説明

情報監視処理システム

【課題】主にインターネットを介した取引において、状況を監視できない利用者のリスクを低減させる。また、利益を得る機会を拡大させる。
【解決手段】他のソフトウェアが取得する画面情報を監視するシステム構成とすることで、証券会社など特定の外部システムに依存しない自由な情報ソースを組み合わせて利用することを可能にする。さらに、取得した情報に対する整理手段と監視条件設定手段、および条件達成時の処理の設定手段を自由度の高いものとすることにより、利用者は実際に状況を監視していなくとも、それと同等以上の効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータ、携帯電話などの携帯端末、テレビジョン等の情報表示部位に対して設定された領域に含まれる情報を監視し、その情報に対して設定された条件に従って処理を行うシステムであって、有価証券取引、為替取引、不動産取引、インターネットオークション、ローカルエリアネットワークなどの状況に応じて変化する情報の監視および処理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティや通信速度などの面でインターネット技術が大きく進歩したことに伴い、インターネットを利用した取引も急速に拡大かつ多様化しつつある。とくに有価証券取引や為替取引においては、既にインターネットを利用した個人投資家による売買が全体の3割を超えていると言われ、非常に活況を呈している。インターネット証券取引を繰り返して生活する「デイトレーダー」と呼ばれる人々も急速に増加しているのが現状である。また、インターネットオークション市場も大きく拡大しており、最近は不動産や自動車、美術品等の高額商品も扱われるようになってきている。地方自治体などの公的な機関が、差し押さえ物品をオークションに出品するという例も見られるようになってきた。
【0003】
図1に、現在一般的なインターネット取引システムの概念図を示す。利用者はインターネットなどの情報通信ネットワークに接続された端末から、証券会社やオークション業者のシステムにアクセスし、取引情報の取得や発注条件の送信を行う。情報はインターネットを介して送受信されるという特性から、HTML(Hyper Text Markup Language)形式で記述されることが通常であるため、利用者はまず端末上でインターネット閲覧ソフトウェアを起動し、このソフトウェアを通じて各システムと情報のやり取りを行うのが一般的である。利用する証券会社が複数ある場合や、ニュースなどの情報も並行して見たい場合、オークションなど他の取引状況も確認したい場合には、それぞれ異なる複数の情報画面(ウィンドウ)に情報が提供されるため、利用者はこれらを切り替えながら情報を確認していく必要がある。なお、これらの複数のウィンドウの表示は、同一のソフトウェアによって行われる場合も多い。扱われる情報としては、取引される銘柄名や商品名、現在の取引価格、希望する取引価格とその件数などがあり、これらの情報はウィンドウ上で最新の内容に一定時間間隔で自動的に更新されるようになっている場合が多い。取引を希望する者は、これらの情報を目視で確認しながら、注文を出したり取り消すなどの処理を行い、できる限り有利な条件で取引を実現させようと努力する。
【0004】
証券会社によっては、以下の特許文献1および特許文献2に記述されているように、利用者があらかじめ設定した条件に基づいて自動発注を行うシステムを提供することにより、利用者の負担を軽減させている場合もある。
【特許文献1】特開2004−054643
【特許文献2】特開2004−054644 また、証券取引やインターネットオークションにおいて、自動発注だけでなく利用者が希望する情報の検索や、入札を行った結果を電子メールなどで通知するシステムを提供しているケースも見られる。これらについては、次の特許文献3および特許文献4を挙げることができる。
【特許文献3】特開2002−150042
【特許文献4】特開2004−94404
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、インターネットを介した取引が拡大している中で、これらの市場には大きなリスクが発生しつつある。例えば、デイトレーダーによる極めて短時間での売買行為が増加したことによって、株価の変動が非常に激しくなっている。これにより、取引の状況を常に監視できない者が大きな損失を被るリスクが発生している。これに付随して、自分が保有する銘柄の株価変動に不安を感じ、就業中であるにも関わらず携帯電話等で頻繁に株価を確認する人々も増加しているといわれる。実際、携帯電話を通じた売買注文が急激に増加しているとの報告もある。さらに、夜間取引をサービスとして行う証券会社もあり、夜間取引の導入を検討する証券取引所も現れるなど、取引時間の拡大という利便性の向上の反面で、株価変動への不安も増加する傾向にある。
【0006】
インターネットオークションも同様であって、当初は個人が所有する不要物を他者に販売することが主な目的であったものが、不動産や自動車、美術品のような高額商品に対してもサービスが拡大されたことにより、取引状況を常に監視できる者に対して、そうでない者は著しい不利益を被るリスクが発生しており、その取引の有効性を認めながらも、不安を感じている人々が多いのが現状である。
【0007】
特許文献1および特許文献2を参考例として挙げたように、証券会社によっては希望の指値以外に、想定した状況とは異なる状況に至った場合に別の指値での注文も自動的に発注されるという特殊な注文方法を用意することにより、取引情報を常に監視できない利用者のリスクを軽減しているところもある。例えば、一定以上に株価が下落した場合に自動的に保有株を売ってしまうなどの条件付き注文を可能にすることにより、損失を一定範囲内にとどめるリスク回避手段を提供することができるが、このようなサービスは一部の証券会社のみで利用可能であり、最近では特許化により証券会社が独自の注文方法を独占しようとする動向も見られるため、結果的に利用者にとって最適なリスク回避手段(の組み合わせ)が得られなくなる可能性もある。図1を用いて説明すれば、証券会社Aのシステムで利用できる条件指定方法と、証券会社Bのシステムで利用できる発注方法とを組み合わせる方法が、その利用者にとっては最適となるような場合である。さらに、このような特殊な注文方法があることを逆用し、大量の売り注文で意図的に株価を瞬時に下落させ、自動注文によって売られてさらに株価が下落したところを買い集めるという手法を利用する投資家が存在するなど、リスク回避手段としても必ずしも十分であるとはいえない。すなわち、自動的に発注が行われる条件が限られていると、株価が一方向に変動しやすく、かえってリスクを高めてしまうことにもなりかねないのである。
【0008】
さらにいえば、株式の売買には参加者の心理状態が大きく影響しているのが実際であり、短時間で勢いよく買われている場合には保有株を売るべきではなく、逆に急速に売られている場合にはできるだけ早く保有株を売りたいと判断することも多い。すなわち、同じ株価であっても相場の変動状況によって買うべきケースと売るべきケースが存在することになるが、このような相場の変動状況まで加味した売買条件を設定しようとすると、単純に希望する価格を条件として設定するだけでは到底不十分である。まして、そのような株価の変動がどのような情報に基づいて発生しているか確認できないままに取引を行うことは極めてリスクの高い行動であって、証券会社からの情報に基づいた条件設定だけでは不十分であることは明白である。
【0009】
また、リスク回避手段として有価証券の扱いのみでは不十分である場合もある。例えば為替相場が円高に振れると、海外輸出比率の高い企業の業績悪化が懸念され、株価が大きく下落する場合がある。このような企業の株式を保有する場合、同時に円を売ってドルを買っておくことで為替変動のリスクを回避できることになる。株式や為替の相場変動は、不動産や貴金属などの商品相場にも影響を与えることもあるため、リスクの回避手段は利用者の投資性向や資産状況によって千差万別であるといってもよい。したがって、一部の証券会社で利用できる限定された株式の発注方法のみで、各利用者が満足できるリスク回避条件を設定することは不可能に近いといってもよい。
【0010】
一方、市場が大きく拡大しているインターネットオークションにおいては、注目する商品の最高落札希望価格や入札数、取引の終了などの情報を、電子メールで通知するサービスを行っている運営者は存在しており、複数のオークションサイトから情報を検索して通知するサービスも考案されている。これらについては、背景技術において特許文献3および特許文献4を例として採りあげた。しかしながら実際の取引では、やはり途中の状況の変動を監視して、入札を取りやめたり希望金額を変更するような細かい設定が実行できなければ、なかなか希望通りの取引を実現できるものではない。さらには、複数のオークションサイトに参加している場合には、希望する同一の商品が複数のサイトで同時に出品される可能性もありうる。この場合、複数のサイトで同一の商品を落札してしまうという状況は、場合によっては支払いが不可能になるリスクもあるなど利用者にとって好ましいとはいえないが、それぞれのオークションサイトのシステムに依存した入札方法では十分な対応ができないという問題点がある。
【0011】
また、有価証券やオークションなどの取引において、取引状況を常に監視できる者にとっても、図1に示したように複数のウィンドウから提供される情報を切り替えながら把握および判断していく作業は決して容易なものではなく、何らかのミスが発生して大きな損失を被る可能性もある。最近では証券の誤発注により多額の損失が発生する例が相次ぐなど、取引に慣れている者であっても、数多くの情報を整理して的確に判断していく作業は容易ではないのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の情報監視処理システム(以下、「本システム」と表記する)は上記のような状況を鑑みて生み出されたものである。
まず、各証券会社やオークション業者等の取引システムごとに情報の内容や利用可能な注文方法が異なることにより、最適なリスク回避手段が得られないという課題については、それら外部のシステム上で情報監視や条件設定を実行する既存の方式ではなく、利用者側のコンピュータなどの端末で実行する方式にすればよい。具体的には、図2のようなシステム構成とする。図2において、利用者側の端末で外部ネットワークからの情報取得および表示を行うソフトウェアを起動し、実際に証券会社などの外部システムとの情報通信を実行するところは図1の一般的なシステムと同様である。この部分を変更せず利用することにより、既存のソフトウェアを利用したシステムに慣れた利用者でも、そのまま本システムに違和感をもつことなく利用することができる。
【0013】
一般的には、ここで得られる複数の情報画面(ウィンドウ)上の情報を利用者が切り替えながら監視および判断を行うことになるが、図2の本システムでは、これらのウィンドウと利用者の間に、外部システムからの情報を監視し、必要に応じて利用者が設定した条件に基づいて判断ならびに処理を行うための専用の情報監視処理ソフトウェア201を配置する。このような構成とする以上、通常利用される(監視対象となる)ソフトウェアは利用者側のコンピュータなどの端末上で動作するものが多いため、本システムの情報監視処理ソフトウェア201も利用者側の端末上で監視対象となるソフトウェアとともに動作する方式とすることが好ましい。この情報監視処理ソフトウェアは、外部ネットワークなどから他のソフトウェアが取得した時間変化する情報をコンピュータのディスプレイ上などに視覚的に表示する結果を監視することを第一の目的としており、利用者はあらかじめこの情報監視処理ソフトウェアを用いて、他のソフトウェア(本システムをまったく利用しない環境においても独立して動作しうるソフトウェア、の意)の各ウィンドウ上で監視したい情報領域を指定しておくことにより、複数のウィンドウを利用者が切り替えなくとも必要な情報のみを選択的に取得することができる。なお、利用者が設定する際には情報がディスプレイに表示されている方が扱いやすいが、実際の動作時には必ずしもディスプレイに表示されている必要はなく、利用者が求める情報の取得さえ可能であればよい。また、他のソフトウェアから取得した情報を本システムで利用者に対して表示する方式を採る場合もありうるので、必ずしも他のソフトウェアがディスプレイ上に視認できる形式で情報を表示する場合にしか本システムを利用できないというわけではない。
【0014】
さらに、このようにして取得した情報に対する監視条件を情報監視処理ソフトウェア上で設定し、その条件が満たされた場合の処理も利用者が指示しておくことにより、利用者が常に監視していなくとも、それと同等の効果を得ることができる。ここでいう処理とは、監視対象とした情報を利用して演算を実行する、他のソフトウェアの特定位置をクリックする、数値や文字を入力する、利用者に電子メールを送信するといった内容を意味しており、これが本システムの情報監視処理ソフトウェアの第二の目的である。実際には、他のソフトウェアの監視や動作処理においては、本システムの情報監視処理ソフトウェアからオペレーティングシステムに指示を出し、オペレーティングシステムが他のソフトウェアをコントロールする方式が通常であるが、この限りではない。
【0015】
重要なのは、このようなシステムを証券会社等の外部システム上ではなく利用者側の端末上で稼動させることにより、外部システムに求める機能を、必要情報の提供と最終動作指示を受信かつ実行することのみに限定できるということである。すなわち、図1のような一般的なシステムでは、利用者側の端末には状況に応じて判断や指示を実行するシステムが存在しないため、取引状況を確認できない利用者がリスクを回避しようとすれば、証券会社などの外部システムに対して条件を事前に設定しておく以外になく、これは証券会社などの外部システムがどのような情報提供や条件設定手段を用意しているかに大きく左右される。
【0016】
それに対し、図2のような本システムでは、情報の取得(監視)、選択、それに基づいた判断条件による指示といった処理を利用者側の端末で稼動する情報監視処理ソフトウェアで行うため、一部の証券会社などからの情報だけで不十分であれば、複数の証券会社や情報提供サイト、利用者自身が作成した情報ソースから情報を補足することも容易である。さらにそれらの情報に対する監視条件の設定やそれらに基づく処理の設定も、同じく利用者側の端末で稼動する情報監視処理ソフトウェアで実行できるため、証券会社などの外部システムがどのような条件設定手段や注文方法を提供しているかということは問題にならない。証券会社のシステムが一時的に機能停止してしまうような事故も頻発しているため、複数の外部システムから情報を取得したり発注を可能にしておくことも、リスク回避手段となる。また、既存のソフトウェアを動作させ、それを監視あるいは制御するという特徴により、利用者はいつでも本システムに関係なく、使い慣れた既存のソフトウェアを直接操作することによって外部システムと情報の送受信を行うことができる。これも緊急の場合のリスク回避手段としては有意義な特徴となる。
【0017】
上記のようなシステム構成は、リスク回避だけでなく、利用者の利益機会を拡大することにも貢献する。例えば株式の取引においては、希望する取引値になれば売買注文を行いたい銘柄が数種類あるという状況が通常である。しかしながら、買付余力が十分に残っていないなどの理由で、それらのうち一種類の銘柄にしか注文を発注できないということが多いのも事実である。この場合、取引状況を監視できる者であれば、数種類の候補の中から希望の条件に達したものを発見してその銘柄に注文を発注することができるのに対し、取引状況を監視できない者は、事前に予想して注文を発注した銘柄が希望条件に達しなければ、他の候補に挙げていた銘柄で希望条件に達したものがあっても、先の注文を取り消してその銘柄に注文を発注することはできない。この場合では、取引状況を監視できない者が損失を受けたわけではないが、利益を得る機会を逸していることになる。このとき本システムを利用すれば、あらかじめ注目していた各銘柄を監視させておき、その中から希望条件に達したものがあれば、先の注文を取り消してその銘柄に注文を発注するという処理が可能になるため、利用者の利益機会が拡大されることになるのである。
【0018】
同様に、インターネットオークションにおいても、本システムの構成は好都合である。例えば利用者が購入を希望する商品が複数のオークションサイトで同時に出品されたような場合、それら複数のサイトの情報を取得して判断を行い、利用者にとってより有利な取引が可能となるサイトに入札を行うという処理が可能となる。オークションサイトのシステムに依存した入札方法では、その他のサイトの情報を取得して判断するということは不可能であるから、その効果は非常に大きい。複数のサイトを監視し、利用者があらかじめ設定した条件を満たす情報を提供するというサービス形態においても、発注のコントロールまで実行できなければこのような効果は得られない。本システムの監視対象には制限がないため、オークション形態ではなく、中古販売サイトなどでより有利な購入ができる可能性があれば、そのようなオークション以外の販売サイトの情報も監視対象にしておけばよい。
【0019】
また図2のように、情報監視処理ソフトウェアは情報通信ネットワークに直接アクセスしない方式の方がセキュリティ上は望ましい。インターネット閲覧ソフトウェア等のネットワーク接続を前提としたソフトウェアは、常に最新の不正アクセス対策を施されていると考えられるため、本システムで監視および操作の対象となるソフトウェアを介してネットワークにアクセスすれば安全性が高いと考えられるからである。もちろん、情報監視処理ソフトウェアに十分なセキュリティ対策が施されていれば、ネットワークを介して外部システムと直接情報の送受信を行う方式でもよい。図3は、利用者が外部に存在していて、本システムが稼動する端末を直接見ることができない場合の状況を示している。この場合には、利用者が携帯している端末に情報を通知したり、それに基づく利用者からの指示を受信する必要があるが、これも電子メール処理ソフトウェアなどを介して行えばよい。すなわち、設定された条件の到達状況などの情報を電子メールで携帯端末に送信し、それに対する指示内容は、返信された電子メールやそのタイトルなどから読み取って実行すればよく、情報監視処理ソフトウェア自身がネットワークに直接アクセスする必要はない。ただし、外部にいる利用者との情報の送受信に重点を置く場合には、情報監視処理ソフトウェアに電子メール等の情報送受信機能をもたせていてもよい。なお、後で述べるように、電子メールを利用して本システムから送信されるメッセージは、利用者が自由に設定できることが望ましい。
【0020】
次に、本システムの動作について説明する。図2あるいは図3の構成を基本とするが、先に述べた取引状況を監視できない者にとってのリスクを解消するためには、実際に監視しているのと同程度以上に情報の監視、判断、制御を実行できるシステムにしなければならない。そのために必要な本システムの要件は、以下の通りである。
【0021】
第一に、インターネットなどの情報通信ネットワークを介して得られる取引情報など、時間変化する情報群の中で、利用者が監視したい情報領域を高い自由度で指定および管理することができる手段を備える。第二に、それらの情報に対して利用者が望む判断条件を簡便に設定することができる手段を備える。第三に、利用者が設定した条件が満たされた場合に行うべき処理および動作を簡便に設定することができる手段を備える。これらの要件を満たすことにより、利用者が情報を常に監視せずとも、実質的に監視しているのと同程度以上の効果を得ることができる。利用者ごとに自由度の高い情報の取得および監視条件や動作の設定ができるようにすることにより、同一の相場変動に対しても各利用者の設定に応じてさまざまな処理が行われるようになるため、結果的にその後の相場が一方的に変動するような現象が発生しにくくなり、リスクを低減させることが可能となる。このようなシステムを、証券会社やオークション業者などの外部システムに組み込むことも可能であるが、利用者側のコンピュータやホームサーバー、携帯情報端末機器、携帯ゲーム機、テレビジョン、カメラ、ビデオカメラ、イメージセンサー、ロボットなどの画像表示あるいは画像取込機能をもった機器上で稼動するシステムとする方が、より多くの情報を扱いながら柔軟な対応ができるようになることは既に述べた通りである。
【0022】
