説明

押出型堆積システムのための粘性ポンプ

ポンプシステム(10)は、第1駆動モータ(16)の動力により固体材料を送出するように構成された搬送アセンブリ(22)と、スクリューポンプ(24)であって、スクリューポンプ(10)のバレル(106)を少なくとも部分的に画定するハウジング(84)と、バレル(106)の第1端部でハウジング(84)に固定される押出端部(82)と、ハウジング(84)に固定され、バレル(106)と交差する液化装置(85,342)と、バレル(106)を少なくとも部分的に挿通する羽根車(94)とを有するスクリューポンプ(24)とを備えている。液化装置(85,342)は、搬送アセンブリ(22)から送出される固体材料を受け入れ、この受け入れた固体材料を少なくとも部分的に溶融し、少なくとも部分的に溶融された材料をバレル(106)に移動させるように構成されており、羽根車(94)は、第2駆動モータ(18)の動力により、バレル(106)に移動された少なくとも部分的に溶融された材料を押出端部(82)の方に推進するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
本発明は、押出型積層製造システムを用いた3次元(3D)オブジェクトの製作に関する。具体的には、本発明は、3Dオブジェクトを製作するための押出型積層製造システムとともに使用される粘性ポンプに関する。
【0002】
押出型積層製造システム(例えば、ミネソタ州エデンプレーリーにあるストラタシス,インコーポレイテッドによって開発された溶融堆積モデリングシステム)は、流動可能な構築材料を押し出すことにより、コンピューター支援設計(CAD)モデルから3Dオブジェクトを層ごとの方式で構築するために使用されている。構築材料は、押出ヘッドによって搬送されるノズルを通して押し出され、x−y平面における基部上に一連の道路として堆積される。押し出された構築材料は、前もって堆積された構築材料に溶融し、熱の低下に伴って固化する。基部に対する押出ヘッドの位置は、次に、(x−y平面に垂直な)z軸に沿って上昇され、その後、この工程は繰り返され、CADモデルに類似する3Dオブジェクトが形成される。
【0003】
基部に対する押出ヘッドの移動は、3Dオブジェクトを表す構築データに従ってコンピュータ制御下で実行される。この構築データは、最初に3DオブジェクトのCADモデルを複数の水平にスライスされた層にスライスすることにより得られる。次に、ホストコンピュータは、スライスされた各層に関して、構築材料の道路を堆積させるための構築経路を生成して、3Dオブジェクトを形成する。
【0004】
構築材料の各層を堆積させることによって3Dオブジェクトを製造する場合、典型的に、構築材料自体によって支持されていない、構築中のオブジェクトの突出部の下、あるいは、空洞内に、支持層または支持構造が構築される。支持構造は、構築材料を堆積させる堆積技術と同様の堆積技術を用いて構築されてもよい。ホストコンピュータは、形成中の3Dオブジェクトの突出部分または自由空間部分のための支持構造として機能する付加形状を生成する。次に、構築工程中、生成された形状に従って、第2の押出端部から支持材料が堆積される。この支持材料は、製造中は構築材料に粘着し、構築工程が完了したときに、完成された3Dオブジェクトから除去可能である。
[概要]
本発明は、押出型堆積システムにおいて使用するのに適したポンプシステムに関する。このポンプシステムは、第1の駆動モータと動作可能に係合される搬送アセンブリと、スクリューポンプであって、該スクリューポンプのバレルを少なくとも部分的に画定するハウジングと、バレルの第1の端部でハウジングに固定される押出端部と、ハウジングに固定され、バレルと交差する液化装置と、バレルを少なくとも部分的に挿通する羽根車とを含むスクリューポンプとを含んでいる。搬送アセンブリは、第1の駆動モータの動力により固体材料を送出するように構成されている。液化装置は、搬送アセンブリから送出される固体材料を受け入れ、受け入れた固体材料を少なくとも部分的に溶融し、少なくとも部分的に溶融された固体材料をバレルに移動させる。羽根車は、バレルに移動された少なくとも部分的に溶融された材料を、第2の駆動モータの動力によって、押出端部の方へ推進させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1A】本発明の2段ポンプシステムの側面図である。
【図1B】本発明の2段ポンプシステムの斜視図である。
【図2A−2B】2段ポンプシステムのフィラメント搬送アセンブリの底面図である。
【図3】2段ポンプシステムのスクリューポンプの側面図である。
【図4】図3中の断面4−4の断面図であって、スクリューポンプの内部領域を示している。
【図5】スクリューポンプの上部の拡大断面図である。
【図6】図3中の断面6−6の断面図であって、スクリューポンプの液化装置空洞を示している。
【図7A】スクリューポンプの羽根車の側面図である。
【図7B】スクリューポンプの羽根車の斜視図である。
【図8】外部加熱システムと併用されるスクリューポンプの側面図である。
【図9】図8中の断面9−9の断面図である。
【図10】別の加熱冷却システムと併用されるスクリューポンプの側面図である。
【図11】図10中の断面11−11の断面図である。
【図12】2段ポンプシステムの別のスクリューポンプの斜視図である。
【図13】別の2段ポンプシステムを含む押出装置の上面図である
【発明を実施するための形態】
【0006】
[詳細な説明]
図1A,1Bはそれぞれ、2段ポンプシステム10の側面図と斜視図とであり、この2段ポンプシステム10は、押出型積層製造システム(例えば、ミネソタ州エデンプレーリーにあるストラタシス,インコーポレイテッドによって開発された溶融堆積モデリングシステム)において、押出ヘッドとして使用するのに適した押出システムである。図1Aに示されるように、ポンプシステム10は、フレーム12、流入部14、駆動モータ16,18、導管20、フィラメント搬送アセンブリ22、およびスクリューポンプ24を含んでいる。
【0007】
フレーム12は、ポンプシステム10の支持構造であり、流入部14、駆動モータ16,18、導管20、フィラメント搬送アセンブリ22、およびスクリューポンプ24はそれぞれ、直接的または間接的にフレーム12に接続されている。流入部14は、フィラメント供給源(図示せず)から構築材料または支持材料(図示せず)のフィラメントを受け入れるのに好適な流入口を提供する構造となっている。導管20は、フィラメント供給源からフィラメント搬送アセンブリ22までフィラメントを導くために、流入部14内へと延出している管である。
【0008】
駆動モータ16およびフィラメント搬送アセンブリ22は、ポンプシステム10の第1段を画定している。駆動モータ16は、フレーム12を挿通する第1モータであり、フィラメント搬送アセンブリ22を動作させるように設定されている。フィラメント搬送アセンブリ22は、フレーム12の下方に配置され、駆動モータ16によって動作される、ギアとピンチローラとから構成されるシステムを含んでいる。この配置によって、フィラメント搬送アセンブリ22は、導管20からスクリューポンプ24までフィラメントを送出することができる。
【0009】
