説明

心撮像の自動局所心筋評価を行うシステム及び方法

【課題】患者の医療記録から取得した患者情報(画像データと非画像データ)の様々な特徴/パラメータを解析する壁運動解析法を使用して局所心筋機能を自動的に評価するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】心撮像の自動診断支援を提供する方法は、一般に、患者の心臓の画像データを取得する段階と、心臓の画像データから心臓の心筋運動と関連した特徴を取得する段階と、取得した特徴を使用して心筋壁の一以上の領域の局所心筋機能を自動的に評価する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2003年6月25日に出願された米国仮特許出願第60/482,327号、2003年6月25日に出願された米国仮特許出願第60/482,293号、2004年2月3日に出願された米国仮特許出願第60/541,360号の優先権を表明するものであり、これらの出願を本明細書の一部として引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、心撮像(cardiac imaging)の自動診断及び決定支援を行うシステム及び方法に関し、より詳細には、患者の医療記録から取得した患者情報(画像データと非画像データ)の様々な特徴/パラメータを解析する壁運動解析法を使用して局所心筋機能の自動評価を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
冠状動脈疾患や心臓に関係する他の疾患は、特に西洋文明圏で多く見られるものであり、毎年多くの人々に死をもたらしている。心臓に関係する疾患をできるだけ早く見つけることによって、適切且つ有効でコストの低い処置を行い、死亡率を少なくすることができる。心臓学の分野では、心臓病を正確かつ早期に発見するために様々なシステムと技術が使用されている。
【0004】
例えば、血管造影法は、冠状動脈閉塞症(即ち、石灰沈着による冠状動脈の閉塞)を直接測定するために使用できる1つの方法である。しかしながら、この測定には、しばしば侵襲的処置が必要である。更に、血管造影法を使用して閉塞を確認し測定することができるが、この方法は、そのような閉塞の影響を測定し或いは評価することができない。実際に、冠状動脈閉塞症の影響は、通常、心臓壁内に局所的に現れ、心筋組織又は心筋機能の異常を引き起こす。例えば、梗塞は、通常心筋組織に血液を供給する冠状血管を流れる血液の不足によって死んだ心筋組織(梗塞)部分が生じる状態である。
【0005】
一般に、心筋機能を評価する方法は、壁運動の異常を識別するために心撮像により壁運動を解析することによって行われる。一般に、医療撮像の分野では、病状をスクリーニングし評価するために個体の解剖学的構造の医療画像を生成する様々なイメージングモダリティ(imaging modality)及びシステムを使用することができる。そのような撮像システムには、例えば、CT(コンピュータ断層撮影法)撮像法、MRI(磁気共鳴映像法)、NM(核磁気)共鳴映像法、X線システム、US(超音波)システム、PET(陽電子射出断層撮影)システム等がある。それぞれのイメージングモダリティには、例えば、心筋症、結腸ポリープ、動脈瘤、肺結節、心臓又は動脈組織の石灰沈着、胸部組織内の悪性腫瘍微小石灰沈着又は瘤、及び様々な他の損傷又は異常を有する特定タイプの疾患、病状、又は解剖学的異常をスクリーニングし評価するために、他の断層撮影法よりも優れた独特な利点がある。
【0006】
心臓超音波法は、有効性、比較的低いコスト、及び非侵襲性により、一般に心臓機能の評価(例えば、局所的収縮期壁運動異常の評価)のための壁運動解析を行うために使用されるイメージングモダリティである。例えば、心室運動の解析は、乏血と梗塞形成の程度を評価するのに有効な方法である。詳細には、1回の鼓動又は鼓動の規定部分の心内膜壁の壁運動解析を行って、左心室の弾性と収縮性を定量化したり壁運動の異常を検出し診断することができる。
【0007】
心筋機能を評価する従来の方法には、超音波等の心撮像を使用して壁運動を解析する手動と自動の方法(超音波心臓検査法)がある。例えば、左心室機能を手動で定量化する方法は、心臓周期の様々な部分における静止超音波フレーム内で確認される心内膜及び心外膜境界(カウンタ)を手動でトレースし、トレースした境界から壁運動に関係する様々な測定値を取得することを含む。幾つかの従来の方法の場合、そのような測定結果に計算式が適用され、その計算式は、特定の幾何学的仮定を行い、数学的モデルに対して経験的に導き出した修正を含むことがある。結果は、一般に、報告書のページに表形式で表示され、そのような結果を理解するには、正常範囲の知識が必要である。
【0008】
超音波心臓検査法(例えば、ストレスエコー)の壁運動を手動で解析するもう1つの従来の方法にはセグメント壁運動解析があり、これは、超音波心臓検査実施者の側にかなりの訓練と経験が必要である。この方法では、左心室の壁が、米国心エコー図学会(American Society of Echocardiography:ASE)により推奨されている現在のモデルにより複数のセグメント(例えば、16又は17)に分割される。各LVセグメントの画像データ情報を取得するために様々な基準超音波ビューが取得され、基準ビューは、複数のセグメントが3つの主要冠状動脈セグメントの推定分布とほぼ位置が合うように取得される。超音波心臓検査実施者は、次に、取得した画像データを視覚的に調べて全体的な機能と局所的な異常を評価し、次にその実施者の評価に基づき、ASE推奨の基準採点方式に従って各セグメントに壁運動スコアを付与する。詳細には、超音波心臓検査実施者は、絶対的及び相対的セグメント収縮期エクスカーションとエクスカーションタイミングを視覚的に評価して、それぞれの撮像可能なセグメントの定量的評価を提供する。集合的な評価によって、陰性(非病的)又は陽性(病的)の結果の報告が得られる。
【0009】
超音波心臓検査法の分野における主な問題は、特にストレス超音波心臓検査法の場合に、壁運動を解析する際の主観による壁運動採点のばらつきがあり、これは、例えば冠状動脈疾患の診断の大きな妨げとなる。実際には、そのような超音波心臓検査報告の正確さは、オペレータの経験に直接関係する。実際に、そのような診断には、しばしば「科学」よりも「技術」が必要とされる。心臓病専門医は、超音波心臓検査法の壁運動採点を改善する重要性を強調している。
【0010】
心筋機能を評価する従来の方法には、心撮像を使用して壁運動を解析する自動化された方法がある。例えば、1つの従来の方法には、統合後方散乱の解析に基づく自動化された境界検出があるが、この方法は、LV機能指数の自動化された評価を行うが、部分又は全体の壁機能を評価できない。自動化された壁運動解析の他の方法は、エクスカーションを示すパラメータ画像を生成するが、セグメント間の定量的比較を提供しない。自動セグメント運動解析(A−SMA)システムとして知られる1つの従来の方法には、LCキャビティと周辺組織を決定し、部分領域の変化のパラメータ画像を表示する自動化された境界検出方法がある。また、この指数は、胸骨近辺の短軸ビューで6つの部分の等置セグメントの数値グラフとして表示されていた。
【0011】
自動化された壁運動解析方法は、パラメータ画像を提供し、壁運動に関係する指数を生成するが、そのような方法は、自動評価を行わず、またその他の点でも心筋組織の状態(例えば、正常又は異常)を識別せず特徴付けしない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般に、本発明の例示的な実施形態は、心撮像用の自動診断及び決定支援を提供するシステム及び方法を含む。詳述すると、本発明の例示的な実施形態は、患者の医療記録から取得した患者情報(画像データと非画像データ)の様々な特徴/パラメータを解析する壁運動解析方法を使用して局所心筋機能の自動評価を提供するシステム及び方法を含む。
【0013】
本発明の1つの例示的な実施形態において、心撮像の自動診断支援を提供する方法は、一般に、患者の心臓の画像データを取得する段階と、心臓の画像データから心臓の心筋運動と関係する特徴を取得する段階と、取得した特徴を使用して心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に評価する段階とを含む。
【0014】
1つの実施形態において、運動と関係する特徴は、心筋壁運動データと心筋壁肥厚データを含む。特徴は、例えば、MR(磁気共鳴)画像データ、CT(コンピュータ断層撮影法)画像データ、核医学画像データ、PET画像データ、及び/又は超音波画像データ(二次元、三次元又は四次元)を含む一以上のイメージングモダリティにおける画像データから取得することができる。
【0015】
本発明の他の例示的な実施形態において、局所心筋機能の自動評価は、例えば、心筋灌流と関連した特徴(例えば、PET、MR、超音波、CT、及び/又は核医学による)、冠状動脈ツリーの画像データからの特徴(例えば、X線血管造影法データ、CT血管造影法データ、及び/又はMR血管造影法データによる)、画像データから取得された心臓機能の26のグローバルパラメータ(例えば、 左心室容積、左心室駆出率、左心室壁厚、左心室壁質量、又はE/A比率等の拡張期機能指標)、画像データから取得した心臓機能の局所的パラメータ(例えば、組織速度データ、歪みデータ、歪み速度データ、灌流データ、又はタイミングデータ)、患者の臨床データレコードからの臨床データ、及びそのような特徴、パラメータ及びデータの任意の組み合わせを含む、追加の特徴/パラメータ/データを解析することによって実行することができる。
【0016】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に評価する方法は、心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に分類するように訓練された分類方法を使用して実行される。自動的に分類する方法は、機械学習方法、モデルを利用する方法、又は機械学習とモデルを利用する方法の任意の組み合わせを使用して実施することができる。
【0017】
本発明の更にもう1つの実施形態において、心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に分類するプロセスは、心筋壁の複数の事前に定義されたセグメントのそれぞれの特徴を取得し、心筋壁の各セグメントの心筋組織の状態を自動的に分類することによって実行される。1つの実施形態において、心筋壁の各セグメントの心筋組織の状態は、各セグメントの心筋組織が正常か異常かを示す指標を使用して分類される。例えば、本発明の1つの例示的な実施形態において、指標は、ASE(米国心エコー図学会)によって指定された基準に従って各セグメントごとに自動的に生成される壁運動スコアを含む。本発明の更にもう1つの実施形態において、信頼度は、心筋壁の各セグメントの心筋組織の分類された各状態に関して決定される。
【0018】
