説明

放電管点灯装置のスキャン点灯システム及び放電管点灯装置

【課題】バースト調光の位相制御を行なう専用のICを不要で安価な放電管点灯装置。
【解決手段】直流電源Vinの両端に接続され且つ共振回路9内の一次巻線Pとコンデンサとに電流を流すスイッチング素子Qp1,Qn1と、各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせるために、入力された調光用基準信号が所定値になった時に動作を開始し、自己の放電管点灯装置に対して予め定められた所定の遅延時間を設定する遅延タイマー回路23と、コンデンサC2に対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに遅延タイマー回路で設定された所定の遅延時間だけ調光用基準信号に対して三角波信号に遅延時間を発生する三角波発生器21と、三角波発生器で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づきスイッチング素子を間欠発振動作させるバースト調光用比較器25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電管の点灯、特に冷陰極管(CCFL)を用いた液晶表示機器等に使用される放電管点灯装置を複数個接続してスキャンしながら放電管を点灯させる放電管点灯装置のスキャン点灯システム及び放電管点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電管点灯装置において、放電管を用いた液晶表示機器の液晶画面の動画映像をより鮮明にすることが要求されている。この動画映像を鮮明にする方法として、放電管をスキャニング点灯させるスキャン点灯方法がある。
【0003】
このスキャン点灯方法は、光の残光を抑えるために間欠発振を行なうとともに、間欠発振の位相をずらしながら放電管を点灯させるものであり、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載されたバーストモード発生システムにおいて、位相遅延アレイは、PWM信号発生器からのPWM信号を受信し、このPWM信号に基づいて位相をずらした複数の位相PWM信号を生成して、複数の負荷の各々の負荷に電力を供給する。
【特許文献1】米国特許6501234B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたスキャン点灯方法では、直流−交流変換を行なう放電管点灯装置の制御ICの他に、バースト調光の位相制御を行なう専用のIC(位相遅延アレイ)が必要である。このため、放電管点灯装置が高価になってしまう。
【0006】
本発明は、バースト調光の位相制御を行なう専用のICが不要で安価となり、容易に放電管のスキャニング点灯が可能な放電管点灯装置のスキャン点灯システム及び放電管点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の放電管点灯装置のスキャン点灯システムは、直流電力から交流電力に変換する複数の放電管点灯装置の各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせて前記交流電力を順次複数の放電管に供給して複数の放電管をスキャン点灯させる放電管点灯装置のスキャン点灯システムであって、前記複数の放電管点灯装置の各々は、トランスの一次巻線と二次巻線との少なくとも一方の巻線にコンデンサが接続され、その出力に前記放電管が接続された共振回路と、直流電源の両端に接続され且つ前記共振回路内の前記トランスの一次巻線と前記コンデンサとに電流を流すための複数のスイッチング素子と、前記各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせるために、入力された調光用基準信号が所定値になった時に動作を開始し、自己の放電管点灯装置に対して予め定められた所定の遅延時間を設定する遅延タイマー回路と、調光用コンデンサに対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに、前記遅延タイマー回路で設定された所定の遅延時間だけ、前記調光用基準信号に対して前記三角波信号に遅延時間を発生する三角波発生器と、前記三角波発生器で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき前記複数のスイッチング素子を間欠発振動作させるバースト調光用比較器とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の放電管点灯装置は、入力された1つの調光用基準信号に基づき、調光用基準信号に対して三角波信号に遅延時間を発生し、発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき複数のスイッチング素子を間欠発振動作させる。即ち、各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせて交流電力を順次複数の放電管に供給して複数の放電管をスキャン点灯させるので、バースト調光の位相制御を行なう専用のICが不要で安価となり、容易に放電管のスキャニング点灯が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る放電管点灯装置のスキャン点灯システム及び放電管点灯装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例1の放電管点灯装置の構成を示す回路図である。図5は本発明の実施例1の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。
