説明

撮影端末、撮影動画情報保全システム、撮影動画情報保全方法及びプログラム

【課題】事故の瞬間を撮影した動画情報を保全し、第三者が外部からリアルタイムに動画情報の確認を行うことができる撮影端末、撮影動画情報保全システムを提供する。
【解決手段】サーバ装置20と撮影端末10とを備える撮影動画情報保全システムであり、撮影端末10は、動画を撮影する撮影手段15と、撮影した動画情報をサーバ装置に常時アップロードするアップロード手段13と、外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段17と、衝撃感知手段17が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報をサーバ装置20に送信する通報要求送信手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故の瞬間を撮影した動画情報を保全する撮影端末、撮影動画情報保全システム、撮影動画情報保全方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事故発生時の事故原因の究明方法として、当事者や目撃者の証言等に基づいて推測することにより判断するのが通例であった。そのため、当事者同士の主張の食い違いや、目撃者の不在など、事故原因を客観的に判断することは困難であった。この困難性を解消する方法として、事故発生時の状況を撮影し、その撮影情報を記録するドライブレコーダーが実用化されている。
また近年、動画撮影機能を装備する携帯電話が広く普及している。この携帯電話の動画撮影機能をドライブレコーダー機能に利用する方法が、特許文献1で開示されている。
【特許文献1】再公表特許WO2006/075419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ドライブレコーダー及び特許文献1に記載の方法では、事故発生時に記録媒体の破損等が生じた場合、撮影した動画情報が消失してしまう恐れがあった。また、ドライブレコーダーまたは携帯電話本体に動画情報が保存されるため、第三者が外部からリアルタイムに確認を行うことができないという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、事故の瞬間を撮影した動画情報を保全し、第三者が外部からリアルタイムに動画情報の確認を行うことができる撮影端末、撮影動画情報保全システム、撮影動画情報保全方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、動画を撮影する撮影手段と、前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に自動的にアップロードするアップロード手段と、外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段と、前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
また、本発明は、サーバ装置と撮影端末とを備える撮影動画情報保全システムであり、前記撮影端末は、動画を撮影する撮影手段と、前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードするアップロード手段と、外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段と、前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、撮影端末を用いた撮影動画情報保全方法であって、撮影手段は、動画を撮影し、アップロード手段は、前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードする、衝撃感知手段は、外部からの衝撃を感知し、通報要求送信手段は、前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、撮影端末を、動画を撮影する撮影手段、前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードするアップロード手段、外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段、前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影端末が撮影した動画情報をサーバ装置に常時アップロードするので、撮影端末の破損による動画情報の消失を防ぐことができる。
また、動画情報はサーバ装置に保存され、事故などにより撮影端末に外部からの強い衝撃を感知するとアップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求信号を送信するため、通報先である第三者が外部からリアルタイムに確認を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、撮影動画情報保全システムの構成を示す概略ブロック図である。
撮影動画情報保全システムは、携帯電話10(撮影端末)と、サーバ装置20とを備える。
携帯電話10は、動画を撮影し、サーバ装置20に送信する。
サーバ装置20は、携帯電話10から動画情報を受信し、保持する。なお、サーバ装置は、携帯電話10と無線で接続され、管理センターなどの遠隔地に設置される。
【0010】
携帯電話10は、制御部11、変調部12、送信部13(アップロード手段、通報要求送信手段)、アンテナ部14、撮影部15(撮影手段)、位置情報取得部16(位置情報取得手段)、センサ部17(衝撃感知手段)、キー操作部18、記憶部19を備える。
制御部11は、携帯電話10の制御処理を行う。また、制御部11は、サーバ装置20に送信する情報を生成する。
変調部12は、制御部11が生成した情報を変調する。
送信部13は、アンテナ部14を介して変調部12が変調した情報をサーバ装置20に送信する。
撮影部15は、動画を撮影する。
位置情報取得部16は、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)等により携帯電話10の位置情報を取得する。
センサ部17は、外部からの衝撃を感知する。
キー操作部18は、ユーザからのキー入力を受け付ける。
記憶部19は、予め緊急時対応設定の有無を記憶する。緊急時対応設定とは、撮影動画情報保全システムによって動画の撮影を行う設定のことである。
【0011】
そして、撮影動画情報保全システムは、携帯電話10が動画を撮影し、撮影した動画情報をサーバ装置20に自動的にアップロードすることで、携帯電話10の破損による動画情報の消失を防ぐ。
【0012】
図2は、携帯電話の動作を示すフローチャートである。
図2に示す携帯電話の動作は、撮影動画情報保全システムにおいて、携帯電話10が動画情報を保全する動作である。
まず、ユーザが電源ボタンを押下すること等により、キー操作部18は電源の入力を受け付け、携帯電話10の電源が投入される(ステップS1)。携帯電話10の電源が投入されると、制御部11は、記憶部19が記憶する緊急時対応設定の有無を判定する(ステップS2)。
【0013】
制御部11は、緊急時対応設定がされていないと判定した場合(ステップS2:NO)、図示しない表示部に定期的な撮影を促す画面を表示する(ステップS3)。その後、キー操作部18は、ユーザの操作によって緊急時対応設定を有効にする入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS4)。キー操作部18が緊急時対応設定を有効にする入力を受け付けていないと判定した場合(ステップS4:NO)、ステップS3に戻り、再度定期的な撮影を促す。
