説明

感圧接着シート

【課題】 各種プリンター印字適性に優れ、印字された個人情報の隠蔽性が高く、しかもオフセット印刷適性に優れるのみならず、接着力とのバランスがよく、親展葉書用紙としての特性を備える感圧接着シートを提供する。
【解決手段】 基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層は、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着することができ、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該基材シートを構成する填料として、填料の粒子表面がSiO及び/またはAlで被覆されている二酸化チタンを、パルプ100質量部に対して3〜20質量部含有し、かつ該接着剤層が、接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、かつJIS P−8149に準じて測定される感圧接着シートの不透明度が90.0%以上である感圧接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三つ折りもしくは二つ折り葉書等の各種葉書システムに用いられる感圧接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
郵便法の改正に伴い必要情報を記録したシートを二つ折り、又は三つ折りに折り畳み、親展性を持つ葉書システムが実用化され普及している。このような親展性を持つ葉書の基材シートに設けられた接着剤層は常温、常圧では接着性がなく、接着剤層同士を対向させた状態で500kg/cm2程度に加圧することにより接着性を示し、且つ接着後は再剥離することが可能な接着剤層を有する感圧接着シート(以下、代表的な例である親展葉書用紙ともいう)が使用される。
【0003】
親展葉書用紙は、特開平7−276858号公報等に記載されているように接着剤層面に葉書として定形事項を印刷した後、同層に宛名や個人情報等の秘密にしたい情報をレーザープリンターで印字し、秘密情報が外部から見えないように接着剤層同士が対向するように折り畳み、ドライシーラーで加圧積層して親展葉書となる。親展葉書は受取人が該接着剤層を元のように剥離することにより情報を見ることができ、一旦剥離すると常温、常圧では該接着剤層面は接着性がないので剥離前の状態にはならない葉書である。
【0004】
該親展葉書用紙に情報を記録する場合、ドットプリンター方式、電子写真方式、インクジェット方式等が用いられている。一方、記録した情報は重ね合わせた状態で見えないことが必須である。従って、この隠蔽性の確保のために、印刷面または情報記録面の裏面に隠蔽用印刷(地紋印刷)を行うことが知られている。
【0005】
上記の隠蔽用印刷(地紋印刷)を行う場合、工程が増すためコスト高となるばかりではなく、見栄えが悪い。この問題を回避するために、基材シートに古紙を20〜100%含有して抄紙した再生紙を用いることが提案されているが(特許文献1、特許文献2)、印刷インク、トナーの定着性やインクジェットインクのにじみに問題があり、古紙の利用は余り普及していないのが現状である。また、通常の印刷用紙の分野では隠蔽性を高めるために、基材シートに填料を大量に配合することが行われてきたが、この技術をそのまま親展葉書用紙に適用すると、受取人が情報記録面を見るために剥離する際、基材シート自体が破れるという懸念がある。これを防止するためには、填料の配合量を制限する必要があり、それを補うため坪量を上げると、郵便法で定められた重量を超えてしまうおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−161180号公報(請求項1、第2頁(0007)〜(0008)欄)
【特許文献2】特開2004−122451号公報(請求項1、第2頁(0009)〜(0010)欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、各種プリンター印字適性に優れ、印字された個人情報の隠蔽性が高く、しかもオフセット印刷適性に優れるのみならず、接着力とのバランスがよく、親展葉書用紙としての特性を備える感圧接着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、基材シートを構成する填料として、特定の表面被覆を施した二酸化チタン顔料を特定量配合し、接着剤層が、接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂等を構成成分とすることにより、隠蔽性に優れた親展葉書用紙を効率よく製造できることを見出した。
【0009】
本発明は、下記の態様を含む。
(1)基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層は、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着することができ、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該基材シートを構成する填料として、填料の粒子表面がSiO及び/またはAlで被覆されている二酸化チタンを、パルプ100質量部に対して3〜20質量部含有し、かつ該接着剤層が、接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、かつJIS P−8149に準じて測定される感圧接着シートの不透明度が90.0%以上であることを特徴とする感圧接着シート。
(2)前記二酸化チタンが、平均粒子径0.1〜0.5μmである(1)項に記載の感圧接着シート。
