説明

排気ガス浄化システム及びその制御方法

【課題】NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を使用している排気ガス浄化システムにおいて、NOx吸蔵還元型触媒のNOx再生や触媒付きDPFのPM強制再生を、内燃機関の運転状態が低負荷運転状態であっても実施可能とする排気ガス浄化システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】内燃機関10の排気通路11の上流側から、排気管内直接噴射装置47と、酸化触媒31と、NOx浄化触媒32又は触媒付きDPF33の少なくとも一方を備えた排気ガス浄化システム1において、前記酸化触媒31の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOx吸蔵還元型触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を有する排気ガス浄化システムにおいて、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するNOx再生制御と触媒付きDPFのPM捕集能力を回復するPM強制再生制御を、内燃機関の運転状態が低負荷状態であっても実施可能とする排気ガス浄化システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンや筒内ガソリン直接噴射エンジン(GDI)等の排気ガス中のNOxの浄化のために使用されているNOx浄化触媒(DeNOx触媒)の一つに、リーンNOxトラップ(LNT)と呼ばれるNOx吸蔵還元型触媒がある。この触媒は、アルカリ金属(例えば、カリウムK等)又はアルカリ土類金属(例えば、バリウムBa等)の吸蔵材を白金Pt等の貴金属と共に担持して形成される。
【0003】
このNOx吸蔵還元型触媒は、排気ガスが酸素過剰な空燃比リーン状態では、排気ガス中のNOを酸化して吸蔵材の硝酸塩の形でNOxを吸蔵し、排ガスが酸素が殆ど無い空燃比リッチ状態では、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを三元触媒機能によりHC,CO等の還元剤で還元してNOxを低減している。
【0004】
このNOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生制御において、排気ガスの空燃比をリッチ状態にするときには、シリンダ内燃料噴射制御で主噴射の後に更に燃料を噴射するポスト噴射を行ったり、排気管内へ燃料を直接噴射する排気管内直接噴射を行ったりして、NOx吸蔵還元型触媒に燃料等の還元剤を供給することが行われている。
【0005】
また、ディーゼルエンジンから排出されるPM(粒子状物質)をフィルタで捕集する連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタ装置(DPF装置)がある。この連続再生DPF装置では、排気ガス温度が比較的高いとき(約350℃以上)ではフィルタに捕集されたPMは連続的に燃焼して浄化されるが、排気ガス温度が低い場合には、フィルタが担持している酸化触媒やPM酸化触媒の温度が低下して活性化しないため、PMを酸化してフィルタを自己再生することが困難となる。そのため、フィルタへのPMの堆積により目詰まりが進行し、排圧上昇の問題が生じる。
【0006】
そこで、フィルタへのPM堆積量が所定の量を超えたときに、排気ガスを強制的に昇温させて、捕集したPMを強制的に燃焼除去するPM強制再生を行っている。このPM強制再生では、ポスト噴射又は排気管内直接噴射を行って排気ガス中に燃料等の未燃HC(炭化水素)を供給し、この供給された未燃HCを、フィルタ上流側に配置された酸化触媒やフィルタに担持した酸化触媒で燃焼させている。この酸化反応熱を利用して、フィルタ入口やフィルタ表面の排気ガス温度を上昇させることにより、フィルタに蓄積されたPMが燃焼する温度以上にフィルタを昇温してPMを燃焼除去している。
【0007】
このような排気管内に未燃HCを供給する方法としては、ポスト噴射と排気管内直接噴射とがあるが、排気管内直接噴射を用いるとシリンダ内の燃焼に影響を与えずに未燃HCの供給量を調整できるという利点があるため、NOx吸蔵還元型触媒における還元剤噴射用や、DPFに捕集したPMを強制的に燃焼させるための排気ガス昇温用として、排気管に直接燃料を噴射する排気管内直接噴射が実用化され始めている。
【0008】
しかしながら、この排気管内直接噴射の場合は、ポスト噴射の場合と同様に、NOx吸蔵還元型触媒や酸化触媒の活性化温度以下では、燃料を排気管内に噴射しても酸化反応が生することなく、これらの触媒を通り抜けて流出して、白煙などを発生する。この場合において、排気管内直接噴射の場合の方が、ポスト噴射のように未燃HCがガス化していないので、ポスト噴射の場合よりも白煙を発生し易くなっている。そのため、排気管内直接噴射を使用できる領域は、触媒の活性化温度により規制され、低負荷走行時等にはNOx吸蔵還元型触媒のNOx再生やDPFのPM強制再生を行うことは難しいという問題がある。
【0009】
