説明

情報記録再生装置

【課題】低消費電力で、かつ、熱安定性が高い不揮発性の情報記録再生装置を提案する。
【解決手段】本発明に係る情報記録再生装置は、記録層12と、記録層12に電圧を印加して記録層12に状態変化を発生させて情報を記録する手段とを備える。記録層12は、ホランダイト構造を有する材料により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高記録密度の情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型携帯機器が世界的に普及し、同時に、高速情報伝送網の大幅な進展に伴い、小型大容量不揮発性メモリの需要が急速に拡大してきている。その中でも、NAND型フラッシュメモリ及び小型HDD(hard disk drive)は、特に、急速な記録密度の進化を遂げ、大きな市場を形成するに至っている。
【0003】
このような状況の下、記録密度の限界を大幅に超えることを目指した新規メモリのアイデアがいくつか提案されている。
【0004】
例えば、ペロブスカイト、スピネルなどの遷移金属元素を含む三元系酸化物や(例えば、特許文献1,2を参照)、遷移金属の二元系酸化物(例えば、特許文献3を参照)などが検討されている。これらの材料を用いた場合、電圧パルスの印加によって、低抵抗状態(オン)と高抵抗状態(オフ)とを繰り返し変化させることができ、この2つの状態を2値データ“0”,“1”に対応させてデータを記録する、という原理を採用する。
【0005】
書き込み/消去に関しては、例えば、低抵抗状態から高抵抗状態に変化させるときと、高抵抗状態から低抵抗状態に変化させるときとで、逆向きのパルスを印加する方法が三元系酸化物では用いられている。一方、二元系酸化物では、パルス振幅やパルス幅の異なるパルスを印加することにより、書き込み/消去が行われる場合もある。
【0006】
読み出しに関しては、記録材料に書き込み/消去が起こらない程度の小さな読み出し電流を流し、記録材料の電気抵抗を測定することにより行う。一般に高抵抗状態の抵抗と低抵抗状態の抵抗との比は103程度である。
【0007】
これらの材料の最大の特長は、素子サイズを10nm程度にまで縮小しても原理的に動作可能であり、この場合には、約10Tbpsi (tera bite par square inch)の記録密度を実現できるため、高記録密度化への候補の一つとされる。
【0008】
このような新規メモリの動作メカニズムとしては、以下のような提案がある。ぺロブスカイト材料に関しては、酸素欠損の拡散、界面準位への電荷蓄積などが提案されている。一方、二元系酸化物に関しては、酸素イオンの拡散、モット転移などである。メカニズムの詳細が明らかにされているとは言い難いものの、さまざまな材料系において同様な抵抗変化が観測されているため、高記録密度化への候補の一つとして注目されている。
【0009】
これらの他、MEMS(micro electro mechanical systems)技術を使ったMEMSメモリが提案されている。このようなMEMSメモリの最大の特長は、ビットデータを記録する各記録部に配線を設ける必要がないため、記録密度を飛躍的に向上できる点にある。記録媒体及び記録原理としてはさまざまなものが提案されており、MEMS技術と新たな記録原理とを組み合わせ、消費電力、記録密度や、動作速度などに関して大きな改善を達成しようという試みがなされている。
【0010】
しかしながら、このような新たな記録材料を用いた新規情報記録媒体は実現されていない。その理由のひとつに、消費電力が大きいこと、及び、各抵抗状態の熱安定性が低いことが指摘されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2005−317787号公報
【特許文献2】特開2006−80259号公報
【特許文献3】特開2006−140464号公報
【非特許文献1】S.Seo et al. Applied Physics Letters, vol.85, p.p.5655−5657,(2004)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、低消費電力で、かつ、熱安定性が高い不揮発性の情報記録再生装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、酸化物における抵抗変化現象に関して、鋭意研究を重ねた結果、酸化物内における陽イオンの拡散とそれに伴うイオンの価数変化が抵抗変化現象に寄与していることを見出した。
【0013】
それによれば、小さな消費電力で抵抗変化を生ぜしめるためには、陽イオンの拡散を容易にすればよい。一方で、各抵抗状態の熱安定性を向上させるためには、陽イオンが拡散した後の状態を安定に維持することが重要である。
【0014】
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、小さな消費電力で抵抗変化を生ぜしめるための拡散パスを有し、かつ、陽イオンが拡散した後の構造を安定に保つために好適な結晶構造を有する酸化物材料を記録層材料に用いた。
【0015】
そのため、本発明に係る情報記録再生装置は、記録層と、記録層に電圧を印加して記録層に状態変化を発生させて情報を記録する手段とを備え、記録層は、ホランダイト構造を有する材料により構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の例によれば、ホランダイト構造を有する記録層を用いることにより、陽イオンの拡散を容易にし、かつ、母体構造を安定に保持することにより、低消費電力で、かつ、熱安定性が高い不揮発性の情報記録再生装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0018】
1.概要
本発明の例に係る情報記録再生装置は、記録部が、電極層、記録層、電極層(又は保護層)のスタック構造を有する。
【0019】
ホランダイト構造を有する材料を記録層に使用することにより、抵抗変化に必要な消費電力を小さくし、熱安定性を高めることができる。
【0020】
2.記録/再生の基本原理
本発明の例に係る情報記録再生装置における情報の記録/再生の基本原理について説明する。
【0021】
図1(a)は、記録部のホランダイト構造の(001)面での断面図を模式的に示している。図1(b)は、記録部のホランダイト構造の一部であり、BO八面体ユニットからなるBO−2重鎖構造(後に説明する)を結晶c軸に垂直な方向から見た模式図である。黒丸は、Aイオンを、白丸は、Bイオンを示す。
【0022】
尚、図1(a)、(b)の各図においては、八面体ユニットの頂点にある酸素イオンを省略している。
【0023】
図1(a)、(b)に示すように、ホランダイト構造では、梁を共有した複数のBO八面体ユニットが2重鎖構造(BO−2重鎖)を構成し、また、BO−2重鎖同士がBO八面体ユニットの頂点を共有することによってトンネル壁となり、2×2トンネル構造(α−MnO構造)を形成する。トンネルの伸びる方向が結晶c軸方向である。さらに、トンネル内にAイオンが位置し、トンネルがAイオンの移動経路(チャネル)となる。このため、Aイオン種を選定することによって、外部電場により、Aイオンを容易に拡散させることができる。
【0024】
尚、ここでは、結晶構造名をホランダイト(Hollandite)構造と記述するが、同型構造の結晶を、構成元素の違いによって、クリプトメレン(Cryptomelane)、プリデライト(Pridelite)、コロナダイト(Coronadite)、ストロンチオメレン(Strontiomelane)、アンカンガイト(Ankangite)、マンジロイト(Manjiroite)等、様々の異なる名称で呼ぶ場合があるが、以下では、これら全てをホランダイト構造と記述する。
【0025】
また、結晶軸の選び方について、構成元素の違いによっては、トンネルの伸びる方向を結晶b軸とする場合もあるが、ここでは、トンネルの伸びる方向を全て結晶c軸と記述する。
【0026】
ホランダイト化合物A16においては、陽イオンA(1〜3価)、遷移金属Bイオン及び陰イオンO2−の電気的中性条件によって、遷移金属Bイオンの価数が規定される。例えば、y=8.0の場合(BO−2重鎖に元素欠損がない場合)、Aイオンが存在しない状態(BO)におけるBイオンの価数は、4価であり、Aイオンの存在によって、Bイオンの平均的な価数(混合原子価)は4価よりも小さくなる。
【0027】
ここで、BO−2重鎖内のBの価数によって、BO−2重鎖の抵抗値が変化する。
【0028】
本発明では、ホランダイト構造を有する記録層への電圧印加によるAイオンの移動、それに伴うBイオンの平均価数の変化及びBO−2重鎖の抵抗値変化をそれぞれ記録原理として利用する。
【0029】
以下、図面を参照しながら記録原理の詳細について説明する。
図2は、記録部のホランダイト構造の、概ね(110)面での断面図を模式的に示している。
【0030】
11は、電極層、12は、記録層、13は、電極層(又は保護層)、1Aは、BO−2重鎖(図1(b))、1Bは、2×2構造のトンネル(空隙)を示す。黒丸は、Aイオンを、白丸は、Bイオンを、そして、破線の白丸は、価数が変化したBイオンを示す。
【0031】
尚、図2においては、BO−2重鎖1A内の酸素イオンを省略する。
【0032】
記録層12に電圧を印加し、記録層12内に電位勾配を発生させると、Aイオンの一部がトンネル内を移動する。そこで、本発明では、記録層12の第1の状態を高抵抗(絶縁体)状態とし、電位勾配により記録層12を状態変化させ、記録層12を第2の状態である低抵抗状態にすることにより情報の記録を行う。
【0033】
ここで、本明細書では、高抵抗状態をリセット状態とし、低抵抗状態をセット状態と定義する。即ち、初期状態は、高抵抗状態となる。
【0034】