【0011】
図5に示す4つの放電管点灯装置の各々は、図1に示すように構成されるので、最初に、放電管点灯装置について説明する。図1に示す放電管点灯装置は、直流電源Vinとグランドとの間には、ハイサイドのP型MOSFETQp1(P型FETQp1と称する。)とローサイドのN型MOSFETQn1(N型FETQn1と称する。)との直列回路が接続されている。P型FETQp1とN型FETQn1との接続点とグランドGNDとの間には、コンデンサC6とトランスTの一次巻線Pとの直列回路が接続され、トランスTの二次巻線Sの両端にはコンデンサC7が接続されている。なお、リアクトルLrは、トランスTのリーケージインダクタンスである。
【0012】
P型FETQp1のソースに直流電源Vinが供給され、P型FETQp1のゲートはコントロールIC1の端子DRV1に接続されている。N型FETQn1のゲートはコントロールIC1の端子DRV2に接続されている。
【0013】
コントロールIC1は、スタート回路10、カレントミラー回路11、三角波発生器12、誤差増幅器15、PWMコンパレータ16a,16b、ナンド回路17a、論理回路17b、ドライバ18a,18b、バースト調光用三角波発生器21、バースト調光用比較器25、パルス電流発生器27を有している。
【0014】
スタート回路10は、直流電源Vinの電源供給を受けて所定電圧REGを生成して内部の各部に供給している。カレントミラー回路11は、端子RIを介して定電流決定抵抗R1の一端に接続されている。三角波発生器12は、端子CFを介してコンデンサC1の一端に接続されている。
【0015】
カレントミラー回路11は、定電流値決定抵抗R1により任意に設定される定電流を流す。三角波発生器12は、カレントミラー回路11の定電流によりコンデンサC1の充放電を行い、図3に示すような三角波信号(図3では端子CFでのコンデンサC1の充放電電圧を示す。)を発生させ、三角波信号に基づいてクロックCKを生成して、ナンド回路17a及び論理回路17bに送る。三角波信号は、立ち上がり傾斜と立下り傾斜が同じである。立ち上がり傾斜と立下り傾斜は、コンデンサC1の値と抵抗R1の値によって設定される。
【0016】
トランスTの二次巻線Sの一端は放電管3の一方の電極に接続され、放電管3の他方の電極は管電流検出回路5に接続されている。管電流検出回路5は、ダイオードD1,D2及び抵抗R4からなり、放電管3に流れる電流を検出し、検出された電流に比例した電圧を、抵抗R3とコントロールIC1aのフィードバック端子FBを介して誤差増幅器15の−端子に出力する。
【0017】
誤差増幅器15は、抵抗R3を介して−端子に入力される管電流検出回路5からの電圧と+端子に入力される基準電圧(電源電圧REGを抵抗R5と抵抗R6とで分圧した電圧)との誤差電圧を増幅し、その出力電圧FBOUTをPWMコンパレータ16aの+端子へ送る。
【0018】
PWMコンパレータ16aは、+端子に入力される誤差増幅器15の出力電圧FBOUTが−端子に入力される端子CFからの三角波信号電圧以上のときにHレベルで、出力電圧FBOUTが三角波信号電圧未満のときにLレベルとなるパルス信号を生成して、ナンド回路17aに出力する。PWMコンパレータ16bは、+端子に入力される誤差増幅器15の出力電圧FBOUTが、−端子に入力される三角波発生器12からの三角波信号の反転波形電圧以上のときにHレベルで、出力電圧FBOUTが三角波信号の反転波形電圧未満のときにLレベルとなるパルス信号を生成して、論理回路17bに出力する。
【0019】
ナンド回路17aは、三角波発生器12からのクロックとPWMコンパレータ16aからの信号とのナンドをとりドライバ18a及び端子DRV1を介して第1駆動信号をP型FETQp1に出力する。論理回路17bは、三角波発生器12からのクロックを反転した信号とPWMコンパレータ16bからの信号とのアンドをとりドライバ18b及び端子DRV2を介して第2駆動信号をN型FETQn1に出力する。
【0020】
PWMコンパレータ16a、ナンド回路17a、ドライバ18aは、三角波信号の半周期未満に、放電管3に流れる電流に応じたパルス幅で放電管3に電流を流すようにP型FETQp1を駆動する第1駆動信号を発生する。PWMコンパレータ16b、論理回路17b、ドライバ18bは、第1駆動信号と略同一パルス幅で略180度の位相差を持ち、第1駆動信号の発生時とは逆方向に放電管3に電流を流すようにN型FETQn1を駆動する第2駆動信号を発生する。
【0021】
次にこのように構成された実施例1の放電管点灯装置の基本的な動作を図3を参照しながら説明する。図3は図1に示す放電管点灯装置のREF端子がグランドに接続されている場合の放電管点灯装置の動作波形を示す図である。
【0022】
