説明

情報処理装置

【課題】 電源の瞬断によってオプション装置の電源が落ちきる前に復帰してしまうこと防止する。
【解決手段】 操作部500が電源部700による電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるための操作を受け付けたことに応じて、操作を受け付けてからの経過時間をタイマ部800が計時し、タイマ部800が所定時間の経過を計時した場合に、電源部700による電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるよう制御部110が電源部700を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への関心の高まりとともに省電力につながる技術への対応が要求されてきている。それに伴い、今までは別電源だった各々のオプション装置も、コントローラと呼ばれる中央制御ユニットによって電源制御が可能になってきている。コントローラでは、スリープ、低電力、シャットダウン、再起動、など、省電力に結びつく様々な電源状態を作るとともに、各々のオプション装置の電源を適切に制御することが求められている。
【0003】
オプション装置の電源を制御するケースの一つである再起動の場合、コントローラからオプション装置の電源をOFF/ON制御する必要がある。しかし、電源はアナログ波形であり、コントローラからオプション装置に電源OFFの信号を送出した後、実際に電源が落ちるまでの時間は各々のオプション装置によって異なっている。そのため、適切にOFFしないとオプション電源のアナログ波形が落ちきる前に起動処理されてしまい、オプション装置が異常動作する原因になる。
【0004】
問題のある電源状態について、波形の図を使って述べる。オプション装置を考慮せず、電源を制御するコントローラボードへのリセット信号で電源が瞬断した場合、オプション装置の電源を制御するデジタル信号波形は、ごく短時間だけLo/High(=OFF/ON)される。その場合、オプション装置の電源や電荷状態によって、実際のアナログ電源波形は少しの電圧低下が起こるだけで、電源が完全におちきった状態にならずに起動してしまう。これにより、例えば画像形成装置のUIパネルは表示が固まったように見えてしまったり、例えば画像形成装置のプリンタエンジンは印刷動作を再開できなかったりしてしまう弊害が起こっていた。つまり、オプション装置は、電源瞬断により電源が落ちきる前に起動してしまうため、正しくハードにリセットがかからず動作が不定になることがあった。
【0005】
電源瞬断につながる、シャットダウンと起動の制御方法について、次の先行技術がある。
【0006】
特許文献1は、自動シャットダウン方法で、電源スイッチがOFFになった時にシャットダウン処理に要する時間を計測してカウントダウンを開始し、時間経過後に電源スイッチがON状態だった場合はCPUにリセットをかけることで、電源OFFせずに再起動する方法である。それに対して本提案は、リモート電源(プリンタエンジン、スキャナ、フィニッシャ等のオプション装置の電源)をOFFした後にカウントダウンを開始し、オプション装置のアナログ電源波形が落ちきった後に再起動することで、オプション装置の電源を確実に落とす方法である。電源OFFをトリガにしてタイマを起動せず、リモート電源をOFFしたときをトリガにしてタイマを起動する点が異なる。
【0007】
特許文献2は、車載エンジン制御用の電源スイッチであり、2つのCPUにおいて片方のCPUが暴走したときに、遅延素子やウォッチドッグタイマーを用いて、もう片方のCPUからリセット信号を発行し、再起動する方法である。先行技術は再起動するための一方法であるが、本提案では他のCPUからリセット信号を発行するような動作は行わない。
【特許文献1】特開2002−73220号公報
【特許文献2】特許第3881177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上より、課題は、電源の瞬断によってオプション装置の電源が落ちきる前に復帰してしまうことにある。
【0009】
課題を解決するために、タイマを用いて、オプション装置のアナログ電源波形が落ちきることを確認してから再起動する。
【0010】
課題を解決する電源状態について、波形の図を使って述べる。オプション装置を考慮して、電源を制御するコントローラボードへのリセット信号で電源が瞬断した場合、オプション装置の電源を制御するデジタル信号波形は、Lo(=電源OFF)したあと、オプション装置のアナログ電源波形が落ちきるまで待ってHigh(=ON)される。その場合、実際のアナログ電源波形は完全におちきった状態になって起動される。つまり、オプション装置は、電源瞬断により電源が落ちきった後に起動できるため、正しくハードにリセットをかけることができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、電源手段と、該電源手段を制御可能な制御手段と、前記電源手段による電源供給状態を切り替えるためのスイッチ手段と、前記スイッチ手段が前記電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるための操作を受け付けたことに応じて、前記操作を受け付けてからの経過時間を計時するタイマ手段と、前記タイマ手段が所定時間の経過を計時した場合に、前記電源手段による電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるよう前記電源手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電源瞬断により電源が落ちきった後に起動できるため、正しくハードにリセットをかけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の詳細を実施の形態の記述に従って説明する。
【0014】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる情報処理装置としての画像入出力システム100の構成を示すものである。
【0016】
図1の画像入出力システム100のうち制御部110は、リーダー部200、プリンタ部300、操作部500、HDD(ハードディスクドライブ)600、電源部700、タイマ部800、スイッチ部900と電気的に接続され、さらにネットワーク400を介して、ホストコンピュータ410、420と接続されている。
【0017】
リーダー部(画像入力装置)200は、原稿画像を光学的に読み取り、画像データに変換する。リーダー部200は、原稿を読取るための機能を持つスキャナユニット210と、原稿用紙を搬送するための機能を持つ原稿給紙ユニット220(以下フィーダと呼ぶ)とで構成される。
【0018】
