説明

新規な3’−デオキシ−3’−メチリデン−β−L−ヌクレオシド

本発明は、新規な3'−デオキシ−3'−メチリデン−β−L−ヌクレオシド、このような化合物を含む医薬組成物、ならびにウイルス感染、とりわけHBVおよび/またはHIV感染を治療または予防するための方法を包含する。本発明によれば、式(I)で表される化合物(式中、BはA1およびA2から選択される)が提供される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3'−デオキシ−3'−メチリデン−β−L−ヌクレオシド、ならびに一般にはウイルス感染および好ましくはHBVおよび/またはHIV感染の治療および予防のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、DNAウイルスであり、ヘパドナビリダエ(hepadnaviridae)のファミリーに属する。HBVは、ヒト肝炎の原因病原体である。20億を超える人々が、彼らの一生のいくつかの段階でHBVに感染し、今日では3億程の人々が慢性的に感染したままであると見積もられる。HBVは、感染した血液、体液との、および性交渉による経皮または非経口的接触を介して伝染する。もう1つの主な経路は、血液または母乳を介する母から乳児への周産期伝染である。数百万のHBV保菌者は、ウイルス移動のための絶えることのない供給源である。感染したHBVのかなりの部分は、肝臓の慢性壊死性炎症によって特徴付けられ、かつ進行性線維症に至る可能性のある、慢性肝炎を発症する。HBVは、ヒト肝がんの主要原因である。HBVが、がんを誘導する機序は、まだ確認されていない。HBV感染は、腫瘍の発生を直接的にトリガーするか、または慢性炎症、肝硬変、および感染に付随する細胞再生を介して腫瘍の発生を間接的にトリガーすることと仮定する。HBV感染は、世界的にすべての肝細胞癌の80%に達する原因であり、肝不全の主要原因でもある。概して、毎年約百万の患者がHBVに関連する肝疾患で死亡する。
【0003】
HIVは、ヒトの生命に対して深刻な脅威を課すもう1つのウイルスである。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、AIDSを引き起こすレトロウイルスファミリーのメンバーである。HIVは、ヘルパーT細胞(特に、CD4+T細胞)、マクロファージ、および樹状細胞などのヒト免疫系中の生存細胞に主として感染する。HIV感染は、3つの主な機序:第1にはウイルスでの被感染細胞の直接的死滅;第2には被感染細胞のアポトーシス速度の増加;第3には被感染細胞を認識するCD8細胞傷害性リンパ球による被感染CD4+T細胞の死滅を介して、低レベルのCD4+T細胞につながる。CD4+T細胞数が臨界レベル未満に低下すると、細胞介在性免疫が失われ、身体は、日和見感染に対して進行的により感受性になる。HIVに感染したほとんどの人々は、結局、AIDSを発症する可能性がある。それらの個体は、日和見感染、または免疫系の進行性不全に付随する悪性病変で死亡する可能性がある。ヒトにおけるHIV感染は、世界保健機関(WHO)によってパンデミックと見なされている。今日、推定で3300万の人々がHIVを保持して生活し、その中の数百万人は子供である。毎年、ほぼ250万人の新たな感染が発生する。2007年に、210万の人々が、AIDSに関連する疾病で死亡した。効果的で安全な抗HBVおよび抗HIV治療薬が、該疾患および感染を治療および予防するために、大いに必要とされている。
【0004】
HBVおよびHIVは、双方とも、ウイルスゲノムの合成に責任を負うそれら自身のポリメラーゼをコードしている。HBVポリメラーゼ(HBV逆転写酵素とも呼ばれる)およびHIV逆転写酵素は、多機能性タンパク質であり、それは、逆転写酵素活性、DNA依存性DNAポリメラーゼ活性、およびRNアーゼH活性を有する。該酵素は、ウイルス複製にとって必須であり、それらの活性を遮断すると、ウイルス複製が完全に停止する。HBVポリメラーゼおよびHIV逆転写酵素は、抗ウイルス療法のための魅力的な標的として確立されてきた。実際、有効なHBVおよびHIVポリメラーゼ阻害剤を開発することにおいて、実質的な成功がなされてきた。ヌクレオシド/ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤は、重要な部類のウイルスポリメラーゼ阻害剤である。それらは、プロドラッグと見なされ、ウイルスポリメラーゼに対する阻害剤として機能するそれらのヌクレオシド三リン酸またはヌクレオチド二リン酸に対するリン酸化過程を介するそれらの抗ウイルス効力のための活性化を必要とする。
【0005】
この20年間、いくつかのヌクレオシド/ヌクレオチドポリメラーゼ阻害剤が、HIVおよびHBV感染の治療のために開発されてきた。HIV感染のための若干の重要な阻害剤としては、ジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ラミブジン、エムトリシタビン、テノフォビル、およびアバカビルが挙げられる。HBV感染の治療のためには、ラミブジン、アデフォビル、テノフォビル、エンテカビル、およびテルビブジンがある。それらの阻害剤は、HIVおよびHBV感染を治療するための方法および手段を提供し、HIVおよびHBV療法の不可欠な要素として立証され、受け入れられている。しかし、多くの厳しい有害作用、例えば、骨髄毒性、乳酸性アシドーシス、筋障害、脂肪肝を伴う肝腫大、腎毒性、末梢神経障害、膵炎、脂肪萎縮症、等々が、それらのヌクレオシド/ヌクレオチド阻害剤を使用する治療に付随することが見出されている。ヌクレオシド/ヌクレオチド阻害剤に付随するもう1つの大きな問題が、療法に対する抵抗性の発生である。例えば、rtM204I(ATGからATAへ)およびrtM204V(ATGからGTGへ)のHBVポリメラーゼの突然変異は、ラミブジンに対する感受性をそれぞれ1/550および1/153に低下させる(Allen,M.I.ら、Hepatol.、1998年、27巻、1670〜1677頁)。rtM204突然変異の他に、rtL180Mの突然変異が一般的であり、それは、ラミブジンに対する感受性の約1/18への低下を引き起こすことが見出された(Leung,N.、J.Gastroenterol.Hepatol.、2000年、15巻(増刊)、E53〜E60)。rtL180MおよびrtM204Vを含む二重突然変異体は、ラミブジンに対して約1/1000への活性低下を付与する(Jarvis,B.およびFauld,D.、Drugs.1999年、58巻、101〜141頁)。ラミブジンに対して抵抗性の突然変異体も、エンテカビル、テルビブジンに対して交差抵抗性を有することが見出された。HBVポリメラーゼ中でrtN236Tを有する突然変異体株が単離され、アデフォビルに対する感受性の約1/10までの低下につながった。アデフォビルの約1/33の活性低下を引き起こす突然変異rtA181Vも見出された(Angus,P.ら、Gastroenter.2003年、125巻、292〜297頁)。HIVの場合、HIV逆転写酵素の大きな複製速度および低い忠実度のため、抵抗性は、HIV治療において鍵となる問題であった。HIV逆転写酵素の種々の残基での突然変異体、例えば、M41L、K65R、D67N、T69D、K70R、L74V、V75T、M184V、M184I、L210W、T215Y、およびK219Eが同定されている。それらの突然変異体は、実質的により低い有効性の治療をもたらし、治療の失敗につながる。
【0006】
HIV感染およびHBV感染が世界的に流行レベルに到達し、かつ感染患者に対して悲惨な影響を有したことを考えると、それらの疾患を治療するための新規な有効で安全な医薬、とりわけ現在の治療薬に対して抵抗性であるHBVおよびHIV感染を治療する上で有効である新たな治療薬を提供する強い必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【0007】
したがって、本発明の目的は、ウイルス、とりわけHBVまたはHIVに感染したヒト患者を治療するための新規な化合物、方法、および組成物を提供することである。
【0008】
本発明は、新規な3'−デオキシ−3'−メチリデン−β−L−ヌクレオシド、このような化合物を含む医薬組成物、ならびにウイルス感染とりわけHBVおよび/またはHIV感染を治療または予防する方法を包含する。本発明によれば、式(I)で表される化合物が提供される。
【0009】
したがって、本発明の一態様において、一般式(I)の化合物:
【化1】

【0010】
[式中、
Bは、A1およびA2:
【化2】

【0011】
から選択され;
Xは、H、OH、NH2、ハロゲン、(C1〜C6アルキル)NH、および(C3〜C6シクロアルキル)NHから選択され;
Yは、H、ハロゲン、C2〜C6アルケニル、およびC1〜C3アルキルから選択され;
Zは、H、ハロゲン、およびNH2から選択され;
Wは、O、S、およびCH2から選択され;
1およびR2は、独立的に、H、F、OH、OCH3、およびCH3から選択され;
3およびR4は、独立的に、H、F、およびCH3から選択され;
5は、H、ホスフェート、ジホスフェート、およびトリホスフェートから選択される]
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【0012】
本発明の別の態様において、一般式(I)の化合物:
【化3】