まず、定電流決定抵抗R1で任意に設定される定電流I1により、三角波発生器12は、コンデンサC1の充放電を行い、立ち上がり傾斜と立下り傾斜が同じである三角波信号CFを発生させ、三角波信号CFに基づいてクロックCKを発生させる。クロックCKは、三角波信号に同期した、例えば立ち上がり期間がHレベルで、立下り期間がLレベルとなるパルス信号である。
【0023】
ナンド回路17aは、発生器12からのクロックCKがHレベルで且つPWMコンパレータ16aからの信号がHレベルであるときのみ、Lレベルのパルス信号をP型FETQp1に出力してオンさせる。即ち、三角波信号CFの立ち上がり期間(クロックCKがHレベルで例えば時刻t1〜t3)中で、誤差増幅器15の出力電圧FBOUTが三角波信号CF以上のときに(PWMコンバータ16aからの信号がHレベル、即ち、三角波信号の下限値VLから三角波信号CFが誤差増幅器15の出力と交差するまでの期間で例えば時刻t1〜t2)Lレベルのパルス信号がP型FETQp1に出力される。即ち、パルス信号は、三角波信号CFの立ち上がり期間中のみ端子DRV1に送られる。
【0024】
例えば、時刻t1〜t2においては、Vin→Qp1→C6→P→GNDの経路で電流が流れ、トランスTの二次側では、S→放電管3→管電流検出回路5の経路で電流が流れる。
【0025】
一方、論理回路17dは、三角波発生器12からのクロックCK(Lレベル)を反転した反転出力がHレベルで且つPWMコンパレータ16bからの信号がHレベルであるときのみ、Hレベルのパルス信号をN型FETQn1に出力してオンさせる。
【0026】
即ち、三角波信号CFの立ち下がり期間(クロックCKがLレベルで例えば時刻t3〜t5)中で、出力電圧FBOUTが三角波信号CFの反転波形電圧以上のときに(PWMコンバータ16bからの信号がHレベル、例えば時刻(t3〜t4))Hレベルのパルス信号がN型FETQn1に出力される。即ち、パルス信号は、三角波信号CFの立ち下がり期間中のみ端子DRV2に送られる。
【0027】
例えば、時刻t3〜t4においては、P→C6→Qn1→GNDの経路で電流が流れ、トランスTの二次側では、管電流検出回路5→放電管3→Sの経路で電流が流れる。
【0028】
以上の動作により、コントロールIC1aは、第1駆動信号と、第1駆動信号と略同一パルス幅で略180度の位相差を持つ第2駆動信号とにより、立ち上がり傾斜期間と立ち下り傾斜期間が同一となる三角波信号CFの周波数で、P型FETQp1,N型FETQn1を交互にオン/オフさせて、放電管3に電力を供給するとともに、放電管3を流れる電流を所定値に制御する。
【0029】
(放電管のバースト調光の動作)
次に、放電管のバースト調光の動作を説明する。図4に実施例1の放電管点灯装置のバースト調光の動作波形図を示す。RI端子に接続された定電流値決定抵抗R1でカレントミラー回路11により任意に設定される電流I1により、CB端子に接続された低周波発振器用コンデンサC2の充放電が行われて、バースト調光用三角波発生器21は、バースト調光用の三角波信号(低周波の三角波信号)を発生する。このバースト調光用三角波信号は、立ち上がり傾斜と立ち下がり傾斜が同じである。
【0030】
バースト調光用の比較器25は、CB端子のコンデンサC2の電圧と、BURST端子に入力されたバースト調光信号とを比較し、バースト調光信号がコンデンサC2の電圧より低い場合には、Lレベルをパルス電流発生器27に出力する。パルス電流発生器27は、Lレベルが入力されるとダイオードD3を通して電流をFB端子に出力するので、誤差増幅器15の出力FBOUTは三角波信号CF(C1)未満となる。このため、出力の発振をオフさせる。従って、バースト調光信号が、コンデンサC2の上下限値を越えるパルス信号であるか、コンデンサC2の上下限値の範囲内の直流電圧である場合、FB端子にパルス状の電流を流出させ、出力を間欠発振させて供給電力を減らし、バースト調光を行なう。
【0031】
(複数の放電管点灯装置のスキャン点灯動作)
次に、本発明の特徴である放電管点灯装置のスキャン点灯の構成及び動作について説明する。図1において、コントロールIC1のCD端子とREG端子との間にはディレイタイマー回路23が接続されている。ディレイタイマー回路23(本発明の遅延タイマー回路に対応)は、コンデンサC3と抵抗R13とで構成され、抵抗R13の一端はCD端子を介してバースト調光用三角波発生器21に接続されている。ディレイタイマー回路23は、入力された調光用基準信号が所定値になった時に動作を開始し、自己の放電管点灯装置に対して予め定められた所定の遅延時間を設定する。
【0032】
バースト調光用三角波発生器21は、図2に示すように、比較器31,32,34,38、フリップフロップ回路33、1ショット回路35、急速放電回路37、定電流源40,41を有する。バースト調光用三角波発生器21は、調光用コンデンサC2に対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに、ディレイタイマー回路23で設定された所定の遅延時間だけ、調光用基準信号に対して三角波信号に遅延時間を発生する。
【0033】
また、三角波発生器21は、ディレイタイマー回路23で設定される遅延時間を経過した直後に、三角波信号が上限値又は下限値になるように調光用コンデンサC2の電荷を充電又は放電するとともに、上限値又は下限値から充電開始又は放電開始を指定することで調光用基準信号に対して三角波信号に所定の遅延時間を発生する。
