形状測定装置
【課題】複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定する。
【解決手段】形状測定装置(100)は、被測定物にライン光を照射する光照射部(21)及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物に照射されたライン光を検出する光検出部(22)を有するセンサー部(2)と、光検出部(22)からの検出結果に基づいて被測定物の形状を測定する形状測定部(53)と、センサー部(2)と被測定物とを相対移動させる駆動部(11)と、測定方向に相対移動する間に形状測定部(53)によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時のセンサー部(2)と被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部(56)とを備える。
【解決手段】形状測定装置(100)は、被測定物にライン光を照射する光照射部(21)及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物に照射されたライン光を検出する光検出部(22)を有するセンサー部(2)と、光検出部(22)からの検出結果に基づいて被測定物の形状を測定する形状測定部(53)と、センサー部(2)と被測定物とを相対移動させる駆動部(11)と、測定方向に相対移動する間に形状測定部(53)によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時のセンサー部(2)と被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部(56)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被測定物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような三次元形状を測定する方法として、被測定物にスリット光を照射して被測定物の断面形状に対応して形成される光切断線から被測定物の三次元形状を測定する光切断法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような形状測定装置では、測定に先立ち被測定物に光切断線を照射し、測定開始位置、及び測定終了位置を指示することによりティーチングデータを作成し、その後、測定開始位置から測定終了位置までの測定動作を行っている。
しかしながら、このように測定範囲をティーチングさせて測定を行う場合、開始位置と終了位置との空間座標を直線的に移動することになる。また、複数点を用いたティーチングを行う場合でも、その教示点間は直線的に移動する。そのため、このような被測定物の形状を考慮せずに直線的な経路で測定を行った場合、被測定物に対するプローブ姿勢が不適切となり、正反射光による精度への悪影響や照明角度からデータが取得できない領域(オクルージョン)が発生して、高精度な形状測定が行えない場合がある。つまり、このような形状測定装置では、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することができる形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、被測定物にライン状の測定光を照射する照射部及び前記測定光の照射方向とは異なる方向から前記被測定物に照射された前記測定光を検出する検出部を有するセンサー部と、前記検出部からの検出結果に基づいて前記被測定物の形状を測定する形状測定部と、前記センサー部と前記被測定物とを相対移動させる駆動部と、測定方向に前記相対移動する間に前記形状測定部によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の前記センサー部と前記被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部とを備えることを特徴とする形状測定装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態による形状測定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態における回転機構の構成を示す図ある。
【図3】本実施形態による形状測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態形における状測定装置の測定手順を示す図である。
【図5】本実施形態形におけるプローブ座標系を示すベクトル関連図である。
【図6】本実施形態形における回転軸ベクトルを示すベクトル関連図である。
【図7】本実施形態形における法線ベクトルの生成例を示す概念図である。
【図8】本実施形態形における現画像取得位置と次画像取得位置との関係を示すベクトル関連図である。
【図9】本実施形態形における球体の測定例を示す図である。
【図10】従来の形状測定装置における複雑な形状の測定例を示す図である。
【図11】本実施形態形における複雑な形状の測定例を示す図である。
【図12】本実施形態による形状測定装置の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態による形状測定装置について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る形状測定装置100は、被測定物3の3次元形状を検出する3次元形状計測装置(例えば、座標測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine))である。つまり、形状測定装置100は、光切断法を用いることで、被測定物3の表面に一本のライン光(ライン状の測定光)からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被測定物3表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被測定物3に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、この形状測定装置100は、撮像された被測定物3表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被測定物3表面の基準平面からの高さを算出し、被測定物3表面の三次元形状を求める装置である。
【0010】
図1は、本実施形態による形状測定装置の構成を示す図である。
図1において、形状測定装置100は、測定装置本体1及び制御装置4を備えている。
後述する制御装置4は、制御線を介して測定装置本体1に接続されており、測定装置本体1を制御する。
測定装置本体1は、回転機構13及びヘッド駆動部14を有する駆動部11(図3)と、位置検出部12(図3)と、ヘッド部17と、定盤18と、光切断プローブ2とを備えている。なお、ここでは、被測定物3は、一例として、球体を示しており、定盤18の上に配置されている。
【0011】
定盤18は、石製又は鋳鉄製からなるものであり、上面が水平に保たれたものとなっている。
ヘッド駆動部14(移動部)は、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、互いが直交するX軸、Y軸、Z軸の直交3軸の方向にヘッド部17を移動させる。ヘッド駆動部14は、X軸移動部141、Y軸移動部142、及びZ軸移動部143を備えている。ここで、XY平面とは、定盤18の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X軸方向とは、定盤18上における一方向を規定するものであり、Y軸方向とは、定盤18の上面においてX軸方向に直交する方向を規定するものであり、Z軸方向とは、定盤18の上面に直交する方向を規定するものである。
【0012】
X軸移動部141は、ヘッド部17をX軸方向に駆動するX軸用モータを備え、定盤18上の所定の範囲内でX軸方向にヘッド部17を移動させる。Y軸移動部142は、ヘッド部17をY軸方向に駆動するY軸用モータを備え、定盤18上の所定の範囲内でY軸方向にヘッド部17を移動させる。また、Z軸移動部143は、ヘッド部17をZ軸方向に駆動するZ軸用モータを備え、所定の範囲内でZ軸方向にヘッド部17を移動させる。
なお、ヘッド部17は、光切断プローブ2の上部に位置し、回転機構13を介して光切断プローブ2(センサー部)を支持している。すなわち、ヘッド駆動部14は、互いに直交する3次元座標系の座標軸方向それぞれに、光切断プローブ2を移動させる。
【0013】
図2は、本実施形態における回転機構13の構成を示す図ある。
図2に示すように、回転機構13は、ヘッド部17と光切断プローブ2との間に配置され、ヘッド駆動部14に対して光切断プローブ2を回転可能に支持する。すなわち、回転機構13は、被測定物3の表面に対して光切断プローブ2を任意の角度に回転可能とする。
また、回転機構13は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133を備えている。なお、回転機構13は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の各軸を回転させる駆動モータを備えており、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、光切断プローブ2を任意の角度に回転させる。
【0014】
A回転軸131は、A回転軸131の下に取り付けられたB回転軸132及びC回転軸133を含めて光切断プローブ2を360度の範囲でZ軸回転させる回転軸である。
B回転軸132は、A回転軸131下部に取り付けられ、C回転軸133を含めて光切断プローブ2を上下方向に−90〜+90度の範囲で回転させる機構である。
C回転軸133は、B回転軸132に取り付けられ、光切断プローブ2を360度の範囲で回転させる機構である。
【0015】
光切断プローブ2(センサー部)は、被測定物3に光切断を行うためのライン光を照射する光照射部21(照明)、及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物3に照射されたライン光を検出する光検出部22を有している。
光照射部21は、図示しないシリンドリカルレンズや細い帯状の切り欠きを有したスリット板等から構成され、光源からの照明光を受けて扇状のライン光を生じさせるものである。光源としては、LEDやレーザー光源・SLD(Super Luminescent Diode)等を用いることができる。
【0016】
光検出部22は、光照射部21の光照射方向とは異なる方向から被測定物3の表面に投影されるライン光を撮像する。すなわち、光検出部22は、光検出部22は、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被測定物3の表面を検出する。
また、光検出部22は、図示しない結像レンズやCCD等から構成され、後述のように駆動部11を駆動させてライン光が所定間隔走査される毎に被測定物3を撮像するようになっている。なお、光照射部21及び光検出部22の位置は、被測定物3の表面上のライン光の光検出部22に対する入射方向と、光照射部21の光照射方向とが、所定角度θをなすように規定されている。なお、本実施形態では、上記所定角度θが、例えば、45度に設定されている。
【0017】
次に、図3を参照して、形状測定装置100の構成を詳細に説明する。
図3は、本実施形態による形状測定装置100の構成を示す概略ブロック図である。なお、この図において、図1及び図2と同じ構成には、同じ符号を附す。
【0018】
図3において、形状測定装置100は、測定装置本体1と制御装置4とを備えている。
また、上述したように、測定装置本体1は、駆動部11、位置検出部12、及び光切断プローブ2を備えている。
駆動部11は、回転機構13とヘッド駆動部14とを備え、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、光切断プローブ2の位置及び姿勢を変更させる。すなわち、駆動部11は、光切断プローブ2と被測定物3とを相対移動させる。
【0019】
位置検出部12は、回転位置検出部15とヘッド位置検出部16とを備えている。
ヘッド位置検出部16は、ヘッド駆動部14のX軸、Y軸、及びZ軸方向の位置をそれぞれ検出するX軸用エンコーダ、Y軸用エンコーダ、及びZ軸用エンコーダを備える。ヘッド位置検出部16は、それらのエンコーダによってヘッド駆動部14の位置を検出し、ヘッド駆動部14の位置を示す信号を後述の座標検出部51に供給する。
【0020】
回転位置検出部15は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の回転位置をそれぞれ検出するエンコーダを備える。回転位置検出部15は、それらのエンコーダを用いて、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の回転位置を検出し、検出した回転位置を示す信号を座標検出部51に供給する。
【0021】
光切断プローブ2は、上述したように、光切断方式により被測定物3の表面形状を検出するために、光照射部21及び光検出部22を備えている。光照射部21は、後述の間隔調整部52から供給される光の照射を制御する制御信号に基づき、被測定物3に直線上の光があたるように、被測定物3に直線状のスリット光(ライン状の光)を照射する。
光検出部22は、光照射部21からの照射光により被測定物3の表面に形成される光切断線を撮像する。ここで、光切断線は、被測定物3の断面形状に応じて形成される。そして、光検出部22は、被測定物3の表面に形成される陰影パターンを撮像し、撮像した画像情報を間隔調整部52に供給する。これにより、制御装置4は、形状測定データを取得する。
【0022】
続いて、制御装置4について説明する。
制御装置4は、演算処理部41と、入力装置42と、ジョイスティック43と、モニタ44とを備えている。
【0023】
入力装置42は、ユーザが各種指示情報を入力するキーボードなどを備える。入力装置42は、入力された指示情報を検出し、検出した指示情報を記憶部55に記憶させる。
ジョイスティック43は、ユーザの操作を受けて、その操作に応じて駆動部11を駆動させる制御信号を生成して駆動制御部54に供給する。このように、ジョイスティック43は、光切断プローブ2を配置させる状態を示す情報を検出し、検出した情報に基づいて光切断プローブ2を配置させる制御指令情報として、入力することができる。
モニタ44は、データ出力部57から供給された測定データ(全測定ポイントの座標値)等を受け取る。モニタ44は、受け取った測定データ(全測定ポイントの座標値)等を表示する。また、モニタ44は、計測画面、指示画面等を表示する。
【0024】
演算処理部41は、形状測定装置100における被測定物3の形状を測定する処理の制御を行い、被測定物3表面の基準平面からの高さを算出し、被測定物3の三次元形状を求める演算処理を行う。また、演算処理部41は、座標検出部51、間隔調整部52、座標算出部53、駆動制御部54、記憶部55、測定制御部56、データ出力部57、及びハードディスク58を備えている。
【0025】
座標検出部51は、回転位置検出部15及びヘッド位置検出部16から出力される6軸座標信号によって、光切断プローブ2の位置、及び光切断プローブ2の姿勢を検知する。ここで、6軸座標信号とは、X軸、Y軸、Z軸の直交3軸、及びA回転軸131、B回転軸132、C回転軸133の3軸の座標を示す信号である。
つまり、座標検出部51は、ヘッド位置検出部16から出力される直交3軸の座標信号によって、光切断プローブ2の位置、すなわち水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置とを検知する。また、座標検出部51は、回転位置検出部15から出力される回転位置を示す信号によって、光切断プローブ2の姿勢を検知する。
【0026】
座標検出部51は、光切断プローブ2の位置、及び光切断プローブ2の姿勢を示す情報として、6軸の座標情報を座標算出部53に供給する。
また、座標検出部51は、光切断プローブ2の6軸の座標情報に基づいて、光切断プローブ2の移動経路、移動速度などを検出する。
【0027】
間隔調整部52は、予め定められた所定のサンプリング周波数で、光検出部22から画像情報を受け取る。そして、間隔調整部52は、フレームが間引かれた画像情報を座標算出部53に供給する。
