説明

弾性的に変形可能なガラス板を製造する方法及び装置

【課題】レーザビームを用いて弾性的に変形可能な大型のガラス板を分割する装置を提供する。
【解決手段】本発明は、弾性的に変形可能で大きな表面積を持つガラス板を大量に工業生産する装置及び方法に関し、以下の構成を備える。a)ガラス板(3)を供給する機器、b)ガラス板(3)表面の所望の破断線領域に初期損傷を与える機器、c)扇形状に枢動する様式で直線上を移動するレーザビームによりガラス表面を局所的に限定して加熱する機器、d)レーザビームの少なくとも片側に流体を排出する制御可能な冷却ノズルが配置されガラス表面を冷却する機器、e)ガラス板(3)を破断する機器領域へ熱で局所的に前処理されたガラス板(3)を輸送する機器、f)ガラス板(3)表面の直線状クラック形成を検知する機器、g)ブレードが片側及び/又は両側に持ち上げ可能でガラス板(3)の下側にある直線状破断ブレード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性的に変形可能なガラス板を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性的に変形可能なガラス板は、一般に、より大きなガラス板から所望のフォーマットで得られる。この目的のため、適当な切れ目又は刻線が大抵カッティングホイール又はニードルを用いて大きなガラス板に形成され、その後、これらの破断線においてガラス板が機械的に破断される。破断操作は、手動又は機械的装置を用いて行われ得る。ここで、機械的破断操作は、破断が不意に起こるので制御が難しい。従って、このような方法では、破断が所望のコースとは異なるコースで起こり、ガラス板が異なる破断線で破断されてしまうことが時々起こり得る。
【0003】
独国特許公報102005054669A1によれば、この課題に対する解決策は、破断されるガラス板が所望の破断線でだけ破断される方法を開発することに基づいている。
【0004】
この課題は、超音波を用いてガラス板及びセラミックを特定の場所で破断することを特徴とする方法をクレームすることで解決される。
【0005】
この文献によれば、この方法は、所望の位置でガラス板を破断するために、まず、ガラス板の特定の線上でカッティングホイールにより切り込みが入れられる、ニードルにより割れ目が入れられる、又はレーザにより切り込みが入れられることを特徴とする。
【0006】
このような方法を実施する装置は、この文献に記載されていない。また、この文献は、工業規模でガラス板の切り込みを機械加工するプラントの設計に関して何ら提案していない。
【0007】
更に、平板なガラス板のレーザ熱分割を行う方法が独国特許公報102004014277A1により周知となっている。この発明の課題は、予め決められた所望の破断線に沿ってガラス板に熱マーキングを形成すると同時に、より速いカッティングスピード(1m/分より速い)を追求することである。特に、比較的分厚い良質なガラスを分割することができ、しかも非常に薄いガラス(約20mm)も十分に分割されるべきである。また、これらはすべて曲線状の切断にも応用可能であるべきである。
【0008】
この課題を解決するため、この文献においてはレーザビームを用いた熱分割による平板ガラス板の分割方法がクレームされている。ここで、レーザビームは、ビームスポットの形態でガラス表面上を任意の前進速度で所望の分割線に沿って移動する。更に、レーザ加熱されるガラス表面上の分割線領域は、追随する冷却ノズルにより冷却される。ここで、予め所望の分割線領域内又は分割線開始領域の直前領域において、機械的又は他の方法により設けられた分割点の形態でガラス表面に最初の打ち込みが行われ、熱分割の後、ガラスが破断される。ここで記載された方法は、所望の分割線に沿ったレーザビームのガイダンスが、迅速にスキャンされたレーザビームによる所望の分割線に沿った反復的かつ頻繁なスイープの形態で実現されることを特徴とする。
【0009】
このようなレーザ熱分割法では、ガラス板のすべての面においてエッジの微少クラック(亀裂)が避けられる。このようなガラス板は、従って、通常の方法により切り分けられたガラス板よりも遙かに弾性的に変形可能である。
【0010】
平板なガラス板を切断する装置の簡易見取り図(前記文献の図4に示される)は別として、独国特許公報102004014277A1は、これに記載された方法の構造設計に関して何ら言及していない。特に、この文献は、明らかにこのような方法の科学的探求に焦点を合わせている。しかしながら、このような方法の産業的利用は、全く異なる課題である。
