説明

情報処理装置及び映像処理方法

【課題】メタデータとメディアデータが順に配置されたファイルを安全に作成できる情報処理装置を実現する。
【解決手段】多重化処理部35は、入力される複数のメディアデータ31,32から所定の処理単位のデータを読み出し、読み出したデータを多重化したチャンクを生成する。メタデータ生成部38は生成したチャンクに対応するメタデータを生成する。また、ローカル暗号化部36はローカル鍵を用いてチャンクを暗号化し、暗号化バッファ33へ格納する。ローカル復号部37は全てのチャンクに対応するメタデータの生成が完了したことに応答して、暗号化されたチャンクを復号する。メディア暗号化部40は、メディア鍵から作成されたタイトル鍵を用い、復号されたチャンクを暗号化する。データ格納部41は、タイトル鍵を用いて暗号化されたチャンクにより構成されるマルチメディアデータの前にメタデータを配置したファイルを出力メディア34へ格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツデータのフォーマットを変換する情報処理装置及び映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像データやオーディオデータ等のマルチメディアデータは、データを格納したDVD等の記録媒体やインターネット等のネットワークを介して、利用者へ配布される。デジタルデータであるマルチメディアデータは劣化なく複製することが容易であるため、著作権保護の観点から、利用時の認証処理やデータの暗号化処理等が行われている。
【0003】
特許文献1には、ネットワークで配信されるオブジェクトデータに対する著作権保護を行うデータ処理装置が開示されている。このデータ処理装置では、鍵データを用いてオブジェクトデータを暗号化し、暗号化されたオブジェクトデータを多重化したストリームデータと鍵データとをネットワークを介して配信することで、オブジェクトデータを保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−359070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のデータ処理装置では、ネットワークを介して配信されるマルチメディアデータを保護することについては考慮しているものの、マルチメディアデータに処理を施すコンピュータ内のメモリやHDDにおいて、データを保護することについては考慮されていない。暗号化処理を施す前のマルチメディアデータや復号されたマルチメディアデータは、コンピュータ内でメモリやHDDに格納された場合、これらメモリやHDDから読み出され、複製される可能性がある。
【0006】
ところで、MP4(ISO/IEC 14496-12, ISO/IEC 14496-14, ISO/IEC 14496-15)ファイルは、メタデータを格納するmoovとマルチメディアデータを格納するmdatとを含む。このMP4ファイルをストリーミング再生に対応させる場合、moovはmdatよりも前方に配置する必要がある。これは、マルチメディアデータがチャンク単位でmdatに格納されており、ファイル内でのチャンクの位置を示すメタデータがmoovに格納されているためである。メタデータ(moov)を作成するためには、マルチメディアデータ(mdat)内のチャンクの構成が確定していなければならず、また、上述したように、moovはmdatよりも前方に配置する必要がある。このため、全てのチャンクに対応するメタデータ(moov)の作成が完了するまでの間、マルチメディアデータ(mdat)はバッファリングされる。このため、バッファリングされたマルチメディアデータはバッファから読み出され、複製される可能性がある。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、メタデータとメディアデータが順に配置されたファイルを安全に作成できる情報処理装置及び映像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、複数のメディアデータを多重化した多重化メディアデータを所定の処理単位のデータ毎に生成する多重化手段と、前記多重化メディアデータに対応するメタデータを前記所定の処理単位のデータ毎に生成するメタデータ生成手段と、前記所定の処理単位のデータを第1鍵データを用いて暗号化した第1暗号化メディアデータを生成するローカル暗号化手段と、前記第1暗号化メディアデータを記憶装置に格納するバッファリング手段と、前記多重化メディアデータに対応するメタデータが全て生成されたことに応答して、前記第1暗号化メディアデータを前記記憶装置から読み出し、前記第1暗号化メディアデータを復号する復号手段と、前記復号された第1暗号化メタデータを第2鍵データを用いて暗号化した第2暗号化メディアデータを生成するメディア暗号化手段と、前記メタデータと前記第2暗号化メディアデータとを外部記憶媒体に格納するデータ格納手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メタデータとメディアデータが順に配置されたファイルを安全に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の外観の例を示す斜視図。
