説明

放射線検出パネルの製造方法、放射線画像検出器の製造方法、放射線検出パネル、および放射線画像検出器

【課題】シンチレータの蛍光体の端面と光電変換素子等との距離の均一化を図り、画像全体で鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能な放射線検出パネルの製造方法等を提供する。
【解決手段】放射線検出パネル3の製造方法は、基台31上に、複数の光電変換素子15が形成された基板4を載置する基板載置工程S2と、基板4上に、シンチレータ6を支持する支持体5を、当該シンチレータ6が光電変換素子15に対向するように載置する支持体載置工程S3と、基板4と支持体5との間隙部分でシンチレータ6の周囲の部分に接着剤22を配置する接着剤配置工程S1と、支持体5のシンチレータ6が設けられた面5aとは反対側の面側から支持体5を被覆するようにフィルム32を載置するフィルム載置工程S4と、基台31とフィルム32との間の空間R1を減圧して基板4と支持体5とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程S5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出パネルの製造方法、放射線画像検出器の製造方法、放射線検出パネル、および放射線画像検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にフォトダイオード等の複数の光電変換素子を二次元状に配列し、光電変換素子の放射線入射側にシンチレータを配置した放射線検出パネルを用いた放射線画像検出器(Flat Panel Detector(FPD)ともいう。)が開発されている。このような放射線画像検出器は、通常、放射線検出パネルに照射された放射線をシンチレータで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光を光電変換素子に入射させて素子内で電荷を発生させ、発生した電荷を取り出すことで、放射線情報を変換して最終的に電気信号として検出するように構成される。
【0003】
放射線検出パネルとしては、例えば特許文献1に示されるように、基板の一方の面上に形成された光電変換素子等を被覆するように透明な樹脂等が塗布されて平坦化層(シンチレータ下地層)が形成され、その上方、すなわちその放射線入射側にシンチレータが配置される。その際、シンチレータとして、図27に示すように、例えばCsI:Tl等の母体材料内に発光中心物質が付活された蛍光体102を柱状に成長させて柱状結晶とし、そのような柱状結晶が多数形成されてなるシンチレータ101が用いられる場合があり、その場合、シンチレータ101は、通常、柱状構造の軸方向が、図示しない基板表面に直交するように配置される。
【0004】
このように配置されると、放射線の照射を受けたシンチレータ101の各蛍光体102の内部で光が発生し、あたかも光ファイバのように光がそれぞれ蛍光体102の柱状結晶内を軸方向に伝播して、蛍光体102の柱状結晶の直下に位置する図示しない光電変換素子に的確に入射する。そのため、蛍光体102内で発生した光の軸方向に直交する方向への拡散が抑制され、得られた放射線画像の鮮鋭性が向上するという利点がある。
【0005】
ところで、特許文献1では、光電変換素子等が形成された基板表面を平坦化する平坦化層(シンチレータ下地層)上に蛍光体102を直接或いは図示しない支持膜等を介して成長させてシンチレータ101を形成する実施形態が示されている。この場合、図28に示すように、蛍光体102の柱状結晶の平坦化層103側の端面Pbはその先端部分が平坦状となるが、その反対側の先端Paは鋭角状に形成される。
【0006】
上記のように、放射線の照射を受けて蛍光体102内で発生した光が柱状結晶の軸方向に伝播する際、図28中に矢印Bで示すように、光が鋭角状の先端Paから出力される場合に比べて、平坦状の端面Pbから出力される場合の方が柱状結晶の軸方向に直交する方向に光が拡散し易い。そのため、得られた放射線画像の鮮鋭性がさほど向上しない場合がある。
【0007】
反対に、光が柱状結晶の鋭角状の先端Paから出力される場合には、図27中に矢印Aで示すように先端Paから出力される光の拡散が抑制されるため、蛍光体102の鋭角状の先端Paを図示しない光電変換素子に向けるように配置すれば、その分、得られた放射線画像の鮮鋭性がさらに向上する。
【0008】
そこで、特許文献1でも、柱状結晶構造の蛍光体102を有するシンチレータ101を図示しない支持基板上に形成しておき、その支持基板と、光電変換素子が形成された基板とを、シンチレータ101の蛍光体102の鋭角状の先端Paと光電変換素子とが対向する状態で貼り合わせて放射線検出パネルを形成する技術が記載されている。その際、シンチレータ101の蛍光体102の鋭角状の先端Pa側をホットメルト樹脂で被覆してシンチレータ保護層を形成しておき、シンチレータ保護層の接着性を活用して基板と支持基板とを貼り合わせることが提案されている。
【特許文献1】特開2006−78471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このように、接着作用を有するシンチレータ保護層や新たに塗布される接着剤を介してシンチレータ101と光電変換素子(或いは平坦化層103)とを貼り合わせた場合、図29に示すように、シンチレータ101の蛍光体102の各柱状結晶の長さが均一でなかったり、シンチレータ保護層104の厚さが均一でなかったり、或いは接着剤105が均等な厚さで塗布されなかったりして、蛍光体102の鋭角状の先端Paと光電変換素子106との距離Lが全体的に必ずしも一様でない放射線検出パネル100が形成される場合がある。
【0010】
なお、図29において、107は光電変換素子106が形成された基板、108はシンチレータ101の支持基板、109は信号線等の配線を表す。また、各部材の相対的な大きさや厚さ、部材間の間隔等は、必ずしも現実の放射線検出パネルの構造を反映していない。
【0011】
このように、蛍光体102の鋭角状の先端Paと光電変換素子106との距離Lが一様でないと、距離Lが短い部分では、蛍光体102の鋭角状の先端Paから出力された光がさほど拡散されないうちに光電変換素子106に入射されるため、画像の鮮鋭性が高くなる。しかし、距離Lが長い部分では、蛍光体102の先端Paから出力された光の一部が柱状結晶の軸方向に直交する方向に拡散されて直下の光電変換素子106に入射されない割合が増えるため、その部分では画像の鮮鋭性が低下する。そのため、得られた放射線画像の鮮鋭性が、放射線画像の各部分ごとにまちまちになり、一様でなくなってしまうという問題があった。
【0012】
この問題は、シンチレータ101の蛍光体102を上記のような柱状結晶状に形成する場合だけでなく、図30に示すように、層状に形成した場合でも同様である。すなわち、例えば、層状に形成されたシンチレータ101の蛍光体102と光電変換素子106や平坦化層103との間に塗布される接着剤105が均等な厚さで塗布されていない等の理由で、蛍光体102の光電変換素子106側の端面Pcと光電変換素子106との距離Lに長短が生じると、蛍光体102から光電変換素子106に出力される光の拡散の度合いが距離Lによって変わるため、得られる放射線画像の鮮鋭性が、放射線画像の各部分ごとにまちまちになり、一様でなくなる場合があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、シンチレータの蛍光体の端面と光電変換素子等との距離の均一化を図り、画像全体で鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能な放射線検出パネルの製造方法、放射線画像検出器の製造方法、放射線検出パネル、および放射線画像検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線検出パネルの製造方法は、
基台上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を載置する基板載置工程と、
前記基板上に、放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体を、当該シンチレータが前記光電変換素子に対向するように載置する支持体載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記支持体の前記シンチレータが設けられた面とは反対側の面側から前記支持体を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の放射線検出パネルの製造方法を、