【0011】
米国特許公報489908Aは、トレース線に沿って移動しているガラスリボンを自動的に分割する方法及び装置を開示している。この方法及び装置は、ガラスリボンに向けられた光源と、ガラスリボンをスキャンするフォトセルと、を備える。この方法及び装置では、レーザビームを用いた大型ガラス板の分割は可能ではない。
【0012】
更に、米国特許公報6722250B2は、連続的に移動する無端材料から継続的にプレカット長に材料を切り出す方法を開示している。この方法では、赤色光照明によるスクライビングラインの光学的検知と、カメラによる検知と、が示されている。しかしながら、この方法では、工業規模及びフェイルセーフ様式で弾性的に変形可能な大型ガラス板を分割することはできない。
【0013】
また、このような方法は、今まで携帯電話の画面を保護するガラス板のような小さいガラス領域をカットするためだけに用いられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明に係る装置及びこれに対応する方法の目的は、比較的廉価で、工業規模で使用可能であり、かつフェイルプルーフな、レーザビームを用いて弾性的に変形可能な大型ガラス板を分割する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1でクレームされた装置及び請求項11でクレームされた方法により達成される。
【0016】
本発明に係る装置は、以下で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るプラントの全体斜視図。
【図2】ガントリ(構台)の断面図。
【図3】スクライビングライン領域から見た詳細図。
【図3a】図3の詳細を示す図。
【図4】破断ブレード領域から見た詳細図。
【図5】破断機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、プラントの全体斜視図を示す。ここで示される装置は、高い精度かつ高いフェイルセーフで大型ガラス板3を高速にスクライビング及び分割する工業プラントの一部である。
【0019】
スクライビング又は明確に構成されたスクライビングジョイントの作製のため、この装置では分割されるガラス板3の表面を加熱及び冷却する過程が、予め決められたスクライビングライン上で用いられる。ここで、加熱はレーザビームにより成される。レーザビームは、扇形状に枢動し、ガラス板3表面の特定ライン上を漸次加熱する。レーザビームの後には、所定の距離を置いて冷却剤を添加するためのノズルが続く。また、レーザビームは、選択により漸次及び繰り返し枢動させることもできる。
【0020】
図1において、機械加工されるガラス板3は、ローラコンベヤ6(ここでは図示されていない)又はこれに対応する他のコンベヤ手段により、左側の方向から機械加工テーブル2上へ輸送される。
【0021】
機械加工テーブル2を亘って、ガントリ1がレーザワーキングヘッド5及び冷却機器を保持するために伸びている。このガントリ1は、カッティングユニットの保持のために、独立して立設したベースフレーム4にマウントされている。図1において、レーザビームの使用場所を制御するユニットであるレーザワーキングヘッド5も、また、ガントリ1の右側に配置されている。図1のローラコンベヤ6が伸びる方向には、割れ目が入れられたガラス板3を破断する機器のためのベースフレーム8が図示されている。ここでは、破断機器の破断ブレード26のための同期ドライブ7の一部も認識できる。
【0022】
図2は、ガントリ1の断面図を示す。
【0023】
この図では、レーザユニットを保持するガントリ1が後方から示されている。これは、とりわけ図1とは対照的に、レーザワーキングヘッド5がガントリ1の左側末端部位に示されていることから明らかである。レーザユニットのベースフレーム4は、この角度から見ると両側に見える。ガラス板3は、断面で示されている。レーザビームソース9自身は、ガントリ1の横方向ウェブの左側に示されている。ガラス板を加熱するのに必要とされるレーザビームは特定のスクライビングラインに沿って移動する必要があるので、レーザビームは繰り返し方向転換されるだけでなく、移動可能なレーザワーキングヘッド5を有する必要がある。これは、偏向ミラーを用いて、スペシャルパイプにおける不変長の直線光路部分で起こる。ガラス板3に対してレーザビームを移動させる過程で長さが変化する光路距離は、折りたたみ可能な蛇腹により形成される。この光路部分は、直前のパイプといわゆる多角形ホイールとの間の連結を構成する。このような多角形ホイールは、多角形状の基本構造により構成され、中心軸の周りを回転可能で、そして特定の回転速度で回転することで種々のミラーの助けを借りつつレーザビームを散開させる。多角形ホイールの代わりに、少なくとも1つの単純な回転可能なミラーが、この目的に適している。
