説明

携帯端末装置、その認証方法及びプログラム

【課題】写真を用いた認証を防止し、より精度の高い認証を実現する携帯端末装置、その認証方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】所定の認証を行い、認証が成功した場合に所定のロックを解除する携帯端末装置であって、所定の被写体を撮影する撮像手段と、撮像手段により被写体を撮影する際に、被写体を照光する照光手段と、照光手段により照光された被写体、又は、照光手段により照光された被写体を撮像手段により撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出手段と、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する制御手段と、を有し、制御手段は、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、ロックを解除する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能で撮影した画像を用いて所有者の認証を行う携帯端末装置、その認証方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯端末装置の一例である携帯電話は、個人情報の格納機能や電子マネー機能など、所有者にとってより重要な機能を持ちつつあり、セキュリティのために、所有者の人物認証(ユーザ認証)の重要性が高まってきている。
【0003】
このため、現在、携帯電話においては、所有者の人物認証を行うための様々な認証手段が設けられている。その一例として、携帯電話に付属しているカメラ(撮像機能)を用いて所有者の顔を撮影し、その撮影した顔画像を用いて所有者の認証を行うといった顔認証手段がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−354328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、現状の顔認証手段においては、例えば所有者の写真をカメラで撮影するなどして、顔認証によるセキュリティチェックをすりぬけることが簡単に行えるため、セキュリティ機能としての安全性が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、写真を用いた認証を防止し、より精度の高い認証を実現する携帯端末装置、その認証方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、所定の認証を行い、認証が成功した場合に所定のロックを解除する携帯端末装置であって、所定の被写体を撮影する撮像手段と、撮像手段により被写体を撮影する際に、被写体を照光する照光手段と、照光手段により照光された被写体、又は、照光手段により照光された被写体を撮像手段により撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出手段と、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する制御手段と、を有し、制御手段は、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、ロックを解除する制御を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御手段は、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、ロックを維持する制御を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、撮像手段により被写体を予め撮影し、登録画像として記憶する登録画像記憶手段と、撮像手段により被写体を予め撮影した際に計測された焦点距離を記憶する焦点距離記憶手段と、を有し、制御手段は、焦点距離記憶手段に記憶された焦点距離にて、被写体を撮影するように撮像手段を制御し、撮像手段により撮影された撮影画像と、登録画像記憶手段に記憶された登録画像とを比較し、比較の結果、撮影画像と、登録画像とが同じであると認識した場合、撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出するように検出手段を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、撮像手段により被写体を予め撮影し、登録画像として記憶する登録画像記憶手段と、撮像手段により被写体を予め撮影した際に計測された焦点距離を記憶する焦点距離記憶手段と、を有し、制御手段は、検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、焦点距離記憶手段に記憶された焦点距離にて、被写体を撮影するように撮像手段を制御し、撮像手段により撮影された撮影画像と、登録画像記憶手段に記憶された登録画像とを比較し、比較の結果、撮影画像と、登録画像とが同じであると認識した場合、ロックを解除する制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、制御手段は、撮像手段により被写体を予め撮影した際に、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断し、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、登録画像を登録画像記憶手段に記憶することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、所定の認証を行い、認証が成功した場合に所定のロックを解除する携帯端末装置の認証方法であって、所定の被写体を照光して撮影する第1の撮像ステップと、照光された被写体、又は、第1の撮像ステップで撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出ステップと、検