説明

情報処理装置

【課題】緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得することができるようにする。
【解決手段】本発明の情報処理装置に適用可能携帯電話機においては、少なくとも1つ以上の筐体と、筐体に対して案内体を介して面方向にスライド可能な防犯用スイッチ16と、防犯用スイッチ16の端部16aに設けられるGPS用アンテナと、GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信するGPS受信部とを備え、防犯用スイッチ16が押下された場合、防犯用スイッチが面方向にスライドされ、GPS用アンテナが筐体からスライド量に対応する距離離れた状態で、GPS受信部は、GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に係り、特に、GPS受信部を用いて現在地の位置情報を取得することができるようにした情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子供などを狙った略取誘拐などの犯罪が増加しており、子供をこれらの犯罪から未然に守るために、例えば防犯機能が搭載された携帯電話機が提案されている。このような防犯機能付きの携帯電話機の中には、緊急・非常事態発生時に、この携帯電話機の現在地の位置情報を外部に送信する位置情報自動送信機能が搭載された携帯電話機なども提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に提案されている技術によれば、災害や犯罪などの不慮の緊急時に遭遇した場合、被害者に対する救助活動および支援を迅速かつ適切に行うことができる。
【0004】
なお、携帯電話機に搭載された位置情報自動送信機能は、緊急・非常事態発生時以外の通常時(例えば人との待ち合わせや仕事などでの利用時など)にも用いられる。
【特許文献1】特開2004−23709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、緊急・非常事態発生時などに、弱電界環境またはマルチパス環境(すなわち、複数の通信経路から電波が到達することによって電波の出力に影響を与えるマルチパス干渉が発生しうる環境)では、GPS受信部によるGPS測位の精度が劣化してしまい、GPS測位に基づく位置情報を取得するのに時間がかかってしまうだけでなく、正確な現在地の測位が困難となってしまうという課題があった。そのため、このような環境下では、緊急・非常事態発生時などにおいて、GPS測位に基づく位置情報を十分に信頼することができず、GPS測位に基づく位置情報の精度の安全性が問題となる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、上述した課題を解決するために、少なくとも1つ以上の筐体と、筐体に対して案内体を介して面方向にスライド可能な防犯用スイッチと、防犯用スイッチの端部に設けられるGPS用アンテナと、GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信する受信手段とを備え、防犯用スイッチが面方向にスライドされた場合、GPS用アンテナが筐体からスライド量に対応する距離離れた状態で、受信手段は、GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信することを特徴とする。
【0008】
本発明の情報処理装置は、上述した課題を解決するために、少なくとも1つ以上の筐体と、筐体に設けられる防犯用スイッチと、第1のGPS用アンテナまたは第2のGPS用アンテナを介して、GPS測位に基づく位置情報を受信する受信手段と、受信手段によりGPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを、第1のGPS用アンテナと第2のGPS用アンテナとのいずれかに切り替える切り替え制御信号を生成する切り替え制御信号生成手段と、切り替え制御信号生成手段により生成された切り替え制御信号に基づいて、受信手段によりGPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを、第1のGPS用アンテナと第2のGPS用アンテナとのいずれかに切り替える切り替え手段とを備え、防犯用スイッチが押下された場合、切り替え手段は、受信手段によりGPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを第2のGPS用アンテナに切り替え、受信手段は、第2のGPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図1(A)と図1(B)は、本発明第1実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機1の外観斜視図である。図1(A)および(B)に示されるように、携帯電話機1は、中央のヒンジ部11を境に第1の筐体12と第2の筐体13とがヒンジ結合されており、ヒンジ部11を介して矢印X方向に開閉可能(折り畳み可能)に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図4のアンテナ31)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して図示せぬ基地局との間で電波を送受信する。また、第2の筐体の中央の位置には、外部に音声を出力する音声出力手段としてのスピーカ14が設けられている。さらに、第1の筐体には、携帯電話機1の操作を行うサイドキー15が設けられている。
【0012】