【0013】
[式中、
Bは、A1およびA2:
【化4】

【0014】
から選択され;
Xは、H、OH、NH2、ハロゲン、(C1〜C6アルキル)NH、および(C3〜C6シクロアルキル)NHから選択され;
Yは、H、ハロゲン、C2〜C6アルケニル、およびC1〜C3アルキルから選択され;
Zは、H、ハロゲン、およびNH2から選択され;
Wは、O、S、およびCH2から選択され;
1およびR2は、独立的に、H、F、OH、OCH3、およびCH3から選択され;
3およびR4は、独立的に、H、F、およびCH3から選択され;
5は、H、ホスフェート、ジホスフェート、およびトリホスフェートから選択され;
但し、WがOであり、R1がHであり、かつR2がOH、FまたはOCH3である場合は、R3およびR4は、同時にFであることはなく、またはR3およびR4は、同時にHであることはなく;かつ
但し、WがOであり、R2がHであり、かつR1がOH、OCH3またはFである場合は、R3およびR4は、同時にFであることはなく、またはR3およびR4は、同時にHであることはない]
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【0015】
本発明の別の態様では、WがOである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0016】
本発明の別の態様では、WがSまたはCH2である、一般式(I)の化合物が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、R1およびR2がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0018】
本発明の別の態様では、R3およびR4が、独立的に、FおよびCH3から選択され、但し、R3およびR4が同時にFであることはない、一般式(I)の化合物が提供される。
【0019】
本発明の別の態様では、R3がHであり;R4がFおよびCH3から選択される、一般式(I)の化合物が提供される。
【0020】
本発明の別の態様では、R4がHであり;R3がFおよびCH3から選択される、一般式(I)の化合物が提供される。
【0021】
本発明の別の態様では、R1がCH3である、一般式(I)の化合物が提供される。
【0022】
本発明の別の態様では、R2がCH3である、一般式(I)の化合物が提供される。
【0023】
本発明の別の態様では、R1、R2、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0024】
本発明の別の態様では、Xが、H、OH、およびNH2から選択され;Yが、H、FおよびCH3から選択され;Zが、HおよびHN2から選択される、一般式(I)の化合物が提供される。
【0025】
本発明の別の態様では、WがOであり;R2がOHまたはOCH3であり;R1、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0026】
本発明の別の態様では、WがOであり;R2がFであり、R1、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0027】
本発明の別の態様では、WがOであり;R2がCH3であり;R1、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0028】
本発明の別の態様では、WがOであり;R1がFであり;R2、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0029】
本発明の別の態様では、WがOであり;R1がOHまたはOCH3であり;R2、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0030】
本発明の別の態様では、BがA1であり;XがNH2またはOHであり;YがH、FまたはCH3であり;WがOであり;R1、R2、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0031】
本発明の別の態様では、BがA2であり;XがNH2、OHまたはHであり;ZがHまたはNH2であり;WがOであり;R1、R2、R3およびR4がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0032】
本発明の別の態様では、XがOHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0033】
本発明の別の態様では、XがNH2である、一般式(I)の化合物が提供される。
【0034】
本発明の別の態様では、YがFである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0035】
本発明の別の態様では、R5がHである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0036】
本発明の別の態様では、R5が、ホスフェート、ジホスフェートまたはトリホスフェートである、一般式(I)の化合物が提供される。
【0037】
本発明の別の態様では、
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)ウラシル;
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)ウラシル;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)ウラシル;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)シトシン;
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;および
9−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン
から選択される一般式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【0038】
本発明の別の態様では、
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)シトシン;
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;および
9−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン
から選択される一般式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【0039】
本発明の別の態様では、
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル;
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン;
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル;
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン;
1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン;
4−アミノ−1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2(1H)−オン;
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル;
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;および
9−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン
から選択される一般式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが提供される。
【0040】
本発明の別の態様では、有効量の一般式(I)の化合物を含む、宿主におけるDNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物が提供される。
【0041】
本発明の別の態様では、有効量の一般式(I)の化合物を含む、HBV感染および/または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスを治療または予防するための医薬組成物が提供される。
【0042】
本発明の別の態様では、有効量の一般式(I)の化合物を含む、HIV感染および/または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスを治療または予防するための医薬組成物が提供される。
【0043】
本発明の別の態様では、抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、前記の医薬組成物が提供される。このような薬剤は、次の非限定的例:エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、アバカビル、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、ジダノシン、スタブジン、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、アムプレナビル、フォサムプレナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、マラビロク、エンフビルチド、ラルテグラビル、ビクリビロク、エルビテグラビル、ベビリマト(bevirimat)、ラシビル、アプリシタビン、エルブシタビン、ブレカナビル、リルピビリン、SCH532706、S/GSK1265744、IDX899、およびGSK−364735を含む、抗HIV薬剤でよい。このような薬剤は、また、次の非限定的例:エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル(またはそのプロドラッグ)、テルビブジン、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、トルシタビン、バルトルシタビン、エムトリシタビン、クレブジン、ペンシクロビル(またはファムシクロビル)、インターフェロンα−2b、およびペグインターフェロンα−2aを含む、抗HBV薬剤を表すことができる。
【0044】
本発明の別の態様では、治療法において使用するための一般式(I)の化合物が提供される。
【0045】
本発明の別の態様では、DNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染の治療または予防において使用するための一般式(I)の化合物が提供される。
【0046】
本発明の別の態様では、HBV感染および/または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスの治療または予防において使用するための一般式(I)の化合物が提供される。
【0047】
本発明の別の態様では、HIV感染および/または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスの治療または予防において使用するための一般式(I)の化合物が提供される。
【0048】
本発明の別の態様では、抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、前記の治療または予防において使用するための一般式(I)の化合物が提供される。このような薬剤は、次の非限定的例:エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、アバカビル、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、ジダノシン、スタブジン、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、アムプレナビル、フォサムプレナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、マラビロク、エンフビルチド、ラルテグラビル、ビクリビロク、エルビテグラビル、ベビリマト(bevirimat)、ラシビル、アプリシタビン、エルブシタビン、ブレカナビル、リルピビリン、SCH532706、S/GSK1265744、IDX899、およびGSK−364735を含む、抗HIV薬剤でよい。このような薬剤は、また、次の非限定的例:エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル(またはそのプロドラッグ)、テルビブジン、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、トルシタビン、バルトルシタビン、エムトリシタビン、クレブジン、ペンシクロビル(またはファムシクロビル)、インターフェロンα−2b、およびペグインターフェロンα−2aを含む、抗HBV薬剤を表すことができる。
【0049】
本発明の別の態様では、DNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染を治療または予防するための医薬の製造における、一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0050】
本発明の別の態様では、HBVウイルス感染または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスを治療または予防するための医薬の製造における、一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0051】
本発明の別の態様では、HIVウイルス感染または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスを治療または予防するための医薬の製造における、一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0052】
本発明の別の態様では、抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、前記の治療および予防のための医薬の製造における一般式(I)の化合物の使用が提供される。このような薬剤は、次の非限定的例:エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、アバカビル、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、ジダノシン、スタブジン、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、アムプレナビル、フォサムプレナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、マラビロク、エンフビルチド、ラルテグラビル、ビクリビロク、エルビテグラビル、ベビリマト(bevirimat)、ラシビル、アプリシタビン、エルブシタビン、ブレカナビル、リルピビリン、SCH532706、S/GSK1265744、IDX899、およびGSK−364735を含む、抗HIV薬剤でよい。このような薬剤は、また、次の非限定的例:エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル(またはそのプロドラッグ)、テルビブジン、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、トルシタビン、バルトルシタビン、エムトリシタビン、クレブジン、ペンシクロビル(またはファムシクロビル)、インターフェロンα−2b、およびペグインターフェロンα−2aを含む、抗HBV薬剤を表すことができる。
【0053】
本発明の別の態様では、治療的有効量の一般式(I)の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるDNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染を治療または予防するための方法が提供される。
【0054】
本発明の別の態様では、治療的有効量の一般式(I)の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるHBV感染、または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスを治療または予防するための方法が提供される。
【0055】
本発明の別の態様では、治療的有効量の一般式(I)の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるHIV感染、または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスを治療または予防するための方法が提供される。
【0056】
本発明の別の態様では、抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、前記の方法が提供される。このような薬剤は、次の非限定的例:エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、アバカビル、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、ジダノシン、スタブジン、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、アムプレナビル、フォサムプレナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、マラビロク、エンフビルチド、ラルテグラビル、ビクリビロク、エルビテグラビル、ベビリマト(bevirimat)、ラシビル、アプリシタビン、エルブシタビン、ブレカナビル、リルピビリン、SCH532706、S/GSK1265744、IDX899、およびGSK−364735を含む、抗HIV薬剤でよい。このような薬剤は、また、次の非限定的例:エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル(またはそのプロドラッグ)、テルビブジン、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、トルシタビン、バルトルシタビン、エムトリシタビン、クレブジン、ペンシクロビル(またはファムシクロビル)、インターフェロンα−2b、およびペグインターフェロンα−2aを含む、抗HBV薬剤を表すことができる。
【0057】
本発明は、さらに、
1−(2−デオキシ−2−(R)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)シトシン;
1−(2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;
1−(2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;
1−(2−デオキシ−2−(R)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;
1−(2−デオキシ−2−(S)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)チミン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)チミン;
1−(2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;
1−(2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;
1−(2−デオキシ−2−(R)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;
1−(2−デオキシ−2−(S)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)−5−フルオロシトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;
9−(2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン;
9−(2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン;
9−(2−デオキシ−2−(R)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン;
9−(2−デオキシ−2−(S)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン;
9−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)グアニン;
9−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)グアニン;
9−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)アデニン;
9−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)アデニン;
9−(2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン;
9−(2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン;
9−(2−デオキシ−2−(R)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン;および
9−(2−デオキシ−2−(S)−C−メチル−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン
またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む。
【0058】
本発明の別の態様では、治療的有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを、一以上の抗HIV薬剤、例えば、エトラビリン、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、アバカビル、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、ジダノシン、スタブジン、チプラナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、アムプレナビル、フォサムプレナビル、ダルナビル、アタザナビル、ネルフィナビル、マラビロク、エンフビルチド、ラルテグラビル、ビクリビロク、エルビテグラビル、ベビリマト(bevirimat)、ラシビル、アプリシタビン、エルブシタビン、ブレカナビル、リルピビリン、SCH532706、S/GSK1265744、IDX899、およびGSK−364735と一緒に投与することを含む、HIV感染を治療および/または予防する方法が提供される。
【0059】
本発明の別の態様では、治療的有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを、一以上の抗HBV薬剤、例えば、エンテカビル、ラミブジン、アデフォビル(またはそのプロドラッグ)、テルビブジン、テノフォビル(またはそのプロドラッグ)、トルシタビン、バルトシタビン、エムトリシタビン、クレブジン、ペンシクロビル(またはファムシクロビル)、インターフェロンα−2b、およびペグインターフェロンα−2aと一緒に投与することを含む、HBV感染を治療および/または予防する方法が提供される。
【0060】
このような組合せの個々の成分は、別々の、または組み合わせた医薬製剤として、逐次的または同時に投与することができる。
【0061】
これまで及びこれから使用する場合はいつでも、用語「式(I)の化合物」、「発明の化合物」または「本発明の化合物」、あるいは類似の用語は、式(I)の化合物、それらの薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、第4級アミンおよび金属錯体を包含すると解釈される。
【0062】
用語「プロドラッグ」は、本文中で使用する場合、インビボで生じるその誘導体の生体内変換産生物が、式(I)の化合物に関して定義したような活性薬物であるような、エステル、カルバミン酸エステル、炭酸エステル、エーテル、アミドおよびリン酸エステルなどの薬学的に許容される誘導体を意味する。プロドラッグを一般的に解説している参考文献を本明細書に組み込む(GoodmanおよびGilman「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第8版、MacGraw-Hill,Int.Ed.1992年、「Biotransformation of Drugs」、13〜15頁;H.Bundgaard「Design of Prodrugs」H.Bundgaard編、Elsevier Science Publisher、1985年;M.Taylor、Adv.Drug Delivery、1996年、19巻、131頁;H.Bundgaard、Drugs of Future、1991年、16巻、443頁;A.Simplicio, Molecules、2008年、13巻、519頁;P.Ettmayer、J.Med.Chem.2004年、47巻、2393頁)。とりわけ関連性があるのは、文献(D.Cahardら、Mini-Rev.Med.Chem、2004年、4巻、371頁;C.McGuiganら、J.Med.Chem.、1996年、39巻、1748頁;C.McGuiganら、Antiviral Res.、1997年、35巻、195頁;D.Saboulardら、Mol.Pharmacol.、1999年、56巻、693頁)中に記載のような5’−(O−アリールホスホルアミデート)プロドラッグを含む、ヌクレオシドまたはヌクレオチドプロドラッグを調製することに関して記載のプロドラッグである(S.Heckerら、J.Med.Chem.、2008年、51巻、2328頁;P.Poijarvi-Virtaら、Current Med.Chem.2006年、13巻、3441頁;N.Gischら、J.Med Chem.2008年、51巻、6752頁;L.Wiebeら、Adv Drug Delivery Rev.1999年、39巻、63頁;J.Cooperwoodら、Nucleoside and Nucleotide Prodrugs,in Recent Advances in Nucleosides:Chemistry and Chemotherapy、C.K.Chu編、Elsevier、2002年、91〜147頁)。プロドラッグは、好ましくは、優れた水溶性、高められたバイオアベイラビリティーを有し、かつインビボで容易に代謝されて式(I)の化合物になる。本発明の化合物のプロドラッグは、その修飾が定型的な操作によって、またはインビボで開裂されて親化合物になるような方式で、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。
【0063】
好ましいのは、インビボで加水分解性であり、かつヒドロキシおよび/またはアミノおよび/またはホスフェート基を有するそれらの式(I)の化合物から誘導される、薬学的に許容されるエステル、エーテル、炭酸エステル、ホスホルアミデートまたはカルバミン酸エステル系のプロドラッグである。インビボで加水分解性であるエステル、エーテル、炭酸エステル、ホスホルアミデートまたはカルバミン酸エステルとは、ヒトまたは動物の体内で加水分解されて親のアルコール、アミンまたはリン酸塩を生成するエステル、エーテル、炭酸エステル、ホスホルアミデートまたはカルバミン酸エステルである。本発明の化合物のヒドロキシルに適した薬学的に許容されるエステルとしては、限定はされないが、C1〜C18アルカノイルエステル、ベンゾイルエステル、アミノ置換カルボン酸エステル、ヒドロキシル置換カルボン酸エステル、アルコキシ置換カルボン酸エステル、カルボキシル置換カルボン酸エステルが挙げられる。このようなエステルの若干の例には、酢酸エステル、プロパン酸エステル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、ピバリン酸エステル、アラニンエステル、バリンエステル、イソロイシンエステル、乳酸エステル、リンゴ酸エステル、コハク酸エステル、等々が含まれる。
【0064】
本発明の式(I)の化合物の薬学的に許容される塩も提供される。用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機および有機の酸および塩基から誘導される塩を意味する。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩は、例えば、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機または有機の酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、1,2−エタンジスルホン酸、アジピン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、エタンスルホン酸、またはニコチン酸との酸付加塩である。さらに、本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩は、例えば、十分に酸性である本発明の化合物の塩基付加塩、例えば、金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、またはアルミニウム塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウムイオンを含む生理学的に許容されるカチオンを与える有機塩基、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、tert−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、シクロヘキシルエチルアミン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ヒドロキシエチルジエチルアミン、(IR,2S)−2−ヒドロキシインデン−1−アミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、ピペラジン、メチルピペラジン、アダマンチルアミン、コリンヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンヒドロキシド、L−アルギニン、N−メチルD−グルカミン、リシン、アルギニンなどを含む有機塩基との塩である。
【0065】
本発明の特定の化合物は、溶媒和物または水和物として存在することができる。本発明は、すべてのこのような溶媒和物または水和物を包含すると理解されたい。
【0066】
本発明の化合物は、また、このような化合物を構成する一以上の原子の位置に不自然な比率の原子同位体を含むことができる。例えば、化合物を、例えば、三重水素(3H)、重水素(2H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射能標識化することができる。本発明の化合物のすべての同位体の変化は、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲に包含されると解釈される。
【0067】
本発明の化合物に互変異性体が存在する場合、本発明者らは、本発明の個々の特定の実施形態として、すべての個々の互変異性形態およびそれらの組み合わせを開示する。例えば、グアニン、チミンおよびウラシルなどの核酸塩基は、それぞれそれらの6位または4位においてそれらのケトおよびエノール型の平衡として存在することができる。グアニン、チミンおよびウラシルにおいて存在するすべての個々の互変異性形態およびそれらの互変異性体の組合せは本発明に包含されると理解される。
【0068】
本発明による化合物は、ペントース環の1'位および4'位の双方で規定の立体化学を有する、β−L−ヌクレオシド配置のコア構造を有する。本発明は、式(I)で特定される立体化学を有するβ−L−ヌクレオシドのみに関する。しかし、式(I)中の変数、例えば、Xおよび/またはY、ならびに式(I)の化合物のプロドラッグは、1つまたは複数の非対称的に置換された炭素原子、不斉またはキラル中心を含むことができる。本発明による化合物における1つまたは複数のそれらの不斉中心の存在は、立体化学的異性形態、立体異性体を生じさせることができる。立体化学が、例えばβ−L−ヌクレオシドのように、または化学構造によって明確に規定されない限り、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにそのラセミ混合物を含む混合物を含めて、それぞれの場合に、本発明は、純粋な形態のおよび互いと混合されたすべてのこのような立体異性体に可能性としては拡がると理解すべきである。
【0069】
式(I)の化合物は、金属と結合する、キレートを形成する、または錯体を形成する特性を有することができ、それゆえ、金属錯体または金属キレートとして存在することができると理解される。式(I)の化合物のこのような金属化誘導体は、本発明の範囲に包含されると解釈される。
【0070】
これまで及びこれから使用される科学および技術用語および命名法は、当業者によって一般的に理解されていると同様の意味を有し、加えて、そうでないことを具体的に言明しない限り、以下の定義が、明細書および添付の特許請求の範囲を通して適用されるものとする。
【0071】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード基を意味する。
【0072】
用語「C1〜C3アルキル」は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和アルキル基を意味する。前記アルキルの例には、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルが含まれる。用語「C1〜C6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和アルキル基を意味する。前記アルキルの例には、限定はされないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチルおよびヘキシルが含まれる。用語「C2〜C6アルケニル」は、飽和の炭素−炭素結合および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、かつ2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルケニル基を意味する。前記アルケニルの例には、限定はされないが、エチニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニルおよびブテニルが含まれる。
【0073】
用語「C3〜C6シクロアルキル」は、3〜6個の炭素原子を有する飽和単環式環を意味する。前記シクロアルキルの例には、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0074】
用語「ホスフェート」、「ジホスフェート」および「トリホスフェート」は、次の構造およびそれらの塩を意味する:
【化5】

