説明

情報通信システム、情報通信装置、通信端末および情報通信システムの制御方法

【課題】情報通信装置の情報のセキュリティが維持される情報通信システムを提供する。
【解決手段】情報通信システム10は、情報通信装置100と、携帯電話機500とを備える。情報通信装置100は、USBポート110,112,114,116と、各USBポートにおける機器の物理的なおよび論理的な又は電気的な接続状態を監視するUSB監視部120と、USBポートにおける接続状態の変化の有無を検知する判断部122と、接続状態を示す信号を携帯電話機500に送信する内部状態送信部124と、赤外線ポート130と、携帯電話機500から送られた命令を解析するメール解析部132と、命令に基づいてUSBポートにおける論理的な接続を制御するUSB制御部134とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信装置のインターフェイスに関し、特に、インターフェイスにおける接続の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置の周辺機器の接続インターフェイスの一態様としてUSB(Universal Serial Bus)インターフェイスがある。周辺機器の接続インターフェイスに関し、たとえば、特開2008−48048号公報(特許文献1)は、「通信装置に接続された周辺機器を、通信装置内部の処理主体及びネットワーク上の端末装置から効率的に利用可能な技術」を開示している。
【0003】
特開2007−4251号公報(特許文献2)は、「どのようなインタフェースを有する場合であっても、ユーザが簡易な操作で取り外し処理(アンマウント処理)を行うことができ、安全に機器を取り外すことができる外付けストレージデバイス、プログラム、および情報処理システム」を開示している。
【0004】
特開2007−164612号公報(特許文献3)は、「ネットワークを介した通信機能を持たない場合でもワイヤレス信号によって制御可能な機器を遠隔から制御できる遠隔制御システム」を開示している。
【特許文献1】特開2008−48048号公報
【特許文献2】特開2007−4251号公報
【特許文献3】特開2007−164612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2008−48048号公報に開示された技術によると、USB接続されたデバイスの一覧に基づいて、ユーザ操作によってUSBデバイスの接続は簡単に解除できる。また、管理者パスワードも保有できるためセキュリティ的には問題ないが、管理者パスワードの入力/登録に手間を要する。また、パスワードを忘れたときに操作ができないという問題点がある。
【0006】
特開2007−4251号公報に開示された技術によると、簡単にUSBデバイスの取り外しが可能となるが、誰でも、USBデバイスの取り外しができることになる。そのため、たとえば、あるユーザがUSBストレージ内の画像を外部から閲覧している場合でも、他のユーザが当該USBストレージを勝手に取り外す恐れがある。
【0007】
特開2007−164612号公報に開示された技術によると、ネットワークを介した通信機能を持たない機器に対しても、ワイヤレス制御装置その他の外部の装置が制御コマンドを発行することにより、赤外線通信で接続を制御することができる。しかしながら、そのためには、制御コマンドを予め登録しておく必要がある。
【0008】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、情報通信装置の情報のセキュリティが維持される情報通信システムを提供することである。他の目的は、運用が容易になる情報通信システムを提供することである。
【0009】
他の目的は、情報のセキュリティが維持される情報通信装置を提供することである。他の目的は、運用が容易になる情報通信装置を提供することである。
【0010】
他の目的は、情報通信装置の情報のセキュリティを維持しつつインターフェイスの接続を容易に制御できる通信端末を提供することである。
【0011】
他の目的は、情報通信装置の情報のセキュリティを維持しつつインターフェイスの接続を容易に制御できる情報通信システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ある局面に従う情報通信システムは、通信端末と、情報通信装置とを備える。情報通信装置は、情報通信装置を識別する識別データを格納する記憶手段と、インターフェイスと、情報通信装置の動作を制御する制御手段とを備える。制御手段は、インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出するように構成されている。情報通信装置は、機器の接続状態を示す通知情報と、識別データとを送信する送信手段をさらに備える。通信端末は、表示装置と、識別データおよび通知情報を受信する受信手段と、通知情報および識別データの受信に基づいて、インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を表示装置に表示させる表示制御手段と、通信端末に対する操作入力を受け付ける操作手段と、入力された指示に基づいて、接続状態を制御する命令を送出する送出手段とを備える。情報通信装置は、通信端末によって送出された命令の入力を受け付ける入力手段をさらに備える。制御手段は、命令に基づいて、機器とインターフェイスとの接続状態を制御する。
【0013】
好ましくは、機器の接続状態は、機器がインターフェイスに接続されているか否かを含む。
【0014】
好ましくは、制御手段は、予め定められた時間ごとに、機器の接続状態を検出する。
好ましくは、制御手段は、インターフェイスに接続されている機器に対するアクセスを検知すると、接続状態を検出する。
【0015】
好ましくは、命令は、情報通信装置の識別データを含む。通信端末から送られた命令に含まれる識別データと、記憶手段に格納されている識別データとが同じである場合に、制御手段は、命令に基づいて接続状態を切り換える。
【0016】
好ましくは、通知情報は、インターフェイスに機器が物理的に接続されたことを示す情報を含む。命令は、物理的に接続された機器に対するアクセスの可否を示す制御情報を含む。制御情報がアクセスの許可を示している場合に、制御手段は、機器とインターフェイスとを、電気的に又は論理的に接続する。
【0017】
好ましくは、通知情報は、インターフェイスに機器が電気的に又は論理的に接続されているとを示す情報を含む。命令は、機器の取り外しの可否を示す制御情報を含む。制御情報が取り外しの許可を示している場合に、制御手段は、機器とインターフェイスとを、電気的に又は論理的に遮断する。
【0018】
好ましくは、情報通信装置は、インターフェイスに論理的又は電気的に接続されていた機器が物理的に取り外されたことを検知する検知手段をさらに備える。制御手段は、検知手段によって検知された機器が再びインターフェイスに物理的に接続されたことを検知すると、機器とイーターフェイスとの間の論理的又は電気的な接続を禁止する。
【0019】
好ましくは、通信端末と情報通信装置との通信は、無線または有線のいずれかによる通信を含む。
【0020】
他の局面に従うと、情報通信装置が提供される。この情報通信装置は、情報通信装置を識別する識別データを格納する記憶手段と、インターフェイスと、情報通信装置の動作を制御する制御手段とを備える。制御手段は、インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出する。情報通信装置は、機器の接続状態を示す通知情報と、識別データとを、通信端末に送信する送信手段と、通知情報および識別データに基づいて通信端末によって選択された機器の接続状態を切り換える命令の入力を受け付ける入力手段とを備える。制御手段は、命令に基づいて、選択された機器とインターフェイスとの接続状態を制御する。
【0021】
好ましくは、送信手段は、無線または有線のいずれかにより信号を送信する。
