説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】所定処理に対応して設定されている設定時刻をユーザの行動に応じて変更できるようにする。
【解決手段】制御部1は、ユーザの行動を監視して特定行動であることが検出された際の時刻を行動時刻として取得すると共に、この行動時刻と標準的な行動時刻に基づいて所定処理(例えば、アラーム報知処理)の設定時刻(例えば、アラーム報知時刻)を変更するようにしている。すなわち、制御部1は、位置取得部10から現在位置を取得して、予め登録されている標準位置と比較することによって特定位置(例えば、自宅位置)に居るか否かによって特定行動であるか否か(例えば、帰宅したか否か)を検出し、特定位置に居ることを検出した際には時計部9から現在時刻を行動時刻(今回の帰宅時刻)として取得したのち、この行動時刻と標準的な行動時刻(標準的な帰宅時刻)に基づいてアラーム報知処理の設定時刻(アラーム報知時刻)を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定処理に対応して設定されている設定時刻に応じて当該所定処理を実行する携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機などの携帯端末装置に搭載されているアラーム報知機能は、目覚まし機能としても使用可能であるが、起床時刻は必ずしも一定ではなく、曜日などによって変動することが多いため、アラーム報知機能を目覚まし機能として使用する場合、必要に応じてアラーム時刻(起床時刻)の設定を変更するようにしている。この場合、曜日などが変わる毎にアラーム時刻の設定を変更することは、ユーザに操作上の負担をかけるため、従来では、休日情報を登録したカレンダ機能に連動して休日にはアラーム報知を行わないようにした技術が公知となっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−323047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、カレンダ機能に連動してアラームを非報知の状態に設定するだけであって、曜日や休日に関係しなければ、設定時刻にアラーム報知が行われるため、手動操作でアラーム報知の設定時刻を変更する必要があり、操作が面倒となるほか、前の設定時刻に戻すのを忘れてしまうなどの危険性もあった。
【0004】
この発明の課題は、所定処理に対応して設定されている設定時刻をユーザの行動に応じて変更できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、所定処理に対応して設定されている設定時刻に応じて当該所定処理を実行する携帯端末装置であって、ユーザの行動を監視して特定行動であるか否かを検出する監視手段と、この監視手段によって特定行動であることが検出された際の時刻を行動時刻として取得する時刻取得手段と、前記特定行動を起す標準的な行動時刻を記憶する時刻記憶手段と、前記時刻取得手段によって得られた行動時刻と前記標準的な行動時刻とに基づいて前記所定処理の設定時刻を変更する時刻変更手段と、を具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項8記載の発明)。
【0006】
なお、上述した請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記所定処理は、アラーム報知を行う報知処理であり、前記時刻変更手段は、前記報知処理の設定時刻であるアラーム報知時刻を変更する(請求項2記載の発明)。
【0007】
前記所定処理は、スケジュール情報を記憶管理するスケジュール管理処理であり、前記時刻変更手段は、前記スケジュール情報の設定時刻であるスケジュール時刻を変更する(請求項3記載の発明)。
【0008】
請求項3記載の発明において、前記時刻変更手段は、スケジュール情報の種類に基づいて前記スケジュール情報の設定時刻を変更するか否かを制御するようにしてもよい(請求項4記載の発明)。
【0009】
前記監視手段は、現在位置を取得して特定位置に居るか否かによって特定行動であるか否かを検出し、前記時刻取得手段は、前記監視手段によって特定位置に居ることが検出された際の時刻を行動時刻として取得する(請求項5記載の発明)。
なお、この請求項5記載の発明は請求項1記載の発明のほか、上述した請求項2、3記載の発明に適用するようにしてもよい。
【0010】
前記監視手段によって行動時刻が得られる毎に、この行動時刻を行動履歴として記憶する履歴記憶手段と、前記標準的な行動時刻を前記行動履歴に基づいて更新する更新手段と、を更に設けた(請求項6記載の発明)。