基台上に、一方の面に放射線を光に変換するシンチレータが設けられた支持体を載置する支持体載置工程と、
前記支持体上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を、当該光電変換素子が前記シンチレータに対向するように載置する基板載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記基板の前記複数の光電変換素子が配列された面とは反対側の面側から前記基板を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有するように構成してもよい。
【0016】
また、本発明の放射線画像検出器の製造方法は、
基台上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を載置する基板載置工程と、
前記基板上に、放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体を、当該シンチレータが前記光電変換素子に対向するように載置する支持体載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記支持体の前記シンチレータが設けられた面とは反対側の面側から前記支持体を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有する放射線検出パネルの製造工程により製造された放射線検出パネルを用いて放射線画像検出器を製造することを特徴とする。
【0017】
本発明の放射線画像検出器の製造方法を、
基台上に、一方の面に放射線を光に変換するシンチレータが設けられた支持体を載置する支持体載置工程と、
前記支持体上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を、当該光電変換素子が前記シンチレータに対向するように載置する基板載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記基板の前記複数の光電変換素子が配列された面とは反対側の面側から前記基板を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有する放射線検出パネルの製造工程により製造された放射線検出パネルを用いて放射線画像検出器を製造するように構成してもよい。
【0018】
さらに、本発明の放射線検出パネルは、
一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板と、
放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記シンチレータが前記光電変換素子に対向するように前記基板上に載置されており、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に、接着剤が配置されており、
かつ、前記基板と前記支持体と前記接着剤とで区画され密閉された内部空間が大気圧より減圧されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の放射線画像検出器は、
一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板と、
放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体と、
を有する放射線検出パネルを備え、
前記放射線検出パネルの前記支持体は、前記シンチレータが前記光電変換素子に対向するように前記基板上に載置されており、
前記放射線検出パネルの前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に、接着剤が配置されており、
かつ、前記放射線検出パネルの前記基板と前記支持体と前記接着剤とで区画され密閉された内部空間が大気圧より減圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のような方式の放射線検出パネルの製造方法、放射線画像検出器の製造方法、放射線検出パネル、および放射線画像検出器によれば、基板と支持体と接着剤とで区画され密閉された放射線検出パネルの内部空間を大気圧より減圧することで、外気圧を利用して内部空間の内部で、柱状結晶状や層状に形成されたシンチレータの蛍光体の端面(先端)を適切に光電変換素子や平坦化層に当接させて、シンチレータを損傷することなく、蛍光体と光電変換素子との距離を放射線検出パネルの全域において一様とすることが可能となる。そのため、シンチレータの蛍光体の端面と光電変換素子との距離の均一化を図ることが可能となる。
【0021】
また、シンチレータの蛍光体の端面と光電変換素子との距離が均一となるため、放射線検出パネルの基板上の全ての光電変換素子において鮮鋭性が一様となり、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となる。
【0022】
さらに、柱状結晶状や層状に形成されたシンチレータの蛍光体の端面(先端)と、光電変換素子や平坦化層とが、接着剤等を介さずに当接するため、蛍光体の端面(先端)と光電変換素子との距離が接近する。そのため、蛍光体の端面(先端)から出力される光が放射線検出パネルの基板の面方向に拡散しないうちに光電変換素子に入射するようになり、各光電変換素子における鮮鋭性がさらに向上し、得られる画像における鮮鋭性を全体的に向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る放射線検出パネルの製造方法、放射線画像検出器の製造方法、放射線検出パネル、および放射線画像検出器の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
[放射線検出パネルおよび放射線画像検出器]
以下、まず、放射線検出パネルおよび放射線画像検出器の実施形態について説明する。
【0025】
なお、以下では、放射線検出パネル3や放射線画像検出器1における各部材の相対的な位置関係、特に上下関係について、放射線画像検出器1の筐体2の放射線入射面X側を上側に向け、筐体2における放射線入射面Xとは反対側の面Y側を下側に向けて配置した場合の位置関係に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る放射線画像検出器の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図1や図2に示すように、放射線画像検出器1では、筐体2内に放射線検出パネル3が収納されて構成されている。
【0027】
筐体2は、カーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板51とバック板52とで形成された、いわば弁当箱型である場合が示されているが、筐体2を一体的に形成するいわばモノコック型とすることも可能である。また、筐体2の側面部分には、LED等で構成されたインジケータ53や蓋54、外部の装置と接続される端子55、電源スイッチ56等が配置されている。
【0028】
筐体2の内部には、図2に示すように、基板4や支持体5、シンチレータ6等を備えた放射線検出パネル3が配置されている。また、放射線検出パネル3の下方には、図示しない鉛の薄板等を介して基台7が配置され、基台7には、電子部品8等が配設されたPCB基板9や緩衝部材10等が取り付けられている。
【0029】
本実施形態では、基板4はガラス基板で構成されている。図3は、基板4上の構成を示す平面図である。基板4の上面(すなわちシンチレータ6(図2参照)に対向する側の面)4a上には、複数の走査線11と複数の信号線12とが互いに交差するように配設されている。また、複数のバイアス線13が、複数の信号線12と平行に配置されており、本実施形態では、各バイアス線13は、基板4上の一方側の端部で1本の結線14により結束されている。
【0030】
また、基板4の上面4a上で複数の走査線11と複数の信号線12により区画された各小領域Rには、光電変換素子15がそれぞれ設けられている。このように、本実施形態では、基板4は、その一方の面である上面4aに複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成されている。また、光電変換素子15はそれぞれバイアス線13に接続されており、本実施形態では、バイアス線13から光電変換素子15に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0031】