一方、外周面上を外壁部としその内部に一端から他端まで連通する複数のセルを形成する隔壁を含むセル構造部をもつセル構造体において、セル構造部をセラミック材料又は金属材料を主成分とし、外壁部をセラミック材料を主成分とすることにより、外壁部の断熱性を高くすることにより、セル構造部の昇温速度を向上させ、温度分布を均一とするセル構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−199179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を使用している排気ガス浄化システムにおいて、担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した酸化触媒を利用して、NOx吸蔵還元型触媒のNOx再生や触媒付きDPFのPM強制再生を、内燃機関の運転状態が低負荷運転状態であっても実施可能とする排気ガス浄化システム及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気通路の上流側から、排気管内直接噴射装置と、酸化触媒と、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を備えた排気ガス浄化システムにおいて、前記酸化触媒の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成して構成される。
【0012】
この構成によれば、ポスト噴射のようにシリンダ内で噴射された未燃燃料がガス化して、排気ガスと略均一に混合した場合と異なり、排気管内直接噴射では噴射直後では、未燃燃料がガス化しておらず、未燃燃料の拡散と排気ガスとの混合が必要であるが、酸化触媒が排気ガスの混合機能、即ち、ミキサー機能を有して構成されることにより、酸化触媒の担体を通過中に未燃燃料と排気ガスとが略均一に混合する。なお、ここで排気管内直接噴射で噴射されるものとして、未燃燃料で説明しているが、本発明では、排気管内直接噴射で噴射されるものには、燃料、及び、燃料以外の酸化促進剤、PMの酸化促進剤、NOx還元剤等も含むものとする。
【0013】
その上、酸化触媒の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で形成しているので、酸化触媒全体の比熱が小さくなり、昇温に要する熱量が少なくなり、酸化触媒は速やかに温度上昇するようになる。また、金属材料は熱伝導率が高いため酸化触媒が全体的に均一温度となり易い。そのため、酸化触媒は、内燃機関の運転開始時には、比較的早く昇温すると共に、未燃燃料の酸化反応熱も少ない量でも速やかに昇温できるようになる。
【0014】
従って、この酸化触媒の混合機能と迅速な昇温により、未燃燃料がガス化して酸化反応が行われ易くなる。その結果、下流側でのNOx還元反応やPM燃焼が促進されると共には白煙の発生を防止できるので、NOx吸蔵還元型触媒のNOx再生や触媒付きDPFのPM強制再生を、内燃機関の運転状態が低負荷運転状態であっても実施可能とすることができる。
【0015】
つまり、図6に示すように、従来技術の比熱が比較的大きいコージェライト担体の酸化触媒Bでは、緩加速状態では排気温度の上昇下降があるが、それに追従する酸化触媒の温度変化の幅が小さく、ある程度の加速状態でないと、酸化触媒は触媒活性化温度(例えば、200℃)に到達しない。一方、本発明のように金属材料など比熱の比較的小さい材料の担体で形成された酸化触媒Aでは、緩加速状態の排気温度の上昇下降に対して、それに追従する酸化触媒の温度変化の幅が大きく、短時間であっても酸化触媒が触媒活性化温度に到達する場合が生じ易くなる。そのため、このタイミングを捉えて未燃燃料を供給することにより、酸化触媒の温度を昇温して触媒活性化温度以上に維持できるようになる。その結果、内燃機関の運転状態が低負荷運転状態であっても、排気ガスやNOx吸蔵還元型触媒や触媒付きDPFを昇温することができるようになる。
【0016】
上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、前記酸化触媒を昇温する所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行い、第2判定温度を超えた場合には、排気ガスを昇温する所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行い、前記NOx吸蔵還元型触媒又は触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が第3判定温度に達した場合には、NOx再生又はPM強制再生を行う所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行う排気ガス浄化用制御装置を備えて構成される。
【0017】
この構成によれば、酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、比較的少量の所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行って酸化触媒における未燃燃料の酸化反応により酸化触媒を昇温できる。その後、第1指標温度が昇温して第1判定温度より10℃〜30℃程度高い第2判定温度を超えた場合には、酸化触媒の温度を安定して活性化温度以上に維持できるとして、酸化触媒で酸化できる量の所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行うことにより、酸化触媒における未燃燃料の酸化反応熱により排気ガスを昇温できる。
【0018】
この所定の第1供給量は酸化触媒の温度を活性化温度以上に継続して維持できるように酸化触媒自体を昇温するためのものであり、比較的少量で第1指標温度が第2判定温度に至るまでの比較的短時間の間行われる。この噴射の目的は酸化触媒の昇温であり、この時点では排気ガス温度が低く、大量に噴射すると白煙が発生するので、温度と排気ガスの流量に応じた供給量を予め求めておき、マップデータなどとして排気ガス浄化用制御装置に記憶し、実行時にこのデータを参照して供給量を算出する。つまり、図7に示すように、HCライトオフが100%の温度(T2)で酸化できる噴射量をQaとし、図7の特性カーブから現在の温度T1時の可能噴射量Qb=Qa×Ca/100を求める。
