説明

新規なオルガノポリシロキサン、それを含む界面活性剤、エマルジョン組成物、粉体処理剤、油性原料の増粘剤、ゲル化剤、ゲル状組成物、化粧料用原料並びに、これらを含む外用剤及び化粧料

【課題】親水性に富み親水性成分との相溶性に優れるだけでなく、疎水性をも備えており、また、シリコーン油、及び、炭化水素油、エステル油等の非シリコーン油の両方への相溶性に優れる新規なオルガノポリシロキサンを提供すること、並びに、この新規なオルガノポリシロキサンの良好な界面活性能、独特の使用感、高い安定性等の優れた特性を生かした様々な用途を提供すること
【解決手段】糖アルコール変性基とシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基、更に、任意に、長鎖炭化水素基、を同一分子中に備える、特定の化学構造を有する共変性オルガノポリシロキサンを調製し、当該共変性オルガノポリシロキサンを界面活性剤、粉体処理剤、ゲル化剤等として、適宜、粉体、油剤等と共に、化粧料用原料として外用剤、特に化粧料に配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性基及びシロキサンデンドロン構造を共に有する新規なオルガノポリシロキサンに関し、特に、当該オルガノポリシロキサンを含む界面活性剤、エマルジョン組成物、粉体処理剤、油性原料の増粘剤、ゲル化剤、ゲル状組成物、化粧料用原料並びに、これらを含む外用剤、特に化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性基を有するシリコーンは、疎水性、柔軟性、潤滑性、化学的安定性等の特性を発揮するシリコーン部分と、親水性、保湿性、付着性等の特性を発揮する親水性基部分とを併せ持つことによる優れた界面活性能を有している。このため、親水性基を有するシリコーンは食品、樹脂、塗料、化粧料等に広く使用されている。特に、化粧料においては使用感向上の目的から低分子環状シロキサン等のシリコーン油が配合される場合が多く、シリコーン油との相性の良さから、界面活性剤等の化粧料用原料として、例えば、ポリエーテル変性シリコーンを使用することが数多く提案されている(特許文献1等)。
【0003】
しかし、親水性の面ではポリエーテル基では不十分であり、親水性を改良する目的で、(ポリ)グリセリン変性シリコーン、及び、その化粧料への応用が提案されている(特許文献2〜5)。しかし、(ポリ)グリセリン基においても、その親水性は未だ十分とはいえず、更に水酸基密度を高める目的で、多価アルコールとして糖又は多糖類を用いた、糖変性シリコーン、及び、その化粧料への応用が提案されている(特許文献6〜12)。
【0004】
一方、化粧料において使用される油剤はシリコーン油に限定されるものではなく、化粧料には、炭化水素油、エステル油等の多くの種類の油剤又はそれらの混合物が用いられている。このため、様々な油剤への相溶性、その乳化性、乳化物の安定性等に優れる界面活性能を有した材料が求められてきた。特許文献6〜12に記載された糖アルコール変性シリコーンは、親水性に富む糖アルコール基の特徴を有するもの、その界面活性効果は、なお限定的であり、シリコーン油のみならず有機油を含む様々な油剤を安定に乳化できる界面活性剤が求められていた。
【0005】
また、前記糖アルコール変性シリコーンは、以下の問題点を有していた。
【0006】
特許文献6及び7には、アミノ基を介して糖アルコール残基をシリコーンと結合させた糖アルコール変性シリコーンとその化粧料への応用が示されている。しかし、この方法では得られた糖アルコール変性シリコーンがアミノ基を含むために、その用途が限定されていた。例えば、化粧料用途においては皮膚刺激性の点から毛髪化粧料への応用に限定されていた。
【0007】
特許文献8には、酸素原子を介して糖アルコール残基をシリコーンと結合させた糖アルコール変性シリコーンの例が示されている。しかし、油剤との相溶性と簡単な乳化性の評価結果が示されるのみで、具体的な化粧料への配合例、配合効果についての記載はなく、また、それを目的とした分子構造に関する記載もなく、評価結果も様々な油剤の乳化効果という点で不十分であった。また、化粧料用途への応用が可能との記載があるのみで、具体的な処方効果は例示されていなかった。
【0008】
特許文献9には、酸素原子を介して糖アルコール残基をシリコーンと結合させた糖アルコール変性シリコーンを毛髪化粧料に応用した例が示されている。しかし、毛髪化粧料としての効果を記載するのみで、油剤との相溶性、配合効果に関しては明らかにされていなかった。
【0009】
特許文献10には、中間結合鎖を介して糖アルコールをシリコ−ンと結合させた糖アルコール変性シリコーンを界面活性剤として応用した例が示されている。しかし、かかる糖変性シリコーンの製造方法に関する記載はあるもの、シリコーン成分である有機ケイ素化合物の構造とその具体的な機能に関する記載は十分でなく、その乳化能に関する評価も極めて限定されたものであった。
【0010】
また、特許文献11に示される糖アルコール変性シリコーンにおいては、シリコーン成分の構造は特定されているものの、シリコーン油との乳化性の評価結果が示されるのみで、その他の油剤との相性、乳化性に関する記載や、具体的な化粧料への配合例、配合効果についての記載はなかった。
【0011】
更に、特許文献12には、糖アルコールを含む多価アルコール変性シリコーンとその化粧料への応用が提案されている。かかる多価アルコール変性シリコーンは、分子中に直鎖状のシリコーン鎖による分岐を含むもので、シリコーン油との相溶性を改良したとされている。しかし、直鎖状のシリコーン鎖を導入することにより、シリコーン油への相溶性を確保できても、炭化水素油、エステル油等の幅広い有機油剤への相溶性を確保することは困難であった。これを界面活性剤として用いた場合、幅広い油剤の乳化及び乳化物の安定性という点で不十分であった。また、得られた乳化物の感触も油性感が強く、不十分であった。
【0012】
一方、シロキサンデンドロン構造を有する糖アルコール変性シリコーンが提案されている(特許文献13)。しかし、かかる糖アルコール変性シリコーンにおいては、糖アルコール基が分子末端に存在するために親水性という点においては優れるものの、糖アルコール基がシロキサンデンドロン構造と結合しているためにシロキサンデンドロン構造の特性を十分発揮することが困難であり、様々な油剤と親和性及び相溶性という点で劣っていた。また、化粧料用途への応用が可能との記載があるのみで、具体的な処方効果は例示されていなかった。
【0013】
以上述べたように、従来の糖アルコール変性シリコーンにおいては、幅広い油剤への相溶性が未だ不十分で、更に乳化性、及び、乳化物の安定性に優れる界面活性剤が求められてきた。また、そのような界面活性剤を用いて得られる、応用範囲が広く、且つ、保存安定性に優れた乳化物(エマルジョン)が求められてきた。
【0014】
なお、親水性基を有するシリコーンの応用として、界面活性剤の他に、無機粉体又は有機粉体の表面を効率的に被覆し、その表面の状態を改質するための粉体処理剤、当該粉体処理剤によって表面処理された粉体、粉体処理剤と粉体との混合物、並びに、シリコーン油、炭化水素油、エステル油等の油剤中にこれらを分散した組成物が挙げられる。しかし、糖アルコールを含む多価アルコール変性シリコーンの化粧料の応用において、粉体を含む化粧料組成物の例が示されている(特許文献12)が、粉体の分散性に関する記載はなく、その効果も不十分であった。また、アルコール性水酸基を有するシリコーンを粉体処理に用いる例が示されている(特許文献14)が、(ポリ)グリセリン基による変性に関する記載のみで、糖アルコール基による効果は示されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭61−293903号公報
【特許文献2】特開昭57−149290号公報
【特許文献3】特開平06−157236号公報
【特許文献4】特開平09−071504号公報
【特許文献5】特開2005−042097号公報
【特許文献6】特開昭62−068820号公報
【特許文献7】特開昭63−139106号公報
【特許文献8】特開平05−186596号公報
【特許文献9】特開平07−041417号公報
【特許文献10】特開2002−119840号公報
【特許文献11】特開2008−274241号公報
【特許文献12】特開2002−179798号公報
【特許文献13】特開2003−146991号公報
【特許文献14】特開2002−038013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みて為されたものであり、親水性に富み親水性成分との相溶性に優れるだけでなく、疎水性をも備えており、また、シリコーン油、及び、炭化水素油、エステル油等の非シリコーン油の両方への相溶性に優れる新規なオルガノポリシロキサンを提供すること、並びに、この新規なオルガノポリシロキサンの良好な界面活性能、独特の使用感、高い安定性等の優れた特性を生かした様々な用途を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、下記一般式(1):
【化1】

{式中、
は一価有機基(但し、R、L及びQを除く)を表し、
は炭素原子数9〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、下記一般式(2−1);
【化2】

(式中、R11は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R11のうち少なくとも1つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)若しくは下記一般式(2−2);
【化3】

(式中、R11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表し、
はi=1のときの下記一般式(3);
【化4】

(式中、
は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、
はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、
Zは二価有機基を表し、
iはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、Li+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはRであり、hは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qは糖アルコール基含有有機基を表し、
a 、b 、c及びdは、それぞれ、1.0≦a≦2.5、0≦b≦1.5、0.0001≦c≦1.5、0.0001≦d≦1.5の範囲にある数である}で表される共変性オルガノポリシロキサンによって達成される。
【0018】
前記一般式(1)において、Rである一価有機基は、炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、−RO(AO)(式中、AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Rは炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、n=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、アルコキシ基、水酸基又は水素原子(但し、Rが全て水酸基、水素原子、前記アルコキシ基又は前記ポリオキシアルキレン基になることはない)であることが好ましい。
【0019】
一般式(1)において、Qは下記一般式(4−1):
【化5】

(式中、
Rは二価有機基を表し、
eは1又は2である)、又h、下記一般式(4−2):
【化6】

(式中、
Rは上記のとおりであり、
e’は0又は1である)で表される糖アルコール基含有有機基であることが好ましい。
【0020】
前記一般式(4−1)又は(4−2)において、Rである二価有機基は炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基であることが好ましい。
【0021】
一般式(1)において、Lで示されるシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、下記一般式(3−1):
【化7】

又は下記一般式(3−2):
【化8】

(式中、
、R及びZは上記のとおりであり、
及びhは、それぞれ独立して、0〜3の範囲の数である)で表される官能基であることが好ましい。
【0022】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、下記構造式(1−1):
【化9】

(式中、
、L及びQは上記のとおりであり、
Xはメチル基、R、L及びQからなる群から選択される基であり、
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0〜2,000の範囲の数であり、n1+n2+n3+n4は0〜2,000の範囲の数である。但し、n3=0のとき、Xの少なくとも一方はLであり、また、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQである)で表されるものが好ましい。
【0023】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、下記構造式(1−1−1):
【化10】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)又は下記構造式(1−1−2):
【化11】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)
で表されるものがより好ましい。
【0024】
Zは、それぞれ独立して、下記一般式:
【化12】

(式中、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の、炭素原子数2〜22のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又は、炭素原子数6〜22のアリーレン基を表し、
は、下記
【化13】

からなる群から選択される基である)で表される二価有機基から選ばれる基であることが好ましい。
【0025】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは界面活性剤として使用することができる。したがって、前記(A)共変性オルガノポリシロキサンは、(B)水、及び、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤と共にエマルジョン組成物を構成することができる。
【0026】
前記共変性オルガノポリシロキサンは粉体処理剤として、特に、粉体表面処理剤として使用することができる。本発明は、これらの処理剤で表面処理された粉体にも関する。
【0027】
前記(A)共変性オルガノポリシロキサン、及び、(D)粉体、更に、任意に、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤、の組み合わせは化粧料用原料として有用である。
【0028】
前記共変性オルガノポリシロキサンは増粘剤又はゲル化剤として使用することができる。したがって、前記(A)共変性オルガノポリシロキサンは、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤と共にゲル状組成物を構成することができる。
【0029】
前記共変性オルガノポリシロキサンは、そのままで、或いは、前記エマルジョン組成物、前記粉体、前記化粧料用原料、又は、前記ゲル状組成物の形態として、外用剤、特に化粧料、に配合することができる。
【0030】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、
(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン
(b)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する有機化合物
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び、
(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物
を反応させて得ることができる。
【0031】
更に、任意で、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを反応させることが好ましい。
【0032】
前記(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物は、下記一般式(3’):
【化14】

{式中、
及びRは上記のとおりであり、
Z´は二価有機基を表し、
h1は0〜3の範囲の数であり、
L´は、R、又は、j=1のときの下記一般式(3’’):
【化15】

(式中、R及びRは上記のとおりであり、
Zは二価有機基を表し、
jはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がk´のとき1〜k´の整数であり、階層数k´は1〜9の整数であり、Lj+1はjがk´未満のときは該シリルアルキル基であり、j=k´のときはRである。hjは0〜3の範囲の数である)で表されるシリルアルキル基を表す}で表される分子鎖末端に1個の炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン構造を有する化合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、糖アルコール含有有機基及びシロキサンデンドロン構造をそれぞれシリコーン主鎖上に備える新規シリコーンであり、当該シロキサンデンドロン構造の存在によって、シリコーン主鎖上に直鎖状のジオルガノポリシロキサン構造を導入した場合とは異なる、独特の感触特性と多様な油剤への対応力を有する。独特の感触特性とは、外用剤、特に化粧料に配合した時に非常にさらっとしたすべり感と軽いタッチを付与すること、及びその結果として有機油等による油性感を低減し、水の感触を生かした化粧料の設計を可能とする、本発明の共変性オルガノポリシロキサン特有の性質である。
【0034】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、糖アルコール含有有機基及びシロキサンデンドロン構造を同一分子中に独立して備え、更に長鎖アルキル基及び/又は直鎖状のジオルガノポリシロキサン基をも備えることができるので、親水性成分との相溶性に優れるだけでなく、シリコーン油、並びに、炭化水素油、エステル油等の非シリコーン油とも相溶性に優れる。したがって、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは各種の油剤へ極めて高い親和性を有しており、良好な界面活性能を備えている。本発明の共変性オルガノポリシロキサンを界面活性剤として使用すると、安定な乳化物を得ることができる。
【0035】
また、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは乳化物に対して、しっとりした水性感と、滑らかで軽く良好な伸び広がり性とを両立した使用感をもたらし、また、その使用感が持続する。したがって、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは外用剤、特に化粧料に好適に配合することができる。具体的には、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、界面活性剤、粉体処理剤、ゲル化剤等の原料として、適宜、粉体、油剤等と共に、外用剤、特に化粧料に好適に配合することができる。
【0036】
したがって、本発明の外用剤、特に化粧料は、優れた保存安定性、外観及び使用感を備えており、特に、耐水性、耐皮脂性、光沢、触感、毛髪・皮膚への付着性等の点で優れている。
【0037】
なお、本発明の共変性オルガノポリシロキサンのシリコーン主鎖上に長鎖炭化水素基を更に導入することにより、非シリコーン油への親和性が更に向上し、様々な油剤への相溶化効果、或いは、アンカー効果を増大することが可能となり、より優れた界面活性能を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(1):
【化16】

{式中、
は一価有機基(但し、R、L及びQを除く)を表し、
は炭素原子数9〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、下記一般式(2−1);
【化17】

(式中、R11は置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R11の少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)若しくは下記一般式(2−2);
【化18】

(式中、R11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表し、
はi=1のときの下記一般式(3);
【化19】

