、リヤ薄肉プレート33と、これらを一体的に連結する5本のボルト34(図2参照)によって構成されていて、ハウジング本体31の後方外周にはスプロケット31aが一体的に形成されている。スプロケット31aは、周知のように、タイミングチェーン(図示省略)を介して内燃機関のクランク軸(図示省略)に連結されていて、クランク軸からの駆動力が伝達されて図2の時計方向へ回転されるように構成されている。
【0016】ハウジング本体31は、径内方に突出する4個のシュー部31bを有していて、各シュー部31bの径方向内端にてメインロータ21を相対回転可能に支承している。フロントプレート32とリヤ薄肉プレート33は、軸方向の対向する端面にて、メインロータ21の軸方向端面外周および各ベーン23の軸方向端面全体にそれぞれ摺動可能に接している。また、ハウジング本体31には、図2に示したように、最遅角位相位置をベーン23との当接によって規定する突起31cが形成されるとともに、最進角位相位置をベーン23との当接によって規定する突起31dが形成されている。
【0017】相対回転制御機構Bは、作動油の供給によりアンロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を許容し、作動油の排出によりロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置(図2の状態)にて規制するものであり、図2〜図4に示したように、一対のロックピン61,62及びロックスプリング63,64を備えている。
【0018】各ロックピン61,62は、フロントプレート32に設けた軸方向の退避孔32a,32bに軸方向へ摺動可能に組付けられていて、退避孔32a,32bに収容したロックスプリング63,64によって退避孔32a,32bから突出するように付勢されている。なお、各退避孔32a,32bには、ロックピン61,62を円滑に軸方向移動させるための通孔32c,32dが設けられている。
【0019】また、各ロックピン61,62は、先端部がメインロータ21に設けた円弧状ロック溝21f,21gに摺動可能で抜き差し可能(嵌合・離脱可能)であり、円弧状ロック溝21f,21gに作動油が供給されることによりロックスプリング63,64の付勢力(小さい値に設定されている)に抗して軸方向へ移動して退避孔32a,32bに退避収容されるようになっている。また、各ロックピン61,62の先端は、メインロータ21の端面に当接可能であり、当接状態では摺動可能である。
【0020】各円弧状ロック溝21f,21gは、図2に示したように、ハウジング部材30に対してロータ部材20が中間位相位置にあるとき、端部が各退避孔32a,32bに対向一致するように設けられていて、底部には円弧状連通溝21h,21iと軸方向の通孔21j,21kが設けられている。円弧状ロック溝21fは、図2及び図3にて示したように、円弧状連通溝21hと軸方向の通孔21jと径方向の通孔21cを通して進角通路11に連通するとともに、径外方に延びる連通溝21mを通して進角油室R1に連通している。円弧状ロック溝21gは、図2及び図4にて示したように、円弧状連通溝21iと軸方向の通孔21kと径方向の通孔21eと軸方向の通孔21dを通して遅角通路12に連通するとともに、径外方に延びる連通溝21nを通して遅角油室R2に連通している。
【0021】ハウジング部材30とロータ部材20間に介装したトーションスプリングSは、ハウジング部材30に対してロータ部材20を進角側に回転付勢するものであり、その付勢力は吸気弁を閉方向に付勢するスプリング(図示省略)の付勢力に起因してカム軸10及びロータ部材20が遅角側に回転付勢されるのを打ち消す程度の値とされている。このため、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相を進角側へ変更する場合の作動応答性が良好とされている。
【0022】図1に示した油圧制御弁100は、内燃機関によって駆動されるオイルポンプ110、内燃機関のオイル溜120等とにより油圧回路Cを構成していて、通電制御装置200によるソレノイド103への通電によってスプール104をスプリング105に抗して図1の左方向へ移動できるものであり、デューティ値(%)を変えることにより、スプール104が図5〜図11に例示したように作動するように構成されている。通電制御装置200は、各種センサ(クランク角、カム角、スロットル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温、車速等を検出するセンサ)からの検出信号に基づき、予め設定した制御パターンに従い、内燃機関の運転状態に応じて出力(デューティ値)を制御するようになっている。
【0023】スプール104は、図5にて拡大して示したように、5個のランド部104a,104b,104c,104d,104eと、各ランド部間に形成した4個の環状溝104f,104g,104h,104iと、両端の環状溝104f,104iを排出ポート107に連通させる一対の連通孔104j,104kを有していて、図5に示した各部のラップ量がL1<L2<L3<L4<L5<L6となるように設定されている。
【0024】ところで、スプール104が図5に示した状態(デューティ値0%で非通電の状態)にあるときには、オイルポンプ110の吐出口に接続された供給ポート106が両ランド部104b,104cによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、両接続ポート101,102がオイル溜120に接続された排出ポート107に両環状溝104f,104iと両連通孔104j,104kを通して連通していて、両接続ポート101,102から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0025】また、スプール104が図6に示した状態にあるときには、供給ポート106が両ランド部104b,104cによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、接続ポート101が排出ポート107に環状溝104fと連通孔104jを通して連通していて、接続ポート101から排出ポート107に作動油が排出可能であるものの、接続ポート102が両ランド部104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断される。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに作動油を封止可能である。
