説明

感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子

【課題】屈折率が低く、更には、基板に対する密着性に優れ、かつ高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供する。
【解決手段】(A)中空又は多孔質粒子と、(B)光重合開始剤と、(C)アルカリ可溶性基及び重合性基を含む1価の基を有する珪素原子を含有する構造単位、アルカリ可溶性基を含む1価の基を有する珪素原子を含有する構造単位と、重合性基を含む1価の基を有する珪素原子を含有する構造単位、又はアルカリ可溶性基を含む1価の基と重合性基を含む1価の基とを有する珪素原子を含有する構造単位を少なくとも含有する化合物、とを含有する感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
低屈折率膜は、反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射又は赤色反射膜、輝線カットフィルター、色調補正膜に含まれる光学機能膜として光学部材に形成される。
【0003】
表面形状が平坦な光学部材に限らず、液晶用バックライトの輝度向上レンズフィルムや拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズやレンチキュラーレンズ又はマイクロレンズなどの光学機能部材では、いずれも樹脂材料が微細構造体をもつことで所望の幾何光学的な性能を得ているが、これらの微細構造体表面にも低屈折率膜を含む光学機能膜は必要とされている。
【0004】
低屈折率膜を反射防止膜として用いる場合、単層構造の低屈折率膜はそのまま反射防止膜となる。単層構造の反射防止膜の屈折率としては、基材が樹脂材料等の透明材料である場合は、1.2〜1.35の範囲の低屈折率が望まれる。
【0005】
低屈折率膜の代表的な材料には、屈折率が1.35〜1.4のフッ素系高分子材料や、屈折率が1.37〜1.46であるフッ素モノマーの重合体からなる微粒子を融着させた多孔質材料を含む層があるが(例えば、特許文献1参照)、屈折率が1.3以下の材料は得られていない。
【0006】
このような反射率特性に加え、更には製造工程の煩雑さなど多くの課題解決が望まれている。特許文献2及び3には製造工程の煩雑性を解消するため、フォトレジストを用いないパターニング方法として、感光性を備えたシリカ系材料を用いて、それ自体を露光・現像してパターンを形成する方法が記載されているが、パターン形成における解像性が不充分であるとともに、得られるパターンの屈折率性も不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−21036号公報
【特許文献2】特開2010−31222号公報
【特許文献3】特開2010−32996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、屈折率が低く、更には、基板に対する密着性に優れ、かつ高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
【0010】
[1](A)中空又は多孔質粒子と、
(B)光重合開始剤と、
(C)下記一般式(1)で表される構造単位;下記一般式(2−1)で表される構造単位と下記一般式(2−2)で表される構造単位;及び下記一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含有する化合物、とを含有する感光性組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式中、R11、R21及びR22は各々独立に、単結合若しくは2価の連結基、又は1価の置換基を表す。R11、R21及びR22が各々独立に単結合若しくは2価の連結基である場合、該単結合若しくは2価の連結基は化合物(C)が有する別の珪素原子と連結する。
11、X21、X22及びX31は各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
APは、アルカリ可溶性基及び重合性基を含む1価の基を表す。
は、アルカリ可溶性基を含む1価の基を表す。
は、重合性基を含む1価の基を表す。
[2]前記化合物(C)が樹脂であり、樹脂の主鎖に珪素原子を含有する、上記[1]に記載の感光性組成物。
[3]前記一般式(1)で表される構造単位;前記一般式(2−1)で表される構造単位と前記一般式(2−2)で表される構造単位;及び前記一般式(3)で表される構造単位のいずれかが、前記化合物(C)としての樹脂の主鎖に含まれる、上記[2]に記載の感光性組成物。
[4]前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)及び(3)において、X11、X21、X22及びX31は各々独立に、単結合、又は酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、若しくはこれらの組み合わせを表す、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[5]前記一般式(1)、(2−1)及び(2−2)において、R11、R21及びR22は各々独立に、1価の置換基を表す、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[6]前記一般式(1)、(2−1)及び(2−2)において、R11、R21及びR22は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基を表す、上記[5]に記載の感光性組成物。
[7]前記樹脂(C)の数平均分子量が400〜50000である、上記[2]〜[6]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[8]前記中空又は多孔質粒子(A)がシリカ粒子である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の感光性組成物であるパターン形成材料。
[10]上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の感光性組成物により形成される感光性膜。
[11]上記[10]に記載の感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含むパターン形成方法。
[12]上記[11]に記載のパターン形成方法により得られるパターン膜。
[13]上記[12]に記載のパターン膜である低屈折率膜。
[14]上記[13]に記載の低屈折率膜を有する光学デバイス。
[15]上記[14]に記載の光学デバイスを備えた固体撮像素子。
【0013】
本発明は、更に、下記構成であることも好ましい。
[16]前記中空又は多孔質粒子(A)が中空粒子である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[17]前記中空又は多孔質粒子(A)が多孔質粒子である、上記[1]〜[8]及び[16]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[18]前記一般式(1)、(2−1)及び(2−2)において、R11、R21及びR22は各々独立に、アルキル基又はアルコキシ基を表す、上記[6]〜[8]、[16]及び[17]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[19]前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)及び(3)において、X11、X21、X22及びX31は各々独立に、酸素原子又はアルキレン基を表す、上記[4]〜[8]及び[16]〜[18]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、屈折率が低く、更には、基板に対する密着性に優れ、かつ高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に記述する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0016】
本発明の感光性組成物は、(A)中空又は多孔質粒子と、(B)光重合開始剤と、(C)後述の一般式(1)で表される構造単位;後述の一般式(2−1)で表される構造単位と後述の一般式(2−2)で表される構造単位;及び後述の一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含有する化合物、とを含有している。
【0017】
本発明の感光性組成物を用いることによって、本発明の効果が得られる理由は定かではないが、中空又は多孔質粒子(A)を使用することによって、得られるパターンの屈折率を充分に低減できるとともに、光重合開始剤(B)と化合物(C)とを組み合わせて使用することが、基板に対する密着性に優れ、かつ高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンが得られることに大きく寄与しているものと考えられる。
【0018】
本発明に係る感光性組成物は、典型的には、ネガ型の組成物(ネガパターンを形成する組成物)である。
また、本発明は、上記感光性組成物であるパターン形成材料にも関する。
【0019】
以下、本発明の感光性組成物の各成分について詳述する。
【0020】
[1](A)中空又は多孔質粒子
中空粒子は、内部に空洞を有する構造のものであり、外郭に包囲された空洞を有する粒子を指し、多孔質粒子は、多数の空洞を有する多孔質の粒子を指す。
このような粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空又は多孔質粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
中空又は多孔質粒子は、屈折率を低下しやすい観点から、中空粒子であることがより好ましい。例えば、中空粒子をシリカで構成した場合には、中空シリカ粒子は、屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低くなる。
【0021】
中空粒子の製造方法としては、例えば特開2001−233611号公報に記載されている。また、多孔質粒子の製造方法は、例えば特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載されている。
【0022】
また、中空又は多孔質粒子は、平均粒子径が1〜200nmであることが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
中空又は多孔質粒子の平均粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒径とする(通常、平均粒径を求めるために300個以上の粒子について測定する)。
【0023】
中空又は多孔質粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは、1.15〜1.35、最も好ましくは1.15〜1.30である。
ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、粒子が中空粒子である場合、中空粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。粒子が多孔質粒子である場合、多孔質粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
【0024】
中空又は多孔質粒子は、低屈折率化の観点からは、中空又は多孔質の無機粒子が好ましい。無機の低屈折率粒子としては、フッ化マグネシウムやシリカの粒子が挙げられ、低屈折率性、分散安定性、コストの観点から、シリカ粒子であることがより好ましい。
これらの無機粒子の一次粒子径は、1〜100nmであることが好ましく、1〜60nmであることがより好ましい。
無機粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球形状が最も好ましいが、数珠状、長径と短径の比が1以上の形状、あるいは不定形状であってもよい。
【0025】
無機粒子の比表面積は、10〜2000m/gであることが好ましく、20〜1800m/gであることが更に好ましく、50〜1500m/gであることが最も好ましい。
【0026】
無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいは、バインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
すなわち、無機粒子がシリカ粒子であり、カップリング剤がシラン化合物である場合、シラン化合物とシラノール基との反応により、オルガノシリル基(モノオルガノシリル、ジオルガノシリル、トリオルガノシリル基)がシリカ粒子の表面に結合するものである。表面処理されたシリカ粒子がその表面に有する有機基としては、飽和又は不飽和の炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。
上記カップリング剤は、無機粒子の表面処理剤として低屈折率膜用塗布液の調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられても、塗布液調製時に更に添加剤として添加してもよい。
無機粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
【0027】
シリカ粒子としては市販されているものを好ましく用いることができる。
例えば日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズ(イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)分散など)、OSCALシリーズ、日産化学(株)製スノーテックスシリーズ(IPA分散、エチレングリコール分散、メチルエチルケトン(MEK)分散、ジメチルアセトアミド分散、MIBK分散、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メタノール分散、酢酸エチル分散、酢酸ブチル分散、キシレン−n−ブタノール分散、トルエン分散など)、日鉄鉱業(株)製シリナックス、扶桑化学工業(株)製PLシリーズ(IPA分散、トルエン分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メチルエチルケトン分散など)、EVONIK社製アエロジルシリーズ(プロピレングリコールアセテート分散、エチレングリコール分散、MIBK分散など)、EVONIK社製AERODISPシリーズなどのシリカ粒子を用いることができる。低屈折率性の観点では、日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズが好ましい。
【0028】
シリカ粒子を、シリカ粒子と粒子分散剤(粒子分散剤の詳細は後述する)とを含有する分散液として、感光性組成物に添加する場合、シリカ粒子のシリカ分散液中の含有量は、10質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0029】
中空又は多孔質粒子は、1種を単独で用いてもよく、或いは2種以上を併用しても良い。2種以上を併用する場合、例えば、中空粒子と多孔質粒子とを併用しても良い。
【0030】
感光性組成物の全固形分に対する中空又は多孔質粒子の含有量は、5質量%〜95質量%であることが好ましく、10質量%〜90質量%であることがより好ましく、20質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
【0031】
感光性組成物を用いて膜を形成する場合、中空又は多孔質粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。1mg/m以上であることによって、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果を確実に得ることができるとともに、100mg/m以下であることによって、膜の表面に微細な凹凸ができて積分反射率が悪化することを抑制できる。
【0032】
[2](A’)粒子分散剤
本発明の感光性組成物は、中空又は多孔質粒子の分散性を向上させる観点から、更に、(A’)粒子分散剤を含有することが好ましい。
【0033】
粒子分散剤としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などの分散樹脂や、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の化合物を挙げることができるが、樹脂であることが好ましい(以下、これを「分散樹脂」とも言う)。
分散樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0034】
分散樹脂は粒子の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
【0035】
分散樹脂の質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1000〜2×10であることが好ましく、2000〜1×10であることが更に好ましく、5000〜5×10であることが特に好ましい。
【0036】
分散樹脂は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、森下産業社製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ社製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の分散樹脂等が挙げられる。
【0037】
分散樹脂は、現像性バインダー樹脂(E)において後に説明する一般式(21)〜(23)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい。
また、分散樹脂は、現像性バインダー樹脂(E)において後述する一般式(E−1)で表される化合物を共重合体として使用することにより得られる樹脂であってもよい。
【0038】
また、粒子分散剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性海面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は市販品でも入手可能であり、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000(日本ルーブリゾール(株)製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(以上、共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(以上、裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(以上、(株)ADEKA製)、及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤も挙げられる。
【0039】
また、ELEBASE BA−100、BA−200、BCP−2、BUB−3、BUB−4、CP−800K、EDP−475、HEB−5、ファインサーフ 270、7045、7085、ブラウノン DSP−12.5、DT−03、L−205、LPE−1007、O−205、S−202、S−204、S−207、S−205T(青木油脂工業)、EMULGEN A−500、PP−290、アミート102、105、302、320、アミノーンPK−02S、エマノーンCH−25、エマルゲン 104P、108、404、408、A−60、A−90、B−66、LS−106、LS−114、レオドール430V、440V、460V、TW−S106、TW−S120V、レオドールスーパー TW−L120(花王)、ニューカルゲン 3000S、フS−3PG、FE−7PG、パイオニン D−6414(竹本油脂)、DYNOL604、オルフィン PD−002W、サーフィノール 2502、440、465、485、61(日信化学工業)等を挙げることができる。
また、フォスファノール ML−200、エマール20T、E−27、ネオペレックスGS、ペレックスNBL、SS−H、SS−L、ポイズ532A、ラムテルASK、E−118B、E−150(花王(株))、EMULSOGEN COL−020、070、080(クラリアント)、プライサーフ A208B、A210B、A210G、A219B、AL、ラベリンFC−45(第一工業製薬)、パイオニン A−24−EA、A−28−B、A−29−M、A−44−B、A−44TW(竹本油脂)、AKYPO RLM100NV、RLM45、RLM45NV、ECT−3、ECT−3NEX、ECT−7、ホステンHLP、HLP−1、HLP−TEA(日本サーファクタント工業)が挙げられる。
これらの粒子分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
感光性組成物における粒子分散剤の含有量は、中空又は多孔質粒子に対して1〜100質量%であることが好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。
具体的には、粒子分散剤が分散樹脂である場合、その使用量は、中空又は多孔質粒子に対して、5〜100質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
【0041】
[3](B)光重合開始剤
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤を含有することによって感光性が付与された本発明の感光性組成物は、フォトレジスト、カラーレジスト、光学用コーティング材料等に好適に用いることができるようになる。
【0042】
光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約200〜800nm(300〜450nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0043】
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0044】
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤においては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物類、ロフィンダイマー類、ベンゾイン類、ケタール類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、有機過酸化物、チオ化合物、ジスルフィド化合物類、アゾ化合物、ホウ酸塩類、無機錯体、クマリン類、ケトン化合物(ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チオクロマノン類、アントラキノン類)、芳香族オニウム塩、フルオロアミン化合物類、ケトオキシムエーテル、アセトフェノン類(アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、オキシム誘導体等のオキシム化合物、などが挙げられる。
【0045】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0046】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0047】
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
【0048】
ホウ酸塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martinらの“Rad Tech’98.Proceeding April”、19〜22頁(1998年,Chicago)等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号公報の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
【0049】
また、上記以外のラジカル重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0050】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0051】
ラジカル重合開始剤としては、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、及びオキシム化合物からなる群より選択される化合物が更に好ましい。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、及び、オキシム系開始剤、更にオキシム系開始剤として、特開2001−233842号記載の化合物も用いることができる。
【0052】
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
【0053】
ヒドロキシアセトフェノン化合物は、下記式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0054】
【化2】