(式中、
は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、
はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、
Zは二価有機基を表し、
iはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、Li+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはRであり、hは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qは糖アルコール基含有有機基を表し、
a 、b 、c及びdは、それぞれ、1.0≦a≦2.5、0≦b≦1.5、0.0001≦c≦1.5、0.0001≦d≦1.5の範囲にある数である}で表されるものである。
【0039】
である一価有機基は、L、R及びQに該当する官能基でない限り、特に限定されるものではないが、炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、−RO(AO)(式中、AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Rは炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、n=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、水酸基、アルコキシ基又は水素原子であることが好ましい。但し、Rが全て水酸基、水素原子、前記アルコキシ基又は前記ポリオキシアルキレン基になることはない。
【0040】
炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基(但し、総炭素原子数は1〜8)が挙げられる。一価炭化水素基は、アルケニル基以外の基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。また、アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基など低級アルコキシ基や、ラウリルアルコキシ基、ミリスチルアルコキシ基、パルミチルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、ベへニルアルコキシ基など高級アルコキシ基等が例示される。
【0041】
一般式(1)のRの、炭素原子数9〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基は長鎖炭化水素基又は上記一般式(2−1)若しくは(2−2)で表される鎖状のオルガノシロキサン基であり、ポリシロキサンの主鎖及び/又は側鎖に導入されることにより、油剤、粉体等に対する乳化性及び分散性、更に化粧料に配合した場合の使用感をより改善することができる。更に、前記一価長鎖炭化水素基又は鎖状のオルガノポリシロキサン基は疎水性官能基であるために、アルキル基の含有量の多い有機油に対する相溶性・配合安定性がより改善される。Rは、全部が前記一価長鎖炭化水素基又は鎖状のオルガノポリシロキサン基であってもよく、これら両方の官能基であってよい。本発明の共変性オルガノポリシロキサンにおいては、特に、Rの一部又は全部が、一価長鎖炭化水素基であることが好ましく、かかる一価長鎖炭化水素基を分子中に有することにより、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、シリコーン油だけでなく、アルキル基含有量の多い非シリコーン油に対してもより優れた相溶性を示し、例えば、非シリコーン油からなる熱安定性、経時安定性に優れた乳化物、分散物を得ることができる。
【0042】
一般式(1)のRで表される、ケイ素原子に結合した、炭素原子数9〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基は、互いに同一でも異なっていてもよく、更に、その構造は、直鎖状、分岐状、部分分岐状の中から選択される。本発明においては、特に、非置換且つ直鎖状の一価炭化水素基が好適に用いられる。非置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜25のアルキル基、アリール基又はアラルキル基が挙げられる。一方、置換一価炭化水素基としては、例えば、炭素原子数9〜30、好ましくは炭素原子数10〜25のパーフルオロアルキル基、アミノアルキル基、アミドアルキル基、カルビノール基が挙げられる。また、前記一価炭化水素基の炭素原子の一部がアルコキシ基で置換されていてもよく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が例示される。このような一価炭化水素基は、特に、炭素原子数9〜30のアルキル基であることが好ましく、一般式:−(CH−CH(vは8〜30の範囲の数)で表される基が例示される。炭素原子数10〜25のアルキル基が特に好ましい。
【0043】
一般式(2−1)又は(2−2)で示される鎖状のオルガノシロキサン基は、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基と異なり、直鎖状のポリシロキサン鎖構造を有する。一般式(2−1)又は(2−2)において、R11は各々独立に、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子である。置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数6〜30のアラルキル基、炭素原子数6〜30のシクロアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基が例示され、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換されていてもよい。R11として特に好適には、メチル基,フェニル基又は水酸基が上げられ、R11の一部がメチル基であり、一部が炭素原子数8〜30の長鎖アルキル基であるような形態も好適である。
【0044】
一般式(2−1)又は(2−2)において、tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数であり、rが2〜500の範囲の数であることが好ましい。かかる直鎖状のオルガノシロキサン基は疎水性であり、各種油剤との相溶性の観点から、rは1〜100の範囲の数であることが好ましく、2〜30の範囲の数であることが特に好ましい。
【0045】
一般式(3)のRで表される、炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基(但し、総炭素原子数は1〜30)が挙げられる。
【0046】
本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンは、更なる機能性の付与を目的として、シロキサンデンドロン構造を有する基(−L)及び親水性基(−Q)以外の変性基、特に短鎖又は中鎖炭化水素ベースの基、をRとして導入し、或いは設計することが可能である。すなわち、Rが置換の一価炭化水素基である場合、置換基を、付与したい特性及び用途に合わせて適宜選択することができる。例えば、化粧料原料として使用する場合に、使用感、感触や持続性の向上などを目的として、アミノ基、アミノエチルアミノプロピル基、カルボキシル基等を一価炭化水素基の置換基として導入することができる。
【0047】
特に、Rは脂肪族不飽和結合を有しない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基又は一価フッ化炭化水素基であることが好ましい。Rに属する脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基のようなアラルキル基が例示され、一価フッ化炭化水素基は、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基が例示される。工業的には、Rがメチル基、エチル基、又は、フェニル基であることが好ましく、特に、全てのRの90モル%〜100モル%が、メチル基、エチル基、又は、フェニル基から選択される基であることが好ましい。
【0048】
一般式(1)において、Lで示される基はシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基であり、i=1のときの上記一般式(3)で示されるシリルアルキル基として定義される。前記シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、カルボシロキサン単位がデンドリマー状に広がった構造を包含し、線状或いは単なる分岐状のポリシロキサン単位に比して、高撥水性を呈する官能基である。本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、シロキサンデンドロン構造の存在によって、シリコーン油だけでなく、炭化水素油、エステル油等の様々な油剤への高い相溶性を得ることができる。そして、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、シロキサンデンドロン構造の存在によって、独特の優れた使用感を得ることができる。また、親水性基との組み合わせのバランスの良さから、本発明の共変性オルガノポリシロキサンに優れた油剤の増粘効果及びゲル化能を与えることができる。更に、前記シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基は、化学的に安定であるために幅広い化粧料配合成分と組み合わせて使用することができるという有利な特性を付与する官能基である。
【0049】
一般式(3)において、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基であり、炭素原子数1〜6のアルキル基として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル等の直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基が挙げられる。
【0050】
一般式(3)において、iはLで示されるシリルアルキル基の階層を示し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、Li+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはメチル基又はフェニル基である。特に、i=kのときはメチル基であることが好ましい。hは0〜3の範囲の数である。
【0051】
階層数kは、工業的には1〜3の整数であることが好適であり、より好適には、1又は2である。各階層数において、Lで示される基は以下のように表される。式中、R及びZは前記同様の基である。
【0052】
階層数k=1である場合、Lは下記一般式(3−1):
【化20】

で表される。
【0053】
階層数k=2である場合、Lは下記一般式(3−2):
【化21】

で表される。
【0054】
階層数k=3である場合、Lは下記一般式(3−3):
【化22】

で表される。
【0055】
一般式(3)において、hは各々独立に0〜3の範囲の数であり、階層数が1〜3の場合における一般式(3−1)〜(3−3)で示される構造において、h、h及びhは各々独立に0〜3の範囲の数である。これらのhは特に0〜1の範囲の数であることが好ましく、hが0であることが特に好ましい。
【0056】
一般式(3)及び(3−1)〜(3−3)において、Zは、各々独立に、二価有機基であり、具体的には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の不飽和炭化水素基を末端に有する官能基を付加反応させることにより形成される二価の有機基が挙げられるが、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基の導入法に応じて、これらの官能基に限らず、適宜選択することができる。好ましくは、Zは、各々独立に、下記一般式:
【化23】

で示される二価の有機基から選ばれる基である。
【0057】
上記一般式中、Rは、各々独立に、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の、炭素原子数2〜22のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又は、炭素原子数6〜22のアリーレン基を表す。より具体的には、Rはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示され、Rは、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが好ましい。
【0058】
上記一般式中、Rは、下記式:
【化24】

で示される二価の有機基から選択される基である。
【0059】
特に、LにおけるZは、好適には、ケイ素結合水素原子と、アルケニル基の反応により導入される一般式:−R−で示される二価の有機基である。同様に、Zはケイ素結合水素原子と、不飽和カルボン酸エステル基との反応により導入される一般式:−R−COO−R−で示される二価の有機基が好適である。一方、階層数kが2以上であり、L〜LであるLで示されるシリルアルキル基において、Zは炭素原子数2〜10のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基又はヘキシレン基から選択される基であることが特に好ましく、エチレン基であることが最も好ましい。
【0060】
一般式(1)において、Qは糖アルコール含有有機基であり、本発明の共変性オルガノポリシロキサンの親水性部位を構成する。Qは糖アルコール部位を有する限りその構造は限定されるものではないが、二価有機基を介して糖アルコール残基がケイ素原子に結合することが好ましい。
【0061】
したがって、Qは、好ましくは、下記一般式(4−1):
【化25】

(式中、
Rは二価有機基を表し、
eは1又は2である)、又h、下記一般式(4−2):
【化26】

(式中、
Rは上記のとおりであり、
e’は0又は1である)で表される。
【0062】
本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンは、上記一般式(4−1)又は(4−2)で表される糖アルコール含有有機基のうち、少なくとも1種がケイ素原子に結合していることを特徴とする。更に、これらの糖アルコール含有有機基から選択される2種類以上の糖アルコール含有有機基を同一分子中に有するオルガノポリシロキサンであってもよい。同様に、異なる糖アルコール含有有機基を有するオルガノポリシロキサンの混合物を用いてもよい。
【0063】
一般式(4−1)又は(4−2)のRで表される二価有機基は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基が挙げられる。炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基であることが好ましい。炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜30のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数3〜5のアルキレン基がより好ましい。
【0064】
糖アルコール含有有機基としては、一般式(4−1)において、Rがプロピレン基であり、e=1である場合が特に好ましい。同様に、糖アルコール含有有機基として、一般式(4−2)において、Rがプロピレン基であり、e’=0である場合が特に好ましい。この場合の糖アルコール含有有機基は一般式(4−1)又は一般式(4−2)に対応して、構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:−C36−OCH{CH(OH)CHOH}で示されるキシリトール残基(以下、単に「キシリトール残基」或いは「キシリトール変性基」という)である。
【0065】
糖アルコール含有有機基の結合位置は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖又は末端のいずれであってもよく、共変性オルガノポリシロキサン1分子中に2以上の糖アルコール含有有機基を有する構造であってもよい。更に、これらの2以上の糖アルコール含有有機基は、同一又は異種の糖アルコール含有有機基であってもよい。これらの2以上の糖アルコール含有有機基は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖のみ、末端のみ又は側鎖及び末端に結合する構造であってよい。
【0066】
一般式(1)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基(−L)及び糖アルコール基含有有機基(−Q)を有する共変性オルガノポリシロキサンは、下記構造式(1−1):
【化27】

(式中、
、L及びQは上記のとおりであり、
Xはメチル基、R、L及びQからなる群から選択される基であり、
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0〜2,000の範囲の数であり、n1+n2+n3+n4は0〜2,000の範囲の数である。但し、n3=0のとき、Xの少なくとも一方はLであり、また、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQである)で表される直鎖状のポリシロキサン構造を有する共変性オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0067】
上記構造式(1−1)において、Qは各々独立に上記一般式(4−1)又は一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であり、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンにおいては、Qが全て上記一般式(4−1)又は一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であってもよく、一分子中のQの一部が上記一般式(4−1)で表される糖アルコール含有有機基であり、残りのQが、上記一般式(4−2)で表される糖アルコール含有有機基であってもよい。
【0068】
更に、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンは、上記一般式(1)で示される1種類又は2種類以上の共変性オルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。
【0069】
特に、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンは、上記一般式(1)において、Qがキシリトール残基である糖アルコール含有有機基であることが好ましい。
【0070】
上記の通り、キシリトール残基は、構造式:−C3H6−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:−C3H6−OCH{CH(OH)CHOH}で示される基であるが、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンにおいて、これらのキシリトール残基は1種類であっても2種類であってもよい。したがって、上記一般式(1)において、Qの全てが、構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:−C3H6−OCH{CH(OH)CHOH}で示されるキシリトール残基のみからなるものであってもよく、或いは、Qが、構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOH、及び、構造式:−C36−OCH{CH(OH)CHOH}で示される2種類のキシリトール残基から構成されてもよい。後者の場合は、その構成比(物質量比)が5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい。なお、10:0の場合とは、Qが、実質的に構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOHで示されるキシリトール残基のみからなるものである。
【0071】
また、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンが、2種類以上の共変性オルガノポリシロキサンの混合物である場合には、該混合物中は、上記一般式(1)中のQが構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOHで示されるキシリトール残基のみからなる共変性オルガノポリシロキサン、上記一般式(1)中のQが構造式:−C36−OCH{CH(OH)CHOH}で示されるキシリトール残基のみからなる共変性オルガノポリシロキサン、並びに、上記一般式(1)中のQが、構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOH、及び、構造式:−C36−OCH{CH(OH)CHOH}で示される2種類のキシリトール残基から構成される共変性オルガノポリシロキサン(構成比(物質量比)は5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい)からなる群から選択される少なくとも2種類の共変性オルガノポリシロキサンを含むことができる。更に、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンは、上記一般式(1)中のQが、構造式:−C36−OCH[CH(OH)]CHOH、及び、構造式:−C36−OCH{CH(OH)CHOH}で示される2種類のキシリトール残基から構成(構成比(物質量比)は5:5〜10:0の範囲であることが好ましく、8:2〜10:0の範囲であることが、特に好ましい)され、その構成比が異なる少なくとも2種類の共変性オルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。
【0072】
式(1−1)中、(n1+n2+n3+n4)は0〜1,000の範囲の数であることが好ましく、0〜500の範囲の数であることが特に好ましい。n1は0〜1,000の範囲の数であることが好ましく、0〜500の範囲であることがより好ましい。n2は、0〜200の範囲の数であることが好ましく、0〜150の範囲の数であることがより好ましい。R2が前記の長鎖アルキル基である場合、界面活性及びシリコーン以外の油剤との相溶性の点から、特にn2>1であることが好ましい。n3は0〜250の範囲の数であることが好ましく、特にn3>1であって側鎖部分に、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基(−L)を1以上有することが特に好ましい。n4は0〜100の範囲の数であり、0〜50の範囲の数であることが好ましい。但し、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQであることが必要である。
【0073】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンとしては、下記構造式(1−1−1):
【化28】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)、又は、下記構造式(1−1−2):
【化29】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)で表される共変性オルガノポリシロキサンがより好ましい。
【0074】
糖アルコール含有有機基によるオルガノポリシロキサンの変性率は、主鎖であるポリシロキサンに結合した全ての官能基のうち1〜50モル%の範囲であることが好ましく、2.5〜40モル%の範囲であることがより好ましく、5〜30モル%の範囲であることが更により好ましく、10〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。なお、構造式(1−1)で示される共変性オルガノポリシロキサンにおいて、糖アルコール含有有機基による変性率(モル%)は下式:

変性率(モル%)=(1分子あたりの珪素原子に結合した糖アルコール含有有機基の数)/{6+2×(a+b+c)}×100

で示される。例えば、1つの糖アルコール含有有機基を有するトリシロキサンからなる共変性オルガノポリシロキサンの場合には、8個の珪素原子結合官能基のうち、1個が糖アルコール含有有機基により変性されているから、糖アルコール含有有機基による変性率は、12.5モル%である。
【0075】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(b)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する有機化合物、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物を反応させることにより、得ることができる。上記の反応性不飽和基は、好適には、炭素−炭素二重結合を有する不飽和性の官能基である、アルケニル基又は不飽和脂肪酸エステル基が例示できる。また、成分(b)により、上記の−Rが導入され、成分(c)により、上記の−Lが導入される。
【0076】
なお、上記の(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物に代えて、反応性不飽和基を分子中に有し、かつ、水酸基を保護した糖アルコール化合物のケタール誘導体を原料として用いることもできる。この場合、ケタール誘導体は、ケイ素―水素結合を有するオルガノポリシロキサンに付加反応させた後、酸加水分解処理によって、水酸基を脱保護することによって、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンが製造される。
【0077】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、例えば、以下のように得ることができる。
【0078】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、ケイ素−水素結合を有するオルガノポリシロキサンに対して、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和有機化合物、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン化合物、及び、分子中に炭素−炭素二重結合を有する糖アルコールの不飽和エーテル化合物を付加反応させることにより得ることができる。なお、分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する不飽和長鎖炭化水素化合物又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に付加反応させてもよい。これらの不飽和長鎖炭化水素化合物又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンの使用により、上記の−Rが導入される。
【0079】
上記の場合、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、前記不飽和有機化合物、前記シロキサンデンドロン化合物及び前記糖アルコールの不飽和エーテル化合物、並びに、任意に、不飽和長鎖炭化水素化合物又は分子鎖の片末端に炭素−炭素二重結合を有する鎖状オルガノポリシロキサンとSiH基含有シロキサンとのヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。これにより、有機基、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基及び糖アルコール含有有機基、並びに、任意に長鎖炭化水素基又は鎖状オルガノポリシロキサン基、を本発明の共変性オルガノポリシロキサンのポリシロキサン鎖に導入することができる。
【0080】
例えば、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、下記一般式(1’):
【化30】

(式中、
、a 、b及びcは上記のとおりである)で表される(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンと、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物と、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物を少なくとも反応させて得ることができる。(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを更に反応させることが好ましい。
【0081】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び、(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物が少なくとも共存する状態として、前記(c)成分、前記(d)成分及び(a’)上記一般式(1’) で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン、並びに、任意に、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを、一緒に反応させるか、或いは、前記(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンと前記(c)成分{前記(a’)の珪素結合水素原子に対して0.9モル当量以下となる量}とを少なくとも付加反応させた後、前記(d)成分、並びに、任意に前記(e)成分、を更に付加反応させることにより、好適に製造することができる。
【0082】
(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン及び(a’)オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、下記構造式(1−1)’:
【化31】

(式中、
は、各々独立に、上記のとおりであり、
X’はR又は水素原子から選択される基であり、
n1、n2及びn3は上記のとおりである。但し、n2+n3=0のとき、X’の少なくとも一方は水素原子である)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0083】
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物としては、下記一般式(3’):
【化32】

{式中、
及びRは上記のとおりであり、
Z´は二価有機基を表し、
h1は0〜3の範囲の数であり、
L´は、R、又は、j=1のときの下記一般式(3’’):
【化33】

(式中、R及びRは上記のとおりであり、
Zは二価有機基を表し、
jはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がk´のとき1〜k´の整数であり、階層数k´は1〜9の整数であり、Lj+1はjがk´未満のときは該シリルアルキル基であり、j=k´のときはRである。hjは0〜3の範囲の数である)で表されるシリルアルキル基を表す}で表される分子鎖末端に1個の炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン構造を有する化合物が好ましい。
【0084】
(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物としては、下記一般式(4’−1):
【化34】

(式中、
R’は不飽和有機基を表し、
eは1又は2であり、好ましくは1である)、又は、下記一般式(4’−2):
【化35】

(式中、
R’は不飽和有機基を表し、
e’は0又は1であり、好ましくは0である)で表される糖アルコールのモノ不飽和エーテル化合物が好ましい。
【0085】
不飽和有機基は、不飽和基を有する限り特に限定されるものではないが、炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素基が好ましい。炭素原子数3〜5の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基を挙げることができる。アリル基が好ましい。
【0086】
前記糖アルコールのモノ不飽和エーテル化合物としては、糖アルコールのモノアリルエーテルが好ましく、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:CH=CH−CH−OCH{CH(OH)CHOH}で表されるキシリトールモノアリルエーテル(以下、「キシリトールモノアリルエーテル」という)がより好ましい。キシリトールモノアリルエーテルは、公知の方法により合成することができ、また市販されているものもある。
【0087】
キシリトールモノアリルエーテルは、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:CH=CH−CH−OCH{CH(OH)CHOH}で示される化合物のうち一方のみであってもよく、これらの混合物であっても特に制限なく用いることができる。特に、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、構造式:CH=CH−CH−OCH{CH(OH)CHOH}で示されるキシリトールモノアリルエーテルのいずれかを精製して原料として使用するか、或いは、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOH、及び、構造式:CH=CH−CH−OCH{CH(OH)CHOH}で表されるキシリトールモノアリルエーテルを物質量比で、5:5〜10:0の範囲で含有してなるキシリトールモノアリルエーテルを原料として使用することが好ましく、後者の場合は、8:2〜10:0の範囲で含有してなるキシリトールモノアリルエーテルの使用がより好ましい。なお、10:0の場合には、原料は、実質的に、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOHで表されるキシリトールモノアリルエーテルのみからなる精製物である。
【0088】
また、前記の通り、前記共変性オルガノポリシロキサンを得るために、導入する糖アルコール変性基に対応する糖アルコール化合物の水酸基を酸触媒の存在下、2,2−ジメトキシプロパン等のケタール化剤によって保護した糖アルコール化合物の誘導体(ケタール化合物)を原料として用いることもできる。具体的には、上記ケタール化合物とアルケニルハライドの反応生成物を精製して得た、分子中に炭素−炭素二重結合を有する糖アルコールのケタール誘導体を、前記糖アルコールのモノ不飽和エーテル化合物の代わりに、ケイ素―水素結合を有するオルガノポリシロキサンに付加反応させる。付加反応後、酸加水分解処理によって脱ケタール化反応を行い、水酸基を脱保護することによっても、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンを製造することができる。上記ケタール誘導体を用いた製造方法によっても、脱保護後に糖アルコール変性基を有するオルガノポリシロキサンを得ることができるため、所望とする収率や製造設備、原料の精製等の条件に応じて、いずれの製造方法を選択しても良い。また、本発明に係る共変性オルガノポリシロキサンの純度等の品質や所望とする特性の改善を目的として、いずれの製造方法を選択しても良い。
【0089】
(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、下記一般式:
【化36】

(式中、R’は上記のとおりであり、
2’は炭素原子数7〜28の、置換若しくは非置換の、直鎖状又は分岐状の一価炭化水素基又は下記一般式(2−1);
【化37】

(式中、R11、t及びrは上記のとおりである)若しくは下記一般式(2−2);
【化38】

(式中、R11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表す)で表されるモノ不飽和有機化合物が好ましい。
【0090】
(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物としては、炭素原子数9〜30のモノ不飽和炭化水素が好ましく、1−アルケンがより好ましい。1−アルケンとしては、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等が例示される。反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、片末端ビニル基封鎖ジメチルポリシロキサン、片末端ビニル基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。
【0091】
ヒドロシリル化反応は、触媒の存在下で行うことが好ましく、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.5〜1000ppm程度である。
【0092】
更に、前記共変性オルガノポリシロキサンは、不飽和化合物の残存による反応後の臭気改善を目的として、水素添加処理を行ってもよい。水素添加処理には、加圧水素ガスを使用する方法と金属水素化物等の水素添加剤による方法とがあり、更に、該水素添加処理には均一反応と不均一反応がある。これらの一方を単独で行うこともできるが、これらを組合せて行うことも可能である。しかし、使用した触媒が製品に残存しないという利点を考慮すると、固体触媒を用いた不均一接触水素添加反応が最も好ましい。
【0093】
固体触媒(水素化触媒)としては、一般的な白金系触媒及びパラジウム系触媒等の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒を用いることができる。より具体的には、ニッケル、バラジウム、白金、ロジウム、コバルト等の単体並びに白金−パラジウム、ニッケル−銅−クロム、ニッケル−銅−亜鉛、ニッケル−夕ングステン及びニッケル−モリブデン等の複数の金属を組み合わせた触媒を例示することができる。任意に使用される触媒担体としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト等を挙げることができる。また、Cu-Cr 、Cu-Zn 、Cu-Si 、Cu-Fe-Al、Cu-Zn-Ti等の銅含有水素化触媒等があげられる。前記水素化触媒の形態は、反応器の種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、粉末、顆粒、錠剤等の形態から適宜選択することができる。また、合成工程(ヒドロシリル化反応)で使用した白金触媒をそのまま使用することもできる。これらの水素化触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0094】
水素添加処理は、上記した付加反応により得られた共変性オルガノポリシロキサンの粗製品を精製するためにも使用することができる。具体的には、水素化触媒の存在下、溶媒中若しくは無溶媒中で水素添加処理による無臭化を行って精製することができ、臭気の低減及び他の化粧料成分との相溶性が求められる化粧料用途ではかかる精製品が好ましく用いられる。また、前記無臭化の前工程又は後工程として、共変性オルガノポリシロキサンの粗製品又は水素添加物に対して、減圧下に窒素ガスを接触させて軽質物を留去するストリッピング処理を行うことが好ましい。
【0095】
同様に、上記の付加反応により得られた共変性オルガノポリシロキサンの粗製品は、酸性物質を加えて未反応の不飽和化合物を加水分解させたのち、減圧下に窒素ガスを接触させて軽質物を留去するストリッピング工程を行うことにより、簡便に低臭化する事も可能である。
【0096】
上記の水素添加処理、酸処理及びストリッピング処理は、公知のオルガノポリシロキサン共重合体、ポリエーテル変性シリコーン類の精製に用いられる溶媒、反応条件、減圧条件等を特に制限なく適用することができ、また選択することができる。
【0097】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは粉体処理剤、界面活性剤、増粘剤又はゲル化剤として有用であり、外用剤、特に化粧料に好適に配合することができる。また、本発明の共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体処理剤で表面処理された粉体は化粧料用原料として有用である。前記共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体処理剤及び粉体の混合物も化粧料用原料として有用である。そして、前記共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体処理剤、粉体、及び、油剤を含む組成物は化粧料用原料として特に有用である。更に、本発明の共変性オルガノポリシロキサン、水及び油剤を含むエマルジョン組成物、並びに、本発明の共変性オルガノポリシロキサン、及び、油剤を含むゲル状組成物は、外用剤、特に化粧料の原料として有用である。
【0098】
以下、詳細に説明する。
【0099】
[粉体処理剤]
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、各種粉体の親水性表面に配向して適度な撥水性を付与できるため、粉体処理剤、特に、粉体表面処理剤として好適に用いることができる。本発明の粉体処理剤中の前記共変性オルガノポリシロキサンの配合量は、粉体処理効果、特に、粉体表面処理効果、を発揮する限り特に限定されるものではないが、例えば、50〜100重量(質量)%とすることができ、70〜100重量(質量)%が好ましく、90〜100重量(質量)%がより好ましい。
【0100】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、化粧料中の親水性及び疎水性の各種の他の成分との馴染みがよく、粉体を含む化粧料中の当該粉体の分散性及び安定性を向上することができる。したがって、本発明の粉体処理剤、並びに、粉体表面処理剤は、粉体を含む化粧料の安定性、及び、当該粉体の均一分散性を改善することができる。そして、前記粉体表面処理剤で表面処理された粉体を含む化粧料は、安定性が高く、また、当該粉体が化粧料中に均一に分散する。
【0101】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンを粉体の表面処理に用いる場合、粉体100重量(質量)部に対して前記共変性オルガノポリシロキサンを0.1〜10重量(質量)部の範囲で使用することが好ましい。前記下限未満では表面処理による効果が十分でない場合があり、処理量が前記上限を超えると、それ以上著しい質感の変化は生じず、粉体と共変性オルガノポリシロキサンの均一な混合物となる傾向が増大する。
【0102】
また、他の公知の表面処理と組み合わせて粉体を表面処理してもよい。他の公知の表面処理の例としては、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンレジン、金属石鹸、シランカップリング剤、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等のフッ素化合物による処理が挙げられる。したがって、本発明の粉体表面処理剤は、例えば、0.1〜50重量(質量)%、好ましくは1〜30重量(質量)%、より好ましくは5〜10重量(質量)%の他の表面処理剤を含んでもよい。
【0103】
(粉体)
本発明における「粉体」は、化粧料の成分として一般に使用されるものであり、白色及び着色顔料、並びに、体質顔料を含む。白色及び着色顔料は化粧料の着色等に使用され、一方、体質顔料は、化粧料の感触改良等に使用される。本発明における「粉体」としては、化粧料に通常使用される白色及び着色顔料、並びに、体質顔料を特に制限なく使用することができる。1種類又は2種類以上の粉体を配合することが好ましい。
【0104】
粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、及び、粒子構造(多孔質、無孔質等)は何ら限定されるものではないが、平均一次粒子径が1nm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0105】
粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等が挙げられ、更に、これらを複合化したものも使用することができる。具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0106】
更に、これらの粉体は、その一部又は全部が撥水化処理、親水化処理等の表面処理を施されていることが特に好ましい。なお、これらの粉体同士を複合化してもよい。また、一般油剤、前記共変性オルガノポリシロキサン以外のシリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、増粘剤等で表面処理が施されたものも使用することができ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0107】
撥水化処理は、特に限定されるものではないが、前記粉体を各種の撥水化表面処理剤で処理することが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理;ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理;シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理;パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理;N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理;スクワラン処理等の油剤処理;アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
【0108】
粉体としてシリコーンエラストマー粉体を使用することもできる。シリコーンエラストマー粉体は、主としてジオルガノシロキシ単位(D単位)からなる直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、側鎖若しくは末端に珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと側鎖若しくは末端にアルケニル基等の不飽和炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応触媒下で架橋反応させることによって好適に得ることができる。シリコーンエラストマー粉体は、T単位及びQ単位からなるシリコーン樹脂粉体に比して、柔らかく、弾力があり、また、吸油性に優れるため、肌上の油脂を吸収し、化粧崩れを防ぐことができる。そして、前記共変性オルガノポリシロキサンにより表面処理を行うと、シリコーンエラストマー粉体のスエード調の感触を減じることなく、しっとりした感触を付与することができる。更に、シリコーンエラストマー粉体と共に前記共変性オルガノポリシロキサンを化粧料に配合する場合は、化粧料全体における当該粉体の分散安定性が改善され、経時的に安定な化粧料を得ることができる。
【0109】
シリコーンエラストマー粉体は、球状、扁平状、不定形状等種々の形状を取りうる。シリコーンエラストマー粉体は油分散体の形態であってもよい。本発明の化粧料には、粒子形状を有するシリコーンエラストマー粉体であり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析/散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、且つ、一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉体を好適に配合することができる。シリコーンエラストマー粉体を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下のものが好ましく、65以下のものがより好ましい。
【0110】
シリコーンエラストマー粉体はシリコーンレジン、シリカ等による表面処理が任意に施されていていてもよい。前記表面処理としては、例えば、特開平2−243612号公報、特開平8−12545号公報、特開平8−12546号公報、特開平8−12524号公報、特開平9−241511号公報、特開平10−36219号公報、特開平11−193331号公報、特開2000−281523号公報等に記載されているものが挙げられる。なお、シリコーンエラストマー粉体としては、「化粧料種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末が該当する。シリコーンエラストマー粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S、トレフィルE−508、9701 Cosmetic Powder、9702 Powder等が挙げられる。これらのシリコーンエラストマー粉体は表面処理がされていてもよく、表面処理剤の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンレジン、金属石鹸、シランカップリング剤、シリカ、酸化チタン等の無機酸化物、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等のフッ素化合物が挙げられる。
【0111】
前記共変性オルガノポリシロキサン及び粉体の混合物は過剰量の共変性オルガノポリシロキサンと粉体とを混合することによって得ることができる。この混合物は、共変性オルガノポリシロキサン中の粉体分散物の形態であり、当該混合物における粉体の配合量は、特に限定されるものではないが、混合物全体の50〜99重量(質量)%の範囲が好適であり、80〜90重量(質量)%がより好適である。
【0112】
前記共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体表面処理剤で表面処理された粉体、或いは、前記共変性オルガノポリシロキサン及び粉体の混合物は、化粧料中に良好に分散する粉体を提供することができ、したがって、化粧料原料として好適に使用することができる。また、これらを原料として得られる化粧料は安定性に優れている。
【0113】
前記共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体処理剤、粉体、及び、油剤を含む組成物も化粧料用原料として好適に使用することができる。前記組成物中における粉体は安定に分散することができるので、前記組成物は安定性が高く、保存安定性に優れている。
【0114】
(油剤)
本発明における「油剤」は、化粧料の成分として一般に使用されるものであり、特に限定されるものではない。油剤は、通常は室温で液体であるが、ワックスのような固形であってもよく、後述する高粘度且つ粘稠なガム状或いはペースト状であってもよい。
【0115】
油剤は、シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種であることが好ましい。
【0116】
シリコーン油は疎水性であり、その分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーン油の25℃における粘度は、通常、0.65〜100,000mm/sの範囲であり、0.65〜10,000mm/sの範囲が好ましい。
【0117】
シリコーン油としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。これらの中でも、揮発性の、直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0118】
直鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、及び、分岐状オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(5)、(6)、及び、(7):
【化39】