【図2】同実施形態の情報処理装置の構成例を示すブロック図。
【図3】同実施形態の情報処理装置で用いられる映像処理アプリケーションの機能構成の例を示すブロック図。
【図4】図3の映像処理アプリケーションで作成されるMP4ファイルフォーマットの映像コンテンツデータの構成例を示す図。
【図5】同実施形態の情報処理装置によって実行される映像コンテンツデータ格納処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を説明する。本実施形態の情報処理装置は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10から実現されている。
【0013】
このパーソナルコンピュータ10は、放送番組データ、外部機器から入力されるビデオデータ、インターネットのようなネットワークを通じて配信されるビデオデータといった、映像コンテンツデータ(オーディオビジュアルコンテンツデータ)を外部記憶媒体に格納することができる。
【0014】
図1はコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれている。
【0015】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16、及びスピーカ18A,18Bなどが配置されている。
【0016】
コンピュータ本体11の例えば右側面には、TV放送用のアンテナ端子19が設けられている。また、コンピュータ本体11の例えば背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子が設けられている。この外部ディスプレイ接続端子は、放送番組データのような映像コンテンツデータに含まれる映像データ(動画像データ)を外部ディスプレイに出力するために用いられる。
【0017】
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0018】
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、SDカードスロット110、ハードディスクドライブ(HDD)111、光ディスクドライブ(ODD)112、ビデオプロセッサ113、メモリ113A、有線LANコントローラ114、IEEE 1394コントローラ115、無線LANコントローラ116、TVチューナ117、EEPROM118、及びエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)119等を備えている。
【0019】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201、及び映像処理アプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する。
【0020】
映像処理アプリケーション202は、複数のメディアデータ(エレメンタリーストリーム)を多重化してマルチメディアデータを生成し、このマルチメディアデータを含むMP4ファイルを外部記憶媒体へ格納するためのソフトウェアである。この映像処理アプリケーションプログラム202は、例えば、TVチューナ117によって受信された放送番組の動画像データ、HDD111やODD112に格納されたDVD等に記録された動画像データ、有線LANコントローラ114や無線LANコントローラ116によって受信されるネットワーク上のサーバから配信される動画像データ等を、上述のMP4ファイルとして、SDカードスロット110に挿入されたSDカード等の外部記憶媒体へ格納する。
【0021】
また、CPU101は、BIOS−ROM109に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0022】
ノースブリッジ102はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0023】
GPU105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3及びHDMI端子2を介して、外部ディスプレイ装置1にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0024】
HDMI端子2は外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、非圧縮のデジタル映像信号と、デジタルオーディオ信号とを一本のケーブルでテレビのような外部ディスプレイ装置1に送出することができる。HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称される外部ディスプレイ装置1にデジタル映像信号をHDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。
