説明

搬送装置の制御方法、及び搬送装置

【課題】 複数の搬送モータを備え、過負荷が発生しても停止せず、搬送時間が長くならず、大型化が不要な非接触給電部を備えた搬送装置の制御方法の提供。
【解決手段】 交流電流が供給される給電線40から、非接触で交流電流の周波数に共振して受電した電力を供給する非接触給電部41と、非接触給電部41から電力を供給される複数のモータ34,36と、非接触給電部41が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段30,32とを備え、モータ34.36の各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、物品を載置した位置から指示された位置迄搬送する搬送装置の制御方法。移動開始時に各方向への移動終了迄の各所要時間を算出し、判定手段30,32が過負荷状態であると判定する都度、算出した各所要時間の長短を判定し、短い方と判定した方向を分担するモータ34、36の出力を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫等に使用され、交流電流が供給される給電線から、非接触で交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する非接触給電部と、非接触給電部から電力を供給される複数のモータとを備え、複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、物品を載置した位置から指示された位置迄搬送するように構成してある搬送装置の制御方法、及び搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫内の搬送装置等に使用され、受電部がエリア内に敷設された給電線から非接触で受電する非接触給電部を備えた搬送装置は、本願出願人等が提案し既に実用化されている。
特許文献1には、過負荷が加わることにより回路素子が破壊されることを回避することができる給電装置、搬送車及び搬送システムが開示されている。
特許文献2には、過負荷等により電圧降下が生じた場合でも、速やかにこれを是正することにより移動体の動作を継続させることができる非接触式給電システムを用いた移動装置の制御方法及び移動装置が開示されている。
特許文献3には、固定導体が配設されている径路に沿って移動中の又は停止している複数の車両の若干又はその全てに誘導電力を配電する誘導電力分配システムが開示されている。
【0003】
特許文献4には、広い設置スペースを必要とせず、棚への入庫時に方向性を要求されるワークを、ワーク搬送装置と棚への移載機との間で向きを変えて能率よく受け渡しを行うことのできるワーク中継装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3505618号公報
【特許文献2】特開平11−18204号公報
【特許文献3】特許第2667054号公報
【特許文献4】特許第2918811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非接触給電部を備えた搬送装置では、ピックアップ又は受電回路の容量により定まる受電側の供給電力には限度がある。その為、従来は、受電側の搬送装置で多数の搬送モータが同時に駆動する場合は、受電側の供給可能電力を超え、過負荷が発生すると、ピックアップ又は受電回路を過負荷から保護する為に、電力供給を停止していた(特許文献1)。また、過負荷が生じる前に、モータによる移動速度を下げて、過負荷の発生を防止していた(特許文献2,3)
【0005】
しかし、電力供給が停止されると、当然ながら、搬送装置が停止し、搬送できなくなると共に、再起動させる手間が発生するという問題がある。また、複数の搬送モータの速度を一様に下げると、搬送時間が長くなるという問題がある。
また、過負荷が発生しないように、ピックアップ及び受電回路の容量を大きくすると、平均電力の約2倍以上の供給能力が必要となって大型化し、給電線に電力を供給する高周波電源の容量も大きくする必要があり大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、第1,2発明では、複数の搬送モータを備え、過負荷が発生しても停止せず、搬送時間が長くならず、また、大型化する必要もない非接触給電部を備えた搬送装置の制御方法を提供することを目的とする。
第3,4発明では、複数の搬送モータを備え、過負荷が発生しても停止せず、搬送時間が長くならず、また、大型化する必要もない非接触給電部を備えた搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る搬送装置の制御方法は、交流電流が供給される給電線から、非接触で前記交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する非接触給電部と、該非接触給電部から電力を供給される複数のモータと、前記非接触給電部が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、該物品を載置した位置から指示された位置迄搬送するように構成してある搬送装置の制御方法において、移動開始時に前記各方向への移動終了迄の各所要時間を算出し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