図1Bに示されるように、ポンプシステム10は、さらにモータプーリ26を含み、モータプーリ26は、駆動モータ18に軸方向に接続される。駆動モータ18は、上記フレーム12に固定される第2モータであり、モータプーリ26を介してスクリューポンプ24を動作させるように設定されている。したがって、駆動モータ18、スクリューポンプ24、およびモータプーリ26は、ポンプシステム10の第2段を画定している。スクリューポンプ24は、フレーム12を挿通し、ベルトプーリ28を含んでいる。ベルトプーリ28は、ベルト(図示せず)によりモータプーリ26に動作可能に接続されている。これにより、(駆動モータ18による)モータプーリ26の回転に対応して、(ベルトを介して)ベルトプーリ28が回転できる。以下に述べるように、ベルトプーリ28の回転に対応して、(図1Aまたは図1Bでは図示しない)スクリューポンプ24の羽根車が回転する。
【0010】
動作中、駆動モータ16により、フィラメント搬送アセンブリ22は、構築材料または支持材料のフィラメントをスクリューポンプ24に送出する。スクリューポンプ24では、フィラメントは溶融され、流動可能な状態で構築材料が提供される。次に、駆動モータ18が、(モータプーリ26、ベルトプーリ28、およびタイミングベルトを介して)スクリューポンプ24の羽根車を回転させて、流動可能な材料を押し出すことにより、層ごとの方式で3Dオブジェクトまたは支持構造を形成する。
【0011】
以下に説明するように、ポンプシステム10は、標準的な液化ポンプを用いて通常達成される流量よりも高い流量で、流動可能な材料を押し出す。さらに、ポンプシステム10は、より一定した応答時間を提供する。応答時間は、ポンプ内の流動可能な材料の体積の関数である。標準的な液化ポンプでは、流動可能な材料の体積は、典型的に、流量に比例する。例えば、流量が低い場合、液化装置内のフィラメントには、溶融する時間があるため、液化装置の体積のほとんどは溶融され、応答時間は遅い。しかしながら、流量が高い場合、溶融される体積は減小するので、応答時間が高まる。ほとんどの3Dオブジェクトは、様々な押出流量で構築される様々な形状を有するため、標準的な液化ポンプの応答時間も変動する。これに比べ、スクリューポンプ24内の流動可能な材料の体積は、低く維持される。したがって、ポンプシステム10の応答時間は、速く、実質的に一定に維持され得る。
【0012】
図2A,2Bは、駆動モータ16およびフィラメント搬送アセンブリ22の底面斜視図である。図2A,2Bでは、フィラメント搬送アセンブリ22は、(図示しない)構築材料または支持材料のフィラメントを(図1A,1Bに図示された)スクリューポンプ24に送出するための適切な材料前進機構の一例である。フィラメント搬送アセンブリ22は、支持プレート30、送出ブロック32、フィラメント管34、出口ブロック36、付勢ブロック38、およびギアシステム40を含み、フィラメント搬送アセンブリ22では、支持プレート30が、(図1A,1Bに図示された)フレーム12により保持されている。
【0013】
送出ブロック32は、支持プレート30に固定され、送出ブロック32を挿通する経路42を含んでいる。送出ブロック32は、(図1A,1Bに図示された)導管20に接続されたフィラメント搬送アセンブリ22の一部であり、送出ブロック32では、構築材料または支持材料のフィラメントが導管20から経路42に送出される。フィラメント管34は、経路42における、導管20に対する反対側端から延出し、フィラメントを出口ブロック36の方へ移動させるための経路を提供する。出口ブロック36は、支持プレート30に固定され、以下に説明するように、スクリューポンプ24の方へフィラメントを案内するための(図2Bに図示された)出口経路44を含んでいる。付勢ブロック38もまた、支持プレート30に固定され、スロット46,48、およびピン50を含んでおり、付勢ブロック38では、ピン50がスロット48を挿通している。
【0014】
ギアシステム40は、駆動ローラ52,54、駆動ギア56、遊動ギア58,60,62,64,66、支持アーム88、およびねじりバネ70を含んでいる。駆動ローラ52,54は、回転可能なローラであり、フィラメント管34から出口ブロック36の方へフィラメントを把持し、引っ張っている。駆動ギア56および遊動ギア58,60,62,64,66は、一連の係合されたギアであり、一連の係合されたギアでは、遊動ギア58,60,62,64が、支持プレート30に軸方向に接続されていることで、遊動ギア58,60,62,64が回転できる。図示のように、駆動ローラ52は、遊動ギア58に軸方向に接続され、駆動ローラ54は、遊動ギア66に軸方向に接続されている。さらに、駆動ギア56は、支持プレート30を介して、駆動モータ16に軸方向に接続されている。この配置によって、駆動モータ16は、動作中に、駆動ギア56を回転させることができ、これに対応して、遊動ギア58,60,62,64,66が回転する。遊動ギア58,66の回転はそれぞれ、駆動ローラ52,54を回転させる。
【0015】
この実施形態では、駆動ローラ54および遊動ギア66は、支持プレート30に固定されておらず、遊動ギア58は、遊動ギア66と直接的に係合していない。支持アーム68は、ボルト72を介して遊動ギア64に軸方向に接続された第1端部と、ピン74を介して駆動ローラ54および遊動ギア66に軸方向に接続された第2端部とを有している。このように、駆動ローラ54、遊動ギア66、および支持アーム68は、ボルト72の周囲で回転可能に支持プレート30に固定されている一方、さらに、遊動ギア66が遊動ギア64と係合し続けることを可能にしている。ねじりバネ70は、(図示しない)ピンの周囲で固定される第1端部と、ボルト72とともに軸方向に配列された本体と、付勢ブロック38に係合する第2端部とを有している。ねじりバネ70は、支持アーム88上に、図2Aにおける反時計方向にねじりを加える。付勢ブロック38では、ねじりバネ70は、スロット46内に延出し、ピン50に対して付勢する。その結果、ピン50は、支持アーム88上のねじりを調節するために使用されてもよい。
【0016】
ピン50がスロット48の右側(矢印76の方向)に移動されると、駆動ローラ54、遊動ギア66、および支持アーム68は、ボルト72の周囲を(図2Aにおける反時計方向に)枢動する。これによって、駆動ローラ52と駆動ローラ54との間の接触力が増加する。以下に述べるように、ピン50が、望ましくは、駆動ローラ52と駆動ローラ54との間の接触力が約0(または0を僅かに超える値)となるように、スロット48内に配置されることで、駆動ローラ52と駆動ローラ54との間の圧力が最小化される。そして、ピン50は、所望の力で駆動ローラ54に前もって負荷を与えるために、スロット48内の任意の位置で固定されてもよい。
【0017】
支持アーム68の角度位置は、駆動ローラ52と駆動ローラ54との間のフィラメントの滑りを自己修正する機構を提供する。動作中、駆動ローラ52,54は、スクリューポンプ24内へ、またはスクリューポンプ24内において、押圧されることに対するフィラメントの抵抗からもたらされる、(矢印78の方向の)抵抗力(FR)によって反応される。駆動ローラ52,54と接触するフィラメントは、フィラメントの組成およびテクスチャに基づいた任意の摩擦係数(μ)を有している。したがって、駆動ローラ52,54の間の接触力が(ねじりバネ70の位置から)約0とすると、フィラメントに加えられる駆動力(FD)にフィラメントの摩擦係数(μ)を乗じた値が抵抗力(FR)よりも大きい場合、駆動ローラ52,54は、フィラメントの滑りを伴うことなく、フィラメントを出口ブロック36の方へ推進させる。したがって、フィラメントの滑りの閾値は、以下の通りとなる:
