説明

強誘電体薄膜の製造方法

【課題】 電気泳動堆積法を用い、強誘電体微粒子の分極方向を揃えて基板上に堆積することによって強誘電体薄膜を形成する。この際に、基板内に形成された電子素子の破壊等の損傷を軽減する。
【解決手段】 強誘電体薄膜の製造方法は、基板105が入れられた液体103aと、強誘電体微粒子104bが分散された分散液104aとを、強誘電体微粒子104bが分散液104aから液体103aに対して拡散することができるように配置する工程と、分散液104a中の強誘電体微粒子104bの周囲に電界を形成して分散液104a中の強誘電体微粒子104bを基板105に向けて泳動させることにより、基板105上に強誘電体微粒子104bを堆積させる工程とを備え、基板105は、分散液104aから所定の距離以上離して配置されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強誘電体メモリに用いられる強誘電体薄膜の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、強誘電体メモリの一部として、強誘電体薄膜が使用されている。このような強誘電体薄膜を形成するためには、CVD(Chemical Vapor Deposition )又はスピンコート法等が利用されている。これらの方法を用いる場合、強誘電体を結晶化させるために、高温の熱処理が必要である。
【0003】
これに対し、強誘電体薄膜を製造するための新たな技術として、電気泳動堆積法が注目され始めている(例えば、特許文献1を参照)。これは、次のような方法である。
【0004】
溶媒中に粒子を分散させておき、該溶媒に2つの電極を入れる。2つの電極の間に直流電圧を印加すると、溶媒中に分散された粒子が正極又は負極のうちのいずれかの電極に向かって泳動する。このようにして電極に到達した粒子は電極上に堆積するため、この現象を利用する方法によって成膜を行なうことができる。
【0005】
以上のような電気泳動堆積法によって強誘電体薄膜を形成する場合、分散する強誘電体微粒子を予め結晶化しておくことにより、結晶化された強誘電体微粒子によって膜を形成することができる。このため、強誘電体を結晶化させるための高温の熱処理が不要となり、強誘電体膜よりも下層にあるトランジスタの特性を安定させることができる。また、理論上、強誘電体薄膜の面積を粒子一個の大きさにまで小さくすることが可能であるから、数ナノメートル四方の大きさを有する強誘電体薄膜を形成することも可能である。
【0006】
これまでに、電気泳動堆積法を利用した強誘電体メモリの製造方法は、特許文献1に開示されている。電気泳動堆積法を強誘電体メモリの製造プロセスに用いることによって、製造プロセスの低温化、セル面積の微細化及び高Pr化(高残留分極特性化)を一度に達成できると考えられている。
【特許文献1】特開2002−208271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分極特性に優れた強誘電体メモリを製造するためには、該強誘電体メモリを構成する強誘電体薄膜において、各強誘電体微粒子の分極の発現が最大となる結晶軸方向(以下、分極方向と略すこともある)が同一の方向に揃っていることが望ましい。しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、分極方向を揃えて強誘電体微粒子を基板上に配置させる具体的な手法は示されていない。
【0008】
また、従来の電気泳動堆積法においては、強誘電体微粒子を堆積させる基板に直接電圧源を接続していた。このため、電気泳動を行なう際に、基板表面の電気化学的酸化及び基板内部の電子素子の破壊等の損傷が生じてしまうことがある。
【0009】
以上の課題に鑑みて、本発明は、電気泳動堆積法によって、分極特性に優れた強誘電体薄膜を製造する方法を提供することを目的とする。また、電気泳動堆積法を用いて、損傷を軽減しながら強誘電体薄膜を製造する方法を提供し、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の強誘電体薄膜の製造方法は、基板が入れられた液体と、強誘電体微粒子が分散された分散液とを、強誘電体微粒子が分散液から液体に対して拡散することができるように配置する工程と、分散液中の強誘電体微粒子の周囲に電界を形成して分散液中の強誘電体微粒子を基板に向けて泳動させることにより、基板上に強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備え、基板は、分散液から所定の距離以上離して配置される。
【0011】
第1の強誘電体薄膜の製造方法によると、強誘電体微粒子が分散された分散液に対して基板が所定の距離以上離して配置されているため、強誘電体微粒子は分極方向が揃った後に基板に堆積される。このため、分極方向の揃った強誘電体薄膜を製造することができる。
【0012】
このことについて、以下に更に説明する。
【0013】
分散液中において、強誘電体微粒子には分極が発現し、表面における電荷分布が不均一になっている。このような強誘電体微粒子の周囲に電界が形成されると、強誘電体微粒子の表面において、正の電荷が大きい部分には負の電界方向に向かう力が働くと共に、負の電荷が大きい部分には正の電界方向に向かう力が働く。このため、強誘電体微粒子の分極方向は電界方向と平行になる。
【0014】
このように分極方向が電界方向と平行になった強誘電体微粒子を電気泳動によって移動させ、基板上に堆積させると、分極方向が揃った強誘電体薄膜を製造することができる。
【0015】