座標算出部53(形状測定部)は、間隔調整部52から供給されたフレームが間引かれた画像情報を受け取る。座標算出部53は、座標検出部51から供給された光切断プローブ2の6軸の座標情報を受け取る。座標算出部53は、間隔調整部352から供給された画像情報と、座標検出部51から供給されたと6軸の座標情報とに基づき、各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを算出する。すなわち、座標算出部53は、光検出部22からの検出結果(フレームが間引かれた画像情報)に基づいて被測定物3の形状を検出(測定)する
【0028】
座標算出部53におけるこの点群データの具体的な算出方法は、以下の通りである。まず、座標算出部53は、受け取った光切断プローブ2の6軸の座標情報から、光切断プローブ2に固定された光照射部21の座標と、光検出部22の座標とを算出する。
ここで、光照射部21は、光切断プローブ2に固定されているので、光照射部21の照射角度は、光切断プローブ2に対して固定である。また、光検出部22も光切断プローブ2に固定されているので、光検出部22の撮像角度は、光切断プローブ2に対して固定である。
【0029】
座標算出部53は、照射した光が被測定物3にあたった点を、撮像された画像の画素毎に、三角測量を用いて算出する。ここで、照射した光が被測定物3にあたった点の座標は、光照射部21の座標から光照射部21の照射角度で描画される直線と、光検出部22の座標から光検出部22の撮像角度で描画される直線(光軸)とが交わる点の座標である。なお、上記の撮像された画像は、測定位置に配置された光切断プローブ2によって検出された画像を示す。
これによって、被測定物3に照射されるスリット光を所定の方向に走査させることにより、光が照射された位置の座標を算出することができる。つまり、被測定物3の表面形状を求めることができる。座標算出部53は、被測定物3の形状をライン光に基づいて検出された点群の位置情報である点群データとして検出する。
また、座標算出部53は、算出した三次元座標値の点群データを記憶部55に記憶させる。
【0030】
記憶部55は、例えば、RAM(Random Access Memory)などのメモリであり、入力装置42から供給された各種指示情報を測定条件テーブルとして記憶する。ここで、測定条件テーブルには、測定条件や測定の終了条件、被測定物3の測定開始点(最初の測定ポイント)の座標値、等、測定開始位置での測定目標方向、各測定ポイントの間隔(例えば、一定間隔の測定ピッチ)を示すデータなどの項目が含まれる。
また、記憶部55は、座標算出部53から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして記憶する。また、記憶部55は、座標検出部51から供給された各測定ポイントの座標値データ(6軸の座標情報)を経路情報として記憶する。また、記憶部55は、設計データ(CADデータ)を記憶する。
【0031】
なお、記憶部55は、形状記憶部551と経路記憶部552とを備えている。
形状記憶部551は、上述した座標算出部53から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして記憶する。つまり、形状記憶部551は、後述する測定制御部56によって制御された相対位置に対応させて座標算出部53が検出した検出値(形状)である点群データを記憶する。ここで、相対位置とは、光切断プローブ2の測定位置及び姿勢(向き)のことであり、光切断プローブ2と被測定物3との相対的な位置を示し、被測定物3が固定されている場合には、光切断プローブ2の測定位置を示す。
経路記憶部552は、変更させた上述の相対位置(各測定ポイント)に対応する光切断プローブ2の座標値データ(6軸の座標情報)を相対位置の経路情報として記憶する。
【0032】
駆動制御部54は、ジョイスティック43からの操作信号に基づいて、又は、測定制御部56からの指令信号に基づいて、ヘッド駆動部14及び回転機構13に駆動信号を出力して、駆動部11を移動させる制御を行う。
また、駆動制御部54は、ジョイスティック43からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された駆動部11の位置情報(被測定物3の測定開始点、等)を記憶部55に記憶させる。つまり、駆動制御部54は、駆動部11に支持されている光切断プローブ2の位置を間接的に取得することができる。
【0033】
測定制御部56は、記憶部55から測定条件テーブルに登録された被測定物3の測定開始点(最初の測定ポイント)及び測定終了条件、等を読み出す。測定制御部56は、被測定物3の測定開始点、及び座標算出部53によって算出(検出)された被測定物3の形状に応じて、被測定物3に対するスキャンの移動経路を算出する。
すなわち、測定制御部56は、座標算出部53によって算出(検出)された検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、次にライン光を検出する位置になるように光切断プローブ2と被測定物3との相対位置を制御する。つまり、測定制御部56は、検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、光検出部22によってライン光を検出可能な範囲内に収まるように、光切断プローブ2と被測定物3との距離を制御する。すなわち、測定制御部56は、三次元座標値の点群データに基づいて、光切断プローブ2と被測定物3との測定可能距離を示すワーキングディスタンスを制御する。
【0034】
また、測定制御部56は、検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、ライン光における被測定物3の法線方向を示す法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルに基づいて、ライン光を照射する光切断プローブ2の向き(姿勢)を制御する。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、現在の相対位置に対する三次元座標値の点群データと現在より過去に検出された(例えば、1つ前の)相対位置に対する三次元座標値の点群データとに基づいて、現在の相対位置における法線ベクトルを算出する。そして、測定制御部56は、ヘッド駆動部14及び回転機構13に対して光切断プローブ2を、算出した法線ベクトルの向きとライン光の照射方向とが一致する向きにするように制御をする。すなわち、測定制御部56は、測定方向に相対移動する間に座標算出部53によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の光切断プローブ2と被測定物3との少なくとも一方の姿勢を制御する。また、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出(測定)させる。すなわち、測定制御部56は、被測定物3の形状の測定と、測定された形状に基づく相対移動後の姿勢の制御とを繰り返し行う。なお、この法線ベクトルの算出方法は後述する。
【0035】
また、測定制御部56は、記憶部55から読み出した測定終了条件に基づいて、被測定物3の形状の検出を終了させる。測定終了条件の詳細は、後述する。
また、測定制御部56は、座標算出部53によって点群データを繰り返し検出させる際に、変更させた相対位置に対応する光切断プローブ2の座標値データ(6軸の座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。測定制御部56は、再び同じ被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した相対位置の経路に基づいて、光切断プローブ2の6軸の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群データを繰り返し検出させる。
【0036】
データ出力部57は、記憶部55から測定データ(全測定ポイントの座標値)等を読み出す。データ出力部57は、その測定データ(全測定ポイントの座標値)等をモニタ54に供給する。また、データ出力部57は、測定データ(全測定ポイントの座標値)等をプリンタ(不図示)へ出力する。
【0037】
ハードディスク58は、磁気記憶装置などの不揮発性の記憶装置であり、記憶部55に記憶されている情報を保存しておく目的のために記憶する。記憶部55に記憶されている情報は、例えば、形状記憶部551に記憶されている点群データや、経路記憶部552に記憶されている経路情報などである。これらの情報は、測定制御部56によって、記憶部55から読み出されて、ハードディスク58に記憶される。また、ハードディスク58に記憶されている情報は、測定制御部56によって、ハードディスク58から読み出され、記憶部55に記憶されて、測定の際に使用されてもよい。
【0038】
次に、図4から図8を参照して、形状測定装置100が被測定物3をスキャン(相対移動)し形状データを作成するまでの手順を説明する。
図4は、本実施形態形における形状測定装置100の測定手順を示す図である。
この図において、まず、測定オブジェクトである被測定物3が、ユーザによって測定台に設置される(ステップS101)。つまり、被測定物3は、形状測定装置100の定盤18上における稼動範囲の測定有効空間に設置される。
【0039】
次に、ユーザが、ヘッド駆動部14及び回転機構13を測定開始位置に移動させる(ステップS102)。つまり、光切断プローブ2が、測定開始位置に移動させられる。すなわち、光切断プローブ2から照射される光切断線(ライン光)が被測定物3の測定開始位置に照射されるように、例えば、移動ツマミ(入力装置42の一部)、又はジョイスティック43を用いて6軸座標を調整され、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、ヘッド駆動部14及び回転機構13を移動及び回転させる。そして、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された駆動部11の測定開始位置を記憶部55に記憶させる。これにより、形状測定装置100は、測定開始位置が設定される。
【0040】
ヘッド駆動部14及び回転機構13を測定開始位置に移動させる場合、光切断線は、光切断プローブ2内の光検出部22によりモニタされ、画像中心位置に撮像されるように微調整されてもよい。
なお、光切断プローブ2は、形状測定装置100に取り付け前に単体校正が実施され、ライン光が計測カメラの中心位置にある場合が、ワーキングディスタンスの中心となるように予め校正されている。
【0041】
次に、光切断線の照射方向(測定目標方向)が、ユーザによって指定される(ステップS103)。つまり、ユーザによって、C回転軸133を移動ツマミ又はジョイスティック43により光切断線の長手方向を被測定物3に合わせて、光切断線の照射方向が、調整される。この場合、スキャン方向は、光切断線の長手方向と垂直な方向となる。
ここで、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、回転機構13のC回転軸133を回転させるとともに、登録位置として設定された測定開始位置での測定目標方向を記憶部55に記憶させる。
【0042】
次に、形状測定装置100では、測定データ取得距離、又は測定終了条件が、ユーザによって指定される(ステップS104)。つまり、入力装置42又はジョイスティック43により、測定データ取得距離、又は測定終了条件が指定され、入力装置42又はジョイスティック43は、指定された測定データ取得距離、又は測定終了条件を記憶部55に記憶させる。
【0043】
本実施形態では、自動追従動作を終了させる測定終了条件として、以下に示す条件の設定が可能である。なお、測定制御部56は、指定された測定終了条件に到達するまで、光切断プローブ2の位置及び姿勢(上述の相対位置)を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出させる。
【0044】
(1)測定距離によって測定を終了する。
この場合、形状測定装置100では、例えば、mm(ミリメートル)単位によって、被測定物3の測定開始位置から測定を行う距離が指定される。また、その距離の指定においては、頻繁に利用する距離を予めメニュー化しておいて、そのメニューの内から指定する方式でもよい。
また、この測定終了条件が指定された場合に、測定制御部56は、光切断プローブ2の位置が被測定物3の測定開始位置から上述の指定された距離以上離れた位置になった場合に被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0045】
(2)同一位置点群の検出によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、座標算出部53によって検出された点群データが、既に取得済みのデータと一致(同一位置点群)、又は近距離で重なる場合に、形状測定装置100は、測定を終了する。すなわち、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群データを繰り返し検出させ、新しく検出された点群データ(点群の位置情報)が、既に検出された点群データの値を含む予め定められた範囲内である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。例えば、球面を連続的に測定(スキャン)し、360度測定の結果、近距離の点群が重なる場合に、測定制御部56は、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0046】
(3)法線角度の範囲によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、形状測定装置100は、後述する法線ベクトルの向きが予め定められた範囲内にあるかをモニタし、法線ベクトルの向きがこの範囲から外れた場合に測定を終了する。つまり、測定制御部56は、法線ベクトルの向きが予め定められた範囲内にあるかをモニタし、後述する法線ベクトルの向きが、予め定められた範囲外である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0047】
(4)画像毎点群数の下限値によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定され、形状測定装置100は、例えば、1024を最大とする画像取得毎の点群数が、規定値を下回った場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に1回に検出させた点群の数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0048】
(5)点群数の上限値によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定され、形状測定装置100は、測定開始から取得された点群データの総数が上限値を越えた場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に検出させた点群の数をカウントして、カウントした点群データの総数が、予め定められた上限値を越えたら場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0049】
(6)空間座標範囲によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、形状測定装置100は、後述するワールド座標の指定された範囲内に到達した場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に検出させた点群データが、ワールド座標の指定された範囲内に到達した場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
このように、形状測定装置100では、以上の(1)から(6)の測定終了条件を単体、及び組み合わせ条件として指定する。
【0050】
次に、形状測定装置100では、被測定物3の表面のデータ測定ピッチがユーザによって指定される(ステップS105)。つまり、入力装置42又はジョイスティック43を用いて、測定ピッチ(スキャンピッチ)が指定され、入力装置42又はジョイスティック43は、指定された測定ピッチを記憶部55に記憶させる。