FD×μ=FR、または (式1)
μ=FD/FR (式2)
抵抗力(FR)および駆動力(FD)がそれぞれ、力ベクトル(即ち、図2Aにおける力ベクトルFRおよびFD)として表される場合、(力ベクトルFDに平行な)支持ブロック38に垂直な軸からの支持アーム68の角度θは、以下の式によって定義され得る:
tan(θ)=FR/FD (式3)
上記式を式2で置換すると、以下が得られる:
角度θ=arctan(μ) (式4)
したがって、駆動ローラ52,54の間の挟締力が抵抗力(FR)の変化に応じて変化するため、支持アーム68を角度θで配向することにより、フィラメントの滑りを自己修正する機構がもたらされる。例えば、スクリューポンプ24における抵抗圧力により抵抗力(FR)が増大する場合、駆動ローラ52,54の間の挟締力が増大して、フィラメント上に高レベルの駆動力(FD)がもたらされることにより、フィラメントの滑りのリスクが低減される。好ましくは、角度θは、arctan(μ)よりも僅かに小さく決定され、および/または、駆動ローラ52,54の間の接触力は、0よりも僅かに大きく設定され、滑りに対する安全マージンが提供される。
【0018】
動作中、構築材料または支持材料のフィラメントは、送出ブロック32の経路42、フィラメント管34、および駆動ローラ52,54の間を介して送出される。次に、駆動モータ16が駆動ギア56を回転させる。これに対応して、遊動ギア58,60,62,64,66が、(図2Aにおける回転矢印で表されるように)回転する。遊動ギア58の回転に対応して駆動ローラ52が回転し、さらに遊動ギア66の回転に対応して駆動ローラ54が回転する。この駆動ローラ52,54の回転は、フィラメントの連続した部分を把持し、出口ブロック36の方へ引っ張る。
【0019】
図2Bに示されるように、出口ブロック36は、出口経路44を画定する基部80aおよびキャップ部80bを含み、これら基部80aおよびキャップ部80bは、複数のボルト81で共に固定される。出口ブロック36は、フィラメントをギアシステム40からスクリューポンプ24の方へ案内するための機構を提供し、発生した抵抗力(FR)によるフィラメントの座屈のリスクを低減する。キャップ部80bを、望ましくは、基部80aに離脱可能に固定できることで、洗浄および修理目的(例えば、出口経路44内に詰まったフィラメントの除去)のために、出口経路44にアクセス可能になる。
【0020】
別の実施形態では、ギアシステム40は、個々の設計の必要に応じて、さらなる数の遊動ギア、またはより少ない数の遊動ギアを含んでもよい。自己締着能力を提供しない別の実施形態では、ギア58は、駆動モータ16に軸方向に接続され、遊動ギア66と直接的に係合する。これにより、駆動モータ16は、ギア58および駆動ローラ52を直接的に回転させ、これに対応して、遊動ギア66および駆動ローラ54が回転する。この実施形態では、駆動ローラ54および遊動ギア66は、支持プレート30に回転可能に固定され、駆動ギア56および遊動ギア60,62,64は省略されてもよい。さらに別の実施形態では、駆動ローラ54を、駆動ローラ52と直接的または間接的に係合されない(図示しない)遊動ローラと置き換えてもよい。この実施形態では、遊動ローラは、支持プレート30(即ち、自己締着能力を有さない)か、または(図2A,2Bに示されるように)付勢された支持アーム68のいずれかに回転可能に固定される。
【0021】
図3は、長軸Lに沿って延在するスクリューポンプ24の側面図である。図3中の下から上に示されるように、スクリューポンプ24は、さらに、押出端部82、バレルハウジング84、(液化装置ハウジング86,88により画定される)液化装置85、送出経路90、スクリューポンプ本体92、羽根車94、および取付プレート96を含んでいる。押出端部82は、バレルハウジング84に離脱可能に接続されており、スクリューポンプ24の一部である。このスクリューポンプ24の一部から、流動可能な材料が押し出される。
【0022】
バレルハウジング84は、羽根車94の底部を収容する円周ハウジング部品であり、望ましくは、液化装置ハウジング86と一体化して形成される。液化装置ハウジング86,88は、(例えば、ボルトで)共に固定されて液化装置85を画定することで羽根車94の中央部を収容するハウジング部品である。送出経路90は、上部羽根車ハウジング88内への開口部であり、(図1A,1Bに示された)フィラメント搬送アセンブリ22から構築材料または支持材料のフィラメントを受け入れるように構成されている。
【0023】
スクリューポンプ24は、さらに、取付プレート96の上方に、スクリューポンプ24の開口部であるネジ穴98を含み、ネジ穴98は、(図示しない)止めネジを受け入れるためのものである。スクリューポンプ本体92は、上部羽根車ハウジング88に固定され、羽根車94の上部を収容するハウジング部品である。取付プレート96は、スクリューポンプ本体92に固定されたプレートであり、(図1A,1Bに示された)フレーム12に固定されたスクリューポンプ24の一部である。スクリューポンプ本体92は、液化装置ハウジング88の上方の位置でスクリューポンプ本体92を挿通する通気開口部100を含み、羽根車94が視認可能となる開口部を提供する。
【0024】
ベルトプーリ28は、フレーム12上に取り付けられると、(図示しない)モータ駆動のベルトにより回転され、これに対応して、羽根車94が回転する。羽根車94が回転する間、構築材料または支持材料のフィラメントは、送出経路90を介して、スクリューポンプ24内に送出され、流動可能な状態に溶融される。この流動可能な材料は、次に、羽根車94の回転により、押出端部82を介して押し出される。
【0025】
図4は、図3における断面4−4の断面図であり、スクリューポンプ24の内部領域を示している。図4に示されるように、押出端部82は、ノズル102と、オリフィス104とを含み、オリフィス104は、長軸Lに沿った、ノズル102における開口部であり、流動可能な材料を押し出すためのものである。ノズル102は、バレルハウジング84上にネジで離脱可能に取り付けられることで、必要に応じて(例えば、異なるオリフィス直径を提供するために)、ノズル102を交換することができる。
【0026】
バレルハウジング84、液化装置ハウジング86,88、およびスクリューポンプ本体92は、長軸Lに沿って延在する中央円柱形空洞である内部バレル106を画定している。図示のように、バレル106は、通気開口部100を介してアクセス可能である。羽根車94は、長軸Lに沿ってバレル106を挿通し、羽根車94およびバレル106は、望ましくは、少なくともバレルハウジング84および液化装置85内において、密接に合致する面を有する(即ち、羽根車94の外径がバレル106の直径と密接に合致する)。
【0027】
