説明

操作エレメント

位置調節すべき構成部品と作用接続状態にある調節装置を操作するための、特に車両内の、操作面を備えた操作エレメントにおいて、操作面が感圧表面として形成されていて、この感圧表面により、操作面上に加えられた押圧力のポジション及び/又は押圧力強度に依存して調節信号が生成可能であり、この調節信号により、位置調節すべき構成部品が調節装置を介して対応的に位置決め可能であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面を備えた操作エレメントに関し、位置調節すべき構成部品と作用接続状態にある調節装置を操作するための、特に車両内の、操作面を備えた操作エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(モータビークル)内の電子エレメントの多大な増加により操作エレメントの数も急激に増加している。この際、その範囲は簡単なスイッチから複雑な操作エレメントに至るまでに達する。操作エレメントは運転者のアクション或いは要望を検知する。スイッチ及びボタンは、最も頻繁に自動車内で使用される操作エレメントを意味する。運転者により望まれるアクションは、電気回路が閉じられる又は遮断されることにより提供される。それらは利用者により押圧又は摺動によって操作され得る。この際、特に位置調節すべき構成部品、例えば、調節装置を介して操作されるスライディングルーフ或いはスライディングサンルーフ及びウィンドウは、操作中、望まれないことであるが運転者の気をそらし得るある程度の注意を必要とする。
【0003】
更に操作エレメントは機能エレメントとしてデザイン内に組み込まれなくてならない。従ってデザインは、多くの場合、操作エレメントの大きさ及びそれと結び付いた「パッケージ」に適合されなくてはならない。デザイナーは「最適の」デザインに向かう途中で任意の表面の構成に関してより多くの自由度を必要とする。そのために、既存の表面内に殆ど目に見えない状態で組み込まれる操作エレメントが必要である。
【0004】
特許文献1からは感圧式スイッチ及び特に機械的に操作される感圧式スイッチが知られていて、このスイッチでは、その都度の力が電極の一方に加えられる又はその力が排除される場合、対向位置する2つの電極間の電気接触又は電気絶縁が形成される。詳細として周知のこの発明は平坦な又はフィルム形状のスイッチに関し、このスイッチは、乗客がシートについたかどうかを2進コード(オン又はオフ)を用いて表示するためにシートクッション内に配設されている。従ってこの感圧式スイッチは、周知のごとくオンポジション或いはオフポジションを確定するためにだけ用いられる。感圧式で可撓性のスイッチ或いはフィルムは極めて一般的に例えば特許文献2及び特許文献3から知られている。
【0005】
【特許文献1】DE19756804C2
【特許文献2】WO02/01586A1
【特許文献3】US6008718A
【特許文献4】WO00/73982A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、一方では、操作エレメントの操作時に位置調節すべき構成部品の特別な注意を必要とすることなく、操作エレメントがより容易に且つ直観的に操作されるよう操作エレメントを改善し、他方では、操作エレメントをより容易に且つ表面材料及び表面形状に依存しないで既存の表面内に組み込み可能であるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、請求項1の前提部(所謂おいて部)と関連し、操作面が感圧表面として形成されていて、この感圧表面により、操作面上に加えられた押圧力のポジション及び/又は押圧力強度に依存して調節信号が生成可能であり、この調節信号により、位置調節すべき構成部品が調節装置を介して対応的に位置決め可能であることにより解決される。
【0008】
押圧力がポジションに依存して即ち場所解像式で確定され得るという感圧表面として操作面が形成されていることにより、調節信号が生成され、この調節信号により、位置調節すべき構成部品が調節装置を介してその意図されたポジションにもたらされ得る。この際、所謂「スマートマテリアル」の形式の新材料は感圧表面として適している。これらの材料は感圧性であり、押圧力のポジションも押圧力強度も認識する。この際、スマートマテリアルは様々に構成され得る。つまり、押圧力のもと互いにぴったりと押し付けられる接触フィルムを有する構成、又は、特許文献4から知られているようにフォーム材とグラスファイバの組み合わせが可能である。操作強さを追加的に評価することにより、より多くの操作可能性が達成され得る。任意のポジションが直接的に選択可能である。大きな面上の操作も可能である。押圧運動及び摺動運動が検知され得て、それに対応する調節信号に変換され得る。より多くのデザイン自由度が得られ、その理由は、任意の形状が感圧表面により形成され得るためである。これらの感圧表面は更に任意の材料と組み合わせ可能である。要求に応じ、感圧表面はむしろ目に見えない状態で構成され得る。
【0009】
本発明の有利な実施形態に従い、操作面は縦長の操作フィールドとして形成されていて、その縦軸線は、ほぼ、位置調節すべき構成部品の位置調節方向に配設されている。縦長の操作フィールドは第1端部を有し、この第1端部は、位置調節すべき構成部品の第1ポジションに割り当てられていて、また第2端部を有し、この第2端部は、位置調節すべき構成部品の第2ポジションに割り当てられている。操作フィールドのそれらの端部間に位置する領域は、位置調節すべき構成部品の、対応する中間ポジションに割り当てられている。
