説明

携帯型電子機器

【課題】簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】携帯型電子機器1は、載置面Sに置かれる第1のユニット2と、第1のユニット2に開閉可能に連結された第2のユニット3と、第2のユニット3に搭載されたプロジェクタモジュール30と、第2のユニット3に搭載され、第2のユニット3の傾き角度αを検出する傾きセンサ51とを具備する。プロジェクタモジュール30は、傾きセンサ51が検出する第2のユニット3の傾き角度αに基づいて投影する映像の台形歪みを補正する映像処理部32を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ機能を備えた携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ機能を備えた携帯型電子機器が提供されている。特許文献1には、表示部に画像投影部を備えた携帯電話機が開示されている。この携帯電話機は、通信ネットワークを介して情報を受信したときに、その情報の着信を通知する着信通知画像を利用者が視認可能な投影面に投影する。
【0003】
特許文献2には、表示部にプロジェクタを備えた携帯電話機が開示されている。この携帯電話機では、プロジェクタの投影レンズをカメラ部の撮影レンズと兼用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−289401号公報
【特許文献2】特開2008−158093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば携帯電話機の表示部にプロジェクタを設けると、表示部の姿勢によって投影面に映る映像は台形状に歪んでしまう。このような歪んだ映像は見づらいため、ユーザーの利便性が高くない。
【0006】
ここで、例えば携帯電話機のような携帯型電子機器は、小型化および軽量化がさらに要望されている。そのため上記携帯型電子機器は、なるべく簡単な構造で実現され、実装部品の数を減らすことが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの形態に係る携帯型電子機器は、載置面に置かれる第1のユニットと、前記第1のユニットに開閉可能に連結された第2のユニットと、前記第2のユニットに搭載されたプロジェクタモジュールと、前記第2のユニットに搭載され、前記第2のユニットの傾き角度を検出する傾きセンサとを具備する。前記プロジェクタモジュールは、前記傾きセンサが検出する前記第2のユニットの傾き角度に基づいて投影する映像の台形歪みを補正する映像処理部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機のシステム構成図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の台形補正を示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機の側面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機のシステム構成図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機の本体部の平面図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機の台形補正を示す図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る携帯電話機の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、プロジェクタ機能を備えた携帯電話機に適用した図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図4は、本発明の第1の実施形態に係る携帯型電子機器としての携帯電話機1を開示している。図1に示すように、携帯電話機1は、本体部(本体ユニット)2、表示部(表示ユニット)3、およびヒンジ部4を有する。本体部2は、本発明でいう第1のユニットの一例である。表示部3は、本発明でいう第2のユニットの一例である。
【0012】
ヒンジ部4は、本体部2と表示部3との間に設けられ、表示部3を本体部2に回動可能に連結している。すなわち、表示部3は、ヒンジ部4を介して本体部2に開閉可能に連結されている。携帯電話機1は、表示部3が本体部2に重なるように2つ折りに折り畳まれた第1の姿勢と、表示部3が本体部2に対して開かれた第2の姿勢との間で開閉可能である。
【0013】
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体5を備えている。筐体5は、本体部2の外壁を形成する第1の部分6と、表示部3の外壁を形成する第2の部分15とを含む。すなわち、筐体5は、ヒンジ部4を介して互いに開閉可能に連結された第1および第2の部分6,15を有し、2つ折りに折り畳み可能になっている。
【0014】
