説明

感光性樹脂組成物、耐熱性樹脂パターンの製造方法および有機電界発光素子

【課題】溶液の保存安定性を損なうことなく、優れた塗布性を有し、耐薬品性を有する低温焼成可能なポジ型感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる末端基を有する特定式で表わされるポリイミド樹脂および(b)光酸発生剤を含むことを特定とする感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子およびフレキシブル有機EL素子の絶縁層、表示装置用TFT基板の平坦化膜、表示装置用カラーフィルター基板のオーバーコート膜などに適した、紫外線で露光した部分がアルカリ現像液に溶解するポジ型の感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層、表示装置用TFT基板やカラーフィルターの平坦化膜ならびにオーバーコート膜等の用途において、感光性耐熱性樹脂膜には、(1)断面形状が順テーパー形状であること、(2)230℃もしくはさらに低温での加熱焼成ができることが求められている。ネガ型感光性樹脂組成物は、230℃以下での加熱焼成により耐熱性は得られるが、断面形状は矩形又は逆テーパー形状となるため不適当であった。一方、ポリアミド酸にキノンジアジドを添加したポジ型感光性樹脂組成物は、230℃以下での加熱処理ではポリマーの環状構造化が十分に進行せず、熱処理後の膜に十分な耐熱性および耐溶剤性能が付与できないため実用化は困難であった。
【0003】
これに対し、樹脂自体がすでにイミド化しているアルカリ可溶性ポリイミドからなる感光性樹脂組成物は低温焼成が可能であり、半導体用途や表示素子用途に好適である。アルカリ可溶性ポリイミド樹脂としては、主鎖中のアミン成分にフェノール性水酸基やカルボキシル基などのアルカリ可溶性基を含有するものが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらのポリイミド樹脂はアルカリ溶解性に優れ、また透明性を得るために酸成分およびジアミン成分にフッ素原子含有芳香族基や脂肪族基を用いているため、有機溶剤に対する基本的な溶解性が非常に高く、得られるポリイミド樹脂膜の耐薬品性が十分に得られない問題があった。また水酸基を含有する酸成分を用いたアルカリ可溶性ポリアミドイミド樹脂が開示されているが(例えば、特許文献4参照)、耐熱性と透明性を得るためにアミド基を導入した反面、アミン成分に脂肪族を用いなければならずやはり耐薬品性は不十分であった。
【0004】
さらに、これら開示されているアルカリ可溶性ポリイミド樹脂およびアルカリ可溶性ポリアミドイミド樹脂は分子量が大きく、得られる樹脂自体の還元粘度ないし対数粘度が0.5dl/gと高かった。このような分子量の高い樹脂を用いて得られる感光性樹脂組成物の粘度は、ノボラック樹脂に代表される通常のフォトレジストに比較して高くなり、しばしば塗布工程に問題があった。通常、感光性樹脂組成物はスピンコーティング法やスリットコーティング法により基材に塗布されるが、近年の基材の大型化に伴い、高粘度の樹脂組成物を良好な膜厚均一性を付与して塗布することは困難になってきている。粘度の高い樹脂組成物を塗布する際の具体的な問題点としては、例えばスピンコーティング法においては、均一な塗布膜を得るために基板を高速で回転させなければならず、安全上問題があった。また、スリットコーティング法においては、粘度が高いとノズルからのスムーズな吐出が妨げられ、しばしば液切れを起こし、基板全面に塗布できない問題があった。対策として樹脂組成物の固形分濃度を低下させて低粘度化することが考えられるが、いずれの塗布方法においても濃度が低いために塗布膜が薄膜化し、目的の膜厚を得られなくなるといった問題は回避できなかった。
【特許文献1】特許第2935994号明細書
【特許文献2】特許第2906637号明細書
【特許文献3】特開2005−196130号公報
【特許文献4】特開2002−88154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、溶液の保存安定性を損なうことなく、優れた塗布性を有し、耐薬品性を有する低温焼成可能なポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、(a)一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂および(b)光酸発生剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは4〜14価の有機基、Rは2〜12価の有機基を示す。RおよびRは水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜20の有機基より選ばれる基を示し、同じでも異なっていてもよい。Rは2価の有機基を示す。XおよびYはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基を示す。nは3〜200の範囲を示す。m、rおよびsは0〜10の整数を示す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保存安定性および塗布性に優れ、低温焼成下で高い耐薬品性を有するポジ型の感光性ポリイミド樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂および(b)光酸発生剤を含有する。
【0011】
上記一般式(1)〜(4)のRは4〜14価の有機基であり、芳香族環を有することが好ましい。さらに炭素数4〜40の有機基であることが好ましい。Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜20の有機基より選ばれる基を示す。R−(Rは酸二無水物の構造成分を表している。また、Rは2〜12価の有機基であり、芳香族環を有することが好ましい。さらに炭素数4〜40の有機基であることが好ましい。Rは同じでも異なっていてもよく、水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜20の有機基より選ばれる基を示す。R−(Rはジアミンの構造成分を表している。R、Rの少なくとも一方が、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、エーテル基、チオエーテル基、SO基、シクロブタン残基より選ばれる基を少なくとも一つ有することが好ましい。RおよびRがともに1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、エーテル基、チオエーテル基、SO基、シクロブタン残基より選ばれる基を少なくとも一つ有することがより好ましい。
【0012】
酸二無水物としては具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、および下記に示したアミド基を有する酸二無水物などの芳香族酸二無水物を挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0013】
【化2】

【0014】
上記式中、RはC(CF、C(CH、SO、S、O、シクロプロパンまたはシクロヘキサンを示す。RおよびRは水素原子、水酸基またはチオール基を示す。
【0015】
アルカリ可溶性基およびアミド基を有するこれらの酸二無水物を原料に用いることで、アルカリ溶解性と耐薬品性を向上させることができる。
【0016】
また、上記酸二無水物に加えて、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシ−2−シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−ノルボルナン酢酸二無水物の様な脂環式テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物の様な脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
【0017】
これらのうち、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、および下記に示したアミド基を有する酸二無水物などの芳香族または脂肪族酸二無水物が特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0018】
【化3】

【0019】
上記式中、RはC(CF、C(CH、SO、S、O、シクロプロパンまたはシクロヘキサンを示す。RおよびRは水素原子、水酸基またはチオール基を示す。
【0020】
また、Rが両端に芳香族環および/または複素環を有し、かつアミド基を有する有機基であると、耐薬品性が向上するので好ましい。また、該有機基が有するアミド基のR全量に対して占める割合は10〜200モル%が好ましい。より好ましくは40〜200モル%である。
【0021】
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、下記に示したアミド基を有するジアミンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0022】
【化4】

【0023】
上記式中、RはC(CF、C(CH、SO、S、O、シクロプロパンまたはシクロヘキサンを示す。RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基またはチオール基を示す。
【0024】
アルカリ可溶性基およびアミド基を有するこれらのジアミンを原料に用いることで、アルカリ溶解性と耐薬品性を向上させることができる。
【0025】
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、および下記に示したアミド基を有するジアミンなどが好ましいものとして挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0026】
【化5】

【0027】
上記式中、RはC(CF、C(CH、SO、S、O、シクロプロパンまたはシクロヘキサンを示す。RおよびRは水素原子、水酸基またはチオール基を示す。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0028】
また、Rが両端に芳香族環および/または複素環を有し、かつアミド基を有する有機基であると、耐薬品性が向上するので好ましい。該有機基が有するアミド基のR全量に対して占める割合は10〜200モル%が好ましい。より好ましくは40〜200モル%である。また、RおよびRに含まれるアミド基の、RおよびR総量に対して占める割合は10〜200モル%が好ましい。
【0029】
一般式(1)〜(4)のRおよびRは同じでも異なっていてもよく、水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜20の有機基より選ばれる基を表している。感光性樹脂組成物溶液を基材に塗布、乾燥して得られた焼成前の膜をアルカリ水溶液で溶解除去するためには、RおよびRがアルカリ可溶性基であるフェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基であることが好ましい。本発明においては、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基と、水素原子や炭素数1〜20の有機基を混在させることができる。
【0030】
このRおよびRのアルカリ可溶性基と水素原子や炭素数1〜20の有機基の量を調整することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。好ましい範囲は、RおよびRの総量の5%〜100%がアルカリ可溶性基である。またR、Rの炭素数が20を越えるとアルカリ水溶液に溶解しなくなる。以上よりRおよびRは、水素原子または炭素数1〜16までの炭化水素基を1つ以上含有し、その他はアルカリ可溶性基であることがより好ましい。
【0031】
一般式(1)、一般式(2)の構造成分であるX−(R)−は、下記一般式(6)で示されることが好ましく、これらは、末端封止剤である1級モノアミンに由来する成分である。
【0032】
【化6】