但し、この定義は、以下の説明を簡単にするためのものであり、材料の選択や製造方法によっては、この定義と逆の場合、即ち、低抵抗状態がリセット(初期)状態となり、高抵抗状態がセット状態となる場合もある。つまり、このような場合も、本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
【0035】
まず、例えば、電極層13の電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、電極層13に負の電位を与えればよい。
【0036】
この時、記録層12内のAイオンの一部が電極層(陰極)13側に移動し、記録層(結晶)12内のAイオンがO(酸素)イオンに対して相対的に減少する。電極層13側に移動したAイオンは、電極層13から電子を受け取り、メタルであるA原子として析出してメタル層1Cを形成する。
【0037】
従って、電極層13に近い領域では、Aイオンが還元されてメタル的に振舞うので、その電気抵抗が大きく減少する。
【0038】
記録層12の内部では、Oイオンが過剰となり、結果的に、拡散せずに残されたBO−2重鎖1A内のBイオンの平均的な価数を上昇させる(破線の丸)。
【0039】
この時、価数の上昇によって電気抵抗が減少するようにBイオンを選択すると、メタル層1C及び記録層12内ともに、Aイオンの移動により電気抵抗が減少するので、記録層12全体としては、高抵抗状態から低抵抗状態へと状態変化する。
【0040】
このようにして、情報記録(セット動作)が完了する。
【0041】
情報再生に関しては、電圧パルスを記録層12に印加し、記録層12の抵抗値を検出することにより行う。但し、電圧パルスの振幅は、Aイオンの移動が生じない程度の微小な値にする。
【0042】
以上の過程は、一種の電気分解であり、電極層(陽極)11側では、電気化学的酸化により酸化剤が生じ、電極層(陰極)13側では、電気化学的還元により還元剤が生じた、と考えることができる。
【0043】
このため、低抵抗状態を高抵抗状態に戻すには、例えば、記録層12を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の酸化還元反応を促進させればよい。即ち、大電流パルスによるジュール熱のため、Aイオンは、熱的により安定な結晶構造12内へと戻り、高抵抗状態が現れる(リセット動作)。
【0044】
また、これとは別に、セット動作時とは逆向きの電圧パルスを印加してもリセット動作を行うことができる。つまり、セット時と同様に、電極層11を固定電位とすれば、電極層13に正の電位を与えればよい。すると、電極層13近傍のA原子は、電極層13に電子を与え、Aイオンとなった後、記録層12内の電位勾配により結晶構造12内に戻っていく。これにより、平均的な価数が上昇していたBイオンは、その価数が初期と同じ値に減少するため、高抵抗状態へと変化する(リセット動作)。
【0045】
但し、この動作原理を実用化するには、室温でリセット動作が生じないこと(十分に長いリテンション時間の確保)と、リセット動作の消費電力が十分に小さいこととを確認しなければならない。
【0046】
前者に対しては、トンネルの大きさに対して、Aイオンのイオン半径及び価数が適当なものを選択することで対応できる。Aイオンが1価でイオン半径が大きいもの、又は、Aイオンの価数が2価以上であることが好ましい。これにより、室温で、かつ、電位勾配がない状態でのAイオンの移動を妨げることができる。
【0047】
また、後者に対しては、結晶破壊を引き起こすことなく、記録層(結晶)12内を移動するAイオンの移動経路を見つけ出すことにより対応できる。既に述べたように、ホランダイト構造では、BO八面体ユニットが2×2トンネル構造(α−MnO構造)を形成し、Aイオンの移動経路となっている。さらに、この2×2トンネル構造は、Aイオンが欠乏しても結晶として安定に存在し得る。
【0048】
従って、結晶破壊を引き起こすことなく、トンネル内へのAイオンのインターカレーション/ディスインターカレーションが可能となる。
【0049】
さらに、ホランダイト構造における2×2トンネルの大きさは、0.4〜0.5nm程度と大きい。このため、トンネル内に比較的大きな陽イオンまでをも収納することが可能であり、選択できるイオンの種類が極めて多くなるという利点がある。このことは、前述のリテンション時間の確保のためのAイオン選択の幅を広げる。また、後述するように、トンネル構造を結晶構造として、更に、安定化を促進させるために、Aイオンを選択することも可能である。
【0050】
以上のように、ホランダイト構造の記録層材料を用いることによって、トンネル構造の安定性とトンネルイオン移動に伴う所望の抵抗値変化とを同時に満たすための元素及び組成を容易に選択可能になる。
【0051】
以下、本発明を実施するために適切な元素A、B及び組成x、yについて、より詳しく説明する。
【0052】
元素Bに関しては、Aイオンの移動に伴って価数変化を引き起こす元素を少なくとも1種含んでいれば良く、具体的には4族(IVA族)、5族(VA族)、6族(VIA族)、7族(VIIA族)、8族(VIII族)、9族(VIII族)、10族(VIII族)、11族(IB族)元素の遷移元素のうち少なくとも1種を含んでいればよい。
【0053】
この場合、元素Bとして複数種類の元素を含んでいてもよい。例えば、元素B1と元素B2の2種類の元素を含んでいる場合、化学式は、A(B1)y−b(B2)16となり、B1とB2の組成の和がyになればよい。この時、例えば、B1が上記の遷移元素であればよい。B2は、遷移元素であってもよいし、典型元素であってもよい。
【0054】
また、遷移元素B1に対して他の元素B2を固溶化することによってトンネル骨格(BO−2重鎖)の抵抗値を調整することも可能である。
【0055】
元素Bに含まれる4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素としては、2〜5価のイオンになり得るものが好ましい。
【0056】
元素Bに含まれる、より好ましい遷移金属としては、4価のイオンとなり得るものが挙げられる。具体的には、Mn、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W、Re、Os、Irが挙げられる。4価のイオンとなり得ることによって、BO−2重鎖を容易に形成することが可能である。
【0057】
より好ましくは、Mn、Ti、V、Cr、Moが挙げられ、特にはMnが挙げられる。これらの遷移金属を含むBO−2重鎖においては、下記に示す遷移元素の価数変化によって、BO−2重鎖の大きな抵抗値変化を引き起こすことが可能である。
【0058】
Mn:2価又は3価と、4価、 Ti:3価と4価、 V:3価と4価、 Cr:2価又は3価と、4価、 Mo:3価と4価。
【0059】
尚、ここでは、遷移元素の価数を整数値で示したが、多くの場合、BO−2重鎖内の遷移元素の一部分が価数変化を示すことによって、平均的な価数は、非整数値となる。
【0060】
例えば、AMn16の場合、初期状態では、Mn価数は、3価と4価との間にある。そして、Aイオンの全てが抜けた場合(α−MnO)には、Mnは、4価となるが、Aイオンの一部が抜けた場合には、初期状態の価数よりも4価に近い非整数値となる。
【0061】
Mn16の場合、Aを2価イオン、例えばBa2+とすると、x>1.0程度
(Mn価数<3.75程度)での抵抗率は、10〜10Ωcm程度である。一方、Aが完全に抜けきったα−MnO(Mn価数が4)の抵抗率は、10Ωcmよりも小さい。したがって、電圧印加によってAMn16膜内からAイオンの一部または全部を引き抜くことによりMn価数を上昇させることによって、膜抵抗を小さくすることが出来る。同様に、Aが2価以外のイオンの場合やMn組成yが8.0以外の場合においても、Aイオンの一部または全部を引き抜くことによりMn価数を上昇させることによって、膜抵抗を小さくすることが出来る。
【0062】
また、BがVの場合、A16膜においてAイオンの少なくとも一部を引き抜くことによりV価数を上昇させる(4価に近づける)ことによって、一般的に膜抵抗を大きくすることが出来る。
【0063】
BがTi、Cr、Moの場合にも、A16膜においてAイオンの少なくとも一部を引き抜くことによりB価数を上昇させることによって、膜抵抗を変化させることが出来る。
【0064】
BがMnの場合、前述のようにAイオンの移動に伴うAMn16膜抵抗の変化が見込めるとともに、トンネル骨格であるα−MnO構造が極めて安定な構造として存在する。したがって、トンネル骨格を極めて安定に保ったまま、電圧印加によるAイオンの移動を引き起こすことができる。
【0065】
尚、ここでは、価数変化を起こす遷移金属として4価を取り得るものを挙げたが、価数変化を起こす遷移金属が4価を取らないものであっても、もちろんよい。この場合、複数種のB元素のうち、例えば、4価となる典型元素を含んでいれば、BO−2重鎖を形成することができる。例えば、B元素が4価を取らない遷移元素B1と4価の典型元素B2との組み合わせであってもよい。
【0066】
また、前述したように遷移元素B1と他の元素B2とを固溶化させる場合には、B1とB2のイオン半径が同程度であることが好ましい。この場合、B2は、遷移元素であっても、典型元素であってもよい。また、B2の価数は、B1の価数と同じであっても、異なっていてもよい。
【0067】
このようなB1とB2との組み合わせとしては、例えば、Mnと、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Alのうちの1つとの組み合わせ、及び、Tiと、Mg、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Fe、Ga、Nbのうちの1つとの組み合わせがある。
【0068】
固溶化によって抵抗値を調整する場合、例えばATi16にFeやNbを固溶化させてATiy-b(FeまたはNb)16として抵抗値を下げることが出来る。