また、第2の筐体13の所定の位置には、防犯ブザースイッチ16が設けられており、この防犯ブザースイッチ16にはプルトップ式タブ17が装着されている。プルトップ式タブ17が防犯ブザースイッチ16に装着される場合、プルトップ式タブ17が、防犯ブザースイッチ16の開口部Mに巻き付けられる。図1(B)に示されるように、防犯ブザースイッチ16に装着されたプルトップ式タブ17が矢印P方向に引っ張られると、防犯ブザースイッチ16は図示せぬ案内体(ガイド体)を介して第2の筐体13に対して面方向にスライドされる。そのとき、防犯ブザースイッチ16の押下(スライド)に伴い、防犯ブザーがスピーカ14から出力される。なお、図1(A)に示されるように、防犯ブザースイッチ16は、ユーザにより矢印P方向の逆方向にスライドされて引き上げられることで、第2の筐体13に装着されて元の位置に戻る。このとき、スピーカ14からの防犯ブザーの出力は停止する。この防犯ブザースイッチ16の端部(開口部M近傍の端部16a)には、GPS受信部のGPSアンテナ(図2のGPS用アンテナ18)が内蔵される。
【0013】
図2および図3は、図1の携帯電話機1の第2の筐体13の断面図である。なお、図2は図1(A)に示される携帯電話機1の第2の筐体13の断面図であり、図3は図1(B)に示される携帯電話機1の第2の筐体13の断面図である。図2および図3に示されるように、防犯ブザースイッチ16の端部16aの所定の位置には、1つのICチップから構成されるGPS用アンテナ18が内蔵されている。
【0014】
図4は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機1の内部の構成を表している。図示せぬ基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ31で受信された後、アンテナ共用器(DUP)32を介して受信回路(RX)33に入力される。受信回路33は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)34から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路33は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号の周波数は、制御部41から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0015】
受信回路33からの受信ベースバンド信号は、CDMA信号処理部36に入力される。CDMA信号処理部36は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調停された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0016】
圧縮伸張処理部37は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、CDMA信号処理部36から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によりメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのに対してそれぞれ復号処理を行う。例えば通話モードにおいては、受信パケットデータに含まれる通話音声などに対応するオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、例えばテレビ電話モードなどのように、受信パケットデータに動画像データが含まれていれば、この動画像データをビデオコーデックにより復号する。さらに、受信パケットデータがダウンロードコンテンツであれば、このダウンロードコンテンツを伸張した後、伸張されたダウンロードコンテンツを制御部41に出力する。
【0017】
復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCMコーデック38に供給される。PCMコーデック38は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器39に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器39にて増幅された後、レシーバ19により出力される。
【0018】
圧縮伸張処理部37によりビデオコーデックにて復号されたディジタル動画像信号は、制御部41に入力される。制御部41は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタル動画像信号に基づく動画像を、図示せぬビデオRAM(例えばVRAMなど)を介してメインディスプレイ22に表示させる。なお、制御部41は、受信された動画像データだけでなく、CCDカメラ24により撮像された動画像データに関しても、図示せぬビデオRAMを介してメインディスプレイ22に表示させることも可能である。
【0019】
また、圧縮伸張処理部37は、受信パケットデータが電子メールである場合、この電子メールを制御部41に供給する。制御部41は、圧縮伸張処理部37から供給された電子メールを記憶部42に記憶させる。そして、制御部41は、ユーザによる入力部としての操作キー21の操作に応じて、記憶部42に記憶されているこの電子メールを読み出し、読み出された電子メールをメインディスプレイ22に表示させる。
【0020】