【0055】
式(V)中、Rは水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基)、又は、2価の有機基を表す。Rが2価の有機基である場合、2個の光活性なヒドロキシアセトフェノン構造(すなわち、一般式(V)で表される化合物から置換基Rを除外した構造)がRを介して連結してなる2量体を表す。R、Rは互いに独立して、水素原子、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)を表す。また、RとRは結合して環(好ましくは炭素数4〜8の環)を形成していてもよい。
上記Rとしてのアルキル基及びアルコキシ基、R及びRとしてのアルキル基、並びに、RとRとが結合して形成される環は、更に置換基を有していてもよい。
【0056】
ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCURE 1173)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルブタン−1−オン、1−(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−カルボエトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)などが挙げられる。
また、市販のα−ヒドロキシアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュア184(IRGACURE 184)、ダロキュア1173(DAROCURE 1173)、イルガキュア127(IRGACURE127)、イルガキュア2959(IRGACURE 2959)、イルガキュア1800(IRGACURE1800)、イルガキュア1870(IRGACURE1870)及びダロキュア4265(DAROCURE4265)の商品名で入手可能な重合開始剤も使用することができる。
【0057】
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819、IRGACURE−819DW,DAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。また特開2009−134098記載のホスフィン系開始剤も適用できる。
【0058】
本発明で光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0059】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASFジャパン社製)、IRGACURE−OXE02(BASFジャパン社製)、CGI−124(BASFジャパン社製)、CGI−242(BASFジャパン社製)も好適に用いられる。
更に、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム結合のN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0060】
【化3】

【0061】
(式(I)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0062】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0063】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0064】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0065】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0066】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0067】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0068】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0069】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0070】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0071】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(II)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0072】
【化4】

【0073】
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロヘキシレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0074】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0075】
式(I)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0076】
【化5】

【0077】
オキシム化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0078】
【化6】

【0079】
(式(II)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(II)におけるR、A、及びArは、前記式(I)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0080】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0081】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0082】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(II)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0083】
【化7】

【0084】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0085】
【化8】

【0086】
更にオキシム化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0087】
【化9】

【0088】
(式(III)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(III)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(II)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0089】
以下、好適に用いられるオキシム化合物の具体例(B−1)〜(B−10)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
【化10】