【0075】
他の表示がない限り、アルキル、アルケニル、アルコキシおよびシクロアルキル(C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C3〜C6シクロアルキル中などの)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、オキソ、メルカプト、アミド、シアノ、アジド、ニトロ、C1〜C3アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C6シクロアルキル、C1〜C4アルコキシから独立的に選択される一以上の置換基で独立的に、任意に置換される。定義中で使用される任意の分子部分におけるラジカルの位置は、それが化学的に許容されかつ安定である限り、このような部分上のいずれの場所にあってもよいことに留意されたい。
【0076】
用語「対象」は、ヒトを含む任意の哺乳動物を表す。本発明の一実施形態において、対象はヒトである。
【0077】
用語「宿主」は、本明細書中で使用する場合、動物および好ましくはヒトを含む、ウイルスが複製できる多細胞生物体を指す。
【0078】
用語「独立的に」は、変化するものを示すために本明細書中において用いられ、これは、独立的に適用され、適用毎に独立的に変化する。
【0079】
本発明は、また、本発明の化合物を調製する方法に関する。該化合物は、有機合成の任意の適用可能な方法および技術により調製することができる。多くのこのような方法および技術は、当技術分野で周知であり、既知の方法技術の一部は、12巻からなる「Compendium of Organic Synthetic Methods」(John Wiley & Sons、ニューヨーク);「Advanced Organic Chemistry」第5版、M.Smith & J.March(John Wiley & Sons、ニューヨーク、2001年);9巻からなる「Comprehensive Organic Synthesis.Selectivity.Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry」Barry M.Trost、主任編集者(Pergamon Press、ニューヨーク、1993年);および「Chemistry of Nucleosides and Nucleotides」Townsend,L.B.編(Plenum Press、ニューヨーク、1988年)中に詳述されている。
【0080】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの典型的な方法を、以下で提供する。それらの方法は、このような調製法の本質を例示することを意図するものであり、適用可能な方法の範囲を限定することを意図しない。有機化学に関わる当業者にとって容易に理解できる代替経路を代わりに使用して、本発明の化合物またはそれらの中間体を、後記の概略スキームおよび調製例により例示されるように合成することができる。
【0081】
式(I)の化合物の調製に関する後記方法の過程において、望ましくない副反応に加わる傾向のある、出発原料中の官能基、特に、アミノ、アミド、カルボキシ、ヒドロキシ、ホスフェート基、およびメルカプト基は、有機合成において通例的に使用される適切な通常的保護基で保護することができる。それらの保護基は、前駆体中に既に存在していてもよく、それらの保護基は、アシル化、エーテル化、エステル化、アルキル化、酸化、還元、加溶媒分解などの望ましくない副反応に対して当該官能基を保護することを意図している。特定の事例において、保護基は、さらに、反応を選択的に、例えば、レギオ選択的または立体選択的に進行させることができる。保護基を、容易に、すなわち望ましくない副反応を起こさず、例えば、酸処理、フッ化物処理、加溶媒分解、還元によって、または光分解によって除去できることが、保護基の特徴である。このような保護基による官能基の保護、保護基自体、およびそれらを除去するための反応は、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts「Protective Groups in Organic Synthesis」John Wiley & Sons,Inc、ニューヨーク、1999年などの標準的著作中に記載されている。
【0082】
本発明の化合物は、スキーム1およびスキーム2で例示されるような2つの一般的経路を介して調製することができる。
【化6】

【0083】
スキーム1では、式(I)の化合物の一般的調製方法を説明する。適切なL−ペントフラノシドまたはL−4−チオペントフラノシドまたはシクロペンタン(ここで、LGは脱離基であり、R1、R2、R3、R4およびWは式(I)に関して定義した通りであり、必要ならどこでも適切に保護されていてもよい)を、適切に保護されていてもよい核酸塩基とカップリングさせて、脱保護の後に式(I)の化合物が得られる。例えば、カップリング反応は、ペルシリル化された核酸塩基を、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、THF、およびトルエンなどの不活性溶媒または不活性溶媒の混合物中、トリフル酸TMSまたはその他のルイス酸などの触媒下でL−ペントフラノシド,L−4−チオペントフラノシドと反応させるVorbrueggenカップリングの条件下で(H.Vorbrueggen、Acta Biochimica Polonica、1996年、43巻、26頁)実施することができる。L−ペントフラノシドまたはL−4−チオペントフラノシドの1位の通常的な脱離基としては、アルコキシ、アシル、ハロゲン、とりわけメトキシ、アセチル、塩素または臭素が挙げられる(L.Wilsonら、Synthesis、1995年、1465頁;J.Secrist IIIら、J Med.Chem. 1992年、35巻、533頁;M.Dysonら、J Med.Chem.1991年、34巻、2782頁;B.Huangら、Nucleosides & Nucleotides、1993年、12巻、139頁;M.Yokoyama、Synthesis、2000年、1637頁)。別法として、プリンのナトリウム塩を使用して、脱離基がハライドである式(II)の化合物とカップリングさせることができる(G.Revankar、Nucleosides Nucleotides、1989年、8巻、709頁;C.Hildebrandら、J.Org.Chem.1992年、57巻、1808頁)。核酸塩基とシクロペンタンとの間のカップリングの場合、通常的な脱離基としては、トリフレート、トシレート、メシレートまたはハライドが挙げられる。別法として、核酸塩基とヒドロキシルシクロペンタンとのカップリングに光延反応を使用することができる(L.Agrofoglioら、Tetrahedron 1994年、50巻、10611頁;S.Schneller、Curr.Topics Med.Chem.、2002年、2巻、1087頁)。
【0084】
スキーム2では、式(I)の化合物の別の調製方法を説明する。適切に保護されたβ−L−リボヌクレオシド、β−L−4'−チオリボヌクレオシドまたはβ−L−炭素環式リボヌクレオシド(III)を、いくつかの反応ステップを介して式(I)の化合物に変換することができる。2'、3'または5'−ヒドロキシル上の保護基は異なっていてもよく、他の2つの部位の保護に影響を及ぼさないで選択的に脱保護することができる。
【化7】