【0019】
また、所定の第2供給量は酸化触媒が活性化温度以上を継続して維持できている状態で、下流側のNOx吸蔵還元型触媒や触媒付きDPFを昇温するために排気ガスを昇温するためのものであり、第1供給量とは別の所定の第2供給量で未燃燃料を供給する。この第2供給量は、排気ガス、NOx吸蔵還元型触媒、触媒付きDPF等を昇温するのに十分な量とする。つまり、この第2供給量も図7に示すような特性カーブに従って、第1供給量と同様にして求める。
【0020】
更に、NOx吸蔵還元型触媒に関係する場合には、NOx吸蔵還元型触媒の温度を指標する第2指標温度が、NOx再生が可能な第3判定温度に達した場合には、所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行ってNOx再生を行うことができる。あるいは、触媒付きDPFに関係する場合には、触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が、PM強制再生が可能な第3判定温度に達した場合には、所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行ってPM強制再生を行うことができる。
【0021】
また、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記排気ガス浄化用制御装置が、前記第1判定温度として前記酸化触媒の温度が200℃となる温度を採用し、前記第2判定温度として前記酸化触媒の温度が220℃となる温度を採用すると共に、NOx再生用で前記第3判定温度として前記酸化触媒の温度が250℃となる温度を採用するか、あるいは、PM強制再生用で前記第3判定温度として前記酸化触媒の温度が300℃となる温度を採用する。この構成によれば、各判定温度を適切な値に設定できるので、効率よく、酸化触媒の昇温と排気ガスの昇温とNOx再生又はPM強制再生を行うことができる。
【0022】
また、上記の目的を達成するための排気ガス浄化システムの制御方法は、内燃機関の排気通路の上流側から、排気管内直接噴射装置と、酸化触媒と、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を備えると共に、前記酸化触媒の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した排気ガス浄化システムの制御方法において、前記酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、前記酸化触媒を昇温する所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行い、第2判定温度を超えた場合には、排気ガスを昇温する所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行い、前記NOx吸蔵還元型触媒又は触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が第3判定温度に達した場合には、NOx再生又はPM強制再生を行う所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行うことを特徴とする制御方法である。
【0023】
この制御方法によれば、酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、比較的少量の所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行って酸化触媒を昇温でき、昇温して第1指標温度が第1判定温度より10℃〜30℃程度高い第2判定温度を超えた場合には、酸化触媒で酸化できる量の所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行って、酸化触媒における未燃燃料の酸化反応熱により排気ガスを昇温できる。
【0024】
更に、NOx吸蔵還元型触媒に関係する場合には、NOx吸蔵還元型触媒の温度を指標する第2指標温度が、NOx再生が可能な第3判定温度に達した場合には、所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行ってNOx再生を行うことができる。あるいは、触媒付きDPFに関係する場合には、触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が、PM強制再生が可能な第3判定温度に達した場合には、所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行ってPM強制再生を行うことができる。
【0025】
