説明

新規付加物およびこれを使う硬化性組成物

本発明は、靱性を改善するのに有用な新規の付加物および前記強化付加物を使った硬化性組成物に関する。特定の態様では、本発明は、新規の強化付加物および前記強化付加物を使って破壊靭性が改善された硬化性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靱性改善に有用な新規の付加物、およびこのような付加物を使う硬化性組成物に関する。この新規の付加物は、これらの付加物を使った硬化性組成物の例えば、耐衝撃性、および/または接着力に関して靱性を改善すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
靱性は、一般的に、エネルギーを吸収し、破断することなく大きな永久ひずみを起こす材料の性能である。多くのエンジニアリング接着用途に対しては、靱性はしばしば決定的な要素である。プラスチックに固有の脆性のために、従来、様々な方法でこれを変性し、靱性を改善することが行なわれてきた。例えば、硬化した場合に多岐のガラス状のネットワークを形成するエポキシ樹脂は、優れた耐腐食性および耐溶剤性、良好な接着性、適度に高いガラス転移温度(Tg)ならびに十分な電気特性を示す。しかしながら、残念なことに、エポキシ樹脂の破壊靱性は低く、これらを多くの商業用途に使うにはしばしば限界がある。
【0003】
架橋エポキシ樹脂の衝撃強度、さらに他の物理的特性は、エポキシ樹脂の化学構造および分子量、エポキシ樹脂の硬化剤に対する重量比、あらゆる添加充填剤、ならびに配合物の硬化条件によって制御される。残念なことに、比較的ガラス転移温度(「Tg」)(>100℃)が高い架橋化ガラス状エポキシ樹脂は、実際は脆弱である。ガラス転移温度が高く、衝撃強度が低いエポキシ樹脂は、構造材料として、および複合体中でまたは複合体として使うには限界がある。
【0004】
通常の強化剤(例えば、カルボキシル末端ブタジエンニトリルゴム、「CTBN」)は、低温での衝突衝撃性能が望まれる配合物での添加物としては、しばしば不適切である。
【0005】
例えば、商標名ALLINCOでDSM Research社から入手可能なカルボニルビスカプロラクタムは、イソシアネートを使うことなく、官能性ポリマーのヒドロキシ基およびアミノ基を対応するカプロラクタムがブロック化されたイソシアネートに転化する多用途の非毒性試薬として報告されている。Angew.Chem.Int.Ed.,42,5094−5097(2003)を参照されたし。例えば、第1級アミンとの関連で、下記の反応機構を参照されたし:
【0006】
【化1】

【0007】
さらに、米国特許第5,278,257号公報(Mulhaupt)および国際特許出願第2005/007766号公報は、強化剤としてフェノールキャップされたポリウレタン・プレポリマーを含有するゴム変性エポキシ組成物を開示している。前記の強化剤は、Dow Automotive社からの商標BETAMATEの製品の基礎原料であると考えられる。
【0008】
商標BETAMATEの製品の低温での性能特性により、改良が可能と思われる。さらに、消費者は、従来と異なるかより望ましい物理的特性による性能を有する追加の付加物およびこの付加物を使った製品が提供されれば、利益を享受すると考えられる。
【0009】
従って、接着剤配合物、特に良好な低温性能が要求される配合物の靱性を改善するために有効な新規の付加物への要求があり、そしてこの配合物は、例えば、エポキシ、エピスルフィドおよび/またはベンゾキサジンのような熱硬化性樹脂をベースとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明に従って、例えば、エポキシ、エピスルフィド、ベンゾキサジンおよびこれらの組合せをベースとする配合物のような熱硬化性樹脂配合物の性能特性を改善するために有用な新規の付加物が提供される。この性能特性としては、改善された耐衝撃性および基体の表面への接着性が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の新規の付加物は、一般式I:
【0012】
【化2】



で表される化合物によって示すことができ、式中、RおよびR’は、各々独立して、ポリエーテル、例えば、ポリプロピレングリコール([PPG」)およびポリTHF、ペルフルオロポリエーテル(「PFP」)、JEFFAMINE型骨格(下記にさらに十分に説明するように)、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)骨格(また、下記にさらに十分に説明するように)、LP3型骨格(下記にさらに十分に説明するように)、およびヒドロキシ末端ポリブタジエン(「HPBD」)骨格から選択され、ただし、RがPPGの場合、R’はPPGではないか、XはArOではなく;
ZおよびZ’は、各々独立して、−CH−K−(NH)(0,1)CO−から選択され、ここでKは、C−C70直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルキレンオキシ、C−C12シクロアルキレンまたはシクロアルキレンオキシ、またはC−C15アリーレンまたはアリーレンオキシであり;
Xは、ArO−、ArO−C=O、またはメルカプトまたはアミノ官能基化アルキレンまたはアルキレンオキシ尿素、ウレタンまたはチオウレタンから選択され、ここでArは、例えば、フェニル、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、アリル、アルキル、アルケニル、カルボキシ、N−カルバモイル官能基化5から7員環式アミド、エポキシエーテルまたはヒドロキシル官能基化エーテルであり;および
yは、1−4、およびxは、1−3である。
【0013】
新規の付加物は、一般式II:
【0014】
【化3】


II
で表される化合物によって示すことができ、式中、X、Z、Rおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0015】
エポキシ官能基化付加物に対しては、一般式III:
【0016】
【化4】


III
で表される化合物によって示すことができ、式中、Mは、アルキレン、シクロアルキレン、またはアリーレン結合であり;
Jは、例えば、ヒドロキシアルキレン(例えば、ヒドロキシエチレン)、−OC=O、または
【0017】
【化5】


のようなLと共に形成されるリング構造の結合であり;
Lは、Hまたは上記のようにJと共に形成されるリング構造の結合であり;および
R、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0018】
フェノール官能基化付加物に対しては、一般式IV:
【0019】
【化6】


IV
で表される化合物によって示すことができ、式中、Arは、アリール基、およびR、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0020】
N−カルバモイル官能化5から7員環式アミド付加物に対しては、一般式V:
【0021】
【化7】



