説明

成膜装置および成膜方法

【課題】ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜装置および成膜方法を提供する。
【解決手段】成膜装置100は、チャンバ1と、チャンバ1の内壁1aと空間Aを仕切るライナ2と、基板7を下方から加熱する主ヒータ9と、ライナ2と内壁1aの間に配置されて、基板7を上方から加熱する補助ヒータ18とを有する。主ヒータ9と補助ヒータ18は、いずれも抵抗加熱型のヒータである。補助ヒータ18は、第1の補助ヒータ18aと、第2の補助ヒータ18bと、第3の補助ヒータ18cとを有する。第1の補助ヒータ18aは、主ヒータ9と共同して基板7を加熱する。第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cは、第1の補助ヒータ18aより低い出力でライナ2を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置および成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのパワーデバイスのように、比較的膜厚の大きい結晶膜を必要とする半導体素子の製造には、エピタキシャル成長技術が利用されている。
【0003】
エピタキシャル成長技術に使用される気相成長方法では、成膜室内に基板を載置した状態で成膜室内の圧力を常圧または減圧にする。そして、基板を加熱しながら、成膜室内に反応性のガスを供給する。すると、基板の表面でガスが熱分解反応または水素還元反応を起こして気相成長膜が形成される。
【0004】
膜厚の大きな気相成長膜を製造するには、基板を均一に加熱するとともに、外部から供給される反応性のガスを基板表面に次々と接触させる必要がある。そこで、従来の成膜装置においては、基板を高速で回転させながら成膜処理を行う技術が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
従来の成膜装置は、成膜室内に回転体ユニットを備えており、回転体ユニットの上面に設けられた環状の保持部に基板が載置される。また、保持部の下方には、抵抗加熱型の内部ヒータが設けられている。このヒータは、渦巻型のカーボンヒータであり、回転体ユニットを構成する回転軸の内部に、電流導入のための端子や電線、ヒータを支持する電極などが配置される。
【0006】
基板は、内部ヒータの輻射熱によって加熱される。しかし、基板の外周部では反応ガスの流速が速いことや、冷却水で冷却された成膜室外壁への輻射があることによって、保持部の外周部は冷却される。そこで、内部ヒータをインヒータとアウトヒータからなるものとし、アウトヒータの温度をインヒータより高温にすることで、基板の温度を均一にしようとすることが行われている。また、特許文献1では、さらに、回転ユニットと成膜室の内壁との間に外部ヒータを設けることで、アウトヒータの寿命を長くすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−170676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、高耐圧のパワー半導体デバイスへの利用が期待されている材料として、SiC(炭化珪素(シリコンカーバイト))がある。この材料は、Si(シリコン)やGaAs(ガリウム砒素)といった従来の半導体材料と比較して、エネルギーギャップが2〜3倍大きく、絶縁破壊電界が約1桁大きいといった特徴がある。
【0009】
SiCの単結晶基板を形成する場合、基板は1500℃以上の高温に加熱される必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されているような加熱、すなわち、基板の下面からだけの加熱では、基板を上記温度にするのは難しかった。
【0010】
そこで、基板の上面と下面の両側から加熱する方法が提案されている。この方法では、従来の内部ヒータに加えて、成膜室上方部の側壁部分に上部ヒータを設け、これらのヒータによって基板を加熱する。また、このとき、抵抗加熱型の内部ヒータに対して、上部ヒータとしては高周波誘導加熱型のものを用いる。
【0011】
基板の下方からのみ加熱する従来法において、基板を1500℃以上の高温に加熱しようとすると、ヒータは例えば2000℃程度の温度になる。ここで、抵抗加熱型のヒータは、ヒータと電極を電気的に接続する部材の耐熱性が低く、かかる高温下でヒータとしての特性を維持することは難しい。このため、内部ヒータと共同して基板を加熱する目的で上部ヒータを設け、さらに、上部ヒータを高周波誘導加熱型のものとすることで、基板を1500℃以上の高温に加熱することを可能としている。
【0012】
ところで、高周波誘導加熱型のヒータは、基板からの距離によって加熱効果に差異を生じる。そこで、これを利用して基板の温度を制御することが行われる。具体的には、ヒータを構成するコイルの位置や高さを調整して加熱温度を調整する。しかしながら、この方法では細かい温度制御を行うことが難しいという問題があった。つまり、抵抗加熱型の内部ヒータについては細かい温度制御が可能であるとしても、高周波誘導加熱型の上部ヒータとの併用がなされた場合には、全体として大まかな温度制御にならざるを得ないという問題があった。
【0013】