なお、上記の要件を満たすシステムまたはソフトウェアを、監視対象とする他のソフトウェアの一機能として組み込むことは有用である。例えばインターネット閲覧用のソフトウェアの一機能として、情報の監視領域の設定や監視条件設定、動作設定を実行できるソフトウェア部分を組み込むような場合である。本発明においては、このように他のソフトウェアの一機能として本システムの特徴を有するシステムまたはプログラムを組み込む場合においても、そのソフトウェアの主たる動作状況を監視する目的であることには相違がないので、監視対象とするソフトウェアに組み込まれた本システムであっても、そのソフトウェアとは別のものであるとみなす。
【0023】
本システムの操作手順を図4に示し、各処理について詳述する。本システムでは図2の構成が基本となっているため、まず本システムの実際の機能を担う情報監視処理ソフトウェアを起動する。次に、監視対象となる他のアプリケーションソフトウェアを起動する。アプリケーションソフトウェアは、インターネット閲覧ソフトウェアや電子メール処理ソフトウェアなど、情報通信ネットワークにアクセスして情報を送受信するとともに、画面(ウィンドウ)上に表示する機能をもったものが基本的な対象となる。ソフトウェアを起動するとともに、監視対象となるウィンドウを開いておく必要がある。例えばインターネット閲覧ソフトウェアであれば、証券取引情報を取得できる証券会社のサイトやニュースサイトにアクセスして、それらのウィンドウを表示しておくということである。必要とする情報が多ければ、同一のソフトウェアでも複数のウィンドウを起動することもある。なお、本システムの情報監視処理ソフトウェアを実際に使用した後は、監視対象としたアプリケーションソフトの種類やサイトのアドレス、ウィンドウ名などの情報を記憶できるため、次回以降の利用時には、監視対象とするソフトウェアを先に起動しておかなくとも、この情報監視処理ソフトウェアを起動すれば、自動的に監視対象となるソフトウェアを起動し、監視対象とするサイトにアクセスしたりログイン処理まで行うなど適切な画面に切り替えることも可能となる。
【0024】
これらのアプリケーションソフトウェアを利用してインターネットなどの情報通信ネットワークから得られる情報としては、有価証券、為替、投資信託、先物商品、不動産、自動車、美術品等の取引に関する情報を主なものとして想定するが、本システムが稼動する環境において得られる情報であれば、これらに限らず利用可能である。例えば、インターネットに接続されたコンピュータ上で稼動させれば、証券会社やオークション業者のシステムから提供される現在の取引情報だけでなく、その後の相場変動に影響を与えうる情報、すなわち証券取引所のサイトに掲示される各企業の開示情報、ニュースサイトのニュース速報、各企業のサイトに掲載される月次売上や新製品情報なども監視対象とすることができる。証券やオークションの取引に限らず、商品価格比較サイトを監視して最安値が更新された瞬間にその店舗情報などについての通知を受けることも可能である。ローカルエリアネットワークやホームネットワークに接続されるコンピュータならば、家庭内のガスや水道、電気等の使用状況を監視し、ガスコンロや家電機器が動作したままで放置されているような状況を把握したり、外部から電子メール等で動作指示を与えるようなことも可能となる。その他、工場の稼動状況、店舗内外の在庫変動といった情報も監視対象とすることができる。さらには、テレビ放送のデジタル化が進展すれば、放送内容から情報を取得することも容易になるため、本システムをデジタル放送の受信が可能なハードウェア上で稼動させ、ニュース情報や通信販売の価格情報等を監視対象とすることも可能となる。スポーツ中継画面からスコアや状況などがわかる情報部位を監視して、携帯端末に通知するような処理も可能である。放送中や放送後に広告を視聴者がクリック動作やリモートコントローラーで選択して見られるようなシステムであれば、そのタイトル等に含まれるキーワードや人物名を監視して絞り込んだり、自動的に選択して視聴するような使用法も可能である。これらの他、カメラで撮影した画像や動画、専用の画像取り込み装置なども必要に応じて対象とすることができる。
【0025】
これら情報通信ネットワークから送信される情報を取得し表示するソフトウェアは、インターネット閲覧ソフトウェアや電子メール処理ソフトウェア、専用ソフトウェアなどさまざまであり、監視したい情報が表示される位置も不定である。したがって、アプリケーションソフトウェアを起動し必要なウィンドウを開いた後は、各ウィンドウ上で監視対象としたい領域を利用者が任意に設定できることが望ましい。具体的には、コンピュータのマウス、電子ペン、タッチパネルなどの入力デバイスにより、監視したい領域を長方形等の図形(以下、「監視オブジェクト」と呼ぶ。本明細書においては、「オブジェクト」という語は監視や動作、演算の対象とする有限の領域を定義したものを指す)で囲んだり、クリックして位置を指定するといった簡便な方法で、監視領域を指定することができるようにする。情報監視処理ソフトウェアのウィンドウを透明化するなどの方法で、その背面にあるアプリケーションソフトウェアのウィンドウ上に監視オブジェクトを描画する方法が利用できるが、単純にそのアプリケーションソフトウェアの画面を画像データとして取り込み、その上に描画して設定を行う方法を採用してもよい。監視したい領域が複数ある場合が通常であるため、監視オブジェクトも複数設定できるようにしておく。さらに、各監視オブジェクトに自由に名称を与えられるようにしておくことで、後で監視条件の設定が容易に行えるようになる。
【0026】
また、同じ証券会社でも、日経平均などのマクロな情報と個別銘柄の情報は別のウィンドウに表示されることも多く、さらには株価情報と同時に別ウィンドウに表示されるニュースサイトも監視するといった使用法も想定されるため、各情報源となる複数のウィンドウに対して、個別に監視オブジェクトを設定できるようにしておく。また、同じウィンドウ内であっても、現在の表示内容から別のリンク先の表示内容に切り替えることも多く、このような場合には、監視オブジェクトの位置や数も大きく変動するのが普通である。したがって、同じウィンドウに対して設定した各監視オブジェクトをグループ化できる機能と、そのようなグループを1つのウィンドウに対して複数生成できる機能が必要であって、さらには、ウィンドウの表示内容や操作に応じて、複数の監視グループを切り替えられるという機能も用意しておく。また、ウィンドウの位置が変更された場合には、ウィンドウの変位に合わせて各監視オブジェクトの位置を自動的に追従させる機能もあった方がよい。
【0027】
実際に監視する情報の形式としては、設定された監視オブジェクト内に含まれる数値情報、文字情報、画像データ、色情報、動画等である。とくに重要度の高い数値情報および文字情報の認識方法については、そのウィンドウの記述データ(HTMLデータなど)を取り込んで必要な部位のテキストデータを取得するか、画面上に設定された監視オブジェクトに囲まれたデータをソフトウェア処理でコピーして取得するか、その画面情報を形成するソフトウェアがオペレーティングシステムに情報を受け渡すイベントを感知して情報を取得するか、ウィンドウの表示内容を画像データとして取り込んだ上で文字認識処理および/またはパターン認識処理を行って取得するか、のいずれかの方法を採用することができる。設定した単数または複数の監視オブジェクトに対して、とくに注目したい情報だけを別のウィンドウに表形式で表示する機能や、優先度の高い順に表示する機能を付加的に用意してもよい。前述したように、各監視オブジェクトには個別の名称を与えて区別し、必要に応じてグループ化も行う。グループ化した場合には、グループにも命名できる方がよい。同一ウィンドウ内の情報が大きく切り替わったときなど、複数の監視オブジェクトもグループごと切り替えられる方が便利であることが多いからである。また、監視オブジェクトから取得したデータに対し、加減乗除などの演算を実行した結果を監視対象にしたり、後の条件設定に使用したい場合もある。このように、監視オブジェクトから取得したデータに何らかの加工を行うことによって得られるデータを格納するオブジェクトを定義オブジェクトと呼ぶことにする。定義オブジェクトは監視オブジェクトと同一のウィンドウ上あるいは周辺に設置されていてもよいし、監視オブジェクトのデータを表示する表の中の一部に含まれるものであってもよい。
【0028】
また、監視対象となるウィンドウ上には、クリックや文字入力といった操作を行うポイントが配置されているのが通常である。こういった処理も本システムの情報監視処理ソフトウェアでソフトウェア処理として行うため、必要な箇所には利用者が設定を行うことができる。このように、ウィンドウ上、あるいは端末の画面上のクリックポイント、入力ボックス、アイコンのような操作可能な対象に対して領域および特性を設定するためのオブジェクトを動作オブジェクトと呼ぶことにする。設定方法は、監視オブジェクトと同様にマウスなどの入力デバイスにより、その領域を囲むなどして行う方法が行いやすい。各オブジェクトに命名するなどの設定が可能であるのも同様である。一つのウィンドウ上に監視対象と動作対象が混在していることがほとんどであるから、これらの設定はどちらが先であってもよく、交互に実行されてもよい。これらの特性の設定など詳細は後に説明する。なお、上記のように監視オブジェクト、動作オブジェクト、定義オブジェクトなどのオブジェクトを別々に管理する方式ではなく、各オブジェクトの特性として監視用、動作用、定義用を設定して区別する方式であっても、実用上は変わりがない。本明細書における記載ではこれらのオブジェクトを区別する方式について記述しているが、これらの説明を特性として区別する方式であっても同様の効果が得られることを注記しておく。
【0029】
上記のように、監視オブジェクトと動作オブジェクト(必要に応じて定義オブジェクトも)を設定した後は、監視条件および動作の設定を行う。情報の変化を常に監視できない利用者にとっては、監視条件の設定をできるだけ高い自由度で詳細に行えることと、実際に利用者が情報に基づいて操作を行うのと同程度の動作設定が行える必要がある。条件をプログラミングで設定できるようなシステムの導入を表明している証券システム開発企業もあるが、ほとんどの利用者にとってはプログラミング言語を使用することは極めて困難である。第三者が設定した条件動作アルゴリズムをシステムに取り込むことができるようにしたとしても、その記述の内容を理解できない者が自らのシステムに組み込むことは非常に危険である。本システムでは、できる限り視覚的にわかりやすい条件設定手段を提供することにより、結果的に専門的な知識がなくとも設定時のミスの発生を抑制する効果を得ることを目的とする。その前提として、利用者が自ら設定した監視オブジェクトおよび動作オブジェクトに自ら理解しやすい命名を実行できるようになっているので、あとは条件の設定を数式だけでなく日常言語のレベルで行えるようにすればよい。
【0030】
具体的には、条件設定ウィンドウ(あるいは条件設定パレット)を用意し、この上に、監視オブジェクト名のリストと、加減乗除などの演算子のボタン、数値のボタン、等号や不等号などの記号のボタンなどを配置しておく。数式だけでは理解しにくいので、「以上」「以下」「等しい」「含む」などの言語表現もボタンとして用意する。利用者は条件設定ウィンドウ上で監視オブジェクト名を選択したり、各ボタンを押して条件式(条件文も含む)を作成する。作成中あるいは作成が完了した条件式も、このウィンドウ上に用意された欄に表示されることが望ましい。逆に、この欄に条件式をキーボードなどの入力デバイスで直接入力させ、ソフトウェアで判定可能な論理式に自動変換する機能があってもよい。いずれにせよ、この条件式が完成したら登録を行う。登録された各条件式は一覧表示で確認できることが望ましい。後に動作設定する際には、この条件式リストから選択できるようにしておくと、より設定および理解しやすくなるからである。
【0031】
上記のような方法で監視条件の設定が完了したら、監視条件が成立した場合の動作を設定するステップに移行する。ただし、監視条件と動作が交互に出現するような動作プログラムも考ええられるので、これらの設定手順は必ずしも決まっていない。想定される動作としては、単純に数値や文字を表示するだけでなく、監視オブジェクトを点滅させる、特定位置をクリックする(のと同等のソフトウェア処理を行う)、アプリケーションソフトの入力欄に数値や文字を入力する、音声を再生する、通知データを送信する、データをコピーする、といったことも必要となる。
【0032】
このようにして、監視オブジェクトを基にした監視条件の設定と、動作オブジェクトの設定が完了していれば、監視条件が満たされた場合の動作処理フロー(動作プログラム)を設定することが可能となる。動作プログラムの設定においても、専用のウィンドウ上で実行できることが望ましい。このウィンドウでは、先に作成した条件式のリスト、動作オブジェクトのリスト、必要に応じて監視オブジェクトのリストなどが表示され、マウスなどの入力デバイスによってこれらの条件式やオブジェクトを選択して配置し、視覚的に動作プログラムを作成できるようにする。なお、動作オブジェクトのみでは十分なプログラムを設定できない場合があるため、特別動作コマンドも用意しておく。例えば、プログラムの停止や起動を行うコマンド、監視オブジェクトのグループを切り替えるコマンド、外部から電子メールなどで指示された内容を実行するコマンド、一定時間待機するコマンド、システム全体の動作を停止するコマンドなどが挙げられるが、この限りではない。設定あるいは実行したいプログラムは複数存在するのが通常であるから、設定したプログラムはリスト表示されることが好ましい。さらに、このリストでは実行中のプログラムと停止中のプログラムがわかるように丸印やバツ印などで示されていることが好ましく、マウスによるクリック動作などで容易に実行状態を切り替えられるようにしておいてもよい。基本的には、このプログラムリストから実行を行うことで、本システムは動作を開始することになる。
【0033】
本システムの動作中は、一定時間間隔で監視オブジェクト内の情報を取り込み、設定された監視条件を満たすかどうかを判定し、満たす場合には動作プログラムに記述された処理を実行する。なお、情報を取り込む時間間隔はシステム全体で統一されていてもよいが、基本的には監視オブジェクトごとに設定できるようにしておく方がよい。情報の変化が発生する頻度は、監視オブジェクトごとに大きな差異をもつと考えられるからである。各動作プログラムは、一度実行されれば、それ以降は停止されることが通常であると考えられるが、必要に応じてある動作プログラムから別の動作プログラムが起動される場合もある。いずれにせよ、全ての動作プログラムが完了すると、本システムの動作は一時的に停止することになる。既に述べたように、各オブジェクトの設定や監視条件、動作プログラムは保存することが可能であり、システムの稼動を停止させても、次回の利用時には元の状態を再現することが可能である。
【発明の効果】
【0034】
上記のように、本発明の画面情報監視処理システムを利用すると、次のような効果が得られる。まず情報の取得についていえば、証券会社やオークションサイトなどの外部システムに依存した条件設定や動作設定を利用するのではなく、それら外部システムからは必要な情報を取得することを主要な目的とし、それらの情報を総合的に判断し必要な動作を行う処理は利用者側のシステムで行うという構成にすることにより、監視対象となる情報の種類と量が飛躍的に増加する。インターネット掲示板など信頼性が保証されていない情報源であっても、利用者が必要と認めれば判断材料に加えることができる。さらに、取得した多くの情報に対し、自由度の高い監視領域および監視条件の設定が可能となることにより、状況を監視できない利用者が実際に情報を監視しているのと同等以上の効果を得ることができる。状況を監視できる利用者にとっても、多くの情報の中から必要なものを本システムの情報監視処理システムで整理することにより、情報の把握が容易になる。さらに、監視条件が満たされた場合の動作設定を視覚的に行えるようにすることで、ミスの発生しにくい動作を容易に実現することができる。以上の効果により、利用者にとってはリスクが非常に低く、より有利な取引が実行できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
ここでは、本発明の画面情報監視制御システム(以下、「本システム」と呼ぶ)について、図面を用いながら具体的に説明する。
本システムの基本構成は既に説明しているように、図2のようになっている。まず、外部のシステムからインターネットなどの情報通信ネットワークを通じて送信される情報を、利用者側の端末上で動作する各ソフトウェアで受信し、好ましくはその受信した情報を画面(ウィンドウ)上に表示する。このとき使用されるソフトウェアにはとくに制限はなく、インターネット閲覧ソフトウェアや電子メール処理ソフトウェア、その他情報を受信して画面上に表示する機能をもつソフトウェアであればよい。また、外部のネットワークに接続しなくとも、家庭や工場などの内部で利用されるローカルエリアネットワークの情報を扱うソフトウェアや、あるいは得られた情報に処理を加えた結果を表示するようなソフトウェアも本システムでは利用しうる。
【0036】
これらさまざまなソフトウェアから得られる情報を監視し、それらの情報に対する監視条件を設定し、監視条件が満たされた場合に設定された処理を行う情報監視処理ソフトウェア201が、本システムの機能の大部分を担うことになる。この情報監視処理ソフトウェアは基本的に利用者のコンピュータなどの端末(ハードウェア)にインストールされ、他のソフトウェアと平行して動作することになる。セキュリティ上は、情報監視処理ソフトウェア201自身には外部ネットワークに直接接続する機能がない方がよいが、電子メールの送受信や最低限のメッセージ送受信機能は有していてもよい。
【0037】
本システムの情報監視処理ソフトウェアのインストール
情報監視処理ソフトウェアを利用者に提供する際には、CD−ROMなどの記録媒体にインストーラとともに記録して送付する他、ダウンロードサイトからインターネットを介してインストーラとともにダウンロードさせる方法も採りうる。このソフトウェアは一般の個人投資家など非常に利用者が多いことを前提としているため、利用者の端末にインストールする際に単純にパスワード入力だけを行わせるような方式では、パスワード情報を短期間で広範囲に流布される恐れがある。正規の購入者(支払者)のみがソフトウェアを継続的に利用できるようにするためには、何らかの工夫が必要である。一般的には、利用者のコンピュータのUSBポートなどに認識用のキーデバイスを挿入しないと、ソフトウェアが起動しないか限定された機能しか使用できないような方法も採られている。この方式を採用してもよいが、これでは汎用的に利用されるコンピュータのポートを一箇所占拠してしまうことになり、利用者にとってはあまり好ましい方式とはいえない。
【0038】
そこで本システムでは、具体的には次のようなソフトウェア認識処理を採用する場合もある。すなわち、利用者にソフトウェアのインストール作業が実行可能なインストーラを提供する手段と、インストール作業が実行された際に暗号キーが自動生成される手段と、利用者から通知された当該暗号キーに対する暗号解除キーを生成する手段と、利用者に対して暗号解除キーを通知する手段とを有し、先にインストールされたソフトウェアに対して利用者が受信した暗号解除キーを入力することにより、ソフトウェアの機能変更および/または利用期間変更が可能となることを特徴とするソフトウェア、またはそのような特徴を有する情報監視処理システムとすればよい。利用者にインストーラ(インストールプログラム)を提供する手段は、CD−ROMやインターネットからのダウンロードを利用すればよい。利用者がこのソフトウェアを利用する端末にインストールした際に生成される暗号キー(数値や文字、記号などの羅列など)は、インストール時の時刻や日付などインストール時の環境によって変化するものであることが好ましく、これによりソフトウェアと暗号キーをコピーして利用することは不可能になる。この最初のインストール時点では利用できるソフトウェアの機能が限定されているか、または期間が限定されている。利用者は限定されたソフトウェアを利用し、機能拡張や利用期間延長を実行したいと判断すれば、インストールの際に生成された暗号キーを電子メールなどでソフトウェアの提供者に送信する。この際、ソフトウェアの購入代金を支払う作業を要する場合もある。この暗号キーはソフトウェアで生成されているため、利用者から送信された暗号キーの解読アルゴリズムはソフトウェアの提供者には把握できており、提供者は代金の支払を確認するなど利用者の要望に応じられると判断すれば、暗号解除キーを生成して利用者に送信する。支払に応じて利用できる機能の種類を変化させたり利用可能期間を延長するような処理も考えられるため、一つの暗号キーに対して解除キーが一種類であるとは限らない。利用者はインストールされたソフトウェアに、送信された解除キーを入力すると、より多くの機能を利用したり、利用期間を延長することができるようになる。なお、暗号キーの生成の際には、利用者に質問を行って回答させた結果を反映させてもよいが、個人情報の保護を最優先に考慮して実行するものとする。この場合には、解除キーとともに回答内容も入力させて、暗号を解除することになる。このような方式であれば、利用者の端末のポートを占拠するなどの余分な負担を与えずに済み、物理的に物品を送付する必要もない。問題点としては、ソフトウェアをインストールし直す必要がある場合に、暗号キーまで変化してしまう可能性があることである。ただし、支払者の情報は利用者登録などで把握できているため、本人からの申し出であることが確認できれば、無償で再インストール後の解除キーを提供する方法も採ることができ、それほど大きな問題にはならない。