一方、通話モードにおいて、マイクロフォン20に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器40により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック38によりPCM符号化される。このPCM符号化後のディジタルオーディオ信号は、圧縮伸張処理部37に入力される。また、CCDカメラ24から出力される動画像信号は、制御部41によりディジタル化されて圧縮伸張処理部37に入力される。さらに、制御部41にて作成されたテキストデータである電子メールも、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0021】
圧縮伸張処理部37は、PCMコーデック38から出力されたディジタルオーディオ信号を所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。これにより、オーディオデータが生成される。また、圧縮伸張処理部37は、制御部41から出力されたディジタル動画像信号を圧縮符号化して動画像データを生成する。そして、圧縮伸張処理部37は、これらのオーディオデータや動画像データを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータをCDMA信号処理部36に出力する。なお、圧縮伸張処理部37は、制御部41から電子メールが出力された場合にも、この電子メールを送信パケットデータに多重化する。
【0022】
CDMA信号処理部36は、圧縮伸張処理部37から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)35に出力する。送信回路35は、スペクトラム拡散処理後の信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路35は、ディジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路35は、制御部41により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器32を介してアンテナ31に供給され、このアンテナ31から基地局3aに向けて送信される。
【0023】
また、携帯電話機2は、外部メモリインタフェース45を備えている。この外部メモリインタフェース45は、メモリカード46を着脱することが可能なスロットを備えている。メモリカード46は、NAND型フラッシュメモリカードやNOR型フラッシュメモリカードなどに代表されるフラッシュメモリカードの一種であり、10ピン端子を介して画像や音声、音楽等の各種データの書き込み及び読み出しが可能となっている。さらに、携帯電話機1には、現在の時刻を測定する時計回路(タイマ)47が設けられている。
【0024】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部42からRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機2を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0025】
記憶部42は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部41のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。
【0026】
電源回路44は、バッテリ43の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0027】
また、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、GPS用アンテナ18で受信される。このGPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報はCDMA信号処理部36を経由して制御部41に入力される。そして、制御部41にて、取得されたGPS情報を用いて、携帯電話機1の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)が計算され(例えば3つ乃至4つのGPS情報から計算することが望ましい)、携帯電話機1の現在地を示す位置情報が求められる。なお、このGPS情報に基づいて求められる位置情報として、緯度経度を取得することが一般的であるが、更に緯度経度に対応した住所情報を取得するようにしてもよい。緯度経度や、緯度経度に対応した住所情報を取得する際には、外部のサーバ(図示せず)などにアクセスして住所情報を得るようにしてもよい。従って、「位置情報」とはGPS情報から計算された位置情報(例えば緯度経度情報)や、その情報に対応する住所情報などの情報も含むものとする。
【0028】
図5は、図4の受信回路33の内部の概略的な構成を表している。図5に示されるように、GPS用アンテナ18にて受信されたGPS波(GPS情報)は、受信回路33の整合回路48に入力される。整合回路48は、インピーダンスの異なる回路での伝送特性を向上させるために用いられる素子であり、GPS用アンテナ18からのGPS波(GPS情報)のインピーダンス整合処理が行われる。インピーダンス整合処理後のGPS波は、GPS用受信回路49に出力され、GPS用受信回路49にてGPS波(GPS情報)が受信される。
【0029】
図6のフローチャートを参照して、図4の携帯電話機1におけるGPS測位に基づく位置情報取得処理について説明する。
【0030】
