説明

接点装置およびスイッチ装置

【課題】アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無く、性能を長期に維持することができる接点装置を提供すること。
【解決手段】本接点装置2は、共に同じ導電型の半導体領域からなる一対の接点領域10,10と、両接点領域10,10間に介在する半導体領域から構成された制御領域12と、上記制御領域12に向けてプラスマイナスの電界を選択的に発生可能に配置された電界発生体6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点装置およびそれをスイッチ本体に備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有接点のスイッチ装置は、一般に、それが備える一対の接点が遮断するときにアーク放電が発生すると、空気中の各種元素による固体化合物であるアーク生成物が接点上に堆積してくるとか、あるいはまた、接点の金属粉が飛散するなど、接点の性能に影響してくるようになる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−303570
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明により解決すべき課題は、アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無く、性能を長期に維持することができる接点装置ならびにこれをスイッチ本体に備えたスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による接点装置は、共に同じ導電型の半導体領域からなる一対の接点領域と、両接点領域間に介在する半導体領域から構成された制御領域と、上記制御領域に対してプラス電界発生側とマイナス電界発生側とを選択的に対向可能に配置された電界発生体と、を備えたことを特徴とするものである。
【0005】
この電界発生体は例えば棒状に構成し、その両端をプラス電界発生側とマイナス電界発生側とし、これらを交互に制御領域に回転等により対向可能としてもよい。
【0006】
本発明の接点装置によると、電界発生体が発生する電界で制御領域の導電型が両接点領域と同じ導電型のとき当該両接点領域が導通状態となり、異なる導電型のとき当該両接点領域が遮断状態となるので、両接点領域が非接触で導通遮断することができ、有接点のごとくアーク放電が無く、アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無い。
【0007】
本発明によるスイッチ装置は、上記接点装置と、上記接点装置内の電界発生体を外部操作するスイッチ本体と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のスイッチ装置では、電界発生体が発生する電界で制御領域の導電型が両接点領域と同じ導電型のとき当該両接点領域が導通状態となり、異なる導電型のとき当該両接点領域が遮断状態となるので、両接点領域が非接触で導通遮断することができ、有接点のごとくアーク放電が無く、アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無い。
【0009】
本発明の好適な一態様は、上記スイッチ本体は、外部操作に合わせて操作音を機械的に発生させる操作音発生部材を備えることである。
【0010】
この操作音発生部材により操作に伴う音が発生するので、スイッチ装置の動作状態を確認することができて好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無く、性能を長期に維持することができる接点装置ならびにこれをスイッチ本体に備えたスイッチ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る接点装置およびそれをスイッチ本体に備えたスイッチ装置を説明すると、図1は、接点装置を示し、図1は接点OFFの状態を示し、図2は接点OFFの状態を示す。この接点装置2は、装置本体4と、電界発生体6と、一対の接点端子8,8と、を備える。
【0013】
装置本体4は、電界効果トランジスタのソース領域とドレイン領域とで共に同じ導電型の半導体領域で構成される一対の接点領域10,10が構成され、両接点領域10,10間に介在するチャネル領域で構成されて当該両接点領域10,10間の導通遮断を制御する制御領域12を構成している。この場合、上記ソース領域とドレイン領域は互いの間隔を空けて導電型がN型の不純物を導入してなる高濃度な導電型がN型の不純物領域で構成され、上記チャネル領域は導電型がP型の半導体基板で構成されている。一対の接点端子8,8は、両接点領域10,10それぞれに個別対応して接続されている。制御領域12上には電界発生体6が配置されている。
【0014】
電界発生体6は、その形状が棒状であり、両端が分極した強誘電体から構成されており、その両端部がプラス電界発生側とマイナス電界発生側となっている。この強誘電体には例えばチタン酸バリウムを例示することができる。
【0015】
電界発生体6はその中心が回転自在に図示略の機構に支持されている。図1の状態では電界発生体6のマイナス電界発生側が制御領域12に非接触で対向しており、図2の状態では電界発生体6のプラス電界発生側が制御領域12に非接触で対向している。