さらに他の局面に従うと、通信端末が提供される。この通信端末は、表示装置と、情報通信装置によって送られた識別データおよび通知情報を受信する受信手段と、通知情報および識別データの受信に基づいて、インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を表示装置に表示させる表示制御手段と、通信端末に対する操作入力を受け付ける操作手段と、入力された指示に基づいて、接続状態を制御する命令を送出する送出手段とを備える。
【0022】
好ましくは、表示制御手段は、予め定められた時間ごとに、画面を表示装置に表示させる。
【0023】
好ましくは、表示制御手段は、インターフェイスに接続されている機器に対するアクセスに応答して画面を表示装置に表示させる。
【0024】
好ましくは、通知情報は、インターフェイスに機器が物理的に接続されたことを示す情報を含む。送出手段は、物理的に接続された機器に対するアクセスの可否を示す制御情報を含む命令を送出する。
【0025】
さらに他の局面に従うと、情報通信装置および通信端末を備える情報通信システムの制御方法が提供される。この方法は、情報通信装置が、情報通信装置を識別する識別データをロードするステップと、情報通信装置が、インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出するステップと、情報通信装置が、機器の接続状態を示す通知情報と、識別データとを、通信端末に送信するステップと、通信端末が、識別データおよび通知情報を受信するステップと、通信端末が、通知情報および識別データの受信に基づいて、インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を表示するステップと、通信端末が、入力された指示に基づいて、機器の接続状態を切り換える命令を送出するステップと、情報通信装置が、通信端末によって送出された命令の入力を受け付けるステップと、情報通信装置が、命令に基づいて、機器とインターフェイスとの接続状態を制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、情報通信システムを構成する情報通信装置の情報のセキュリティを高めることができる。また、情報システムの運用が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0028】
また、異なる実施の形態が説明される場合には、その実施の形態に係る構成の説明は、当該実施の形態に固有な構成を除き、繰り返さない。
【0029】
[システム構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る通信システムの構成について説明する。図1は、情報通信システム10の構成を表わす図である。情報通信システム10は、情報通信装置100と、携帯電話機500とを備える。情報通信装置100は、USB(Universal Serial Bus)ポート110,112,114,116と、USB監視部120と、判断部122と、内部状態送信部124と、赤外線ポート130と、通信IF(Interface)131と、メール解析部132と、USB制御部134とを含む。通信IF131は、無線LANインターフェイス、有線LANインターフェイス、Bluetooth(登録商標)、その他の通信装置を含む。したがって、情報通信装置100と携帯電話機500との通信の態様は、特に限定されない。
【0030】
情報通信装置100と携帯電話機500との通信は、赤外線ポート130または通信IFを介して行なわれる。いずれのインターフェイスが通信に使用されるかについては、情報通信システム10の使用者、管理者などによる設定によって決定される。あるいは、他の局面において、常にいずれのインターフェイスが通信可能な待機状態とする構成が用いられてもよい。
【0031】
USBポート110には、MFP(Multi-Function Peripheral)150が接続されている。USBポート112には、USBメモリ152が接続されている。USBポート114には、ハードディスク154が接続されている。USBポート116には、USBメモリ156が接続されている。
【0032】
USB監視部120は、USBポート110,112,114,116における機器の物理的なおよび論理的な接続状態を監視する。判断部122は、USB監視部120による監視の結果に基づいて、各USBポートにおける接続状態の変化の有無を検知する。内部状態送信部124は、判断部122による判断の結果に基づいて各USBポートにおける接続状態を示す信号を生成し、その生成した信号を情報通信装置100の外部に送信する。送信の態様は、たとえば、メール、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信その他の無線通信を含み得る。
【0033】
送信された信号は、携帯電話機500によって受信される。携帯電話機500は、その情報を解析し、解析結果に基づいて情報通信装置100における各USBポートの接続状態を表示する。携帯電話機500のユーザが、USBポートにおける接続状態の切り換えの指示を入力すると、携帯電話機500は、その指示に基づくメッセージを生成し、そのメッセージを送出する。送出の態様は、前述のように、電子メール、Bluetooth(登録商標)、赤外線その他の無線通信を含み得る。携帯電話機500によって送出されたメッセージは、たとえば情報通信装置100の赤外線ポート130によって受信される。
【0034】
情報通信装置100において、メール解析部132は、赤外線ポート130によって受信されたメッセージを解析する。メール解析部132は、その解析の結果、情報通信装置100が備える各USBポートについての接続状態を規定する命令を抽出する。抽出された命令は、USB制御部134に送出される。USB制御部134は、その命令に応じて、特定のUSBポートにおける論理的な接続を制御する。たとえば、当初、USBメモリ152がUSBポート112に論理的に接続されていた場合であっても、USB制御部134は、携帯電話機500から送られた命令に基づいてUSBポート112における当該論理的な接続を切り離すことができる。
【0035】
なお、本実施の形態において、情報通信装置100のインターフェイスの一例として、USB I/Fが説明されるが、インターフェイスは、USB I/Fに限られない。少なくとも、情報通信装置100が、USB I/Fの電気的な又は論理的な接続と遮断との切り換えが制御可能なインターフェイス装置であればよい。また、他の実施の局面において、USBポート以外にも、たとえば、モジュラージャック、LAN(Local Area Network)ポート等も、論理的又は電気的な接続制御の対象となり得る。
【0036】
[機能構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る情報通信システム10を実現する機能の構成について説明する。図2は、情報通信装置100と携帯電話機500とによって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【0037】
情報通信装置100は、記憶部210と、状態検出部212と、生成部214と、送信部216と、入力部218と、接続状態制御部220と、USBポート222,224,226とを備える。
【0038】
記憶部210は、情報通信装置100を識別するための識別データを格納している。
状態検出部212は、USBポート222,224,226における機器の接続状態を検出する。状態検出部212の出力は、生成部214に入力される。
【0039】
生成部214は、記憶部210に格納されているデータと状態検出部212によって出力されるデータとに基づいて作動する。詳しくは、生成部214は、情報通信装置100の識別データとUSB222,224,226における各接続(物理的接続、論理的接続を含み得る)の状態を示すデータとを用いて、情報通信装置100における接続状態を通知するためのメッセージを生成する。
【0040】