、算出した前記各所要時間の長短を判定し、短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減することを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る搬送装置の制御方法は、前記出力を低減する都度、低減した出力の方向の移動開始から移動終了迄の所要時間を算出し直して更新し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、所要時間の長短を判定し、短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る搬送装置は、交流電流が供給される給電線から、非接触で前記交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する非接触給電部と、該非接触給電部から電力を供給される複数のモータと、前記非接触給電部が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、該物品を載置した位置から指示された位置迄搬送するように構成してある搬送装置において、移動開始時に前記各方向への移動終了迄の各所要時間を算出する算出手段と、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、前記算出手段が算出した所要時間の長短を判定する長短判定手段と、該長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減する低減手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第1発明に係る搬送装置の制御方法及び第3発明に係る搬送装置では、非接触給電部が、交流電流が供給される給電線から、非接触で交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する。複数のモータが、非接触給電部から電力を供給され、判定手段が、非接触給電部が過負荷状態であるか否かを判定し、複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、物品を載置した位置から指示された位置迄搬送する。算出手段が、移動開始時に複数のモータの分担する各方向への移動終了迄の各所要時間を算出し、長短判定手段が、判定手段が過負荷状態であると判定する都度、算出手段が算出した所要時間の長短を判定する。低減手段は、長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減する。
【0011】
第4発明に係る搬送装置は、前記低減手段が出力を低減する都度、前記算出手段は、低減した出力の方向の移動開始から移動終了迄の所要時間を算出し直して更新し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、前記長短判定手段が所要時間の長短を判定し、該長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を、前記低減手段が低減するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第2発明に係る搬送装置の制御方法及び第4発明に係る搬送装置では、算出手段が、低減手段が出力を低減する都度、低減した出力の方向の移動開始から移動終了迄の所要時間を算出し直して更新する。長短判定手段が、判定手段が過負荷状態であると判定する都度、所要時間の長短を判定し、低減手段は、長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減する。
【発明の効果】
【0013】
第1,2発明に係る搬送装置の制御方法によれば、複数の搬送モータを備え、過負荷が発生しても停止せず、搬送時間が長くならず、また、大型化する必要もない非接触給電部を備えた搬送装置の制御方法を実現することができる。
【0014】
第3,4発明に係る搬送装置によれば、複数の搬送モータを備え、過負荷が発生しても停止せず、搬送時間が長くならず、また、大型化する必要もない非接触給電部を備えた搬送装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を、その実施の形態を示す図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る搬送装置の制御方法及び搬送装置の実施の形態1が適用される移載機が設置された自動倉庫を示す横断面図であり、図2は、図1のF−F線方向から見た自動倉庫の縦断面図である。この自動倉庫では、ワーク搬送装置4が、棚2の近傍位置迄ワークWを搬入し、棚2の近傍位置から、ワークWを搬出する。移載機3が、対向して配置された一対の多段の棚2,2間に沿って走行し、各棚2に対してワーク(製品、物品)Wの出入庫を行う。ワーク中継装置1が、移載機3とワーク搬送装置4との間でワークWの受け渡しを行う。
【0016】
ワーク中継装置1は、その受け渡しを行う為に、各棚2の一端側に形成された切り欠きスペース部2Aに配置されている。また、水平面内で屈曲回動を行う図示しない多関節アームと、この多関節アームの先端部に固定され、ワークWを載置するワーク載置部とを備えている。
