説明

携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラム

【課題】警報出力の誤動作を回避可能な携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】無線機10から受信した電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する携帯端末装置20であって、無線機10から送信される電波の受信レベルを測定する受信レベル測定部と、前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、今回測定した電波の受信レベルと設定された第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、今回測定した電波の受信レベルが設定された第1の閾値又は第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラムに係り、特に電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯端末装置の一例である携帯電話の置き忘れ防止対策として、受信モジュールを搭載した携帯電話(親機)と、無線機の一例である子機との間で定期通信を行うことにより、親機と子機とが一定距離以上離れると、親機のアラーム等の警報が鳴動するシステムが従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このシステムは、子機が電波を送信し、親機が子機からの電波を受信し、受信した電波の信号強度(以下、RSSIという)を観測することで、RSSIがある一定レベル以下になったときに警報を鳴動させる仕組みとなっている。
【特許文献1】特開2007−19748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実使用を考えた場合、上記のような従来のシステムは親機を金属上に置いたとき(アンテナ特性が著しく劣化するため)や親機と子機とのアンテナの放射パターンがちょうどヌル同士の関係になったとき等の条件において、瞬時に著しくRSSIが低下することが予想される。したがって、上記のような従来のシステムは親機を置き忘れた状況以外でもRSSIがある一定レベル(閾値)以下になってしまう場合があり、誤動作により警報が鳴動してしまうという問題があった。なお、引用文献1に記載されている従来のシステムではRSSIの急激な変動に対応できず、誤動作により警報が鳴動してしまうという問題を解消できない。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みなされたもので、警報出力の誤動作を回避可能な携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明の一実施形態は、無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する携帯端末装置であって、前記無線機から送信される電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部とを有することを特徴とする。
【0007】
なお、本発明の一実施形態の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
上述の如く、本発明の一実施形態によれば、警報出力の誤動作を回避可能な携帯端末装置、無線機、情報処理装置及び置き忘れ防止プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【実施例1】
【0010】
図1は置き忘れ防止システムの第1実施例のシステム構成図である。図1の置き忘れ防止システム1は、子機10及び親機20を有する構成である。子機10は無線機の一例である。親機20は携帯端末装置の一例としての携帯電話である。置き忘れ防止システム1は、使用者が子機10を例えば衣服のポケット等に入れて携帯しておき、親機20から一定距離以上離れたときに親機20の警報を出力させることで、親機20の置き忘れを防止するものである。
【0011】
子機10は送信部11,制御部12及び置き忘れ防止機能用アンテナ13を有する構成である。親機20は受信モジュール21,無線部22,携帯電話制御部23,ブザー等の外部出力24,キー等の入力部25及び携帯電話用アンテナ27を有する構成である。受信モジュール21は、置き忘れ防止機能用アンテナ26,受信部28及び置き忘れ制御部29を有する構成である。
【0012】
子機10は制御部12が送信部11を制御し、所定時間毎に(一定の間隔で)子機10の固有情報を含んだ変調波を置き忘れ防止機能用アンテナ13から送信する。親機20は置き忘れ制御部29が受信部28を制御し、子機10からの電波を置き忘れ防止機能用アンテナ26で受信する。
【0013】
置き忘れ制御部29は、子機10から受信した電波の信号強度(RSSI)を監視している。RSSIが閾値以下(圏外)になると、置き忘れ制御部29は携帯電話制御部23経由で外部出力24にブザー等の警報を出力(鳴動)させる。
【0014】
図2は置き忘れ制御部の一例のブロック図である。置き忘れ制御部29は、受信レベル測定部31,閾値設定部32,警報出力要求部33及び受信レベル保存部34を有する構成である。受信レベル測定部31は子機10から受信した電波のRSSIを測定し、受信レベル保存部34に保存する。閾値設定部32は後述のように閾値を変化させて、警報の誤動作を回避する。警報出力要求部33は子機10から受信した電波のRSSIが閾値以下になると、携帯電話制御部23経由で外部出力24にブザー等の警報を出力させる。