また、上部ヒータからの熱は上方に逃げるため、下方に位置する基板を効率よく加熱できないという問題もあった。さらに、上部ヒータを設けることで、成膜室上方部の構造体、具体的には、成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間とを仕切るライナに温度差が生じ、この部分に割れが発生する懸念もあった。
【0014】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜装置および成膜方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は、成膜室と、
成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間とを仕切る中空筒状のライナと、
ライナの内側に載置される基板を下方から加熱する主ヒータと、
ライナと内壁の間に配置されて、基板を上方から加熱する補助ヒータとを有し、
主ヒータと補助ヒータは、いずれも抵抗加熱型のヒータであって、
補助ヒータは、基板に最も近い位置に配置される第1の補助ヒータと、
第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータとを有し、
第1の補助ヒータは、主ヒータと共同して基板を加熱し、
第2の補助ヒータは、第1の補助ヒータと同じ出力または第1の補助ヒータより低い出力でライナを加熱し、
主ヒータ、第1の補助ヒータおよび第2の補助ヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする成膜装置に関する。
【0017】
本発明の第1の態様において、主ヒータは、円盤状のインヒータと、
インヒータの上方であって、基板の外周部に対応する位置に配置される、環状のアウトヒータとを有し、
インヒータとアウトヒータは、それぞれ独立に温度制御されることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様において、補助ヒータは、第2の補助ヒータ以外にも、第1の補助ヒータと同じ出力または第1の補助ヒータより低い出力でライナを加熱するヒータを少なくとも1つ以上有し、このヒータは、第2の補助ヒータの上方に配置され、主ヒータ、第1の補助ヒータおよび第2の補助ヒータとは独立に温度制御されることが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様は、成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間を仕切るライナの内側に基板を載置し、基板を加熱して基板の上に所定の膜を形成する成膜方法において、
基板の温度は、基板を下方から加熱する主ヒータと、ライナと内壁の間の基板に最も近い位置に配置されて基板を上方から加熱する第1の補助ヒータとによって制御され、
第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータは、成膜処理が行われる時に第1の補助ヒータと同じ出力または第1の補助ヒータより低い出力でライナを加熱することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第2の態様において、主ヒータの出力は、基板の温度に応じて制御され、
第1の補助ヒータの出力は、主ヒータの出力に応じて制御されることが好ましい。
【0021】
本発明の第3の態様は、成膜室と、
成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間とを仕切る中空筒状のライナと、
ライナの内側に載置される基板を下方から加熱する主ヒータと、
ライナと内壁の間に配置されて、基板を上方から加熱する補助ヒータとを有し、
主ヒータと補助ヒータは、いずれも抵抗加熱型のヒータであって、
補助ヒータは、基板に最も近い位置に配置される第1の補助ヒータと、
第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータとを有し、
第1の補助ヒータは、主ヒータと共同して基板を加熱し、
第2の補助ヒータは、第1の補助ヒータと同じ表面温度または第1の補助ヒータより低い表面温度でライナを加熱し、
主ヒータ、第1の補助ヒータおよび第2の補助ヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする成膜装置に関する。
【0022】
本発明の第3の態様において、主ヒータは、円盤状のインヒータと、
インヒータの上方であって、基板の外周部に対応する位置に配置される、環状のアウトヒータとを有し、
インヒータとアウトヒータは、それぞれ独立に温度制御されることが好ましい。
【0023】
本発明の第3の態様において、補助ヒータは、第2の補助ヒータ以外にも、第1の補助ヒータと同じ表面温度または第1の補助ヒータより低い表面温度でライナを加熱するヒータを少なくとも1つ以上有し、このヒータは、第2の補助ヒータの上方に配置され、主ヒータ、第1の補助ヒータおよび第2の補助ヒータとは独立に温度制御されることが好ましい。
【0024】
本発明の第4の態様は、成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間を仕切るライナの内側に基板を載置し、基板を加熱して基板の上に所定の膜を形成する成膜方法において、
基板の温度は、基板を下方から加熱する主ヒータと、ライナと内壁の間の基板に最も近い位置に配置されて基板を上方から加熱する第1の補助ヒータとによって制御され、