ワーク搬送装置4は、棚2が配置されている建物の天井に設置されている案内レールに沿って走行する天井自走車5と、天井自走車5とワーク中継装置1との間でワークWを受け渡すワーク横行装置6とを備えており、ワーク搬送装置4は、ワークWを吊り下げて搬送する構造になっている。
【0017】
また、ワーク横行装置6は、昇降動作と横行動作とを行うワークWの載置台6Aを有し、天井自走車5とのワークWの受け渡し位置と、ワーク中継装置1との受け渡し位置との間で移動できるように構成されている。
移載機3は、対向する一対の棚2のそれぞれの前面に沿って敷設された図示しないレール上を走行する走行駆動部19と、走行駆動部19に立設された支柱20に沿って昇降する昇降フレーム21とを備えている。走行駆動部19は、走行用のモータ34(搬送モータ)と、昇降用のモータ36(搬送モータ)とを内蔵しており、モータ34に駆動される図示しない4つの車輪が、前記レール上を転動することにより走行する。昇降フレーム21は、モータ36に駆動される図示しないチェイン機構により昇降する。
【0018】
モータ34,36及びこれらの制御部30は、非接触給電部41から給電され、非接触給電部41は、前記レールに沿って敷設された給電線40から非接触給電される(図3参照)。
昇降フレーム21の上面には、水平面内で屈曲回動を行う多関節アーム22が配置され、多関節アーム22の先端には、ワークWを支持する支持アーム23が設けられている。
【0019】
このような構成の自動倉庫では、棚2へ入庫されるワークWは、天井自走車5に吊り下げられた状態で、ワーク横行装置6との受け渡し位置へ運ばれて来る。この受け渡し位置では、ワーク横行装置6は、載置台6Aが上昇し、天井自走車5からワークWを受け取る。ワーク横行装置6は、ワークWを受け取った後、ワーク中継装置1との受け渡し位置迄走行する。
ワーク中継装置1は、受け渡し位置に待機しており、ワーク横行装置6の載置台6Aが下降することにより、ワークWをワーク中継装置1のワーク載置部へ渡す。ワーク中継装置1は、ワークWをワーク横行装置6から受け取ると、多関節アームを回動させて、ワーク載置部を移載機3との受け渡し位置へ移動させる。
【0020】
移載機3の多関節アーム22先端に設けられている支持アーム23は、受け渡し位置に待機しており、ワーク中継装置1のワーク載置部からワークWを受け取ると、走行駆動部19で外部から指示された棚2の収納位置迄、所定の加速度及び定速度で走行する。また、昇降フレーム21を支柱20に沿って所定の加速度及び定速度で棚2の支持された位置迄昇降させ、ワークWを指示された位置に収納する。外部からの指示は、無線通信又は有線通信等により制御部30に与えられる。尚、出庫動作は、上述した入庫動作と逆の手順で行う。
【0021】
図3は、移載機3が備える走行用のモータ34及び昇降用のモータ36に給電する非接触給電部41と、これらの制御部30との構成例を示すブロック図である。
この非接触給電部41は、高周波定電流を供給される給電線40に沿って、非接触で自在に移動出来るように設けられたピックアップ共振回路部37と、ピックアップ共振回路部37が給電線40から受電した電力を高周波定電圧に変換するインピーダンス変換回路部38と、インピーダンス変換回路部38が変換した高周波定電圧を整流するダイオードブリッジ31、及びダイオードブリッジ31の出力を平滑する平滑コンデンサC4を有する整流・平滑回路部39とを備えている。平滑コンデンサC4には抵抗Rが並列に接続されている。
【0022】
平滑コンデンサC4が平滑した直流電力は、走行用のモータ34を駆動するモータドライバ33、昇降用のモータ36を駆動するモータドライバ35、及びモータドライバ33,35を制御する制御部30に与えられる。平滑コンデンサC4の陽極側には、非接触給電部41に流れる電流を検出する電流検出器32が設けられ、電流検出器32の検出値は制御部30に与えられる。
【0023】
ピックアップ共振回路部37は、給電線40に通流する高周波定電流に共振して受電するピックアップコイルL1及びコンデンサC1を備える並列共振回路である。
インピーダンス変換回路部38は、2つの並列接続されたコンデンサC2,C3間にリアクトルL2が接続されたπ型のイミタンス変換回路(インピーダンス変換回路)である。
尚、ピックアップ共振回路部37は、直列共振回路であっても良く、その場合は、インピーダンス変換回路は不要である。
【0024】
以下に、このような構成の非接触給電部41の動作を説明する。
給電線40に通流する高周波定電流は、非接触給電部41により非接触状態で電磁誘導により受電される。
非接触給電部41は、ピックアップ共振回路部37が、給電線40から受電した電力を、並列共振することにより、高周波定電流に変換する。インピーダンス変換回路部38は、ピックアップ共振回路部37が変換した高周波定電流を、インピーダンス変換することにより、高周波定電圧に変換する。ピックアップ共振回路部37が変換した高周波定電圧は、整流・平滑回路部39により整流・平滑され、整流・平滑された直流電力は、モータドライバ33,35及び制御部30に与えられる。
【0025】
制御部30は、外部からの無線通信又は有線通信によるワークWの収納位置の指示に基づき、モータドライバ33により走行用のモータ34を駆動して、所定の加速度及び定速度で、走行駆動部19を指示された収納位置の水平方向位置迄走行させる。また、モータドライバ35により昇降用のモータ36を駆動して、所定の加速度及び定速度で、昇降フレーム21を指示された収納位置の鉛直方向位置迄昇降させる。