なお、この請求項6記載の発明は請求項1記載の発明のほか、上述した請求項2、3、5記載の発明に適用するようにしてもよい。
【0011】
前記監視手段は、ユーザの行動としてその操作状況を監視して特定操作が行われたか否かを検出し、前記時刻取得手段は、前記監視手段によって特定操作が行われたことが検出された際の時刻を行動時刻として取得する(請求項7記載の発明)。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、所定処理に対応して設定されている設定時刻をユーザの行動に応じて変更することができ、特別な操作を行うことなくして、その設定時刻を適切に変更することができ、実情に即した柔軟な対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施形態1)
以下、図1〜図6を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、携帯端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話機は、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、位置取得機能、アラーム報知機能などを備えている。位置取得機能は、例えば、GPS(Global Positioning System)部を構成するもので、衛星と地上の制御局を利用して現在位置(経緯度情報)を受信取得する機能である。また、アラーム報知機能は、そのアラーム報知時刻(設定時刻)に到達した際にアラーム音などを発生させるアラーム報知を行う機能であり、目覚まし機能としても利用可能なものである。
【0014】
制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御するもので、この制御部1にはCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、内部メモリで、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図4〜図6に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。また、記憶部3のデータ領域には、後述するアラームデータメモリAD、標準位置メモリBP、標準時刻メモリBT、時刻履歴テーブルCR、時間帯別頻度テーブルTF、時刻変更テーブルTCなどが格納されている。
【0015】
通信部4は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、音声通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、音声通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、電話部5を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを電話部5から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。一方、電子メール機能、インターネット接続機能などによって通信部4を介して受信取得した表示データは、液晶、有機ELなどを使用した高精細な表示部6に与えられて表示出力される。
【0016】
操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、制御部1は、操作部7からの操作信号に応じた処理として、例えば、電話発信処理のほか、アラーム報知時刻を設定する処理など、各種の処理を実行する。報知部8は、サウンドスピーカ、振動モータ、LED(発光ダイオード)などを備えたもので、着信報知時に駆動されるほか、アラーム報知時にも駆動される。時計部9は、現在日時を得るもので、制御部1は、時計部9をアクセスして現在日時を取得する。位置取得部10は、上述した位置取得機能を構成するもので、制御部1は、位置取得部10を定期的にアクセスして現在位置を取得し、特定位置に居るか否かを監視し、特定位置に居ることを検出した際に、時計部9から現在時刻を取得するようにしている。すなわち、制御部1は、ユーザの行動を監視して特定行動か否か、つまり、特定位置に居るか否かを監視しており、特定行動(特定位置)を検出した際には、そのときの時刻を行動時刻として取得するようにしている。
【0017】