(3)前記接着剤層中に、接着剤100質量部に対して、二酸化チタンを0.1〜20質量部含有された(1)項又は(2)項に記載の感圧接着シート。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感圧接着シートは、各種プリンター印字適性に優れ、印字された個人情報の隠蔽性が高く、しかもオフセット印刷適性に優れるのみならず、接着力とのバランスがよく、親展葉書用紙等の用途に極めて適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の感圧接着シートは、基材シートの少なくとも一方の面に設けられた接着剤層が、加圧する前の常温、常圧では接着性を示さず、且つ、接着剤層同士を対向させた状態で、500kg/cm2程度に加圧処理をすることにより接着でき、その接着面は手で剥離可能である接着剤層(この面を再剥離面とも言う)を有する。そして、接着剤層同士の接着面は、一度剥離すると接着剤層同士を重ね、手で圧着しても接着しない性質を有している。
【0012】
本発明の感圧接着シートは、(1)基材シートの片面にのみ、再剥離性を有する接着剤層(以下、再剥離面とも称する)が形成されている構成、(2)基材シートの両面に再剥離性を有する接着剤層(再剥離面)が形成されている構成、(3)基材シートの片面に再剥離性の接着剤層(再剥離面)を設け、他の面に再剥離性のない接着剤層(永久接着面)が形成されている構成等の層構成である場合を包含する。
【0013】
本発明の感圧接着シートにおける再剥離面、永久接着面はともに、常温、常圧では接着性を示さず、ドライシーラー等で500kg/cm2程度(300kg/cm〜700kg/cm)に加圧積層することにより接着するが、このような接着剤層は、接着剤と微粒子充填剤の配合量などで接着力が調節されている。例えば、再剥離面に、秘密を必要とする情報を設けた後、その情報が隠れるようにシートを折り畳み、或いは別のシートを重ね合わせ、再剥離性の接着剤層同士が対向するようにして加圧処理することにより、内部に情報を持つ積層シート(例えば、親展葉書、くじ等)とすることができる。
【0014】
本発明の感圧接着シートは、基材シートを構成する填料として、特定の表面被覆を施した二酸化チタン顔料を特定量配合し、接着剤層が、接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂等を構成成分としているものである。
【0015】
本発明の感圧接着シートは、JIS P−8149に準じて測定される不透明度が90.0%以上であることが必須である。不透明度が90.0%未満であると、個人に関する秘密情報が外部から見えるおそれがあり、親展葉書用紙としては不適である。この親展葉書用紙としての隠蔽性を達成するため、本発明において使用する基材シートは、通常針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、ECFパルプ、TCFパルプ等の製紙用パルプを、300〜600mlC.S.F.に叩解し、これに二酸化チタン、クレー、カオリン、炭酸カルシウム等の填料、尿素樹脂、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド澱粉、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増強剤、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤等のサイズ剤類、蛍光増白剤、着色染料・顔料、定着剤等を適宜添加し、円網抄紙機や長網抄紙機等の公知の抄紙機を使用して常法に基づき、通常坪量40〜150g/mで抄紙することで製造されるが、填料として粒子表面がSiO及び/またはAlで被覆されている二酸化チタンが必須材料である。また、本発明で使用される二酸化チタンの結晶型は特に限定されないが、隠蔽力及び着色力に優れるためルチル型が好ましい。なお、二酸化チタンの配合量は、パルプ100質量部に対して3〜20質量部である。因みに、二酸化チタンの配合量が3質量部より少ないと親展葉書用紙を構成した際、隠蔽性に乏しく、20質量部を越えると基材シートの強度が弱くなり過ぎ、個人情報を見るために剥離した際、基材シートが破れてしまうという問題が生じる。
【0016】
また、二酸化チタンの平均粒子径は、0.1〜0.5μmであり、好ましくは0.15〜0.35μm、より好ましくは0.2〜0.3μmである。平均粒子径が0.1μm未満である場合や0.5μmを越える場合には、塗膜の隠蔽力又は白色度が低下するので、好ましくない。
【0017】
本発明で使用される二酸化チタンの粒度分布は、水系懸濁液での自然沈降を比重天秤法で測定して得た粒度分布において、0.6μm以上の粗粒子が、質量百分率で7.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは6.0質量%以下である。二酸化チタンの粒度分布は、粉砕及び分級により調整することができるが、0.6μm以上の粗粒子が7.0質量%を越えると懸濁安定性が低下するので好ましくない。上記粒度分布は、例えば、島津製作所社製自動粒度分布測定器「SA−2型」により測定することができる。
【0018】
本発明で使用される二酸化チタン粒子は、最初に、珪素の酸化物又は水酸化物で高密度に被覆し、化学的に安定な表面被覆層を形成させる。即ち、二酸化チタンの水系懸濁液に珪酸ナトリウム等の珪酸塩の水溶液を加え、40〜100℃で、20〜360分間かけて、pH6以下まで徐々にpHを下げて被覆させる。より好ましくは、60〜90℃で、60〜360分間かけて、pH5以下まで徐々にpHを下げて被覆させる。
【0019】
上記により、二酸化チタン粒子の表面には、珪素をSiOとして二酸化チタンに対して1.0〜10.0質量%被覆させるのがよく、より好ましくは、2.0〜8.0質量%被覆させる。上記において、温度を40℃未満とするか、被覆時間を20分未満とすると、シロキサン結合による脱水縮合化が不充分となるため、化学的に安定で高密度な表面被覆層を得ることができず、本発明の目的に適なさい。温度が100℃を越えるか又は被覆時間が360分を越える時間としても、上記の脱水縮合化はこれ以上ほとんど進行しないので、条件として無意味で、不経済である。従って、温度と時間は上記範囲に限定される。また、所定量の珪素の酸化物又は水酸化物を完全に被覆させるためには、pHを6以下まで下げることが望ましい。
