説明

抗コロナウイルス化合物

コロナウイルス感染の治療方法。該方法は、式(I):


の化合物の有効量をコロナウイルスに感染した、または感染するリスクのある対象に対して投与することを含む。この式の各変数(置換基)は、明細書中で規定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
この出願は、米国特許法第119条の下、2004年5月4日に出願された米国仮出願第60/568,080号に対して優先権を主張するものであり、該出願の内容は、本明細書に参照として引用される。
【背景技術】
【0002】
背景
コロナウイルスは、ヒトにおける種々の風邪の原因である。最近、新たなコロナウイルスのヒトへの感染が、急性呼吸器疾患、すなわち、重症急性呼吸器症候群の世界的発生を招いた。例えば、Ksiazek et al.,N.Engl.J.Med.,2004,348:1953−1966を参照のこと。最初の重症急性呼吸器症候群の症例は、2002年11月に中国広東で確認された。疾患は、その後25カ国以上に広がった。2003年1月31日までに、世界中で重症急性呼吸器症候群は約8,100症例、重症急性呼吸器症候群に関連した死亡数は約800であることが報告された。
【0003】
重症急性呼吸器症候群の治療用に、種々の薬物が研究されてきた。かような薬物としては、リバビリン、コルチコステロイド、カレトラ(Kaletra)、グリシルリジン、およびある種のヒトインターフェロンが挙げられる。例えば、Peris et al.,Lancet,2003,361:1319;Cinatl et al.,Lancet,2003,361:2045;およびCinatl et al.,Lancet,2003,362:293を参照のこと。しかしながら、これらの薬物は、効果が発揮されるためには高投与量必要となる。したがって、重症急性呼吸器症候群をより効果的に治療し得る化合物を同定する必要性がある。
【発明の開示】
【0004】
要約
本発明は、コロナウイルス(例えば、重症急性呼吸器症候群ウイルス)感染の治療に特定の化合物が効果的であるという予期せぬ発見に基づくものである。
【0005】
一実施態様では、本発明は、ウイルス感染を治療するための方法を特徴付ける。該方法は、コロナウイルス(例えば、重症急性呼吸器症候群ウイルス)に感染している、または感染するリスクのある対象(例えば、哺乳類)に対して、式(I)の化合物またはそれらの塩の有効量を投与することを含む:
【0006】
【化1】

【0007】
式(I)中、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;R、R、RおよびR10の各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;RおよびR11の各々は、独立して、アリールで置換されたアルキルであり;R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;ならびにR12はOR、NHC(O)R、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;ここで、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである。
【0008】
ここで留意すべきは、コロナウイルス(例えば、重症急性呼吸器症候群ウイルス)またはヒトもしくはネコ免疫不全ウイルスの双方に感染している、あるいは感染するリスクのある対象に対して、式(I)の化合物を投与することができるであるという点である。例えば、米国特許第6,803,466号、およびLee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155を参照のこと。
【0009】
式(I)に関して、上述した化合物のサブセットは、式(I)中、RがC−C10アルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;R、R、RおよびR10の各々が、独立して、HまたはC−C10アルキルであり;R、R、R、およびRの各々が、独立して、HまたはORである化合物である。これらの化合物において、RはC−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、SR、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであってもよく;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;Rはイソプロピルであってもよく;RおよびR11はフェニルで置換されたアルキルであってもよく;ならびにR、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはOHであってもよい。
【0010】
「アルキル」という用語は、−CH、−CH−CH=CH、または分岐の−Cなどの、飽和または不飽和、直鎖または分岐の炭化水素部分を指す。「シクロアルキル」という用語は、シクロヘキシルまたはシクロヘキセン−3−イルなどの、飽和または不飽和、非芳香族環式炭化水素部分を指す。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、4−テトラヒドロピラニルまたは4−ピラニルなどの、飽和または不飽和、少なくとも1つの環式へテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有する非芳香族環式炭化水素部分を指す。「アリール」という用語は、1または2以上の芳香族環を有する炭化水素部分を指す。アリール部分の例としては、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリル、およびフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1のへテロ原子(例えば、N、O、またはS)を含む1または2以上の芳香族環を有する部分を指す。ヘテロアリール部分の例としては、フリル、フリレン(furylene)、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、およびインドリルが挙げられる。
【0011】
ここで述べたアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、特に規定しない限り、飽和および不飽和部分の双方を含む。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール上の可能な置換基としては、限定されるものではないが、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルケニル、C−C10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C−C10アルキルアミノ、C−C20ジアルキルアミノ、アリールアミノジアリールアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C−C10アルキルチオ、アリールチオ、C−C10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アシルアミノ、アミノアシル、アミノチオアシル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、シアノ、ニトロ、アシル、チオアシル、アシルオキシ、カルボキシル、およびカルボン酸エステルが挙げられる。アルキル上の可能な置換基としては、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、およびC−C10アルキニルを除く上記列挙した置換基の全てが挙げられる。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールは、互いに連結していてもよい。
【0012】
本明細書で述べられている「治療する」または「治療」という用語は、コロナウイルス、および場合によっては、ヒトもしくはネコ免疫不全ウイルスにも感染している、そのような感染の症状がある、またはそのような感染の兆候がある対象に対して、例えば、ウイルス感染、感染の症状、または感染の兆候を治療し、これらを緩和し、これらを除去し、これらに働きかけ、これらを改善させ、またはこれらを予防するといった、治療的効果を与えることを目的として、本明細書で記載されている薬物化合物の1または2以上を対象に投与することを指す。かような対象は、適切な診断方法による結果に基づいて、健康管理の専門家によって診断されうる。「有効量」とは、治療される対象に対して治療的効果を与えるのに必要な、またはウイルスプロテアーゼに対して阻害効果を与えるのに必要な化合物(群)の量を指す。
【0013】
別の実施態様としては、本発明は、容器、式(I)の化合物、ならびに容器および重症急性呼吸器症候群のようなコロナウイルスの感染治療を目的とした化合物投与の表示に関連する説明文を含むパッケージ製品を特徴とする。該説明文は、ヒトまたはネコ免疫不全ウイルスの感染を治療する化合物の投与を指示していてもよい。
【0014】
さらに別の実施態様としては、本発明は、ウイルスプロテアーゼ阻害を目的とした方法を特徴とする。該方法には、式(I)の化合物の有効量を、(重症急性呼吸器症候群プロテアーゼのような)コロナウイルスプロテアーゼと接触させることを含む。該方法は、さらにヒトまたはネコ免疫不全ウイルスプロテアーゼを化合物と接触させることを含む。例えば、米国第6,803,466号およびLee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155を参照のこと。
【0015】
さらに別の実施態様としては、本発明は式(I)の化合物またはそれらの塩を特徴とする。式(I)に関して、RがH、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ORまたはC−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ORもしくはSRで置換されたC−C10アルキルであることを除いて、上述したものと同じ群が、各々の変数(置換基)に割り当てられる。既述の化合物のサブセットは、化合物中RがC−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、またはC−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、OR、もしくはSRで置換されたC−C10アルキルであり;R、R、RおよびR10の各々は、独立して、HまたはC−C10アルキルであり;ならびにR、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはORである。
【0016】
さらに別の実施態様としては、本発明は、式(II)の化合物またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することによって、コロナウイルス感染を治療する方法を特徴とする:
【0017】
【化2】