上記の排気ガス浄化システムの制御方法において、前記第1判定温度として前記酸化触媒の温度が200℃となる温度を採用し、前記第2判定温度として前記酸化触媒の温度が220℃となる温度を採用すると共に、NOx再生用として前記第3判定温度として前記酸化触媒の温度が250℃となる温度を採用するか、あるいは、PM強制再生用として前記第3判定温度として前記酸化触媒の温度が300℃となる温度を採用する。この方法によれば、各判定温度を適切な値に設定できるので、効率よく、酸化触媒の昇温と排気ガスの昇温とNOx再生又はPM強制再生を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る排気ガス浄化システム及びその制御方法によれば、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を使用している排気ガス浄化システムにおいて、従来技術の酸化触媒をセラミック担体で構成し、ポスト噴射による未燃燃料の供給する場合では、NOx再生やPM強制再生をすることができなった低負荷走行運転の場合でも、これらの再生が行えるようになり、より広い走行領域においてNOx再生やPM強制再生を実施できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システム及びその制御方法について、ディーゼルエンジンの排気通路を通過する排気ガスのNOxとPMを浄化する排気ガス浄化システムを例にして図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に、本発明の実施の形態の排気ガス浄化システム1の構成を示す。この排気ガス浄化システム1は、ディーゼルエンジン(内燃機関)10の排気通路11に上流側から、ターボチャジャ12のタービン12aと、排気ガス浄化装置30と、排気絞り弁13が設けられる。この排気ガス処理装置30は、上流側から順に、酸化触媒(DOC)31、NOx吸蔵還元型触媒(LNT)32、酸化触媒又はPM酸化触媒を担持した触媒付きDPF(CSF)33を設けて構成される。
【0029】
この酸化触媒31は、金属材料で排気ガスの混合機能を有する構造に形成した担持体に、ロジウム、酸化セリウム、白金、酸化アルミニウム等を担持して形成される。この混合機能を有する構造としては、図2に示すような、メタル製の孔開き平フォイル51とメタル製の孔開き波フォイル52を積層してチャンネル53間を流通可能にしたPE(Perforated)構造(ドイツのEMITEC社による名称)を用いることができる。この孔開きの孔51a,52aの径は例えば8mmφ程度で空孔率35%程度である。また、図3に示すようなメタル製の平フォイル61とメタル製の波形状の部分に刻み目(陥没部分)62bを設けた波フォイル62を積層してチャンネル63間を流通可能にしたLS(Longitudinal Structure)構造(ドイツのEMITEC社による名称)等を用いることができる。このLS構造の刻み目62bによりチャンネルの軸に対して垂直方向に波形が形成される。円筒形に形成する場合には、平ファイル51,61と波ファイル52,62を積層したものを巻き上げて円筒状に構成する。
【0030】
この酸化触媒31は、排気ガス中に未燃燃料であるHC(炭化水素)やCO(一酸化炭素)等があるとこれを酸化する。この酸化で発生する熱により、酸化触媒31自体や通過する排気ガスを昇温して、この昇温した排気ガスで下流側のNOx吸蔵還元型触媒32と触媒付きDPF33を昇温させる。
【0031】
この構成によりエンジン(内燃機関)10の排気通路11の上流側から、排気管内直接噴射装置47と、酸化触媒31と、NOx浄化触媒32又は触媒付きDPF33の少なくとも一方を備えた排気ガス浄化システム1において、酸化触媒31の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した構成とすることができる。この酸化触媒31は昇温性を重視し、排圧の増加の少ない範囲で容量は小さくする。定格排ガス量に対し、S/V=300,000hr-1を目安とする。大きいと昇温しずらく、小さいと活性不足となる。
【0032】
NOx吸蔵還元型触媒32はリーンNOxトラップ(LNT)と呼ばれる触媒の一つであり、コージェライトハニカム等の多孔質のセラミックのハニカム構造等の担持体に、酸化アルミニウム(アルミナ)等で形成された多孔質の触媒コート層を設けて構成される。この触媒コート層に白金等の触媒貴金属と、NOx吸蔵機能を持つNOx吸蔵物質とを担持させる。このNOx吸蔵物質としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、バリウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、ランタン、イットリウム等の希土類の中から、一つ又は幾つかの組合せを用いることができる。
【0033】
このNOx吸蔵還元型触媒32は、酸素過剰な排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化して硝酸塩として触媒上に吸着させて、NOxを浄化する。このNOx吸蔵還元型触媒32は、排気ガスが空燃比リーン状態では、NOxを吸蔵し、空燃比リッチ状態では、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを還元雰囲気中で還元して、NOxを低減する。つまり、排気ガス中の酸素濃度等によって、NOx吸蔵と、NOx放出・浄化の二つの機能を発揮する。
【0034】
触媒付きDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)33は、多孔質のセラミックのハニカムのチャンネル(セル)の入口と出口を交互に目封じしたモノリスハニカム型のウオールフローフィルタで形成され、この多孔質のセラミックの壁面と内部に、酸化触媒とPM酸化触媒を担持させて形成する。この酸化触媒は白金、パラジウム等から形成され、PM酸化触媒は、酸化セリウム等の酸化物酸化触媒等で形成される。
【0035】
また、吸気通路14には、エアフィルタ15、マスエアフローセンサ(MAFセンサ)16、ターボチャジャ12のコンプレッサ12b、インタークーラ17、吸気スロットル弁18を設ける。更に、排気マニホールド10aと吸気マニホールド10bを連結するEGR通路19には、EGRクーラ20と、EGR弁21を設ける。
【0036】