【0020】
本発明の目的とする隠蔽性、白色度を得るためには、SiOとして二酸化チタンに対して1.0質量%以上が表面被覆されていることが好ましい。SiOとして10.0質量%を超えて表面被覆されると、二酸化チタン含有量が不足するため、塗膜の隠蔽力又は白色度が低下する。従って、珪素の被覆量はSiOとして二酸化チタンに対し1.0〜10.0質量%の範囲が好ましい。
【0021】
本発明においては、前記処理によって二酸化チタン粒子上に形成された珪素による被覆の上に、更に、アルミニウムの酸化物又は水酸化物を被覆させて高密度の被覆を行わせることが好ましい。このため、珪素で被覆された二酸化チタン粒子懸濁液に、アルミニウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩又はアルミン酸ナトリウム等のアルミニウム塩の溶液を加え、酸性溶液又は塩基性溶液でpHを調整して被覆させる。
【0022】
本発明において使用される酸性溶液としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等が、また、塩基性溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。この方法により、Alとして二酸化チタンに対して0.5〜5.0質量%の量を被覆させる。より好ましくは、1.0〜5.0質量%の量を被覆させる。沈殿量が0.5質量%未満であると顔料粉体としての経時凝集性を抑えることができず、5.0質量%を越えると、二酸化チタンの含有量が不足するため、塗膜の隠蔽力又は白色度が低下するので、上記範囲が好ましい。
【0023】
上記方法により、SiO及び/またはAlで被覆された二酸化チタンの窒素吸着BET法による顔料粉体の比表面積は、10〜25m/gの範囲である。
【0024】
本発明においてSiO及び/またはAlで被覆された二酸化チタンを使用している理由は、個人情報の隠蔽性を向上させるのみならず、個人情報をインクジェット方式により印字する場合の印字定着性、印字耐水性が改善され、さらにオフセット印刷時の湿し水へのカチオン樹脂の溶出を効果的に防止することができるからである。
【0025】
本発明で使用される二酸化チタンの配合量は、接着剤100質量部に対して、二酸化チタンを0.1〜20質量部含有することが好ましい。
【0026】
本発明では、接着剤層が、接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂等から構成される。本発明の感圧接着シートに用いられる接着剤は、接着剤層同士の接着力を発現するために用いられるものであればよく、例えば、天然ゴム、変性天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル酸エステル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル/アクリル酸エステル系複合樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が例示できる。
【0027】
再剥離面の接着剤層中の接着剤配合量としては、固形分質量が20〜60質量%程度である。20質量%未満の場合、接着剤層の強度が弱くなり、60質量%を越えると、接着剤層表面の顔料を被覆してしまいオフセット印刷適性が低下する。永久面の接着剤層中の接着剤配合量としては、固形分質量が40〜70質量%程度である。因みに、40質量%未満では再剥離性を示してしまい、70質量%を越えるとブロッキングが生じ易くなる。
【0028】
本発明に用いられるバインダー樹脂としては特に限定されず、基材シートと接着剤層との接着力を発現するために用いられるものである。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル酸エステル共重合体系樹脂、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等が挙げられるが、部分ケン化型ポリビニルアルコールが好ましい。さらに、ビニルエステルとオレフィン性不飽和ジカルボン酸及び/またはその誘導体から選択される単量体との共重合体を部分ケン化した酸変性ポリビニルアルコールがより好ましい。部分ケン化型ポリビニルアルコールのケン化度の適正な範囲としては、90モル%以下が好ましい。ケン化度が90モル%を越えると、ウェット強度の低下を招き、オフセット印刷時にブランケットパイリング、ブランケット汚れ、ターンバー汚れ等による印刷不良を生じる。また、水酸基増加による水素結合の増加のため、塗料粘度が上昇する。粘度の上昇は、ハンドリングが悪く塗料希釈が必要になった場合、塗工速度が下がり、製造効率が悪くなる原因となる。また、部分ケン化型ポリビニルアルコールの重合度の適正な範囲としては、3000以下が好ましい。重合度が3000を越えると、接着剤層が硬くなり過ぎるために接着力が低下したり、塗料粘度も上昇する。より好ましくは、ケン化度に関しては80モル%以下、ケン化度に下限はないが60モル%程度でも良い。重合度に関しては1000以下、より好ましくは800以下、更に好ましくは500以下、重合度の下限も特にないが200程度でも良い。
【0029】
接着剤層には、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストリン、デンプン(糊化したもの)、変性デンプン(糊化したもの)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ウレタン系共重合体等の親水性高分子をバインダー樹脂とともに併用してもよい。
【0030】