【0085】
変換は、まず3'−ヒドロキシル基上で実施することができる。選択的保護の後、3'−ヒドロキシル基を、Dess−Martin試薬、CrO3−ピリジン−無水酢酸などの酸化条件を使用してケト基に酸化することができる。該ケト基を、続いて、適用可能なオレフィン化条件、例えば、Nysted試薬、Wittig試薬、Tebbe試薬、等々を使用してメチレン化することができる(A.Matusdaら、Nucleosides & nucleotides 1992年、11巻、197頁;M.Sharmaら、Tetrahedron Lett.1990年、31巻、5839頁;D.Lindegaardら、Nucleosides,Nucleotides & Nucleic Acid、2003年、22巻、1159頁;P.Serafinowskiら、Tetrahedron Lett.1996年、52巻、7929頁:S.Augusteら、J Chem.Soc.Perkin Trans 1、1995年、395頁;V.Samanoら、J Org.Chem.1991年、56巻、7108頁)。4'−チオヌクレオシドの調製では、脱離反応を介する方法が好ましいことがある。例えば、3'−ヒドロキシメチル−4'−チオヌクレオシドを調製し、鍵中間体として使用することができる。3'−ヒドロキシメチル−4'−チオヌクレオシドは、文献法に類似の方法を使用して合成することができる(E.Ichikawaら、Bioorg.Med.Che.Lett.1999年、9巻、1113頁;Braanaltら、J.Org.Chem.1994年、59巻、4430頁;Moonら、Bioorg.Med.Chem.Lett.2002年、10巻、1499頁;J.Sangviら、Synthesis、1994年、1163頁;Sangviら、Tetrahedron Lett.1994年、35巻、4697頁;Mouldonら、Bioorg.Med.Chem.1998年、6巻、577頁;Faulら、Tetrahedron、1997年、53巻、8085頁)。3'−メチル上の遊離ヒドロキシル基をスルホニル化し、次いで、それを、3'−メチリデン化合物につながる脱離のための塩基処理に供することができる。別法として、遊離ヒドロキシルを、ヨウ化物に転換し、それを、続いて脱離反応に供することができる。脱離のために使用される塩基としては、ナトリウムt−ブトキシド、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、DBU、DBNなどを挙げることができる。生じる3'−メチリデン−β−L−ヌクレオシドを、ヌクレオシド化学の当業者にとって公知の方法を使用して、2'位でさらに修飾して、所望の式(I)の化合物を得ることができる。(E.Ichikawa、Curr.Med.Chem.、2001年、8巻、385頁;Chemistry of Nucleosides and Nucleotides、Townsend,L.B.編、(Plenum Press;ニューヨーク、1988年))。別法として、式(III)の化合物を、2'位で修飾して、所望のR1およびR2を有する中間体を得て、続いて3'−メチリデン基を導入することができる。
【0086】
式(I)の一部の化合物を、さらに修飾して、式(I)で表すこともできる所望の化合物を得ることができると理解される。このような修飾のための方法は、所望される生成物の構造、および出発原料としての式(I)の化合物の構造によって決まる。このような修飾反応は、脱保護、置換、付加、酸化、還元、および有機合成において一般的であるその他の化学変換を含むことができる。例えば、R5がHである式(I)の化合物を、リン酸化して、R5がホスフェートまたはトリホスフェートである式(I)の化合物とすることができる。
【0087】
本発明の化合物のいくつかの典型的な調製方法を、本明細書中で、例えば後記の実施例中で提供する。それらの方法は、このような調製法の本質を例示することを意図し、適用可能な方法の範囲を限定することを意図しない。本発明の特定の化合物を、本発明の他の化合物を調製するための中間体として使用することができる。
【0088】
スキーム3では、Wが酸素であり、かつR3およびR4が水素である式(I)の一部の化合物の調製方法を説明する。テトラアセチル−L−リボフラノシド(IV)を、トリフル酸TMSまたは他のルイス酸の触媒下で、ペルシリル化されたウラシル、チミン、シトシン、アデニン、グアニンなどの核酸塩基、または適切に保護された核酸塩基と縮合して、β−L−リボヌクレオシド(V)を得る。生成物を、ナトリウムメトキシド/メタノールなどの塩基性条件下で脱アセチル化する。脱保護されたβ−L−ヌクレオシドを、5'−ヒドロキシルおよび2'−ヒドロキシルの位置で選択的に保護することができる。5'−および2'−ヒドロキシル基上の保護基は、同一でもよいし、適切な脱保護条件下で選択的に除去できる異なる保護基でもよい。例えば、2'−ヒドロキシルと5'−ヒドロキシルとの双方をTBS基などのシリル保護基で保護することができる。別法として、5'−ヒドロキシルを、トリチル、4−モノメトキシトリチルまたは4,4'−ジメトキシトリチルなどのトリチル基で最初に保護することができる。5'−位が保護されたヌクレオシドを、次いで、例えばt−ブチルジメチルシリル基で2'−ヒドロキシルの位置を選択的に保護することができる。遊離の3'−ヒドロキシル基を、酸化試薬、例えば、Dess−Martin試薬またはピリジン−酸化クロミウム/無水酢酸を使用する酸化によってケト基に転換する。該ケト化合物(VII)を、続いて、Wittig試薬、Tebbe試薬またはNysted試薬などのオレフィン化試薬で処理し、3'−デオキシ−3'−メチリデン−β−L−ヌクレオシド(VIII)をもたらすことができる。式(VIII)の化合物を、直接的に脱保護して、R2がヒドロキシルである化合物(XI)を得ることができる。別法として、2'−ヒドロキシル基を脱保護した後、それらを、多ステップを経由して酸素を除去し、ついで脱保護して、R1とR2の両方が水素である式XIIの化合物を得ることができる。別法として、化合物IXの2'−ヒドロキシル基を、反転させ、R1=OHかつR2=Hである式Xの化合物をもたらすことができる。IXおよびXの化合物を、当技術分野で公知の方法を使用して、さらに誘導体化して、R1および/またはR2が、独立的に、H、F、CH3またはOCH3である化合物を得ることができる。
【化8】

【0089】
いくつかの典型的な反応手順を下記に示す。それらの方法は、このような反応の本質を例示することを意図し、方法の範囲を限定することを意図しない。通常の技術を有する有機化学者にとって容易に理解できる、代替的な手順、プロトコールまたは反応条件を代わりに使用することができる。
【0090】
一般手順A:Barton−McCombie脱酸素化
第2級アルコール(3.27ミリモル)の無水1,2−ジクロロエタン(10.9mL)溶液に、チオカルボニルジイミダゾール(6.53ミリモル)を添加し、生じた黄色溶液を1時間加熱還流し、室温まで冷却し、次いでH2O(7mL)中に注いだ。相を分離し、有機層を、冷たい1M HCl、次いでNaHCO3飽和水溶液および食塩水で洗浄した。次いで、有機層を、MgSO4上で乾燥し、減圧下で濃縮して淡黄色泡状物を得た。これを無水の脱気したトルエン(16.4mL)に溶解した。アザシクロヘキシルカルボニトリル(0.327ミリモル)および水素化n−トリブチル錫(6.53ミリモル)を続いて添加し、生じた混合物を2時間加熱還流し、次いで減圧下で濃縮した。
【0091】
一般手順B:Dess−Martin酸化
Dess−Martinペルヨージナン(2.10ミリモル)の無水CH2Cl2(20mL)懸濁液に、t−BuOH(2.31ミリモル)を添加し、生じた混合物を室温で10分間撹拌した後、第2級アルコール(1.75ミリモル)の無水CH2Cl2(6mL)溶液をカニューレ経由で添加した。反応混合物を、室温で1.5時間撹拌し、次いでEtOAc(50mL)で希釈し、Na223(15mL、1M水溶液)、食塩水(10mL)およびNaHCO3(10mL、飽和水溶液)で反応を止めた。二相混合物を激しく1時間撹拌し、次いで相を分離した。水層を、EtOAcで1回抽出し、合わせた有機層を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮し、白色泡状物として純粋なケトンを得た。これを、さらなる精製なしに使用した。
【0092】
一般手順C:Nystedオレフィン化
Nysted試薬(2.07ミリモル、20wt%)の無水THF(2.7mL)懸濁液に、ケトン(1.64ミリモル)/無水CH2Cl2(2.7mL)を、カニューレを経由して−78℃で滴加した。次いで、TiCl4(1.67ミリモル、1.0M/CH2Cl2)を−78℃で滴加し、反応混合物を1.5時間撹拌した。次いで、温度を一夜で徐々に室温に戻した。次いで、混合物をNaHCO3飽和水溶液中に注ぎ、激しく30分間撹拌し、次いでセライトを通して濾過した。相を分離し、水層をCH2Cl2で2回抽出し、合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。
【0093】
一般手順D:酸性TBS−脱保護
TBS−エーテル(0.0656ミリモル)のAcOH:THF:H2O(2mL、2:1:1)溶液を、室温で19時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。
【0094】
一般手順E:ウラシル塩基を有するヌクレオシドのシトシン塩基を有するヌクレオシドへの転換
ウラシル塩基を有するヌクレオシド(0.0969ミリモル)の無水CH2Cl2:ピリジン(1.0mL、5:1)溶液に、無水トリフル酸(0.218ミリモル、1M/CH2Cl2)を0℃で添加した。次いで、反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いでNH3(5.5mL、7M/MeOH)を添加した。生じた橙色溶液を17時間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0095】
一般手順F:フッ化物を使用するTBSの脱保護および精製
TBS−エーテル(0.0468ミリモル)のMeOH(2.3mL)溶液に、NH4F(0.468mL、0.5M/MeOH)を添加した。生じた混合物を、6時間加熱還流し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2:H2O中に溶解し、相を分離した。水層をCH2Cl2で2回洗浄した。活性炭を水相に、水相がもはやUV活性でなくなるまで(TLCプレートにスポットして)、小分けして添加した。活性炭の懸濁液をフラッシュカラムに負荷し、H2O(50ml)、続いてH2O:MeOH(50mL、1:1)で溶離した。適切な画分(TLCプレート上にスポットして)を集め、減圧下で濃縮して純粋な生成物を得た。
【0096】
治療において使用するのに必要とされる本発明の式(I)の化合物の量は、選択した特定の化合物のみならず、投与経路、治療を必要とする状態の本質、ならびに患者の年齢、体重および状態で変化し、最終的には掛かり付け医師の裁量にあることを理解されたい。しかし、一般に、適切な投与量は、1日につき約0.005〜約30mg/kg体重の範囲、好ましくは0.05〜10mg/kg/日の範囲にあることができる。
【0097】
所望される投与量は、単回投与で、または適切な間隔で投与される分割投与として、例えば、1日につき2、3、4回またはそれ以上の投与として、好都合には与えられる。治療および/または予防の必要性に応じて、所望される投与量は、例えば、2日毎に1回、3日毎に1回、またはさらには1週間に1回でよい。
【0098】
化合物は、単位剤形あたり例えば0.5〜1500mg、好都合には1〜1000mg、最も好都合には5〜700mgの活性成分を含む、単位剤形で好都合には投与される。
【0099】
本発明の化合物は、経口、非経口、静脈内、筋内、皮下またはその他の注射可能な方式、頬側、直腸、膣、経皮および/または鼻腔経路、ならびに/または吸入を介して、活性成分またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグもしくは溶媒和物、またはこのような塩の溶媒和物を含む医薬製剤の形態で、薬学的に許容される剤形で通常的には投与される。治療すべき障害および患者、ならびに投与経路に応じて、組成物を様々な投与量で投与することができる。
【0100】
治療法において使用する場合、本発明の式(I)の化合物を、そのままの化学物質として投与することもできるが、本発明の一実施形態によれば、活性成分を医薬組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを、一以上の薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。担体は、該製剤中の他の成分と適合性があり、かつその需要者に対して有害でないという意味で「許容される」べきである。本発明の一実施形態によれば、医薬製剤としては、限定はされないが、経口、直腸、鼻腔、局所(頬側および舌下を含む)、経皮、膣または非経口(筋内、皮下および静脈内を含む)投与に適した、あるいは吸入または吹込みで投与するのに適した形態のものが挙げられる。製剤は、適切なら、別個の投与単位で好都合には提供され、製薬の技術分野で周知の任意の方法によって調製することができる。この実施形態によるすべての方法は、活性化合物を液体担体または微粉砕された固体担体あるいはその双方と会合させるステップ、次いで必要なら生成物を所望される組成物に成形するステップを包含する。
【0101】
経口投与に適した医薬組成物は、それぞれ所定量の活性成分を粉末または顆粒として含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別個の単位として好都合には提供される。別の実施形態において、製剤は、溶液剤、懸濁剤として、または乳剤として提供される。別法として、活性成分は、ボーラス剤、舐剤、またはペースト剤として提供される。
【0102】
経口投与のための錠剤およびカプセル剤は、結合剤、フィラー、滑沢剤、崩壊剤、または湿潤化剤などの通常の賦形剤を含むことができる。錠剤を、当技術分野で周知の方法により被覆することができる。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエリキシルの形態で存在することができ、あるいは使用前に水またはその他の適切な媒質を用いて再構成するための乾燥製品として提供することができる。このような液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水性媒質(食用油を包含できる)、または保存剤などの通常的な添加物を含むことができる。
【0103】
式(I)の化合物を、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注入または連続点滴による)用に製剤化することができ、アンプル、事前充填シリンジ、保存剤を添加した少量点滴または多回投与容器の単位投与形態で提供することができる。組成物は、油性または水性媒質中の懸濁剤、溶液剤、または乳剤のような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの製剤化剤を含むことができる。別法として、活性成分は、使用前に適切な媒質、例えば、無菌でパイロジェンフリーの水を用いて再構成するために、滅菌固体の無菌的単離によって、または溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態で存在することができる。
【0104】
前記製剤は、活性成分の徐放出を提供するように構成される。
【0105】
本発明の種々の実施形態を例示するために、以下の実施例を提供するが、該実施例を範囲の限定と見なしてはならない。
【0106】
略語
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMP Dess−Martinペルヨージナン
DBU 2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミドール[1,2−a]アゼピン
EtOAc 酢酸エチル
Et3N トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
iPrOH イソプロパノール
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分光法
MeCN アセトニトリル
RT 室温
TBS t−ブチルジメチルシリル
TBSCl t−ブチルジメチルシリルクロリド
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TLC 薄層クロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
p−TSA p−トルエンスルホン酸
NMP N−メチルピロリドン
f 保持係数
DAST (ジエチルアミノ)三フッ化硫黄
MeOH メタノール
Hex ヘキサン
Hep ヘプタン
TMS トリメチルシリル
EtOH エタノール
AcOH 酢酸
Et2O ジエチルエーテル
Im イミダゾール
n−Bu ノーマルブチル
i−Pr イソプロピル
Me メチル
Bz ベンゾイル
Ac アシル
Ac2O 無水酢酸
Tf2O 無水トリフル酸
DHP 3,4−ジヒドロ−2H−ピラン
THP テトラヒドロピラニル
DMTrCl 4,4'−ジメトキシトリチルクロリド
DMTr 4,4'−ジメトキシトリチル
app 見かけ上の
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地
FBS ウシ胎児血清
例示する化合物の化学名と対応する当該例の構造との間に何らかの矛盾が存在する場合、当該例の化合物を確定するには、その化学構造を使用するものとする。
【実施例1】
【0107】
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)ウラシル(化合物8)
【化9】