ここで、基板を分散液から所定の距離以上離して配置した状態において電界を形成し、電気泳動を開始する。このことにより、強誘電体微粒子の分極方向が電界方向に揃うまでに必要な時間に比べて、強誘電体微粒子が基板まで泳動して堆積するために必要な時間を長くすることができる。このため、基板に堆積される強誘電体微粒子の分極方向を電界方向に十分に揃えることができる。この結果、分極方向が高度に揃っており、高い分極特性を有する強誘電体薄膜を製造することができる。
【0016】
前記の目的を達成するため、本発明の第2の強誘電体薄膜の製造方法は、一対の電極の間に、強誘電体微粒子が分散され且つ基板が入れられた分散液を配置する工程と、一対の電極の間に電界を形成して強誘電体微粒子を泳動させることにより、基板上に強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備える。
【0017】
第2の強誘電体薄膜の製造方法によると、基板の両側に配置した電極を用いて電界を形成しており、基板には直接に電圧源を接続しないようになっている。このため、基板に負担をかけることなく分散液中の強誘電体微粒子を基板に堆積させることができる。このことから、基板表面の電気化学的酸化及び基板内部の電子素子の破壊等の損傷を軽減することができる。以上の結果、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することが可能な強誘電体薄膜を製造することができる。
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明の第3の強誘電体薄膜の製造方法は、基板及び第1の電極が入れられた液体と、第2の電極が入れられ且つ強誘電体微粒子が分散された分散液とを、強誘電体微粒子が分散液から液体に対して拡散することができるように配置する工程と、第1の電極と第2の電極との間に電界を形成して分散液中の強誘電体微粒子を基板に向けて泳動させることにより、基板上に強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備え、基板は、第1の電極と第2の電極との間に、分散液から所定の距離以上離して配置される。
【0019】
第3の強誘電体薄膜の製造方法によると、第1の強誘電体薄膜の製造方法の効果と第2の強誘電体薄膜の製造方法の効果とを共に実現することができる。
【0020】
つまり、第1の強誘電体薄膜の製造方法と同様に、基板を分散液から所定の距離以上離して配置した状態において電界を形成し、電気泳動を開始することから、十分に分極方向の揃った強誘電体薄膜を製造することができる。
【0021】
これと共に、第2の強誘電体薄膜の製造方法と同様に、基板の両側に配置した電極を用いて電界を形成しており、基板には直接に電圧源を接続しないようになっている。このため、基板表面の電気化学的酸化及び基板内部の電子素子の破壊等の損傷を軽減することができ、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することが可能な強誘電体薄膜を製造することができる。
【0022】
尚、基板を配置する際に分散液から離す所定の距離は、泳動によって強誘電体微粒子が基板に到達するより前に、強誘電体微粒子の分極方向が電界の方向に揃うことができる距離であることが好ましい。
【0023】
このようにすると、基板に堆積する強誘電体薄膜の分極方向を確実に揃えることができる。
【0024】
また、液体及び分散液は、仕切りを介して配置されると共に、仕切りは、分散液から液体に対して強誘電体微粒子を拡散させることができるようになっていることが好ましい。
【0025】
このようにすると、液体中であり且つ分散液から所定の距離以上離して基板を配置すると共に、分散液から液体に対して強誘電体微粒子を拡散することが確実にできる。
【0026】
仕切りとしては、具体的には、機械的に動作して液体と分散液とを接触させることができるシャッターを備えていても良い。また、多孔質体、半透膜又はフィルター等、強誘電体微粒子が通過して分散液から液体に拡散できる材料によって形成された仕切りであっても良い。
【0027】
また、強誘電体微粒子を堆積させる工程の前に、強誘電体微粒子に対して抗電界以上の電界を印加することにより、強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起させる工程を更に備えることが好ましい。
【0028】
このように、予め強誘電体微粒子に抗電界以上の電界を印加して該強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起させておくことにより、強誘電体粒子の周囲に電界を形成した際に、電界方向と平行に強誘電体微粒子の分極方向を揃えることが容易になる。このため、電気泳動堆積法によって基板上に堆積される強誘電体微粒子の分極方向が精度良く揃うようになる。
【0029】
ここで、抗電界とは、強誘電体微粒子の分極を反転させるために必要な最低限の電界のことである。
【0030】
前記の目的を達成するため、本発明の第4の強誘電体薄膜の製造方法は、強誘電体微粒子に抗電界以上の電界を印加することにより、強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起させる工程と、強誘電体微粒子を溶媒に分散して分散液とし、分散液中に基板を配置する工程と、少なくとも強誘電体微粒子の周囲に電界を形成して強誘電体微粒子を泳動させることにより、基板上に強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備える。