第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータは、成膜処理が行われる時に第1の補助ヒータと同じ表面温度または第1の補助ヒータより低い表面温度でライナを加熱することを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第4の態様において、主ヒータの表面温度は、基板の温度に応じて制御され、
第1の補助ヒータの表面温度は、主ヒータの表面温度に応じて制御されることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の態様によれば、ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜装置が提供される。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜方法が提供される。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜装置が提供される。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、ライナの割れを抑制しつつ、基板を効率よくかつ細かい温度制御で加熱することのできる成膜方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態の成膜装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本実施の形態の成膜装置の模式的な断面図である。尚、この図では、説明のために必要な構成以外を省略している。また、縮尺についても、各構成部を明確に視認できるよう原寸大のものとは変えている。
【0032】
図1に示すように、成膜装置100は、成膜室としてのチャンバ1と、チャンバ1の内部を仕切る中空筒状のライナ2と、チャンバ1を冷却する冷却水の流路3と、反応ガス4を導入する供給部5と、反応後の反応ガス4を排気する排気部6と、基板7を支持するサセプタ8と、チャンバ1の上下部を連結するフランジ10と、フランジ10をシールするパッキン11と、排気部6と配管12を連結するフランジ13と、フランジ13をシールするパッキン14とを有する。パッキン11、14には、耐熱温度が300℃のフッ素ゴムを用いることができる。
【0033】
ライナ2は、チャンバ1の内壁1aと、基板7上への成膜処理が行われる空間Aとを仕切る目的で設けられる。チャンバ1の内壁1aは、例えばステンレスで構成されるので、ライナ2を設けることで、内壁1aが反応ガスによって腐食されるのを防ぐことができる。
【0034】
成膜処理は高温下で行われるので、ライナ2は、高い耐熱性を備える材料によって構成される。例えば、SiC部材またはカーボンにSiCをコートして構成された部材の使用が可能である。
【0035】
本実施の形態では、便宜上、ライナ2を胴部2aと頭部2bの2つの部分に分けて称する。胴部2aは、内部にサセプタ8が配置される部分であり、頭部2bは、胴部2aより内径の小さい部分である。胴部2aと頭部2bは、一体となってライナ2を構成しており、頭部2bは胴部2aの上方に位置する。
【0036】
頭部2bの上部開口部には、シャワープレート15が設けられている。シャワープレート15は、基板7の表面に反応ガス4を均一に供給するガス整流板として働く。シャワープレート15には、複数個の貫通孔15aが設けられており、供給部5からチャンバ1に導入された反応ガス4は貫通孔15aを通って基板7の方へ流下する。ここで、反応ガス4は、無駄に拡散することなく、効率よく基板7の表面に到達することが好ましい。このため、頭部2bの内径は胴部2aより小さく設計されている。具体的には、頭部2bの内径は、貫通孔15aの位置と基板7の大きさを考慮して決められる。
【0037】
基板7を支持するサセプタ8は、胴部2aに配置される。例えば、基板7の上にSiCをエピタキシャル成長させる場合、基板7は1500℃以上の高温にする必要がある。このため、サセプタ8には高耐熱性の材料を用いる必要があり、具体的には、等方性黒鉛の表面にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によってSiCを被覆したものなどが用いられる。サセプタ8の形状は、基板7を載置可能な形状であれば特に限定されるものではなく、リング状や円盤状などから適宜選択して用いられる。
【0038】
ライナ2の胴部2aには、回転軸16と、回転軸16の上端に設けられた回転筒17とが配置されている。サセプタ8は、回転筒17に取り付けられており、回転軸16が回転すると、回転筒17を介してサセプタ8が回転するようになっている。成膜処理時においては、基板7をサセプタ8上に載置することにより、サセプタ8の回転とともに基板7が回転する。
【0039】
一方、シャワープレート15を通過した反応ガス4は、頭部2bを通って基板7の方へ流下する。基板7が回転していることにより、反応ガス4は基板7に引きつけられ、シャワープレート15から基板7に至る領域で縦フローになる。基板7に到達した反応ガス4は、基板7の表面で乱流を形成することなく、水平方向に略層流となって流れる。このようにして、基板7の表面には、新たな反応ガス4が次々と接触する。そして、基板7の表面で熱分解反応または水素還元反応を起こしてエピタキシャル膜を形成する。尚、成膜装置100では、基板7の外周部からライナ2までの距離を狭くして、基板7の表面における反応ガス4の流れがより均一になるようにしている。