【0069】
Aイオンに関しては、電圧印加によって、トンネル内を移動し、かつ、移動後の電圧の無印加状態で容易に元の位置に戻らないもの(リテンション時間の保持)であれば良く、錯イオンを含む無機イオンであっても、有機イオンであってもよい。また、複数種のイオンを含んでいても良く、そのうち少なくとも1種がトンネル内移動とリテンションを保証するものであればよい。なお、複数種のイオンを含む場合、それらのイオンの価数は同じであっても異なっていてもよい。
【0070】
Aイオンとして、具体的には、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のイオンが挙げられる。この場合、A元素として複数種のA元素を含んでいても良く、少なくとも1種類が上記の元素であればよい。
【0071】
尚、複数種のA元素を含んでいる場合、例えば、元素A1と元素A2の2種類の元素を含んでいる場合、化学式は、(A1)x−a(A2)a16となり、A1とA2の組成の和がxになればよい。
【0072】
より具体的には、1価のイオンの場合には、トンネル内を移動しやすいため、リテンション時間の保持の観点からは、イオン半径が大きいもの、あるいは原子量が大きいものが好ましい。このような元素としては、Na、K、Rb、Cs、Agが挙げられる。
【0073】
2価以上のイオンでは、イオンの位置変化(移動)に対する周囲イオンからのクーロン復元力が1価イオンの場合よりも大きくなるため、1価イオンの場合よりもトンネル内移動をしにくくなる。2価以上のイオンとなる元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sc、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Hg、Tl、Pb、Biが挙げられる。
【0074】
これらの元素のうちで、トンネル内でのイオンの適度な移動のしやすさに加え、リテンション保持の観点から、トンネル内に配位しやすいイオンとなるものを選択することも可能である。このような元素としては、2価イオンとなり、かつトンネル内でトンネル骨格と配位結合を作りやすいイオンとなるFe、Co、Ni、CuやZnが挙げられる。
【0075】
また、リテンション保持の観点から、A元素として、1価、2価イオンよりも動きにくい3価のイオンとなるものを選択することも可能である。このような元素としては、La、Pr、Nd、Sc、Y、Al、Tl、Biが挙げられる。
【0076】
また、2×2トンネル構造の結晶構造としての安定性をより高めるという観点から、A元素を選択することもできる。この場合、イオン半径が大きいA元素であることが望ましく、A元素は、移動してBの価数変化に寄与する役割を担う。
【0077】
さらに、Aとして複数種の元素を用いる場合、移動してBの価数変化に寄与するA1イオンと、2×2トンネル構造の安定性保持を担うA2イオンとの組み合わせにすることも考えられる。この時、A1イオンとしてイオン半径が比較的小さいものを用いることも考えられ、A2イオンとして移動しにくいイオンを用いることも考えられる。
【0078】
また、同一トンネル内にA1、A2が混在していてもよいし、A1、A2イオンが異なるトンネル内に存在していてもよい。また、異なるトンネル内におけるA1、A2イオンの組成が異なっていてもよい。
【0079】
さらに、Aとして複数種の元素を用いる場合、移動し易いA1イオンと、移動しにくいA2イオンとの組み合わせとし、移動しにくいA2イオンの組成によって、Bの価数をBO−2重鎖が急激に抵抗変化するBの価数領域の直前の値に設定することも考えられる。こうすることによって、電圧印加による少数のA1イオンの移動のみによって、抵抗値の急激な変化を引き起こすことが可能となる。
【0080】
図2に示したようなAイオンのトンネル内へのインターカレーション/ディスインターカレーションが印加電圧に対して効率的に生じるためには、Aイオンの移動方向と印加電場の方向が一致していることが好ましい。図2に示したとおり、記録層結晶のトンネルが伸びる方向(c軸方向)が印加電界方向に平行となるように配向していること、即ち、記録層がc軸配向していることが好ましい。
【0081】
但し、図27に示すように、Aイオンの移動方向と印加電場の方向が完全に一致していなくても、本発明の効果を得ることができる。
【0082】
また、図27においては、結晶粒界15を示しているが、Aイオンの移動方向と印加電場の方向との一致/不一致にかかわらず、このような結晶粒界15がある場合にも、本発明の効果を得ることができる。
【0083】
最後に、各原子の混合比の最適値について説明する。
【0084】
図2で説明したように、Aイオンが抜けた構造でも安定に存在しうるので、各状態の抵抗、或いは、Aイオンの拡散係数が最適値になるように、A、Bイオンの混合比を最適化することが可能である。
【0085】
B元素の組成yに関しては、Aイオンが全て抜けたトンネル構造(α−MnO構造)においては、元素の欠損がない場合、y=8.0(Bは4価)である。
【0086】
B元素が欠損する場合、トンネル構造が安定に存在するためには、欠損は、10%程度までであること、即ち、yの下限は、7.0程度であることが好ましい。また、O(酸素)元素が欠損する場合、欠損は、10%程度までであること、即ち、yの上限は、9.0程度であることが好ましい。
【0087】
従って、7.0≦y≦9.0が好ましい。トンネル構造をより安定に保持し、更に、酸素イオンの移動を抑制するという観点からは、7.5≦y≦8.5であることが、より好ましい。
【0088】
尚、トンネル構造を安定に保持する組成yの範囲で、B元素又はO(酸素)元素を意図的に欠損させることによって、トンネル骨格の抵抗値を調整することも可能である。
【0089】
A元素の組成xに関しては、トンネル内に存在し得るAイオンの数の上限から、xの上限としては、2.0程度であることが好ましい。また、xの下限は、Aイオンが全て抜けた状態、即ち、x=0である。従って、0≦x≦2.0であることが好ましい。
【0090】
ところで、セット動作後の電極層(陽極)11側には酸化剤が生じるため、電極層11は、酸化され難い材料(例えば、電気伝導性窒化物、電気伝導性酸化物など)から構成されることが好ましい。また、このような材料としては、イオン伝導性を有しないものがよい。
【0091】
そのような材料としては、以下に示されるものがあり、その中でも、電気伝導率の良さなどを加味した総合的性能の点から、LaNiO3は、最も好ましい材料ということができる。
【0092】
・M1N
M1は、Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。Nは、窒素である。
【0093】
・M1Ox
M1は、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。モル比xは、1≦x≦4を満たすものとする。
【0094】
・AM1O3
Aは、La, K, Ca, Sr, Ba, Ln(Lanthanide) のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0095】
M1は、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0096】
Oは、酸素である。
【0097】
・A2M1O4
Aは、K, Ca, Sr, Ba, Ln(Lanthanide) のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0098】
M1は、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zr, Nb, Mo, Ru, Rh, Pd, Ag, Hf, Ta, W, Re, Ir, Os, Pt のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0099】
Oは、酸素である。
【0100】
また、セット動作後の電極層(陰極)13側には還元剤が生じるため、電極層13としては、記録層12が大気と反応することを防止する機能を持っていることが好ましい。
【0101】
そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、SnO2などの半導体がある。
【0102】
電極層13は、記録層12を保護する保護層として機能させてもよいし、電極層13の他に保護層を新たに設けてもよい。この場合、保護層は、絶縁体でもよいし、導電体でもよい。
【0103】
また、リセット動作において、記録層12の加熱を効率よく行うために、陰極側、ここでは、電極層13側に、ヒータ層(抵抗率が約10-5Ωcm以上の材料)を設けてもよい。
【0104】
また、電極層11,13の少なくとも1つ、又は、電極層11,13の少なくとも1つの記録層12側の表面層を、A16の元素Aを含む金属層又は合金層としてもよい。この場合、元素Aを含む層は、化学的に安定であることが好ましい。
【0105】
記録層12に接して元素Aを含む層が存在することによって、印加電圧によるリセット動作、即ち、Aイオンによる記録層のトンネル内へのインターカレーション動作が効率的に行われ、結果的に、リセット消費電力が低減する。このような元素Aとしては、例えば、Cu、Ag、Znなどが挙げられる。
【0106】
尚、記録層12に接して元素Aを含む層を設ける場合、Aイオンがほぼ抜けた(A16でxが0に近い)ホランダイト構造を記録層12の初期状態として用いてもよい。Aイオンがほぼ抜けているため、初期状態は、低抵抗状態にあり、電圧印加によるトンネル内へのインターカレーション動作により、記録層12のうち元素Aを含む層に接する表層のみにAイオンを導入することによって記録層を高抵抗状態とすることが可能である。
【0107】
例えば、α−MnO層と元素Aを含む層とを積層し、電圧印加によるトンネル内へのインターカレーション動作によって、α−MnO層の表層のみを高抵抗のAMn16とすることが挙げられる。