(式中、
は、水素原子、水酸基、或いは、炭素原子数1〜30の、一価の非置換又はフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、アルコキシ基及び(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}lSi(CH3)2CH2CH2-(lは0〜1000の整数)で示される基から選択される基であり、
fは、0〜3の整数であり、
g´は、0〜1000の整数であり、l´は、0〜1000の整数であり、但し、1≦g´+l´≦2000である)
【化40】

(式中、
は、上記と同様であり、
mは、0〜8の整数であり、
nは、0〜8の整数であり、但し、3≦m+n≦8である)
【化41】

(式中、
は、上記と同様であり、
pは1〜4の整数であり、
qは0〜500の整数である)
で表されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
【0119】
炭素原子数1〜30の、一価の非置換又はフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、及び、アルコキシ基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜30のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜30のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜30のアルコキシ基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素又はアミノ基で置換された基が挙げられる。非置換のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0120】
より具体的には、直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2mPa・sや6mPa・s等の低粘度〜100万mPa・s等高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、ジメチコノール等が例示される。
【0121】
環状オルガノポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
【0122】
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
【0123】
非極性有機化合物及び低極性有機化合物としては、炭化水素油及び脂肪酸エステル油が好ましい。これらは、特にメークアップ化粧料の基材として広く用いられている成分である。本発明の共変性オルガノポリシロキサンはこれらの非シリコーン系油剤に対しても優れた分散性を示すので、炭化水素油及び脂肪酸エステル油を安定に化粧料に配合でき、これらの非シリコーン系油剤による保湿特性を維持することができる。したがって、前記共変性オルガノポリシロキサンは、これらの非シリコーン系油剤の化粧料中における経時安定性を改善することができる。
【0124】
また、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油をシリコーン油と併用することにより、シリコーン油特有のさっぱりとした感触に加えて、肌上の水分を保持し、化粧料に肌や毛髪が潤うような保湿感(「しっとりした感触」ともいう)や滑らかな感触を付与することができ、しかも、化粧料の経時安定性を損なわないという利点がある。更に、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油とシリコーン油を含有する化粧料は、これらの保湿成分(炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油)を肌上又は毛髪上により安定且つ均一な状態で塗布することができるので、保湿成分の肌上の保湿効果が向上する。したがって、非シリコーン系油剤(炭化水素油、脂肪酸エステル油等)のみを含む化粧料に比して、非シリコーン系油剤と共にシリコーン油を含む化粧料は、より滑らかでしっとりした感触を付与することができるという利点がある。
【0125】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ワセリン、n−パラフィン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン、スクワレン、プリスタン、ポリイソプレン等が例示される。
【0126】
脂肪酸エステル油としては、例えば、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオイレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、等が例示される。
【0127】
低極性有機化合物として、例えば、炭素原子数10〜30の高級アルコールを使用することもできる。前記高級アルコールは、飽和又は不飽和の一価脂肪族アルコールであって、その炭化水素基の部分は直鎖状、分岐状のいずれであっても構わないが、直鎖状であることがより好ましい。炭素原子数10〜30の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等が挙げられる。なお、本発明においては、単独で融点40〜80℃の高級アルコールを用いるか、或いは、融点が40〜70℃になるように複数の高級アルコールの組み合わせることが好ましい。
【0128】
本発明では、上記の油剤以外にも、油脂類、高級脂肪酸、フッ素系油等を他の油剤として使用してもよく、また、これらを2種類以上併用してもよい。特に植物由来の油脂類は、天然物由来の健康的なイメージを与え、保湿性、肌上への馴染みの良さ等に優れることから本発明の化粧料に好適に使用される。
【0129】
油脂としては、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0130】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0131】
フッ素系油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0132】
化粧料用原料としての前記組成物中の油剤の配合量は特に限定されるものではないが、化粧料用原料中の0.1〜50重量(質量)%の範囲内で配合することが好ましく、0.5〜25重量(質量)%がより好ましい。
【0133】
これらの化粧料用原料は化粧料に配合されて使用される。
【0134】
本発明の化粧料は、上記の化粧料用原料に由来する、前記粉体、及び、前記共変性オルガノポリシロキサンを必須に含んでおり、前記粉体の分散性に優れている。したがって、本発明の化粧料は経時安定性が高く、使用感にも優れる。
【0135】
本発明の化粧料中の粉体の配合量としては、化粧料全体の0.1〜99重量(質量)%の範囲が好適である。特に、粉末固形化粧料の場合の配合量としては、粉体が化粧料の基材となるため、化粧料全体の80〜99重量(質量)%の範囲が好適である。
【0136】
[界面活性剤]
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、親水性の糖アルコール含有有機基と疎水性の長鎖炭化水素基を同一分子中に備えるので、界面活性剤として好適に用いることができる。本発明の界面活性剤中の前記共変性オルガノポリシロキサンの配合量は、界面活性効果を発揮する限り特に限定されるものではないが、例えば、50〜100重量(質量)%とすることができ、70〜100重量(質量)%が好ましく、90〜100重量(質量)%がより好ましい。
【0137】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、水及び油剤と共にエマルジョン組成物を構成することができる。前記エマルジョン組成物は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンの形態をとることができる。
【0138】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、乳化性に優れており、分散相の粒径を小さくすることができる。したがって、前記共変性オルガノポリシロキサンを使用して得られたエマルジョンは連続相中の分散相の粒径が小さく、外観が均一で、且つ、安定である。
【0139】
水は、人体に有害な成分を含有せず、清浄であればよく、水道水、精製水、ミネラルウォーターが例示される。また、本発明のエマルジョン組成物において、水の配合量は、エマルジョンの全成分の和を100重量(質量)%とした場合、2〜98重量(質量)%であることが好ましく、ゲル状のエマルジョン形態の化粧料においては、水溶性の任意成分を水に予め配合してもよい。
【0140】
前記油剤としては、上記したものと同様のものを使用することができる。油剤は、シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種であることが好ましい。
【0141】
乳化の形態は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンのみならず、これらの多層エマルジョン又はマイクロエマルジョンであってもよい。なお、乳化の形態(水中油型又は油中水型)及びエマルジョンの粒子径は、所望の化粧料の種類に応じて適宜選択乃至調整することができる。
【0142】
本発明のエマルジョン組成物が水中油型エマルジョン形態の場合、当該組成物中の分散相は、油剤が前記共変性オルガノポリシロキサンにより乳化されてなる粒子であり、その平均粒子径は、レーザー回折・散乱法等を用いた公知の測定装置により測定することができる。水中油型エマルジョン形態の化粧料は、測定される分散相の平均粒子径が0.1μm以下の透明なマイクロエマルジョンであってもよく、平均粒子径が10.0μmを超える大粒子径の白濁エマルジョンのいずれであってもよい。更に、エマルジョンの安定性や外観の透明性を改善する目的で、エマルジョン粒子を微細化することができる。特に、毛髪や皮膚への付着特性や使用感を改善する目的で、粒子径が0.5〜20μmのエマルジョンを選択することができ、且つ、好ましい。
【0143】
水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンの形態の本発明のエマルジョン組成物は、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の装置により、機械力を用いて当該化粧料の各成分を混合することにより製造することができる。
【0144】
前記界面活性剤又はエマルジョン組成物は好ましくは外用剤、特に化粧料に配合されて使用される。
【0145】
本発明の外用剤、特に化粧料は前記共変性オルガノポリシロキサンを必須に含んでおり、分散相の分散安定性に優れている。したがって、本発明の化粧料は経時安定性が高く、外観も均一であり、使用感にも優れる。
【0146】
本発明の外用剤、特に化粧料は1種類以上の他の界面活性剤を含んでもよい。他の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び、半極性界面活性剤からなる群より選択することができる。
【0147】
本発明の外用剤、特に化粧料中の他の界面活性剤の配合量は特に限定されるものではないが、洗浄特性の改善のために、外用剤全体の0.1〜90重量(質量)%の範囲内で配合することができ、洗浄性の観点からは、25重量(質量)%以上の界面活性剤を配合することも好ましい。
【0148】
アニオン性界面活性剤としては、飽和又は不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム等)、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、トクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等)及びその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アルキルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキル又はアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、更にはアンモニウム塩が挙げられる。
【0149】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルジメチルベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0150】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、糖変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーンは、アルキル分岐、直鎖シリコーン分岐、シロキサンデンドリマー分岐等が親水基と同時に必要に応じ施されていているものも好適に用いることができる。
【0151】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは分子内に親水性部分と疎水性部分を有するため、分散剤としての機能を有する。このため、シリコーン系のノニオン性界面活性剤と併用した場合に、ノニオン性界面活性剤の安定性を向上させる助剤として機能して、製剤全体としての安定性を改善できる場合がある。特に、前記共変性オルガノポリシロキサンは、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーンと併用することが好適である。
【0152】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’.N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム等のアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0153】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイド等が例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0154】
[増粘剤・ゲル化剤]
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、増粘剤又はゲル化剤、特に油剤の増粘剤又はゲル化剤として使用することもできる。本発明の増粘剤又はゲル化剤中の前記共変性オルガノポリシロキサンの配合量は、増粘効果又はゲル化効果を発揮する限り特に限定されるものではないが、例えば、50〜100重量(質量)%とすることができ、70〜100重量(質量)%が好ましく、90〜100重量(質量)%がより好ましい。
【0155】
ここで、油剤に対する「増粘」及び「ゲル化」という技術的効果は連続的な現象を伴うため、必ずしもその両者を明確に区別することはできない。一般的には、室温で液状であり、流動性を有する油剤の粘度が増大することを「増粘」と呼び、更に増粘が進み、水飴状、クリーム状やペースト状の粘稠な流体状態を経た後、油剤がその流動性をほとんど失ってゲル状或いは半固体状〜柔軟な固体状を呈する現象を「ゲル化」と呼ぶ。本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、その使用量や構造を選択することにより、油剤成分に対する増粘剤としても、ゲル化剤としても好適に使用することができる。例えば、本発明の共変性オルガノポリシロキサンを油剤に対して少量配合すれば増粘剤として機能し、大量に配合すれば、油剤をゲル化させることができる。
【0156】
外用剤、特に化粧料の分野では、油剤を増粘又はゲル化することにより、その外観、配合系、使用感及び剤型に大きな効果及び変化をもたらすことができるため、油剤に対する増粘/ゲル化技術は重要度が高い。また、化粧料の形態を液状から水飴状、クリーム状、ペースト状、ゲル又は固体状など任意にコントロールできる自由度を化粧料の製造者に与え得ることから、油剤に対する増粘/ゲル化技術は極めて重要度の高い技術である。
【0157】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは油剤をゲル化させることができる一方、ゲル化を望まない剤型において、油剤に対する増粘剤としても用いることが可能であり、外用剤、特に化粧料に用いる油剤に対する増粘剤として有用である。なお、ゲル化の程度は共変性オルガノポリシロキサンの使用量により制御可能である。さらに、本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、各種の油剤との相溶性に優れるため、非シリコーン油と混合した場合でも、相分離の問題を起こさないという利点を有する。
【0158】
前記油剤としては、上記したものと同様のものを使用することができる。油剤は、シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種であることが好ましい。
【0159】
本発明の増粘剤又はゲル化剤を油剤と公知の手段を用いて混合することにより、当該油剤を増粘又はゲル化してゲル状組成物を形成することができる。かかるゲル状組成物には、更に他の成分を配合することができることができる。前記ゲル状組成物は安定に存在することができるので、保存安定性に優れている。また、後に述べるように、水系組成物を調製するための化粧料製造用組成物(プレミックス)として、ゲル状組成物を使用することができる。
【0160】
また、本発明の増粘剤又はゲル化剤は、予め調製した外用剤、特に化粧料中に添加され、均一に分散されることにより、外用剤に含まれる油剤を増粘又はゲル化することができる。特に、化粧料の油剤を増粘又はゲル化することにより、化粧料の粘度や固さを適度とし、その外観、配合性、使用感を向上することができ、また所望の剤型・化粧料の形態で実施することができる。
【0161】
本発明の増粘剤又はゲル化剤の使用量・配合比は特に限定されないが、油剤全体の重量(質量)に対して1〜99重量(質量)%の範囲内であることが好ましく、5〜40重量(質量)%の範囲内であることがより好ましい。なお、増粘の程度は、油剤への配合量に応じて変化するので、油剤を含む外用剤全体の粘度、特にゲル状組成物の硬さ(ゲルの粘弾性、弾力ある質感とも表現することができる外用剤、特に化粧料の特質である)を所望の範囲に制御することができる。
【0162】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンは、単独で油剤の増粘剤又はゲル化剤として用いることができるが、粉体と共に使用した場合、油剤に対する増粘/ゲル化という効果に加えて、得られる増粘されたゲル状組成物中に、粉体を安定且つ均一に分散させる効果を発揮することができる。特に、混合油剤系における粉体の凝集や沈降が起こらない安定性に優れた油中粉体分散物を与えることができる。更に、前記油中粉体分散物を皮膚に塗布した後も約1日程度は優れた化粧効果と違和感のない自然な肌感覚を持続させることのでき、優れた分散・固定化機能を発揮させることができる。
【0163】
前記粉体としては、上記したものと同様のものを使用することができる。
【0164】
粉体の配合量は外用剤の剤型等に応じて選択できるが、ゲル状組成物全体の0.1〜99重量(質量)%となる範囲が好適である。
【0165】
前記増粘剤又はゲル化剤、並びに、ゲル状組成物は好ましくは外用剤、特に化粧料に配合されて使用される。
【0166】
粉体を含むゲル状組成物は、そのままゲル状化粧料として用いることもできる。ゲル状化粧料の場合の粉体の配合量としては、化粧料全体の10〜50重量(質量)%の範囲が好適である。また、流動性の低い固体ゲル状化粧料として用いる場合には、50〜80重量(質量)%の範囲で粉体を配合することができる。
【0167】
特に、ゲル状組成物に、例えば、低級アルコール及び多価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールと水を混合して希釈することにより、ペースト状、クリーム状、乳液状などより粘性の低い任意の形態の外用剤、好適にはエマルジョン化粧料を容易に得ることができる。
【0168】
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、t−ブタノール、s−ブタノール等が例示され、多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、キシリトール等の4価以上の多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解物、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコールが挙げられる。更に、これら低分子多価アルコールのほかに、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体等が例示される。
【0169】
前記アルコールを含有してなるゲル状組成物は、自己乳化特性が更に改善され、安定な油中水型エマルジョン化粧料を製造する場合に必須となる乳化の諸条件を詳細に検討することがほぼ不要であるという利点を有する。
【0170】
アルコールは、好ましくはエタノール、イソプロパノール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールであり、乳化物の安定性を高めることができる。なかでも、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールは保湿効果も有するためより好ましい。また、エタノールとエタノール以外のアルコールとを5/5〜9.9/0.1の重量(質量)比で混合して併用することも、ゲル状組成物の自己乳化特性の点から好ましい。更に、エタノールとエタノール以外のアルコールとの重量(質量)比が6/4以上であることが、ゲル状組成物の自己乳化特性の点からは特に好ましい。
【0171】
本発明のゲル状組成物は、含水外用剤、特に含水化粧料を調製するための化粧料製造用組成物(プレミックス)として使用可能である。これにより、特殊な高圧乳化装置を用いることなく簡便な撹拌装置、混合装置により安定な含水化粧料を形成でき、乳化・分散条件の最適化検討がほぼ不要であるという利点がある。更に、本発明のゲル状組成物を用いて製造される化粧料は、経日安定性、感触、保湿性、製品の外観等に優れた含水化粧料、特には油中水型エマルジョン化粧料であり、前記の各成分を安定且つ容易に配合してなる含水化粧料である。
【0172】
[外用剤・化粧料]
【0173】
本発明の外用剤、特に化粧料は前記共変性オルガノポリシロキサンを必須に含むものであるが、その配合量は特に限定されるものではない。ただし、その配合量は、外用剤全体の0.1〜20重量(質量)%の範囲が好適であり、1〜10重量(質量)%の範囲がより好適である。
【0174】
本発明の外用剤、特に化粧料は、更に、油剤を含んでもよい。前記油剤としては、上記したものと同様のものを使用することができる。油剤は、シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種であることが好ましい。
【0175】
本発明の外用剤中の油剤の配合量は、外用剤の剤形、種類、適用箇所及び重視する特性に応じて適宜選択されるものであるが、外用剤全体の0.1〜95重量(質量)%の範囲内とすることが好ましく、0.5〜75重量(質量)%の範囲がより好適である。また、粘度の異なる2種類以上の油剤を配合することも好適である。
【0176】
また、本発明の外用剤は、更に、水を含んでもよい。したがって、本発明の外用剤は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンの形態をとることができる。この場合、本発明の外用剤は優れた乳化安定性及び使用感を示す。
【0177】
本発明の外用剤は、その他の各種の原料を含むことができる。かかる原料は、室温において水に対して全く溶解しないか、水100gに対する該成分の溶解度が1重量(質量)%未満であるような疎水性のものが好ましい。
【0178】
そのような原料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、水溶性高分子、他の界面活性剤、他の油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、シリコーンガム、有機変性シリコーン、紫外線防御成分等が挙げられる。
【0179】
シリコーン樹脂とは、高度の分岐状構造、網状構造又は籠状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、常温で液状又は固形状である。本発明の目的に反しない限り、通常外用剤に用いられるシリコーン樹脂であればいずれのものでも使用可能である。固形状の場合、シリコーン樹脂からなる球状パウダー、燐片状パウダー、針状パウダー、平板フレーク状パウダー(一般に板状と理解される外観及び粒子のアスペクト比を有する板状パウダーを含む)等の粒子であってもよく、特に、後述するモノオルガノシロキシ単位(T単位)及び/又はシロキシ単位(Q単位)を含有するシリコーン樹脂パウダーが好適に用いられる。
【0180】
本発明の共変性オルガノポリシロキサンと共にシリコーン樹脂を配合した場合、油剤との相溶性及び均一分散性が改善されると共に、シリコーン樹脂の配合に伴う塗布部分への均一な密着性といった使用感の改善効果が得られる点で有用である。
【0181】
固形状のシリコーン樹脂には、例えば、トリオルガノシロキシ単位(M単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、ジオルガノシロキシ単位(D単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、モノオルガノシロキシ単位(T単位)(オルガノ基はメチル基、ビニル基、又はフェニル基である)及びシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂がある。更には、トリメチルシロキシケイ酸、ポリアルキルシロキシケイ酸、ジメチルシロキシ単位含有トリメチルシロキシケイ酸、アルキル(パーフルオロアルキル)シロキシケイ酸が例示される。これらのシリコーン樹脂は油溶性であり、揮発性シリコーンに溶解しうるものが特に好ましい。
【0182】
本発明の外用剤において好適なシリコーン樹脂は、少なくともモノオルガノシロキシ単位(T単位)及び/又はシロキシ単位(Q単位)を有するシリコーン樹脂であり、当該シリコーン樹脂は外用剤全体の0.1〜10重量(質量)%の範囲内で配合されることが好ましい。これらの分岐単位を有するシリコーン樹脂は網目構造を有しており、肌、髪等に塗布した場合に均一な皮膜を形成し、乾燥及び低温に対する保護効果を与え、更に、発汗により皮脂と共に化粧崩れ等が起こることを防止することができる。更に、これらの分岐単位を有するシリコーン樹脂は、肌、髪等にしっかりと密着し、肌、髪等に艶と透明感を与えることができる。