【化10】

【0108】
β−L−ウリジン(化合物1、1.022g、4.18ミリモル)の無水ピリジン(8.4mL)溶液に、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(1.473mL、4.60ミリモル)を0℃で滴加した。生じた混合物を、室温で22時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2(50mL)に溶解し、NaHCO3飽和水溶液で3回洗浄した。合わせた水層をCH2Cl2で抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:EtOAc 4:1〜1:1)により、無色の泡状物として化合物2を得た(1.590g)。
【0109】
化合物2(1.590g、3.27ミリモル)を一般手順Aにより脱酸素化した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:EtOAc 6:1〜4:1)により、白色泡状物として化合物3を得た(1.127g)。
【0110】
化合物3(1.118g、2.38ミリモル)のTHF(7mL)溶液にTBAF(4.78mL、4.78ミリモル、1M/THF)を0℃で添加した。10分後に、温度を室温に戻し、混合物を2.5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(10〜15%MeOH/CH2Cl2)により、白色泡状物として化合物4を得た(536mg)。
【0111】
化合物4(536mg、2.35ミリモル)の無水DMF(24mL)溶液に、TBSCl(372mg、2.47ミリモル)、続いてイミダゾール(480mg、7.05ミリモル)を室温で添加した。3時間後に、反応混合物をH2O中に注いだ。水層を、TLC(Rf=0.67、CH2Cl2:MeOH=10:1)が水相中に生成物が存在しないことを示すまで、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:3)により、澄明オイルとして化合物5を得た(598mg)。
【0112】
化合物5(598mg、1.75ミリモル)を、一般手順Bにより酸化して、化合物6を得た(561mg)。これを、さらに精製することなしに使用した。
【0113】
化合物6(558mg、1.64ミリモル)を一般手順Cによりオレフィン化した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により、白色固体として化合物7を得た(161mg)。
【0114】
化合物7(22.2mg、0.0656ミリモル)を、一般手順Dにより脱保護した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、白色固体として化合物8を得た(9.5mg)。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.72 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.23 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 5.74 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.24 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 5.08 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 4.59 (br s, 1H), 3.98 (dd, J = 12.2, 2.7 Hz, 1H), 3.80 (dd, J = 12.2, 3.9 Hz, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.70 (ddq, J = 16.6, 6.2, 2.3 Hz, 1H).
【実施例2】
【0115】
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)シトシン(化合物10)
【化11】

【0116】
化合物7(32.8mg、0.0969ミリモル)を、一般手順Eによりシトシン類似体(化合物9)に転換した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、淡黄色オイルとして化合物9を得た(24.8mg)。
【0117】
化合物9(13.2mg、0.0391ミリモル)のTHF(2mL)溶液にTFA:H2O(1mL、1:1)を0℃で添加した。1.25時間後に、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をNaHCO3水溶液に溶解し、CH2Cl2で3回洗浄した。活性炭を水相に、水相がもはやUV活性でなくなるまで(TLCプレート上にスポットして)小分けして添加した。活性炭の懸濁液をフラッシュカラムに負荷し、H2O(50mL)続いてH2O:MeOH(50mL、1:1)で溶離した。生成物の画分を集め、減圧下で濃縮して、白色固体として化合物10を得た(5.0mg)。1H-NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 8.03 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.16 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.19 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 5.09 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 4.56 (br s, 1H), 3.86 (dd, J = 12.2, 3.1 Hz, 1H), 3.75 (dd, J = 12.2, 4.4 Hz, 1H), 3.15 (dd, J = 16.4, 6.2 Hz, 1H), 2.66 (m, 1H).
【実施例3】
【0118】
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)ウラシル(化合物15)
【化12】

【化13】

【0119】
β−L−ウリジン(化合物1、796mg、3.26ミリモル)の無水THF(100mL)と無水ピリジン(1.320mL、16.3ミリモル)との懸濁液にAgNO3(1.22g、7.17ミリモル)を添加した。室温で5分後、TBSCl(1.080g、7.17ミリモル)を添加し、生じた不均一混合物を室温で1時間撹拌した。さらなるAgNO3(554mg、3.26ミリモル)およびTBSCl(490mg、3.26ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で17時間撹拌した。不均一混合物を、セライトを通して濾過し、CH2Cl2で希釈した。有機相を、1M HCl、NaHCO3飽和溶液、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(Et2O:Hex 1:1〜2:1)により、澄明オイルとして化合物12を得た(1.095g)。
【0120】
化合物12(438mg、0.93ミリモル)を一般手順Bにより酸化して、化合物13を得た。これを、さらなる精製なしに使用した。
【0121】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(995mg、2.78ミリモル)の無水THF(14mL)懸濁液に、n−BuLi(1.11mL、2.78ミリモル、2.5M/ヘキサン)を−78℃で添加した。1時間後に、温度を0℃まで高め、橙色/赤色の溶液を、20分間撹拌した後、−78℃まで冷却した。化合物13(436mg、0.93ミリモル)の無水THF(9.5mL)溶液をカニューレ経由で添加した。−78℃で30分後、温度を30分間で0℃まで高め、その後、反応混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NH4Cl飽和水溶液で反応を止め、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Et2O:Hex 1:1)により、澄明オイルとして化合物14を得た(410.5mg)。
【0122】
化合物14(243mg、0.518ミリモル)のTHF(5.2mL)溶液に、TBAF(1.56mL、1.56ミリモル、1M/THF)を室温で添加した。5時間後に、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(4%MeOH/EtOAc)により、白色固体として化合物15を得た(122.5mg)。
【実施例4】
【0123】
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)シトシン(化合物17)
【化14】

【化15】

【0124】
化合物14(56mg、0.0119ミリモル)を、一般手順Eにより化合物16に転換した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、淡黄色オイルとして化合物16を得た(51.6mg)。
【0125】
化合物16(51.6mg、0.110ミリモル)を一般手順Fにより脱保護した。残留物の活性炭精製(MeOH:H2O 1:1で溶離)により、白色固体として化合物17を得た(15.5mg)。1H-NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 8.00 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.85 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 5.36 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 5.24 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 4.69 (m, 1H), 4.62 (m, 1H), 3.84 (dd, J = 12.1, 2.9 Hz, 1H), 3.72 (dd, J = 12.1, 3.6 Hz, 1H).
【実施例5】
【0126】
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)ウラシル(化合物21)
【化16】

【化17】

【0127】
化合物15(122.5mg、0.510ミリモル)の無水DMF(5.1mL)溶液に、TBSCl(92.2mg、0.610ミリモル)およびイミダゾール(173.6mg、2.55ミリモル)を室温で添加した。5.5時間後に、反応混合物をEt2OおよびH2Oで希釈した。相を分離し、水層をEt2Oで抽出した。合わせた有機層を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 1:2)により、白色固体として化合物18を得た(110.5mg)。
【0128】
化合物18(111mg、0.313ミリモル)を一般手順Bにより酸化して化合物19を得た(110mg)。これを、さらなる精製なしに使用した。
【0129】
19(110mg、0.313ミリモル)のMeOH(3.1mL)溶液にCeCl3x7H2O(116.3mg、0.313ミリモル)を添加し、溶液を室温で10分間撹拌した。NaBH4(17.8mg、0.470ミリモル)を一度に添加し、生じた混合物を室温で3時間撹拌し、次いでNH4Cl飽和水溶液で反応を止め、Et2Oで希釈した。層を分離し、次いで水層をEt2Oで2回抽出し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 1:2)により、白色固体として20を得た(42.5mg)。
【0130】
20(16.0mg、0.0451ミリモル)のTHF(1mL)溶液にTBAF(90μL、0.090ミリモル、1M/THF)を添加し、室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(4%MeOH/EtOAc)により、白色固体として21を得た(10.2mg)。1H-NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.84 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.62 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.47(t, J = 1.9 Hz, 1H), 5.30 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 4.68 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.57 (m, 1H), 3.85 (dd, J = 12.1, 3.3 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 12.1, 5.0 Hz, 1H).
【実施例6】
【0131】
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン(化合物26)
【化18】

【化19】

【0132】
β−L−チミジン(化合物22、500mg、2.06ミリモル)の無水DMF(10mL)溶液に、TBSCl(342mg、2.27ミリモル)およびイミダゾール(421mg、6.18ミリモル)を室温で添加した。20時間後に、反応混合物をEt2OおよびH2Oで希釈した。相を分離し、水層をEt2Oで2回抽出した。合わせた有機層を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 1:3)により、白色固体として化合物23を得た(602.6mg)。
【0133】
化合物23(603mg、1.69ミリモル)を、一般手順Bにより酸化して、化合物24を得た(600mg)。これを、さらなる精製なしで使用した。
【0134】
化合物24(600mg、1.69ミリモル)を、一般手順Cによりオレフィン化した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により、白色固体として化合物25を得た(161mg)。
【0135】
化合物25(30.2mg、0.0857ミリモル)を、一般手順Dにより脱保護した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、白色固体として化合物26を得た(17.3mg)。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 9.29 (br s, 1H), 7.46 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 6.22 (t, J = 6.7 Hz, 1H), 5.22 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 5.07 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 4.57 (br s, 1H), 3.96 (dd, J = 12.2, 2.7 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 12.2, 4.2 Hz, 1H), 3.08 (dd, J = 16.6, 6.8 Hz, 1H), 2.71 (ddq, J = 16.5, 6.5, 2.2 Hz, 1H), 1.88 (d, J = 1.1 Hz, 3H).
【実施例7】
【0136】
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)シトシン(化合物28)
【化20】

【0137】
化合物21(11.9mg、0.0496ミリモル)の無水ピリジン(2mL)溶液に、無水酢酸(1mL)を室温で添加した。生じた混合物を2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物をCH2Cl2に溶解し、NaHCO3飽和水溶液で洗浄した。相を分離し、水相をCH2Cl2で2回抽出した。合わせた有機相を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc 1:2)により、無色の固体として化合物27を得た(11.4mg)。
【0138】
化合物27(11.4mg、0.0352ミリモル)、トリアゾール(36.4mg、0.527ミリモル)およびEt3N(98μL、0.704ミリモル)の無水アセトニトリル(1mL)溶液にPOCl3(13.1μL、0.141ミリモル)を0℃で添加し、温度を室温に戻した。生じた混合物を16時間撹拌し、次いでEtOAcで希釈し、NaHCO3飽和水溶液で反応を止めた。相を分離し、水相をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物をジオキサン(2mL)に溶解し、25%NH4OH(0.5mL)を添加し、反応混合物を24時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(15%MeOH/CH2Cl2)により、無色の固体として化合物28を得た(5.9mg)。
【0139】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.85 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.84 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.47 (dd, J = 1.9, 1.2 Hz, 1H), 5.30 (見かけt, J = 1.4 Hz, 1H), 4.63 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 4.60 - 4.55 (m, 1H), 3.84 (dd, J = 11.9, 3.3 Hz, 1H), 3.78 (dd, J = 12.0, 5.2 Hz, 1H).
【実施例8】
【0140】
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル(化合物35)
【化21】