【0091】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0092】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜300,000であることがより好ましく、10000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0093】
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤としては、例えば、紫外線等のエネルギー線を受けることにより光カチオン重合を開始させる物質を生成する化合物であれば良く、オニウム塩が好ましく、芳香族オニウム塩がより好ましく、アリールスルホニウム塩及びアリールヨウドニウム塩が更に好ましい。
【0094】
オニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル]スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジエニル)[1,2,3,4,5,6−η]−(メチルエチル)−ベンゼン]−鉄(1+)等が挙げられる。アニオンの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl)、過塩素酸イオン(ClO)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、フルオロスルホン酸イオン(FSO)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオン、トリニトロトルエンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0095】
特に、芳香族オニウム塩の具体例としては、特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、o−ニトロベンジルエステル化合物、イミドスルホネート化合物、ビススルホニルジアゾメタン化合物、オキシムスルホネート化合物を挙げることができる。
【0096】
本発明で用いることができる光カチオン重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物を広く採用することができる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。これらの化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光カチオン重合開始剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
【0097】
光カチオン重合開始剤の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6992、(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、(株)ADEKA製)、Irgacure 261、IRGACURE OXE01、IRGACURE CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311、CGI−263、CGI−268、CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311(以上、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、PHOTOINITIATOR 2074(ローディア社製)、UR−1104、UR−1105、UR−1106、UR−1107、UR−1113、UR−1114、UR−1115、UR−1118、UR−1200、UR−1201、UR−1202、UR−1203、UR−1204、UR−1205、UR−1207、UR−1401、UR−1402、UR−1403、UR−M1010、UR−M1011、UR−M10112、UR−SAIT01、UR−SAIT02、UR−SAIT03、UR−SAIT04、UR−SAIT05、UR−SAIT06、UR−SAIT07、UR−SAIT08、UR−SAIT09、UR−SAIT10、UR−SAIT11、UR−SAIT12、UR−SAIT13、UR−SAIT14、UR−SAIT15、UR−SAIT16、UR−SAIT22、UR−SAIT30(以上、URAY社製)などを挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−171、SP−172、CD−1012、MPI−103は、これらを含有してなる組成物により高い光硬化感度を発現させることができる。上記の光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0098】
光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を自由に組み合わせても良い。
【0099】
本発明の感光性組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
【0100】
[4](C)一般式(1)で表される構造単位;一般式(2−1)で表される構造単位と一般式(2−2)で表される構造単位;及び一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含有する化合物
本発明の感光性組成物は、(C)下記一般式(1)で表される構造単位;下記一般式(2−1)で表される構造単位と下記一般式(2−2)で表される構造単位;及び下記一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含有する化合物(以下“化合物(C)”とも言う)を必須成分として含有する。すなわち化合物(C)は、下記一般式(1)で表される構造単位、下記一般式(2−1)で表される構造単位と下記一般式(2−2)で表される構造単位、又は下記一般式(3)で表される構造単位を少なくとも含有する。化合物(C)は、アルカリ可溶性基と重合性基を有することにより、未露光部においてはアルカリ現像液に対する現像性をアルカリ可溶性基から得ることができ、一方で露光部においては光重合開始剤(B)が発生するラジカル等の活性種の作用により重合性基が重合し、アルカリ現像液に対する溶解性が減少するという性質を有する。更に、珪素原子を含有することにより、形成される膜の屈折率が低下するという性質を有する。
【0101】
【化11】

【0102】
一般式中、R11、R21及びR22は各々独立に、単結合若しくは2価の連結基、又は1価の置換基を表す。R11、R21及びR22が各々独立に単結合若しくは2価の連結基である場合、該単結合若しくは2価の連結基は化合物(C)が有する別の珪素原子と連結する。
11、X21、X22及びX31は各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
APは、アルカリ可溶性基及び重合性基を含む1価の基を表す。
は、アルカリ可溶性基を含む1価の基を表す。
は、重合性基を含む1価の基を表す。
【0103】
11、R21及びR22は各々独立に、単結合若しくは2価の連結基、又は1価の置換基を表す。R11、R21及びR22は各々独立に、1価の置換基を表すことが好ましい。R11、R21及びR22が単結合又は2価の連結基であるとき、一般式(1)、(2−1)、(2−2)及び(3)で表される各構造単位は、一般式(1)、(2−1)、(2−2)及び(3)で表される別の構造単位、又は、後述の一般式(4)で表される構造単位等のその他の珪素含有繰り返し単位と、前記単結合又は2価の連結基を介して結合する。
11、R21及びR22で表される2価の連結基としては、酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
11、R21及びR22で表されるアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜4である。
11、R21及びR22で表されるアルケニレン基は、好ましくは炭素数2〜10のアルケニレン基であり、より好ましくは炭素数2〜4であり、任意の位置に不飽和二重結合を有していてよい。
11、R21及びR22で表されるアルキニレン基は、好ましくは炭素数2〜10のアルキニレン基であり、より好ましくは炭素数2〜4であり、任意の位置に不飽和三重結合を有していてよい。
11、R21及びR22で表されるアリーレン基は、好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜10である。
11、R21及びR22で表される2価の連結基は、酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基からなる群より選択される少なくとも2つを組み合わせてなる基であってもよく、酸素原子及びアルキレン基からなる群より選択される少なくとも2つを組み合わせてなる基であることが好ましい。これら少なくとも2つを組み合わせてなる基における総炭素数は、1〜40であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましい。
11、R21及びR22で表される2価の連結基は置換基を有していても良く、置換基としてはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4)、アミノ基、複素環基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10)、ハロゲン原子等が挙げられる。
低屈折率性の観点から、R11、R21及びR22で表される単結合又は2価の連結基としては、酸素原子、アルキレン基、又は酸素原子及びアルキレン基からなる群より選択される少なくとも2つを組み合わせてなる基であることが好ましく、酸素原子又はアルキレン基がより好ましい。
【0104】
11、R21及びR22で表される1価の置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、より好ましくは炭素数3〜12、更に好ましくは炭素数3〜7)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)などが挙げられる。これら基は置換基を有していても良く、置換基としては前述のR11、R21及びR22で表される2価の連結基が有していても良い置換基の具体例と同様のものが挙げられる。
11、R21及びR22が各々独立に、1価の置換基を表す場合、R11、R21及びR22は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基を表すことが好ましく、より好ましくはアルキル基又はアルコキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0105】
11、X21、X22及びX31で表される単結合又は2価の連結基としては、2価の連結基であることが好ましい。X11、X21、X22及びX31で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲は、R11、R21及びR22で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
【0106】
APで表される1価の基及びRで表される1価の基に含まれるアルカリ可溶性基、並びにRAPで表される1価の基及びRで表される1価の基に含まれる重合性基について説明する。
【0107】
(アルカリ可溶性基)
本発明におけるアルカリ可溶性基としては、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、アルカリ現像液との反応によって塩を生じる基が好ましく、具体的には酸基がより好ましい。例えば、カルボキシル基、活性メチレン基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられる、低屈折率性の観点から、カルボキシル基、活性メチレン基であることがより好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。なお活性メチレン基としては、−NH−C(O)−CH−C(O)−Rで表される基であることが好ましく、Rはアルキル基又はアルコキシ基を表し、これら基はフッ素原子等の置換基を有していてもよい。Rは好ましくは炭素数1〜6の、アルキル基又はアルコキシ基であり、より好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基又はメトキシ基である。
【0108】
(重合性基)
本発明における重合性基としては、特に制限されないが、ラジカル、カチオン又は加熱により重合反応する結合を有する基が好ましく、不飽和基(炭素−炭素不飽和二重結合など)、エポシキ基、オキセタン基等を挙げることができ、不飽和基であることがより好ましい。
【0109】
前記不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びチオ(メタ)アクリロイル基以外の炭素−炭素不飽和基が挙げられる。
【0110】
前記(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びチオ(メタ)アクリロイル基以外の炭素−炭素不飽和基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基又は加熱により反応する結合を有する基が好ましい。このような炭素−炭素不飽和基としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、スチリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、プロパルギルエーテル基、プロパルギルエステル基、ジシクロペンテニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、アリルエステル基、プロパルギルエステル基、ジシクロペンテニル基が特に好ましく、ビニル基が最も好ましい。
本発明における重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、チオ(メタ)アクリロイル基又はビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基又はビニル基がより好ましい。
【0111】
APで表されるアルカリ可溶性基及び重合性基を含む1価の基は、前述のアルカリ可溶性基及び重合性基の両者を含む限り特に限定されないが、前述のアルカリ可溶性基及び重合性基と、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−C(O)O―、−C(O)N(R)―、−C(O)S―、−N(R)―、−Si(R―及びこれらを組み合わせてなる連結基からなる群より選択される少なくとも一つ、とを組み合わせてなる1価の基であってもよい。好ましくは、前述のアルカリ可溶性基及び重合性基と、酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−C(O)O―、−C(O)N(R)―及びこれらを組み合わせてなる連結基からなる群より選択される少なくとも一つ、とを組み合わせてなる1価の基である。ここでRは水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)を表し、水素原子であることが好ましい。
【0112】
APで表される1価の基に含まれる、アルカリ可溶性基の数は特に限定されないが、一般的に1〜6個であり、好ましくは1〜4個であり、より好ましくは1又は2個である。現像性付与の観点では、2個以上含有されることが好ましい。
APで表される1価の基に含まれる、重合性基の数は特に限定されないが、一般的に1〜6個であり、好ましくは1〜4個であり、より好ましくは1又は2個である。耐擦傷性付与の観点では、2個以上含有されることが好ましい。
APで表される1価の基の総炭素数(すなわち、RAPで表される残基の総炭素数)は特に限定されないが、一般的に3〜40であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。RAPで表される1価の基の分子量(すなわち、RAPで表される残基の分子量)は特に限定されないが、一般的に50〜2000の範囲であり、好ましくは50〜1000であり、より好ましくは50〜500である。
【0113】
で表されるアルカリ可溶性基を含む1価の基、及びRで表される重合性基を含む1価の基は、Rで表されるアルカリ可溶性基を含む1価の基が前述のアルカリ可溶性基を含み、Rで表される重合性基を含む1価の基が前述の重合性基を含む限り特に限定されないが、前述のアルカリ可溶性基若しくは重合性基自体、又は、アルカリ可溶性基若しくは重合性基と、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−C(O)O―、−C(O)N(R)―、−C(O)S―、−N(R)―、−Si(R―及びこれらを組み合わせてなる連結基からなる群より選択される少なくとも一つ、とを組み合わせてなる1価の基であってもよい。好ましくは、前述のアルカリ可溶性基若しくは重合性基自体、又は、アルカリ可溶性基若しくは重合性基と、酸素原子、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−C(O)O―、−C(O)N(R)―及びこれらを組み合わせてなる連結基からなる群より選択される少なくとも一つ、とを組み合わせてなる1価の基である。ここでRは前記と同様である。
【0114】
で表される1価の基に含まれるアルカリ可溶性基の数、Rで表される1価の基の総炭素数及び分子量(すなわち、Rで表される残基の総炭素数及び分子量)、Rで表される1価の基に含まれる重合性基の数は、前述のRAPにおけるものとそれぞれ同様である。
で表される1価の基の総炭素数(すなわち、Rで表される残基の総炭素数)は特に限定されないが、一般的に2〜40であり、好ましくは2〜30であり、より好ましくは2〜20である。Rで表される1価の基の分子量(すなわち、Rで表される残基の分子量)は特に限定されないが、一般的に20〜2000の範囲であり、好ましくは20〜1000であり、より好ましくは20〜500である。
【0115】
(珪素原子を含有する構造単位を含む重合体)
本発明の化合物(C)は、上述の一般式(1)で表される構造単位;一般式(2−1)で表される構造単位と一般式(2−2)で表される構造単位;及び一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含む重合体であることが好ましく、重合体の形態としては特に制限は無く、例えば公知の直鎖状の重合体、かご型ポリシロキサン、ラダー型ポリシロキサンなどを挙げることができる。本発明の化合物(C)は、解像性及び塗布性の観点で、樹脂であることが好ましく、樹脂の主鎖に珪素原子を含有する樹脂であることが、更なる低屈折率化の観点で好ましい。直鎖状の重合体である樹脂としては、例えば、直鎖状ポリシロキサン、直鎖状ポリカルボシラン等が挙げられ、その中でも直鎖状ポリシロキサンであることが原料入手性の観点からより好ましい。
【0116】
(かご型ポリシロキサン、ラダー型ポリシロキサン)
かご型ポリシロキサン及びラダー型ポリシロキサンは、シルセスキオキサン構造を有する化合物の一種である。シルセスキオキサン構造とは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している構造(珪素原子数に対する酸素原子数が1.5)である。かご型ポリシロキサン及びラダー型ポリシロキサンの具体例は、例えば特開2010−78834に記載されるものが挙げられる。
【0117】
(直鎖状の重合体である樹脂)
本発明の直鎖状の重合体である樹脂は、上記の構造単位を有する直鎖状の重合体である樹脂であれば特に限定されないが、塗布性、現像性、パターン形成性、原料入手性の観点から選ばれることが好ましい。更に好ましくは、有機溶剤に可溶で、かつ、弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
本発明の直鎖状の重合体である樹脂において、一般式(1)で表される構造単位;一般式(2−1)で表される構造単位と一般式(2−2)で表される構造単位;及び一般式(3)で表される構造単位のいずれかは化合物(C)としての樹脂の主鎖を構成していることが好ましく、直鎖状ポリシロキサンの主鎖を構成していることがより好ましい。
本発明の直鎖状の重合体である樹脂における、一般式(1)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。
本発明の直鎖状の重合体である樹脂における、一般式(2−1)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%であることが好ましく、10〜45モル%であることがより好ましい。また一般式(2−2)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。一般式(2−2)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)が重合性基として(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基又はチオ(メタ)アクリロイル基を有する場合、一般式(2−2)で表される構造単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%であることが更に好ましく、10〜45モル%であることが更により好ましい。一般式(2−2)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)が重合性基として(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基及びチオ(メタ)アクリロイル基以外の炭素−炭素不飽和基を有する場合、一般式(2−2)で表される構造単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、40〜90モル%であることが更に好ましく、60〜90モル%であることが更により好ましい。
本発明の直鎖状の重合体である樹脂における、一般式(3)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。
【0118】
上述の一般式(1)で表される構造単位;一般式(2−1)で表される構造単位と一般式(2−2)で表される構造単位;及び一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含む重合体において、これらの構造単位以外の構造単位が重合体に含まれていてもよい。そのような構造単位としては、下記一般式(4)で表される構造単位が挙げられる。
【0119】
【化12】