【0026】また、スプール104が図7に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104bによって接続ポート101との連通を遮断された状態にて接続ポート102に環状溝104hを通して連通するとともに、接続ポート101が排出ポート107に環状溝104fと連通孔104jを通して連通していて、供給ポート106から接続ポート102に作動油が供給可能であり、接続ポート101から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0027】また、スプール104が図8に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104bによって接続ポート101との連通を遮断された状態にて接続ポート102に環状溝104hを通して連通するとともに、接続ポート101がランド部104bによって排出ポート107との連通を遮断され、供給ポート106から接続ポート102に作動油が供給可能である。このため、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに作動油を封止可能である。
【0028】また、スプール104が図9に示した状態にあるときには、供給ポート106が両ランド部104b,104dによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、両接続ポート101,102が各ランド部104b,104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断される。このため、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gに作動油を封止可能である。
【0029】また、スプール104が図10に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104dによって接続ポート102との連通を遮断された状態にて接続ポート101に環状溝104gを通して連通するとともに、接続ポート102が両ランド部104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断されていて、供給ポート106から接続ポート101に作動油が供給可能である。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに作動油を封止可能である。
【0030】また、スプール104が図11に示した状態(デューティ値100%の状態)にあるときには、供給ポート106がランド部104dによって接続ポート102との連通を遮断された状態にて接続ポート101に環状溝104gを通して連通するとともに、接続ポート102が排出ポート107に環状溝104iと連通孔104kを通して連通していて、供給ポート106から接続ポート101に作動油が供給可能であり、接続ポート102から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gから油圧制御弁100を通して作動油を排出可能である。
【0031】上記のように構成した本実施形態においては、内燃機関の駆動時、油圧制御弁100のソレノイド103への通電が通電制御装置200によって制御されることにより、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相が最遅角位相(進角油室R1の容積が最小となり遅角油室R2の容積が最大となる位相)から最進角位相(進角油室R1の容積が最大となり遅角油室R2の容積が最小となる位相)までの範囲の任意の位相に調整保持することができて、内燃機関の駆動時における吸気弁の弁開閉時期を最遅角制御状態での作動と最進角制御状態での作動間で適宜に調整保持することができる。
【0032】この場合において、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相の進角側への調整は、スプール104が図11に示した状態とされて、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給されるとともに、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gから油圧制御弁100を通して作動油が排出されることによりなされる。
【0033】このときには、作動油が相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに供給されロックピン61がロックスプリング63に抗してアンロック作動して退避孔32aに退避収容された状態、またはロックピン61がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、およびロックピン62がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、またはロックピン62が円弧状ロック溝21gに摺動可能に嵌合した状態にて、作動油が各進角油室R1に供給されるとともに、各遅角油室R2から作動油が排出されることにより、ロータ部材20がハウジング部材30に対して進角側に相対回転する。
【0034】また、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相の遅角側への調整は、スプール104が図7に示した状態とされて、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給されるとともに、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油が排出されることによりなされる。
【0035】このときには、作動油が相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに供給されロックピン62がロックスプリング64に抗してアンロック作動して退避孔32bに退避収容された状態、またはロックピン62がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、およびロックピン61がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、またはロックピン61が円弧状ロック溝21fに摺動可能に嵌合した状態にて、作動油が各遅角油室R2に供給されるとともに、各進角油室R1から作動油が排出されることにより、ロータ部材20がハウジング部材30に対して遅角側に相対回転する。