本実施形態では、光電変換素子15として、放射線の照射を受けたシンチレータ6から出力された光の照射を受けると光エネルギを吸収して内部に電子正孔対を発生させて光エネルギを電荷に変換するフォトダイオードが用いられている。また、図4の拡大図に示すように、各領域Rには、各光電変換素子15につき1つのTFT((Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)16が設けられており、TFT16のソース電極16sが光電変換素子15の1つの電極と、ドレイン電極16dが信号線12と、ゲート電極16gが走査線11とそれぞれ接続されている。
【0032】
ここで、本実施形態における光電変換素子15およびTFT16の構造について、図5および図6に示す拡大された断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるB−B線に沿う断面図であり、図6は、図4におけるC−C線に沿う断面図である。
【0033】
TFT16の部分では、基板4の上面4a上にTFT16のゲート電極16gが積層されて形成されており、ゲート電極16g上には、窒化シリコン(SiN)等からなるゲート絶縁層161が積層されている。さらにその上方には、半導体層162が積層されており、その上方には、後述する光電変換素子15の第1電極153と接続されたソース電極16sと、信号線12と一体的に形成されるドレイン電極16dとがパッシベーション層163によって分割された状態で積層されている。
【0034】
また、光電変換素子15の部分では、基板4の上面4a上にゲート絶縁層161と一体的に形成される絶縁層151が積層されており、その上には、パッシベーション層163と一体的に形成される絶縁層152が積層されている。絶縁層152の上には第1電極153が積層されており、第1電極153は、パッシベーション層163に形成されたホールHを介してTFT16のソース電極16sに接続されている。
【0035】
第1電極153の上には、水素化アモルファスシリコンにV族元素をドープしてn型に形成されたいわゆるn層154、水素化アモルファスシリコンで形成され電磁波の照射を受けて電子正孔対を発生させる変換層であるいわゆるi層155、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたいわゆるp層156が下方から順に積層されて形成されている。なお、n層154、i層155、p層156の上下の順はこの逆であってもよい。また、光電変換素子15はPIN型のフォトダイオードに限定されず、例えばMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型等の他の形式のフォトダイオード等で構成することも可能である。
【0036】
p層156の上には、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極とされた第2電極157が積層されて形成されており、光がi層155等に到達するように構成されている。また、第2電極157の上面には、第2電極157に電圧を印加して光電変換素子15に逆方向バイアスをかけるためのバイアス線13が接続されている。本実施形態の光電変換素子15は、このように逆方向バイアスが印加されて駆動されるようになっており、TFT16がオン状態とされると、第1電極153に蓄積された電荷がTFT16のソース電極16sやドレイン電極16dを介して信号線12に取り出されるようになっている。
【0037】
光電変換素子15の第2電極157やバイアス線13は、その上方側から窒化シリコン(SiN)等からなる被膜層17で被覆されている。被膜層17は、それと一体的にTFT16側にも形成されており、パッシベーション層163や光電変換素子15の第1電極153の延出部分等を上側から被覆するように構成されている。
【0038】
放射線検出パネル3では、上記のように構成された基板4の上面4a上には、図3に示すように、走査線11や信号線12、結線14の端縁部分にそれぞれ入出力端子(パッドともいう)18が形成されている。各入出力端子18には、図7に示すように、COF(Chip On Film)19が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料20を介して圧着されている。また、COF19は、基板4の裏面4b側に引き回されており、裏面4b側でPCB基板9とCOF19とが圧着されて接続されるようになっている。
【0039】
また、図7に示すように、基板4の上面4aの複数の光電変換素子15等が形成された部分には、複数の光電変換素子15等による表面の凹凸を平坦化し、図7では図示を省略するシンチレータ6が光電変換素子15に対向するように配置された際にその下地とするために、複数の光電変換素子15等を被覆するように透明な樹脂等が塗布されて平坦化層21が形成されている。
【0040】
本実施形態では、平坦化層21は、透明の(すなわちシンチレータ6の蛍光体6aから出力される光を透過する)アクリル系の感光性樹脂で形成されている。なお、図7では、シンチレータ6のほか、電子部品8等の図示が省略されている。
【0041】
シンチレータ6(図2参照)は、入射した放射線を光に変換するものであり、蛍光体を主たる成分とする。具体的には、本実施形態では、シンチレータ6として、X線等の放射線が入射すると、波長が300nm〜800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心として紫外光から赤外光にわたる光を出力するものが用いられるようになっている。蛍光体としては、例えばCsI:Tl等の母体材料内に発光中心物質が付活されたものが好ましく用いられる。
【0042】
シンチレータ6は、本実施形態では、図27に示したシンチレータ100と同様に、図8の拡大図に示すように、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の各種高分子材料により形成された支持膜6bの上に、例えば気相成長法により蛍光体6aを成長させて形成されたものであり、蛍光体6aの柱状結晶からなっている。気相成長法としては、蒸着法やスパッタ法等が好ましく用いられる。
【0043】
いずれの手法においても、蛍光体6aを支持膜6b上に独立した細長い柱状結晶として気相成長させることができる。蛍光体6aの各柱状結晶は、支持膜6b付近では太く、先端(図8中では下側の端部)Paに向かうに従って細くなっていき、先端Paは鋭角状の略円錐形状となるように成長して形成される。
【0044】
本実施形態では、このようにして蛍光体6aが柱状結晶として形成されたシンチレータ6は、蛍光体6aの柱状結晶の鋭角状の先端Paが下側、すなわち前述した基板4の複数の光電変換素子15側を向くように、その支持膜6bが支持体5の下面5a側に貼付されるようになっている。このようにして、シンチレータ6は、支持体5で支持されるようになっている。
【0045】
本実施形態では、支持体5はガラス基板で構成されているが、この他にも、例えばPET(polyethylene terephthalate)等の樹脂板や樹脂フィルム等で構成することも可能である。
【0046】
図9は、図2における放射線検出パネルの端部部分の拡大図である。なお、図9において、放射線検出パネル3の各部材の相対的な大きさや厚さ、部材間の間隔等は、必ずしも現実の放射線検出パネル3の構造を反映していない。
【0047】
図9に示すように、放射線検出パネル3は、支持体5が、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが複数の光電変換素子15や平坦化層21に対向するように基板4の上方から基板4に載置されて形成されている。
【0048】
また、基板4と支持体5との間隙部分であってシンチレータ6の周囲の部分には、接着剤22が配置されている。すなわち、基板4と支持体5の両者は接着剤22により接続されており、基板4と支持体5と接着剤22とで外部から区画された内部空間Cが形成されている。
【0049】
接着剤22は、シンチレータ6の周囲の全周にわたって配置されて基板4と支持体5と接着しており、そのシンチレータ6や光電変換素子15等を含む内部空間Cは、基板4と支持体5と接着剤22とで密閉されている。しかも、内部空間Cの内部圧力が大気圧より低くなるように、内部空間Cの内部が減圧されて形成されている。
【0050】
接着剤22は、例えば光が照射されると硬化する光硬化型の接着剤や加熱することにより硬化する熱硬化型の接着剤が好ましく用いられる。また、シンチレータ6は湿気があると劣化する場合があるため、減圧されている内部空間Cの内部の空気が、さらにドライエアやAr等の不活性ガスで置換されていればより好ましい。
【0051】