本発明のバインダー樹脂の配合量は、特に限定されないが、接着剤100質量部に対して50〜100質量部の範囲が好ましい。配合量が50質量部未満であると、ウェット強度が弱くなり過ぎ、オフセット印刷適性が悪くなったり、ノンインパクトプリント印字の非転写性が悪くなるおそれがある。逆に、配合量が100質量部を越えると、ノンインパクトプリント印字のインク乾燥性、印字濃度が低くなり、接着力も低下するおそれがある。
【0031】
接着剤層に含有される微粒子充填剤としては、無機及び有機顔料等が使用できる。例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、ゼオライト、炭酸カルシウム、クレー、酸化アルミニウム、デンプン(糊化していないもの)、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、γ−アルミナ、プラスチックピグメント、フッ素系樹脂等が挙げられる。その中でも、デンプン、シリカ等が接着力のコントロールに適しており、好適に用いられる。
【0032】
また、デンプンはブロッキング防止の目的でスペーサー的に使われる。シリカはインク受容性に優れるので、印刷適性、ノンインパクトプリント適性を改善するので好ましい。また、ブロッキング防止効果もある。フッ素系樹脂はインクの滲みを防止する効果が高い。二酸化チタンは隠蔽効果が高く、シリカと混合することにより隠蔽効果がさらに高くなる。従って、基材シートに配合した二酸化チタンによる隠蔽性改善効果が不充分な場合には、接着剤層中に二酸化チタンとシリカを配合することが有効である。なお、無機又は有機顔料の粒径としては0.1〜50μm程度のものが好ましい。微粒子充填剤には加圧下で接着剤層面が接着し、一度剥離した後には接着しないように調整する効果がある。
【0033】
本発明の接着剤層に含有される微粒子充填剤の配合量は、接着剤層全体の20〜50質量%が好ましい。配合量が20質量%未満であると、ノンインパクトプリンターで使用するインクの乾燥性が不十分となるおそれがあり、50質量%を越えると、バインダー樹脂が微粒子充填剤を接着剤層に固定できなくなるため、オフセット印刷適性が悪化するおそれがある。
【0034】
なお、接着剤層には、カチオン基および/またはカチオン基と成りうる官能基を有する化合物、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、滑剤、浸透剤、着色染料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、カチオン性、ノニオン性または両性の界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤などを適量配合することができる。
【0035】
特に、本発明の親展葉書用紙にインクジェットプリンターを用いて個人情報を印字する場合は、接着剤層中に、カチオン基および/またはカチオン基と成りうる官能基を有する化合物を配合することが好ましく、例えば、官能基として1級アミノ基またはその付加塩類を有するカチオン性化合物、2級アミノ基またはその付加塩類を有するカチオン性化合物、3級アミノ基またはその付加塩類を有するカチオン性化合物、4級アンモニウム基を有するカチオン性化合物、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステル類およびそのピリジニウム塩類、(メタ)アクリル酸ピリジルアルキルエステルのN−置換ピリジニウム塩類、ビニルピリジン類およびそのピリジニウム塩類等が挙げられる。
【0036】
接着剤層塗液を基材シート表面に塗布する場合、塗布方法としては特に限定するものではないが、各種ブレードコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が用いられる。その中でも、エアーナイフコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が好ましい。塗工量としては2〜30g/m2の範囲であるが、好ましくは3〜15g/m2の範囲である。
【0037】
また、接着剤層塗工後の巻取において、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.37−81法に規定される巻硬さの偏差が5kgf・m以下であることが好ましい。巻硬さの偏差の最大値が5kgf・mを超えると、接着剤層を塗工した際、不必要な紙の変形が起こり、左右で紙の寸法が異なり、このような巻取を、フォーム印刷機を使って高速(150m/分)で印刷すると、シワが発生したり、見当ズレが発生する等トラブルの原因となることがある。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例において示す「部」及び「%」は特に明示のない限り、質量部及び質量%である。
【0039】
実施例1
一次粒子の平均粒子径が0.25μmで、表面被覆層を有しないルチル型二酸化チタン顔料30kgを水100Lに懸濁させ、サンドミルで60分間湿式粉砕して得られた懸濁液を充分に攪拌しながら60℃に加熱して、SiOとして100g/Lの珪酸ナトリウム水溶液15Lを加え、300g/Lの希硫酸を用いて240分間でpH3に調整した。更に60分間攪拌し、30℃に冷却し、300g/Lの希水酸化ナトリウム水溶液でpHを9とし、Alとして250g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液3.6Lを、希硫酸を同時に添加してpH9を保ちながら180分間かけて加えた。続いて、60分間攪拌し、希硫酸を用いて10分間でpH7とし、更に60分間攪拌し、濾過洗浄して110℃で乾燥した後、スチームミルで乾式粉砕した。このようにしてSiOとAlで被覆された二酸化チタンを得た。
【0040】