【0034】
バースト調光用比較器25は、三角波発生器21で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき複数のスイッチング素子Qp1,Qn1を間欠発振動作させる。また、各々の放電管点灯装置の複数のスイッチング素子の間欠発振のデューティ比は等しい。
【0035】
比較器31は、REF端子電圧が基準電圧V6未満のときHレベルをフロップフロップ33のセット端子Sに出力する。比較器32は、REF端子電圧が基準電圧V5以上のときHレベルをフロップフロップ33のリセット端子Rに出力する。なお、基準電圧V5とV6の関係はV5>V6である。
【0036】
フロップフロップ33のQ端子はFETQ0のゲートに接続され、FETQ0のドレインはCD端子と比較器34の+端子に接続されている。比較器34は、CD端子の電圧が基準電圧V7以上のときにHレベルを1ショット回路35に出力する。1ショット回路35の出力には、FETQ2のゲートとFETQ3のゲートが接続されている。
【0037】
FETQ3とトランジスタQ4,Q5と抵抗R10,R11とで急速放電回路37を構成している。電源REGにはFETQ3のソースとトランジスタQ4のコレクタとが接続され、FETQ3のドレインとトランジスタQ4のエミッタとはトランジスタQ5のベースと抵抗R11の一端とに接続されている。トランジスタQ5のエミッタはCB端子に接続されている。
【0038】
電源REGとグランドの間には定電流源I1とインバータ39と定電流源I1とが接続され、インバータ39の出力はCB端子に接続され、インバータ39の入力はFETQ1のゲート及び比較器38の出力に接続されている。CB端子には比較器38の+端子が接続され、比較器38の−端子は抵抗R7と抵抗R8との接続点に接続され、この接続点はトランジスタQ4のベースに接続されるとともに、抵抗R9を介してFETQ1のドレインとFETQ2のドレインに接続されている。
【0039】
また、図5に示す放電管点灯装置のスキャン点灯システムは、直流電力から交流電力に変換する複数の放電管点灯装置の各々の放電管点灯装置のバースト調光信号の位相に位相差を持たせて交流電力を順次複数の放電管に供給して複数の放電管をスキャン点灯させる。
【0040】
複数の放電管点灯装置は、コントローラIC1−1〜1−4、SWネットワーク7−1〜7−4、共振回路9−1〜9−4、パネル内部に配設された放電管3−1〜3−4とを有し、放電管3−1〜3−4を点灯させる。コントロールIC1−1〜1−4の各々の端子RIには定電流決定抵抗R1が接続され、各々の端子CBにはコンデンサC2が接続されている。コントロールIC1−1〜1−4のREG端子とCD端子間には、抵抗R13a〜13dが接続され、コントロールIC1−1〜1−4のCD端子とグランド間には、コンデンサC3a〜C3dが接続されている。コントロールIC1−1〜1−4のBURST端子には、バースト調光信号が入力されるようになっている。コントロールIC1−1〜1−4のREG端子には、調光用基準信号として矩形信号が入力されるようになっている。
【0041】
なお、IC1−1〜1−4のディレイタイマー回路の抵抗とコンデンサとによる時定数は、以下のように設定されている。
【0042】
IC1−1のR13a×C3a<IC1−2のR13b×C3b<IC1−3のR13c×C3c<IC1−4のR13d×C3である。
【0043】
次にこのように構成された放電管点灯装置のスキャン点灯装置の動作を図2及び図6に示すスキャン点灯の動作波形を参照しながら説明する。
【0044】
まず、REF端子に基準電圧V5以上の矩形信号REFViが入力されると、比較器32がHレベルをフリップフロップ33のリセット端子Rに出力する。このため、フリップフロップ33のQ端子からのHレベルによりFETQ0がオンし、CD端子がグランドに接続されるため、CD端子に接続されたコンデンサC3の電荷が放電される。REF端子に基準電圧V6以下の矩形信号REFViが入力されるまで、コンデンサC3を0V状態で待機状態とする。
【0045】
次に、REF端子に基準電圧V6以下の矩形信号REFViが入力されると、比較器31はHレベルをフリップフロップ33のセット端子Sに出力するので、FETQ0はオフする。このため、電源REGからの電力によりコンデンサC3の充電が開始され、CD端子電圧が基準電圧V7に達すると、比較器34はHレベルを1ショット回路35に出力し、1ショット回路35は、1パルスをFETQ3のゲート及びFETQ2のゲートに出力する。
【0046】
すると、FETQ2がオンするため、トランジスタQ4のベース電位を、抵抗R7と抵抗R9とで決定される電圧にし、FETQ3をオフさせるため、トランジスタQ5のコレクタ電圧が、トランジスタQ4のベース電位と同じになるように(下限値になるように)、低周波の三角波信号(CB端子波形)を急速に放電させる。
【0047】
そして、1ショット回路35の1パルスがなくなると、FETQ3のゲートはLレベルになり、FETQ3がオンして、トランジスタQ5がオフするため、コンデンサC2は再び電流I1で充放電を開始する。1ショット回路35の1パルスはコンデンサC2の発振周波数の周期よりもはるかに短い。