そして、制御部1は、上述の行動時刻と予め登録されている標準的な行動時刻とから所定処理(例えば、アラーム報知処理)の設定時刻(例えば、アラーム報知時刻)を変更するようにしている。すなわち、制御部1は、位置取得部10から現在位置を取得して、予め登録されている標準位置と比較することによって特定位置(例えば、自宅位置)に居るか否かによって特定行動であるか否か(例えば、帰宅したか否か)を検出し、特定位置に居ることを検出した際には、時計部9から現在時刻を行動時刻(今回の帰宅時刻)として取得したのち、この行動時刻と標準的な行動時刻(標準的な帰宅時刻)とからアラーム報知処理の設定時刻(アラーム報知時刻)を変更するようにしている。
【0018】
図2は、アラームデータメモリAD、標準位置メモリBP、標準時刻メモリBTを説明するための図である。
図2(A)は、アラームデータメモリADを示した図である。このアラームデータメモリADは、アラーム報知機能の設定時刻としてアラーム報知時刻を記憶するもので、制御部1は、時計部9から現在日時を取得してアラーム報知時刻に到達したか否かを監視し、アラーム報知時刻に到達した際にアラーム音などを発生させるアラーム報知を行うようにしている。
【0019】
なお、図示の例では、“08:30(午前8時30分)”がアラーム報知時刻として記憶されている場合である。図2(B)は、標準位置メモリBPを示した図である。この標準位置メモリBPは、上述の標準位置を記憶するもので、自宅位置の経緯度情報が標準位置として記憶されている。図2(C)は、標準時刻メモリBTを示した図である。この標準時刻メモリBTは、標準的な行動時刻(標準的な帰宅時刻)を記憶するもので、図示の例では標準的な帰宅時刻として“19時00分”が記憶されている。
【0020】
図3は、時刻履歴テーブルCR、時間帯別頻度テーブルTF、時刻変更テーブルTCを説明するための図であり、図3(A)は、時刻履歴テーブルCRを示した図である。
この時刻履歴テーブルCRは、例えば、自宅位置に応じて帰宅したことを検出した際の現在時刻(時分情報)を今回の帰宅時刻として取得した場合に、この取得時刻を帰宅時刻の履歴として順次記憶するもので、所定期間分(例えば、1ヶ月分)の帰宅時刻を履歴情報として記憶可能な構成となっている。
【0021】
図3(B)は、時間帯別頻度テーブルTFを示した図である。
この時間帯別頻度テーブルTFは、時刻履歴テーブルCRの帰宅時刻を時間帯別に区分し、この時間帯別に帰宅回数(頻度)を集計したテーブルである。すなわち、時刻履歴テーブルCRの内容を時間帯と回数に変換した時間帯別の帰宅回数(頻度)を記憶するテーブルで、図示の例では“18時46分〜21時35分”の間において、10分間隔の時間帯別に帰宅回数(頻度)を記憶した場合である。制御部1は、この時間帯別頻度テーブルTFの内容を参照し、最も頻度が高い時間帯の中心時刻を標準的な帰宅時刻として推定し、この帰宅時刻を新たな標準時刻として標準時刻メモリBTに上書きすることによってその内容を更新するようにしている。したがって、標準時刻メモリBTの内容は固定値ではなく、時間帯別頻度テーブルTFの内容に応じて更新される変動値である。なお、図示の例では、頻度“4”が最高値であるため、その時間帯“18:56〜19:05”の中心時刻を示す“19:00”が標準的な帰宅時刻として標準時刻メモリBTに設定される。
【0022】
図3(C)は、時刻変更テーブルTCを示した図である。
この時刻変更テーブルTCは、今回の帰宅時刻(帰宅したときの現在時刻)と標準時刻メモリBTに記憶されている標準的な帰宅時刻との時間差に応じてアラームデータメモリADの値(アラーム報知時刻)を変更する変更時間を記憶するものである。なお、図示の例では、アラーム報知時刻を±3時間の範囲内で変更する場合を例示したもので、アラーム報知時刻が“08:30”の場合には、“05:30〜11:30”の範囲内においてアラーム報知時刻の変更が行われる。
【0023】
すなわち、時刻変更テーブルTCは、「時間差t」、「変更時間」を記憶する構成で、「時間差t」が“−2時間<t≦−1時間”であれば、その「変更時間」として“−1時間”が記憶され、“+1時間≦t<+2時間”であれば、その「変更時間」として“+1時間”が記憶されている。また、t≦−3時間であれば、その「変更時間」として“−3時間”が記憶され、+3時間≦tであれば、その「変更時間」として“+3時間”が記憶されている。これによってアラーム報知時刻は、±3時間の範囲内で変更される。
【0024】
次に、この第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図4〜図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0025】