【0024】
図2によれば、レーザビームソース9により生み出されたレーザビームは、管状のレーザビームガイド10及びこれに続く偏向機器11を介してレーザヘッド5へガイドされる。偏向機器11とレーザヘッド5との間の媒介部分は、折り畳み式の蛇腹の形態をしている。この媒介部分及び更なる偏向ミラーは、図2に図示されていない。レーザビームがガイドされる全光路部分は、周辺環境に対して僅かに高圧となった空間より成る。ここでは、略0.1から0.3バールの高圧値が好都合であることが分かっている。大気としては、窒素及び通常空気が使用可能である。
【0025】
ガントリ1の横梁の右側に、過程で用いられる冷却剤の供給リザーバ12が認識できる。この領域には、冷却剤を処理する機器13も見られる。冷却剤としては、カチオン性界面活性剤が好適に用いられる。しかしながら、水とエタノールとの混合物も使用可能である。冷却剤を好適に用いるには、冷却剤を吹き付けるときの空気圧が重要である。ここでは、5から10バールの値が有利であることが見いだされている。このようにして吹きつけられた冷却剤は、レーザによって形成された割れ目に流れ込み、次いで、ガラス板3の破断作業をサポートする。ラバルノズルを用いることで、気流を加速することができる。列状に並べられた複数の冷却ノズル19により、ガラス板3に形成された割れ目は深くなり得る。機械加工テーブル2の領域では、ガラス板3が複数のコンベヤベルト15により前方に移動され、所望の位置に配置される。ガラス板3上へのレーザビーム動作は、裏面であっても強くガラス板3を加熱する又はガラス板3を通過して照射されるので、保護フラップ14がコンベヤベルト15を保護するために設けられる。保護フラップ14は、機械加工テーブル2を持ち上げる前に、ガラス板3の下に滑り込むことでコンベヤベルト15を保護する。例えば、ガラス板3の過剰な加熱は、冷却ノズル19の不具合により起こり得る。更に、コンベヤベルト15も、レーザビームの直接照射により損傷を受け得る。保護フラップ14は、好ましくは、アルミニウムにより構成される。ドライブ及びそれに付随する制御機器は、図を簡単にするため示されていない。
【0026】
一方、保護フラップ14により形成された金属層は、その上に置かれたガラス板3を過冷却して、その結果、スクライビング過程を妨害し得る。そのため、保護フラップ14は、規則的に配置された距離手段により空気層を介してガラス板3から離れて設けられる。同様の効果は、超音波手段によりガラス板3を離れさせることでも達成することができる。
【0027】
保護フラップによるガラス板3の被覆は、正確な位置決めのためのセンサの取り付けを困難にする。ここでは、ラインレーザ又は超音波センサとして構成された適切なセンサが設けられる。これらの品揃え及び個々の利用分野は、当業者にとって周知である。
【0028】
コンベヤベルト15の駆動は、図2に示されるドライブ16を用いて実現される。レーザワーキングヘッド5を移動させる機器のドライブ17は、図2において、ガントリ1の横向きに伸びる支柱の左側に認識できる。
【0029】
更に開発が進んだ段階では、より強力なレーザが設けられる。重量の問題から、このようなレーザはガントリ1に固定されるのではなく、機械加工テーブル2の領域に設置される。レーザは、そこからガントリ1の方向へ照射される。この場合、偏向ミラーは冷却を要する。
【0030】
図3は、スクライビングライン領域、特に、レーザヘッド5領域から見た詳細図を示す。ここでは、レーザファン20の実質的に三角形の領域に着目する。レーザファン20に隣接して、その右側に、冷却ノズル19が認識できる。レーザファン20の他方側には、ノッチング機器29が図示されている。このノッチング機器29において、小さな分割ホイール23が指し示されている。これに隣接しているのが、レーザスクライビングを検知するための光源22及び光源22に付随するカメラ21である。この図では、付随する位置ホイール18は隠れている。
【0031】
同じ配置が反対側にも存在する。ここで、付随するノッチング機器29の位置ホイールは認識できるが、ノッチング機器29のその他の部分は隠れている。
【0032】