【0120】
一般式(4)中、R41及びR42は各々独立に、単結合若しくは2価の連結基、又は水素原子若しくは1価の置換基を表す。但し、R41及びR42はアルカリ可溶性基及び重合性基を有さない。R41及びR42が各々独立に単結合又は2価の連結基である場合、該単結合又は2価の連結基は化合物(C)が有する別の珪素原子と連結する。
41は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0121】
41及びR42で表される、単結合若しくは2価の連結基、又は水素原子若しくは1価の置換基としては、2価の連結基又は1価の置換基であることが好ましい。
41及びR42で表される2価の連結基及び1価の置換基としては、前述のR11、R21及びR22で表される2価の連結基及び1価の置換基の具体例及び好ましい例がそれぞれ同様に挙げられるが、R41及びR42はアルカリ可溶性基及び重合性基を有さない。
41で表される単結合又は2価の連結基としては、2価の連結基であることが好ましい。X41で表される2価の連結基としては、前述のR11、R21及びR22で表される2価の連結基の具体例及び好ましい例が同様に挙げられる。
【0122】
本発明の直鎖状の重合体である樹脂は、上記一般式(4)で表される構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、一般式(4)で表される構造単位(すなわち、繰り返し単位)の含有量は、樹脂の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%であることが好ましく、10〜90モル%であることがより好ましい。
【0123】
前記重合体は、市販の珪素原子含有重合体を修飾し、アルカリ可溶性基や重合性基を導入する方法や、アルカリ可溶性基や重合性基を有する各モノマー構成単位に対応するオルガノハロシラン及び/又はオルガノアルコキシシランの2種以上の混合物を共加水分解縮合するという方法により得られる。
【0124】
前記本発明の化合物(C)としての樹脂のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、400〜50,000であることが好ましく、600〜40,000がより好ましく、800〜30,000が最も好ましい。本発明の化合物(C)としての樹脂のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1,500〜200,000であることが好ましく、2,400〜150,000がより好ましく、3,000〜120,000が最も好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量が上記の数値の範囲内にあれば、本発明の化合物(C)としての樹脂は良好な溶解性を有し、また、加熱時に気散することなく硬化することができる。より具体的には、数平均分子量が400以上であれば、良好な塗布性や硬化性を得ることができ、数平均分子量が50,000以下であれば良好な現像性が得られる。
【0125】
本発明の化合物(C)の酸価としては30〜300mgKOH/gが好ましく、50〜200mgKOH/gがより好ましく、70〜160mgKOH/gが特に好ましい。酸価がこの範囲にあるとパターン形成時に現像残渣がより残りにくく、かつ塗布均一性がより良好となる。
重合性基が不飽和基である場合、光感度向上の観点から、本発明の化合物(C)の不飽和価は、0.1mmol/g以上が好ましく、更に0.5mmol/g以上が好ましく、1.0mmol/g以上が最も好ましい。
【0126】
本発明の化合物(C)の具体例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0127】
【化13】