【0108】
本発明の情報記録再生装置の第1化合物に接して、Aイオンを収容できる空隙サイトを有する第2化合物を設けてもよい。
【0109】
以下では、まず、第2化合物がホランダイト構造を有する場合について説明する。
【0110】
第2化合物は、第1化合物と元素組成が異なるホランダイト構造を有し、化学式2:C16(0≦z≦2.0、7.0≦w≦9.0)で表される。
【0111】
ここで、Cは、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含み、Dは、少なくとも1種の、4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素を含む。
【0112】
図3において、第1化合物12AにおけるBO−2重鎖1A内の白丸は、Bイオンを表し、黒丸は、Aイオンを表している。また、破線の白丸は、価数が変化したBイオンを表している。さらに、第2化合物12BにおけるDO−2重鎖1D内の右斜線の入った丸は、Dイオンを表し、左斜線の入った丸は、Cイオンを表している。そして、斜線が入った破線の丸は、価数変化したDイオンを表している。
【0113】
尚、図3では、2重鎖1A,1D内の酸素イオンを省略している。また、記録部12を構成する第1及び第2化合物12A,12Bは、それぞれ、2層以上の複数層にスタックしてもよい。
【0114】
このような記録部12において、第1化合物12Aが陽極側、第2化合物12Bが陰極側になるように電極層11,13に電位を与え、記録層12内に電位勾配を発生させると、第1化合物12A内のAイオンの一部が結晶中トンネル内を移動し、陰極側の第2化合物12Bの内にトンネル内の空隙サイト1Eへ侵入する。
【0115】
この時、第2化合物層12Bの抵抗は、変化しなくてもよいし、変化してもよい。第1化合物12A及び第2化合物層12Bを合わせた記録層12全体として抵抗変化すればよい。
【0116】
また、第2化合物12Bと第1化合物12Aとは、元素種が異なっていてもよいし((C、D)と(A、B)とが異なる)、元素種が同一で、組成のみが異なっていてもよい((z、w)と(x、y)とが異なる)。
【0117】
第2化合物12Bとしては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0118】
・空隙サイト1EへAイオンが侵入しても第2化合物12Bの導電性が高い場合 例えば、D元素としてRuが挙げられる。また、C元素を調整することにより、D元素として、V、Moが挙げられる。この時、第1化合物12Aと第2化合物12Bとは、元素種又は組成が異なる。
【0119】
これらは1例であって、第2化合物12Bの空隙サイト1EへのAイオンの進入によって、記録層12の抵抗が変化するものであればよい。
【0120】
尚、第2化合物12Bは、第1化合物12Aに対してエピタキシャル成長していることが好ましい。エピタキシャル成長していることによって、第1化合物12Aから第2化合物12Bの空隙サイト17へのAイオンの移動が、第2化合物12Bの結晶構造を破壊することなく、スムーズに行われることになるからである。
【0121】
次に、第2化合物がホランダイト構造でない場合について説明する。
【0122】
図4において、第1化合物12A内の黒丸、実線及び破線の白丸は、それぞれ、図3の第1化合物12Aの記号と同じものを表している。第1化合物12A内の酸素イオンは省略している。第2化合物12B内の黒丸は、Aイオンを表し、太線の白丸は、Mイオンを表し、ドットで塗りつぶした白丸は、Zイオンを示している。
【0123】
尚、記録層12を構成する第1及び第2化合物12A,12Bは、それぞれ、2層以上の複数層にスタックしてもよい。
【0124】
このような記録部において、第1化合物12Aが陽極側、第2化合物12Bが陰極側になるように電極層11,13Aに電位を与え、記録層12内に電位勾配を発生させると、第1化合物12A内のAイオンの一部が結晶中を移動し、陰極側の第2化合物12B内に侵入する。第2化合物12Bの結晶中には、Aイオンを収容できる空隙サイト1Eがあるため、第1化合物12Aから移動してきたAイオンは、この空隙サイト1Eに収まることになる。
【0125】
従って、第1化合物12A内では、Bイオンの一部の価数が上昇し、第2化合物12B内では、Mイオンの価数が減少する。従って、Mイオンは、遷移元素からなるイオンである必要がある。
【0126】
つまり、初期状態(リセット状態)において、第1及び第2化合物12A,12Bが高抵抗状態(絶縁体)であると仮定すれば、第1化合物12A内のAイオンの一部が第2化合物12B内に移動することにより、第1及び第2化合物12A,12Bの結晶中に電導キャリアが発生し、両者は、共に、電気伝導性を有するようになる。
【0127】
このように、電流/電圧パルスを記録層12に与えることにより、記録層12の電気抵抗値が小さくなるため、セット動作(記録)が実現される。
【0128】
尚、第1化合物12Aの電子のフェルミ準位を、第2化合物12Bの電子のフェルミ準位よりも低くすることによって、酸化還元反応によるリセット動作を行うこともできる。セット動作時の陽イオン移動と同時に、第1化合物12Aから第2化合物12Bへと電子が移動した状態となるが、第2化合物12Bの電子のフェルミ準位を、第1化合物12Aの電子のフェルミ準位よりも高くしておくと、記録層12のトータルエネルギーは、上昇する。従って、酸化還元反応によるリセット動作が可能である。
【0129】
以上をまとめると以下のようになる。
【0130】
記録層が少なくともホランダイト構造を有する第1化合物を含む場合には、第1化合物は、少なくとも化学式1:A16(0≦x≦2.0、7.0≦y≦9.0)で表される。
【0131】
但し、Bは、少なくとも1種の、4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素を含む。Bは、Mn、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W、Re、Os、Irのグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0132】
Aは、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。Aは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sc、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Hg、Ag、Tl、Pb、Biのグループから選択される少なくとも1種類の元素を含む。
【0133】
尚、ホランダイト構造を有する第1化合物の結晶c軸は、電圧印加による印加電界方向と平行であるのが好ましく、また、第1化合物に接して、A元素を含む金属又は合金層を有するのが好ましい。
【0134】
第1化合物に接して、A元素を収容できる空隙サイトを有する第2化合物を有する場合には、第2化合物は、化学式2:C16(0≦z≦2.0、7.0≦w≦9.0)で表され、第1化合物と元素組成が異なるホランダイト構造を有する。
【0135】
但し、Cは、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含み、Dは、少なくとも1種の、4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素を含む。
【0136】
第2化合物は、以下の材料のうちの1つから構成される。
【0137】
化学式3:□MZ
但し、□は、A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、0.3≦x≦1である。
【0138】
化学式4:□MZ
但し、□は、A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
【0139】
化学式5:□MZ
但し、□は、A元素が収容される空隙サイトであり、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。
【0140】
化学式6:□MPO
但し、□は、A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Pは、リン元素であり、Oは、酸素元素であり、0.3≦x≦3、4≦z≦6である。
【0141】
第2化合物は、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト構造、パイロルース構造、ReO3構造、MoO1.5PO4構造、TiO0.5PO4構造及びFePO4構造、βMnO2構造、γMnO2構造、λMnO2構造のうちの1つを有しているのが好ましい。
【0142】
3.実施の形態
次に、最良と思われるいくつかの実施の形態について説明する。
以下では、本発明の例を、プローブメモリに適用した場合と半導体メモリに適用した場合の2つについて説明する。
【0143】
(1) プローブメモリ
A.構造
図5及び図6は、本発明の例に係るプローブメモリを示している。
【0144】
半導体基板20上には、電極層11が配置され、電極層11上には、データエリアとサーボエリアとを有する記録層12が配置される。記録層12は、例えば、図1のような構造を有する記録媒体(記録部)から構成される。記録媒体は、半導体基板20の中央部にベタに形成される。
【0145】
サーボエリアは、半導体基板20の縁に沿って配置される。データエリア及びサーボエリアは、複数のブロックから構成される。データエリア上及びサーボエリア上には、複数のブロックに対応して複数のプローブ23が配置される。複数のプローブ23の各々は、先鋭化された形状を有する。
【0146】