【0033】
また、一般式(3)、一般式(4)の構造成分であるY−(R)−は、一般式(7)または一般式(8)で示されることが好ましく、これらは、末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物に由来する成分である。
【0034】
【化7】

【0035】
一般式(6)〜(8)中、R10は同じでも異なってもよく、−CR1718−、−CHO−、−CHSO−より選ばれる2価の基を示す。一般式(6)〜(8)で表される末端封止剤はアルカリ水溶液に対する溶解性に優れていることが好ましい。R17およびR18は水素原子、水酸基または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。R14は、炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。なかでも、炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは、メチル基、t−ブチル基である。R15およびR16は、水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜4の1価の炭化水素基、あるいは、R15とR16が直接結合した環構造を示す(例えばナジイミド環等)。アルカリ水溶液での溶解性の観点からは、少なくとも一つはカルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基が好ましい。また、R12およびR13は水素原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。アルカリ水溶液での溶解性の観点から、少なくとも一つは水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基が好ましい。A、AおよびAは炭素原子、窒素原子または硫黄原子であり、各々同じでも異なっていてもよい。mは0〜10の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。lは0または1であり、好ましくは0である。iは0または1であり、好ましくは0である。jは1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。k、tおよびuは0または1である。
【0036】
一般式(6)で表される構造を構成する1級モノアミンとは、具体的には、アニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、3−アミノ−o−トルイック酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が挙げられる。
【0037】
これらのうち、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール等が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0038】
一般式(7)または(8)で表される構造を構成する末端封止剤である酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸等のモノカルボン酸類及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物及び、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が挙げられる。
【0039】
これらのうち、ポリマーへの導入の容易さなどから、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物や、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸等のアルカリ溶解性に優れたモノカルボン酸類が好ましく利用される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0040】
一般式(6)で表される成分(一般式(1)、(2)の−(R−X成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の1級モノアミン成分に換算すると、全アミン成分に対して、1〜70モル%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜70モル%、さらに好ましくは20〜60モル%である。一般式(7)または一般式(8)で表される成分(一般式(3)、(4)の−(R−Y成分)の導入割合は、その元成分である末端封止剤の酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物成分に換算すると、ジアミン成分に対して、1〜70モル%の範囲が好ましく、より好ましくは5〜70モル%、さらに好ましくは20〜60モル%である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入しても良い。
【0041】
一般式(1)〜(4)のnは樹脂の構造単位の繰り返し数を示しており、3〜200の範囲である。好ましくは、8〜150である。重量平均分子量で言うと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算で3000〜80000が好ましく、より好ましくは、8000〜50000である。nが3より小さいと、分子量が低くなりすぎ、良好な塗布膜を得ることが難しくなる。
【0042】
本発明において、(a)一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂は、XまたはYで表される末端基を必須成分としており、末端基の封止効果によってポリマー分子量の増大を抑制することができる。そのためゲル化を抑制し、保存安定性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物はスピンコート法やスリットコート法で塗布する際に優れた塗布性を発揮する。すなわち、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂を用いることで、得られる感光性樹脂組成物は、末端封止しないポリイミド樹脂を用いた場合に比べ、固形分濃度は高いものの粘度は低い特性を有する。そのためスピンコート法においては均一膜厚の塗布膜を得るために、少ない塗布量で、危険性を伴う高速回転塗布ではなく、安全な低速回転塗布で達成することができる。また、本発明の樹脂を用いて得られる低粘度かつ高濃度の感光性樹脂組成物溶液が特に優れた塗布性を発揮するのはスリットコート法である。具体的には液切れを起こすことなく基板全面に均一な膜厚を有する塗布膜を形成することができる。また、近年の塗布基板の大型化に伴って、生産性の観点からスリットノズルを高速でスキャン(掃引)する場合にも液切れを起こすことなく基板全面に均一な膜厚の塗布膜を形成することができる。加えて固形分濃度が高いので目的の膜厚を下回ることなく形成することができる。
【0043】
本発明において、(a)末端封止した一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂は、25℃ジメチルアセトアミド中の対数粘度が0.05〜0.45dl/gであることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.35dl/gである。このような対数粘度の樹脂を得るためには、例えば、末端封止剤の重合比率を酸二無水物および/またはジアミン100モルに対して、1〜70モル%とすれば良い。より好ましくは5〜70モル%、さらに好ましくは20〜60モル%である。
【0044】
さらに、基材との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で Rおよび/またはRに、シロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アニリノ)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサン、酸二無水物成分として3,4-ジカルボキシフェニルテトラメチルジシロキサン二無水物などを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
【0045】
本発明において、(a)成分の樹脂は一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であっても良い。その際、一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を50モル%以上含有していることが好ましい。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られるポリマーの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
【0046】
本発明に用いられる(a)成分の樹脂は、ジアミンの一部をモノアミンである末端封止剤に置き換えてまたは、酸二無水物を、モノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物である末端封止剤に置き換えて、公知の方法を利用して合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物あるいはモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとの反応によりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得、これを、公知のイミド化反応させる方法を利用して合成することができる。
【0047】
また、樹脂中に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された樹脂を酸性溶液に溶解し、樹脂の構成単位であるアミン成分と酸無水成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂成分を直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルまたはC13NMRスペクトル測定することによっても容易に検出可能である。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)成分である樹脂以外に他のアルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。具体的には、アルカリ可溶性ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸、ポリベンゾオキサゾール前駆体であるポリヒドロキシアミド、アクリル酸を共重合したアクリルポリマー、ノボラック樹脂、シロキサン樹脂などがある。このような樹脂は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド以外に、コリン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、モノエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリの水溶液に溶解するものである。またポリアミド酸以外に、ポリアミド酸エステル、ポリイソイミド、ポリアミド酸スルホンアミド、5〜50%イミドを進めたポリアミド酸などを用いることもできる。これらの樹脂は単独で使ってもいいし、複数を混合して使用してもよく、(a)成分を含む樹脂全体に占める割合は60重量%以下が好ましい。
【0049】
本発明の(b)成分である光酸発生剤は、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などがある。
【0050】
キノンジアジド化合物は、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくても良いが、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。50モル%未満であるとアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり過ぎ、未露光部とのコントラストが得られず、所望のパターンを得られない可能性がある。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。このような化合物は単独で使用しても良いし2種以上混合して使用してもかまわない。また、光酸発生剤を2種類用いることで、より露光部と未露光部の溶解速度の比を大きく取ることができ、この結果、高感度な感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0051】
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明においてキノンジアジドは5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
【0055】
また、キノンジアジド化合物の分子量が5000より大きくなると、その後の熱処理においてキノンジアジド化合物が十分に熱分解しないために、得られる膜の耐熱性が低下する、機械特性が低下する、接着性が低下するなどの問題が生じる可能性がある。このような観点より見ると、好ましいキノンジアジド化合物の分子量は300〜3000である。さらに好ましくは、350〜1500である。
【0056】
本発明に用いられるキノンジアジド化合物は、特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下で、α−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などが挙げられる。
【0057】
本発明の(b)成分として用いる光酸発生剤のうち、露光によって発生させた酸成分を適度に安定化させる光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩であることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物から得られる樹脂組成物は永久膜として使用するため、リン等が残存することは環境上好ましくなく、また膜の色調も考慮する必要があることから、これらの中ではスルホニウム塩が好ましく用いられる。スルホニウム塩のうち、一般式(9)〜(11)で表される構造が好ましく用いられる。
【0058】
【化8】