ステップS1において、制御部41は、メインディスプレイ22を制御し、メインディスプレイ22上に待ち受け画面を表示させる。メインディスプレイ22は、制御部41の制御に従い、待ち受け画面を表示する。ステップS2において、制御部41は、ユーザにより防犯ブザースイッチ16が押下されたか否か(防犯ブザースイッチ16に装着されたプルトップ式タブ17が矢印P方向に引っ張られ、防犯ブザースイッチ16が第2の筐体13からスライドされたか否か)を判定する。
【0031】
ステップS2において制御部41がユーザにより防犯ブザースイッチ16が押下されていないと判定した場合、制御部41はステップS3で、緊急・非常事態時以外の通常時であると認識する。ステップS4において、制御部41は、ユーザにより操作キー21が操作されることにより、GPS測位に基づく位置情報を取得するとの指示が待ち受け画面上または設定画面上などにて受け付けられたか否かを判定する。ステップS4において制御部41が、GPS測位に基づく位置情報を取得するとの指示が待ち受け画面上または設定画面上などにて受け付けられていないと判定した場合、処理はステップS2に戻り、ステップS2以降の処理が繰り返し実行される。
【0032】
一方、ステップS4において制御部41が、GPS測位に基づく位置情報を取得するとの指示が待ち受け画面上または設定画面上などにて受け付けられたと判定した場合、制御部41がステップS5で、GPS受信部(図5のGPS受信部)を起動し、通常のGPS測位に基づく位置情報を受信する。具体的には、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、GPS用アンテナ18で受信される。このGPS情報には、例えばそれぞれのGPS衛星からの発信時刻情報が含まれている。その後、このGPS情報はCDMA信号処理部36を経由して制御部41に入力される。ステップS6において、制御部41は、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)を取得し、取得されたGPS情報を用いて、携帯電話機1の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し、携帯電話機1の現在地を示す位置情報を求める。
【0033】
ステップS7において、制御部41は、メインディスプレイ22を制御し、GPS測位に基づく位置情報をメインディスプレイ22に表示させる。メインディスプレイ22は、制御部41の制御に従い、GPS測位に基づく位置情報を表示する。これにより、ユーザは、携帯電話機1の現在地を知ることができる。
【0034】
一方、ステップS2において制御部41がユーザにより防犯ブザースイッチ16が押下されたと判定した場合、制御部41はステップS8で、緊急・非常事態時であると認識する。このとき、スピーカ14からは防犯ブザーが出力される。ステップS9において、制御部41は、GPS受信部(図5のGPS受信部)を起動し、高利得のGPS測位に基づく位置情報を受信する。具体的には、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、GPS用アンテナ18で受信される。このとき、緊急・非常事態時に、防犯ブザースイッチ16に装着されたプルトップ式タブ17が矢印P方向に引っ張られ、防犯ブザースイッチ16が第2の筐体13からスライドされると、例えば図1(B)に示されるように、GPS用アンテナ18が第2の筐体13からスライド量に対応する距離離れる。これにより、防犯ブザースイッチ16が第2の筐体13の所定の位置に装着されている場合(通常のGPS測位に基づく位置情報の受信の場合)に比べて、GPS用アンテナ18にてGPS波(GPS情報)を受信する際の受信空間(受波空間)をより広く確保することが可能となることから、GPS用アンテナ18の利得を向上させることができる。その結果、通常の利得を有するGPS用アンテナを用いた場合であっても、緊急・非常事態時に、防犯ブザースイッチ16が第2の筐体13の所定の位置に装着されている場合に比べて、GPS測位の精度を向上させることができる。
【0035】
その後、このGPS情報はCDMA信号処理部36を経由して制御部41に入力される。
【0036】
ステップS6において、制御部41は、高利得のGPS情報を取得し、取得された高利得のGPS情報を用いて、携帯電話機1の現在地を示す位置情報(緯度経度の情報)を計算し、携帯電話機1の現在地を示す位置情報(高利得のGPS測位に基づく位置情報)を求める。
【0037】
ステップS11において、制御部41は、GPS測位に連動して、高利得のGPS測位に基づく位置情報を用いてメールを作成し、作成されたメールをCDMA信号処理部36、アンテナ31などを介して他の携帯電話機1などに送信する。なお、このとき、高利得のGPS測位に基づく位置情報を用いて他の携帯電話機1に発信処理を行い、他の携帯電話機1のユーザに対して高利得のGPS測位に基づく位置情報を音声にて通知するようにしてもよい。
【0038】
本発明の実施形態においては、少なくとも1つ以上の筐体(例えば第2の筐体など)と、筐体に対して案内体を介して面方向にスライド可能な防犯用スイッチ16と、防犯用スイッチ16の端部に設けられるGPS用アンテナ18と、GPS用アンテナ18を介してGPS測位に基づく位置情報を受信し、防犯用スイッチ16が押下された場合、防犯用スイッチ16が面方向にスライドされ、GPS用アンテナ18が第2の筐体13からスライド量に対応する距離離れた状態で、GPS用アンテナ18を介してGPS測位に基づく位置情報を受信することができる。また、受信されたGPS測位に基づく位置情報を用いて、メールを送信することができる。
【0039】