複数のプローブ23は、プローブアレイを構成し、半導体基板24の一面側に形成される。複数のプローブ23は、MEMS技術を利用することにより、半導体基板24の一面側に容易に形成できる。
【0147】
データエリア上のプローブ23の位置は、サーボエリアから読み出されるサーボバースト信号により制御される。具体的には、ドライバ15により、半導体基板20をX方向に往復運動させ、複数のプローブ23のY方向の位置制御を行うことにより、アクセス動作を実行する。
【0148】
なお、ブロックごとに記録媒体を独立に形成し、記録媒体がハードディスクのように円形で回転するような構造とし、複数のプローブ23の各々を、記録媒体の半径方向、例えば、X方向に移動させるようにしてもよい。
【0149】
複数のプローブ23は、それぞれ、記録/消去ヘッドとしての機能及び再生ヘッドとしての機能を有する。マルチプレクスドライバ25,26は、記録、再生及び消去時に、複数のプローブ23に対して所定の電圧を供給する。
【0150】
B.記録/再生動作
図5及び図6のプローブメモリの記録/再生動作について説明する。
【0151】
図7は、記録動作(セット動作)について示している。
記録媒体は、半導体チップ20上の電極層11、記録層12及び保護層21からなるものとする。保護層21は、抵抗体から構成される。保護層21の抵抗値は、記録単位27の最小抵抗値よりも大きく、最大抵抗値よりも小さいのが好ましい。
【0152】
記録動作は、プローブ23の先端を保護層21の表面に接触させて、記録層(記録媒体)12の記録単位27に電圧を印加し、記録層12の記録単位27内に電位勾配を発生させることにより行う。本例では、プローブ23の電位が電極層11の電位よりも相対的に低い状態を作る。電極層11を固定電位(例えば、接地電位)とすれば、プローブ23に負の電位を与えればよい。
【0153】
電圧パルスは、例えば、電子発生源又はホットエレクトロン源を使用し、プローブ23から電極層11に向かって電子を放出することにより発生させても印加することができる。
【0154】
この時、例えば、図8に示すように、記録層12の記録単位27では、Aイオンの一部がプローブ(陰極)23側に移動し、結晶内のAイオンがOイオンに対して相対的に減少する。また、プローブ23側に移動したAイオンは、プローブ23から電子を受け取ってメタルとして析出する。
【0155】
記録層12の記録単位27では、Oイオンが過剰となり、結果的に、記録層12内に残されたBイオンの価数を上昇させる。つまり、記録層12の記録単位27は、相変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、情報記録(セット動作)が完了する。
【0156】
尚、情報記録のための電圧パルスは、プローブ23の電位が電極層11の電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させることもできる。
【0157】
本例のプローブメモリによれば、ハードディスクと同様に、記録媒体の記録単位27に情報記録を行うことができると共に、新規な記録材料を採用することにより、従来のハードディスクや半導体メモリよりも高記録密度が実現できる。
【0158】
図9は、再生動作について示している。
再生動作に関しては、電圧パルスを記録層12の記録単位27に流し、記録層12の記録単位27の抵抗値を検出することにより行う。但し、電圧パルスは、記録層12の記録単位27を構成する材料が状態変化を起こさない程度の微小な値とする。
【0159】
例えば、センスアンプS/Aにより発生した読み出し電流をプローブ23から記録層(記録媒体)12の記録単位27に流し、センスアンプS/Aにより記録単位27の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すると、高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗の比は、103以上を確保できる。
【0160】
尚、再生動作では、記録媒体上をプローブ23により走査(スキャン)することで、連続再生が可能となる。
【0161】
消去(リセット)動作に関しては、記録層12の記録単位27を大電流パルスによりジュール加熱して、記録層12の記録単位27における酸化還元反応を促進させることにより行う。或いは、セット時とは逆向きの電圧パルスを記録層12に印加することによっても消去を行うことができる。
【0162】
消去動作は、記録単位27ごとに行うこともできるし、複数の記録単位27又はブロック単位で行うこともできる。
【0163】
尚、図10は、図3の構造に対する記録動作を示し、図11は、図3の構造に対する再生動作を示している。
【0164】
C.実験例
サンプルとしては、図7に示す構造を有する記録媒体を使用し、評価は、先端の径が10nm以下に先鋭化されたプローブ対を使用する。
【0165】
電極層11は、例えば、半導体基板上に形成されたPt膜とする。半導体基板と下部電極との接着性を高めるために、5nm程度のTiを接着層として用いてもよい。記録層12は、所望の組成比が得られるように成分を調整したゾルを塗布した後に焼成する、いわゆるゾル−ゲル法を用いることによって、あるいは所望の組成比が得られるように成分を調整したターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタを行うことにより、得ることができる。さらに、保護層として、例えば、ダイヤモンドライクカーボンを、CVD法により形成してもよい。各層の膜厚は、低抵抗状態と高抵抗状態の抵抗比、スイッチングに要するエネルギー、スイッチング速度などを最適化するように設計できる。
【0166】
プローブ対を保護層21に接触させ、書き込み/消去は、そのうちの1つを用いて実行する。例えば、書き込みは、記録層12に、例えば、10nsec幅で、1Vの電圧パルスを印加することにより行う。一方で、例えば、消去は、記録層12に、例えば、100nsec幅で、0.2Vの電圧パルスを印加することにより行うことができる。
【0167】
また、書き込み/消去の合間に、プローブ対の他の1つを用いて読み出しを実行する。読み出しは、記録層12に、10nsec幅で、0.1Vの電圧パルスを印加し、記録層(記録ビット)12の抵抗値を測定することにより行うことができる。
【0168】
例えば、ホランダイト構造を有するBaMn16を記録層として用いた場合には、2×2トンネルを有し、構造安定なα−MnOのトンネル内にBaイオンが存在するため、Baイオンの移動が効率的に生じる。また、Baイオンが移動して欠乏した後には、記録層12内に残されたMnイオンの価数が上昇して4価により近くなるため、記録層12が低抵抗化する。
【0169】
この時、移動したBaイオンは、電圧印加しない状態で元の位置に容易に戻ることは無いので、記録状態は、安定に存在する。また、Baイオンが欠乏した状態の記録層12は、結晶として安定に保持されるため、低抵抗状態から高抵抗状態へのスイッチングに要する電力を小さくすることができる。
【0170】
D.まとめ
このようなプローブメモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
【0171】
(2)半導体メモリ
A.構造
図12は、本発明の例に係るクロスポイント型半導体メモリを示している。
【0172】
ワード線WLi−1,WLi,WLi+1は、X方向に延び、ビット線BLj−1,BLj,BLj+1は、Y方向に延びる。
【0173】
ワード線WLi−1,WLi,WLi+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタRSWを経由してワード線ドライバ&デコーダ31に接続され、ビット線BLj−1,BLj,BLj+1の一端は、選択スイッチとしてのMOSトランジスタCSWを経由してビット線ドライバ&デコーダ&読み出し回路32に接続される。
【0174】
MOSトランジスタRSWのゲートには、1本のワード線(ロウ)を選択するための選択信号Ri−1,Ri,Ri+1が入力され、MOSトランジスタCSWのゲートには、1本のビット線(カラム)を選択するための選択信号Ci−1,Ci,Ci+1が入力される。
【0175】
メモリセル33は、ワード線WLi−1,WLi,WLi+1とビット線BLj−1,BLj,BLj+1との交差部に配置される。いわゆるクロスポイント型セルアレイ構造である。
【0176】
メモリセル33には、記録/再生時における回り込み電流(sneak current)を防止するためのダイオード34が付加される。
【0177】
図13は、図12の半導体メモリのメモリセルアレイ部の構造を示している。
半導体チップ30上には、ワード線WLi−1,WLi,WLi+1とビット線BLj−1,BLj,BLj+1が配置され、これら配線の交差部にメモリセル33及びダイオード34が配置される。
【0178】
このようなクロスポイント型セルアレイ構造の特長は、メモリセル33に個別にMOSトランジスタを接続する必要がないため、高集積化に有利な点にある。例えば、図15及び図16に示すように、メモリセル33を積み重ねて、メモリセルアレイを3次元構造にすることも可能である。
【0179】
メモリセル33は、例えば、図14に示すように、記録層12、保護層22及びヒータ層35のスタック構造から構成される。1つのメモリセル33により1ビットデータを記憶する。また、ダイオード34は、ワード線WLiとメモリセル33との間に配置される。
【0180】
B.記録/再生動作
図12乃至図14を用いて記録/再生動作を説明する。
ここでは、点線Aで囲んだメモリセル33を選択し、これについて記録/再生動作を実行するものとする。
【0181】
情報記録(セット動作)は、選択されたメモリセル33に電圧を印加し、そのメモリセル33内に電位勾配を発生させて電流パルスを流せばよいため、例えば、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に低い状態を作る。ビット線BLjを固定電位(例えば、接地電位)とすれば、ワード線WLiに負の電位を与えればよい。