【0059】
一般式(9)〜(11)のR19〜R21はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜20の有機基を示す。R22は単結合または炭素数1〜20の有機基を示す。ZはR23SO、R23COO、SbFから選ばれるアニオン部を示す。ここで、R23は炭素数1〜20の有機基を示す。一般式(9)で表されるスルホニウム塩の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0060】
【化9】

【0061】
一般式(10)で表されるスルホニウム塩の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0062】
【化10】

【0063】
一般式(11)で表されるスルホニウム塩の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0064】
【化11】

【0065】
特に好ましいものとして、一般式(12)で表されるトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0066】
【化12】

【0067】
式中、R24は各々同一であっても異なっていてもよく、水素または炭素数1〜20の有機基を示す。R25は炭素数1〜20の有機基を示す。α、βおよびγはそれぞれ0〜5の整数を示す。
【0068】
一般式(12)で表されるトリアリールスルホニウム塩の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0069】
【化13】

【0070】
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)光酸発生剤を含有するため、光線照射部に酸が発生し、光照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大することで、光照射部が溶解するポジ型のレリーフパターンを得ることができる。
【0071】
本発明で(b)成分として用いられる光酸発生剤の含有量は、各々(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜50重量部である。このうち、キノンジアジド化合物は3〜40重量部の範囲が好ましい。また、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩から選ばれる化合物は全体で0.05〜40重量部の範囲が好ましく、さらに0.1〜30重量部の範囲が好ましい。(b)光酸発生剤の含有量をこの範囲とすることにより、より高感度化を図ることができる。さらに増感剤などを必要に応じて含有してもよい。
【0072】
また、必要に応じて上記、感光性樹脂組成物の感度を向上させる目的で、キュア後の収縮率を小さくしない範囲でフェノール性水酸基を有する化合物を含有してもよい。
【0073】
このフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP、(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)が挙げられる。
【0074】
これらのうち、本発明で用いる好ましいフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいフェノール性水酸基を有する化合物は、たとえば、Bis−Z、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisRS−2P、BisRS−3P、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−Fである。このフェノール性水酸基を有する化合物を含有することで、得られる樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。
【0075】
このようなフェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部であり、さらに好ましくは3〜40重量部の範囲である。
【0076】
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)熱架橋性化合物を含有することが好ましい。(c)熱架橋性化合物は、一般式(5)で表される有機基を有することが好ましい。一般式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜20の環状脂肪族基を示す。
【0077】
【化14】

【0078】
一般式(5)で表される構造を有する化合物は、フェノール性水酸基または一般式(13)で表される尿素系有機基を有することが好ましい。
【0079】
【化15】

【0080】
26は、水素原子または炭素数1〜20の1価のアルキル基を示し、好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
【0081】
本発明に好ましく用いられる(c)熱架橋性化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
【化16】

【0083】
一般式(13)で表される尿素系有機基を含有する熱架橋性化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されない。
【0084】
【化17】

【0085】
さらに以下のメラミン樹脂系の構造を有する熱架橋性化合物も挙げられる。
【0086】
【化18】

【0087】
これらの熱架橋性を奏する化合物を含有することで、得られる感光性樹脂組成物は、焼成後の膜の耐薬品性が飛躍的に向上する。また露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像ができる。
【0088】
特に、一般式(13)で表される尿素系有機基を含有するアルコキシメチル基含有熱架橋性化合物は、フェノール性水酸基を有する芳香族の熱架橋性化合物と比較して、焼成後の膜の400nmにおける透過率が高い膜が得られるため、より好ましい。また露光波長の光に対して吸収がきわめて小さいために、露光エネルギーが効率よく感光剤に伝わるために、高感度となり、かつ、耐熱性に優れる利点がある。
【0089】
本発明において、(c)熱架橋性化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5〜100重量部であり、さらに好ましくは3〜80重量部の範囲である。
【0090】
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)2級の芳香族アミンと、アルコキシ基を有するケイ素原子とを含む化合物を含有することが好ましい。このような化合物を、(a)成分の樹脂100重量部に対して0.01〜100重量部含有することで、感光成分である光酸発生剤に悪影響を与えることなく、シリコン基板、セラミック、金属などの基材との接着性を高めることができるとともに、結果として現像後の感光性樹脂組成物の基材との接着性を向上させる効果がある。このような化合物としては、芳香族アミン化合物とアルコキシ基含有ケイ素化合物を反応させて得られる化合物、または芳香族アミン化合物とアルコキシ基含有ケイ素化合物に他の成分を加えて反応させて得られる化合物である。このようにして得られる化合物であればいずれのものでも良いが、より好ましくは、下記一般式(14)〜(16)のいずれかに示す化合物が挙げられる。一般式(14)〜(16)のいずれかで表される化合物は、芳香族アミンのアミノ基と反応する基であるエポキシ基、クロロメチル基などを有したアルコキシシラン化合物を反応させることで、芳香族アミンの活性が低下しナフトキノンジアジド化合物の分解を促進することなく、基板との接着性のある化合物を得ることができる。シリコン基板表面にあるシラノール基と、一般式(14)〜(16)のいずれかで表される化合物にある2級のアミノ基は、50〜200℃の低温でも作用し、さらに一般式(14)〜(16)のいずれかで表される化合物にあるアルコキシ基はシリコン基板表面にあるシラノール基とシロキサン結合を形成し得るが、2級のアミノ基の触媒作用により、その結合が促進する。上記の構成にすることによって、シリコン基板との接着力がより大きくなる。また、シリコン系の基板表面としてはシリコンナイトライド、酸化ケイ素、セラミック類なども同様に表面のシラノール基と作用するために同様の効果が得られる。また、鉄、ニッケル、銅、ITOなどの金属面でも表面に形成された金属酸化物の薄層に形成されているOH基(水酸基)と作用するために良好な接着性を得ることができる。また、一般式(14)〜(16)のいずれかで表される化合物において、2級のアミノ基には大きな置換基が結合しているために、アミノ基に弱い感光成分であるナフトキノンジアジドスルホン酸エステルに悪影響を与えない。そのために優れた保存安定性を示すことができる。
【0091】
【化19】

【0092】
上記式中、R27、R33およびR37はそれぞれ独立に、炭素数1〜10の有機基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基から選ばれた基を表す。R28、R29、R30、R34、R35、R36、R43、R44およびR45はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換フェニル基から選ばれた基を表す。R31、R32、R40、R41、R42およびR46はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換フェニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた有機基を表し、R31、R32、R46の少なくとも1つ、およびR40、R41、R42の少なくとも1つは炭素数1〜6のアルコキシ基である。Eは炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、炭素数2〜10のエステル基または炭素数2〜10のアミド基を表す。
【0093】
、Eは単結合、下記式
【0094】
【化20】

