説明

携帯型電子機器

【課題】携帯型電子機器が車両に搭載されているか否かを簡単な構成で確実に検出し、搭載されていないときにVICS情報の利用を禁止できる携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】携帯型電子機器が、携帯型電子ききを取付けるために機器取付け装置に設けられたレール部材が挿入されるレールガイド溝内にレール部材が挿入されているか否かをスイッチ手段が検出し、その検出結果に基づいて、制御部が携帯型電子機器の各種動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器取付け装置に取付けられることによって載置用機器として使用され、前記機器取付け装置から外されることによって携帯用機器として使用される携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されるナビゲーション装置に対して、道路の渋滞情報や交通規制などの道路交通情報を送信するVICS(Vehicle Information and Communication System)サービスが普及している。このサービスは財団法人・道路交通情報通信システムが提供するものであり、FM多重放送、電波ビーコン及び光ビーコンの3つの通信手段によって送信されている。FM多重放送を用いる場合は、NHK(日本放送協会)の施設より放送される音声放送にVICS情報を多重化して送信している。
【0003】
そして、近年のナビゲーション装置は、車両に搭載されてVICS情報を受信し表示する機能に加えて、現在位置を含む地図情報を立体的に表示する機能や地上デジタルテレビ放送等の放送情報を受信する機能を備えたものが開発されている。しかも、この種のナビゲーション装置の中でも車両との着脱が容易で自由に携帯可能なポータブルタイプのものが普及しつつある。
【0004】
ところで、このような携帯ナビゲーション装置は、情報の特質に基づくVICSの規定により、車両に搭載されていない場合にはVICS情報の利用を禁止しているため、例えば、部屋で携帯ナビゲーション装置を使用するときにはVICS情報を表示できないように制御する必要がある。
【0005】
そこで、VICSの表示を禁止させる携帯ナビゲーション装置としては、例えば、下記の特許文献1(特許3702197号公報)で示す従来技術が提案されている。この従来の携帯ナビゲーション装置においては、電源供給の方法として、車両のシガーライター端子から供給する方法と、家庭のコンセント等の商用電源から供給する方法と、ニッケル水銀の充電式乾電池から供給する方法の3種類がある。そして、夫々電圧を異にすることに着目し、車両のシガーライター端子から電源電圧の供給がされているか否かを検出し、シガーライター端子から電源電圧の供給がされているときのみVICS情報を表示するようにしたものである。具体的には、車両から電源供給がなされていることを変圧回路の電圧でもって判別し、車両以外から電源電圧の供給なされているときにはVICSの表示を禁止させるように制御するようにしたものである。
【0006】
また、従来の携帯ナビゲーション装置においては、VICSのサービス内容の異なるレベルについて、走行中は安全のために操作が煩わしいレベルの表示を禁止する必要があった。そのため、下記の特許文献2(特許3702196号公報)に記載の携帯ナビゲーション装置においては、サイドブレーキのON/OFFを検出し、その検出出力によって表示できるレベルを設定している。
【0007】
また、特許文献2では、サイドブレーキのON/OFFを検出するために車両と携帯ナビゲーション装置との接続がなされるので、制御回路がサイドブレーキON/OFF検出用ジャックの挿入を検出し、この検出出力により携帯ナビゲーション装置が車両に搭載されているか否かを判別し、その判別出力によってVICSの表示を制御するようになっている。
【特許文献1】特許第3702197号公報
【特許文献2】特許第3702196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の携帯ナビゲーション装置においては、車両から電源電圧の供給がされているか否かを検出するために電源電圧の差異を検出する検出回路を設けなければならない。しかも、この差異が少ない場合には、精度良く検出できる検出回路を用意しなければならない。また、サイドブレーキのON/OFFを検出するためには、携帯ナビゲーション装置にブレーキ端子を設けて車両のブレーキ端子と接続しなければならず、車両に装置する際に面倒である。また、電源検出や、サイドブレーキON/OFFを検出するための構成が複雑でコスト的にも不利であるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、既存の携帯型電子機器及び機器取付け装置に大きな変更を加えることなく車両への載置が容易で、さらに携帯型電子機器が車両に搭載されているか否かを確実に検出して搭載されていないときにはVICS情報の表示を禁止できるコスト的に有利な携帯型電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、
機器取付け装置に取付けられることによって載置用機器として使用され、前記機器取付け装置から外されることによって携帯用機器として使用される携帯型電子機器であって、
当該電子機器を取付けるために前記機器取付け装置に設けられた挿入部材(例えば下記実施例では、レール部材23a,23bに相当する)が挿入される挿入ガイド溝(例えば下記実施例では、レールガイド溝14a,14bに相当する)と、
前記挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されているか否かを検出するスイッチ手段(例えば下記実施例では、スイッチ回路部108などに相当する)と、