図4は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、制御部1は、通信部4を作動させて現在位置を登録する待受処理を行うと共に所定の待受画像を読み出して待ち受け画面として表示させながら音声通話の待ち受け状態となる(ステップA1)。この待ち受け状態において音声通話の着信有りを検出すると(ステップA2でYES)、報知部8を駆動させて着信メロディなどを発生させる着信報知を行ったのち、着信応答操作(オフフック操作)に応答して(ステップA3でYES)、通話可能状態とするために通話処理を行う(ステップA4)。そして、オンフック操作に応答して(ステップA5でYES)、回線切断処理を行ったのち(ステップA6)、待ち受け状態に戻る(ステップA1)。
【0026】
また、待ち受け状態において現在位置の取得タイミング(例えば、1分間隔毎のタイミング)に達した際には(ステップA7でYES)、位置取得部10をアクセスして現在位置を取得したのち(ステップA8)、標準位置メモリBPをアクセスして標準位置を読み出して(ステップA9)、現在位置と標準位置とを比較することによって現在位置は標準位置に合致したか(帰宅したか)を調べる(ステップA10)。ここで、両者が不一致の場合、帰宅していない場合には(ステップA10でNO)、待ち受け状態に戻るが(ステップA1)、現在位置と標準位置との合致によって帰宅したことを検出した場合には(ステップA10でYES)、時計部9から現在時刻(今回の帰宅時刻)を取得し(ステップA11)、この現在時刻に基づいて標準時刻推定処理を行う(ステップA12)。
【0027】
図5は、標準時刻推定処理(図4のステップA12)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、取得時刻(今回の帰宅時刻)を時刻履歴テーブルCRに追加記憶したのち(ステップB1)、時間帯別頻度テーブルTFを参照して取得時刻対応の時間帯を特定する(ステップB2)。ここで、該当する時間帯が存在しない場合、例えば、“21:40”のように取得時刻が既存の時間帯から外れている場合には、この取得時刻に基づいて新たな時間帯(例えば、21:36〜21:45)を作成して時間帯別頻度テーブルTFに新規設定する。そして、特定時間帯に対応する「頻度」に“1”を加算してその値を更新したのち(ステップB3)、時間帯別の各「頻度」を比較することによって最も頻度が高い時間帯を特定し、この時間帯の中心時刻を標準的な帰宅時刻として推測し(ステップB4)、この標準的な帰宅時刻を標準時刻メモリBTに記憶させてその内容を更新する(ステップB5)。
【0028】
このような標準時刻推定処理が終了すると(図4のステップA12)、更新後の標準時刻メモリBTの内容を読み出し(ステップA13)、取得時刻(今回の帰宅時刻)と当該標準時刻との時間差を算出する(ステップA14)。例えば、取得時刻(今回の帰宅時刻)が“20:25”で標準時刻が“19:00”であれば、20:25−19:00=+1:25が時間差tとして算出される。この時間差t(+1:25)は、標準時刻よりも1時間25分遅い帰宅であることを示している。そして、この時間差tに基づいて時刻変更テーブルTCを検索し、該当する「変更時間」を読み出す(ステップA15)。
【0029】
この場合、上述のように時間差tが“+1:25”であれば、+1時間≦t<+2時間”に該当するため、「変更時間」として“+1時間”が読み出されるが、時間差tが“+3時間≦t”であれば、その「変更時間」として“+3時間”、また、“t≦−3時間“であれば、その「変更時間」として“−3時間”が読み出される。そして、制御部1は、上述のようにして読み出した「変更時間」に基づいて機能実行時刻変更処理を行う(ステップA16)。
【0030】
図6は、機能実行時刻変更処理(図4のステップA16)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、制御部1は、所定処理の設定時刻としてアラームデータメモリADに設定されているアラーム報知時刻を読み出す(ステップC1)。そして、この設定時刻(アラーム報知時刻)に今回読み出した「変更時間」を加算して新たな設定時刻を算出することによって当該設定時刻を変更する(ステップC2)。例えば、変更前の設定時刻(アラーム報知時刻)が“08:30”で、今回読み出した「変更時間」が“−3時間”があれば、変更後の新たな設定時刻は“05:30”となる。また、今回読み出した「変更時間」が“+2時間”があれば、変更後の新たな設定時刻は、“10:30”となる。
【0031】
一方、待ち受け状態において制御部1は、現在時刻とアラーム報知時刻とを比較することによってアラーム報知時刻に到達したことを検出すると(図4のステップA17でYES)、報知部8を駆動してアラーム報知処理を実行する(ステップA18)。例えば、アラーム音を発生させたり、LEDを点滅させたりしながらアラーム報知を行う。この場合、アラーム報知は一定時間行うようにしてもよい。また、待ち受け状態において何らかの操作が行われた場合には(ステップA19でYES)、操作に応じた処理が行われる。例えば、ユーザ操作に応じて任意のアラーム報知時刻を設定する処理、音声電話発信処理などが行われる。なお、アラーム報知中でのアラーム停止操作に応答してアラーム報知を停止する処理を行うようにしてもよい。