液化装置ハウジング86,88はまた、液化装置空洞108を画定している。液化装置空洞108は、液化装置85内の円板状の空洞であり、送出経路90に接続されている。円板状の形状のため、液化装置85は、一般的に、「ホッケーパック液化装置」と称される。以下に説明するように、液化装置85は、送出経路90を介して液化装置空洞108に入り込む固体フィラメントの連続した部分を溶融する。液化装置ハウジング86,88は、液化装置空洞108に熱を供給するヒータ棒110を含んでいる。ヒータ棒110が対流によって液化装置空洞108を加熱することにより、液化装置空洞108は、所望の流動可能な粘度までフィラメントを熱的に溶融することができる。
【0028】
スクリューポンプ本体92は、さらに、液化装置ハウジング88と通気開口部100との間に位置する上部本体ヒータ111を含んでいる。ヒータ111は、液化装置ハウジング88の上方において、流動可能な材料がバレル106と固化するのを防止する。液化装置ハウジング88の上方において、流動可能な材料がバレル106と固化するのを防止することで、流動可能な材料のメニスカスがバレル106内で上昇および下降して、フィラメント搬送アセンブリ22とスクリューポンプ24との間の送出速度の瞬間的な不均衡中に、分離機能をもたらすことが望ましい。
【0029】
別の実施形態では、スクリューポンプ24は、バレル106および/または液化装置空洞108において所望の熱プロファイルを得るために、さらなる加熱要素またはより少ない加熱要素を含んでもよい。1つの実施形態では、1つまたは複数のヒータ棒110およびヒータ111は、1つまたは複数の(図示しない)熱電対で監視される温度フィードバックを介して独立して制御されてもよい。
【0030】
羽根車94は、スクリューポンプ24の上部112において、ベルトプーリ28に固定されている。以下に説明するように、羽根車94がベルトプーリ28に固定されていることにより、ベルトプーリ28の回転動作に対応して羽根車94が回転できる。羽根車94は、当該羽根車94の外部表面に刻まれた複数のスパイラル溝を有し、このスパイラル溝はバレル106とともに粘性ポンプを形成する。スパイラル溝の上部(部分94aとして参照する)は、比較的深い溝を有しているので、比較的大きな体積および低い圧力での粘性ポンプ動作がもたらされる(即ち、羽根車94の輸送領域)。スパイラル溝の下部(部分94bとして参照する)は、比較的浅い溝を有しているので、比較的高い圧力および小さな体積での粘性ポンプ動作がもたらされる(即ち、羽根車94の加圧領域)。
【0031】
動作中、構築材料または支持材料のフィラメントは、液化装置空洞108内に送出され、所望の流動可能な粘度まで溶融される。フィラメントの連続した部分が液化装置空洞108内に送出され続けるにつれ、フィラメントは、溶融しながら内側に向けて円周方向に(即ち、らせん状に)移動する。この溶融された流動可能な材料は、最終的に、羽根車94の輸送領域(即ち、羽根車94の部分94a付近)に到達し、輸送領域では、羽根車94の回転が、羽根車94の加圧領域(即ち、羽根車94の部分94b付近)内に流動可能な材料を推進する。羽根車94の部分94bは、流動可能な材料の圧力を上昇させ、押出端部82のオリフィス104を介して流動可能な材料を押し出す。この場合、流動可能な材料の押出速度は、(駆動モータ18の駆動力に対応する)羽根車94の回転速度によって制御されてもよい。押し出された材料は、所望のパターンで堆積され、3Dオブジェクトおよび/または支持構造が形成される。
【0032】
スクリューポンプ24は、高い流量と、高速且つ予測可能な応答時間を実現するために有利である。ポンプの応答時間を向上するため、望ましくは、羽根車94とバレル106との間の隙間を最小化することにより、バレル106内の構築材料の体積は低減される。例えば、直径0.25インチの羽根車および0.001インチの隙間を有する円筒形スクリューポンプは、直径0.016インチのノズルを介して20,000立方マイクロインチ/秒を送り出すことができ、0.010秒未満の時定数を有するであろう。これに対し、直径0.016インチのノズルを介して僅か2,000立方マイクロインチ/秒を送り出すことしかできない液化ポンプは、0.020秒を超える時定数を有し得る。
【0033】
流動可能な材料がオリフィス104から押し出されるよりも速くフィラメントが液化装置空洞108内に送り込まれる場合、過剰な流動可能な材料は、バレル106を介して上方向に逆流し得る。この逆流が過剰に大きい場合(例えば、オリフィス104が詰まる場合)、過剰な流動可能な材料は、通気開口部100を介してスクリューポンプ24から抜け出る可能性がある。通気開口部100は、スクリューポンプ24の上部112が偶発的に流動可能な材料に曝されることから保護し、且つ、逆流する構築材料が熱的に分解する(例えば、変色する)ほど長い時間液化装置空洞108内にとどまらず、その後、次の工程で再混合および押し出しされることを確実にする。通気開口部100はまた、液化装置空洞108内に存在するあらゆるガス(例えば、水蒸気)を放出するという点でも有利である。
【0034】
1つの実施形態では、スクリューポンプ24は、さらに、バレル106内に、1つまたは複数の(図示しない)オーバーフローセンサを含んでもよい。1つまたは複数のオーバーフローセンサを用いて、流動可能な材料の逆流が通気開口部100に達しようとする時を監視してもよい。1つまたは複数のオーバーフローセンサが流動可能な材料の後退を検出した場合、オーバーフローセンサは、次に、フィラメントの送出速度を低減または停止させるように、(図1A,1B,2A,2Bに示された)駆動モータ16に指示してもよい。
【0035】
さらに別の実施形態では、液化装置85、および任意に、バレルハウジング84は、スクリューポンプ本体92に離脱可能にクランプされてもよい。これにより、保守または交換のために、複数の液化装置を容易に取り換えることが可能になる。
【0036】
図5は、スクリューポンプ24の上部112の拡大図であり、ベルトプーリ28と羽根車94との間の接続をさらに示している。図示のように、スクリューポンプ24の上部112は、羽根車延長部114、上部軸受116、底部軸受118、ネジ環120、スペーサ122、およびバネ124を含んでいる。羽根車延長部114がベルトプーリ28および羽根車94に固定されることで、ベルトプーリ28の回転に対応して、羽根車94が長軸Lの周囲を回転することができる。
【0037】
上部軸受116および底部軸受118は、スクリューポンプ本体92と羽根車延長部114との間に配置される。底部軸受118およびバネ124は、スペーサ122の対向面上に載置され、スペーサ122の対向面上において、バネ124は、スペーサ122に対して付勢されている。底部軸受118に隣接する羽根車延長部114の部分は、底部軸受118を半径方向に拘束しないように、直径においてアンダーカットされている。したがって、羽根車94および羽根車延長部114は、上部軸受116と、羽根車94とバレルハウジング84との間の(図3に示された)流体力学的向心力とによってのみ、半径方向に拘束される。
【0038】