で表される化合物によって示すことができ、式中、nは0−2であり、R、Z’、R’、n、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0022】
例えば、鋼鉄のような基体への接着性を改善しながら、低温における破壊靱性の性能特性を改善するために、本発明の付加物は、Tg値が低く、例えば、室温より低く、望ましくは、−20℃以下、より望ましくは、−40℃以下でなければならない。さらに、この付加物の他の物理的特性、一般的に、例えば、熱硬化性マトリックスとの相溶性および溶解度パラメータは、前記の低温性能に寄与できる。そのためには、例えば、付加物のRにおけるPDMSの濃度を、必要に応じて、付加物中のRの重量で約5から約95重量%の範囲、例えば、約20から約80重量%の範囲、好ましくは、約20重量%に調節し、特に、ウエッジ衝撃性能および接着性の改善のために好ましいTgを有する付加物を提供することができる。付加物のRが第2(または第3)の骨格から構成される限り、Rの残りの部分は、当然ながら、(メタ)アクリレート官能基化に耐えるものであって、非シリコン含有セグメント、例えば、ポリプロピレングリコールから誘導されるものであってもよい。
【0023】
式Iで表される付加物は、1パート熱硬化性樹脂組成物の添加物として、例えば、引張剥離強度値、引張剪断強度値およびウエッジ衝撃特性などの物理的特性を改善する有用なものであることを見いだした。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記のように、本発明は、例えば、エポキシ、エピスルフィド、ベンゾキサジンおよびこれらの組合せをベースとする熱硬化性樹脂配合物の性能特性を改善するのに有用な新規の付加物を提供する。
【0025】
本発明の新規付加物は、一般式I:
【0026】
【化8】



で表される化合物によって示すことができ、式中、RおよびR’は、各々独立して、ポリエーテル、例えば、PPGおよびポリTHF、PFP、JEFFAMINE型骨格、PDMS骨格、LP3型骨格およびHPBD骨格から選択され、ただし、RがPPGの場合、R’はPPGではないか、XはArOではなく;
ZおよびZ’は、各々独立して、−CH−K−(NH)(0,1)CO−から選択され、ここでKは、C−C70直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルキレンオキシ、C−C12シクロアルキレンまたはシクロアルキレンオキシ、またはC−C15アリーレンまたはアリーレンオキシであり;
Xは、ArO−、ArO−C=O、またはメルカプトまたはアミノ官能基化アルキレンまたはアルキレンオキシ尿素、ウレタンまたはチオウレタンから選択され、ここで、Arは、例えば、フェニル、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、アリル、アルキル、アルケニル、カルボキシ、N−カルバモイル官能基化5−7員環式アミド、エポキシエーテルまたはヒドロキシル官能基化エーテルであり;および
yは、1−4であり、およびxは、1−3である。
【0027】
新規の付加物は、一般式II:
【0028】
【化9】


II
で表される化合物によって示すことができ、式中、X、Z、Rおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0029】
エポキシ官能基化付加物に対しては、一般式III:
【0030】
【化10】


III
で表される化合物によって示すことができ、式中、Mは、アルキレン、シクロアルキレン、またはアリーレン結合であり;
Jは、例えば、ヒドロキシアルキレン(例えば、ヒドロキシエチレン)、−OC=O、または
【0031】
【化11】


のようなLと共に形成されるリング構造の結合であり;
Lは、Hまたは上記のようにJと共に形成されるリング構造の結合であり;および
R、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0032】
フェノール官能基化付加物に対しては、一般式IV:
【0033】
【化12】


IV
で表される化合物によって示すことができ、式中、Arはアリール基、およびR、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0034】
N−カルバモイル官能化5−7員環式アミド付加物に対しては、一般式V:
【0035】
【化13】



で表される化合物によって示すことができ、式中、nは、0−2であり、およびR、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である。
【0036】
本発明の付加物を製造するために使われる構成ブロックに関して、「R」および「R’」で表される結合は、1個以上のヒドロキシ、メルカプトおよびアミノ基による官能基化ポリエーテルおよびポリチオエーテルであってもよい。このようなポリエーテルは、例えば、JEFFAMINE商標名で販売されているアミン官能基化ポリエーテル、LP−3商標名で販売されているメルカプト官能基化ポリチオエーテルおよび/またはPPGの商品記号で販売されているヒドロキシ官能基化ポリエーテルなどの市販の出発材料に由来するものであってもよい。
【0037】
これらの異なった官能基化ポリエーテルおよびポリチオエーテルで、様々な分子量のものが商業的に入手でき、または製造することができる。異なった分子量を有し、物理的特性が変化したものを本発明の付加物に取込み、特定の最終用途での使用を意図した付加物を調製することができる。
【0038】
アミン官能基化ポリエーテルとしては、オキシエチレンジアミン、オキシエチレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、オキシプロピレンジアミン、オキシプロピレントリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ジメチレングリコールジプロピルアミンおよび/またはこれらの誘導体および付加物、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0039】
前記のポリエーテルアミンをベースとする硬化剤−アミン官能基化ポリエーテル−の市販品の例としては、BASF社(Mt.オリーブ、NJ)からの商品記号4,7,10TTDで販売されているもの、Huntsman社(ヒューストン、TX)からのJEFFAMINE商標名で販売されている、例えば、JEFFAMINE D−230、JEFFAMINE D−400、JEFFAMINE D−2000、JEFFAMINE T−403、JEFFAMINE ED−600、JEFFAMINE ED−900、JEFFAMINE ED−2001、JEFFAMINE EDR−148、JEFFAMINE XTJ−509、JEFFAMINE T−3000、JEFFAMINE T−5000、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0040】
JEFFAMINE D系は、ジアミンをベースとする製造物であり、
【0041】
【化14】


で表すことができ、式中、xは、それぞれ、約2.6(JEFFAMINE D−230に対して)、5.6(JEFFAMINE D−400に対して)および33.1(JEFFAMINE D−2000に対して)である。
【0042】
JEFFAMINE T系は、3官能アミン製造物でプロピレンオキシドをベースとし、
【0043】
【化15】


