説明

携帯端末、および携帯端末の機能制限方法

【課題】 ユーザによる携帯端末の設定の切替や電源のオフ等の機能制限のし忘れを防止し、かつ機能制限を徹底することで、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能な携帯端末、および携帯端末の機能制限方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる携帯端末110は、施設または乗物の乗口に設置されたリーダライタ108aの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立するICタグ116と、リーダライタとICタグとの無線通信が確立された場合に、施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限する機能制限部132とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを用いて、リーダライタの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立可能な携帯端末、および携帯端末の機能制限方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICタグを搭載した携帯端末の普及が進んでいる。これにより、小売り店舗等に設置してあるリーダライタに携帯端末のICタグ部分を翳すだけで、電子マネーによる決済が可能になった。また乗物の自動改札機にもリーダライタが搭載されており、自動改札機に携帯端末のICタグ当接面を翳すことにより、電車やバスへの乗車も可能となっている。
【0003】
かかるICタグは、ICチップとアンテナコイルから構成され、リーダライタから送信される特定周波数の電波により、アンテナコイルが起電しICチップに電力が供給される。そして、これと並行して、ICタグとリーダライタとの無線通信が確立し、情報の送受信が行われる。
【0004】
上記のようなICタグを搭載した携帯端末として、例えば特許文献1には、交通機関の自動改札機を通過した時に自動改札機からその入場駅および出場駅の情報をICカードを通じて受信し、入場または出場駅情報をサーバに送信し、サーバから出場駅の時刻表情報、運行情報および駅周辺情報を受信する携帯端末が開示されている。
【0005】
上記の携帯端末によれば、下車した駅やバス停の時刻表や交通機関の遅れ、運休等の運行情報が自動で表示され、またかかる駅やバス停周辺の地図等の情報も自動で取得できるので利便性が向上する。
【特許文献1】特開2007−316706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の携帯端末の普及により、ユーザの携帯端末使用時のマナーが社会問題となっている。特に、電車やバス等の公共の乗物への乗車時に、携帯端末が発する着信音や操作音、またユーザの通話の声等の音声が、周囲の人間に不快感を与えるという問題がある。したがって、乗車時には、携帯端末を、音声出力を制限するマナーモードに設定することが望まれる。また、飛行機への搭乗の際には、携帯端末の電波が飛行機の計器へ与える影響を考慮し、携帯端末の電源をオフにすることが求められている。
【0007】
このため鉄道会社や航空会社等では車内や機内にて、携帯端末のマナーモードへの設定の切替や電源のオフを促す旨のアナウンスを流している。しかし、アナウンスに従って設定の切替や電源のオフ等の携帯端末の機能制限を行うかどうかはユーザの意思に委ねられるため、これを徹底することは困難である。またアナウンスを聞いたとしても、ユーザが設定の切替や電源のオフをし忘れてしまうこともある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、ユーザによる携帯端末の設定の切替や電源のオフ等の機能制限のし忘れを防止し、かつ機能制限を徹底することで、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能な携帯端末、および携帯端末の機能制限方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末の代表的な構成は、施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立するICタグと、リーダライタとICタグとの無線通信が確立された場合に、施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限する機能制限部とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、施設または乗物の入口、例えば入場ゲートや入場改札等に設置されたリーダライタと当該携帯端末のICタグとの無線通信が確立されるだけで、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、当該携帯端末の機能を制限することが可能となる。したがって、ユーザによる機能制限のし忘れを防止し、機能制限を徹底することができ、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能となる。なお上記の施設としては、病院や映画館、美術館等、携帯端末の機能制限が求められる施設を例に挙げることができる。また乗物としては、電車、バス、飛行機等の交通機関を例示することができる。
【0011】
上記機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した場合に、その旨を、ユーザに報知する制限報知部を備えるとよい。これにより、ユーザは、当該携帯端末の機能が制限されたことを認識することができる。なお上記の制限報知部としては、当該携帯端末に備えられる表示部、音声出力部、バイブレータ、および発光部の群から選択された1または2以上を機能させることが可能である。
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末の他の構成は、施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立するICタグと、リーダライタとICタグとの無線通信が確立された場合に、施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限すべき旨を、ユーザに報知する制限報知部と、機能の制限を承諾する旨のユーザ入力に応じて、当該携帯端末の機能を制限する機能制限部とを備えることを特徴とする。