【0031】
第4の強誘電体薄膜の製造方法によると、予め強誘電体微粒子に抗電界以上の電界を印加して該強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起する。これにより、電界方向と平行に強誘電体微粒子の分極方向を揃えることが容易になる。このため、電気泳動堆積法によって基板上に堆積される強誘電体微粒子の分極方向が精度良く揃うようになる。
【0032】
また、基板の表面の少なくとも一部には、金属又は導電性酸化物からなる層が形成されていることが好ましい。
【0033】
このようにすると、金属又は導電性酸化物がシールドとして作用し、基板表面の酸化及び基板内部の電子素子の破壊等の損傷を軽減することができる。このため、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することが可能な強誘電体薄膜を製造することが確実にできる。
【0034】
特に、基板の全表面に金属又は導電性酸化物が形成されていると、シールドとしての作用が大きくなるため、基板表面の酸化及び基板内部の電子素子の破壊を防ぐ効果が大きくなる。
【0035】
また、基板の表面には、パターニングされており且つ金属又は導電性酸化物が形成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、パターニングされた金属又は導電性酸化物表面のみに強誘電体微粒子を配置させることができる。
【0037】
また、強誘電体微粒子を堆積させる工程において、強誘電体微粒子がブラウン運動によって単位時間あたりに移動する距離よりも、強誘電体微粒子が前記電界によって単位時間あたりに泳動する距離の方が大きくなるような大きさの電界を形成することが好ましい。
【0038】
このようにすると、分極方向が電界方向と平行に十分揃った状態の強誘電体微粒子が基板上に堆積する。このため、分極方向が高度に揃っており、高い分極特性を有する強誘電体薄膜を製造することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の強誘電体薄膜の製造方法によると、電気泳動堆積法によって、分極特性に優れた強誘電体薄膜を製造することができる。また、基板内に形成されている電子素子の破壊等の損傷を軽減することができるため、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することが可能な強誘電体薄膜を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
具体的には、表面にPtがコートされ、導電体部分を有していると共に内部に電子素子を有する基板上に、強誘電体微粒子を堆積させる方法である。
【0042】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明する図であり、製造に使用する電気泳動堆積装置100の構成を示している。
【0043】
電気泳動堆積装置100は、容器101が仕切り102によって液体槽103と分散液槽104とに分離された構成となっている。
【0044】
液体槽103には液体103aが入れられていると共に、分散液槽104には分散液104aが入れられている。ここで、分散液104aは、強誘電体粒子104bが溶媒104cに分散されたものである。
【0045】
また、液体103a中には基板105が配置されていると共に、分散液104a中には電極106が配置されている。ここで、基板105は、仕切り102から所定の距離を離して配置されており、このため、分散液104aからも所定の距離だけ離して配置されていることになる。
【0046】
また、基板105の導電体部分と電極106とには、直流電圧源107が接続され、基板105と電極106との間に電圧を印加することができるようになっている。
【0047】
ここで、基板105としては、表面がPtによってコートされた半導体基板を用いる。Ptによるコートはシールドとして作用するので、基板105表面の酸化及び基板105内部に形成された電子素子の破壊等の損傷を防ぐことができる。このため、Ptによるコートを行なうことにより、高い信頼性を有する強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現可能な強誘電体薄膜を製造することができる。
【0048】
また、電極106としては炭素電極を用いる。液体103aとしては、アセトンを用いる。強誘電体微粒子104bとしては、直径約10nmのストロンチウム・ビスマス・タンタレート(SrBi2Ta29 、以下SBTと表記する)粒子を用いる。分散液104aは、強誘電体微粒子104bが溶媒104cとしてのアセトン中に1g/Lの濃度で単分散している液体である。但し、これらはいずれも具体例であって、これらに限定するものではない。
【0049】
尚、粒子が液体に対して単分散しているとは、粒子同士が凝集することなく個々に単独で液体中に分散していることをいう。
【0050】
また、仕切り102としては、分散液槽104中に入れられている分散液104aから液体槽103中に入れられている液体103aに対して強誘電体微粒子104bが拡散させることができるようになっている。本実施形態においては、仕切り102は、機械的動作によって開閉することのできるシャッターを有している。この他には、強誘電体微粒子104bが透過可能な多孔質体、半透膜又はフィルター等を仕切り102として用いて用いることもできる。
【0051】