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を420mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤0.2質量部、紙力増強剤0.8質量部、上記SiOとAlで被覆した二酸化チタン6.0質量部、タルク2.0質量部、硫酸バンド1.2質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量115g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ140μに調整して基材シートを得た。
上記基材シートの片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した基材シートの反対面に、同様塗料を上記と同様にして塗工し、本発明の感圧接着シートを得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂/エチルアクリレート複合樹脂系接着剤(商品名:OLY3817−2、昭和高分子社製)40質量部、
2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)4質量部、
シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R−1130、クラレ社製)10質量部、
スチレン−ブチジエンゴム(商品名:ニッポールLx−416、日本ゼオン社製)5質量シリカ(商品名:ミズカシルP−526、水澤化学工業社製)36質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)3質量部、
消泡剤(SNデフォーマー480、サンノプコ社製)0.6質量部
【0041】
実施例2
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を400mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤0.15質量部、紙力増強剤0.8質量部、SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)(平均粒子径0.3μm)8.0質量部、タルク2.0質量部、硫酸バンド1.6質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量115g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ140μmに調整して基材シートを得た。
上記基材シートの片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した基材シートの反対面に、同様塗料を上記と同様にして塗工し、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を作成した。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)39質量部、
4級カチオン樹脂であるジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス70、里田化工社製)14質量部、
部分ケン化型マレイン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:DR0415、電気化学工業社製)9質量部、
シリカ(商品名:ニップジェルAY−603、東ソー・シリカ社製)34質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)1質量部、
消泡剤(商品名:SNデフォーマー480、サンノプコ社製)1質量部。
【0042】
実施例3
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を400mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤0.15質量部、紙力増強剤0.8質量部、SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)(平均粒子径0.3μm)3.5質量部、タルク6.5質量部、硫酸バンド1.6質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量115g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ140μmに調整して基材シートを得た。
上記基材シートの片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した基材シートの反対面に、同様塗料を上記と同様にして塗工し、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を作成した。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)39質量部、
4級カチオン樹脂であるジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス70、里田化工社製)14質量部、
部分ケン化型マレイン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:DR0415、電気化学工業社製)9質量部、
シリカ(商品名:ニップジェルAY−603、東ソー・シリカ社製)29質量部、
SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)6質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)1質量部、
消泡剤(商品名:SNデフォーマー480、サンノプコ社製)1質量部。
【0043】
実施例4
再剥離面用塗料として、下記の組成とした以外は実施例2と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB−520、三井物産ソルベント・コーティング社製)80質量部、