【0128】
【化14】

【0129】
【化15】

【0130】
【化16】


【0131】
化合物C−1の左の繰り返し単位は、ケイ素−水素結合を有するポリシロキサンをヒドロシリル化することにより形成可能である。化合物C−35の中央の繰り返し単位は、側鎖にアミノ基が結合したポリシロキサンに、米国特許出願公開第2005/0129636号明細書に記載の方法と類似の方法を用いて酸クロライドで修飾することにより形成可能である。また化合物C−35の左の繰り返し単位は、前記酸クロライドに代えて、メタクリル酸クロリドを使用することにより合成可能である。上記例示化合物中のRAP、R及びRに対応する基を有する繰り返し単位は、上記の方法により合成可能である。また側鎖に水素原子が結合したポリシロキサン、及び側鎖にビニル基やアミノ基が結合したポリシロキサンとしては各種市販品が利用可能である。
【0132】
本発明の化合物(C)の本発明の感光性組成物に対する添加量としては、組成物中の全固形分量に対して、0.01〜25質量%の割合で配合することが耐擦傷性及び塗布性の観点から好ましい。また、3〜20質量%の範囲で添加することが更に好ましい。化合物(C)の含有量が3〜20質量%の範囲内にあると、中空又は多孔質粒子の低屈折率性を活かしつつ、膜に硬度を持たせることができる。
【0133】
前記化合物(C)は本発明の組成物中に一種類用いても、複数用いても良い。
【0134】
[5](D)重合性化合物
本発明の感光性組成物は、更に、重合性化合物(重合性基として重合性基を有する現像性バインダー樹脂は、当該重合性化合物(D)には含めない)を含有していても良い。
以下、重合性化合物について説明する。
【0135】
上記重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0136】
モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0137】
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0138】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0139】
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0140】
【化17】

【0141】
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0142】
本発明の感光性組成物は、重合性化合物を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、重合性化合物の含有量は、該感光性組成物中の固形分に対して0.1質量%〜30質量%が好ましく、0.2質量%〜20質量%が更に好ましく、0.3質量%〜15質量%が特に好ましい。
[6](E)現像性バインダー樹脂
本発明の感光性組成物は、更に、(E)現像性バインダー樹脂を含有しても良い。ここで、現像性バインダー樹脂は、アルカリ可溶性基を有するバインダー樹脂である。
【0143】
アルカリ可溶性基としては、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、より好ましくは酸基である。
酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、活性メチレン基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水基等が挙げられ、カルボキシル基、活性メチレン基が更に好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。バインダー樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー及び/又は重合後に酸基を付与しうるモノマー
(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合後に酸基を付与しうるモノマーを用いる場合において、重合後に酸基を付与するための処理としては、ポリマー側鎖の極性基の一部を、ポリマー反応により変性する処理が挙げられる。
【0144】
現像性バインダー樹脂(E)は、線状有機高分子重合体を用いることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、本発明の感光性組成物から得られる膜のアルカリ現像をより良好に可能とするために、先ず、アルカリ現像液(典型的には、弱アルカリ水)に可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
【0145】
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。また、線状有機高分子重合体としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0227]〜[0234]段落に記載の重合体が挙げられる。
【0146】
上記線状有機高分子重合体は、下記に示すような重合性モノマーを、従来公知の方法でラジカル重合又はカチオン重合させることで得ることができる。
【0147】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、また、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、現像性バインダー樹脂(E)としては、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体を用いることもできる。この他に、水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0148】
上述のように、線状有機高分子重合体が共重合体である場合、上記のカルボキシル基を有するモノマーや酸無水物を有するモノマーと共重合されるモノマーとしては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
【0149】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
【0150】
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0151】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
【0152】
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0153】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0154】
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
【0155】
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
【0156】
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
【0157】
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0158】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0159】
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
【0160】
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー、例えば、特開2002−309057号公報、特開2002−311569号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0161】
これらの中で、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、好適である。
【0162】
また、欧州特許第993966号明細書、欧州特許第1204000号明細書、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0163】
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。
また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0164】
また、上記の中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基とを有する(メタ)アクリル樹脂、特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、この二重結合が重合性基として機能するため、後述するように、現像性バインダー樹脂(E)として好ましい。
【0165】
これらのバインダー樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0166】
また、上述のようなバインダー樹脂は従来公知の方法により合成できる。
合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0167】
また、バインダー樹脂を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部〜20質量部使用される。
【0168】
上述したものの他、現像性バインダー樹脂(E)の前提となるアルカリ可溶性の線状有機高分子重合体としては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、このような線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0169】
これら各種アルカリ可溶性のバインダー樹脂の中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0170】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0171】
また、本発明において現像性バインダー樹脂(E)は、重合性基を有していても有していなくても良いが、重合性基を有することが好ましい。
【0172】
重合性基としては、特に制限されないが、不飽和基(不飽和二重結合など)、エポシキ基、オキセタン基等を挙げることができ、不飽和基であることが好ましい。
【0173】
また、バインダー樹脂に重合性基を導入するには、例えば、重合後に重合性基を付与しうるモノマーを用いて、上述したようなアルカリ可溶性バインダー樹脂を重合し、重合後に、重合性基を付与するための処理を施すことにより行うことができる。
【0174】
重合性基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物や、アリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に、遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に、多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に、水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等が代表的な樹脂として挙げられる。
【0175】
中でも、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に、(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の一般式(21)〜(23)で表される構造単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで、アルカリ可溶性基を維持しつつ、不飽和基を生成させた樹脂等がより好ましい。
【0176】
重合性基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂は、下記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0177】
【化18】

【0178】
前記一般式(21)〜(23)において、A、A、及びAは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、各々独立に、2価の連結基を表す。X及びZは、各々独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜R20は、各々独立に水素原子又は1価の置換基を表す。
【0179】
前記一般式(21)において、R〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、Rとしては、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、R、Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しもよいアリール基が好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0180】
は、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21、R22としては、置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
【0181】
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0182】
前記一般式(22)において、R〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
10〜R12は、各々独立に水素原子又は1価の置換基を表す。R10〜R12としては、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入可能な置換基としては、一般式(21)において挙げたものが同様に例示される。
【0183】
は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、ここで、R21としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
【0184】
前記一般式(23)において、R13〜R15は各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13、R14は水素原子が好ましく、R15は水素原子、メチル基が好ましい。
16〜R20は、各々独立に水素原子又は1価の置換基を表すが、R16〜R20は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、一般式(1)においてあげたものが例示される。
は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21、R22としては、一般式(21)におけるのと同様のものが挙げられる。
【0185】
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0186】
前記一般式(21)〜(23)で表される構造単位は、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、1分子中に20モル%以上95モル%未満の範囲で含まれる化合物が好ましい。より好ましくは、25モル%〜90モル%未満である。更に好ましくは30モル%以上85モル%未満の範囲である。
【0187】
前記一般式(21)〜(23)で表される構造単位を有するポリマーの合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中でも、同公報中の合成方法1)を用いることが好ましい。
【0188】
現像性バインダー樹脂(E)は、架橋効率を向上させるために、重合性基として、カチオン重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、エポキシ基、オキセタン基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。
【0189】
アルカリ可溶性のバインダー樹脂にエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性のバインダー樹脂を得る際の単量体成分が前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0190】
以上、本発明における現像性バインダー樹脂(E)の好ましい形態としての、アルカリ可溶性基を有するバインダー樹脂について説明したが、アルカリ可溶性基が酸基である場合、現像性バインダー樹脂(E)の酸価としては30〜300mgKOH/gが好ましく、50〜200mgKOH/gがより好ましく、70〜160mgKOH/gが特に好ましい。酸価がこの範囲にあるとパターン形成時に現像残渣がより残りにくく、かつ塗布均一性がより良好となる。
また、現像性バインダー樹脂が重合性基を有する場合であって、重合性基が不飽和基である場合、光感度向上の観点から、現像性バインダー樹脂(E)の不飽和価は、0.5mmol/g以上が好ましく、更に0.7mmol/g以上が好ましく、1.0mmol/g以上が最も好ましい。
ここで、不飽和価とは、バインダーポリマー1gあたりの不飽和結合のミリモル数を意味する。
現像性バインダー樹脂(E)の不飽和当量を0.5mmol/g以上とすることにより、つまり、この樹脂中において不飽和二重結合数が増加することにより、光重合性、感度が向上し、更に、この重合性向上により、支持体などの固体表面への密着性や含有する中空又は多孔質粒子の固定化性も向上し、結果として、現像におけるパターン膜中の中空又は多孔質粒子の欠損が少なく、テーパー状〜矩形状の断面形状を有するパターンが得られ易い傾向となり、好ましい。
【0191】
本発明における現像性バインダー樹脂(E)は、シアノ基を有していても良く、具体的には、シアノ基を含有する繰り返し単位を有していても良い。この場合、現像性バインダー樹脂(E)は、下記一般式(III)で表されるシアノ基を含有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0192】
【化19】

【0193】
一般式(III)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。これら基は、シアノ基で置換されていても良い。
但し、Rc31、Rc32の少なくとも一つはシアノ基を含む。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0194】
一般式(III)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
c32は無置換のアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
【0195】
一般式(III)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(CIII−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0196】
【化20】