【0040】
反応ガス4の内で気相成長反応に使用されなかったガスや、気相成長反応により生成したガスは、チャンバ1の下部に設けられた排気部6から排気される。
【0041】
以上の構成とすることで、基板7を回転させながら成膜処理を行うことができる。つまり、基板7を回転させることにより、基板7の表面全体に効率よく反応ガス4が供給され、膜厚均一性の高いエピタキシャル膜を形成することが可能となる。また、新たな反応ガス4が次々と供給されるので、成膜速度の向上が図れる。
【0042】
ところで、基板7の表面にエピタキシャル膜を形成するには、基板7を加熱することが必要である。特に、SiCエピタキシャル膜を形成する場合などは、基板7を例えば1650℃以上の高温に加熱する必要がある。本実施の形態では、基板7を加熱する手段として、主ヒータ9と補助ヒータ18を有する。これらは、いずれも抵抗加熱型のヒータである。
【0043】
主ヒータ9は、回転筒17の内部に配置されて、基板7をその下方から加熱する。本実施の形態において、主ヒータ9は、基板7の温度に直接的に作用する。また、主ヒータ9は、円盤状のインヒータ9aと、環状のアウトヒータ9bとを有する。インヒータ9aは、基板7に対応する位置に配置される。アウトヒータ9bは、インヒータ9aの上方であって、基板7の外周部に対応する位置に配置される。基板7の外周部は中央部に比べて温度が低下しやすいため、アウトヒータ9bを設けることで外周部の温度低下を防ぐことができる。
【0044】
インヒータ9aとアウトヒータ9bは、アーム形状をした導電性のブースバー20によって支持されている。ブースバー20は、例えば、カーボンをSiCで被覆してなる部材によって構成される。また、ブースバー20は、インヒータ9aとアウトヒータ9bを支持する側とは反対の側で、石英製のヒータベース21によって支持されている。そして、モリブデンなどの金属からなる導電性の連結部22によって、ブースバー20と電極棒23が連結されることにより、電極棒23からインヒータ9aとアウトヒータ9bへ給電が行われる。具体的には、電極棒23からこれらのヒータの発熱体に通電がされて発熱体が昇温する。
【0045】
補助ヒータ18は、複数の抵抗加熱型ヒータからなり、本実施の形態では、第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの3つのヒータからなる。但し、第3の補助ヒータ18cはなくてもよく、また、第3の補助ヒータ18cのさらに上方に位置する、1つまたは2つ以上の他の補助ヒータがあってもよい。
【0046】
第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cは、それぞれ、ライナ2の頭部2bの周囲を帯状に取り巻いており、第1のヒータ支持部19a、第2のヒータ支持部19bおよび第3のヒータ支持部19cによって支持されている。各ヒータと各支持部とは、ねじ止めなどによって接続され、各支持部間の距離を変えることで、各ヒータ間の距離を変えることができる。
【0047】
さらに、第1のヒータ支持部19a、第2のヒータ支持部19bおよび第3のヒータ支持部19cは、それぞれ、チャンバ1の側壁を貫通して、外部電極に接続している。これにより、各支持部を通じて各ヒータへ独立に給電することができる。つまり、各ヒータを独立に温度制御することができる。
【0048】
第1の補助ヒータ18aは、補助ヒータ18の中で最も下段に配置され、基板7に最も近いところに位置する。第1の補助ヒータ18aは、基板7をその上方から加熱する。一方、基板7の下方からの加熱は主ヒータ9が担う。すなわち、基板7は、主ヒータ9と第1の補助ヒータ18aとによって、その両面から加熱される。ここで、これらのヒータは抵抗加熱型のヒータであるので、基板7の温度を細かく調整することが可能である。
【0049】
第2の補助ヒータ18bは、第1の補助ヒータ18aの上段に配置される。また、第3の補助ヒータ18cは、第2の補助ヒータ18bの上段に配置される。第2の補助ヒータ18bは、第1の補助ヒータ18aより低い出力で頭部2bを加熱し、第3の補助ヒータ18cは、第2の補助ヒータ18bより低い出力で頭部2bを加熱する。但し、頭部2bを加熱する際において、第1の補助ヒータ18aの出力は、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの出力と同じであっても構わない。
【0050】
上述の通り、補助ヒータ18は抵抗加熱型のヒータであるので、第1の補助ヒータ18aは頭部2bを加熱し、次いで、加熱された頭部2bの熱によって基板7が加熱される。ここで、補助ヒータ18が第1の補助ヒータ18aのみである場合、このヒータによって加熱されるのは頭部2bの極一部に過ぎない。このため、頭部2bに温度分布が生じ、加熱された頭部2bの熱は、温度の低い方、具体的には、頭部2bの上方へと移動する。つまり、この構成では、加熱された頭部2bの熱を効率よく基板7の加熱に用いることができない。
【0051】
一方、第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cを設けることで、第1の補助ヒータ18aからの熱が上方へ逃げるのを防ぐことができる。すなわち、これらのヒータを設けることで、ライナ2の頭部2bにおける温度差を低減することができる。したがって、第1の補助ヒータ18aによって、基板7を効率よく加熱することが可能となる。また、頭部2bの温度差をなくすことで、ライナ2に割れが発生するのを防ぐこともできる。尚、頭部2bの温度分布は、第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの各設定温度やこれらのヒータ間の距離を変えることで調整することができる。