図1に示すように、本体部2は、載置面S(例えば机上)に置かれる部分である。本体部2は、筐体5の第1の部分6と、キー入力部7とを備えている。筐体5の第1の部分6は、例えば扁平な略直方体状の箱形をしている。
【0015】
筐体5の第1の部分6は、上面部11、周面部12、および底面部13(下面部)を備えている。底面部13は、携帯電話機1を載置面Sの上に置いた時に、載置面Sに向かい合う面である。底面部13は、載置面Sと平行になるように広がっている。上面部11は、底面部13との間に空間を空けて、底面部13と略平行に広がっている。周面部12は、底面部13に対して起立しており、底面部13の周縁部と上面部11の周縁部との間を繋いでいる。
【0016】
キー入力部7は、筐体5の第1の部分6の上面部11に設けられている。このため、キー入力部7は、携帯電話機1が載置面Sの上に置かれた状態で、携帯電話機1の上面に露出される。ユーザーは、携帯電話機1を載置面Sの上に置いた状態で、キー入力部7を操作することができる。
【0017】
図1および図2に示すように、表示部3は、上述の筐体5の第2の部分15と、表示装置16とを備えている。筐体5の第2の部分15は、例えば扁平な略直方体状の箱形をしている。
【0018】
筐体5の第2の部分15は、前面部17、周面部18、および背面部19を備えている。前面部17は、携帯電話機1が折り畳まれた姿勢で、筐体5の第1の部分6の上面部11に向かい合う面である。背面部19は、前面部17と略平行に広がっている。周面部18は、前面部17に対して起立しており、前面部17の周縁部と背面部19の周縁部との間を繋いでいる。
【0019】
表示装置16は、表示部3に搭載され、筐体5の第2の部分15内に収容されている。表示装置16は、表示画面16aを有する。筐体5の第2の部分15の前面部17は、上記表示画面16aを筐体5の第2の部分15の外部に露出させる開口部17aを有している。
【0020】
図3に示すように、携帯電話機1は、制御部21、無線通信部22、ワンセグチューナー23、レンズ24、カメラ25、上述のキー入力部7、音声信号処理部26、マイク27、スピーカ28、メモリ29、上述の表示装置16、および、プロジェクタモジュール30を備えている。ここで図3中の矢印は、信号の流れを示している。
【0021】
なお、制御部21、無線通信部22、ワンセグチューナー23、レンズ24、カメラ25、キー入力部7、音声信号処理部26、マイク27、スピーカ28、メモリ29、表示装置16については、一般的な携帯電話機のそれらと同様の機能および構成を有するので、ここでの詳しい説明は省略する。以下、プロジェクタモジュール30について詳しく説明する。
【0022】
図2に示すように、プロジェクタモジュール30は、表示部3に搭載されている。プロジェクタモジュール30は、例えば筐体5の第2の部分15内に収容されている。図3に示すように、プロジェクタモジュール30は、映像処理部32、LED部33、ライトバルブ部34、および、投射レンズ35を備えている。
【0023】
上記制御部21は、携帯電話機1の各部から入力される信号に基づいて、プロジェクタモジュール30の動作を制御する。制御部21は、プロジェクタモジュール30から投影する映像の映像データを映像処理部32に送る。
【0024】
映像処理部32は、制御部21から映像データを受け取り、この映像データに基づいてLED部33およびライトバルブ部34を駆動する駆動信号を生成する。LED部33は、光源であり、例えばRGBに対応した3つのLEDを含んでいる。LED部33は、映像処理部32から受け取った駆動信号に基づいて光を照射する。
【0025】
ライトバルブ部34は、LED部33からの光を変調する。投射レンズ35は、筐体5の第2の部分15の背面部19に設けられた図示しない開口部に向かい合っている。図2に示すように、ライトバルブ部34で変調された光は、投射レンズ35によって拡大され、投影面Pに投影される。なお本実施形態では、ライトバルブ方式のプロジェクタモジュール30を採用したが、これに代えて、他の方式によるプロジェクタモジュールを採用してもよい。
【0026】
図2に示すように、筐体5の第2の部分15は、ヒンジ部4に繋がった第1の端部41と、この第1の端部41とは反対側となる第2の端部42とを有する。プロジェクタモジュール30は、例えば筐体5の第2の部分15の第2の端部42に配置されている。第2の端部42は、表示部3を本体部2に対して立て起こしたときに、載置面Sから比較的大きく離れる。
【0027】
図2に示すように、投射レンズ35の光軸Lは、筐体5の第2の部分15の背面部19(搭載面)に対して直交する方向に向いている。プロジェクタモジュール30は、投射レンズ35の中心部を使用して映像を投影する。
【0028】