上部軸受116は、底部軸受118の上方に位置し、ネジ環120により、スクリューポンプ本体92内に軸方向に保持される。モータ駆動のベルト(図示せず)および上部軸受116が、望ましくは、水平軸Hに沿って配列されることで、モータ駆動のベルトの半径方向の荷重が反応され、羽根車94上に掛かる可能性のあるあらゆる側面負荷が低減される。羽根車94とバレル106との間の半径方向の隙間が狭いため、流体力学的向心力が小さい低回転速度でも、羽根車94とバレル106との間の接触を減らすことが望ましい。
【0039】
ネジ環120は、ベルトプーリ28内およびベルトプーリ28の下方に位置し、(図3,4に示された)押出端部82と、羽根車94との間の隙間を調節するために用いられる。押出端部82と羽根車94との間の隙間を調節するために、ネジ環120は回転され、(隙間を減小させるか増大させるかによって)バネ124上の付勢力を圧迫または解放する。所望の隙間サイズが得られたら、(図示しない)止めネジが(図3に示された)ネジ穴98内に挿入され、ネジ環120のさらなる回転を防止する。
【0040】
図6は、図3における断面6−6の断面図であり、液化装置85内の、液化装置空洞108を示している。図示のように、液化装置空洞108は、らせんバッフル202を含んでいる。らせんバッフル202によって、溶融しているフィラメントは、縮小するらせんで羽根車94の方へ流れるので、溶融された流動可能な材料の停滞ポケットが形成されるリスクが低減される。
【0041】
流動可能な材料は、望ましくは、(図3,4に示された)押出端部82からの押出流量に合致する流量で、バレル106に搬送される。バレル106の過剰充填は、流動可能な材料が(図3,4に示された)通気開口部100を介して逆流する原因になり得る。あるいは、バレル106の充填不足の結果、低流量をもたらし得る。(図1A,1B,2A,2Bに示された)フィラメント搬送アセンブリ22からのフィラメント送出量を制御することにより、液化装置85内の流量は、押出端部82からの押出流量と合致され得る。
【0042】
フィラメント送出量は、1つまたは複数のフィードバックセンサに反応することで、(図1A,1B,2A,2Bに示された)駆動モータ16を制御してもよい。例えば、力センサ(例えば、ロードセル)をフレーム12または駆動モータ16上に配置し、液化装置85の流量を監視することができる。適切な力センサの一例は、Zinniel等の米国特許第6,085,957号に開示されている。この米国特許第6,085,957号では、力センサは、液化装置85内へ推進されているフィラメントの力に反応する。したがって、液化装置85の流量は、測定された力が低すぎる場合には増加され、測定された力が高すぎる場合には低減される。液化装置85の反応特性を合致させることにより、流動可能な材料のオープンループ規制を得ることも可能である。さらに、上述のように、通気開口部100におけるオーバーフローセンサを用いて、同様にフィラメント送出量を調節してもよい。
【0043】
図7A,7Bはそれぞれ、羽根車94の側面図および斜視図である。図示のように、2つの溝は、部分94aで始まり、部分94bで各溝はより浅い溝に移行する。上述のように、部分94aは、比較的深い溝を有し、比較的高体積および低圧力での粘性ポンプ動作を提供する(即ち、羽根車94の輸送領域)。これに対して、部分94bは、比較的浅い溝を有し、比較的高圧力および低体積での粘性ポンプ動作を提供する(即ち、羽根車94の加圧領域)。
【0044】
図8は、長軸Lに沿って延在するスクリューポンプ24の側面図であり、図8では、スクリューポンプ24は、外部加熱装置128と併用される。図9は、図8における断面9−9の断面図であり、外部加熱装置128をさらに示している、図8,9に示されるように、外部加熱装置128は、上部加熱コイル130および下部加熱コイル132を含み、これら上部加熱コイル130および下部加熱コイル132は、(図示しない)熱制御源に接続されている。上部加熱コイル130は、バレルハウジング84に巻き付けられ、押出工程中、バレルハウジング84を伝導的に加熱する。同様に、下部加熱コイル132は、押出端部82に巻き付けられ、押出工程中、押出端部82を伝導的に加熱する。
【0045】
1つの実施形態では、上部加熱コイル130および下部加熱コイル132の一方または双方は、1つまたは複数の熱電対(図示せず)で監視される温度フィードバックにより、独立して制御されてもよい。外部加熱装置128の使用は、羽根車94により送出される間に流動可能な材料が冷却するリスクを低減する。流動可能な材料が冷却すると、流動可能な材料が、バレル106、通気開口部100、および/またはオリフィス104を詰まらせることになり得る。別の実施形態では、液化装置空洞108と押出端部82との間、並びに液化装置空洞108の上方に、さらなる熱領域が追加されてもよい。バレル106とオリフィス104とに必要な熱量は、典型的に、スクリューポンプ24を介した流量の最新の状況によって変化する。
【0046】
図10は、長軸Lに沿って延在するスクリューポンプ24の拡大側面図であり、図10では、スクリューポンプ24が熱スリーブ134と併用される。図11は、図10における断面11−11の断面図であり、熱スリーブ134をさらに示している。図10,11に示されるように、熱スリーブ134は、スリーブハウジング136、上部加熱コイル138、および下部加熱コイル140を含んでいる。スリーブハウジング136は、バレルハウジング84の周囲に延在し、実質的に上部加熱コイル138を収容している。上部加熱コイル138は、バレルハウジング84に巻き付けられ、押出工程中に対流によってバレルハウジング84を加熱する。同様に、下部加熱コイル140は、押出端部82に巻き付けられ、押出工程中に対流によって押出端部82を加熱する。
【0047】
1つの実施形態では、上部加熱コイル138および下部加熱コイル140の一方または双方は、1つまたは複数の熱電対(図示せず)により監視される温度フィードバックにより、独立して制御されてもよい。これにより、押出端部82およびバレルハウジング84に沿ってさらに大きな温度制御が提供される。例えば、上部加熱コイル138は、熱電対により監視されるバレルハウジング84に沿った所望の温度プロファイルが得られるように制御されてもよい。下部加熱コイル140にも同様の配置が適用可能である。別の実施形態では、液化装置空洞108と押出端部82との間、並びに液化装置空洞108の上方に、さらなる熱領域が追加されてもよい。さらなる実施形態では、圧縮ガス源(図示せず)が、ガス流入口141aに接続されてもよい。この実施形態では、加熱ガスまたは冷却ガスは、バレルハウジング84とスリーブハウジング136との間のガス流入口141a内に流入し、ガス流出口141bから流出してもよい。これにより、押出端部82とバレルハウジング84とに沿ったさらなる温度制御が提供される。図8〜11で上述した外部加熱冷却システムは、スクリューポンプ24と併用し得る適切な外部温度制御システムの例である。
【0048】
図12は、スクリューポンプ224の斜視図であり、スクリューポンプ224は、ポンプシステム10において使用されるスクリューポンプ24の代替物である。説明を容易にするため、スクリューポンプ24の各部品に対応する参照符号は、200が加算されている。この実施形態では、スクリューポンプ224は、(図3,4,6に示された)スクリューポンプ24の液化装置85と同様に機能する一対の液化装置342,344を含んでいる。また、バレルハウジング284に液化装置342,344をそれぞれ固定するため、スクリューポンプ224は、バレルハウジング284の周囲に固定される支持支柱346,348を含んでいる。