【0010】
それにより、位置調節すべき構成部品の機能或いは運動方向に対応するかたちの操作が可能である。また、対応する操作面を対応してなでること(即ち触れること)により直観的な操作が可能である。また、任意の状況を接触をもってコントロールすることも可能である。つまり例えば、スライディングルーフ又はウィンドウの開け幅が、縦長の操作フィールドの所定の箇所に対する押圧力により決定され得る。
【0011】
本発明の他の有利な実施形態により、位置調節すべき構成部品の位置調節速度は、操作面或いは感圧表面に加えられる押圧力に依存する。つまり例えば、スライディングルーフ或いはウィンドウの速い開閉は操作面に対する強い押圧力により、また遅い開閉は、操作面に対する弱い押圧力により行われ得る。
【0012】
他の有利な実施形態により、感圧表面或いは操作面は、感圧材料から形成されている感圧エレメントにより形成されている。しかし、感圧表面を可撓性材料から形成することも可能であり、この可撓性材料の前には、表面とは反対側のその内面において、感圧材料から成る感圧エレメントが設けられている。デザイン的な理由から、実際の感圧エレメントは可撓性材料により覆われ得て、それによりこの可撓性材料が操作者にとって感圧表面を形成する。
【0013】
本発明の他の有利な実施形態に従い、操作面に押圧力を加えた場合の触覚を生成するために操作面が振動され得る。これらの振動は、操作面に対する作用が増加する場合、対応的に増加する。従って操作者は、実際にスイッチング過程が作動することも認識する。それらの振動は、例えばピエゾエレメントにより生成され得る。位置調節すべき構成部品としては、例えば、スライディングルーフの他、ウィンドウ、シート、又は別の構成部品が考えられる。
【0014】
操作エレメントは、位置調節すべき構成部品に隣接し、多重機能ステアリングホイール、又は別の適した箇所に配設され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の他の詳細は、以下の詳細な説明、及び、本発明の有利な実施形態が例として具現化されている添付の図面から見てとれる。
【実施例1】
【0016】
操作エレメント1は、それに後置された電子装置2介し、位置調節すべき構成部品4を位置決めする調節装置3と接続されている。
【0017】
操作エレメント1は、感圧表面として形成されている操作面5を有する。操作面5は「スマートマテリアル」から形成されていて、このスマートマテリアルは、それに加えられる押圧力のポジションもその押圧力強度も検知することができる。操作面5に対して操作者或いは運転者により加えられた押圧力は電子装置2により評価され、対応する調節信号として調節装置3に転送され、調節装置3は位置調節すべき構成部品4を対応的に位置決めする。
【0018】
図1の実施例により操作面5は縦長の操作フィールド6として形成されていて、その縦軸線7は、ほぼ、位置調節すべき構成部品4、この例では前方左側のウィンドウ9の位置調節方向8に配設されている。縦長の操作フィールド6は第1端部10を有し、第1端部10は、第1ポジション、即ち閉じたウィンドウ9に割り当てられている。縦長の操作フィールド6において第1端部10とは反対側の第2端部11は、位置調節すべき構成部品4の第2ポジション、即ち完全に開いたウィンドウ9に対応するように割り当てられている。それらの端部10、11間に位置する操作フィールド6の領域は、ウィンドウ9の対応する中間ポジションに割り当てられている。縦長の操作フィールド6を非図示の操作者が指を使ってなでること(即ち触れること)により、ウィンドウ9がそのようにして直観的に開けられる或いは閉じられる。この際、開閉過程の速さは、操作フィールド6に加えられる押圧力の強さにより決定される。この例において操作フィールド6の両方の外側の端部10、11の前方には、各々、閉フィールド12或いは開フィールド13が設けられている。これらのフィールド12、13に押圧力を加えることにより周知のように完全な開過程又は閉過程が実施される。個々のサイドウィンドウに対する操作エレメント1或いは操作フィールド6の割り当ては割当フィールド14、15、16、17を介して行われる。第1割当フィールド14に押圧力を加えることにより操作面5は前方左側のウィンドウ9に割り当てられる。第2割当フィールド15に押圧力を加えると操作面5は非図示の右側のサイドウィンドウに割り当てられ、対応的に第3割当フィールド16に押圧力を加えると操作面5は非図示の後方左側のサイドウィンドウに割り当てられ、第4割当フィールド17に対する押圧力により同様に非図示の後方右側のウィンドウへの割り当てが行われる。
【0019】
しかし基本的には、割当フィールド14、15、16、17に代わり、他の縦長の3つの操作フィールド6も配設され得て、その場合には各ウィンドウが固有の操作フィールド6に割り当てられている。
【実施例2】
【0020】
図2による第2実施例において操作要素1’は、インサイドリヤビューミラー20上方のルーフライナ19の領域における操作コンソール18に配設されている。縦長の操作フィールド6’は操作コンソール18において非図示のルーフウィンドウの位置調節方向に配設されている。この際、その第1端部10’とその第2端部11’の前方には、同様に、各々、閉フィールド12’或いは開フィールド13’が設けられている。操作コンソール18における操作エレメント21は、詳細には描かれていない換気装置を操作するために設けられている。サンバイザ22、フロントウィンドウ23、インサイドリヤビューミラー20は、図2内の方位の容易化のために描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】部分図として、運転者ドア内に配設されていてウィンドウを位置調節するための操作エレメントに目を向けた、自動車内部空間の空間図である。