で表すことができ、式中、x、yおよびzは、下の表Aに記載されている。
【0044】
【表1】

【0045】
より具体的には、JEFFAMINE T−403製造物は3官能アミンであり、
【0046】
【化16】


で表すことができ、式中、x+y+zは、5.3(CAS登録第39423−51−3号)である。
【0047】
JEFFAMINE ED系は、ポリエーテルジアミンをベースとする製造品であり、
【0048】
【化17】


で表すことができ、式中、a、bおよびcは、下の表Bに記載されている。
【0049】
【表2】

【0050】
メルカプト官能基化ポリチオエーテルとして、多くの材料を使うことができる。例えば、一般式;
【0051】
【化18】

のポリスルフィドを使うことができ、式中、Rは、アルキルエーテル、例えば、−(CH−O−CH−O−(CH−であり、かつa+b+c=nである。
【0052】
特に好ましい材料は、THIOKOL LP−3として公知のものであり、 Rhom&Haas社(フィラデルフィア、PA)から商業的に入手でき、ここで、nは6で約2モル%の分岐が存在する。また、LP−3は、分子量が約1,000であると報告されている。
【0053】
他の特に好ましい材料としては、Akcros Chemicals社(マンチェスタ、英国)から商標名THIOPLASTで販売されているものが入手でき、例えば、G1(nは19−21、チオール含量は1.8−2%、および分子量は3,300−3,700である)、G4(nは7未満、チオール含量は5.9%、および分子量は1,100未満である)、G12(nは23−26、チオール含量は1.5−1.7%、および分子量は3,900−4,400である)、G21(nは12−15、チオール含量は2.5−3.1%、および分子量は2,100−2,600である)、G22(nは14−18、チオール含量は2.1−2.7%、および分子量は2,400−3,100である)、G112(nは23−25、チオール含量は1.5−1.7%、および分子量は3,900−4,300である)、およびG131(nは30−38、チオール含量は1.5−1.7%、および分子量は5,000−6,500である)。THIOPLAST材料は、ビス−(2−クロロエチル)ホルマール)とアルカリポリスルフィドとの重縮合によって製造することが報告されている。
【0054】
同様に、種々の分子量の(メタ)アクリレート官能基化ポリジメチルシロキサンを、付加物のこの部分の構成ブロックとして使うことができる。
【0055】
前記(メタ)アクリレート官能基化ポリジメチルシロキサンの市販品としての供給源は、Genesee silicone社、Gelest Silicone社、およびWacker Silicones社が挙げられる。例えば、メタクリルオキシプロピル末端PDMS[分子量900−1200]は、Gelest社から商品記号DMS−R11で、メタクリルオキシメチル末端PDMS[分子量−1360]は、Wacker社から商品記号SLM446016−15VPで、3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル末端PDMS[分子量1000−1250]は、Gelest社から商品記号DMS−U22で、アクリルオキシ末端エチレンオキシドPDMS[分子量1500−1600]は、Gelest社から商品記号DBE−U12およびGoldschmidt社から商品記号TEGO V−Si2250[分子量−2500]で販売されている。
【0056】
また、このセグメントの分子量を変えると、付加物の好ましい物理的特性に影響が及び、得られる付加物を様々な最終用途に対して、程度の差はあっても適したものにすることができる。
【0057】
また、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリプロピレングリコール[分子量−10,000のものがAldrich Chemical社から商品として入手できる]は、本発明の付加物の構成ブロックとして使うことができる。この場合も同様に、このセグメントの分子量を変えると、付加物の好ましい物理的特性に影響が及び、得られる付加物を様々な最終用途に対して、程度の差はあっても適したものにすることができる。
【0058】
これらの材料は、個々に構成ブロックとして使うことができ、または様々な組合せで使うことができる。当業者であれば、意図する最終用途に対して有利な物理的特性を得るには、どの材料または組合せを選択するべきかについて提案できると考えられる。
【0059】
従って、例えば、ポリウレタンセグメントを有する本発明の付加物を製造するために、RおよびR’セグメントの構成ブロックの存在下、ゆっくりとした昇温条件で、ポリオール、例えば、トリメチロールプロパンとイソシアネート、好ましくは、ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させてもよい。
【0060】
この付加物を構成するための反応で使うのに適したイソシアネートとしては、ポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネート(例えば、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネート)またはトリイソシアネートが挙げられ、または、所望であれば、鎖延長剤(短鎖ポリヒドロキシル、ポリスルフヒドリルまたはポリアミン化合物)との組合せで前記イソシアネートが挙げられ、またはプレポリマーポリアミン、例えば、プレポリマーポリエーテルアミンから誘導されたポリイソシアネートプレポリマーが挙げられる。
【0061】
この点で、様々なジイソシアネートが反応において有用であり、何か特定のものを選択することは当業者に委ねられているが、1つには商業的に入手できるかどうか、およびある程度は所望する最終用途特性によって影響され易いと考えられる。
【0062】
有用なジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、ヘキサデカメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレンジイソシアネート、エイコサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサメチレンジイソシアネート、シクロペンタレンジイソシアネート、またはシクロヘプタレンジイソシアネート、またはビスシクロヘキサレンジイソシアネート、シクロヘキシルメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(例えば、2,4−ジイソシアネートトルエンおよび2,6−ジイソシアネートトルエン)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキシレンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、2,6−ジエチル−p−フェニレンジイソシアネート、3,5−ジエチル−4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、オクタデカメチレンジイソシアネート、2−クロロプロパンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、3−(ジメチルアミン)ペンタンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート−1,4,3−ヘプタンジイソシアネートおよびトランスビニレンジイソシアネートが挙げられる。
【0063】
追加の適したイソシアネートの例としては、ウレタン化4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、カルボジイミド化4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、ジイソシアネートトルエンとトリメチロールプロパンから形成された付加物、ジイソシアネートトルエンから形成された3量体、ジイソシアネート−m−キシレン、N,N’−ジ(4−メチル−3−イソシアネートフェニル)尿素、ジイソシアネートトルエンおよび1,6−ジイソシアネートヘキサメチレンの混合3量化生成物、1,6−ジイソシアネートヘキサン、3,5,5−トリメチル−1−イソシアノ−3−イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホレンジイソシアネート)、N,N’,N’’−トリ(6−イソシアネートヘキシル)ビウレット、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネートヘキサン、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、3量化イソホレンジイソシアネート、3量化ヘキサンジイソシアネートおよびメチル2,6−ジイソシアネートヘキサノエートが挙げられる。
【0064】
上記のように、鎖延長剤を同様に使うことができ、この例としては、ジオールおよびポリオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパンまたはヒドロキノン2−ヒドロキシエチルエーテル、またはジアミン、例えば、ジアミノエタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサンおよび1,2−プロピレンジアミン、またはヒドラジン、アミノ酸ヒドラジン、セミカルバジドカルボン酸のヒドラジン、ビスヒドラジンおよびビスセミカルバジドが挙げられる。
【0065】
次いで、フェノール性化合物と前の反応ステップで形成されたイソシアネート官能基化プレポリマーとを反応させることができる。
【0066】
この付加物を構成するための反応で使うのに適したフェノール性化合物としては、任意のジ−またはポリ−フェノール性化合物が挙げられるが、フェノール性化合物としてはビスフェノール化合物、例えば、A、F、SまたはE、またはビフェノールが好ましい。
【0067】
一般式Iで末端アミンおよび/またはヒドロキシ基が存在する場合、これらとカルボニルビスカプロラクタム(「CBC」)とを反応させ、対応するCBCキャップされた付加物を製造することができる(例えば、一般式Vを参照されたし)。
【0068】
前記のCBCキャップされた付加物は、これ自体、直接的に強化剤として熱硬化性樹脂配合物で使うことができ、さらに他の官能基化ポリマー(例えば、1つ以上のアミン、ヒドロキシル、メルカプト、エポキシまたはエピスルフィド基を有するポリマー)と反応させて、ウレタンまたは尿素またはチオウレタンまたはオキサゾリドン結合を介して鎖延長ブロックコポリマーを形成することができる。従って、また、このように形成された鎖延長ブロックコポリマーを使って、熱硬化性樹脂配合物を強化することができる。さらに、付加物を熱硬化性樹脂配合物で使用するときに混合できない場合、前記鎖延長ブロックコポリマーを使うことで、混合の助けになることができる。
【0069】
本発明の付加物は、様々な方法で容易に製造することができ、下の実施例の欄で考察する。
【0070】
本発明の範囲にある付加物の具体的な一般化構造としては:
【0071】
【化19】