【0018】
式(II)中、RはC−C20シクロアルキルまたはC−C20ヘテロシクロアルキルであり;R、R、R、R、R、R11、およびR12の各々は、独立して、H、C−C10アルキルまたはORであり;RおよびR10の各々は、Hであり;またはRおよびR10、結合して、−O−であり;RはC−C10アルキルまたはCOORであり;ならびにRはH、OR、またはOC(O)Rであり;前記R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである。
【0019】
式(II)に関して、上述の化合物のサブセットは、化合物中、RがC−C10アルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、OR、またはCOORで置換されたテトラヒドロピラニルであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;R、R、R、R、R、R11、およびR12の各々が、独立して、H、OH、または必要であればOHで置換されるCHであり;あるいはRがCHまたはCOOHである化合物である。
【0020】
さらに別の実施態様としては、本発明は、式(III)の化合物またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することによって、コロナウイルス感染を治療する方法を特徴とする:
【0021】
【化3】

【0022】
式(III)中、
【0023】
【化4】

【0024】
は、単一結合または二重結合であり;Xは、−O−または−C(R)−であり;ならびにR、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、またはCOORであり;前記R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはOC(O)Rであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである。
【0025】
式(III)に関して、上述の化合物のサブセットは、化合物中、
【0026】
【化5】

【0027】
が、単一結合である化合物である。これらの化合物中、Xは、−C(R)−であり;R、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、OH、OCH、またはCOOCHであってもよく;ならびにRおよびRの各々は、独立して、HまたはOC(O)Rであってもよい。上述した化合物の他のサブセットは、化合物中、
【0028】
【化6】