制御部30は、外部からワークWの収納位置の指示を受けたときに、走行駆動部19が収納位置の水平方向位置迄移動する所用時間である走行時間、及び昇降フレーム21が収納位置の鉛直方向位置迄移動する所要時間である昇降時間を算出しておく。
【0026】
以下に、制御部30がモータ34,36を駆動制御する際の加速度を制御する動作を、それを示す図4のフローチャートを参照しながら説明する。
制御部30は、先ず、電流検出器32が検出した電流値を読み込み(S2)、次いで、読み込んだ電流値が、過負荷状態を示す閾値である許容値以上であるか否かを判定し(S4)、許容値以上でなければリターンする。
制御部30は、読み込んだ電流値が、許容値以上であれば(S4)、過負荷状態であるとして、走行時間及び昇降時間の長短を判定し(S6)、走行時間の方が短ければ、又は等しければ、走行加速度を所定値低減して(S8)リターンする。昇降時間の方が短ければ、昇降加速度を所定値低減して(S10)リターンする。
【0027】
例えば、走行駆動部19が収納位置の水平方向位置迄移動する際の速度を示すタイミングチャートを図5(a)、その際のモータドライバ33の出力を示すタイミングチャートを図5(b)とする。また、昇降フレーム21が収納位置の鉛直方向位置迄移動する際の速度を示すタイミングチャートを図5(c)、その際のモータドライバ35の出力を示すタイミングチャートを図5(d)とする。
走行駆動部19の走行時間はt1であり、昇降フレーム21の昇降時間はt2であり、t1∠t2となっている。
【0028】
走行駆動部19の走行加速度及び走行速度は各一定であり、モータドライバ33の出力は、加速時は増加率が一定であり(B)、定速走行時は一定である。走行駆動部19の走行距離は、図5(a)のタイミングチャートの面積となる。
昇降フレーム21の昇降加速度及び昇降速度は各一定であり、モータドライバ35の出力は、加速時は増加率が一定であり(C)、定速昇降時は一定である。昇降フレーム21の昇降距離は、図5(c)のタイミングチャートの面積となる。
モータドライバ33,35の出力が増加し、過負荷になる可能性があるのは、加速時のみであり、過負荷になるのを防止する為には、加速度を低減すれば良い。尚、出力がマイナスになる(D,E)のは、モータ34,36の制動時に回生電力が発生している為である。
【0029】
ここで、制御部30が、読み込んだ電流値が許容値以上であると判定したときは(S4)、図6(b)に示すモータドライバ33,35の加算出力が、出力許容値に達しているときであり、過負荷状態に達しているときである。
このとき、走行時間t1∠昇降時間t2であるから、制御部30は、走行加速度を低減するように、モータドライバ33の出力を低減させる。走行加速度を低減する期間は、昇降速度が所定速度に達し、昇降加速度が0になる迄とし、その後は、低減以前の走行加速度に復帰させる。
【0030】
その結果、走行駆動部19が収納位置の水平方向位置迄移動する際の速度を示すタイミングチャートは、図6(a)に示すように変化し、走行速度が所定値に達すれば、出力は一定に制御される。この場合、走行時間は若干延長されるが、昇降時間を超えることはなく、全体として、支持アーム23に支持されたワークWの収納位置への搬送時間(ここでは昇降時間となる)は延長されない。
【0031】
尚、本実施の形態では、電流検出器32が検出した電流値が許容値以上であるか否かで過負荷状態であるか否かを判定しているが、電流検出器32に代えて、整流・平滑回路部39の出力電圧を検出する電圧検出器を設けても良い。その場合、単相交流定電圧を整流・平滑する非接触給電装置においては、整流・平滑回路部39の出力電圧は、負荷に対して垂下特性を有するから、電圧検出器が検出した電圧値が、過負荷状態を示す閾値である許容値以下であるか否かを判定し、許容値以下であれば過負荷状態とする。また、ピックアップ共振回路部37のピックアップコイルL1又はコンデンサC1の両端電圧で過負荷状態であるか否かを判定しても良い。
【0032】
(実施の形態2)
図7は、本発明に係る搬送装置の制御方法及び搬送装置の実施の形態2が適用される移載機の制御部がモータを駆動制御する際の加速度を制御する動作を示すフローチャートである。本実施の形態2の移載機及び移載機が設置された自動倉庫の構成は、実施の形態1で説明した移載機及び自動倉庫の構成と同様であるので、説明を省略する。
制御部30は、先ず、電流検出器32が検出した電流値を読み込み(S20)、次いで、読み込んだ電流値が、過負荷状態を示す閾値である許容値以上であるか否かを判定し(S22)、許容値以上でなければリターンする。
【0033】
制御部30は、読み込んだ電流値が、許容値以上であれば(S22)、過負荷状態であるとして、走行時間及び昇降時間の長短を判定し(S24)、昇降時間が走行時間以上であれば、走行加速度を所定値低減する(S26)。次いで、その低減した走行加速度による走行時間を算出して更新し(S28)リターンする。
制御部30は、昇降時間が走行時間以上でなければ(S24)、昇降加速度を所定値低減し(S30)、その低減した昇降加速度による昇降時間を算出して更新し(S32)リターンする。
【0034】