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する変化判断ステップと、変化判断ステップの結果、検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、ロックを解除する制御を行うロック解除ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、変化判断ステップの結果、検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、ロックを維持する制御を行うロック維持ステップを有することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の発明において、第1の撮像ステップの前に、被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶ステップと、被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶ステップと、焦点距離記憶ステップで記憶した焦点距離にて、被写体を撮影する第2の撮像ステップと、第2の撮像ステップで撮影した撮影画像と、登録画像記憶ステップで記憶した登録画像とを比較する比較ステップと、を有し、比較ステップの結果、撮影画像と、登録画像とが同じである場合、検出ステップにて、撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項6又は7記載の発明において、第1の撮像ステップの前に、被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶ステップと、被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶ステップと、変化判断ステップの結果、検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、焦点距離記憶ステップで記憶した焦点距離にて、被写体を撮影する第2の撮像ステップと、第2の撮像ステップで撮影した撮影画像と、登録画像記憶ステップで記憶した登録画像とを比較する比較ステップと、を有し、比較ステップの結果、撮影画像と、登録画像とが同じである場合、ロック解除ステップにて、ロックを解除することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項6から9のいずれか1項に記載の発明において、被写体を予め撮影した際に、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断する条件判断ステップを有し、条件判断ステップの結果、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、登録画像記憶ステップにて、登録画像を所定の記憶領域に記憶することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、所定の認証を行い、認証が成功した場合に所定のロックを解除するためのプログラムであって、所定の被写体を照光して撮影する第1の撮像処理と、照光された被写体、又は、第1の撮像処理で撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出処理と、検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する変化判断処理と、変化判断処理の結果、検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、ロックを解除する制御を行うロック解除処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、変化判断処理の結果、検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、ロックを維持する制御を行うロック維持処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項11又は12記載の発明において、第1の撮像処理の前に、被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶処理と、被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶処理と、焦点距離記憶処理で記憶した焦点距離にて、被写体を撮影する第2の撮像処理と、第2の撮像処理で撮影した撮影画像と、登録画像記憶処理で記憶した登録画像とを比較する比較処理と、を有し、比較処理の結果、撮影画像と、登録画像とが同じである場合、検出処理にて、撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出することをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項11又は12記載の発明において、第1の撮像処理の前に、被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶処理と、被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶処理と、変化判断処理の結果、検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、焦点距離記憶処理で記憶した焦点距離にて、被写体を撮影する第2の撮像処理と、第2の撮像処理で撮影した撮影画像と、登録画像記憶処理で記憶した登録画像とを比較する比較処理と、を有し、比較処理の結果、撮影画像と、登録画像とが同じである場合、ロック解除処理にて、ロックを解除することをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項11から14のいずれか1項に記載の発明において、被写体を予め撮影した際に、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断する条件判断処理を有し、条件判断処理の結果、登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、登録画像記憶処理にて、登録画像を所定の記憶領域に記憶することをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、写真を用いた認証を防止し、より精度の高い認証を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る携帯端末装置の一例である携帯電話の回路構成の要部について示した図である。