【0029】
が二重結合である化合物である。これらの化合物中、Xは−O−であってもよく、およびR、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはCOOCHであってもよい。
【0030】
さらに別の実施態様において、本発明は、化合物3、4、6−12、14、15、または17(構造は下記に示す)またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することによって、コロナウイルス(例えば、重症急性呼吸器症候群ウイルス)の感染を治療する方法を特徴とする。
【0031】
また、本発明は、上述の化合物の少なくとも1つの有効量と薬学的に許容されるキャリアーとを含む薬剤組成物を包含する。
【0032】
本発明を実施するために用いられうる化合物には、妥当な場合、化合物の塩、プロドラッグ、および溶媒和物と同様に、化合物自身も含まれる。例えば、塩は、上述した化合物上に、アニオンと正に帯電した置換基(例えば、アミノ)との間に形成されうる。適切なアニオンとしては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、トシル酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩(fumurate)、グルタミン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、グルタン酸塩(glutarate)、およびマレイン酸塩が挙げられる。同様に、塩は、上述した化合物上で、カチオンと負に帯電した置換基(例えば、カルボキシル基)との間に形成されうる。適切なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンのようなアンモニウムカチオンが挙げられる。上述した化合物には、4級窒素原子を含むこれらの塩も含まれる。プロドラッグの例としては、エステルおよび他の薬学的に許容される誘導体が挙げられ、かようなプロドラッグは、対象への投与に際して上述した活性化合物を提供しうる。溶媒和物は、上述した活性化合物と薬学的に許容される溶媒との間に形成される複合体を指す。薬学的に許容される溶媒の例としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸およびエタノールアミンが挙げられる。
【0033】
コロナウイルス感染治療の際に用いるための1または2以上の上述した化合物を含む組成物、および、既述した治療用の薬剤の製造のためのかような組成物の使用もまた、本発明の範囲内である。
【0034】
本発明の1または2以上の実施形態の詳細は、下の説明中において説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および請求項から、理解されるであろう。
【0035】
詳細な説明
本発明は、重症急性呼吸器症候群ウイルスのようなコロナウイルスの感染治療に関する。下に示すのは、本発明を実施するために用いられうる35の好適な化合物(すなわち、化合物1〜35)である:
【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
上述した化合物のうち、ミズーリ州セントルイスのシグマアルドリッチ社のような商業的供給源から入手可能のものもある。かような化合物の全ては、公知の方法で調整されうる。例えば、Lee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155およびその中で引用される参考文献を参照のこと。例えば、上で示した化合物25は、ペプチドカップリング反応系を経て調整することができ、この反応系は本分野で公知である。かような反応のうちの1つを下記例3に記載する。化合物1、2、および26〜35の調整の詳細は、下記例1、2および4〜13中に記載する。化合物3〜24は、市販品である。かようにして合成された化合物は、カラムクロマトグラフ、高圧液体クロマトグラフ、または再結晶のような方法で精製されうる。本発明を実施するために用いられる他の類似の化合物は、上の合成ルートを通じて他の適切な出発原料および本分野で公知の他の物質を使って調整されうる。上述の方法は、ここで特別に述べた工程の前または後のいずれであっても、最終的に上記の化合物の合成がされるように適切な保護基を付加する、または除去するための追加の工程を含んでいてもよい。また、所望の化合物を得るために、種々の合成工程の順序を入れ替えて行ってもよい。適切な化合物を合成するのに有用な、合成化学の変形や保護基の手順(保護および脱保護)が本分野で公知であり、例えば、以下で述べられている;R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2ndEd.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);and L.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)およびこれらの以降の版。
【0040】
ここで述べた化合物は、非芳香族二重結合および1または2以上の不斉中心を含んでいてもよい。したがって、化合物は、ラセミ酸塩およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、各ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ならびにシス−またはトランス−異性体として存在しうる。かような全ての異性体が考慮される。
【0041】
本発明はまた、コロナウイルスに感染した、あるいは場合によっては、ヒトまたはネコ免疫不全ウイルスにも感染した対象に対して、上述した薬物化合物の1または2以上の有効量を投与する方法も包含する。薬物化合物は、下記の方法によって、または米国特許第6,803,466号およびLee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155で記載されているような本分野で公知の方法によって、これらの感染に対する阻害活性に対して選別されうる。
【0042】
さらに、本発明は、上述した薬物化合物の1または2以上の有効量をコロナウイルスプロテアーゼおよび場合によっては、ヒトまたはネコ免疫不全ウイルスプロテアーゼあるいはヒトおよびネコ免疫不全ウイルスプロテアーゼに接触させる方法を包含する。化合物は、下記の方法によって、または米国特許第6,803,466号およびLee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155で記載されているような本分野で公知の方法によって、1または2以上のこれらのプロテアーゼに対する阻害活性に対して選別されうる。
【0043】
上述の少なくとも1の化合物の有効量および薬学的に許容されるキャリアーを含む薬物組成物もまた、本発明の範囲内である。かような薬物組成物の投与レジメンは周知であり、必要であれば容易に設定し直すことが可能である。有効1回投与量は、当業者によって理解されているように、コロナウイルスの感染のタイプや程度;対象のサイズ、重量、年齢、および性別;投与経路;賦形剤の使用;ならびに他の治療での可能な併用によって変更されうる。
【0044】
本発明の方法を実施するために、1または2以上の上述した化合物を含む組成物を、非経口、経口、経鼻、直腸、局所、または口腔投与することができる。本明細書で用いられる「非経口」という用語は、適切な注入技術と同様に、皮下、皮内、静脈、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内注射を指す。
【0045】
無菌注射剤組成物は、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、毒性のない非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の溶液あるいは懸濁液であってもよい。使用可能な許容される賦形剤および溶媒は、マンニトール、水、リンガー溶液、および等張の塩化物溶液である。また、不揮発性油は、溶媒または懸濁媒質として従来から用いられている(例えば、合成モノまたはジグリセリド)。オリーブ油またはヒマシ油のような、天然の薬学的に許容される油であるので、オレイン酸のような脂肪酸およびそのグリセリド誘導体、特にそれらのポリオキシエチレン型は、注射剤の調整において有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、あるいはカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤をふくんでいてもよい。TweenもしくはSpanのような一般的に用いられる他の界面活性剤または他の類似の乳化剤あるいは薬学的に許容される固形剤、液剤もしくは他の剤形の製造に一般的に用いられる生物学的利用能を増強するものもまた、製剤の目的で用いられうる。
【0046】
経口投与の組成物は、カプセル、タブレット、エマルジョン、ならびに水性懸濁液、分散液、および溶液を含む、経口的に許容されるいかなる剤形であってもよい。タブレットの場合、一般的に用いられるキャリアーとしては、乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような、平滑剤もまた、典型的に添加される。カプセル剤中に経口投与される場合には、有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液またはエマルジョンが経口的に投与されるとき、活性成分は、乳化剤または懸濁剤を含有した油相中に懸濁または溶解されうる。所望の場合、甘味料、香味料、または着色剤を添加することもできる。
【0047】
経鼻エアゾルまたは吸入組成物は、製剤処方の分野で公知の技術に従って調整されうる。例えば、かような組成物は、本分野で公知の、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、生物学的利用能を高める吸収促進剤、フルオロカーボン類、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤とともに、生理食塩水中の溶液として調整されうる。1または2以上の上述の活性化合物を含む組成物を、直腸投与用の坐薬剤で投与してもよい。
【0048】
薬学的に許容されるキャリアーは、通常、1または2以上の上述の活性化合物とともに用いられる。薬剤組成物におけるキャリアーは、組成物の活性成分と相性がよく(そして好ましくは、活性成分を安定化することができ)、治療される対象に対して有害ではないという意味で、「許容」されなければならない。1または2以上の可溶化剤を、上述した化合物の運搬用の薬物賦形剤として利用することができる。他のキャリアーの例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow #10が挙げられる。
【0049】
上述した化合物は、重症急性呼吸器症候群ウイルスの複製に対する有効性のためのin vitroアッセイによって、あらかじめ選択されうる(下記例14および15参照)。他の方法もまた、当業者に明白であろう。例えば、米国特許第6,803,466号およびLee et al.,J.Am.Chem.Soc.,1999,121:1145−1155を参照のこと。これらの化合物は、in vivoアッセイによってもまた選択されうる。
【実施例】
【0050】
下記の特定の例は、単に説明のためのものとして解釈されるべきであり、いかなる場合であれ、開示の残余を制限すべきものではない。さらに労することなく、本明細書の記載に基づいて、当業者が本発明を最大限利用することができるものと確信する。本明細書で引用された全ての文献は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0051】
例1:化合物1の調製
【0052】
【化10】