前記スイッチ手段の検出結果に基づいて、当該電子機器の各種動作を制御する制御手段(例えば下記実施例では、制御部101に相当する)と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る携帯型電子機器において、VICS情報を受信する受信手段(例えば下記実施例では、放送受信部102に相当する)と、前記受信手段により受信されたVICS情報を表示可能な表示手段(例えば下記実施例では、表示部105に相当する)と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示し、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていないことが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段にて表示しないことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る携帯型電子機器において、車両から第1の電圧が供給され、あるいは車両以外から前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が供給される電源入力手段と、該電源入力手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧が前記第1の電圧であり、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項2に係る携帯型電子機器において、サイドブレーキが掛けられたか否かの検出信号を出力するジャックが挿入されるブレーキ端子を備え、
前記制御手段は、前記ブレーキ端子により前記ジャックが挿入されたことが検出され、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項1に係る携帯型電子機器において、車両から第1の電圧が供給され、あるいは車両以外から前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が供給される電源入力手段と、該電源入力手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の電圧の検出および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項1に係る携帯型電子機器において、サイドブレーキが掛けられたか否かの検出信号を出力するジャックが挿入されるブレーキ端子を備え、
前記制御手段は、前記ブレーキ端子の挿入および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項7に係る発明は、請求項1から6に係る携帯型電子機器において、前記スイッチ手段は、前記制御手段に検出信号を出力するスイッチ回路(例えば下記実施例では、スイッチ回路部108に相当する)と、前記挿入ガイド溝内に常に突出するように偏倚されて設けられ、前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に差し込まれると押圧されることにより前記挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されたことを検出するスイッチ部材(例えば下記実施例では、アクチュエータ16に相当する)と、から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の携帯型電子機器は、次に示すような優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る発明においては、携帯型電子機器が、電子機器を取付けるために機器取付け装置に設けられた挿入部材が挿入される挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されているか否かをスイッチ手段が検出し、その検出結果に基づいて、制御手段が当該電子機器の各種動作を制御する。
【0018】
このような構成によれば、スイッチ手段が挿入ガイド溝に挿入部材が挿入されたか否かを検出し、この検出結果に基づいて制御手段が電子機器の状態を設定するので、自動的に携帯型電子機器における各種動作を制御できる。しかも、その構成は既存の装脱部材にスイッチ手段を設けるだけでよいためコスト的に有利となる。
【0019】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係る携帯型電子機器において、VICS情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信されたVICS情報を表示可能な表示手段と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示し、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていないことが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段にて表示しない。
【0020】
このような構成によれば、スイッチ手段が挿入ガイド溝内に挿入部材の挿入されていないことを検出し、この検出結果によって制御手段がVICS情報の表示を禁止状態に設定するので、自動的に携帯電子機器におけるVICS情報の利用を制限できる。しかも、その構成は既存の装脱部材にスイッチ手段を設けるだけでよいためコスト的に有利となる。
【0021】
また、請求項3に係る発明においては、請求項2に係る携帯型電子機器において、前記電圧検出手段が検出した電圧が前記第1の電圧であり、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示する。
【0022】