【0051】
以上により、形状測定装置100において、被測定物3の形状を測定するための設定が完了する。
【0052】
次に、形状測定装置100は、被測定物3の形状の測定を開始する(ステップS106)。つまり、測定制御部56は、上述で設定された測定条件テーブルを記憶部55から読み出して、測定条件テーブルに基づいて被測定物3の形状の測定を開始する。形状測定装置100は、以下のように、光切断プローブ2の位置及び姿勢(上述の相対位置)を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出させる。
【0053】
被測定物3の形状の測定において、まず、形状測定装置100は、測定終了条件に達したかを判定する(ステップS107)。つまり、測定制御部56は、ステップS104の処理において指定された測定終了条件に達したか否かを判定する。測定制御部56は、測定終了条件に達したと判定した場合に、ステップS113に処理を進める。また、測定制御部56は、測定終了条件に達していないと判定した場合に、ステップS108に処理を進める。
【0054】
次に、ステップS108において、形状測定装置100は、6軸の現座標情報、光切断の画像を取得する。つまり、測定制御部56は、測定条件テーブルに基づいて測定開始位置に光切断プローブ2の位置を移動及び姿勢を変更させる。そして、測定制御部56は、座標検出部51に6軸の現座標情報を検出させるとともに、間隔調整部52を介して光検出部22に光切断の画像を取得させる。
なお、光検出部22によって光切断プローブ2の画像を取得されるのと同期して、座標検出部51は、位置検出部12が検出した移動後の(現在の)6軸の座標情報をラッチし、座標算出部53に供給する。また、光検出部22によって取得された画像は、間隔調整部52を介して座標算出部53に供給される。
【0055】
次に、形状測定装置100は、6軸の座標情報と画像内の輝度ピーク位置から1画像分の点群データを生成する(ステップS109)。つまり、座標算出部53は、座標検出部51から供給された6軸の座標情報と、間隔調整部52から供給された画像とに基づいて、1画像分の点群データを生成する。座標算出部53は、生成した点群データを形状記憶部551に記憶させる。
なお、座標算出部53は、点群データを生成する際に、後述するプローブ座標から後述するワールド座標に変換する。以下、座標算出部53が、プローブ座標からワールド座標に変換して、点群データを生成する一例を説明する。
【0056】
[プローブ座標系について]
まず、本実施形態におけるプローブ座標系について説明する。
図5は、本実施形態形におけるプローブ座標系を示すベクトル関連図である。
この図において、プローブ座標系は、光切断プローブ2単体において、照明光軸L1と撮像光軸L2が交わる点を原点とし、光照射部21の方向をZ軸のプラス方向、Z軸と直交する紙面右に向かう方向をX軸のプラス方向、紙面奥に向かう方向をY軸のプラス方向として示される。本実施形態では、例えば、光検出部22は、1024×1024 画素のCCDカメラを使用し、光切断線の長手方向を垂直方向として撮像する。そのため、座標算出部53は、最大輝度位置の検出を水平方向に行うことにより、最大1024個のピーク位置を検出することが可能である。
【0057】
これにより、予め光切断プローブ2単体の校正がされた状態では、座標算出部53は、撮像された画像内の精密な水平画素位置から、校正データを基にした補正演算により、光切断面内のプローブ座標系での3次元座標を生成することが可能である。
なお、本実施形態において、光切断プローブ2単体校正が完了しているものとし、補正演算内容の詳細に関しては、説明を省略する。
【0058】
[ワールド座標系について]
次に、本実施形態におけるプローブ座標系について説明する。
ワールド座標系は、例えば、図1に示された形状測定装置100の定盤18上における左手前を原点としてX軸、Y軸、及びZ軸方向での測定空間内の3次元位置を示す座標系である。なお、座標算出部53は、点群データをこのワールド座標系の位置情報(座標情報)として生成する。
【0059】
[プローブ座標からワールド座標への変換]
次に、座標算出部53における、プローブ座標からワールド座標に変換して、点群データを生成する処理について説明する。座標算出部53は、プローブ座標系として生成された点群座標に6軸の座標情報を加味した演算を行い、ワールド座標系に変換する。
ここで、プローブ座標系によって示される点の3次元座標を式(1)として示す。
【0060】
【数1】
【0061】
図6は、本実施形態形における回転軸ベクトルを示すベクトル関連図である。
この図において、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心をポイントP1とし、C回転軸133の回転中心(プローブ座標原点でもある)をポイントP2として示す。また、光切断プローブ2によって画像が取得される際のA回転軸131の角度を角度aとし、B回転軸132の角度を角度bとし、C回転軸133の角度を角度cとして示す。
ここで、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の各回転軸に対応する回転行列をそれぞれMa、Mb、及びMcとすると、ワールド座標への変換は、式(2)として示される。
【0062】
【数2】
【0063】
ここで、O(オー)は、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心におけるワールド座標を示すベクトルであり、座標検出部51が検出した形状測定装置100のX軸、Y軸、及びZ軸の座標情報と一致させるように校正されている。
また、Lは、(a=b=0)である場合のA回転軸131及びA回転軸132の回転中心を基点として、C回転軸133の回転中心に向けてのベクトルを示す。ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(3)として示される。
【0064】
【数3】
【0065】
式(3)として示される演算処理により、座標算出部53は、ベクトルLの先端、即ち、プローブ座標系の原点ポイントP2を、ワールド座標系に変換することができる。つまり、座標算出部53は、光切断プローブ2によって検出された被測定物3の表面の位置情報(点群データ)をワールド座標系に変換することができることを示している。
また、座標算出部53は、生成した点群データを形状記憶部551に記憶させる。
【0066】
次に、形状測定装置100は、前画像、現画像の点群位置から被測定物3の表面の法線を検出する(ステップS110)。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551から1つ前の測定位置(相対位置)に対する検出値(形状)である前画像の点群データと、現在の測定位置(相対位置)に対する検出値(形状)である現画像の点群データとを読み出す。そして、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、前画像の点群データと現画像の点群データとに基づいて、現在の測定位置(相対位置)における法線ベクトルを算出する。なお、測定制御部56は、プローブ座標系で、Z軸の座標が最大となる位置、即ち光切断プローブ2と被測定物3の距離が最短となる被測定物3の表面の近傍を対象に、法線ベクトルの算出を行う。
【0067】
[法線ベクトルの算出例]
ここで、測定制御部56における法線ベクトルの算出の一例を説明する。
図7は、本実施形態形における法線ベクトルの生成例を示す概念図である。
図7(a)において、点群データD2は、現在の測定位置において取得された画像n(現画像)に基づいて、生成されたワールド座標系による点群データを示している。点群データD1は、画像n(現画像)の1つ前の測定位置において取得された画像(n−1)(前画像)に基づいて、生成されたワールド座標系による点群データを示している。この点群データD1及びD2において、四角で囲まれた1〜1024の数字は、点群の番号を示している。
測定制御部56は、現画像nから生成された点群から選定された最大1024点に対応した法線ベクトル計算を行う。
【0068】
なお、ここでは、一例として、現画像nの5番目の走査線位置から生成された3次元座標における法線ベクトルの計算例を示す。
図7(b)は、図7の現画像n及び前画像(n−1)における5番目近傍の点群データD3を示している。この図において、ベクトルV0は、現画像nの5番目の点を基点として、現画像nの4番目に向かう3次元ベクトルを示し、ベクトルV1は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の4番目に向かう3次元ベクトルを示す。また、ベクトルV2は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の5番目に向かう3次元ベクトルを示す。さらに、ベクトルV3は、現画像nの5番目の点を基点として、現画像nの6番目に向かう3次元ベクトルを示し、ベクトルV4は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の6番目に向かう3次元ベクトルを示す。
【0069】
上述のように、ベクトルV0〜V4を定義した場合、この現画像nの5番目の点における法線ベクトルNは、式(4)として示される。
【0070】
【数4】
【0071】
この式(4)において、「×」は外積を示し、「unit」は単位ベクトル化関数を示す。また、「+」はベクトル加算を示す。
なお、式(4)の方式では、周辺4ベクトルを平均化して求める方式であるため、測定制御部56は、安定した法線ベクトルNを算出することができる。
また、この現画像nの5番目の周辺点群に欠落がある場合には、平均数は3以下として対応してもよい。
【0072】
測定制御部56は、上述の式(4)として示される演算方法によって、1画像から最大1024点に対応した法線ベクトルを算出するが、ここでは、プローブ座標系で、Z軸の座標が最大となる位置における法線ベクトルの算出を行う。
【0073】
次に、形状測定装置100は、法線とデータ取得ピッチとから次画像取得の6軸の座標情報を計算する(ステップS111)。つまり、測定制御部56は、式(4)に示される演算方法によって算出された法線ベクトルNと、ベクトルV0及びV4とに基づいて、次の測定位置である次画像取得位置に向かう方向ベクトルDを算出する。
この方向ベクトルDは、式(5)として示される。
【0074】
【数5】
【0075】
また、記憶部55から読み出した、予め指定された上述の測定ピッチを被測定物3の表面のデータ取得ピッチtとすると、移動ベクトルMは、式(6)として示される。
【0076】
【数6】
【0077】
ここで、次画像を取得する位置を示す次画像取得位置ベクトルSを式(7)として示す。
【0078】
【数7】
【0079】
また、現在の画像取得位置のワールド座標を示す現画像取得位置のワールド座標位置ベクトルWを式(8)として示す。
【0080】
【数8】
【0081】
この現画像取得位置のワールド座標位置ベクトルWを式(8)として示す場合、次画像取得位置Sは、式(9)として示される。
【0082】
【数9】
【0083】
この場合におけるベクトル関連図を図8に示す。
図8では、本実施形態形における現画像取得位置ベクトルWと次画像取得位置Sとの関係を示している。
【0084】
また、ワールド座標における次画像取得位置Sでの6軸の座標P=[x y z a b c]の各成分は、測定制御部56によって次のように演算される。法線ベクトルNの各成分をN=[XN YN ZN]T(Tは転置ベクトルを示す)とすると、法線方向に光切断プローブ2を向けるための角度a及びbは、それぞれ式(10)及び式(11)として示される。
【0085】
【数10】
【0086】
なお、成分cは、測定開始前に予め指定された光切断線照射方向である。
また、A回転軸131及びB回転軸132における各回転軸の回転行列をそれぞれMa、Mbとすると、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心座標Oは、式(12)として示される。
【0087】
【数11】
【0088】
ここで、Lは、(a=b=0)である場合のA回転軸131及びB回転軸132の回転中心を基点として、C回転軸133の回転中心に向けてのベクトルを示し、ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(13)として示される。
【0089】
【数12】
【0090】
したがって、測定制御部56は、次画像取得位置Sにおける6軸の座標Pを式(10)〜式(12)により算出することができる。
【0091】
次に、形状測定装置100は、6軸を制御して、次画像取得位置に駆動部11を移動させる(ステップS112)。つまり、測定制御部56は、算出された6軸の座標Pを指令値として、駆動制御部54により駆動部11を移動させる。これにより、駆動制御部54は、駆動部11を検出値に応じて6軸の座標に移動させ、光切断プローブ2を次画像取得位置に移動させる。
また、測定制御部56は、移動させた次画像取得位置に対応する座標情報(光切断プローブ2の座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。すなわち、測定制御部56は、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた測定位置(相対位置)に対応する光切断プローブ2の座標情報を経路記憶部552に記憶させる。
【0092】
次に、形状測定装置100は、ステップS107において、測定終了条件に達するまで、上述のステップS106〜S112を繰り返し処理させる。
【0093】
次に、ステップS113において、形状測定装置100は、点群データをハードディスク58にセーブする(記憶させる)。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551に記憶されている被測定物3の形状情報である点群データをハードディスク58に記憶させる。
なお、測定制御部56は、経路記憶部552に記憶されている経路情報(上述の相対位置の経路)をハードディスク58に記憶させてもよい。
【0094】
また、測定制御部56は、再び被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した経路情報に基づいて光切断プローブ2の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させてもよい。この場合、測定制御部56は、ハードディスク58に記憶されている経路情報を読み出して使用してもよいし、ハードディスク58に記憶されている経路情報を経路記憶部552に記憶させて、使用してもよい。
【0095】
次に、本実施形態による形状測定装置100が、被測定物3として球体の形状を測定する場合の一例について説明する。
図9は、本実施形態形における球体の測定例を示す図である。
この図において、形状測定装置100は、測定制御部56が測定位置P3から測定位置P6まで光切断プローブ2を移動して、球体3の形状を測定する。なお、測定経路R1は、測定位置P3から測定位置P6までの測定を行う際の経路を示す。
【0096】
この図の示すように、ユーザによって、測定開始位置P3に光切断プローブ2が移動され、光切断線の照射方向が指定された場合、測定制御部56は、被測定物3(球体)の法線方向を算出する。次に、測定制御部56は、算出した法線方向、光切断線の照射方向、及びデータ取得ピッチに基づいてプローブ角度を含む次画像取得位置を計算して、測定経路R1の示すように、連続的に計測を実行させる。そして、測定制御部56は、測定終了条件に達した場合(測定位置P6)に、測定動作を終了させる。
【0097】
ここで、図9に示すように、測定位置P3から測定位置P6の各測定位置において、測定制御部56は、光切断プローブ2の最適な相対位置(測定位置及び姿勢(向き))を維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。つまり、測定制御部56は、最適なワーキングディスタンスと、最適な光切断プローブ2の向きを維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。なお、光切断線を法線方向から照射する場合、光切断線の短手方向幅が、最も狭くなるため、最も精度よく測定することができる。このように、形状測定装置100は、ティーチングを行わなくても被測定物3の形状を測定することができる。