送信部216は、生成部214によって生成されたメッセージを情報通信装置100の外部に送信する。たとえば、送信部216は、メッセージを電子メールとして予め登録されたアドレスに向けて送信する。この場合、予め登録されたアドレスは、記憶部210に格納されている。他の局面において、送信部216は、当該メッセージをBluetooth(登録商標)を用いて、あるいは赤外線信号を用いて、無線信号により送信することもできる。
【0041】
図2を再び参照して、携帯電話機500は、記憶部250と、受信部252と、解析部254と、報知部256と、表示制御部257と、表示部258と、操作部260と、生成部262と、送出部264とを備える。
【0042】
受信部252は、情報通信装置100によって送信されたメッセージを受信する。ある局面において、受信部252は、情報通信装置100によって送られた電子メールを受信する。他の局面において、受信部252は、赤外線、Bluetooth(登録商標)通信信号その他の無線信号を受信する。
【0043】
解析部254は、受信部252からの出力に基づいて作動する。詳しくは、解析部254は、受信部252によって受信されたメッセージを解析し、情報通信装置100における各USBポートの機器の接続状態を検出する。また、解析部254は、その解析の結果に基づいて報知部256にメッセージの受信を報知する。報知部256は、ある局面において、音声出力、メッセージの表示、振動などによってメッセージの受信を報知する。
【0044】
記憶部250は、携帯電話機500の識別データと、携帯電話機500を作動させるためのプログラムと、受信部252によって受信されたデータとを格納している。
【0045】
表示制御部257は、解析部254による解析の結果と、記憶部250に格納されているデータとに基づいて、情報通信装置100におけるUSBポートの接続状態を示す画面を表示部258に表示させる。当該画面は、たとえば各USBポートについて論理的な接続状態を示す画面を含む。
【0046】
操作部260は、携帯電話機500に対する命令の入力を受け付ける。操作部260は、スイッチ、ボタン、タッチパネルなどにより実現される。
【0047】
生成部262は、操作部260からの出力と記憶部250からの出力とに基づいて作動する。詳しくは、生成部262は、表示部258に表示された内容に対して操作部260を用いて行なわれた入力に対応する命令を生成する。この命令は、たとえば携帯電話機500が受信したメッセージに対する返信として情報通信装置100のいずれかのUSBポートにおける論理的な接続状態を切り換えるための命令を含み得る。
【0048】
送出部264は、生成部262からの出力に基づいて作動する。送出部264は、生成部262によって生成された返信メッセージを、たとえば電子メールの態様で、受信部252が受信したメッセージの送信元に向けて、送出する。他の局面において、送出部264は、生成部262によって生成された返信メッセージを、Bluetooth(登録商標)通信、赤外線信号その他の無線信号としても送出し得る。
【0049】
情報通信装置100において、入力部218は、携帯電話機500の送出部264によって送出された返信メッセージの入力を受け付ける。入力部218は、たとえば通信インターフェイス、赤外線ポートその他の受光素子として実現される。
【0050】
接続状態制御部220は、記憶部210に格納されているデータと、入力部218からの出力とに基づいて作動する。接続状態制御部220は、入力部218によって取得された返信メッセージの内容を解析し、情報通信装置100の識別データの抽出を試みる。接続状態制御部220は、受信された返信メッセージから識別データを抽出した場合に、その抽出した識別データと、記憶部210に格納されている識別データとを比較する。これらの識別データが同一である場合、接続状態制御部220は、入力部218を介して入力された命令が正当な命令であると判定し、その命令に基づいてUSBポート222,224,226のいずれかの論理的な接続状態の切り換えを行なう。
【0051】
他の局面において、情報通信装置100が送出するメッセージは、USBポート222,224,226に機器270,272,274が電気的に又は論理的に接続されているとを示す情報を含んでもよい。携帯電話機500からの命令として送出される返信メッセージは、いずれかの機器の取り外しの可否を示す制御情報を含み得る。この制御情報が取り外しの許可を示している場合に、接続状態制御部220は、当該機器と当該USBポートとを、電気的に又は論理的に遮断する。
【0052】
他の局面において、接続状態制御部220は、いずれかのUSBポートに論理的又は電気的に接続されていた機器が物理的に取り外されたことを検知する構成を有していてもよい。接続状態制御部220は、その機器がいずれかのUSBポートに再び物理的に接続されたことを検知すると、その機器とUSBポートとの間の論理的又は電気的な接続を禁止する。
【0053】
機器270,272,274は、情報通信装置100のUSBポート222,224,226にそれぞれ接続されている。これらの機器は、図1に示される、MFP150、USBメモリ152,156、ハードディスク154に相当する。さらに他の局面において、これらの機器がその他の情報通信装置であってもよい。
【0054】
[ハードウェア構成]
図3を参照して、本実施の形態に係る情報通信装置100の具体的構成の一態様について説明する。図3は、情報通信装置100として機能するコンピュータシステム300のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピュータシステム300は、主たる構成要素として、プログラムまたは命令を実行するCPU(Central Processing Unit)310と、コンピュータシステム300に対する命令の入力を受け付けるキーボード320およびマウス330と、データまたはプログラムを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)340と、データまたはプログラムを一時的(揮発的)に格納するRAM(Random Access Memory)350と、ハードディスク360と、光ディスク駆動装置370と、モニタ380と、通信I/F(Interface)390と、USB I/F391,392,393とを備える。各構成要素は、データバス302に接続されている。光ディスク駆動装置370には、CD−ROM372その他の光ディスクが装着され得る。
【0055】
コンピュータシステム300における処理はハードウェアおよびCPU310により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク360に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROM372その他のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置370その他の読取装置によってその記録媒体から読み取られて、あるいは、通信I/F390を介してダウンロードされた後、ハードディスク360に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU310によってハードディスク360から読み出され、RAM350に実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU310は、そのプログラムを実行する。
【0056】
図3に示されるコンピュータシステム300を構成する各要素は、一般的なものである。したがって、本発明の最も本質的な部分は、ROM340、RAM350と、ハードディスク360、CD−ROM372その他のデータ記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、コンピュータシステム300のハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0057】
なお、記録媒体としては、CD−ROM372、ハードディスク360に限られず、FD(Flexible Disc)、フラッシュメモリ、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリなどの固定的にプログラムを格納できる媒体でもよい。