【0053】
化合物Iは、Lee et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1998,95,939−944に記載の方法に従って、調整した。
【0054】
化合物I(0.6g、1.11mmol)は、トリエタノールアミンおよびメタノール溶液(MeOH中10%TEA,5.5mL)に溶解した。次いで、メタノール(5mL)中、ジ−tert−ブチル ジカーボネート溶液(0.24g,1.11mmol)を激しく攪拌しながら上記混合物に滴下した。混合物は、室温、オーバーナイトで攪拌した。メタノールおよびTEAを真空除去し、油状残渣を得た。残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解し、10%炭酸ナトリウム水溶液(2×50mL)の溶液で洗った。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。こうして得られた油状残渣をフラッシュカラムクロマトグラフによって精製し、白色固形状の化合物IIを得た(0.55g,78%)。
【0055】
化合物II(0.5g,0.78mmol)をジイソプロピルエタノールアミン(0.2mL,1.56mmol)存在下、乾燥ジクロロメタン(10mL)に溶解した。溶液を0℃まで冷却した後、クロロギ酸ベンジル(0.16g,0.94mmol)をゆっくりと滴下した。20分後、反応が終了した(TLCにより観察した)。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム(20mL)に溶液を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した(3×20mL)。有機層を合わせ、無水MgSOで乾燥させ、そして粗油(crude oil)となるまで濃縮した。粗油は、精製することなく脱保護反応に用いられる。p−TsOHの触媒量をMeOH(5mL)中、上記粗油溶液に添加した。反応混合物を60℃で24時間加熱し、次いでEtOAc(20mL)で希釈した。有機溶液を飽和NaHCO水溶液(5mL)、飽和NaCl水溶液(5mL)で洗い、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。次いで、得られた油性残渣をフラッシュカラムクロマトグラフで精製し、白色固形状化合物Iを得た(0.6g,75%)。
【0056】
H NMR(400 MHz,DMSO−d6):0.71(6H,m),0.73(6H,m),1.5(9Hs),2.17(1H,se,J=6.7),2.8−2.9(3H,m),3.34(1H,m),4.03(2H,dd,J=8.8,6.4),4.10(1H,qu,J=7.0),4.27(1H,s),4.0−4.20(1H,m),4.23−4.32(1H,m),6.92−6.96(1H,br),7.05−7.34(12H,m)。
【0057】
13CNMR(100MHz,DMSO−d6,80℃),17.7,19.6,19.7,28.7,30.4,30.5,30.7,38.3,45.4,47.8,53.0,60.9,65.9,67.1,72.8,126.9,127.6,128.0,128.8,128.9,129.0,129.7,138.3,172.0,172.5。
【0058】
MS(ESI)(M+H):733。
【0059】
例2:化合物2の調整
化合物2は、Lee et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1998,95,939−944に記載の方法に従って、調整した。
【0060】
H NMR(400MHz,DMSO−d6,80℃):0.70(3H,d,J=2.4),0.72(3H,d,J=2.4),1.21(3H,d,J=7.0),1.87(1H,se,J=6.7),2.69−2.79(2H,m),3.32(1H,s),4.03(1H,dd,J=8.8,6.4),4.10(1H,qu,J=7.0),4.27(1H,s),4.34−4.40(1H,m),5.04(2H,s),6.92−6.96(1H,br),7.05−7.34(12H,m)。
【0061】
13C NMR(100MHz,DMSO−d6,80℃):17.3,17.6,18.7,29.7,38.0,49.9,50.4,57.8,65.1,72.5,125.1,127.0,127.2,127.3,127.8,128.6,136.6,138.4,155.1,169.8,171.6。
【0062】
HRMS(FAB+)(M+Cs):1041.3780。
【0063】
実施例3:化合物25の調製
【0064】
【化11】