【0013】
例えば駅の乗車口の改札(入口)においてリーダライタとICタグとの無線通信を確立して駅構内に入場したが、電車(乗物)への乗車までに時間がある場合等、ユーザが駅構内における携帯端末の機能制限を望まない場合が想定される。したがって、上記の構成によれば、ユーザは制限報知部が報知した内容を把握し、当該携帯端末の機能を制限するかどうかを自分の意志に基づいて選択することが可能となる。これにより、不意に携帯端末の機能が制限され不利益を被るといったことを回避できる。
【0014】
上記制限報知部は更に、機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した旨をユーザに報知するとよい。これにより、ユーザは、自らの入力により当該携帯端末の機能が制限されたことを認識することができる。
【0015】
上記制限報知部は、ICタグをリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面と相異する面に設けられているとよい。
【0016】
ICタグとリーダライタとの無線通信を確立する際には、当該携帯端末(ICタグ)をリーダライタに翳すことにより対向させる。例えば、発光部または表示部が制限報知部として機能しており、これらが当該携帯端末の、リーダライタに翳すときに該リーダライタに対向することが想定される面に設けられていると、制限報知部の挙動をユーザが認識しづらくなってしまう。したがって、制限報知部は、ICタグをリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面と相異する面に設けられていることが好ましい。
【0017】
上記機能制限部は更に、施設または乗物の出口に設置されたリーダライタとICタグとの無線通信が確立された場合に、機能の制限を解除するとよい。
【0018】
かかる構成により、施設または乗物の出口、例えば退場ゲートや退場改札に設置されたリーダライタとICタグとの無線通信が確立されることで、機能制限部は乗物での移動が終了した、または施設を退出すると判定し、当該携帯端末の機能制限を解除する。したがって、ユーザに煩雑な操作を強いることなく携帯端末の機能制限を解除することが可能であり、ユーザによる制限解除のし忘れを防ぐことができる。
【0019】
上記機能制限部は更に、機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した時点から所定時間経過した後に、機能の制限を解除するとよい。
【0020】
降車口(出口)にリーダライタが設置されていないバス等の乗物では、出口におけるリーダライタとICタグとの無線通信は行われない。このため、ユーザは降車後に自ら機能制限の解除を行わなくてはならず、解除をし忘れると携帯端末は機能制限が行われたままになってしまう。上記構成では、降車時のリーダライタとICタグとの無線通信が行われなくとも、機能制限部は、機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した時点から所定時間が経過後に制限を解除する。これにより、ユーザの制限解除し忘れによる携帯端末の機能制限の不必要な継続を防止することができる。
【0021】
上記機能制限部は更に、当該携帯端末の受信強度が所定のレベルに達したときに、機能の制限を解除するとよい。
【0022】
例えば飛行機のような乗物は、乗車中または搭乗中に受信強度が著しく低下する。このため、低下した受信強度が所定のレベルまで達したとき、すなわち受信強度が回復したときは、目的地に到着し飛行機(乗物)を降機したときであると考えられる。したがって上記構成では、機能制限部が携帯端末の機能制限を行った後、当該携帯端末が間欠的に電波の受信を行い、かかる電波の受信強度が所定のレベルに達したときに、機能制限部は施設への滞在または乗物での移動が終了したと判定し、携帯端末の機能制限を解除する。これにより、ユーザによる操作を要することなく携帯端末の機能制限を解除することができる。
【0023】
当該携帯端末は、ユーザの移動の目的地を記憶する目的地記憶部と、目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当を記憶する目的地チャンネル記憶部と、ワンセグ放送を受信するワンセグ受信部と、ワンセグ受信部が受信したワンセグ放送のチャンネル割当と、目的地チャンネル記憶部に記憶された目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当とを照合するチャンネル照合部とを更に備え、機能制限部は、チャンネル割当が合致したときに、機能の制限を解除するとよい。
【0024】
かかる構成では、ワンセグ受信部が間欠的に受信したチャンネルのチャンネル割当と、目的地記憶部に記憶される目的地のチャンネル割当とが合致したときに、機能制限部は、目的地に到着した、すなわち施設への滞在または乗物での移動が終了したと判定し、携帯端末の機能制限を解除する。これにより、ユーザによる操作を必要とすることなく携帯端末の機能制限を解除することができる。
【0025】
当該携帯端末は、ユーザの移動の目的地を記憶する目的地記憶部と、GPS衛星からの信号を受信し当該携帯端末の位置を導出するGPS受信部と、信号から導出される当該携帯端末の位置と、目的地記憶部に記憶される目的地とを照合するGPS照合部とを更に備え、機能制限部は、位置と目的地とが合致したときに、機能の制限を解除するとよい。
【0026】
上記の構成では、GPS受信部が間欠的に受信するGPS衛星の信号から当該携帯端末の位置を導出し、その位置と目的地とが合致したときに、機能制限部は、施設への滞在または乗物での移動が終了したと判定し携帯端末の機能制限を解除する。これにより、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく携帯端末の機能制限を解除することが可能であり、ユーザによる制限解除のし忘れを防ぐことができる。
【0027】
上記機能の制限は、マナーモード、オフラインモード、スリープモード、電源切断モードのいずれか1つの状態であるとよい。これにより、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能となる。
【0028】