また、排気通路11には、排気ガス浄化装置30の上流側に、排気ガスの空燃比制御のために排気ガスの空燃比を検出する空燃比(A/F)センサ41を設ける。更に、各触媒31、32と触媒付きDPF33の温度を推定するために、第1の温度センサ42を酸化触媒31の上流側に、第2の温度センサ43を酸化触媒31とNOx吸蔵還元型触媒32との間に、第3の温度センサ44をNOx吸蔵還元型触媒32と触媒付きフィルタ33との間に、第4の温度センサ45を触媒付きフィルタ33の下流側に、それぞれ配置する。また、排気ガス浄化装置30の下流側には、NOxセンサ46を配置する。
【0037】
また、燃料の排気管内直接噴射を行うために、排気管内直接噴射装置(排気管内燃料噴射弁)47を排気ガス浄化装置30の上流側の排気通路(排気管)11に設ける。この排気管内直接噴射装置47より、各制御における空燃比リッチ制御時には、燃料である未燃HCが排気通路11に直接噴射で供給される。この空燃比リッチ制御の対象としては、酸化触媒31の温度上昇制御、酸化触媒31を通過する排気ガスの温度上昇制御、NOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生制御、触媒付きDPF33の捕集されたPMを強制的に燃焼除去するPM強制再生制御等がある。
【0038】
このディーゼルエンジン10では、空気Aはエアフィルタ15で浄化された後、マスエアフローセンサ(MAFセンサ)16でその質量流量を計測され、コンプレッサ10bで加圧される。その後、空気Aはインタークーラ17で冷却され、吸気スロットル弁18を通過して吸気マニホールド10bに入る。この吸気スロットル弁18は空気Aの流量調整を行う。エンジン10のシリンダ内でこの空気A中に燃料を噴射して燃料を燃焼させる。
【0039】
この燃焼により生じた排気ガスGは、排気マニホールド10aから排気通路11のタービン10aを駆動した後、排気ガス浄化装置30を通過して、浄化された排気ガスGcとなる。その後、浄化された排気ガスGcは、排気絞り弁13と図示しないマフラー(消音器)を通過して大気中に放出される。また、排気ガスGの一部はEGRガスGeとして、EGR通路19のEGRクーラ20で冷却された後、EGR弁21を通過して吸気マニホールド10bに入り、空気Aと混合しシリンダ内に入る。このEGR弁21はEGRガスGeの流量調整を行う。
【0040】
また、これらの排気ガス浄化システム1の制御を行うために排気ガス浄化用制御装置40aが設けられる。この排気ガス浄化用制御装置40aは、通常はエンジン全体を制御するエンジン制御装置(ECU)40に含まれた状態で構成される。この排気ガス浄化用制御装置40aには、空燃比センサ41や第1〜第4の温度センサ42、43、44、45やNOxセンサ46等からの入力の他に、エンジン回転数、燃料噴射量(又は負荷)等が入力される。また、この排気ガス浄化用制御装置40aはエンジン制御装置40と密接な関係を持ち、エンジン制御装置40を介して、シリンダ内燃料噴射、排気絞り弁13、吸気スロットル弁18、EGR弁21、排気管内直接噴射装置47等を制御する。
【0041】
次に、この排気ガス浄化システム1における排気ガス浄化システムの制御方法について説明する。この制御方法は図4及び図5に例示するような制御フローに従って行われる。図4の制御フローは、NOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復するNOx再生のための制御フローであり、図5の制御フローは、触媒付きDPF33の捕集PMを強制的に燃焼除去するPM強制再生のための制御フローである。
【0042】
最初に、NOx吸蔵還元型触媒32のNOx再生のための図4の制御フローについて説明する。この図4の制御フローは、エンジンのスタートと共に、エンジン全般の制御を行うメインの制御フロー等の上級の制御から、ある程度NOxの吸蔵量が多くなってNOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生制御を行ってもよいと判断された際に呼ばれてスタートする。また、エンジンキーのオフ等のエンジン運転の終了を検出すると、割り込みが発生して、上級の制御フローにリターンし、メインの制御フローの終了と共にこの制御フローは終了する。なお、NOxの吸蔵量が限界を超える恐れが生じるほど多くなった場合には、図4の制御フローではなく、別の制御フロー(図示しない)でNOx再生が行われる。
【0043】
この図4の制御フローが上級の制御フローから呼ばれてスタートすると、先ず、ステップS11で、酸化触媒31の温度を指標する第1指標温度Tcが所定の第1判定温度Tc1を超えたか否かを判定する。この第1指標温度Tcは直接酸化触媒31の温度を測定するのが難しいので、代わりに上流側の第1の温度センサ42の検出温度を使用したり、下流側の第2の温度センサ43の検出温度を使用したりする。あるいは、これらの温度の平均を使用してもよい。この第1判定温度Tc1としては酸化触媒31の温度が、触媒活性化温度(例えば、200℃)となる温度を採用する。
【0044】
ステップS11の判定で、第1指標温度Tcが所定の第1判定温度Tc1以下の場合には(NO)、ステップS12に行き、排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射せずに、所定の時間(第1指標温度のチェックのインターバルに関係する時間)を経過したらステップS11に戻る。また、ステップS11の判定で、第1指標温度Tcが所定の第1判定温度Tc1を超えた場合には(YES)、ステップS13に行き、第1指標温度Tcが所定の第2判定温度Tc2を超えたかを判定する。この第2判定温度Tc2としては酸化触媒31の温度が略確実に触媒活性化温度以上を維持でき、大気中への未燃燃料の放出である白煙の発生を防止できる触媒温度(例えば、220℃)となる温度を採用する。