【0052】
基板7の表面温度は、放射温度計24a、24bによって測定することができる。図1において、放射温度計24aは、基板7の中央部付近の温度を測定するのに用いられる。一方、放射温度計24bは、基板7の外周部の温度を測定するのに用いられる。これらの放射温度計は、図1に示すように、チャンバ1の上部に設けることができる。この場合、シャワープレート15を透明石英製とすることにより、放射温度計24a、24bによる温度測定がシャワープレート15によって妨げられないようにすることができる。
【0053】
測定した温度データは、図示しない制御機構に送られ、インヒータ9aとアウトヒータ9bの各出力制御にフィードバックされる。そして、これらのヒータの出力に応じて第1の補助ヒータ18aの出力が制御される。さらに、第2の補助ヒータ18bの出力は、第1の補助ヒータ18aの出力より低い値に制御され、第3の補助ヒータ18cの出力は、第2の補助ヒータ18bの出力より低い値に制御される。このようにすることで、ライナ2の割れを引き起こすことなく、基板7を効率的に所望の温度にすることができる。尚、各補助ヒータの温度制御に用いられる値は、各補助ヒータの出力に限られず、各補助ヒータの表面温度に応じて上記制御を行うことも可能である。さらに、主ヒータの表面温度を基板の温度に応じて制御し、第1の補助ヒータの表面温度を主ヒータの表面温度に応じて制御してもよい。
【0054】
一例として、SiCエピタキシャル成長を行う場合、各ヒータの設定温度は次のようにすることができる。これにより、基板7の温度を1650℃にすることが可能である。

インヒータ9aの温度:1680℃
アウトヒータ9bの温度:1750℃
第1の補助ヒータ18aの温度:1650℃
第2の補助ヒータ18bの温度:1600℃
第3の補助ヒータ18cの温度:1550℃

【0055】
本実施の形態において、第1の補助ヒータ18aは、ライナ2の頭部2bの最下方、すなわち、胴部2aに接する位置に配置される。ここで、ライナ2は、頭部2bと胴部2aの境界付近で屈曲した形状を有する。このため、第1の補助ヒータ18aの形状は、図1に示すように、ライナ2の屈曲した形状に沿うものとすることが好ましい。基板7は胴部2aに載置されるので、第1の補助ヒータ18aを上記形状とすることで、基板7を効率的に加熱することができる。
【0056】
以上述べたように、本実施の形態の成膜装置100は、主ヒータ9と補助ヒータ18を有する。これにより、以下のような効果が得られる。
【0057】
主ヒータ9と補助ヒータ18は、いずれも抵抗加熱型のヒータであるので、細かい温度制御が可能である。すなわち、高周波誘導加熱型のヒータであると、基板からの距離によって温度制御することになり、細かい基板の温度調整が必要である場合には不都合である。このことは、抵抗加熱型のヒータと高周波誘導加熱型のヒータを組み合わせて使用した場合であっても同様である。しかしながら、本実施の形態のように、基板の下方から加熱するヒータと、基板の上方から加熱するヒータのいずれをも抵抗加熱型のヒータとすることによって、基板の温度制御を緻密に行うことが可能となる。
【0058】
主ヒータ9は、基板7をその下方から加熱する。一方、補助ヒータ18は、基板7をその上方から加熱する。ここで、基板7の加熱に主として作用するのは、基板7に近い位置に配置される主ヒータ9であり、補助ヒータ18は、主ヒータ9の加熱を補助する役割を果たす。このため、主ヒータ9の温度の方が、補助ヒータ18の温度より高く設定される。しかしながら、補助ヒータ18があることで、主ヒータ9に過度の負担をかけずに済む。つまり、主ヒータ9のみである場合には、基板7を例えば1650℃以上の高温に加熱しようとすると、主ヒータ9の温度は2000℃程度まで上昇することになる。これは、主ヒータ9の耐熱性の点から無理がある。そこで、補助ヒータ18を設けることで、基板7への加熱が主ヒータ9と共同して行われることになり、主ヒータ9の設定温度を低くすることができる。すなわち、主ヒータ9の温度を2000℃まで上昇させることなしに、基板7を1650℃に加熱することができる。
【0059】
補助ヒータ18は、複数のヒータ、具体的には、第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cからなる。本実施の形態では、これらのヒータに異なる役割を与えている。例えば、第1の補助ヒータ18aは、基板7の上方からの加熱に主として寄与する。第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cは、第1の補助ヒータ18aからの熱が上方へ逃げるのを防ぐ。したがって、これらのヒータの組み合わせにより、基板7をその上方から効率的に加熱することができる。また、第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cは、第1の補助ヒータ18aによって生じる頭部2bの局所的な温度上昇を緩和する。したがって、頭部2bにおける熱分布が低減され、頭部2bに熱割れが生じるのを防ぐことができる。
【0060】