ここでマナーモードとは、音声出力部からの音声出力機能が制限されている状態、すなわち消音状態である。オフラインモードとは、当該携帯端末の通信接続が遮断されている状態である。またスリープモードとは、当該携帯端末の一切の操作および出力が制限されている状態、所謂携帯端末110の電源キーを押下することによる「電源オフ」の状態である。しかし、厳密には携帯端末110を「電源オフ」の状態にしても、携帯端末110内部ではクロックやタイマなどには別電源から電力が供給され、かかる機能は動作している(制限されていない)。したがって、「電源オフ」の状態は、すべての電源がオフになっている(切断されている)状態ではないため、誤解を避けるべく、所謂「電源オフ」の状態をスリープモードと称し、すべての電源を切断し、当該携帯端末のすべての機能を制限する状態を電源切断モードと称する。
【0029】
上述の課題を解決するために、本発明にかかる携帯端末の機能制限方法の構成は、施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲において、携帯端末に内蔵されるICタグとリーダライタとの無線通信を確立し、施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限し、機能を制限した旨をユーザに報知することを特徴とする。
【0030】
上述した携帯端末における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該携帯端末の機能制限方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、携帯端末に内蔵されたICタグと、施設または乗物の入口に設置されているリーダライタとの無線通信の確立した場合に当該携帯端末の機能制限を行うことにより、ユーザによる携帯端末の設定の切替や電源のオフ等の機能制限のし忘れを防止し、かつ機能制限を徹底することで、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図であり、図2は、携帯端末を説明するための説明図であり、図2(a)は携帯端末の開状態のときの正面図であり、図2(b)は携帯端末の開状態のときの背面図であり、図2(c)は携帯端末の閉状態のときの外観図である。
【0034】
携帯端末110は、端末制御部112と、端末メモリ114と、ICタグ116と、表示部118と、操作部120と、音声入力部122と、音声出力部124と、バイブレータ126と、発光部128と、無線通信部130とを含んで構成される。
【0035】
端末制御部112は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯端末110全体を管理および制御し、端末メモリ114のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂行する。
【0036】
上記の端末制御部112は、機能制限部132としても機能し、リーダライタと後述するICタグ116との無線通信が確立された場合に、施設または乗物の規定に従って当該携帯端末110の機能を制限する。また機能制限部132は更に、当該携帯端末110の機能の制限を行った後に、再度リーダライタとICタグ116との無線通信が確立した際、すなわち施設から退出または乗物から退場する際に、携帯端末110の機能の制限を解除する。
【0037】
端末メモリ114は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、端末制御部112で処理されるプログラムや音声データ等を記憶する。
【0038】
ICタグ116は、施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立する。ICタグ116は、ICチップ(図示せず)とアンテナコイル(図示せず)から構成され、リーダライタが送信する電波によりアンテナコイルが起電し、ICチップに電力が供給される。そして、これと同時に、ICタグ116とリーダライタとの無線通信が確立し、情報の送受信が行われる。
【0039】
表示部118は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、端末メモリ114に記憶された、または通信網(図示せず)を介してアプリケーション中継サーバ(図示せず)から提供される、WebブラウザやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。
【0040】
また、本実施形態では、後述する音声出力部124、バイブレータ126、および発光部128同様、表示部118は制限報知部として機能する。制限報知部としての表示部118は、機能制限部132が携帯端末110の機能を制限した場合に、案内表示を表示することによりユーザに機能制限が行われた旨を報知する。
【0041】
なお第1実施形態においては表示部118を制限報知部として機能させているがこれに限定されるものではなく、表示部118、音声出力部124、バイブレータ126、および発光部128の群から1または2以上を選択し、制限報知部として機能させることも可能である。これにより制限報知部として、音声出力部124が機能する場合には音声出力部124からの音声出力、バイブレータ126が機能する場合にはバイブレータ126による携帯端末110のバイブレーション振動、発光部128が機能する場合には発光部128の発光、がユーザへの報知手段となる。
【0042】
また、制限報知部として機能しうる表示部118および発光部128は、ICタグ116をリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面と相異する面に設けられている。詳細には、図2(a)および図2(b)を参照してわかるように、表示部118が設けられているのは、携帯端末110が開状態のときの正面であり、ICタグ116をリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面は携帯端末110が開状態のときの背面である。したがって、ユーザが携帯端末のICタグをリーダライタに翳した場合であっても、制限報知部としての表示部118の挙動を容易に認識することが可能である。
【0043】
また図2(b)を参照すると、発光部はICタグ116をリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面と同じ面に設けられている。しかし、図2(c)に示すように、携帯端末を閉状態とすることにより、発光部が設けられている面は、ICタグ116をリーダライタに翳すときにリーダライタに対向することが想定される面とは相違する。これにより、ユーザが携帯端末のICタグをリーダライタに翳した場合であっても、制限報知部としての発光部の挙動をユーザが直ちに視認することができる。