一旦ノッチング機器29がガラス板3の分割が起こるべき位置に移動すると、ノッチング機器29の分割ホイール23がガラス板のマージンに当接するまで、位置ホイール18が次なるスクライビング方向にガラス板3上をガイドされる。これにより、分割ホイール23がガラス板3の上部マージンにおける意図した位置にノッチを刻むと共に、自分自身を持ち上げる。この分割ホイール23の持ち上げは光バリア(図示なし)により検知され、次いで、ノッチング機器29全体が持ち上げられる。
【0033】
補足図3aに示すように、これはリフト装置30により成される。ここで、ガラス板3、位置ホイール18、分割ホイール23及びノッチング機器29は、組み合わされて別個に描画されている。ガラス板3を切り分ける装置の全体は、90度回転することができる。従って、ガラス板3は、横方向にも切り分けられ得る。
【0034】
図4は、破断ブレード26の領域から見た詳細図を示す。この図において、コンベヤローラ24が水平な一般配置として認識され、その上に残りのストリップのためのプレスダウン機器25のプッシャが配置されている。これらのプッシャは、電動手段により可動とされ、ガラス板3のヘッドストリップと残りのストリップとを分割する。ホールドダウン機器27は、重力又は自重では分割に不十分な短いガラス板片を押下する。ホールドダウン機器27は、また、下方より作用してもよいし、下方から作用する吸引機器手段のサブアセンブリとして構成されてもよい。ホールドダウン機器27により成される機能の更なるオプションは、上からの超音波作用である。
【0035】
図5は、破断機器の斜視図を示す。破断操作には、ガラス板3の一端から他端へと伸びるスクライビングラインの正確な位置を認識することが非常に重要である。これは、スクライビングラインが破断ブレード26の長軸上に正確に位置するときにだけ、破断操作が満足のいくように進行するためである。従って、破断されるガラス板3のスピードの正確な制御には、ガラス板3の前端からスクライビングラインまでの距離を認識することが、正確な位置づけの前提条件である。ガラス板3の前端位置は、標準的なセンサにより十分正確に検知され得る。しかしながら、冷却ノズル動作と連動したレーザにより求められたスクライビングラインの位置は、簡単に確認できるものではない。原則として、光バリア又はレーザバリアがガラス板3の前端を検知するのに用いられ、その後、カットまでの距離が計算される。ここで、多くの許容誤差を考慮に入れる必要があり、その蓄積は評価するのが難しい。本発明によれば、ガラス板3の対応する領域に凝縮液、特に、水蒸気にさらすことが随意に提案される。スクライビングラインは、カメラ又はカメラと連動した赤外線センサ及び/又は更なる光源により検知され、制御技術を用いることで評価され得る。
【0036】
ガラス板3の破断は、破断ブレード26を持ち上げることで実現される。この目的のため、直線状に構成された破断ブレード26が同期ドライブ7により作動される。このドライブを用いて、ガラス板3の全長に亘る破断ブレード26の持ち上げに加え、破断ブレード26の選択的な片側持ち上げにより、まず、分割点においてガラス板3に張力を与え、これにより片面に特異的に連続的なクラック形成を行うことで分割を誘導することも可能である。
【0037】
しかしながら、選択的な片側持ち上げは、絶対的に必要なものではない。
【0038】
また、類似の効果が、破断ブレード26における伸長可能なラムを用いても得ることができる。
【0039】
更なるオプションとして、破断ブレード26の領域に、スクライビングラインへ超音波を発することができるユニットを設けることが挙げられる。
【0040】
上記の連続動作の複雑な制御は、特別な制御プログラムを必要とする。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザワーキングヘッドを保持するためのガントリ
2 機械加工テーブル
3 ガラス板
4 カッティングユニットのためのベースフレーム
5 レーザワーキングヘッド
6 ローラコンベヤ
7 破断ブレードのための同期ドライブ
8 破断機器のベースフレーム
9 レーザビームソース
10 レーザビームガイド
11 レーザビームのための偏向機器
12 冷却剤のための供給リザーバ
13 冷却剤の処理
14 コンベヤベルトのための保護フラップ
15 コンベヤベルト
16 コンベヤベルトのドライブ
17 レーザワーキングヘッドの移動機器のドライブ
18 ノッチング機器の位置ホイール
19 冷却ノズル
20 レーザファン
21 レーザスクライビングを検知するためのカメラ
22 光源
23 ノッチング機器の分割ホイール
24 コンベヤローラ
25 残りのストリップのためのプレスダウン機器
26 破断ブレード
27 ホールドダウン機器
28 レーザスクライビングのための検知機器