【0039】
また、上記の方法の他に、電子決済手段を利用することも可能である。例えばプリペイドカードを利用する場合、本システムの利用希望者がプリペイドカードに必要金額以上の入金を行っておくことを前提に、具体的には次のような手順を踏むことができる。まず本システム(ソフトウェア)のインストールを開始する際にインストーラがプリペイドカード番号の入力を要求するステップと、入力された番号の入金状況を確認できるシステムにアクセスするステップと、確認された入金額が利用者が希望するソフトウェアの利用形態に必要な代金以上であることが確認できればインストール作業を実行するステップと、インストール作業が完了した際にソフトウェアの提供者に当該作業が完了したことを通知するステップとを備えるインストール方法を用意すればよいのである。利用者が希望する利用形態とは利用希望機能や利用希望期間などであって、これらの入力を最初に要求してもよい。プリペイドカードは番号と入金状況が管理されているのが通常であるから、インストーラはプリペイドカードの番号と入金状況を確認できる外部システムにアクセスするか、あるいは同等の情報を確認するよう、本システムの提供者などが管理するシステムに確認要求を送信する必要がある。最後に利用者がインストールの完了を確認すると、インストーラはプリペイドカードを管理する者、あるいは本システムの提供者などに作業完了の通知を行う。これにより、システムの提供者は利用者のプリペイドカードから入金を受けることができる。この手順ならば、利用者はインストール以外の作業を実行する必要はなく、さらに暗号などを利用せずとも、ソフトウェアのコピーなど不正な利用を行うことはできない。
【0040】
本システムの情報監視処理ソフトウェアをインストールした後は、図4の基本フローにしたがって設定および動作を行う。ここでは、順に詳細を説明する。
【0041】
情報監視処理ソフトウェアおよび対象となるアプリケーションソフトウェアの起動
まず情報監視処理ソフトウェアの起動についてであるが、これは通常の他のソフトウェアと同様に、利用者の意思で起動用アイコンをダブルクリックするか起動メニューから選択して起動すればよい。多くの場合、監視は毎日行うものであるから、指定された時刻になったら自動的に起動するという方法も可能にしておく。図4では、監視対象となる他のアプリケーションソフトウェアを次に起動するように描いているが、必ずしもこの通りではなく、先に起動していてもよい。これらのソフトウェアと、本システムの情報監視処理ソフトウェアは平行して動作するものであるからである。ただし、情報監視処理ソフトウェアでは、この後の一通りの設定を終えれば、対象とするアプリケーションソフトウェアの情報も記録するため、情報監視処理ソフトウェアを起動すれば対象となる他のソフトウェアも自動的に起動することが可能になる。この場合には、情報監視処理ソフトウェアの次に各ソフトウェアが起動されるという順序となる。
【0042】
監視および操作の対象となる各ソフトウェアは、起動されるだけでなく、必要な情報が表示される画面(ウィンドウ)状態に設定されなければならない。例えばインターネット閲覧ソフトウェアであれば、証券会社やオークション業者のサイトにログインを行い、株価情報や入札情報が表示されるリンク先のウィンドウを開かなければならない。なお、ログイン操作ではユーザー名とパスワードの入力を要求されるのが普通であるが、本システムの情報監視処理ソフトウェアでは既に述べたように、利用者が指定した位置に数値や文字を入力することが可能であるから、ウィンドウを開いてログインを行い、必要なリンク先に移動するところまで自動処理を行うことが可能である。同じインターネット閲覧ソフトでも、取引サイトだけでなく、ニュースサイトや情報開示サイトなど、情報として必要なサイトのウィンドウは全て開いておく。また、電子メール処理ソフトウェアを利用して、外部にいる利用者への通知を行ったり、逆に外部からの指示を受ける必要がある場合には、このソフトウェアも起動しておくのがよい。後に説明する処理プログラムで必要に応じて他のソフトウェアを起動する場合には、必ずしも最初にソフトウェアを起動しておく必要はない。
【0043】
監視オブジェクトおよび動作オブジェクトの設定
監視および動作の対象となる各ソフトウェアの起動および必要なウィンドウを開く操作が完了したら、次に、利用者が監視および動作を行いたい領域を指定する操作を行う。これについては既に概要を記述しているが、ここではさらに詳細に説明を行う。図5は、証券会社のサイトから得られる一般的な株価情報ウィンドウを示している。多くの場合、複数の銘柄情報がリストになって表示されている。まず重要なのは銘柄のコード番号501と企業名502であり、リストに掲載する銘柄は利用者が自由に設定できるようになっていることが多い。この銘柄の値動き情報503が次に表示されているのが一般的である。値動き情報503には、最新の取引値を示す「現在値」とその「前日比」、その日の取引の最高値と最低値を示す「高値」「安値」といった情報が含まれている。さらに、現在の売買の希望値を示す「買気配」「売気配」といった気配値504も表示されている。実際に売買の注文を行なう際には、この気配値を参照することも多く、重要性の高い情報である。売り注文あるいは買い注文の一方だけが多い場合など、特別気配を示す「特」の文字や、注意気配を示す「注」の文字が表示されることもあるが、とくにこのようなときには株価が大きく変動する可能性が高くなる。この他、その日の出来高505や日経平均株価506、時刻507などの情報も表示されていることが多い。出来高は前日に比べて大きく伸びていれば株価が上昇しやすい傾向があり、日経平均株価は個別銘柄の値動きにも大きく影響するので、やはり重要な情報である。時刻については、取引終了間際に株価が大きく動く場合もあり、条件指定に使用する情報となる場合もある。さらに、株価情報を表示するウィンドウでは、クリックポイント508が用意されていることも多い。例えば、その部分をクリックすると注文用のウィンドウが表示されたり、値動きをグラフ化したチャートウィンドウが表示されるようになっている。これらは監視対象にはならないが、動作対象となるので、重要なポイントである。
【0044】
これらの監視対象および動作対象について、利用者はそれぞれ監視オブジェクトおよび動作オブジェクトを設定する。これらのオブジェクトは本システムの情報監視処理ソフトウェアで管理されるものであるが、これらを設置すべき対象となるのはその他のソフトウェア(以下、「監視対象ソフトウェア」と表記)である。したがってオブジェクトの設定においては、何らかの方法で情報監視処理ソフトウェアを操作しながら、監視対象ソフトウェアのウィンドウを確認できるようにしなければならない。一つの手段としては、情報監視処理ソフトウェア自身、あるいはオブジェクト設定用のウィンドウを透明または半透明にして、その背面にある監視対象ソフトウェアのウィンドウを透かして見えるようにすればよい。重要なのは、監視対象ソフトウェアのウィンドウ上をマウスでクリックするなどの操作を行っても、動作対象となるソフトウェア(最前面にあるソフトウェア)は情報監視処理ソフトウェアのままである状態が保たれることである。したがって、より単純な方法としては、開かれた監視対象ソフトウェアのウィンドウを画像データとして情報監視処理ソフトウェアに取り込み、表示してもよい。このような方法で、監視対象ソフトウェアの画面(ウィンドウ)を見ながら、その上に監視オブジェクトおよび動作オブジェクトを設定していく。監視対象となるウィンドウは複数あることが通常であるから、情報監視処理ソフトウェア側では、設定された各オブジェクトがそれぞれどのウィンドウを対象としているかを把握しておく必要がある。
【0045】
各オブジェクトの設定方法については、図6を用いて説明する。最も簡単なのは、マウスなどの入力デバイスでクリックを行って始点601を決め、そのままドラッグしてクリックを離すことにより終点602を決めると、始点と終点を結ぶ線分を対角線とする長方形603が描かれ、これをこの内部に含まれる情報を監視対象あるいは操作対象とするようなオブジェクトとするという方式である。図形を描くのではなく、クリックしていくのみでもよいが、その場合でも視認しやすいように何らかの図形をウィンドウ上に生成する。なお、マウスの移動中には吹き出し表示604やウィンドウの下欄に表示するなどの方法で、マウスの座標を表示しておくことが望ましい。マウスでクリックするというような操作を指定する場合には、座標で指定できる方が便利であることもあるからである。例えばウィンドウ上のセレクトボックスから項目を選択するような場合、まずクリックポイント605をクリックすると選択肢リストが開き、ここから適切な項目606を選択しなければならない。各項目はマウスでクリックした後でなければ表示されないため、あらかじめ希望する項目に動作オブジェクトを設定しておくのは難しい。したがってこのような場合には、図形で囲んだ部分をクリックするという基本的な動作オブジェクトの方式ではなく、決められた座標位置(第一のクリックポイント607および第二のクリックポイント608)をクリックするように設定しておく方が便利である。座標の値については、ウィンドウの左上端を原点にするなど、そのオブジェクトが対象とするウィンドウの位置に対する相対値で保有しておく方が、ウィンドウの位置を移動させたときに各オブジェクトも自動追跡する機能を付加しやすく都合がよい。すなわち、監視オブジェクトが対象とするウィンドウの位置が変化したときに、その変位量に応じて監視オブジェクトの位置も自動的に変化させることにより、ウィンドウに追随させる機能を容易に実現させることができる。各オブジェクトの設定においては、マウスで位置を指定したり座標入力で位置を指定するほかに、実際に利用者が実行するマウスおよび/またはキーボードなどによる入力操作をシステムで記録して再現するという方法も利用できるとよい。なお、各オブジェクトの削除や追加は、利用者が必要であると判断すればいつでも可能である。
【0046】
各オブジェクトの設定は、画面を見ながらマウスなどで位置を指定していく方法が直感的には理解しやすいが、対象となる領域が非常に多いと設定の手間が大きくなる。このような場合には、ウィンドウに表示されている数値、文字、イメージファイルなどのリストを生成して利用者に提示し、そのリストから監視や動作の対象となるものを、例えばマウスでクリックするなどして簡便に選択させる方式の方が、利用者にとっては負担が少なくなることも考えられる。インターネットを通じて得られる情報は、既に述べたようにHTML形式で記述されていることが多いため、有意な数値や文字列は各種のタグに挟まれて記述されているのが通常である。したがって、外部システムからの情報をデータファイルとして本システムに取り込み、タグに挟まれた部分を一通り抜粋してリスト化するなどすれば、上記のようにリストから選択させる設定方法が可能となる。当然ながら、このリストでは監視対象や動作対象とするものを選択するだけでなく、選択した項目に命名や特性の設定まで行えるなど、マウスで領域指定する場合と同様のオブジェクトに関する設定ができるようにしておく。なおHTML形式のように一般的なファイル形式であれば、情報監視処理ソフトウェア上でインターネット閲覧ソフトウェアと同等の表示を再現し、利用者にとって見慣れた状態で監視や動作の対象を選択させる方が、よりミスが発生しにくく便利である。HTML形式の表示を再現できる機能があると、動作プログラムを設定して実際の取引サイトに適用する前に、その動作のシミュレーションを本システム上で行ってミスがないかを確認する機能をもたせることができるという利点もある。
【0047】
図7は、図5に示した一般的な株価情報ウィンドウに、一通りの監視オブジェクトおよび動作オブジェクトを設定した状態を示している。監視オブジェクト701は、その内部に含まれる数値あるいは文字を主に監視するためのものであるが、必要に応じて色、記号、画像なども監視対象となる。図中では領域をわかりやすくするために斜線で塗っているが、実際には外枠のみ表示されていれば十分であるし、その方が囲まれた部位の情報が見やすいので好ましい。監視オブジェクトに含まれる情報として重要度がとくに高いのは、数値情報と文字情報である。これらを取得する方法としては、そのウィンドウの記述データ(HTMLデータなど)を取り込んで必要な部位のテキストデータを取得するか、画面上に設定された監視オブジェクト内部をソフトウェア処理でコピーして取得するか、その画面情報を形成するソフトウェアがオペレーティングシステムに情報を受け渡すイベントを感知して情報を取得するか、ウィンドウの表示内容を画像データとして取り込んだ上で文字認識処理を行って取得するか、のいずれかの方法を採用することができる。前述したように、監視オブジェクトの設定の際にHTMLファイルのデータをリスト化して選択させる方法を採用した場合には、その部位のテキストデータを取得する方法が最も確実で容易である。一方で、文字認識処理を行う場合には、もともとテキストデータとして表示されている数値や文字だけでなく、画像中に埋め込まれた数値や文字まで認識できるため、本システムの適用範囲が拡大される効果がある。数値や文字のみでなく、マークの形状などパターンマッチングを行うことも可能になる。表示される数字や文字が特殊で自動認識が難しい場合には、利用者がそのパターンに対してどのような数字や文字を意味するのか指定することも可能としておく。あるいは、そのような特殊な数字、文字を使用するサイトの運営者または本システムの提供者が、認識の指定を行った設定ファイルを利用者に提供する方式でもよい。図7の株価情報ウィンドウの例では、銘柄のコード番号、現在値、前日比、特別気配の有無、出来高、日経平均株価、時刻に対して監視オブジェクト701を設定している。
【0048】
また、買い注文リンク、売り注文リンク、銘柄名に対して動作オブジェクト702を設定している。動作オブジェクトについて利用者が設定できる動作は、クリック、ダブルクリック、右クリック、数値や文字の入力、ドラッグ移動、マウスポインタの移動といった、利用者が通常コンピュータの操作で行うような動作であり、これらをソフトウェア処理で実現する。図7の例でいえば、買い注文リンクや売り注文リンクに対してクリック動作を指定すれば、動作プログラムに応じてこれらをクリック処理し、それぞれの注文ウィンドウの内容に変化する。また、銘柄名をクリックすると、その銘柄の詳細情報ウィンドウが開かれるようになっている証券会社も多い。
【0049】
ここで述べたように、対象となるウィンドウの構成は変化する場合があるため、監視オブジェクトや動作オブジェクトの配置なども必要に応じて変化させなければならない。多くの場合、クリック操作によってウィンドウが新しく生成されるか、リンク先をクリックすることによって情報の構成が変化するかのいずれかが大きな変化となるので、これらに対応していればよい。監視オブジェクトや動作オブジェクトは通常、対象とするウィンドウが決まっていると考えてよい。したがって、監視または動作の対象とするソフトウェアのウィンドウが同じである各オブジェクトをグループ化し、ウィンドウの状態に応じてグループごと機能を切り替える方式が、利用者にとっても管理しやすい。
【0050】
ここで図8の階層構造を用いて、具体的に説明する。図8において、801は本システムの情報監視処理ソフトウェアであって、これが各アプリケーションソフトウェアのウィンドウ802〜805を監視および、必要に応じて動作処理を行う。便宜上、対象とするウィンドウを四種類描いているが、当然ながらこの数は利用目的によって不定である。これらのウィンドウに対し、監視オブジェクトや動作オブジェクトからなるオブジェクトグループ806〜809が設定されている。これらのグループに含まれるオブジェクトの位置や大きさは利用者によって通常定義されているため、その対象となるウィンドウ以外のウィンドウに対しては、ほとんど有効な機能をもたない。したがって、各オブジェクトが対象とするウィンドウを定義できるだけでなく、それらをグループ化したオブジェクトグループについても同様に、命名操作や対象とするウィンドウの定義ができるようにしておく。グループ化機能を利用することにより、例えばクリック処理などで新しく監視対象となるウィンドウが生成された場合には、そのウィンドウに対してオブジェクトグループも新しく生成すればよい。情報監視処理ソフトウェアで管理する際には、各ウィンドウの下の階層にオブジェクトグループが所属するように扱えば、ウィンドウ数の変化に対応しやすい。
【0051】
なお、ウィンドウ内のリンクをクリック処理する場合には、ウィンドウは新しく生成されるとは限らず、その表示内容のみが大きく変化する場合もある。この場合には、そのクリック処理を機にオブジェクトグループも新しい表示内容に適合するものに切り替えなければならない。したがって、一つのウィンドウに対して所属するオブジェクトグループは複数種類存在する場合もあるため、動作プログラムにおいてはオブジェクトグループを切り替えるコマンドをシステムとして用意しておく必要がある。切り替えるタイミングとしては、リンクを囲む動作オブジェクトがクリックされる動作の次にオブジェクトグループ切り替えコマンドを配置するか、リンク先の新しい情報内容に変化したことを確認できる部位(その情報内容に特有の文字列やウィンドウタイトルなど)に監視オブジェクトを配置しておき、その監視オブジェクト内の情報に対して監視条件を設定して切り替えるといった方法を採ることができる。
【0052】
各オブジェクトの配置が完了した後は、これらの特性を設定する必要がある。設定には図9のような専用のウィンドウを用意しておき、利用者は各オブジェクトをダブルクリックするか、右クリックしてメニューから設定を選択するなどして、この設定ウィンドウを開く。図9は、監視オブジェクトに対する設定ウィンドウの一例である。監視オブジェクトについて設定可能な特性を順に説明する。まず重要なのは「オブジェクト名」であり、利用者が自由に命名することができる。オブジェクト名は監視中の情報とともに表示され、後に監視条件や動作プログラムの設定にも使用するものであるから、利用者にとってできるだけ理解しやすい命名ができることは大きな利点となる。さらに、この監視オブジェクトが監視対象とするウィンドウが決定していないと機能できないため、「対象ウィンドウ」を選択しておく必要がある。通常は、このオブジェクトを生成したときに対象(表示)としていたウィンドウ名が自動的に入力されている。同様に基本的な特性として「所属グループ名」も重要である。前述したように、同一のウィンドウの同一の表示状態を対象とする複数のオブジェクトは、グループ化して機能の有効性をコントロールする方が利用しやすい。グループ化の実際の操作では、オブジェクトを追加するウィンドウにおいて、複数のオブジェクトを選択した上でグループ化コマンドを実行すればよいため、所属するグループは自動的に決定されている。後から追加したオブジェクトを既存のグループに追加する場合には、この設定ウィンドウで特性を決めればよい。「位置」「サイズ」の特性も基本的なデータであり、通常はマウスでオブジェクトを生成したり移動させるなどして視覚的に決定するが、ここで数値入力を行って決定することもできる。次の「配列型」は、同じ機能をもったオブジェクトを配列として扱う場合に必要な特性である。複数の監視オブジェクトに対して同じ監視条件を設定したい場合には、監視オブジェクトを配列化して「オブジェクトX[1−10]のいずれかが200以上」というような表記をする方が容易である。なお、[1−10]という表記は、配列化したオブジェクトの1番目から10番目までを意味する。
【0053】