【0044】
操作部120は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0045】
音声入力部122は、マイク等の音声認識手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を携帯端末110内で処理可能な電気信号に変換する。
【0046】
音声出力部124は、スピーカで構成され、携帯端末110で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や、操作部120の操作音、アラーム音等も出力できる。また、上述したように制限報知部としても機能することができる。
【0047】
バイブレータ126は、電動機(図示せず)と、その電動機の回転軸(図示せず)に設けられ重心が偏心している金属等の剛体(図示せず)とから構成され、剛体を回転させることで当該携帯端末110にバイブレーション振動を与えることができる。これにより、例えば病院、電車、会議といった音声出力ができないところで着信やメールの受信、アラームを認識することができる。また、上述したように制限報知部としても機能することができる。
【0048】
発光部128は、LED(Light Emitting Diode)、EL(Electro Luminescence)発光体、その他の照光可能な電子部品から構成される。かかる発光部128が点灯または点滅することにより、音声出力ができない場所や状況であっても、着信やメールの受信、アラームをユーザが認識することが可能となる。また、上述したように制限報知部としても機能することができる。
【0049】
無線通信部130は、基地局102との無線通信を確立し、データを送受信する。また、無線通信部130は、受信した信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)等の電波強度を機能制限部132に転送する。
【0050】
次に、第1実施形態にかかる携帯端末110における機能制限方法を説明する。図3は、第1実施形態にかかる機能制限方法の具体的な処理を説明するフローチャートである。ここでは、乗物として電車を例に説明する。なお、第1実施形態における制限報知部は表示部118としている。
【0051】
ユーザは携帯端末110に備えられている(内蔵されている)ICタグ116を用いて電車に乗車する場合、携帯端末110(ICタグ116)を、電車の入口(改札)に設置されたリーダライタの通信可能範囲に位置させる。
【0052】
図4は、入口におけるリーダライタの設置図である。図4に示すように、電車の入場口(入口)の改札機108にはリーダライタ108aが設置されている。かかるリーダライタ108aに携帯端末110のICタグを備える面を翳して近接させ、ICタグ116をリーダライタ108aの通信可能範囲に位置させる。
【0053】
上記のユーザの動作により、入口のリーダライタ108aとICタグ116との無線通信が確立されると(S160)、機能制限部132は当該携帯端末110の機能が既に制限されているか、すなわち携帯端末がマナーモードであるかを判定する(S162)。判定の結果、携帯端末110の機能が制限されていない、すなわちマナーモードではなかった場合、機能制限部132は携帯端末110の機能を制限し(機能制限実行)、マナーモードに設定する(S164)。
【0054】
なお、本実施形態では、現状における一般的な規定として、電車内では携帯端末110をマナーモードに設定するとされているため、機能制限部132による機能制限はマナーモード設定としているが、これに限定されるものではない。例えば、優先座席付近では携帯端末を「スリープモード(電源オフ)」に設定するとされているのを踏まえ、機能制限部132の機能制限をスリープモードとすることも可能である。
【0055】
機能制限部132が機能制限を実行した後、表示部118(制限報知部)は案内表示を表示し、機能制限を実行した旨をユーザに報知する(S166)。図5は、表示部による報知の例を説明する図である。表示部による報知では、図5に示すように表示部118に報知表示118aを表示することができる。こうしてユーザは、自身の携帯端末110の機能制限が実行された、すなわちマナーモード設定になったことを認識することができる。
【0056】
ユーザが目的の駅に到着し、ICタグ116を用いて降車する際、ユーザは、ICタグ116を出口(改札)に設置されたリーダライタの通信可能範囲に位置させる。このユーザの動作により、リーダライタとICタグ116との無線通信が確立されると(S168)、機能制限部132は当該携帯端末110の機能制限(マナーモード)を解除する(S170)。
【0057】
以上説明した携帯端末110およびその機能制限方法により、施設または乗物の入口に設置されたリーダライタとICタグ116との無線通信が確立されるだけで、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、当該携帯端末110の機能制限を行うことができる。したがって、ユーザによる機能制限のし忘れを防止し機能制限を徹底することで、公共の施設または乗物におけるマナーおよび安全性を向上することが可能となる。
【0058】
また、制限報知部134の報知により、ユーザは当該携帯端末110の機能が制限されたことを認識することができる。更に、施設または乗物の出口に設置されたリーダライタとICタグ116との無線通信の確立により当該携帯端末110の機能制限を解除するため、ユーザによる制限解除のし忘れを防ぐことができる。
【0059】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態にかかる携帯端末210のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末210は、端末制御部112と、端末メモリ114と、ICタグ116と、表示部118と、操作部120と、音声入力部122と、音声出力部124と、バイブレータ126と、発光部128と、無線通信部130とを含んで構成される。なお、上述した第1実施形態と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0060】
第2実施形態にかかる携帯端末210では、端末制御部112は機能制限部232、所定時間推定部234、およびタイマ236としても機能する。機能制限部232は、リーダライタとICタグ116との無線通信が確立された後、機能制限を承諾するユーザ入力に応じて当該携帯端末210の機能を制限する。また機能制限部232は更に、所定時間が経過し、後述するタイマ236の計時が終了した際に、携帯端末210の機能制限を解除する。