【0036】ところで、本実施形態においては、内燃機関の始動時に、通電制御装置200による油圧制御弁100のソレノイド103への通電が予め設定した制御パターンに従って制御されて、油圧制御弁100が設定時間(スタータによってクランク軸がクランキングされている時間より僅かに長い時間)デューティ値0%で作動するように設定されていて、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0037】このため、内燃機関の始動時において各進角油室R1及び各遅角油室R2に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材30とロータ部材20の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材30に対してロータ部材20を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、内燃機関の始動時において相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21f,21gから作動油を排出することができて、相対回転制御機構Bにて的確なロック作動(各ロックスプリング63,64による各ロックピン61,62の押動)が得られ、ハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0038】また、本実施形態においては、作動油の給排制御異常が生じたとき、通電制御装置200に予め設けた異常検出モードによって異常が検出されて、通電制御装置200による油圧制御弁100のソレノイド103への通電が予め設定した異常時制御パターンに従って制御され、油圧制御弁100がデューティ値0%で作動するように設定されている。このため、かかる場合にも、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能であり、上記作動と同じ作動が得られる。したがって、作動油の給排制御異常時においても、内燃機関の良好な始動性を確保することができるとともに、内燃機関が最低限必要とする機能を発揮する状態で内燃機関を駆動させることができる。
【0039】上記した異常検出モードによる異常検出では、例えば、通電制御装置200に検出信号を出力する各種センサ(クランク角、カム角、スロットル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温、車速等を検出するセンサ)の断線等によるセンシング異常や、油圧不足、異物噛み込み等による油圧制御弁100の制御性不良や、断線による油圧制御弁100への通電異常などが検出される。
【0040】上記実施形態においては、一つの油圧制御弁100を備えた油圧回路Cにて、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に、進角油室R1及び遅角油室R2と相対回転制御機構Bから作動油を排出可能としたが、図12に示したように、3個の油圧制御弁100a,100b,100cを備えた油圧回路Caにて、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に、上記実施形態と同様に、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能として実施することも可能である。なお、油圧制御弁100a,100cは、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に非通電状態とされて図12の左方ポジションとされ、その他のときには通電状態とされて図12の右方ポジションとされるようになっている。また、図12の油圧制御弁100cを無くして実施することも可能である。
【0041】また、上記実施形態においては、ハウジング部材30がクランク軸と一体的に回転し、ロータ部材20がカム軸10と一体的に回転するように構成した弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、ハウジング部材がカム軸と一体的に回転し、ロータ部材がクランク軸と一体的に回転するように構成した弁開閉時期制御装置にも、本発明は同様に実施することが可能である。また、本発明は、ベーンがロータ本体に一体的に形成されるタイプの装置にも同様に実施し得るものである。
【0042】また、上記実施形態においては、吸気弁を開閉するカム軸に装着される弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、本発明は排気弁を開閉するカム軸に装着される弁開閉時期制御装置にも同様にまたは適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による弁開閉時期制御装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】 図1の要部縦断正面図である。
【図3】 図2に示した上方のロックピン部位の断面図である。
【図4】 図2に示した下方のロックピン部位の断面図である。
【図5】 図1に示した油圧制御弁の拡大断面図である。
【図6】 図5に示した油圧制御弁の第1の通電状態での要部断面図である。
【図7】 図5に示した油圧制御弁の第2の通電状態での要部断面図である。
【図8】 図5に示した油圧制御弁の第3の通電状態での要部断面図である。
【図9】 図5に示した油圧制御弁の第4の通電状態での要部断面図である。
【図10】 図5に示した油圧制御弁の第5の通電状態での要部断面図である。
【図11】 図5に示した油圧制御弁の第6の通電状態での要部断面図である。
【図12】 本発明による弁開閉時期制御装置の他の実施形態を示す全体構成図である。
【符号の説明】