本実施形態では、接着剤22中には、図10(A)に示すような断面円形状の棒状のスペーサS(Sa)や、図10(B)に示すような球形状のスペーサS(Sb)が含まれている。そのため、図11に示すように、大気圧より減圧されている内部空間Cに外気圧が働いて基板4と支持体5とが接近するように外力が加わっても、接着剤22中のスペーサSが基板4と支持体5との接近に抗して基板4と支持体5との間隔を確保するようになっている。
【0052】
次に、本実施形態に係る放射線画像検出器および放射線検出パネルの作用について説明する。
【0053】
放射線画像検出器1の放射線入射面X(図1、図2参照)から図示しない被写体を介して放射線が入射されると、放射線は、放射線検出パネル3(図9等参照)の支持体5を透過してシンチレータ6に入射し、シンチレータ6の蛍光体6aに吸収される。そして、蛍光体6a内で光が発生して、基板4上に二次元状に配列されて形成された光電変換素子15に向けて出力される。
【0054】
その際、本実施形態のようにシンチレータ6の蛍光体6aの柱状結晶の鋭角状の先端Paが光電変換素子15に対向するように配置すると、発生した光が蛍光体6aの柱状結晶内をその軸方向に伝播して先端Paから出力する際に、軸方向に直交する方向への光の拡散が抑制されるため(前述した図27参照)、出力された光は、その蛍光体6aの直下の光電変換素子15に的確に入射されて、当該光電変換素子15で電気信号に変換される。そのため、得られた放射線画像の鮮鋭性が向上する。
【0055】
また、本実施形態に係る放射線画像検出器1や放射線検出パネル3では、基板4と支持体5と接着剤22とで外部空間から区画された内部空間Cが密閉され、内部圧力が大気圧より低くなるように、内部空間Cの内部が減圧されているため、基板4や支持体5が外気圧により外側から内部空間C側に向けて常時押圧された状態となる。
【0056】
そのため、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが光電変換素子15や平坦化層21に当接した状態となり、蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離が、放射線検出パネル3の全域において一様となる。
【0057】
すなわち、本実施形態では、平坦化層21の厚さが放射線検出パネル3の全域において一定の厚さになるように平坦化層21を複数の光電変換素子15上に形成しておけば、平坦化層21の表面にシンチレータ6の蛍光体6aの先端Paが当接した状態では、シンチレータ6の蛍光体6aの先端Paと光電変換素子15との距離は平坦化層21の厚さ分の距離となる。
【0058】
そして、内部空間Cを大気圧より減圧し、外気圧によりシンチレータ6の全ての蛍光体6aの先端Paが平坦化層21の表面に当接するように構成することで、蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離が放射線検出パネル3の全域において一様となるように構成することが可能となる。
【0059】
そして、このようにシンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paを光電変換素子15や平坦化層21に当接させて蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離を放射線検出パネル3の全域において一様とすることで、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を得ることが可能となる。
【0060】
なお、接着剤22が、放射線検出パネル3の製造中や、或いは経時的に外気圧に押圧されて押し潰されてしまう可能性がある。また、前述した接着剤22中のスペーサSの直径、すなわち図10(A)に示したような断面円形状の棒状のスペーサSaであれば断面の円形の直径、また、図10(B)に示したような球形状のスペーサSbであれば球形の直径が小さすぎる場合に接着剤22が外気圧で押し潰されてしまうと、接着剤22が基板4と支持体5との間隔を維持できなくなり、図12に示すように、基板4と支持体5とが接近する可能性がある。
【0061】
このように、基板4と支持体5とが接近してしまうと、外気圧による外力が基板4や支持体5を介してシンチレータ6と光電変換素子15や平坦化層21との間に強く働いてしまうため、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが平坦化層21等に強く押し付けられて損傷してしまう場合がある。蛍光体6aの鋭角状の先端Paが損傷すると、得られた放射線画像の鮮鋭性が低下する。
【0062】
また、スペーサSの直径が大きすぎると、接着剤22に近い部分ではシンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが平坦化層21から離れてしまい、シンチレータ6と光電変換素子15との距離が遠くなる。その一方で、接着剤22から遠いシンチレータ6部分では、外気圧により蛍光体6aの先端Paが平坦化層21の表面に当接するため、シンチレータ6と光電変換素子15との距離が近くなる。そのため、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離が放射線検出パネル3の全域で一様でなくなり、得られる放射線画像の鮮鋭性が損なわれてしまう。
【0063】
そのため、スペーサSとしては、図11に示したように、その直径が、シンチレータ6の厚さや平坦化層21の厚さ、すなわちシンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが平坦化層21の表面に当接するように配置された場合の基板4と支持体5との間隔と略同一となるようなスペーサを用いることが好ましい。
【0064】
また、このようなスペーサSを用いることで、外気圧を利用してシンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paを適切に平坦化層21に当接させて、シンチレータ6を損傷することなく、蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離を、放射線検出パネル3の全域において一様とすることが可能となる。また、そのため、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を得ることが可能となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像検出器1および放射線検出パネル3によれば、基板4と支持体5と接着剤22とで区画され密閉された内部空間Cを大気圧より減圧することで、外気圧を利用して内部空間Cの内部で、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paを適切に平坦化層21に当接させて、シンチレータ6を損傷することなく、蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離を放射線検出パネル3の全域において一様とすることが可能となり、シンチレータ6の蛍光体6aの先端Paと光電変換素子15等との距離の均一化を図ることが可能となる。
【0066】
また、シンチレータ6の蛍光体6aの先端Paと光電変換素子15等との距離が均一となるため、放射線検出パネル3の基板4上の全ての光電変換素子15において鮮鋭性が一様となり、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となる。
【0067】
さらに、シンチレータ6の蛍光体6aの先端Paと、光電変換素子15や平坦化層21とが、接着剤等を介さずに当接するため、蛍光体の先端Paと光電変換素子15との距離が接近するようになる。そのため、蛍光体の先端Paから出力される光が放射線検出パネル3の基板4の面方向に拡散しないうちに光電変換素子15に入射するようになり、各光電変換素子15における鮮鋭性がさらに向上し、得られる画像における鮮鋭性を全体的に向上させることが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態では、シンチレータ6の蛍光体6aが、上記のように柱状結晶構造を有する場合について説明したが、シンチレータ6の蛍光体6aは必ずしも柱状結晶構造を有するものである必要はなく、本発明は、図30に示したように蛍光体が層状に形成されたシンチレータを用いる場合にも同様に適用することが可能である。
【0069】
すなわち、図13に示すように、例えばGOS(Gd22S:Tb)等で構成された蛍光体6aを支持体5に塗布してシンチレータ6を層状に形成し、シンチレータ6が光電変換素子15に対向するように支持体5を基板4上に載置して基板4と支持体5と接着剤22とで内部空間Cを密閉して減圧する。