二酸化チタン(商品名:タイペークW−10、石原産業社製)20質量部、
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)20質量部、
シリカ(商品名:ミズカシルP−527、水澤化学工業社製)40質量部、
スチレン−ブタジエン共重合体系バインダー(商品名:0696、JSR社製)18質量部、
4級カチオン樹脂であるジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス70、里田化工社製)12質量部、
硫酸マグネシウム(商品名:硫酸マグネシウム、富田製薬社製)8質量部、
フッ素系微粒子(商品名:ハイドロッサーSST3、シャムロック社製)3質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)1質量部、
消泡剤(商品名:SNデフォーマー480、サンノプコ社製)1質量部。
【0044】
実施例5
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を400mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤0.15質量部、紙力増強剤0.8質量部、SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)(平均粒子径0.3μm)16.0質量部、タルク2.0質量部、硫酸バンド1.6質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量115g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ140μmに調整して基材シートを得た。
上記基材シートの片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した基材シートの反対面に、同様塗料を上記と同様にして塗工し、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を作成した。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)39質量部、
4級カチオン樹脂であるジメチルアミン−エピクロルヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス70、里田化工社製)14質量部、
部分ケン化型マレイン酸変性ポリビニルアルコール(商品名:DR0415、電気化学工業社製)9質量部、
シリカ(商品名:ニップジェルAY−603、東ソー・シリカ社製)33.5質量部、
SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)1.2質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)1質量部、
消泡剤(商品名:SNデフォーマー480、サンノプコ社製)1質量部。
【0045】
実施例6
表面被覆層を有しないルチル型二酸化チタン(Titanium(4) Oxide、和光純薬工業社製)30kgを水100Lに懸濁させ、サンドミルで30分間湿式粉砕して得られた懸濁液を充分に攪拌しながら60℃に加熱して、SiOとして100g/Lの珪酸ナトリウム水溶液15Lを加え、300g/Lの希硫酸を用いて240分間でpH3に調整した。更に60分間攪拌し、30℃に冷却し、300g/Lの希水酸化ナトリウム水溶液でpHを9とし、Alとして250g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液3.6Lを、希硫酸を同時に添加してpH9に保ちながら180分間かけて加えた。続いて、60分間攪拌し、希硫酸を用いて10分間でpH7とし、更に60分間攪拌し、濾過洗浄して110℃で乾燥した後、スチームミルで乾式粉砕した。このようにしてSiOとAlで被覆された二酸化チタンを得た。(平均粒子径0.6μm)
基材シートを構成する填料として、上記二酸化チタンを用いた以外は実施例2と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0046】
実施例7
表面被覆層を有しないルチル型二酸化チタン(商品名:Titanium(4) Oxide、和光純薬工業社製)30kgを水100Lに懸濁させ、サンドミルで120分間湿式粉砕して得られた懸濁液を充分に攪拌しながら60℃に加熱して、SiOとして100g/Lの珪酸ナトリウム水溶液15Lを加え、300g/Lの希硫酸を用いて240分間でpH3に調整した。更に60分間攪拌し、30℃に冷却し、300g/Lの希水酸化ナトリウム水溶液でpHを9とし、Alとして250g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液3.6Lを、希硫酸を同時に添加してpH9に保ちながら180分間かけて加えた。続いて、60分間攪拌し、希硫酸を用いて10分間でpH7とし、更に60分間攪拌し、濾過洗浄して110℃で乾燥した後、スチームミルで乾式粉砕した。このようにしてSiOとAlで被覆された二酸化チタンを得た。(平均粒子径0.18μm)
基材シートを構成する填料として、上記二酸化チタンを用いた以外は実施例2と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
【0047】
比較例1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を420mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤0.2質量部、紙力増強剤0.8質量部、一次粒子の平均粒子径が0.25μmで表面被覆層を有しないルチル型二酸化チタン10.0質量部、硫酸バンド1.2質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量115g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ140μに調整して基材シートを得た。