このような構成によれば、電圧検出手段による検出と、スイッチ手段による検出を組み合わせることで、携帯型電子機器が確実に車両内に取り付けられているときにVICS情報を表示手段に表示することができる。
【0023】
また、請求項4に係る発明においては、請求項2に係る携帯型電子機器において、前記ブレーキ端子により前記ジャックが挿入されたことが検出され、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示する。
【0024】
このような構成によれば、ブレーキ端子による検出と、スイッチ手段による検出を組み合わせることで、携帯型電子機器が確実に車両内に取り付けられているときにVICS情報を表示手段に表示することができる。
【0025】
また、請求項5に係る発明においては、請求項1に係る携帯型電子機器において、前記第1の電圧の検出および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御する。
【0026】
このような構成によれば、電圧検出手段による検出と、スイッチ手段による検出を組み合わせることで、携帯型電子機器が確実に車両内に取り付けられているときに、制御手段は携帯型電子機器の各種動作を制御することができる。
【0027】
また、請求項6に係る発明においては、請求項1に係る携帯型電子機器において、前記ブレーキ端子の挿入および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御する。
【0028】
このような構成によれば、ブレーキ端子による検出と、スイッチ手段による検出を組み合わせることで、携帯型電子機器が確実に車両内に取り付けられているときに、制御手段は携帯型電子機器の各種動作を制御することができる。
【0029】
また、請求項7に係る発明においては、請求項1から請求項6に係る携帯型電子機器において、前記スイッチ手段を、前記制御手段に検出信号を出力するスイッチ回路と、前記挿入ガイド溝内に常に突出するように偏倚されて設けられ、前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に差し込まれると押圧されることにより前記挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されたことを検出するスイッチ部材と、から構成する。
【0030】
このような構成によれば、スイッチ手段は、挿入ガイド溝内のスイッチ部材が挿入部材の挿入によって押圧されるか否かによって開閉するスイッチ回路より検出信号を得ることができるので、スイッチ部材を挿入ガイド溝内に配置するだけで構成できる簡単なものである。また、スイッチ部材が挿入ガイド溝内にあるため、故意にスイッチ部材を操作することを防止して確実に電子機器の使用制限を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための携帯型ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの携帯型ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯型電子機器にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係る携帯型ナビゲーション装置を正面から見た斜視図、図2は、図1における携帯型ナビゲーション装置を背面から見た斜視図、図3は、図1における携帯型ナビゲーション装置の背面図、図4は、図3のA−A線で切断した断面図、図5は、図4における部分Bを拡大して示す断面図、図6は、図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドにおける被装着体を取付けた状態を背面から見た斜視図、図7は、図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドにおける被装着体を取付けた状態の背面図、図8は、図7のC−C線で切断した断面図、図9は、図8における部分Dを拡大して示す断面図、図10は、図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドを取付けた状態を背面から見た斜視図、図11は、本発明の一実施例に係る携帯型ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
本実施例に係る携帯型ナビゲーション装置1は、図1〜図3で示すように、偏平で矩形の筐体11と、筐体11の前面に設けられた表示操作面12と、筐体11の背面中央部に設けられた車載スタンド2を装着するための装着部13とを備えている。
【0034】
装着部13には、図2及び図3で示すように、車載スタンド2に設けられた一対のレール部材23a,23bをスライド移動自在に支持する一対のレールガイド溝14a,14bと、このレールガイド溝14a,14bの内部にレール部材23a,23bを引き込むための開放部15a,15bが設けられている。
【0035】
また、一対のレールガイド溝14a,14bの何れか一方(図3ではレールガイド溝14a)内には、車載スタンド2が携帯型ナビゲーション装置1に装着されたとき一対のレール部材23a,23bの何れか一方(図6ではレール部材23a)により、後述するスイッチ回路部108を開放状態から閉成状態にするスイッチ部材であるアクチュエータ16が設けられている。
【0036】
携帯型ナビゲーション装置1は、図10で示すように、車両に車載スタンド2によって取付けられる。この取付け装置である車載スタンド2は、図8で示すように、携帯型ナビゲーション装置1を受ける台座21および台座21から垂立する被装着部22からなる被装着体20と、図10で示すように、被装着体20を端に連結した回動アーム26と、回動アーム26の基部が連結されたベースプレート27と、から構成されている。
【0037】