【0015】
ここでは、閾値設定部32が警報の誤動作を回避するため、閾値を変化させる内容について説明する。例えば親機20を金属上に置いたときや子機10の置き忘れ防止機能用アンテナ13と親機20の置き忘れ防止機能用アンテナ26との放射パターンがちょうどヌル同士の関係になったとき等、子機10から受信した電波のRSSIが瞬時に大きく変動するような条件のとき、子機10から受信した電波のRSSIは20dB以上低下すると考えられる。なお、20dBという値は一例である。
【0016】
一方、人間の歩行スピードと電波の伝播損失とを考えたとき、子機10から受信した電波のRSSIは、せいぜい数dB/秒程度の低下であると考えられ、瞬時にRSSIが20dB以上も急激に低下することは考えられない。
【0017】
そこで、置き忘れ制御部29は単位時間辺りのRSSI変動量を観測することで、子機10を携帯している使用者が親機20から遠ざかり、伝播損失が増加したことによるRSSIの低下か、親機20を金属上に置いたときや子機10の置き忘れ防止機能用アンテナ13と親機20の置き忘れ防止機能用アンテナ26との放射パターンがちょうどヌル同士の関係になったとき等、劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下かを判別する。
【0018】
閾値設定部32は、劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下であると判別した場合、使用者が親機20から遠ざかり、伝播損失が増加したことによるRSSIの低下であると判別した場合の閾値よりも例えば20dB小さい閾値を設定することにより警報の誤動作を回避する。また、閾値設定部32は子機10から受信した電波のRSSIが急激に回復した場合、劣悪環境下から親機20が解放されたと判断し、使用者が親機20から遠ざかり、伝播損失が増加したことによるRSSIの低下であると判別した場合の閾値に戻す。
【0019】
このように、閾値設定部32は伝播損失が増加したことによるRSSIの低下か、劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下かを判別し、その判別結果に基づいて閾値を変更することにより、警報の誤動作を回避できる。
【0020】
図3は、置き忘れ制御部の処理手順を表した一例のフローチャートである。ステップS1に進み、受信レベル測定部31は、子機10から受信した電波のRSSI(1)を測定する。ステップS2に進み、受信レベル測定部31は測定したRSSI(1)を受信レベル保存部34に保存する。
【0021】
ステップS3に進み、警報出力要求部33はステップS2で保存したRSSI(1)と閾値とを比較する。なお、閾値の初期値は、使用者が親機20から遠ざかり、伝播損失が増加したことによるRSSIの低下であると判別した場合の閾値(1)である。
【0022】
ステップS2で保存したRSSI(1)が閾値より低ければ、警報出力要求部33はステップS4に進み、携帯電話制御部23経由で外部出力24にブザー等の警報を出力させる。ステップS5に進み、置き忘れ制御部29は携帯電話制御部23経由でキー等の入力部25からの使用者による操作に基づき、リセットされたあと、ステップS1に戻る。
【0023】
ステップS2で保存したRSSI(1)が閾値より高ければ、ステップS6に進み、受信レベル測定部31は子機10から受信した電波のRSSI(2)が受信レベル保存部34に保存されていないかを判定する。
【0024】
子機10から受信した電波のRSSI(2)が受信レベル保存部34に保存されていなければ、受信レベル測定部31はステップS7に進み、子機10から受信した電波のRSSI(2)を測定する。ステップS8に進み、受信レベル測定部31は、測定したRSSI(2)を受信レベル保存部34に保存する。
【0025】
ステップS9に進み、閾値設定部32はステップS2で受信レベル保存部34に保存したRSSI(1)とステップS8で受信レベル保存部34に保存したRSSI(2)との差を算出し、算出した差が20dB以内であるか否かを判定する。算出した差が20dB以内であれば、閾値設定部32はステップS10に進み、閾値(1)を設定する。算出した差が20dB以内でなければ、閾値設定部32はステップS11に進み、閾値(2)を設定する。なお、閾値(2)は劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下であると判別した場合の閾値である。
【0026】
また、ステップS6において、子機10から受信した電波のRSSI(2)が受信レベル保存部34に保存されていれば、閾値設定部32はステップS15に進み、受信レベル保存部34に保存したRSSI(1)とRSSI(2)との差を算出し、算出した差が20dB以内であるか否かを判定する。算出した差が20dB以内であれば、閾値設定部32はステップS16に進み、閾値(1)を設定する。算出した差が20dB以内でなければ、閾値設定部32はステップS17に進み、閾値(2)を設定する。
【0027】
ステップS10,S11,S16及びS17に続いてステップS12に進み、警報出力要求部33は受信レベル保存部34に保存したRSSI(2)と、ステップS10,S11,S16及びS17の何れかで設定された閾値(1)又は閾値(2)とを比較する。
【0028】