【0025】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、及びPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)111及びODD112を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0026】
またさらに、サウスブリッジ104には、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してビデオプロセッサ113が接続されている。
【0027】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18B又はHDMI制御回路3に出力する。
【0028】
PCIバス上には、IEEE 1394コントローラ115、有線LANコントローラ114、無線LANコントローラ116、TVチューナ117等が接続されている。
【0029】
IEEE 1394コントローラ115は、IEEE 1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。有線LANコントローラ114は、例えばIEEE 802.3規格の通信を実行する通信デバイスである。無線LANコントローラ116は、例えばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。
【0030】
TVチューナ117はテレビジョン(TV)放送信号によって放送される放送番組データを受信する受信装置であり、アンテナ端子19に接続されている。このTVチューナ117は、例えば、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組データを受信可能なデジタルTVチューナとして実現されている。また、TVチューナ117は、外部機器から入力されるビデオデータをキャプチャする機能も有している。
【0031】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)119は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13及びタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)119は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。さらに、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)119は、リモコンユニットインタフェース20との通信を実行する機能を有している。
【0032】
図3は、映像処理アプリケーションプログラム202の構成を示すブロック図である。
【0033】
映像処理アプリケーションプログラム202は、上述したように、TVチューナ117によって受信された放送番組の動画像データ、HDD111やODD112に格納されたDVD等に記録された動画像データ、インターネット上のサーバから配信される動画像データ等を外部記憶媒体に格納することができる。
【0034】
映像処理アプリケーション202は、入力されるメディアデータ31,32(エレメンタリーストリーム)を多重化してマルチメディアデータを生成し、このマルチメディアデータを含むMP4ファイルフォーマットの映像コンテンツデータ(オーディオビジュアルコンテンツデータ)を出力メディア34へ格納する処理を行う。なお、このMP4ファイルは、ストリーミング再生に対応している。
【0035】
図4は、映像処理アプリケーション202で作成されるMP4ファイルフォーマットの映像コンテンツデータ(MP4ファイル)の構成例を示す。
【0036】
MP4ファイルは、図4に示すように、ftyp,moov,mdat等のボックスと呼ばれるデータのまとまりによって構成される。ボックスは階層化されており、ボックスの中に別のボックスを格納することができる。
【0037】
ftypは、ファイルの互換性に関する情報が格納されるボックスである。ftypは、MP4ファイルの先頭に配置される。映像処理アプリケーション202は、ftypに記述されたデータに基づいて、MP4ファイルに格納されたビデオデータやオーディオデータの符号化方式等を判別する。
【0038】
moov(MovieBox)は、MP4ファイルのメタデータを格納するボックスである。moovは、階層化された複数のボックスを含む。moovは、ビデオデータやオーディオデータのトラックのヘッダ情報が格納されたボックスであるtrakを含む。また、trakは、その下層に、トラックデータの固まり(チャンク)の先頭位置を示す情報が記述されたstco(ChunkOffsetBox)を含む。stcoには、図4に示すように、ファイル上でのチャンクの先頭位置を示すオフセットの値(絶対アドレス)が記述されている。