【0048】
故に、低周波の三角波信号(例えばIC1−1のCB)は、REF端子に入力される矩形信号REFViよりも、抵抗R13、コンデンサC3で決定される時間分だけ遅延させることができる。即ち、IC1−1〜1−4の抵抗とコンデンサとによる時定数は、IC1−1のR13a×C3a<IC1−2のR13b×C3b<IC1−3のR13c×C3c<IC1−4のR13d×C3のように設定されているので、図6及び図7に示すように、位相差を持たせて、低周波の三角波信号IC1−1のCB〜IC1−4のCB及び放電管3−1〜3−4の放電管電流CCFL1i〜CCFL4iを遅延させることができる。
【0049】
従って、バースト調光の位相制御を行なう専用のICを使用せずして、容易に、放電管のスキャン点灯を行なうことができる。
【実施例2】
【0050】
図8は本発明の実施例2の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。図9及び図10は実施例2の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【0051】
図8では、外部から調光用基準信号を入力せずに、コントロールIC−1で生成された三角波信号を調光用基準信号として用いたことを特徴とする。IC1−2〜1−4のREF端子には、コントロールIC1−1のCB端子が接続されている。コントロールIC1−1のREF端子はグランドに接続され、コントロールIC1−1のREG端子及びCD端子には抵抗R13aとコンデンサC3aは接続されていない。時定数は、IC1−2のR13b×C3b<IC1−3のR13c×C3c<IC1−4のR13d×C3dのように設定されている。
【0052】
このように実施例2によれば、コントロールIC−1で生成された三角波信号を調光用基準信号として用い、図9及び図10に示すように、位相差を持たせて、低周波の三角波信号IC1−2のCB〜IC1−4のCB及び放電管電流CCFL2i〜CCFL4iを遅延させることができる。従って、実施例1の効果と同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0053】
図11は本発明の実施例3の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。図12及び図13は実施例3の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【0054】
図11では、調光用の基準波形が三角波波形である場合の他の一例である。図11では、外部から調光用基準信号を入力せずに、コントロールIC−1で生成された三角波信号を調光用基準信号として用いている。IC1−2のREF端子にはコントロールIC1−1のCB端子が接続され、IC1−3のREF端子にはコントロールIC1−2のCB端子が接続され、IC1−4のREF端子にはコントロールIC1−3のCB端子が接続されている。コントロールIC1−1のREF端子はグランドに接続され、コントロールIC1−1のREG端子及びCD端子には抵抗R13aとコンデンサC3aは接続されていない。時定数は、IC1−2のR13b=IC1−3のR13c=IC1−4のR13dであり、IC1−2のC3b=IC1−3のC3c=IC1−4のC3dである。
【0055】
このように実施例3によれば、コントロールIC−1で生成された三角波信号を調光用基準信号として用い、図12及び図13に示すように、位相差を持たせて、低周波の三角波信号IC1−2のCB〜IC1−4のCB及び放電管電流CCFL2i〜CCFL4iを遅延させることができる。従って、実施例2の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0056】
図14は本発明の実施例4の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。図15及び図16実施例4の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【0057】
図14では、図5に示す実施例1の変形例であり、調光用の基準波形が矩形波形である場合の他の一例である。IC1−1の時定数R13a,C3aとIC1−2の時定数R13a,C3aとが等しく、IC1−3の時定数R13c,C3cとIC1−4の時定数R13c,C3cとが等しい。
【0058】
このように実施例4によれば、2つの放電管点灯装置づつ、バースト調光の位相をずらしている。
【0059】
なお、実施例1乃至4においては、バースト調光信号の位相差は、360°/(放電管点灯装置の数×N、N≧1の整数)である。また、バースト調光信号の位相差は、360°/(放電管の数×N、N≧1の整数)であってもよい。
【0060】
また、三角波発生器21は、ディレイタイマー回路23で設定される所定の遅延時間を経過した直後に調光用コンデンサC2の電荷を充電させ、調光用コンデンサC2の三角波信号のレベルが上限値に達した後に、再度、調光用コンデンサに対する電荷の充放電を開始しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1の放電管点灯装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す放電管点灯装置のバースト調光用三角波発生器を示す図である。