【0058】
また、ここでいうプログラムとは、CPU310により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラムなどを含み得る。
【0059】
[データ構造]
図4を参照して、本実施の形態に係るコンピュータシステム300のデータ構造について説明する。図4は、ハードディスク360におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。ハードディスク360は、識別データ410と、メールアドレス420と、ユーザID(Identification)430と、接続状態検出プログラム440と、USBインターフェイスドライバ450と、通信プログラム460と、オペレーティングシステム470とを格納している。
【0060】
識別データ410は、コンピュータシステム300に固有な名称であって、情報通信システム10における個々のエンティティとしてコンピュータシステム300を識別する。
【0061】
メールアドレス420は、情報通信システム10においてUSBの接続状態の通知先として予め登録されている。たとえば、携帯電話機500のメールアドレスが登録される。ユーザID430は、コンピュータシステム300のUSBポートの接続状態を制御する管理者として予め登録されたユーザを識別する。たとえば、携帯電話機500のユーザがユーザID430を有する。
【0062】
接続状態検出プログラム440は、CPU310によって実行されて、USB I/F391,392,393の各々における機器の物理的または論理的な接続状態を検出する。たとえば、接続状態検出プログラム440は、各ポートにおける電圧値または電流値の変化に基づいて、あるいは各USB I/Fを流れるデータの内容に応じて接続状態を検出する。
【0063】
USBインターフェイスドライブ450は、CPU310によって実行されて、各USB I/F391,392,393に接続されている機器との通信を可能にする。
【0064】
通信プログラム460は、コンピュータシステム300と他の通信端末(たとえば携帯電話機500)との通信を実現にする。通信プログラム460は、電子メールの送受信を行なうためのプログラム、赤外線通信を行なうためのプログラム、Bluetooth(登録商標)通信を行なうためのプログラムなどであり得る。
【0065】
オペレーティングシステム470は、コンピュータシステム300の基本的な動作(たとえばデータの入出力など)を可能にする。
【0066】
[通信端末のハードウェア構成]
図5を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機500の構成について説明する。図5は、携帯電話機500のハードウェア構成を表わすブロック図である。携帯電話機500は、アンテナ508と、通信装置502と、操作ボタン520と、カメラ540と、フラッシュメモリ544と、RAM546と、ROM548と、メモリカード駆動装置580と、CPU510と、音声信号処理回路570と、マイク572と、スピーカ574と、ディスプレイ550と、LED(Light Emitting Diode)576と、データ通信I/F578と、バイブレータ584とを備える。メモリカード駆動装置580には、メモリカード582が装着可能である。
【0067】
アンテナ508によって受信された信号は、通信装置502によってCPU510に転送される。CPU510は、その信号を音声信号処理回路570に伝送する。音声信号処理回路570は、その信号に対して予め設定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ574に出力する。スピーカ574は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0068】
マイク572は、携帯電話機500に対する発話を受け付けてその発話に応じた信号を出力する。音声信号処理回路570は、その信号に基づいて、通話のために予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をCPU510に送出する。CPU510は、その信号を送信用の信号に変換し、変換後の信号を通信装置502に伝送する。通信装置502がアンテナ508を介してその信号を発信すると、携帯電話機500のユーザは、他の相手と通信することができる。
【0069】
カメラ540は、操作ボタン520に対する操作に基づいて被写体を撮影し、その撮影によって取得された信号をCPU510に送出する。
【0070】
フラッシュメモリ544は、CPU510から送られるデータを格納する。また、CPU510は、フラッシュメモリ544に格納されているデータを読み出し、その読み出したデータを用いて予め規定された処理を実行することができる。
【0071】
RAM546は、操作ボタン520に対して行なわれた操作に基づいて、CPU510によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM548は、携帯電話機500に動作を実行させるためのデータまたはプログラムを格納している。当該動作は、予め規定された動作と、携帯電話機500に対して与えられた命令に応じた動作とを含む。CPU510は、ROM548から当該データまたはプログラムを読み出し、携帯電話機500にこれらの動作を実行させる。
【0072】
メモリカード駆動装置580は、メモリカード582の装着を受け付ける。メモリカード駆動装置内580は、メモリカード582に格納されているデータまたはプログラムを読み出し、CPU510に送出する。逆に、メモリカード駆動装置580は、CPU510によって出力されるデータをRAM546からメモリカード582の記憶領域に格納する。
【0073】
音声信号処理回路570は、前述のように、通話に用いられる信号に対する処理を実行する。なお、他の局面において、CPU510と、音声信号処理回路570とが一体として構成されていてもよい。
【0074】
ディスプレイ550は、CPU510から出力されるデータに基づいて画像を表示する。たとえば、CPU510は、コンピュータシステム300によって送信された電子メールの内容をディスプレイ550に表示させる。ディスプレイ550は、コンピュータシステム300のUSB I/F391,392,393における機器の接続状況を表示することができる。
【0075】
データ通信I/F578は、ある局面において、通信用のケーブルの装着を受け付ける。他の局面において、データ通信I/F578は、赤外線通信するためのインターフェイスとして、あるいはBluetooth(登録商標)通信を行なうためのインターフェイスとして実現され得る。データ通信I/F578は、CPU510から送られるデータを携帯電話機500の外部に送出するとともに、携帯電話機500の外部から受信した信号をCPU510に送出する。
【0076】
LED576は、CPU510からの信号に基づいて予め定められた色の発光動作を実現する。他の局面において、LED576が複数の色を表示可能な場合には、LED576は、CPU510から出力される信号に含まれるデータに基づいて、そのデータによって規定される色で発光する。
【0077】
バイブレータ584は、CPU510から出力される信号に基づいて予め定められた周期で振動動作を実行する。本実施の形態において、スピーカ574、ディスプレイ550、LED576、およびバイブレータ584は、コンピュータシステム300におけるUSB接続の状態を報知することができる。
【0078】
なお、携帯電話機500の基本的な動作は、当業者が容易に理解できるものである。したがって、それらの詳細な説明は繰り返さない。
【0079】
[データ構造]
図6を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機500のデータ構造について説明する。図6は、フラッシュメモリ544におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。フラッシュメモリ544は、識別データ610と、メールアドレス620と、ユーザID630と、表示制御プログラム640と、通信プログラム650と、オペレーティングシステム660とを格納している。