ここまでは監視オブジェクトの静的な特性とその設定方法についての説明を行ったが、実際に監視処理を行う上で重要な特性も多い。その中でまず重要なのは「情報取得方法」であり、前述したように、画像解析によって数値や文字を取得する場合は「画像解析」、ファイル解析から読み取る場合は「ファイル解析」、ウィンドウ上の情報をソフトウェア処理でコピーするなどして取得する場合は「ソフトウェア処理」というような項目を選択する。なお、監視処理ソフトウェア側で自動的に適切な方法を選択できる場合は、とくに利用者に選択させる必要はない。これに付随して、「情報タイプ」も設定可能である。取得した情報に対して加算などの数的演算を実行したい場合や大小関係の判定を条件に使用したい場合などには「数値」、ニュースタイトルを監視する場合など文字情報として重要な場合には「文字」、時刻や日付として扱いたい場合には「日時」というような項目を選択する。実際の利用では、そのオブジェクトが対象とするウィンドウ状態が開かれていないか、その監視を必要とする動作プログラムが停止状態になっていれば監視を行っても意味がないため、処理の負担を軽減させるためにオブジェクトを無効化した方がよい場合もある。そのため、本システムではオブジェクトの「有効性」を特性として制御できるようにしておき、「有効」になっている場合のみ情報の監視を行うようにする。原則として、その監視オブジェクトの情報を利用する動作プログラムを動作させている状態では、監視オブジェクトの有効性は「有効」になるようにシステムで制御する。「表示」という特性は、ウィンドウ上でそのオブジェクトが利用者の目に見えるようにするかどうかを選択するものである。「有効」が選択されていれば、オブジェクトの外枠が表示されるなどの方法で、目に見える状態になっている。ただし、対象となるウィンドウが前面にないときには可視化されていても意味がないため表示はされず、利用者がクリックするなどで特定のウィンドウを前面に移動させた場合には、自動的にそのウィンドウに対応するオブジェクトが表示されるように処理する。この特性はオブジェクトの有効性とは独立したものであって、可視化されていなくとも情報の取得は実行されているという状況はありうる。
【0054】
次の「監視時間間隔」は、本システムでは最も重要な特性の一つである。1秒単位の変化が重要であるならば、当然ながら監視時間間隔は1秒以下に設定されなければならない。ただし、この間隔を短く設定するほどシステムの負担は大きくなるため、とくに画像解析によって情報を取得するような場合では、設定された時間間隔では処理できない場合もある。細かく情報の取得を行う必要がないものに対しては、できるだけ時間間隔を長く設定するべきであるが、これらの設定を利用者に全て負担させるのはあまり好ましくないことである。そのため本システムでは、各監視オブジェクトの情報変化頻度の平均値などをサンプリングして、利用者に確認させる機能を有していてもよい。場合によっては、その平均値あるいは平均値に何らかの係数を乗じた値に、システム側で監視時間間隔を自動調整する機能を有していてもよい。次の「データ保存」も重要な特性である。情報の監視においては、情報が時間に応じて変化することが前提となっているが、その状況に応じて判断基準も変化しうることがありうる。例えば株式の売買ならば、短時間に株価が急上昇したら買う、逆に急下降したら売るという判断をする場合がある。このような判断には、その銘柄の現在の株価情報とともに、30秒あるいは1分前などの同銘柄の株価情報も必要となる。本システムでは、監視オブジェクトが指定された時間間隔で取得した情報をメモリーに一時的に時系列データとして蓄積することが可能であり、必要に応じて指定された時刻における情報を呼び出し、条件判断に利用することができる。ただし、あまりに情報量が多くなるとシステムの負担が大きくなるため、長期間にわたって情報を蓄積および/または保存したい場合には、データファイルとしてハードディスクなどの記録機器や記録メディアに情報を保存しておくことも可能とする。保存された情報も条件設定などに使用することができる。情報の保存では、時間間隔とどの期間分を保存するかを設定できる。また、保存するファイル名を指定することができ、既に存在するファイル名が指定された場合には、その中に含まれているデータに追加して記録していく方式を採用するのがよい。保存される内容は、監視によって取得した値とそのときの日時を列挙していくようにすれば、追記していく方式でも混乱せずにすむ。
【0055】
同様に、動作オブジェクトの設定についても図10を用いて説明する。図10の特性のうち、「オブジェクト名」「対象ウィンドウ名」「所属グループ名」「位置」「サイズ」「配列型」「表示」については、監視オブジェクトと同様であるから説明は省略する。「想定動作」は、その動作オブジェクトに対して想定される動作のことで、クリック、ダブルクリック、右クリック、数値文字入力、ドラッグ、全禁止といった項目が選択できる。全禁止とは、その動作オブジェクトの領域に対してあらゆる動作を禁止することを意味しており、例えば発注ボタンのクリックは絶対にソフトウェアで自動実行しないようにするなど、安全のために設定するものである。また、インターネット閲覧ソフトでリンク先をクリックするような場合には、リンク先のHTMLデータが受信できたことを確かめてから監視グループの切り替えなどを行うことが望ましい。情報監視処理ソフトウェア側でオペレーティングシステムなどからこのような受信完了のシグナルを受け取ることができる場合には、リンククリックという動作も追加し、リンク先の画面が開かれてから次のフローに進む処理を行う。これらの動作の選択は複数種類可能である。この特性の設定はミスによる誤動作を防止することが目的であり、一種類でも指定されている状態でそれ以外の動作をプログラムで設定しようとした場合には、警告メッセージを表示する。なお、まったく指定をしないことも可能であり、この場合にはその動作オブジェクトはいかなる動作の設定も受け入れることが可能である。
【0056】
また、図11のように、オブジェクトリストを表示する機能も有していることが望ましい。オブジェクトのグループ化が実行されていれば、グループ名の下に各オブジェクトが所属しているようなツリービュー表示を行うと構成を理解しやすい。表示される項目は図9や図10の設定ウィンドウと同様であり、表形式になっている。オブジェクトリストでも、表示されている項目をダブルクリックすると入力可能状態になるか設定ウィンドウが開かれるなどして、項目の内容を変更することができる。また、監視オブジェクトの行については、現在値を表示する欄もあると便利である。
【0057】
ここで再び具体例を用いて使用法を説明する。図12は、個別銘柄の株価の気配値をより具体的に表示するウィンドウ(以下、気配値ウィンドウと呼ぶ)の一例である。多くの証券会社では、図5のようなリスト形式の株価表示ウィンドウで銘柄名をクリックしたり、銘柄検索でコード番号を入力するなどの操作により、このような個別銘柄の気配値ウィンドウが開かれるようになっている。気配値ウィンドウにおいて最も重要な情報は、各気配値においてどれだけの買い希望数量および売り希望数量があるかということである。例え直近の取引値(現在値)が1300円であったとしても、現在の買い気配値の最高値が1200円であれば、1300円で保有株を売れると考えるのは妥当な判断ではない。実際の売買戦略を考える上では、現在値よりも気配値を参考にする方が多いのが事実である。この気配値ウィンドウに対して各オブジェクトを設定した例が、図13である。ここでも基本的な情報として、銘柄コード1301、現在値1302、出来高1303といったものには監視オブジェクトを設定しておくのが通常と考えられる。このような個別銘柄の詳細情報を表示するウィンドウでは、RSI(Relative Strength Index)、移動平均線からの乖離率、RCI(Rank Correlation Index)、ストキャスティクス、MACD(Moving Average Convergence/Divergence)、VWAP(Volume Weighted Average Price)といったテクニカル指標が表示されている場合もあり、これらの指標は株価の変動に影響することが多いため、利用者によっては監視オブジェクトを設定することになる。本システムでは複数の証券会社や情報サイトのウィンドウを監視対象にすることができるので、気配値ウィンドウとは異なるウィンドウから情報を取得してもよい。気配値ウィンドウでとくに重要な、売り気配件数1304、売り気配数量1305、気配値1306、買い気配数量1307、買い気配件数1308にも監視オブジェクトを設定するのが通常であるが、これらは複数の値から構成されているので、監視オブジェクトも配列型として設定しておくのがよい。配列型にしておくと、「買い気配件数の合計値」や「買い気配値の最大値」といった条件設定を利用することができるため、後で動作プログラムを設定するときに理解しやすくなるからである。ここでも特別気配や注意気配の発生を監視したい場合は、その表示部位に監視オブジェクトを設定しておけばよい。
【0058】
また、本システムでは必要に応じて、監視オブジェクトや動作オブジェクトとは別に、定義オブジェクトを設定することができる。定義オブジェクトとは、監視オブジェクトから取得される値や利用者が設定した値および数式などに基づいて、計算や比較などの処理を行った結果を格納するためのものである。図13の例では、売り気配件数の合計値1309、売り気配数量の合計値1310、買い気配数量の合計値1311、買い気配件数の合計値1312を定義オブジェクトとして設定している。これらの演算の設定は、定義オブジェクト設定用のウィンドウで行えばよい。定義オブジェクトの生成方法は監視オブジェクトなどと同様にし、他のオブジェクトとのグループ化ももちろん可能にしておく。定義オブジェクトが囲む領域には通常何ら意味のある情報は表示されていないはずであるから、定義オブジェクトには演算結果を表示するのが好ましい。図13の例では、売り気配よりも買い気配の方が数量、件数ともにはるかに多いため、今後株価は上昇していく可能性が高いと判断できる。状況を監視できない利用者であれば、「買い気配数量が売り気配件数の2倍以上になったら買い注文を実行する」というような動作プログラムを設定することもできる。このように、現在の取引値を参照するかどうかは別として、現在の気配値や気配件数あるいはこれらの合計値や最大値を参照して売買の発注を行う方法がシステムとして自動的に実行できることは、利用者にとってより実践的な自動売買が可能になることを意味しており、価値は大きい。なお、定義オブジェクトには数値や文字を定義し表示することができるので、メモ機能としても利用することができる。例えば、画面上に株価が表示されている部分の付近に定義オブジェクトを配置し、目標株価や買ったときの値段などを記述かつ表示しておくことにより、単に株価のみを見るよりも状況を把握しやすくなるといった効果が期待できる。すなわち、インターネット閲覧ソフトウェアなど、本来は利用者が任意に文字や数値などの情報を記入することができないソフトウェアのウィンドウに対して、それらの情報を記述したメモを任意の位置に表示することができる機能が実現できるのである。
【0059】
図14は、株式取引の注文画面の一例である。注文ウィンドウで通常表示されるのは、まず買付余力あるいは信用取引であれば信用余力である。必要な資金がなければ希望する銘柄を売買することはできないので、これらは重要な情報である。さらに取引の種別を選択する場合もある。売り買いともに、現物取引で行うか信用取引で行うかといった内容を選択する。あとは希望する銘柄のコード、希望取引数量、希望取引価格などを入力する。保有銘柄を売る場合には、保有銘柄リストから選択させる方式になっている場合も多い。この他、取引市場、注文の有効期限や利用する口座の種類、パスワードを入力させる証券会社もある。最後に発注ボタンをクリックすると、そのまま発注するか発注の最終確認画面に表示が切り替わる場合がほとんどである。図15は実際の設定の一例である。注文用のウィンドウでは監視オブジェクトの使用は少なく、買付余力1501に設定する程度で十分である。後の動作プログラムの設定では、買付余力が希望購入価格と数量の積よりも大きいという監視条件を付加しておくのが無難である。これ以外はクリックや数値入力といった操作による動作を必要とするものであるから、動作オブジェクトを設定することになる。まず状況に応じて売買を選択するため、取引種別選択ラジオボタン1502には全て設定しておくのがよい。これらは配列型にはせず別々に命名しておき、想定動作としてクリックのみを指定しておく方がミスを起こしにくい。銘柄コード1503、注文価格1505、注文数量1506は、いずれも動作プログラムの設定にしたがって数値入力する必要がある部分である。取引市場1504は項目を選択するタイプの入力ボックスであるから、項目を開く部位にクリックを想定した動作オブジェクトを設定するだけでなく、希望する位置までマウスポインタの座標を移動させ、再びクリックするという動作を、後の動作プログラムで設定する必要がある。これは注文の期限1507についても同様である。口座区分1508は、通常は使い分けることが少ないので、利用する方にオブジェクトを配置しておけば十分であると考えられる。パスワード1509の入力を証券会社のシステムが求めている場合には、既に決まっているパスワードの文字列を入力できるようにオブジェクトを設定しておくのがよい。保有銘柄コード1510は、売り注文を発注するときに利用したいものであり、これをクリックすると注文画面にコード番号や数量などが自動的に入力されるようになっている証券会社も多い。動作プログラムのミスなどで、意に反して保有していない銘柄の売り注文を発注してしまうリスクを避けたい場合には、保有銘柄コード1510に監視オブジェクトを設定して保有していることを確認する条件を設定しておくか、このコードをクリックして発注するような動作を設定すればよい。最後に発注ボタン1511をクリックすると注文されるか注文確認画面に移動できるのが通常であるから、ここにも動作オブジェクトを配置しておく。
【0060】
ここで、本システムにおける情報の整理手段について説明する。図1を用いて説明したように、インターネットを通じた取引を行う者の多くは、複数の外部システムから情報を受信し、複数のウィンドウに表示される多くの情報を目視しつつ判断を行っているのが現状である。これに対し図2に示したように、本システムでは複数の外部システムからの情報を受信した結果を情報監視処理ソフトウェアで管理し、利用者に伝達する構成を有しているため、多くの情報を整理して利用者にとって理解しやすくする効果をもつことも可能である。具体的には図16のように、情報表示ウィンドウを用意するのが効果的である。情報表示ウィンドウは、一般的な表(テーブル)形式のオブジェクトを有するウィンドウである。最大の特徴は、テーブル1601には監視オブジェクトで取得した監視対象とする各情報1602を利用者が希望する任意の位置に表示することができるという点にある。監視オブジェクトの情報が時間変化すれば、このテーブルに表示されている情報も自動的に更新されることが望ましい。図16の例では、現在の取引値や気配値、日経平均株価などの数値情報のほか、ニュースサイトから取得したニュースタイトル、情報開示サイトから取得した開示速報のタイトルといった文字情報もそれぞれセル(テーブルの升)の中に表示させている。表示の設定方法の一例としては、まずセルをマウスの右クリック操作などで選択し、コマンドメニューから監視オブジェクトのデータを表示するコマンドを選択、さらに監視オブジェクト名を選択するという手順で実行すればよい。
【0061】
また、取得した情報を配置するだけでは理解しにくいため、テーブルには文字や数値、画像などを利用者が入力し、かつ表示できる機能も付加しておく。入力方法の一例としては、セルをマウスでダブルクリックするなどして入力可能状態にし、キーボードなどから任意の文字や数値、画像などを入力すればよい。図16の例では、企業名や「気配値」、「合計」、「ニュース」、「日経平均」といった任意の文字列1603を利用者が入力することにより、その近辺に配置された監視オブジェクトの数値データの意味がわかりやすくなっている。さらに、このテーブル1601には一般的な表計算ソフトウェアと同様に演算機能ももたせておくのがよい。これにより、先に説明した定義オブジェクトと同様に、利用者によって定義された演算を実行し、その結果を表示する機能を有する「定義セル」を設定することが可能になる。定義セル1604は、他のセルの値を用いて演算を実行した結果を表示するセルであるから、演算の元になるセルのデータが変化すれば定義セルのデータも演算を再度実行することにより更新される。演算式の入力(演算の定義)は「=」の入力の後に式を入力する、あるいは右クリックメニューから演算式を挿入するコマンドを選択して式を入力する、セルをダブルクリックして開かれる設定ウィンドウに式を入力するといった方法を採ることができる。演算式には加算、減算、乗算、除算、平均値や合計値などの統計処理などを定義することができる。図16では、売買気配の件数や数量の合計を計算するセルを定義し、表示させている。機能としては定義オブジェクトの演算結果をセルに表示させる場合と同等になる。定義セルの演算結果も後の監視条件設定に使用できるようにすれば、定義オブジェクトとまったく同じ機能を果たせることになる。図16のように、監視により得られた情報を整理して表示できる情報表示ウィンドウを用意すると、通常では個別銘柄ごとにしか表示できない気配値情報を自動的に複数取得してまとめて見ることや、注目していた銘柄の株価が急激に上昇する様子とその理由がわかるような情報開示サイトおよびニュースサイトの速報を同時に確認することが可能になるなど、利用者にとっては非常に有利な状況を作り出すことが可能になる。
【0062】
多数の銘柄の株価情報のように、見たい情報が一画面には収まりきらないほど多量に存在する場合も考えられるので、各セルには複数の情報を登録し、それらを交代させながら表示する機能をもたせることも好ましい。すなわち、あるセルに「株式会社ABC株価」「株式会社DEF株価」「IJ株式会社株価」の3種類の監視オブジェクトの情報を割り当て、これらの情報を一定時間間隔で切り替えながら表示する機能、あるいは変化のあった監視オブジェクトの情報を優先して表示する機能をもたせるのである。これにより、さらに多くの情報を整理して見ることが可能になる。また、情報をより視覚的に把握しやすくするため、セルの背景色が状態に応じて変更されるように設定できる機能があることも望ましい。例えば、セル内の値が一定値に到達した場合にセルを点滅させる場合の点滅色を設定できる、当該点滅色を複数の到達値に対して個別に設定できる、といった機能がまず考えられる。さらに、セルに複数の基準値と当該基準値に対する背景色を設定でき、セル内の情報に基づく数値が設定された基準値の間の値をとるとき、当該数値を挟む二つの基準値に対してそれぞれ設定された背景色を比例配分して生成した混色を当該セルの背景色とする機能をもたせるようにすれば、現在の数値が自ら設定した基準値にどの程度近い値であるか、視覚的に把握しやすくなる。
【0063】
さらには、より積極的に情報を活用することで、利用者の資産情報を確認しやすい表示を実現することも可能である。例えば、証券会社のサイトでは、利用者が保有している銘柄とその数量、現在値を表示するウィンドウがほとんどの場合で利用可能になっている。そこで、銘柄コードと数量に監視オブジェクトを設定し、現在値についてはそのウィンドウに掲載されている情報ではなく、リアルタイムに現在値が変化する機能をサポートしているウィンドウから取得する。さらに、監視オブジェクトで取得した数量と株価の乗算を行う定義セル(または定義オブジェクト)を情報表示ウィンドウに加えると、これはリアルタイムに変化する保有銘柄の資産価値となる。さらに、これらを合計する定義セル(または定義オブジェクト)も加えると、リアルタイムに変化する保有銘柄のポートフォリオを表示することができる。さらに、証券以外にも取引によって価値が変化する資産を保有している場合には、それらも含めたポートフォリオを表示することも可能である。この機能は、取引状況を監視できない利用者よりも、常に取引に関与している利用者にとっての価値が大きいものである。本システムでは情報を取得するサイトに制限はないため、実際の売買は手数料の安い証券会社のシステムを利用して行い、リアルタイム情報などの価値の高い情報は別の証券会社のサイトから取得するということが可能であるから、このような利用法も可能になるのである。
【0064】
監視条件と動作プログラムの設定
各オブジェクトの配置と特性の設定が完了したら、本システムで最も重要な監視条件と動作プログラムの設定を行う。なお、監視条件や動作プログラムの設定中に、新たなオブジェクトが必要であるとか既に生成したオブジェクトが不要であるというような状況になった場合には、利用者はいつでもオブジェクトを追加したり削除することができる。
【0065】