【0182】
この時、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、Aイオンの一部がワード線(陰極)WLi側に移動し、結晶内のAイオンがOイオンに対して相対的に減少する。また、ワード線WLi側に移動したAイオンは、ワード線WLiから電子を受け取ってメタルとして析出する。
【0183】
点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33では、Oイオンが過剰となり、結果的に、結晶内におけるBイオンの価数を上昇させる。つまり、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33は、状態変化によるキャリアの注入により電子伝導性を有するようになるため、情報記録(セット動作)が完了する。
【0184】
尚、情報記録時には、非選択のワード線WLi−1,WLi+1及び非選択のビット線BLj−1,BLj+1については、全て同電位にバイアスしておくことが好ましい。
【0185】
また、情報記録前のスタンバイ時には、全てのワード線WLi−1,WLi,WLi+1及び全てのビット線BLj−1,BLj,BLj+1をプリチャージしておくことが好ましい。
【0186】
また、情報記録のための電圧パルスは、ワード線WLiの電位がビット線BLjの電位よりも相対的に高い状態を作ることにより発生させてもよい。
【0187】
情報再生に関しては、電圧パルスを点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33に流し、そのメモリセル33の抵抗値を検出することにより行う。但し、電圧パルスは、メモリセル33を構成する材料が状態変化を起こさない程度の微小な振幅とすることが必要である。
【0188】
例えば、読み出し回路により発生した読み出し電流をビット線BLjから点線Aで囲まれたメモリセル33に流し、読み出し回路によりそのメモリセル33の抵抗値を測定する。既に説明した新材料を採用すれば、高抵抗状態と低抵抗状態との抵抗値の比は、103以上を確保できる。
【0189】
消去(リセット)動作に関しては、点線Aで囲まれた選択されたメモリセル33を大電流パルスによりジュール加熱して、そのメモリセル33における酸化還元反応を促進させることにより行う。
【0190】
C.まとめ
このような半導体メモリによれば、現在のハードディスクやフラッシュメモリよりも高記録密度及び低消費電力を実現できる。
【0191】
4.フラッシュメモリへの適用
(1)構造
本発明の例は、フラッシュメモリに適用することも可能である。
【0192】
図17は、フラッシュメモリのメモリセルを示している。
【0193】
フラッシュメモリのメモリセルは、MIS(metal-insulator-semiconductor)トランジスタから構成される。
【0194】
半導体基板41の表面領域には、拡散層42が形成される。拡散層42の間のチャネル領域上には、ゲート絶縁層43が形成される。ゲート絶縁層43上には、本発明の例に係る記録層(RRAM: Resistive RAM)44が形成される。記録層44上には、コントロールゲート電極45が形成される。
【0195】
半導体基板41は、ウェル領域でもよく、また、半導体基板41と拡散層42とは、互いに逆の導電型を有する。コントロールゲート電極45は、ワード線となり、例えば、導電性ポリシリコンから構成される。
【0196】
記録層44は、図2、図3又は図4に示す材料から構成される。
【0197】
(2)基本動作
図17を用いて基本動作について説明する。
セット(書き込み)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1を与え、半導体基板41に電位V2を与えることにより実行する。
【0198】
電位V1,V2の差は、記録層44が状態変化又は抵抗変化するのに十分な大きさであることが必要であるが、その向きについては、特に、限定されない。
【0199】
即ち、V1>V2及びV1<V2のいずれでもよい。
【0200】
例えば、初期状態(リセット状態)において、記録層44が絶縁体(抵抗大)であると仮定すると、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、高くなる。
【0201】
この状態から電位V1,V2を与えて記録層44を導電体(抵抗小)に変化させると、実質的にゲート絶縁層43が薄くなったことになるため、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、低くなる。
【0202】
尚、電位V2は、半導体基板41に与えたが、これに代えて、メモリセルのチャネル領域に拡散層42から電位V2を転送するようにしてもよい。
【0203】
リセット(消去)動作は、コントロールゲート電極45に電位V1’を与え、拡散層42の一方に電位V3を与え、拡散層42の他方に電位V4(<V3)を与えることにより実行する。
【0204】
電位V1’は、セット状態のメモリセルの閾値を越える値にする。
【0205】
この時、メモリセルは、オンになり、電子が拡散層42の他方から一方に向かって流れると共に、ホットエレクトロンが発生する。このホットエレクトロンは、ゲート絶縁層43を介して記録層44に注入されるため、記録層44の温度が上昇する。
【0206】
これにより、記録層44は、導電体(抵抗小)から絶縁体(抵抗大)に変化するため、実質的にゲート絶縁層43が厚くなったことになり、メモリセル(MISトランジスタ)の閾値は、高くなる。
【0207】
このように、フラッシュメモリと類似した原理により、メモリセルの閾値を変えることができるため、フラッシュメモリの技術を利用して、本発明の例に係る情報記録再生装置を実用化できる。
【0208】
(3)NAND型フラッシュメモリ
図18は、NANDセルユニットの回路図を示している。図19は、本発明の例に係るNANDセルユニットの構造を示している。
【0209】
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係るNANDセルユニットが形成される。
【0210】
NANDセルユニットは、直列接続される複数のメモリセルMCからなるNANDストリングと、その両端に1つずつ接続される合計2つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
【0211】
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
【0212】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、即ち、導電体(抵抗小)に固定される。
【0213】
セレクトゲートトランジスタSTの1つは、ソース線SLに接続され、他の1つは、ビット線BLに接続される。
【0214】
セット(書き込み)動作前には、NANDセルユニット内の全てのメモリセルは、リセット状態(抵抗大)になっているものとする。
【0215】
セット(書き込み)動作は、ソース線SL側のメモリセルMCからビット線BL側のメモリセルに向かって1つずつ順番に行われる。
【0216】
選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに書き込み電位としてV1(プラス電位)を与え、非選択のワード線WLに転送電位(メモリセルMCがオンになる電位)としてVpassを与える。
【0217】
ソース線SL側のセレクトゲートトランジスタSTをオフ、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータを転送する。
【0218】
例えば、プログラムデータが“1”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域に書き込み禁止電位(例えば、V1と同じ程度の電位)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値が高い状態から低い状態に変化しないようにする。
【0219】
また、プログラムデータが“0”のときは、選択されたメモリセルMCのチャネル領域にV2(<V1)を転送し、選択されたメモリセルMCの記録層44の抵抗値を高い状態から低い状態に変化させる。
【0220】
リセット(消去)動作では、例えば、全てのワード線(コントロールゲート電極)WLにV1’を与え、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCをオンにする。また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLにV3を与え、ソース線SLにV4(<V3)を与える。
【0221】
この時、ホットエレクトロンがNANDセルユニット内の全てのメモリセルMCの記録層44に注入されるため、NANDセルユニット内の全てのメモリセルMCに対して一括してリセット動作が実行される。
【0222】
読み出し動作は、選択されたワード線(コントロールゲート電極)WLに読み出し電位(プラス電位)を与え、非選択のワード線(コントロールゲート電極)WLには、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる電位を与える。
【0223】
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
【0224】
選択されたメモリセルMCは、読み出し電位が印加されると、それに記憶されたデータの値に応じてオン又はオフになるため、例えば、読み出し電流の変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