【0024】
本実施例の携帯電話11は、CPU(中央処理装置)12を搭載しており、CPU12はバス13を介して携帯電話内の各部と接続されている。
【0025】
ROM14は、本発明では顔認証エンジン15を有し、CPU12が実行するための各種の制御用プログラムや、各種表示データなどの固定的データを格納しているリード・オンリ・メモリである。なお、ここでの説明では、人物認証の一例として、顔認証について説明する。
【0026】
RAM16は、CPU12がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納しているRAM(ランダム・アクセス・メモリ)によって構成されている。本発明では、予め登録する顔認証用画像データ(登録画像)17、撮影時に記憶する焦点距離18、顔認証を行う都度に撮影する顔認証時撮影画像データ(認証時撮影画像)19が格納される。
【0027】
入力部24は、各種キー25からのキー入力を検知する回路である。
【0028】
また、本実施例の携帯電話11は、上記各部に加えて、無線電波の送受信を行う無線部20と、それらの音声処理などの通信制御やメモリ管理などを行う制御部21と、被写体を撮影するためのカメラモジュール(以下、単にカメラともいう)22と、撮影時に被写体を照光するためのライト26と、カメラファインダーや前述のRAM16に格納されたデータなどを表示するLCD23と、を有する。カメラモジュール22、LCD23、ライト26は、制御部21により制御される。
【0029】
以下、上記のように構成された本発明の携帯電話11の動作について、図2,3,4を用いて詳細に説明する。
【0030】
まず、図2に、顔認証時に用いられる顔認証用画像データ17を予め登録する動作の処理フローを示す。
【0031】
携帯電話11の使用者(所有者)は、LCD23に表示される画面を見ながら、キー25による操作を行い、機能選択で「顔認証機能」を起動する(ステップS1)。
【0032】
初回の「顔認証機能」起動時は、顔認証時において比較対象となる顔認証用データが登録されていないため、使用者が所望の顔認証用画像データ(登録画像)17を撮影し、それを携帯電話11内のRAM16に格納(登録)することが必要となる。
【0033】
比較用の顔認証用画像データ17を撮影するためにカメラ22が起動し(ステップS2)、目や鼻の位置をガイド枠に合わせるなどのサポート機能を使用し、オートフォーカスモードで撮影を行う(ステップS3)。
【0034】
その際、カメラ22ではレンズと被写体との焦点距離を計測し(ステップS4)、被写体を撮影する(ステップS5)。
【0035】
ピントのずれやガイドから顔のパーツがはみ出していないか等、登録にあたりその撮影データに問題がないかどうか、すなわち、予め設定された条件(サイズ、解像度などの条件)を満たしているか否かを判断し(ステップS6)、問題がなければ(ステップS6/YES)、そのままその撮影データを顔認証用画像データ(登録画像)17としてRAM16に登録し、ステップS4にて計測した焦点距離18を所定の記憶エリア(ここではRAM16)に保存する(ステップ7)。
【0036】
撮影データが、登録が困難なデータである場合(ステップS6/NO)、再度焦点距離を計測し(ステップS4)、撮影を行う(ステップS5)。ユーザが任意にこの顔認証機能(ここでは、顔認証用画像データ17の登録)を終了しない限りは、正常に登録できるまで撮影を行う。
【0037】
図3に、図2で登録した顔認証用画像データ17を基にして、実際に顔認証を行う動作の処理フローを示す。なお、以下の説明では、携帯電話11は、顔認証用画像データ17の登録が済んでおり、また、所定のロックが掛けられており、そのロックは、顔認証の成功により解除されるように設定されている。
【0038】
携帯電話11の使用者(所有者)が、キー25の操作等、携帯電話11を使用しようとすると、顔認証機能が起動する(ステップS11)。その際、顔認証を行うためにカメラ機能が起動するが、ここで、図2のステップS7でRAM16に記憶した焦点距離18を読み込み(ステップS12)、読み込んだ焦点距離にてカメラ22が起動する(ステップS13)。
【0039】
カメラ22で被写体の撮影を行う(ステップS14)。この撮影の時、ライト26が起動し、被写体を照光する。
【0040】
この撮影により取得される顔認証時撮影画像データ(認証時撮影画像)19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とを比較する(ステップS15)。
【0041】
ここで、図3のステップS14及びステップS15での詳細について、図4を用いて詳細に説明する。
【0042】
〔ケースA〕
ステップS14において、被写体として実物の人物が撮影され、その実物の人物が顔認証用画像データ17の人物と同じである場合は、図2のステップS7で予め計測・保存した焦点距離18(仮に「距離a」とする)と同じ距離aで撮影すれば、ステップS14で撮影された顔認証時撮影画像データ19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とが同じであると認識(判断)する。
【0043】
〔ケースB〕
ステップS14において、被写体として写真が撮影され、その写真の人物が顔認証用画像データ17と同じであっても、写真の顔は実物よりも小さいため、焦点距離aにて焦点が合致しても顔の大きさが異なるため、ステップS14で撮影された顔認証時撮影画像データ19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とが同じであると認識(判断)しない。