本システムの情報監視処理ソフトウェアでは、利用者に可能な限り理解しやすい設定環境を提供することにより、ミスの発生しにくい設定ができるようにすることを目的としている。この目的を実現するためには、監視条件とそれに応じた処理からなる動作フローが視覚的に確認できるように表示され、かつコンピュータのマウスなどの入力機器により簡便に動作フローを構成できることが重要である。具体的には、図17のような監視条件および動作プログラムの設定ウィンドウを提供する。このウィンドウでは、まず現在表示中および設定中の動作プログラム名の表示部位1701があり、ここに文字列を入力することにより、動作プログラム名を修正したり、新規に作成することができる。最も重要なのが動作プログラム表示部1702であり、ここには当初スタートポイント1703、エンドポイント1704が配置されている。さらに、条件設定パレット1705や動作設定パレット1706からフレーム1707を追加し、その中に監視条件や動作を記述したり、各フレームを連結していく作業を行いながら、動作プログラムを完成させる。フレーム1707には、通常の動作あるいは処理を行う通常フレーム、記述された条件によりフローを分岐させる条件分岐フレーム、記述された条件により3種類以上の分岐の選択を行う条件選択フレームといったものが用意されている。条件設定パレット1705の中には、条件フレームを生成するためのコンポーネント(図17では菱形のマークで示されている)や、等号および不等号、括弧、接続詞、論理構成に必要な言語要素などのコンポーネントが用意されている。また、最大値や最小値、合計値、平均値などの配列型の監視データを扱うためのコンポーネントも用意されている。監視内容が時刻である場合もあるため、「以前」「以後」といった時間比較コンポーネントも必要となる。また、前述したように、本システムでは監視オブジェクトが過去のデータも保持することができるため、何秒前かのデータを参照するためのコンポーネントも用意されている。このように数値だけでなく文字列や計算値、時間的な変化も条件に組み込むことができることにより、もしニュースサイトに地震のニュースが出れば連動して株価が下落する可能性が高い不動産銘柄の株の売り注文を出すとか、企業が新製品発表や業績修正を発表すると同時にその銘柄の株を売買するといった対応も可能になるのである。
【0066】
動作設定パレット1706の中には、動作フレームを生成するためのコンポーネント(図17では長方形のマークで示されている)や、演算記号、クリックやダブルクリックなどのマウス操作、文字列入力、マウス移動といった動作を設定するためのコンポーネントが用意されている。さらに、一定時間待機や動作プログラムの起動/停止を実行するといった、特別動作用のコンポーネントも用意されている。条件や動作の記述に必要な各オブジェクトの名称は、オブジェクトリスト1711から取り出せばよい。また、頻繁に利用する監視条件であれば、条件設定リスト1712に登録しておき、このリストから取り出すことも可能である。動作プログラムリスト1713も用意されているので、既に登録した動作プログラムを、別のプログラムの内部に組み込むことも可能である。なお、ここでは条件設定および動作設定用のコンポーネントをパレット形式、オブジェクトや既存の条件および動作プログラムをリスト形式で表示する方式を示したが、利便性などの状況によっては必ずしもこの通りである必要はなく、パレット形式とリスト形式をシステムとして適宜使用すればよい。このように利用者がコンピュータを扱うのと同程度の動作をソフトウェア処理で行うことができることにより、監視の精度が高められる効果もある。例えば証券会社のシステムによっては、「更新」ボタンをクリックしないと最新の情報に切り替えられない場合もある。このような状況では、更新ボタンを一定時間間隔でクリックするという動作オブジェクトを設定することにより、監視オブジェクト内の情報を最新の情報に更新することができるので、監視の精度が高められることになる。
【0067】
ここで設定の手順の一例を具体的に示すと、まず条件フレームや動作フレームをプログラム表示部1702内に生成する。この操作については、条件設定パレットや動作設定パレットからフレームを生成するためのコンポーネントを選択してクリックするとプログラム表示部1702内にフレームが生成されるという方式か、そのコンポーネントをマウスでドラッグしてプログラム表示部1702の上でドロップする(ドラッグアンドドロップ操作)とフレームが生成されるという方式のいずれか、あるいは両方をシステムとして利用可能にしておく。次に、生成されたフレームが保有している記述ボックス1710に条件や動作を記述していく。記述ボックス1710には、オブジェクトリスト1711や条件設定パレットあるいは動作設定パレットから必要なコンポーネントをクリックしたりドラッグアンドドロップ操作を行って追加していき、記述を完成させるのが基本操作となる。ただし、記述ボックス1710に直接キーボード入力などで記述を行うこともできるようにする。キーボード入力の場合には、存在しないオブジェクト名や、システムとして利用不可能な演算記号などが記述に含まれる可能性があるため、記述の後に論理確認を行う処理が必要である。また、パレットやリストからコンポーネントを選択して記述を作っていくだけでなく、既に登録されている条件や動作を条件設定リスト1712や動作設定リスト1713から選択して追加することも可能である。この操作もやはりクリックやドラッグアンドドロップ操作で実行することができるが、この場合にはフレーム生成と同時に記述部にも登録内容が最初から入力されている。生成後に記述内容を変更することも可能である。逆に、新しく記述した条件設定内容をリストに登録することも可能であり、この操作もプログラム表示部1702から記述内容をドラッグしてリスト上でドロップするなど、視覚的に容易に実行できる方式とするのが好ましい。
【0068】
このようにして監視条件や動作のフレーム生成およびその記述が完了したら、これらを適切に連結させていく作業が必要である。各フレームには連結ポイント1708が付加されており、この連結ポイントを他のフレームの連結ポイントに連結することにより、視覚的に動作フローを構成していくことができる。連結ポイント同士を連結させる操作は、マウスで連結ポイントをドラッグして重ね合わせると実行されるというような直感的に操作しやすい方式が好ましい。また、連結したポイントをダブルクリックしたり右クリックメニューから解離コマンドを実行するなどの方法で、必要に応じて容易に解離できるようにしておくことも好ましい。なお、条件フレームの連結ポイントには、条件が成立した場合のフローを示す「Yes」と成立しなかった場合のフローを示す「No」という分岐表示1709が付加されている。分岐表示1709は、マウスによる移動操作によって別の連結ポイントに移動させることも可能としておくと、より見やすいフローを作成することが容易になる。以上のように、条件フレームや動作フレームを生成し、必要な条件あるいは動作の記述を行い、それらのフレームを連結させてフローが完成すると、動作プログラムの設定は完了となる。このウィンドウにはコマンドボタン群1714も用意されており、既に登録されている動作プログラムを読み込んで表示したり、動作プログラムの設定中に新しくオブジェクトを追加したなどの理由でリストを更新したり、修正あるいは新規に作成した内容を保存するといった処理を実行することができる。作成された論理やフローに矛盾がないかを確認するための論理確認(デバッグ)もここで実行することができる。以上をまとめると、動作フローが視覚的に表示されるウィンドウと、当該ウィンドウに条件文あるいは処理内容を記述するためのフレームを追加する手段と、追加した当該フレームをマウス等の入力機器で連結および/または分離する手段と、作成した動作フローに対するデバッグ手段とを有するシステムであればよいということになる。
【0069】
ここで、動作プログラムの設定について補足しておく。利用者が設定したい動作として、大部分が共通しており、一部のみを変更すれば複数の動作を使い分けることができる場合がある。例えば株式の買い注文を発注するという動作プログラムを作成する場合、クリックする場所や数値などを入力する場所は同じであり、入力内容を少し変更すればさまざまな銘柄の発注を実行することができる。このような場合には、その変更が行われる箇所を変数のように扱う動作プログラムを設定しておき、必要に応じて動作プログラムを呼び出した後に適切な入力(変数の引渡し)を実行できるようにすれば、銘柄や数量、希望取引価格などを変えるたびに別のプログラムを設定する手間を省略することができる。図17の中では、「買い発注(銘柄コード=4500, 数量=200, 指値=ABC株価-50)」という記述がなされているが、この括弧に含まれる部分が変数の引渡しに相当する部分である。
【0070】
ここで呼び出されている「買い発注」という動作プログラムを例示すると、図18のようになる。図18で「現物買い」「銘柄コード」「数量」「指値」「発注ボタン」というのはいずれも利用者が設定かつ命名した動作オブジェクトであり、「買付余力」は同様に設定された監視オブジェクトである。銘柄コードや数量などの欄に具体的な数値を入力するような動作プログラムを作成することはもちろん可能であるが、それでは他の銘柄や異なる数量での買い発注を行いたい場合に、また動作プログラムを設定しなければならない。それに対して図18の例のように、入力する値を「変数A」「変数B」などと設定しておくと、本システムではこの動作プログラムを呼び出した後に、各変数の部分に入力する値を指定することができる。また、その後の買付余力の確認を監視条件にしていることからわかるように、各オブジェクトに具体的な値を入力した後は、そのオブジェクトの保有値は入力された値であるとみなされ、条件設定に使用することができる。図18のような動作プログラムを設定ウィンドウのプログラム表示部などに呼び出した状態では、「買い発注(銘柄コード=?, 数量=?, 指値=?)」というように入力値が確定していない動作オブジェクト名がわかるような表示がなされ、このクエスチョンマークの部分にキーボードなどで具体的な値を入力すると、実際に動作するプログラムとなる。変数の入力は、このように入力動作を想定しているオブジェクトに対して実行できるので、監視対象とするソフトウェアに実際上の入力機能がない場合でも、入力動作を想定した定義オブジェクトを生成するなどして、このオブジェクトに値を入力させるという使い方が可能である。このような変数を用いた動作の設定方法により、利用者の設定の手間を大幅に削減することができる。もちろん、変数を用いずに類似した動作プログラムを数多く作成することもできるので、プログラムの考え方に慣れていない人でも問題なく本システムを利用することができる。ある動作プログラムを別の動作プログラムに組み込むことができる機能は、利用者の手間を削減させるだけでなく、動作プログラムのフローを簡潔にするため、ミスの少ない設定も可能にする。
【0071】
本システムの動作プログラムは、基本的にエンドポイントまで到達したら動作は停止することになっている。そのため、何度も繰り返し動作を実行させたい動作プログラムについては、エンドポイント直前に自分自身のプログラムを起動するコマンドを組み込んでおくことにより、起動と停止が交互に実行されるようにすることができる。ただしこの方法では、他にも並列で動作しているプログラムが多い場合や、現在の実行状態を保持しておきたい場合などで、利用者が望む継続実行動作ができない場合がある。これに対しては、エンドポイントのない動作プログラムを設定することで解決できる。すなわち図30のように、動作プログラムの設定において、エンドポイントと最後のコマンドの下にある連結ポイントを接続せずに、スタートポイントの下など動作を繰り返し実行したい部分の最上位にある連結ポイントと最後のコマンドの下にある連結ポイントを接続する設定を行うと、エンドポイントのない(自発的には動作を停止しない)動作プログラムを作成することができる。このようなプログラムは図29のような構成をとり、一度動作を開始すると、システム全体を停止させるか、他の動作プログラムなどからこのプログラムを停止させるコマンドが実行されない限り、継続的に動作を繰り返すことになる。このため設定時には注意が必要であり、メッセージダイアログなどで、そのようなプログラムであることを通知する機能を有していることが望ましい。
【0072】
なお、本システムではオブジェクトの特性、監視条件、動作プログラムなど利用者が設定を行った結果を任意のタイミングで保存記憶することが可能である。また、本システムの提供者や証券会社などの外部システムの運営者がこれらの設定を行った結果を保存したデータファイルを、利用者が無償あるいは有償で入手して本システムに組み込むことも可能である。利用者本人以外が作成した設定を使用する場合でも、本システムでは動作フローを視覚的に確認することができるため、危険性のある処理を含む設定を誤って利用してしまうリスクは少ない。
【0073】
動作プログラムの実行
動作プログラムの設定が完了したら、動作プログラムを実行させる操作を行う。なお、本システムで情報の監視のみを行う場合には、監視オブジェクトの有効性を有効に設定し、情報表示ウィンドウを見るという利用法も考えられるため、必ずしも動作プログラムを実行しなければシステムが稼動しないというわけではない。動作プログラムの実行は、図19のような動作プログラム確認ウィンドウを用意すると利用しやすい。このウィンドウには登録されている動作プログラム名とその実行状況、監視条件などがテーブル1901の形式で表示される。表示されているプログラム名をダブルクリックすると、そのプログラムの設定ウィンドウが開かれ、内容をチャートで容易に確認することができる。実行欄1902をマウスでクリックすると実行状態(○印などで表示)と停止状態(×印などで表示)を切り替えることができる。あるいは、右クリックメニューから実行または停止を選択する方式でもよい。基本的には、本システムを起動した直後は、いずれの動作プログラムも停止状態になっているものとする。ただし、システムの稼動中にその状態を保存しておくコマンドを用意し、後にシステムを起動してから保存した状態を呼び出すコマンドを実行すると、動作プログラムの状態も再現されるものとする。実行が完了した動作プログラムでは実行欄に「完」などと表示され、状態をわかりやすくする。完了したプログラムはクリック操作などで容易に再実行できるようにしておくと、却って誤操作を起しやすいので、右クリックメニューなどから再実行を意識的に選択するようにしておく。
【0074】
なお、動作プログラムの表示順序を自動的に決定する場合には、動作回数や通算動作時間が長いものほど上位に配置するという方式か、新しく設定や修正が行われたものほど上位に配置するという方式かを採用することができる。マウス操作によってプログラム名をドラッグすると入れ替えられるなど、手動の順序交換も可能としておく。重要なのは、この欄での表示順位が上位であるものほどプログラムの実行優先度が高くなるということである。監視条件のチェックは優先度が高い動作プログラムから順に実行され、第一の監視条件が達成された場合、さらにそのプログラム内部に含まれる第二の監視条件が存在すれば、その条件のチェックを行う。それ以降の監視条件がある場合でも同様である。最終的に優先度が高いプログラムがフローを完結できる状態(エンドポイントまで実行できる状態)になった場合には、そのフローが完結するまで、他の動作プログラムは待機することになる。なお、優先度が高い動作プログラムのいずれかの監視条件が達成されず、フローが完結できない状況が判明した時点で、次に優先度が高い動作プログラムのチェックが開始される。このようなシステムでは、各動作プログラムの実行頻度1903も重要な特性となるので、項目として用意されている。例えば実行頻度が5秒となっている動作プログラムは、5秒に1回の割合で監視条件のチェックなどの処理が実行されることになる。それほどこまめにチェックする必要のないプログラムに対しては、実行頻度を低く(設定時間を長く)しておく方がシステムへの負荷が少ない。実行頻度の設定は、この欄をマウスでダブルクリックするとキーボードからの数値入力が可能になるので、それから入力すれば実行できる。なお、動作プログラムの実行頻度と監視オブジェクトの監視時間間隔とは独立した特性である。どうしても利用者の端末では処理しきれない負荷が避けられない利用法が存在する場合には、証券会社などの外部システムと利用者の端末との仲介を行うサーバーを設置し、このサーバー上で本システムを稼動させる構成を利用してもよい。
【0075】
また本システムの特徴として、動作プログラム確認ウィンドウに、「到達度」欄1904を設けてもよい。これは、動作プログラム中に設定された監視条件が成立するまでの到達度を示すもので、例えば「株価が2000円以上」という監視条件が設定されていて、現在の株価が1900円であれば、その条件の到達度は1900/2000=95%というように計算される。なお、文字列の一致などの条件では到達度は計算されないため、0%となる。到達度の計算可能な条件を複数有する動作プログラムであれば、それらの到達度の積を全体の到達度として計算することができる。表示順序についても到達度を参考に決定されることが好ましく、到達度の高いものほど上位に配置するように自動更新するようにしておくと、その後の投資方針を考えやすくなるといった効果もある。
【0076】
また、状況に応じていつでも動作プログラムを実行できるように、クイック実行ボックス1905を設けておく。このボックスにシステムで用意されているか利用者が登録した動作プログラム名および必要な変数値をキーボードで入力して実行ボタンをクリックするかEnterキーを押すと、その動作プログラムがただちに実行されるので、監視状況に関係なく緊急で発注を行いたい場合などには便利である。このとき実行されたプログラムは重要性が高いと思われるので、動作プログラム確認ウィンドウの一番目に表示される。なお、同様に入力して待機ボタンをクリックした場合には、ただちにプログラムが実行されるのではなく動作プログラム確認ウィンドウに停止(待機)状態で追加される。これも実行欄をクリックすればいつでも実行可能な状態になっているため、緊急時への対応には都合がよい。
【0077】
また、このような動作プログラムの実行は、手入力だけではなく、システムとして用意されている動作プログラム追加コマンドとしても実行できる。これはシステムの特別コマンドの一つであり、動作プログラム名、変数値、実行状態を指定して実行すると、上記と同様に動作プログラム確認ウィンドウにそのプログラムを指定された実行状態で追加するものである。この機能は、監視条件によっていつでも実行可能な動作プログラムを待機状態で用意し、利用者が瞬間的な判断で実行するかどうかを決定するといった動作を行いたい場合に便利である。例えば、情報開示サイトでよい方向に業績予想の修正を発表した企業の株価は、瞬間的に急上昇する場合が多い。したがって、このサイトで「業績予想の修正」という文字列の発生を監視しておき、この文字列の横にある銘柄コードを監視オブジェクトで読み取って、その銘柄を発注可能な状態で動作プログラム確認ウィンドウに加えておくという動作プログラムを実行させておけば、利用者は発表された内容を確認した上で一回クリックするだけでその銘柄を発注することができるのである。このように、売買したい銘柄が決まっていなくとも、ニュースや発表内容に応じてすぐに買うという判断ができることは、通常の証券会社のシステムでは実現できない大きな利点となる。
【0078】
動作プログラム実行中の状態確認
動作プログラムを実行している間は、基本的に利用者はウィンドウを監視している必要はない。それでも設定が正しく行われているか確認したり、時間があればウィンドウを見たいという要望はあると考えられる。既に述べたように動作プログラムの実行状態の確認や緊急でプログラムを実行することは動作プログラム確認ウィンドウで行うことができるが、個別のオブジェクトの状態の確認のためには、これだけでは不十分である。そこで本システムの情報監視処理ソフトウェアでは、図20のように、各オブジェクト上にマウスカーソル2001を移動させると、そのオブジェクトの状況を示す吹き出しメッセージ2002を表示する機能を有する。吹き出しメッセージに表示される内容は、そのオブジェクトの名称と種類、現在の値(監視オブジェクトの場合)、そのオブジェクトを含む動作プログラム名、監視条件などである。マウスカーソルをさらに移動させてオブジェクトとの重なりがなくなると、吹き出しメッセージも消去される。複数のプログラムに利用されているオブジェクトの場合、各プログラムの内容を確認するだけでは状況がわかりにくいが、オブジェクトの視点からも設定を確認できるようにすることにより、よりミスの発生しにくいシステムとすることができる。
【0079】
利用者への状況通知