【0061】
所定時間推定部234は、ユーザの移動に要する時間を推測し、その推測した時間に基づき携帯端末210の機能制限を行う時間、すなわち所定時間を決定する。
【0062】
かかる所定時間は、例えばICタグ116に電車の定期券のデータが記憶されている場合であれば、乗車駅と降車駅が特定されているため、その駅間の移動に要する時間とすることができる。駅間の移動に要する時間は、乗車駅から降車駅までの平均的な所要時間としてもよいし、電車の遅延を考慮して、平均的な所要時間に数分を加算した時間とすることも可能である。また例えば飛行機に搭乗する場合であれば、目的地に飛行機が到着する時間が予め定まっているため、飛行機の出発時間から到着時間までとしてもよい。
【0063】
タイマ236は、上記の所定時間を記憶し且つ計時する。これにより機能制限部232は、タイマ236の計時が終了した時点をもって携帯端末210の機能制限を解除することができる。
【0064】
また第2実施形態では、音声出力部124が制限報知部として機能する。制限報知部としての音声出力部124は、機能制限部232が携帯端末210の機能を制限した場合に、音声出力によりユーザに機能制限が行われた旨を報知する。
【0065】
次に、第2実施形態にかかる携帯端末210における機能制限方法を説明する。図7は、第2実施形態にかかる機能制限方法の具体的な処理を説明するフローチャートである。ここでは、乗物として飛行機を例に説明する。なお、第2実施形態における制限報知部は音声出力部124としている。
【0066】
ユーザは携帯端末210に設けられているICタグ116を用いて搭乗口(入口)から搭乗する際、携帯端末210(ICタグ116)を搭乗口に設置されたリーダライタの通信可能範囲に位置させる。これにより、搭乗口のリーダライタとICタグ116との無線通信が確立したら(S260)、機能制限部232は当該携帯端末210の機能が既に制限されている状態であるか、すなわち携帯端末がスリープモードであるかを判定する(S262)。
【0067】
判定の結果、携帯端末210の機能が制限されていない、すなわちスリープモードではない場合、音声出力部124(制限報知部)は、携帯端末210の機能制限の承諾を入力する旨を音声出力によりユーザに報知する(S264)。そして、機能制限部232は、機能制限を承諾する旨の操作部120を介したユーザ入力を受け付けたら(S266)、携帯端末210の機能を制限し(機能制限実行)、スリープモードに設定する(S268)。
【0068】
なお、本実施形態では、現状における一般的な規定として、飛行機内では携帯端末210を「電源オフ」(スリープモード)に設定するとされているため、機能制限部232による機能制限はスリープモード設定としているが、これに限定されるものではない。例えば、飛行機の計器への電波の影響を考慮するだけであれば、機能制限部232による機能制限をオフラインモードとすることも可能である。
【0069】
機能制限部232が機能制限を行った後、音声出力部124(制限報知部)は音声出力により機能制限を実行した旨をユーザに報知し(S270)、所定時間推定部234は所定時間を推定する(S272)。なお、本実施形態では、乗物は飛行機としているため、目的地(到着予定の空港)への到着時間が予め定まっている。したがって、かかる所定時間は、飛行機の出発時間から到着時間までとすることができる。
【0070】
所定時間が推定されたら、タイマ236はその所定時間を記憶し、所定時間の計時を開始する(S274)。そして、タイマ236が所定時間を経過すると(S276)、機能制限部232は、タイマ236の計時が終了した時点をもって目的地へ到着した、すなわち飛行機を降機すると判断し、携帯端末210の機能制限(スリープモード)を解除する(S278)。
【0071】
以上説明した携帯端末210およびその機能制限方法により、ユーザは当該携帯端末210の機能を制限するかどうかを選択することが可能となり、ユーザの利便性を向上することができる。
【0072】
また制限報知部の報知により、ユーザは自らの入力により当該携帯端末210の機能が制限されたことを認識可能である。更に、降機時のリーダライタとICタグ116との無線通信が行われなくとも、機能制限部232が所定時間経過後に制限を解除することが可能であるため、ユーザの制限解除し忘れによる携帯端末210の機能制限の不必要な継続を防止することができる。
【0073】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態にかかる携帯端末310のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末310は、端末制御部112と、端末メモリ114と、ICタグ116と、表示部118と、操作部120と、音声入力部122と、音声出力部124と、バイブレータ126と、発光部128と、無線通信部130とを含んで構成される。なお、上述した第1実施形態および第2実施形態と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0074】
第3実施形態にかかる携帯端末310では、端末制御部112は機能制限部332およびタイマ336としても機能する。機能制限部332は、リーダライタとICタグ116との無線通信が確立された後、機能制限を承諾するユーザ入力に応じて当該携帯端末310の機能を制限する。また機能制限部332は更に、無線通信部130が受信した基地局102からの電波の受信強度が所定のレベル以上であった場合、携帯端末310の機能制限を解除する。
【0075】
なお、携帯端末310の機能制限が行われている場合、無線通信部130の基地局102からの電波の受信は、所定間隔で間欠的に行われる。また、所定のレベルは、例えば受信電界強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を段階的にレベル分けし、その中から所定のレベルを決定し、予め携帯端末に設定することが可能である。
【0076】
タイマ336は、間欠的な受信を行う際の所定間隔の時間を計時する。かかる所定間隔の時間は、予めタイマ336に記憶されていてもよいし、機能制限部232によって設定されてもよい。
【0077】
また第3実施形態では、バイブレータ126は制限報知部として機能する。制限報知部としてのバイブレータ126は、機能制限部332が携帯端末310の機能を制限した場合に、バイブレータ126から当該携帯端末310にバイブレーション振動を与えることによりユーザに機能制限が行われた旨を報知する。