【0039】
mdat(MovieDataBox)は、ビデオデータやオーディオデータ自体を格納するボックスである。圧縮符号化されたビデオデータ及びオーディオデータは、mdat内にチャンク単位で交互に格納される。
【0040】
映像処理アプリケーション202は、moovに含まれるstco等のボックスに記述されたメタデータから、mdatに格納されたビデオデータやオーディオデータのチャンクの位置やサイズ、さらに、チャンクに格納されたフレームに対応するデータの位置やサイズ、フレームの再生時間、再生時刻等の情報を取得することができる。
【0041】
MP4ファイルには、上述したように、メタデータを格納するmoovとマルチメディアデータを格納するmdatとが格納される。メタデータmoovは、マルチメディアデータmdatの内容(チャンクの構成)が確定した後に作成可能となるため、MP4ファイルでは、通常、メタデータmoovがマルチメディアデータmdatよりも後に配置されている。
【0042】
しかしながら、このMP4ファイルをストリーミング再生に対応させる場合、moovはmdatよりも前方に配置する必要がある。これは、上述したように、マルチメディアデータがチャンク単位でmdatに格納されており、mdat(ファイル)内でのチャンクの位置を示すメタデータがmoovに格納されているためである。
【0043】
メタデータmoovを作成するためには、マルチメディアデータmdat内のチャンクの構成が確定していなければならず、また、メタデータmoovはマルチメディアデータmdatよりも前方に配置される必要がある。
【0044】
また、映像処理アプリケーション202は、入力されるメディアデータ31,32を、それぞれ所定の処理単位(トラックデータの固まり)で読み出し、読み出したデータを多重化したチャンクを生成する。そして、映像処理アプリケーション202は、生成されたチャンクに対応するメタデータmoovを逐次生成する。つまり、マルチメディアデータmdatに対応するメタデータmoovは、チャンク毎に作成される。このため、マルチメディアデータmdatに対応するメタデータmoovの生成が完了するまでの間、すなわち、マルチメディアデータmdat内の全てのチャンクに対応するメタデータの生成が完了するまでの間、処理済みのチャンク(対応するメタデータが生成されたチャンク)は、HDD111等へバッファリングされる。しかし、バッファリングされたマルチメディアデータmdatは、バッファから読み出され、複製される危険性がある。このため、映像処理アプリケーション202は、バッファリングされるチャンク(マルチメディアデータmdat)を暗号化し、複製等の不正な処理からマルチメディアデータmdatを保護する。
【0045】
映像処理アプリケーション202は、図3に示すように、多重化処理部35、ローカル暗号化部36、ローカル復号部37、及び暗号化出力部39から構成される。なお、多重化処理部35は、メタデータ生成部38を備える。暗号化出力部39は、メディア暗号化部40、及びデータ格納部41を備える。
【0046】
多重化処理部35は、入力される複数のメディアデータ(エレメンタリーストリーム)31,32のそれぞれから所定の処理単位のデータ(トラックデータの固まり)を読み出して多重化し、多重化されたチャンクを生成する。多重化されたチャンクは、MP4ファイルに格納されるマルチメディアデータmdatを構成する所定の処理単位のデータである。つまり、多重化処理部35は、複数のメディアデータ31,32を多重化したマルチメディアデータmdatをチャンク単位で生成する。
【0047】
メディアデータ31,32は、符号化されたビデオデータやオーディオデータ等のエレメンタリーストリームである。ビデオデータは、例えば、MPEG-4 Visual(ISO/IEC 14496-2)やH.264/AVC(H.264|ISO/IEC 14496-10)に準拠したビデオデータである。オーディオデータは、例えば、MPEG-4 AAC(ISO/IEC14496-3)に準拠したオーディオデータである。また、メディアデータ31,32は、蓄積されたファイルから生成されたエレメンタリーストリームだけでなく、ストリーム処理を行うトランスコーダによって生成されたエレメンタリーストリームであってもよい。
【0048】
多重化処理部35は、生成されたチャンク(マルチメディアデータmdat)を逐次ローカル暗号化部36へ出力する。
【0049】
メタデータ生成部38は、生成されたチャンクに対応するメタデータmoovを生成する。生成されたチャンクに対応するメタデータmoovは、マルチメディアデータmdat内でのチャンクの位置やサイズ等を示す。メタデータ生成部38は、チャンク毎に対応するメタデータmoovを生成する。
【0050】
ローカル暗号化部36は、ローカル鍵を用いて、生成されたチャンクを暗号化する。ローカル暗号化部36は、暗号化したチャンクを暗号化バッファ33へ出力する。暗号化されたチャンクを格納する暗号化バッファ33は、例えばHDD111内に設けられる。