【0014】
制御部11が、緊急時対応設定がされていると判定した場合(ステップS2:YES)、またはキー操作部18が緊急時対応設定を有効にする入力を受け付けたと判定した場合(ステップS4:YES)、撮影部15は、動画の撮影を開始する(ステップS5)。撮影部15が動画の撮影を開始すると、位置情報取得部16は、GPS等により携帯電話10の位置情報を取得する(ステップS6)。
位置情報取得部16が位置情報を取得すると、制御部11は、撮影部15が撮影した動画情報と位置情報取得部16が取得した位置情報からサーバ装置20にアップロードする情報を生成する。制御部11が情報を生成すると、変調部12は生成した情報を変調する。変調部が情報を変調すると、送信部13はアンテナ部14を介して変調した情報をサーバ装置20にアップロードする(ステップS7)。なお、携帯電話10は、動画を撮影している間、ステップS7による情報の生成、変調、アップロードの処理を常時実行する。
【0015】
送信部13が動画情報と位置情報とをアップロードすると、制御部11は、センサ部17が感知する外部からの衝撃の強度が所定の強度以上であるか否かを判定する(ステップS7)。センサ部17が感知する外部からの衝撃の強度が所定の強度未満であると制御部11が判定した場合(ステップS7:NO)、ステップS5に戻り、動画の撮影を継続する。
【0016】
センサ部17が感知する外部からの衝撃の強度が所定の強度以上であると制御部11が判定した場合(ステップS7:YES)、制御部11は、アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を生成する。ここで、予め指定された通報先とは、例えば消防機関や警察機関等である。制御部11が通報要求情報を生成すると、変調部12は生成した通報要求情報を変調する。変調部が通報要求情報を変調すると、送信部13はアンテナ部14を介して変調した通報要求情報をサーバ装置20に送信する(ステップS8)。サーバ装置20は、通報要求情報を受信すると、携帯電話10がアップロードした動画情報を指定された通報先に送信する。これにより、事故発生直後に動画情報を通報先に送信できるため、通報先は、救急等迅速な対応ができる。
【0017】
このように、本実施形態によれば、携帯電話10は、動画を撮影し、撮影した動画情報をサーバ装置20に常時アップロードする。これにより、携帯電話10の破損による動画情報の消失を防ぐことができる。また、撮影された動画情報はサーバ装置20が保持するため、第三者が外部からリアルタイムに確認を行うことができ、目撃者不在の事故・犯罪での証拠とすることができる。
また、本実施形態によれば、携帯電話10は、動画情報に加え、携帯電話10の位置情報をサーバ装置20にアップロードする。これにより、サーバ装置20を参照することで、第三者が事故の発生場所を容易に特定することができる。
また、本実施形態によれば、携帯電話10は、事故発生などによる衝撃を感知し、感知した衝撃が所定の強度以上である場合、アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報をサーバ装置20に送信する。これにより、事故発生直後に動画情報を通報先に送信できるため、通報先は、救急等迅速な対応ができる。
【0018】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0019】
なお、本実施形態では、撮影動画情報保全システムの基本的構成を示したが、例えば、携帯電話10の設置場所を工夫することでさらに効果を得ることができる。
図3は、携帯電話を自動車の運転席に取り付けた例を示す図である。
図3において、携帯電話10は、自動車内の運転席の置き台に設置、固定されている。このように、自動車の運転席の置き台に設置することで、自動車の運転手からの視界を撮影することができるため、リアルタイムで監視を行うことができるドライブレコーダーとしての効果を得ることができる。
また、小さい子供やお年寄りは、吊り下げ型のストラップを使用して携帯電話による撮影を行うことで、より安全確保につなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】撮影動画情報保全システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】携帯電話の動作を示すフローチャートである。
【図3】携帯電話を自動車の運転席に取り付けた例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10…携帯電話 11…制御部 12…変調部 13…送信部 14…アンテナ部 15…撮影部 16…位置情報取得部 17…センサ部 18…キー操作部 19…記憶部 20…サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を撮影する撮影手段と、
前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に自動的にアップロードするアップロード手段と、
外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段と、
前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段と、
を備えることを特徴とする撮影端末。
【請求項2】
前記動画を撮影した位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記アップロード手段は、前記撮影した動画情報に加え、前記取得した位置情報を前記サーバ装置に常時アップロードする、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影端末。
【請求項3】
サーバ装置と撮影端末とを備える撮影動画情報保全システムであり、
前記撮影端末は、
動画を撮影する撮影手段と、
前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードするアップロード手段と、
外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段と、
前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段と、
を備えることを特徴とする撮影動画情報保全システム。
【請求項4】
撮影端末を用いた撮影動画情報保全方法であって、
撮影手段は、動画を撮影し、
アップロード手段は、前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードする、
衝撃感知手段は、外部からの衝撃を感知し、
通報要求送信手段は、前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する、
ことを特徴とする撮影動画情報保全方法。
【請求項5】
撮影端末を、
動画を撮影する撮影手段、
前記撮影した動画情報を前記サーバ装置に常時アップロードするアップロード手段、
外部からの衝撃を感知する衝撃感知手段、
前記衝撃感知手段が感知する衝撃の強度が所定の強度以上である場合、前記アップロードした動画情報を予め指定された通報先に送信することを要求する通報要求情報を前記サーバ装置に送信する通報要求送信手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−108351(P2010−108351A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281254(P2008−281254)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】