これにより、緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得することができる。従って、緊急・非常事態発生時などに、弱電界環境またはマルチパス環境であっても、GPS受信部によるGPS測位の精度の劣化を抑制することができ、GPS測位に基づく位置情報を取得するのにかかる時間を短縮することができる。また、このような環境下であっても、緊急・非常事態発生時などのGPS測位に基づく位置情報の精度の安全性を確保することができる。その結果、GPS受信部を用いる際の利便性を向上させることができる。
【0040】
ところで、本発明の第1実施形態においては、通常の利得を有するGPS用アンテナ18を防犯ブザースイッチ16の端部16aに設けるようにして、緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得できるようにしたが、このような場合に限られず、例えば予め第1の筐体12または第2の筐体13に、通常の利得を有するGPS用アンテナ18と、異なる材質を用いて高利得を得られる高利得GPS用アンテナ18の2つのアンテナを設けるようにし、緊急・非常事態発生時に高利得GPS用アンテナ18切り替えるようにしてもよい。以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0041】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機1の内部の構成を表している。なお、本発明の第2実施形態に係る携帯電話機1の外観の構成は、図1と基本的には同様であり、その説明は省略する。但し、本発明の第2実施形態の場合、本発明の第1実施形態と異なり、図2および図3に示されるようにGPS用アンテナ18は防犯ブザースイッチ16の端部16aには設けられておらず、第1の筐体12または第2の筐体13のいずれかの位置に内蔵されている。また、本発明の第2実施形態においては、防犯ブザースイッチ16はスライド式のもの以外に、ボタン式のスイッチなどを含めた種々のスイッチを適用することが可能である。さらに、図7の構成は、基本的には図4の構成と同様であり、対応するものについては同一の符号を付している。
【0042】
図7の場合、通常利得GPS用アンテナ18−1と高利得GPS用アンテナ18−2の2つのアンテナが設けられており、図示せぬGPS衛星からのGPS波(GPS情報)は、必要に応じて2つのアンテナが切り替えられて、通常利得GPS用アンテナ18−1と高利得GPS用アンテナ18−2のいずれかで受信される。
【0043】
図8は、図7の受信回路33の内部の概略的な構成を表している。図8の受信回路33は、図5の受信回路33と基本的には同様であるが、図5の受信回路33とは異なり、通常利得GPS用アンテナ18−1と高利得GPS用アンテナ18−2のいずれかに切り替えるための切り替えスイッチ50がさらに設けられており、制御部41からの切り替え制御信号に基づいて、切り替えスイッチ50が切り替えられる。通常利得GPS用アンテナ18−1または高利得GPS用アンテナ18−2にて受信されたGPS波(GPS情報)は、受信回路33の整合回路48に入力される。
【0044】
図9のフローチャートを参照して、図7の携帯電話機1におけるGPS測位に基づく位置情報取得処理について説明する。なお、図9のステップS21乃至S24、ステップS27乃至S30、およびステップS33乃至S35の処理は、図6のステップS1乃至S11と同様であり、その説明は繰り返しになるので適宜省略する。
【0045】
ステップS24において制御部41が、GPS測位に基づく位置情報を取得するとの指示が待ち受け画面上または設定画面上などにて受け付けられたと判定した場合、制御部41はステップS25で、GPSアンテナ18を、通常利得GPS用アンテナ18−1に切り替えるための切り替え制御信号を生成し、生成された切り替え制御信号をGPS受信部の切り替えスイッチ50に出力する。ステップS26において、切り替えスイッチ50は、制御部41から供給された切り替え制御信号に基づいて、GPSアンテナ18を、通常利得GPS用アンテナ18−1に切り替える。その後、処理はステップS27に進み、ステップS27以降において通常のGPS測位に基づく位置情報の取得処理が実行される。
【0046】
一方、ステップS31において、制御部41は、GPSアンテナ18を、高利得GPS用アンテナ18−2に切り替えるための切り替え制御信号を生成し、生成された切り替え制御信号をGPS受信部の切り替えスイッチ50に出力する。ステップS32において、切り替えスイッチ50は、制御部41から供給された切り替え制御信号に基づいて、GPSアンテナ18を、高利得GPS用アンテナ18−2に切り替える。その後、処理はステップS33に進み、ステップS33以降において緊急・非常事態時における高利得のGPS測位に基づく位置情報の取得処理が実行される。
【0047】
これにより、緊急・非常事態発生時に、GPS受信部を用いて現在地の高精度な位置情報を取得することができる。従って、緊急・非常事態発生時などに、弱電界環境またはマルチパス環境であっても、GPS受信部によるGPS測位の精度の劣化を抑制することができ、GPS測位に基づく位置情報を取得するのにかかる時間を短縮することができる。また、このような環境下であっても、緊急・非常事態発生時などのGPS測位に基づく位置情報の精度の安全性を確保することができる。その結果、GPS受信部を用いる際の利便性を向上させることができる。
【0048】
なお、本発明の第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて、例えば高利得GPS用アンテナ18−2を防犯ブザースイッチ16の端部16aに設けるようにして、緊急・非常事態時に、切り替え制御信号に基づいて高利得GPS用アンテナ18−2に切り替えるようにしてもよい。これにより、高利得GPS用アンテナ18−2の受信空間(受波空間)を確保して、高利得GPS用アンテナ18−2の利得をより向上させることがきる。
