説明

懸架装置用バンプストッパー

【課題】応力分散を誘導し、ゴム素材の接着工程で発生するパーティングラインに沿って上下側の補強ブロック部の接触角を大きくして、後から接触するように形成することによって、作用負荷を減少させて、耐久性を確保することができる、懸架装置用バンプストッパーを提供する。
【解決手段】長さ方向に沿ってパーティングラインPLを有し、圧縮時には互いに接触する少なくとも2つ以上の凸状外周部を有する懸架装置用バンプストッパー23であって、前記パーティングラインに沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、相互間には第1接触角が形成される複数の第1補強ブロック部31,33と、前記各凸状外周部の周囲に沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、前記パーティングラインから一定の角をなして、相互間には第2接触角が形成される複数の第2補強ブロック部41,43と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸架装置用バンプストッパーに関し、より詳細には、車両の過度な旋回時に、ストッパープレートに接してシャーシ部品間の干渉を防止する、懸架装置用バンプストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用懸架装置は、車体及び車輪の間に構成されていて、車体及び車輪を複数のリンクを利用して連結する装置である。カップルドトーションビームアクセル(Coupled Torsion Beam Axle;CTBA)タイプの懸架装置は、このような車両用懸架装置の一例である。
【0003】
図1に示したように、カップルドトーションビームアクセル(CTBA)タイプの懸架装置は、横方向にトーションビーム1が形成され、前記トーションビーム1の両端にはトレーリングアーム9が溶接されて設置される。前記トレーリングアーム9の一側には、タイヤ3及びホイール5を装着するためのスピンドルブラケット7が装着される。
【0004】
そして、前記各トレーリングアーム9の他端には、車体(図示せず)と連結するためのブッシュ11が形成され、前記各トレーリングアーム9の一側及び中央には、各々スプリング13を装着するためのスプリングシート15及びショックアブソーバー17を連結するための装着ピン19が設置される。
【0005】
このような懸架装置において、前記スプリングシート15の上面にはストッパープレート21が装着され、前記スプリング13の上端は車体に連結される。前記スプリング13の上側は、前記ストッパープレート21に対向するバンプストッパー23を囲むようになる。
【0006】
前記バンプストッパー23は、車輪の最大バンプストロークを制限するように、車体の一側に形成されている。ここで、バンプ(bump)は、車両の旋回時に車体が地面側に下がることを意味し、リバウンド(rebound)は、車体が地面の反対側に上がることを意味する。
【0007】
車両の過度な旋回時に、シャーシ部品間の干渉を防止するように、バンプストッパー23は、前記ストッパープレート21に接して荷重を加えるようになる。
【0008】
このようなバンプストッパー23は、図2に示したように、圧縮時に互いに接触する少なくとも2つ以上の凸状外周部(B1、B2)を含み、懸架装置のバンプストロークを制限して、低/高周波振動及び衝撃の入力時に絶縁する機能をする。このような目的のために、バンプストッパー23は、ポリウレタン(Polyurethane)素材を使用して製造されるのが一般的であるが、ゴム素材に比べて価格が高く、収益性の側面では不利な短所がある。
【0009】
反面、前記バンプストッパー23をゴム素材を使用して製造する場合、ゴム素材のダンピング係数(C)が「0」に近いため、振動吸収性能が低下し、それによって衝撃の入力時に振動、衝撃力のピーク(peak)値を低下させる別途のエネルギー吸収装置が必要な短所がある。
【0010】
また、ゴム素材のバンプストッパー23をポリウレタン素材のバンプストッパー23と同一な形状に製造する場合、絶縁性能はもちろん、図3に示したように、ゴム素材が重なる部分(P1、P2、P3)で耐久性が低下する問題がある。つまり、絶縁性能は、製品の厚さを減少させたり、ダンピングに影響を与えるホール(HOLE)を穿孔することによって確保することができるが、耐久性は、ゴム素材の接着工程の特性によって発生するパーティングライン(PL)のために、一般的なバンプストッパーの形状では確保するのが難しい問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は上記従来の懸架装置用バンプストッパーにおける問題点に鑑みてなされたものであって、前記のようなゴム素材のバンパーストッパーの製造工程上の特性によって発生する可能性のある耐久性の低下を構造的に回避するバンプストッパーの形状を開発する過程で発明されたものである。
【0012】
本発明の目的は、車両のバンプ時に互いに重なる外周面の上下側に一定の接触角を有する補強ブロック部を形成することによって、応力分散を誘導する、懸架装置用バンプストッパーを提供することにある。
【0013】
また、ゴム素材の接着工程で発生するパーティングラインに沿って上下側の補強ブロック部の接触角を大きくすることによって、作用負荷を減少させて、耐久性を確保することができる、懸架装置用バンプストッパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による懸架装置用バンプストッパーは、長さ方向に沿ってパーティングラインを有し、圧縮時には互いに接触する少なくとも2つ以上の凸状外周部を有する懸架装置用バンプストッパーにおいて、前記パーティングラインに沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、相互間には第1接触角が形成される複数の第1補強ブロック部と、前記各凸状外周部の周囲に沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、前記パーティングラインから一定の角をなして、相互間には第2接触角が形成される複数の第2補強ブロック部と、を有することを特徴とする。
前記第1接触角は、前記第2接触角より大きく形成されることが好ましい。
前記第2補強ブロック部の幅は、前記第1補強ブロック部の幅より大きく形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
バンプストッパーをゴム素材を使用して製造する場合、別途のエネルギー吸収装置が必要であり、ゴム素材が重なる部分で耐久性が低下する従来の方式にかわって、