【0098】
次に、本実施形態による形状測定装置100が、複雑な形状の被測定物3を測定する場合の一例について説明する。
【0099】
ところで、複雑な形状の被測定物3を測定する場合、特許文献1に記載されているような形状測定装置(以下、従来の形状測定装置という)では、図10に示すような問題が発生する。
図10は、従来の形状測定装置における複雑な形状の測定例を示す図である。
従来の形状測定装置が、図10(a)に示すような複雑な形状の被測定物3を測定する場合、次のような問題が発生する場合がある。
【0100】
例えば、測定位置P7のような形状を測定する場合、図10(b)に示すように、光切断線が被測定物3の形状に遮られ撮像できない場合(オクルージョン)がある(第1の場合)。
また、測定位置P8のような形状を測定する場合、図10(C)に示すように、照明光軸L1と撮像光軸L2とを2分する角度に被測定物3の表面が位置するため、正しい形状測定が行えない場合がある(第2の場合)。この場合、本来捉えたい拡散反射成分に加え、正反射成分が光検出部に進入して、異常値となって検出される。そのため、形状を測定できないことがある。
また、測定位置P9のような形状を測定する場合、図10(d)に示すように、光切断線の撮像角度が大きく平坦な波形として捉えられ精密なピーク位置が捉えられない場合がある(第3の場合)。
【0101】
これに対して、本実施形態による形状測定装置100では、図11に示すように、光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射することが可能となり、上述の第1〜第3の場合においても、高精度な形状測定を行うことができる。
図11は、本実施形態形における複雑な形状の測定例を示す図である。
この図において、形状測定装置100は、図10における被測定物3と同様の複雑な形状を、測定制御部56が測定位置P10から測定位置P15まで光切断プローブ2を移動して測定する。なお、測定経路R2は、測定位置P10から測定位置P15までの測定を行う際の経路を示す。ここで、本実施形態による形状測定装置100では、測定制御部56は、測定位置P10から測定位置P15まで光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射する制御をする。
【0102】
例えば、測定位置P11では、測定制御部56は、光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射するように、光切断プローブ2の位置及び姿勢を駆動部11に変更させる。これにより、上述の第1の場合(オクルージョン)の発生を防止することができる。
また、測定制御部56は、測定位置P12から測定位置P15においても、測定位置P11と同様に、最適なワーキングディスタンスと、最適な光切断プローブ2の向きとを維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。これにより、上述の第2の場合(測定位置P12)及び第3の場合(測定位置P14)の問題を防止することができる。
【0103】
以上のように、本実施形態による形状測定装置100は、光切断プローブ2(センサー部)が、被測定物3にライン光(ライン状の測定光)を照射する光照射部21及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物3に照射されたライン光を検出する光検出部22を有する。座標算出部53(形状測定部)が、光検出部22からの検出出力(検出結果)に基づいて被測定物3の形状を検出(測定)する。駆動部11が、光切断プローブ2と被測定物3とを相対移動させる。そして、測定制御部56が、測定方向に相対移動する間に座標算出部53によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の光切断プローブ2と被測定物3との少なくとも一方の姿勢を制御する。
これにより、測定制御部56が最適な上述の相対位置を制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0104】
また、本実施形態において、測定制御部56は、座標算出部53によって検出された検出値(点群データ)に基づいて、光検出部22によってライン光を検出可能な範囲内に収まるように、光切断プローブ2と被測定物3との距離(ワーキングディスタンス)を制御する。
これにより、測定制御部56が最適なワーキングディスタンスを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0105】
また、本実施形態において、測定制御部56は、座標算出部53によって検出された検出値(点群データ)に基づいて、ライン光における被測定物3の法線方向を示す法線ベクトル(法線方向)を算出する。そして、測定制御部56は、算出した法線ベクトルに基づいて、ライン光を照射する光切断プローブ2の向きを制御する。
これにより、測定制御部56が最適な光切断プローブ2の向きを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0106】
また、本実施形態において、測定制御部56によって制御された上述の相対位置に対応させて座標算出部53が検出した検出値(点群データ)を記憶する形状記憶部551を備える。そして、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、現在の相対位置に対する検出値と現在より過去に検出された相対位置に対する検出値とに基づいて、現在の相対位置における法線ベクトルを算出する。
これにより、測定制御部56は、簡易な方法により、法線ベクトルを算出することができる。
【0107】
また、本実施形態において、形状測定装置100は、3次元座標系の座標軸方向それぞれに、光切断プローブ2を移動させるヘッド駆動部14(移動部)と、ヘッド駆動部14に対して光切断プローブ2を回転可能に支持する回転機構13とを備える。そして、測定制御部56は、ヘッド駆動部14及び回転機構13に対して光切断プローブ2を、算出した法線ベクトルの向きとライン光の照射方向とが一致する向きにさせる制御を行う。
これにより、形状測定装置100は、被測定物3を測定するために、光切断プローブ2を被測定物3の形状に合わせて最適な測定位置及び向きに移動することができる。つまり、測定制御部56がワーキングディスタンスと、光切断プローブ2の向きとを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
つまり、被測定物3の表面の法線方向に光切断プローブ2を制御することにより、上述した第1〜第3の場合のような問題の発生を抑えて、高精度な3次元形状測を行うことが可能になる。
【0108】
また、本実施形態において、座標算出部53は、被測定物3の形状をライン光に基づいて検出された点群の位置情報(点群データ)として検出する。そして、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させ、新しく検出された点群の位置情報が、既に検出された点群の位置情報の値を含む予め定められた範囲内である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。また、本実施形態において、測定制御部56は、法線ベクトルの向きが、予め定められた範囲外である場合に、被測定物の形状の検出(被測定物の形状の測定)を終了させる。また、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて検出された点群データの数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0109】
これにより、形状測定装置100は、ティーチングを行うことなく測定開始位置のみを指示することにより、被測定物3の形状を連続的に認識し、被測定物3の形状に追従して光切断プローブ2の向きを変更することが可能となる。そのため、形状測定装置100は、測定データ取得時間の短縮、及び高精度な測定データの取得を行うことができる。
【0110】
また、本実施形態において、形状測定装置100は、変更させた上述の相対位置に対応する光切断プローブ2の座標情報を上述の相対位置の経路として記憶する経路記憶部552を備える。そして、測定制御部56は、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた上述の相対位置に対応する光切断プローブ2の座標情報(6軸座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。測定制御部56は、再び被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した相対位置の経路に基づいて光切断プローブ2の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる。
これにより、形状測定装置100は、ティーチングを行うことなく測定開始位置のみを指示することにより、被測定物3の形状を連続的に認識し、被測定物3の形状に追従して光切断プローブ2の向きを変更することが可能となる。そのため、形状測定装置100は、測定データ取得時間の短縮、及び高精度な測定データの取得を行うことができる。
【0111】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記の実施形態において、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133を備えた回転機構13を用いて、光切断プローブ2の向きを変更する形態を説明したが、図12に示すように、被測定物3を固定するテーブルを回転させる形態でもよい。図12において、回転機構13aは、A回転軸134及びB回転軸135を備えている。
また、上記の実施形態において、形状測定装置100は、回転機構13(又は13a)を備える形態を説明したが、回転機構13(又は13a)を備えずに、測定制御部56が、被測定物3に対する直交3軸によるワーキングディスタンスを追従する制御のみを行う形態でもよい。
【0112】
また、上記の実施形態において、測定制御部56は、画像取得位置(座標)に移動させた後に、光検出部22に画像取得をさせる形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像取得タイミングでリアルタイムに6軸の座標情報を取得できるため、測定制御部56は、軸移動を停止させずに、6軸指令値を連続的に指示して画像を取得させる方式としてもよい。
また、過去に測定された2回分またはそれ以上のデータから測定面の形状を予測して法線を求めてもよい。
また、測定中の姿勢を測定中の形状データから求めた法線方向に合わせてもよい。
また、連続する形状測定だけに限らず、既に形状測定を行った部位の近傍の形状を測定する際に、前に行った形状データと新たに行う形状測定結果を併せて用いて法線方向を求めてもよい。
【0113】
また、上記の実施形態において、記憶部55が形状記憶部551及び経路記憶部552を備える形態を説明したが、演算処理部41が、形状記憶部551及び経路記憶部552を別々の記憶部として備える形態でもよい。また、ハードディスク58が、形状記憶部551及び経路記憶部552を備える形態でもよいし、演算処理部41が、ハードディスク58を備えない形態でもよい。
また、上記の実施形態において、ユーザが測定開始位置などを指定する形態を説明したが、測定開始位置などの指定情報を有する設定ファイルをハードディスク58に記憶させて、測定の際に、測定制御部56がハードディスク58から読み出して使用する形態でもよい。
【0114】
また、上記の実施形態において、自動追従動作を終了させる測定終了条件として(1)〜(6)の測定終了条件を説明したが、これに限定されるものではない。また、(1)〜(6)の測定終了条件のそれぞれを単独で指定できる形態でもよいし、組み合わせて指定できる形態でもよい。
また、上記の実施形態において、演算処理部41の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えて、プログラムによって実現されてもよい。
【0115】
上述の形状測定装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した被測定物3の形状を測定する処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
2…光切断プローブ、3…被測定物、13…回転機構、14…ヘッド駆動部、21…光照射部、22…光検出部、53…座標算出部、56…測定制御部、100…形状測定装置、551…形状記憶部、552…経路記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被測定物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような三次元形状を測定する方法として、被測定物にスリット光を照射して被測定物の断面形状に対応して形成される光切断線から被測定物の三次元形状を測定する光切断法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような形状測定装置では、測定に先立ち被測定物に光切断線を照射し、測定開始位置、及び測定終了位置を指示することによりティーチングデータを作成し、その後、測定開始位置から測定終了位置までの測定動作を行っている。
しかしながら、このように測定範囲をティーチングさせて測定を行う場合、開始位置と終了位置との空間座標を直線的に移動することになる。また、複数点を用いたティーチングを行う場合でも、その教示点間は直線的に移動する。そのため、このような被測定物の形状を考慮せずに直線的な経路で測定を行った場合、被測定物に対するプローブ姿勢が不適切となり、正反射光による精度への悪影響や照明角度からデータが取得できない領域(オクルージョン)が発生して、高精度な形状測定が行えない場合がある。つまり、このような形状測定装置では、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することができる形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、被測定物にライン状の測定光を照射する照射部及び前記測定光の照射方向とは異なる方向から前記被測定物に照射された前記測定光を検出する検出部を有するセンサー部と、前記検出部からの検出結果に基づいて前記被測定物の形状を測定する形状測定部と、前記センサー部と前記被測定物とを相対移動させる駆動部と、測定方向に前記相対移動する間に前記形状測定部によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の前記センサー部と前記被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部とを備えることを特徴とする形状測定装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な形状の被測定物に対して精度を高めて測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態による形状測定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態における回転機構の構成を示す図ある。
【図3】本実施形態による形状測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態形における状測定装置の測定手順を示す図である。
【図5】本実施形態形におけるプローブ座標系を示すベクトル関連図である。
【図6】本実施形態形における回転軸ベクトルを示すベクトル関連図である。
【図7】本実施形態形における法線ベクトルの生成例を示す概念図である。
【図8】本実施形態形における現画像取得位置と次画像取得位置との関係を示すベクトル関連図である。
【図9】本実施形態形における球体の測定例を示す図である。
【図10】従来の形状測定装置における複雑な形状の測定例を示す図である。
【図11】本実施形態形における複雑な形状の測定例を示す図である。