【図2】部分図として、非図示のスライディングルーフを位置調節するための車両天井領域内の操作エレメントに目を向けた、車両内部空間の空間図である。
【図3】後置された調節装置と、位置調節すべき構成部品とを有する、操作エレメントのブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
1、1’ 操作エレメント
2 電子装置
3 調節装置
4 構成部品
5 操作面
6、6’ 操作フィールド
7 縦軸線
8 位置調節方向
9 ウィンドウ
10、10’ 第1端部
11、11’ 第2端部
12、12’ 閉フィールド
13、13’ 開フィールド
14 割当フィールド
15 割当フィールド
16 割当フィールド
17 割当フィールド
18 操作コンソール
19 ルーフライナ
20 インサイドリヤビューミラー
21 操作エレメント
22 サンバイザ
23 フロントウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置調節すべき構成部品と作用接続状態にある調節装置を操作するための、特に車両内の、操作面を備えた操作エレメントにおいて、
操作面(5)が感圧表面として形成されていて、この感圧表面により、操作面(5)上に加えられた押圧力のポジション及び/又は押圧力強度に依存して調節信号が生成可能であり、この調節信号により、位置調節すべき構成部品(4)が調節装置(3)を介して対応的に位置決め可能であることを特徴とする操作エレメント。
【請求項2】
操作面(5)が縦長の操作フィールド(6、6’)として形成されていて、その縦軸線(7)が、ほぼ、位置調節すべき構成部品(4)の位置調節方向(8)に配設されていること、縦長の操作フィールド(6、6’)が第1端部(10、10’)を有し、この第1端部が、位置調節すべき構成部品(4)の第1ポジションに割り当てられていて、また第2端部(11、11’)を有し、この第2端部が、位置調節すべき構成部品(4)の第2ポジションに割り当てられていること、及び、操作フィールド(6、6’)のそれらの端部(10、10’、11、11’)間に位置する領域が、対応する中間ポジションに割り当てられていることを特徴とする、請求項1に記載の操作エレメント。
【請求項3】
位置調節すべき構成部品(4)の位置調節速度(8)が、操作面(5)に加えられる押圧力に依存することを特徴とする、請求項1又は2に記載の操作エレメント。
【請求項4】
操作面(5)が感圧エレメントにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項5】
操作面(5)が可撓性材料により形成されていて、この可撓性材料の前には、表面とは反対側のその内面において感圧エレメントが設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項6】
感圧エレメントが感圧材料から形成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の操作エレメント。
【請求項7】
操作面(5)の接触時の触覚を生成するために操作面(5)が振動可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項8】
前記の振動が、操作面(5)に対する作用の増加と共に増加することを特徴とする、請求項7に記載の操作エレメント。
【請求項9】
前記の振動がピエゾエレメントにより生成されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の操作エレメント。
【請求項10】
位置調節すべき構成部品(4)がスライディングルーフであり、操作面(5)がスライディングサンルーフスイッチの一部であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項11】
位置調節すべき構成部品(4)がウィンドウ(9)であり、操作面(5)がウィンドウリフタスイッチの一部であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項12】
位置調節すべき構成部品(4)がシートであり、操作面(5)がシート位置調節スイッチの一部であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の操作エレメント。
【請求項13】
操作面(5)が多重機能ステアリングホイールに配設されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の操作エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−524145(P2007−524145A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515788(P2006−515788)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005574
【国際公開番号】WO2004/112068
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】