本システムの第一の目的は、インターネット取引の状況を監視できない利用者のリスクを低減させることにあるため、利用者が設定した監視条件に到達したら何らかの自動処理を実行するだけでなく、利用者に状況を通知する機能を有している必要がある。またこれに伴って、利用者が状況を確認したら、ただちに望ましい処理を実行できるような方式を有している必要もある。まず利用者への通知については、本システム(情報監視処理ソフトウェア)自身が指定されたメールアドレスに監視条件の達成や動作プログラムの実行を電子メールとして送信する方法を有していればよい。この場合には、システムコマンドとして「電子メール送信」というコマンドを用意する。電子メール送信コマンドは、送信先のメールアドレスとメッセージ内容を変数として含み、これらはあらかじめ動作プログラムに指定しておいてもよい。例えば「電子メール送信(メールアドレス=XXX, メッセージ=ABCが指定株価に到達)」という形式で動作プログラムに記述しておけば、XXXというメールアドレスに「ABCが指定株価に到達」というメッセージが通知される。さらに、状況に応じてメッセージを変えることももちろん可能である。例えばメッセージ変数に、「メッセージ=”条件ABC”が達成」というように条件名を入れておけば、その内容がメッセージに組み込まれて送信される。条件名だけでなく、監視オブジェクト名を入れることも可能である。
【0080】
以上は、本システム自体が電子メール送受信機能を有することを前提として記述した内容である。しかしながら図2を用いて説明したように、本来は外部システム(ネットワーク)にアクセスするのは他のソフトウェアに任せ、本システムはそれらのソフトウェアが取得した情報を監視および処理するという方式にとどめておく方が、ネットワークセキュリティ上は安全性が高い。利用者の端末に電子メール送受信用のソフトウェアが組み込まれている場合には、そのソフトウェアを本システムの情報監視処理ソフトウェアでコントロールすることにより、電子メール送受信機能を実現することが可能である。一例として、図21のような動作プログラムを設定する。まず利用者の端末のデスクトップウィンドウに存在する電子メール送受信ソフトウェアのアイコンに動作オブジェクトを設定してダブルクリック動作を行うか、ソフトウェア起動メニューに動作オブジェクトを設定して選択クリック動作を行うことにより、必要なタイミングで電子メール送受信ソフトウェアを起動する。もちろん、システム起動時やそれ以前にこのソフトウェアを起動しておいてもよい。次に、電子メール送受信ソフトウェアのメッセージ作成ウィンドウを開くためのボタンに動作オブジェクトを設定しておき、これをクリックする動作を設定する。これにより開かれたメッセージ作成ウィンドウ上で、送信先を入力するボックス、タイトルを入力するボックス、メッセージを入力するボックスにそれぞれ動作オブジェクトを設定し、必要な記述を入力できるようにする。送信先のメールアドレスが決まっていれば、この部分はアドレスを自動的に入力するようにしておけばよい。タイトル、メッセージの内容は必要に応じて変えられるようにしておくと便利なので、この動作プログラムでは変数にしておく。最後に送信ボタンにも動作オブジェクトを配置し、これをクリックする動作を設定することにより、本システム以外の電子メール送受信ソフトウェアを利用してメッセージを送信するための動作プログラムが完成する。この動作プログラムに「電子メール送信」という命名をしたとすると、本システムの情報監視処理ソフトウェアでこれを呼び出したときには、「電子メール送信(タイトル, メッセージ)」という表示になり、タイトル、メッセージは変数として後から指定することができる。
【0081】
このようなメール通知機能は、多くの証券会社やオークション業者のシステムでも利用可能になっている。通知されるメッセージの内容も、約定や取引成立、発注状況など数種類から選択することができるようになっている。しかし実際には、メッセージを通知するだけでは利用者の負担やリスクを十分に減少させているとはいえない。仮に利用者が保有する銘柄の株価が急落したり、オークション価格が急上昇しているような状況を電子メールで通知されたとしても、新たに発注を行ったり発注条件を修正するためには、サイトへのログイン操作や希望価格などの入力を行って送信しなければならないが、このような操作を通常の勤務中などに行うことは難しいものである。
【0082】
完全に自動プログラムに任せるのは不安であり、しかしながら電子メール通知後に煩雑な入力作業を行うことも難しいというような利用者に対しては、通知された内容に対して極めて簡単な確認返信作業を行えば、発注などの動作が自動的に継続されるようなシステムを提供すればよい。電子メールによって確認したい情報が生成されるまでの過程と、確認後の具体的な処理については、あらかじめ動作プログラムを設定しておくことができるから、あとはこれらのフローの中に、利用者が確認したいところでブレーク(一時停止)ポイントを挿入できるようにしておけばよい。この機能はコマンドとして用意してもよいが、条件判定フレームを利用すれば実現できる内容である。これを用いて動作プログラムを設定した一例を図22に示す。この例では、ABCという銘柄の株価をチェックしておき、2000円以下になったら200株の買い発注を実行するという簡単な動作プログラムの途中に、あらかじめシステムが用意しているか、あるいは利用者が前述のように設定した電子メール送信用の動作プログラムを挿入している。利用者には監視条件が達成された時点で一度電子メールによる通知を行い、利用者からの指示を待つ。具体的には、電子メール送受信用のソフトウェアの受信リストに監視オブジェクト「メールタイトル」を設定しておき、メールタイトルをチェックさせればよい。システムとして電子メール送受信機能を有している場合には、このような監視オブジェクトを設定しなくとも、同様の処理が可能である。
【0083】
図22の例では、システムを利用して送信した電子メールのタイトルに対し、そのまま返信した場合にタイトルに付加される「Re:」が付けられたメールが利用者から返信されるかどうかを監視条件としている。このようにしておけば、利用者はシステムからの電子メールを携帯電話や外出先のコンピュータなどで確認した後、とくに文字などを入力することなく、返信ボタンを一度押す程度の簡便な操作を行えば、自動的に監視条件を満たす電子メールを返信することができる。なお、利用者以外からの電子メールがたまたま同じタイトルで届いてしまった場合には、利用者の意思に反して動作プログラムが実行されてしまうことも考えられるので、この例では電子メールの送信者欄にも監視オブジェクトを設定し、送信者が利用者であるかどうかを確認する監視条件も加えている。それでも不安がある場合には、送信されるメールタイトルにパスワードも一緒に入れておくなどの工夫をすれば、さらに安全性は高くなる。これらの監視条件が満たされれば、既に設定されている買い発注プログラムを実行して、この動作プログラムのフローは完結する。
【0084】
これらの一連の動作フローの中で、利用者が外出先で行わなければならない操作は、電子メールの返信ボタンを押すだけのことである。監視条件が満たされても、動作を継続実行させる意思がなければ、電子メールを返信しなければよい。このように、動作フローの途中に一時停止ポイントを挿入する手段と、一時停止ポイントに到達したら利用者に電子メール等でメッセージを送信する手段とを有し、送信したメッセージに対して利用者から返信された場合には一時停止ポイント以後の動作を継続することができるシステムであれば、設定のミスなどで利用者の意思に反した処理が実行されるリスクが低減されるので、安心して利用することができる。証券会社などがサービスとして行っている単なる通知機能では、電子メール通知後の発注処理などを外出先から入力しなければならないことを考えると、利用者にとっては格段に利用しやすい環境を実現できることになる。
【0085】
また、電子メール送受信を利用して外部からの遠隔操作も実行できると、さらに利便性は向上する。本システムが電子メール送受信機能など直接外部ネットワークにアクセスできる機能を有していれば、実行したい動作プログラムを利用者が外部から送信すればよい。本システムが外部ネットワークにアクセスする機能を有していなくとも、電子メール送受信ソフトウェアなどと各オブジェクトを組み合わせる上記の方法で実現できるが、本システムでは「動作プログラム実行オブジェクト」を用意することにより、ミスなく容易に遠隔操作ができるようにする。動作プログラム実行オブジェクトは、その内部に「動作プログラム名(動作プログラムの変数), 実行状態 , パスワード」を含む文字列が存在すると、その動作プログラムを指定された実行状態にするという特別オブジェクトである。したがって、例えば電子メール送受信ソフトウェアの受信メールのタイトル部分やメッセージ表示部に動作プログラム実行オブジェクトを配置しておき、タイトルやメッセージに「買い発注(4500, 200, 1950), 実行 , 0123」という文字列が含まれる電子メールを受信すると、利用者が設定した買い発注プログラムが実行される。実行状態については「実行」または「停止」を指定することができる。本システム自身に電子メール送受信機能が組み込まれている場合には、その電子メール送受信部に同等の機能が組み込まれていてもよい。なお、同じプログラムを遠隔操作で複数回実行したい場合には、「実行-n」のように指定すると、n回目の実行が行われる。このように何回目の実行かを指定できるようにしておけば、一度受信した電子メールによって同じプログラムを何度も実行してしまうようなミスは避けられる。パスワードについては、動作プログラム実行オブジェクトの特性として設定できるものであり、受信した内容と設定された内容が一致していなければ動作プログラムは実行されない。
【0086】
このように外部から遠隔操作が容易かつ安全に実行できる手段が提供されていると、システムを重複して使用する場合にもコントロールしやすくなる。例えば自宅を出るときに、自宅のコンピュータで本システムを稼動させたとし、勤務先に到着したらそこのコンピュータで本システムを稼動させる場合を考える。この場合には、同じ動作プログラムが実行されていると、一定の状況に対して二つのシステムで同時に同じ処理を行ってしまうことになる。すなわち、同じ銘柄の株式を二重で発注してしまうというような事態が発生しうる。したがって、勤務先のコンピュータで主にコントロールしたいという場合には、先に自宅で稼動しているシステムに停止を実行するためのメッセージ送信を実行しなければならない。このような操作が、本システムでは容易に実行できるようになっている。また、勤務先から自宅のシステムの状況を確認するためには、離れたシステムから電子メールなどでプログラムの実行状況などを送信させなければならない。本システムでは、監視オブジェクトが取得した情報だけでなく、利用者が設定した情報表示ウィンドウや動作プログラム確認ウィンドウなどシステムとして有している機能ウィンドウの内容をそのまま電子メールなどで送信することも可能になっているため、離れた場所にあるシステムに指示を与えるだけでなく、そのシステムから任意のタイミングで情報を取得することも容易に実行できるようになっているのである。
【0087】
なお、以上の表現方法は目的の機能を実現するための一例であって、外部ネットワークから送信する文字情報に基づいて利用者が望む動作プログラムを実行させる手段が実現できれば、必ずしも上記の方式に限定されない。また、必要に応じて同じ動作プログラムを複数回区別して実行させる手段と、利用者が独自に設定できるパスワードを付与する手段が確立されていることが好ましく、これらの方法も必ずしも上記の方式には限定されない。
【0088】
上記の内容は電子メールなどを利用して外部にいる利用者に情報を通知することを目的としているが、端末の近辺にいる内部の利用者にも適切な情報通知を行うことが好ましい。まず端末の画面、すなわち本システムの動作状況を直接見ている利用者に対しては、変化のあった監視オブジェクトや動作プログラム確認ウィンドウのセルを点滅させたり着色させる、メッセージダイアログに監視条件の達成などを表示して通知するといった方法が利用できる。また、端末の画面を見ている利用者だけでなく、少し離れた場所にいる利用者にも利用できる方法としては、音声通知がよい。やはり監視オブジェクトに変化があった場合や、監視条件が達成された場合などに、必要に応じて音声を変えながら状況を通知するのである。オブジェクトや監視条件、動作プログラムにそれぞれ利用者が命名できることによって、利用者にとって理解しやすいシステムとなっている特徴を考慮すると、通知に用いる音声も利用者が自由に設定できることが好ましい。例えば、「ABC株価≦2000」という監視条件が達成されたときには、「ABC株価が2000円以下になりました」というような具体的な内容の音声で通知される方が理解しやすいということである。
【0089】
この機能を実現するため、本システムでは標準的な音声データファイルを用意するとともに、利用者が作成した音声データファイルも登録できるようにし、動作フローの中で登録した音声を再生できるようにする。音声データファイルの作成にはさまざまなアプリケーションソフトウェアが利用できるため、通常のコンピュータで使用される標準的な音声データファイル形式を再生できる機能さえ用意しておけば、とくに本システムで音声作成機能まで付加する必要はない。また、このように音声データファイルを利用するのであれば、通知用だけでなく入力用に使用するのも有用である。例えば、動作プログラム中に「音声入力待ち」というポイントを設定できるようにする。音声入力待ちの状態で利用者が音声をマイクなどで入力すると、本システムがその内容を数値や文字に変換(解釈)し、その内容に応じて次の処理に進むという機能が一例として挙げられる。これにより、「ABC株価が2000円以下になりました」という音声通知を行ったあと待機状態になり、利用者が「ABC買い発注、200、2000」などと音声入力すると、これをシステムが解釈してABC買い発注プログラムを実行するというような動作が可能になる。単純に「継続」や「はい」という返事をすれば動作が継続されるようにしておいてもよい。音声入力の解釈については、システムで自動処理が難しければ、あらかじめ利用者が試験的に音声入力を行い、それがどのような数値や文字に対応するのか設定できるようにしておけばよい。この方法は設定段階で手間を要するものの、実際にシステムが稼動しているときには直感的に動作させることが可能になるので、コンピュータを瞬時に動作させることに自身がない利用者にとっては都合がよいものである。
【0090】
上記のように、音声データおよび音声入力を利用すると、システムの応用領域を拡大させるだけでなく、利用者にとっても最適な利用手段を選択しやすくなる効果がある。なお、音声入力に限らず、利用者による何らかの入力操作があるまで待機状態にするという設定は有効である場合も多いので、キーボードやマウスなどの入力機器からの所定の入力があるまで待機するという機能(コマンド)を用意してもよい。
【0091】
動作プログラムの完了
動作中のプログラムは、図17のようにエンドポイントまで処理が進んだ段階で完了となり、停止状態に移行する。したがって停止したプログラムを再び動作させたい場合には、このプログラムのエンドポイント直前に他のプログラムを起動するコマンドを配置し、起動されたプログラムから元のプログラムを起動するような手順を踏むのが一つの手段となる。もし実行したい回数が決まっている場合には、動作設定パレットから「カウント」を選んで配置すればよい。これは、そこまで処理が到達した回数を数える動作を行うコマンドであり、設定された回数に到達したら次の処理に移行するというフロー制御を行うことができる。
また、図19を用いて説明した動作プログラム確認ウィンドウやコマンドメニューから、利用者が手動でプログラムを停止させることも可能である。動作プログラム確認ウィンドウであれば、「実行」欄をクリックすることで実行状態と停止状態を切り替えられることは既に述べた通りである。
【0092】
システムの動作停止
本システムをインターネット取引などに利用する場合、必要な時間帯を除いては、安全のためシステムの動作を停止させておくのが通常である。動作プログラムが全て停止していても、本システム自体が停止していることにはならないため、利用者が意図的にシステムを停止させるコマンドを実行しなければならない。なお、ある動作プログラムが実行されたら、システム全体を停止させるコマンドを実行するような動作プログラムを設定することは可能である。本システムでは各オブジェクトの特性、設定条件リスト、各動作プログラム、情報監視ウィンドウなどの付属機能の設定などを任意のタイミングで保存記憶することが可能であるが、システムを停止させるときにこれらの最新の状態が保存記憶されていない場合には、保存操作を実行するかどうか確認するメッセージを表示する。なお、これらを保存したデータファイルは、他所で利用されている同システムに組み込むことも可能とする。これにより、設定が難しいと感じる利用者に対しては、システムの提供者や証券会社などがあらかじめ設定したデータファイルを提供することにより、ほとんど手間をかけずに利用することが可能になる。また、本システムでは、上記の各オブジェクトや監視条件、動作プログラム、付属機能などをそのままの実行状態で保存記憶することができ、これを状態保存と呼ぶ。状態保存を行っておくと、次回にシステムを起動したときに、保存された状態を復元することができるため、すぐに利用者の望ましい状態でシステムを利用することが可能である。システム全体を停止させるときには、状態保存を実行するかどうかを確認するメッセージも表示するものとする。
【実施例1】
【0093】
本発明の画面情報監視処理システムはリスク回避手段として有効であるだけではなく、利益を最大化したいという投資家の希望も実現させることができる。ここでは、株式購入における利益機会の拡大例について説明する。
【0094】
今、買いたい銘柄の候補が2種類あり、銘柄Aは20万円以下、銘柄Bは25万円以下になれば買い注文を発注したいとする。このときもし買付余力が45万円以上あれば、銘柄Aに20万円、銘柄Bに25万円の買い注文を入れておけばよい。しかし実際には買付余力に余裕がある場合は少なく、例えば30万円しか余力がないという場合が多い。これではどちらか一方にしか買い注文を入れることができないので、結果的に注文しなかった方の銘柄のみが希望する安値になった場合に、どちらの銘柄も買うことができないのである。このような状況に対し、取引状況を監視できる者ならば、注文しなかった方の株価が下がった時点で、先の買い注文を取り消して、その銘柄に買い注文を入れることができる。取引状況を監視できない者には何ら損失が発生したわけではないが、やはり利益を拡大する機会を逸していることになる。
【0095】
本システムを利用すれば、このような場合にも機会を失うことなく、利益を得ることができる。具体的には、まず監視オブジェクトを銘柄A、銘柄Bの株価に設定し、成行買いを行う動作プログラムを先に設定しておく。動作プログラム「成行買い」は、銘柄コードと発注数量の2つを変数にしておく。そこで図23のように、「銘柄Aの株価が20万円以下になったら銘柄Aを成行買いで発注する」、「銘柄Bの株価が25万円以下になったら銘柄Bを成行買いで発注する」という2つの動作プログラムを設定する。これらの動作プログラムの最後には、その動作プログラムが実行されたらもう一方の動作プログラムを停止するコマンドを入れておけば、どちらか有利な方の注文が実行された時点で動作を終了することができる。もちろん、この方法は2種類の銘柄だけではなく、3種類以上の複数銘柄についても利用できる。注目したい銘柄が多ければ多いほど、買付余力に関係なく売買希望の設定ができる本システムの利用価値は高くなる。このように、複数の銘柄に対してそれぞれ取引の希望条件を設定し、それらの中のいずれかの条件が達成された場合にその銘柄の取引を発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、さらには、条件が達成されたその銘柄の取引を発注するとともに、それ以外の取引の発注は行わないことを特徴とする有価証券等の発注方法が利用できる本システムにより、先に述べた利益機会を失う問題は解消され、利用者が希望する取引を実現させることができる。
【0096】
また、売買高が少ない銘柄では、直近の取引値とその後の取引を希望する気配値との間に大きな差が生じることが多い。このような場合、注文の条件指定ができる証券会社のシステムでも、多くの場合は直近の取引値を条件指定に利用する方式になっているため、買いたい投資家の利益を最大化できないという課題がある。例えば、銘柄Cの直近の売買が1300円で成立した後、1280円の売り注文が発生したが、買い注文の最高気配値が1200円となっているような場合である。証券会社のシステムで「1300円以下になったら買い」という指定を行っていると、この時点で買い注文が発動され、1280円で約定することになる。しかし取引状況を実際に監視している者は、通常はこのような発注は行わない。買い注文の最高気配値が1200円であれば、1250円程度で買い注文を入れても取引が成立する可能性が高く、より利益を拡大させることができるからである。
【0097】