【0051】
ローカル復号部37は、多重化処理部35によるメディアデータ31,32の多重化が全て完了し、メタデータ生成部38によるマルチメディアデータmdatに対応するメタデータmoovの生成が完了したことに応答して、暗号化バッファ33から暗号化されたチャンクを読み出す。そして、ローカル復号部37は、暗号化されたチャンクを復号し、復号したチャンクを多重化処理部35へ逐次出力する。つまり、ローカル復号部37は、マルチメディアデータmdat内の全てのチャンクに対応するメタデータmoovが生成されたことに応答して、暗号化バッファ33に格納された、暗号化されたチャンクを復号する。
【0052】
多重化処理部35は、多重化処理部35によるメディアデータ31,32の多重化が全て完了し、メタデータ生成部38によるマルチメディアデータmdatに対応するメタデータmoovの生成が完了したことに応答して、メタデータ生成部38により生成されたメタデータmoovを暗号化出力部39へ出力する。また、多重化処理部35は、ローカル復号部37により復号されたチャンク(マルチメディアデータmdat)を暗号化出力部39へ出力する。
【0053】
メディア暗号化部40は、出力メディア34に格納されているメディア鍵34Aを用いてタイトル鍵を作成し、このタイトル鍵を用いて復号されたチャンクを暗号化する。つまり、メディア暗号化部40は、タイトル鍵を用いて暗号化されたマルチメディアデータmdatをチャンク単位で生成する。メディア暗号化部40は、タイトル鍵を用いて暗号化されたマルチメディアデータmdatをデータ格納部41へ出力する。なお、メディア鍵34Aは、出力メディア34固有のID等であってもよい。
【0054】
データ格納部41は、メタデータ生成部38により生成されたメタデータmoovと、メディア暗号化部40により暗号化されたマルチメディアデータmdatとを含むMP4ファイルを出力メディア34へ格納する。格納されたMP4ファイルはストリーミング再生に対応しており、メタデータmoovは、マルチメディアデータmdatよりも前に配置される。また、データ格納部41は、メディア鍵34Aを用いて作成されたタイトル鍵を出力メディア34へ格納する。なお、出力メディア34は、例えばSDカードスロット110に挿入されたSDカードである。
【0055】
以上の構成により、メタデータmoovがマルチメディアデータmdatよりも前に配置された、ストリーミング再生対応のMP4ファイルを作成する場合に、バッファリングされるマルチメディアデータmdatを暗号化して暗号化バッファ33に格納することで、マルチメディアデータmdatを保護し、安全にMP4ファイルを作成することができる。つまり、複数のメディアデータ31,32を多重化したマルチメディアデータmdatを生成し、このマルチメディアデータmdatが格納されたMP4ファイルを作成する処理において、MP4ファイルのストリーミング再生への対応と暗号化とを同時に実現することができる。
【0056】
なお、ローカル暗号化部36による暗号化、及びローカル復号部37による復号に用いる鍵は、出力メディア34に格納されたメディア鍵34Aであってもよい。この場合、暗号化されたマルチメディアデータmdat(暗号化バッファ33に格納されたデータ)は、出力メディア34とバインドされ、情報処理装置10内のローカル鍵を用いて暗号化される場合よりも、より安全に保護される。
【0057】
また、ローカル暗号化部36による暗号化に、出力メディア34に格納されたメディア鍵34Aを用いて作成されたタイトル鍵を用いてもよい。この場合、ローカル復号部37による復号、及びメディア暗号化部40による暗号化は不要となり、ローカル暗号化部36によりタイトル鍵を用いて暗号化されたマルチメディアデータmdatを、暗号化出力部39を介して、直接、出力メディア34に格納することができる。したがって、ローカル復号部37による復号、及びメディア暗号化部40による暗号化にかかる処理が不要となり、処理量を削減することができる。
【0058】
さらに、上述の説明では、暗号化バッファ33をHDD111内に設ける例について示したが、暗号化バッファ33を出力メディア34内の空き領域に設けてもよい。
【0059】
図5は、情報処理装置10によって実行される映像コンテンツデータ格納処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
まず、映像処理アプリケーション202は、複数のメディアデータ(エレメンタリーストリーム)31,32を入力する(ステップS101)。
【0061】
次に、映像処理アプリケーション202は、入力される複数のメディアデータ(エレメンタリーストリーム)31,32のそれぞれから所定の処理単位のデータ(トラックデータの固まり)を読み出して多重化し、多重化されたチャンクを生成する(ステップS102)。多重化されたチャンクは、MP4ファイルに格納されるマルチメディアデータmdatを構成する所定の処理単位のデータである。つまり、映像処理アプリケーション202は、複数のメディアデータ31,32を多重化したマルチメディアデータmdatをチャンク単位で生成する。以降の処理においても、チャンク単位でそれぞれの処理が施される。