また、仕切り102から基板105までの距離及び仕切り102から電極106までの距離は、いずれも0.5cmとしている。つまり、仕切り102の厚さを考えないことにすると、基板105と分散液104aとの間の所定の距離は0.5cmとなっている。但し、以上のような寸法は一例であり、これに限るものではなく、電気泳動によって強誘電体微粒子104bが基板105に堆積される前に、強誘電体微粒子104bの分極方向が電界方向に揃うことができるような距離であれば良い。
【0052】
次に、以上のような電気泳動堆積装置100を用いる強誘電体薄膜の製造方法について、図2に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
まず、第1のステップS101において、液体槽103に液体103aを入れると共に、分散液槽104に分散液104aを入れる。
【0054】
次に、第2のステップ102において、液体103a中に基板105を配置すると共に、分散液104a中に電極106と配置する。このとき、基板105は分散液104aから所定の距離だけ離れた位置に配置する。
【0055】
次に、第3のステップ103において、仕切り102を動作して液体103aと分散液104aとを接触させる。これにより、分散液104a中の強誘電体微粒子104bを液体103aに対して拡散することができるようになる。
【0056】
次に、第4のステップ104において、基板105の表面にコートされているPtと電極106とに対し、直流電圧源107によって50Vの直流電圧を印加する。このようにすると、基板105と電極106との間に電界が形成されるため、強誘電体微粒子104bが電気泳動によって移動し、基板105上に堆積する。
【0057】
この後、例えば10秒が経過した時点で直流電圧の印加を停止する。
【0058】
以上のような、本実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法によると、分極方向が揃った強誘電体薄膜を製造することができる。この理由を以下に説明する。
【0059】
分散液104a中において、強誘電体微粒子104bには分極が発現しているが、表面の電荷分布は一様ではない。このような強誘電体微粒子104bの周囲に電界を形成すると、強誘電体微粒子104bの表面において、正の電荷密度が高い部分には負の電界方向へ向く力が働き、負の電荷密度が高い部分には正の電界方向へ向く力が働く。このような力により、強誘電体微粒子104bの分極方向は、形成されている電界の電界方向と平行になる。
【0060】
このようにして分極方向が電界方向と平行になった強誘電体微粒子104bを電気泳動によって移動させ、基板105上に堆積させることにより、分極方向が揃った強誘電体薄膜を製造することができる。
【0061】
ここで、基板105は、当初は分散液104aから所定の距離(本実施形態においては0.5cm)だけ離れた位置に配置されている。そして、このような状態において直流電圧の印加を開始し、強誘電体微粒子104bの電気泳動を行なう。このことから、強誘電体微粒子104bの分極方向が電界方向と平行に揃うために必要な時間よりも、強誘電体微粒子104bが電気泳動によって基板105の表面上に堆積するまでに必要とする時間(泳動時間)を長くすることができる。
【0062】
このことから、基板105上に強誘電体微粒子104bが堆積する際には、強誘電体微粒子104bの分極方向は十分に揃っている。この結果として、分極方向が高度に揃っており、高い分極特性を有する強誘電体薄膜を製造することができる。
【0063】
尚、第1のステップS101と第2のステップS102とは、逆の順序で行なっても良い。つまり、第2のステップS102の後に第1のステップS101を行なっても良い。この場合、液体槽103中に基板105を配置すると共に分散液槽104中に電極を配置した後、液体槽103に液体103aを入れると共に分散液槽104に分散液104aを入れる。また、第1のステップS101と第2のステップS102とを同時に行なっても良い。
【0064】
また、仕切り102として多孔質体、半透膜又はフィルター等を用いた場合、強誘電体微粒子104bは分散液104aから液体103aに分散することが当初から可能である。この場合、第3のステップ103は個別には行なわなくても良い。
【0065】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0066】
具体的には、パターニングされた電極部が表面に露出し且つ内部に電子素子を有する基板上に、強誘電体微粒子を堆積させる方法である。
【0067】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明する図であり、製造に使用する電気泳動堆積装置200の構成を示している。
【0068】
電気泳動堆積装置200は容器201を備えており、容器201には分散液201aが入れられている。ここで、分散液201aは、強誘電体微粒子201bが溶媒201cに分散されたものである。
【0069】
また、分散液202a中には、第1の電極202a及び第2の電極202bから構成される一対の電極202が配置されていると共に、一対の電極202の間に基板203が配置されている。
【0070】
また、第1の電極202a及び第2の電極202bに対し、直流電圧源204が接続されている。
【0071】