【0141】
2,2'−アンヒドロ−L−ウリジン(300mg、1.33ミリモル)と3,4−ジヒドロピラン(3.2mL)との無水DMF(5.3mL)溶液にp−TSA(250mg)を0℃で添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌し、次いでEt3N(550μL)で反応を止めた。混合物を、減圧下で濃縮し、EtOAcに溶解し、NaHCO3飽和水溶液、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。粗生成物をヘキサンと共にすり潰し、無色の固体として化合物29を得た(418mg)。
【0142】
化合物29(418mg、1.06ミリモル)のMeOH(10mL)溶液にNaOH(1.8mL、1M/MeOH)を添加し、反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。AcOH(100μL)で反応を止め、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)により、無色のオイルとして化合物30を得た(435mg)。
【0143】
化合物30(231mg、0.56ミリモル)の無水CH2Cl2:ピリジン(5.6mL、6:1)溶液にDAST(230μL、1.74ミリモル)をN2下に0℃で添加した。反応混合物を5時間加熱還流し、次いで室温まで放冷し、NaHCO3飽和水溶液で反応を止めた。混合物をCH2Cl2で2回抽出し、NaHCO3飽和水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物をMeOH(5.6mL)に溶解し、p−TSA(107mg、0.56ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH 10:1)により、無色のオイルとして化合物31を得た(91.8mg)。
【0144】
化合物31(78.4mg、0.318ミリモル)の無水DMF(3.2mL)溶液に、TBSCl(50.4mg、0.334ミリモル)およびイミダゾール(64.9mg、0.954ミリモル)を0℃で添加した。反応混合物をこの温度で1.5時間撹拌し、次いでH2Oで反応を止めた。混合物をEt2Oで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)により、固体として化合物32を得た(86.7mg)。
【0145】
化合物32(64.7mg、0.179ミリモル)を一般手順Bにより酸化して、化合物33を得た(64.3mg)。これを、さらなる精製なしに使用した。
【0146】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(192mg、0.538ミリモル)の無水THF(2.7mL)懸濁液に、n−BuLi(0.215mL、0.538ミリモル、2.5M/ヘキサン)を−78℃で添加した。0.5時間後に、温度を0℃まで高め、橙色/赤色の溶液を、20分間撹拌し、次いで−78℃まで再冷却した。その後、化合物33(64.3mg、0.179ミリモル)の無水THF(1.8mL)溶液をカニューレ経由で添加した。−78℃で2時間後、反応混合物を、NH4Cl飽和水溶液で反応を止め、Et2Oで2回抽出した。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(Et2O:Hex 1:1)により、無色の固体として化合物34を得た(36.1mg)。
【0147】
化合物34(9.5mg、0.0267ミリモル)を、一般手順Dにより脱保護した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、無色のオイルとして化合物35を得た(6.5mg)。
【0148】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.89 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.07 (dd, J = 16.3, 3.3 Hz, 1H), 5.69 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.63 - 5.61 (m, 1H), 5.50 (ddd, J = 54.4, 3.2, 1.5 Hz, 1H), 5.49-5.46 (m, 1H), 4.79 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 3.90 (dd, J = 12.3, 2.9 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 12.3, 3.8 Hz, 1H).
【実施例9】
【0149】
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン(化合物37)
【化22】

【化23】

【0150】
化合物34(25.6mg、0.0718ミリモル)を、一般手順Dにより脱保護した。残留物を、ピリジン(2×2mL)を用いて共沸乾燥し、次いで無水ピリジン(2mL)に溶解した。生じた溶液に無水酢酸(0.5mL)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:2)により、無色のオイルとして化合物36を得た(13.7mg)。
【0151】
化合物36(13.7mg、0.0482ミリモル)と1,2,4−トリアゾール(50.0mg、0.723ミリモル)とEt3N(135μL、0.964ミリモル)との無水MeCN(1mL)溶液にPOCl3(18.0μL、0.193ミリモル)を0℃で添加した。生じた混合物を室温で4時間撹拌し、NaHCO3飽和水溶液で反応を止め、CH2Cl2で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物をNH3(3mL、7N/MeOH)に溶解し、室温で20時間、続いて50℃で2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物を精製して化合物37を得た(4.2mg)。
【0152】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.90 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.04 (dd, J = 16.5, 3.0 Hz, 1H), 5.88 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.63 - 5.59 (m, 1H), 5.47 - 5.45 (m, 1H), 5.44 (ddd, J = 54.4, 2.8, 1.3 Hz, 1H), 4.82 - 4.77 (m, 1H), 3.92 (dd, J = 12.3, 3.0 Hz, 1H), 3.81 (dd, J = 12.4, 3.9 Hz, 1H).
【実施例10】
【0153】
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル(化合物45)
【化24】

【0154】
1−O−アセチル−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−β−L−リボフラノース(3.00g、5.95ミリモル)と臭化アセチル(0.68mL、9.22ミリモル)との無水CH2Cl2(15mL)溶液に、無水MeOH(0.36mL)を0℃で添加した。反応混合物をこの温度で2時間撹拌し、次いでH2O(6mL)を添加し、混合物を室温で2時間激しく撹拌した。相を分離し、水相をCH2Cl2で抽出し、乾燥(MgSO4)し、減圧下でほぼ10〜15mLまで濃縮した。残留物を0℃まで冷却し、撹拌しながらヘプタン(20mL)を添加した。溶液を、ロータリーエバポレーター(水浴なし)で沈殿が発生するまで濃縮した。次いで、混合物を大気圧下に0℃で30分間撹拌した。沈殿を濾別し、3×3mL(ヘプタン:CH2Cl2 2:1)で洗浄し、真空で乾燥して、無色の固体として化合物38を得た(1.275g)。
【0155】
化合物38(1.28g、2.76ミリモル)の無水CH2Cl2(18.4mL)溶液にDAST(1.09mL、8.27ミリモル)をN2下に室温で添加した。反応混合物を18時間加熱還流し、次いでDAST(0.50mL、4.14ミリモル)を添加し、混合物を還流下に6時間撹拌し、次いでNaHCO3飽和水溶液(10mL)で反応を止めた。相を分離し、有機相をH2O、NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2)により、無色の固体として化合物39を得た(927mg)。
【0156】
化合物39(927mg、2.00ミリモル)の無水CH2Cl2(5mL)溶液にN2下でHBr(1.16mL、4.28ミリモル、33%/AcOH)を添加した。そして、生じた混合物をN2下で17時間撹拌した。反応混合物を、H2OおよびNaHCO3で2回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、淡黄色オイルとして粗ブロミド体を得た(838mg)。セパレート型フラスコ中で、ヘキサメチルジシラザン(5.0mL)中のウラシル(269mg、2.40ミリモル)および(NH42SO4(16mg)をN2下で22時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥して、無色のオイルとして粗ビス−TMS−ウラシルを得た。粗ビス−TMS−ウラシルに、粗ブロミド体/無水CHCl3(10mL)をN2下にカニューレを経由して添加した。生じた混合物をN2下で18時間加熱還流し、次いでH2Oで反応を止め、室温で30分間撹拌した。相を分離し、水相をCH2Cl2で2回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。EtOHから再結晶すると、無色の固体として化合物40が得られた(598mg)。
【0157】
化合物40(527mg、1.16ミリモル)のMeOH(8.1mL)溶液に25%NH4OHを添加し、生じた混合物を室温で41時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH 10:1)により、無色の固体として化合物41を得た(275mg)。
【0158】
化合物41(280mg、1.14ミリモル)の無水DMF(11.4mL)溶液に、TBSCl(180.2mg、1.20ミリモル)およびイミダゾール(232mg、3.42ミリモル)を0℃で添加した。反応混合物を徐々に室温に戻し、16時間撹拌し、次いでH2Oで反応を止めた。混合物をEt2Oで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:2)により、無色の固体として化合物42を得た(365)。
【0159】
化合物42(281mg、0.778ミリモル)を一般手順Bにより酸化した。反応混合物をEtOAcで希釈し、次いでNa223(1.65g)/pH7.4の緩衝液(11mL、0.1M)で反応を止め、懸濁液が澄明になるまで激しく撹拌した。相を分離し、有機相を、NaHCO3(5%水溶液)で洗浄し(10秒)、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、無色の固体として化合物43を得た(279mg、100%)。これを、さらなる精製なしで使用した。
【0160】
化合物43(279mg、0.778ミリモル)を一般手順Cによりオレフィン化した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により、無色の固体として化合物44を得た(112mg)。
【0161】
化合物44(23.5mg、0.0656ミリモル)を一般手順Dにより脱保護した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、無色の固体として化合物45を得た(13.1mg)。
【0162】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.88 (dd, J = 8.1, 2.0 Hz, 1H), 6.11 (dd, J = 17.5, 3.4 Hz, 1H), 5.76 (dd, J = 6.5, 2.2 Hz, 1H), 5.69 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.56 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 5.38 (dd, J = 55.7, 3.3 Hz, 1H), 4.65 - 4.60 (m, 1H), 3.84 - 3.75 (m, 2H).
【実施例11】
【0163】
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン(化合物47)
【化25】

【0164】
化合物44(86.7mg、0.243ミリモル)を一般手順Eによりシチジン類似体(化合物46)に転換した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、淡黄色オイルとして化合物46を得た(63.9mg)。
【0165】
化合物46(54mg、0.152ミリモル)を一般手順Fにより脱保護した。残留物を精製して化合物47を得た(34.7mg)。
【0166】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.88 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.07 (dd, J = 18.1, 2.9 Hz, 1H), 5.89 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 5.55 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 5.37 (dd, J = 55.6, 2.5 Hz, 1H), 4.63 (s, 1H), 3.78 (d, J = 5.0 Hz, 2H).
【実施例12】
【0167】
1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(化合物55)
【化26】

【化27】

【0168】
1−{(2S,3S,4R,5S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−[(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−メチル]−3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−2−イル}ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(化合物12B)(274mg、0.580ミリモル)を一般手順Bにより酸化して、無色の固体として化合物48を得た(273mg)。これを、さらなる精製なしに使用した。
【0169】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(622mg、1.74ミリモル)の無水THF(8.7mL)懸濁液に、n−BuLi(1.09mL、0.54ミリモル、1.6M/ヘキサン)を−78℃で添加した。0.5時間後に、温度を0℃まで上昇させ、橙色/赤色の溶液を、20分間撹拌した後、−78℃まで再冷却した。その後、化合物48(64.3mg、0.179ミリモル)の無水THF(6mL)溶液をカニューレ経由で添加した。−78℃で1時間後、温度を室温に戻し、反応混合物をこの温度で20時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NH4Cl飽和水溶液で反応を止め、Et2Oで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Et2O:ヘキサン 1:1)により、無色の固体として化合物49を得た(74.6mg)。
【0170】
化合物49(300mg、0.640ミリモル)とPtO2(14.5mg、0.0640ミリモル)との無水EtOH(12.8mL)溶液をH2雰囲気下に室温で1時間撹拌した。反応混合物を、ガラスウールを通して濾過し、減圧下で濃縮して、化合物50を得た(301mg)。これを、さらなる精製なしで使用した。
【0171】
化合物50(301mg、0.639ミリモル)のTHF(4.5mL)溶液に、TBAF(1.9mL、1.918ミリモル、1M/THF)を0℃で添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/EtOAc)により、無色の固体として化合物51を得た(142.5mg)。
【0172】
化合物51(54.5mg、0.225ミリモル)の無水DMF(2.3mL)溶液にTBSCl(35.6mg、0.236ミリモル)およびイミダゾール(46.0mg、0.675ミリモル)を0℃で添加した。反応混合物を徐々に室温に戻し、18時間撹拌し、次いでH2Oで反応を止めた。混合物をEt2Oで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:2)により、無色のオイルとして化合物52を得た(67.6mg)。
【0173】
化合物52(124mg、0.348ミリモル)を、一般手順Bにより酸化した。反応混合物をEtOAcで希釈し、次いでNa223(0.75g)/pH7.4の緩衝液(5.1mL、0.1M)で反応を止め、懸濁液が澄明になるまで激しく撹拌した。相を分離し、有機相を、NaHCO3(5%水溶液)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮して、無色の固体として化合物53を得た(123mg)。これを、さらなる精製なしで使用した。
【0174】
化合物53(123mg、0.348ミリモル)を一般手順Cによりオレフィン化した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により、無色の固体として化合物54を得た(38.5mg)。
【0175】
化合物54(6.0mg、0.0170ミリモル)を一般手順Dにより脱保護した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、無色の固体として化合物55を得た(3.8mg)。
【0176】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.98 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 5.74 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.13 (dd, J = 2.8, 1.9 Hz, 1H), 5.10 (見かけt, J = 2.4 Hz, 1H), 4.58 - 4.54 (m, 1H), 3.83 (dd, J = 12.0, 2.9 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 12.0, 3.9 Hz, 1H), 2.85 - 2.76 (m, 1H), 1.18 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【実施例13】
【0177】
4−アミノ−1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2(1H)−オン(化合物57)
【化28】