【図12】本実施形態による形状測定装置の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態による形状測定装置について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る形状測定装置100は、被測定物3の3次元形状を検出する3次元形状計測装置(例えば、座標測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine))である。つまり、形状測定装置100は、光切断法を用いることで、被測定物3の表面に一本のライン光(ライン状の測定光)からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被測定物3表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被測定物3に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、この形状測定装置100は、撮像された被測定物3表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被測定物3表面の基準平面からの高さを算出し、被測定物3表面の三次元形状を求める装置である。
【0010】
図1は、本実施形態による形状測定装置の構成を示す図である。
図1において、形状測定装置100は、測定装置本体1及び制御装置4を備えている。
後述する制御装置4は、制御線を介して測定装置本体1に接続されており、測定装置本体1を制御する。
測定装置本体1は、回転機構13及びヘッド駆動部14を有する駆動部11(図3)と、位置検出部12(図3)と、ヘッド部17と、定盤18と、光切断プローブ2とを備えている。なお、ここでは、被測定物3は、一例として、球体を示しており、定盤18の上に配置されている。
【0011】
定盤18は、石製又は鋳鉄製からなるものであり、上面が水平に保たれたものとなっている。
ヘッド駆動部14(移動部)は、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、互いが直交するX軸、Y軸、Z軸の直交3軸の方向にヘッド部17を移動させる。ヘッド駆動部14は、X軸移動部141、Y軸移動部142、及びZ軸移動部143を備えている。ここで、XY平面とは、定盤18の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X軸方向とは、定盤18上における一方向を規定するものであり、Y軸方向とは、定盤18の上面においてX軸方向に直交する方向を規定するものであり、Z軸方向とは、定盤18の上面に直交する方向を規定するものである。
【0012】
X軸移動部141は、ヘッド部17をX軸方向に駆動するX軸用モータを備え、定盤18上の所定の範囲内でX軸方向にヘッド部17を移動させる。Y軸移動部142は、ヘッド部17をY軸方向に駆動するY軸用モータを備え、定盤18上の所定の範囲内でY軸方向にヘッド部17を移動させる。また、Z軸移動部143は、ヘッド部17をZ軸方向に駆動するZ軸用モータを備え、所定の範囲内でZ軸方向にヘッド部17を移動させる。
なお、ヘッド部17は、光切断プローブ2の上部に位置し、回転機構13を介して光切断プローブ2(センサー部)を支持している。すなわち、ヘッド駆動部14は、互いに直交する3次元座標系の座標軸方向それぞれに、光切断プローブ2を移動させる。
【0013】
図2は、本実施形態における回転機構13の構成を示す図ある。
図2に示すように、回転機構13は、ヘッド部17と光切断プローブ2との間に配置され、ヘッド駆動部14に対して光切断プローブ2を回転可能に支持する。すなわち、回転機構13は、被測定物3の表面に対して光切断プローブ2を任意の角度に回転可能とする。
また、回転機構13は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133を備えている。なお、回転機構13は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の各軸を回転させる駆動モータを備えており、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、光切断プローブ2を任意の角度に回転させる。
【0014】
A回転軸131は、A回転軸131の下に取り付けられたB回転軸132及びC回転軸133を含めて光切断プローブ2を360度の範囲でZ軸回転させる回転軸である。
B回転軸132は、A回転軸131下部に取り付けられ、C回転軸133を含めて光切断プローブ2を上下方向に−90〜+90度の範囲で回転させる機構である。
C回転軸133は、B回転軸132に取り付けられ、光切断プローブ2を360度の範囲で回転させる機構である。
【0015】
光切断プローブ2(センサー部)は、被測定物3に光切断を行うためのライン光を照射する光照射部21(照明)、及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物3に照射されたライン光を検出する光検出部22を有している。
光照射部21は、図示しないシリンドリカルレンズや細い帯状の切り欠きを有したスリット板等から構成され、光源からの照明光を受けて扇状のライン光を生じさせるものである。光源としては、LEDやレーザー光源・SLD(Super Luminescent Diode)等を用いることができる。
【0016】
光検出部22は、光照射部21の光照射方向とは異なる方向から被測定物3の表面に投影されるライン光を撮像する。すなわち、光検出部22は、光検出部22は、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被測定物3の表面を検出する。
また、光検出部22は、図示しない結像レンズやCCD等から構成され、後述のように駆動部11を駆動させてライン光が所定間隔走査される毎に被測定物3を撮像するようになっている。なお、光照射部21及び光検出部22の位置は、被測定物3の表面上のライン光の光検出部22に対する入射方向と、光照射部21の光照射方向とが、所定角度θをなすように規定されている。なお、本実施形態では、上記所定角度θが、例えば、45度に設定されている。
【0017】
次に、図3を参照して、形状測定装置100の構成を詳細に説明する。
図3は、本実施形態による形状測定装置100の構成を示す概略ブロック図である。なお、この図において、図1及び図2と同じ構成には、同じ符号を附す。
【0018】
図3において、形状測定装置100は、測定装置本体1と制御装置4とを備えている。
また、上述したように、測定装置本体1は、駆動部11、位置検出部12、及び光切断プローブ2を備えている。
駆動部11は、回転機構13とヘッド駆動部14とを備え、制御装置4から供給される駆動信号に基づいて、光切断プローブ2の位置及び姿勢を変更させる。すなわち、駆動部11は、光切断プローブ2と被測定物3とを相対移動させる。
【0019】
位置検出部12は、回転位置検出部15とヘッド位置検出部16とを備えている。
ヘッド位置検出部16は、ヘッド駆動部14のX軸、Y軸、及びZ軸方向の位置をそれぞれ検出するX軸用エンコーダ、Y軸用エンコーダ、及びZ軸用エンコーダを備える。ヘッド位置検出部16は、それらのエンコーダによってヘッド駆動部14の位置を検出し、ヘッド駆動部14の位置を示す信号を後述の座標検出部51に供給する。
【0020】
回転位置検出部15は、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の回転位置をそれぞれ検出するエンコーダを備える。回転位置検出部15は、それらのエンコーダを用いて、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の回転位置を検出し、検出した回転位置を示す信号を座標検出部51に供給する。
【0021】
光切断プローブ2は、上述したように、光切断方式により被測定物3の表面形状を検出するために、光照射部21及び光検出部22を備えている。光照射部21は、後述の間隔調整部52から供給される光の照射を制御する制御信号に基づき、被測定物3に直線上の光があたるように、被測定物3に直線状のスリット光(ライン状の光)を照射する。
光検出部22は、光照射部21からの照射光により被測定物3の表面に形成される光切断線を撮像する。ここで、光切断線は、被測定物3の断面形状に応じて形成される。そして、光検出部22は、被測定物3の表面に形成される陰影パターンを撮像し、撮像した画像情報を間隔調整部52に供給する。これにより、制御装置4は、形状測定データを取得する。
【0022】
続いて、制御装置4について説明する。
制御装置4は、演算処理部41と、入力装置42と、ジョイスティック43と、モニタ44とを備えている。
【0023】
入力装置42は、ユーザが各種指示情報を入力するキーボードなどを備える。入力装置42は、入力された指示情報を検出し、検出した指示情報を記憶部55に記憶させる。
ジョイスティック43は、ユーザの操作を受けて、その操作に応じて駆動部11を駆動させる制御信号を生成して駆動制御部54に供給する。このように、ジョイスティック43は、光切断プローブ2を配置させる状態を示す情報を検出し、検出した情報に基づいて光切断プローブ2を配置させる制御指令情報として、入力することができる。
モニタ44は、データ出力部57から供給された測定データ(全測定ポイントの座標値)等を受け取る。モニタ44は、受け取った測定データ(全測定ポイントの座標値)等を表示する。また、モニタ44は、計測画面、指示画面等を表示する。
【0024】
演算処理部41は、形状測定装置100における被測定物3の形状を測定する処理の制御を行い、被測定物3表面の基準平面からの高さを算出し、被測定物3の三次元形状を求める演算処理を行う。また、演算処理部41は、座標検出部51、間隔調整部52、座標算出部53、駆動制御部54、記憶部55、測定制御部56、データ出力部57、及びハードディスク58を備えている。
【0025】
座標検出部51は、回転位置検出部15及びヘッド位置検出部16から出力される6軸座標信号によって、光切断プローブ2の位置、及び光切断プローブ2の姿勢を検知する。ここで、6軸座標信号とは、X軸、Y軸、Z軸の直交3軸、及びA回転軸131、B回転軸132、C回転軸133の3軸の座標を示す信号である。
つまり、座標検出部51は、ヘッド位置検出部16から出力される直交3軸の座標信号によって、光切断プローブ2の位置、すなわち水平方向における観察位置(光軸中心位置)と上下方向における観察位置とを検知する。また、座標検出部51は、回転位置検出部15から出力される回転位置を示す信号によって、光切断プローブ2の姿勢を検知する。
【0026】
座標検出部51は、光切断プローブ2の位置、及び光切断プローブ2の姿勢を示す情報として、6軸の座標情報を座標算出部53に供給する。
また、座標検出部51は、光切断プローブ2の6軸の座標情報に基づいて、光切断プローブ2の移動経路、移動速度などを検出する。
【0027】
間隔調整部52は、予め定められた所定のサンプリング周波数で、光検出部22から画像情報を受け取る。そして、間隔調整部52は、フレームが間引かれた画像情報を座標算出部53に供給する。
座標算出部53(形状測定部)は、間隔調整部52から供給されたフレームが間引かれた画像情報を受け取る。座標算出部53は、座標検出部51から供給された光切断プローブ2の6軸の座標情報を受け取る。座標算出部53は、間隔調整部352から供給された画像情報と、座標検出部51から供給されたと6軸の座標情報とに基づき、各測定ポイントの座標値(三次元座標値)の点群データを算出する。すなわち、座標算出部53は、光検出部22からの検出結果(フレームが間引かれた画像情報)に基づいて被測定物3の形状を検出(測定)する
【0028】
座標算出部53におけるこの点群データの具体的な算出方法は、以下の通りである。まず、座標算出部53は、受け取った光切断プローブ2の6軸の座標情報から、光切断プローブ2に固定された光照射部21の座標と、光検出部22の座標とを算出する。
ここで、光照射部21は、光切断プローブ2に固定されているので、光照射部21の照射角度は、光切断プローブ2に対して固定である。また、光検出部22も光切断プローブ2に固定されているので、光検出部22の撮像角度は、光切断プローブ2に対して固定である。
【0029】
座標算出部53は、照射した光が被測定物3にあたった点を、撮像された画像の画素毎に、三角測量を用いて算出する。ここで、照射した光が被測定物3にあたった点の座標は、光照射部21の座標から光照射部21の照射角度で描画される直線と、光検出部22の座標から光検出部22の撮像角度で描画される直線(光軸)とが交わる点の座標である。なお、上記の撮像された画像は、測定位置に配置された光切断プローブ2によって検出された画像を示す。
これによって、被測定物3に照射されるスリット光を所定の方向に走査させることにより、光が照射された位置の座標を算出することができる。つまり、被測定物3の表面形状を求めることができる。座標算出部53は、被測定物3の形状をライン光に基づいて検出された点群の位置情報である点群データとして検出する。
また、座標算出部53は、算出した三次元座標値の点群データを記憶部55に記憶させる。
【0030】
記憶部55は、例えば、RAM(Random Access Memory)などのメモリであり、入力装置42から供給された各種指示情報を測定条件テーブルとして記憶する。ここで、測定条件テーブルには、測定条件や測定の終了条件、被測定物3の測定開始点(最初の測定ポイント)の座標値、等、測定開始位置での測定目標方向、各測定ポイントの間隔(例えば、一定間隔の測定ピッチ)を示すデータなどの項目が含まれる。
また、記憶部55は、座標算出部53から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして記憶する。また、記憶部55は、座標検出部51から供給された各測定ポイントの座標値データ(6軸の座標情報)を経路情報として記憶する。また、記憶部55は、設計データ(CADデータ)を記憶する。
【0031】
なお、記憶部55は、形状記憶部551と経路記憶部552とを備えている。
形状記憶部551は、上述した座標算出部53から供給された三次元座標値の点群データを測定データとして記憶する。つまり、形状記憶部551は、後述する測定制御部56によって制御された相対位置に対応させて座標算出部53が検出した検出値(形状)である点群データを記憶する。ここで、相対位置とは、光切断プローブ2の測定位置及び姿勢(向き)のことであり、光切断プローブ2と被測定物3との相対的な位置を示し、被測定物3が固定されている場合には、光切断プローブ2の測定位置を示す。
経路記憶部552は、変更させた上述の相対位置(各測定ポイント)に対応する光切断プローブ2の座標値データ(6軸の座標情報)を相対位置の経路情報として記憶する。
【0032】
駆動制御部54は、ジョイスティック43からの操作信号に基づいて、又は、測定制御部56からの指令信号に基づいて、ヘッド駆動部14及び回転機構13に駆動信号を出力して、駆動部11を移動させる制御を行う。
また、駆動制御部54は、ジョイスティック43からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された駆動部11の位置情報(被測定物3の測定開始点、等)を記憶部55に記憶させる。つまり、駆動制御部54は、駆動部11に支持されている光切断プローブ2の位置を間接的に取得することができる。
【0033】
測定制御部56は、記憶部55から測定条件テーブルに登録された被測定物3の測定開始点(最初の測定ポイント)及び測定終了条件、等を読み出す。測定制御部56は、被測定物3の測定開始点、及び座標算出部53によって算出(検出)された被測定物3の形状に応じて、被測定物3に対するスキャンの移動経路を算出する。
すなわち、測定制御部56は、座標算出部53によって算出(検出)された検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、次にライン光を検出する位置になるように光切断プローブ2と被測定物3との相対位置を制御する。つまり、測定制御部56は、検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、光検出部22によってライン光を検出可能な範囲内に収まるように、光切断プローブ2と被測定物3との距離を制御する。すなわち、測定制御部56は、三次元座標値の点群データに基づいて、光切断プローブ2と被測定物3との測定可能距離を示すワーキングディスタンスを制御する。