被装着体20と回動アーム26及び回動アーム26とベースプレート27は、それぞれ自在継手28,29によって連結されている。すなわち、被装着体20は車両のダッシュボードなどの設置面に載置固定されたベースプレート27から延在する回動アーム26の端に設けられている。
【0038】
図6、図8で示すように、被装着体20は、側方から見て全体的にL字形に形成されている。そして、L字形の垂直部分は被装着部22とし、L字形の水平部分は携帯型ナビケーション10を受ける台座21になっており、この二つの筐体(台座21,被装着部22)は、台座21に形成されたネジ穴24a,24bに対して連結ネジ(図示せず)を螺合させることによって固定されている。
【0039】
被装着部22には、一対のレールガイド溝14a,14bに挿入/離脱可能な挿入部材である一対のレール部材23a,23bが設けられている。挿入部材としての一対のレール部材23a,23bは、その断面が略L字型であり、このため、一対のレールガイド溝14a,14bは、レール部材23a,23bがガタ付きや位置ズレが生じることなく嵌合状態で挿入されるように配置されており、その断面が略L字型の形状に形成されている。
【0040】
また、被装着部22には、図6、図7で示すように、被装着体20と回動アーム26とを連結するための自在継手28と螺合するネジ挿通孔25が形成されている。
【0041】
また、携帯型ナビゲーション装置1は、図11で示すように、制御部101、放送受信部102、GPS測位部103、地図情報再生部104、表示部105、音声出力部106、入力部107、スイッチ回路部108などを備えて構成されている。
【0042】
なお、制御部101は本発明の制御手段に相当し、放送受信部102は本発明の受信手段に相当し、表示部105は本発明の表示手段に相当し、スイッチ回路部108は本発明のスイッチ回路に相当し、アクチュエータ16は本発明のスイッチ部材に相当し、レールガイド溝14a,14bは本発明の挿入ガイド溝に相当し、レール部材23a,23bは本発明の挿入部材に相当する。
【0043】
制御部101は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にROM101a、RAM101bなどのメモリを備えている。制御部101はROM101aに記憶されたプログラム及びRAM101bに記憶された各種のデータによって各部動作を制御する。
【0044】
放送受信部102は、送信された音声放送信号、FM多重放送で送信されたVICS情報信号等をアンテナ102aで受信し、復調処理を行なって制御部101に出力するものである。GPS測位部103は、GPS(Global Positioning System)測位機構を用いて現在位置を測定し、制御部101に出力する。
【0045】
地図情報再生部104は、地図情報が書き込まれたDVDやメモリカード等より地図情報を読取って制御部101に出力する。表示部105は、液晶表示パネル等からなり、制御部101の制御によってVICS情報、現在位置情報等を表示する表示操作面12に設けられた表示手段である。
【0046】
音声出力部106は、FM多重放送の復調された音声信号を出力するものである。入力部107は、携帯型ナビゲーション装置1の機能の選択、現在位置表示及びVICSに係る必要な入力を行なう表示操作面12に設けられた操作入力手段である。なお表示操作面12に設けられた入力部107とはタッチパネルである。
【0047】
スイッチ回路部108は、例えば、マイクロスイッチ等で構成され、アクチュエータ16の状態に応じて開放または閉成時に信号を制御部101に出力するものである。
【0048】
スイッチ回路部108は、図5、図9で詳しく示すように、その開閉動作がレールガイド溝14a内に設けられたアクチュエータ16によって行われる。アクチュエータ16は、図5で示すように、常にレールガイド溝14aの内壁面からレール部材23aの通路上に突出するように弾性的に偏倚されて設けられ、この状態でスイッチ回路部108を常に開放している。
【0049】
一方、アクチュエータ16は、図9で示すように、レール部材23aがレールガイド溝14aに差し込まれることによって、レールガイド溝14aの内壁面下に押込まれるとスイッチ回路部108を閉成するようになっている。
【0050】
制御部101は、スイッチ回路部108が開放状態にあり、スイッチ回路部108より信号が入力されないときは、携帯型ナビゲーション装置1のモードを携帯モードに切替えてVICS情報を表示部105において表示することを禁止し、スイッチ回路部108が閉成状態にあり、スイッチ回路部108より信号が入力されるときは、モードを車載モードに切替え、禁止状態を解除してVICS情報を表示部105において表示することを可能とする。
【0051】
次に、上述した本実施例の携帯型ナビゲーション装置1について、その動作を説明する。
【0052】
先ず、図2〜図5で示すように、携帯型ナビゲーション装置1を車両に搭載されていない状態で使用する場合について説明する。この場合は、レールガイド溝14aにはレール部材23aが挿入されていない。そのため、アクチュエータ16はレールガイド溝14a内に突出しスイッチ回路部108を開放状態とする。従って、スイッチ回路部108の開放によって、携帯型ナビゲーション装置1は携帯モードで動作することになり、制御回路101はVICS情報を表示部105における表示を禁止する。その結果、携帯型ナビゲーション装置1は電池、商用電源等から電力供給を受けて作動されるが、VICS情報の使用が不可能となる。
【0053】
勿論、携帯型ナビゲーション装置1は、入力部107の操作入力によって選択された音声放送を放送受信部102から受信し、受信した音声放送を音声出力部106から出力することが可能であり、また、GPS測位部103と地図情報再生部104の情報により加工された現在位置を含む地図情報を表示部105に表示することができる。
【0054】