【0072】
【化20】

【0073】
【化21】

【0074】
【化22】

【0075】
【化23】

【0076】
【化24】

【0077】
【化25】

が挙げられる。
【0078】
これらの一般的付加物構造では、あらゆる適用可能な記号表示を式Iと関連して使用する。
【0079】
上記のように、熱硬化性樹脂配合物は、エポキシ、エピスルフィドおよび/またはベンゾキサジンを包含する。本発明の強化剤の製造で使うことを意図した代表的なエポキシモノマーとしては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジエポキシド、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、アニリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、シアヌル酸トリグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエーテル、リノール2量体酸のジグリシジルエステル、ジシクロペンタジエンジエポキシド、テトラクロロビスフェノールAのジグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタングリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック樹脂、エポキシクレゾールノボラック樹脂、テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0080】
本発明で使うのに適した市販のエポキシ樹脂としては、フェノール性化合物のポリグリシジル誘導体、例えば、Shell Chemical社から入手できる商標名EPON828、EPON1001、EPON1009、およびEPON1031;DOW Chemical社から入手できるDER331、DER332、DER334、およびDER542;Ciba Specialty Chemicals社(Tarrytown、New York)から入手できるGY285、およびNippon Kagaku社(日本)から入手できるBREN−Sが挙げられる。
他の適したエポキシ樹脂としては、ポリオールおよびこの類似物とフェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体とから製造されるポリエポキシドが挙げられ、前記誘導体はDOW Chemical社から商標名DEN431、DEN438、およびDEN439の市販品が入手できる。また、クレゾール類似物は、Ciba Specialty Chemicals社からECN1235、ECN1273、およびECN1299の市販品が入手できる。SU−8はResolution社から入手できるビスフェノールA型のエポキシノボラックである。また、アミン、アミノアルコールおよびポリカルボン酸のポリグリシジル付加物は、本発明で有用であり、これらの市販の樹脂としては、F.I.C社からのGLYAMINE135、GLYAMINE125、およびGLYAMINE115;Ciba Specialty Chemicals社からのARALDITE MY−720、ARALDITE MY−721、ARALDITE0500、およびARALDITE0510;およびSherwin−Williams社からのPGA−XおよびPGA−Cが挙げられる。そして当然ながら、これらの異なったエポキシ樹脂の組合せも本発明で使うのに好ましい。
【0081】
本発明で使用する代表的なエピスルフィドモノマーは、前節に記載のエポキシモノマーに対するチイラン対応物である。
【0082】
本発明で使う代表的なベンゾキサジンモノマーとしては、下記の構造:
【0083】
【化26】


によって包含され、式中、oは、1−4であり、Xは、直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2−4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、チオエーテル(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、およびスルホン(oが2の場合)から選択され、Rは、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択され、およびRは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。
【0084】
あるいは、ベンゾキサジンは、下記の構造:
【0085】
【化27】


によって包含され、式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2の場合)、ジフェニルメタン(pが2の場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2の場合)、ジフェニルスルフィド(pが2の場合)、ジフェニルスルホキシド(pが2の場合)、ジフェニルスルホン(pが2の場合)、およびジフェニルケトン(pが2の場合)から選択され、およびRは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。
【0086】
より具体的には、BOZ−A構造において、ベンゾキサジンは下記の構造:
【0087】
【化28】