【0225】
尚、図19の構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図20に示すように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
【0226】
図21は、NAND型フラッシュメモリの変形例である。
【0227】
この変形例は、NANDストリングを構成する複数のメモリセルMCのゲート絶縁層がP型半導体層47に置き換えられている点に特徴を有する。
【0228】
高集積化が進み、メモリセルMCが微細化されると、電圧を与えていない状態で、P型半導体層47は、空乏層で満たされることになる。
【0229】
セット(書き込み)時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの書き込み電位(例えば、3.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの転送電位(例えば、1V)を与える。
【0230】
この時、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのP型ウェル領域41cの表面がP型からN型に反転し、チャネルが形成される。
【0231】
そこで、上述したように、ビット線BL側のセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、ビット線BLから選択されたメモリセルMCのチャネル領域にプログラムデータ“0”を転送すれば、セット動作を行うことができる。
【0232】
リセット(消去)は、例えば、全てのコントロールゲート電極45にマイナスの消去電位(例えば、-3.5V)を与え、P型ウェル領域41c及びP型半導体層47に接地電位(0V)を与えれば、NANDストリングを構成する全てのメモリセルMCに対して一括して行うことができる。
【0233】
読み出し時には、選択されたメモリセルMCのコントロールゲート電極45にプラスの読み出し電位(例えば、0.5V)を与え、かつ、非選択のメモリセルMCのコントロールゲート電極45に、メモリセルMCがデータ“0”、“1”によらず必ずオンになる転送電位(例えば、1V)を与える。
【0234】
但し、“1”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”1”は、0V < Vth”1” < 0.5Vの範囲内にあるものとし、“0”状態のメモリセルMCの閾値電圧Vth”0”は、0.5V < Vth”0” < 1Vの範囲内にあるものとする。
【0235】
また、2つのセレクトゲートトランジスタSTをオンにし、NANDストリングに読み出し電流を供給する。
【0236】
このような状態にすれば、選択されたメモリセルMCに記憶されたデータの値に応じてNANDストリングに流れる電流量が変わるため、この変化を検出することにより、データを読み出すことができる。
【0237】
尚、この変形例においては、P型半導体層47のホールドープ量がP型ウェル領域41cのそれよりも多く、かつ、P型半導体層47のフェルミレベルがP型ウェル領域41cのそれよりも0.5V程度深くなっていることが好ましい。
【0238】
これは、コントロールゲート電極45にプラスの電位を与えたときに、N型拡散層42間のP型ウェル領域41cの表面部分からP型からN型への反転が開始し、チャネルが形成されるようにするためである。
【0239】
このようにすることで、例えば、書き込み時には、非選択のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成され、読み出し時には、NANDストリング内の複数のメモリセルMCのチャネルは、P型ウェル領域41cとP型半導体層47の界面のみに形成される。
【0240】
つまり、メモリセルMCの記録層44が導電体(セット状態)であっても、拡散層42とコントロールゲート電極45とが短絡することはない。
【0241】
(4)NOR型フラッシュメモリ
図22は、NORセルユニットの回路図を示している。図23は、本発明の例に係るNORセルユニットの構造を示している。
【0242】
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係るNORセルが形成される。
【0243】
NORセルは、ビット線BLとソース線SLとの間に接続される1つのメモリセル(MISトランジスタ)MCから構成される。
【0244】
メモリセルMCは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
【0245】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
【0246】
(5)2トラ型フラッシュメモリ
図24は、2トラセルユニットの回路図を示している。図25は、本発明の例に係る2トラセルユニットの構造を示している。
【0247】
2トラセルユニットは、NANDセルユニットの特徴とNORセルの特徴とを併せ持った新たなセル構造として最近開発されたものである。
【0248】
P型半導体基板41a内には、N型ウェル領域41b及びP型ウェル領域41cが形成される。P型ウェル領域41c内に、本発明の例に係る2トラセルユニットが形成される。
【0249】
2トラセルユニットは、直列接続される1つのメモリセルMCと1つのセレクトゲートトランジスタSTとから構成される。
【0250】
メモリセルMC及びセレクトゲートトランジスタSTは、同じ構造を有する。具体的には、これらは、N型拡散層42と、N型拡散層42の間のチャネル領域上のゲート絶縁層43と、ゲート絶縁層43上の記録層(RRAM)44と、記録層44上のコントロールゲート電極45とから構成される。
【0251】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。これに対し、セレクトゲートトランジスタSTの記録層44は、セット状態、即ち、導電体(抵抗小)に固定される。
【0252】
セレクトゲートトランジスタSTは、ソース線SLに接続され、メモリセルMCは、ビット線BLに接続される。
【0253】
メモリセルMCの記録層44の状態(絶縁体/導電体)は、上述の基本動作により変化させることが可能である。
【0254】
図25の構造では、セレクトゲートトランジスタSTは、メモリセルMCと同じ構造を有しているが、例えば、図26に示すように、セレクトゲートトランジスタSTについては、記録層を形成せずに、通常のMISトランジスタとすることも可能である。
【0255】
5.実施例
記録層についての実施例を説明する。
【0256】
まず、ホランダイト構造を有する記録膜A,Bを以下のようにゾル−ゲル法で作製し、パルス電圧印加による抵抗値変化の有無を確認する。
【0257】
[記録膜Aの作製]
臭化テトラブチルアンモニウムとマンガン酸カリウムとの水中での反応により得られたマンガン酸テトラブチルアンモニウムと、酢酸カリウムとを、モル比1:0.23でメタノール中に溶解し、攪拌してゾルとする。
【0258】
表面に厚さ100nmのPt電極が形成されたSiウェハ上に、このゾルを塗布したものを、大気中で1時間放置した後、大気中、450℃で2時間加熱する。
【0259】
さらに、水洗、乾燥して得られた膜のX線回折パターンから、この膜がKxMn16ホランダイト構造であることが確認された。
【0260】
この膜の表面にスパッタにより直径約50μm、厚さ約100nmの円形のPt電極(上部電極)を形成して記録素子とした。
【0261】
[記録膜Bの作製]
マンガン酸カリウム水溶液に、フマル酸を、マンガン酸カリウムとフマル酸とのモル比が3:1となるように加え、攪拌してゾルを得る。このゾルを、表面に厚さ100nmのPt電極が形成されたSiウェハ上に塗布する。大気中で2時間放置後、水洗し、大気中110℃で12時間加熱後、大気中450℃で2時間加熱する。
【0262】
さらに、酸処理、水洗、乾燥して得られた膜のX線回折パターンから、膜がα−MnOホランダイト構造であることが確認された。
【0263】
この膜の表面に、基板温度を約400℃としたスパッタにより、直径約50μm、厚さ約100nmの円形のCu電極(上部電極)を形成して記録素子とした。
【0264】
同様に形成した記録素子のXPS深さプロファイル分析により、Cuがα−MnO膜中に拡散していること、すなわち、記録膜がCuMn16ホランダイト構造であることが確認された。
【0265】
[電圧印加による抵抗変化の確認]
記録膜Aについて、Pt下部電極を接地し、Pt上部電極に正電圧パルス(電圧10V、幅1μsec)を印加した場合の膜抵抗の変化を測定したところ、電圧パルス印加前よりも印加後の方が記録膜Aの抵抗値は低くなった。
【0266】
記録膜Bについて、Pt下部電極を接地し、Cu上部電極に正電圧パルス(電圧10V、幅10μsec)を印加した。正電圧パルス印加前よりも印加後の方が記録膜Bの抵抗値は高かくなった。
【0267】
さらに、Pt下部電極を接地し、Cu上部電極に負電圧パルス(電圧−10V、幅1μsec)を印加した。負電圧パルス印加後の記録膜Bの抵抗値は、負電圧パルス印加直前の記録膜Bの抵抗値よりも低くなった。
【0268】
6.その他
本発明の例によれば、情報記録(書き込み)は、電場が印加された部位(記録単位)のみで行われるため、極めて微細な領域に、極めて小さな消費電力で情報を記録できる。
【0269】
消去は、熱を印加することにより行うが、この時、本発明の例で提案する材料を用いれば、酸化物の構造変化がほとんど生じないため、小さな消費電力で消去が可能となる。
【0270】
また、消去は、熱の印加の他に、記録時と逆向きの電場を印加して行うことも可能である。この場合には、熱の拡散というエネルギーロスが少ないため、より小さな消費電力で消去が可能となる。
【0271】