【0034】
また、測定制御部56は、検出値(三次元座標値の点群データ)に基づいて、ライン光における被測定物3の法線方向を示す法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルに基づいて、ライン光を照射する光切断プローブ2の向き(姿勢)を制御する。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、現在の相対位置に対する三次元座標値の点群データと現在より過去に検出された(例えば、1つ前の)相対位置に対する三次元座標値の点群データとに基づいて、現在の相対位置における法線ベクトルを算出する。そして、測定制御部56は、ヘッド駆動部14及び回転機構13に対して光切断プローブ2を、算出した法線ベクトルの向きとライン光の照射方向とが一致する向きにするように制御をする。すなわち、測定制御部56は、測定方向に相対移動する間に座標算出部53によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の光切断プローブ2と被測定物3との少なくとも一方の姿勢を制御する。また、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出(測定)させる。すなわち、測定制御部56は、被測定物3の形状の測定と、測定された形状に基づく相対移動後の姿勢の制御とを繰り返し行う。なお、この法線ベクトルの算出方法は後述する。
【0035】
また、測定制御部56は、記憶部55から読み出した測定終了条件に基づいて、被測定物3の形状の検出を終了させる。測定終了条件の詳細は、後述する。
また、測定制御部56は、座標算出部53によって点群データを繰り返し検出させる際に、変更させた相対位置に対応する光切断プローブ2の座標値データ(6軸の座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。測定制御部56は、再び同じ被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した相対位置の経路に基づいて、光切断プローブ2の6軸の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群データを繰り返し検出させる。
【0036】
データ出力部57は、記憶部55から測定データ(全測定ポイントの座標値)等を読み出す。データ出力部57は、その測定データ(全測定ポイントの座標値)等をモニタ54に供給する。また、データ出力部57は、測定データ(全測定ポイントの座標値)等をプリンタ(不図示)へ出力する。
【0037】
ハードディスク58は、磁気記憶装置などの不揮発性の記憶装置であり、記憶部55に記憶されている情報を保存しておく目的のために記憶する。記憶部55に記憶されている情報は、例えば、形状記憶部551に記憶されている点群データや、経路記憶部552に記憶されている経路情報などである。これらの情報は、測定制御部56によって、記憶部55から読み出されて、ハードディスク58に記憶される。また、ハードディスク58に記憶されている情報は、測定制御部56によって、ハードディスク58から読み出され、記憶部55に記憶されて、測定の際に使用されてもよい。
【0038】
次に、図4から図8を参照して、形状測定装置100が被測定物3をスキャン(相対移動)し形状データを作成するまでの手順を説明する。
図4は、本実施形態形における形状測定装置100の測定手順を示す図である。
この図において、まず、測定オブジェクトである被測定物3が、ユーザによって測定台に設置される(ステップS101)。つまり、被測定物3は、形状測定装置100の定盤18上における稼動範囲の測定有効空間に設置される。
【0039】
次に、ユーザが、ヘッド駆動部14及び回転機構13を測定開始位置に移動させる(ステップS102)。つまり、光切断プローブ2が、測定開始位置に移動させられる。すなわち、光切断プローブ2から照射される光切断線(ライン光)が被測定物3の測定開始位置に照射されるように、例えば、移動ツマミ(入力装置42の一部)、又はジョイスティック43を用いて6軸座標を調整され、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、ヘッド駆動部14及び回転機構13を移動及び回転させる。そして、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、登録位置として設定された駆動部11の測定開始位置を記憶部55に記憶させる。これにより、形状測定装置100は、測定開始位置が設定される。
【0040】
ヘッド駆動部14及び回転機構13を測定開始位置に移動させる場合、光切断線は、光切断プローブ2内の光検出部22によりモニタされ、画像中心位置に撮像されるように微調整されてもよい。
なお、光切断プローブ2は、形状測定装置100に取り付け前に単体校正が実施され、ライン光が計測カメラの中心位置にある場合が、ワーキングディスタンスの中心となるように予め校正されている。
【0041】
次に、光切断線の照射方向(測定目標方向)が、ユーザによって指定される(ステップS103)。つまり、ユーザによって、C回転軸133を移動ツマミ又はジョイスティック43により光切断線の長手方向を被測定物3に合わせて、光切断線の照射方向が、調整される。この場合、スキャン方向は、光切断線の長手方向と垂直な方向となる。
ここで、駆動制御部54は、移動ツマミ又はジョイスティック43からの操作信号に基づいて、回転機構13のC回転軸133を回転させるとともに、登録位置として設定された測定開始位置での測定目標方向を記憶部55に記憶させる。
【0042】
次に、形状測定装置100では、測定データ取得距離、又は測定終了条件が、ユーザによって指定される(ステップS104)。つまり、入力装置42又はジョイスティック43により、測定データ取得距離、又は測定終了条件が指定され、入力装置42又はジョイスティック43は、指定された測定データ取得距離、又は測定終了条件を記憶部55に記憶させる。
【0043】
本実施形態では、自動追従動作を終了させる測定終了条件として、以下に示す条件の設定が可能である。なお、測定制御部56は、指定された測定終了条件に到達するまで、光切断プローブ2の位置及び姿勢(上述の相対位置)を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出させる。
【0044】
(1)測定距離によって測定を終了する。
この場合、形状測定装置100では、例えば、mm(ミリメートル)単位によって、被測定物3の測定開始位置から測定を行う距離が指定される。また、その距離の指定においては、頻繁に利用する距離を予めメニュー化しておいて、そのメニューの内から指定する方式でもよい。
また、この測定終了条件が指定された場合に、測定制御部56は、光切断プローブ2の位置が被測定物3の測定開始位置から上述の指定された距離以上離れた位置になった場合に被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0045】
(2)同一位置点群の検出によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、座標算出部53によって検出された点群データが、既に取得済みのデータと一致(同一位置点群)、又は近距離で重なる場合に、形状測定装置100は、測定を終了する。すなわち、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群データを繰り返し検出させ、新しく検出された点群データ(点群の位置情報)が、既に検出された点群データの値を含む予め定められた範囲内である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。例えば、球面を連続的に測定(スキャン)し、360度測定の結果、近距離の点群が重なる場合に、測定制御部56は、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0046】
(3)法線角度の範囲によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、形状測定装置100は、後述する法線ベクトルの向きが予め定められた範囲内にあるかをモニタし、法線ベクトルの向きがこの範囲から外れた場合に測定を終了する。つまり、測定制御部56は、法線ベクトルの向きが予め定められた範囲内にあるかをモニタし、後述する法線ベクトルの向きが、予め定められた範囲外である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0047】
(4)画像毎点群数の下限値によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定され、形状測定装置100は、例えば、1024を最大とする画像取得毎の点群数が、規定値を下回った場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に1回に検出させた点群の数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0048】
(5)点群数の上限値によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定され、形状測定装置100は、測定開始から取得された点群データの総数が上限値を越えた場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に検出させた点群の数をカウントして、カウントした点群データの総数が、予め定められた上限値を越えたら場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0049】
(6)空間座標範囲によって測定を終了する。
この測定終了条件が指定された場合、形状測定装置100は、後述するワールド座標の指定された範囲内に到達した場合に、測定を終了する。つまり、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて座標算出部53に検出させた点群データが、ワールド座標の指定された範囲内に到達した場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
このように、形状測定装置100では、以上の(1)から(6)の測定終了条件を単体、及び組み合わせ条件として指定する。
【0050】
次に、形状測定装置100では、被測定物3の表面のデータ測定ピッチがユーザによって指定される(ステップS105)。つまり、入力装置42又はジョイスティック43を用いて、測定ピッチ(スキャンピッチ)が指定され、入力装置42又はジョイスティック43は、指定された測定ピッチを記憶部55に記憶させる。
【0051】
以上により、形状測定装置100において、被測定物3の形状を測定するための設定が完了する。
【0052】
次に、形状測定装置100は、被測定物3の形状の測定を開始する(ステップS106)。つまり、測定制御部56は、上述で設定された測定条件テーブルを記憶部55から読み出して、測定条件テーブルに基づいて被測定物3の形状の測定を開始する。形状測定装置100は、以下のように、光切断プローブ2の位置及び姿勢(上述の相対位置)を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報である点群データを繰り返し検出させる。
【0053】
被測定物3の形状の測定において、まず、形状測定装置100は、測定終了条件に達したかを判定する(ステップS107)。つまり、測定制御部56は、ステップS104の処理において指定された測定終了条件に達したか否かを判定する。測定制御部56は、測定終了条件に達したと判定した場合に、ステップS113に処理を進める。また、測定制御部56は、測定終了条件に達していないと判定した場合に、ステップS108に処理を進める。
【0054】
次に、ステップS108において、形状測定装置100は、6軸の現座標情報、光切断の画像を取得する。つまり、測定制御部56は、測定条件テーブルに基づいて測定開始位置に光切断プローブ2の位置を移動及び姿勢を変更させる。そして、測定制御部56は、座標検出部51に6軸の現座標情報を検出させるとともに、間隔調整部52を介して光検出部22に光切断の画像を取得させる。
なお、光検出部22によって光切断プローブ2の画像を取得されるのと同期して、座標検出部51は、位置検出部12が検出した移動後の(現在の)6軸の座標情報をラッチし、座標算出部53に供給する。また、光検出部22によって取得された画像は、間隔調整部52を介して座標算出部53に供給される。
【0055】
次に、形状測定装置100は、6軸の座標情報と画像内の輝度ピーク位置から1画像分の点群データを生成する(ステップS109)。つまり、座標算出部53は、座標検出部51から供給された6軸の座標情報と、間隔調整部52から供給された画像とに基づいて、1画像分の点群データを生成する。座標算出部53は、生成した点群データを形状記憶部551に記憶させる。
なお、座標算出部53は、点群データを生成する際に、後述するプローブ座標から後述するワールド座標に変換する。以下、座標算出部53が、プローブ座標からワールド座標に変換して、点群データを生成する一例を説明する。
【0056】
[プローブ座標系について]
まず、本実施形態におけるプローブ座標系について説明する。
図5は、本実施形態形におけるプローブ座標系を示すベクトル関連図である。
この図において、プローブ座標系は、光切断プローブ2単体において、照明光軸L1と撮像光軸L2が交わる点を原点とし、光照射部21の方向をZ軸のプラス方向、Z軸と直交する紙面右に向かう方向をX軸のプラス方向、紙面奥に向かう方向をY軸のプラス方向として示される。本実施形態では、例えば、光検出部22は、1024×1024 画素のCCDカメラを使用し、光切断線の長手方向を垂直方向として撮像する。そのため、座標算出部53は、最大輝度位置の検出を水平方向に行うことにより、最大1024個のピーク位置を検出することが可能である。
【0057】
これにより、予め光切断プローブ2単体の校正がされた状態では、座標算出部53は、撮像された画像内の精密な水平画素位置から、校正データを基にした補正演算により、光切断面内のプローブ座標系での3次元座標を生成することが可能である。
なお、本実施形態において、光切断プローブ2単体校正が完了しているものとし、補正演算内容の詳細に関しては、説明を省略する。
【0058】
[ワールド座標系について]
次に、本実施形態におけるプローブ座標系について説明する。
ワールド座標系は、例えば、図1に示された形状測定装置100の定盤18上における左手前を原点としてX軸、Y軸、及びZ軸方向での測定空間内の3次元位置を示す座標系である。なお、座標算出部53は、点群データをこのワールド座標系の位置情報(座標情報)として生成する。
【0059】
[プローブ座標からワールド座標への変換]
次に、座標算出部53における、プローブ座標からワールド座標に変換して、点群データを生成する処理について説明する。座標算出部53は、プローブ座標系として生成された点群座標に6軸の座標情報を加味した演算を行い、ワールド座標系に変換する。
ここで、プローブ座標系によって示される点の3次元座標を式(1)として示す。
【0060】
【数1】
【0061】
図6は、本実施形態形における回転軸ベクトルを示すベクトル関連図である。
この図において、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心をポイントP1とし、C回転軸133の回転中心(プローブ座標原点でもある)をポイントP2として示す。また、光切断プローブ2によって画像が取得される際のA回転軸131の角度を角度aとし、B回転軸132の角度を角度bとし、C回転軸133の角度を角度cとして示す。
ここで、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133の各回転軸に対応する回転行列をそれぞれMa、Mb、及びMcとすると、ワールド座標への変換は、式(2)として示される。
【0062】
【数2】