29 ノッチング機器
30 ノッチング機器のためのリフト機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性的に変形可能で大きな表面積を持つガラス板を大量に工業生産する装置であって、
a)ガラス板(3)の前端位置が検知されると共に所望位置で固定される前記ガラス板(3)を供給する機器と、
b)前記ガラス板(3)上面の所望の破断線領域に初期損傷を与える機器と、
c)前記ガラス表面の直線上を扇形状に枢動するレーザビームで局所的に限定して加熱し、前記レーザビームは管状のレーザビームガイド(10)及びこれに続く偏向機器(11)を通ってレーザヘッド(5)へガイドされ、前記レーザビームがガイドされる全光路長は周辺環境に対して僅かに高圧となった空間より構成されている機器と、
d)前記レーザビームの少なくとも片側に少なくとも1つ配置され、断続的に操作可能かつ強度調節可能で、温度及び供給速度が可変な流体である冷却剤を5から10バールの圧力で排出する冷却ノズル(19)を有する前記ガラス表面を冷却する機器と、
e)前記ガラス板(3)を破断する機器領域へ、熱で局所的に前処理された前記ガラス板を輸送する機器と、
f)前記ガラス板を凝縮液、例えば、水蒸気に曝す機器を好ましくは有し、前記ガラス板(3)表面の直線状クラック形成をカメラシステムと連携した光学機器手段により検知する機器と、
g)前記ガラス板の下側にあり、片側及び/又は両側が持ち上げ可能な直線状破断ブレードと、重力又は自重では破断に不十分な短い前記ガラス板片を押下する少なくとも1つの電動ホールドダウン機器27と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記レーザビームがガイドされる空間において、窒素又は通常空気が大気として用いられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記冷却剤は、カチオン性界面活性剤又は水とエタノールとの混合物から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の冷却ノズル(19)は、前記ガラス板(3)に深い割れ目を形成するために列状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガラス板(3)は、機械加工テーブル(2)領域において複数のコンベヤベルト(15)手段により前方に移動され、
前記コンベヤベルト(15)の保護のために保護フラップ(14)が設けられ、
前記保護フラップは、前記機械加工テーブル(2)の持ち上げの前に前記ガラス板(3)の下に滑り込み、規則的に配置された距離手段により空気層を介して前記ガラス板(3)から離れていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記水蒸気を与える機器は、空気に加湿し、その後前記ガラス板(3)の特定領域を冷却する機器から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱、冷却、及び初期損傷を与える機器は、90度回転可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記冷却ノズル(19)は、ラバルノズルから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
関連ワークピースの位置又はそのようなワークピース部分の検知は、光学センサ手段又はカメラシステムと連動し超音波利用に基づいたセンサ手段により実現されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ガラス板(3)の距離手段は、超音波手段により達成されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
弾性的に変形可能で大きな表面積を持つガラス板を大量に工業生産する方法であって、
a)ガラス板(3)の前端位置が検知されると共に所望位置で固定され、前記ガラス板(3)がガントリ(1)を有する機械加工テーブル(2)上へコンベヤ手段(6)により搬送されるステップと、
b)ノッチング機器(29)の位置ホイール(18)が、分割ホイール(23)により初期損傷が与えられる前記ガラス板(3)のマージンから十分に離れた次なる分割操作の所望位置に駆動され、その後、前記ノッチング機器(29)が持ち上げられるステップと、