ここで、基板203としては、パターニングされた電極部(図示省略)が表面に露出している半導体基板を用いる。また、一対の電極202としては、いずれも炭素電極を用いる。また、強誘電体微粒子201bとしては、例えば直径約10nmのビスマス・ランタン・チタン(Bi3.25La0.75Ti3 12、以下BLTと表記する)粒子を用いる。分散液201aは、強誘電体微粒子201bが溶媒201cとしてのアセトン中に1g/Lの濃度で単分散している液体である。但し、これらはいずれも具体例であって、これらに限定するものではない。
【0072】
また、第1の電極202aと第2の電極202bとの間の距離は5cmであり、基板203は第2の電極202aから1cmの距離に配置されている。但し、以上のような寸法は一例であり、これに限るものではない。また、基板203は、パターニングされた電極部の露出する表面側が第2の電極202bに向くように配置されている。
【0073】
ここで、電気泳動を行なう際、強誘電体微粒子201bは第2の電極202bから第1の電極202aに向かう方向に泳動する。
【0074】
次に、以上のような電気泳動堆積装置200を用いる強誘電体薄膜の製造方法について、図4に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
まず、第1のステップS201において、電気泳動堆積装置200が備える容器201に、分散液201aを入れる。
【0076】
次に、第2のステップS202において、分散液201a中に、第1の電極202a及び第2の電極202bから構成される一対の電極202を配置すると共に、一対の電極202の間に基板203を配置する。
【0077】
次に、第3のステップS203において、直流電圧源204を用いて第1の電極202aと第2の電極202bとの間に250Vの直流電圧を印加する。このようにすると、強誘電体微粒子201bの周囲に電界が形成されるため、強誘電体微粒子201bは電気泳動によって移動する。この結果、強誘電体微粒子201bは、基板203の表面にパターニングされた電極部に対して堆積する。
【0078】
この後、例えば10秒が経過した時点で直流電圧の印加を停止する。
【0079】
以上のような、本実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法によると、基板203表面の電気化学的酸化及び基板203内部に形成されている電子素子の破壊を防ぐことができる。これは、次のような理由による。
【0080】
本実施形態によると、第1の電極202aと第2の電極202bからなる一対の電極202の間に基板203を配置しており、一対の電極202を用いて電界を形成することによって強誘電体微粒子201bの電気泳動及び堆積を行なう。つまり、基板203に対しては直流電圧が印加されることがないため、基板203に負担をかけることなく強誘電体微粒子201bを基板203に対して堆積させることができる。
【0081】
このようにして、基板203表面の電気化学的酸化及び基板203内部に形成されている電子素子の破壊を防ぎながら、強誘電体薄膜を製造することができる。このため、信頼性の高い強誘電体メモリ等の電子デバイスを実現することが可能な強誘電体薄膜を製造することができる。
【0082】
尚、第1のステップS201は、第2のステップS202の後に行なっても良い。つまり、容器201に一対の電極202と基板203を配置した後に、分散液201aを容器201に入れても良い。
【0083】
また、本実施形態において、一対の電極202は容器201の内部に設置しているが、これに代えて、容器201の外に容器201を挟むように設置することもできる。
【0084】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0085】
具体的には、パターニングされた電極部が表面に露出し且つ内部に電子素子を有する基板上に、強誘電体微粒子を堆積させる方法である。
【0086】
図5は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明する図であり、製造に使用する電気泳動堆積装置300の構成を示している。
【0087】
電気泳動堆積装置300は、容器301が仕切り302によって液体槽303と分散液槽304とに分離された構成となっている。
【0088】
液体槽303には液体303a(ここでは水を用いる)が入れられていると共に、分散液槽304には分散液304aが入れられている。ここで、分散液304aは、強誘電体粒子304bが溶媒304cに分散されたものである。
【0089】
また、液体303a中には第1の電極305a及び基板306が配置されていると共に、分散液304a中には第2の電極305bが配置されている。
【0090】
ここで、第1の電極305aと第2の電極305bとは、一対の電極305を構成する。また、基板306は、一対の電極305の間に、仕切り302から所定の距離を離して配置されている。基板306は、分散液304aからも所定の距離を離して配置されていることになる。
【0091】
また、第1の電極302a及び第2の電極302bに対し、直流電圧源307が接続されている。
【0092】
ここで、基板306としては、パターニングされた電極部(図示省略)が表面に露出している半導体基板を用いる。また、一対の電極305としては、いずれも炭素電極を用いる。また、強誘電体微粒子304bとしては、例えば直径約20nmのストロンチウム・ビスマス・タンタレート(SrBi2Ta29 )粒子を用いる。分散液304aは、強誘電体微粒子304bが溶媒304cとしての水に1g/Lの濃度で単分散している液体である。但し、これらはいずれも具体例であって、これらに限定するものではない。
【0093】