【0183】
特にフェニル基の含有量の高い高屈折率のフェニルシリコーン樹脂(例えば、東レ・ダウコーニング社製の217 Flake resin等)は、容易にフレーク状のシリコーン樹脂パウダーとすることができ、外用剤に配合した場合、肌及び髪に輝きのある透明感を付与することができる。
【0184】
シリコーンエラストマーは、前記シリコーンエラストマー粉体又は架橋性オルガノポリシロキサンとして配合することができる。
【0185】
なお、前記シリコーンエラストマー粉体は水分散液の形態として本発明の外用剤で使用することができる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29−129、PF−2001 PIF Emulsion等が挙げられる。これらのシリコーンエラストマー粉体の水系分散体(=サスペンジョン)を配合することにより、本発明の外用剤、特に水中油型エマルジョン形態の外用剤の使用感を更に改善することができる。
【0186】
架橋性オルガノポリシロキサンは、オルガノポリシロキサン鎖が、ポリエーテル単位、炭素原子数4〜20のアルキレン単位又はオルガノポリシロキサン単位からなる架橋性成分等との反応により3次元的に架橋した構造のものが好ましい。
【0187】
架橋性オルガノポリシロキサンは、具体的には、珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖の両末端に不飽和結合を有するポリエーテル化合物、分子中に1を超える二重結合を有する不飽和炭化水素、分子中に1を超える二重結合を有するオルガノポリシロキサンを付加反応させることにより得ることができる。ここで、架橋性オルガノポリシロキサンは、未反応の珪素結合水素原子、フェニル基等の芳香族炭化水素基、オクチル基等の炭素原子数6〜30の長鎖アルキル基、ポリエーテル基、カルボキシル基、前記のカルボシロキサンデンドリマー構造を有するシリルアルキル基等の修飾性官能基を有していても有していなくてもよく、希釈・性状等の物理的形態や製法等によらず制限なく使用できる。
【0188】
一例として、かかる架橋性オルガノポリシロキサンは、SiO単位、HSiO1.5単位、RbSiO1.5単位、RbHSiO単位、RbSiO単位、RbSiO0.5単位及びRbHSiO0.5単位(ここで、Rは脂肪族不飽和基を除く、置換若しくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、Rbの一部は炭素数8〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成され、且つ、珪素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖両末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシアルキレン化合物、ポリグリセリン化合物若しくはポリグリシジルエーテル化合物等であるポリエーテル化合物、一般式:CH=CH−C2r−CH=CH(式中、rは0〜26の整数である)で表わされるα,ω−ジエンである不飽和炭化水素、又は、SiO単位、(CH=CH)SiO1.5単位、RcSiO1.5単位、Rc(CH=CH)SiO単位、RcSiO単位、RcSiO0.5単位及びRc(CH=CH)SiO0.5単位、(ここでRcは脂肪族不飽和基を除く置換若しくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成され、且つ、分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するオルガノポリシロキサンから選ばれる架橋性成分とを付加反応させることにより得ることができる。なお、未反応の珪素原子結合水素原子に対して付加反応により、前記修飾性官能基を導入することができる。例えば、未反応の珪素原子結合水素原子を有する架橋性オルガノポリシロキサンに対して、1−ヘキセンを反応させることで、C6アルキル基であるヘキシル基が導入される。
【0189】
このような架橋性オルガノポリシロキサンであれば、希釈・性状等の物理的形態や製法等によらず制限なく使用できるが、特に好ましいものとしては米国特許第5654362号中に記載されているα,ω−ジエン架橋シリコーンエラストマー(市販品としては、DC 9040 Silicone Elastomer Blend, DC 9041 Silicone Elastomer Blend, DC 9045 Silicone Elastomer Blend, DC 9046 Silicone Elastomer Blend、米国ダウコーニング社製)が挙げられる。同様に、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物として、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-8〜30/C6〜C30アルキルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/C6〜C30アルキルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0190】
ポリエーテル化合物により架橋されてなる、乳化性の架橋性オルガノポリシロキサンを成分として外用剤に配合した場合、前記共変性オルガノポリシロキサンが分散剤として機能するので、均一な乳化系を形成できる利点がある。
【0191】
一方、オルガノポリシロキサン又はジエン等の不飽和炭化水素基により架橋されてなる、非乳化性の架橋性オルガノポリシロキサンを成分として外用剤に配合した場合、肌への密着感が改善される。更に、他の油剤との馴染みがよく、油系の全体が均一且つ安定に外用剤に配合することができる利点がある。
【0192】
これらのシリコーンエラストマーは、その目的に応じて、1種類又は2種類以上を配合することができ、その目的及び配合の意図に応じて、外用剤全体の0.05〜25重量(質量)%の範囲内で配合することが好ましく、0.1〜15重量(質量)%の範囲内で配合することがより好ましい。
【0193】
水溶性高分子は、所望の剤形の外用剤を調製し、毛髪等に対する感触、コンディショニング効果の改善等の外用剤の使用感を向上させる目的で配合され、通常の外用剤に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。これらの水溶性高分子は、含水成分の増粘効果を有するため、特にゲル状の含水外用剤、油中水型エマルジョン外用剤、水中油型エマルジョン外用剤を得る場合に有用である。天然の水溶性高分子としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。また、半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル系高分子、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(CARBOPOL 940, 941;日本ルーブリゾール社)等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、ポリエチレングリコール6,000、ポリエチレングリコール4,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、PEG/PPGメチルエーテル等の共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が例示される。水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種であり、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物及び合成物のいずれであってもよい。
【0194】
その他のカチオン性水溶性高分子としては、特に、毛髪外用剤に好適に配合できる成分として、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0195】
また、特に、毛髪外用剤に好適に配合できる成分として、両性の水溶性高分子を挙げることができ、具体的には、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0196】
本発明の外用剤における水溶性高分子の配合量は外用剤の種類及び目的に応じて適宜選択することができるが、外用剤全体に対して、0.01〜5.0重量(質量)%の範囲が好ましく、特に優れた使用感を得るには、0.1〜3.0重量(質量)%の範囲がより好ましい。水溶性高分子の配合量が前記上限を超えると、外用剤の種類によっては、毛髪や皮膚に対してごわごわした感触が残る場合があり、前記下限未満では、増粘効果、コンディショニング効果等の有利な技術的効果が十分に実現できない場合がある。
【0197】
界面活性剤(本発明の共変性オルガノポリシロキサンを除く)は、乳化剤として機能するものであり、例えば、上記したものと同様のものを使用することができる。
【0198】
本発明の外用剤における他の界面活性剤の使用量は、特に限定されるものではないが、外用剤全体の0.1〜50重量(質量)%の範囲内で配合することができ、1重量(質量)〜20重量(質量)%の範囲がより好ましい。
【0199】
油溶性ゲル化剤(本発明の共変性オルガノポリシロキサンを除く)は、油剤のゲル化剤であり、本発明の外用剤が油剤を連続相とする油性外用剤である場合、油性成分の増粘/ゲル化により、所望の剤形及び感触を実現できる。このような油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α、γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体等が挙げられる。これらは必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
【0200】
本発明の外用剤における他の油溶性ゲル化剤の使用量は、特に限定されるものではないが、油剤100重量(質量)部に対して、0.5〜50重量(質量)部となる範囲が好ましく、1〜30重量(質量)部となる範囲がより好ましい。
【0201】
前記共変性オルガノポリシロキサン、粉体及び油剤を配合した外用剤に他の油溶性ゲル化剤を使用すると、全体的に油っぽさ(油っぽいベタベタした感触)を更に抑制し、また、皮膚保持性を更に改善できるという品質上の利点がある。
【0202】
有機変性粘度鉱物は、前記油溶性ゲル化剤と同様に、油剤のゲル化剤として用いることができる。かかる有機変性粘土鉱物としては、例えば、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。これらの市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)等がある。
【0203】
シリコーンガムは、超高重合度の直鎖状ジオルガノポリシロキサンであり、シリコーン生ゴムやオルガノポリシロキサンガムとも称されている。シリコーンガムは、その重合度が高いため、測定可能な程度の可塑度を有する点で、上記の油状シリコーン類と区別される。これらのシリコーンガムは、そのまま、或いは油状シリコーンに分散させた液状のガムディスパージョン(シリコーンガムのオイル分散物)として、本発明にかかる外用剤に配合することができる。
【0204】
このようなシリコーン生ゴムとしては、ジアルキルシロキシ単位(D単位)を有する置換又は非置換のオルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノポリシロキサン、メチルフロロアルキルポリシロキサン等、又は、それらの微架橋構造を有したもの等が挙げられ、代表例として、一般式:R10(CHSiO{(CHSiO}s{(CH)R12SiO}tSi(CH10(式中、R12はビニル基、フェニル基、炭素数が6〜20のアルキル基、炭素数3〜15のアミノアルキル基、炭素数3〜15のパーフロロアルキル基、炭素数3〜15の4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択される基であり、末端基R10は、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ビニル基、炭素数3〜15のアミノアルキル基、水酸基及び炭素数1〜8のアルコキシ基から選択される基である。また、s=2,000〜6,000、t=0〜1,000、s+t=2,000〜6,000)で示されるものがある。中でも、重合度3000〜20000のジメチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、分子の側鎖又は末端に3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル基等を有するアミノ変性メチルポリシロキサン生ゴムが好ましい。また、本発明において、シリコーンガムは必要に応じて1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0205】
シリコーンガムは、超高重合度であるため、毛髪や皮膚に対する残留性に優れ、通気性に優れた保護膜を形成する。このため、特に毛髪に艶と光沢を与え、使用中及び使用後に髪全体に張りとコシのある質感を付与することができる成分である。
【0206】
シリコーンガムの配合量は外用剤全体の0.05〜30重量(質量)%の範囲であり、好適には1〜15重量(質量)%の範囲である。なお、シリコーンガムは予め乳化工程(乳化重合も含む)を経て調製された乳化組成物として使用すれば配合がしやすく、本発明の外用剤に安定に配合することができる。シリコーンガムの配合量が前記下限未満では、特有の感触や毛髪に対する光沢付与効果が不十分となる場合がある。
【0207】
有機変性シリコーンは、機能性官能基をポリシロキサン鎖の一部に導入してなるシリコーン化合物であり、前記共変性オルガノポリシロキサン以外の有機変性シリコーンであって、外用剤に配合される成分である。具体的には、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アミドアルキル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、炭素原子数8〜30の高級アルキル変性シリコーンを挙げることができる。
【0208】
有機変性シリコーンは、主鎖としてポリシロキサン結合の他に、アルキレン鎖、アミノアルキレン鎖又はポリエーテル鎖を有するものであってもよく、いわゆるブロック共重合体を含む。また、前記有機変性基は、ポリシロキサン鎖の側鎖又は末端の一方又は両方に有するものであってよい。
【0209】
有機変性シリコーンは、その目的に応じて、1種類又は2種類以上を配合することができ、上記のシリコーン系界面活性剤としての機能や、粉体処理剤としての機能、毛髪に対する滑らかさと光沢の改善効果、特にすすぎ後の感触向上等の機能を発揮することができる。本発明の外用剤において、有機変性シリコーンの配合量は特に限定されるものではないが、その目的及び配合の意図に応じて、外用剤全体の0.05〜25重量(質量)%の範囲内とすることが好ましく、0.1〜15重量(質量)%の範囲内がより好ましい。前記下限未満では、目的とする有機変性シリコーンの機能が十分に発揮できない場合があり、配合量が前記上限を超えると外用剤の感触、機能等のバランスが崩れる場合がある。
【0210】
紫外線防御成分は、紫外線を遮蔽乃至散乱する成分であり、無機系の紫外線防御成分と有機系の紫外線防御成分がある。本発明の外用剤が日焼け止め化粧料であれば、少なくとも1種の無機系又は有機系、特に有機系の紫外線防御成分を含有することが好ましい。
【0211】
無機系の紫外線防御成分は、前記の無機系の顔料粉体、金属粉末顔料等を紫外線散乱剤として配合するものであってもよく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドープ酸化チタン等の金属酸化物、水酸化鉄等の金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレーク等の金属フレーク類、炭化珪素等のセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある、粒状、板状、針状又は繊維状の微粒子金属酸化物及び微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。これらの粉末は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理やパーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理が好ましい)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理が好ましい)、シリコーン樹脂処理(トリメチルシロキシケイ酸処理が好ましい)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖等を付加する方法)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理(アルキルシランやアルキルシラザン処理が好ましい)、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸やミリスチン酸塩が好ましい)、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理等がされていることが好ましく、これらの処理の複数で処理されていることが好ましい。例えば、微粒子酸化チタン表面を酸化ケイ素やアルミナ等の金属酸化物で被覆した後、アルキルシランで表面処理すること等が挙げられる。表面処理量は、粉体に対して総計で0.1〜50重量(質量)%の範囲にあることが好ましい。
【0212】
有機系の紫外線防御成分は一般に親油性であり、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す),PABAモノグリセリンエステル,N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル,N,N−ジエトキシPABAエチルエステル,N,N−ジメチルPABAエチルエステル,N,N−ジメチルPABAブチルエステル、2―[4―(ジエチルアミノ)―2―ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(商品名:ユビナールAプラス)等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート,メンチルサリシレート,ホモメンチルサリシレート,オクチルサリシレート,フェニルサリシレート,ベンジルサリシレート,p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート,エチル−4−イソプロピルシンナメート,メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート,エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート,メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート,プロピル−p−メトキシシンナメート,イソプロピル−p−メトキシシンナメート,イソアミル−p−メトキシシンナメート,オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート),2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート,シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート,エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート,2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート,グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート,3,4,5−トリメトキシ桂皮酸3−メチル−4−[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル]ブチル、ジメチコジエチルベンザルマロネート(商品名:パルソールSLX(INCI名:ポリシリコーン-15))等の桂皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン,2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン,2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン,2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン,2-ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩,4−フェニルベンゾフェノン,2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート,ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン,4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)-d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール){商品名:登録商標チノソルブM}等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、 2,4,6-トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン」{INCI:オクチルトリアゾン}、2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン {INCI:ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、商品名:登録商標チノソルブS}等のトリアジン系紫外線吸収剤、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル{INCI:オクトクリレン}等が例示される。
【0213】
また、前記有機系の紫外線防御成分を疎水性のポリマー粉末中に含有したものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくてもよく、平均一次粒子径は0.1〜50μmの範囲にあればよく、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂、シリル化ポリペプチド樹脂が例示される。有機系紫外線防御成分を0.1〜30重量(質量)%の範囲で含有するポリマー粉末が好ましく、特にUV−A吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含有するポリマー粉末が好ましい。
【0214】
本発明の外用剤において、好適に使用できる紫外線防御成分は、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらの紫外線防御成分は、汎用されており、入手が容易で、且つ、紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することが更に好ましい。
【0215】
本発明の外用剤において、前記共変性オルガノポリシロキサンと紫外線防御成分を併用することにより、外用剤全体の感触及び保存安定性を改善しつつ、紫外線防御成分を外用剤中に安定に分散させることができるので、外用剤に優れた紫外線防御機能を付与することができる。
【0216】
本発明の外用剤においては、前記紫外線防御成分を、外用剤全体に対して、合計で0.1〜40.0重量(質量)%の範囲で配合することが好ましく、0.5〜15.0重量(質量)%の範囲で配合することがより好ましい。
【0217】
また、本発明の外用剤には、更に、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーン樹脂ワックスからなる群から選択される少なくとも1種を配合することができる。
【0218】
アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体であり、例えば、特許第4009382号公報(特開2000−063225号公報)中に記載されているビニル系重合体が、特に好ましく例示される。市販品としては、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001 CM Silicone Acrylate、FA 4002 ID Silicone Acrylate等が挙げられるが、その側鎖等に炭素原子数8〜30、好適には炭素原子数14〜22の長鎖アルキル基を有するアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーであっても良い。かかるアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーは単独で配合した場合、優れた造膜性を有するため、本発明に係る外用剤に配合することにより、塗布部に強固な塗膜を形成することができ、耐皮脂性や耐摩擦性等の持続性が大幅に改善される。
【0219】
前記共変性オルガノポリシロキサンとアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーとを併用することにより、カルボシロキサンデンドリマー構造による強撥水性により、耐皮脂性等の表面保護特性が改善されると共に、塗布された皮膚のしわ、毛穴等の凹凸を効果的に目立たなくできる利点がある。また、前記共変性オルガノポリシロキサンは、他の油剤及び粉体の分散特性に優れ、且つ、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーを他の油剤に好適に馴染ませるため、例えば、肌上におけるよれや化粧崩れを長時間にわたって抑制できる利点がある。更に、前記共変性オルガノポリシロキサン及びアクリルシリコーンデンドリマーコポリマーを併用して公知の方法を用いて粉体を処理することにより、配合安定性に優れた外用剤原料(外用剤用粉体組成物)を調製することもできる。
【0220】
アクリルシリコーンデンドリマーコポリマーの配合量は、その目的及び配合の意図に応じて適宜選択されるものであるが、外用剤全体の1〜99重量(質量)%の範囲内が好ましく、30〜70重量(質量)%の範囲内がより好ましい。