【0044】
〔ケースC〕
ステップS14において、被写体として写真が撮影され、この写真を、顔認証用画像データ17の顔の大きさと同じにするために、カメラ22をより近づけて顔を大きくして撮影した場合(このときの焦点距離を仮に「距離b」とする)、予め計測・保存された焦点距離18は「距離a」であり、「距離b」では焦点の合わない写真が撮影されるため、ステップS14で撮影された顔認証時撮影画像データ19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とが同じであると認識(判断)しない。
【0045】
そして、ステップS15での比較の結果、上記ケースB,Cのように、ステップS14で撮影された顔認証時撮影画像データ19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とが同じではないと認識した場合(ステップS15/NO)、再度被写体の撮影モードに遷移する(ステップS14)。
【0046】
一方、ステップS15での比較の結果、上記ケースAのように、ステップS14で撮影された顔認証時撮影画像データ19と、RAM16に格納されている顔認証用画像データ17とが同じであると認識した場合(ステップS15/YES)、次に、顔認証時撮影画像データ19のコントラスト(比)及び明るさを検出し、それら検出結果に基づいて、その顔認証時撮影画像データ19が実物を撮影したものか又は写真を撮影したものかの判断を行う(ステップS16)。ここで再度判断を行う理由は、上記ケースAでは被写体として実物の人物を撮影したものとして説明したが、上記ケースAのように被写体として実物の人物を撮影しなくても、例えば、図5に示すように、その実物の人物の顔と同じ大きさ(予め登録された顔認証用画像データ17の人物の顔と同じ大きさ)の、その人物の顔の写真を、焦点距離aを保ちながら撮影すれば、顔認証時撮影画像データ19と顔認証用画像データ17とが同じであると認識してしまうので、このような写真による顔認証を防ぐためである。よって、本発明では、ステップS15とステップS16の2段階の判断を行うことにより、写真を用いた顔認証を、より確実に防ぐことができる。なお、ここでの説明では、ステップS15、ステップS16の順としたが、ステップS16の後に、ステップS15を行うようにしてもよい(この場合、図3において、ステップS15とステップS16を入れ替える)。
【0047】
ステップS16での判断では、顔認証時撮影画像データ19において、コントラスト及び明るさに変化があるかどうかを判断する。判断の結果、コントラスト及び明るさの両方に変化がある場合は、実物を撮影したものであると判断し(ステップS16/YES)、顔認証が成功したことになり、ロックが解除される(ステップS17)。
【0048】
一方、判断の結果、コントラスト及び明るさの両方に変化がない場合は、写真を撮影したものであると判断し(ステップS16/NO。写真を撮影すると、画像全体が明るくなるのみで、コントラストに変化はないため)、顔認証が失敗したことになり、ロックを維持したまま、再度被写体の撮影モードに遷移する(ステップS14)。あるいは、ロックを維持したまま、顔認証が失敗した旨をLCD23に表示し、一連の処理を終了してもよい。
【0049】
なお、上記説明では、図3において、ステップS15と、ステップS16の2段階で判断を行うようにしたが、ステップS15は行わずに、ステップS16のみを行うようにしてもよい。例えば、ステップS14での撮影前に、ライトを被写体(実物又は写真)に当てて、カメラ22又は図示しない所定のセンサなどにより被写体自体のコントラスト及び明るさをカメラ22で検出し、その検出結果に基づいてステップS16の判断を行う、あるいは、ステップS14の撮影時に、ライトを被写体(実物又は写真)に当てて撮影し、撮影された顔認証時撮影画像データ19のコントラスト及び明るさをカメラ22で検出し、その検出結果に基づいてステップS16の判断を行う。この場合では、顔認証を行わないことになるが、写真を用いた認証自体は排除できる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、顔認証時に撮影した画像データにおけるコントラスト及び明るさに基づいて、その画像データが実物を撮影したものかあるいは写真を撮影したものかを判断するので、写真を撮影することによる顔認証を確実に防止することができる。
【0051】
また、予め顔認証用画像データを撮影する際に、カメラと被写体との焦点距離を記憶することにより、同じ被写体を同じ焦点距離で撮影しない限り顔認証が正常に行われないことになり、精度の高い顔認証機能を提供することができる。
【0052】
また、認識エンジン自体の精度が向上すれば相乗的に本機能の効果も高まることが期待される。
【0053】
また、撮影焦点距離について一度決定したものを変更したい場合は、任意のメニューより、顔認証または暗証番号を入力した上で撮影をし、焦点距離を変更することを可能とすれば、焦点距離変更時もセキュリティ効果が高いまま変更することができる。
【0054】
以上の説明では、携帯電話機でカメラ機能を使用することによる顔認証機能の説明をしたが、PHS等の他の携帯端末装置でもカメラ機能と顔認証機能を有していれば同様の処理を行うことが可能である。
【0055】
また、顔認証用画像撮影時に目の位置などを収めるガイドを大小サイズで数種類持たせ、その中から任意のフレームを選択することにより、撮影した本人は大体どのくらいの距離であるか、どの程度の顔の大きさで認証を行うのかを知ることができるが、認識の無い第三者にとっては焦点距離と撮影する顔の大きさに対する秘密性が高く、より顔認証機能の精度を向上することができる。
【0056】
更に本発明では、予め焦点距離をある一定に定めた状態のレンズを具備させても同様の効果が得られる。