10…カム軸、11…進角通路、12…遅角通路、20…ロータ部材、21…ロータ本体、23…ベーン、30…ハウジング部材、31…ハウジング本体、31b…シュー部、B…相対回転制御機構、61,62…ロックピン、63,64…ロックスプリング、R1…進角油室、R2…遅角油室、C…油圧回路、100…油圧制御弁、110…オイルポンプ、120…オイル溜。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の動弁装置において吸気弁または排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置(内燃機関用バルブ開閉タイミング調整装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の弁開閉時期制御装置の一つとして、内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えたものがあり、例えば特開平9−324613号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した弁開閉時期制御装置においては、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する状態にて、内燃機関の良好な始動性が得られるように、吸気弁及び排気弁の開閉時期が設定されている。このため、内燃機関の始動時において、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を中間位相位置にて規制しない場合には、内燃機関の始動性が損なわれるおそれがある。
【0004】ところで、内燃機関の始動時において、相対回転制御機構がハウジング部材とロータ部材の相対回転を中間位相位置にて規制することを阻害する要因としては、油圧回路の設定に起因するものや、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構に作動油が残留することに起因するものがある。因みに、従来の油圧回路においては、油圧回路が備える制御弁の非通電時に作動油が進角油室または遅角油室に供給されるように設定されているものがあり、かかる設定の油圧回路においては、内燃機関の始動時に制御弁が非通電状態であると、作動油が進角油室または遅角油室に供給されて、ハウジング部材に対してロータ部材が中間位相位置に相対回転しないおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題に対処すべく、上記した弁開閉時期制御装置において、進角油室及び遅角油室への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路として、内燃機関の始動時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用したこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0006】また、上記した弁開閉時期制御装置において、進角油室及び遅角油室への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路として、作動油の給排制御異常時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とする油圧回路を採用したこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0007】また、本発明の実施に際しては、前記油圧回路が備える一つの制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とすること(請求項3に係る発明)、或いは、前記油圧回路が備える複数の制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とすること(請求項4に係る発明)が望ましい。
【0008】
【発明の作用・効果】本発明による弁開閉時期制御装置(請求項1に係る発明)においては、内燃機関の始動時に、油圧回路にて進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能である。このため、内燃機関の始動時において進角油室及び遅角油室に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材とロータ部材の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材に対してロータ部材を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、内燃機関の始動時において相対回転制御機構から作動油を排出することができて、相対回転制御機構にて的確なロック作動が得られ、ハウジング部材とロータ部材の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0009】また、本発明による弁開閉時期制御装置(請求項2に係る発明)においては、内燃機関の駆動時において、作動油の給排制御異常が生じたとき、油圧回路にて進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能である。このため、作動油の給排制御異常が生じたときに進角油室及び遅角油室に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材とロータ部材の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材に対してロータ部材を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、作動油の給排制御異常が生じたときに相対回転制御機構から作動油を排出することができて、相対回転制御機構にて的確なロック作動が得られて、ハウジング部材とロータ部材の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、作動油の給排制御異常時においても、内燃機関の良好な始動性を確保することができるとともに、内燃機関が最低限必要とする機能を発揮する状態で内燃機関を駆動させることができる。
【0010】また、本発明の実施に際して、油圧回路が備える一つの制御弁にて、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能とした場合(請求項3に係る発明)には、油圧回路をシンプルかつコンパクトに構成することができる。また、本発明の実施に際して、油圧回路が備える複数の制御弁にて、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能とした場合(請求項4に係る発明)には、既存の制御弁(非通電時に作動油が進角油室または遅角油室に供給されるように設定されている制御弁)を複数の制御弁の一つとしてそのまま利用して容易に実施することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11に示した本発明による弁開閉時期制御装置は、カム軸10の先端部(図1の左端)に一体的に組付けたロータ部材20と、このロータ部材20に所定範囲で相対回転可能に外装されたハウジング部材30と、ハウジング部材30とロータ部材20間に介装したトーションスプリングSと、ハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を制御する相対回転制御機構Bを備えるとともに、後述する進角油室R1及び遅角油室R2への作動油の給排を制御するとともに相対回転制御機構Bへの作動油の給排を制御する油圧回路Cを備えている。