図2に示すように、表示部3を本体部2に対して回動させることで、プロジェクタモジュール30の映像の投影方向を自由に変更することができる。ここで、図2に示すように、投影面Pに対して下方から上向きに映像を投影すると、図4中の(a)に示すように上辺が長く下辺が短い台形状に映像が歪む。すなわち、映像にいわゆる台形歪みが生じる。同様に、投影面Pに対して上方から下向きに映像を投影すると、図4中の(b)に示すように上辺が短く下辺が長くなる台形歪みが生じる。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、表示部3(すなわち折り畳み式の携帯型電子機器において投射レンズ35がある方のユニット)に、傾きセンサ51(角度センサ)が搭載されている。傾きセンサ51は、例えば加速度センサであり、載置面Sに対する表示部3の傾き角度αを検出する。図3に示すように、傾きセンサ51は、表示部3の傾き角度αの検出結果を映像処理部32に送る。
【0030】
本実施形態に係る映像処理部32は、傾きセンサ51が検出する表示部3の傾き角度αに基づいて投影する映像の台形歪みを補正する(いわゆる台形補正を行う)。詳しく述べると、映像処理部32は、台形歪みを打ち消すように予め逆方向に歪ませた映像の信号を生成し、この信号に基づいてLED部33およびライトバルブ部34を駆動させる。これにより、図4中の(r)に示すような歪みが無い長方形状の映像が投影面Pに投影される。
【0031】
ここで、載置面Sに対する表示部3の傾き角度αが異なると、生じる台形歪みの大きさが異なる。映像処理部32は、表示部3の傾き角度αに応じて台形補正の補正量を変え、表示部3の傾き角度αに関わらず一定の映像を投影するように台形補正を行う。
【0032】
次に、本実施形態に係る携帯電話機1の作用について説明する。
携帯電話機1は、本体部2に開閉可能に連結された表示部3にプロジェクタモジュール30を備える。これによりユーザーは、本体部2に対する表示部3の傾き角度αを調整することで、容易に映像の投影角度を調整することができ、任意の高さに映像を投影することができる。
【0033】
制御部21は、例えば、プロジェクタ機能の使用時に映像選択や色変更といった映像の各種調整に関する入力機能をキー入力部7の各キーに割り当てる。ユーザーは、プロジェクタ機能の使用中にキー入力を行うことができ、映像の投影位置を変えることなく映像の各種調整(映像選択や色変更など)の操作を行うことができる。
【0034】
本実施形態に係る携帯電話機1では、表示部3に搭載された傾きセンサ51が表示部3の傾き角度αを検出する。そしてプロジェクタモジュール30は、表示部3の傾き角度αに応じて台形補正を行った映像を投影面Pに投影する。これにより、歪が小さな映像が投影面Pに投影される。
【0035】
ユーザーが映像の投影角度を調整するために表示部3の傾斜角度を変更すると、その変更に追随してプロジェクタモジュール30は映像の台形補正を行う。これにより、ユーザーが映像の投影角度を調整するために表示部3の傾斜角度を変更しても、常に一定の映像が投影面Pに投影される。
【0036】
このような構成によれば、簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器が提供される。すなわち上述したように、携帯電話機1は、表示部3の傾き角度αに応じた台形補正を行うので、歪みが小さな映像が投影可能である。そしてその台形補正の補正量を決める表示部3の傾き角度αは、表示部3に搭載された傾きセンサ51によって検出される。このような構成によれば、必要最小限の構成で表示部3の傾き角度αを検出することができ、簡単な構成で台形補正を適宜行い得る携帯電話機1が提供される。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る携帯型電子機器としての携帯電話機1について、図5ないし図8を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明した以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0038】
図5に示すように、本体部2は、筐体5の第1の部分6と、キー入力部7とを備えている。キー入力部7は、筐体5の第1の部分6の上面部11に設けられ、本体部2に対して表示部3が開けられてプロジェクタモジュール30が映像を投影している時にも操作可能である。表示部3は、筐体5の第2の部分15と、表示装置16とを備えている。プロジェクタモジュール30は、表示部3に搭載されている。
【0039】
図5および図6に示すように、本実施形態に係る携帯電話機1は、傾きセンサ51を有しない。本実施形態に係る映像処理部32は、キー入力部7からの入力に基づいて投影する映像の台形歪みを補正する。詳しく述べると、図7に示すように、キー入力部7は、テンキー61と、画面操作用の操作キー62とを有している。テンキー61は、数字や文字を入力するキー郡であり、0から9までの数字などに対応した複数のキー71〜85(いわゆるダイヤルキー)を含んでいる。
【0040】
図7に示すように、この複数のキー71〜85は、例えば5の数字に対応したキー78を中心として、格子状に配列されている。5の数字に対応したキー78は、本発明でいう第1のキーの一例である。
【0041】
2の数字に対応したキー75と、8の数字に対応したキー81は、本体部2の平面視にて5の数字に対応したキー78の上下に分かれて配置されている。2の数字に対応したキー75は、5の数字に対応したキー78の上側(奥側)に配置されており、本発明でいう第2のキーの一例である。8の数字に対応したキー81は、5の数字に対応したキー78の下側(手前側)に配置されており、本発明でいう第3のキーの一例である。