【0057】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末装置であって、カメラ機能を有し、顔認証によるセキュリティ機能をもつ装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る携帯電話の事前画像登録動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る携帯電話の顔認証動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る携帯電話の顔認証時における顔画像の撮影の各例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に係る携帯電話の顔認証時における顔画像の撮影の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
11 携帯電話(携帯端末装置)
12 CPU(制御手段)
13 バス
14 ROM
15 顔認証エンジン
16 RAM
17 顔認証用画像データ
18 焦点距離
19 顔認証時撮影画像データ
20 無線部
21 制御部
22 カメラモジュール(撮像手段)
23 LCD
24 入力部
25 キー
26 ライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の認証を行い、該認証が成功した場合に所定のロックを解除する携帯端末装置であって、
所定の被写体を撮影する撮像手段と、
該撮像手段により前記被写体を撮影する際に、該被写体を照光する照光手段と、
該照光手段により照光された被写体、又は、該照光手段により照光された被写体を前記撮像手段により撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出手段と、
該検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記ロックを解除する制御を行うことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、前記ロックを維持する制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記撮像手段により前記被写体を予め撮影し、登録画像として記憶する登録画像記憶手段と、
前記撮像手段により前記被写体を予め撮影した際に計測された焦点距離を記憶する焦点距離記憶手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記焦点距離記憶手段に記憶された焦点距離にて、前記被写体を撮影するように前記撮像手段を制御し、
前記撮像手段により撮影された撮影画像と、前記登録画像記憶手段に記憶された登録画像とを比較し、
該比較の結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じであると認識した場合、該撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出するように前記検出手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記撮像手段により前記被写体を予め撮影し、登録画像として記憶する登録画像記憶手段と、
前記撮像手段により前記被写体を予め撮影した際に計測された焦点距離を記憶する焦点距離記憶手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記検出手段により検出されたコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記焦点距離記憶手段に記憶された焦点距離にて、前記被写体を撮影するように前記撮像手段を制御し、
前記撮像手段により撮影された撮影画像と、前記登録画像記憶手段に記憶された登録画像とを比較し、
該比較の結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じであると認識した場合、前記ロックを解除する制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記撮像手段により前記被写体を予め撮影した際に、前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断し、
前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、該登録画像を前記登録画像記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
所定の認証を行い、該認証が成功した場合に所定のロックを解除する携帯端末装置の認証方法であって、
所定の被写体を照光して撮影する第1の撮像ステップと、
該照光された被写体、又は、該第1の撮像ステップで撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出ステップと、
該検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する変化判断ステップと、
該変化判断ステップの結果、前記検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記ロックを解除する制御を行うロック解除ステップと、
を有することを特徴とする携帯端末装置の認証方法。
【請求項7】
前記変化判断ステップの結果、前記検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、前記ロックを維持する制御を行うロック維持ステップを有することを特徴とする請求項6記載の携帯端末装置の認証方法。
【請求項8】
前記第1の撮像ステップの前に、前記被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶ステップと、
前記被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶ステップと、
前記焦点距離記憶ステップで記憶した焦点距離にて、前記被写体を撮影する第2の撮像ステップと、
該第2の撮像ステップで撮影した撮影画像と、前記登録画像記憶ステップで記憶した登録画像とを比較する比較ステップと、を有し、
該比較ステップの結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じである場合、前記検出ステップにて、該撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出することを特徴とする請求項6又は7記載の携帯端末装置の認証方法。
【請求項9】
前記第1の撮像ステップの前に、前記被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶ステップと、
前記被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶ステップと、
前記変化判断ステップの結果、前記検出ステップで検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記焦点距離記憶ステップで記憶した焦点距離にて、前記被写体を撮影する第2の撮像ステップと、
前記第2の撮像ステップで撮影した撮影画像と、前記登録画像記憶ステップで記憶した登録画像とを比較する比較ステップと、を有し、
該比較ステップの結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じである場合、前記ロック解除ステップにて、前記ロックを解除することを特徴とする請求項6又は7記載の携帯端末装置の認証方法。
【請求項10】
前記被写体を予め撮影した際に、前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断する条件判断ステップを有し、
該条件判断ステップの結果、前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、前記登録画像記憶ステップにて、該登録画像を所定の記憶領域に記憶することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の携帯端末装置の認証方法。
【請求項11】
所定の認証を行い、該認証が成功した場合に所定のロックを解除するためのプログラムであって、
所定の被写体を照光して撮影する第1の撮像処理と、
該照光された被写体、又は、該第1の撮像処理で撮影した撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出する検出処理と、
該検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化があるか否かを判断する変化判断処理と、
該変化判断処理の結果、前記検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記ロックを解除する制御を行うロック解除処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記変化判断処理の結果、前記検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がない場合、前記ロックを維持する制御を行うロック維持処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記第1の撮像処理の前に、前記被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶処理と、
前記被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶処理と、
前記焦点距離記憶処理で記憶した焦点距離にて、前記被写体を撮影する第2の撮像処理と、
該第2の撮像処理で撮影した撮影画像と、前記登録画像記憶処理で記憶した登録画像とを比較する比較処理と、を有し、
該比較処理の結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じである場合、前記検出処理にて、該撮影画像のコントラスト比及び明るさを検出することをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11又は12記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1の撮像処理の前に、前記被写体を予め撮影した画像を登録画像として記憶する登録画像記憶処理と、
前記被写体を予め撮影した際に計測した焦点距離を記憶する焦点距離記憶処理と、
前記変化判断処理の結果、前記検出処理で検出したコントラスト比及び明るさの両方に変化がある場合、前記焦点距離記憶処理で記憶した焦点距離にて、前記被写体を撮影する第2の撮像処理と、
前記第2の撮像処理で撮影した撮影画像と、前記登録画像記憶処理で記憶した登録画像とを比較する比較処理と、を有し、
該比較処理の結果、該撮影画像と、該登録画像とが同じである場合、前記ロック解除処理にて、前記ロックを解除することをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11又は12記載のプログラム。
【請求項15】
前記被写体を予め撮影した際に、前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしているか否かを判断する条件判断処理を有し、
該条件判断処理の結果、前記登録画像が予め設定された所定の条件を満たしている場合、前記登録画像記憶処理にて、該登録画像を所定の記憶領域に記憶することをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−262475(P2008−262475A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105986(P2007−105986)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】