また、仕切り302としては、分散液槽304中に入れられている分散液304aから液体槽303中に入れられている液体303aに対して強誘電体微粒子304bが拡散させることができるようになっている。本実施形態においては、仕切り302は、機械的動作によって開閉することのできるシャッターを有している。この他には、強誘電体微粒子304bが透過可能な多孔質体、半透膜又はフィルター等を仕切り302として用いて用いることもできる。
【0094】
また、第1の電極305aと第2の電極305bとの間の距離は5cmであり、第1の電極305aと基板306との間の距離は1cmである。また、仕切り302と基板306との間の距離及び仕切り302と第2の電極305bとの間の距離は、いずれも2cmとしている。このように、基板306は溶液槽303a中に、仕切り302から距離をおいて配置されているため、分散液槽304に入れられている分散液304aとも距離(仕切り302の厚さを考えないことにすると、ここでは2cm)をおいて配置されている。但し、以上のような寸法は一例であり、これに限るものではない。また、基板306は、パターニングされた電極部が露出する表面側が第2の電極305bの方を向くように配置されている。
【0095】
次に、以上のような電気泳動堆積装置300を用いる強誘電体薄膜の製造方法について、図6に示したフローチャートを参照しながら説明する。
【0096】
まず、第1のステップS301において、液体槽303に液体303aを入れると共に、分散液槽304に分散液304aを入れる。
【0097】
次に、第2のステップS302において、液体槽304に第1の電極305aと基板306を配置すると共に、分散液槽304に、第2の電極305bを配置する。
【0098】
次に、第3のステップ303において、仕切り302を動作して液体303aと分散液304aとを接触させる。これにより、分散液304a中の強誘電体微粒子304bを液体303aに対して拡散することができるようになる。
【0099】
次に、第4のステップS304において、直流電圧源307を用いて第1の電極305aと第2の電極305bとの間に250Vの直流電圧を印加する。このようにすると、強誘電体微粒子304bの周囲に電界が形成されるため、強誘電体微粒子304bは電気泳動によって移動する。この結果、強誘電体微粒子304bは、基板306の表面にパターニングされた電極部に対して堆積する。
【0100】
この後、例えば10秒が経過した時点で直流電圧の印加を停止する。
【0101】
以上のような、本実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法によると、第1の実施形態の場合と同様の効果及び第2の実施形態の場合と同様の効果が共に得られる。
【0102】
つまり、第1の実施形態の場合と同様に、基板306は分散液304aと所定の距離をおいて配置されている。このことから、強誘電体微粒子304bは、分極方向が電界方向と平行になった後に基板306の表面上に堆積する。このため、分極方向が揃った強誘電体薄膜を製造することができる。
【0103】
これに加えて、第2の実施形態の場合と同様に、一対の電極305によって電界を形成しており、基板306に対して直流電圧が印可されることがない。このため、基板306に負担をかけることなく強誘電体微粒子304bを基板306の表面上に堆積させることができる。
【0104】
このように、本実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法によると、分極方向が揃った強誘電体薄膜を、基板306表面の電気化学的酸化及び基板306内部に形成されている電子素子の破壊等の損傷を防ぎながら製造することができる。このため、分極特性に優れ且つ信頼性の高い強誘電体薄膜を形成することができる。
【0105】
尚、第1のステップS301は、第2のステップS302よりも後に行なっても良い。また、第1のステップS301と第2のステップS302とを同時に行なっても良い。
【0106】
また、仕切り302として多孔質体、半透膜又はフィルター等を用いた場合、強誘電体微粒子304bは分散液304aから液体303aに分散することが当初から可能である。この場合、第3のステップ303は行なわなくても良い。
【0107】
次に、分散液304aの作製方法について説明する。
【0108】
まず、強誘電体微粒子304bを、例えば電極間隔1mmの平行電極間に配置する。次に、平行電極間に10kVの電圧を印加することにより、強誘電体微粒子304bに対し、強誘電体微粒子304bの抗電界以上の電界を印加する。この処理により、強誘電体微粒子304bの表面に、偏在するように電荷を誘起することができる。電極間隔及び印加する電圧等は、強誘電体微粒子に抗電界以上の電界を印加することができるのであれば、前記の他にも必要に応じて設定すれば良い。
【0109】
続いて、電荷の誘起された強誘電体微粒子304bを水である溶媒304c中に入れ、超音波を印加することによって分散させる。このようにして、分散液304aを作成することができる。
【0110】
尚、抗電界とは、強誘電体微粒子が分極を反転するために最低限必要とする強度の電界のことである。例えば、BLTの場合、抗電界の値は約60kV/cmである。
【0111】
以上のようにして作製した分散液304aを用いると、表面の電荷が偏在するように誘起されているため、電界方向に分極方向を揃える効果が顕著に発揮される。この結果、基板306の表面上に分極方向を揃えて強誘電体微粒子304bを堆積し、強誘電体薄膜を製造することが確実にできる。
【0112】