によって包含され、式中、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、RおよびRは、同じであってもまたは異なっていてもよく、水素、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチル、アルケニル、例えば、アリル、およびアリールから選択され、およびRは、同じであってもまたは異なっていてもよく、水素またはアルケニル、例えば、アリルのようなものから選択される。
【0088】
構造BOZ−Cの範囲の代表的なベンゾキサジンとしては:
【0089】
【化29】

【0090】
【化30】


が挙げられ、式中、R、RおよびRは上記で定義されたものと同様である。
【0091】
ベンゾキサジン構造BOZ−AまたはBOZ−Bに包含されていないが、追加のベンゾキサジンとしては、下記の構造:
【0092】
【化31】

【0093】
【化32】


の範囲にあり、式中、R、RおよびRは、上記で定義されたものと同様であり、およびRは, R、RまたはRの定義と同様である。
【0094】
これらのベンゾキサジンの具体例としては、
【0095】
【化33】

【0096】
【化34】

【0097】
【化35】

が挙げられる。
【0098】
ベンゾキサジン成分としては、多官能ベンゾキサジンと単官能ベンゾキサジンとの組合せが挙げられ、または1種以上の多官能ベンゾキサジンまたは1種以上の単官能ベンゾキサジンの組合せであってもよい。
【0099】
単官能ベンゾキサジンの例としては、下記の構造:
【0100】
【化36】


に包含されてもよく、式中、Rはアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルであるか、またはアリールであり、1つ、いくつか、またはすべての置換可能な場所に置換されていても置換されていなくてもよく、およびRは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される。
【0101】
例えば、単官能ベンゾキサジンは、構造:
【0102】
【化37】


によって包含されてもよく、この場合、Rは、アルキル、アルケニル、これらの各々が任意に置換されているもの、または1つ以上のO、N、S、C=O、COO、およびNHC=Oで割込まれているもの、およびアリールから選択され;
mは、0−4であり;および
−Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、これらの各々が任意に置換されているもの、または1つ以上のO、N、S、C=O、COO、およびNHC=Oで割込まれているもの、およびアリールから選択される。
【0103】
前記「単官能ベンゾキサジン」の具体例としては:
【0104】
【化38】