【0095】
から選ばれた基を表す。R47およびR48はそれぞれ独立に、水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル基、フッ素化アルキル基またはアルコキシ基を表す。p、q、f、hおよびvは1〜4の整数、bは1〜3の整数、dは0〜2の整数、a、c、yおよびwは0〜10の整数、eは1〜4の整数、oは0または1、gおよびhは1〜100の整数を表す。xは1〜3の整数を表す。
【0096】
一般式(14)で表される化合物は、1個のアミノ基を有した芳香族アミノ化合物と、芳香族アミノ化合物が有するアミノ基と反応する基を有したシランカップリング剤を反応させることで得ることができる。R27およびR33は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのフッ素化アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数2以上10未満のエステル基、炭素数2〜10のアミド基などがある。これらの中でアルキル基、フッ素化アルキル基、水酸基が好ましい。
【0097】
28、R29、R30、R34、R35およびR36は、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基などが好ましい。R31、R32およびR46は、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、必ず1つはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基である。Eは水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、ニトロ基が好ましい。
【0098】
本発明に好ましく用いられる芳香族アミンは、pKa(水溶液中での解離定数)が3〜9の範囲のものである。pKaが3以上であると基板への接着性が向上し、pKaが9以下であると感光成分の安定性を向上させる。さらに好ましくはpKaが4〜8の範囲である。pKaが3〜9の範囲にある芳香族アミンとしては、アニリン、シアノアニリン、ヒドロキシルアニリン、ニトロアニリン、クロロアニリン、アミノ安息香酸エチル、トリフルオロメチルアニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、メチルヒドロキシルアニリン、アミノピリジン、メチルアミノピリジン、ジヒロドキシアニリン、ヒドロキシアミノピリジンなどの芳香族アミン類、あるいは、ジアミノベンゼン、トリアミノベンゼン、ジアミノピリジン、トリアミノピリジン、ヒドロキシジアミノベンゼン、ジヒドロキシジアミノベンゼンなどの芳香族多価アミン類を挙げることができる。
【0099】
これらの芳香族アミン類と、アミノ基と反応する基を有したアルコキシシラン化合物を反応させることにより、(d)成分の化合物を得ることができる。これらのアミノ基と反応する基として好ましいものはエポキシ基、クロロメチル基などを挙げることができる。このようなアルコキシシラン化合物の例としては、トリメトキシ−1−ジメチレンクロライド、トリメトキシエポキシシラン、トリエトキシエポキシシラン、カルボキシルプロピルトリメトキシシラン、ビス(エポキシ)テトラメトキシジシロキサン、トリス(エポキシ)トリメトキシジシロキサン、トリス(エポキシ)ペンタ(メトキシ)トリシロキサンなどのエポキシ基、クロロメチル基などのアミノ基と反応する基を有したシラン化合物をあげることができる。
【0100】
一般式(15)で表される化合物は、2個以上のアミノ基を有した芳香族アミノ化合物と、芳香族アミノ化合物が有するアミノ基と反応する基を有したアルコキシシラン化合物を反応させることで得ることができる。
【0101】
2個以上のアミノ基を有した芳香族アミノ化合物としては、アミノ基を2個有した芳香族ジアミン化合物、アミノ基を3個有した芳香族トリアミノ化合物、アミノ基を4個有した芳香族テトラアミノ化合物などがある。pKaは3〜9の範囲にあるものが好ましい。このようなものとしては、芳香族ジアミン化合物として、フェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、シアノフェニレンジアミン、ヒドロキシフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノビフェニル、ジメチルジアミノビフェニル、ジメトキシジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェニル)ジプロピルベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(アミノフェノキシフェニル)エーテルなど、置換された、あるいは置換されていない芳香族ジアミンを挙げることができる。特に、フェノール性の水酸基を有したジアミンを用いることが好ましい。
【0102】
また、3個以上のアミノ基を有した芳香族アミノ化合物として、トリ(アミノフェニル)メタン、トリ(アミノフェニル)エタン、トリ(アミノフェニル)プロパン、テトラ(アミノフェニル)メタン、トリ(アミノフェニル)トリフルオロエタンやこれらにニトロ基、エステル基、アルキル基などの置換基がついたトリアミノ化合物、テトラ(アミノフェニル)メタンなどのテトラアミノ化合物を挙げることができる。
【0103】
一般式(16)で表される化合物は、芳香族ジアミン、トリアミン、あるいは3価以上のポリアミンと、これらのアミン化合物を有するアミノ基と反応する基を有したシランカップリング剤を反応させることで得ることができる。
【0104】
一般式(15)または(16)で表される化合物を得るために用いることができるアルコキシシラン化合物としては、一般式(14)で用いられるものと同様のものを好ましく使用することができる。
【0105】
一般式(14)〜(16)のいずれかで表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記に表されるような化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0106】
【化21】

【0107】
【化22】

【0108】
【化23】

【0109】
(d)成分の化合物(以下、接着改良剤とする)は、芳香族アミンとアルコキシシラン化合物をそのまま、あるいは溶媒中で混合し、−20℃から150℃の範囲で、1分から1週間反応させることで得ることができる。この時、芳香族アミンとアルコキシシラン化合物の配合比は、全体のアミノ基量100モル%に対して、アルコキシシラン化合物は10〜400モル%の範囲が好ましく、より好ましくは50〜200モル%である。さらに好ましくは60〜150モル%の範囲である。芳香族アミン100モル%に対してアルコキシシラン化合物が10モル%〜400モル%であると、保存安定性に悪影響を及ぼさずに接着改良効果が安定して得られる。また、溶媒を加えて1〜90%の溶液として反応させることが好ましい。
【0110】
またギ酸、酢酸、シュウ酸などの炭素数1〜10の有機酸、硫酸、塩酸、リン酸などの酸化合物、あるいはトリエチルアミン、ピリジンなどの炭素数1〜10のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基類を触媒として加えてもよい。これらの触媒は芳香族アミンとシラン化合物の総重量100部に対して、0.0001〜10重量部が良い。
【0111】
得られた接着改良剤の溶解性と安定性から、炭素数1〜7のアルコール類、炭素数2〜20のエステル類、炭素数3〜20のケトン類、炭素数3〜20のアミド類、炭素数3〜20の硫黄含有溶媒より選ばれる少なくとも1種を用いて希釈することが好ましい。これらの溶媒を用いて希釈することで、溶液の安定性を高めることができる。このような溶媒の含有量は、接着改良剤100重量部に対して、1〜10000重量部が好ましい。さらに好ましくは、10〜1000重量部である。溶媒の含有量が1〜10000重量部であると、接着改良剤単独での保存安定性もよく、また組成物にした時の保存安定性に悪影響を及ぼさずに接着改良効果が安定して得られる。溶媒としては、具体的にはエタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシメチルブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、炭酸プロピレンなどのエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
【0112】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、焼成後、基板との密着性をあげる目的で、下記一般式(17)または(18)で表される化合物またはビニルシラン化合物を含有しても良い。
【0113】
【化24】

【0114】
一般式(17)〜(18)のArおよびArは6個以上の炭素原子を有する芳香族環、または2個以上の炭素原子を有する芳香族複素環構造を表す。具体例としてはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、トリアジン基、ピリジン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
一般式(17)〜(18)のR49、R50、R57、R58、R65およびR66はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1〜4の有機基を表す。炭素数1〜4の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭化水素、アセチル基などのカルボニル基などが挙げられる。炭素数5以上になると、キュア時の膜収縮が大きくなってしまうので注意を要する。R51、R59およびR64はそれぞれ同じでも異なっていてもよく炭素数1〜6の有機基を表し、R52〜R56およびR60〜R63はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはフェニル基を表す。ただし、R52〜R56およびR60〜R63のうち少なくとも1つが炭素数1〜6のアルコキシ基である。炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられるがこれらに限定されない。アルコキシ基の具体例はメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基などが挙げられるがこれらに限定されない。炭化水素基やアルコキシ基の炭素数が7以上になると、キュア時の膜収縮が大きくなってしまうので注意を要する。一般式(17)〜(18)で表される化合物の好ましい具体例としては下記の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
【化25】