【0049】
液化装置342は、液化装置ハウジング350,352、送出経路354、および液化装置ハウジング352における出口経路(図示せず)を含み、液化装置ハウジング352は、支持支柱346を介してバレルハウジング284に固定される液化装置342の一部である。これにより、液化装置342からの出口経路は、バレル306(図示せず)と交差することができる。液化装置344は、液化装置ハウジング356,358、送出経路360、および出口経路362を含み、液化装置ハウジング356は、支持支柱348を介してバレルハウジング284に固定される液化装置344の一部である。これにより、出口経路362は、バレル306、および液化装置342からの出口経路と交差することができる。
【0050】
液化装置342,344により、複数の材料をバレル306内に送り込むことができる。例えば、1つの実施形態では、複数の端部の較正および登録を要することなく、連続した押出工程で、バレル306および押出端部282を介して、構築材料と支持材料とを送り込んでもよい。1つの材料から別の材料に切り替える場合、第1の材料は、望ましくは、第2の材料を堆積させる前に、スクリューポンプ242からパージされる。バレル306から第1の材料を除去するために十分な時間の間、廃棄容器(図示せず)上に押出端部282を配置しながら、第2の材料を供給および押し出しすることにより、パージを行ってもよい。
【0051】
あるいは、複数の構築材料または支持材料を(羽根車294によって)混合し、ともに押し出してもよい。これにより、様々な種類の構築材料または支持材料を混合し、結果として得られる3Dオブジェクトまたは支持構造の所望の物理的特性を増すことが可能となる。この実施形態では、(図示しない)構築材料または支持材料の第1フィラメントを送出経路354に送り込み、液化装置85について上述したように液化装置342内で溶融してもよい。この溶融された、流動可能な材料は、次に、液化装置342の出口経路を流れ、バレル306に流入する。同様に、(図示しない)構築材料または支持材料の第2フィラメントを送出経路360内に送り込み、液化装置85ついて上述したように、液化装置344内で溶融してもよい。この溶融された、流動可能な材料は、次に、出口経路362を流れ、バレル306に流入する。次に、流動可能な材料がバレル306を介して押出端部282の方に押されるときに、羽根車300が流動可能な材料を混合する。この混合された流動可能な材料は、次に押出端部382を介して押し出され、結果として得られる3Dオブジェクトまたは支持構造が形成される。
【0052】
複数の液化装置(例えば、液化装置342,344)は、様々に着色された構築材料および支持材料を使用することもできる。様々な色のフィラメントは、同時にスクリューポンプ242に供給されてもよく、スクリューポンプ242の混合動作と組み合わせて、結果として得られる3Dオブジェクトまたは支持構造の全色域を生成し得る。
【0053】
別の実施形態では、スクリューポンプ242は、3つ以上の液化装置を含んでもよい。(例えば、スクリューポンプ242の場合のように)複数の液化装置が使用される場合、各フィラメントは、望ましくは、個々の材料前進機構(例えば、フィラメント搬送アセンブリ22)を有する所定の液化装置に送り込まれ、独立してフィラメントの送出量が制御される。
【0054】
図13は、スクリューポンプ24のための駆動モータがポンプシステム10から離れた位置に配置される代替実施形態である押出装置400の上面図である。押出装置400は、ポンプシステム10によって搬送されるペイロードを最小化するために有利である。さらに、この配置は、ガントリの台車につながるワイヤーの数を最小化し、さらに、X−Y−Zガントリおよびポンプに同じモータを使用することが可能となる(例えば、低コストの利点)。
【0055】
図示のように、押出装置400は、ポンプシステム402、X−Yガントリ404、遠隔駆動モータ406、第1プーリ部408、および第2プーリ部410を含んでいる。ポンプシステム402は、駆動モータ18が省略されている(および遠隔駆動モータ406に置き換えられている)ことを除き、ポンプシステム10と同様である。ポンプシステム402は、スクリューポンプ羽根車(図示せず)を回転させるための(図1A,1Bに示された)ベルトプーリ28と同様に機能するベルトプーリ403を含んでいる。X−Yガントリ404は、構築材料および/または支持材料を堆積させるために押出装置400の周囲をX−Y平面でポンプシステム402を移動させるためのガントリアセンブリである。遠隔駆動モータ406は、(図1Bに示された)モータプーリ26と同様に機能するモータプーリ412を含んでいる。
【0056】
第1プーリ部408は、駆動ベルト414、ジャックシャフト入力プーリ416、および複数の遊動プーリ418を含み、第1プーリ部408では、駆動ベルト414が、モータプーリ412、ジャックシャフト入力プーリ416、および複数の遊動プーリ418の回りを一巡している。第2プーリ部410は、駆動ベルト420、ジャックシャフト出力プーリ422、および複数の遊動プーリ424を含み、第2プーリ部410では、駆動ベルト420が、ベルトプーリ403、ジャックシャフト出力プーリ422、および複数の遊動プーリ424の回りを一巡している。ジャックシャフト出力プーリ422は、ジャックシャフト入力プーリ416に軸方向に接続されている。
【0057】
この配置により、遠隔駆動モータ406は、ベルトプーリ403(および、これに対応してポンプシステム402のスクリューポンプ羽根車)を回転させることができる。動作中、遠隔駆動モータ406により、モータプーリ412が回転する。これに対応して、駆動ベルト414が、ジャックシャフト入力プーリ416を回転させる。ジャックシャフト入力プーリ416の回転により、ジャックシャフト出力プーリ422が回転するので、駆動ベルト420がベルトプーリ403(およびスクリューポンプの羽根車)を回転させる。
【0058】
遠隔駆動モータ406は、望ましくは、X−Yガントリ404の動作により羽根車が回転しないように、X−Yガントリ404の動作を「減じる」ように動作される。X−Yガントリ404のモータを無効化するために遠隔駆動モータ406が制御され得る回転速度は、以下の式により、数学的に算出され得る:
以下の定義が使用される:
motor=モータの回転速度
jack=ジャックシャフトの回転速度
PDmotor=モータプーリのピッチ円直径
PDjackin=ジャックシャフト入力プーリのピッチ円直径
PDjackout=ジャックシャフト出力プーリのピッチ円直径
PDscrew=ネジプーリのピッチ円直径
x=X方向の台車速度
y=Y方向の台車速度
ジャックシャフトおよびモータの回転速度は、以下の式で与えられる:
jack=Wmotor(PDmotor/PDjackin)−Vx/πPDjackin(式5)
screw=Wjack(PDjackout/PDscrew)−Vy/πPDscrew(式6)