【0065】
化合物IおよびIIを、それぞれStuk et al.,J.Org.Chem.1994,59:4040およびSham et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,12:1185−1187に記載の方法に従って調整した。20ml乾燥DMF中の化合物I(0.93g,2.0mmol)および化合物II(0.38g,2.1mmol)の溶液に、20C、Ar雰囲気下、HBTU(ペプチドカップリング剤,0.80g,2.1mmol)を、次いでDIEA(0.5mL,4.2mmol)を添加した。30分間攪拌後、反応混合物をブラインの添加によって急冷し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を1MHCl、飽和NaHCO水溶液、およびブラインで洗った後、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。かようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフによって精製し、90%の収率で化合物IIIを得た。
【0066】
EtOAc(40mL)中の化合物III(0.6g,0.98mmol)を10%Pd/C(200mg)存在下、H(1atm)の下で20℃20時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、次いで真空下で濃縮し、精製することなくカップリング反応に用いられる、無色粘性の化合物IV(0.39g)を得た。
【0067】
HBTU(0.36g,0.96mmol)およびDIEA(0.23mL,1.91mmol)をDMF(15mL)中の化合物IV(0.39g,0.87mmol)およびN−Cbz−L−leucine(0.25g,0.96mmol)の溶液に添加した。反応混合物を30分間20℃でAr下、攪拌した。ブライン(45mL)の添加によって反応を終了させた後、混合物をEtOAcで抽出した(4×30mL)。有機層を合わせ、1M HCl(10mL)、飽和NaHCO水溶液(10mL)、および飽和NaCl水溶液(10mL)で連続的に洗った。次いで、有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。かようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフによって精製し、白色固形状化合物V(0.53g,78%.2段階)を得た。
【0068】
EtOAc(40mL)中、化合物V(0.5g,0.728mmol)を10%Pd/C(200mg)存在下、H(1atm)の下で20C20時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、次いで真空下で濃縮した。かようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフによって精製し、白色固形状の化合物VI(0.37g,92%)を得た。
【0069】
HBTU(0.15g,0.40mmol)およびDIEA(0.1mL,0.80mmol)をDMF(15mL)中の化合物VI(0.2g,0.36mmol)および5−ニトロ−フラン−2−カルボン酸(62.8mg,0.40mmol)溶液に添加した。30分間、20C、Ar下で攪拌後、ブライン(45mL)の添加によって反応を終了させた後、混合物をEtOAcで抽出した(4×30mL)。有機層を合わせ、1M HCl(10mL)、飽和NaHCO水溶液(10mL)、および飽和NaCl水溶液(10mL)で連続的に洗った。次いで、有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。かようにして得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフによって精製し、白色固形状の化合物25(0.23g,90%)を得た。
【0070】
LC−MS(M+H):699。
【0071】
例4:化合物26の調整
化合物26は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0072】
LC−MS(M+H):747。
【0073】
例5:化合物27の調整
化合物27は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0074】
LC−MS(M+H):678。
【0075】
例6:化合物28の調整
化合物28は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0076】
LC−MS(M+H):711。
【0077】
例7:化合物29の調整
化合物29は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0078】
LC−MS(M+H):703。
【0079】
例8:化合物30の調整
化合物30は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0080】
LC−MS(M+H):733。
【0081】
例9:化合物31の調整
化合物31は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0082】
LC−MS(M+H):732。
【0083】
例10:化合物32の調整
化合物32は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0084】
LC−MS(M+H):720。
【0085】
例11:化合物33の調整
化合物33は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0086】
LC−MS(M+H):731。
【0087】
例12:化合物34の調整
化合物34は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0088】
LC−MS(M+H):752。
【0089】
例13:化合物35の調整
化合物35は、例3で述べたのと同様の方法で調整した。
【0090】
LC−MS(M+H):744。
【0091】
例14:スクリーニングアッセイ
化合物1〜35は、細胞変性効果(CPE)を観察することによって、重症急性呼吸器症候群ウイルスの阻害活性に対して一次スクリーニングを行った。アッセイは以下のように行った:10%ウシ胎仔血清(FBS)を加えたダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM))中、ベロ(Vero)E6細胞(2×104/ウェル)を96ウェルプレートで培養した。1日培養後、細胞が80〜90%コンフルエンスになったときに、培養培地を除去した。試験化合物を10μL含む、2%FBS入りDMEM100μLをウェル中に(トリプリケートで)添加した。2%FBS入りDMEM中の細胞をCPE−ポジティブコントロールとして用いた(この場合もトリプリケート)。次いで、COインキュベーター中で、全ての細胞を37℃2時間インキュベートし、次に重症急性呼吸器症候群ウイルス(H.K.)を投与量100TCID50/ウェルで接種した。倒立顕微鏡を用いて、感染72時間後に細胞変性の形態変化を観察した。
【0092】
酵素免疫蛍光測定法(ELISA)、免疫蛍光法(IFA)、ウエスタンブロッティングアッセイ(WBA)、フローサイトメトリー分析(FCA)、および3CL−プロテアーゼ阻害アッセイを用いて、試験化合物の阻害活性を確認した。これらのアッセイを以下に詳細に述べる。
【0093】
酵素免疫蛍光測定法
重症急性呼吸器症候群ウイルスおよび試験化合物とともにベロE6細胞をインキュベートした後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞をリンスし、メタノール:アセトン=1:1を含む溶液中に室温で3分間固定し、そしてPBSで3回リンスした。次いで、PBS中、3%スキムミルクで細胞を室温で30分間ブロックし、重症急性呼吸器症候群ウイルスのスパイクタンパク質に対する、1:2,000に希釈されたモノクローナル抗体(腹水)とともに37℃、1時間インキュベートした。全てのサンプルを室温でPBS−Tバッファーで3回、PBSバッファーで2回洗い、次いで、室温で30分間、HRP標識ヤギ抗マウスIgGとともに30分インキュベートした。インキュベーションの間に0.05%Tween20を含むPBSでプレートをリンスした。O−フェニレンジアミン二塩酸塩、クエン酸塩バッファー(pH5.0)、および過酸化水素を含む基質溶液を各々のウェルに添加した。次いで、プレートに蓋をし、室温で10分間、プレートを静かに振とうした。3N硫酸を添加することによって反応を終了させた後、すぐに各々のプレートの蛍光強度を492nmで測定した。各々の薬剤のEC50値をOD492に対する薬剤濃度の直線回帰プロットから算出した。
【0094】
免疫蛍光法
感染細胞またはコントロール細胞をPBSでリンスし、最終濃度1×10cells/mLとなるように細胞を再懸濁した。各試験化合物濃度または各コントロールに対して、2×10細胞をウェルにスポットすることによって、IFA用のスライドを調整した。次いでスライドを乾燥させ、冷メタノール:アセトン=1:1溶液中で3分間固定し、リンスし、そしてIFA用に染色する前に−20℃で貯蔵した。Daudi細胞を元に戻し、次いでPBS中、3%スキムミルクで細胞を室温で30分間ブロックした。ベロE6細胞を元に戻し、ブロックし、0.1%サポニンおよび1%FBSを含むPBS中で細胞を膜透過させた。全ての他の細胞を元に戻し、ブロックし、5%FBS、4%正常ヤギ血清および0.5%DMSOを含むPBS中で30分間細胞を膜透過させた。次いで、ブロッキング溶液で希釈された一次抗体で、細胞を37℃1時間、水チャンバー内でインキュベートした。PBSでリンスした後、3g/mL FITC標識ヤギ−抗マウスIgG+IgM二次抗体(Jackson ImmunResearch,West Grove,PA)で細胞を37℃1時間インキュベートした。PBSで再度リンスした後、5分間PBS中0.1%エバンスブルー染色(Fisher,Fair Lawn,NJ)で細胞を染色した。過剰な造影剤を除去するためにスライドをリンスし、PBS中50%グリセロール溶液を用いて、カバースライドをつけた。細胞をNikon(Nikon,Melville,NY)蛍光顕微鏡で倍率400×で観察した。各々の試験化合物に対して、500細胞をカウントし、抗原−陽性細胞のパーセンテージを算出した。ウイルス複製を50%阻害するのに必要な濃度(EC50)を決定した。
【0095】
ウエスタンブロッティングアッセイ
重症急性呼吸器症候群ウイルス感染ベロE6細胞を種々の濃度で24または48時間試験化合物で処理し、次いでライシスバッファー(lysis buffer)で細胞を3分間溶解させた。細胞片を遠心し、全ての細胞溶解物を、SDS−PAGEおよびHybond−C Extra膜(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)を用いる電気泳動およびウエスタンブロッティング用に回収した。得られた膜をPBS中3%スキムミルクで室温30分間ブロックし、次いで、1:5,000で希釈された抗−スパイクタンパク質モノクローナル腹水または1:2,000で希釈されたマウス抗−アクチンAb(Chemicon MAb 1501)のいずれかで膜を室温1時間処理した。PBS−Tバッファー2回分で膜をリンスし、次いで室温で、15分間1回、5分間2回PBSで洗った。次いで、膜を1:2,000で希釈されたHRP標識ヤギ抗−マウスIgGで30分間および1時間処理した。膜を上記のように洗い、混合ECL検出試薬を膜のタンパク質側に添加した。タンパク質発現レベルがわかるように、ブロットをタンパク質側が上になるようにフィルムカセット中に置いた。