【0221】
ポリアミド変性シリコーンとしては、例えば、米国特許5981680号(特開2000−038450号公報)や特表2001−512164号公報中に記載されているシロキサンベースのポリアミド化合物が例示され、市販品としては2−8178 Gellant、2−8179 Gellant等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。かかるポリアミド変性シリコーンは、前記の油溶性ゲル化剤同様に、油性原料、特にシリコーン油の増粘/ゲル化剤として有用である。
【0222】
ポリアミド変性シリコーンを前記共変性オルガノポリシロキサンと併用すると、シリコーン油等の油剤との親和性が更に改善されるため、本発明に係る外用剤は、肌、毛髪等に塗布した場合に、伸びとおさまりが良く、安定感と密着性に更に優れるものになる。また、艶のある透明感と優れた光沢を付与し、油性原料を含む外用剤全体の粘度や硬さ(柔軟性)を適宜調整することが可能となり、全体的に油っぽさ(油っぽいベタベタした感触)を抑制できるという品質上の利点がある。更に、前記共変性オルガノポリシロキサンの使用により香料、粉体等の分散安定性が改善されるため、例えば、均一且つきめ細かい化粧感が長時間にわたって持続する特徴がある。
【0223】
ポリアミド変性シリコーンの使用量は、その目的及び配合の意図に応じて適宜選択されるものであるが、油性原料のゲル化剤としての使用の場合、油剤100重量(質量)部に対して、0.5〜80重量(質量)部となる範囲が好ましく、1〜50重量(質量)部となる範囲がより好ましい。
【0224】
アルキル変性シリコーンワックスは、油性固形外用剤の基材の一部として有用な成分であり、本発明の外用剤においては、室温でワックス状のアルキル変性シリコーンを特に制限なく使用できる。このようなアルキル変性シリコーンワックスとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチル長鎖アルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチル長鎖アルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端長鎖アルキル変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの市販品としては、AMS−C30 Cosmetic Wax、2503 Cosmetic Wax等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0225】
前記共変性オルガノポリシロキサンは、アルキル変性シリコーンワックスの分散特性に優れるので長期保存安定性に優れた外用剤を得ることができる。また、外用剤の成形性も優れている。特に、粉体を含む系において、アルキル変性シリコーンワックスの分離が発生しにくいという品質上の利点を有し、且つ、保形強度に優れ、塗布時に滑らかで均一に伸びる油性外用剤を提供することができる。
【0226】
本発明の外用剤、特に化粧料においては、アルキル変性シリコーンワックスは、化粧持ち効果及び高温安定性の点から、融点が60℃以上であることが好ましい。その配合量は、その目的及び配合の意図に応じて適宜選択されるものであるが、外用剤全体に対して通常1〜50重量(質量)%の範囲が好適である。油性外用剤の成形性及び化粧持ちの改善を図るために、5〜40重量(質量)%の範囲で配合することがより好ましい。また、アルキル変性シリコーンワックスは、前記アルキル変性シリコーン等の、長鎖アルキル基を有するシリコーン油、架橋性オルガノポリシロキサン類との親和性に富むため、これらの任意成分と併用することも好ましい。
【0227】
アルキル変性シリコーン樹脂ワックスは、外用剤に皮脂耐久性、保湿性、肌理細やかな感触を付与する成分であり、例えば、特表2007−532754号公報に記載されているシルセスキオキサン樹脂ワックスが好ましく挙げられる。これらの市販品としては、SW−8005 C30 RESIN WAX等(米国ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0228】
前記共変性オルガノポリシロキサンは、アルキル変性シリコーンワックスと同様に、アルキル変性シリコーン樹脂ワックスを外用剤中に均一に分散することができる。更に、かかるアルキル変性シリコーン樹脂ワックスを含有する油相を、任意に他の界面活性剤と共に、安定に乳化することができ、皮膚又は毛髪に対するコンディショニング効果を改善し、肌理細やかでしっとりとした感触を付与することができる。
【0229】
本発明の外用剤において、アルキル変性シリコーン樹脂ワックスの配合量は、その目的及び配合の意図に応じて適宜選択されるものであるが、外用剤全体に対して通常0.5〜50重量(質量)%の範囲が好ましいる。外用剤の皮脂耐久性及び肌理細やかな感触の実現のために、1〜30重量(質量)%の範囲がより好ましい。
【0230】
本発明の外用剤、特に化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の外用剤に使用されるその他の成分:例えば、アルコール類、有機樹脂、保湿剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、生理活性成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等を添加することができる。その他の成分は特に限定されるものではない。
【0231】
アルコール類としては、1種又は2種以上の多価アルコール及び/又は低級一価アルコールを用いることができる。低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等が例示され、多価アルコールとしては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ジブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、キシリトール等の4価以上の多価アルコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、マルトトリオース、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解物、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコールが挙げられる。更に、これら低分子多価アルコールのほかに、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体等が例示される。中でも、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが特に好ましい。配合量は、外用剤全体の0.1〜50重量(質量)%の範囲が好適である。アルコール類は外用剤の保存安定性を改善する目的で、外用剤全体の5〜30重量(質量)%程度配合することができ、本発明の好ましい実施の一形態である。
【0232】
有機樹脂としては、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸アルキルコポリマー等が挙げられる。有機樹脂は優れた造膜性を有するため、本発明に係る外用剤に配合することにより、塗布部に強固な塗膜を形成することができ、耐皮脂性や耐摩擦性等の持続性が改善される。
【0233】
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。なお、前記した多価アルコール類が肌上或いは毛髪上への保湿機能を発揮することは言うまでもない。
【0234】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリノン化合物、ジメチルラウリルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等のアミンオキシド類等が挙げられる。
【0235】
また、抗菌剤としては、アポラクトフェリン;レゾルシン等のフェノール系化合物;アイチュリン系ペプチド、サーファクチン系ペプチド、プロタミン又はその塩(硫酸プロタミン等)等の抗菌又は殺菌性塩基性タンパク質又はペプチド、ε−ポリリジン又はその塩等のポリリジン類、銀イオン、銅イオン等を生成可能な金属化合物である抗菌性金属化合物;プロテアーゼ、リパーゼ、オキシドレダクターゼ、カルボヒドラーゼ、トランスフェラーゼ、フィターゼ等の抗菌性酵素等が挙げられる。
【0236】
香料としては、種々の植物の花、種子、葉、根等から抽出した香料、海藻類から抽出した香料、動物の各部位又は分泌物から抽出した香料(例、じゃこう、マッコウ)、人工的に合成した香料(例、メントール、ムスク、酢酸エステル、バニラ)が例示される。香料は、外用剤に香気、香りを付与するため、或いは不快臭をマスクするために配合され、公知の香料を適宜選択し、外用剤の剤形に応じて、適量を配合することができる。
【0237】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等が挙げられる。
【0238】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0239】
キレート剤としては、例えば、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0240】
清涼剤としては、l−メントール、カンフル等が挙げられる。
【0241】
生理活性成分としては、例えば、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン類、天然型の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤等が挙げられる。
【0242】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェノール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類等が挙げられる。
【0243】
アミノ酸類としては、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0244】
核酸としては、デオキシリボ核酸等が挙げられる。
【0245】
ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0246】
本発明の外用剤には天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分を更に配合してもよい。これらの成分は、特に美白作用、老化防止作用、老化改善作用、美肌作用、抗菌作用、防腐作用等の効果を有する成分を1種以上選択して配合することが好ましい。
【0247】
具体的な成分としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。これらのエキスは水溶性であっても、油溶性であっても構わない。
【0248】
本発明の外用剤には、その剤形及び目的に応じて、例えば、精製水、ミネラルウォーター等の水以外に、軽質イソパラフィン、エーテル類、LPG、N−メチルピロリドン、次世代フロン等の溶媒を配合してもよい。
【0249】
本発明の外用剤の剤形は特に限定されるものではなく、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状、シート状のいずれの形態もとることができる。本発明の外用剤としては、例えば、日焼け止め等の紫外線防御製品;化粧水、乳液、クリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤等のスキンケア製品、ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、口紅等のメークアップ製品、シャンプー、リンス、トリートメント等の毛髪製品;制汗剤製品;脱臭剤製品等が挙げられる。また、皮膚外用剤として、軟膏、発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示される。
【実施例】
【0250】
以下に、本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、下記組成式において、MeSiO基(又は、MeSi基)を「M」、MeSiO基を「D」、MeHSiO基を「M」、MeHSiO基を「D」と表記し、M及びD中のメチル基(Me)をいずれかの置換基によって変性した単位を「M」及び「D」と表記する。
【0251】
また、下記実施例及び参考例2に記載のキシリトールモノアリルエーテル及びキシリトール残基は、本明細書中に示したとおりの原料及び官能基である。より詳細には、キシリトールモノアリルエーテルは、構造式:CH=CH−CH−OCH[CH(OH)]CHOH、及び、構造式:CH=CH−CH−OCH{CH(OH)CHOH}で表されるキシリトールモノアリルエーテルを物質量比で9:1の比で含有してなる原料であり、本発明の共変性シリコーンには、これらに対応した−C3H6−OCH[CH(OH)]CHOH、又は、−C3H6−OCH{CH(OH)CHOH}のキシリトール残基が、同様な物質量比で、導入される。
【0252】
[実施例1] <シリコーン化合物No.1の合成>
反応器に平均組成式:MD7212M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 159.5g、平均組成式:CH=CH−Si(OSi(CHで表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 81.9g、キシリトールモノアリルエーテル 19.8g、イソプロピルアルコール(IPA) 75gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒30mgを添加し、80℃で2.5時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*1R*2Mで表されるシロキサンデンドロン構造を有する新規なキシリトール共変性シリコーンを得た。ここで、R*1及びR*2は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −CSi(OSiMe
収量は 222.0g(85%)であった。生成物の25℃における動粘度は298,900mm/sec、屈折率は1.416、性状は淡黄色の不透明均一な粘稠液体であった。
【0253】
[実施例2] <シリコーン化合物No.2の合成>
反応器に1,3−ジヒドロジシロキサン 97.3gを加え、75℃まで加熱し、平均組成式:CH=CH−Si(OSi(CHで表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 46.8gと白金触媒4mgの混合物を3時間かけて滴下した。1時間エージングした後、ガスクロマトグラフィーによりビニルトリストリメチルシロキシシランの消失を確認した。余剰の1,3−ジヒドロジシロキサンを、減圧下で除き、続いて、キシリトールモノアリルエーテル 33.8gとイソプロピルアルコール(IPA)30gを加えて攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒8mgを添加し、80℃で2.5時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MR*1R*2で表されるシロキサンデンドロン構造を有する新規なキシリトール共変性シリコーンを得た。ここで、R*1及びR*2は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −CSi(OSiMe
収量は 86.0g(86%)であった。生成物の25℃における動粘度は117,300mm/sec、屈折率は1.442、性状は淡黄色の半透明均一な粘稠液体であった。
【0254】
[実施例3] <シリコーン化合物No.3の合成>
反応器に平均組成式:MD7212Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 168.1g、平均組成式:CH=CH−Si(OSi(CHで表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 28.8g、キシリトールモノアリルエーテル 18.9g、1−ヘキサデセン 42.9g、イソプロピルアルコール(IPA) 75gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒30mgを添加し、80℃で2.5時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*1R*2R*3Mで表されるシロキサンデンドロン構造を有する新規なキシリトール共変性シリコーンを得た。ここで、R*1、R*2及びR*3は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −CSi(OSiMe
*3= −C1633
収量は 225.1g(87%)であった。生成物の25℃における動粘度は141,000mm/sec、屈折率は1.424、性状は淡黄色の不透明均一な粘稠液体であった。
【0255】
[実施例4] <シリコーン化合物No.4の合成>
反応器に平均組成式:MD45Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 226.5g、平均組成式:CH=CH−Si(OSi(CHで表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 20.2g、キシリトールモノアリルエーテル 16.3g、イソプロピルアルコール(IPA) 78gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒31mgを添加し、80℃で3時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD45R*1R*2Mで表されるシロキサンデンドロン構造を有する新規なキシリトール共変性シリコーンを得た。ここで、R*1及びR*2は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −CSi(OSiMe
収量は 234.9g(89%)であった。生成物の25℃における動粘度は4,600mm/sec、屈折率は1.410、性状は淡黄色の半透明均一な液体であった。
【0256】
[実施例5] <シリコーン化合物No.5の合成>
反応器に平均組成式:MD7212M で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 116.6g、平均組成式:CH=CH−Si(OSi(CHで表されるビニルトリストリメチルシロキシシラン 12.1g、キシリトールモノアリルエーテル 13.5g、1−ヘキサデセン 29.7g、平均構造式:CH=CHSi(CH[OSi(CH25OSi(CHで表される片末端ビニル変性ジメチルポリシロキサン 38.1g、イソプロピルアルコール(IPA) 63gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒24mgを添加し、80℃で2.5時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*1R*2R*3R*4Mで表されるシロキサンデンドロン構造を有する新規なキシリトール共変性シリコーンを得た。ここで、R*1、R*2、R*3及びR*4は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −CSi(OSiMe
*3= −C1633
*4= −CSi(CH[OSi(CH25OSi(CH
収量は 181.2g(86%)であった。生成物の25℃における動粘度は198,000mm/sec、屈折率は1.422、性状は淡黄色の不透明均一な液体であった。
【0257】
[参考例1] <テトラグリセリン変性シリコーン1の合成>
反応器に平均組成式:MD72Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 168.9g、テトラグリセリンモノアリルエーテル 41.1g、IPA 63.0gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒24mgを添加し、80℃で3時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*5Mで表されるテトラグリセリン変性シリコーン1を得た。ここで、R*5は−CO−X(Xはテトラグリセリン部分)を表す。収量は180.6g(86%)であった。生成物の25℃における動粘度は750,000mm/sec以上、屈折率は1.429、性状は乳白色の不透明均一な粘稠液体であった。
【0258】
[参考例2] <キシリトール変性シリコーンの合成>
反応器に平均組成式:MD7212Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 172.6g、キシリトールモノアリルエーテル 19.4g、1−ヘキサデセン 66.1g、イソプロピルアルコール(IPA) 75.2gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒30mgを添加し、80℃で2.5時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*1R*2Mで表されるキシリトール変性シリコーンを得た。ここで、R*1及びR*2は下記を示す。
*1= キシリトール残基
*2= −C1633
収量は216.8g(84%)であった。生成物の25℃における動粘度は750,000mm/sec以上、屈折率は1.429、性状は淡褐色の不透明均一な粘稠液体であった。
【0259】
[参考例3] <テトラグリセリン変性シリコーン2の合成>
反応器に平均組成式:MD7212Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 69.5g、テトラグリセリンモノアリルエーテル 15.5g、1−オクテン 6.0g、平均構造式:CH=CHSi(CH[OSi(CH25OSi(CHで表される片末端ビニル変性ジメチルポリシロキサン 119.4g、IPA 63.0gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら80℃まで加温した。白金触媒24mgを添加し、80℃で3時間反応を行なった。IRスペクトルによりSi−H結合の消失を確認し、反応の進行を確認した後、反応液を減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、平均組成式:MD72R*6R*4R*7Mで表されるテトラグリセリン変性シリコーン2を得た。
ここで、R*6は下記を示す。
*6= −CO−X(Xはテトラグリセリン部分を表す)
*4= −CSi(CH[OSi(CH25OSi(CH
*7= −C17
収量は183.1g(87%)であった。生成物の25℃における動粘度は237,000mm/sec以上、屈折率は1.416、性状は乳白色の不透明均一な粘稠液体であった。
【0260】
[実施例6〜20]
実施例1で得られた「シリコーン化合物No.1」、実施例2で得られた「シリコーン化合物No.2」、実施例3で得られた「シリコーン化合物No.3」、実施例4で得られた「シリコーン化合物No.4」、及び、実施例5で得られた「シリコーン化合物No.5」を用いて表1に示す組成の油中水型乳化組成物を下記に示す方法によって調製し、以下の評価基準により、油剤との相溶性、乳化安定性、及び、官能性(感触・使用感)を評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。なお、表中、数値は重量(質量)部を示す。
【0261】
[比較例1〜9]
参考例1で得られた「テトラグリセリン変性シリコーン1」、参考例2で得られた「キシリトール変性シリコーン」、及び、参考例3で得られた「テトラグリセリン変性シリコーン2」を用いて、表2に示す組成の油中水型乳化組成物を実施例6〜20の場合と同様に調製し、実施例6〜20の場合と同様に、油剤との相溶性、乳化安定性、及び、官能性(感触・使用感)を評価した。結果を表2に併せて示す。なお、表中、数値は重量(質量)部を示す。
【0262】
[油中水型乳化組成物の調製方法]
1. 容量150mlの容器に、表1及び表2に示される油剤、及び、界面活性剤(乳化剤)としての各変性シリコーンを仕込んだ。
2. 加温と撹拌を行い、各変性シリコーンを油剤中に均一分散又は溶解させた(油相A)。
3. 別の容器に食塩とイオン交換水とを仕込み、スパチュラで混合して溶解させた。更に、1,3−ブチレングリコールを混合して溶解させた(水相B)。
4. ホモディスパーの鋸歯を油相Aに浸し、容器を固定したのち1000rpmで攪拌しながら、水相Bをほぼ定速で約40秒かけて油相A中に注ぎ込んだ。
5. ホモディスパーの回転数を3000rpmに上げ、攪拌を更に1分間継続して油中水型乳化組成物を得た。
【0263】
[油剤と変性シリコーンとの相溶性評価]
油相Aを室温に戻した時の外観を、以下の基準により評価した。
○: 半透明に溶解又は均一分散している。
△: 分散が粗く、変性シリコーンの粒子が確認できる。
×: 変性シリコーンが分散せず、沈降分離している。
【0264】
[乳化安定性評価]
各組成の油中水型乳化組成物を40℃において1ヶ月間静置し、静置前後の乳化状態の変化を、以下の基準により評価した。
◎: 粘度変化≦±5% 且つ、外観は変化なく均一。
○: ±5%<粘度変化≦±10% 且つ、外観も均一。
△: ±10%<粘度変化≦±20%、又は乳化物の表面がやや不均一化。
×: ±20%<粘度変化、又は、水滴や水相の分離あり。
【0265】
[官能性評価(感触・使用感)]
各組成の油中水型乳化組成物0.10gを指にとって、前腕部に軽くすべらせるように塗布した。乳化物が均一に広がるよう、何度か皮膚(塗布部位)を指で軽くなぞる動作を繰り返し、このときの感触及び使用感を塗布初期と後期に分けて以下の基準により評価した。但し、同じ油剤を使用した乳化物同士を相対比較した。
【0266】
(塗布初期)
◎: しっとりした水性感があり、滑らかに良く伸び、べとつきも無い。さらっとしたすべり感
○: しっとりした水性感があり、滑らかに良く伸び、べとつきも無い。とろっとしたすべり感
△: しっとりした感触で普通に伸び、べとつきも無いが、ややすべり感が不足している。
【0267】
(塗布後期−乳液が皮膚上に広がって白色が見えなくなった後)
○: 軽く非常によいすべり感が持続するため、油性感が少ない。
△: 若干重くぬるっとしたすべり感が持続する。やや油っぽい感覚がある。
×: すべりが悪くねっとりした抵抗感がある。又は油っぽい感覚が強い。
【0268】
【表1】