受信レベル保存部34に保存したRSSI(2)が、ステップS10,S11,S16及びS17の何れかで設定された閾値(1)又は閾値(2)より低ければ、警報出力要求部33はステップS13に進み、携帯電話制御部23経由で外部出力24にブザー等の警報を出力させる。ステップS14に進み、置き忘れ制御部29は携帯電話制御部23経由でキー等の入力部25からの使用者による操作に基づき、リセットされたあと、ステップS1に戻る。受信レベル保存部34に保存したRSSI(2)が、ステップS10,S11,S16及びS17の何れかで設定された閾値(1)又は閾値(2)より高ければ、置き忘れ制御部29はステップS1に戻る。
【0029】
図3のフローチャートに示したように、置き忘れ制御部29は受信レベル保存部34を有しており、測定されたRSSI(1)とRSSI(2)とを交互に保存している。RSSI(1)は前回測定した電波の受信レベルの一例である。RSSI(2)は今回測定した電波の受信レベルの一例である。
【0030】
閾値設定部32は、保存されているRSSI(1)とRSSI(2)とを比較し、両者の差が20dB以内であれば閾値(1)を設定して警報出力要求部33に利用させ、両者の差が20dB以上であれば閾値(2)を設定して警報出力要求部33に利用させる。閾値(1)と閾値(2)とは、閾値(1)>閾値(2)という関係である。閾値(2)は劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下であると判別した場合の閾値であり、警報が誤動作しない値に設定される。
【0031】
図4は置き忘れ防止システムの動作を説明する為の説明図である。図4(B)は金属上に置いたときや子機10の置き忘れ防止機能用アンテナ13と親機20の置き忘れ防止機能用アンテナ26との放射パターンがちょうどヌル同士の関係になったとき等、劣悪環境下における置き忘れ防止システムの動作を表している。また、図4(A)は劣悪環境下以外のノーマル環境下における置き忘れ防止システムの動作を表している。
【0032】
なお、図4ではノーマル環境下の閾値(1)を−80dBmに設定し、劣悪環境下の閾値(2)を−100dBmに設定している。図4(A)では子機10から受信した電波のRSSIが−70dBmであるので、閾値(1)の−80dBmより大きく、警報が動作しない。
【0033】
もし、図4(A)に示したノーマル環境下の閾値(1)、子機10と親機20との距離関係のまま、親機20を板金上に置いた場合は、親機20が劣悪環境下となる。親機20は例えば置き忘れ防止機能用アンテナ26のアンテナ特性が20dB劣化し、子機10から受信した電波のRSSIが−90dBmとなる。したがって、親機20は子機10から受信した電波のRSSIが閾値(1)より10dB低下し、警報が誤動作してしまう。
【0034】
そこで、図4(B)に示すように、親機20は劣悪環境下に置かれると、劣悪環境下の閾値(2)を利用する。親機20は例えば置き忘れ防止機能用アンテナ26のアンテナ特性が20dB劣化し、子機10から受信した電波のRSSIが−90dBmとなるが、閾値(2)の−100dBmより10dB大きく、警報が誤動作しない。
【0035】
実施例1では受信側である親機20が劣悪環境に置かれた場合を説明したが、子機10が劣悪環境に置かれた場合も同様である。このように、実施例1の置き忘れ防止システム1は警報の誤動作を回避でき、信頼性を高めることができる。
【実施例2】
【0036】
図5は置き忘れ防止システムの第2実施例のシステム構成図である。図5の置き忘れ防止システム1は、一部を除いて図1の置き忘れ防止システム1と同一であるため、同一部分について同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0037】
図5の置き忘れ防止システム1は、図1の置き忘れ防止システム1と同様、子機10及び親機20を有する構成である。子機10は受信部51,置き忘れ制御部52,置き忘れ防止機能用アンテナ53及び外部出力58を有する構成である。受信部51,置き忘れ制御部52及び置き忘れ防止機能用アンテナ53は、図1の置き忘れ防止システム1の受信部28,置き忘れ制御部29及び置き忘れ防止機能用アンテナ26に対応する。
【0038】
親機20は、送信モジュール54,無線部22,携帯電話制御部23,ブザー等の外部出力24,キー等の入力部25及び携帯電話用アンテナ27を有する構成である。送信モジュール54は送信部55,制御部56及び置き忘れ防止機能用アンテナ57を有する構成である。送信部55,制御部56及び置き忘れ防止機能用アンテナ57は、図1の置き忘れ防止システム1の送信部11,制御部12及び置き忘れ防止機能用アンテナ13に対応する。
【0039】
親機20は制御部56が送信部55を制御し、所定時間毎に(一定の間隔で)親機20の固有情報を含んだ変調波を置き忘れ防止機能用アンテナ57から送信する。子機10は置き忘れ制御部52が受信部51を制御し、親機20からの電波を置き忘れ防止機能用アンテナ53で受信する。
【0040】
置き忘れ制御部52は、親機20から受信した電波の信号強度(RSSI)を監視している。RSSIが閾値以下になると、置き忘れ制御部52は外部出力58にブザー等の警報を出力(鳴動)させる。なお、置き忘れ制御部52のブロック図は図2のブロック図と同様であり、説明を省略する。置き忘れ制御部52の処理手順も図3のフローチャートと同様であり、説明を省略する。
【0041】
このように、子機10の置き忘れ制御部52は伝播損失が増加したことによるRSSIの低下か、劣悪環境下に親機20が置かれたことによるRSSIの低下かを判別し、その判別結果に基づいて閾値を変更することにより、警報の誤動作を回避できる。
【0042】
なお、実施例1と同様、実施例2は受信側である子機10が劣悪環境に置かれた場合であっても、送信側である親機20が劣悪環境に置かれた場合であっても対応できる。このように、実施例2の置き忘れ防止システム1は警報の誤動作を回避でき、信頼性を高めることができる。