【0049】
なお、本発明は、携帯電話機1以外にも、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機、その他の情報処理装置にも適用することができる。
【0050】
また、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0051】
さらに、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(A)および(B)は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機の外観の構成を示す図。
【図2】図1(A)の携帯電話機の第2の筐体の断面図。
【図3】図1(B)の携帯電話機の第2の筐体の断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機の内部の構成を示すブロック図。
【図5】図4の受信回路の内部の概略的な構成を示すブロック図。
【図6】図4の携帯電話機におけるGPS測位に基づく位置情報取得処理を説明するフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置に適用可能な携帯電話機の内部の構成を示すブロック図。
【図8】図7の受信回路の内部の概略的な構成を示すブロック図。
【図9】図7の携帯電話機におけるGPS測位に基づく位置情報取得処理を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯電話機、11…ヒンジ部、12…第1の筐体、13…第2の筐体、14…スピーカ、15…サイドキー、16…防犯ブザースイッチ、16a…防犯ブザースイッチ16の端部、17…プルトップ式タブ、18−1…通常利得GPS用アンテナ、18−2…高利得GPS用アンテナ、19…レシーバ、20…マイクロフォン、21…操作キー、22…メインディスプレイ、23…サブディスプレイ、24…CCDカメラ、25…センサ群、31…アンテナ、32…アンテナ共用器(DUP)、33…受信回路(RX)、34…周波数シンセサイザ(SYN)、35…送信回路(TX)、36…CDMA信号処理部、37…圧縮伸張処理部、38…PCMコーデック、39…受話増幅器、40…送話増幅器、41…制御部、42…記憶部、43…バッテリ、44…電源回路、45…外部メモリインタフェース、46…メモリカード、47…時計回路、48…整合回路、49…GPS用受信回路、50…切り替えスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の筐体と、
前記筐体に対して案内体を介して面方向にスライド可能な防犯用スイッチと、
前記防犯用スイッチの端部に設けられるGPS用アンテナと、
前記GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信する受信手段とを備え、
前記防犯用スイッチが面方向にスライドされた場合、前記GPS用アンテナが前記筐体からスライド量に対応する距離離れた状態で、前記受信手段は、前記GPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記受信手段により受信された前記GPS測位に基づく位置情報を用いて、メールまたは発信を行う通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
少なくとも1つ以上の筐体と、
前記筐体に設けられる防犯用スイッチと、
第1のGPS用アンテナまたは第2のGPS用アンテナを介して、GPS測位に基づく位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記GPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを、前記第1のGPS用アンテナと前記第2のGPS用アンテナとのいずれかに切り替える切り替え制御信号を生成する切り替え制御信号生成手段と、
前記切り替え制御信号生成手段により生成された前記切り替え制御信号に基づいて、前記受信手段により前記GPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを、前記第1のGPS用アンテナと前記第2のGPS用アンテナとのいずれかに切り替える切り替え手段とを備え、
前記防犯用スイッチが押下された場合、前記切り替え手段は、前記受信手段により前記GPS測位に基づく位置情報を受信するアンテナを前記第2のGPS用アンテナに切り替え、前記受信手段は、前記第2のGPS用アンテナを介してGPS測位に基づく位置情報を受信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記受信手段により受信された前記GPS測位に基づく位置情報を用いて、メールまたは発信を行う通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2のGPS用アンテナは、高利得GPS用アンテナであることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−157741(P2009−157741A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336622(P2007−336622)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】