【0062】
次いで、映像処理アプリケーション202は、生成されたチャンクに対応するメタデータmoovを生成する(ステップS103)。映像処理アプリケーション202は、生成されたチャンクに対応するメタデータmoovとして、例えば、マルチメディアデータmdat内での当該チャンクの位置を示すアドレス(オフセット)をstcoに記述する。
【0063】
また、映像処理アプリケーション202は、生成されたチャンクをローカル鍵を用いて暗号化する(ステップS104)。映像処理アプリケーション202は、暗号化されたチャンクを暗号化バッファ33に格納する(ステップS105)。
【0064】
そして、映像処理アプリケーション202は、格納されたチャンクが、入力された複数のメディアデータ31,32を多重化して生成される、最後のチャンクであるかどうかを判定する(ステップS106)。すなわち、映像処理アプリケーション202は、入力された複数のメディアデータ31,32のそれぞれから所定の処理単位のデータを読み出して多重化したマルチメディアデータmdatを生成する処理、及びマルチメディアデータmdatに対応するメタデータmoovを生成する処理が完了したかどうかを判定する。
【0065】
格納されたチャンクが最後のチャンクでない場合(ステップS106のNO)、映像処理アプリケーション202は、ステップS102以降の処理を行う。つまり、映像処理アプリケーション202は、次のチャンクを生成し、このチャンクに対して所定の処理を施す。
【0066】
格納されたチャンクが最後のチャンクである場合(ステップS106のYES)、映像処理アプリケーション202は、生成されたメタデータmoovを出力メディア34に格納する(ステップS107)。
【0067】
次いで、映像処理アプリケーション202は、暗号化バッファ33に格納されたチャンクを読み出して復号する(ステップS108)。映像処理アプリケーション202は、出力メディア34に格納されたメディア鍵34Aを用いてタイトル鍵を生成し、このタイトル鍵を用いて、復号されたチャンクを暗号化する(ステップS109)。つまり、映像処理アプリケーション202は、タイトル鍵で暗号化されたマルチメディアデータmdatをチャンク単位で生成する。映像処理アプリケーション202は、タイトル鍵で暗号化されたチャンクを出力メディア34へ格納する(ステップS110)。
【0068】
そして、映像処理アプリケーション202は、出力メディア34に格納されたチャンクが、暗号化バッファ33に格納された最後のチャンクであるかどうかを判定する(ステップS111)。すなわち、映像処理アプリケーション202は、マルチメディアデータmdatに含まれるチャンクが全て、タイトル鍵で暗号化され、出力メディア34に格納されたかどうかを判定する。
【0069】
出力メディア34に格納されたチャンクが最後のチャンクでない場合(ステップS111のNO)、映像処理アプリケーション202は、ステップS108以降の処理を行う。つまり、映像処理アプリケーション202は、暗号化バッファ33から次のチャンクを読み出し、このチャンクに対して所定の処理を施す。
【0070】
出力メディア34に格納されたチャンクが最後のチャンクである場合(ステップS111のYES)、映像処理アプリケーション202は処理を終了する。
【0071】
以上の処理により、ストリーミング再生に対応するため、メタデータmoovがマルチメディアデータmdatよりも前に配置されたMP4ファイルを作成する場合に、バッファリングされるマルチメディアデータmdatを暗号化して暗号化バッファ33に格納することで、マルチメディアデータmdatを保護し、安全にMP4ファイルを作成することができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、メタデータとメディアデータが順に配置されたファイルを安全に作成できる。
【0073】
本実施形態の情報処理装置10は、ストリーミング再生に対応するため、メタデータmoovがマルチメディアデータmdatよりも前に配置されたMP4ファイルを作成する。その際、バッファリングされるマルチメディアデータmdatを暗号化して暗号化バッファ33に格納することで、マルチメディアデータmdatを保護し、安全にMP4ファイルを作成することができる。また、上述の処理を用いて、コピー回数制御(ムーブ・ダビング10等)を容易に行うことができる。
【0074】