【0178】
化合物54(15.0mg、0.0425ミリモル)を、一般手順Eによりシチジン類似体(化合物56)に転換した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、淡黄色オイルとして化合物56を得た(11.0mg)。
【0179】
化合物56(11.0mg、0.0313ミリモル)を一般手順Fにより脱保護した。残留物を精製して化合物57を得た(5.6mg)。
【0180】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.97 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.94 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.11 (dd, J = 2.8, 1.9 Hz, 1H), 5.09 (見かけt, J = 2.4 Hz, 1H), 4.56 (dd, J = 3.3, 1.4 Hz, 1H), 3.83 (dd, J = 12.0, 3.0 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 12.0, 4.0 Hz, 1H), 2.82 - 2.69 (m, 1H), 1.18 (d, J = 6.7 Hz, 3H).
【実施例14】
【0181】
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル(化合物64)
【化29】

【0182】
5−フルオロウラシル(920mg、7.07ミリモル)とN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(3.5mL、14.1ミリモル)との無水MeCN(36mL)溶液を40分間加熱還流した。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、化合物58(1.14g、3.20ミリモル)およびSnCl4(32.0mL、32.0ミリモル、1M/CH2Cl2)を添加し、生じた混合物をN2下に室温で一夜撹拌した。溶液をEtOAcで希釈し、氷冷NaHCO3飽和水溶液中に注いだ。相を分離し、水相をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、食塩水で洗浄し、シリカゲルの詰め物を通して(EtOAc)濾過し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:EtOAc 1:0〜12:1〜8:1)により、無色のオイルとして化合物59を得た(427mg)。
【0183】
化合物59(384mg、0.845ミリモル)のNH3(10mL、7N/MeOH)溶液を室温で24時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(15%MeOH/CH2Cl2)により、無色の泡状物として化合物60を得た(198mg)。
【0184】
化合物60(275mg、1.12ミリモル)の無水DMF(11mL)溶液に、TBSCl(177mg、1.17ミリモル)およびイミダゾール(229mg、3.36ミリモル)を0℃で添加した。反応混合物を徐々に室温に戻し、17時間撹拌し、次いでH2Oで反応を止めた。混合物をEt2Oで3回抽出し、合わせた有機抽出物を、H2Oで3回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:2)により、無色の固体として化合物61を得た(260mg)。
【0185】
化合物61(259mg、0.719ミリモル)を、一般手順Bにより酸化して、無色の固体として化合物62を得た(258mg)。これを、さらなる精製なしで使用した。
【0186】
化合物62(258.0mg、0.719ミリモル)を一般手順Cによりオレフィン化した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 2:1)により、無色の固体として化合物63を得た(46.0mg)。
【0187】
化合物63(18.3mg、0.0513ミリモル)を一般手順Dにより脱保護した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2Cl2)により、無色のオイルとして化合物64を得た(9.8mg)。
【0188】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 8.21 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 6.17 (td, J = 6.5, 1.8 Hz, 1H), 5.22 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 5.10 (q, J = 2.2 Hz, 1H), 4.53 (s, 1H), 3.88 (dd, J = 12.2, 2.8 Hz, 1H), 3.77 (dd, J = 12.2, 3.7 Hz, 1H), 3.15 - 3.06 (m, 1H), 2.77 - 2.69 (m, 1H).
【実施例15】
【0189】
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン(化合物66)
【化30】

【0190】
化合物63(27.5mg、0.0771ミリモル)を一般手順Dにより脱保護した。残留物を、ピリジン(2×2mL)を用いて共沸乾燥し、次いで無水ピリジン(2mL)に溶解した。生じた溶液に無水酢酸(0.5mL)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1)により、無色の固体として化合物65を得た(16.6mg)。
【0191】
化合物65(16.6mg、0.0584ミリモル)の無水ピリジン(1.1mL)溶液に4−クロロフェニルジクロロホスフェート(47.5μL、0.292ミリモル)を0℃で添加した。10分後に、1,2,4−トリアゾール(60.5mg、0.876ミリモル)を添加し、温度を室温に戻した。19時間後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をH2Oに溶解した。水相をCH2Cl2で2回抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物をNH3(6mL、0.5M/ジオキサン)に溶解し、生じた溶液を室温で48時間撹拌し、次いで濃縮した。残留物を精製して、無色の固体として化合物66を得た(3.3mg)。
【0192】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 8.22 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 6.12 (tt, J = 18.7, 9.3 Hz, 1H), 5.19 (dd, J = 4.4, 2.2 Hz, 1H), 5.09 (dd, J = 4.5, 2.2 Hz, 1H), 4.55 (m, 1H), 3.89 (dd, J = 12.2, 2.9 Hz, 1H), 3.77 (dd, J = 12.2, 3.9 Hz, 1H), 3.19 - 3.11 (m, 1H), 2.68 - 2.60 (m, 1H).
【実施例16】
【0193】
9−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン(化合物71)
【化31】

【0194】
50mLの丸底瓶中で、2'−デオキシ−L−アデノシン(900mg、3.50ミリモル)を、ピリジン(6×20mL)を用いて共沸乾燥した。その後、DMF(15mL)、イミダゾール(590mg、8.00ミリモル)、およびTBSCl(600mg、4.00ミリモル)を添加した。生じた反応混合物を室温で6時間撹拌した後、MeOH(5mL)を添加し、混合物をさらに0.5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、粗材料を、フラッシュクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CH2Cl2)で精製して、化合物67を得た(1.0g)。
【0195】
50mLの丸底瓶中で、化合物67(595mg、1.62ミリモル)を、ピリジン(3×20mL)を用いて共沸乾燥した。その後、ピリジン(8mL)およびDMTrCl(610mg,1.80ミリモル)を添加した。生じた反応混合物を室温で18時間撹拌した。さらなるDMTrCl(300mg、0.88ミリモル)を添加し、生じた混合物をさらに24時間撹拌した。次いで、MeOH(5mL)を添加し、生じた混合物をさらに10分間撹拌した。次いで、溶媒をトルエンとの共蒸発により除去し、粗材料をシリカゲルクロマトグラフィー(0〜3%MeOH/CH2Cl2、0.1%ピリジンを含む)で精製して化合物68を得た(526mg)。
【0196】
25mLの丸底瓶中で、Dess−Martinペルヨージナン(102mg、0.24ミリモル)を真空下で30分間乾燥した後、CH2Cl2(10mL)および2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(191mg、1.0ミリモル)を添加した。次いで、化合物68(526mg、0.789ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、次いでNa223(400mg)/リン酸塩緩衝液(10mL、pH7.4)の水溶液中に注いだ。生じた混合物を2分間激しく撹拌した。有機相を、分離し、1%NaHCO3水溶液(10mL)で5秒間抽出した。有機相を分離し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。粗ケトンは、次のステップで直ちに使用した。
【0197】
粗ケトンの無水THF(5mL)溶液にTebbe試薬(0.5M/トルエン、0.60mL、0.30ミリモル)を−78℃で滴加した。反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、次いで室温に戻し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、EtOAc(10mL)、MgSO4・7H2O(1g)およびH2O(1mL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。次いで、MgSO4を添加し、固体を濾別した。粗反応混合物を、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(0〜1%MeOH/CH2Cl2、0.1%ピリジンを含む)で精製して、化合物69を得た(4mg)。
【0198】
化合物69(4mg、0.006ミリモル)のTHF(0.10mL)溶液にTBAF(1M/THF、0.030mL)を添加し、生じた反応混合物を室温で撹拌した。20分後に、NH4Cl(0.1mL)を添加し、粗混合物を、CH2Cl2(3×0.3mL)で抽出し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濃縮した。残留物のフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc 1:1、0.1%ピリジンを含む)により、化合物70を得た(2.5mg)。
【0199】
2mLのバイアル瓶中で、化合物70(2.5mg、0.0045ミリモル)をTHF(0.20mL)に溶解し、次いでAcOH(0.60mL、30%水溶液)を添加し、生じた反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。その後、溶媒を除去し、粗残留物を2mLのH2Oに溶解し、ジエチルエーテル(2×2mL)で抽出した。活性炭を、水相がもはやUV活性を示さなくなるまで(TLCプレート上にスポットして)、小分けして水相に添加した。活性炭の懸濁液をフラッシュカラムに負荷し、カラムをH2O(50mL)で、続いてH2O:MeOH(50mL、1:1)で溶離することによって生成物を得た。化合物71(0.5mg)。
【0200】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 8.32 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 6.33 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 4.3, 2.2 Hz, 1H), 5.17 (dd, J = 4.4, 2.2 Hz, 1H), 4.66 (bs, 1H), 3.87 (dd, J = 12.2, 2.9 Hz, 1H), 3.71 (dd, J = 12.2, 4.1 Hz, 1H), 3.26 - 3.24 (m, 1H).
【実施例17】
【0201】
9−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン(化合物75)
【化32】