【0117】
なかでもより好ましくは下記に示された構造である。
【0118】
【化26】

【0119】
また、ビニルシラン化合物は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられるが、この他にも、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の炭素−炭素不飽和結合含有シラン化合物を用いることもできる。好ましくはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。
【0120】
上記の一般式(17)〜(18)で表される化合物、ビニルシラン化合物はそれぞれ単独で用いても併用してもよく、いずれの場合でも各種基板に対して焼成後に良好な密着性を発現する。
【0121】
上記の一般式(17)〜(18)で表される化合物、ビニルシラン化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、それぞれ0.001〜30重量部が好ましい。より好ましくは0.005〜20重量部、さらに好ましくは0.01〜15重量部である。0.001〜30重量部の範囲であると、組成物の耐熱性を保持したまま、接着改良効果が安定して得られる。
【0122】
また、本発明においては、接着改良効果や溶液の安定性の観点から、(a)成分の樹脂の重合終了後の組成物に上記成分(d)、一般式(17)〜(18)で表される化合物またはビニルシラン化合物を添加することが好ましい。好ましい添加の方法は、再沈したポリマーを溶剤に再溶解させる際、あるいは再溶解させた後に加えるのが良い。
【0123】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、基材との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類を含有しても良い。また、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを含有することもできる。
【0124】
また、本発明の感光性樹脂組成物に、さらにシリコン成分として、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を、保存安定性を損なわない範囲で含有してもよい。好ましい含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部である。
【0125】
さらにシリコンウエハーなどの基材との接着性を高めるために、基材を前述の接着改良剤で前処理したりすることもできる。この場合、接着改良剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50℃から300℃までの温度をかけることで、基板と上記接着改良剤との反応を進行させる。
【0126】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を含有することが好ましい。溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などを単独で、または混合して使用することができる。溶媒の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、50〜2000重量部が好ましく、100〜1500重量部がより好ましい。
【0127】
本発明で得られる感光性樹脂組成物の粘度は、2〜100m・Pasが好ましい。粘度が2m・Pasより低くなるように固形分濃度を調整すると、固形分濃度が低くなりすぎ、所望の膜厚を得ることが困難になる。一方粘度が100m・Pasより大きくなると、均一性の高い塗布膜を得ることが困難になる。このような粘度を有する感光性樹脂組成物は、例えば(a)成分の樹脂を用い、感光性樹脂組成物全体に占める固形分濃度を5〜60%にすることで容易に得ることができる。
【0128】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
【0129】
本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布する。基材の材質は、例えば、金属、ガラス、半導体、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素、ポリマーフィルムなど、表面に電極用金属を設けることができるあらゆる材質が挙げられる。好ましくはガラスが用いられる。ガラスの材質については、特に限定されるものではないが、アルカリ亜鉛ホウケイ酸ガラス、ナトリウムホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、低アルカリホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、溶融石英ガラス、合成石英ガラスなどが用いられ、通常ガラスからの溶出イオンが少ない、無アルカリガラスやSiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスが使用される。ポリマーフィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエーテルスルホンおよびこれらに類似した化学構造の材質を用いることができる。また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、材質が無機物であれば0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、また材質が有機物であれば0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上である。基板のサイズは特に限定しないが、長方形ないし正方形の角形基板で一辺が150mm以上、また、丸形基板であれば、直径6インチ以上の基板において良好な塗布膜を得ることができる。塗布方法はスリットコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法などの方法があり、これらの手法を組み合わせて塗布してもかまわない。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが通常、乾燥後の膜厚が、0.1〜100μmになるように塗布される。材質がポリマーフィルムで一辺が300mm以上であり、厚みを調整しても機械的強度を保つのが困難な場合は、ガラス基板などにポリマーフィルムを貼り付けて機械的強度を保った上で前述の塗布方法により塗布することができる。
【0130】
次に感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はホットプレート、オーブン、赤外線、真空チャンバーなどを使用する。
【0131】
ホットプレートを用いる場合、プレート上に直接、もしくは、プレート上に設置したプロキシピン等の治具上に被加熱体を保持して加熱する。プロキシピンの材質としては、アルミニウムやステレンレス等の金属材料、あるいはポリイミド樹脂やテフロン(登録商標)等の合成樹脂があり、いずれの材質のプロキシピンを用いてもかまわない。プロキシピンの高さは、基板のサイズ、被加熱体である樹脂層の種類、加熱の目的等により様々であるが、例えば400×500×0.7mmのガラス基板上に塗布した樹脂層を加熱する場合、プロキシピンの高さは2〜12mm程度が好ましい。
【0132】
加熱温度は被加熱体の種類や目的により様々であり、室温から180℃の範囲で1分から数時間行うことが好ましい。
【0133】
次に、この感光性樹脂組成物被膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。
【0134】
感光性樹脂組成物被膜から耐熱性樹脂のパタ−ンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去する現像を行う。現像液は、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを含有してもよい。現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
【0135】
現像後、130℃〜400℃の加熱処理を行い耐熱性樹脂パターンに変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分〜5時間実施する。一例としては、130℃、150℃、200℃、350℃で各30分ずつまたは60分ずつ熱処理する、あるいは室温より230℃まで1時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0136】
本発明による感光性樹脂組成物から形成した耐熱性樹脂パターンは、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられる。
【実施例】
【0137】
以下、実施例等をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。まず、各実施例における評価方法を説明する。
【0138】
(1)感光性樹脂組成物被膜の作製
400×500×0.7mmおよび200×214×0.7mmの無アルカリガラス(コーニングジャパン(株)製、#1737)表面にスパッタリング蒸着法によって厚さ125nmのITO透明電極膜が形成された400×500mmおよび200×214mmのガラス基板を用意した。ITO膜上にフォトレジストをスピナー塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜を長さ90mm、幅80μm、ピッチ100μmのストライプ形状にパターニングした。このストライプ状ITO膜は、有機電界発光装置を形成した際に、第一電極となる。
【0139】
このITOをパターニングしたガラス基板上に感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)を乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように塗布した。200×214mmの基板上への塗布はスピンコート法を用い、基板中央へのワニス滴下量を20gとし回転数は800rpmで10秒間とした。400×500mmの基板上への塗布はスリットコート法を用い、ノズルのスキャン速度は4m/分、ノズルと基板のギャップは150μmとした。その後ホットプレ−ト(中央理研(株)製EA−4331)を用いて、プロキシピンでガラス基板をホットプレートから高さ5.0mmに保持して120℃で10分間加熱して乾燥することにより、感光性樹脂組成物被膜を得た。
【0140】
(2)粘度測定
ウベローデ型粘度計を用いてジメチルアセトアミド中0.5dl/gのポリイミド樹脂希薄溶液の25℃における対数粘度測定を行った。また、E型回転粘度計(東機産業(株)製)を用いてワニスの粘度測定をおこなった。さらに23℃でワニスを2週間放置し、25℃で粘度測定を行い粘度の保存安定性を評価した。2週間後の粘度の変化率が±10%以内であるものを安定であると評価した。ゲル化したものは粘度測定不能であった。
【0141】
(3)塗布性評価
前記(1)に記載したスピンコート法により形成された感光性樹脂組成物被膜についてはナトリウムランプ照射下、基板端までの被覆性について、またスリットコート法により形成された感光性樹脂組成物被膜についてはナトリウムランプ照射下、液切れ、縦スジの有無について、目視にて表面観察を行った。被覆性が良好なものを良好−○、被覆性に不備があるものを不良−×とした。また、液切れ、縦スジの発生がないものを良好−○、液切れ、縦スジのいずれか一つでもあるものを不良−×と判定した。
【0142】
(4)膜厚測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、プリベーク後および現像後の膜は、屈折率1.63で測定し、キュア膜は屈折率1.65で測定した。
【0143】
(5)感光特性の評価
実施例1〜3、10〜12、比較例1〜6については、6インチシリコンウエハ上にワニスを回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製塗布現像装置Mark−7)で2分間プリベークし、最終的に厚さ2μmのプリベーク膜を作製した。このプリベーク膜にパターンの切られたレチクルをセットし、i線ステッパー(GCA社製DSW−8000)を用いて、365nmにおける露光量0〜400mJ/cmにて10mJ/cmステップで露光した。露光後、2.38%のテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で60秒現像し、ついで純水でリンスした。
【0144】
実施例4、5については6インチシリコンウエハ上にワニスを回転塗布し、次いで、100℃のホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SKW−636)で1分30秒プリベークし、最終的に厚さ1.5μmのプリベーク膜を作製した。このプリベーク膜にパターンの切られたレチクルをセットし、i線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて、365nmにおける露光量0〜200mJ/cmにて5mJ/cmステップで露光した。露光後、2.38%のTMAH水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で60秒現像し、ついで純水でリンスした。
【0145】
実施例6〜9については6インチシリコンウエハ上にワニスを回転塗布し、次いで、110℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製塗布現像装置Mark−7)で2分間プリベークし、最終的に1.5μmのプリベーク膜を作製した。このプリベーク膜にパターンの切られたレチクルをセットし、i線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて365nmにおける露光量0〜200mJ/cmにて5cmステップで露光した。露光後、0.4%の水酸化カリウム水溶液で60秒現像後、純水リンスした。
【0146】
得られたパターンを顕微鏡観察し、現像後のウエハのライン&スペースが1:1になっているパターンが何μmまで残存しているのかを観察した。これは細かい数字まで残っているのが好ましく、30μm以上しか残らないものは不良と判断した。露光に用いたパターンは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,30,50,100μmであり、20μm以下のパターンが残存しているものが好ましく、より好ましくは5μm以下のパターンが残存しているものである。
【0147】
(6)耐薬品性の評価
(5)感光特性の評価における作製方法に準じて形成したプリベーク膜に200℃60分の加熱処理を行い、シリコンウエハ上に膜厚2μmの耐熱性樹脂膜を形成した。この耐熱性樹脂膜を剥離剤「TOK106」(商品名、東京応化工業(株)製)に40℃で1分間浸し、処理前後で膜厚減少量を測定した。すべて溶解した場合を不良とした。
【0148】
合成例1 アミド基含有酸無水物(a)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF、セントラル硝子(株)製)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル、東京化成(株)製)をガンマブチロラクトン(GBL、三菱化学(株)製)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル、東京化成(株)製)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1Lに投入して下記式で表されるアミド基含有酸無水物(a)を得た。
【0149】
【化27】