また、ローカル暗号化部36において、出力メディア34に格納されたメディア鍵34Aを用いてマルチメディアデータmdatを暗号化することにより、マルチメディアデータmdatを保護するための安全性をより高めることができる。さらに、ローカル暗号化部36において、メディア鍵34Aから作成されたタイトル鍵を用いてマルチメディアデータmdatを暗号化し、暗号化されたデータを直接、外部記憶媒体へ格納することにより、処理量を削減できる。つまり、複数のエレメンタリーストリームを多重化して暗号化したマルチメディアデータmdatを含み、且つストリーミング再生に対応したMP4ファイルを外部記憶媒体に格納する処理にかかる時間を短縮することができる。
【0075】
なお、本実施形態の映像コンテンツデータ格納処理の手順は全てソフトウェアによって実行することができる。このため、映像コンテンツデータ格納処理の手順を実行するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0076】
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0077】
202…映像処理アプリケーション、31…入力メディア1、32…入力メディアn、33…暗号化バッファ、34…出力メディア、34A…メディア鍵、35…多重化処理部、36…ローカル暗号化部、37…ローカル復号部、38…メタデータ生成部、39…暗号化出力部、40…メディア暗号化部、41…データ格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメディアデータを多重化した多重化メディアデータを所定の処理単位のデータ毎に生成する多重化手段と、
前記多重化メディアデータに対応するメタデータを前記所定の処理単位のデータ毎に生成するメタデータ生成手段と、
前記所定の処理単位のデータを第1鍵データを用いて暗号化した第1暗号化メディアデータを生成するローカル暗号化手段と、
前記第1暗号化メディアデータを記憶装置に格納するバッファリング手段と、
前記多重化メディアデータに対応するメタデータが全て生成されたことに応答して、前記第1暗号化メディアデータを前記記憶装置から読み出し、前記第1暗号化メディアデータを復号する復号手段と、
前記復号された第1暗号化メタデータを第2鍵データを用いて暗号化した第2暗号化メディアデータを生成するメディア暗号化手段と、
前記メタデータと前記第2暗号化メディアデータとを外部記憶媒体に格納するデータ格納手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1鍵データは、前記情報処理装置内に格納されているローカル鍵であり、
前記第2鍵データは、前記外部記憶媒体に格納されているメディア鍵を用いて作成されたタイトル鍵であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1鍵データは、前記外部記憶媒体に格納されているメディア鍵であり、
前記第2鍵データは、前記外部記憶媒体に格納されているメディア鍵を用いて作成されたタイトル鍵であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1鍵データは、前記外部記憶媒体に格納されているメディア鍵を用いて作成されたタイトル鍵であり、
前記データ格納手段は、前記多重化メディアデータに対応するメタデータが全て生成されたことに応答して、前記第1暗号化メディアデータを前記記憶装置から読み出し、前記メタデータと前記読み出した第1暗号化メディアデータとを前記外部記憶媒体に格納することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記バッファリング手段は、前記第1暗号化メディアデータを前記外部記憶媒体に格納することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数のメディアデータを多重化した多重化メディアデータを所定の処理単位のデータ毎に生成する多重化ステップと、
前記多重化メディアデータに対応するメタデータを前記所定の処理単位のデータ毎に生成するメタデータ生成ステップと、
前記所定の処理単位のデータを第1鍵データを用いて暗号化した第1暗号化メディアデータを生成するローカル暗号化ステップと、
前記第1暗号化メディアデータを記憶装置に格納するバッファリングステップと、
前記多重化メディアデータに対応するメタデータが全て生成されたことに応答して、前記第1暗号化メディアデータを前記記憶装置から読み出し、前記第1暗号化メディアデータを復号する復号ステップと、
前記復号された第1暗号化メタデータを第2鍵データを用いて暗号化した第2暗号化メディアデータを生成するメディア暗号化ステップと、
前記メタデータと前記第2暗号化メディアデータとを外部記憶媒体に格納するデータ格納ステップとを具備することを特徴とする映像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−8525(P2011−8525A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151251(P2009−151251)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】