式6におけるWjackに式5を代入すると、以下が得られる:
screw=(Wmotor(PDmotor/PDjackin)−Vx/πPDjackin)(PDjackout/PDscrew)−Vy/πPDscrew(式7)
式7を利用して、Wmotorを求めることができる:
(Wscrew+Vy/πPDscrew)(PDscrew/PDjackout)=Wmotor(PDmotor/PDjackin)−Vx/πPDjackin(式8)
motor=((Wscrew+Vy/πPDscrew)(PDscrew/PDjackout)+Vx/πPDjackin)PDjackin/PDmotor(式9)
式9により、遠隔駆動モータ406の回転速度(Wmotor)は、X−Yガントリ404の動作に合致され、駆動ベルト414,420によるスクリューポンプ羽根車の精密な制御が可能になる。
【0059】
各フィラメント搬送アセンブリの駆動モータ(例えば、駆動モータ16)は、押出ヘッド、X−Yガントリ404、または押出装置400の静止部分に同様に搭載されてもよい。フィラメント搬送アセンブリは、離れた位置で、フィラメントをスクリューポンプに押し入れるための適切な力を提供し得る。これにより、X−Yガントリ404によって搬送されるペイロード重量が低下し、機械的アセンブリが簡素化され、X−Yガントリ404上の台車サイズが最小化される。
【0060】
上述のように、ポンプシステム10,402において使用される構築材料は、望ましくは、フィラメントの形態で提供される。適切なフィラメント材料およびフィラメント供給源の例は、Swanson等の米国特許第6,923,634号およびComb等の米国公開第2005/0129941号に開示されている。構築材料として適切な材料の例は、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ナイロン、ポリスチレン、非晶質ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、およびこれらの共重合体、これらの組み合わせ等の、あらゆる種類の押し出し可能な熱可塑性プラスチック材料を含む。上記は構築材料の使用を参照するものであるが、ポンプシステム10,402は、支持構造を構築する支持材料を押し出すことにも適している。適切な水溶性支持材料の例は、ミネソタ州エデンプレーリーにあるストラタシス,インコーポレイテッドから、「WATERWORKS」および「SOLUBLE SUPPORTS」という商品名で市販されているものを含む。
【0061】
上述のように、ポンプシステム10(およびポンプシステム402)は、押出型積層製造システムにおいて押出ヘッドとして使用するのに適切な押出システムを提供する。ポンプシステム10の有利な特性の例として、高速で一貫した応答時間、高い流量(例えば、20,000立方マイクロインチ/秒)、流量と応答時間との分離、複数の種類の構築材料および支持材料の堆積、材料を変える際の交換を必要とする部品数の最小化、押出ヘッドおよびX−Yガントリの質量の最小化、ノズル間の較正または登録を必要としないこと、送出される原材料のコストの最小化、ポンプの製造コストの最小化、摩耗部品の最小化、ネジと穴との位置ずれの排除、高温材料(例えば、400℃以上)を送り出す高温動作、および全色域モデリングが可能であることが挙げられる。
【0062】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行い得ることを認識するであろう。例えば、ポンプシステム10は、押出型積層製造システムにおいて使用されるものとして述べられているが、ポンプシステム10は、3Dオブジェクトを構築するためのあらゆる種類の押出型堆積システムにおける使用にも適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動モータおよび第2の駆動モータと、
前記第1の駆動モータに動作可能に係合され、前記第1の駆動モータの動力により固体材料を送出するように構成された搬送アセンブリと、
スクリューポンプであって、該スクリューポンプのバレルを少なくとも部分的に画定するハウジングと、前記バレルの第1の端部で前記ハウジングに固定される押出端部と、前記ハウジングに固定され、前記バレルと交差する液化装置であって、前記搬送アセンブリから送出された前記固体材料を受け入れ、該受け入れた固体材料を少なくとも部分的に溶融し、該少なくとも部分的に溶融された材料を前記バレルに移動させるように構成された液化装置とを備えるスクリューポンプと、
少なくとも部分的に前記バレルを挿通する羽根車であって、前記第2の駆動モータの動力により、前記バレルに移動される前記少なくとも部分的に溶融された材料を、前記押出端部の方へ推進するように構成された羽根車と
を備えるポンプシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプシステムであって、
前記固体材料は、フィラメントとして提供され、
前記搬送アセンブリは、
複数の係合されたギアであって、前記複数の係合されたギアのうちの少なくとも1つは、前記第1の駆動モータ内に動作可能に係合された前記搬送アセンブリの一部である、複数の係合されたギアと、
前記複数の係合されたギアのうちの第1のギアと軸方向に係合された第1の駆動ローラと、
前記複数の係合されたギアのうちの第2のギアと軸方向に係合された第2の駆動ローラであって、前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとが、前記フィラメントを係合するように構成されている、第2の駆動ローラと
を備えていることを特徴とするポンプシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のポンプシステムであって、
前記第2の駆動ローラは、付勢されて、前記フィラメントの抵抗力の変化に対応して前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間の圧迫力を変化させる
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプシステムであって、
前記液化装置は、実質的に、前記羽根車と同心である円柱形の空洞を備える
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のポンプシステムであって、
前記液化装置は、らせんバッフルを備える
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のポンプシステムであって、
前記羽根車は、前記バレル内の加圧領域と輸送領域とを少なくとも部分的に画定し、前記輸送領域は、前記液化装置に隣接し、前記加圧領域は、前記押出端部に隣接する
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のポンプシステムであって、
さらに、
前記ハウジングの少なくとも一部の周囲に延在する外部温度制御システムを備える
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のポンプシステムであって、