【0042】
4の数字に対応したキー77と、6の数字に対応したキー79は、本体部2の平面視にて5の数字に対応したキー78の左右に分かれて配置されている。4の数字に対応したキー77は、5の数字に対応したキー78の左側に配置されており、本発明でいう第4のキーの一例である。6の数字に対応したキー79は、5の数字に対応したキー78の右側に配置されており、本発明でいう第5のキーの一例である。
【0043】
図8に示すように、投影面Pに対して下方または上方から傾いて映像を投影すると、上下方向の台形歪みが生じる。なお本発明でいう「上下方向の台形歪み」とは、図8中の(a)または(b)に示すように、上辺と下辺の長さが異なるように映像が歪むことをいう。同様に、投影面Pに対して左方または右方から傾いて映像を投影すると、左右方向の台形歪みが生じる。なお本発明でいう「左右方向の台形歪み」とは、図8中の(c)または(d)に示すように、左辺と右辺の長さが異なるように映像が歪むことをいう。
【0044】
制御部21は、例えばプロジェクタモジュール30の動作時に、テンキー61の各キーに台形補正の入力機能を割り当てる。詳しく述べると、制御部21は、5の数字に対応するキー78を間に挟んで互いに上下に並んだ2または8の数字に対応するキー75,81に、上下方向の台形歪みを補正する台形補正の入力機能を割り当てる。さらに制御部21は、5の数字に対応するキー78を間に挟んで互いに左右に並んだ4または6の数字に対応するキー77,79に、左右方向の台形歪みを補正する台形補正の入力機能を割り当てる。
【0045】
制御部21は、台形補正の入力操作として受け付けた入力内容をプロジェクタモジュール30の映像処理部32に送る。映像処理部32は、テンキー61からの入力に基づいて台形歪みを補正する。詳しく述べると、映像処理部32は、2または8の数字に対応するキー75,81が操作されたときに映像の上下方向の台形歪みを補正する。また映像処理部32は、4または6の数字に対応するキー77,79が操作されたときに映像の左右方向の台形歪みを補正する。映像処理部32は、例えば各キー75,77,79,81が押された回数や押されていた時間などに基づき、台形補正量を変化させることができる。
【0046】
なお映像処理部32は、テンキー61に代えて、例えば画面操作用の操作キー62からの入力に基づいて台形歪みを補正してもよい。操作キー62は、プロジェクタ機能の非使用時において、例えば表示画面16aに表示された項目を選択するキーである。操作キー62は、例えば「上」に対応した第1の入力部91、「下」に対応した第2の入力部92、「左」に対応した第3の入力部93、および、「右」に対応した第4の入力部94を含んでいる。第1および第2の入力部91,92は、互いに上下に並んでいる。第3および第4の入力部93,94は、互いに左右に並んでいる。
【0047】
映像処理部32は、例えば第1および第2の入力部91,92が操作されたときに映像の上下方向の台形歪みを補正してもよい。映像処理部32は、例えば第3および第4の入力部93,94が操作されたときに映像の左右方向の台形歪みを補正してもよい。なお、台形補正を入力するキーは、上記テンキー61や操作キー62に限らず、その他のキーであってもよい。
【0048】
次に、本実施形態に係る携帯電話機1の作用について説明する。
本実施形態に係る携帯電話機1では、キー入力部7を使用してユーザーが台形歪みの補正方向の種類および補正量を入力する。プロジェクタモジュール30は、ユーザーが入力した情報に基づいて台形歪みを補正した映像を投影面Pに投影する。
【0049】
このような構成によれば、簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器が提供される。すなわち第1の実施形態と同様に、携帯電話機1は、台形補正を行うので、歪みが小さな映像が投影可能である。そしてその台形歪み補正は、キー入力部7を利用してユーザーが入力するので、傾きセンサ51などが必要なく、簡単な構成で台形補正を適宜行い得る携帯電話機1が提供される。
【0050】
台形補正の入力機能を、例えば携帯電話機1などのテンキー61または画面操作用の操作キー62のような本来、別の目的で設けられたキーに割り当てることで、台形補正用の特別な入力キーを設ける必要が無くなる。これにより、携帯電話機1の構成をさらに簡単にすることができる。
【0051】
テンキー61が、特定のキー78を真ん中としてその上下、左右に位置するキー75,77,79,81でそれぞれ上下方向の台形補正と、左右方向の台形補正を行うことができると、台形歪みが補正される方向とキーが位置する方向とが対応しているので、ユーザーの欲求と実際に必要な操作との対応関係がイメージしやすく、利便性が高い。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る携帯型電子機器としての携帯電話機1について、図9を参照して説明する。なお上記第1および第2の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。図8に示すように、本実施形態に係る携帯電話機1は、プロジェクタモジュール30の搭載位置および向いている方向が異なるのみで、他の構成は上記第1の実施形態と同じである。