【0063】
ここで、O(オー)は、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心におけるワールド座標を示すベクトルであり、座標検出部51が検出した形状測定装置100のX軸、Y軸、及びZ軸の座標情報と一致させるように校正されている。
また、Lは、(a=b=0)である場合のA回転軸131及びA回転軸132の回転中心を基点として、C回転軸133の回転中心に向けてのベクトルを示す。ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(3)として示される。
【0064】
【数3】
【0065】
式(3)として示される演算処理により、座標算出部53は、ベクトルLの先端、即ち、プローブ座標系の原点ポイントP2を、ワールド座標系に変換することができる。つまり、座標算出部53は、光切断プローブ2によって検出された被測定物3の表面の位置情報(点群データ)をワールド座標系に変換することができることを示している。
また、座標算出部53は、生成した点群データを形状記憶部551に記憶させる。
【0066】
次に、形状測定装置100は、前画像、現画像の点群位置から被測定物3の表面の法線を検出する(ステップS110)。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551から1つ前の測定位置(相対位置)に対する検出値(形状)である前画像の点群データと、現在の測定位置(相対位置)に対する検出値(形状)である現画像の点群データとを読み出す。そして、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、前画像の点群データと現画像の点群データとに基づいて、現在の測定位置(相対位置)における法線ベクトルを算出する。なお、測定制御部56は、プローブ座標系で、Z軸の座標が最大となる位置、即ち光切断プローブ2と被測定物3の距離が最短となる被測定物3の表面の近傍を対象に、法線ベクトルの算出を行う。
【0067】
[法線ベクトルの算出例]
ここで、測定制御部56における法線ベクトルの算出の一例を説明する。
図7は、本実施形態形における法線ベクトルの生成例を示す概念図である。
図7(a)において、点群データD2は、現在の測定位置において取得された画像n(現画像)に基づいて、生成されたワールド座標系による点群データを示している。点群データD1は、画像n(現画像)の1つ前の測定位置において取得された画像(n−1)(前画像)に基づいて、生成されたワールド座標系による点群データを示している。この点群データD1及びD2において、四角で囲まれた1〜1024の数字は、点群の番号を示している。
測定制御部56は、現画像nから生成された点群から選定された最大1024点に対応した法線ベクトル計算を行う。
【0068】
なお、ここでは、一例として、現画像nの5番目の走査線位置から生成された3次元座標における法線ベクトルの計算例を示す。
図7(b)は、図7の現画像n及び前画像(n−1)における5番目近傍の点群データD3を示している。この図において、ベクトルV0は、現画像nの5番目の点を基点として、現画像nの4番目に向かう3次元ベクトルを示し、ベクトルV1は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の4番目に向かう3次元ベクトルを示す。また、ベクトルV2は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の5番目に向かう3次元ベクトルを示す。さらに、ベクトルV3は、現画像nの5番目の点を基点として、現画像nの6番目に向かう3次元ベクトルを示し、ベクトルV4は、現画像nの5番目の点を基点として、前画像(n−1)の6番目に向かう3次元ベクトルを示す。
【0069】
上述のように、ベクトルV0〜V4を定義した場合、この現画像nの5番目の点における法線ベクトルNは、式(4)として示される。
【0070】
【数4】
【0071】
この式(4)において、「×」は外積を示し、「unit」は単位ベクトル化関数を示す。また、「+」はベクトル加算を示す。
なお、式(4)の方式では、周辺4ベクトルを平均化して求める方式であるため、測定制御部56は、安定した法線ベクトルNを算出することができる。
また、この現画像nの5番目の周辺点群に欠落がある場合には、平均数は3以下として対応してもよい。
【0072】
測定制御部56は、上述の式(4)として示される演算方法によって、1画像から最大1024点に対応した法線ベクトルを算出するが、ここでは、プローブ座標系で、Z軸の座標が最大となる位置における法線ベクトルの算出を行う。
【0073】
次に、形状測定装置100は、法線とデータ取得ピッチとから次画像取得の6軸の座標情報を計算する(ステップS111)。つまり、測定制御部56は、式(4)に示される演算方法によって算出された法線ベクトルNと、ベクトルV0及びV4とに基づいて、次の測定位置である次画像取得位置に向かう方向ベクトルDを算出する。
この方向ベクトルDは、式(5)として示される。
【0074】
【数5】
【0075】
また、記憶部55から読み出した、予め指定された上述の測定ピッチを被測定物3の表面のデータ取得ピッチtとすると、移動ベクトルMは、式(6)として示される。
【0076】
【数6】
【0077】
ここで、次画像を取得する位置を示す次画像取得位置ベクトルSを式(7)として示す。
【0078】
【数7】
【0079】
また、現在の画像取得位置のワールド座標を示す現画像取得位置のワールド座標位置ベクトルWを式(8)として示す。
【0080】
【数8】
【0081】
この現画像取得位置のワールド座標位置ベクトルWを式(8)として示す場合、次画像取得位置Sは、式(9)として示される。
【0082】
【数9】
【0083】
この場合におけるベクトル関連図を図8に示す。
図8では、本実施形態形における現画像取得位置ベクトルWと次画像取得位置Sとの関係を示している。
【0084】
また、ワールド座標における次画像取得位置Sでの6軸の座標P=[x y z a b c]の各成分は、測定制御部56によって次のように演算される。法線ベクトルNの各成分をN=[XN YN ZN]T(Tは転置ベクトルを示す)とすると、法線方向に光切断プローブ2を向けるための角度a及びbは、それぞれ式(10)及び式(11)として示される。
【0085】
【数10】
【0086】
なお、成分cは、測定開始前に予め指定された光切断線照射方向である。
また、A回転軸131及びB回転軸132における各回転軸の回転行列をそれぞれMa、Mbとすると、A回転軸131及びB回転軸132の回転中心座標Oは、式(12)として示される。
【0087】
【数11】
【0088】
ここで、Lは、(a=b=0)である場合のA回転軸131及びB回転軸132の回転中心を基点として、C回転軸133の回転中心に向けてのベクトルを示し、ベクトルLのノルムをl(エル)とすると、ベクトルLは、式(13)として示される。
【0089】
【数12】
【0090】
したがって、測定制御部56は、次画像取得位置Sにおける6軸の座標Pを式(10)〜式(12)により算出することができる。
【0091】
次に、形状測定装置100は、6軸を制御して、次画像取得位置に駆動部11を移動させる(ステップS112)。つまり、測定制御部56は、算出された6軸の座標Pを指令値として、駆動制御部54により駆動部11を移動させる。これにより、駆動制御部54は、駆動部11を検出値に応じて6軸の座標に移動させ、光切断プローブ2を次画像取得位置に移動させる。
また、測定制御部56は、移動させた次画像取得位置に対応する座標情報(光切断プローブ2の座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。すなわち、測定制御部56は、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた測定位置(相対位置)に対応する光切断プローブ2の座標情報を経路記憶部552に記憶させる。
【0092】
次に、形状測定装置100は、ステップS107において、測定終了条件に達するまで、上述のステップS106〜S112を繰り返し処理させる。
【0093】
次に、ステップS113において、形状測定装置100は、点群データをハードディスク58にセーブする(記憶させる)。つまり、測定制御部56は、形状記憶部551に記憶されている被測定物3の形状情報である点群データをハードディスク58に記憶させる。
なお、測定制御部56は、経路記憶部552に記憶されている経路情報(上述の相対位置の経路)をハードディスク58に記憶させてもよい。
【0094】
また、測定制御部56は、再び被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した経路情報に基づいて光切断プローブ2の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させてもよい。この場合、測定制御部56は、ハードディスク58に記憶されている経路情報を読み出して使用してもよいし、ハードディスク58に記憶されている経路情報を経路記憶部552に記憶させて、使用してもよい。
【0095】
次に、本実施形態による形状測定装置100が、被測定物3として球体の形状を測定する場合の一例について説明する。
図9は、本実施形態形における球体の測定例を示す図である。
この図において、形状測定装置100は、測定制御部56が測定位置P3から測定位置P6まで光切断プローブ2を移動して、球体3の形状を測定する。なお、測定経路R1は、測定位置P3から測定位置P6までの測定を行う際の経路を示す。
【0096】
この図の示すように、ユーザによって、測定開始位置P3に光切断プローブ2が移動され、光切断線の照射方向が指定された場合、測定制御部56は、被測定物3(球体)の法線方向を算出する。次に、測定制御部56は、算出した法線方向、光切断線の照射方向、及びデータ取得ピッチに基づいてプローブ角度を含む次画像取得位置を計算して、測定経路R1の示すように、連続的に計測を実行させる。そして、測定制御部56は、測定終了条件に達した場合(測定位置P6)に、測定動作を終了させる。
【0097】
ここで、図9に示すように、測定位置P3から測定位置P6の各測定位置において、測定制御部56は、光切断プローブ2の最適な相対位置(測定位置及び姿勢(向き))を維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。つまり、測定制御部56は、最適なワーキングディスタンスと、最適な光切断プローブ2の向きを維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。なお、光切断線を法線方向から照射する場合、光切断線の短手方向幅が、最も狭くなるため、最も精度よく測定することができる。このように、形状測定装置100は、ティーチングを行わなくても被測定物3の形状を測定することができる。
【0098】
次に、本実施形態による形状測定装置100が、複雑な形状の被測定物3を測定する場合の一例について説明する。
【0099】
ところで、複雑な形状の被測定物3を測定する場合、特許文献1に記載されているような形状測定装置(以下、従来の形状測定装置という)では、図10に示すような問題が発生する。
図10は、従来の形状測定装置における複雑な形状の測定例を示す図である。
従来の形状測定装置が、図10(a)に示すような複雑な形状の被測定物3を測定する場合、次のような問題が発生する場合がある。
【0100】
例えば、測定位置P7のような形状を測定する場合、図10(b)に示すように、光切断線が被測定物3の形状に遮られ撮像できない場合(オクルージョン)がある(第1の場合)。
また、測定位置P8のような形状を測定する場合、図10(C)に示すように、照明光軸L1と撮像光軸L2とを2分する角度に被測定物3の表面が位置するため、正しい形状測定が行えない場合がある(第2の場合)。この場合、本来捉えたい拡散反射成分に加え、正反射成分が光検出部に進入して、異常値となって検出される。そのため、形状を測定できないことがある。
また、測定位置P9のような形状を測定する場合、図10(d)に示すように、光切断線の撮像角度が大きく平坦な波形として捉えられ精密なピーク位置が捉えられない場合がある(第3の場合)。
【0101】
これに対して、本実施形態による形状測定装置100では、図11に示すように、光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射することが可能となり、上述の第1〜第3の場合においても、高精度な形状測定を行うことができる。
図11は、本実施形態形における複雑な形状の測定例を示す図である。
この図において、形状測定装置100は、図10における被測定物3と同様の複雑な形状を、測定制御部56が測定位置P10から測定位置P15まで光切断プローブ2を移動して測定する。なお、測定経路R2は、測定位置P10から測定位置P15までの測定を行う際の経路を示す。ここで、本実施形態による形状測定装置100では、測定制御部56は、測定位置P10から測定位置P15まで光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射する制御をする。
【0102】
例えば、測定位置P11では、測定制御部56は、光切断線を被測定物3の法線に近い角度で照射するように、光切断プローブ2の位置及び姿勢を駆動部11に変更させる。これにより、上述の第1の場合(オクルージョン)の発生を防止することができる。
また、測定制御部56は、測定位置P12から測定位置P15においても、測定位置P11と同様に、最適なワーキングディスタンスと、最適な光切断プローブ2の向きとを維持させながら、光切断プローブ2を移動させる。これにより、上述の第2の場合(測定位置P12)及び第3の場合(測定位置P14)の問題を防止することができる。
【0103】
以上のように、本実施形態による形状測定装置100は、光切断プローブ2(センサー部)が、被測定物3にライン光(ライン状の測定光)を照射する光照射部21及びライン光の照射方向とは異なる方向から被測定物3に照射されたライン光を検出する光検出部22を有する。座標算出部53(形状測定部)が、光検出部22からの検出出力(検出結果)に基づいて被測定物3の形状を検出(測定)する。駆動部11が、光切断プローブ2と被測定物3とを相対移動させる。そして、測定制御部56が、測定方向に相対移動する間に座標算出部53によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の光切断プローブ2と被測定物3との少なくとも一方の姿勢を制御する。
これにより、測定制御部56が最適な上述の相対位置を制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0104】
また、本実施形態において、測定制御部56は、座標算出部53によって検出された検出値(点群データ)に基づいて、光検出部22によってライン光を検出可能な範囲内に収まるように、光切断プローブ2と被測定物3との距離(ワーキングディスタンス)を制御する。
これにより、測定制御部56が最適なワーキングディスタンスを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0105】
また、本実施形態において、測定制御部56は、座標算出部53によって検出された検出値(点群データ)に基づいて、ライン光における被測定物3の法線方向を示す法線ベクトル(法線方向)を算出する。そして、測定制御部56は、算出した法線ベクトルに基づいて、ライン光を照射する光切断プローブ2の向きを制御する。
これにより、測定制御部56が最適な光切断プローブ2の向きを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
【0106】
また、本実施形態において、測定制御部56によって制御された上述の相対位置に対応させて座標算出部53が検出した検出値(点群データ)を記憶する形状記憶部551を備える。そして、測定制御部56は、形状記憶部551から読み出した、現在の相対位置に対する検出値と現在より過去に検出された相対位置に対する検出値とに基づいて、現在の相対位置における法線ベクトルを算出する。
これにより、測定制御部56は、簡易な方法により、法線ベクトルを算出することができる。
【0107】