【0016】
図1で示すように電界発生体6のマイナス電界発生側が制御領域12に対向しているときは制御領域12表面が接点領域10,10と同じ導電型であるP型に帯電する結果、両接点領域10,10はこの制御領域12を通じて導通状態となり、これによって、一対の接点端子8,8間は電気的に導通すなわち接点ON状態となる。
【0017】
図2で示すように電界発生体6のプラス電界発生側が制御領域12に対向しているときは制御領域12表面が接点領域10,10とは異なる導電型であるN型に帯電する結果、両接点領域10,10はこの制御領域12により遮断状態となり、これによって、一対の接点端子8,8間は電気的に遮断すなわち接点OFF状態となる。
【0018】
以上説明した実施の形態の接点装置2では、両接点領域10,10が非接触で導通遮断することができ、有接点のごとくアーク放電が無く、アーク生成物や接点金属粉の飛散等が無い。
【0019】
図3ないし図8を参照して上記接点装置2をスイッチ本体20に組み込んだスイッチ装置22を説明する。図3ないし図5においては接点OFF状態を示し、図6ないし図8は接点ON状態を示す。図3、図6はスイッチ本体の正面側の断面構成を示し、図4、図7はそれぞれA−A線、B−B線に沿う断面構成を示し、図5、図8はそれぞれ要部を拡大して示す。
【0020】
まず図3ないし図5を参照して、スイッチ本体20は、スイッチケース24と、操作レバー26と、復帰ばね28と、回転部材30と、上記接点装置2と、端子台32と、を備える。
【0021】
操作レバー26は、L形状に屈曲し、その屈曲部26aをスイッチケース24内部に揺動支点として回転自在に支持されている。この操作レバー26の揺動支点である屈曲部26aの外周面は半円弧状になっていてギヤ部26bが形成されている。操作レバー26の一端側はスイッチケース24外に突出して操作部26cを構成しており、作業者等によりその操作部26cを押されると復帰ばね28に抗して時計回り方向に揺動回転可能であり、その操作部26cの操作が解除されると復帰ばね28により反時計回り方向に揺動回転しスイッチケース24外に突出した位置に復帰可能になっている。
【0022】
回転部材30はスイッチケース24内部に回転自在に支持されていると共にその外周面に上記操作レバー26のギヤ部26bに噛合するギヤ部30aを備えている。そして操作レバー26が時計回り方向に回転すると、両ギヤ部26b,30aの噛合により、反時計回り方向に回転駆動され、操作レバー26が反時計回り方向に回転すると、両ギヤ部26b,30aの噛合により、時計回り方向に回転駆動されるようになっている。両ギヤ部26b,30aは、操作レバー26の操作に合わせて機械音を発生する操作音発生部材を構成する。この操作音は実施の形態ではギヤ部26b,30a同士の噛合音であるが、これに限定されず、適宜の操作音でよい。
【0023】
接点装置2の電界発生体6は、その中心部が回転部材30の回転軸30bに装着されていて、回転部材30の回転と共に電界発生体6が回転することができるようになっている。また、接点装置2の装置本体4は、その制御領域12が電界発生体6と相対向するようにスイッチケース24上に設けた端子台32上に固定されている。端子台32には接点装置2からの2つの端子8,8が接続されている。また、端子台32はスイッチケース24外に臨み、図示略の電源や装置等からの端子が接続可能になっている。
【0024】
以上の構成において、図3ないし図5では、操作レバー26は操作されておらずスイッチケース24外にその操作部26cが突出しており、また、接点装置2の電界発生体6はそのマイナス電界発生側が装置本体4の制御領域12上に対向しており、制御領域12は電界発生体6のマイナス電界発生側からのマイナス電界によってP導電型になり、これによって接点装置2の両接点領域10,10は電気的に遮断状態すなわち接点OFF状態にある。この接点OFF状態では端子台32に接続されている図示略の電源装置や他の各種装置からの一対の端子8,8間に電源や信号等を供給することができない。
【0025】
そして、操作レバー26が図6ないし図8の位置まで操作されると、操作レバー26のギヤ部26bと回転部材30のギヤ部30aとの噛合により当該回転部材30が180度回転駆動される結果、電界発生体6も同180度回転駆動され、これによって、電界発生体6のプラス電界発生側が接点装置2の装置本体4の制御領域12上に対向した位置に到達する結果、制御領域12は電界発生体6のプラス電界発生側からのプラス電界によりN導電型になって、これと同じN導電型である両接点領域10,10は制御領域12を通じて導通し、接点ON状態となる。この接点ON状態では端子台32に接続されている図示略の電源装置や他の各種装置からの一対の端子8,8間に電源や信号等を供給することができる。
【0026】
図9および図10を参照して本発明の他の実施の形態に係る接点装置を説明する。図1、図2の接点装置2では、両接点領域10,10には直流電源を接続することができるが、交流電源を接続した場合では、半波整流されてしまう。そこで、図9、図10では交流電源を半波整流されることなくスイッチ制御することができる接点装置40を提供するものである。
【0027】