次に、図6〜図10で示すように、携帯型ナビゲーション装置1を車載スタンド2によって車両に搭載して使用する場合について説明する。この場合は、車両の所定位置に予め固定された車載スタンド2のレール部材23aを携帯型ナビゲーション装置1のレールガイド溝14aに挿入し、携帯型ナビゲーション装置1の背面(装着部13)を被装着部22に沿わせることにより、携帯型ナビゲーション装置1は車両に取付けられる。
【0055】
このとき、車載スタンド2の被装着部22に設けられたレール部材23aがレールガイド溝14aに差し込まれることにより、携帯ナビゲーション装置1と車載スタンド2とが勘合した状態で固定されるとともに、アクチュエータ16はレールガイド溝14a内に挿入されたレール部材23aによって押圧されスイッチ回路部108を閉成状態とする。従って、スイッチ回路部108の閉成によって、携帯型ナビゲーション装置1は車載モードで動作することになり、制御回路101はVICS情報の表示禁止状態を解除する。
【0056】
従って、本実施例によれば、携帯型ナビゲーション装置1が車両に車載スタンド2によって取付けられて搭載されたときには、制御回路101がVICS情報の表示禁止状態を解除しているので、入力部107への操作入力に基づいてVICS情報を取得して表示部105に表示できる。即ち、車両内においては携帯型ナビゲーション装置1によってVICS情報から道路情報を得て円滑な走行を行なうことができる。
【0057】
一方、携帯型ナビゲーション装置1を車両外で使用する場合は、携帯型ナビゲーション装置1をその背面(装着部13)を被装着部22に沿わせて上方へ持ち上げることにより被装着部22から取外すので、レール部材23aがレールガイド溝14aから抜脱される。そのため、アクチュエータ16がレールガイド溝14a上に突出するように復帰してスイッチ回路部108を開放状態とするので、制御回路101によってVICS情報の利用が禁止される。このアクチュエータ16はレールガイド溝14a内に配置されているので、故意にアクチュエータ16を操作することを防止し、確実にVICS情報の使用を禁止することができる。
【0058】
なお、上記実施例においては、携帯型ナビゲーション装置1が車両に搭載されているか否かをアクチュエータ16の作動によって検出するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、光学的、磁気的等の変化を検出する技術を用いてもよい。
【0059】
また、上記実施例においては、スイッチ回路部108は常開状態であって、この開放状態にあると制御回路101がVICS情報を表示部105において表示することを禁止し、閉成状態に転換されると制御回路101が禁止状態を解除してVICS情報を表示部105において表示することを可能とするようにしたが、これに限定されず、スイッチ回路部108を常閉状態とし、この閉成状態にあると制御回路101がVICS情報を表示部153において表示することを禁止し、開放状態に転換されると制御回路101が禁止状態を解除してVICS情報を表示部105において表示するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施例においては、挿入部材として略L字型断面のレール部材23a,23bを用いたが、本発明はこの形状に限定されることなく、角柱、円柱等の種々の形状のものであってもよい。そして、レールガイド溝14a,14bは挿入部材が嵌合される形状に形成すればよい。
【0061】
さらに、上記実施例では、携帯型電子機器として、携帯型ナビゲーション装置を示すものであるが、これに限定されず、ワンセグ放送等の放送受信機能を有し、車両に載置できる携帯型の端末装置であってもよく、この場合、安全運転のため車載時にはワンセグ放送を表示しないようにする。
【0062】
また、上記実施例においては、車載スタンド2に携帯型ナビゲーション装置1を取り付けた際、車載スタンド2の被装着部22に設けられたレール部材23aがレールガイド溝14aに差し込まれることによりアクチュエータ16がレールガイド溝14a内に挿入されたレール部材23aによって押圧されスイッチ回路部108を閉成状態とし、これにより携帯型ナビゲーション装置1は車載モードで動作するものであったが、車載スタンド2自体が車両から着脱可能に設けられている場合、車両から取り外した車載スタンド2を、車両以外の場所(例えば家の中)で携帯型ナビゲーション装置1に取り付けて使用した場合、車両内で使用していないにも関わらず携帯型ナビゲーション装置1は車載モードに切替えられてしまう。
【0063】
このため、背景技術で説明した特許文献1または特許文献2に記載されている携帯ナビゲーション装置の車載時検出方法と、本願実施例に記載した技術とを組み合わせ、制御回路が車両のシガーライター端子から電源電圧の供給がされているか否かを検出、または、制御回路がサイドブレーキON/OFF検出用ジャックの挿入を検出し、さらに車載スタンド2に携帯型ナビゲーション装置1が搭載され車載スタンド2の被装着部22に設けられたレール部材23aがレールガイド溝14aに差し込まれることによりアクチュエータ16がレールガイド溝14a内に挿入されたレール部材23aによって押圧されスイッチ回路部108を閉成状態としたときに、携帯型ナビゲーション装置1を車載モードに切り替える構成とすれば、携帯型ナビゲーション装置1が車両内に搭載されていることをより正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例に係る携帯型ナビゲーション装置の正面から見た斜視図である。
【図2】図1における携帯型ナビゲーション装置を背面から見た斜視図である。
【図3】図1における携帯型ナビゲーション装置の背面図である。
【図4】図3のA−A線で切断した断面図である。
【図5】図4における部分Bを拡大して示す断面図である。