【0012】カム軸10は、吸気弁(図示省略)を開閉する周知のカム(図示省略)を有していて、内燃機関のシリンダヘッド40に回転自在に支持されており、内部にはカム軸10の軸方向に延びる進角通路11と遅角通路12が設けられている。進角通路11は、径方向の通孔13と環状の通路14と接続通路P1を介して油圧制御弁100の接続ポート101に接続されている。また、遅角通路12は、径方向の通孔15と環状の通路16と接続通路P2を介して油圧制御弁100の接続ポート102に接続されている。なお、径方向の通孔13,15と環状の通路16はカム軸10に形成されており、環状の通路14はカム軸10とシリンダヘッド40の段部間に形成されている。
【0013】ロータ部材20は、メインロータ21と、このメインロータ21の前方(図1の左方)に一体的に組付けた段付筒状のフロントロータ22によって構成されていて、ボルト50によってカム軸10の前端に一体的に固着されており、ボルト50の頭部によって前端を閉塞された各ロータ21,22の中心内孔はカム軸10に設けた進角通路11に連通している。
【0014】メインロータ21は、フロントロータ22が同軸的に組付けられる内孔21aを有するとともに、4個のベーン23とこれを径外方へ付勢するスプリング24(図1参照)を組付けるためのベーン溝21bを有している。各ベーン23は、ベーン溝21bに組付けられて径外方に延びており、ハウジング部材30内に4個の進角油室R1及び遅角油室R2を区画形成している。また、メインロータ21には、径方向内端にて中心内孔を通して進角通路11に連通し径方向外端にて進角油室R1に連通する径方向の通孔21cが4個設けられるとともに、遅角通路12に連通する軸方向の通孔21dと、径方向内端にて通孔21dに連通し径方向外端にて遅角油室R2に連通する径方向の通孔21eがそれぞれ4個設けられている。
【0015】ハウジング部材30は、ハウジング本体31と、フロントプレート32と、リヤ薄肉プレート33と、これらを一体的に連結する5本のボルト34(図2参照)によって構成されていて、ハウジング本体31の後方外周にはスプロケット31aが一体的に形成されている。スプロケット31aは、周知のように、タイミングチェーン(図示省略)を介して内燃機関のクランク軸(図示省略)に連結されていて、クランク軸からの駆動力が伝達されて図2の時計方向へ回転されるように構成されている。
【0016】ハウジング本体31は、径内方に突出する4個のシュー部31bを有していて、各シュー部31bの径方向内端にてメインロータ21を相対回転可能に支承している。フロントプレート32とリヤ薄肉プレート33は、軸方向の対向する端面にて、メインロータ21の軸方向端面外周および各ベーン23の軸方向端面全体にそれぞれ摺動可能に接している。また、ハウジング本体31には、図2に示したように、最遅角位相位置をベーン23との当接によって規定する突起31cが形成されるとともに、最進角位相位置をベーン23との当接によって規定する突起31dが形成されている。
【0017】相対回転制御機構Bは、作動油の供給によりアンロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を許容し、作動油の排出によりロック作動してハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置(図2の状態)にて規制するものであり、図2〜図4に示したように、一対のロックピン61,62及びロックスプリング63,64を備えている。
【0018】各ロックピン61,62は、フロントプレート32に設けた軸方向の退避孔32a,32bに軸方向へ摺動可能に組付けられていて、退避孔32a,32bに収容したロックスプリング63,64によって退避孔32a,32bから突出するように付勢されている。なお、各退避孔32a,32bには、ロックピン61,62を円滑に軸方向移動させるための通孔32c,32dが設けられている。
【0019】また、各ロックピン61,62は、先端部がメインロータ21に設けた円弧状ロック溝21f,21gに摺動可能で抜き差し可能(嵌合・離脱可能)であり、円弧状ロック溝21f,21gに作動油が供給されることによりロックスプリング63,64の付勢力(小さい値に設定されている)に抗して軸方向へ移動して退避孔32a,32bに退避収容されるようになっている。また、各ロックピン61,62の先端は、メインロータ21の端面に当接可能であり、当接状態では摺動可能である。
【0020】各円弧状ロック溝21f,21gは、図2に示したように、ハウジング部材30に対してロータ部材20が中間位相位置にあるとき、端部が各退避孔32a,32bに対向一致するように設けられていて、底部には円弧状連通溝21h,21iと軸方向の通孔21j,21kが設けられている。円弧状ロック溝21fは、図2及び図3にて示したように、円弧状連通溝21hと軸方向の通孔21jと径方向の通孔21cを通して進角通路11に連通するとともに、径外方に延びる連通溝21mを通して進角油室R1に連通している。円弧状ロック溝21gは、図2及び図4にて示したように、円弧状連通溝21iと軸方向の通孔21kと径方向の通孔21eと軸方向の通孔21dを通して遅角通路12に連通するとともに、径外方に延びる連通溝21nを通して遅角油室R2に連通している。
【0021】ハウジング部材30とロータ部材20間に介装したトーションスプリングSは、ハウジング部材30に対してロータ部材20を進角側に回転付勢するものであり、その付勢力は吸気弁を閉方向に付勢するスプリング(図示省略)の付勢力に起因してカム軸10及びロータ部材20が遅角側に回転付勢されるのを打ち消す程度の値とされている。このため、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相を進角側へ変更する場合の作動応答性が良好とされている。