【0045】
ステップS13の判定で、第1指標温度Tcが所定の第1判定温度Tc1以下の場合には(NO)、ステップS14に行き、酸化触媒31の昇温制御を所定の時間(第1指標温度Tcのチェックのインターバルに関係する時間)の間、所定の第1供給量で噴射制御を行い、排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射する。その後ステップS11に戻る。
【0046】
この所定の第1供給量は酸化触媒31の温度を活性化温度(例えば、200℃)以上に継続して維持できるように酸化触媒31自体を昇温するためのものであり、第1指標温度Tcが第2判定温度Tc2に至るまで行われる。この制御の目的は酸化触媒31の昇温であり、このときはまだ排気ガス温度が低く、大量に噴射すると白煙が発生するので、温度と排気ガスの流量に応じた供給量を予め求めておき、マップデータなどとして排気ガス浄化用制御装置40aに記憶しておき、実行時にはこの第1供給量用のデータを参照して供給量を算出する。つまり、図7に示すように、HCライトオフが100%の温度(T2)で酸化できる噴射量をQaとし、図7の特性カーブから現在の温度T1時の可能噴射量Qb=Qa×Ca/100を求める。
【0047】
ステップS13の判定で、第1指標温度Tcが所定の第2判定温度Tc2を超えた場合には(YES)、ステップS15に行き、NOx再生用の第2指標温度TnがNOx再生用の所定の第3判定温度Tn3を超えたか否かを判定する。この第2指標温度Tnは直接NOx吸蔵還元型触媒32の温度を測定するのが難しいので、代わりに上流側の第2の温度センサ43の検出温度を使用したり、下流側の第3の温度センサ44の検出温度を使用したりする。あるいは、これらの温度の平均を使用してもよい。この第3判定温度Tn3としてはNOx吸蔵還元型触媒32の温度が、触NOx吸蔵還元型触媒32の媒活性化温度(例えば、250℃)となる温度を採用する。
【0048】
ステップS15の判定で、第2指標温度Tnが所定の第3判定温度Tn3以下の場合には(NO)、ステップS16に行き、酸化触媒31の温度維持制御を所定の時間(第2指標温度Tnのチェックのインターバルに関係する時間)の間、所定の第2供給量で噴射制御を行い、排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射する。その後ステップS11に戻る。
【0049】
この所定の第2供給量は酸化触媒31が活性化温度(例えば、200℃)以上を継続して維持できる状態で、下流側のNOx吸蔵還元型触媒32を昇温するために排気ガスを昇温するためのものであり、第1供給量とは別の所定の第2供給量で未燃燃料を供給する。この第2の供給量は、排気ガス、NOx吸蔵還元型触媒32の昇温に十分な量とする。この制御の目的は酸化触媒31の温度維持であり、このときは排気ガス温度は比較的高くなっているので、第1の供給量とが別の第2の供給量で未燃燃料を供給する。そのため、この状態で、温度と排気ガスの流量に応じた供給量を予め求めておき、マップデータ等として排気ガス浄化用制御装置40aに記憶しておき、実行時にはこの第2供給量用のデータを参照して供給量を算出する。つまり、この第2供給量も図7に示すような特性カーブに従って、第1供給量と同様にして求める。
【0050】
ステップS15の判定で、第2指標温度Tnが所定の第3判定温度Tn3を超えた場合には(YES)、ステップS17に行き、NOx再生制御用の空燃比制御を行い、NOx再生用の所定の第3供給量で排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射する。この制御の目的はNOx吸蔵還元型触媒32のNOx再生であり、このときは排気ガス温度は十分に高くなっているので、NOx再生に適した排気ガスの流量に応じた供給量を予め求めておき、マップデータ等として排気ガス浄化用制御装置40aに記憶しておく。実行時にはこのNOx再生のための第3供給量用のデータを参照して供給量を算出する。なお、このNOx再生に際しては必要に応じてEGR制御、吸気絞り制御、排気絞り制御、シリンダ内燃料噴射制御などが並行して行う。
【0051】
そして、このステップS17をNOx再生が終了するまで行って、NOx再生が終了したら、リターンし、上級の制御フローに戻る。上級の制御フローに戻った後は、再度、ある程度NOxの吸蔵量が多くなってNOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復するためのNOx再生制御を行ってもよいと判断された場合に、再度図4の制御フローが呼ばれて実行される。必要に応じてこれを繰り返す。
【0052】
次に、触媒付きDPF33のPM強制再生のための図5の制御フローについて説明する。この図5の制御フローは、エンジンのスタートと共に、エンジン全般の制御を行うメインの制御フロー等の上級の制御から、ある程度PMの捕集量が多くなって触媒付きDPF33の捕集PMを強制的に燃焼除去するためのPM強制再生制御を行ってもよいと判断された際に呼ばれてスタートする。また、エンジンキーのオフ等のエンジン運転の終了を検出すると、割り込みが発生して、上級の制御フローにリターンし、メインの制御フローの終了と共にこの制御フローは終了する。この図5の制御フローは図4の制御フローのステップS15、S17がステップS15A、S17Aにそれぞれ置き換わった以外は図4の制御フローと同じである。なお、PMの堆積量が限界を超える恐れが生じるほど多くなった場合には、図5の制御フローではなく、別の制御フロー(図示しない)でPM強制再生が行われる。
【0053】