c)前記初期損傷位置から始まり、レーザファン(20)が前記ガントリ(1)に取り付けられたレーザヘッド(5)手段により前記ガラス板(3)の表面上を直線に沿ってガイドされ、冷却剤が前記レーザファン(20)領域に少なくとも1つの冷却ノズル(19)により吹き付けられ、表面マーキングが前記ガラス板上に形成されるステップと、
d)前記ガラス板(3)が光バリア及び赤外線カメラ手段によってスクライビングラインを検知する機器領域及び/又は前記ガラス板(3)を凝縮液に曝す機器領域に前記コンベヤ手段(6)により搬送され、可視化された前記スクライビングラインが照明装備及びカメラシステム手段による制御技術を用いて検知されるステップと、
e)前記スクライビングライン位置の正確な検知の後、前記ガラス板(3)が直線状破断ブレード(26)のブレークオフ端に亘って前記コンベヤ手段(6)により配置され、大きな前記ガラス板3の場合には重力の作用によりクラックが形成され、重力又は自重ではクラック形成に不十分な非常に小さなセグメントの場合には前記セグメントがホールドダウン機器27により押下されるステップと、
f)この操作において、前記破断ブレード(26)が片側又は両側、若しくは片側そしてその後両側に持ち上げられ、クラックが前記ガラス板3の一端から他端へ伸びて所望の線上で前記ガラス板(3)の破断が誘導されるステップと、を備えたことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ホールドダウン機器(27)は、吸引エレメントと連動した機器として下方から作用する、及び/又は超音波エレメントと連動した機器として上方から作用することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記破断ブレード(26)領域において、ラムが持ち上げられることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記破断ブレード(26)領域において、超音波エネルギがクラックに伝導されることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱、冷却、及び初期損傷を与える機器は、90度回転可能であることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ガラス表面を冷却する機器は、直線状に配置された複数の冷却ノズル(19)から成ることを特徴とする請求項11乃至請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
関連ワークピース又はそのようなワークピース部分の位置検知は、光学センサ手段又はカメラシステムと連携した超音波利用に基づいたセンサ手段により実現されることを特徴とする請求項11乃至請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
プログラムがコンピュータにより遂行される場合、請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載された方法ステップを実行するプログラムコードを備えたコンピュータプログラム。
【請求項19】
プログラムがコンピュータにより遂行される場合、請求項11乃至請求項17のいずれか一項に記載された方法ステップを実行するコンピュータプログラムのプログラムコードを備えた機械可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3a】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−528772(P2012−528772A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513468(P2012−513468)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000586
【国際公開番号】WO2010/139297
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(507154653)グレンツェバッハ・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】Grenzebach Maschinenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Albanusstrasse 1, 86663 Asbach−Baeumenheim, Deutschland
【Fターム(参考)】