尚、このような強誘電体微粒子の作製方法は、第1の実施形態における強誘電体微粒子104b及び第2の実施形態における強誘電体微粒子201bを作製する場合にも利用可能である。更には、従来の電気泳動堆積法においても利用できる。
【0113】
また、第4のステップS304において印加する電界が必要とする強度は、以下のようにして決定することができる。
【0114】
まず、粒子のブラウン運動による単位時間あたりの粒子の移動距離X(m/s)は、次の(1)式によって求めることができる。
【0115】
X=(RTt/3πηa・NA 1/2 (1)
ここで、Rは気体定数、Tは温度、t時間、ηは溶媒の粘度、aは粒子の半径、NA はアボガドロ定数である。例えば、温度20℃、1秒間、溶媒は水(粘度η:0.001kg/m・s)、直径20nmとするとき、強誘電体微粒子304bの単位時間あたり移動距離を(1)式から次のように6.6μm/sと求めることができる。
【0116】
X=(RTt/3πηaNA 1/2
=(8.31×293×1/3π/0.001/10-8/6.02/10231/2
=6.6×10-2
また、溶媒中において強誘電体微粒子304bを電気泳動させた際の泳動速度vは、次の(2)式から求めることができる。
【0117】
v=2εr ・ε0 ・ζ・E/3η (2)
ここで、εr は溶媒の比誘電率、ε0 は真空の誘電率、ζはゼータ電位、Eは電界強度である。尚、ゼータ電位とは粒子表面の帯電の状態を表す値であり、市販のゼータ電位測定装置を用いて求めることができる。
【0118】
例えば、20℃の水中において直径20nmの粒子のゼータ電位ζが50mVと測定されたとする。この場合、(1)式から求まるブラウン運動による粒子の単位時間あたりの移動距離X(ここでは、6.6μm/s)よりも泳動速度vを大きくするためには、少なくとも285V/m以上の電界強度Eが必要であることが(2)式から次のように求められる。
【0119】
v=2εr ・ε0 ・ζ・E/3η
E=3vη/2εr ・ε0 ・ζ
=(3×6.6×10-6×0.001/2/8.85/10-12 /78.5/0.05)
=285
尚、泳動速度vはブラウン運動による単位時間あたり移動距離Xの10倍以上となることがより好ましい。このために、本実施形態において、電界強度Eは前記の285V/mの10倍以上、例えば3kV/mとすることがより好ましい。本実施形態において第1の電極305aと第2の電極305bとの距離は5cmであるから、これらの一対の電極305の間に150V以上の電圧を印加すれば良い。但し、このような例の場合以外にも、同様の計算により、条件に応じて電界強度を決定することができる。
【0120】
以上のようにすることにより、ブラウン運動による移動ではなく電気泳動による移動が支配的である条件において、強誘電体微粒子304bを基板306に堆積することができる。この結果、分極方向が十分に電界方向に揃った強誘電体微粒子304bを基板306に堆積させることができ、分極方向の揃った高い分極特性を有する強誘電体薄膜を形成することができる。
【0121】
尚、以上に説明したような電界強度Eの決定方法は、第1の実施形態における第4のステップS104及び第2の実施形態における第3のステップS203等における電界強度の決定のためにも使用できる。
【0122】
また、本発明において、強誘電体微粒子104b及び強誘電体微粒子304bとしてSBT、強誘電体微粒子201bとしてBLTを用いた。しかし、強誘電体微粒子はこれらに限るものではなく、Bi3.25Nd0.75Ti3 12等の他の種類の強誘電体微粒子であっても良い。
【0123】
また、液体103aとしてアセトン、液体303aとして水を用いた。しかし、液体はこれらに限るものではなく、他の種類の有機及び無機の液体を用いても良い。
【0124】
また、溶媒104c及び溶媒201cとしてアセトン、溶媒304cとして水を用いた。しかし、分散液における溶媒はこれらに限るものではなく、他の種類の有機及び無機の液体を用いても良い。
【0125】
また、電極としてはいずれも炭素電極を用いたが、これには限られず、炭素以外の材料からなる電極を用いても良い。
【0126】
また、基板105、基板203及び基板306は、いずれも表面にPtによるコート又はパターニングがされているとしているが、Pt以外の金属又はSrRuO3 、IrO2 等の導電性酸化物によるコート又はパターニング等がされている基板であっても良い。
【0127】
また、本実施形態において、一対の電極305は容器301の内部に設置しているが、これに代えて、容器301の外に容器301を挟むように設置することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の強誘電体薄膜の製造方法によると、分極方向が揃った強誘電体薄膜を信頼性良く製造することができ、強誘電体メモリ等の電子素子の形成に有用である。特に、このようにして形成した電子素子は65nmノード以降の微細CMOSに対して混載が可能であることから、受動素子による電子回路の機能拡張に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法に用いる電気泳動装置の構成図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法に用いる電気泳動装置の構成図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法に用いる電気泳動装置の構成図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体薄膜の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0130】