【0022】図1に示した油圧制御弁100は、内燃機関によって駆動されるオイルポンプ110、内燃機関のオイル溜120等とにより油圧回路Cを構成していて、通電制御装置200によるソレノイド103への通電によってスプール104をスプリング105に抗して図1の左方向へ移動できるものであり、デューティ値(%)を変えることにより、スプール104が図5〜図11に例示したように作動するように構成されている。通電制御装置200は、各種センサ(クランク角、カム角、スロットル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温、車速等を検出するセンサ)からの検出信号に基づき、予め設定した制御パターンに従い、内燃機関の運転状態に応じて出力(デューティ値)を制御するようになっている。
【0023】スプール104は、図5にて拡大して示したように、5個のランド部104a,104b,104c,104d,104eと、各ランド部間に形成した4個の環状溝104f,104g,104h,104iと、両端の環状溝104f,104iを排出ポート107に連通させる一対の連通孔104j,104kを有していて、図5に示した各部のラップ量がL1<L2<L3<L4<L5<L6となるように設定されている。
【0024】ところで、スプール104が図5に示した状態(デューティ値0%で非通電の状態)にあるときには、オイルポンプ110の吐出口に接続された供給ポート106が両ランド部104b,104cによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、両接続ポート101,102がオイル溜120に接続された排出ポート107に両環状溝104f,104iと両連通孔104j,104kを通して連通していて、両接続ポート101,102から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0025】また、スプール104が図6に示した状態にあるときには、供給ポート106が両ランド部104b,104cによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、接続ポート101が排出ポート107に環状溝104fと連通孔104jを通して連通していて、接続ポート101から排出ポート107に作動油が排出可能であるものの、接続ポート102が両ランド部104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断される。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに作動油を封止可能である。
【0026】また、スプール104が図7に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104bによって接続ポート101との連通を遮断された状態にて接続ポート102に環状溝104hを通して連通するとともに、接続ポート101が排出ポート107に環状溝104fと連通孔104jを通して連通していて、供給ポート106から接続ポート102に作動油が供給可能であり、接続ポート101から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0027】また、スプール104が図8に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104bによって接続ポート101との連通を遮断された状態にて接続ポート102に環状溝104hを通して連通するとともに、接続ポート101がランド部104bによって排出ポート107との連通を遮断され、供給ポート106から接続ポート102に作動油が供給可能である。このため、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに作動油を封止可能である。
【0028】また、スプール104が図9に示した状態にあるときには、供給ポート106が両ランド部104b,104dによって両接続ポート101,102との連通を遮断されるとともに、両接続ポート101,102が各ランド部104b,104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断される。このため、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gに作動油を封止可能である。
【0029】また、スプール104が図10に示した状態にあるときには、供給ポート106がランド部104dによって接続ポート102との連通を遮断された状態にて接続ポート101に環状溝104gを通して連通するとともに、接続ポート102が両ランド部104d,104eによって排出ポート107との連通を遮断されていて、供給ポート106から接続ポート101に作動油が供給可能である。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに作動油を封止可能である。
【0030】また、スプール104が図11に示した状態(デューティ値100%の状態)にあるときには、供給ポート106がランド部104dによって接続ポート102との連通を遮断された状態にて接続ポート101に環状溝104gを通して連通するとともに、接続ポート102が排出ポート107に環状溝104iと連通孔104kを通して連通していて、供給ポート106から接続ポート101に作動油が供給可能であり、接続ポート102から排出ポート107に作動油が排出可能である。このため、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給可能であり、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gから油圧制御弁100を通して作動油を排出可能である。
【0031】上記のように構成した本実施形態においては、内燃機関の駆動時、油圧制御弁100のソレノイド103への通電が通電制御装置200によって制御されることにより、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相が最遅角位相(進角油室R1の容積が最小となり遅角油室R2の容積が最大となる位相)から最進角位相(進角油室R1の容積が最大となり遅角油室R2の容積が最小となる位相)までの範囲の任意の位相に調整保持することができて、内燃機関の駆動時における吸気弁の弁開閉時期を最遅角制御状態での作動と最進角制御状態での作動間で適宜に調整保持することができる。