前記液化装置は、第1の液化装置であり、前記固体材料は、第1の固体材料であり、
前記ポンプシステムは、さらに、前記ハウジングに固定され、前記バレルと交差する第2の液化装置を備え、該第2の液化装置は、第2の固体材料を受け入れ、該受け入れた第2の固体材料を少なくとも部分的に溶融し、前記少なくとも部分的に溶融された第2の固体材料を前記バレルに移動させる
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項9】
フィラメントとして供給される熱可塑性プラスチック材料を押し出すためのポンプシステムであって、
前記フィラメントの連続した部分を送出するように構成された一対の駆動ローラと、
第1の端部と通気開口部とを有するバレルを少なくとも部分的に画定するハウジングと、
該ハウジングに固定され、前記バレルにおける、前記第1の端部と前記通気開口部との間の位置で、前記バレルの周囲を円周方向に延在する液化装置空洞を画定する液化装置ハウジングと、
該液化装置ハウジングを挿通し、前記一対の駆動ローラから送出される前記フィラメントの前記連続した部分を前記液化装置空洞に移動させるように構成された送出経路と、
前記バレルの前記第1の端部で前記ハウジングに固定される押出端部と、
前記バレルを挿通する羽根車であって、少なくとも前記液化装置空洞と前記バレルの前記第1の端部との間において、前記羽根車の長軸に沿って深さが異なる複数の溝を備える羽根車と
を備えるポンプシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のポンプシステムであって、
前記一対の駆動ローラのうちの少なくとも1つは、付勢され、前記フィラメントの抵抗力の変化に対応して前記一対の駆動ローラ間の挟締力を変化させる
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項11】
請求項9に記載のポンプシステムであって、
前記羽根車は、前記バレル内の加圧領域と輸送領域とを少なくとも部分的に画定し、前記輸送領域は、前記液化装置空洞に隣接し、前記加圧領域は、前記押出端部に隣接している
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のポンプシステムであって、
前記輸送領域は、少なくとも前記液化装置空洞と前記通気開口部との間に延在する
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項13】
請求項9に記載のポンプシステムであって、
前記一対の駆動ローラおよび前記羽根車は、別個の駆動モータによって動作されるように構成されている
ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項14】
3次元オブジェクトを構築するための押出装置であって、
ポンプシステムであって、第1の駆動モータと、該第1の駆動モータと動作可能に係合され、該第1の駆動モータの動力によって熱可塑性プラスチック材料のフィラメントを送出するように構成されたフィラメント搬送アセンブリとを有するポンプシステムと、
スクリューポンプであって、該スクリューポンプのバレルを少なくとも部分的に画定するハウジングと、前記バレルの第1の端部で前記ハウジングに固定された押出端部と、前記ハウジングに固定され、前記バレルと交差する液化装置であって、前記フィラメント搬送アセンブリから送出される前記フィラメントを受け入れるように構成された送出経路を有する液化装置と、前記バレルを少なくとも部分的に挿通する羽根車とを有するスクリューポンプと、
少なくとも一方向に前記ポンプシステムを移動させるように構成されたガントリアセンブリと、
前記ポンプシステムおよび前記ガントリアセンブリから離れた位置に配置された第2の駆動モータと、
前記第2の駆動モータを前記ポンプシステムの前記羽根車に係合させることで、前記第2の駆動モータの動力により前記羽根車を回転可能に構成されたベルトプーリアセンブリと
を備える押出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の押出装置であって、
前記ベルトプーリアセンブリは、
第1のプーリと、該第1のプーリおよび前記第2の駆動モータと係合されることで、前記第2の駆動モータの動力により前記第1のプーリを回転可能な第1の駆動ベルトとを有する第1のプーリ部と、
第2のプーリであって、前記第1のプーリに軸方向に接続されることで該第1のプーリの回転が該第2プーリを回転可能にする、第2のプーリと、該第2のプーリと前記羽根車とに係合されることで該第2プーリの回転が該羽根車を回転可能にする、第2の駆動ベルトとを有する第2のプーリ部と
を備えることを特徴とする押出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の押出装置であって、
前記第2の駆動モータは、前記ガントリアセンブリの動作が前記羽根車を回転させないように、前記ガントリアセンブリの動作を減じるように設定されている
ことを特徴とする押出装置。
【請求項17】
請求項14に記載の押出装置であって、
前記フィラメント搬送アセンブリは、
複数の係合されたギアであって、該複数の係合されたギアのうちの少なくとも1つは、前記第1の駆動モータに動作可能に係合された前記フィラメント搬送アセンブリの前記一部である、複数の係合されたギアと、
該複数の係合されたギアのうちの第1のギアと軸方向に係合された第1の駆動ローラと、
前記複数の係合されたギアのうちの第2のギアと軸方向に係合された第2の駆動ローラであって、前記第1の駆動ローラおよび該第2の駆動ローラは、前記フィラメントに係合するように設定されている、第2の駆動ローラと
を備えることを特徴とする押出装置。
【請求項18】
請求項17に記載の押出装置であって、
前記第2の駆動ローラは、付勢され、前記フィラメントの抵抗力の変化に対応して前記第1の駆動ローラと前記第2の駆動ローラとの間の挟締力を変化させる
ことを特徴とする押出装置。
【請求項19】
請求項14に記載の押出装置であって、
前記液化装置は、実質的に前記羽根車と同心である円柱形の空洞を備える
ことを特徴とする押出装置。
【請求項20】
請求項14に記載の押出装置であって、
前記羽根車は、前記バレル内の加圧領域と輸送領域とを少なくとも部分的に画定し、該輸送領域は、前記液化装置に隣接し、該加圧領域は、前記押出端部に隣接している
ことを特徴とする押出装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−517830(P2010−517830A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549598(P2009−549598)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/001783
【国際公開番号】WO2008/100467
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509113977)ストラタシス,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】