このような銘柄では、直近の取引値を参照しつつも、その後の取引への影響が大きい売買気配値を監視して発注する方がよい。例えば、現在の買い気配の最高値に対して利用者が希望する比率を乗じた価格で買い発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、現在の売り気配の最低値に対して利用者が希望する比率を乗じた価格で売り発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、現在の売り気配の最低値と買い気配の最高値とを利用者が希望する比率で比例配分した値で買い注文または売り注文を発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、さらに、これらの気配値を参照する有価証券等の発注方法において、気配値が変化した場合には新しい気配値に対して利用者の希望する条件に適合するように自動的に注文内容を変更して再発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、といった発注方法が利用できれば、より実践的な売買を行うことが可能になり、利益を拡大できる可能性が高くなる。単に気配値の最高値や最低値を参照するだけではなく、買い気配値または売り気配値の件数および/または数量の合計値を参照することを特徴とする有価証券等の発注方法、買い気配値または売り気配値の件数および/または数量の合計値の比率が利用者の希望条件を満たした場合に発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、なども有効な方法となる。また、出来高が少ない銘柄では買い注文を発注せずに待っている方が、より安い売り注文が発生することも多いので、一定範囲内の価格での売り注文が発生したら買い注文を発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、一定範囲内の価格での買い注文が発生したら売り注文を発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、これらの発注方法において発生した売買注文に対して約定できる最低価格で発注することを特徴とする有価証券等の発注方法、という条件設定も効果が高い。上記の発注方法はいずれも、現在の取引値ではなく気配値を監視することで可能になるものであるが、本システムでは気配値を監視する設定は容易に行えるため、実現可能な方法となる。
【0098】
上記のように、株価の変動では気配値の状況が大きく作用することが多いが、特定の銘柄で大きなニュースや発表があった場合には、次々と成行注文が行われるため、気配値の変動を参照していては適切な売買タイミングを逃してしまう可能性がある。むしろ、このような場合には、現在の取引値や気配値だけを監視するのではなく、取引値や出来高の時間変化を参照する方がよい。既に説明したように、本システムでは監視オブジェクトのデータは一定時間間隔ごと、または情報に変化があった場合に時刻とともにメモリーに蓄積され、記憶媒体に保存する機能も有している。したがって、過去のデータと現在のデータの変化を比較することは可能である。例えば「銘柄Aの株価」という監視オブジェクトを設定した場合、現在の値は「銘柄Aの株価」と単に表記するか、「銘柄Aの株価(0)」と表記することにより、条件設定で呼び出すことができる。ここで、「銘柄Aの株価(i:j:k)」のように表記すると、当日のi時j分k秒(i,j,kは自然数)におけるデータが呼び出される。時刻の指定は日付を付加して指定することも可能で、指定された日時にちょうど一致するデータがなければ、最も近い日時のデータが呼び出される。さらに、「銘柄Aの株価(-n)」のように表記すると、現在時刻からn秒前のデータが呼び出される。この機能を利用して例えば「銘柄Aの株価≧銘柄Aの株価(-30)×1.1」という条件を設定すると、これは30秒間で株価が10%以上も値上がりしている急騰状況をピックアップできることになる。もちろん急落状況をピックアップすることも可能である。当日に決算発表が予定されている銘柄などでは、このように大きく株価が変化する可能性が高いため、同一の投資対象に対して異なる複数の時点での取引値を参照することを特徴とする有価証券等の発注方法が可能であることは、利益拡大あるいはリスク回避の面で非常に効果が大きい。株価の変動だけを参照して売買発注するのが不安であれば、情報開示サイトでその銘柄に関する発表のタイトルに「業績予想の修正」や「特別損失」の発生といったキーワードがあるかどうか、ニュースサイトで「地震」「テロ」といったキーワードがあるかどうかを併せて監視対象とし、監視条件に加えておけば、より的確な売買が可能になる。本システムでは監視対象とするサイトに制限はなく、対象にできる情報も数値だけではなく文字情報なども含まれるため、このような設定が可能になるのである。
【実施例2】
【0099】
本発明の画面情報監視処理システムは、インターネットなどを介した取引の補助手段として利用されることを主要な目的としているが、他にも有効な利用法が考えられる。ここではそれらの利用法の例を列挙していく。
【0100】
株式等の金融商品の取引を行っている場合、取引の状況をリアルタイムで監視する者はそれほど多くはないが、一日に一回程度はその日の終値など概況をチェックする者は多い。その場合、株価情報サイトなどに注目する銘柄コードを逐一入力して、情報を確認するのが普通である。これは単調な作業であるから、コンピュータを利用して自動的に実行できると都合がよい。本発明のシステムであれば、特定サイトへのアクセス、銘柄コード欄への数値入力、それにより開かれた情報ウィンドウに対する監視オブジェクトからのデータ収集といった動作を容易に設定できる。このとき収集したい銘柄が多ければ多いほど、自動化による手間の削減効果が大きいということであるから、この部分の設定や修正がいかに簡便に行えるかが重要である。
【0101】
本システムではオブジェクトに変数が用意されているので、配列型としてこれを利用するのがよい。具体的には図24のようなフローを一例として設定する。この作業は一日一回行えばよいものであるから、例えば時刻が21時になったら実行するというようにしておけばよい。次に、起動されているインターネット閲覧ソフトウェアのアドレスバーに設定した動作オブジェクトに、株価情報サイトのアドレスを入力し、移動(アクセス)する。そのサイト用に設定した銘柄コード入力用の動作オブジェクトに、図24のフローでは中括弧2401を用いて複数の値を指定している。本システムではこのような表記は配列として解釈し、これらの値を順に処理する機能を有している。ただし、入力を一度に実行してしまうと適切な動作は行われないため、まずは最初の配列要素に対して処理を実行し、次の処理へ移行する。図24のプログラムでは、入力に対する実行結果が確実に表示されるように、表示データが全て受信できるまでの余裕を見て10秒待機するという動作を行った後、連結ポイント2402から上の処理に戻るループ構成2403になっている。この部分は、リンク先の新しい表示内容にのみ含まれる文字列などに監視オブジェクトを設定して、その監視オブジェクトに所定の文字列が検出されたら次の処理に移行する、という設定によって同等の機能を実現してもよい。本システムの情報監視処理ソフトウェアでは、2つの接続ポイントを順にクリックするとループ構成を生成することができる。このようにして再びアドレスバーにアドレスを入力してサイトを開きなおす処理を行い、2度目に銘柄コード入力処理が回ってきたときには、配列要素の2番目の値を入力する処理を行う。これを繰り返して、配列要素の全てについて処理が完了すると、エンドポイントに到達して、この動作プログラムを完了する。この処理の間に取得された監視オブジェクトの情報は、取得タイミングに応じて順に蓄積されている。監視オブジェクトに蓄積されたデータは一般の表計算ソフトウェアで開くことが可能、またはそのような形式に変換して出力することが可能になっているので、あとで他の使い慣れたソフトウェアで処理すればよいのである。このように、本システムでは配列型の変数入力指定と処理のループ化が容易に実行できるため、同様の手入力を繰り返す単調な作業を自動的に処理することができる。
【0102】
また、既に触れたように、オブジェクトの変数に配列型のデータを代入して処理するだけでなく、オブジェクトを配列型として処理した方が都合がよい場合もある。図25は中古車販売サイトの出品ウィンドウの一例であるが、通常は出品されている商品がリスト表示されている。株式の情報ウィンドウであれば、通常は利用者が注目している銘柄をリスト化して表示できるため、どの位置にどの銘柄の情報が表示されているか把握することは容易である。それに対し、このような中古品販売サイトやオークションサイト、ニュースサイトなどでは、どの位置にどのような情報が表示されるかは基本的に不定である。この中から利用者が望む情報を発見するためには、図25のようにランダムにリスト表示されている情報に対して監視オブジェクト2501を各行に設定し、これらのうちのどこかに必要な情報があるかどうかを検索する必要がある。この場合、まずは監視オブジェクトに「出品情報」と命名し、これを配列型として設定する。全てのオブジェクトを配置してから一つずつ特性を変更するのは大きな手間になるが、最初に生成したオブジェクトに特性を設定しておき、これをコピーして他のオブジェクトを生成すれば、コピーにより生成されたオブジェクトはコピー元と同一の特性をもち、配列型であれば自動的にn番目のコピーがn番目の配列要素となるので、設定の手間は省略できる。
【0103】
このような設定を行った上で、図26のような動作プログラムを作成する。利用者が関心のある車種が「AXF」という名称であるとすれば、まずは条件分岐2601においてその文字列が監視オブジェクトに含まれるかどうかをチェックする。この監視オブジェクトは各行に対して設定した配列型であるから、「出品情報[i]」のように配列指標[i]を付けて表現しておく。こうすると、あとでループ構造を作成したときに、ループ部分にもループ指標2602が付与され、そのループがどの指標を変化させながら回転するのか理解しやすくなる。指標に用いる文字は何でもよく、ループ指標が単に配列指標のみで表記されていれば、配列要素全てに対してループ処理を行う。もしn番目からm番目までの処理を行いたければ、ループ指標を「i = n - m」のように書き換えればよい。条件分岐2601において利用者が求める情報を含んでいたら電子メールで通知する動作を行わせたい場合、条件分岐2601の直後にメール送信プログラムを組み込むと、この出品チェックプログラムを繰り返し起動させたときに、同じ情報を何度も送信することになってしまう。そこで、条件分岐2603を配置し、過去の出品リストの中に同じ情報がなかったかどうかをチェックする処理を入れておく。出品情報[j]のあとの「(-)」の意味は既に述べたように、過去に蓄積されたデータを参照するための表記であり、「(-n)」と表記すればn秒前のデータを参照するが、単に「(-)」と表記した場合には過去の全てのデータを参照する。これをループ指標[j]に対して処理するので、全ての監視オブジェクトの過去データを参照することになる。一つでも一致すれば新しい情報ではないため、ループ構造を抜けて上に戻り、全く一致しなければ新規情報としてメール送信動作を行う。メッセージ内容は、監視オブジェクトの内容をそのまま送信している。このような動作を全ての監視オブジェクトについて行い、動作を完了するようになっているが、継続的に監視を行いたい場合には、最後に自分自身のプログラムを起動してからエンドポイントに到達するようにしておく。このように、本システムでは配列型のオブジェクトとループ構造の処理を利用することにより、類似した形態の情報や希望する情報の位置が不定である場合の監視も容易に実行することができる。なお、このように条件分岐やループ構造まで機能として有していると、他の証券会社などで採用される可能性のある複雑なプログラミング言語で記述されたアルゴリズムを取り込み、本システムで図解して表現することも可能になる。すなわち、Visual BasicやC++、JAVA(登録商標)などの言語で記述されたアルゴリズムをコンパイルして、本システムの情報監視処理ソフトウェアの動作プログラム設定ウィンドウに視覚的に表示する機能をもたせておけば、取引等で利用者の意思に反して損失を被る可能性のあるアルゴリズムではないかどうかを視覚的に理解できるということである。
【実施例3】
【0104】
前述したように、利用者側のコンピュータなどの端末では、オペレーティングシステム上で他のアプリケーションソフトウェアや本システムの情報監視処理ソフトウェアなどが動作する。本システムの情報監視処理ソフトウェアであっても他のアプリケーションソフトウェアであっても、基本的にはオペレーティングシステム上で動作するものであるから、情報監視処理ソフトウェアが他のアプリケーションソフトウェアに対して起動、情報の受け取り、動作指示といったコントロールを行う際には、オペレーティングシステムを介して目的を実現するのが標準的な方法である。オペレーティングシステムと本システムの情報監視処理ソフトウェアの間のやり取りは、API(Application Program Interface)などのインターフェイス機能が利用できるのであればこれを利用するのがよいが、この限りではない。
【0105】
APIなどで利用できる機能にはオペレーティングシステムごとに差異があるとしても、本システムの目的を実行するためには、おおむね次のような要素機能(利用者には直接関係なく、本システムを実装するために必要な機能)が利用または実現できればよい。まず、複数のウィンドウを組み合わせて利用するためには、指定された名前または識別子をもつウィンドウをアクティブ(情報の取得や入力が可能な)状態にする機能が必要である。逆に、アクティブ状態になっているウィンドウの名前または識別子を取得する機能も必要となる。これらにより、利用者が設定した動作プログラムを特定のウィンドウに適用したり、利用者が設定した領域に対応するウィンドウを選択して情報を取得するといったことが可能になる。本システムの重要機能の一つである画面情報の監視については、表示されている画面をイメージデータとして取り込む(キャプチャー)機能、他のアプリケーションソフトウェアがオペレーティングシステムに情報を受け渡すイベントを検出して情報を取得する機能、他のアプリケーションソフトウェアが作成するウィンドウやデータファイルにアクセスして情報を取得する機能、といったものが方式に応じて適宜必要である。もう一つの重要機能として挙げられるアプリケーションソフトウェアの操作(動作指示)については、指定された位置にクリックイベント、ダブルクリックイベント、キーボード入力イベント、ドラッグイベントなどを発生させる機能が必要である。また、マウスポインタの位置を取得する、マウスポインタの位置を変更する、といった機能も適宜必要となる。
【0106】
なお、本発明の情報監視処理システムは、必要に応じて付属機器を利用した構成をとりうる。図27はその一例である。オペレーティングシステム2701上で、本システムの情報監視処理ソフトウェア2702、他のアプリケーションソフトウェア2703が動作する。オペレーティングシステム2701は、端末内部に組み込まれた通信用デバイス2704や外部ネットワークへの接続機器2705を利用して、ネットワークへのアクセスを行う。さらに、端末の入出力ポートに接続された入出力機器2706とは、その機器のドライバソフトウェア2707を介して情報の入出力を行う。入出力機器2706として標準的なものとしては、キーボードやマウスなどがある。
【0107】
本システムでは外部の情報に対して監視を行い、必要に応じて適切な自動処理や情報の通知を行うことを目的としているので、情報源としてはインターネットなどを介した外部システムのみに依存するだけではなく、必要に応じて情報を取得するための機器などを利用してもよい。また、自動処理や操作を行う対象もアプリケーションソフトウェアや外部システムに限らず、本システムに接続された機器などであってもよい。図27でいえば、入出力機器2706の部分にそのような機器類が接続されていてもよく、機器を稼動させるのに必要なドライバ2707などのソフトウェアも適宜用意すればよい。入出力機器2706としては通常はマウスやキーボードが接続されるが、オペレーティングシステムの種類やセキュリティ機能などの作用により、もし本システムの情報監視処理ソフトウェアによるクリック処理や文字入力処理などを直接オペレーティングシステムに対して実行することができない場合には、情報監視処理ソフトウェアからそれらの指示を受け、オペレーティングシステムにクリックや文字入力を実行させるシグナルを発生させるような機器を接続してもよい。あるいは可能であれば、同様の処理が可能なドライバなどのソフトウェアを情報監視処理ソフトウェアで制御するのみで上記の処理機能を実現させてもよい。
【0108】
また、このように本システムとして必要な機能を実現するための機器だけではなく、機能を拡張させるための入出力機器2706を接続する場合もある。例えば機器として監視カメラを接続すれば、本システムとの組み合わせによって、利用者が希望する事故防止や犯罪防止といった目的に求められる情報を高い自由度で設定して取得することが可能である。
【0109】
さらに、本システムの機能を応用するために、専用の機器を利用する場合もある。その一例として、図28に変動キーシステムの概要を示す。最近、指紋認証や静脈認証、DNA認証といった、個人の特徴を利用して人物を識別する手法が広く実用化されつつある。指紋や静脈などは異なる人物間で特徴が一致する可能性がほとんどないことから、入退室管理システムやキーシステム、コンピュータへのアクセス制限システムなど、個人の識別が必要なシステムに応用されることが多い。しかしながら、個人の特徴を利用した識別システムには、大きな問題点が潜在している。それは、何らかの手法により個人の特徴を偽造することができた場合、例えば指紋を採取されて指の模型を偽造されたような場合には、セキュリティ機能としてはまったく意味がなくなるだけでなく、その本人の特徴を変更させることもできないため、リセットができないということである。これは指紋だけでなく静脈なども同様で、DNAに至っては絶対に変更などできないものである。
【0110】
とくに高いセキュリティが求められるドアのキーシステムなどでは、このように変更が不可能な個人の特徴を利用する識別法を用いるのではなく、むしろ自由かつ簡便に変更が可能で、しかも偽造が困難な識別法を利用するべきである。図28に概要を示した変動キーシステムは、これを実現するための一例である。本システムではまず、ホームサーバー2801がキーシステムのネットワークを管理する。これは専用機器に限らず、パーソナルコンピュータのようなものでもよい。このホームサーバー2801に、これまで説明してきたような画像監視処理システムが搭載され、稼動している。本実施例では条件指定等の機能は必要ないため、最小限、画像の登録とパターン認識ができればよい。ホームサーバー2801にはドアロック2802が接続されており、この開閉はホームサーバー2801によってコントロールされる。一方、ホームサーバー2801には、屋内に設置された変動キー登録器2803も接続されている。変動キー登録器2803にはカメラやイメージセンサーなどの画像入力デバイス2804と発光ダイオードなどの照明用デバイス2805が必要に応じて組み込まれている。ボタン2806は画像の登録や解除などの操作に使用される。これらによってキー2808の画像を取得することになるが、場合によっては変動キー登録器2803にキーを挿入して画像を取得する方式でも構わないので、画像入力デバイス2804もスキャニングを目的としたラインセンサーのように、機器内部に組み込まれるものであってもよい。表示部2807は、キーの登録や解除時などに状態をメッセージとして表示するためのものである。
【0111】
本システムの特徴は、キー2808を形状の特徴で識別するのではなく、キーに描かれた識別パターン2809の特徴によって識別するということである。具体的には屋内の変動キー登録器2803に利用者が描いた識別パターンを認識させ、外出時にドアを閉めるとキーがロックされる。利用者が帰宅したときには、屋外のキーロック解除器2810に識別パターンを照合させ、同一のパターンであると見なされればキーロックが解除されてドアを開けることができるという方式である。パターンの登録や識別はホームサーバー上のシステムで行うので、パターンの照合を誤る可能性はほとんどない。識別パターンは利用者が任意に描き、変動キー登録器2803に撮影させて登録すればよいので、変更することは極めて容易である。しかも、暗証番号やパスワードなどと異なり、利用者が任意に描くパターンであるから、他者が偽造することは非常に難しい。画像処理を利用しているため、複数色を使用することも可能であり、さらに偽造は難しくなる。識別パターンを描くためのキーには、描いたパターンがダメージを受けないように描画面にカバーが備えられているか、キーごとケースに収納できるようになっていることが望ましい。