【0150】
合成例2 アミド基含有ジアミン化合物(b)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル、東京化成(株)製)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル、東京化成(株)製)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0151】
固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム−炭素(和光純薬(株)製)を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるアミド基含有ジアミン化合物(b)を得た。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0152】
【化28】

【0153】
合成例3 アミド基含有ジアミン化合物(c)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン50mL、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド11.2g(0.055モル、東京化成(株)製)をアセトン60mLに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0154】
この沈殿をGBL200mLに溶解させて、5%パラジウム−炭素3gを加えて、激しく攪拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで攪拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で攪拌した。攪拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、下記式で表されるアミド基含有ジアミン化合物(c)の結晶を得た。
【0155】
【化29】

【0156】
合成例4 キノンジアジド化合物(d)の合成
乾燥窒素気流下、BisP−RS(商品名、本州化学工業(株)製)16.10g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.1モル、NAC−5、東洋合成(株)製)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン10.12gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集め、さらに1%塩酸水1Lで洗浄した。その後、さらに水2Lで2回洗浄した。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(d)を得た。
【0157】
【化30】

【0158】
合成例5 キノンジアジド化合物(e)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)、15.31g(0.05モル)とNAC−5 26.86g(0.10モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを用い、合成例5と同様にして、Qのうち平均して2個が5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化された下記式で表されるキノンジアジド化合物(e)を得た。
【0159】
【化31】

【0160】
合成例6 キノンジアジド化合物(f)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)、21.22g(0.05モル)とNAC−5 13.43g(0.05モル)、4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル、NAC−4、東洋合成(株)製)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン12.65gを用い、合成例5と同様にして、Qのうち平均して1個が5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとなり、平均1個が4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとなった下記式で表されるキノンジアジド化合物(f)を得た。
【0161】
【化32】