上記基材シートの片面に、以下の配合の再剥離面用塗料をメイヤーバーにて固形あたり8g/m2塗工し、熱風乾燥機にて120℃の温度で1分間乾燥した。続いて、再剥離面用塗料を塗工した基材シートの反対面に、同様塗料を上記と同様にして塗工し、本発明の感圧接着シートを得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)37質量部、
2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)10質量部、
部分ケン化型ポリビニルアルコール(商品名:PVA210、クラレ社製)13質量部、
シリカ(商品名:ファインシールX−60、トクヤマ社製)36質量部、
分散剤(商品名:エマルゲンA−60、花王社製)0.4質量部、
滑剤(商品名:DEF−704TF、日新化学研究所製)3質量部、
消泡剤(商品名:SNデフォーマー480、サンノプコ社製)0.6質量部。
【0048】
比較例2
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量部を430mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE、荒川化学工業社製)0.3質量部、湿潤紙力増強剤(商品名:WS−500、星光PMC社製)0.8質量部、SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)1.0質量部、硫酸バンド3.5質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量114g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ135μmに調整して基材シートを得た。得られた基材シートに下記組成の再剥離面用塗料を塗工量7.0g/mずつ両面に塗工して感圧接着シートを得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)100質量部、
シリカ(商品名:スノーテックス、日産化学工業社製)30質量部、
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)150質量部、
2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)6質量部
【0049】
比較例3
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量部を430mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE、荒川化学工業社製)0.3質量部、湿潤紙力増強剤(商品名:WS−500、星光PMC社製)0.8質量部、SiOとAlで被覆した二酸化チタン(商品名:TITONE R−21、堺化学工業社製)22.0質量部、硫酸バンド3.5質量部を添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量114g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ135μmに調整して基材シートを得た。得られた基材シートに下記組成の再剥離面用塗料を塗工量7.0g/mずつ両面に塗工して感圧接着シートを得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB672IJ、三井物産ソルベント・コーティング社製)100質量部、
シリカ(商品名:スノーテックス、日産化学工業社製)30質量部、
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)150質量部、
2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)6質量部
【0050】
比較例4
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100質量部を400mlC.S.F.に叩解し、ロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE、荒川化学工業社製)を0.7質量部、湿潤紙力増強剤(商品名:WS−500、星光PMC社製)を0.8質量部、タルク8質量部、硫酸バンドを1.5質量部添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して坪量114g/mの上質紙を抄造し、カレンダーで厚さ135μmに調整して基材シートを得た。得られた基材シートに下記組成の再剥離面用塗料を塗工量8.0g/mずつ両面に塗工して感圧接着シートを得た。
再剥離面用塗料として、下記の組成とした以外は比較例2と同様にして、本発明の感圧接着シート(三つ折り葉書用親展葉書用紙)を得た。
「再剥離面用塗料組成」
配合量
メチルメタクリレートグラフト天然ゴム接着剤(商品名:フルタイトFB−06OJ、三井フラー社製)60質量部、
シリカ(商品名:ファインシールX−45、トクヤマ社製)30質量部、
小麦澱粉(商品名:AS−225、千葉澱粉社製)30質量部、
ゼオライト(商品名:トヨビルダー、東ソー社製)20質量部、
ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217、クラレ社製)10質量部、
2級アミノ基の塩酸塩を含有する樹脂であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドの共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学工業社製)12質量部。