この図5の制御フローが上級の制御フローから呼ばれてスタートすると、図4の制御フローと同様に、ステップS11〜S14、S16を行う。図5の制御フローのステップS15Aでは、PM強制再生用の第2指標温度TpがPM強制再生用の所定の第3判定温度Tp3を超えたか否かを判定する。この第2指標温度Tpは直接触媒付きDPF33の温度を測定するのが難しいので、代わりに上流側の第3の温度センサ44の検出温度を使用したり、下流側の第4の温度センサ45の検出温度を使用したりする。あるいは、これらの温度の平均を使用してもよい。この第3判定温度Tp3としては触媒付きDPF33の温度が、PMが燃焼を開始する温度(例えば、300℃)となる温度を採用する。
【0054】
ステップS15Aの判定で、第2指標温度Tpが所定の第3判定温度Tp3以下の場合には(NO)、ステップS16に行き、酸化触媒31の温度維持制御を所定の時間(第2指標温度Tpのチェックのインターバルに関係する時間)の間、所定の第2供給量で噴射制御を行い、排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射する。その後ステップS11に戻る。
【0055】
ステップS15Aの判定で、第2指標温度Tpが所定の第3判定温度Tp3を超えた場合には(YES)、ステップS17Aに行き、PM強制再生制御用の空燃比制御を行い、PM強制再生用の所定の第3供給量で排気管内直接噴射装置47から燃料を噴射する。この制御の目的は触媒付きDPF33のPM強制再生であり、このときは排気ガス温度は十分に高くなっているので、PM強制再生に適した排気ガスの流量に応じた供給量を予め求めておき、マップデータなどとして排気ガス浄化用制御装置40aに記憶しておく。実行時にはこの第3供給量用のPM強制再生のためのデータを参照して供給量を算出する。なお、このPM強制再生に際しては必要に応じてEGR制御、吸気絞り制御、排気絞り制御、シリンダ内燃料噴射制御などが並行して行う。
【0056】
そして、このステップS17AをPM強制再生が終了するまで行って、PM強制再生が終了したら、リターンし、上級の制御フローに戻る。上級の制御フローに戻った後は、再度、ある程度PMの捕集量が多くなって触媒付きDPF33の捕集PMを強制的に燃焼除去するためのPM強制再生制御を行ってもよいと判断された場合に、再度図5の制御フローが呼ばれて実行される。必要に応じてこれを繰り返す。
【0057】
また、図4及び図5の制御フローにおいて、第1判定温度Tc1として酸化触媒31の温度が200℃となる温度を採用し、第2判定温度Tc3として酸化触媒31の温度が220℃となる温度を採用すると共に、NOx再生用で第3判定温度Tn3としてNOx吸蔵還元型触媒32の温度が250℃となる温度を採用するか、あるいは、PM強制再生用で前記第3判定温度として触媒付きDPF33の温度が300℃となる温度を採用する。これにより、各判定温度を適切な値に設定して、効率よく、酸化触媒31の昇温と排気ガスの昇温とNOx再生又はPM強制再生を行う。
【0058】
これらの制御により、エンジン(内燃機関)10の排気通路11の上流側から、排気管内直接噴射装置47と、酸化触媒31と、NOx浄化触媒32又は触媒付きDPF33の少なくとも一方を備えると共に、酸化触媒31の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した排気ガス浄化システム1の制御方法において、酸化触媒31の温度を指標する第1指標温度Tcが、第1判定温度Tc1を超えた場合には、酸化触媒31を昇温する所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行い、第2判定温度Tc2を超えた場合には、排気ガスを昇温する所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行い、NOx吸蔵還元型触媒32(又は触媒付きDPF33)の温度を指標する第2指標温度Tn(又はTp)が第3判定温度Tn3(又はTp3)に達した場合には、NOx再生(又はPM強制再生)を行う所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行うことができる。
【0059】
図6に、担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した酸化触媒31を使用した実施例Aと、比熱が比較的大きいコージェライト担体で形成した酸化触媒を使用した従来例Bにおける、酸化触媒の出口排気ガス温度の変化を比較して示す。Inaは昇温のための少量の排気管内直接噴射を行っている部分を、InbはNOx再生のための排気管内直接噴射を行っている部分を示す。
【0060】
従来例Bの場合には緩加速状態での排気温度の上昇下降に追従する酸化触媒の温度変化の幅が小さく、ある程度の加速状態でないと、酸化触媒は触媒活性化温度(例えば、200℃)に到達しない。一方、実施例Aでは、緩加速状態の排気温度の上昇下降に追従する酸化触媒の温度変化の幅が大きく、短時間であるが、酸化触媒が触媒活性化温度に到達する場合が生じ易くなっていることが分かる。そのため、このタイミングを捉えて未燃燃料を供給することにより、酸化触媒の温度を触媒活性化温度以上に維持できるようになる。その結果、内燃機関の運転状態が低負荷運転状態であっても、排気ガスやNOx吸蔵還元型触媒や触媒付きDPFを昇温することができるようになる。
【0061】
従って、上記の排気ガス浄化システム1及びその制御方法によれば、NOx浄化触媒32又は触媒付きDPF33の少なくとも一方を使用している排気ガス浄化システム1において、低負荷走行運転の場合でもNOx再生やPM強制再生を行えるようになり、より広い走行領域においてNOx再生やPM強制再生を実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】孔開き平フォイルと孔開き波フォイルを積層したPE構造を模式的に示す図である。