【0078】
次に、第3実施形態にかかる携帯端末310における機能制限方法を説明する。図9は、第3実施形態にかかる機能制限方法の具体的な処理を説明するフローチャートである。ここでは、乗物として飛行機を例示し、制限報知部にバイブレータ126を選択した場合について説明する。なお、上述した第1実施形態および第2実施形態と実質的に同一の動作については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0079】
図7に示した処理と同様の処理で機能制限実行(S268)までを実行した後、バイブレータ126(制限報知部)は、当該携帯端末310にバイブレーション振動を与えることにより機能制限を実行した旨をユーザに報知する(S360)。そして、タイマ336は予め自体に記憶されている所定間隔の時間の計時を開始する(S362)。
【0080】
タイマ336は所定間隔の時間が経過したら計時を終了し(S364)、無線通信部130は基地局102からの電波の受信を行い、受信した信号の受信強度を機能制限部332に転送する(S366)。そして、機能制限部332はかかる電波の受信強度が所定のレベルに達しているか(所定のレベル以上であるか)を判定する(S368)。
【0081】
判定の結果、電波の受信強度が所定のレベルに達していなかった場合、機能制限部332はタイマ336をリセットし、再度起動させ、所定間隔の時間の計時を開始する(S362)。そして、無線通信部130は電波の受信強度が所定のレベル以上となるまで間欠的に受信を行う。電波の受信強度が所定のレベル以上であった場合、機能制限部332は携帯端末310の機能制限(スリープモード)を解除する(S370)。
【0082】
以上説明した携帯端末310およびその機能制限方法では、降機時のリーダライタとICタグ116との無線通信が行われなくとも、無線通信部130が受信する電波の受信強度が所定のレベルに達したときに、機能制限部332は携帯端末310の機能制限を解除し、ユーザによる操作を必要とすることなく携帯端末310の機能制限を解除する。したがって、ユーザの制限解除し忘れを防止し、ユーザの利便性を向上することができる。
【0083】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態にかかる携帯端末410のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末410は、端末制御部112と、端末メモリ114と、ICタグ116と、表示部118と、操作部120と、音声入力部122と、音声出力部124と、バイブレータ126と、発光部128と、無線通信部130と、ワンセグ受信部438とを含んで構成される。なお、上述した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0084】
第4実施形態にかかる携帯端末410では、端末制御部112は機能制限部432、タイマ336、およびチャンネル照合部440としても機能する。機能制限部432は、リーダライタとICタグ116との無線通信が確立された後、機能制限を承諾するユーザ入力に応じて当該携帯端末410の機能を制限する。また機能制限部432は更に、後述するワンセグ受信部438が受信したワンセグ放送のチャンネル割当が、目的地のチャンネル割当と合致した場合、携帯端末410の機能制限を解除する。
【0085】
チャンネル照合部440は、ワンセグ受信部438が受信したワンセグ放送のチャンネル割当と、目的地記憶部442に記憶された目的地のチャンネル割当とを照合する。
【0086】
また端末メモリ114は目的地記憶部442、目的地チャンネル記憶部444としても機能する。かかる目的地記憶部442は、ICタグ116の情報を参照し、乗物によるユーザの移動の目的地を記憶する。目的地記憶部442による目的地の記憶は、例えばICタグ116に電車の定期券のデータが記憶されている場合であれば、記載されている2つの駅のうち、乗車した駅ではないほうの駅を目的地とすることが可能であり、また例えば飛行機に搭乗する場合であれば、出発予定の空港と到着予定の空港がICタグ116に記憶されているため、到着予定の空港を目的地とすることができる。
【0087】
目的地チャンネル記憶部444は、目的地記憶部442が記憶した目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当を記憶する。
【0088】
ワンセグ受信部438は、ワンセグ放送局104から送信されるワンセグ放送を受信する。
【0089】
次に、第4実施形態にかかる機能制限方法の具体的な処理を説明する。図11は、第4実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。ここでは、乗物として飛行機を例示し、制限報知部に発光部128を選択した場合について説明する。なお、上述した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態と実質的に同一の動作については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0090】
図7に示した処理と同様の処理で機能制限実行(S268)までを実行した後、発光部128(制限報知部)は、発光(点灯または点滅)により機能制限を実行した旨をユーザに報知する(S460)。そして、目的地記憶部442はICタグ116を参照し、ICタグ116に記憶されている到着予定の空港を目的地として記憶し、目的地チャンネル記憶部444は、目的地記憶部442が記憶した目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当を記憶する(S462)。
【0091】
タイマ336の計時が終了したら(S364)、ワンセグ受信部438はワンセグ放送局104からのワンセグ放送の受信を行う(S464)。そして、チャンネル照合部440は、受信したワンセグ放送のチャンネル割当と、目的地チャンネル記憶部444に記憶された目的地のワンセグ放送のチャンネル割当とを照合し、合致するかを判定する(S466)。
【0092】
判定の結果、受信したワンセグ放送のチャンネル割当が目的地のワンセグ放送のチャンネル割当でなかった場合、機能制限部432はタイマ336をリセットし、再度起動させ、所定間隔の時間の計時を開始する(S362)。そして、ワンセグ受信部438は、受信したワンセグ放送のチャンネル割当が目的地のワンセグ放送のチャンネル割当と合致するまで間欠的に受信を行う。受信したワンセグ放送のチャンネル割当が目的地のワンセグ放送のチャンネル割当であった場合、機能制限部432は携帯端末410の機能制限(スリープモード)を解除する(S468)。