本発明による懸架装置用バンプストッパーによれば、車両のバンプ作動によって圧縮される過程で互いに重なる外周面の上下側に一定の接触角を有する補強ブロック部を形成して、応力分散を誘導し、ゴム素材の接着工程で発生するパーティングラインに沿って上下側の補強ブロック部の接触角を大きくして、後から接触するように形成することによって、作用負荷を減少させて、耐久性を確保することができるようにするという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る懸架装置用バンプストッパーを実施するための最良の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0017】
図4は本発明の実施例による懸架装置用バンプストッパーの斜視図である。
【0018】
ここで、本発明の構成を説明する際には、従来の技術の構成と同一な構成要素については同一な図面符号を適用して説明する。
【0019】
本発明の実施例による懸架装置用バンプストッパー23は、基本的に長さ方向に沿ってパーティングライン(PL)を有するゴム素材で構成されて、圧縮時には互いに接触する2つの凸状外周部(B1、B2)を有する。
【0020】
そして、前記バンプストッパー23は、パーティングライン(PL)に沿って一定の幅で前記上下側の凸状外周部(B1、B2)に一体に第1補強ブロック部31、33が各々形成される。
【0021】
ここで、前記上下側の第1補強ブロック部31、33は、図5に示したように、相互間に第1接触角(θ1)が形成されるが、この時、前記第1接触角(θ1)は60度であるのが好ましい。
【0022】
そして、前記バンプストッパー23は、上下側の凸状外周部(B1、B2)の周囲に沿って前記パーティングライン(PL)から90度の位置に一定の幅(W1)で前記各凸状外周部に一体に第2補強ブロック部41、43が各々形成される。
【0023】
ここで、前記上下側の第2補強ブロック部41、43は、図6に示したように、相互間には第2接触角(θ2)が形成されるが、この時、前記第2接触角(θ2)は30度であるのが好ましい。
【0024】
つまり、前記パーティングライン(PL)に形成される上下側の第1補強ブロック部31、33がなす第1接触角(θ1)より、前記上下側の第2補強ブロック部41、43がなす第2接触角(θ2)がより小さく形成されて、圧縮時に前記上下側の第2補強ブロック部41、43が常に先に接触するようにして、耐久性が弱いパーティングライン(PL)が形成された部分には負荷が小さく作用するようにするのが重要である。
【0025】
そして、前記上下側の第2補強ブロック部41、43の幅(W2)は、前記上下側の第1補強ブロック部31、33の幅(W1)より大きく形成して、圧縮時に先に接触する上下側の第2補強ブロック部41、43の耐久性を補強する構造からなるようにした。
【0026】
したがって、前記のような構成を有する懸架装置用バンプストッパー23は、車両のバンプ作動によって圧縮される過程で第2接触角(θ2)を有する上下側の第2補強ブロック部41、43が先に接触するようにして、振動及び衝撃力を吸収するようになる。
【0027】
次に、60度に形成される第1接触角(θ1)を有する上下側の第1補強ブロック部31、33が後から接触するようにして、耐久性が弱いパーティングライン(PL)部分に作用する負荷を減少させるようになる。
【0028】
このように、本実施例による懸架装置用バンプストッパー23は、互いに重なる凸状外周部(B1、B2)の上下側に接触角(θ1、θ2)が互いに異なる各々第1補強ブロック部31、33及び第2補強ブロック部41、43を形成して、応力分散を誘導すると同時に、ゴム素材の接着工程で発生するパーティングライン(PL)部分は後から接触するように形成することによって、耐久性を確保することができるようにする。
【0029】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一般的なバンプストッパーが適用される懸架装置の部分斜視図である。
【図2】従来の技術による懸架装置用バンプストッパーの斜視図である。
【図3】従来の技術によるバンプストッパー圧縮変形時の応力分布図である。
【図4】本発明の実施例による懸架装置用バンプストッパーの斜視図である。
【図5】図4のA−A線による断面図である。
【図6】図4のB−B線による断面図である。
【符号の説明】
【0031】
23 懸架装置用バンプストッパー
31、33 第1補強ブロック部
41、43 第2補強ブロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に沿ってパーティングラインを有し、圧縮時には互いに接触する少なくとも2つ以上の凸状外周部を有する懸架装置用バンプストッパーにおいて、
前記パーティングラインに沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、相互間には第1接触角が形成される複数の第1補強ブロック部と、
前記各凸状外周部の周囲に沿って一定の幅で前記各凸状外周部に一体に形成され、前記パーティングラインから一定の角をなして、相互間には第2接触角が形成される複数の第2補強ブロック部と、を有することを特徴とする懸架装置用バンプストッパー。
【請求項2】
前記第1接触角は、前記第2接触角より大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載の懸架装置用バンプストッパー。
【請求項3】
前記第2補強ブロック部の幅は、前記第1補強ブロック部の幅より大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載の懸架装置用バンプストッパー。
【請求項4】
長さ方向に沿ってパーティングラインを含み、圧縮時には互いに接触する2つの凸状外周部を含む懸架装置用バンプストッパーにおいて、
前記パーティングラインに沿って一定の幅で前記上下側の凸状外周部に一体に形成され、相互間には第1接触角が形成される上下側の第1補強ブロック部と、
前記上下側の凸状外周部の周囲に沿って一定の幅で前記上下側の凸状外周部に一体に形成され、前記パーティングラインから直角をなして、相互間には前記第1接触角より小さい第2接触角が形成される上下側の第2補強ブロック部と、を有することを特徴とする懸架装置用バンプストッパー。
【請求項5】
前記上下側の第2補強ブロック部の幅は、前記上下側の第1補強ブロック部の幅より大きく形成されることを特徴とする、請求項4に記載の懸架装置用バンプストッパー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−280192(P2009−280192A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297533(P2008−297533)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】