【0080】
識別データ610は、携帯電話機500を識別する。メールアドレス620は、情報通信装置100として機能するコンピュータシステム300と電子メールの送受信が可能なように予め割り当てられたメールアドレスである。ユーザID630は、携帯電話機500のユーザとして、コンピュータシステム300のUSB接続を制御するユーザとして予め登録されたユーザを特定する。ある局面において、ユーザID630と、コンピュータシステム300が有するユーザID430とは同一である。
【0081】
表示制御プログラム640は、携帯電話機500が受信したデータに基づいてコンピュータシステム300におけるUSB接続の状態をディスプレイ550に表示させる。通信プログラム650は、CPU510によって実行されて、携帯電話機500とコンピュータシステム300との通信を実現する。ある局面において、通信プログラム650は、電子メールの送受信を可能にする。他の局面において、通信プログラム650は、データ通信I/F578を用いた赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、無線通信などを可能にする。
【0082】
オペレーティングシステム660は、携帯電話機500の基本的な動作(たとえばデータの入出力動作、通常の状態と待ち受け状態との切り換えなど)を規定する。
【0083】
[制御構造]
図7を参照して、本実施の形態に係るコンピュータシステム300の制御構造について説明する。図7は、CPU310が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0084】
ステップS710にて、CPU310は、USB I/F391,392,393の各々における機器の接続状態の変化の有無を検出する。
【0085】
ステップS720にて、CPU310は、ハードディスク360に格納されている識別データ410を読み出す。
【0086】
ステップS730にて、CPU310は、各USB I/Fにおける機器の接続状態を示す通知情報と、識別データ410とを含む信号を、予め登録されたメールアドレス420に送信する。ここで通知情報は、たとえば、USB I/F391,392,393の各々について接続されている機器の識別データ、接続状態(接続がONであるかOFFであるか)を含む。
【0087】
コンピュータシステム300に送られたメールを受信した携帯電話機は、その内容を解析し、解析結果をディスプレイ550に表示する。携帯電話機500のユーザがディスプレイ550を参照して、操作ボタン520を用いてUSB I/Fの切り換えを指示する命令を入力する。その後、携帯電話機500は、その命令を含むメールを返信メッセージとしてコンピュータシステム300に向けて送信する。
【0088】
ステップS740にて、CPU310は、そのアドレス420から、識別データ610と、USB−I/Fに接続されている機器の接続状態を切り換える命令を含む返信メッセージを受信する。
【0089】
ステップS750にて、CPU310は、ハードディスク360から読み出した識別データ410と、受信したメッセージに含まれる識別データ610とが同一であるか否かを判定する。CPU310は、これらの識別データが同一であると判定すると(ステップS750にてYES)、制御をステップS760に切り換える。そうでない場合には(ステップS750にてNO)、CPU310は、制御をステップS770に切り換える。
【0090】
ステップS760にて、CPU310は、ステップS740において受信したメッセージに含まれる命令に基づいて、特定のUSB I/Fに接続されている機器の接続状態を切り換える。たとえば、あるUSBメモリがUSB I/Fに論理的に接続されている場合においてその接続を遮断する命令が与えられると、CPU310は、論理的接続を遮断する。
【0091】
ステップS770にて、CPU310は、命令によって規定される機器の接続状態の切り換えができないことを検知し、その旨を通知するメッセージを生成し、メールアドレス420に向けて送信する。このようなメールを受信した携帯電話機500のユーザは、コンピュータシステム300においてUSB接続の切り換えはできないことを知ることができる。
【0092】
[メッセージ構成]
図8を参照して、本実施の形態に係るコンピュータシステム300と携帯電話機500との通信について説明する。図8は、コンピュータシステム300が携帯電話機500に送るメッセージ800の構成を概念的に表わす図である。
【0093】
メッセージ800は、ヘッダ部810と、データ領域820,830,840,850,860と、FCS(Frame Check Sequence)870とを含む。ヘッダ部810は、たとえば、メッセージ800の送信元アドレス(hgw@co.jp)と、宛先アドレス(abc_terminal@co.jp)と、件名(「USBポート接続状況」)とを含む。データ項目820は、第1のUSBポートが「ON」であることを示す。データ項目830は、第2のUSBポートの接続状況が「ON」であることを示す。データ項目840は、第3のUSBポートの接続状況が「OFF」であることを示す。データ項目850は、第4のUSBポートの接続状況が「ON」であることを示す。データ項目860は、メッセージ800の送信者であるコンピュータシステム300の識別データ「123456789HDW」を含む。FCS870は、メッセージ800の誤りを訂正するための符号を含む。
【0094】
[制御構造]
図9を参照して、携帯電話機500の制御構造について説明する。図9は、携帯電話機500のCPU510が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。以下の動作は、たとえば、携帯電話機500が待ち受け状態である時に実行可能である。
【0095】
ステップS910にて、CPU510は、通信装置502から送られる信号に基づいて、識別データ410と通知情報とを含むメッセージ800を受信したことを検知する。
【0096】
ステップS920にて、CPU510は、識別データ410と通知情報とを受信したことを報知する。たとえば、CPU510は、これらのデータを受信したことを示すメッセージをディスプレイ550に表示する。あるいは、CPU510は、これらの受信を報知するために予め規定されたパターンでバイブレータ580を振動させる。
【0097】
ステップS930にて、CPU510は、接続状態を制御するための指示入力を促す画面をディスプレイ550に表示する。携帯電話機500のユーザは、その画面を見ながら、コンピュータシステム300の各USBポートの各々について接続状態の切り換えを命令するための入力を行なうことができる。たとえば、ユーザは、既に論理的接続が行なわれているポートに対する命令として、その接続を遮断する命令を入力することができる。
【0098】
ステップS940にて、CPU510は、操作ボタン520に対して行なわれた入力に基づいて、コンピュータシステム300における接続状態を制御する命令を生成する。
【0099】
ステップS950にて、CPU510は、その生成した命令をメッセージとして通信装置502を用いてコンピュータシステム300に向けて送出する。
【0100】
[メッセージ構成]
そこで、図10を参照して、携帯電話機500がコンピュータシステム300に向けて送信するメッセージ1000について説明する。図10は、メッセージ1000の構成を概念的に表わす図である。
【0101】
メッセージ1000は、ヘッダ部1010と、データ項目1020,1030,1040,1050,1060,1070と、FCS1080とを含む。ヘッダ部1010は、メッセージ1000の宛先アドレス(abc_terminal@co.jp)と、送信元アドレス(hgw@co.jp)と、件名(「Re:USBポート接続状況」)とを含む。データ項目1020,1030,1040,1050,1060は、メッセージ800におけるデータ項目820,830,840,850,860にそれぞれ対応する。