【0269】
【表2】

【0270】
本発明に係る「シリコーン化合物No.1」〜「シリコーン化合物No.5」を用いた油中水型乳化組成物は、シリコーンオイル、炭化水素油又は脂肪酸エステルのいずれの油剤に対しても、相溶性が良好であり、特に、乳化安定性に優れていた。更に、該乳化組成物の官能性評価において、特に塗布初期において、しっとりした水性感があり、滑らかに良く伸び、べとつかず、独特のすべり感が得られることが分かった。一方、分子内にシロキサンデンドロン構造を有しないテトラグリセリン変性シリコーン等の親水性シリコーンを用いた比較例は、油剤との相溶性及び乳化安定性において実施例に劣るものであり、使用感の点でも全体として実施例に劣るものであった。
【0271】
[実施例21〜25]
実施例1〜実施例5で得られた「シリコーン化合物No.1」〜「シリコーン化合物No.5」を用いて表3に示す組成のリキッドファンデーションを調製し、以下の評価基準により、伸び広がり性、仕上がりの美しさ、密着感、違和感のない自然な肌感覚、及び、安定性を評価した。結果を表3に併せて示す。なお、表中、数値は重量(質量)部を示す。
【0272】
[比較例10〜12]
参考例1で得られた「テトラグリセリン変性シリコーン1」、参考例2で得られた「キシリトール変性シリコーン」、及び、参考例3で得られた「テトラグリセリン変性シリコーン2」を用いて、表4に示す組成のリキッドファンデーションを調製し、実施例21〜25の場合と同様に、伸び広がり性、仕上がりの美しさ、密着感、違和感のない自然な肌感覚、及び、安定性を評価した。結果を表4に併せて示す。なお、表中、数値は重量(質量)部を示す。
【0273】
[評価手順]
1. 得られたリキッドファンデーション0.15gを、予め産毛を剃り落とした清浄な皮膚上(前腕部)に、パフを用いて直径約5cmの円形に均一に塗布し、肌への伸び広がり性を評価した。
2. 塗布10分後(初期)、4時間後、及び、9時間後の時点で、「仕上がりの美しさ」、「密着感」、及び、「違和感のない自然な肌感覚」について、目視及び触感にて官能評価を行った。
3. 得られたリキッドファンデーションを40℃で2ヶ月静置させた後、外観及び性状の安定性を評価した。
【0274】
[評価基準]
各項目について、以下の基準により評価した。
【0275】
「伸び広がり性」
◎ 滑らかによく伸び広がった。
○ 普通に伸び広がった。
△ 伸び広げるのに通常よりも力を要した。
【0276】
「仕上がりの美しさ」
◎ 緊密にカバーされ、非常に美しい仕上がりであった。
○ 緊密にカバーされてはいるが、小皺による溝が僅かにあった。
× 塗布表面の均一感がやや不足し、きめの粗さが目立ってきた。
【0277】
「密着感」
◎ 密着感をはっきりと感じた。
○ 密着感はあるが、意識しないと気づかないレベルだった。
× 密着感を全く感じなかった。
【0278】
「違和感のない自然な肌感覚」
◎ 違和感の無い自然な皮膚感覚であった。
○ 皮膚感覚に僅かの違和感があった。
△ 少し不自然な皮膚感覚があった。
【0279】
「安定性」
○ 分離や粉の沈降が無く、均一な外観・性状を維持していた。
△ 粉の沈降が若干認められたが、振り混ぜると容易に均一に再分散できた。
× 粉が沈降し、振り混ぜても均一な再分散ができなかった。
【0280】
【表3】

【0281】
【表4】

【0282】
(製造方法)
A: 成分1)及び成分6)〜18)を室温で混合した後、ホモミキサーで撹拌しながら溶解させる。
B: 成分19)〜21)を混合し、完全に溶解させる。
C:その後、Aをホモミキサーで撹拌しながらBを添加する。
D:これに成分2〜5を加え、ホモミキサーで混合分散後、脱気し、容器へ充填して液状ファンデーションを得た。
【0283】
本発明にかかる「シリコーン化合物No.1」〜「シリコーン化合物No.5」を用いたリキッドファンデーション(実施例21〜25)は、比較例10〜12に比して伸び広がり性及び仕上がりの美しさの点で優れたものであって。更に、本発明のリキッドファンデーションは、その使用感の評価において全ての点で比較例10〜12と同等以上の良好な評価結果を得られた。特に、分子内にシロキサンデンドロン構造を有しないテトラグリセリン変性シリコーン1又は2を含むリキッドファンデーション等と対比した場合、本発明のリキッドファンデーションは、特に、9時間以上の長時間にわたって使用した場合の官能評価において、明らかに優れた性能を発揮するものであった。
【0284】
以下、本発明の実施例として、本発明のエマルジョン組成物、粉体処理剤組成物等を含む、本発明にかかる化粧料の具体的な処方を以下に示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。また、処方中、「シリコーン化合物No.1」のように記載した場合、実施例1で得られた本発明にかかるシリコーン化合物を表すものとする。なお、処方中、部は重量(質量)部を示す。
【0285】
[実施例26] 日焼け止め化粧料
【0286】
[酸化チタンスラリーの調製]
本処方例にかかる日焼け止め化粧料の調製に先立ち、実施例4で得られた「シリコーン化合物No.4」を用いて、化粧料原料である酸化チタンスラリーを調製した。具体的には、微粒子酸化チタン(商品名:MTY−100SAS(テイカ社製)) 20g、シリコーン化合物No.4 5g、及び、デカメチルシクロペンタシロキサン 25gを混合し、ジルコニアビーズ(0.8 mm Φ) 200gを加え、ペイントシェイカーにて1時間混合してスラリー状の分散体を作成した。
【0287】
[酸化亜鉛スラリーの調製]
本実施例26にかかる日焼け止め化粧料の調製に先立ち、実施例4で得られた「シリコーン化合物No.4」を用いて、化粧料原料である酸化亜鉛スラリーを調製した。具体的には、微粒子酸化亜鉛(商品名:微粒子酸化亜鉛(テイカ製、MZY-505S)) 30g、シリコーン化合物No.4 2.5g、及び、デカメチルシクロペンタシロキサン 17.5gを混合し、ジルコニアビーズ(0.8 mm Φ) 200gを加え、ペイントシェイカーにて1時間混合してスラリー状の分散体を作成した。
【0288】
続いて、前記酸化チタンスラリー及び酸化亜鉛スラリーを用いて、以下の処方で日焼け止め化粧料を調製した。
【0289】
(成分)
1. ポリエーテル変性シリコーン(注1) 1.5部
2. ジメチルシリコーン(6mm/s) 5部
3. デカメチルシクロペンタシロキサン 3.5部
4. パラメトキシ桂皮酸オクチル 2部
5. トリメチルシロキシケイ酸 2部
6. イソノナン酸イソデシル 4部
7. 酸化チタンスラリー(注2) 2.0部
8. 酸化亜鉛スラリー(注3) 10.0部
9. 1,3−ブチレングリコール 8部
10.塩化ナトリウム 0・5部
11.精製水 残量
12.防腐剤 適量