このように、本発明の例によれば、極めて単純な仕組みであるにもかかわらず、従来技術では到達することのできない記録密度による情報記録を可能とする。従って、本発明の例は、現在の不揮発性メモリの記録密度の壁を打ち破る次世代技術として産業上のメリットは多大である。
【0272】
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0273】
【図1】本発明の記録材料の構造を示す図。
【図2】記録原理を示す図。
【図3】記録原理を示す図。
【図4】記録原理を示す図。
【図5】本発明の例に係るプローブメモリを示す図。
【図6】記録媒体の区分けについて示す図。
【図7】情報記録時の様子を示す図。
【図8】記録動作を示す図。
【図9】再生動作を示す図。
【図10】記録動作を示す図。
【図11】再生動作を示す図。
【図12】本発明の例に係る半導体メモリを示す図。
【図13】メモリセルアレイの構造を示す図。
【図14】メモリセルの構造を示す図。
【図15】メモリセルアレイの構造を示す図。
【図16】メモリセルアレイの構造を示す図。
【図17】フラッシュメモリへの適用例を示す図。
【図18】NANDセルユニットを示す回路図。
【図19】NANDセルユニットの構造を示す図。
【図20】NANDセルユニットの構造を示す図。
【図21】NANDセルユニットの構造を示す図。
【図22】NORセルを示す回路図。
【図23】NORセルの構造を示す図。
【図24】2トラセルユニットを示す回路図。
【図25】2トラセルユニットの構造を示す図。
【図26】2トラセルユニットの構造を示す図。
【図27】記録原理を示す図。
【符号の説明】
【0274】
1A,1B,1D:2重鎖、1C:メタル層、1E:空隙サイト、11,13:電極層、12:記録層、12A:第1化合物、12B:第2化合物、14:テーブル、15:ドライバ、21:保護層、23:プローブ、24:半導体基板、25,26:マルチプレクスドライバ、27:記録単位、31:ワード線ドライバ&デコーダ、32:ビット線ドライバ&デコーダ&読み出し回路、33:メモリセル、34:ダイオード、35:ヒータ層、WLi−1,WLi,WLi+1:ワード線、BLj−1,BLj,BLj+1:ビット線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録層と、前記記録層に電圧を印加して前記記録層に状態変化を発生させて情報を記録する手段とを具備し、前記記録層は少なくともホランダイト構造を有する第1化合物を含むように構成されることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記第1化合物は、少なくとも化学式1:A16(0≦x≦2.0、7.0≦y≦9.0)で表される第1化合物を有し、
Bは、少なくとも1種の、4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記Bは、Mn、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Hf、Ta、W、Re、Os、Irのグループから選択される少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記Bは、Mn、Ti、V、Cr、Moのグループから選択される少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記BはMnであることを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
前記Aは、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
前記Aは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Pr、Nd、Sc、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、Hg、Ag、Tl、Pb、Biのグループから選択される少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
前記Aは、Na、K、Rb、Cs、Agのグループから選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生装置。
【請求項9】
前記Aは、Fe、Co、Ni、Cu、Znのグループから選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生装置。
【請求項10】
前記Aは、La、Pr、Nd、Sc、Y、Al、Tl、Biのグループから選択される少なくとも1種類の元素であることを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生装置。
【請求項11】
前記ホランダイト構造を有する第1化合物の結晶c軸が、前記電圧印加による印加電界方向と平行であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項12】
前記第1化合物に接して、前記A元素を含む金属又は合金層を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項13】
前記第1化合物に接して、前記A元素を収容できる空隙サイトを有する第2化合物を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項14】
前記第2化合物は、化学式2:C16(0≦z≦2.0、7.0≦w≦9.0)で表され、前記第1化合物と元素組成が異なるホランダイト構造を有し、
Cは、アルカリ金属(1族元素)、アルカリ土類金属(2族元素)、希土類元素(3族元素)、4族から11族までの遷移元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素のグループから選択される少なくとも1種類の元素を含み、
Dは、少なくとも1種の、4族(IVA族)から11族(IB族)までの遷移元素を含むことを特徴とする請求項1乃至7,9のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項15】
前記第2化合物は、前記第1化合物に対してエピタキシャル成長していることを特徴とする請求項1乃至7,9,10のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項16】
前記第2化合物は、
化学式3:□MZ
(但し、□は、前記A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、0.3≦x≦1である。)、
化学式4:□MZ
(但し、□は、前記A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。)、
化学式5:□MZ
(但し、□は、前記A元素が収容される空隙サイトであり、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Zは、O, S, Se, N, Cl, Br, Iから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、1≦x≦2である。)、及び
化学式6:□MPO
(但し、□は、前記A元素が収容される空隙サイトであり、Mは、Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Nb, Ta, Mo, W, Re, Ru, Rhから選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、Pは、リン元素であり、Oは、酸素元素であり、0.3≦x≦3、4≦z≦6である。)、
のうちの1つであることを特徴とする請求項9に記載の情報記録再生装置。
【請求項17】
前記第2化合物は、ラムスデライト構造、アナターゼ構造、ブルッカイト構造、パイロルース構造、ReO3構造、MoO1.5PO4構造、TiO0.5PO4構造及びFePO4構造、βMnO2構造、γMnO2構造、λMnO2構造のうちの1つを有していることを特徴とする請求項16に記載の情報記録再生装置。
【請求項18】
前記手段は、前記記録層の記録単位に対して前記電圧を局所的に印加するためのプローブを含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項19】
前記手段は、前記記録層を挟み込むワード線及びビット線を含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項20】
前記手段は、MISトランジスタを含み、前記記録層は、前記MISトランジスタのゲート電極とゲート絶縁層との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかの1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項21】
前記手段は、第1導電型半導体基板内の2つの第2導電型拡散層と、前記2つの第2導電型拡散層の間の前記第1導電型半導体基板上の第1導電型半導体層と、前記2つの第2導電型拡散層間における導通/非導通を制御するゲート電極とを含み、前記記録層は、前記ゲート電極と前記第1導電型半導体層との間に配置されることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかの1項に記載の情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−276905(P2008−276905A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155703(P2007−155703)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】