本発明の以上その他の例示的な実施形態、特徴及び利点は、添付図面と関連して読まれる例示的な実施形態の以下の詳しい説明で示され明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
一般に、以下に説明するような本発明の例示的な実施形態は、心撮像用の自動化された診断及び決定支援を提供するシステム及び方法を含む。詳述すると、図1〜図4を参照して後述するような本発明の例示的な実施形態は、例えば、心撮像用のCAD(コンピュータ診断)システム及びアプリケーションを含み、このシステム及びアプリケーションは、対象患者の患者情報(画像データ及び/又は非画像データを含む)の集合から関連する特徴/パラメータを抽出又は解析するための自動化された方法を実施して、例えば、壁運動解析による局所心筋機能の自動評価、心筋症や冠状動脈疾患、心臓に関係する他の症状等の心臓病及び症状の自動診断、及び医師ワークフローを支援する他の自動決定支援機能を含む、様々な態様の医師ワークフローのための医師に対する自動支援を提供する。例示的なCADシステムは、一以上の適切な臨床ドメイン内の標識化された患者症例のデータベース及び/又はそのようなデータの専門家解釈から取得した(学習した)1組の訓練データを使用して、CADシステムが、医師ワークフローを支援するために患者データを適切かつ正確に解析し適切な診断評価及び決定を行うように「学習」できるようにする機械学習技術を実現する。
【0020】
一般に、図1は、一以上のイメージングモダリティを支援しかつ様々な態様の医師ワークフローに一以上の決定支援機能を提供する心撮像用のCADシステム及び方法の一般的な実施形態を示す。図2〜図4は、図1のフレームワークに基づくCADシステム及び方法の特定の例示的な実施形態である。例えば、本発明によるCADシステム及び方法の例示的な実施形態は、図2を参照して説明され、この実施形態を超音波心撮像用途で使用して、局所心筋機能の自動評価を可能にし、局所心筋機能の評価に関する決定支援機能を提供することができる。後述するように、図2の例示的な構成に基づくCADシステムの例示的な実施形態は、分類法を利用して、心臓超音波画像データ及び必要に応じて臨床データレコードから抽出した様々なパラメータに基づいて心臓の心筋壁の領域内の心筋組織の状態を分類する。
【0021】
更に、本発明によるCADシステム及び方法の例示的な実施形態は、図3を参照して検討され、この実施形態を使用して、例えば、超音波心撮像用途において、心筋症、冠状動脈疾患、及び関係する他の症状等の心臓病及び症状の自動診断を可能にし、更に心臓状態に関する診断決定に関する決定支援機能を提供することができる。後述するように、図3の例示的な構成に基づくCADシステムの例示的な実施形態は、心臓疾患及び症状の自動診断及び決定支援を提供するために局所心筋機能を評価するための壁運動解析及び分類法を実現する。
【0022】
更に、本発明による様々な方式のCADシステム及び方法の例示的な実施形態は、図4と関連して検討され、この実施形態は、例えば、心臓超音波画像データを含む複数のイメージングモダリティの心撮像用の自動診断及び決定支援を提供する方法を実現する。
【0023】
本明細書で説明する本発明によるシステム及び方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用プロセッサ又はこれらの組み合わせの様々な形態で実現できることを理解されたい。本発明の1つの例示的な実施形態において、本明細書に示したシステム及び方法は、一以上のプログラム記憶装置(例えば、磁気フロッピディスク、RAM、CD−ROM、DVD、ROM、及びフラッシュメモリ)上に有形的に実施され、適切なアーキテクチャを含む任意の装置又は機械によって実行可能なプログラム命令を含むアプリケーションとしてソフトウェアで実施される。
【0024】
更に、添付図面に示した構成システムモジュール及び方法段階をソフトウェアで実現することができるので、システム構成要素間の実際の接続(又は、プロセス段階の流れ)は、アプリケーションがプログラムされる形によって異なる場合があることを理解されたい。当業者は、本明細書の教示から、本発明の以上又は類似の実施態様又は構成を考察できるであろう。
【0025】
図1は、本発明の例示的な実施形態による心撮像用の自動診断及び決定支援を提供するシステムを示すハイレベルのブロック図である。詳述すると、図1は、対象患者の様々なタイプの患者情報(1)と(2)を解析して、診断の評価と助言、及び対象患者に関する様々な態様の医師ワークフローにおいて医師を支援する他の決定支援を提供する方法を実施するCAD(コンピュータ診断)システム(10)を示す。CADシステム(10)は、CADシステム(10)が、患者情報(1、2)を解析するために継続的に学習すると共に、より正確な診断評価及び/又は判定を継続的に提供して医師ワークフローを支援することを可能にする機械学習方法を使用する。
【0026】
CADシステム(10)への入力は、一以上のイメージングモダリティの画像データ(1)(例えば、超音波画像データ、MRIデータ、核医学データ等)、及び患者の処置の経過と共に収集された臨床データと、患者履歴、家族履歴、人口学的情報、財務情報、及び他の関連する患者情報等の他の情報を含む、様々な構造化及び/又は非構造化データソースからの非画像データ(13)とを含む患者情報の様々なソースを含む。例えば、CADシステム(10)に提供することができる臨床データの特定の例には、性別、年齢、糖尿病、心臓履歴、総コレステロール、HDL、収縮期血圧、喫煙等の心臓リスク解析のための周知の「フラミンガム調査」におけるパラメータのような、心臓疾患の特定の危険因子及び/又は予測子として識別された臨床変数がある。CADシステム(10)は、画像データ(1)と非画像データ(2)から情報(特徴)を自動的に抽出し、抽出した情報をCADシステム(10)による解析に適した形に組み合わせる方法を実施する。CADシステム(10)がサポートする診断及び決定支援機能により、CADシステム(10)は、後で説明するように、心臓疾患及び症状をスクリーニングし診断する医師ワークフロー支援を提供する一以上の出力(11)、(12)、(13)及び/又は(14)を生成することができる。
【0027】
例えば、本発明の1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、一以上のイメージングモダリティデータ(1)(例えば、超音波画像データ、MRIデータ、核医学データ、PETデータ、CTデータ等)と(必要に応じて)非画像データ(2)から情報(画像パラメータ/特徴)を抽出し解析して、抽出情報(11)を使用する壁運動解析により局所心筋機能を自動的に評価することができる。例えば、局所心筋機能の自動評価を行う本発明の様々な例示的な実施形態は、図2を参照して後で考察され、この実施形態は、例えば、一以上の分類方法(又は、多数の分類辞を学習するアンサンブルベースの学習方法を含む他の装置学習方法)、モデルを利用する方法(例えばベイズ推論によって心臓機能又は特定の種類の異常運動に関連した様々な因子をモデル化しようとする)、或いはそのような方法の様々な組み合わせを使用して、心臓超音波画像データと必要に応じて臨床データレコードとから抽出した様々なパラメータを使用して心臓の心筋壁の領域内の心筋組織の状態を自動的に分類する。本明細書で使用される用語「分類機構(classifier)」は、一般に、階層形分類機構やアンサンブル分類機構(ensemble classifier)等の様々なタイプの分類機構構成を指すことを理解されたい。例えば、階層形分類機構は、例えば、最初に分類機構がセグメントを2つのグループ(例えば、正常と異常)に分けるために使用され、次に異常セグメントが更に無動(akinetic)や非動(diskinetic)等として分類されるように設計することができる。更に、分類機構の設計は、データを2つのグループ(例えば、非動と他の全て、無動と他の全て)に分け、階層的に編成されるか並列に実行されるように編成され、次に最良の分類を見出すように組み合わされる多数の分類機構を含むことができる。更に、分類機構は、全て同じ分類タスクを実行しようとする多数の分類機構(「分類機構の森」と呼ばれる)が学習されるが、様々なデータ/変数/パラメータによって訓練され、次に組み合わされて最終的な分類標識が作成されるアンサンブル分類機構を含むことができる。最後に、CADシステム(10)は、心筋壁の局所的評価を提供する他に、各局所的評価の信頼度スコア又は信頼度指標を提供することができる。
【0028】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、一以上のイメージングモダリティデータ(1)(例えば、超音波画像データ、MRIデータ、核医学データ等)及び(必要に応じて)非画像データ(2)から情報(画像パラメータ/特徴)を抽出し、心臓疾患と診断する確率及び(必要に応じて)診断(12)の信頼度を自動的に生成し出力することができる。詳述すると、一例として、CADシステム(10)は、患者の超音波検査から適切な特徴を抽出し解析し、例えば心筋症又は冠状動脈性疾患の診断の現在の推定と信頼度を提供することができる。
【0029】
あるいは、例えば心臓疾患が分かっている患者の場合、CADシステム(10)は、治療の方向を示唆することができるが、その場合、確率と信頼度(12)は、治療が望ましい(恐らく有益な)効果をもたらす可能性を示し、これは、患者の心臓疾患の治癒から、唯一の目的が末期の心臓疾患のある患者の生活の質を改善することである純粋な緩和療法にまで及ぶ。詳述すると、CADシステム(10)は、治療法を示唆する他に、自動的に、その治療法が所定の成果を有する確率及び/又は信頼度を提供し、治療法に副作用のような所定の有害な影響がある確率及び/又は信頼度を与えるであろう。確率は、起こり得る有益と有害の両方の結果の分布、将来の1時点又は複数の時点で起こり得る有益と有害の両方の結果の1組の分布、或いは将来の様々な時点で起こり得る結果の時間的に変動する分布として指定することができる。
【0030】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、心筋機能の局所的評価の信頼度を改善するか又は心臓疾患の診断の信頼度を改善するために所定の患者に実行(又は取得)することができる一以上の追加の検査(又は特徴)を自動的に決定し指定することができる。例えば、CADシステム(10)は、それぞれの追加の検査又は特徴の「スコア」(13)を決定し出力することができ、これにより、CADシステム(10)によって決定される評価又は診断の信頼度を改善する特定のイメージングモダリティ又は特徴(臨床データを含む)の潜在的有効性に関する基準又は指示が提供される。