【0070】
このように構成すれば、本実施形態の場合と同様に、外気圧により、内部空間Cの内部でシンチレータ6の蛍光体6aの光電変換素子15側の端面Pcが平坦化層21に対して全面的に当接させるようになるため、蛍光体6aの端面Pcと光電変換素子15との距離を放射線検出パネル3の全域において一様とすることが可能となり、シンチレータ6の蛍光体6aの端面Paと光電変換素子15等との距離の均一化を図ることが可能となる。また、そのため、放射線検出パネル3の基板4上の全ての光電変換素子15において鮮鋭性が一様となり、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となる。
【0071】
さらに、層状に形成されたシンチレータ6の蛍光体6aの端面Pcと、光電変換素子15や平坦化層21とが、接着剤等を介さずに当接するため、蛍光体6aの端面Pcと光電変換素子15との距離が接近する。そのため、蛍光体6aの端面Pcから出力される光が放射線検出パネル3の基板4の面方向に拡散しないうちに光電変換素子15に入射するようになり、各光電変換素子15における鮮鋭性がさらに向上し、得られる画像における鮮鋭性を全体的に向上させることが可能となる。
【0072】
なお、シンチレータ6として蛍光体6aが層状に形成されたシンチレータを用いることが可能であることは、下記の本発明に係る放射線検出パネルの製造方法および放射線画像検出器の製造方法についても同様である。
【0073】
一方、前述したように、図9に示したシンチレータ6において蛍光体6aの各柱状結晶の長さが均一でなかったり、図13に示したシンチレータ6において蛍光体6aの厚さが均一でない場合がある。
【0074】
このような場合、外気圧により押圧されて蛍光体6aの柱状結晶の鋭角状の先端Paや層状の蛍光体6aの端面Pcが光電変換素子15や平坦化層21の表面に全面的に当接すると、基板4や支持体5が図9や図13に示したように平板状にならず、蛍光体6aの柱状結晶の長さの不均一さや厚さの不均一さに応じて基板4や支持体5が波打ったり凹凸を生じたりする場合がある。しかし、放射線画像検出器1の放射線検出パネル3の基板4や支持体5が波打ったり凹凸を生じたりしても、通常、放射線検出パネル3で検出される放射線画像に影響が生じることはない。
【0075】
[放射線検出パネルの製造方法および放射線画像検出器の製造方法]
次に、本実施形態に係る放射線検出パネルの製造方法および放射線画像検出器の製造方法について説明する。上記の放射線検出パネル3や放射線画像検出器1は、図14〜図16に示すフローチャートに従って製造される。
【0076】
放射線検出パネル3や放射線画像検出器1の製造においては、大きく分けて2つの方法があるが、まず、図14のフローチャートに従って、基板4上に、シンチレータ6を支持する支持体5を載置するようにして放射線検出パネル3を製造する方法について説明する。
【0077】
本実施形態では、放射線検出パネル3の製造において、図17に示すような基台31とフィルム32と蓋部材33とを有するチャンバ30が用いられる。
【0078】
チャンバ30の基台31と蓋部材33の各側面には、Oリング状のシール部材34a、34bがそれぞれ配設されており、基台31のシール部材34aと蓋部材33のシール部材34bで上下からフィルム32を挟持するようにしてフィルム32を密封状に固定するようになっている。
【0079】
基台31の底部は、平面状に形成されており、さらに、図示しない開口部を介して減圧用ポンプ35が取り付けられている。また、フィルム32は、紫外線を透過し、伸縮性を有する素材で形成されている。また、本実施形態では、蓋部材33の内部には紫外線照射装置36が取り付けられている。さらに、本実施形態では、蓋部材33にはポンプ37が図示しない開口部を介して取り付けられている。なお、蓋部材33については、ポンプ37を設ける代わりに単なる開口部を設けるように構成することも可能である。
【0080】
放射線検出パネル3の製造においては、まず、図18に示すように、スペーサSを含む接着剤22を、基板4の上面4a上の光電変換素子15や平坦化層21等の周囲に塗布して配置する(図14のステップS1)。後述するように基板4と支持体5とは光電変換素子15とシンチレータ6とが対向するように載置されるが、その際に、接着剤22がシンチレータ6の周囲の部分に位置するように、基板4の上面4a上に予め接着剤22が塗布される。
【0081】
続いて、図19に示すように、このように接着剤22が配置された基板4が、チャンバ30の基台31上に載置される(図14のステップS2)。そして、図20に示すように、その上方から、支持体5を、シンチレータ6が光電変換素子に対向するように基板4上に載置する(図14のステップS3)。本実施形態では、このようにして、接着剤22が塗布された基板4上に支持体5を載置することで、接着剤22を、基板4と支持体5との間隙部分であってシンチレータ6の周囲の部分に配置するようになっている。
【0082】
なお、本実施形態のように、予め接着剤22が塗布された基板4上に支持体5を載置することで接着剤22を配置する代わりに、図21に示すように、接着剤22を予め支持体5側に塗布しておき、それを基板4上に載置することで、基板4と支持体5との間隙部分に接着剤22を配置するように構成することも可能である。その際、接着剤22は、支持体5のシンチレータ6の周囲に予め塗布される。また、基板4上に支持体5を載置した後に接着剤22を基板4と支持体5との間隙部分に挿入するようにして、接着剤22をシンチレータ6の周囲の部分に配置するようにすることも可能である。
【0083】
続いて、図17に示したように、基台31上に載置された放射線検出パネル3の支持体5の上方側から支持体5を被覆するようにフィルム32が載置され(図14のステップS4)、その上方からチャンバ30の蓋部材33が取り付けられる。
【0084】
そして、前述したように、基板4と支持体5と接着剤22とで外部から区画された内部空間C内の湿気(水蒸気)を排除するために、チャンバ30内の空気、或いは少なくとも放射線検出パネル3を含むチャンバ30の基台31とフィルム32との間の空間(以下、下方空間R1という。図17参照)内の空気をドライエアや不活性ガスで置換する。
【0085】
そして、減圧用ポンプ35を駆動して、放射線検出パネル3を含むチャンバ30の基台31とフィルム32との間の空間(以下、下方空間R1という。図17参照)を減圧することで、放射線検出パネル3の内部空間C(図9等参照)を大気圧より低い圧力(例えば0.2気圧〜0.5気圧)に減圧していく。
【0086】
チャンバ30の蓋部材33とフィルム32との間の空間(以下、上方空間R2という。図17参照)は大気圧のままであるため、チャンバ30の下方空間R1を減圧していくと、図22に示すように、放射線検出パネル3の支持体5の上方からフィルム32が張り付くようになり、放射線検出パネル3は、フィルム32を介して上方から上方空間R2の大気圧と支持体5の自重等で押圧されて、基板4と支持体5とが貼り合わされる(図14のステップS5)。
【0087】
その際、接着剤22に前述したようなスペーサSが含まれていれば、外気圧による外力でシンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paが平坦化層21等に強く押し付けられて損傷してしまったり、蛍光体6aの鋭角状の先端Paが平坦化層21等の表面から浮き上がったりしてしまうことを防止することが可能となる。
【0088】
なお、その際、チャンバ30の蓋部材33側のポンプ37を駆動させてチャンバ30の上方空間R2を適度に加圧して、放射線検出パネル3の基板4と支持体5とを確実に貼り合わせるように構成することも可能であり、チャンバ30の上方空間R2の圧調整は適宜行われる。
【0089】
本実施形態では、基本的には、以上のようにして、基板4と支持体5とが接着剤22を介して減圧の環境下で貼り合わされるとともに、基板4と支持体5と接着剤22とで外部から区画された内部空間C(図9参照)が、その内部圧力が大気圧より低くなるように減圧された状態となる。そして、放射線検出パネル3を、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paや層状の蛍光体6aの端面Pcが、基板4上に形成された複数の光電変換素子15やそれを被覆する平坦化層21の表面に当接する状態に形成することができる。
【0090】
本実施形態では、さらに、図22の状態で貼り合わされた放射線検出パネル3に対してチャンバ30の蓋部材33に設けられた紫外線照射装置36から紫外線を照射して、接着剤22を硬化し、基板4と支持体5とを確実に貼り合わせるようになっている(図15のステップS6)。そのため、本実施形態では、接着剤22として、光硬化型、特に紫外線硬化型の接着剤が用いられており、支持体5は、光、特に紫外線を透過する材料で形成されている。