【0032】
以上のように、この第1実施形態において制御部1は、ユーザの行動を監視して特定行動であるかことが検出された際の時刻を行動時刻として取得すると共に、この行動時刻と標準的な行動時刻に基づいて所定処理の設定時刻を変更するようにしたので、所定処理に対応して設定されている設定時刻をユーザの行動に応じて変更することができ、特別な操作を行うことなくして、その設定時刻を適切に変更することができ、実情に即した柔軟な対応が可能となる。
【0033】
所定処理は、アラーム報知を行う報知処理であり、この報知処理の設定時刻であるアラーム報知時刻を変更するようにしたので、ユーザの行動に応じてアラーム報知時刻を適切に変更することができる。例えば、アラーム報知機能を目覚まし機能として使用する場合に、帰宅が遅くなったので、それに連動してアラーム報知時刻も遅らせることができる。
【0034】
制御部1は、現在位置を取得して特定位置に居るか否かによって特定行動であるか否かを検出し、特定位置に居ることが検出された際の時刻を行動時刻として取得するようにしたので、例えば、自宅位置に応じて帰宅したかを検出することができ、帰宅に連動して設定時刻を変更することができる。
【0035】
制御部1は、特定行動が検出された際の行動時刻(今回の帰宅時刻)を取得する毎に、この行動時刻を行動履歴として記憶しておき、この行動履歴に基づいて標準的な行動時刻(標準的な帰宅時刻)を更新するようにしたので、行動履歴(帰宅状況)に基づいて標準的な帰宅時刻を変化させることができ、実情に即したものとなる。
【0036】
なお、上述した第1実施形態においては、標準位置メモリBPに自宅位置を記憶し、標準時刻メモリBTに帰宅時刻を記憶するようにしたが、これに限らず、例えば、標準位置メモリBPに会社位置を記憶し、標準時刻メモリBTに出社時刻あるいは退社時刻を記憶するようにしてもよい。これによって出社あるいは退社に応じたアラーム報知が可能となる。
【0037】
また、上述した第1実施形態においては、所定処理としてアラーム報知を行う報知処理に適用した場合を示したもので、その設定時刻であるアラーム報知時刻をユーザの行動に応じて変更するようにしたが、所定処理は、報知処理に限らず、任意であり、例えば、スケジュール情報を記憶管理するスケジュール管理処理であってもよく、その設定時刻であるスケジュールの開始時刻、終了時刻をユーザの行動に応じて変更するようにしてもよい。
【0038】
図7及び図8は、第1実施形態の変形例として、所定処理としてスケジュール管理処理に適用した場合を例示したもので、図7は、スケジュール情報を記憶するスケジュールテーブルSTを示した図である。
スケジュールテーブルSTは、「レコードNo」、「種類」、「内容」、「開始時刻」、「終了時刻」の各項目を有する構成で、その内容はユーザ操作などによって任意に設定されたものである。なお、「種類」は、例えば、出張、個人作業、会議、研修などのようにスケジュールの種類を示し、「内容」は、例えば、○○社訪問、試作品製作などのような具体的な内容を示している。「開始時刻」、「終了時刻」は、スケジュール情報の設定時刻であるスケジュール時刻を示している。
【0039】
図8は、第1実施形態の変形例として、上述した図6に代わる機能実行時刻変更処理を示したフローチャートである。以下、所定処理としてスケジュール管理処理に適用した場合の動作を図7及び図8を参照し説明する。なお、この場合においても、その他の動作は、図4及び図5のフローチャートと同様であるため、その説明を省略するものとする。
先ず、制御部1は、スケジュールテーブルSTの各レコード(スケジュール情報)を順次指定するためのポインタnにその初期値として“1”をセットしたのち(ステップD1)、このポインタnで指定されるスケジュール情報を参照し(ステップD2)、その「種類」は所定の種類(例えば、“個人作業”)であるかを調べる(ステップD3)。
【0040】
ここで、所定の種類(個人作業)以外であれば(ステップD3でNO)、次のスケジュール情報を指定するためにポインタnに“1”を加算してその値を更新したのち(ステップD5)、ポインタnの値は、最終の「レコードNo」を超えたか、つまり、全てのスケジュール情報を指定し終わったかを調べ(ステップD6)、最終の「レコードNo」以下であれば、上述のステップD2に戻って上述の動作を繰り返す。いま、ポインタnで指定されたスケジュール情報の「種類」が所定の種類(個人作業)であれば(ステップD3でYES)、この指定スケジュール情報の中からその「開始時刻」、「終了時刻」を指定し、第1実施形態と同様に「変更時間」に基づいて当該「開始時刻」、「終了時刻」を変更する(ステップD4)。そして、ステップD5に移り、ポインタnを更新しながら以下、上述の動作を繰り返す(ステップD2〜D6)。