【実施例3】
【0043】
図6は置き忘れ防止システムの第3実施例のシステム構成図である。図6の置き忘れ防止システム1は、子機10及び親機60を有する構成である。子機10は無線機の一例である。親機60は、情報処理装置の一例としてのパーソナルコンピュータ(以下、PCという)である。使用者は子機10を例えば衣服のポケット等に入れて携帯しておき、親機60から一定距離以上離れたときに親機60の警報を出力させることで、親機60の置き忘れを防止するものである。
【0044】
子機10は送信部11,制御部12及び置き忘れ防止機能用アンテナ13を有する構成である。親機60は受信モジュール21を有する構成である。なお、受信モジュール21は、親機60に予め内蔵されているものであっても、親機60とデータ通信可能に接続可能なPCカードや外部機器などであってもよい。
【0045】
受信モジュール21は、置き忘れ防止機能用アンテナ26,受信部28及び置き忘れ制御部29を有する構成である。子機10は制御部12が送信部11を制御し、所定時間毎に(一定の間隔で)子機10の固有情報を含んだ変調波を置き忘れ防止機能用アンテナ13から送信する。親機60は置き忘れ制御部29が受信部28を制御し、子機10からの電波を置き忘れ防止機能用アンテナ26で受信する。
【0046】
置き忘れ制御部29は、子機10から受信した電波の信号強度(RSSI)を監視している。RSSIが閾値以下(圏外)になると、置き忘れ制御部29は親機60にブザー等の警報を出力(鳴動)させる。なお、置き忘れ制御部29は送信モジュール21が外部出力(図示せず)を有する構成であれば、外部出力にブザー等の警報を出力(鳴動)させてもよい。
【0047】
なお、置き忘れ制御部29のブロック図は図2のブロック図と同様であり、説明を省略する。置き忘れ制御部29の処理手順も図3のフローチャートと同様であり、説明を省略する。
【0048】
図6では送信モジュール21が置き忘れ制御部29を有する構成であるが、親機60で実行される置き忘れ防止プログラムにより置き忘れ制御部29を実現してもよい。図7は置き忘れ防止プログラムにより置き忘れ制御部を実現するPCの一例のハードウェア構成図である。
【0049】
親機60は、バスBで相互に接続されている入力装置61,出力装置62,ドライブ装置63,補助記憶装置64,主記憶装置65,演算処理装置66およびインターフェース装置67を含むように構成されている。
【0050】
入力装置61はキーボードやマウスなどで構成され、各種信号を入力するために用いられる。出力装置62はディスプレイ装置などで構成され、各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インターフェース装置67は、例えば受信モジュール21に接続する為に用いられる。
【0051】
置き忘れ防止プログラムは、親機60を制御する各種プログラムの一部である。置き忘れ防止プログラムは例えば記録媒体68の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。置き忘れ防止プログラムを記録した記録媒体68はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0052】
また、置き忘れ防止プログラムを記録した記録媒体68がドライブ装置63にセットされると、置き忘れ防止プログラムは記録媒体68からドライブ装置63を介して補助記憶装置64にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた置き忘れ防止プログラムも補助記憶装置64にインストールされる。
【0053】
補助記憶装置64はインストールされた置き忘れ防止プログラムを格納すると共に、必要なファイル,データ等を格納する。主記憶装置65は、起動時に補助記憶装置64から置き忘れ防止プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置66は主記憶装置65に格納された置き忘れ防止プログラムに従って、前述したような置き忘れ制御部29の各種処理を実現している。
【0054】
このように、親機60の置き忘れ制御部29は伝播損失が増加したことによるRSSIの低下か、劣悪環境下に親機60が置かれたことによるRSSIの低下かを判別し、その判別結果に基づいて閾値を変更することにより、警報の誤動作を回避できる。なお、実施例1と同様、実施例3は送信側である子機10が劣悪環境に置かれた場合であっても、受信側である親機60が劣悪環境に置かれた場合であっても対応できる。また、実施例2と同様、実施例3は親機20を送信側、子機10を受信側としてもよい。以上、実施例3の置き忘れ防止システム1は警報の誤動作を回避でき、信頼性を高めることができる。
【0055】
実施例1〜3の置き忘れ防止システム1は受信した電波のRSSIが閾値以下になったときに警報を鳴動させる例を説明したが、例えば親機20を使用不能にするというような仕組みも可能である。
【0056】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する携帯端末装置であって、
前記無線機から送信される電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する携帯端末装置。
(付記2)
前記警報出力要求部は、前記前回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記前回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる付記1記載の携帯端末装置。