【0091】
また、支持体5を透過した紫外線がシンチレータ6や光電変換素子15等に悪影響を及ぼすことを防止するために、図23に示すように、支持体5とシンチレータ6との間に、光(紫外線)を遮光する遮光層23を形成することが好ましい。なお、遮光層23は、支持体5とシンチレータ6との間ではなく、或いは支持体5とシンチレータ6との間に設けるとともに、支持体5のシンチレータ6が設けられた面とは反対側の面側に形成することも可能である。
【0092】
一方、上記のように、接着剤配置工程(ステップS1)や支持体載置工程(図14、図15のステップS3)において、チャンバ30の下方空間R1がまだ減圧されていない大気圧の状態で、最初からシンチレータ6の周囲の全周にわたって接着剤22を配置すると、基板4と支持体5と接着剤22とで外部から区画され密閉された内部空間Cの内部の圧力が大気圧になる。
【0093】
そして、その状態で、減圧貼り合わせ工程(ステップS5)においてチャンバ30の下方空間R1を減圧すると、内部空間Cの内部の空気(またはドライエアや不活性ガス。以下同じ。)がうまく引き出されずに、内部空間Cの内部の圧力が大気圧のままとなってしまったり、或いはまだ軟らかい接着剤22によるシールを破壊して内部空間Cから下方空間R1に空気が噴出し、接着剤22によるシールが破壊されてしまう場合がある。
【0094】
これらの場合、少なくとも放射線検出パネル3をチャンバ30内から大気圧中に取り出すと、基板4と支持体5と接着剤22とで外部から区画された内部空間Cの内部の圧力は大気圧のままとなり、内部空間Cが大気圧より減圧されているという本発明に必須の要件が実現されない場合がある。
【0095】
そのため、本実施形態では、図24(A)に示すように、接着剤22を放射線検出パネル3の基板4と支持体5との間隙部分に配置するが、シンチレータ6の周囲の全周にわたって接着剤22を配置するのではなく、内部空間Cとその外側の空間とを連通する開口部24が接着剤22部分に単数或いは複数形成されるように、接着剤22を基板4や支持体5に予め配置するようになっている(図14、図15のステップS1)。
【0096】
そして、その状態で、減圧貼り合わせ工程(ステップS5)を実行してチャンバ30の下方空間R1を減圧すると、内部空間Cの内部の空気が接着剤22の開口部24から引き出され、内部空間Cの内部の圧力も確実に減圧される。また、予め開口部24の開口の大きさを適切な大きさに形成しておくと、減圧貼り合わせ工程(ステップS5)において、図24(B)に示すように、上方空間R2からの大気圧による押圧等で放射線検出パネル3の基板4と支持体5とが互いに接近する際に、それにより接着剤22が水平方向に押し広げられて、いわば自動的に開口部24が封止される。
【0097】
そして、この状態で、図22に示したように、チャンバ30内の紫外線照射装置36から紫外線が照射され、接着剤22が硬化されて(図15のステップS6)、基板4と支持体5とが確実に貼り合わされることで、内部空間Cが大気圧より減圧された状態で封止される(ステップS7)。なお、自動的に封止した開口部24の部分に新たに接着剤を塗布して硬化させて、封止を確実にするように構成することも可能である。
【0098】
また、接着剤22の開口部24をより大きく形成しておき、減圧貼り合わせ工程(ステップS5)の後、改めて開口部24に接着剤を塗布して封止するように構成することも可能である。図25に示すように、接着剤22の開口部24を広めに形成すると、その状態で、減圧貼り合わせ工程(図14、図15のステップS5)を実行してチャンバ30の下方空間R1を減圧すると、内部空間Cの内部の空気が接着剤22の開口部24から引き出され、内部空間Cの内部の圧力が減圧される。
【0099】
そして、図22に示したように、その状態でチャンバ30内の紫外線照射装置36から紫外線が照射され、接着剤22が硬化されて基板4と支持体5とが確実に貼り合わされる(図15のステップS6)。しかし、この場合は、上記の場合と異なり、接着剤22が水平方向に押し広げられても、開口部24は封止されず、開口したままとなる。
【0100】
本実施形態のチャンバ30では、下方空間R1が減圧されると、放射線検出パネル3にチャンバ30のフィルム32が張り付くようになるため、この状態では開口部24に新たに接着剤を塗布して開口部24を封止する作業を行い難い。そこで、図示を省略するが、本実施形態では、減圧貼り合わせ工程(ステップS5)の後、放射線検出パネル3を一旦チャンバ30から取り出し、注射器様のディスペンサや紫外線照射装置を備える別のチャンバに移し替える。
【0101】
この移し替えの際に、開口部24から内部空間Cの内部に空気が入り込み、内部空間Cの内部の圧力が大気圧に戻るが、この別のチャンバ内を減圧して放射線検出パネル3の内部空間Cを減圧し、その状態でディスペンサから開口部24の部分に本実施形態では接着剤22と同じ材料の紫外線硬化型の接着剤25を塗布する(図26参照)。接着剤22とは異なる種類の接着剤25を塗布してもよい。そして、紫外線硬化装置から紫外線を照射して接着剤25を硬化させて開口部24を封止する(図15のステップS7)。
【0102】
なお、この別のチャンバ内を減圧して放射線検出パネル3の内部空間Cを減圧する前に、このチャンバ内の空気をドライエアやAr等の不活性ガスで置換した後で減圧するように構成すれば、内部空間Cの内部の空気がドライエア等で置換され、シンチレータ6の湿気による劣化を防止することが可能となり好ましい。
【0103】
次に、放射線画像検出器1の製造においては、図16のフローチャートに示すように、上記のようにして放射線検出パネル3の製造工程(ステップS10)が終了すると、続いて、前述したように、シンチレータ6の支持体5と貼り合わされた基板4上に形成された入出力端子18(図7参照)に、異方性導電接着フィルムを貼付したり異方性導電ペーストを塗布する等して、COF19を圧着するCOF圧着工程が行われ(図16のステップS11)、さらに、入出力端子18とCOF19との通電を検査するCOF通電検査工程(ステップS12)が行われるようになっている。
【0104】
続いて、COF19が基板4の裏面4b(図7参照)側に引き回されてPCB基板9とCOF19とが圧着されて接続されるPCB基板圧着工程が行われるようになっている(図16のステップS13)。
【0105】
そして、基板4等における金属製の部材の露出部分等の腐食する可能性がある部分に対して腐食防止のためにシリコンゴムや樹脂を塗布する腐食防止工程が行われた後(ステップS14)、上記のようにしてCOF19やPCB基板9等が取り付けられた放射線検出パネル3に図示しない支持台や基台等が固定されてモジュール化されるモジュール形成工程が行われる(ステップS15)。
【0106】
そして、最終的にモジュール化された放射線検出パネル3が筐体2(図1等参照)内に収納されて(図16のステップS16)、放射線画像検出器1が製造されるようになっている。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る放射線検出パネルの製造方法および放射線画像検出器の製造方法によれば、大気圧より減圧された減圧雰囲気下で放射線検出パネル3の基板4と支持体5とを接着剤22を介して貼り合わせることが可能となり、基板4と支持体5と接着剤22とで区画され密閉された内部空間Cを確実に大気圧より減圧することが可能となる。
【0108】
そのため、本実施形態に係る製造方法により製造された放射線画像検出器1の放射線検出パネル3においては、外気圧を利用して内部空間Cの内部で、シンチレータ6の蛍光体6aの鋭角状の先端Paを適切に平坦化層21に当接させて、シンチレータ6を損傷することなく、蛍光体6aの鋭角状の先端Paと光電変換素子15との距離を放射線検出パネル3の全域において一様とすることが可能となる。そのため、シンチレータ6の蛍光体6aの端面Paと光電変換素子15等との距離の均一化を図ることが可能となる。
【0109】
また、本実施形態に係る製造方法により製造された放射線画像検出器1や放射線検出パネル3においては、シンチレータ6の蛍光体6aの端面Paと光電変換素子15等との距離が均一となるため、放射線検出パネル3の基板4上の全ての光電変換素子15において鮮鋭性が一様となり、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となる。
【0110】