【化33】

【0202】
50mLのフラスコ中で、2'−デオキシ−L−グアノシン(1.00g、3.74ミリモル)を、ピリジン(3×20mL)を用いて共沸乾燥し、イミダゾール(660mg、9.73ミリモル)/DMF(20mL)をN2下で添加した。その後、TBSCl(732mg、4.86ミリモル)を添加し、生じた混合物を40℃で4時間撹拌した。MeOH(2mL)を添加し、反応混合物を40℃でさらに1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗材料を、フラッシュクロマトグラフィー(0〜10%MeOH/CH2Cl2)で精製して、化合物72を得た(1.23g)
化合物72(1.5g、3.93ミリモル)のピリジン(20mL)溶液に、N2下でジメトキシトリチルクロリド(2.66g、7.90ミリモル)を添加し、生じた混合物を室温で5時間撹拌した。次いで、MeOH(1mL)を添加し、反応混合物を20分間撹拌した。次いで溶媒を減圧下で除去し、粗材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、化合物73を得た(1.44g)。
【0203】
10mLのフラスコ中で、Dess−Martinペルヨージナン(614mg、1.45ミリモル)を真空で30分間乾燥した後、CH2Cl2(12mL)およびt−BuOH(0.19mL、2.0ミリモル)を添加し、生じた混合物をN2下に4℃で10分間撹拌した。その後、化合物73(762mg、1.11ミリモル)/CH2Cl2(8mL)を添加した。2時間後に、反応混合物をCH2Cl2(15mL)で希釈し、混合物を抽出ロート中に移送した。次いで、Na223・5H2O(200mg)を含む10%NaHCO3水溶液(10mL)を添加し、混合物を10秒間振盪した。有機相を、分離し、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、粗ケトンを得た。これを、直ちに使用した。
【0204】
粗ケトンの無水THF(6mL)溶液にTebbe試薬(2.4mL、1.2ミリモル、0.5M/トルエン)をN2下に−78℃で滴加した。反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、次いで室温に戻した。2時間後に、反応混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、次いでMgSO4・7H2O(10g)およびNaOH(1.0M、1mL)を添加し、混合物を、MgSO4を添加したあとに発泡が収まるまで撹拌した。混合物を、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物のシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CH2Cl2)により、淡褐色固体として化合物74を得た(159mg)。
【0205】
化合物74(80mg、0.118ミリモル)のTHF(7mL)溶液にAcOH(28mL、30%水溶液)を添加し、生じた混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、痕跡量のAcOHをH2Oとの共蒸発によって除去した。粗残留物をH2O(25mL)に溶解し、次いでジエチルエーテル(2×20mL)で抽出した。水相を5mLまで濃縮し、次いで水相に活性炭を、水相がもはやUV活性でなくなるまで(TLCプレート上にスポットして)小分けして添加した。活性炭の懸濁液をフラッシュカラムに負荷し、カラムをH2O(50mL)、続いて50%MeOH/H2Oで溶離することによって生成物を得た。化合物75(8mg)。
【0206】
1H NMR (500 MHz, MeOH-d4) δ = 7.93 (s, 1H), 6.16 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 5.26 (dd, J = 4.6, 2.3 Hz, 1H), 5.15 (dd, J = 4.4, 2.3 Hz, 2H), 3.83 (dd, J = 12.1, 3.2 Hz, 1H), 3.70 (dd, J = 12.1, 4.5 Hz, 1H), 3.24 - 3.21 (m, 1H), 3.19 - 3.16 (m, 1H).
【0207】
<生物学的アッセイ>
細胞毒性アッセイ
HepG2細胞における細胞毒性
HepG2細胞を、96ウェルのプレートに、10%FBS、100U/mlペニシリン/ストレプトマイシン、および2mM L−グルタミンで補足された100μLのDMEM中、1×104細胞/ウェルの密度で播種した。5%CO2を用い37℃で20時間インキュベートした後、培地を除去し、試験化合物を4.7〜300μMの濃度範囲で含む新鮮培地と交換した。細胞を、5%CO2を用い37℃で24時間インキュベートした。培地を除去し、100μl/ウェルのMTT(Sigma)/HBSS(0.5mg/mL)と交換した。37℃で穏やかに振盪しながら2時間インキュベートした後、ウェルに100μl/ウェルのMTT溶解緩衝液を添加し、プレートを覆い、一夜放置して、フォルマザンの結晶を溶解した。ELISAリーダーにおいて570〜630nmで吸光度を測定した。対照と比較した細胞生存率に基づき細胞毒性を計算した。
【0208】
MT−4細胞における細胞毒性
MT−4細胞を、96ウェルのマイクロタイタープレートに、50μl(1×105細胞/mL)の容積で添加した。細胞培地は、0.01μM〜32μMの範囲の濃度で試験化合物を含む。細胞を、5%CO2を用い37℃でインキュベートした。アッセイの終末時点(6日目)で、ウェル当たり20〜25μLのMTS試薬を添加し、次いでマイクロタイタープレートを、5%CO2を用い37℃で4〜6時間インキュベートした。プレートを分光学的に読取り、細胞生存率を評価した。対照と比較した細胞生存率に基づき細胞毒性を計算した。
【0209】
抗HIV活性
本発明の化合物をそれらのHIV阻害活性について分析するために、MT−4細胞を使用した。アッセイ当日の前に、細胞が感染時に対数増殖期にあることを保証するために、細胞を1:2に分割した。全細胞数およびパーセント生存率の測定は、血球計数器およびトリパンブルー色素排除を使用して実施した。アッセイで利用される予定の細胞の場合、細胞生存率は95%超でなければならない。細胞を、組織培養培地に1×105細胞/mLで再懸濁し、対照または薬物を含む96ウェルのマイクロタイタープレートに50μLの容積で添加した。
【0210】
このアッセイに使用されるウイルスは、HIV−1IIIBとした。各アッセイにおいて、事前に力価検定済みのウイルスのアリコートを、フリーザー(−80℃)から取り出し、生物学的安全キャビネット中で室温まで徐々に解凍した。ウイルスを、各ウェルに50μLの容積で添加されるウイルス量が、感染後6日目に85〜95%の細胞死滅を示すように決定された量であるように、組織培養培地に再懸濁し、希釈した。それらのアッセイの感染多重度は、ほぼ0.01であり、マイクロタイタープレートのウェルに添加される容積は50μLであった。
【0211】
アッセイの終末時点(感染後6日目)で、ウェル毎に20〜25μLのMTS試薬3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム(MTS;CellTiter96試薬、Promega)を添加し、マイクロタイタープレートを5%CO2、37℃で4〜6時間インキュベートした。粘着性プレートシーラーを蓋の代わりに使用し、密封したプレートを数回反転して可溶性フォルマザン生成物を混合する。プレートを、プレートレーダーを用いて490/650nmで分光学的に読み取った。抗HIV活性を、細胞変性効果の低下(%)に基づいて計算した。
【0212】
抵抗性株に対するHIV活性を、抵抗性HIV株に感染した細胞培養アッセイを使用して類似の方法で測定することができる。
【0213】
抗HBV活性
本発明の化合物をそれらのHBV阻害活性について分析するために、HBVを有するヒト肝癌細胞(HepG2.2.15細胞)を使用した。HepG2.2.15細胞を、96ウェルのマイクロタイタープレートに播種した。細胞培養中に観察される「エッジ効果」を低減するために内側のウェルのみ利用し;サンプルの蒸発を最小化するのを助けるために外側のウェルを完全培地で満たした。16〜24時間後、HepG2.2.15細胞の集密単層を洗浄し、培地を、種々の濃度の試験化合物を三つ組みで含む完全培地と交換した(化合物は6種の濃度で試験)。ラミブジンを陽性対照として使用し、培地のみを陰性対照として細胞に添加した。3日後に、培養培地を、適切に希釈された薬物を含む新鮮な培地と交換した。試験化合物の最初の投与の6日後に、細胞培養上清液を集め、プロナーゼで処理し、次いでリアルタイム定量的TaqMan PCRアッセイにおいて使用した。PCRで増幅されたHBV DNAを、増幅されたHBV DNAにハイブリダイズした消光型蛍光プローブ分子のエクソヌクレアーゼ分解に由来する蛍光シグナルの増加を監視することによってリアルタイムで検出した。各PCR増幅に関して、精製されたHBV DNAの希釈液を使用して標準曲線を同時に作出した。抗HBV活性を、HBV DNAレベルの低下から計算した。CellTiter−96キット(Promega)を採用して、同じアッセイで細胞生存率を測定し、阻害がHepG2細胞中での細胞毒性のためではないことを確認した。
【0214】
アッセイからの本発明の例示化合物の代表的結果を表1〜4に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
Bは、A1およびA2:
【化2】

から選択され;
Xは、H、OH、NH2、ハロゲン、(C1〜C6アルキル)NH、および(C3〜C6シクロアルキル)NHから選択され;
Yは、H、ハロゲン、C2〜C6アルケニル、およびC1〜C3アルキルから選択され;
Zは、H、ハロゲン、およびNH2から選択され;
Wは、O、S、およびCH2から選択され;
1およびR2は、独立的に、H、F、OH、OCH3、およびCH3から選択され;
3およびR4は、独立的に、H、F、およびCH3から選択され;
5は、H、ホスフェート、ジホスフェート、およびトリホスフェートから選択される]
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
一般式(I)で表される請求項1に記載の化合物:
【化3】

[式中、
Bは、A1およびA2:
【化4】

から選択され;
Xは、H、OH、NH2、ハロゲン、(C1〜C6アルキル)NH、および(C3〜C6シクロアルキル)NHから選択され;
Yは、H、ハロゲン、C2〜C6アルケニル、およびC1〜C3アルキルから選択され;
Zは、H、ハロゲン、およびNH2から選択され;
Wは、O、S、およびCH2から選択され;
1およびR2は、独立的に、H、F、OH、OCH3、およびCH3から選択され;
3およびR4は、独立的に、H、F、およびCH3から選択され;
5は、H、ホスフェート、ジホスフェート、およびトリホスフェートから選択され;
但し、WがOであり、R1がHであり、かつR2がOH、FまたはOCH3である場合は、R3およびR4は、同時にFであることはなく、またはR3およびR4は、同時にHであることはなく;
但し、WがOであり、R2がHであり、かつR1がOH、OCH3またはFである場合は、R3およびR4は、同時にFであることはなく、またはR3およびR4は、同時にHであることはない]
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
WがOである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
WがSまたはCH2である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
1およびR2がHである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
3およびR4が、独立的に、FおよびCH3から選択され、但し、R3およびR4が同時にFであることはない、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
3がHであり、R4がFおよびCH3から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
4がHであり、R3がFおよびCH3から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
1がCH3である、請求項1から4および請求項6から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
2がCH3である、請求項1から4および請求項6から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
1、R2、R3およびR4がHである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
XがH、OHおよびNH2から選択され、YがH、FおよびCH3から選択され、ZがHおよびNH2から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
WがOであり、R2がOHまたはOCH3であり、R1、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
WがOであり、R2がFであり、R1、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
WがOであり、R2がCH3であり、R1、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
WがOであり、R1がFであり、R2、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
WがOであり、R1がOHまたはOCH3であり、R2、R3およびR4がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
BがA1であり、XがNH2またはOHであり、YがH、FまたはCH3であり、WがOであり、R1、R2、R3およびR4がHである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項19】
BがA2であり、XがNH2、OHまたはHであり、ZがHまたはNH2であり、WがOであり、R1、R2、R3およびR4がHである、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項20】
XがOHである、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
XがNH2である、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
YがFである、請求項1から18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
5がHである、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
5が、ホスフェート、ジホスフェート、およびトリホスフェートから選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントリボフラノシル)シトシン;
1−(3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−アラビノペントフラノシル)シトシン;
1−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)チミン;
9−(2,3−ジデオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)グアニン;
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル;
1−[2−デオキシ−2−(S)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン;
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]ウラシル;
1−[2−デオキシ−2−(R)−フルオロ−3−デオキシ−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル]シトシン;
1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン;
4−アミノ−1−[(2S,3S,5R)−5−(ヒドロキシメチル)−3−メチル−4−メチレンテトラヒドロフラン−2−イル]ピリミジン−2(1H)−オン;
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル;
1−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン;および
9−(2,3−ジデオキシ1−3−メチリデン−β−L−ペントフラノシル)アデニン
から選択される、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項26】
有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を含む、宿主におけるDNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項27】
有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を含む、HBV感染および/または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスを治療または予防するための医薬組成物。
【請求項28】
有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を含む、HIV感染および/または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスを治療または予防するための医薬組成物。
【請求項29】
抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、請求項26から28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
治療法において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
DNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染の治療または予防において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
HBV感染および/または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスの治療または予防において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
HIV感染および/または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスの治療または予防において使用するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、請求項31から33のいずれか一項に記載の使用するための化合物。
【請求項35】
DNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染の治療または予防のための医薬の製造における、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項36】
HBVウイルス感染、または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスの治療または予防のための医薬の製造における、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項37】
HIVウイルス感染、または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスの治療または予防のための医薬の製造における、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項38】
抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、請求項35から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
治療的有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるDNAウイルス感染および/またはレトロウイルス感染を治療または予防するための方法。
【請求項40】
治療的有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるHBV感染、または一以上の他の抗HBV薬に対して抵抗性であるHBVウイルスを治療または予防するための方法。
【請求項41】
治療的有効量の請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、それを必要とする対象におけるHIV感染、または一以上の他の抗HIV薬に対して抵抗性であるHIVウイルスを治療または予防するための方法。
【請求項42】
抗ウイルス効果を有する一以上の追加の薬剤をさらに含む、請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−514350(P2013−514350A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544433(P2012−544433)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051374
【国際公開番号】WO2011/075052
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(507261423)メディヴィル・アクチエボラーグ (6)
【Fターム(参考)】