すなわち、この実施の形態の接点装置40は、ゲート電極が無い一対の電界効果トランジスタ42,44と、両電界効果トランジスタ42,44それぞれの寄生ダイオード46,48と、電界発生体である電界発生体6と、を備える。一方の電界効果トランジスタ42はnチャネルであり、導電型がN導電型であるN型半導体基板に、両接点領域が、互いの間隔を空けて導電型がP型の不純物を導入してなる高濃度な導電型がP型の不純物領域で構成されている。両接点領域間には当該両接点領域の導電型とは異なる導電型であるN型の制御領域が露出している。他方の電界効果トランジスタ44はpチャネルであり、図1、図2で示す構成のものであり、その説明は上述したから、その断面構成は略する。また、電界効果トランジスタ42の断面構成の図示も略する。
【0028】
そして、両電界効果トランジスタ42,44はそれぞれのソースが共通に接続されていると共に、それぞれの制御領域上に電界発生体である電界発生体6のプラス電界発生側とマイナス電界発生側とが図9と図10の状態に切り替えて対向することを可能にしたものである。
【0029】
以上の構成において、図9の状態では電界発生体6のプラス電界発生側がnチャネル電界効果トランジスタ42のチャネル領域である制御領域に対向し、マイナス電界発生側がpチャネル電界効果トランジスタ44のチャネル領域である制御領域に対向している結果、両電界効果トランジスタ42,44はOFFし、この接点装置40は接点OFF状態となる。また、図10の状態では電界発生体6のマイナス電界発生側がnチャネル電界効果トランジスタ42のチャネル領域である制御領域に対向し、プラス電界発生側がpチャネル電界効果トランジスタ44のチャネル領域である制御領域に対向している結果、両電界効果トランジスタ42,44はONし、この接点装置40は接点ON状態となる。そのため、両電界効果トランジスタ42,44のドレインに接続される電源としては交流電源を接続することができるようになり、交流スイッチ装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る接点装置の接点OFF状態での断面構成を示す図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係る接点装置の接点ON状態での断面構成を示す図である。
【図3】図3は接点装置をスイッチ本体に組み込んだスイッチ装置の正面構成を示すもので接点装置がOFF状態にある図である。
【図4】図4は図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図5は図4の要部を拡大して示す図である。
【図6】図6は接点装置をスイッチ本体に組み込んだスイッチ装置の正面構成を示すもので接点装置がON状態にある図である。
【図7】図7は図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】図8は図7の要部を拡大して示す図である。
【図9】図9は本発明の他の実施の形態に係る接点装置の構成を回路構成で示すもので接点ON状態を示す図である。
【図10】図10は図9の接点装置の構成を回路構成で示すもので接点OFF状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
2 接点装置
4 装置本体
6 電界発生体
8 接点端子
10 接点領域
12 制御領域
22 スイッチ装置
24 スイッチ本体
26 操作レバー
28 復帰ばね
30 回転部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共に同じ導電型の半導体領域からなる一対の接点領域と、
両接点領域間に介在する、半導体領域から構成された制御領域と、
上記制御領域に対してプラス電界発生側とマイナス電界発生側とを選択的に対向可能に配置された電界発生体と、
を備える、ことを特徴とする接点装置。
【請求項2】
電界効果トランジスタのソース領域とドレイン領域とで上記接点領域を構成し、上記電界効果トランジスタのチャネル領域で上記制御領域を構成し、このチャネル領域上のゲートとして上記電界発生体を配置した、ことを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
【請求項3】
上記電界効果トランジスタをnチャネル型とpチャネル型との少なくとも2つ備え、両電界効果トランジスタのソース領域を共通に接続すると共に、上記電界発生体の発生電界を両電界効果トランジスタのチャネル領域間で交互に切り替えて発生可能とした、ことを特徴とする請求項2に記載の接点装置。
【請求項4】
上記電界発生体が、分極した強誘電体から構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の接点装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の接点装置と、上記接点装置内の電界発生体を外部操作するスイッチ本体と、を備えたスイッチ装置。
【請求項6】
上記スイッチ本体は、外部操作に合わせて操作音を機械的に発生させる操作音発生部材を備えた、ことを特徴とする請求項5に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−226612(P2008−226612A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62364(P2007−62364)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】