(付記3)
前記無線機から送信される電波を受信する受信部は、前記無線機の固有情報を含んだ電波を受信する付記1又は2記載の携帯端末装置。
(付記4)
携帯端末装置から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する無線機であって、
前記携帯端末装置から送信される電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する無線機。
(付記5)
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する情報処理装置であって、
前記無線機から送信される電波を受信する受信部と、
受信した電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する情報処理装置。
(付記6)
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する情報処理装置を、
前記無線機から送信される電波を受信する受信部と、
受信した電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
して機能させるための置き忘れ防止プログラム。
【0057】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】置き忘れ防止システムの第1実施例のシステム構成図である。
【図2】置き忘れ制御部の一例のブロック図である。
【図3】置き忘れ制御部の処理手順を表した一例のフローチャートである。
【図4】置き忘れ防止システムの動作を説明する為の説明図である。
【図5】置き忘れ防止システムの第2実施例のシステム構成図である。
【図6】置き忘れ防止システムの第3実施例のシステム構成図である。
【図7】置き忘れ防止プログラムにより置き忘れ制御部を実現するPCの一例のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0059】
1 置き忘れ防止システム
10 子機
11 送信部
12 制御部
13,26,53 置き忘れ防止機能用アンテナ
20,60 親機
21 受信モジュール
22 無線部
23 携帯電話制御部
24,58 外部出力
25 入力部
27 携帯電話用アンテナ
28,51 受信部
29,52 置き忘れ制御部
31 受信レベル測定部
32 閾値設定部
33 警報出力要求部
34 受信レベル保存部
61 入力装置
62 出力装置
63 ドライブ装置
64 補助記憶装置
65 主記憶装置
66 演算処理装置
67 インターフェース装置
68 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する携帯端末装置であって、
前記無線機から送信される電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
前記警報出力要求部は、前記前回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記前回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記無線機から送信される電波を受信する受信部は、前記無線機の固有情報を含んだ電波を受信する請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
携帯端末装置から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する無線機であって、
前記携帯端末装置から送信される電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する無線機。
【請求項5】
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する情報処理装置であって、
前記無線機から送信される電波を受信する受信部と、
受信した電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
を有する情報処理装置。
【請求項6】
無線機から送信される電波を受信し、前記電波の受信レベルが閾値以下であると警報を出力する情報処理装置を、
前記無線機から送信される電波を受信する受信部と、
受信した電波の受信レベルを、所定時間毎に測定する受信レベル測定部と、
前回測定した電波の受信レベルと今回測定した電波の受信レベルとの差を算出し、算出した差が所定値以下である場合に第1の閾値を設定し、算出した差が所定値以上である場合に第1の閾値よりも小さい第2の閾値を設定する閾値設定部と、
前記今回測定した電波の受信レベルと前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値と比較し、前記今回測定した電波の受信レベルが前記閾値設定部により設定された前記第1の閾値又は前記第2の閾値以下である場合に警報出力部に警報を出力させる警報出力要求部と
して機能させるための置き忘れ防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−225194(P2009−225194A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68476(P2008−68476)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】