【0041】
以上のように、第1実施形態の変形例として、所定処理としてスケジュール管理処理に適用した場合であっても、スケジュール情報の設定時刻であるスケジュール時刻(開始時刻、終了時刻)をユーザの行動に応じて適切に変更することができる。例えば、帰宅が遅くなったので、それに連動してスケジュール時刻も遅らせることができ、利便性を高めることが可能となる。
【0042】
また、スケジュール情報の種類に基づいてスケジュール情報の設定時刻であるスケジュール時刻(開始時刻、終了時刻)を変更するか否かを制御するようにしたので、特定の種類に限ってそのスケジュール時刻を変更することができる。
【0043】
その他、上述した第1実施形態と同様の効果を有する。すなわち、制御部1は、現在位置を取得して特定位置に居るか否かによって特定行動であるか否かを検出し、特定位置に居ることが検出された際の時刻を行動時刻として取得するようにしたので、例えば、自宅位置に応じて帰宅したかを検出することができ、帰宅に連動して設定時刻を変更することができる。
【0044】
また、特定行動が検出された際の行動時刻(今回の帰宅時刻)を取得する毎に、この行動時刻を行動履歴として記憶しておき、この行動履歴に基づいて標準的な行動時刻(標準的な帰宅時刻)を更新するようにしたので、行動履歴(帰宅状況)に基づいて標準的な帰宅時刻を変化させることができ、実情に即したものとなる。
【0045】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、定期的に現在位置を取得しながらユーザの行動として帰宅したか否かを監視するようにしたが、この第2実施形態においては、ユーザの行動としてユーザの操作状況を監視するようにしたものである。
ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0046】
図9は、第2実施形態における携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この第2実施形態の携帯電話機は、第1実施形態と同様、制御部1、電源部2、記憶部3、通信部4、表示部6、操作部7、報知部8、時計部9を有する構成であるが、この第2実施形態では、クレードル接続検出部11を有している。このクレードル接続検出部11は、当該携帯電話機が外部機器であるクレードル(充電スタンド)に接続(載置)された際に、クレードルに接続されたことを検出すると共に、当該クレードルからの充電電流を電源部2の内蔵電池に供給するもので、制御部1は、クレードル接続検出部11からの検出信号に基づいて装置本体がクレードルに接続されている状態か否かを監視するようにしている。
【0047】
すなわち、制御部1は、装置本体がクレードルに接続されたかを監視しており、クレードル接続を検出した際には、ユーザによる特定行動(特定操作)が行われた場合、つまり、ユーザが帰宅して就寝する場合であると推測すると共に、時計部9から現在時刻を行動時刻(就寝時刻)として取得し、この行動時刻と標準的な行動時刻(標準的な就寝時刻)とからアラーム報知処理の設定時刻(アラーム報知時刻)を変更するようにしている。なお、記憶部3には、標準位置メモリBPを除き、アラームデータメモリAD、標準時刻メモリBT、時刻変更テーブルTC、時刻履歴テーブルCR、時間帯別頻度テーブルTFが設けられている。
【0048】
図10は、第2実施形態において、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、制御部1は、上述した第1実施形態の場合と同様に、待ち受け画面として表示させて音声通話の待ち受け状態となる(ステップE1)。この状態で着信有りを検出すると(ステップE2でYES)、着信報知を行ったのち、着信応答操作(オフフック操作)に応答して(ステップE3でYES)、通話可能状態とする通話処理を行う(ステップE4)。そして、オンフック操作に応答して(ステップE5でYES)、回線切断処理を行ったのち(ステップE6)、待ち受け状態に戻る(ステップE1)。
【0049】
また、待ち受け状態において制御部1は、クレードル接続検出部11をアクセスし、その検出信号に基づいて装置本体がクレードルに接続されている状態か否か調べ(ステップE7)、クレードルへの接続を検出すると、時計部9からから現在時刻(クレードル接続時刻)を取得したのち(ステップE8)、標準時刻推定処理に移る(ステップE9)。この場合の標準時刻推定処理も図5で示した第1実施形態と同様であり、現在時刻を加味することによって標準時刻を更新するようにしている。