【0031】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、現在の症例(14)と類似の一以上の例示的な症例研究を識別し(表示又はリストにより)出力することができる。例えば、前に説明し後で更に詳細に説明するように、CADシステム(10)は、前に標識化した(診断した)症例のデータベース(又はライブラリ)を含むことができ、CADシステム(10)は、対象患者に関してCADシステム(10)に入力された患者情報から抽出された特徴に基づいて、診断支援のためにライブラリからn番目までの適切な症例(又は、何らかのしきい値を上回る類似度を有する症例)を探索し表示することができる。換言すると、CADシステム(10)は、自動的に抽出された特徴を使用して、訓練セットから、又は実際には予め標識化された症例の任意のデータベースから1組の類似の症例を提供することができる。
【0032】
医師ワークフローの文脈で類似症例を表示するCADシステム(10)機能は、医師に大きな支援を提供できることが分かる。例えば、類似症例の表示は、未経験ユーザの訓練を提供することができる。実際には、初心者ユーザは、他の症例をレビューして、症例がそのように解釈された基準又は理由を見極め或いは理解することができる。更に、類似症例の表示は、経験を積んだユーザがCADシステム(10)の診断結果を確認する手段を提供する。実際に、CADシステム(10)は、所定の症状の診断の可能性の他に、その評価を正当化するために類似症例を表示することができる。更に、類似症例を表示することにより、予後と治療の評価が可能になる。詳述すると、類似症例を調べて他の患者が様々な治療選択肢にどのように反応したかを知ることによって、医師は、現行患者のそのような選択肢の効果の評価を始めることができる。最終的に、個々の病院に特定の疾患例がほとんど(又は全く)ない可能性のある比較的希な診断において、このシステムを備えることにより、複数の研究機関からそのような特定の疾患の典型的症例の収集が可能になり、従ってその特定の疾患の比較的大きい症例サンプルを得ることができる。
【0033】
以上のことを考えると、CADシステム(10)は、一般に、患者の現行状態の評価(例えば、特定の疾患の可能性)を提供し、対象患者の次の最良の医療又は診断パスを決定する(例えば、評価のあいまいさを少なくする可能性の高い、取得できる追加の検査(又は特徴)を識別する)ことによって医師ワークフローを支援できる自動化されたシステムと見なすことができる。前述のように、CADシステム(10)が、一以上の機械学習及び/又はモデルを利用する方法を実施し、それにより情報が学習/取得され、決定が、CADシステム(10)の訓練セットで収集されたデータによって行われることを理解されたい。詳細には、前述のように、CADシステム(10)は、CADシステム(10)に教示する訓練データを取得する例示的な診断症例のライブラリを含むことができる。CADシステム(10)は、専門家によって指定されコードに変換された1組の規則から開発され導き出された「専門家システム」と対称的に、診断症例或いは専門家知識から学習した訓練データに基づいて正確な診断決定を行い決定支援を提供するように学習する。
【0034】
CADシステム(10)が様々な機械学習方法を実施できることを理解されたい。例えば、本願の譲受人に譲渡され本明細書の一部としてここに引用するZhouらにより2003年11月6日に出願された「System and Method for Real-Time Feature Sensitivity Analysis Based on Contextual Information」と題する米国特許出願第10/702,984号に記載されたシステム及び方法をCADシステム(10)に使用して、診断のあいまいさを減少させるためにどの検査又は特徴が最も適切かを決定することができる。実質的に、Zhouの手法は、プロセスのモデルを作成し、あいまいさを減少させる際の各特徴の相対的重要性を決定することである。そのような方法は本明細書に組み込まれ、それにより各イメージングモダリティ又は診断パスを、1組の一以上の特徴として記述することができる。次に、Zhouによって示された方法は、どの特徴が診断又は評価の信頼度を最大に改善する可能性が高いかを決定するために使用される。CADシステム(10)において、症例の大きい訓練セットから学習する他の機械学習技術を実施することができる。例えば、決定ツリー、SVM、ベイズネットワーク、或いは複数の分類機構を学習し次にそれらを組み合わせて最終診断に達するアンサンブルベースの方法等の様々な機械学習手法を使用することができる。
【0035】
CADシステム(10)は、そのような決定を行うために使用できる様々な特徴又は情報がない状態でも適切な決定支援を提供することができることが分かるであろう。これは、欠測値を処理することができる分類機構を作成するか、様々な種類のデータを処理する様々な分類機構を学習するか、他の学習方法を使用して欠測値を推論するか、或いは患者データ/画像の幾つか(又は全て)がない状態で推論/学習を実行するために当業者に知られた様々な方法のいずれかを使用することによって達成することができる。当然ながら、システムの信頼度は、提供される情報が多いほど改善される。所定の患者の情報が全くない極端な場合において、CADシステム(10)は、医師に、患者に対して取る初期段階に応じて何らかの指導を提供することができる。決定支援システムにおいて、欠測値/ノイズデータを学習し及び/又は推理を実行する様々な方法を使用することができる。
【0036】
前述の方法は、冠状動脈性心臓病等の心臓の症状の自動スクリーニングを提供するように拡張することができることが分かるであろう。例えば、CADシステム(10)は、患者の臨床及び家族履歴を考慮して、患者が冠状動脈疾患に罹っている(又は発病する可能性がある)確率と、潜在的な心臓の症状を最もよく検出するために患者に提供すべきスクリーニング検査(ある場合)に関する決定をするように構成することができる。そのような決定は、前述のような訓練セットと機械学習技術を使用して行うことができる。更に、CADシステム(10)は、スクリーニングのために、疾患の可能性、訓練セットからの典型的症例、及び所定の患者に最適なスクリーニング検査を含む、前述のような決定を生成し出力することができる。
【0037】
次に図2を参照すると、ブロック図が、本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像の自動診断及び決定支援を提供するシステムを示す。詳述すると、図2は、超音波心撮像用のCADシステム(20)を示し、このCADシステム(20)は、本発明の例示的な実施形態により心筋壁運動を解析するために、一以上のイメージングモダリティから取得した様々なパラメータ(例えば、超音波画像データ、MRIデータ、核医学データ等)並びに非画像データから心臓の心筋機能を自動的に局所評価する方法を含む。図2のCADシステム(20)は、一以上の超音波撮像方法を支援する図1のCADシステム(10)の一以上の例示的な構成を示す。一般に、CADシステム(20)は、特徴抽出モジュール(22)、特徴組み合わせモジュール(23)、分類モジュール(24)、及び診断/ワークフロー支援モジュール(25)からなるデータ処理システム(21)を含む。特徴抽出モジュール(22)は、超音波画像データ(3)(及び、場合によっては他の画像データ)と、臨床データ、家族データ、履歴データ等の非画像患者データ(4)の他のソースとから適切なパラメータを抽出するための様々なメソッド(22−1、22−2、22−3、22−4)を実施する。患者データは、(データベース内に特定のフィールドの指定値として)構造化された形で使用可能でもよく、或いは(例えば、テキストの自然言語処理により)患者レコードから抽出されてもよい。特徴組み合わせモジュール(22)は、抽出した特徴を、解析用の分類モジュール(24)に入力するのに適した形で組み合わせる。
【0038】
分類モジュール(24)は、診断及び決定支援を提供するために使用される情報を生成するために、組み合わせ抽出パラメータを、モデルビルダ(24−2)によって訓練され/動的に適応された一以上の分類モデルを使用して解析する分類方法(24−1)(又は分類エンジン)を含む。診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、図1と関連して前に説明したような機能(例えば、心筋機能の局所的評価などの提供、現行症例と類似した1組の症例の提供、局所的評価の信頼度を改善する追加の特徴の見込み利益を示すスコアの提供等)を実施する一以上の方法を含む。
【0039】
CADシステム(20)は、更に、ユーザが診断/ワークフロー支援モジュール(25)によってサポートされた一以上の機能を選択することを可能にし、かつシステムが処理結果をユーザに描画し呈示することを可能にするユーザインタフェース(26)(例えば、キーボードとマウス入力装置によってコンピュータモニタ上に表示されるグラフィカルユーザインタフェース)を更に含む。処理結果は、後述するような本発明の例示的な実施形態による様々な方法の1つ又は複数でユーザに描画され呈示することができる。
【0040】
CADシステム(20)は、更に、様々なソースから取得した情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(27)を含む。例えば、臨床ドメイン知識(27)は、CADシステム(20)によってサポートされた臨床ドメインに関連する解析され/標識化された症例(28)の大きなデータベースから学習又は自動的に抽出された知識を含むことができる。臨床ドメイン知識(27)は、サポートされた臨床ドメインに関して、以前の要求の解析により専門家によって直接入力された専門家臨床知識、又は医療機関又は保険会社と関連した規則/法規/指針と関連した情報を含むことができる。後で詳細に説明するように、レポジトリ(27)内の臨床ドメイン知識は、データ処理システム(21)の様々なメソッド(22、23、24及び25)によって使用することができる。
【0041】
本発明の1つの例示的な実施形態において、CADシステム(20)は、対象患者の心臓の超音波画像(3)で心筋壁運動と壁厚を自動的に解析し、それにより心筋組織の局所的セグメントを正常又は異常として自動的に分類するために使用される壁運動及び壁肥厚パラメータを抽出する方法を含む。詳細には、図2に示したようなCADシステム(20)の1つの例示的な実施形態において、特徴抽出モジュール(22)は、超音波画像データ(3)から壁運動パラメータを抽出する壁運動抽出モジュール(22−1)と、超音波画像データ(3)から壁厚パラメータを抽出する壁厚抽出モジュール(22−2)を含む。
【0042】
本発明の1つの例示的な実施形態において、特徴抽出モジュール(22−1、22−2)は、2003年3月5日に出願された「System and Method for Tracking a Global Shape of an Object in Motion」と題する米国特許出願第10/794,476号に記載された方法を実施するが、この出願を本願の譲受人に譲渡され本明細書の一部としてここに引用する。概略的には、この出願は、例えば、時間と共に進行する心臓の医学解析用エコー心臓診断図画像(2次元、3次元、及び4次元(3次元+時間))において心臓の心筋壁(例えば、心臓内壁及び/又は心臓外壁)の大域的形状及び/又は局所的運動を追跡する方法について述べている。この方法は、心臓の2次元、3次元、又は4次元(3次元+時間)画像から様々な観点から左心室の心臓内壁を追跡するエコー心臓検査システムに使用することができる。これらの方法は、心筋壁の様々な部分の運動の大きさ、方向及びタイミングを追跡するために使用することができる。更に、これらの方法は、時間フレーム(例えば、心収縮期位相)の間ずっと心筋壁の内側輪郭と外側輪郭を追跡してそのような時間フレームの間ずっと壁厚データを提供するために使用することができる。