【0102】
データ項目1070は、携帯電話機500のユーザが入力したデータを含む。たとえば、携帯電話機500のユーザが第1のUSBポートの接続状況を「ON」から「OFF」に切り換えるための入力を行なうと、データ項目1070は、第1のUSBポートをOFFすることを示す命令を含むことになる。
【0103】
データ項目1070の内容は、コンピュータシステム300によって解析される。CPU310は、その解析結果を、USBインターフェイスの接続状態の切り換えに使用する。
【0104】
[表示態様]
図11を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機500における画面の表示態様について説明する。図11は、ディスプレイ550による画面の表示を表わす図である。
【0105】
図11(A)を参照して、ディスプレイ550は、コンピュータシステム300からメールを受信したことを示す画面を表示する。この画面の表示は、たとえば、携帯電話機500がメッセージ800(図8)を受信したことに応答して実現される。携帯電話機500のユーザがアイコン1110を選択して確定のための入力を行なうと、ディスプレイ550は、メッセージ800に基づいてコンピュータシステム300におけるUSBポートの接続状況の詳細を表示する(図11(B))。具体的には、ディスプレイ550は、メッセージ800の件名「USBポート接続状況」と、メッセージ800の送信元アドレス(hgw@co.jp)と、携帯電話機500のアドレスである宛先アドレス(abc_terminal@co.jp)と、本文とを表示する。本文は、コンピュータシステム300における各USBポートに対する機器の接続状況(ONかOFF)と、コンピュータシステム300の識別データとを含む。
【0106】
携帯電話機500のユーザがアイコン1120を押下してメッセージ800に対する返信メッセージの作成の命令を与えると、ディスプレイ550は画面を切り換える(図11(C))。ディスプレイ550は、メッセージ800に対する返信であることを示す件名「RE USBポート接続状況」と、宛先アドレス(hgw@co.jp)と、送信元アドレス(abc_terminal@co.jp)と、本文とを表示する。
【0107】
本文は、携帯電話機500のユーザが操作ボタン520を用いて文字または数字/記号を入力することができる。図11(C)に示される例では、第1のUSBポートがOFFに切り換えられることを示す。また、メッセージの確認のためにコンピュータシステム300の識別データ(123456789HGW)が入力される。
【0108】
携帯電話機500のユーザがアイコン1110を押下して入力を確定すると、入力されたメッセージは携帯電話機500からコンピュータシステム300に対する命令として電子メールとして送られる(メッセージ1000)。
【0109】
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る情報通信システム10によると、情報通信装置100は、USBポートの接続状況を示す通知情報と、情報通信装置100の識別データとを含むメッセージを生成する。メッセージの生成は、USBポートの接続状態が変化されたとき、一定時間ごとに、あるいは、USBポートに接続されている機器へのアクセスが行なわれようとしたとき等を含む。情報通信装置100は、そのメッセージを、登録された通信端末(たとえば携帯電話機500)に送信する。
【0110】
携帯電話機500は、そのメッセージを受信すると、その受信を報知する。その報知に気付いた携帯電話機500のユーザは、そのメッセージを参照すると、情報通信装置100への返信メッセージを生成することができる。返信メッセージは、情報通信装置100の各USBポートの接続状態を制御するための命令と、情報通信装置100の識別データとを含む。携帯電話機500は、ユーザの操作に応答して、情報通信装置100に返信メッセージを送信する。
【0111】
情報通信装置100は、携帯電話機500から返信メッセージを受信すると、その受信した返信メッセージを解析し、返信メッセージに含まれる各データを抽出する。抽出された識別データと、情報通信装置100に登録されていた識別データとが一致する場合には、情報通信装置100は、返信メッセージの送信者(携帯電話機500)が正当な送信者であると判定し、返信メッセージに含まれる命令を実行し得る。
【0112】
たとえば、新たなUSBメモリが情報通信装置100に物理的に接続された場合を考える。情報通信装置100は、その接続を検知すると、携帯電話機500にUSBポートの接続状態(たとえば、物理的な接続状態)を通知する。このUSBメモリがデータの不正な入手を試みるために使用されていた場合、携帯電話機500のユーザは、USBメモリの予想外の物理的接続が行なわれたことを認識することができる。この場合、ユーザは、携帯電話機500を用いて、当該USBメモリが接続されているUSB I/Fにおける論理的接続または電気接続を遮断する命令を入力し得る。ユーザが、送信操作を行なうと、携帯電話機500は命令と情報通信装置100の識別データとを含む返信メッセージを、情報通信装置100に向けて送出する。
【0113】
情報通信装置100は、返信メッセージを受信すると、その返信メッセージから、識別データと、ユーザによって入力された遮断する命令とを抽出する。抽出された識別データと、情報通信装置100に登録されていたメッセージとが一致する場合、情報通信装置100は、当該命令によって指定されたUSBポートの論理的接続を遮断する。これにより、情報通信装置100に格納されているデータ又はプログラムが、不正なアクセスによって外部に流出することが防止され得る。これにより、許可されたユーザのみが情報通信装置100に格納された情報を持ち出せるように、情報通信装置100のセキュリティを高めることができる。
【0114】
本実施の形態に係る情報通信システム10によると、USB I/Fの接続の切り換えを制御するためのパスワードが不要である。このため、パスワードの失念時に制御できなくなるといった問題の発生も防止され得る。
【0115】
本実施の形態に係る情報通信システム10によると、携帯電話機500のユーザは、情報通信装置100の外部から、接続の切り換えを制御するための固有のコマンドを使用する必要がない。したがって、情報通信装置100および携帯電話機500に当該コマンドを予め登録する必要がない。したがって、情報通信システム10の運用が容易になる。
【0116】
また、たとえば、ホームネットワークが構築された家庭では、情報通信装置100に相当するゲートウェイコンピュータまで出向くことなく、インターフェイスの接続を制御することができる。そのため、接続制御に関し、ホームネットワークの利便性の低下が防止される。
【0117】
また、たとえば、情報通信装置100にコピー装置その他のMFP150が接続されている場合には、インターフェイスの接続を制御することにより、許可された使用以外の使用を防止することもできる。
【0118】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。本変形例に係る情報通信システムは、通信端末から情報通信装置に対するメッセージの構成が異なる点で、前述の情報通信システム10と異なる。本変形例に係る情報通信装置および通信端末は、具体的には、前述のコンピュータシステム300と携帯電話機500とによって実現される。コンピュータシステム300と携帯電話機500の構成および機能は、別個に述べる場合を除いて同じである。したがって、構成および機能についての同様の説明は、繰り返さない。
【0119】
[メッセージの構成]
図12を参照して、本変形例に係る情報通信システムにおける通信について説明する。図12は、本変形例に係る携帯電話機500から本変形例に係るコンピュータシステム300に送られるメッセージ1200の構成の概略を表わす図である。
【0120】