100、200、300 電気泳動装置
101、201、301 容器
102、302 仕切り
103、303 液体槽
103a、303a 液体
104、304 分散液槽
104a、201a、304a 分散液
104b、201b、304b 強誘電体微粒子
104c、201c、304c 溶媒
105、203、306 基板
106 電極
107、204、307 直流電圧源
202、305 一対の電極
202a、305a 第1の電極
202b、305b 第2の電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が入れられた液体と、強誘電体微粒子が分散された分散液とを、前記強誘電体微粒子が前記分散液から前記液体に対して拡散することができるように配置する工程と、
前記分散液中の前記強誘電体微粒子の周囲に電界を形成して前記分散液中の前記強誘電体微粒子を前記基板に向けて泳動させることにより、前記基板上に前記強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備え、
前記基板は、前記分散液から所定の距離以上離して配置されることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項2】
一対の電極の間に、強誘電体微粒子が分散され且つ基板が入れられた分散液を配置する工程と、
前記一対の電極の間に電界を形成して前記強誘電体微粒子を泳動させることにより、前記基板上に前記強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備えることを特徴とする強誘電体薄
膜の製造方法。
【請求項3】
基板及び第1の電極が入れられた液体と、第2の電極が入れられ且つ強誘電体微粒子が分散された分散液とを、前記強誘電体微粒子が前記分散液から前記液体に対して拡散することができるように配置する工程と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電界を形成して前記分散液中の前記強誘電体微粒子を前記基板に向けて泳動させることにより、前記基板上に前記強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備え、
前記基板は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記分散液から所定の距離以上離して配置されることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は3において、
前記所定の距離は、泳動によって前記強誘電体微粒子が前記基板に到達するより前に、前記強誘電体微粒子の分極方向が前記電界の方向に揃うことができる距離であることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は3において、
前記液体及び前記分散液は、仕切りを介して配置され、
前記仕切りは、前記分散液から前記液体に対して前記強誘電体微粒子を拡散させることができるようになっていることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
前記強誘電体微粒子を堆積させる工程の前に、前記強誘電体微粒子に対して抗電界以上の電界を印加することにより、前記強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起させる工程を更に備えることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項7】
強誘電体微粒子に抗電界以上の電界を印加することにより、前記強誘電体微粒子の表面に偏在するように電荷を誘起させる工程と、
前記強誘電体微粒子を溶媒に分散して分散液とし、前記分散液中に基板を配置する工程と、
少なくとも前記強誘電体微粒子の周囲に電界を形成して前記強誘電体微粒子を泳動させることにより、前記基板上に前記強誘電体微粒子を堆積させる工程とを備えることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つにおいて、
前記基板の表面の少なくとも一部には、金属又は導電性酸化物からなる層が形成されていることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1つにおいて、
前記基板の表面の少なくとも一部には、パターニングされており且つ金属又は導電性酸化物からなる層が形成されていることを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つにおいて、
前記強誘電体微粒子を堆積させる工程において、
前記強誘電体微粒子がブラウン運動によって単位時間あたりに移動する距離よりも、前記強誘電体微粒子が前記電界によって単位時間あたりに泳動する距離の方が大きくなるような大きさの前記電界を形成することを特徴とする強誘電体薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−172929(P2006−172929A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364480(P2004−364480)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】