【0043】
例えば壁運動情報だけを考慮するエコー心臓検査法に使用される従来の方法と対照的に、心収縮期位相における心臓壁の肥厚化を検討することが重要である。実際に、心臓壁の一部分が死んだときでも、その部分は、壁の近傍部分によって引っ張られる場合があり(「つなぎ止め(tethering)」として知られ呼ばれる現象)、これにより解析が不適切になる可能性がある。壁運動と壁肥厚の両方を検討することによって、基礎的な壁の健康状態をより正確に評価することができ、有利である。
【0044】
従って、前述のような本発明の1つの例示的な実施形態において、データ処理システム(21)は、所望の心筋心臓壁の局所部分の壁運動と壁厚パラメータを抽出して心臓壁の状態を局所的に評価する。本発明の1つの例示的な実施形態において、分類モジュール(24)から出力される評価又は分類結果は、心臓壁の一以上の領域の壁運動「スコア」を含む。診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、ユーザインタフェース(26)によって表示するための分類結果を描画する。詳細には、本発明の1つの例示的な実施形態において、分類結果は、心エコー図学会(ASE)の推奨規格に従って心臓の左心室の様々なセグメントの壁運動「スコア」としてユーザに呈示される。詳細には、ASE規格により、左心室は、複数のセグメント(例えば、16又は17)に分割される。ASEは、基準超音波ビュー(A4C、A2C、PSAX、PLAX、Bモード内のALAXビュー)を使用して様々なセグメントの画像データを取得し、そのような画像データを解析して各セグメントに、1=正常、2=運動低下症、3=無動症、4=運動異常、5=動脈瘤のような壁運動スコアを割り当てることを推奨している(例えば、Schillerらの「Recommendations for Quantization of the Left Ventricle by Two-Dimensional Ultrasound」Journal of American Society of Echocardiography、vol.2、 p.358, 2889及びSnyderらを参照)。
【0045】
ASE推奨の採点技術を使用する例示的な実施形態において、分類結果(ASEスコアを含む)は、図5に示したように「標的」プロット内に表示することができる。詳述すると、図5は、心臓のLVの16セグメントモデルに基づく二次元プロット(50)を示し、16セグメントは、Ant(前方)、Med(縦隔部)、Lat(側方)、Post(後方)、Apex(頂端)として示された基準の向きデータと共に三次元LVキャビティの二次元表現で示されている。本発明の1つの例示的な実施形態により、図2の分類モジュール(24)の処理結果は、各セグメントのASE推奨に基づいて1〜5のスケールで壁運動「スコア」として表され、二次元プロットでユーザに表される。スコアは、セグメントに実際のスコアを含めるか又はスコアによりセグメントを色付けすることによって表示することができる。スコアを表す他の方法は、当業者によって容易に想起される。
【0046】
本発明の他の例示的な実施形態において、ASEによって定義されたセグメントではなく、画像内又は指定されたサブ領域内の全ての点において正常組織と異常組織の分類を行うことができることを理解されたい。
【0047】
本発明による壁運動解析方法は、他のイメージングモダリティを使用して実施することができることを理解されたい。例えば、Jollyらによる論文「Segmentation of the Left Ventricle in Cardiac MR Images」Proc. of the International Conference on Computer Vision, ICCV2001; Vancouver, Canada; July 2001, Vol.1, pp 501-508に記載された心臓MR画像において左心室を区分する方法を使用することができる。そのような方法を使用して、超音波に関して前に説明した方法と類似の方法でMR画像から運動及び肥厚データを抽出することができる。CT画像にも類似の方法を使用することができる。
【0048】
本発明の他の例示的な実施形態において、分類モジュール(24)は、心臓壁の局所的評価を提供する他に、所定のセグメントの評価(例えば、壁運動スコア)の信頼度を表す各セグメントの信頼レベルを決定する方法を含むことができる。実際に、画像品質の違い並びに身体の体質や他の因子の変化により、同一人物内でも評価によって異なる信頼度レベルがある場合がある。例えば、局所的壁運動だけを検討する場合、エコー心臓検査法では、信号強度が強い場合の隔壁の解析の信頼度は、通常、信号強度が弱い場合の外側壁の解析の信頼度よりも高い。エコー心臓検査法は、患者を評価するときそのような情報を自動的に検討する。しかしながら、従来の自動化システムは、対応する信頼度の解析なしに結果だけを示す。本発明の1つの例示的な実施形態によれば、局所的壁運動解析の場合、各セグメントは、各セグメント(恐らく1〜10のスケールで)の信頼度の指標と共に、ASE指針により1〜5のスコアを付与することができる。
【0049】
図2のCADシステム(20)の他の例示的な実施形態において、心筋機能の自動局所的評価を行うために一以上の追加の特徴を抽出し検討することができることが分かる。詳述すると、本発明の他の例示的な実施形態において、特徴抽出モジュール(22)は、本発明により、分類プロセス(24−1)による解析のために他の適切な画像パラメータを抽出する他のパラメータ抽出メソッド(22−3)を実施して、自動的に壁運動を解析し心筋壁の正常区分と異常区分を特徴付け/分類することができる。例えば、自動診断及び評価は、壁運動と壁肥厚データの他に、部分壁短縮、部分領域変化、最大エクスカーション、最大エクスカーションの位相(即ち、最大エクスカーションが起こる心臓サイクルのポイント)、エクスカーションの速度(絶対的又は相対的)、及び心筋組織の歪み又は歪み速度(strain rate)等のパラメータに基づくことができ、そのようなパラメータは、心臓サイクル全体、又は心収縮期等の心臓サイクルの所定の部分における様々なタイプの超音波画像データ(3)の1つ又は複数から抽出することができる。
【0050】
詳述すると、本発明の他の例示的な実施形態によれば、一以上の追加の局所測定値を、超音波画像データ(3)から抽出して解析に組み込み、心臓壁の全体的な局所的評価を得ることができる。例えば、特徴抽出モジュール(22)は、一以上の追加の特徴抽出メソッド(22−3)を実施して、組織速度、歪み、歪み速度等の局所的パラメータを抽出することができる。当技術分野で知られているように、組織速度、歪み、及び歪み速度の画像を使用して、心筋組織の局所的評価を行うことができる。そのような評価は、一般に、エコー心臓検査法が評価する画像として別に提供される。しばしば、そのような速度と歪み速度の画像は、評価を難しくし解釈を誤らせる可能性があるアーティファクトを有する。しかしながら、これらから特徴を抽出し、その特徴を他の特徴と組み合わせることによって、局所的評価をより正確にすることができる。
【0051】
超音波画像(3)から抽出されるもう1つの局所的パラメータには、対比灌流(contrast perfusion)がある。灌流は、心臓壁内への血液の測定であり、対比撮像方法を使用して、局所心筋機能を評価するための対比灌流パラメータを抽出できる超音波画像データを取得することができる。この場合も、灌流特徴を他の特徴と組み合わせることによって、局所的機能のよりよい評価を取得することができる。
【0052】
局所心筋機能の評価のために検討することができるもう1つのパラメータには、収縮開始タイミング等のタイミングデータがある。実際には、死んだか傷ついた心筋壁(又はその一部分)は、他の心筋壁(或いは他の部分)よりも遅く収縮し始める場合があることが分かっている。従って、心筋機能を評価するための付加情報としてタイミングパラメータを使用することができる。局所心筋機能の評価のために抽出されたタイミングパラメータから超音波画像データ(3)を取得するために位相撮像法を使用することができる。
【0053】
更に、様々なセグメントを互いに比較することにより、心筋機能を評価するために有効な付加情報を提供することができる。実際に、従来の方法は、各セグメントを別々に調べる。しかしながら、心筋の様々なセグメントを互いに比較することによって大きな利益を得ることができる。例えば、局所的壁運動を評価したとき、心臓の一部分の運動が遅いと思われる場合がある。しかしながら、壁のその部分が心臓の他の部分と同じ速さで動いている場合は、壁のその部分が心臓の他の部分よりかなり遅く動いている場合と異なる評価が行われることがある。
【0054】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、三次元超音波データからのパラメータの抽出には、二次元データよりも優れた更に他の長所がある。現在の壁運動解析方法は、二次元(+時間)データを使用する。しかしながら、三次元(+時間)から特徴を抽出することは、多くの理由のために有益である。まず、「平面内の」速度だけではない速度を追跡することができるので、より忠実な速度の図が入手可能になる。第2に、同じ二次元スライスが常に入手可能であるという仮定がされるので二次元画像が悪化する。心臓の運動により、これは真実ではない。従って、局所心筋解析のための三次元の運動、肥厚、速度、歪み、歪み速度及び/又は対比灌流の組み合わせによって、より正確な評価が可能になる。
【0055】
心筋機能を評価するために実施できる他のパラメータには、グローバル指数がある(global indices)。従来の自動技術は、局所心筋機能を評価するために、運動や歪み等の局所的指数にだけ依存していた。しかしながら、局所的機能を自動的に評価する方法は、心臓機能のグローバル指数も考慮すべきである。それらには、左心室容積と駆出率、左心室壁厚と質量、E/A比率等の心拡張期の機能指標等があるがこれらに限定されず、これらの指標は、心臓の特定領域の問題を具体的に指摘しないが、そのようなパラメータは、一般に、冠状動脈疾患であることを示し、局所心筋機能を評価する追加の特徴を提供する。
【0056】