メッセージ1200は、ヘッダ部1210と、データ項目1220,1230と、FCS1240とを含む。図10に示されるメッセージ1000と本変形例に係るメッセージ1200との相違は、コンピュータシステム300におけるUSBポートの接続状況を回答メッセージに含まない点である(図10におけるデータ項目1020,1030,1040,1050参照)。メッセージ1200は、このような簡略な構成を有するため、携帯電話機500から情報通信装置(コンピュータシステム300)に対する送信の負荷を軽減することができる。
【0121】
本変形例に係る情報通信システムによると、返信メッセージのサイズが小さくなるため、通信の負荷を軽減することができる。
【0122】
[Vmessageフォーマットの一例]
図13および図14を参照して、本実施の形態に係るVmessageフォーマットの一態様について説明する。図13は、コンピュータシステム300と携帯電話機500とがメッセージを赤外線通信する場合におけるメッセージの構成を表わす図である。図14は、携帯電話機500からコンピュータシステム300に送られるメッセージ1400の構成を表わす図である。
【0123】
図13を参照して、メッセージ1300は、Vmessageフォーマットについて予め規定された項目を含む。さらに、メッセージ1300は、メールの差出人であるコンピュータシステム300のアドレス1310(hgw@co.jp)と、メール宛先1320(abc_terminal@co.jp)と、USBポートにおける接続状況を表わすデータ項目1330と、コンピュータシステム300の識別データ1340(123456789HGW)とを含む。
【0124】
図14を参照して、メッセージ1400は、図13に示されるデータ項目に加えて、携帯電話機500のユーザによって入力されたデータ項目1440をさらに含む。データ項目1440は、コンピュータシステム300におけるUSBポートの接続状況の切り換えの命令を示す。具体的には、第1のUSBポートの接続状況が「ON」から「OFF」に切り換えられるべきものであることを示す。メッセージ1400が携帯電話機500からコンピュータシステム300に送られると、コンピュータシステム300のCPU310は、メッセージ1400を解析し、データ項目1440を抽出する。CPU310は、データ項目1440に基づいて第1のUSBポートの論理的接続を「ON」から「OFF」に切り換える。
【0125】
なお、本実施の形態に係る情報通信システムが使用するメッセージのフォーマットは、Vmessageフォーマットに限られない。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】実施の形態に係る通信システム10の構成を表わす図である。
【図2】情報通信システム10が備える情報通信装置100と携帯電話機500とによって実現される機能の構成を表わすブロック図である。
【図3】実施の形態に係る情報通信装置100として機能するコンピュータシステム300のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図4】コンピュータシステム300のハードディスク360におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】実施の形態に係る携帯電話機500のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図6】携帯電話機500のフラッシュメモリ544におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図7】コンピュータシステム300のCPU310が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図8】コンピュータシステム300が携帯電話機500に送るメッセージ800の構成を概念的に表わす図である。
【図9】携帯電話機500のCPU510が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図10】携帯電話機500がコンピュータシステム300に向けて送信するメッセージ1000の構成を概念的に表わす図である。
【図11】携帯電話機500のディスプレイ550に表示される画面を表わす図である。
【図12】実施の形態の変形例に係る情報通信システムを構成する携帯電話機500からコンピュータシステム300に送られるメッセージ1200の構成の概略を表わす図である。
【図13】コンピュータシステム300と携帯電話機500とがメッセージを赤外線通信する場合におけるメッセージの構成を表わす図である。
【図14】携帯電話機500からコンピュータシステム300に送られるメッセージ1400の構成を表わす図である。
【符号の説明】
【0128】
10 通信システム、100 情報通信装置、110,112,114,116 USBポート、120 USB監視部、122 判断部、124 内部状態送信部、130 赤外線ポート、150 MFP、152,156 USBメモリ、174 USB接続ハードディスク、210 記憶部、212 状態検出部、214 生成部、216 送信部、218 入力部、220 接続状態制御部、222,224,226 USBポート、250 記憶部、252 受信部、256 報知部、257 表示制御部、258 表示部、260 操作部、262 生成部、264 送出部、270,272,274 機器、300 コンピュータシステム、302 データバス、310 CPU、320 キーボード、330 マウス、340 ROM、350 RAM、360 ハードディスク、370 光ディスク駆動装置、372 CD−ROM、380 モニタ、390 通信I/F、391,392,393 USB I/F、500 携帯電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信システムであって、
通信端末と、
情報通信装置とを備え、
前記情報通信装置は、
前記情報通信装置を識別する識別データを格納する記憶手段と、
インターフェイスと、
前記情報通信装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出するように構成されており、
前記機器の接続状態を示す通知情報と、前記識別データとを送信する送信手段をさらに備え、
前記通信端末は、
表示装置と、
前記識別データおよび前記通知情報を受信する受信手段と、
前記通知情報および前記識別データの受信に基づいて、前記インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、
前記通信端末に対する操作入力を受け付ける操作手段と、
入力された指示に基づいて、前記接続状態を制御する命令を送出する送出手段とを備え、
前記情報通信装置は、
前記通信端末によって送出された命令の入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記命令に基づいて、前記機器と前記インターフェイスとの接続状態を制御する、情報通信システム。
【請求項2】
前記機器の接続状態は、前記機器が前記インターフェイスに接続されているか否かを含む、請求項1に記載の情報通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、予め定められた時間ごとに、前記機器の接続状態を検出する、請求項1または請求項2に記載の情報通信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記インターフェイスに接続されている機器に対するアクセスを検知すると、前記接続状態を検出する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項5】
前記命令は、前記情報通信装置の識別データを含み、
前記通信端末から送られた命令に含まれる識別データと、前記記憶手段に格納されている識別データとが同じである場合に、前記制御手段は、前記命令に基づいて前記接続状態を切り換える、請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項6】