【0093】
以上説明した携帯端末410およびその機能制限方法では、降機時のリーダライタとICタグ116との無線通信が行われなくとも、ワンセグ受信部438が受信したワンセグ放送のチャンネル割当が、目的地記憶部442に記憶された目的地のチャンネル割当と合致したときに、機能制限部432は携帯端末410の機能制限を解除する。したがって、ユーザの操作を必要とすることなく携帯端末410の機能制限を解除することが可能となり、ユーザの利便性を向上することができる。
【0094】
(第5実施形態)
図12は、第5実施形態にかかる携帯端末510のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。携帯端末510は、端末制御部112と、端末メモリ114と、ICタグ116と、表示部118と、操作部120と、音声入力部122と、音声出力部124と、バイブレータ126と、発光部128と、無線通信部130と、GPS受信部538とを含んで構成される。なお、上述した他の実施形態と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0095】
第5実施形態にかかる携帯端末510では、端末制御部112は機能制限部532、タイマ336、およびGPS照合部540としても機能する。機能制限部532は、リーダライタとICタグ116との無線通信が確立された場合に、当該携帯端末510の機能を制限する。また機能制限部532更には、後述するGPS受信部538がGPS衛星106から受信したGPS信号から導出される当該携帯端末510の位置と、目的地記憶部442に記憶される目的地とが合致した場合、携帯端末510の機能制限を解除する。
【0096】
GPS照合部540は、GPS受信部538が導出した当該無線通信端末510の位置と、目的地記憶部442に記憶される目的地とを照合する。かかる照合は、GPS受信部538が導出した当該無線通信端末510の位置および目的地の緯度および経度が合致するかの照合である。
【0097】
なお、目的地の緯度および経度は、当該携帯端末に予め緯度経度テーブルを備えることにより、かかるテーブルを参照し導出することができ、Webサーバ(図示せず)と通信を行うことにより緯度経度情報を入手することも可能である。
【0098】
GPS受信部538は、GPS衛星106からのGPS信号を受信し、当該無線通信端末510の位置を導出する。
【0099】
次に、第5実施形態にかかる機能制限方法の具体的な処理を説明する。図13は、第5実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。ここでは、乗物としてバスを例示し、制限報知部に表示部118を選択した場合について説明する。なお、上述した他の実施形態と実質的に同一の動作については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0100】
図3に示した処理と同様の処理でユーザへの報知(S166)までを実行し、図11に示した処理と同様の処理でタイマ336の計時終了(S364)までを実行した後、GPS受信部538はGPS衛星106からGPS信号の受信し、かかる信号から当該携帯端末510の現在の位置を導出する(S560)。そして、GPS照合部540は、信号から導出された当該携帯端末510の位置と、目的地記憶部442に記憶される目的地とを照合し、合致するかを判定する(S562)。
【0101】
判定の結果、信号から導出される当該携帯端末510の位置と目的地とが合致しなかった場合、機能制限部532はタイマ336をリセットし、再度起動させ、所定間隔の時間の計時を開始する(S362)。そして、GPS受信部538は、受信した信号から導出される当該携帯端末510の位置と目的地とが合致するまで間欠的に受信を行う。受信した信号から導出される当該携帯端末510の位置と目的地とが合致した場合、機能制限部532は携帯端末510の機能制限(マナーモード)を解除する(S564)。
【0102】
以上説明した携帯端末510およびその機能制限方法では、降車口(出口)にリーダライタが設置されていない乗物に乗車した際に、降車時のICタグ116との無線通信が行われなくとも、GPS受信部538が受信した信号から導出される信号から導出される当該携帯端末510の位置と、目的地記憶部442に記憶される目的地とが合致したときに、機能制限部532は携帯端末510の機能制限を解除することとなる。したがって、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく携帯端末532の機能制限を解除し、ユーザの利便性を向上することができる。
【0103】
なお上記に説明した携帯端末および携帯端末の機能制限方法は、携帯端末が備えるICタグと、施設または乗物の乗口に設置されたリーダライタとの無線通信が確立された場合に、機能制限部は当該携帯端末の機能の制限を実行しているが、これに限定されるものではなく、機能制限部は、無線通信以外にも、赤外線通信の確立や特定周波数の信号音の受信等をトリガとして当該携帯端末の機能制限を実行することも可能である。
【0104】
また本明細書においては乗物への乗車または搭乗を例にして説明したが、かかる例に限定されるものではなく、例えば病院や映画館、美術館等、携帯端末の機能制限が求められる施設においても本発明を適用することが可能である。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0106】
なお、本明細書の携帯端末の機能制限方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、ICタグを用いて、リーダライタの通信可能範囲においてリーダライタとの無線通信を確立可能な携帯端末、および携帯端末の機能制限方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図2】携帯端末を説明するための説明図である。
【図3】第1実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。
【図4】入口におけるリーダライタの設置図である。
【図5】表示部による報知の例を説明する図である。