補助ヒータ18を構成する各ヒータの設定温度は、上記役割から個々に決定されることが好ましい。すなわち、第1の補助ヒータ18aの役割は、主ヒータ9を補助するため、基板7を上方から加熱することにある。したがって、第1の補助ヒータ18aの温度は、目標とする基板7の加熱温度と、主ヒータ9の設定温度とを考慮して設定される。一方、第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cの役割は、第1の補助ヒータ18aからの熱が上方へ逃げるのを防止するとともに、頭部2bの熱分布を低減することにある。したがって、これらの補助ヒータの温度は、第1の補助ヒータ18aの設定温度を考慮して設定される。具体的には、第2の補助ヒータ18bは、第1の補助ヒータ18aの温度より低い温度に設定され、第3の補助ヒータ18cの温度は、第2の補助ヒータ18bよりさらに低い温度に設定される。
【0061】
各補助ヒータの実際の温度は、これらのヒータに接続された熱電対25a、25b、25cによって測定することができる。各熱電対によって測定されたデータを、図示しない制御機構に送り、第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの各出力制御にフィードバックするようにすれば、頭部2bの温度分布を常に所望の範囲とすることができる。
【0062】
本実施の形態において、補助ヒータ18を構成するヒータの数は適宜変更することができる。例えば、主ヒータ9を補助するヒータは2つ以上あってもよい。また、第2の補助ヒータ18bと第3の補助ヒータ18cに対応するヒータは、さらに多くあってもよい。但し、補助ヒータの数がいずれであっても、各ヒータはこれを支持する支持部を通じてそれぞれ独立に温度制御できるようにする。このような構造とすれば、各ヒータの数を増やすことでより細かい温度制御が可能となる。
【0063】
また、本実施の形態では、図1に示すように、補助ヒータ18による加熱を効率的に行うためにリフレクタ26を設けることが好ましい。
【0064】
図1では、ライナ2の頭部2bの周囲を帯状に取り巻くように補助ヒータ18が設けられている。リフレクタ26は、補助ヒータ18の外側に周設される。より詳しくは、補助ヒータ18の発熱面は頭部2bに対向して配置されるが、リフレクタ26は、この発熱面に対して頭部2bとは反対の側に配置される。これにより、頭部2bとは反対の側に放射された発熱面からの熱をリフレクタ26で反射して、頭部2bの方へ向けることができる。
【0065】
リフレクタ26は、カーボンなどの耐熱性の高い材料を用いて構成される。また、リフレクタ26は、1枚の薄板からなるものとすることができるが、ヒータからの熱の反射効率を上げるためには、複数の薄板を適当な間隔で離間させた構造とすることが好ましい。例えば、図1では、リフレクタ26を3枚の薄板を離間させた構造としている。
【0066】
リフレクタ26を設けることで、補助ヒータ18からの熱でチャンバ1の内壁1aの温度が上昇するのを抑制することもできる。尚、チャンバ1の内壁1aの温度上昇を防ぐ点からは、内壁1aに沿って断熱材を配置することも効果的である。断熱材によって、補助ヒータ18からの熱が内壁1aに伝わるのを遮断できるので、内壁1aの温度上昇を抑制することができる。したがって、リフレクタ26と断熱材を組み合わせることで、内壁1aの温度上昇をより抑制することが可能である。
【0067】
次に、図1を参照しながら、本実施の形態における成膜方法の一例について述べる。
【0068】
本実施の形態の成膜装置100は、例えば、SiCエピタキシャル成長膜の形成に好適である。そこで、以下では、SiCエピタキシャル膜の形成を例にとる。
【0069】
基板7としては、例えば、SiCウェハを用いることができる。但し、これに限られるものではなく、場合に応じて、他の材料からなるウェハなどを用いてもよい。例えば、Siウェハ、SiO(石英)などの他の絶縁性基板、高抵抗のGaAsなどの半絶縁性基板などを用いることもできる。
【0070】
反応ガス4としては、例えば、プロパン(C)、シラン(SiH)およびキャリアガスとしての水素ガスを用いることができる。この場合、シランに代えて、ジシラン(SiH)、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、テトラクロロシラン(SiCl)などを使用することも可能である。
【0071】
まず、サセプタ8の上に基板7を載置する。
【0072】
次に、チャンバ1の内部を常圧または適当な減圧にした状態で、基板7を回転させる。基板7が載置されたサセプタ8は、回転筒17の上端に配置されている。したがって、回転軸16を通じて回転筒17を回転させると、サセプタ8が回転し、同時に基板7も回転する。回転数は、例えば50rpm程度とすることができる。
【0073】
本実施の形態では、主ヒータ9と補助ヒータ18によって基板7を加熱する。SiCエピタキシャル成長では、基板7を1500℃〜1700℃までの間の所定の温度に加熱することが必要になる。例えば、基板7の温度を1650℃にしようとする場合、各ヒータの設定温度は、例えば次のようにすることができる。

インヒータ9aの温度:1680℃
アウトヒータ9bの温度:1750℃
第1の補助ヒータ18aの温度:1650℃
第2の補助ヒータ18bの温度:1600℃
第3の補助ヒータ18cの温度:1550℃

【0074】
上記の通り、基板7を加熱するためにチャンバ1内は高温になる。そこで、チャンバ1の壁に設けた流路3に冷却水を流すことで、チャンバ1が過度に昇温するのを防止することができる。