【0112】
キー自体は登録が更新された後は廃棄されるものであってもよいし、描画パターンを消去して新しく描き直せるような方式であってもよい。また、キーの描画パターンを覗き見されるようなリスクを想定する場合には、描画パターンを肉眼では見えないようなインクで描くような方式を採用してもよい。例えば紫外線に対して可視発光するが可視光下では着色が見えないような希土類などの発光体を使用した塗料で識別パターンを描き、変動キー登録器やキーロック解除器も可視光ではなく紫外光を照射して識別パターンを検出するようにしておけばよい。この方式では、希土類など紫外線に対して発光する成分を含むインクを内含するペン状の描画器具も必要となる。この場合の紫外光としては、太陽光下でも見える恐れのない250nm〜330nmの範囲の波長を利用することが好ましいが、用途によっては330nm〜400nmの範囲の波長も利用することができる。キーの保護のために収納するケースは描かれているパターンが可視光下では見えないことから透明でもよく、前記の波長域の紫外線に対して透過性が高いポリカーボネイトなどの材料で形成されていると、キーをケースから取り出さずともシステムに認証させることが可能になるので好ましい。万が一、このような工夫を行っても他者に識別パターンを見られてしまった恐れがある場合においても、本システムでは電子メールなどを利用した遠隔操作が可能になっているため、登録されている画像を一旦無効化し、新規のパターンを携帯電話などで撮影した画像を電子メールで送信することによって再登録するということも可能である。
【0113】
上記のような応用例は、本発明の画像監視処理システムの特徴を利用したものであり、画像認識を用いたシステムは介護システムなどにも応用できる。例えば、要介護者が紙に書いた指示をカメラで撮影し、その指示にしたがって動作するシステムなども可能である。音声入力が可能なシステムについても既に説明したが、これも介護向けなどに都合がよい。また、外部からの通信によって指示を伝え、システムをコントロールすることも可能であるから、要介護者の様子を画像として確認し、それに応じて他者が指示を与えて望ましい動作をさせることも可能である。このように、本システムの特徴を活用すれば、セキュリティや介護などの分野でも価値の高い利用法を見出すことができる。
【実施例4】
【0114】
ここで、本発明の情報監視処理システムで最小限の構成を実施した場合の一例について説明する。以下、このシステムについては「本実施例のシステム」と称することにする。最小システムにおいて監視対象とする情報源は、ウェブサイトの情報を記述したHTMLデータやJAVA(登録商標)スクリプトのように、画像処理ではなくデータ(ファイル)解析によって情報を得られるものとする。図30はHTMLで記述された表示データの例である。HTMLで記述されている場合、<>で囲まれた領域をタグと呼び、基本的にはタグ3001によって情報の記述の方法を指定し、タグ3001に挟まれた部分に具体的なデータ3002を入力することになるので、データを解析するのはそれほど難しいことではない。JAVA(登録商標)スクリプトなどで記述されている場合でも、データを表示する場合のコードの記述法は限られているので、該当する部分のみデータを取り出せばよい。また、タグの中にはデータを記述するためだけではなく、他のページへ移動するためのリンク3003や、何らかの処理を実行するためのボタンなどを記述するために使用されるものもあるが、これらも表現方法は限定されており、解析は容易である。
【0115】
上記のように、ウェブサイトから情報を含むデータ(ファイル)を取得し、データに相当する部分を抽出する処理はそれほど困難なものではないので、次に重要なのは、それらのデータ群の中から監視対象とするものをどのように指定するかということである。これには、例えば図31のように、タグに挟まれて記述されているなどの特徴によりデータである思われるものを一通り抽出し、リスト化するという手段を利用することができる。抽出したデータをデータ欄3101に列挙し、これらのうち監視対象にしたいものに対しては、名称欄に希望する名称を入力する、あるいは丸印を付けるなどの方法で、監視対象であることを明確にすればよい。この名称は、既に説明した監視オブジェクトの名称に相当するものである。その他、情報タイプや時間間隔といった特性の指定についても、既に説明した監視オブジェクトの場合と同様である。また、リンクやボタンといった操作が可能なタグ領域に対しても、同様にこのリストで設定することは可能であり、既に説明した動作オブジェクトと同様に、クリック処理や入力処理といった操作を指定することが可能である。なお、情報量が膨大になると、リストから対象とするデータを探したり、似たような数値を見分けるといっ作業が非常に困難になるため、本実施例のシステムにおいては、取得したHTMLデータやJAVA(登録商標)スクリプトなどに基づき、表示を再現する機能を有するようにしておく。本実施例のシステムで再現した表示に対してマウスなどで監視や動作の対象を指定できるようになっていれば、利用者が指定を間違える可能性がほとんどなく、システムとしても対象を誤認する可能性がなくなるため、安全で利用しやすいシステムとなる。
【0116】
上記のような方法で監視対象および/または動作対象を指定した後は、監視条件や動作プログラムを設定することになるが、これも前述したような大規模なものではなく、指定された監視条件が達成されたら電子メールで通知を行うというだけの簡便なシステムであってもよい。また、情報の整理に重点を置くならば、監視対象の設定機能に加えて、図16のような監視情報ウィンドウを利用可能にするのみでも十分役割を果たせる場合もある。いずれにせよ、本システムではこれまで記述したような本格的な機能を全て含んでいなければならないわけではなく、目的に応じて利用可能な機能を限定すればよい。既に述べたように、インストール時に暗号キーの使い分けによって機能を限定することも容易であるため、目的に応じた機能設定は十分に可能なことである。
【実施例5】
【0117】
ここで、本発明の情報監視処理システムを利用して実行できる証券などの具体的な発注方法などについて列挙しておく。既に説明した内容もあるが、その他にも本システムを利用すれば、次のようにさまざまな方法が考えられる。
【0118】
当日安値と現在値を監視しておき、当日安値が最後に更新されたあと、現在値が一定回数更新されても安値が更新されなければ買い注文を発注する証券等の発注方法。現在値が一定範囲内に収まっている間は、指定された条件に応じて同一銘柄の買い注文と売り注文の発注を交互に繰り返す証券等の発注方法。あらかじめ登録された複数の監視対象銘柄のうち、希望条件に到達した銘柄に対して売買注文を発注する証券等の発注方法。企業情報開示サイトの情報を監視対象とし、上方修正等の株価上昇材料を発表した銘柄に買い注文を発注する証券等の発注方法。ニュースサイトのニュース情報を監視対象とし、地震あるいはテロなど相場全体に悪影響を及ぼす情報が掲示された場合に、売り注文を発注する証券等の発注方法。指定された範囲内の価格で売り注文が発生した場合に、当該売り注文に対して買いが成立する価格で買い注文を発注する証券等の発注方法。指定された範囲内の価格で買い注文が発生した場合に、当該買い注文に対して売りが成立する価格で買い注文を発注する証券等の発注方法。現在の取引の気配値を参照して売買注文を発注する証券等の発注方法。現在の取引の買い気配値および/または売り気配値を参照し、各気配数量の合計値および/または各気配件数の合計値を参照して売買注文を発注する証券等の発注方法。前記気配数量の合計値および/または各気配件数の合計値の参照において、それらの比率を計算し、当該比率を発注の判断に利用する証券等の発注方法。現在の買い気配の最高値に対して利用者が希望する比率を乗じた価格で買い発注することを特徴とする有価証券等の発注方法。現在の売り気配の最低値に対して利用者が希望する比率を乗じた価格で売り発注することを特徴とする有価証券等の発注方法。現在の売り気配の最低値と買い気配の最高値とを利用者が希望する比率で比例配分した値で買い注文または売り注文を発注することを特徴とする有価証券等の発注方法。同一情報源の情報の時間変化量を参照する証券等の発注方法。前記時間変化量とは、現在取引値および/または出来高の指定時間内における時間変化量である証券等の発注方法。気配値を参照する有価証券等の発注方法において、気配値が変化した場合には新しい気配値に対して利用者の希望する条件に適合するように自動的に注文内容を変更して再発注することを特徴とする有価証券等の発注方法。複数の取引サイトを監視対象とし、複数の取引サイトにおいて指定された商品が同時に出品されている状況において、現在の取引希望金額がより低い方のサイトに発注するオークション等の入札方法。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の画面情報監視処理システムは、主にインターネットなどの情報通信ネットワークから送信される情報の取得、さらにそれらの情報に対する監視条件の設定と監視条件を満たした場合の自動処理を必要とする分野で利用することができ、インターネットを介した証券、為替、不動産、美術品、自動車等の取引、インターネットオークション、監視カメラシステム、ホームネットワークの監視システム、変動型キーシステム、介護システムなどが用途として想定される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】一般的なインターネット取引システムの概念図
【図2】本発明の情報監視処理システム(本システム)の概念図
【図3】本システムの利用において利用者が外部に存在する場合の概念図
【図4】本システムの操作手順を示す図
【図5】一般的な株価情報ウィンドウを示す図
【図6】本システムにおける各オブジェクトの設定方法を示す図
【図7】図5のウィンドウに各オブジェクトを設定した一例を示す図
【図8】本システムにおける各ウィンドウとオブジェクトの階層構造を示す図
【図9】本システムの監視オブジェクト設定ウィンドウを示す図
【図10】本システムの動作オブジェクト設定ウィンドウを示す図
【図11】本システムのオブジェクトリスト機能を示す図
【図12】一般的な株式取引の気配値表示ウィンドウを示す図
【図13】図12のウィンドウに各オブジェクトを設定した一例を示す図
【図14】一般的な株式取引の注文ウィンドウの一例を示す図
【図15】図14のウィンドウに各オブジェクトを設定した一例を示す図
【図16】本システムの情報表示ウィンドウを示す図
【図17】本システムの監視条件および動作プログラム設定ウィンドウを示す図
【図18】本システムで株式の買い発注をプログラム化した一例を示す図
【図19】本システムの動作プログラム確認ウィンドウを示す図
【図20】本システムが稼動している状態での画面表示の一例を示す図
【図21】電子メール送信プログラムを設定した一例を示す図
【図22】電子メール返信要求プログラムを設定した一例を示す図
【図23】複数銘柄への発注をコントロールするプログラムを設定した一例を示す図
【図24】配列型変数を応用したプログラムの設定例を示す図
【図25】中古車販売サイトの出品ウィンドウの一例を示す図
【図26】配列型オブジェクトを応用したプログラムの設定例を示す図
【図27】本システムで付属機器を利用した構成の一例を示す図
【図28】本システムを利用した変動キーシステムの概念を示す図
【図29】エンドポイントのない動作プログラムの構成図
【図30】HTMLで記述された表示データの一例を示す図
【図31】データを抽出してリスト化を行った場合の一例を示す図
【符号の説明】
【0121】
201 情報監視処理ソフトウェア
501 銘柄コード番号
502 企業名
503 値動き情報
504 気配値
505 出来高
506 日経平均株価
507 時刻
508 クリックポイント
601 オブジェクト始点
602 オブジェクト終点
603 オブジェクト領域を示す長方形
604 吹き出し表示
605 セレクトボックスのクリックポイント
606 選択項目
607 第一のクリックポイント
608 第二のクリックポイント
701 監視オブジェクト
702 動作オブジェクト
801 情報監視処理ソフトウェア
802 アプリケーションソフトウェアのウィンドウ
803 アプリケーションソフトウェアのウィンドウ
804 アプリケーションソフトウェアのウィンドウ
805 アプリケーションソフトウェアのウィンドウ
806 オブジェクトグループ
807 オブジェクトグループ
808 オブジェクトグループ
809 オブジェクトグループ
1301 銘柄コード
1302 現在値
1303 出来高
1304 売り気配件数
1305 売り気配数量
1306 気配値
1307 買い気配数量
1308 買い気配件数
1309 売り気配件数の合計値
1310 売り気配数量の合計値
1311 買い気配数量の合計値
1312 買い気配件数の合計値
1501 買付余力
1502 取引種別選択ラジオボタン
1503 銘柄コード
1504 取引市場
1505 注文価格
1506 注文数量
1507 注文期限
1508 口座区分
1509 パスワード
1510 保有銘柄コード
1511 発注ボタン
1601 テーブル
1602 監視対象情報
1603 文字列
1604 定義セル
1701 動作プログラム名表示部位
1702 動作プログラム表示部
1703 スタートポイント
1704 エンドポイント
1705 条件設定パレット
1706 動作設定パレット
1707 フレーム
1708 連結ポイント
1709 分岐表示
1710 記述ボックス
1711 オブジェクトリスト
1712 条件設定リスト
1713 動作設定リスト
1714 コマンドボタン群
1901 テーブル
1902 実行欄
1903 実行頻度
1904 到達度欄
1905 クイック実行ボックス
2001 マウスカーソル
2002 吹き出しメッセージ
2401 中括弧
2402 連結ポイント
2403 ループ構成
2501 監視オブジェクト
2601 条件分岐
2602 ループ指標
2603 条件分岐
2701 オペレーティングシステム
2702 情報監視処理ソフトウェア
2703 他のアプリケーションソフトウェア
2704 通信用デバイス
2705 接続機器
2706 入出力機器
2707 ドライバソフトウェア
2801 ホームサーバー
2802 ドアロック
2803 変動キー登録器
2804 画像入力デバイス
2805 照明用デバイス
2806 ボタン
2807 表示部
2808 キー
2809 識別パターン
2810 キーロック解除器
3001 タグ
3002 データ
3003 リンク
3101 データ欄
3102 名称欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間変化する情報に対し、監視対象とする領域を任意に指定する手段を有する情報監視処理システム。
【請求項2】
前記時間変化する情報が画面上に視覚的に確認できる状態で表示され、監視対象とする情報領域をマウス、電子ペン、タッチパネル等の入力機器を用いて指定できる請求項1記載の情報監視処理システム。
【請求項3】
前記時間変化する情報がインターネット等の情報通信ネットワークを通じて取得され、当該情報の表示はインターネット閲覧ソフトウェアによって実行されるものである請求項1乃至2記載の情報監視処理システム。
【請求項4】
前記時間変化する情報は、有価証券、為替、投資信託、先物商品、不動産、自動車、美術品等の取引に関するものである請求項1乃至3記載の情報監視処理システム。
【請求項5】
画面上にボタン、リンク等のソフトウェアを操作するための領域が存在する場合において、当該領域にマウス操作および文字入力等のソフトウェア処理を指定する領域を配置することが可能である請求項1乃至4記載の情報監視処理システム。
【請求項6】
前記監視対象とする領域および/または前記処理を指定する領域のうち、同一の画面を対象とするものを選択してグループ化することが可能である請求項1乃至5記載の情報監視処理システム。
【請求項7】
前記時間変化する情報の取得手段が、当該情報を含む画面を画像データとして取り込み、当該画像データに対して文字認識および/またはパターン認識を利用することにより実現される請求項2乃至6記載の情報監視処理システム。
【請求項8】
前記時間変化する情報がHyper Text Markup Language(HTML)で記述されており、必要な情報の取得は当該HTMLデータを解析することにより実行される請求項1乃至7記載の情報監視処理システム。
【請求項9】
前記時間変化する情報を時系列データとして蓄積および/または保存することが可能である請求項1乃至8記載の情報監視処理システム。
【請求項10】
前記監視対象として指定した複数の情報を任意の位置に表示することができ、かつ当該情報に変化が生じた場合には表示内容も自動的に更新されることを特徴とするテーブルが利用できる請求項1乃至9記載の情報監視処理システム。
【請求項11】
前記テーブルの任意のセルに任意の文字および数値を入力かつ表示することが可能である請求項10記載の情報監視処理システム。
【請求項12】
前記テーブルの任意のセルに対し、時間変化する情報を含む加算、減算、乗算、除算等の演算を利用者が定義することが可能であり、当該定義に従って実行した演算結果を表示し、かつ演算に含まれる情報に変化が生じた場合には演算を再度実行し、表示内容を自動的に更新することを特徴とする請求項10乃至11記載の情報監視処理システム。
【請求項13】
前記テーブルの任意のセルに対し時間変化する情報と複数の基準値と当該基準値に対する背景色を設定でき、セル内の情報に基づく数値が設定された基準値の間の値をとるとき、当該数値を挟む二つの基準値に対してそれぞれ設定された背景色を比例配分して生成した混色を当該セルの背景色とする機能を有する請求項10乃至12記載の情報監視処理システム。
【請求項14】
前記テーブルの任意のセルに対し複数の情報を割り当てることができ、設定された時間間隔で複数の当該情報を切り替えながら表示する方法と、複数の当該情報のうち変化のあったものを優先して表示する方法のうち、少なくとも一方を利用できる請求項10乃至13記載の情報監視処理システム。
【請求項15】
前記時間変化する情報に対し配置した監視領域に任意に名称を与える手段と、与えられた名称を利用して監視条件を設定する手段とを有する請求項1乃至14記載の情報監視処理システム。
【請求項16】
前記ソフトウェアを操作するための領域処理に対し配置した動作領域に任意に名称を与える手段と、与えられた名称を利用して動作フローを設定する手段とを有する請求項5乃至15記載の情報監視処理システム。
【請求項17】
設定中または設定後の動作フローが視覚的に表示されるウィンドウと、当該ウィンドウに前記指定した監視領域および/または動作領域の名称を用いて監視条件文および/または処理内容を記述するためのフレームを追加する手段と、追加した当該フレームをマウス等の入力機器で連結および/または分離することにより動作フローを作成する手段と、作成した動作フローに対するデバッグ手段とを有する請求項1乃至16記載の情報監視処理システム。
【請求項18】
前記動作フローの途中に一時停止ポイントを挿入する手段と、当該一時停止ポイントに到達した段階で利用者に電子メール等でメッセージを送信する手段とを有し、送信したメッセージに対して利用者から返信された場合には当該一時停止ポイント以後の動作を継続することを特徴とする請求項16乃至17記載の情報監視処理システム。
【請求項19】
設定する動作フローに音声を再生する動作を挿入することが可能であり、当該音声として利用者が作成または導入した音声データを利用することが可能である請求項1乃至18記載の情報監視処理システム。
【請求項20】
利用者にソフトウェアのインストール作業が実行可能なインストーラを提供するステップと、インストール作業が実行された際に当該インストーラが暗号キーを自動生成するステップと、利用者が当該暗号キーをソフトウェア提供者に通知すると暗号解除キーが通知されるステップと、先にインストールされたソフトウェアに対して利用者が通知された暗号解除キーを入力することによりソフトウェアの機能変更および/または利用期間変更が可能となるステップとを有することを特徴とするソフトウェア、またはそのような特徴を有する情報監視処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−206908(P2007−206908A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23993(P2006−23993)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(706000148)
【Fターム(参考)】