【図6】第2実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図7】第2実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。
【図8】第3実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図9】第3実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。
【図10】第4実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図11】第4実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。
【図12】第5実施形態にかかる携帯端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図13】第5実施形態にかかる携帯端末における機能制限方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
102 …基地局
104 …ワンセグ放送局
106 …GPS衛星
108 …改札機
108a …リーダライタ
110、210、310、410、510 …携帯端末
112 …端末制御部
114 …端末メモリ
116 …ICタグ
118 …表示部
118a …報知表示
120 …操作部
122 …音声入力部
124 …音声出力部
126 …バイブレータ
128 …発光部
130 …無線通信部
132、232、332、432、532 …機能制限部
234 …所定時間推定部
236、336 …タイマ
438 …ワンセグ受信部
440 …チャンネル照合部
442 …目的地記憶部
444 …目的地チャンネル記憶部
538 …GPS受信部
540 …GPS照合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲において該リーダライタとの無線通信を確立するICタグと、
前記リーダライタと前記ICタグとの無線通信が確立された場合に、前記施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限する機能制限部とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した場合に、その旨を、ユーザに報知する制限報知部を備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲において該リーダライタとの無線通信を確立するICタグと、
前記リーダライタと前記ICタグとの無線通信が確立された場合に、前記施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限すべき旨を、ユーザに報知する制限報知部と、
前記機能の制限を承諾する旨のユーザ入力に応じて、当該携帯端末の機能を制限する機能制限部とを備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
前記制限報知部は更に、前記機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した旨をユーザに報知することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記制限報知部は、前記ICタグを前記リーダライタに翳すときに該リーダライタに対向することが想定される面と相異する面に設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記機能制限部は更に、施設または乗物の出口に設置された前記リーダライタと前記ICタグとの無線通信が確立された場合に、前記機能の制限を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記機能制限部は更に、該機能制限部が当該携帯端末の機能を制限した時点から所定時間経過した後に、該機能の制限を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項8】
前記機能制限部は更に、当該携帯端末の受信強度が所定のレベルに達したときに、前記機能の制限を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項9】
当該携帯端末は、
ユーザの移動の目的地を記憶する目的地記憶部と、
前記目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当を記憶する目的地チャンネル記憶部と、
ワンセグ放送を受信するワンセグ受信部と、
前記ワンセグ受信部が受信したワンセグ放送のチャンネル割当と、前記目的地チャンネル記憶部に記憶された目的地におけるワンセグ放送のチャンネル割当とを照合するチャンネル照合部とを更に備え、
前記機能制限部は、前記チャンネル割当が合致したときに、前記機能の制限を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項10】
当該携帯端末は、
ユーザの移動の目的地を記憶する目的地記憶部と、
GPS衛星からの信号を受信し当該携帯端末の位置を導出するGPS受信部と、
前記信号から導出される当該携帯端末の位置と、目的地記憶部に記憶される目的地とを照合するGPS照合部とを更に備え、
前記機能制限部は、前記位置と目的地とが合致したときに、前記機能の制限を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項11】
前記機能の制限は、マナーモード、オフラインモード、スリープモード、電源切断モードのいずれか1つの状態であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項12】
施設または乗物の入口に設置されたリーダライタの通信可能範囲において、携帯端末に内蔵されるICタグと該リーダライタとの無線通信を確立し、
前記施設または乗物の規定に従って当該携帯端末の機能を制限し、
前記機能を制限した旨をユーザに報知することを特徴とする携帯端末の機能制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−11087(P2010−11087A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168001(P2008−168001)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】