【0075】
放射温度計24a、24bにより、基板7の温度が1650℃に達したことを確認したら、主ヒータ9と補助ヒータ18によって細かい温度調整がされる。これらのヒータは、抵抗加熱型のヒータであるので、所望の温度範囲内での調整が可能である。
【0076】
基板7の温度は、放射温度計24a、24bによりリアルタイムで測定可能である。また、補助ヒータ18の温度は、熱電対25a、25b、25cによって測定可能である。これらの測定結果から、各ヒータ、すなわち、インヒータ9a、アウトヒータ9b、第1の補助ヒータ18a、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの各設定温度を適宜調整する。これにより、ライナ2の割れを引き起こすことなく、基板7を効率的に所望の温度にすることができる。
【0077】
具体的には、放射温度計24a、24bで測定した温度データは、図示しない制御機構に送られ、インヒータ9aとアウトヒータ9bの各出力制御にフィードバックされる。そして、これらのヒータの出力に応じて第1の補助ヒータ18aの出力が制御される。さらに、第2の補助ヒータ18bの出力は、第1の補助ヒータ18aの出力より低い値に制御され、第3の補助ヒータ18cの出力は、第2の補助ヒータ18bの出力より低い値に制御される。尚、各補助ヒータの温度と出力の関係には、熱電対25a、25b、25cによる測定結果を用いることができる。但し、上記の通り、頭部2bを加熱する際において、第1の補助ヒータ18aの出力は、第2の補助ヒータ18bおよび第3の補助ヒータ18cの出力と同じであっても構わない。また、各補助ヒータの温度制御に用いられる値は、各補助ヒータの出力に限られず、各補助ヒータの表面温度に応じて上記制御を行うことも可能である。さらに、主ヒータ9の表面温度を基板7の温度に応じて制御し、第1の補助ヒータ18aの表面温度を主ヒータ9の表面温度に応じて制御してもよい。
【0078】
基板7が所定の温度に達した後は、基板7の回転数を徐々に上げていく。例えば、900rpm程度の回転数まで上げることができる。また、供給部5より反応ガス4を導入する。
【0079】
反応ガス4は、シャワープレート15の貫通孔15aを通り、基板7への成膜処理が行われる空間Aへ流入する。シャワープレート15を通過することで、反応ガス4は整流され、下方で回転する基板7へ向かって略鉛直に流下して、いわゆる縦フローを形成する。
【0080】
基板7の表面に到達した反応ガス4は、この表面で熱分解反応または水素還元反応を起こしてSiCエピタキシャル膜を形成する。気相成長反応に使用されなかった反応ガス4や、気相成長反応により生成したガスは、チャンバ1の下方に設けられた排気部6を通じて外部に排気される。
【0081】
基板7の上に、所定の膜厚のSiC膜を形成した後は、反応ガス4の供給を終了する。尚、基板7が所定の温度以下となるまで、キャリアガスのみ供給を続けてもよい。
【0082】
基板7が所定の温度まで冷却されたのを確認した後は、チャンバ1の外部に基板7を搬出する。
【0083】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施の形態では、基板を回転させながら基板上に膜を形成する例について述べたが、本発明では、基板を回転させない状態で膜を形成してもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、成膜装置の一例としてエピタキシャル成長装置を挙げ、SiC結晶膜の形成について説明したが、これに限られるものではない。成膜室内に反応ガスを供給し、成膜室内に載置される基板を加熱して基板の表面に膜を形成するものであれば、他の成膜装置であってもよく、また、他のエピタキシャル膜の形成に用いることもできる。
【0085】
さらに、装置の構成や制御の手法など、本発明に直接必要としない部分などについては記載を省略したが、必要とされる装置の構成や、制御の手法などを適宜選択して用いることができる。
【0086】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更し得る全ての成膜装置および各部材の形状は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0087】
1 チャンバ
1a 内壁
2 ライナ
2a 胴部
2b 頭部
3 流路
4 反応ガス
5 供給部
6 排気部
7 基板
8 サセプタ
9 主ヒータ
9a インヒータ
9b アウトヒータ
10、13 フランジ
11、14 パッキン
12 配管
15 シャワープレート
15a 貫通孔
16 回転軸
17 回転筒
18 補助ヒータ
18a 第1の補助ヒータ
18b 第2の補助ヒータ
18c 第3の補助ヒータ
19a 第1のヒータ支持部
19b 第2のヒータ支持部
19c 第3のヒータ支持部
20 ブースバー
21 ヒータベース
22 連結部
23 電極棒
24a、24b 放射温度計
25a、25b、25c 熱電対
26 リフレクタ
100 成膜装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜室と、
前記成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間とを仕切る中空筒状のライナと、
前記ライナの内側に載置される基板を下方から加熱する主ヒータと、
前記ライナと前記内壁の間に配置されて、前記基板を上方から加熱する補助ヒータとを有し、