制御部30は、以後、読み込んだ電流値(S20)が、許容値以上であれば(S22)、走行時間及び昇降時間の短い方の走行加速度又は昇降加速度を所定値低減し、次いで、その低減した加速度による走行時間又は昇降時間を算出して更新しリターンする。これにより、サンプリング周期毎に、負荷を低減制御できるので、加速時のモータドライバ33,35の加算出力を許容値付近に維持することが可能となり、必要以上に加速度を低減することがなくなる。その他の動作は、実施の形態1で説明した移載機及び自動倉庫の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
尚、実施の形態1,2では、走行用及び昇降用の2つのモータを備えている場合について説明したが、モータが3つ以上の場合でも、同様に実施することが可能である。その場合、所要時間が最も長い方向を分担するモータ以外のモータの加速度又は出力トルクを低減すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る搬送装置の制御方法及び搬送装置の実施の形態が適用される移載機が設置された自動倉庫を示す横断面図である。
【図2】図1のF−F線方向から見た自動倉庫の縦断面図である。
【図3】移載機が備える走行用のモータ及び昇降用のモータに給電する非接触給電部と、これらの制御部との構成例を示すブロック図である。
【図4】制御部がモータを駆動制御する際の加速度を制御する動作例を示すフローチャートである。
【図5】移載機の動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】移載機の動作例を示すタイミングチャートである。
【図7】制御部がモータを駆動制御する際の加速度を制御する他の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
2 棚
3 移載機
19 走行駆動部
20 支柱
21 昇降フレーム
22 多関節アーム
23 支持アーム
30 制御部
32 電流検出器
33、35 モータドライバ
34,36 モータ(搬送モータ)
37 ピックアップ共振回路部
38 インピーダンス変換回路部
39 整流・平滑回路部
40 給電線
41 非接触給電部
W ワーク(製品、物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流が供給される給電線から、非接触で前記交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する非接触給電部と、該非接触給電部から電力を供給される複数のモータと、前記非接触給電部が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、該物品を載置した位置から指示された位置迄搬送するように構成してある搬送装置の制御方法において、
移動開始時に前記各方向への移動終了迄の各所要時間を算出し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、算出した前記各所要時間の長短を判定し、短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減することを特徴とする搬送装置の制御方法。
【請求項2】
前記出力を低減する都度、低減した出力の方向の移動開始から移動終了迄の所要時間を算出し直して更新し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、所要時間の長短を判定し、短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減する請求項1記載の搬送装置の制御方法。
【請求項3】
交流電流が供給される給電線から、非接触で前記交流電流の周波数に共振して受電し、受電した電力を供給する非接触給電部と、該非接触給電部から電力を供給される複数のモータと、前記非接触給電部が過負荷状態であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記複数のモータの各出力で分担する各方向へ物品を移動させることにより、該物品を載置した位置から指示された位置迄搬送するように構成してある搬送装置において、
移動開始時に前記各方向への移動終了迄の各所要時間を算出する算出手段と、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、前記算出手段が算出した所要時間の長短を判定する長短判定手段と、該長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を低減する低減手段とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
前記低減手段が出力を低減する都度、前記算出手段は、低減した出力の方向の移動開始から移動終了迄の所要時間を算出し直して更新し、前記判定手段が過負荷状態であると判定する都度、前記長短判定手段が所要時間の長短を判定し、該長短判定手段が短い方と判定した方向を分担するモータの出力を、前記低減手段が低減するように構成してある請求項3記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−353043(P2006−353043A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178389(P2005−178389)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】