さらに、シンチレータ6の蛍光体6aの先端Paと、光電変換素子15や平坦化層21とが、接着剤等を介さずに当接するため、蛍光体の先端Paと光電変換素子15との距離が接近するようになる。そのため、蛍光体の先端Paから出力される光が放射線検出パネル3の基板4の面方向に拡散しないうちに光電変換素子15に入射するようになり、各光電変換素子15における鮮鋭性がさらに向上し、得られる画像における鮮鋭性を全体的に向上させることが可能となる。
【0111】
なお、本実施形態では、図22等に示したように、チャンバ30の基台31上に放射線検出パネル3の基板4を載置し、その上方から支持体5を載置して、支持体5の上方側から支持体5を被覆するように載置されたフィルム32の下方空間R1内を減圧して基板4と支持体5とを貼り付ける場合について説明した。
【0112】
このようにして放射線検出パネル3を製造する場合、基板4と支持体5の厚さや剛性の大小等によっても異なるが、シンチレータ6における蛍光体6aの各柱状結晶の長さが均一でなかったり蛍光体6aの厚さが均一でない場合には、チャンバ30の平板状の基台31上に載置された基板4は平板状になり、支持体5側に波打ちや凹凸が生じ易くなる。
【0113】
しかし、前述したように、放射線画像検出器1の放射線検出パネル3の支持体5に波打ちや凹凸が生じたとしても、通常、放射線検出パネル3で検出される放射線画像に影響が生じることはなく、シンチレータ6の蛍光体6aの端面Paと光電変換素子15等との距離が均一となり、放射線検出パネル3の基板4上の全ての光電変換素子15において鮮鋭性が一様となるため、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となるといった上記の効果が有効に発揮される。
【0114】
また、本実施形態とは逆に、チャンバ30の基台31上に放射線検出パネル3の支持体5を載置し、その上方から基板4を載置するようにして、放射線検出パネル3やそれを用いた放射線画像検出器1を製造するように構成することも可能である。
【0115】
この場合、図14や図15に示したフローチャートでは、基板載置工程(ステップS2)と支持体載置工程(ステップS3)の順番が入れ替わる。また、図17以降に示した各図では、チャンバ30内での基板4および支持体5(およびそれに伴う光電変換素子15やシンチレータ6等)の上下関係が入れ替わる。
【0116】
そして、この場合、シンチレータ6における蛍光体6aの各柱状結晶の長さが均一でなかったり蛍光体6aの厚さが均一でない場合には、上記とは逆に、チャンバ30の平板状の基台31上に載置された支持体5は平板状になり、基板4側に波打ちや凹凸が生じ易くなるが、上記と同様に、基板4に波打ちや凹凸が生じたとしても、通常、放射線検出パネル3で検出される放射線画像に影響が生じることはなく、シンチレータ6の蛍光体6aの端面Paと光電変換素子15等との距離が均一となり、放射線検出パネル3の基板4上の全ての光電変換素子15において鮮鋭性が一様となるため、画像全体において鮮鋭性が一様な放射線画像を検出することが可能となるといった上記の効果が有効に発揮される。
【0117】
また、この場合、図22に示した状態(なお、基板4が支持体5の上側に存在する。)で、紫外線照射装置36から紫外線を照射して接着剤22を硬化して基板4と支持体5とを貼り合わせる場合には、基板4は、紫外線を透過する材料で予め形成される。また、基板4を透過した紫外線がシンチレータ6や光電変換素子15等に悪影響を及ぼすことを防止するために、図23に示した支持体5の場合と同様に、基板4と光電変換素子15等との間に紫外線を遮光する遮光層を形成することが好ましい。また、遮光層を、基板4と光電変換素子15等との間ではなく、或いは基板4と光電変換素子15等との間に設けるとともに、光電変換素子15等が設けられた基板4の面とは反対側の面側に形成してもよい。
【0118】
一方、接着剤22として熱硬化型の接着剤が用いられる場合には、チャンバ30内や、接着剤22の開口部24(図26等参照)を接着剤25で封止するための別のチャンバ内に図示しない加熱装置を予め設けておき、その加熱装置で接着剤22、25を加熱して硬化させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本実施形態に係る放射線画像検出器の外観斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】基板上の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された光電変換素子と薄膜トランジスタ等の構成を示す拡大図である。
【図5】図4におけるB−B線に沿う断面図である。
【図6】図4におけるC−C線に沿う断面図である。
【図7】COFやPCB基板等が取り付けられた基板を説明する図である。
【図8】蛍光体が柱状構造を有するシンチレータの構成およびその支持体への貼付を説明する拡大模式図である。
【図9】図2における放射線検出パネルの拡大断面図である。
【図10】接着剤中に含まれるスペーサの例を示す図であり、(A)は断面円形状の棒状のスペーサ、(B)は球形状のスペーサを表す。
【図11】外力による基板と支持体との接近に抗して基板と支持体との間隔を確保するスペーサの機能を説明する図である。
【図12】スペーサの直径が小さすぎて基板と支持体とが接近した状態を表す図である。
【図13】シンチレータの蛍光体が層状に形成された場合の放射線検出パネルの拡大断面図である。
【図14】本実施形態に係る放射線検出パネルの製造方法を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る放射線検出パネルの製造方法を示すフローチャートである。
【図16】本実施形態に係る放射線画像検出器の製造方法を示すフローチャートである。
【図17】放射線検出パネルの製造に用いられるチャンバの構成を説明する図である。
【図18】基板に予め塗布されたスペーサを含む接着剤を表す図である。
【図19】チャンバの基台上に載置された基板を表す図である。
【図20】チャンバの基台上の基板上に載置された支持体を表す図である。
【図21】支持体に予め塗布されたスペーサを含む接着剤を表す図である。
【図22】チャンバ基台とフィルムとの間の空間が減圧され基板と支持体とが貼り合わされた状態を説明する図である。
【図23】支持体とシンチレータとの間に設けられた遮光層を表す図である。
【図24】(A)放射線検出パネルの基板と支持体との間の接着剤部分に形成された開口部を表す図であり、(B)接着剤が水平方向に押し広げられて封止された開口部を表す図である。
【図25】放射線検出パネルの基板と支持体との間の接着剤部分に形成された開口部を表す図である。
【図26】接着剤の開口部を封止するために塗布された接着剤を表す図である。
【図27】蛍光体が柱状構造を有するシンチレータの構成を説明する拡大模式図である。
【図28】平坦化層上に蛍光体を直接成長させて形成されたシンチレータを表す図である。
【図29】蛍光体の各柱状結晶の長さが均一でないシンチレータを表す図である。
【図30】蛍光体と平坦化層との間の接着剤が均等な厚さで塗布されていないシンチレータを表す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 放射線画像検出器
3 放射線検出パネル
4 基板
4a 面
5 支持体
5a シンチレータが設けられた面
6 シンチレータ
6a 蛍光体
15 光電変換素子
22、25 接着剤
23 遮光層
24 開口部
31 基台
32 フィルム
C 内部空間
Pa 蛍光体の柱状結晶の鋭角状の先端
R1 基台とフィルムとの間の空間(下方空間)
S スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を載置する基板載置工程と、
前記基板上に、放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体を、当該シンチレータが前記光電変換素子に対向するように載置する支持体載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記支持体の前記シンチレータが設けられた面とは反対側の面側から前記支持体を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有することを特徴とする放射線検出パネルの製造方法。
【請求項2】
前記接着剤として、光硬化型の接着剤が用いられ、
前記支持体として、光透過性の材料で形成された支持体が用いられ、
かつ、前記支持体と前記シンチレータとの間に、または前記支持体の前記シンチレータが設けられた面とは反対側の面側に、遮光層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項3】
基台上に、一方の面に放射線を光に変換するシンチレータが設けられた支持体を載置する支持体載置工程と、