【0050】
そして、更新後の標準時刻メモリBTの内容を読み出し(ステップE10)、取得時刻(クレードル接続時刻)と当該標準時刻との時間差を算出する(ステップE11)。そして、この時間差tに基づいて時刻変更テーブルTCを検索し、該当する「変更時間」を読み出す(ステップE12)。この場合、上述のように時間差tが“+1:25”であれば、+1時間≦t<+2時間”に該当するため、「変更時間」として“+1時間”が読み出される。そして、この「変更時間」に基づいて機能実行時刻変更処理に移る(ステップE13)。この場合の機能実行時刻変更処理も図6に示した第1実施形態と同様であり、「変更時間」に応じて設定時刻(アラーム報知時刻)を更新するようにしている。
【0051】
以上のように、この第2実施形態において制御部1は、ユーザの行動としてその操作状況を監視して特定操作が行われたか否かを検出し、特定操作が行われたことが検出された際の時刻を行動時刻として取得するようにしたので、所定処理に対応して設定されている設定時刻ユーザによる特定操作に応じて変更することができる。すなわち、クレードル接続検出部11からの検出信号に基づいてクレードル接続を検出した際には、ユーザが帰宅して就寝する場合であると推測すると共に、時計部9から現在時刻を行動時刻(就寝時刻)として取得したのち、この行動時刻と標準的な行動時刻(標準的な就寝時刻)とからアラーム報知処理の設定時刻(アラーム報知時刻)を変更することができる。
【0052】
制御部1は、特定行動(特定操作)が検出された際の行動時刻(就寝時刻)を取得する毎に、この行動時刻を行動履歴として記憶しておき、この行動履歴に基づいて標準的な行動時刻(標準的な就寝時刻)を更新するようにしたので、行動履歴(就寝状況)に基づいて標準的な就寝時刻を変化させることができ、実情に即したものとなる。
【0053】
なお、上述した第2実施形態においては、アラーム報知処理の設定時刻(アラーム報知時刻)を変更するようにしたが、上述した第1実施形態の変形例と同様に、スケジュール時刻(開始時刻、終了時刻)を変更するようにしてもよい。すなわち、所定処理は、アラーム報知処理に限らず、スケジュール管理処理など、任意である。
【0054】
また、上述した第2実施形態においては、特定行動(特定操作)として、クレードル接続検出部11からの検出信号に基づいてクレードルへの接続有無を検出するようにしたが、例えば、電源をオフしてから所定時間が経過した際を特定行動(特定操作)として認識するようにしてもよい。
【0055】
また、ユーザが外部機器を操作した際、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビ受像機、照明装置などの電源をオンした際に、その外部機器からの操作信号(電源オン信号)を携帯電話機が受信した際に、外部機器の電源オン操作を特定行動(特定操作)として認識するようにしてもよい。この場合、クレードル接続検出部11に代えて、外部機器からの信号を受信する信号受信部(図示せず)を設ければよく、また、図10のステップE7では、クレードル接続の検出に代えて、外部機器からの信号を受信したかを検出するようにすればよい。
【0056】
また、時間帯別頻度テーブルTFの内容は、任意であり、上述した各実施形態においては、10分間隔の時間帯としたが、1時間間隔などであってもよく、また、ユーザ操作によって任意の時間帯を設定可能としてもよい。また、時刻変更テーブルTC内容も任意であり、設定時刻を±3時間の範囲内で変更する場合に限らない。例えば、時間差tが±1時間であれば、変更時間を±10分、±2時間であれば、変更時間を±20分、±3時間であれば、変更時間を±30分のように設定してもよく、また、ユーザ操作によって任意の時間差、変更時間を設定可能としてもよい。
【0057】
更に、特定行動としては、上述した各実施形態に限らず、携帯電話機に搭載されている非接触ICカード機能(無線通信機能)を使用し、この非接触ICカード機能と特定施設の入退場口に設置されている外部機器(リーダライタ)との交信によって特定施設への入退場を検出し、その入退場を特定行動として認識するようにしてもよい。
その他、携帯電話機に限らず、例えば、PDA、デジタルカメラ、電子腕時計、音楽再生機などの携帯端末装置であっても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】(A)〜(C)は、アラームデータメモリAD、標準位置メモリBP、標準時刻メモリBTを説明するための図。
【図3】(A)〜(C)は、時刻履歴テーブルCR、時間帯別頻度テーブルTF、時刻変更テーブルTCを説明するための図。