プリンタ部(画像出力装置)300は、記録紙を搬送し、その上に画像データを可視画像として印字して装置外に排紙する。プリンタ部300は、複数種類の記録紙カセットを持つ給紙ユニット310と、画像データを記録紙に転写、定着させる機能を持つマーキングユニット320と、印字された記録紙をソート、ステイプルして機外へ出力する機能を持つ排紙ユニット330とで構成される。
【0019】
制御部110は、リーダー部200を制御して、原稿の画像データを読込み、プリンタ部300を制御して画像データを記録用紙に出力してコピー機能を提供する。また、リーダー部200から読取った画像データを、コードデータに変換し、ネットワーク400を介してホストコンピュータへ送信するスキャナ機能、ホストコンピュータからネットワーク400を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部300に出力するプリンタ機能、送受信した画像データをHDD600に蓄積する文書保存機能を提供する。制御部110は、電源部700を制御し、リーダ200、プリンタ部300、操作部500、HDD600などの各ユニットと、制御部110の電源を制御する。制御部110は、スイッチ部900の状態を把握する。
【0020】
本実施形態では、シャットダウン処理が終わった後に再起動するパターンだった場合は、オプション装置の電源が落ちきることを確認してから再起動する。
【0021】
図2は、第1実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。
【0022】
ユーザから操作されるハードウェアスイッチ(ハードスイッチと呼ぶ)と、プログラム制御可能なソフトウェアスイッチ(ソフトスイッチと呼ぶ)の二系統のスイッチがあるシステムで考える。ハードスイッチとソフトスイッチがON状態で開始する。ユーザからハードスイッチをOFFされると、システムはシャットダウン処理を開始する。シャットダウン処理中に、ユーザからハードスイッチをONされたあと、シャットダウン処理を完了する。その後、ハードスイッチの状態を確認し、ハードスイッチがON状態だった場合は、オプション装置の電源をOFFして、カウントダウンを開始する。カウントダウンの途中でハードスイッチがOFFされた場合はすぐに電源断し、カウントダウンが完了した場合はソフトスイッチをOFFしてフリーズ状態にし、ウォッチドッグタイマによってリセット(瞬断)し、再起動する。
【0023】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。
【0024】
第2実施形態では、シャットダウン処理が終わった後に再起動するパターンだった場合は、オプション電源が落ちきる時間をタイマ設定して、スリープ状態にして、タイマ割り込み(スリープ復帰要因)によって復帰する方法を述べる。この方法は、コントローラの電源とオプション装置の電源が同系統で、コントローラに供給される電源の電圧を下げないとオプション装置に供給される電源の電圧が下がらないシステムに用いることができる。
【0025】
ユーザから操作されるハードウェアスイッチ(ハードスイッチと呼ぶ)と、プログラム制御可能なソフトウェアスイッチ(ソフトスイッチと呼ぶ)の二系統のスイッチがあるシステムで考える。ハードスイッチとソフトスイッチがON状態で開始する。ユーザからハードスイッチをOFFされると、システムはシャットダウン処理を開始する。シャットダウン処理中に、ユーザからハードスイッチをONされたあと、シャットダウン処理を完了する。その後、ハードスイッチの状態を確認し、ハードスイッチがON状態だった場合は、オプション装置の電源をOFFして、スリープ復帰要因であるタイマを開始する。その後、スリープ状態に移行し、それに伴いオプション装置の電源がOFFされる。最後にタイマによって復帰し、起動を開始する。
【0026】
また、スリープ復帰要因が複数ある場合は、スリープ中にタイマ以外の復帰要因によって起動開始してしまうため、タイマ以外のスリープ復帰要因を無効にすることもできる。
【0027】
<第3実施形態>
図4は、第3実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。
【0028】
第3実施形態では、起動時の電源処理について説明する。起動時にハードスイッチがOFFされた場合、各デバイスの終了処理が行われた後に電源断される。しかし、HDDが起動処理されR/Wするまでの間に電源断された場合は、終了処理をしなくても電源断してもハードウェアが故障することは無い。HDDは、R/W中に電源断した場合、ヘッドがシリンダに接触して故障してしまうことがある。よって、HDDを含む終了処理をしなければいけないデバイスの起動処理が行われるまで、電源の強制断ができるようにする。
【0029】
ユーザから操作されるハードウェアスイッチ(ハードスイッチと呼ぶ)と、プログラム制御可能なソフトウェアスイッチ(ソフトスイッチと呼ぶ)の二系統のスイッチがあるシステムで考える。ハードスイッチとソフトスイッチがON状態で開始する。まず、ソフトスイッチをOFFした後に、終了処理が必要ないデバイスの起動処理が行われる。その最中にハードスイッチOFFを検知した場合、電源断される。次に、HDDを含む、終了処理が必要な各デバイスの起動処理の前に、ソフトスイッチをONする。ソフトスイッチをONした後にハードスイッチがOFFされた場合は、第1実施形態、第2実施形態などの終了処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】画像入出力システム100の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。
【図3】第2実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。
【図4】第3実施形態における画像入出力システム100の動作を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源手段と、
該電源手段を制御可能な制御手段と、
前記電源手段による電源供給状態を切り替えるためのスイッチ手段と、
前記スイッチ手段が前記電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるための操作を受け付けたことに応じて、前記操作を受け付けてからの経過時間を計時するタイマ手段と、
前記タイマ手段が所定時間の経過を計時した場合に、前記電源手段による電源供給状態をオン状態からオフ状態に切り替えるよう前記電源手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−223384(P2009−223384A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64184(P2008−64184)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】