【0197】
一般式(CIII−1)中、Rは炭化水素基を表す。Rc31は、一般式(CIII)のRc31と同義である。但し、Rc31、Rの少なくとも一つがシアノ基を含む。
【0198】
の炭化水素基としては、鎖状又は環状構造が挙げられる。環状構造を有する場合の具体例として、単環又は多環のシクロアルキル基(炭素数3〜12が好ましく、より好ましくは炭素数3〜7)、単環又は多環のシクロアルケニル基(炭素数3〜12が好ましい)、より好ましくは炭素数6〜12)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜12)などが挙げられる。
【0199】
シクロアルキル基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、例えば5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0200】
これらの炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としては、臭素原子、塩素原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基、シアノ基が挙げられる。好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、臭素原子、塩素原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
【0201】
前記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0202】
以下に、一般式(III)で表される、シアノ基を含有する繰り返し単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない(具体例中、Raは、水素原子、アルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。)
【0203】
【化21】

【0204】
シアノ基を含有する繰り返し単位の含有量は、現像性バインダー樹脂(E)の全繰り返し単位に対して、10〜80モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることが更に好ましい。
【0205】
また、現像性バインダー樹脂は、下記一般式(E−1)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を共重合体として使用することにより得られる樹脂であってもよい。
【0206】
【化22】

【0207】
式(E−1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭化水素基を表す。R及びRとしての炭化水素基は、炭素数1〜15の炭化水素基であることが好ましく、更に置換基を有していても良い。
【0208】
本発明の感光性組成物は、上記一般式(E−1)で示される化合物を共重合体として使用することにより得られる樹脂を含有することにより、該組成物を用いて形成された硬化塗膜の耐熱性及び透明性がより向上する。
前記エーテルダイマーを示す前記一般式(E−1)中、R及びRで表される炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル基等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素を含む基が耐熱性の点で好ましい。
なお、R及びRは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0209】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0210】
上記一般式(E−1)で示される化合物に対応する繰り返し単位の含有量は、現像性バインダー樹脂の全繰り返し単位に対して、20〜90モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることが更に好ましい。
【0211】
以上、現像性バインダー樹脂(E)について説明したが、アルカリ可溶性の現像性バインダー樹脂(E)の質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1000〜2×10であることが好ましく、2000〜1×10であることが更に好ましく、5000〜5×10であることが特に好ましい。
【0212】
本発明の感光性組成物は、現像性バインダー樹脂(E)を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜15質量%が更に好ましく、3質量%〜10質量%が特に好ましい。
【0213】
また、現像性バインダー樹脂(E)は、屈折率が1.55以下であることが好ましく、更に好ましくは1.50以下であり、最も好ましくは1.48以下である。これにより、得られるパターンの屈折率をより確実に低下することができる。
【0214】
現像性バインダー樹脂(E)の具体例として、下記バインダー樹脂(E−1)〜(E−7)を挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。各ユニットに示されている数値は、樹脂分子中の各ユニットモル分率を表す。
【0215】
【化23】