【0096】
フローサイトメトリー分析
ベロE6細胞をリンスし、PBS中5%FBSおよび4%ヤギ血清でブロックした。重症急性呼吸器症候群ウイルス感染細胞を0.05%トリプシン−EDTA培地でトリプシン処理した。細胞培養培地を含む丸底ELISAプレートの各ウェルまたは各1.5mLマイクロチューブに対して、約1〜5×10細胞を分注した。懸濁液を遠心し、細胞をPBSでリンスし、再懸濁した。各ウェルまたはマイクロチューブにCYTOFIX/CYTOPERM溶液100μlを添加した。細胞を固定化し、4℃20分間、2mlメタノール中で膜透過させた。次いで、細胞を5%FBS、4%血清、および0.5%DMSOを含むPBSで30分間37℃でブロックした。ブロッキング溶液で希釈した一次抗体の20mLとともに細胞を1時間37℃インキュベートし、次いでブロッキング溶液4mLで2回リンスし、5分間1000×gの遠心によってペレットを得た。2回リンスした後、FITC標識ヤギ抗−マウスIgG+IgM(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)0.5mLを添加し、37℃で1時間細胞をインキュベートした。次いで細胞をPBSで2回リンスし、再懸濁する前に遠心によって、ペレット化した。
【0097】
ベクトンディッキンソンファックスキャリバー(Becton−Dickenson FacsCalibur)装置を使用してフローサイトメトリーのデータを得、そしてWin−MDI 2.7データ分析プログラム (Scripps Research Institute,La Jolla,CA)により該データを分析した。非特異的およびバックグラウンド染色を排除するために得られた点プロットをゲートさせ、陽性細胞のパーセンテージを決定する際にネガティブコントロール中に細胞が1%未満含まれるように、M1バー(bar)を設定した。各テスト化合物に対するEC50値は、抗原陽性細胞のパーセンテージに対する化合物濃度に基づいて描かれたプロットを用いて算出した。
3CL−プロテアーゼ阻害アッセイ
重症急性呼吸器症候群ウイルスのメインプロテアーゼをコードする遺伝子は、フォワードプライマー5’−GGTATTGAGGGTCGCA−GTGGTTTTAGG−3’およびリバースプライマー5’−AGAGGAGAGTTAGAGCCTTATTGG−AAGGTAACACC−3’を使ったポリメラーゼ連鎖反応を用いることによってウイルス全体のゲノムからクローン化した。2つのプライマーによってフランク(flanked)されたPCR生成物をpET32Xa/Licベクター中にサブクローン化した。これらのプライマー中には、FXa切断部位(IEGR)および直線状ベクターpET−32Xa/LICの付着末端に対する相補配列が含まれる。次いで、100μg/mLアンピシリンを含むLB(Luria−Bertani)寒天プレート上に筋状に成育したE.coli JM109コンピテントセルを形質転換させるためにリコンビナントプロテアーゼプラスミドを用いた。続いて、正しい構成物を、Hisタグタンパク質の発現用E.coli BL21に形質転換し、次いでタグを除去するためのFXaプロテアーゼとともにダイジェスションを行った。精製されたタンパク質の構造は、N−末端シークエンスおよび質量分析によって確認した。全ての実験に用いられた酵素濃度は、280nmの吸収から決定した。
【0098】
全ての反応速度測定は、25℃、20mM Bis−Tris(pH7.0)中で行った。蛍光性基質ペプチド(Dabcyl−KTSAVLQ−SGFRKME−Edans)の切断によって増強した蛍光を蛍光プレートリーダー(Fluoroskan Ascent,ThermoLabsystems,スウェーデン)を使って355nmの励起で538nmで測定した。
【0099】
上述のアッセイを使って、化合物1〜35の試験を行った。予期せぬことに、化合物の全てが、低いEC50値、すなわち0.85〜100mMの間を示した。
【0100】
実施例 15:細胞毒性試験
ベロE6細胞を加湿下5%COインキュベーター中、37℃、L−グルタミン、非必須アミノ酸、および10%FBSを添加したDMEM中、75cmフラスコで生育させた。次いで細胞を96ウェルプレート上に7´10cells ml−1植え、オーバーナイト置いた。
【0101】
Cell Titer 96 non−Radioactive Cell Proliferation Assayキット(Promega, Madison,WI)を使って、生存細胞数を決定した。該キットは、代謝的に活動している細胞のミトコンドリア中に存在するデヒドロゲナーゼによる、Owen’s reagent、3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホ−フェニル)−2H−テトラゾリウム、inner salt(MTS)の代謝転化によって生産されるホルマザン(Formazan)の量を測定し、直接的に生存細胞数に比例する。簡潔に述べると、2日間種々の濃度で試験化合物とともにインキュベーションした後、培養培地をDMEM中のMTS/フェナジンメトサルフェートで置換した。37℃で2時間インキュベーションした後、吸収を490nmでプレートリーダーを使って測定した。いかなる試験化合物も存在しない中で培養したコントロール細胞のパーセンテージを100%としてデータを示した。
【0102】
化合物1〜15の細胞毒性の試験を行った。予期せぬことに、いずれの化合物も重症急性呼吸器症候群ウイルスに対するEC50濃度に等しい濃度では細胞成長に阻害効果を示さなかった。さらに、試験化合物の10は、重症急性呼吸器症候群ウイルスに対するEC50濃度の4倍量の濃度でも細胞成長に阻害効果を示さなかった。
【0103】
他の実施形態
本明細書に記載された全ての特徴は、どのような組み合わせであっても組み合わせてもよい。本明細書に記載された各特徴は、同じ、等しい、または類似の目的を果たす代替的特徴によって置換されてもよい。したがって、表現として別の方法で述べられていない限り、開示された各特徴は、等しい、または類似の特徴の包括的なシリーズの例に過ぎない。
【0104】
上記から、当業者であれば本発明の本質的特徴を容易に確認でき、該特徴の精神および範囲を離れることなく、種々の使用や状況に合わせて、本発明の多様な変化、変形をなすことができる。したがって、他の実施形態も、次の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式(I)中、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;
、R、RおよびR10の各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;
およびR11の各々は、独立して、アリールで置換されたアルキルであり;
、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;ならびに
12はOR、NHC(O)R、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;
ここで、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである:
の化合物またはそれらの塩の有効量をコロナウイルスに感染している、または感染するリスクのある対象に対して投与することを含む、ウイルス感染の治療方法。
【請求項2】
がC−C10アルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;R、R、RおよびR10の各々が、独立して、HまたはC−C10アルキルであり;ならびにR、R、R、およびRの各々が、独立して、HまたはORである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
およびR11の各々がフェニルで置換されたアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
がイソプロピルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはOHである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
がC−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、SR、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が化合物1、2、および25−35のうちの1つである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が化合物2である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コロナウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
がC−C10アルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;R、R、RおよびR10の各々は、独立して、HまたはC−C10アルキルであり;ならびにR、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはORである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
およびR11の各々がフェニルで置換されたアルキルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
がイソプロピルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
、R、R、およびRの各々が、独立して、HまたはOHである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
がC−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、SR、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が化合物1、2、および25−35のうちの1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が化合物2である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記対象がさらにヒト免疫不全ウイルスに感染している、または感染するリスクのある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が化合物2である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象がさらにヒト免疫不全ウイルスに感染している、または感染するリスクのある、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が化合物2である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象がさらにネコ免疫不全ウイルスに感染している、または感染するリスクのある、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が化合物2である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
容器;
式(I):
【化2】