式中、Rは上記で定義されたものと同様であり;または
【0105】
【化39】


が挙げられる。
【0106】
多くのベンゾキサジンは、現在、Huntsman Advanced Materials社;Georgia−Pacific Resins社;およびShikoku Chemicals社(千葉、日本)を含むいくつかの供給源から商業的に入手でき、この内、最後の会社はB−a、B−m、F−a、C−a、PdおよびF−aベンゾキサジン樹脂を提供する。
【0107】
しかしながら、所望であれば、市販品の供給源を使う代わりに、典型的にはベンゾキサジンをフェノール性化合物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノールとアルデヒドとアルキルまたはアリールアミンとを反応させることによって製造することができる。米国特許第5,543,516号公報(参照して本明細書中に明示的に組入れられる)は、ベンゾキサジンを形成する方法を開示しており、反応物の濃度、反応性および温度によって決まる反応時間を数分から数時間の間で変えることができる。また、Burkeらの文献(J.Org.Chem.,30(10),3423(1965));一般的には米国特許第4,607,091号(Schreiber)、同第5,021,484号(Schreiber)、同第5,200,452号(Schreiber)および同第5,443,911号(Schreiber)各公報を参照されたし。
【0108】
本発明の組成物において、ベンゾキサジンは、組成物の全重量を基準に約10から約90重量%の範囲、例えば、約25から75重量%の範囲、好ましくは、約35から約65重量%の範囲で存在しなければならない。
【0109】
ベンゾキサジンの重合は、高い温度条件下で自己開始でき、そしてまたカチオン重合開始剤、例えば、ルイス酸、および他の公知のカチオン重合開始剤、例えば、メタルハライド;有機金属誘導体;メタロポルフィリン化合物、例えば、アルミニウムフタロシアニン塩化物;メチルトシラート、メチルトリフレート、およびトリフリック酸;およびオキシハロゲン化物を含有することで自己開始できる。同様に、塩基性材料、例えば、イミダゾールを使って重合を開始することができる。
【0110】
典型的には、本発明の付加物を含む組成物は、約40から約95重量%の熱硬化性成分、約5から50重量%の本発明の付加物、および約0.2から約10重量%の硬化剤を有する。
【0111】
上記のように、この組成物は熱硬化性成分として、任意のエポキシ、エピスルフィドまたはベンゾキサジンを含んでいてもよく、少なくともこの成分の一部は、多官能モノマーである。通常は、組成物で使われる多官能モノマーは、組成物の約20重量%から約100重量%の範囲の量で含まれていなければならない。
【0112】
単官能モノマーが存在する場合、通常、反応性希釈剤、または架橋密度変性剤として使われなければならない。前記単官能モノマーが組成物の一部として含まれる場合には、前記樹脂は組成物を基準として最高、約20重量%の量まで使われなければならない。
【0113】
本発明で採用されている用語「硬化試薬(curing agent)」または「硬化剤(curative)」は、重合促進剤、共硬化試薬、触媒、開始剤または他の添加物を意味し、接着剤配合物の硬化に関与するかまたは硬化を促進する。エポキシドをべースとする接着剤配合物に関して、前記硬化試薬には、重合促進剤および触媒、例えば、無水物、アミン、イミダゾール、アミド、チオール、カルボン酸、フェノール、ジシアンジアミド、尿素、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミン3ハロゲン化ボロン錯体、第4級アンモニウム塩、第4級リン酸塩、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、および類似物、さらには、これらの任意の2種以上の組合せが含まれ、また、任意に遷移金属錯体も含まれる。現在、エポキシ組成物のための好ましい硬化試薬および触媒には、無水物、アミン、イミダゾール、および類似物が含まれる。
【0114】
当業者によって容易に理解されるとおり、本発明の実施で使うことを意図した硬化試薬は、反応性の官能基、任意の共反応物などの存在によって変化すると考えられる。典型的には、硬化試薬の量は、組成物の約1重量%から最高、約50重量%の範囲で減少し、現在、好ましい硬化試薬の量は、組成物の約5重量%から最高、約40重量%の範囲に入ると考えられる。
【0115】
エポキシドをベースとする接着剤配合物と共に使うことを意図した開始剤とは、ヒドロキシ官能基化化合物、例えば、アルキレングリコールが挙げられる。好ましいアルキレングリコールとしては、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0116】
本発明の実施で任意に使うことを意図した充填材としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、グラファイト、ベリリウムオキシド、マグネシア、シリカ、例えば、ヒュームド・シリカまたは融合シリカ、アルミナ、ペルフルオロ炭化水素ポリマー(すなわち、TEFLON)、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー、雲母、ガラス粉末などが挙げられる。好ましい充填材の粒子径は、約20ミクロンであると考えられる。充填材として窒化アルミニウムを使う場合、粘着性、絶縁保護コーティング(例えば、シリカ、または類似物)介して不動態化することが好ましい。これらいくつかの充填材によって、接着剤配合物が硬化した後の接着剤に、例えば、低い熱膨張、低い誘電定数、改善された靱性、高い疎水性などの特性を与えることができる。
【0117】
本発明の実施で任意に使うことを意図した軟化剤(可塑剤とも呼ばれる)としては、配合物のTg下げる分岐鎖ポリアルカンまたはポリシロキサンが挙げられる。この軟化剤としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリチオール、ポリスルフィドなどが挙げられる。軟化剤を利用する場合、典型的には、これは組成物の約0.5重量%から最高、約30重量%の範囲の量で存在する。
【0118】
染料および/または顔料を本発明の実施で使うことができる。このような染料および顔料を使う場合、典型的には、これは組成物を基準として、約0.5重量%から最高、約5重量%の範囲の量で存在する。
【0119】
ゴム粒子、特に、比較的小さい平均粒子径(例えば、約500nm未満または約200nm未満)を有するゴム粒子が本発明の組成物に含まれていてもよい。このゴム粒子には、公知のコア−シェル構造に共通のシェルがあっても、またはなくてもよい。
【0120】
コア−シェル構造のゴム粒子の場合、この粒子は一般的に、弾性またはゴム状特性(すなわち、約0℃未満のガラス転移温度、例えば、約−30℃未満)を有するポリマー材料を含むコアを有し、このコアは非弾性ポリマー材料(すなわち、ガラス転移温度が環境温度、例えば、約50℃より高い熱可塑性または熱硬化性/架橋ポリマー)を含むシェルによって囲まれている。例えば、このコアは、ジエンホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと1種以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート、または類似物とのコポリマー)を含んでいてもよく、一方、このシェルは、1種以上のモノマー、例えば、(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン)、ビニルシアニド(例えば、アクリロニトリル)、不飽和酸および無水物(例えば、アクリル酸)、(メタ)アクリルアミドなどの適当に高いガラス転移温度のポリマーまたはコポリマーを含んでいてもよい。また、コアとして適切に使用してもよい他のゴム状ポリマーとしては、ポリブチルアクリレートまたはポリシロキサンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。
【0121】
ゴム粒子は、2層より多い層を含むことができる(例えば、1つのゴム状材料のコア中心は、異なったゴム状材料の第2のコアによって囲まれていてもよく、またはこのゴム状コアは、異なった組成物の2つのシェルによって囲まれていてもよく、またはこのゴム粒子は、軟質コア、硬質シェル、軟質シェル、硬質シェルの構造のものであってもよい)。本発明の1つの態様では、使われるゴム粒子は、異なった化学組成物および/または特性を有する1つのコアと少なくとも2つの同心のシェルを含む。コアまたはシェルのいずれか一方、またはコアとシェルの両方は、架橋されていてもよい(例えば、イオン結合的か共有結合的)。このシェルはコアにグラフトされていてもよい。このシェルを含むポリマーは、本発明の組成物の他の成分と相互作用できる1種以上の異なったタイプの官能基(例えば、エポキシ基)を持っていてもよい。
【0122】
典型的には、このコアは約50から約95重量%のゴム粒子を含み、一方、このシェルは約5から約50重量%のゴム粒子を含むことができる。
【0123】
好ましくは、このゴム粒子は粒子径が比較的小さい。例えば、平均粒子径は、約0.03から約2ミクロンまたは約0.05から約1ミクロンであってもよい。このゴム粒子の平均粒子径は、約500nm未満、例えば、約200nm未満であってもよい。例えば、このコア−シェルゴム粒子の平均粒子径は、約25から約200nmの範囲にあってもよい。
【0124】
コア−シェル構造を有するゴム粒子を製造する方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第4,419,496号、第4,778,851号、第5,981,659号、第6,111,015号、第6,147,142号、および第6,180,693号各公報に開示されており、これらの各々は参照して全体が本明細書中に組入れられる。
【0125】
コア−シェル構造を有するゴム粒子は、このゴム粒子が1種以上のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに分散されているマスターバッチとして製造することができる。例えば、ゴム粒子は、典型的には、水性分散体またはエマルジョンとして製造される。このような分散体またはエマルジョンは、所望のエポキシ樹脂と組合わせてもよく、またはエポキシ樹脂と水と他の蒸留などによって除去される揮発物物質との混合物であってもよい。このマスターバッチを製造する1つの方法は、国際公開特許第WO2004/108825号公報により詳細に開示されており、これは参照して全体が本明細書中に組入れられる。例えば、ゴム粒子の水性ラテックスは、水への部分的な溶解性を有する有機媒体と接触、次いで前記の第1有機媒体よりも水への部分的な溶解性が低い他の有機媒体と接触して、水を分離し、前記第2有機媒体へゴム粒子を分散することができる。この分散体を、次いで、所望のエポキシ樹脂および蒸留などで除去する揮発物物質と混合して、マスターバッチを提供できる。
【0126】