本発明の他の例示的な実施形態において、データ処理システム(21)は対象患者の非画像患者データ(4)から適切なパラメータを抽出し解析し、そのようなパラメータは、心筋機能の局所的評価を自動的に行うために抽出した画像パラメータと共に使用される。患者データ(4)は、複数の構造化データソースと非構造化データソースからの患者情報を含むことができ、これらは、患者の治療の間に収集される。一般に、構造化データソースには、例えば、財務(請求)データベース、実験室データベース、及び薬局データベースがあり、患者情報は、一般に、データベーステーブルで維持される。非構造化データソースには、例えば、波形データ、実験室検査結果のフリーテキストベースのドキュメント、医師経過メモ、医療処置の詳細、処方薬情報、放射線医療レポート、及び他の専門家レポートがある。
【0057】
本発明の例示的な実施形態により、非画像患者データ(4)は、冠状動脈性心臓病や他の関連症状を示す大量の有用なデータを含むことができ、このデータは、例えば、心筋機能の局所的評価を自動的に行うために使用できる。一例として、臨床情報は履歴及び身体メモにある場合があり、そこに医師は人が胸の痛みを覚えたことを記入する。更に、糖尿病等の特定の疾患が、人が冠状動脈疾患に罹る可能性を高めることがある。コレステロールレベル、喫煙歴、冠状動脈疾患の家族歴、年齢、性別、内膜中央厚(例えば、超音波測定から)等の他の指標を使用して、冠状動脈疾患の可能性を評価することができる。
【0058】
従って、図2の例示的な実施形態において、特徴抽出モジュール(22)は、評価対象の病状に適切な構造化及び/又は非構造化患者データレコード(4)から適切な患者データを抽出するための一以上の患者データ抽出メソッド(22−4)を含む。局所心筋評価の例示的な実施形態に関して、臨床データは、心筋機能が低い特定の領域を正確に示さないことがあるが、そのような臨床データは、局所心筋機能の評価の全体に有効な場合がある。患者データレコード(4)から適切なパラメータを抽出し、また患者レコードのエラー/不一致/欠損情報に対応するために、抽出モジュール(22−4)が任意の適切なデータ解析/データマイニング方法を実施できることを理解されたい。本発明の1つの例示的な実施形態において、患者データ抽出メソッド(22−4)と特徴組み合わせメソッド(23)は、2001年11月2日に出願された米国仮出願番号60/335,542号に対して優先権を表明する2002年11月4日に出願された「Patient Data Mining」と題する本願の譲受人に譲渡された同時係属米国特許出願番号10/287,055号に記載されたようなデータマイニング方法及び特徴組み合わせ方法を使用して実施することができるが、この両方の出願を本明細書の一部としてここに引用する。
【0059】
簡潔に言うと、米国特許第10/287,055号は、知識ベース(例えば、レポジトリ(27))に含まれるドメイン固有の知識を使用して臨床データレコードから関連情報を抽出するデータマイニング方法について述べており、この方法は、特定の時間(エレメントと呼ばれる)における患者に関する統計的表明として表され、所定の時間期間において同じ変数(ドメイン固有の基準)を参照する全てのエレメントを組み合わせて、その変数に関する単一の統一された確率的表明を形成し、次にその変数の値の変化を処理するように情報をある期間にわたってまとめる(変数が時間と共にどのように変化する可能性があるかに関する時間的制約の適用を含む)。
【0060】
更に、患者情報を組み合わせて冠状動脈性心臓病の可能性を評価する方法は、2002年11月4日に出願された「Patient Data Mining for Cardiology Screening」と題する米国特許出願第10/287,085号に記載されているが、この出願は本出願人に譲渡されており、本明細書の一部として全体を引用する。
【0061】
前述のような図2の例示的な実施形態において、データ処理システム(21)は、レポジトリ(27)内に維持される臨床ドメイン知識データを使用して、特徴抽出(22)、特徴組み合わせ(23)、モデル作成(24−2b)等の様々なメソッドを実行する。ドメイン固有知識ベース(27)は、疾患固有ドメイン知識を含むことができる。例えば、疾患固有ドメイン知識には、疾患の可能性に影響を及ぼす様々な因子、疾患進行情報、合併症情報、疾患に関係する結果と変数、疾患に関係する測定値、及びACC、AHA、ESC等の医療機関によって設定された方針と指針がある。
【0062】
一例として、急性心筋梗塞(AMI)と診断するドメイン固有の基準が、(i)心臓痛の徴候、(ii)EKG(心電図)の変化、及び(iii)傷ついた心筋から放出される酵素の変化の3つの因子の組み合わせの明らかな有無によりAMIの診断を指定することができる。更に、個体に心臓痛があると仮定すると、EKGと酵素の変化が指定の基準を満たす程度は、個々及び組み合わせで、診断の確かさ(「確実」、「疑い」、又は「可能性」)を決定するために使用されてもよく、数値的な確実さ(例えば、0%〜100%)として示されてもよい。
【0063】
ドメイン固有知識ベース(27)は、また、施設固有のドメイン知識を含むことがある。例えば、これは、特定の病院で入手可能なデータ、病院のドキュメント構造、病院の方針、病院の指針、及び病院の種類に関する情報を含むことができる。
【0064】
臨床ドメイン知識ベース(27)は、様々なソースから取得することができる。例えば、臨床ドメイン知識ベース(27)は、解析され/標識化された症例(28)の大きなデータベースから学習した知識を含むことができる。更に、臨床ドメイン知識ベース(27)は、以前の要求を解析することによって、或いは例えば保険会社から発行された規則と規程から専門家によって入力された知識を含むことができる。ドメイン知識ベース(27)内のデータを、システムが理解することができる情報を生成する入力又はプログラムとしてエンコードすることができる。前述のように、ドメイン専門家データは、適切なユーザインタフェースを使用してドメイン専門家から手動入力によって取得されてもよく、自動的に又はプログラムで入力することもできる。
【0065】
抽出モジュール(22−4)は、ドメイン知識ベース(27)内の適切なデータを使用して、適切なパラメータを抽出し、ある瞬間又は期間に関連した患者に関する確率的表明(エレメント)を生成することができる。抽出に必要なドメイン知識は、一般に、各ソースに固有である。例えば、テキストソースからの抽出は、フレーズスポッティングによって実行され、対象フレーズとそこから引き出される推論を指定する規則リストが提供される。例えば、医師のメモの所見に「心臓の左心室に心筋症の形跡がある」という言葉がある場合は、この文から患者が心筋症を煩っていることを推論するために、フレーズ「心筋症」を探し、見つかった場合に、患者が心筋症を罹っていることをある程度の信頼度で表明するようにシステムに指示する規則を指定することができる。データベースソースからの抽出は、ソース内のテーブルを照会することによって実行することができ、その場合、ドメイン知識は、データベース内のどのフィールドにどの情報があるかをエンコードしなければならない。他方、抽出プロセスは、データベースに含まれる情報の複雑な関数を計算しなければならない場合があり、その場合、ドメイン知識は、この計算を実行するプログラムの形で提供され、その出力は、システムの残りの部分に送られることがある。
【0066】
特徴組み合わせモジュール(23)によって実施される方法は、前述の本明細書の一部分を構成する出願に記載されたものでよい。例えば、特徴組み合わせ方法は、同じ/異なるソースからの潜在的に相反する表明から所定の時点における各変数の統一見解を作成するプロセスでよい。本発明の様々な実施形態において、これは、エレメントによって表される変数の統計に関するドメイン知識を使用して実行される。
【0067】
モデルビルダ(24−2)は、分類メソッド(24−1)によって実施される分類モデルを作成し、このモデルは、実施態様により、様々な抽出された特徴を解析して診断支援及び評価を様々なレベルで提供するように訓練(及び場合によっては動的に最適化)される。分類モデルは、予測をユーザに説明することができない「ブラックボックス」の場合(例えば、分類機構がニューラルネットワークを使用して作成された場合)があることを理解されたい。分類モデルは、人間が読み取ることができる形の「ホワイトボックス」の場合もある(例えば、分類機構が決定ツリーを使用して作成された場合)。他の実施形態において、分類モデルは、ソリューションをどのように導き出したかをある程度説明できる「グレーボックス」の場合がある(例えば、「ホワイトボックス」形分類機構と「ブラックボックス」形分類機構の組み合わせ)。実施される分類モデルのタイプは、ドメイン知識データとモデル作成プロセス(24−2)に依存する。モデル作成プロセスのタイプは、実施される分類方式により異なり、その分類方式には、決定ツリー、支援ベクトルマシン、ベイズネットワーク、確率的推理等、並びに当業者に知られている他の分類方法がある。
【0068】
モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、臨床ドメイン知識ベース(27)内のデータを使用して分類モデルを訓練し、分類プロセス(24−1)によって実施された以前の訓練済み分類モデルを動的に更新する。本発明の1つの例示的な実施形態において、モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、局所心筋機能を評価するように学習する分類モデルを作成/訓練するために「オフライン」で実施される。本発明のもう1つの例示的な実施形態において、モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、新しく解析した患者データから導き出された追加の学習データによって更新されたレポジトリ(27)内のドメイン知識データを使用するか、或いは適切な状態と関連付けられた分類モデルを最適化することができる「連続」学習方法を使用する。連続学習機能は、分類メソッド(24−1)がコストの高い人間の介入なしに時間の経過と共に連続的に改善できるようにすることによってCADシステム(20)のロバスト性を高めるので有利である。
【0069】
前述のような図2の例示的なCADシステム(20)において、診断/ワークフロー支援モジュール(26)は、図1を参照して前に述べたような一以上の診断及び決定支援機能を提供することができる。例えば、診断/ワークフロー支援モジュール(26)は、超音波画像データ(3)及び/又は非画像患者データレコード(4)から抽出した1組の特徴に基づいて、分類モジュール(24)に命令して、評価の信頼度の高さと一緒に局所心筋機能の評価を提供させることができる。分類エンジン(25−1)は、そのような分類を、モジュール(23)から出力された組み合わされた特徴を解析するように訓練された一以上の分類モデルを使用して実行することができる。もう1つの例示的な実施形態において、診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、分類モジュール(24)に命令して、局所的評価の信頼度を高めるために取得し解析することができる追加のイメージングモダリティ又は特徴(例えば、Bモード超音波画像データ、他の画像モード及び/又は非画像データから)を決定することができる。更に、診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、分類モジュール(23)に命令して、抽出した特徴の現行セットに基づいてレポジトリ(27)内の一以上の類似の患者症例を取得し(ユーザインタフェースによって)表示することができる。