式(I)中、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;
、R、RおよびR10の各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;
およびR11の各々は、独立して、アリールで置換されたアルキルであり;
、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;ならびに
12はOR、NHC(O)R、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;
ここで、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである:の化合物またはそれらの塩;および
容器およびコロナウイルスの感染治療を目的とした化合物投与の表示に関連する説明文
を含むパッケージ製品。
【請求項24】
前記コロナウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルスである、請求項23に記載のパッケージ製品。
【請求項25】
前記説明文がさらにヒト免疫不全ウイルスの感染治療用の化合物の投与を指示する、請求項23に記載のパッケージ製品。
【請求項26】
前記説明文がさらにネコ免疫不全ウイルスの感染治療用の化合物の投与を指示する、請求項23に記載のパッケージ製品。
【請求項27】
式(I):
【化3】

式(I)中、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;
、R、RおよびR10の各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;
およびR11の各々は、独立して、アリールで置換されたアルキルであり;
、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり;
ならびにR12はOR、NHC(O)R、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;
ここで、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである:
の化合物またはそれらの塩の有効量をコロナウイルスプロテアーゼに接触させることを含む、ウイルスプロテアーゼの阻害方法。
【請求項28】
前記コロナウイルスプロテアーゼが重症急性呼吸器症候群ウイルスプロテアーゼである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼを前記化合物に接触させることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ネコ免疫不全ウイルスプロテアーゼを前記化合物に接触させることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
式(I):
【化4】