【図3】図1に示す放電管点灯装置のDRV1とDRV2の動作波形を示す図である。
【図4】図1に示す放電管点灯装置のREF端子がグランドに接続されている場合のバースト調光の動作波形を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。
【図6】実施例1の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図7】実施例1の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図8】本発明の実施例2の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。
【図9】実施例2の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図10】実施例2の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図11】本発明の実施例3の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。
【図12】実施例3の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図13】実施例3の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図14】本発明の実施例4の放電管点灯装置のスキャン点灯システムの構成を示す回路図である。
【図15】実施例4の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【図16】実施例4の放電管点灯装置のスキャン点灯システムのスキャン点灯の動作波形を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
T トランス
1a,1−1〜1−4 コントロールIC
3,3−1〜3−4 放電管
5 管電流検出回路
7,7−1〜7−4 SWネットワーク
9,9−1〜9−4 共振回路
10 スタート回路
11 カレントミラー回路
12 三角波発生器
15 誤差増幅器
16a,16b PWMコンパレータ
18a,18b ドライバ
21 バースト調光用三角波発生器
23 ディレイタイマー回路
25 バースト調光用比較器
27 パルス電流発生器
Qp1 P型FET
Qn1 N型FET
R1 定電流決定抵抗
C0〜C7 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力から交流電力に変換する複数の放電管点灯装置の各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせて前記交流電力を順次複数の放電管に供給して複数の放電管をスキャン点灯させる放電管点灯装置のスキャン点灯システムであって、
前記複数の放電管点灯装置の各々は、
トランスの一次巻線と二次巻線との少なくとも一方の巻線にコンデンサが接続され、その出力に前記放電管が接続された共振回路と、
直流電源の両端に接続され且つ前記共振回路内の前記トランスの一次巻線と前記コンデンサとに電流を流すための複数のスイッチング素子と、
前記各々の放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせるために、入力された調光用基準信号が所定値になった時に動作を開始し、自己の放電管点灯装置に対して予め定められた所定の遅延時間を設定する遅延タイマー回路と、
調光用コンデンサに対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに、前記遅延タイマー回路で設定された所定の遅延時間だけ、前記調光用基準信号に対して前記三角波信号に遅延時間を発生する三角波発生器と、
前記三角波発生器で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき前記複数のスイッチング素子を間欠発振動作させるバースト調光用比較器と、
を有することを特徴とする放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項2】
直流電力から交流電力に変換する複数の放電管点灯装置の少なくとも1つの放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせて前記交流電力を順次複数の放電管に供給して複数の放電管をスキャン点灯させる放電管点灯装置のスキャン点灯システムであって、
前記複数の放電管点灯装置の各々は、
トランスの一次巻線と二次巻線との少なくとも一方の巻線にコンデンサが接続され、その出力に前記放電管が接続された共振回路と、
直流電源の両端に接続され且つ前記共振回路内の前記トランスの一次巻線と前記コンデンサとに電流を流すための複数のスイッチング素子と、