【0162】
各実施例、比較例に使用した熱架橋性化合物を下記に示した。
【0163】
【化33】

【0164】
合成例7(接着改良剤A1の合成)
200mLの4つ口フラスコに、3−アミノフェノール10.9g(0.1モル、東京化成(株)製)をとり、これに乳酸エチル(EL、武蔵野化学(株)製)100gを添加した。ついでこの溶液に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.1モル、KBM−403、信越化学(株)製)を添加して60℃で3時間攪拌し、接着改良剤A1を得た。
【0165】
合成例8(接着改良剤B1の合成)
36.6g(0.1モル)のBAHFを100gのELに溶解させた。ついでこの溶液に3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン55.6g(0.2モル、KBE−403、信越化学(株)製)を加え、50℃で6時間攪拌し、接着改良剤B1を得た。
【0166】
合成例9(接着改良剤B2の合成)
ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン28g(0.1モル、日本化薬(株)製)をN−メチル−2−ピロリドン30g(NMP、三菱化学(株)製)に溶解し、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン36.9g(0.15モル、KBM−303、信越化学(株)製)を加え、70℃で4時間攪拌し、接着改良剤B2を得た。
【0167】
合成例10(接着改良剤C1の合成)
芳香族ポリアミンとしてM−1540(大都産業(株)製、活性H等量95g/eq)9.5gをN−メチル−2−ピロリドン30gに溶解し、シクロヘキシルエポキシシラン(0.33モル、KBM−600、信越化学(株)製)を加え、40℃で8時間攪拌し、接着改良剤C1を得た。
【0168】
合成例11(接着改良剤D1の合成)
3.58g(0.02モル)のKBM−903を20gのNMPに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物3.22g(ダイセル化学工業(株)製、0.01モル)を固体のまま加えた。この溶液を30℃で6時間攪拌した。これにより、アミノシラン化合物のアミノ基が芳香族カルボン酸とアミド結合したシラン化合物(D1)を得た。
【0169】
実施例1
乾燥窒素気流下、BAHF29.30g(0.08モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル、SiDA)、末端封止剤として、3−アミノフェノール(東京化成工業(株)製、3−APh)3.27g(0.03モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼ぶ)80gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物31.2g(マナック(株)製、0.1モル、ODPA)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーの、ジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.15dl/gであった。
【0170】
このようにして得られたポリイミドポリマーA11.74gに、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)1.76gをNMP66.5gに加えて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスAを得た。ワニスAの粘度は24mPa・sであった。得られたワニスAを用いて前記のように、塗布性、感光特性、耐薬品性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0171】
実施例2
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたアミド基含有ジアミン(b)24.18g(0.04モル)、BAHF10.99g(0.03モル)、SiDA1.24g(0.005モル)、末端封止剤として3−APh5.46g(0.05モル)をNMP200gに溶解させた。ここにODPA31.02g(0.1モル)を加え、40℃で4時間攪拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。
【0172】
攪拌終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めたポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリマーBを得た。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーの、ジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.12dl/gであった。
【0173】
このようにして得られたポリマーBの固体10.4gを計り、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)10.4gとをプロピレングリコールモノメチルエーテル(以降PGMEと呼ぶ)29.6gとNMP29.6gの混合溶媒に溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスBを得た。ワニスBの粘度は50mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0174】
実施例3
乾燥窒素気流下、合成例3で得られたアミド基含有ジアミン(c)26.46g(0.07モル)、SiDA1.24g(0.005モル)、末端封止剤として4−アミノチオフェノール6.26g(0.05モル、4−ASPh)をNMP200gに溶解させた。ここに合成例1で得られたアミド基含有酸二無水物(a)71.4g(0.1モル)を加え60℃で6時間反応させた。キシレンを15g添加し、キシレンとともに反応水を共沸しながら、150℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水2lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーの、ジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.15dl/gであった。
【0175】
このようにして得たポリマーCの固体9.1gを計り、合成例4で得られたキノンジアジド化合物(d)4.1gとをPGME33.4gとGBL33.4gの混合溶媒に溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスCを得た。ワニスCの粘度は10mPa・sであった。得られたワニスCを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0176】
実施例4
乾燥窒素気流下、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル8.01g(0.04モル、3,4’−DAE)、BAHF16.48g(0.045モル)、SiDA1.24g(0.005モル)、末端封止剤として3−APh2.18g(0.02モル)をNMP200gに溶解させた。ここに合成例1で得られたアミド基含有酸二無水物(a)35.7g(0.05モル)と2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物22.21g(6FDA、0.05モル)を加え50℃で6時間攪拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。
【0177】
攪拌終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めたポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリマーDを得た。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーのジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.25dl/gであった。
【0178】
このようにして得られたポリマーDの固体9.1gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.1g、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)2gとをPGME66.8gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスDを得た。ワニスDの粘度は35mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0179】
実施例5
乾燥窒素気流下、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物15.68g(0.08モル、CBDA)、末端封止剤としてフタル酸無水物5.93g(0.04モル)をNMP200gに溶解させた。ここに合成例2で得られたアミド基含有ジアミン(b)57.43g(0.095モル)、SiDA1.24g(0.005モル)を加え40℃で3時間攪拌した。その後、180℃で5時間撹拌した。
【0180】
攪拌終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。さらに水2Lで3回洗浄を行い、集めたポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥しポリマーEを得た。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーのジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.13dl/gであった。
【0181】
このようにして得られたポリマーEの固体11.56gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)2.89gとをPGME65.5gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスEを得た。ワニスEの粘度は19mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0182】
実施例6
実施例1で得られたポリイミドポリマーA11.25gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)1.12gおよび熱架橋性化合物としてニカラックMX270 1.12gをNMP66.5gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスFを得た。ワニスFの粘度は15mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0183】
実施例7
実施例2で得られたポリイミドポリマーB10.91gを計り、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)0.65gおよび熱架橋性化合物としてニカラック100LM 0.65gをPGME68.0gに溶解させてさらにシリコン系界面活性剤を0.01g添加して感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスGを得た。ワニスGの粘度は8mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0184】
実施例8
実施例1で得られたポリイミドポリマーA9.3gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)1.86gおよび熱架橋性化合物としてニカラックMX270 1.86g、合成例8で得られた接着改良剤B1 0.4gをEL33.2gとNMP33.4gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスHを得た。ワニスHの粘度は10mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0185】
実施例9
実施例2で得られたポリイミドポリマーB9.26gを計り、合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)1.85gおよび熱架橋性化合物としてニカラック100LM 1.85g、合成例7で得られた接着改良剤A1 0.9gをGBL19.8gおよびPGME46.2gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスIを得た。ワニスIの粘度は7mPa・sであった。得られたワニスIを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0186】
実施例10
実施例3で得られたポリイミドポリマーC11.4gを計り、合成例4で得られたキノンジアジド化合物(d)2.85gおよび合成例9で得られた接着改良剤B2 0.8をPGME64.9gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスJを得た。ワニスJの粘度は17mPa・sであった。得られたワニスJを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0187】
実施例11
実施例4で得られたポリイミドポリマーD12.26gを計り、合成例5および6で得られたキノンジアジド化合物(e)および(f)をそれぞれ1.23gおよび熱架橋性化合物としてHMOM−TPHAP 1.84g、合成例10で得られた接着改良剤C1 1.0gをGBL14.0g、PGME30.0gおよびNMP20.0gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスKを得た。ワニスKの粘度は25mPa・sであった。得られたワニスKを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0188】
実施例12
実施例5で得られたポリイミドポリマーE9.51gを計り、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)1.9gおよび熱架橋性化合物としてニカラックMX270 2.85g、合成例11で得られた接着改良剤D1 0.8gをPGME65.2gに溶解させて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスLを得た。ワニスLの粘度は10mPa・sであった。得られたワニスLを用いて前記のように、各種評価を行った結果を表2に示す。
【0189】
実施例13
実施例1で得られたワニスAを、第一電極のエッジを覆う形状のフォトマスクを介してUV露光した。露光後、2.38%TMAH水溶液で露光部分のみを溶解させることで現像し、純水でリンスした。つづいて、クリーンオーブン中の窒素雰囲気下で230℃で30分間加熱して、感光性ポリイミド樹脂膜をキュアし、ポリイミド絶縁層を得た。絶縁層の厚さは約1μmであった。絶縁層は、第一電極のエッジを覆うように形成され、中央部には幅70μm、長さ250μmの開口部が設けられて第一電極が露出している。絶縁層の断面は、図1に示すようになだらかな順テーパーになっていた。テーパー角θは20°であった。
【0190】
次に、この絶縁層を形成した基板上に、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって、正孔輸送層、発光層および第二電極となるアルミニウム層を順次形成した。正孔輸送層は、基板有効エリア全面に蒸着した。発光層は、シャドーマスクを用いて、ストライプ状の第一電極上に合わせてパターニングして形成した。第二電極は、第一電極と直交するようにストライプ状にパターニングして形成した。
【0191】
得られた上記基板を蒸着機から取り出し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにして単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0192】
実施例14
無アルカリガラス基板上に、スパッタリングにより酸化窒化複合クロムの薄膜(厚み;0.2μm)を形成した。この複合クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、及び複合クロム薄膜のエッチングを順次行って、80μm×280μmの長方形状の開口部が、短辺方向に100μmのピッチ、長辺方向に300μmのピッチでマトリックス上に配列したブラックマトリックスを形成した。
【0193】
次に赤色、緑色、及び青色の各色カラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物を調整した。赤色着色剤としては縮合アゾ系顔料(チバガイギー社製、クロモフタルレッドBRN)、緑色着色剤としてはフタロシアニン系緑色顔料(東洋インキ製造社製、リオノールグリーン2Y−301)、及び青色着色剤としてはアンスラキノン系顔料(チバガイギー社製、クロモフタルブルーA3R)をそれぞれ用い、バインダー樹脂としてはポリビニルアルコール(10%水溶液)を用い、ポリビニルアルコール水溶液10部に対し、各着色剤を1部(部数はいずれも質量基準)の割合で配合して、十分に混合分散させ、得られた溶液100部に対し、1部の重クロム酸アンモニウムを架橋剤として添加し、各色カラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物を得た。
【0194】
上記の各色カラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物を順次用いて各色のカラーフィルター層を形成した。すなわち、ブラックマトリックスが形成された上記の透明基材上に、赤色のカラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物をスピンコート法により塗布し、100度の5分間のプリベークを行った。その後、フォトマスクを用いて露光し、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行った。次いで、230℃の温度で60分間のポストベイクを行い、ブラックマトリックスのパターンに開口部に同調させ、幅;85μm、厚み;1.5μmの帯状の赤色パターンを、その幅方向がブラックマトリックスの開口部の短辺方向になるよう形成した。以降、緑色のカラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物、及び青色のカラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物を順次用い、緑色のパターン、及び青色のパターンを形成し、三色の各パターンが幅方向に繰り返し配列したカラーフィルター層を形成した。
【0195】
このカラーフィルター上に、実施例8で得られた感光性ポリイミドワニスHをスピンコート法により塗布し、120℃で2分間プリベークした。ついでカラーフィルター基板端から10mmの領域をフォトマスクを用いて露光し、現像液(0.5%KOH水溶液)にて現像を行った。次いで230℃で30分焼成しカラーフィルター基板上全体を覆う透明なオーバーコート層を形成した。
【0196】
さらに、形成された保護層上に、スパッタリング法により、厚み;300nmのSiON薄膜を成膜して透明バリア層とした。続いて透明バリア層上にスパッタリング蒸着法によって厚さ125nmのITO透明電極膜を形成した。ITO膜上にフォトレジストをスピナー塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜を長さ90mm、幅80μm、ピッチ100μmのストライプ形状にパターニングした。
【0197】
抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって、正孔輸送層、白色発光層および第二電極となるアルミニウム層を順次形成した。正孔輸送層および白色発光層は、基板有効エリア全面に蒸着した。第二電極は、第一電極と直交するようにストライプ状にパターニングして形成した。
【0198】
得られた上記基板を蒸着機から取り出し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにして単純マトリクス型白色カラーフィルター式有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0199】
実施例15
ポリエーテルスルホン樹脂からなる厚さ0.2mmのポリマーフィルム基材上に、反応性スパッタリング装置でSiONからなる厚さ0.1μmのバリア層を形成した。続いてバリア層上にITOからなる厚さ0.1mmの透明電極をスパッタリング法により第一電極として形成した。ITO膜上にフォトレジストをスピナー塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜を長さ90mm、幅80μm、ピッチ100μmのストライプ形状にパターニングした。
【0200】
実施例7で得られたワニスGを前記基材上にスピン塗布し、第一電極のエッジを覆う形状のフォトマスクを介してUV露光した。露光後、2.38%TMAH水溶液で露光部分のみを溶解させることで現像し、純水でリンスした。つづいて、オーブン中の窒素雰囲気下で150℃で60分間加熱して、感光性ポリイミド樹脂膜をキュアし、ポリイミド絶縁層を得た。絶縁層の厚さは約1μmであった。絶縁層は、第一電極のエッジを覆うように形成され、中央部には幅70μm、長さ250μmの開口部が設けられて第一電極が露出している。絶縁層の断面は、図1に示すようになだらかな順テーパーになっていた。テーパー角θは30°であった。
【0201】
絶縁パターンが形成された第一電極上に、正孔輸送材料及び有機発光材料からなる厚さ1.5μmのEL層を印刷法で形成した。EL層を成膜した後、銀からなる厚さ0.5μmの金属電極を蒸着法により第二電極として形成した。その第二電極上に、2液硬化型エポキシ系接着剤からなる封止剤を厚さ50μm程度となるようにスクリーン印刷法で形成した。その封止剤上に、バリア層を備えた封止基材を設けた。なお、バリア層を備えた封止基材は、予めポリエーテルスルホン樹脂を押出し成形してなる厚さ100μmの封止基材上に、連続蒸着装置でSiONからなる厚さ0.1μmのバリア層を形成したものを用いた。
【0202】
このようにして単純マトリクス型フレキシブル有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0203】
比較例1
温度計、冷却器、ディーン−スターク・トラップ、機械式撹拌器および窒素導入管を取りつけた容量500mlの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下でBAHF 7.32g(0.02モル)を、モノクロロベンゼン(MCB)128mlおよびNMP32.0mlと共に装入した。この混合物を、透明な溶液が得られるまで撹拌し、5,5’−オキシ−ビス−1,3−イソベンゾフランジオン[=4,4’−オキシジフタル酸二無水物,ODPA]6.2g(0.02モル)を添加した。フラスコの内容物を90℃に加熱し、0.04gのp−トルエンスルホン酸(PTSA)を添加した。内容物を次いで還流温度(約142℃)で加熱した。最初の1時間で、約100mlの水−クロロベンゼン共沸留出物がディーン−スターク・トラップに分離された。フラスコに新たに100mlのクロロベンゼンを追加し、内容物を142〜145℃で10時間還流加熱した。
【0204】
次いで100mlのNMPをフラスコに添加した。過剰のモノクロロベンゼンを160〜165℃で留去した。反応混合物を冷却し、氷−水−メタノール混合物中で徐々に沈澱を析出させた。析出した白色沈澱を熱水で十分に洗浄し、得られたポリマーを125℃の減圧乾燥器内で1夜乾燥した。このポリマーの対数粘度は、25℃のジメチルアセトアミド中濃度0.5g/dlで0.50dl/gであった。
【0205】
このヒドロキシポリイミド13重量部およびトリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸混合エステル(Z−2000感光剤)13重量部を、同重量のPGMEとNMPとからなる混合溶剤74重量部に溶解して、感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスMを得た。ワニスMの粘度は500mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように各種評価を行った結果を表2に示す。
【0206】
比較例2
ジアミンとして、3,5−ジアミノ安息香酸(DBA)2.28g(0.015モル)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)6.49(0.015モル)、酸二無水物として6FDA13.3g(0.03モル)、NMP125gを用い室温で8時間反応させた。NMPで固形分7重量%に希釈後、無水酢酸 24.7g、ピリジン28.7gを加え、40℃で30分反応させた。この溶液をエタノール中へ投入し、ろ別乾燥して淡い褐色をおびた粉末約22gを得た。この粉末の赤外吸収スペクトルを測定した結果、1780cm−1付近、800cm−1付近にイミド基のピークが確認された。この粉末のNMRスペクトル測定をした結果、アセチル基のピークは確認されなかった。このポリイミドポリマーのジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.55dl/gであった。
【0207】
こうして得られた有機溶媒可溶性ポリイミド樹脂のNMP溶液に、樹脂100重量部に対して2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸の3モル置換化合物(4NT−300)50重量部を加え、感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスNを得た。ワニスNの粘度は180mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように各種評価を行った結果を表2に示す。
【0208】
比較例3
反応容器に無水トリメリット酸134g(0.70モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸55g(0.30モル)、イソホロンジイソシアネート229g(1.03モル)、フッ化カリウム1.2g、及びNMP375gを加え、130℃で1時間反応させ、190℃に昇温し、さらに190℃で5時間反応させ、ポリアミドイミド樹脂を得た。このポリアミドイミド樹脂のジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.47dl/gであった。
【0209】
このようにして得られたポリアミドイミドポリマーHを用いて実施例1と同様にワニス調整を行い、感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスOを得た。ワニスOの粘度は170mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように各種評価を行った結果を表2に示す。
【0210】
比較例4
撹拌器を取りつけた300mlのセパラブル3つ口フラスコにシリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取りつけた容器に、6FDA17.77g、および3,3’−ジヒドロキシベンジジン(HOAB)6.05g、3,5−ジアミノ安息香酸(DAB)1.82g、さらにγ−カプロラクトン0.45g、ピリジン0.63g、NMP96.8g、トルエン19.4gを加え180℃に昇温し2時間反応させた。回転数は250rpmとし、反応が低下するに従い適宜低下させた。なお反応中に生成する水をシリコンコックより取り除き、反応液(ワニス)を得た。その後、反応液をメタノール中に投入し高速攪拌したのち、ガラスフィルタでろ過し、白色ポリイミド樹脂粉末を16.0g得た。
このポリイミド樹脂のジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.50dl/gであった。本ホリイミド粉末16.0gをプロピレングリコール−1−モノメチルエーテルの12%溶液とし、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)3.6gおよび合成例6で得られたキノンジアジド化合物(f)3.6を感光剤として加え、感光性ポリイミドのワニスPを得た。ワニスPの粘度は80mPa・sであった。得られたワニスを用いて前記のように各種評価を行った結果を表2に示す。
【0211】
比較例5
乾燥窒素気流下、BAHF29.30g(0.08モル)、SiDA1.24g(0.005モル)をNMP80gに溶解させた。ここにODPA31.2gをNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間攪拌した。攪拌終了後、溶液を水3lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマー固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーのジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dlに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.48dl/gであった。
【0212】
このようにして得られたポリイミドポリマーJ11.74gに、合成例5で得られたキノンジアジド化合物(e)1.76gをNMP66.5gに加えて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスQを得た。ワニスQの粘度は170mPa・sであった。得られたワニスQを用いて前記のように各種評価を行った結果を表2に示す。
【0213】
【表1】