式(I)中、RはH、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、またはC−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、もしくはSRで置換されたC−C10アルキルであり;
、R、RおよびR10の各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールであり;
およびR11の各々は、アリールで置換されたアルキルであり;
、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはORであり:ならびに
12はOR、NHC(O)R、またはNHC(O)ORで置換されたC−C10アルキルであり;
ここで、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである:
の化合物またはそれらの塩。
【請求項32】
がC−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、またはC−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、OR、もしくはSRで置換されたC−C10アルキルであり;R、R、RおよびR10の各々が、独立して、HまたはC−C10アルキルであり;ならびにR、R、R、およびRの各々が、独立して、HまたはORである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
およびR11の各々がフェニルで置換されたアルキルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
がイソプロピルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
、R、R、およびRの各々は、独立して、HまたはOHである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が化合物1および25−35のうちの1つである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
式(II):
【化5】

式(II)中、RはC−C20シクロアルキルまたはC−C20ヘテロシクロアルキルであり;
、R、R、R、R、R11、およびR12の各々は、独立して、H、C−C10アルキルまたはORであり;
およびR10の各々は、Hであり;またはRおよびR10は結合して、−O−であり;
はC−C10アルキルまたはCOORであり;ならびに
はH、OR、またはOC(O)Rであり;
ここでR、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである;
の化合物またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することを含む、コロナウイルス感染の治療方法。
【請求項38】
、R、R、R、R、R11、およびR12の各々は、独立して、H、OH、または必要であればOHで置換されるCHである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
がCHまたはCOOHである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
がC−C10アルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、OR、またはCOORで置換されたテトラヒドロピラニルであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物が化合物5、16および18のうちの1つである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コロナウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルスである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
式(III):
【化6】

式(III)中、
【化7】

は、単一結合または二重結合であり;
Xは、−O−または−C(R)−であり;ならびに
、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、OR、またはCOORであり;
ここでR、R、およびRの各々は、独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、またはOC(O)Rであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、またはアリールである
の化合物またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することを含む、コロナウイルス感染の治療方法。
【請求項44】
【化8】


が、単一結合である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Xは、−C(R)−である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
およびRの各々は、独立して、HまたはOC(O)Rである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、OH、OCH、またはCOOCHである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が化合物13、19および21−24のうちの1つである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
【化9】


が二重結合である、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
Xが−O−である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
、R、R、R、R、およびRの各々が、独立して、HまたはCOOCHである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物が化合物20である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記コロナウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルスである、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
化合物3、4、6〜12、14、15および17からなる群から選ばれる化合物またはそれらの塩の有効量を、コロナウイルス感染の治療を必要とする対象に対して、投与することを含む、コロナウイルスの感染の治療方法。
【請求項55】
前記コロナウイルスが重症急性呼吸器症候群ウイルスである、請求項54に記載の方法。

【公表番号】特表2007−536240(P2007−536240A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511484(P2007−511484)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/015227
【国際公開番号】WO2006/073456
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(596118493)アカデミア シニカ (33)
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【Fターム(参考)】