また、本実施形態において、形状測定装置100は、3次元座標系の座標軸方向それぞれに、光切断プローブ2を移動させるヘッド駆動部14(移動部)と、ヘッド駆動部14に対して光切断プローブ2を回転可能に支持する回転機構13とを備える。そして、測定制御部56は、ヘッド駆動部14及び回転機構13に対して光切断プローブ2を、算出した法線ベクトルの向きとライン光の照射方向とが一致する向きにさせる制御を行う。
これにより、形状測定装置100は、被測定物3を測定するために、光切断プローブ2を被測定物3の形状に合わせて最適な測定位置及び向きに移動することができる。つまり、測定制御部56がワーキングディスタンスと、光切断プローブ2の向きとを制御するので、本実施形態による形状測定装置100は、複雑な形状の被測定物3に対して精度を高めて測定することができる。
つまり、被測定物3の表面の法線方向に光切断プローブ2を制御することにより、上述した第1〜第3の場合のような問題の発生を抑えて、高精度な3次元形状測を行うことが可能になる。
【0108】
また、本実施形態において、座標算出部53は、被測定物3の形状をライン光に基づいて検出された点群の位置情報(点群データ)として検出する。そして、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させ、新しく検出された点群の位置情報が、既に検出された点群の位置情報の値を含む予め定められた範囲内である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。また、本実施形態において、測定制御部56は、法線ベクトルの向きが、予め定められた範囲外である場合に、被測定物の形状の検出(被測定物の形状の測定)を終了させる。また、測定制御部56は、上述の相対位置を変更させて検出された点群データの数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物3の形状の検出を終了させる。
【0109】
これにより、形状測定装置100は、ティーチングを行うことなく測定開始位置のみを指示することにより、被測定物3の形状を連続的に認識し、被測定物3の形状に追従して光切断プローブ2の向きを変更することが可能となる。そのため、形状測定装置100は、測定データ取得時間の短縮、及び高精度な測定データの取得を行うことができる。
【0110】
また、本実施形態において、形状測定装置100は、変更させた上述の相対位置に対応する光切断プローブ2の座標情報を上述の相対位置の経路として記憶する経路記憶部552を備える。そして、測定制御部56は、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた上述の相対位置に対応する光切断プローブ2の座標情報(6軸座標情報)を経路記憶部552に記憶させる。測定制御部56は、再び被測定物3の形状を検出させる場合に、経路記憶部552から読み出した相対位置の経路に基づいて光切断プローブ2の座標情報を変更させて、座標算出部53に点群の位置情報を繰り返し検出させる。
これにより、形状測定装置100は、ティーチングを行うことなく測定開始位置のみを指示することにより、被測定物3の形状を連続的に認識し、被測定物3の形状に追従して光切断プローブ2の向きを変更することが可能となる。そのため、形状測定装置100は、測定データ取得時間の短縮、及び高精度な測定データの取得を行うことができる。
【0111】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記の実施形態において、A回転軸131、B回転軸132、及びC回転軸133を備えた回転機構13を用いて、光切断プローブ2の向きを変更する形態を説明したが、図12に示すように、被測定物3を固定するテーブルを回転させる形態でもよい。図12において、回転機構13aは、A回転軸134及びB回転軸135を備えている。
また、上記の実施形態において、形状測定装置100は、回転機構13(又は13a)を備える形態を説明したが、回転機構13(又は13a)を備えずに、測定制御部56が、被測定物3に対する直交3軸によるワーキングディスタンスを追従する制御のみを行う形態でもよい。
【0112】
また、上記の実施形態において、測定制御部56は、画像取得位置(座標)に移動させた後に、光検出部22に画像取得をさせる形態を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像取得タイミングでリアルタイムに6軸の座標情報を取得できるため、測定制御部56は、軸移動を停止させずに、6軸指令値を連続的に指示して画像を取得させる方式としてもよい。
また、過去に測定された2回分またはそれ以上のデータから測定面の形状を予測して法線を求めてもよい。
また、測定中の姿勢を測定中の形状データから求めた法線方向に合わせてもよい。
また、連続する形状測定だけに限らず、既に形状測定を行った部位の近傍の形状を測定する際に、前に行った形状データと新たに行う形状測定結果を併せて用いて法線方向を求めてもよい。
【0113】
また、上記の実施形態において、記憶部55が形状記憶部551及び経路記憶部552を備える形態を説明したが、演算処理部41が、形状記憶部551及び経路記憶部552を別々の記憶部として備える形態でもよい。また、ハードディスク58が、形状記憶部551及び経路記憶部552を備える形態でもよいし、演算処理部41が、ハードディスク58を備えない形態でもよい。
また、上記の実施形態において、ユーザが測定開始位置などを指定する形態を説明したが、測定開始位置などの指定情報を有する設定ファイルをハードディスク58に記憶させて、測定の際に、測定制御部56がハードディスク58から読み出して使用する形態でもよい。
【0114】
また、上記の実施形態において、自動追従動作を終了させる測定終了条件として(1)〜(6)の測定終了条件を説明したが、これに限定されるものではない。また、(1)〜(6)の測定終了条件のそれぞれを単独で指定できる形態でもよいし、組み合わせて指定できる形態でもよい。
また、上記の実施形態において、演算処理部41の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えて、プログラムによって実現されてもよい。
【0115】
上述の形状測定装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した被測定物3の形状を測定する処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
2…光切断プローブ、3…被測定物、13…回転機構、14…ヘッド駆動部、21…光照射部、22…光検出部、53…座標算出部、56…測定制御部、100…形状測定装置、551…形状記憶部、552…経路記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物にライン状の測定光を照射する照射部及び前記測定光の照射方向とは異なる方向から前記被測定物に照射された前記測定光を検出する検出部を有するセンサー部と、
前記検出部からの検出結果に基づいて前記被測定物の形状を測定する形状測定部と、
前記センサー部と前記被測定物とを相対移動させる駆動部と、
測定方向に前記相対移動する間に前記形状測定部によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の前記センサー部と前記被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部と
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記測定制御部は、
前記被測定物の形状の測定と、該測定された形状に基づく前記相対移動後の前記姿勢の制御とを繰り返し行う
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記測定制御部は、
前記形状に基づいて、前記光検出部によって前記測定光を検出可能な範囲内に収まるように、前記センサー部と前記被測定物との距離を制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記測定制御部は、
前記形状に基づいて、前記測定光における前記被測定物の法線方向を算出し、算出した前記法線方向に基づいて、前記測定光を照射する前記センサー部の向きを制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記測定制御部によって制御された前記センサー部と前記被測定物との相対位置に対応させて前記形状測定部が測定した前記形状を記憶する形状記憶部を備え、
前記測定制御部は、
前記形状記憶部から読み出した、現在の前記相対位置に対する前記形状と現在より過去に検出された前記相対位置に対応する前記形状とに基づいて、現在の前記相対位置における前記法線方向を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の形状測定装置。
【請求項6】
3次元座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、
前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と
を備え、
前記測定制御部は、
前記移動部及び前記回転機構に対して前記センサー部を、算出した前記法線方向の向きと前記測定光の照射方向とが一致する向きにさせる制御を行う
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記形状測定部は、
前記被測定物の形状を前記測定光に基づいて検出された点群の位置情報として検出し、
前記測定制御部は、
前記センサー部と前記被測定物との相対位置を変更させて、前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させ、新しく検出された点群の位置情報が、既に検出された点群の位置情報の値を含む予め定められた範囲内である場合に、前記被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記測定制御部は、
前記法線方向の向きが、予め定められた範囲外である場合に、前記被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項7に記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記測定制御部は、
前記相対位置を変更させて検出された前記点群の数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の形状測定装置。
【請求項10】
変更させた前記相対位置に対応する前記センサー部の座標情報を前記相対位置の経路として記憶する経路記憶部を備え、
前記測定制御部は、
前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた前記相対位置に対応する前記センサー部の座標情報を前記経路記憶部に記憶させ、
再び前記被測定物の形状を検出させる場合に、前記経路記憶部から読み出した前記相対位置の経路に基づいて前記センサー部の座標情報を変更させて、前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させる
ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項1】
被測定物にライン状の測定光を照射する照射部及び前記測定光の照射方向とは異なる方向から前記被測定物に照射された前記測定光を検出する検出部を有するセンサー部と、
前記検出部からの検出結果に基づいて前記被測定物の形状を測定する形状測定部と、
前記センサー部と前記被測定物とを相対移動させる駆動部と、
測定方向に前記相対移動する間に前記形状測定部によって得られた複数回の測定の結果に基づいて、測定時の前記センサー部と前記被測定物との少なくとも一方の姿勢を制御する測定制御部と
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記測定制御部は、
前記被測定物の形状の測定と、該測定された形状に基づく前記相対移動後の前記姿勢の制御とを繰り返し行う
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記測定制御部は、
前記形状に基づいて、前記光検出部によって前記測定光を検出可能な範囲内に収まるように、前記センサー部と前記被測定物との距離を制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記測定制御部は、
前記形状に基づいて、前記測定光における前記被測定物の法線方向を算出し、算出した前記法線方向に基づいて、前記測定光を照射する前記センサー部の向きを制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記測定制御部によって制御された前記センサー部と前記被測定物との相対位置に対応させて前記形状測定部が測定した前記形状を記憶する形状記憶部を備え、
前記測定制御部は、
前記形状記憶部から読み出した、現在の前記相対位置に対する前記形状と現在より過去に検出された前記相対位置に対応する前記形状とに基づいて、現在の前記相対位置における前記法線方向を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の形状測定装置。
【請求項6】
3次元座標系の座標軸方向それぞれに、前記センサー部を移動させる移動部と、
前記移動部に対して前記センサー部を回転可能に支持する回転機構と
を備え、
前記測定制御部は、
前記移動部及び前記回転機構に対して前記センサー部を、算出した前記法線方向の向きと前記測定光の照射方向とが一致する向きにさせる制御を行う
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記形状測定部は、
前記被測定物の形状を前記測定光に基づいて検出された点群の位置情報として検出し、
前記測定制御部は、
前記センサー部と前記被測定物との相対位置を変更させて、前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させ、新しく検出された点群の位置情報が、既に検出された点群の位置情報の値を含む予め定められた範囲内である場合に、前記被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記測定制御部は、
前記法線方向の向きが、予め定められた範囲外である場合に、前記被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項7に記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記測定制御部は、
前記相対位置を変更させて検出された前記点群の数が、予め定められた値以下である場合に、被測定物の形状の測定を終了させる
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の形状測定装置。
【請求項10】
変更させた前記相対位置に対応する前記センサー部の座標情報を前記相対位置の経路として記憶する経路記憶部を備え、
前記測定制御部は、
前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させる際に、変更させた前記相対位置に対応する前記センサー部の座標情報を前記経路記憶部に記憶させ、
再び前記被測定物の形状を検出させる場合に、前記経路記憶部から読み出した前記相対位置の経路に基づいて前記センサー部の座標情報を変更させて、前記形状測定部に前記点群の位置情報を繰り返し検出させる
ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の形状測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−220338(P2012−220338A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86303(P2011−86303)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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