【0051】
〔評価方法〕
インク乾燥性評価:インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを印字し、直ちに印字部を指で擦った際のインクの流れ具合を目視で評価した。
◎:インク流れが全くなく、優れている
○:インク流れがほとんどなし
△:若干インク流れが認められるが、実用上問題なし
×:インク流れがあり、実用上問題がある
【0052】
印字の耐水性評価:インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを再剥離面に印字し、水中に2分間浸けた際のインクのにじみを目視で評価した。
◎:にじみが全くなく、優れている
○:にじみがほとんどなし
△:若干にじみが認められるが、実用上問題なし
×:にじみがあり、実用上問題がある
【0053】
印字濃度評価:インクジェットプリンターMC−830(セイコーエプソン社製)を用いてブラックを再剥離面に印字し、目視にて評価した。
◎:印字濃度が非常に濃く、優れている
○:印字濃度が濃い
△:印字濃度が若干薄いが、実用上問題なし
×:印字濃度が薄く、実用上問題がある
【0054】
ウェット強度(オフセット印刷適性):RIテスター(石川島産業機械社製)を用いて、モルトンロールで水を刷った直後の感圧接着シートサンプルに所定硬さ(タック8)のインクにて印刷した際の接着剤層の剥がれを目視にて評価した。
◎:剥がれが全くなく、非常に優れている
○:剥がれがほとんどない
△:剥がれが若干あるが、実用上問題なし
×:剥がれが酷く、実用上問題がある
【0055】
再剥離面の再剥離性:ドライシーラー(6860、トッパン・フォームズ社製)を用い、得られた三つ折り葉書用サンプルを適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、50%RHの温湿度条件で24時間調整した後、ロール間隙を200μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で再剥離し、剥離の状態及び剥離した面の状態を評価した。
○:スムーズに再剥離し、良好である
△:接着力は強いが、実用上問題ないレベルである
×:基材の強度が弱く、基材破壊が起き、実用上問題となるレベルである
【0056】
再剥離面の接着性:ドライシーラー(6860、トッパン・フォームズ社製)を用い、得られた三つ折り葉書用サンプルを適切な大きさに断裁し、再剥離面同士が対向するようにZ折りして、23℃、50%RHの温湿度条件で24時間調整した後、ロール間隙を200μmに設定したプレスロールを通過させて圧着し、親展葉書を作製した。得られた親展葉書をT型剥離で接着力を評価した。
○:接着力が充分であり、良好である
△:接着力が若干低いが、実用上問題ないレベルである
×:接着力が低く剥がれを生じ、実用上問題となるレベルである
【0057】
(7)不透明度:分光白色度測色計(SC−10WN、スガ試験機社製)を用いて、JIS P−8149に準じて感圧接着シート、基材シートの不透明度を測定した。
【0058】
二酸化チタンの分散安定性:二酸化チタン微粒子の沈降状態より分散安定性を評価した。
○:沈降がなく、分散安定性に優れる
△:若干沈降しているが、実用上問題ないレベルである
×:沈降が酷く、実用上問題となるレベルである
【0059】
(9)総合評価:親展葉書用紙としての総合評価を行った。
◎:親展葉書用紙として非常に優れている
○:親展葉書用紙として優れている
△:親展葉書用紙として若干問題があるが、実用上問題ないレベルである
×:親展葉書用紙として問題があり、実用できないレベルである
【0060】
【表1】

【0061】
表1から、実施例1〜7の本発明の感圧接着シートは、基材シートを構成する填料として特定の表面被覆を施した二酸化チタンを特定量配合することによって、個人情報の隠蔽性に非常に優れ、インクジェットのインク乾燥性、印字耐水性、印字濃度、オフセット印刷適性の指標であるウェット強度も問題無く、接着性、再剥離性にも優れている。特に、接着剤層にも比較的多くの二酸化チタンを配合した実施例4、5では、隠蔽性に優れている。また、二酸化チタンの粒子径は、分散安定性に影響を与えるので適正な範囲内にするのが好ましい。一方、比較例1、4では、基材シートを構成する填料として、特定の表面被覆を施した二酸化チタンを使用しておらず、感圧接着シートの不透明度が低く、個人情報が外部から見えてしまう。また、二酸化チタンの配合量が少な過ぎると隠蔽性に劣り、二酸化チタンの配合量が多過ぎると、基材シートの強度が弱くなり過ぎ、再剥離できなくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの少なくとも一方の面に接着剤層を有しており、該接着剤層は、接着剤層同士を対向させた状態で強圧処理することにより接着することができ、接着後に接着剤層間で剥離可能である感圧接着シートにおいて、該基材シートを構成する填料として、填料の粒子表面がSiO及び/またはAlで被覆されている二酸化チタンを、パルプ100質量部に対して3〜20質量部含有し、かつ該接着剤層が接着剤、微粒子充填剤、バインダー樹脂を構成成分とし、かつJIS P−8149に準じて測定される感圧接着シートの不透明度が90.0%以上であることを特徴とする感圧接着シート。
【請求項2】
前記二酸化チタンが、平均粒子径0.1〜0.5μmである請求項1に記載の感圧接着シート。
【請求項3】
前記接着剤層中に、接着剤100質量部に対して、二酸化チタンを0.1〜20質量部含有された請求項1又は2に記載の感圧接着シート。

【公開番号】特開2006−28706(P2006−28706A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212703(P2004−212703)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】