【0216】
<その他の成分>
重合性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。
以下、重合性組成物が含有しうる任意成分について説明する。
【0217】
[7](F)増感剤
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤等のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤(B)に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0218】
感光性組成物に用いられる増感剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0101〕〜〔0154〕に記載される化合物が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、増感剤を含有してもしなくても良いが、増感剤を含有する場合、感光性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、感光性組成物中の全固形分に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0219】
[8](H)重合禁止剤
本発明の感光性組成物においては、感光性組成物の製造中或いは保存中において、(D)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の(H)重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0220】
本発明の感光性組成物は、(H)重合禁止剤を含有してもしなくても良いが、(H)重合禁止剤を含有する場合、(H)重合禁止剤の添加量は、感光性組成物中の全固形分に対し、0.0005質量%〜5質量%であることが好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。本発明の感光性組成物が高級脂肪酸誘導体を含有する場合、高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光性組成物中の全固形分に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0221】
[9](J)有機溶剤
本発明の感光性組成物は、一般には、有機溶剤を含有する。
有機溶剤は、各成分の溶解性や感光性組成物の塗布性を満足すれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、及び安全性を考慮して選ばれることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0187〕に記載の各種溶剤が挙げられる。
【0222】
有機溶剤の具体例としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0223】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0224】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及びバインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0225】
有機溶剤の感光性組成物中における含有量としては、塗布性の観点から、組成物中の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%になる量が更に好ましく、10質量%〜50質量%になる量が特に好ましい。
【0226】
[10](K)密着促進剤
本発明の感光性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を含有していてもよい。密着促進剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。他には、特開2008−243945号公報の段落番号[0048]に記載の化合物が使用される。
本発明の感光性組成物は、密着促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、密着促進剤の好ましい使用量は、特に制限されないが、通常、組成物中の全固形分に対して、10質量%以下、特に0.005〜5質量%であることが好ましい。
【0227】
[11](L)界面活性剤
本発明の感光性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0228】
特に、本発明の感光性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する感光性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0229】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性組成物中における溶解性も良好である。
【0230】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0231】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0232】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0233】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0234】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
感光性組成物は、界面活性剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、界面活性剤の含有量は、本発明の感光性組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
【0235】
[12](M)その他の添加剤
更に、本発明の感光性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0236】
以上述べたように、本発明の感光性組成物は、(A)中空又は多孔質粒子と、(B)光重合開始剤と、(C)前述の一般式(1)で表される構造単位、前述の一般式(2−1)で表される構造単位と前述の一般式(2−2)で表される構造単位、又は前述の一般式(3)で表される構造単位を含有する化合物とを含有することにより、珪素原子が高い含有量で樹脂に存在することから、屈折率が低く、かつ、基板に対する密着性に優れた、パターニング可能な低屈折率材料を提供することができる。
【0237】
[13]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法は、感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含む。
ここで、感光性膜は、本発明の感光性組成物から形成される。
また、本発明は、このパターン形成方法により得られるパターン膜にも関する。
本発明の感光性組成物から形成される感光性膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、感光性組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法、インクジェット法等の任意の方法により、基板(支持体)に塗布した後、溶媒を必要に応じて加熱処理で除去して塗膜(感光性膜)を形成し、プリベーク処理を施すことにより形成することができる。
基板としては、シリコンウエハ基板、SiOウエハ基板、SiNウエハ基板、ガラス基板、又は、これらの表面に各種金属層が形成された基板や、プラスチックフィルム、マイクロレンズ、イメージセンサー用オンチップカラーフィルターが塗布された基板などを挙げることができる。
【0238】
基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法、インクジェット法が好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法である。スピンコーティング法については、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。
【0239】
スピンコート条件としてはいずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、直径300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶媒のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
【0240】
なお、本発明の感光性組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の感光性組成物に含まれる溶剤として前掲した溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0241】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の感光性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、感光性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、感光性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0242】
プリベーク処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、Cxシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、60℃〜150℃(好ましくは60℃〜120℃)で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
【0243】
感光性膜を露光する工程は、必要に応じてマスクを介して行われる。
この露光に適用し得る活性光線又は放射線としては、赤外光、g線、h線、i線、KrF光、ArF光、X線、電子線等を挙げることができる。露光量、感度、解像度の観点から、i線、KrF光、ArF光、電子線が好ましく、更に汎用性の観点から、i線、KrF光が最も好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm〜10000mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。KrF光を用いる場合は、30mJ/cm〜300mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
また、露光した組成物層は、必要に応じて、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
【0244】
続いて、露光後の組成物層に対し、前記感光性膜の露光部を現像してパターン膜を得る(現像工程)現像液にて現像を行う(現像工程)。これにより、ネガ型のパターン(レジストパターン)を形成することができる。
【0245】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3質量%の水溶液が望ましい。
【0246】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。現像時間は、感光性組成物の組成によって異なるが、通常、25℃で30〜120秒間程度である。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液を感光性膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液が感光性膜に与える圧力が小さくなり、感光性膜・パターン膜が不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
【0247】
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
【0248】
現像の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0249】
リンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0250】
リンス工程においては、現像を行ったウェハをリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、パターン膜を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により加熱することにより行うことができる。
このポストベークにおいて、加熱温度は、通常、120〜250℃、好ましくは160〜230℃である。また加熱時間は、加熱手段により異なるが、ホットプレート上で加熱する場合、通常、5〜30分間程度であり、オーブン中で加熱する場合、通常、30〜90分間程度である。
また、ポストベークに際しては、2回以上加熱するステップベーク法等を採用することもできる。
【0251】
現像工程後、必要に応じて、形成されたパターン膜に対し後加熱及び/又は後露光を行い、パターン膜の硬化を更に促進させてもよい(硬膜処理による後硬化工程)。
これにより、耐光性、耐気候性、膜強度が向上し、更に低屈折率性も向上させることができる場合がある。
【0252】
硬膜処理とは、基板上のパターン膜を更に硬化し、膜に溶媒耐性などを、より与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが好ましい。例えば、樹脂に残存する重合性基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは200〜500℃、特に好ましくは200℃〜450℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1分〜2時間、特に好ましくは1分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。
【0253】
また、本発明では加熱処理ではなく、光照射や放射線照射などの高エネルギー線を照射することで、重合体中に、依然、残存する重合性基間の重合反応を起こして硬膜してもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0.1〜50keVが好ましく、より好ましくは0.2〜30keV、特に好ましくは0.5〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0.01〜5μC/cm、より好ましくは0.01〜2μC/cm、特に好ましくは0.01〜1μC/cmである。電子線を照射する際の基板温度は0〜500℃が好ましく、より好ましくは20〜450℃、特に好ましくは20〜400℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
重合体の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
【0254】
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は160〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
【0255】
加熱処理と光照射や放射線照射などの高エネルギー線処理照射を、同時に又は順次行うことにより硬膜してもよい。
【0256】
膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。
【0257】
本発明の感光性組成物の用途は特に限定されないが、上記したように、低屈折率膜を作製するために使用することが好ましい。
よって、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法により得られるパターン膜である低屈折率膜にも関する。
更に、本発明は、上記低屈折率膜を有する光学デバイスにも関する。
また、本発明は、このような光学デバイスを備えた固体撮像素子にも関する。
以下、このような低屈折率膜(例えば、反射防止膜)について詳述する。ただし、低屈折率膜における下記の各種物性の好ましい範囲は、特に低屈折率膜の用途においては好ましい範囲であるものの、その用途に限られたものではない。
【0258】
<低屈折率膜>
上述した組成物を用いて得られるパターン膜は、優れた低屈折率性を示す。具体的には、パターン膜の屈折率(波長633nm、測定温度25℃)は、1.35以下であることが好ましく、1.23〜1.34であることがより好ましく、1.25〜1.33であることが特に好ましい。上記範囲内であれば、後述する反射防止膜として有用である。
【0259】
<反射防止膜>
上述した本発明の組成物を用いて得られるパターン膜の好適な使用態様として、反射防止膜が挙げられる。特に、光学デバイス(例えば、イメージセンサ用マイクロレンズ、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスなど)用の反射防止膜として好適である。
反射防止膜として使用した場合の反射率は低いほど好ましい。具体的には、450〜650nmの波長領域での鏡面平均反射率が3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは0である。
反射防止膜のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは0である。
【0260】
上述した膜を単層型の反射防止膜として用いる場合には、透明基板の屈折率をnGとすると、反射防止膜の屈折率nは√nG、すなわち透明基板の屈折率に対して1/2乗であることが好ましい。例えば、光学ガラスの屈折率は1.47〜1.92(波長633nm、測定温度25℃)であるので、その光学ガラス上に形成される単層の反射防止膜のnは1.21〜1.38であることが好ましい。なお、その際の反射防止膜の膜厚は10nm〜10μmであることが好ましい。
【0261】
上述した膜を、多層型の反射防止膜として用いる場合には、該膜を低屈折率層として使用し、例えば、その膜の下に、高屈折率層、ハードコート層、及び透明基板を含むことができる。このとき、基板の上に、ハードコート層を設けずに、直接、高屈折率層を形成してもよい。また、高屈折率層と低屈折率層の間、又は、高屈折率層とハードコート層の間に、更に中屈折率層を設けてもよい。
以下に、多層型の場合の各層について詳述する。
【0262】
(1)低屈折率層
低屈折率層は、上述のように本発明の組成物を用いて得られるパターン膜から構成される。低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
【0263】
(i)屈折率
本発明の組成物を用いて得られるパターン膜の屈折率(波長633nm、測定温度25℃)、即ち、低屈折率膜(低屈折率層ともいう)の屈折率を1.35以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.35以下であることにより、高屈折率膜(高屈折率層ともいう)と組み合わせた場合に、反射防止効果を確実に発現させることができるためである。
低屈折率膜の屈折率を1.34以下とするのがより好ましく、1.33以下とするのが更に好ましい。なお、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していればよい。
【0264】
また、低屈折率層を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差が0.05以上であることにより、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られやすく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.8の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.7の範囲内の値とするのが更に好ましい。
【0265】
(ii)厚さ
低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、20〜300nmであることが好ましい。低屈折率層の厚さが20nm以上となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が確実に得られ、一方、厚さが300nm以下となると、光干渉が生じにくく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、低屈折率層の厚さを20〜250nmとするのがより好ましく、20〜200nmとするのが更に好ましい。なお、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを20〜300nmとすればよい。
【0266】
(2)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができる。
しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することにより、屈折率1.70〜2.20とすることが好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
【0267】
高屈折率層の厚さは特に制限されないが、例えば、20〜30,000nmであることが好ましい。高屈折率層の厚さが20nm以上となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基板に対する密着力がより確実に得られやすく、一方、厚さが30,000nm以下となると、光干渉が生じにくく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、高屈折率層の厚さを20〜1,000nmとするのがより好ましく、50〜500nmとするのが更に好ましい。また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを20〜30,000nmとすればよい。なお、高屈折率層と基板との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを20〜300nmとすることができる。
【0268】
(3)ハードコート層
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0269】
また、ハードコート層の厚さについても特に制限されるものではないが、1〜50μmとするのが好ましく、5〜10μmとするのがより好ましい。ハードコート層の厚さが1μm以上となると、反射防止膜の基板に対する密着力をより確実に向上しやすく、一方、厚さが50μm以下であると、均一に形成しやすい。
【0270】
(4)基板
本発明の低屈折率膜に用いる基板の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる透明基板及びシリコンウエハを挙げることができる。これらの基板を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、液晶表示装置におけるカラーフィルターあるいは撮影素子等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
【0271】
本発明の組成物を使用して得られるパターン膜は、光学デバイス(例えば、マイクロレンズ)用の表面保護膜、位相差膜としても用いることができる。
【0272】
本発明の組成物は、特に、マイクロレンズ(ここで、マイクロレンズの概念は、マイクロレンズアレイの概念を含む)の被覆用途として、好適に使用することができる。
【0273】
本発明のパターン形成方法から得られるパターン膜は、本発明の感光性組成物を用いて形成されており、屈折率が低く、パターン欠陥及び現像残渣が少なく、また高耐侯性で形成されているので、マイクロレンズや固体撮像素子用以外の他の用途にも好適に使用される。他の用途としては、例えば、各種のOA機器、液晶テレビ、携帯電話、プロジェクター等の液晶表示素子、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等のオンチップカラーフィルターの結像光学系、光ファイバコネクタ等の特に光の反射を抑制したい領域に設けられる膜、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト等、絶縁材、ホログラム材料、ウエハレベルレンズ本体或いはレンズ用遮光膜の形成材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等が挙げられ、これら種々の用途に利用することができる。
【0274】
特に、本発明のパターン形成方法を用いてマイクロレンズの表面に本発明のパターン膜を形成することにより、上記特性を有する膜が表面に被覆された高精細なマイクロレンズを高い製品歩留りで簡便に形成することができる。
【実施例】
【0275】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
【0276】
(化合物(C−1)の合成)
窒素雰囲気下、300mLの三口フラスコにアリルこはく酸無水物20.8g(17.9mmol)とTHF80mLを入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら0℃に冷却した。ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物を154mgを加えて更に10分撹拌した後、ポリ(ジメチルシロキサン―メチルヒドロシラン)共重合体(Aldrich社製、トリメチルシリル末端、数平均分子量〜950、メチルヒドロシラン50mol%)20gのTHF(80mL)溶液を滴下した。滴下終了後、40℃で撹拌した。NMRにて反応を追跡し、Si−Hのピーク消失を確認したところで反応系を室温に戻した。室温に戻した溶液を水/メタノール=1/1(体積比)溶液800mLに滴下することで、粗生成物を沈殿として得た。得られた粗生成物を酢酸エチルに溶解させ、カラムクロマトグラフィーで精製することで白金残渣を除去した。得られた溶液から溶媒を留去することで、25.4g(固形分換算)の前駆体を得た。
上記前駆体5g(固形分換算)に、固形分濃度がおよそ20質量%になるようTHFを加えたのち、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02g、メタクリル酸―2−ヒドロキシエチル5.07g、N,N−ジメチルー4−アミノピリジン(DMAP)0.05gを加え、室温で4時間撹拌した(ケトンのアルファ位のプロトンがシフトするのをNMRで確認)。その後、水500mLに滴下することで、目的物を沈殿として得た。得られた沈殿を酢酸エチルに再度溶解させて抽出後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、溶媒を留去することで化合物C−1を得た。収量2.68g(固形分換算)。
反応上、最終生成物として2通りの異性体が得られるが、ここでは片方の異性体のみ記載する。
【0277】
【化24】