前記少なくとも1つの放電管点灯装置のバースト調光の位相に位相差を持たせるために、入力された調光用基準信号が所定値になった時に動作を開始し、自己の放電管点灯装置に対して予め定められた所定の遅延時間を設定する遅延タイマー回路と、
調光用コンデンサに対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに、前記遅延タイマー回路で設定された所定の遅延時間だけ、前記調光用基準信号に対して前記三角波信号に遅延時間を発生する三角波発生器と、
前記三角波発生器で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき前記複数のスイッチング素子を間欠発振動作させるバースト調光用比較器と、
を有することを特徴とする放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項3】
前記調光用基準信号は、前記各々の放電管点灯装置に入力される矩形波信号又は三角波信号であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項4】
前記調光用基準信号は、他の放電管点灯装置から入力される前記調光用コンデンサによる前記三角波信号であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項5】
前記三角波発生器は、前記遅延タイマー回路で設定される遅延時間を経過した直後に、前記三角波信号が上限値又は下限値になるように前記調光用コンデンサの電荷を充電又は放電するとともに、前記上限値又は下限値から充電開始又は放電開始を指定することで前記調光用基準信号に対して前記三角波信号に所定の遅延時間を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項6】
前記各々の放電管点灯装置の複数のスイッチング素子の間欠発振のデューティ比は等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項7】
前記バースト調光の位相差は、360°/(放電管点灯装置の数×N、N≧1の整数)であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項8】
前記バースト調光の位相差は、360°/(放電管の数×N、N≧1の整数)であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放電管点灯装置のスキャン点灯システム。
【請求項9】
トランスの一次巻線と二次巻線との少なくとも一方の巻線にコンデンサが接続され、その出力に前記放電管が接続された共振回路と、
直流電源の両端に接続され且つ前記共振回路内の前記トランスの一次巻線と前記コンデンサとに電流を流すための複数のスイッチング素子とを有し、
前記複数のスイッチング素子をパルス幅制御することにより、直流電力から交流電力に変換する放電管点灯装置であって、
信号入力端子に入力された調光用基準信号が所定値に達した時に動作を開始して所定の遅延時間を設定する遅延タイマー回路と、
調光用コンデンサに対する充放電によりバースト調光用の三角波信号を発生するとともに、前記遅延タイマー回路で設定された所定の遅延時間だけ、前記調光用基準信号に対して前記三角波信号に遅延時間を発生する三角波発生器と、
前記三角波発生器で発生した三角波信号とバースト調光信号とを比較した比較出力に基づき前記複数のスイッチング素子を間欠発振動作させるバースト調光用比較器と、
を有することを特徴とする放電管点灯装置。
【請求項10】
前記三角波発生器は、前記遅延タイマー回路で設定される所定の遅延時間が経過した直後に前記三角波信号が上限値又は下限値になるように前記調光用コンデンサの電荷を充電又は放電し、前記信号入力端子に前記調光用基準信号として矩形波信号が入力された場合には、前記遅延タイマー回路で設定される所定の遅延時間だけ矩形波信号に対して前記調光用コンデンサの三角波信号に所定の遅延時間を発生し、前記バースト調光用比較器は、前記矩形波信号に対して時間差を持たせてバースト調光を行ない、
前記信号入力端子に前記調光用基準信号として三角波信号が入力された場合には、前記遅延タイマー回路で設定される所定の遅延時間だけ前記調光用基準信号としての三角波信号に対して前記調光用コンデンサの三角波信号に所定の遅延時間を発生し、前記バースト調光用比較器は、前記調光用基準信号としての三角波信号に対して時間差を持たせてバースト調光を行なうことを特徴とする請求項9記載の放電管点灯装置。
【請求項11】
前記三角波発生器は、前記遅延タイマー回路で設定される所定の遅延時間を経過した直後に前記調光用コンデンサの電荷を充電又は放電させ、前記調光用コンデンサの三角波信号のレベルが上限値又は下限値に達した後に、再度、前記調光用コンデンサに対する電荷の充放電を開始することを特徴とする請求項9記載の放電管点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−16164(P2009−16164A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176213(P2007−176213)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】