【図4】電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャート。
【図5】標準時刻推定処理(図4のステップA12)を詳述するためのフローチャート。
【図6】機能実行時刻変更処理(図4のステップA16)を詳述するためのフローチャート。
【図7】第1実施形態の変形例として、所定処理としてスケジュール管理処理に適用した場合を例示したもので、スケジュールテーブルSTを説明するための図。
【図8】第1実施形態の変形例として、上述した図6に代わる機能実行時刻変更処理を示したフローチャート。
【図9】第2実施形態における携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図10】第2実施形態において、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0059】
1 制御部
3 記憶部
4 通信部
6 表示部
7 操作部
8 報知部
9 時計部
10 位置取得部
11 クレードル接続検出部
AD アラームデータメモリ
BP 標準位置メモリ
BT 標準時刻メモリ
CR 時刻履歴テーブル
ST スケジュールテーブル
TC 時刻変更テーブル
TF 時間帯別頻度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定処理に対応して設定されている設定時刻に応じて当該所定処理を実行する携帯端末装置であって、
ユーザの行動を監視して特定行動であるか否かを検出する監視手段と、
この監視手段によって特定行動であることが検出された際の時刻を行動時刻として取得する時刻取得手段と、
前記特定行動を起す標準的な行動時刻を記憶する時刻記憶手段と、
前記時刻取得手段によって得られた行動時刻と前記標準的な行動時刻とに基づいて前記所定処理の設定時刻を変更する時刻変更手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記所定処理は、アラーム報知を行う報知処理であり、
前記時刻変更手段は、前記報知処理の設定時刻であるアラーム報知時刻を変更する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記所定処理は、スケジュール情報を記憶管理するスケジュール管理処理であり、
前記時刻変更手段は、前記スケジュール情報の設定時刻であるスケジュール時刻を変更する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記時刻変更手段は、スケジュール情報の種類に基づいて前記スケジュール情報の設定時刻を変更するか否かを制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記監視手段は、現在位置を取得して特定位置に居るか否かによって特定行動であるか否かを検出し、
前記時刻取得手段は、前記監視手段によって特定位置に居ることが検出された際の時刻を行動時刻として取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記監視手段によって行動時刻が得られる毎に、この行動時刻を行動履歴として記憶する履歴記憶手段と、
前記標準的な行動時刻を前記行動履歴に基づいて更新する更新手段と、
を更に設けた、
ことを特徴とする請求項1、2、3、5のいずれか記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記監視手段は、ユーザの行動としてその操作状況を監視して特定操作が行われたか否かを検出し、
前記時刻取得手段は、前記監視手段によって特定操作が行われたことが検出された際の時刻を行動時刻として取得する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項8】
コンピュータに対して、
所定処理に対応して設定されている設定時刻に応じて当該所定処理を実行する機能と、
ユーザの行動を監視して特定行動であるか否かを検出する機能と、
前記特定行動であることが検出された際の時刻を行動時刻として取得する機能と、
前記特定行動を起す標準的な行動時刻を記憶管理する機能と、
前記取得した行動時刻と前記標準的な行動時刻とに基づいて前記所定処理の設定時刻を変更する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−177376(P2009−177376A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12134(P2008−12134)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】