【0070】
次に図3を参照すると、ブロック図は、本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像用の自動診断及び決定支援を提供するシステムを示す。詳述すると、図3は、様々な超音波画像モード(Bモード、対比撮像及び/又は位相撮像等)の1つ又は複数から取得した画像パラメータ及び/又は非画像患者データを使用して例えば冠状動脈性心臓病の自動診断を提供し、更に医師ワークフローを支援する他の決定支援機能を提供するCADシステム(30)を示す。1つの例示的な実施形態において、図3のCADシステム(30)は、図2に関して前に説明した自動壁運動分類解析を実現する。図3のCADシステム(30)は、一以上の超音波撮像方法を支援する図1のCADシステム(10)の一以上の例示的な構成を示す。
【0071】
図3を参照すると、CADシステム(30)は、超音波画像データから抽出した様々なパラメータに基づいて心臓病を自動的に分類(診断)する方法、並びに医師が特定の患者の治療又は診断パスの決定を支援する他の方法を実施するデータ処理システム(31)を含む。一般に、データ処理システム(31)は、特徴抽出モジュール(32)、特徴組み合わせモジュール(33)、分類モジュール(34)、及び診断/ワークフロー支援モジュール(35)からなる。更に、CADシステム(30)は、CADシステム(30)と対話するユーザが、診断/ワークフロー支援モジュール(35)によってサポートされた一以上の機能を選択できるようにするユーザインタフェース(36)を含む(例えば、一以上の種類の心臓状態の自動診断と診断の信頼度を提供し、診断の信頼度を高めるために取得し更に解析することができる追加の超音波イメージングモダリティ又は特徴(例えば、Bモード超音波画像データ、他の画像モード、 又は非画像データから)を決定し、抽出した現行セットの特徴に基づいてレポジトリ(38)内の一以上の類似の患者症例を取得し表示する。)。
【0072】
特徴抽出モジュール(32)は、様々なモードの超音波画像データ(5)と非画像患者データ(6)の1つ又は複数から適切なパラメータを抽出するために様々なメソッド(32−1〜32−9)を実施し、それらのパラメータを解析して、心臓病の自動診断や後述するような他のタイプの決定支援を提供することができる。例えば、特徴抽出モジュール(32)は、超音波画像から抽出された運動及び肥厚パラメータに基づいて心筋機能の局所的評価を提供するために、図2に関して前に述べた方法を実施する自動化された壁運動解析モジュール(32−1)を含む。モジュール(32−1)から出力されたパラメータは、評価の実際の結果(例えば、各セグメントの壁運動スコア)又は抽出された運動又は肥厚パラメータの実際の結果でよく、これらを更に分類モジュール(34)が処理して心臓状態の自動診断を提供するか又は他の診断支援機能を提供する。
【0073】
他の抽出モジュールには、例えばLVEF(左心室駆出率)、LVEDV(左心室拡張末期容積)、LVESV(左心室収縮末期容積)等を含む超音波画像データからグローバルパラメータを抽出するグローバルパラメータ抽出モジュール(32−2)と、冠状動脈性心臓病の一般的な指示を提供するE/A率等の心拡張期パラメータを抽出するための心拡張期パラメータ抽出モジュール(32−3)とを含む。更に、超音波ドップラー画像から血液速度を抽出することができる(32−4)。更に、超音波画像データから、歪みと歪み速度データを抽出する歪み速度パラメータ抽出モジュール(32−5)、対比撮像から灌流特徴を抽出する対比灌流モジュール(32−6)、三次元(+時間)超音波画像から特徴を抽出する四次元抽出モジュール(32−7)、及び同一モード又は追加モードのために超音波画像から適切なパラメータを抽出する他の画像特徴抽出メソッド(32−8)を含む局所パラメータを抽出することができる。特徴抽出モジュール(32)によって実施される様々な特徴抽出方法(32−1〜32−9)は、図2を参照して前に述べた方法と同じか又は類似している。前述のような超音波画像や他の画像データから特徴を抽出するために実施することができる様々な方法は当業者に周知であり、抽出モジュールのために任意の適切な既知の抽出方法を実施することができる(例えば、「Myocardial Perfusion Assessment With Contrast Echocardiography」Medical Imaging 2001: Ultrasonic Imaging and Signal Processing, Michael F. Insana, K. Kirk Shung, Editors, Proceedings of SPIE Vol. 4325 (超音波用の対比灌流方法)、Hashimotoらの「Myocardial strain rate is a superior method for evaluation of left ventricular subendocardial function compared with tissue Doppler imaging」J Am Coll. Cardiol. 2003 Nov 5; 42 (9): 1584-6. (超音波の歪み及び歪み速度撮像方法)、G. I. Sanchez-Ortizらの「Automated LV motion analysis from 3D echocardiography」Medical Image Understanding and Analysis (MIUA) Conference 1999, Oxford UK, pp.85-88(三次元超音波画像からパラメータを抽出する方法)等を参照)。図2の例示的な実施形態において、そのような特徴は、例えば、局所心筋機能の自動評価に使用され、図3のシステムにおいて、そのような特徴は、更に、例えば、心臓に関係する疾患の自動診断に使用される。
【0074】
特徴組み合わせモジュール(33)は、1組の抽出された特徴を分類モジュール(34)による入力と解析に適した形に組み合わせる。分類モジュール(34)は、一以上の分類モデルを使用して組み合わせた抽出パラメータを解析する分類メソッド(34−1)を含み、これは、心臓病の自動診断や他の決定支援機能を提供するようにモデルビルダ(34−2)によって訓練され/動的に適応される。CADシステム(30)は、更に、分類メソッド(34−1)によって使用される分類モデルを作成/訓練するためにモデルビルダ(34−2)によって使用される訓練データを提供する情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(37)を含む。CADシステム(30)によってサポートされた臨床ドメインと関連した解析され/標識化された症例(38)の大きなデータベースを使用して、レポジトリ(37)内の訓練データを取得することができる。臨床ドメイン知識(37)は、以前の要求を解析することにより専門家によって直接入力された専門家臨床知識、或いはサポートされた臨床ドメインに関する医療機関又は保険会社と関連した規則、法規、及び/又は指針と関係した情報を含むことができる。レポジトリ(37)内の臨床ドメイン知識は、データ処理システム(31)の様々なメソッド(32、33、34及び35)によって使用することができる。
【0075】
図3の様々なモジュール(32、33、34及び35)は、前述のような図2のCADシステム(20)の対応モジュール(22、23、24及び25)と同じか又は類似の方法を実施することができるが分かる。しかしながら、分類モジュール(24)及び(34)における分類メソッドやモデル作成メソッド等の様々なメソッドは、それぞれのCADシステム(20)と(30)によってサポートされる決定支援機能、特徴抽出方法及び/又は画像様相のタイプにより変化する。更に、臨床ドメイン知識ベース(37)は、知識ベース内の訓練データ(27)と(37)が、CADシステム(20)と(30)によってサポートされる決定支援機能のタイプ、特徴抽出方法及び/又は画像様相により変化することを除き、図2の知識ベース(27)と類似している。
【0076】
次に図4を参照すると、ブロック図は、本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像用の自動診断及び決定支援を提供するシステムを示す。詳述すると、図4は、様々な超音波撮像方法(Bモード、対比撮像及び/又は位相撮像等)、MRI、NM、PET、CT、CT血管造影法、X線血管造影法、MR血管造影法等を含む一以上の様々なイメージングモダリティ、及び/又は非画像患者データから取得した画像パラメータを使用して例えば冠状動脈性心臓病の自動診断を支援し、更に一以上の心撮像モードに対する医師ワークフローを支援する他の決定支援機能を提供する、マルチモーダルCADシステム(40)を示す。様々なイメージングモダリティの組み合わせると様々な利点が得られる。例えば、様々なイメージングモダリティが様々な種類の情報を提供することができる。核医学画像は、灌流等の機能的な情報を提供することができ、超音波画像は、解剖学的情報を提供することができる。これらを組み合わせることにより、医師に適切な診断支援を提供することができる。もう1つの例は、例えばCTによる冠状動脈の撮像を超音波又はMRIを使用する左心室に関する情報と組み合わせることである。この方法では、冠状動脈疾患に関する情報を心筋に対する影響と組み合わせることができる。
【0077】
1つの例示的な実施形態において、前述のように、図4のCADシステム(40)は、例示的なCADシステム(10)、(20)及び(30)の特徴抽出方法、分類方法、診断及び決定支援方法等のうちの幾つか又は全てを含む。図4のCADシステム(40)は、心撮像用のマルチモードCADを提供する図1のCADシステム(10)の一以上の例示的な構成を示す。
【0078】
図4を参照すると、CADシステム(40)は、例えば一以上の様々なタイプの画像データ(例えば、MRI画像データ(7a)、超音波画像データ(7b)、NM画像データ(7c))、及び対象患者の非画像データ(例えば、カテーテル法実験室データ(catherization laboratory data)(7d)と臨床、履歴及び/又は身体データ(7e))を含む様々な患者情報源(7)からパラメータを抽出し解析することによって、心臓病の自動分類(診断)を提供する方法並びに医師ワークフローを支援する他の決定支援機能を実施するデータ処理システム(41)を含む。
【0079】