前記通知情報は、前記インターフェイスに機器が物理的に接続されたことを示す情報を含み、
前記命令は、前記物理的に接続された機器に対するアクセスの可否を示す制御情報を含み、
前記制御情報が前記アクセスの許可を示している場合に、前記制御手段は、前記機器と前記インターフェイスとを、電気的に又は論理的に接続する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項7】
前記通知情報は、前記インターフェイスに機器が電気的に又は論理的に接続されているとを示す情報を含み、
前記命令は、前記機器の取り外しの可否を示す制御情報を含み、
前記制御情報が前記取り外しの許可を示している場合に、前記制御手段は、前記機器と前記インターフェイスとを、電気的に又は論理的に遮断する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項8】
前記情報通信装置は、前記インターフェイスに論理的又は電気的に接続されていた機器が物理的に取り外されたことを検知する検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された機器が再び前記インターフェイスに物理的に接続されたことを検知すると、前記機器と前記イーターフェイスとの間の論理的又は電気的な接続を禁止する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項9】
前記通信端末と前記情報通信装置との通信は、無線または有線のいずれかによる通信を含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の情報通信システム。
【請求項10】
情報通信装置であって、
前記情報通信装置を識別する識別データを格納する記憶手段と、
インターフェイスと、
前記情報通信装置の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出し、
前記機器の接続状態を示す通知情報と、前記識別データとを、通信端末に送信する送信手段と、
前記通知情報および前記識別データに基づいて前記通信端末によって選択された機器の接続状態を切り換える命令の入力を受け付ける入力手段とを備え、
前記制御手段は、前記命令に基づいて、前記選択された機器と前記インターフェイスとの接続状態を制御する、情報通信装置。
【請求項11】
前記機器の接続状態は、前記機器が前記インターフェイスに接続されているか否かを含む、請求項10に記載の情報通信装置。
【請求項12】
前記制御手段は、予め定められた時間ごとに、前記機器の接続状態を検出する、請求項10または請求項11に記載の情報通信装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記インターフェイスに接続されている機器に対するアクセスを検知すると、前記接続状態を検出する、請求項10から請求項12のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項14】
前記命令は、前記情報通信装置の識別データを含み、
前記通信端末から送られた命令に含まれる識別データと、前記記憶手段に格納されている識別データとが同じである場合に、前記制御手段は、前記命令に基づいて前記接続状態を切り換える、請求項10から請求項13のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項15】
前記通知情報は、前記インターフェイスに機器が物理的に接続されたことを示す情報を含み、
前記命令は、前記物理的に接続された機器に対するアクセスの可否を示す制御情報を含み、
前記制御情報が前記アクセスの許可を示している場合に、前記制御手段は、前記機器と前記インターフェイスとを、電気的に又は論理的に接続する、請求項10から請求項14のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項16】
前記通知情報は、前記インターフェイスに機器が電気的に又は論理的に接続されているとを示す情報を含み、
前記命令は、前記機器の取り外しの可否を示す制御情報を含み、
前記制御情報が前記取り外しの許可を示している場合に、前記制御手段は、前記機器と前記インターフェイスとを、電気的に又は論理的に遮断する、請求項10から請求項15のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項17】
前記インターフェイスに論理的又は電気的に接続されていた機器が物理的に取り外されたことを検知する検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された機器が再び前記インターフェイスに物理的に接続されたことを検知すると、前記機器と前記イーターフェイスとの間の論理的又は電気的な接続を禁止する、請求項10から請求項16のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項18】
前記送信手段は、無線または有線のいずれかにより信号を送信する、請求項10から請求項17のいずれかに記載の情報通信装置。
【請求項19】
通信端末であって、
表示装置と、
情報通信装置によって送られた前記識別データおよび前記通知情報を受信する受信手段と、
前記通知情報および前記識別データの受信に基づいて、前記インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を前記表示装置に表示させる表示制御手段と、
前記通信端末に対する操作入力を受け付ける操作手段と、
入力された指示に基づいて、前記接続状態を制御する命令を送出する送出手段とを備える、通信端末。
【請求項20】
前記機器の接続状態は、前記機器が前記インターフェイスに接続されているか否かを含む、請求項19に記載の通信端末。
【請求項21】
前記表示制御手段は、予め定められた時間ごとに、前記画面を前記表示装置に表示させる、請求項19または請求項20に記載の通信端末。
【請求項22】
前記表示制御手段は、前記インターフェイスに接続されている機器に対するアクセスに応答して前記画面を前記表示装置に表示させる、請求項19から請求項21のいずれかに記載の通信端末。
【請求項23】
前記命令は、前記情報通信装置の識別データを含む、請求項19から請求項22のいずれかに記載の通信端末。
【請求項24】
前記通知情報は、前記インターフェイスに機器が物理的に接続されたことを示す情報を含み、
前記送出手段は、前記物理的に接続された機器に対するアクセスの可否を示す制御情報を含む命令を送出する、請求項19から請求項23のいずれかに記載の通信端末。
【請求項25】
情報通信装置および通信端末を備える情報通信システムの制御方法であって、
前記情報通信装置が、前記情報通信装置を識別する識別データをロードするステップと、
前記情報通信装置が、インターフェイスに接続されている機器の接続状態を検出するステップと、
前記情報通信装置が、前記機器の接続状態を示す通知情報と、前記識別データとを、前記通信端末に送信するステップと、
前記通信端末が、前記識別データおよび前記通知情報を受信するステップと、
前記通信端末が、前記通知情報および前記識別データの受信に基づいて、前記インターフェイスにおける機器の接続状態を制御するための指示の入力を促す画面を表示するステップと、
前記通信端末が、入力された指示に基づいて、機器の接続状態を切り換える命令を送出するステップと、
前記情報通信装置が、前記通信端末によって送出された命令の入力を受け付けるステップと、
前記情報通信装置が、前記命令に基づいて、前記機器と前記インターフェイスとの接続状態を制御するステップとを含む、情報通信システムの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−102580(P2010−102580A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274601(P2008−274601)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】