前記支持体上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を、当該光電変換素子が前記シンチレータに対向するように載置する基板載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記基板の前記複数の光電変換素子が配列された面とは反対側の面側から前記基板を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有することを特徴とする放射線検出パネルの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤として、光硬化型の接着剤が用いられ、
前記基板として、光透過性の材料で形成された基板が用いられ、
かつ、前記基板と前記光電変換素子との間に、または前記基板の前記光電変換素子が設けられた面とは反対側の面側に、遮光層が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項5】
前記接着剤として、熱硬化型の接着剤が用いられることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項6】
前記減圧貼り合わせ工程の後、前記接着剤を硬化させる接着剤硬化工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項7】
前記接着剤配置工程では、前記支持体の前記表面の前記シンチレータの周囲に予め配置された前記接着剤が、前記光電変換素子と前記シンチレータとが対向するように前記基板と前記支持体とが載置されることにより、前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項8】
前記接着剤配置工程では、前記光電変換素子と前記シンチレータとが対向するように前記基板と前記支持体とが載置される際に、前記支持体の前記シンチレータの周囲に位置するように、前記接着剤が、前記基板の前記光電変換素子が設けられた前記表面上に予め配置されており、前記載置により、前記接着剤が、前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項9】
前記接着剤には、前記減圧貼り合わせ工程において前記基台と前記フィルムとの間の空間が減圧される際に、前記基板と前記支持体との間隔を確保するためのスペーサが含まれていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項10】
前記スペーサは、前記シンチレータの厚さと略同一の直径を有する球形状、または前記シンチレータの厚さと略同一の直径を有する断面円形状の棒状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項11】
前記光電変換素子と前記シンチレータとが対向するように前記基板と前記支持体とが載置された際に、前記基板と前記支持体と前記接着剤とで区画されて形成される内部空間とその外側の空間とを連通する開口部が前記接着剤部分に単数または複数形成されるように、前記接着剤が前記基板の表面上または前記支持体の表面上に予め配置されることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項12】
前記接着剤部分の開口部は、前記減圧貼り合わせ工程の際、互いに接近する前記基板および前記支持体により前記接着剤が押し広げられることにより減圧雰囲気下で封止されることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項13】
前記接着剤部分の開口部は、前記減圧貼り合わせ工程後、減圧雰囲気下で接着剤が塗布されて封止されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項14】
前記シンチレータは、蛍光体の柱状結晶で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項15】
前記シンチレータは、前記蛍光体の柱状結晶の鋭角状の先端が前記光電変換素子に対向するように配置されることを特徴とする請求項14に記載の放射線検出パネルの製造方法。
【請求項16】
基台上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を載置する基板載置工程と、
前記基板上に、放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体を、当該シンチレータが前記光電変換素子に対向するように載置する支持体載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記支持体の前記シンチレータが設けられた面とは反対側の面側から前記支持体を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有する放射線検出パネルの製造工程により製造された放射線検出パネルを用いて放射線画像検出器を製造することを特徴とする放射線画像検出器の製造方法。
【請求項17】
基台上に、一方の面に放射線を光に変換するシンチレータが設けられた支持体を載置する支持体載置工程と、
前記支持体上に、一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板を、当該光電変換素子が前記シンチレータに対向するように載置する基板載置工程と、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に接着剤を配置する接着剤配置工程と、
前記基板の前記複数の光電変換素子が配列された面とは反対側の面側から前記基板を被覆するようにフィルムを載置するフィルム載置工程と、
前記基板および前記支持体を含む、前記基台と前記フィルムとの間の空間を減圧して前記基板と前記支持体とを貼り合わせる減圧貼り合わせ工程と、
を有する放射線検出パネルの製造工程により製造された放射線検出パネルを用いて放射線画像検出器を製造することを特徴とする放射線画像検出器の製造方法。
【請求項18】
一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板と、
放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記シンチレータが前記光電変換素子に対向するように前記基板上に載置されており、
前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に、接着剤が配置されており、
かつ、前記基板と前記支持体と前記接着剤とで区画され密閉された内部空間が大気圧より減圧されていることを特徴とする放射線検出パネル。
【請求項19】
前記シンチレータは、蛍光体の柱状結晶で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の放射線検出パネル。
【請求項20】
前記シンチレータは、前記蛍光体の柱状結晶の鋭角状の先端が前記光電変換素子に対向するように配置されることを特徴とする請求項19に記載の放射線検出パネル。
【請求項21】
前記接着剤には、前記基板と前記支持体との間隔を確保するためのスペーサが含まれていることを特徴とする請求項18から請求項20のいずれか一項に記載の放射線検出パネル。
【請求項22】
前記スペーサは、前記シンチレータの厚さと略同一の直径を有する球形状、または前記シンチレータの厚さと略同一の直径を有する断面円形状の棒状に形成されていることを特徴とする請求項21に記載の放射線検出パネル。
【請求項23】
一方の面に複数の光電変換素子が二次元状に配列されて形成された基板と、
放射線を光に変換するシンチレータを支持する支持体と、
を有する放射線検出パネルを備え、
前記放射線検出パネルの前記支持体は、前記シンチレータが前記光電変換素子に対向するように前記基板上に載置されており、
前記放射線検出パネルの前記基板と前記支持体との間隙部分であって前記シンチレータの周囲の部分に、接着剤が配置されており、
かつ、前記放射線検出パネルの前記基板と前記支持体と前記接着剤とで区画され密閉された内部空間が大気圧より減圧されていることを特徴とする放射線画像検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−43887(P2010−43887A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206769(P2008−206769)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】