一般に、データ処理システム(41)は、特徴抽出モジュール(42)、特徴組み合わせモジュール(43)、分類モジュール(44)、及び診断/ワークフロー支援モジュール(45)を含む。更に、CADシステム(40)は、ユーザがCADシステム(40)との対話によって、診断/ワークフロー支援モジュール(45)によってサポートされた一以上の機能を選択できるようにするユーザインタフェース(46)を含む。(例えば、その機能は、一以上のタイプの心臓状態の自動診断及び診断信頼度を提供し、診断の信頼度を高めるために取得し更に解析することができる追加のイメージングモダリティ又は特徴を決定し、現行セットの抽出された特徴に基づいてレポジトリ内の一以上の類似の患者症例を取得し表示することである)。
【0080】
特徴抽出モジュール(42)は、サポートされたイメージングモダリティから画像パラメータ(42−1〜42−2)を抽出する”n”特徴抽出メソッドと、非画像データソースからパラメータを抽出する他の特徴又はテキスト抽出メソッド(42−3、42−4)とを実施する。例えば、特徴抽出モジュール(42)は、自動壁運動解析機能を提供するために超音波画像(又は他のイメージングモダリティ)から壁運動及び肥厚パラメータを抽出し解析するメソッドと、グローバルパラメータ及び局所的画像パラメータを抽出するために図3と図4を参照して前に説明した他の画像パラメータ抽出メソッドを含むことができる。特徴組み合わせモジュール(43)は、1組の抽出した特徴を分類モジュール(44)による入力と解析に適した形で組み合わせる。分類モジュール(44)は、一以上の分類モデルを使用して組み合わせ抽出パラメータを解析する分類メソッド(44−1)を含み、これらは、心臓病の自動診断や他の決定支援機能を提供するようにモデルビルダ(44−2)によって訓練され/動的に適応される。CADシステム(40)は、更に、分類方法(44−1)によって使用される分類モデルを作成/訓練するためにモデルビルダ(44−2)によって使用される訓練データを提供する情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(47)を含む。CADシステム(40)によってサポートされる臨床ドメインと関連した解析され/標識化された症例(48)の大きいデータベースを使用して、レポジトリ(47)に記憶された訓練データを取得することができる。レポジトリ(47)内の臨床ドメイン知識は、データ処理システム(41)の様々なメソッド(42、43、44及び45)によって使用することができる。
【0081】
図4の様々なモジュール(42、43、44及び45)は、前述のように、図2のCADシステム(20)の対応するモジュール(22、23、24及び25)及び/又は図3のCADシステム(30)の対応するモジュール(32、33、34及び35)と同じか又は類似の方法を実施することができる。しかしながら、分類モジュール(44)の分類方法やモデル作成方法等の様々な方法は、CADシステム(40)によって支援された決定支援機能のタイプ、特徴抽出方法及び/又は画像様相により変化する。更に、臨床ドメイン知識ベース(47)は、知識ベース(47)内の訓練データがCADシステム(40)によって支援された決定支援機能、特徴抽出方法及び/又は画像様相のタイプによって変化する点を除き、図2と図3の知識ベース(27)及び(37)と類似している。
【0082】
次に、心臓疾患等の診断の付加的な検査の見込み値を評価するための本発明の例示的な実施形態による様々な機械学習方法を、図5の例示的なノード図を参照して説明する。これらの例示的な実施形態では、訓練セットがm個の症例からなり、各症例が、前に実行された検査から抽出されたn個の特徴からなると仮定する。各症例Ci(i=1,…,m)は、特徴(f1,f2,...,fn)のベクトルとして表すことができる。
【0083】
更に、各症例Ciの実際の診断(di)は次の通りであると仮定する。
i=1 診断が陽性の場合
i=0 そうでない場合
患者(Ti1,Ti2,Ti3,...Tik)に行われた様々な検査に対応するk個の変数があり、k個の変数のそれぞれが組{0,1}内の値をとることができ、対応する検査が実際の診断diに対して正確に予測された場合はk=1であり、そうでない場合はk=0である。
【0084】
更に、そのような以前の情報が訓練データから抽出されると仮定すると、後述する例示的な機械学習ベースの方法を使用して、検査により患者病歴から抽出した特徴ベクトルに基づいて正確な診断が提供されると予測することができる。
【0085】
1つの例示的な実施形態において、1つの方法は以下の通りである。最初に、全てのCiに関して、M(Ci)=M(f1,f2,...,fn)=(Ti1,Ti2,Ti3,Ti4)となるように特徴空間から{(P1,P2,P3,P4)/Pi∈{0,1}}のマッピングMを決定する。このプロセスは、図6に示したような人工ニューラルネットワーク技術を使用して達成することができる。それぞれの新しい患者ごとに、マッピングMは、その患者に推奨される検査を示す対応する2進出力を提供する。
【0086】
この問題は、各症例Ciに関して、その標識を正確な診断を提供した検査に従って定義する複数クラスの分類問題と見なすこともできる。例えば、1つの可能な手法は次の通りである。それぞれの検査に関して、全ての訓練している症例が、その症例の検査の精度に従って標識化される。次に、4つの分類機構が、任意の2進分類アルゴリズム(例えば、SVM、決定ツリー、ベイズのネットワーク等)を使用して訓練される(各検査に1つ)。新しい患者を検討するとき、患者データは、正確な診断を提供する検査を予測するために4つの分類機構で検査される。
【0087】
前述の2つの手法により、プロセスの結果が複数の検査でよいことに注意されたい。
【0088】
もう1つの例示的な手法は次の通りである。訓練セットにm個の症例があると仮定する。新しい症例が、前述のn個の特徴を使用して、これらのm個の症例と比較される。この比較に基づいて、現在の症例と最も「類似」しているものとしてp個の症例が選択され、この場合、類似性を様々な方法のうちのいずれかで定義することができる。例えば、1つの手法は、n次元の特徴空間内のユークリッド距離を検討することである。他の周知の距離測定(distance measures)を使用することもできる。前述のプロセスを使用して、表示用の症例ライブラリから典型的な症例を選択することもできることを理解されたい。
【0089】
類似度を決定し最も「類似」した症例を識別した後で、訓練セットのk個の検査のそれぞれに分類機構を構成することができる。詳細には、一例として、分類機構は、例えば、(i)現行情報と壁運動解析の結果、(ii)現行情報と超音波、(iii)現行情報とMRI等の1組の情報のそれぞれを使用して診断が陽性か陰性かを検査するように構成される。
【0090】
各分類機構は、p個の症例のうちの1つから学習せずに構成され(即ち、leave-one-out法)、次にこの識別子を使用して控えた症例が分類される。これがp個の症例のそれぞれに繰り返され、全体処理が、k個の検査のそれぞれに繰り返される。次に、平均的な可能性が、k個の検査のそれぞれに計算され、最も有用な検査のスコアとしてはたらく。
【0091】
本発明の他の例示的な実施形態により、CADシステムを分散型モデルで実施ことができ、その場合、CADの様々なモジュール/構成要素は通信網を介して分散される。例えば、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)が、適切なアプリケーションサーバを介してCAD機能のリモートアクセスサービングを提供するCADシステムを提供することができる。例えば、類似症例を識別するために使用される症例のデータベースを中央位置に配置することができる。この利点は、多くのメモリを占有する大きい症例データベースが全てのシステムに存在しなくてもよいことである。更に、症例の更新を極めて容易に行うことができる。この中央位置は、例えば病院内であり、或いはそのようなシステムを使用する全ての人によってアクセスされる1つの中央データベースでもよい。もう1つの可能性は、分散型データベースを使用することであり、この場合、症例は、複数の場所に配置されるが、あたかも1つの場所にあるかのように探索されアクセスされる。そのように、様々な場所に配置された症例を探索して、類似の症例を見つけることができる。データベースの他に、分類機構等のCADシステムの他の部分が中央に配置されてもよい。
【0092】
更に、以上を考慮して、本発明によるCADシステムは、様々なサービス/支払い方式のうちのいずれかに基づいて本明細書に示したような診断支援や他の決定支援機能を提供するサービス契約又はSLA(サービス品質保証制度)に従って第三者サービス提供者によって提供されるサービス(例えば、ウェブサービス)として実現することができることを理解されたい。例えば、第三者サービス提供者は、様々な臨床ドメインの分類モデルを訓練し、維持し、更新するように契約上義務づけられてもよく、医師又は医療組織は、利用回数制料金や年間加入料でCADシステムに「オンライン」でアクセスしてもよい。そのような場合、患者の機密性を維持し、或いはセキュアな暗号化や圧縮方式等を使用する通信チャネルを介して患者データを伝送するために、当業者に知られた様々な方法を実施することができる。当業者は、本発明によるCADシステムの様々なアーキテクチャと実施態様を容易に想起することができ、本明細書の内容はいずれも本発明の範囲の限定と解釈されるべきでない。
【0093】
本明細書において添付図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明してきたが、本発明は、これらの厳密な実施形態に限定されず、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく当業者が様々な他の変更及び修正を行うことができることを理解されたい。そのような全ての変更と修正は、添付の特許請求の範囲によって定義したような本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の例示的な実施形態による心撮像の自動診断及び決定支援を提供するシステムのブロック図である。
【図2】本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像の自動診断及び決定支援を提供するシステムのブロック図である。
【図3】本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像の自動診断及び決定支援を提供するシステムのブロック図である。
【図4】本発明のもう1つの例示的な実施形態による心撮像の自動診断及び決定支援を提供するシステムのブロック図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による、グラフィカルユーザインタフェースに壁運動スコアを表示するために使用することができる心室の複数のセグメントの例示的な2次元表現である。
【図6】本発明の例示的な実施形態による分類方法を示す例示的な図である。
【符号の説明】
【0095】
5 画像データ
6 患者データ
30 CADシステム
31 データ処理システム
32−1 自動化された壁運動解析