コア−シェル構造のゴム粒子がエポキシ樹脂マトリックス中に分散している、特に適したものはKaneka社から入手できる。
【0127】
例えば、コアは、ポリブタジエン、ポリアクリレート、ポリブタジエン/アクリロニトリル混合物、ポリオールおよび/またはポリシロキサンまたはガラス転移温度を低くする任意の他のモノマーの供給原料から主に形成することができる。外部シェルは、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルまたはガラス転移温度をより高くする任意の他のモノマーの供給原料から主に形成することができる。
【0128】
コア−シェルゴムの粒子径は、0.07から10μm、例えば、0.1から5μmの範囲にあってもよい。
【0129】
このようにして作られるコア−シェルゴムは、エポキシマトリックスまたはフェノール性マトリックスに分散されていてもよい。エポキシマトリックスの例としては、ビスフェノールA、FまたはS、またはビフェノールのジグリシジルエーテル、ノボラックエポキシ、および脂環式エポキシが挙げられる。フェノール性樹脂の例としては、ビスフェノールAをベースとするフェノキシが挙げられる。
【0130】
このコア−シェルゴム分散体は、エポキシまたはフェノール性マトリックス中に約5から約50重量%の範囲の量で存在することができ、粘度を考慮して約15から約25重量%が好ましい。
【0131】
本発明の組成物において使用される場合、これらのコア−シェルゴムは組成物を強化することができ、そして分散が実質的に均一であるので、しばしば予測可能な方法で−硬化に関する温度のニュートラル性によって−組成物を強化することができ、この均一分散は、通常、販売商品のコア−シェルゴムで観察される。
【0132】
Kaneka社から入手できるコア−シェルゴム構造の多くは、(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレンのコポリマーから製造されるコアを有すると考えられ、このブタジエンはエポキシ樹脂に分散された相分離粒子中の主要な成分である。コア−シェルゴム粒子がエポキシ樹脂に分散された他の市販マスターバッチとしては、Wacker Chemie社からのGENIOPERL M23A(30重量%コア−シェル粒子が、ビスフェノールAジグリシジルエーテルをベースとする芳香族エポキシ樹脂中に分散したもの;このコア−シェル粒子は、平均粒子径が約100nmであり、かつエポキシ官能性アクリレートコポリマーがグラフト化された架橋シリコンエラストマーコアを含む;このシリコンエラストマーコアは約65重量%のコア−シェル粒子を示す)。
【0133】
前記のシェルがないゴム粒子の場合、このゴム粒子は前記の構造のコアをベースとすることができる。
【0134】
好ましくは、このゴム粒子の粒子径は比較的小さい。例えば、平均粒子径は約0.03から約2μmまたは約0.05から約1μmであってもよい。本発明のある態様では、ゴム粒子の平均粒子径は約500nm未満である。他の態様では、平均粒子径は約200nm未満である。例えば、ゴム粒子の平均粒子径は、約25から約200nmまたは約50から約150nmの範囲であってもよい。
【0135】
このゴム粒子は、一般に、弾性またはゴム状特性(すなわち、約0℃未満のガラス転移温度、例えば、約−30℃未満)を有するポリマー材料を含む。例えば、ゴム粒子は、ジエンホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンと1種以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート、または類似物とのコポリマー)およびポリシロキサンを含む。ゴム粒子は官能基、例えば、カルボキシレート基、ヒドロキシル基、または類似物を含むことができ、そして直鎖、分岐鎖、架橋、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマー構造を有することができる。
【0136】
例えば、このゴム粒子は主に、ジエン、例えば、ブタジエン、(メタ)アクリレート、エチレン系不飽和ニトリル、例えば、アクリロニトリル、および/または重合または共重合した場合にガラス転移温度が低いポリマーまたはコポリマーを与える任意の他のモノマーの供給原料から形成することができる。
【0137】
このゴム粒子は乾燥形態で使うことができ、またはマトリックス、例えば、エポキシマトリックスまたはフェノール性マトリックス中に分散することができる。好ましいマトリックス材料は、室温で液体である。エポキシマトリックスの例としては、ビスフェノールA、FまたはS、またはビスフェノールのジグリシジルエーテル、ノボラックエポキシ、および脂環式エポキシが挙げられる。フェノール性樹脂の例としては、ビスフェノールAをベースとするフェノキシが挙げられる。
【0138】
このゴム粒子は、エポキシまたはフェノール性マトリックス中に約5から約50重量%(約15から約40重量%)の範囲の量で存在できる。
【0139】
典型的には、組成物は、約5から約35重量%(1つの態様において、約15から約30重量%)のゴム粒子を含むことができる。
【0140】
本発明では、異なったゴム粒子の組合せを有利に使うことができる。ゴム粒子は、例えば、それぞれの材料の粒子径、ガラス転移温度が異なっていてもよく、それはどのような程度でか、材料がどのように官能化されているか、表面が処理されているかどうか、および表面がどのように処理されているかによる。
【0141】
このゴム粒子の一部は、粒子がエポキシ樹脂マトリックス中に安定して分散されているマスターバッチの形態で接着剤組成物に供給することができ、他の部分は、乾燥粉末の形態で接着剤組成物に供給することができる(すなわち、いかなるエポキシ樹脂または他のマトリックス材料を使わずに)。例えば、接着剤組成物は、平均粒子径が約0.1から約0.5μmで乾燥粉末の形態の第1型のゴム粒子と、液体ビスフェノールAジグリシジルエーテルのマトリックス中に約5から約50重量%の濃度で安定して分散している平均粒子径が約25から約200nmの第2型のゴム粒子とを使って製造することができる。前記第1型と第2型のゴム粒子の重量比は、例えば、約1.5:1から約0.3:1であってもよい。
【0142】
このゴム粒子の化学組成は、実質的に各粒子全体を通して均一であってもよい。しかしながら、この粒子の外表面は、カップリング剤、酸化剤、またはこの類似物との反応によって変性することができ、それによってゴム粒子が接着剤組成物中に分散する性能を高めることができる(例えば、ゴム粒子の凝集、ゴム粒子の接着剤組成物からの沈降を抑える)。
また、ゴム粒子表面を変性することで、接着剤を硬化するときにエポキシ樹脂マトリックスとゴム粒子との接着力を高めることができる。あるいは、ゴム粒子に放射線を当てて、粒子の異なった領域にあってゴム粒子を構成するポリマーの架橋範囲を変えることができる。例えば、ゴム粒子をγ放射線で処理して、粒子の中心よりも粒子の表面近傍でより高度にゴムを架橋することができる。
【0143】
本発明で使うのに適したゴム粒子は、商品として入手できる。例えば、Eliokem社から供給されるゴム粒子である、例えば、NEP R0401およびNEP R401S(共にアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーをベースとする);NEP R0501(カルボキシル化アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーをベースとする;CAS第9010−81−5号);NEP R0601A(ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンをベースとする;CAS第70131−67−8号);およびNEP R0701およびNEP R0701S(ブタジエン/スチレン/2−ビニルピリジンコポリマーをベースとする;CAS第25053−48−9号)を使うことができる。
【0144】
また、反応性ガスまたは他の試剤で処理して、例えば、極性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボン酸基)を粒子表面に作ることで粒子の外表面を変性したゴム粒子は、本発明で使うのに適している。代表的な反応性ガスとしては、例えば、オゾン、Cl、F、O、SO、および酸化ガスが挙げられる。このような試剤を使ってゴム粒子の表面を変性する方法は当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,382,635号、第5,506,283号、第5,693,714号、および第5,969,053号各公報に開示されており、これらの各々は参照して全体が本明細書中に組入れられる。また、適した表面変性ゴム粒子は、例えば、Exousia社から商標名VISTAMERで販売されているゴムのような商品から入手できる。
【0145】
ゴム粒子が初めは乾燥形態で提供される場合、接着剤組成物を硬化する前にこのような粒子を接着剤組成物中に十分確実に分散することは有利と言える。すなわち、好ましくは、個々のゴム粒子が離散するようにゴム粒子の凝集体を細分化するが、乾燥ゴム粒子と接着剤組成物の他の成分との均質で完全な混合によってこの離散を達成することができる。例えば、有効な時間、乾燥ゴム粒子とエポキシ樹脂とをブレンドおよび粉砕し、または溶融、混合わせて 実質的、完全にゴム粒子を分散し、ゴム粒子のあらゆる凝集物を細分化する。
【0146】
本発明の組成物を硬化するのに適した条件としては、少なくとも約120℃から約190℃未満の温度で約0.5から最高、約60分の間、例えば、180℃で30分間、組成物を暴露することを含む。
【0147】
より具体的には、本発明の付加物がチオールおよび/またはアミン官能基を含んでいる場合、または反応して前記の官能基で官能基化される場合、熱硬化性樹脂のための潜在的硬化剤として本発明の付加物を使うことができる。さらに、前記付加物を使って上記の温度より低い温度、例えば、約100℃で硬化可能な組成物を製造することができる。
【0148】
また、本発明の組成物は、所望により1パート組成物または2パート組成物として形成することができる。1パート組成物では、例えば、極低温での粉砕技術によって本発明の付加物を均一な粒子径にまで粉砕し、分散可能な粒子径にすることは好ましいと言える。2パート組成物では、本発明の付加物を前記2つのパートの内の1つに可溶化させることができる。
【0149】
付加物E、G、K、N、TおよびVは、すでにアミン基で官能基化されており、従って、例えば、さらに反応させずにそのまま使うことができる。付加物Qはイソシアネートで官能基化されており、アミンまたはチオールでそれぞれ官能基化するために必要なのは、例えば、アミノアルコールまたはヒドロキシルチオールと反応させることだけである(下記の付加物QAを参照されたし)。付加物Bはヒドロキシルで官能基化されており、最初にイソシアネート(例えば、本明細書で開示されている任意のもの)と反応させ、次いで例えば、アミノアルコールまたはヒドロキシルチオールと反応させて付加物Bをアミンまたはチオールでそれぞれ官能基化する(下記の付加物BAを参照されたし)。
【0150】
【化40】