【0032】この場合において、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相の進角側への調整は、スプール104が図11に示した状態とされて、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに油圧制御弁100を通して作動油が供給されるとともに、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gから油圧制御弁100を通して作動油が排出されることによりなされる。
【0033】このときには、作動油が相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fに供給されロックピン61がロックスプリング63に抗してアンロック作動して退避孔32aに退避収容された状態、またはロックピン61がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、およびロックピン62がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、またはロックピン62が円弧状ロック溝21gに摺動可能に嵌合した状態にて、作動油が各進角油室R1に供給されるとともに、各遅角油室R2から作動油が排出されることにより、ロータ部材20がハウジング部材30に対して進角側に相対回転する。
【0034】また、ロータ部材20のハウジング部材30に対する相対回転位相の遅角側への調整は、スプール104が図7に示した状態とされて、各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに油圧制御弁100を通して作動油が供給されるとともに、各進角油室R1と相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21fから油圧制御弁100を通して作動油が排出されることによりなされる。
【0035】このときには、作動油が相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21gに供給されロックピン62がロックスプリング64に抗してアンロック作動して退避孔32bに退避収容された状態、またはロックピン62がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、およびロックピン61がメインロータ21の端面に摺動可能に当接した状態、またはロックピン61が円弧状ロック溝21fに摺動可能に嵌合した状態にて、作動油が各遅角油室R2に供給されるとともに、各進角油室R1から作動油が排出されることにより、ロータ部材20がハウジング部材30に対して遅角側に相対回転する。
【0036】ところで、本実施形態においては、内燃機関の始動時に、通電制御装置200による油圧制御弁100のソレノイド103への通電が予め設定した制御パターンに従って制御されて、油圧制御弁100が設定時間(スタータによってクランク軸がクランキングされている時間より僅かに長い時間)デューティ値0%で作動するように設定されていて、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能である。
【0037】このため、内燃機関の始動時において各進角油室R1及び各遅角油室R2に残る作動油を排出することができて、同作動油によりハウジング部材30とロータ部材20の相対回転が阻害されることはなく、駆動力伝達系のトルク変動により、ハウジング部材30に対してロータ部材20を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置に素早く相対回転させることができる。また、内燃機関の始動時において相対回転制御機構Bの円弧状ロック溝21f,21gから作動油を排出することができて、相対回転制御機構Bにて的確なロック作動(各ロックスプリング63,64による各ロックピン61,62の押動)が得られ、ハウジング部材30とロータ部材20の相対回転を上記した中間位相位置にて的確に規制することができる。したがって、内燃機関の始動性を向上させることができる。
【0038】また、本実施形態においては、作動油の給排制御異常が生じたとき、通電制御装置200に予め設けた異常検出モードによって異常が検出されて、通電制御装置200による油圧制御弁100のソレノイド103への通電が予め設定した異常時制御パターンに従って制御され、油圧制御弁100がデューティ値0%で作動するように設定されている。このため、かかる場合にも、各進角油室R1及び各遅角油室R2と相対回転制御機構Bの両円弧状ロック溝21f,21gから油圧制御弁100を通して作動油をオイル溜120に排出可能であり、上記作動と同じ作動が得られる。したがって、作動油の給排制御異常時においても、内燃機関の良好な始動性を確保することができるとともに、内燃機関が最低限必要とする機能を発揮する状態で内燃機関を駆動させることができる。
【0039】上記した異常検出モードによる異常検出では、例えば、通電制御装置200に検出信号を出力する各種センサ(クランク角、カム角、スロットル開度、エンジン回転数、エンジン冷却水温、車速等を検出するセンサ)の断線等によるセンシング異常や、油圧不足、異物噛み込み等による油圧制御弁100の制御性不良や、断線による油圧制御弁100への通電異常などが検出される。
【0040】上記実施形態においては、一つの油圧制御弁100を備えた油圧回路Cにて、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に、進角油室R1及び遅角油室R2と相対回転制御機構Bから作動油を排出可能としたが、図12に示したように、3個の油圧制御弁100a,100b,100cを備えた油圧回路Caにて、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に、上記実施形態と同様に、進角油室及び遅角油室と相対回転制御機構から作動油を排出可能として実施することも可能である。なお、油圧制御弁100a,100cは、内燃機関の始動時及び作動油の給排制御異常時に非通電状態とされて図12の左方ポジションとされ、その他のときには通電状態とされて図12の右方ポジションとされるようになっている。また、図12の油圧制御弁100cを無くして実施することも可能である。
【0041】また、上記実施形態においては、ハウジング部材30がクランク軸と一体的に回転し、ロータ部材20がカム軸10と一体的に回転するように構成した弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、ハウジング部材がカム軸と一体的に回転し、ロータ部材がクランク軸と一体的に回転するように構成した弁開閉時期制御装置にも、本発明は同様に実施することが可能である。また、本発明は、ベーンがロータ本体に一体的に形成されるタイプの装置にも同様に実施し得るものである。