32−2 グローバルパラメータ
32−3 診断パラメータ
32−4 自動化されたドップラー解析
32−5 歪み速度
32−6 対比灌流
32−7 四次元
32−8 他の画像パラメータ
32−9 患者データ拡張
33 特徴組み合わせ
35 診断/ワークフロー支援
34−1 分類化
34−2 モデルビルダ
36 ユーザインタフェース
38 標識化された患者症例
37 臨床ドメイン知識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心撮像の自動診断支援を提供する方法であって、
患者の心臓の画像データから情報を取得する段階と、
患者の臨床データレコードから情報を取得する段階と、
前記取得した情報を使用して壁運動解析により心臓の局所心筋機能を自動的に評価する段階とを含む方法。
【請求項2】
画像データから情報を取得する段階が、画像データから心筋壁運動データと心筋壁肥厚データを自動的に抽出する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像データが、心臓超音波画像データを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
臨床データレコードから情報を取得する段階が、患者の臨床データレコードを含む構造化及び/又は非構造化データソースから臨床データを自動的に抽出する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
局所心筋機能を自動的に評価する段階が、取得した情報を使用して心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に評価する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
局所心筋機能を自動的に評価する段階が、心筋壁の一以上の領域の壁運動スコアを生成する段階を含み、壁運動スコアが、標準化された採点方式に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
標準採点方式が、ASE(米国心エコー図学会)によって指定されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
局所心筋機能の評価についての信頼度(measure of confidence)を自動的に決定する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
心臓の局所心筋機能を自動的に評価する段階が、取得した情報を使用して壁運動を解析するように訓練された局所心筋機能を分類する方法を実施する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
局所心筋機能を分類する方法が、機械学習方法、モデルを利用する方法、又は機械学習とモデルを利用する方法の任意の組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
専門家データ及び/又は複数の症例研究から学習したデータを使用して連続的又は周期的に局所心筋機能を分類する方法を訓練する段階を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
心撮像の自動診断支援を提供する方法であって、
心臓の画像データを取得する段階と、
心臓の画像データから、心臓の心筋の運動と関係した特徴を含む特徴を取得する段階と、
取得した特徴を使用して心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に評価する段階とを含む方法。
【請求項13】
心臓の心筋の運動と関係した特徴を心臓の画像データから取得する段階が、
心臓の画像データから心筋壁運動データを取得する段階と、
心臓の画像データから心筋壁肥厚データを取得する段階とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
画像データが、MR(磁気共鳴)画像データを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
画像データが、CT(コンピュータ断層撮影法)画像データを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
画像データが、超音波画像データを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
超音波画像データが、三次元で獲得した画像データを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
心臓の画像データから特徴を取得する段階が、心筋灌流に関係する特徴を取得し及び/又は冠状動脈ツリーの画像データから特徴を取得する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
心筋壁が、心臓の左心室の心臓内壁を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
自動的に評価する段階が、取得した特徴に基づいて心筋機能を評価するように訓練された方法を使用して、心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に分類する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
自動的に分類する段階が、機械学習方法、モデルを利用する方法、又は機械学習とモデルを利用する方法の任意の組み合わせを使用して実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
特徴を取得する段階が、心筋壁の複数のセグメントのそれぞれの特徴を取得する段階を含み、心筋壁の一以上の領域の心筋組織の状態を自動的に分類する段階が、心筋壁の前記複数のセグメントの各セグメントの心筋組織の状態を自動的に分類する段階を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
心筋壁の前記複数のセグメントの各セグメントの心筋組織の状態を自動的に分類する段階が、各セグメントの心筋組織が正常か異常かを示す指標を生成する段階を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
心筋壁の前記複数のセグメントの各セグメントの心筋組織の状態を自動的に分類する段階が、ASE(米国心エコー図学会)によって指定された基準に基づいて各セグメントの壁運動スコアを生成する段階を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
心筋壁の前記複数のセグメントの各セグメントの心筋組織のそれぞれの分類された状態の信頼度を自動的に決定する段階を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
心臓の画像データから、心臓機能のグローバル指標を提供するグローバルパラメータを取得する段階を更に含み、自動的に評価する段階が、取得した特徴と取得したグローバルパラメータを使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
グローバルパラメータが、左心室容積、左心室駆出率、左心室壁厚、左心室壁質量、又はE/A比率等の拡張期機能指標を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
心臓の画像データから、組織速度データ、歪みデータ、歪み速度データ、灌流データ、又はタイミングデータを含む一以上の局所的パラメータを取得する段階を更に含み、自動的に評価する段階が、取得した特徴及び取得した一以上の局所的パラメータを使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
患者の臨床データレコードから臨床データを取得する段階を更に含み、自動的に評価する段階が、取得した特徴と取得した臨床データを使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項30】
自動的に評価する段階から取得した結果を使用して病状を自動的に診断する段階を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項31】
病状を自動的に診断する段階が、分類方法を使用して実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
心筋組織の状態を自動的に評価する段階が、心臓病又はその症状と診断する確率を自動的に決定するか、将来心臓病又はその症状が発生する確率を自動的に決定する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項33】
心臓病又はその症状と診断する確率を自動的に決定する段階が、診断の前記確率の信頼度を高める一以上の追加の特徴を自動的に決定する段階を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
自動的に一以上の追加の特徴を自動的に決定する段階が、前記一以上の追加の特徴のそれぞれに関して、前記診断の信頼度を高める上での有用度(measure of usefulness)を決定する段階を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
心臓病又はその症状と診断する確率を自動的に決定する段階が、前記診断の確率を高める一以上の追加の心撮像検査を自動的に決定する段階を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
一以上の追加の心撮像検査を自動的に決定する段階が、前記一以上の追加の検査のそれぞれに関して、前記診断の信頼度を高める上での有用度を決定する段階を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
心筋組織の状態を自動的に評価する段階が、現行症例と類似の一以上の以前に診断された症例を自動的に識別する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項38】
一以上の識別された類似の症例を表示する段階を含む、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−526016(P2007−526016A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517607(P2006−517607)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020230
【国際公開番号】WO2005/001769
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】