【図3】孔開き平フォイルと刻み目を設けた波フォイルを積層したLS構造を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの制御方法のNOx再生に関係する制御フローの一例を示す図である。
【図5】本本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムの制御方法のPM強制再生に関係する制御フローの一例を示す図である。
【図6】実施例の金属材料担体の酸化触媒と、従来例のコージェライト担体の酸化触媒における走行時の酸化触媒の出口の排気ガス温度を比較した図である。
【図7】酸化触媒の温度とHCライトオフとの関係を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 排気ガス浄化システム
10 ディーゼルエンジン
11 排気ガス通路
30 排気ガス浄化装置
31 酸化触媒(DOC)
32 NOx吸蔵還元型触媒(LNT)
33 触媒付きDPF(CSF)
40 エンジン制御装置(ECU)
40a 排気ガス浄化用制御装置
41 空燃比(A/F)センサ
42、43、44、45 温度センサ
46 NOxセンサ
47 排気管内直接噴射装置
51,61 孔開き平フォイル
51a,52a,61a 孔
52 孔開き波フォイル
53,63 チャンネル
62 刻み目を設けた波フォイル
62a 刻み目
Tc 第1指標温度
Tc1 第1判定温度
Tc2 第2判定温度
Tn NOx再生用の第2指標温度
Tn3 NOx再生用の第3判定温度
Tp PM強制再生用の第2指標温度
Tp3 PM強制再生用の第3判定温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路の上流側から、排気管内直接噴射装置と、酸化触媒と、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を備えた排気ガス浄化システムにおいて、前記酸化触媒の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成することを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項2】
前記酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、前記酸化触媒を昇温する所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行い、第2判定温度を超えた場合には、排気ガスを昇温する所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行い、前記NOx吸蔵還元型触媒又は触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が第3判定温度に達した場合には、NOx再生又はPM強制再生を行う所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行う排気ガス浄化用制御装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システム。
【請求項3】
前記排気ガス浄化用制御装置が、前記第1判定温度として前記酸化触媒の温度が200℃となる温度を採用し、前記第2判定温度として前記酸化触媒の温度が220℃となる温度を採用すると共に、NOx再生用で前記第3判定温度として前記NOx吸蔵還元型触媒の温度が250℃となる温度を採用するか、又は、PM強制再生用で前記第3判定温度として前記触媒付きDPFの温度が300℃となる温度を採用することを特徴とする請求項2記載の排気ガス浄化システム。
【請求項4】
内燃機関の排気通路の上流側から、排気管内直接噴射装置と、酸化触媒と、NOx浄化触媒又は触媒付きDPFの少なくとも一方を備えると共に、前記酸化触媒の担体を金属材料又は金属材料の比熱以下の比熱を持つ材料で、排気ガスの混合機能を有する構造に形成した排気ガス浄化システムの制御方法において、
前記酸化触媒の温度を指標する第1指標温度が、第1判定温度を超えた場合には、前記酸化触媒を昇温する所定の第1供給量で排気管内直接噴射を行い、第2判定温度を超えた場合には、排気ガスを昇温する所定の第2供給量で排気管内直接噴射を行い、前記NOx吸蔵還元型触媒又は触媒付きDPFの温度を指標する第2指標温度が第3判定温度に達した場合には、NOx再生又はPM強制再生を行う所定の第3供給量で排気管内直接噴射を行うことを特徴とする排気ガス浄化システムの制御方法。
【請求項5】
前記第1判定温度として前記酸化触媒の温度が200℃となる温度を採用し、前記第2判定温度として前記酸化触媒の温度が220℃となる温度を採用すると共に、NOx再生用で前記第3判定温度として前記NOx吸蔵還元型触媒の温度が250℃となる温度を採用するか、又は、PM強制再生用で前記第3判定温度として前記触媒付きDPFの温度が300℃となる温度を採用することを特徴とする請求項4記載の排気ガス浄化システムの制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−275561(P2009−275561A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126390(P2008−126390)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】