注1:東レ・ダウコーニング社製、SS−2910を使用した。
注2:上記の方法に従って、調製したサンプルを使用した。
注3:上記の方法に従って、調製したサンプルを使用した。
【0290】
(製造方法)
成分1〜6を混合撹拌して得られた油相に成分9〜12を混合撹拌して得られた水相を添加し、撹拌して乳化した。乳化物に成分7及び8のスラリーを加えて混合撹拌し、日焼け止め化粧料を得た。
【0291】
本発明のシリコーン化合物No.4を使用して得られた無機粉体のスラリーは、無機粉体の分散性が極めて良好であった。かかる無機粉体のスラリーを配合してなる日焼け止め化粧料は全体が均一で、保存安定性に優れ、特に、長時間保管した場合でも無機粉体成分の分離を生じないものであった。更に、使用時には油剤と無機粉体の馴染みがよく、肌上で瑞々しく伸び広がり、汗の影響を受けにくく、長時間にわたって快適な使用感を維持していた。
【0292】
[実施例27] 化粧下地
(成分)
1. デカメチルシクロペンタシロキサン 9.0部
2. ポリエーテル変性シリコーン(注1) 3.0部
3. フェニルトリメチコン 12.49部
4. シリコーン化合物No.1 1.5部
5. 天然ビタミンE 0.2部
6. スクワラン 3.0部
7. トリオクタノイン 2部
8. シリコーン処理酸化チタン 1部
9. シリコーン処理酸化鉄 0.01部
10.香料 0.04部
11.硫酸マグネシウム 0.2部
12.精製水 残量
13.グリセリン 3.0部
14.1,3−ブチレングリコール 5.0部
15.ポリビニルアルコール 0.2部
16.防腐剤 適量

注1)東レ・ダウコーニング社製SS−2910を使用した。
【0293】
(製造方法)
成分1〜7を均一に混合した。この混合物に、更に、成分8及び9を分散した後、成分10〜16の混合物を加えて乳化した。脱気後、所定の容器に充填して化粧下地を得た。
【0294】
本発明のシリコーン化合物No.1を使用して得られた化粧下地は、油剤等が安定に乳化されており、均一な外観を保ち、保存した場合の経時安定性に優れていた。更に、化粧下地として使用した場合に、肌への馴染みがよく、後から使用するメイクアップ化粧料の化粧持ちを改善させる効果を有していた。
【0295】
[実施例28] 乳液
(成分)
1. ジメチコン(2mm/s) 3部
2. イソドデカン 7.0部
3. シリコーン化合物No.3 1.5部
4. ポリエーテル変性シリコーン(注1) 3.0部
5. 流動パラフィン 5部
6. カプリルメチコン 5部
7. 天然ビタミンE 0.2部
8. スクワラン 3.0部
9. オクチルシラン処理酸化チタン 0.8部
10.香料 適量
11.硫酸マグネシウム 0.2部
12.精製水 残量
13.グリセリン 3.0部
14.1,3−ブチレングリコール 5.0部
15.ポリビニルアルコール 0.1部
16.防腐剤 適量

注1)ダウコーニング社製、DC5200formulation aidを使用した。
【0296】
(製造方法)
成分1〜8を均一に混合した。この混合物に、更に、成分9を分散した後、成分10〜16の混合物を加えて乳化した。
【0297】
本発明のシリコーン化合物No.3を使用して得られた乳液は、安定な乳化状態を有しており、肌にべたつかず、しっとり感に優れたものであった。
【0298】
[実施例29] クリーム
(成分)
1. フェニルトリメチコン 3.0部
2. ミリスチン酸イソプロピル 3.5部
3. マイクロクリスタリンワックス 0.5部
4. デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0部
5. 1,3−ブチレングリコール 3.0部
6. シリコーン化合物No.4 0.8部
7. ポリエーテル変性シリコーン(注1) 0.7部
8. ポリエチレングリコール−150 1.0部
9. エタノール 6.0部
10.ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー/シリカ(注2) 6.0部
11.シリコーン処理雲母チタン 0.5部
12.フェノキシエタノール 0.4部
13.グリシルグリシン 5.0部
14.香料 適量
15.精製水 残余

注1)ダウコーニング社製、DC5225Formulation aidを使用した。
注2)東レ・ダウコーニング社製9701Cosmetic Powderを使用した。
【0299】
(製造方法)
成分1〜11を混合し、これに、成分12〜15の混合物を添加し、乳化してクリームを得た。
【0300】
本発明のシリコーン化合物No.4を使用して得られたクリームは、保存安定性が良好であり、安定な乳化状態を有していた。更に、使用時の肌上での伸び広がりが良好であり、特に長時間使用した場合であっても、化粧膜の均一性に優れ、べとつかず、且つ、保湿感に優れていた。
【0301】
[実施例30] W/O型乳化型ファンデーション
(成分)
1. ジメチルポリシロキサン(2mm/s) 10.0部
2. イソステアリン酸 3.0部
3. シクロペンタシロキサン/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー(注1) 1.0部
4. ポリエーテル変性シリコーン(注2) 2.0部
5. シリコーン化合物No.5 1.0部
6. プロピレングリコール 2.5部
7. エタノール 6.0部
8. パラベン 0.1部
9. ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー 6.0部
10.オクチルシラン処理雲母チタン 0.8部
11.シリコーン処理酸化チタン 2.5部
12.シリコーン処理マイカ 2.5部
13.シリコーン処理タルク 1.5部
14.シリコーン処理酸化鉄 4.5部
15.酸化防止剤 適量
16.グリシルグリシン 3.0部
17.香料 0.05部
18.精製水 残余

注1)東レ・ダウコーニング社製、FA4001CM Silicone Acrylateを使用した。
注2)東レ・ダウコーニング社製、BY11-030を使用した。
【0302】
(製造方法)
成分1〜14を混合し、これに、成分15〜18の混合物を添加し、乳化した。
【0303】
本発明のシリコーン化合物No.5を使用して得られたW/O型乳化型ファンデーションは、乳化物の均一性、保存安定性に優れ、特に高温下でも、水相や無機粉体成分が分離せず、経時安定性に優れるものであった。また、肌上で心地良く伸び広がり、滑らかなすべり性を示した。また、化粧後には、肌理細やかな仕上がりであった。
【0304】
[実施例31] UVプロテクター
(成分)
1. フェニルトリメチコン 2.0部
2. デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0部
3. イソノナン酸イソデシル 4.0部
4. グリセリン 4.0部
5. 1,3−ブチレングリコール 0.5部
6. ポリシリコーン13 0.5部
7. シリコーン化合物No.1 1.0部
8. エタノール 9.0部
9. ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー 10.0部
10.シリコーン処理処雲母チタン 1.5部
11.微粒子酸化チタン 5.0部
12.パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0部
13.グリシルグリシン 1.0部
14.香料 0.1部
15.精製水 残余
【0305】
(製造方法)
成分1〜12を混合し、これに、成分13〜15の混合物を添加し、乳化した。
【0306】
本発明のシリコーン化合物No.1を使用して得られたUVプロテクターは、均一な乳化状態であり、無機系及び有機系の紫外線防御成分が、安定に配合されており、優れた経時安定性及び紫外線防御効果示した。更に、べたつきのない良好な使用感を有していた。
【0307】
[実施例32] 保湿クリーム
(成分)
油相
1.デカメチルシクロペンタシロキサン 10部
2.ジメチルポリシロキサン 5部
3.酢酸トコフェロール 0.1部
4.シリコーン化合物No.1 0.5部
5.高分子ポリエーテル変性シリコーン(注1) 2部

水相
6.イオン交換水 残余
7.グリセリン 5部
8.1,3−ブチレングリコール 5部
9.マルチトール 2部
10.ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10EO) 2部
11.サリチル酸 0.3部
12.トリメチルグリシン 0.5部
13.エリスリトール 0.5部
14.ヒアルロン酸ナトリウム 0.01部
15.塩化ナトリウム 1部
16.乳酸 0.1部
17.乳酸ナトリウム 0.05部
18.EDTA 0.1部
19.フェノキシエタノール 0.1部
20.香料 適量

注1) 東レ・ダウコーニング社製、BY22−008Mを使用した。
【0308】
(製造方法)
前記油相及び水相の各成分をそれぞれ均一に溶解分散し、ホモジナイザーを用いて、油相に水相を添加して、均一なクリームを得た。
【0309】
本発明のシリコーン化合物No.1を使用して得られた保湿クリームは、油剤等が均一に乳化されており、保管安定性に優れ、経時での外観変化及び温度変化に伴う粘度変化を起こさない安定な乳化状態を維持していた。更に、使用時には伸びと広がりに優れ、肌なじみが良く、べとつかず、且つ、保湿感と肌の潤いを感じさせるエモリエント感に優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

{式中、
は一価有機基(但し、R、L及びQを除く)を表し、
は炭素原子数9〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、下記一般式(2−1);
【化2】

(式中、R11は置換若しくは若しくは非置換の炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R11のうち少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜500の範囲の数である)若しくは下記一般式(2−2);
【化3】

(式中、R11及びrは上記のとおりである)で表される鎖状のオルガノシロキサン基を表し、
はi=1のときの下記一般式(3);
【化4】

(式中、
は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、
はそれぞれ独立して炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表し、
Zは二価有機基を表し、
iはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がkのとき1〜kの整数であり、階層数kは1〜10の整数であり、Li+1はiがk未満のときは該シリルアルキル基であり、i=kのときはRであり、hは0〜3の範囲の数である)で表される、シロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基を表し、
Qは糖アルコール基含有有機基を表し、
a 、b 、c及びdは、それぞれ、1.0≦a≦2.5、0≦b≦1.5、0.0001≦c≦1.5、0.0001≦d≦1.5の範囲にある数である}で表される共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項2】
前記一般式(1)において、Rである一価有機基が、炭素原子数1〜8の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、−RO(AO)(式中、AOは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基を表し、Rは炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、n=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、アルコキシ基、水酸基又は水素原子(但し、Rが全て水酸基、水素原子、前記アルコキシ基又は前記ポリオキシアルキレン基になることはない)である、請求項1記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項3】
一般式(1)において、Qが下記一般式(4−1):
【化5】

(式中、
Rは二価有機基を表し、
eは1又は2である)、又は、下記一般式(4−2):
【化6】

(式中、
Rは上記のとおりであり、
e’は0又は1である)で表される糖アルコール基含有有機基である、請求項1又は2記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項4】
上記一般式(4−1)又は(4−2)において、Rである二価有機基が炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基である、請求項1乃至3のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項5】
一般式(1)において、Lで示されるシロキサンデンドロン構造を有するシリルアルキル基が下記一般式(3−1):
【化7】

又は下記一般式(3−2):
【化8】

(式中、
、R及びZは上記のとおりであり、
及びhは、それぞれ独立して、0〜3の範囲の数である)で表される官能基である、請求項1乃至4のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項6】
下記構造式(1−1):
【化9】

(式中、
、L及びQは上記のとおりであり、
Xはメチル基、R、L及びQからなる群から選択される基であり、
n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0〜2,000の範囲の数であり、n1+n2+n3+n4は0〜2,000の範囲の数である。但し、n3=0のとき、Xの少なくとも一方はLであり、また、n4=0のとき、Xの少なくとも一方はQである)で表される請求項1乃至5のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項7】
下記構造式(1−1−1):
【化10】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)又は下記構造式(1−1−2):
【化11】

(式中、
、Q、X、Z、n1、n2、n3及びn4は上記のとおりである)
で表される請求項1乃至6のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項8】
Zが、それぞれ独立して、下記一般式:
【化12】

(式中、
は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐鎖状の、炭素原子数2〜22のアルキレン基若しくはアルケニレン基、又は、炭素原子数6〜22のアリーレン基を表し、
は、下記
【化13】

からなる群から選択される基である)で表される二価有機基から選ばれる基である、請求項7記載の共変性オルガノポリシロキサン。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサンを含む界面活性剤。
【請求項10】
(A)請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン、(B)水、及び、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤を含むエマルジョン組成物。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサンを含む粉体処理剤。
【請求項12】
粉体表面処理剤である、請求項11記載の粉体処理剤。
【請求項13】
請求項12記載の粉体処理剤で表面処理された粉体。
【請求項14】
(A)請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン、及び、(D)粉体を含む化粧料用原料。
【請求項15】
更に、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤を含む請求項14記載の化粧料用原料。
【請求項16】
請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサンを含む増粘剤又はゲル化剤。
【請求項17】
(A)請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサン、及び、(C)シリコーン油、非極性有機化合物及び低極性有機化合物からなる群から選択される5〜100℃で液状の少なくとも1種の油剤を含むゲル状組成物。
【請求項18】
請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサンを含む外用剤。
【請求項19】
請求項10記載のエマルジョン組成物を含む外用剤。
【請求項20】
請求項13に記載の粉体を含む化粧料。
【請求項21】
請求項14又は15記載の化粧料用原料を含む化粧料。
【請求項22】
請求項17に記載のゲル状組成物を含む外用剤。
【請求項23】
化粧料である、請求項18、19又は22記載の外用剤。
【請求項24】
ヒドロシリル化反応触媒の存在下において、
(a)珪素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン
(b)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する有機化合物
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物、及び、
(d)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する糖アルコール官能性有機化合物
を反応させて得られることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の共変性オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項25】
更に、(e)反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンを反応させる、請求項24記載の共変性オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項26】
(c)反応性不飽和基を1分子中に1つ有するシロキサンデンドロン化合物が、下記一般式(3’):
【化14】

{式中、
及びRは上記のとおりであり、
Z´は二価有機基を表し、
h1は0〜3の範囲の数であり、
L´は、R、又は、j=1のときの下記一般式(3’’):
【化15】

(式中、R及びRは上記のとおりであり、
Zは二価有機基を表し、
jはLで示されるシリルアルキル基の階層を表し、該シリルアルキル基の繰り返し数である階層数がk´のとき1〜k´の整数であり、階層数k´は1〜9の整数であり、Lj+1はjがk´未満のときは該シリルアルキル基であり、j=k´のときはRである。hjは0〜3の範囲の数である)で表されるシリルアルキル基を表す}で表される分子鎖末端に1個の炭素−炭素二重結合を有するシロキサンデンドロン構造を有する化合物である、請求項24又は25記載の共変性オルガノポリシロキサンの製造方法。

【公開番号】特開2011−246706(P2011−246706A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102363(P2011−102363)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】