前記主ヒータと前記補助ヒータは、いずれも抵抗加熱型のヒータであって、
前記補助ヒータは、前記基板に最も近い位置に配置される第1の補助ヒータと、
前記第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータとを有し、
前記第1の補助ヒータは、前記主ヒータと共同して前記基板を加熱し、
前記第2の補助ヒータは、前記第1の補助ヒータと同じ出力または前記第1の補助ヒータより低い出力で前記ライナを加熱し、
前記主ヒータ、前記第1の補助ヒータおよび前記第2の補助ヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記主ヒータは、円盤状のインヒータと、
前記インヒータの上方であって、前記基板の外周部に対応する位置に配置される、環状のアウトヒータとを有し、
前記インヒータと前記アウトヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記補助ヒータは、前記第2の補助ヒータ以外にも、前記第1の補助ヒータと同じ出力または前記第1の補助ヒータより低い出力で前記ライナを加熱するヒータを少なくとも1つ以上有し、該ヒータは、前記第2の補助ヒータの上方に配置され、前記主ヒータ、前記第1の補助ヒータおよび前記第2の補助ヒータとは独立に温度制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間を仕切るライナの内側に基板を載置し、前記基板を加熱して前記基板の上に所定の膜を形成する成膜方法において、
前記基板の温度は、前記基板を下方から加熱する主ヒータと、前記ライナと前記内壁の間の前記基板に最も近い位置に配置されて前記基板を上方から加熱する第1の補助ヒータとによって制御され、
前記第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータは、前記成膜処理が行われる時に前記第1の補助ヒータと同じ出力または前記第1の補助ヒータより低い出力で前記ライナを加熱することを特徴とする成膜方法。
【請求項5】
前記主ヒータの出力は、前記基板の温度に応じて制御され、
前記第1の補助ヒータの出力は、前記主ヒータの出力に応じて制御されることを特徴とする請求項4に記載の成膜方法。
【請求項6】
成膜室と、
前記成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間とを仕切る中空筒状のライナと、
前記ライナの内側に載置される基板を下方から加熱する主ヒータと、
前記ライナと前記内壁の間に配置されて、前記基板を上方から加熱する補助ヒータとを有し、
前記主ヒータと前記補助ヒータは、いずれも抵抗加熱型のヒータであって、
前記補助ヒータは、前記基板に最も近い位置に配置される第1の補助ヒータと、
前記第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータとを有し、
前記第1の補助ヒータは、前記主ヒータと共同して前記基板を加熱し、
前記第2の補助ヒータは、前記第1の補助ヒータと同じ表面温度または前記第1の補助ヒータより低い表面温度で前記ライナを加熱し、
前記主ヒータ、前記第1の補助ヒータおよび前記第2の補助ヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
前記主ヒータは、円盤状のインヒータと、
前記インヒータの上方であって、前記基板の外周部に対応する位置に配置される、環状のアウトヒータとを有し、
前記インヒータと前記アウトヒータは、それぞれ独立に温度制御されることを特徴とする請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記補助ヒータは、前記第2の補助ヒータ以外にも、前記第1の補助ヒータと同じ表面温度または前記第1の補助ヒータより低い表面温度で前記ライナを加熱するヒータを少なくとも1つ以上有し、該ヒータは、前記第2の補助ヒータの上方に配置され、前記主ヒータ、前記第1の補助ヒータおよび前記第2の補助ヒータとは独立に温度制御されることを特徴とする請求項6または7に記載の成膜装置。
【請求項9】
成膜室の内壁と成膜処理が行われる空間を仕切るライナの内側に基板を載置し、前記基板を加熱して前記基板の上に所定の膜を形成する成膜方法において、
前記基板の温度は、前記基板を下方から加熱する主ヒータと、前記ライナと前記内壁の間の前記基板に最も近い位置に配置されて前記基板を上方から加熱する第1の補助ヒータとによって制御され、
前記第1の補助ヒータの上方に配置される第2の補助ヒータは、前記成膜処理が行われる時に前記第1の補助ヒータと同じ表面温度または前記第1の補助ヒータより低い表面温度で前記ライナを加熱することを特徴とする成膜方法。
【請求項10】
前記主ヒータの表面温度は、前記基板の温度に応じて制御され、
前記第1の補助ヒータの表面温度は、前記主ヒータの表面温度に応じて制御されることを特徴とする請求項9に記載の成膜方法。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−30758(P2013−30758A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135435(P2012−135435)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】