【図6】図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドの被装着体を取付けた状態を背面から見た斜視図である。
【図7】図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドの被装着体を取付けた状態の背面図である。
【図8】図7のC−C線で切断した断面図である。
【図9】図8における部分Dを拡大して示す断面図である。
【図10】図1における携帯型ナビゲーション装置に車載スタンドを取付けた状態を背面から見た斜視図である。
【図11】本発明の一実施例に係る携帯型ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・・・・・・・・携帯型ナビゲーション装置
2・・・・・・・・・・車載スタンド
11・・・・・・・・・筐体
12・・・・・・・・・表示操作面
13・・・・・・・・・装着部
14a,14b・・・・レールガイド溝
15a,15b・・・・開放部
16・・・・・・・・・アクチュエータ
20・・・・・・・・・被装着体
21・・・・・・・・・台座
22・・・・・・・・・被装着部
23a,23b・・・・レール部材
24a,24b・・・・ネジ穴
25・・・・・・・・・ネジ挿通孔
26・・・・・・・・・回動アーム
27・・・・・・・・・ベースプレート
28,29・・・・・・自在継手
101・・・・・・・・制御部
101a・・・・・・・ROM
101b・・・・・・・RAM
102・・・・・・・・放送受信部
102a・・・・・・・アンテナ
103・・・・・・・・GPS測位部
104・・・・・・・・地図情報再生部
105・・・・・・・・表示部
106・・・・・・・・音声出力部
107・・・・・・・・入力部
108・・・・・・・・スイッチ回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器取付け装置に取付けられることによって載置用機器として使用され、前記機器取付け装置から外されることによって携帯用機器として使用される携帯型電子機器であって、
当該電子機器を取付けるために前記機器取付け装置に設けられた挿入部材が挿入される挿入ガイド溝と、
前記挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されているか否かを検出するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の検出結果に基づいて、当該電子機器の各種動作を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
VICS情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信されたVICS情報を表示可能な表示手段と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示し、前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていないことが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段にて表示しないことを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
車両から第1の電圧が供給され、あるいは車両以外から前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が供給される電源入力手段と、該電源入力手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段が検出した電圧が前記第1の電圧であり、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
サイドブレーキが掛けられたか否かの検出信号を出力するジャックが挿入されるブレーキ端子を備え、
前記制御手段は、前記ブレーキ端子により前記ジャックが挿入されたことが検出され、且つ前記スイッチ手段によって前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に挿入されていることが検出されると、前記VICS情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
車両から第1の電圧が供給され、あるいは車両以外から前記第1の電圧とは異なる第2の電圧が供給される電源入力手段と、該電源入力手段に供給される電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の電圧の検出および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
サイドブレーキが掛けられたか否かの検出信号を出力するジャックが挿入されるブレーキ端子を備え、
前記制御手段は、前記ブレーキ端子の挿入および前記スイッチ手段による挿入検出に基づいて前記各種動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記スイッチ手段は、
前記制御手段に検出信号を出力するスイッチ回路と、
前記挿入ガイド溝内に常に突出するように偏倚されて設けられ、前記挿入部材が前記挿入ガイド溝内に差し込まれると押圧されることにより前記挿入ガイド溝内に前記挿入部材が挿入されたことを検出するスイッチ部材と、
から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−8368(P2010−8368A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171107(P2008−171107)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】