【0278】
(化合物(C−31)の合成)
ポリシロキサン(無水コハク酸末端・Aldrich社製Mw=700)5gをTHF10mLに溶解させ、そこにヒドロキノンモノメチルエーテル(HMM)0.02g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル3.32g、DMAP0.05gを加え、6時間撹拌した。得られた化合物を水/メタノール=1/1(体積比)(計400mL)に滴下し、沈殿3.18g(固形分換算)を得た。得られた沈殿を酢酸エチルに再度溶解させて抽出し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。得られた溶液にPGMEA42g、p−メトキシフェノール6.4mgを加えたのち、ロータリエバポレーターでTHF、酢酸エチルを留去した。以上により化合物C−31を3.2g(固形分換算)得た。
【0279】
【化25】

【0280】
以下の実施例で使用した、前掲の化合物C−16、C−23、C−32も前述の化合物C−1と同様の方法で合成した。また化合物C−35は、前述の通り、米国特許出願公開第2005/0129636号明細書に記載の方法と類似の方法を用いて合成した。なお化合物C−3、C−28、C−36及びC−37も化合物C−35と同様の方法で合成した。また化合物C−33は、ビニルトリメトキシシランとジメトキシジメチルシランを原料として、特開2002−252030号公報に記載の方法で合成した。以下の表1にこれら化合物のGPC測定(ポリスチレン換算)により測定した数平均分子量及び分散度、並びに1HNMRで測定した化合物(C)中の繰り返し単位のモル比を左側から記載したものを示す。なお化合物C−3−1及び化合物C−3−2は前掲の化合物C−3の構造であって、数平均分子量及び分散度が互いに異なるものである。
【0281】
【表1】

【0282】
比較樹脂として下記ポリマーを使用した。
【0283】
【化26】

【0284】
<感光性組成物の調製>
下記表2に示す成分を下記表2に示す溶媒に溶解させ、孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、実施例1〜16、比較例1、2及び参考例の感光性組成物を調製した。
表2中の化合物(C)における記号は、成分の具体例として、前述したものに対応する。
【0285】
中空又は多孔質粒子は、以下の市販品を使用した。
【0286】
シリナックスSP−PN(b): 日鉄鉱業社製の中空シリカの粉末
スルーリア2320: 日揮触媒化成社製の中空シリカの20質量%分散液
スルーリア1110: 日揮触媒化成社製の中空シリカの20質量%分散液
PL−2L−PGME: 扶桑化学社製の多孔質シリカの20質量%分散液
AERODISP G1220: EVONIK社製の多孔質シリカの20質量%分散液
OSCAL: 日揮触媒化成社製の中空シリカの20質量%分散液
スノーテックス: MIBK−SD−L: 日産化学社製の多孔質シリカの30質量%分散液
AERODISP1030: EVONIK社製の多孔質シリカの20質量%分散液
【0287】
光重合開始剤はBASFジャパン社製の下記化合物を使用した。
【0288】
【化27】

【0289】
【表2】

【0290】
【表3】

【0291】
表2中の重合性化合物(D)としてのDPHAはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを表し、MO−1は前述の一般式(MO−1)で表されるラジカル重合性モノマーであって、Rがメタクリル基、Tがメチレン基(すなわち、mが1)、nが1であるラジカル重合性モノマーを表す。
また有機溶剤(J)におけるPGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、PGMEはプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0292】
<低屈折率パターン膜の作製>
上記で得られた感光性組成物をシリコンウエハ上にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して膜厚500nmの感光性膜を得た。
次いで、得られた感光性膜に対し、i線ステッパーFPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μmの正方ピクセルが基板上に設けられたマスクを介して露光した。
前記露光後の感光性膜に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにて水を用いてリンスを行い、更に純水にて水洗し、膜厚0.5μmの透明パターンを得た。
【0293】
<解像性>
得られたパターン膜を測長SEM((株)日立製作所S−8840)により観察し、1.0μmの正方ピクセルパターンの解像が認められた場合を○、パターンが確認できない場合を×と標記した。
【0294】
<膜の屈折率の測定>
上記で得られた感光性組成物をシリコンウエハ上に塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して透明膜を得た。ジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製エリプソメーター(VASE)を用いて、この透明膜における波長633nm、25℃で測定した値を屈折率とした。
【0295】
<密着性試験(剥れ性試験)>
上記で得られた感光性組成物をシリコンウエハ上にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して膜厚500nmの感光性膜を得た。
次いで、得られた感光性膜に対し、i線ステッパーFPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長でマスクを介さず、上記パターン膜形成時における1.0μmの正方ピクセルパターンの解像が認められた最小露光量にて露光し、膜を硬化させ硬化膜を得た。なお比較例2はパターンが確認できなかったので、実施例1における露光量にて露光し、膜を硬化させ硬化膜を得た。
ダイヤモンドペンにて、得られた硬化膜表面に、3mm角のマス目を、縦5個×横5個で配列するように描き、3M製スコッチテープ(No.610)を全てのマス目をカバーし、かつ気泡が入らないように留意して貼り付けた。その後、垂直にはがしSi基板に対する膜の密着性テストを実施した。
25マス中、膜がSi基板から剥れずに残ったマス目の個数が、0〜10個のものを×、11〜20個のものを△、21〜25個のものを○とした。
【0296】
<耐候性>
1.0μmの正方ピクセルパターンの解像が認められた最小露光量で得られたパターンを、60℃,85%RHの調温、調湿されたサーモセルコで3日間放置し、上記と同様の方法で屈折率を測定した。
フレッシュと比較して、屈折率変化が
0.5%未満の場合を○、
0.5%以上1%未満の場合を△、
1%以上の場合を×とした。
【0297】
以上の結果を表3に示す。
【0298】
【表4】

【0299】
なお比較例2の解像性結果における“現像性無し”は、現像時にシリコンウエハ上の全ての膜が残存していた状態を意味する。
表3の結果より、本発明の感光性組成物を使用した場合、屈折率が低く、更には、基板に対する密着性に優れ、かつ高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成できることが分かった。
一方、中空又は多孔質粒子(A)又は化合物(C)に対応する化合物を含有しない感光性組成物を用いた比較例1及び2は、本発明の上記効果の全てを同時に満たすことはできなかった。より具体的には、中空又は多孔質粒子(A)を含有しない感光性組成物を用いた比較例1は、本発明の実施例と比較して屈折率が高く、かつ耐侯性に劣っていた。また化合物(C)に対応する化合物を含有しない感光性組成物を用いた比較例2は、アルカリ可溶性基を有さないためパターンの形成が不可能であり、かつ本発明の実施例と比較して密着性に劣っていた。なお表3中、比較例2の耐候性に関しては、パターン形成が見られない膜の屈折率変化を同条件にて測定した結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)中空又は多孔質粒子と、
(B)光重合開始剤と、
(C)下記一般式(1)で表される構造単位;下記一般式(2−1)で表される構造単位と下記一般式(2−2)で表される構造単位;及び下記一般式(3)で表される構造単位のいずれかを含有する化合物、とを含有する感光性組成物。
【化1】

一般式中、R11、R21及びR22は各々独立に、単結合若しくは2価の連結基、又は1価の置換基を表す。R11、R21及びR22が各々独立に単結合若しくは2価の連結基である場合、該単結合若しくは2価の連結基は化合物(C)が有する別の珪素原子と連結する。
11、X21、X22及びX31は各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
APは、アルカリ可溶性基及び重合性基を含む1価の基を表す。
は、アルカリ可溶性基を含む1価の基を表す。
は、重合性基を含む1価の基を表す。
【請求項2】
前記化合物(C)が樹脂であり、樹脂の主鎖に珪素原子を含有する、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される構造単位;前記一般式(2−1)で表される構造単位と前記一般式(2−2)で表される構造単位;及び前記一般式(3)で表される構造単位のいずれかが、前記化合物(C)としての樹脂の主鎖を構成する、請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)、(2−1)、(2−2)及び(3)において、X11、X21、X22及びX31は各々独立に、単結合、又は酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、若しくはこれらの組み合わせを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)、(2−1)及び(2−2)において、R11、R21及びR22は各々独立に、1価の置換基を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記一般式(1)、(2−1)及び(2−2)において、R11、R21及びR22は各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基を表す、請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記樹脂(C)の数平均分子量が400〜50,000である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記中空又は多孔質粒子(A)がシリカ粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性組成物であるパターン形成材料。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の感光性組成物により形成される感光性膜。
【請求項11】
請求項10に記載の感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含むパターン形成方法。
【請求項12】
請求項11に記載のパターン形成方法により得られるパターン膜。
【請求項13】
請求項12に記載のパターン膜である低屈折率膜。
【請求項14】
請求項13に記載の低屈折率膜を有する光学デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の光学デバイスを備えた固体撮像素子。

【公開番号】特開2012−32673(P2012−32673A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173190(P2010−173190)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】