【0053】
図9に示すように、プロジェクタモジュール30は、筐体5の第2の部分15の第2の端部42に配置されている。投射レンズ35は、筐体5の第2の部分15の第2の端部42の周面部18(筐体5の第2の部分15の上面部)に設けられた図示しない開口部に向かい合っている。投射レンズ35の光軸Lは、筐体5の第2の部分15の長手方向に一致している。
【0054】
このような構成によれば、上記第1の実施形態と同様に、簡単な構造で映像の歪みが小さなプロジェクタ機能付き携帯型電子機器が提供される。なお本実施形態に係る携帯電話機1は、傾きセンサ51の検出結果に代えて、上記第2の実施形態と同様にキー入力部7からの入力に基づいて台形歪みを補正するようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の第1ないし第3の実施形態に係る携帯電話機1ついて説明したが、本発明はこれらに限られるものではない。各実施形態に係る構成要素は、適宜組み合わせて実施することができる。すなわち表示部3に搭載された傾きセンサ51の検出結果と、キー入力部7による入力の両方に基づいて台形補正を行ってもよい。
【0056】
本発明でいう第1のユニットは本体部2に限られるものでなく、また第2のユニットは表示部3に限られるものではない。例えばプロジェクタ機能の使用時に表示部3を載置面Sの上に寝かせるとともに、本体部2を立て起こして使用するような携帯型電子機器においては、表示部3が第1のユニットに該当し、本体部2が第2のユニットに該当することになる。
【0057】
上記第1ないし第3の実施形態では、プロジェクタモジュール30が筐体5の第2の部分15に内蔵された携帯型電子機器について説明した。なお本発明はこれに限られるものではなく、プロジェクタモジュール30は、筐体5の第2の部分15(または第1の部分6)に対して外付けで搭載されてもよい。
【0058】
上記第2の実施形態では、5の数字に対応するキー78を中心とした上下左右のキー75,77,79,81に台形補正の入力機能を割り当てたが、別のキーを中心として上下左右に配置されたキーに台形補正の入力機能を割り当ててもよい。本発明が適用可能な携帯型電子機器は、携帯電話機に限定されるものではなく、表示装置16を有しないプロジェクタなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
S…載置面、α…傾き角度、1…携帯電話機、2…本体部、3…表示部、7…キー入力部、30…プロジェクタモジュール、32…映像処理部、51…傾きセンサ、61…テンキー、62…操作キー、75〜85…キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に置かれる第1のユニットと、
前記第1のユニットに開閉可能に連結された第2のユニットと、
前記第2のユニットに搭載されたプロジェクタモジュールと、
前記第2のユニットに搭載され、前記第2のユニットの傾き角度を検出する傾きセンサと、を具備し、
前記プロジェクタモジュールは、前記傾きセンサが検出する前記第2のユニットの傾き角度に基づいて投影する映像の台形歪みを補正する映像処理部を有したことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
載置面に置かれる第1のユニットと、
前記第1のユニットに開閉可能に連結された第2のユニットと、
前記第1のユニットに設けられたキー入力部と、
前記第2のユニットに搭載されたプロジェクタモジュールと、を具備し、
前記プロジェクタモジュールは、前記キー入力部からの入力に基づいて投影する映像の台形歪みを補正する映像処理部を有したことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記キー入力部は、テンキーおよび画面操作用の操作キーの少なくとも一方を備え、前記映像処理部は、このテンキーまたは操作キーからの入力に基づいて台形歪みを補正することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記テンキーは、第1のキーと、平面視にて前記第1のキーの上下に分かれて配置された第2および第3のキーと、平面視にて前記第1のキーの左右に分かれて配置された第4および第5のキーとを含み、前記映像処理部は、前記第2および第3のキーが操作されたときに映像の上下方向の台形歪みを補正し、前記第4および第5のキーが操作されたときに映像の左右方向の台形歪みを補正することを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−171899(P2010−171899A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14652(P2009−14652)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】