【0214】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】絶縁層の境界部分を示す図
【符号の説明】
【0216】
1 基板
2 第一電極
3 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂および(b)光酸発生剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rは4〜14価の有機基、Rは2〜12価の有機基を示す。RおよびRは水素原子または、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基、炭素数1〜20の有機基より選ばれる基を示し、同じでも異なっていてもよい。Rは2価の有機基を示す。XおよびYはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基より選ばれる基を少なくとも一つ有する1価の有機基を示す。nは3〜200の範囲を示す。m、rおよびsは0〜10の整数を示す。)
【請求項2】
一般式(1)〜(4)において、Rおよび/またはRの全部または一部が、両端に芳香族環および/または複素環を有し、かつアミド基を有する有機基であり、かつ前記アミド基のRおよびRの総量に対する割合が10〜200モル%であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに(c)熱架橋性化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(c)熱架橋性化合物が一般式(5)で表される有機基を有することを特徴とする請求項3記載の感光性樹脂組成物。
【化2】

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜20の環状脂肪族基を示す。)
【請求項5】
さらに(d)2級の芳香族アミノ基と、アルコキシ基を有するケイ素原子とを含む化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
少なくとも(1)請求項1〜5のいずれか記載の感光性樹脂組成物を基材に塗布し感光性樹脂組成物被膜を得る工程、(2)感光性樹脂組成物被膜を紫外線で露光する工程、(3)露光した感光性樹脂組成物被膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程および(4)現像した感光性樹脂組成物被膜を加熱処理する工程を含む耐熱性樹脂パターンの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法で得られた耐熱性樹脂パターンを有する有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2007−183388(P2007−183388A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1134(P2006−1134)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】