【0042】また、上記実施形態においては、吸気弁を開閉するカム軸に装着される弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、本発明は排気弁を開閉するカム軸に装着される弁開閉時期制御装置にも同様にまたは適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による弁開閉時期制御装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】 図1の要部縦断正面図である。
【図3】 図2に示した上方のロックピン部位の断面図である。
【図4】 図2に示した下方のロックピン部位の断面図である。
【図5】 図1に示した油圧制御弁の拡大断面図である。
【図6】 図5に示した油圧制御弁の第1の通電状態での要部断面図である。
【図7】 図5に示した油圧制御弁の第2の通電状態での要部断面図である。
【図8】 図5に示した油圧制御弁の第3の通電状態での要部断面図である。
【図9】 図5に示した油圧制御弁の第4の通電状態での要部断面図である。
【図10】 図5に示した油圧制御弁の第5の通電状態での要部断面図である。
【図11】 図5に示した油圧制御弁の第6の通電状態での要部断面図である。
【図12】 本発明による弁開閉時期制御装置の他の実施形態を示す全体構成図である。
【符号の説明】
10…カム軸、11…進角通路、12…遅角通路、20…ロータ部材、21…ロータ本体、23…ベーン、30…ハウジング部材、31…ハウジング本体、31b…シュー部、B…相対回転制御機構、61,62…ロックピン、63,64…ロックスプリング、R1…進角油室、R2…遅角油室、C…油圧回路、100…油圧制御弁、110…オイルポンプ、120…オイル溜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えた弁開閉時期制御装置において、前記油圧回路として、内燃機関の始動時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用したことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
【請求項2】 内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えた弁開閉時期制御装置において、前記油圧回路として、作動油の給排制御異常時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とする油圧回路を採用したことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
【請求項3】 前記油圧回路が備える一つの制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項4】 前記油圧回路が備える複数の制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項1】 内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えた弁開閉時期制御装置において、前記油圧回路として、内燃機関の始動時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能な油圧回路を採用したことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
【請求項2】 内燃機関のクランク軸から内燃機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記クランク軸または前記カム軸と一体的に回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられてベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成し前記カム軸または前記クランク軸と一体的に回転するロータ部材と、作動油の供給によりアンロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し作動油の排出によりロック作動して前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間の中間位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室への作動油の給排を制御するとともに前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備えた弁開閉時期制御装置において、前記油圧回路として、作動油の給排制御異常時に、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能とする油圧回路を採用したことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
【請求項3】 前記油圧回路が備える一つの制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【請求項4】 前記油圧回路が備える複数の制御弁にて、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構から作動油を排出可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の弁開閉時期制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2001−355468(P2001−355468A)
【公開日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−179055(P2000−179055)
【出願日】平成12年6月14日(2000.6.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年6月14日(2000.6.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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