【0151】
本発明は、第1の物材を第2の物材に接着剤で付ける方法を提供する。この方法は、以下のステップ、
(a)本発明の組成物を第1の物材に適用するステップ、
(b)前記第1の物材と第2の物材とを均質に接触して組立て品を形成するステップ、ここで、前記第1の物材と前記第2の物材は、ステップ(a)で適用した接着剤組成物で分離されているのみであり、その後、
(c)前記組立て品を前記組成物を硬化するのに適した条件下に置くステップを含む。
【0152】
本発明のさらに別の態様では、これらの方法で製造した組立て品が提供される。
【0153】
これから、下記の実施例によって本発明を例示することができる。
実施例1
ポリウレタン型付加物の一般的製造:
【0154】
1当量の官能基化ポリエーテルまたはポリジメチルシロキサン骨格材料(例えば、ヒドロキシル、アミノ、メルカプトまたはカルボキシルの内の1つで各末端が停止されたもの)と2当量のジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート)の2つの材料を、鎖延長剤、例えば、トリメチロールプロパンの存在下、または非存在下、20から100℃の間の温度、特に60から80℃の間の温度、不活性雰囲気で適当な触媒反応に基づいて接触反応させる。この反応を、イソシアネート含量が反応の完結を示す値になるまで維持する。この反応では、材料を別々でも、またはブレンドして使ってもよい。
【0155】
次いで、末端イソシアネート官能基と必要なキャッピング剤、例えば、フェノール(例えば、2,2’−ジアリルビスフェノールAまたはレゾルシノール)、ジアミン(例えば、JEFFAMINE D−2000またはHYCAR 1300×21)またはエポキシ(例えば、EPON828/EPON1001のブレンド)とを反応させることによって、上記中間体のイソシアネート末端付加物をキャップする。
【0156】
このようにして、付加物A1−2、C1−6、R1−4、S、T、W、Z、ABおよびACを合成することができる。
【0157】
付加物D1−D8の場合、イソシアネートを使わない合成ルートを採用し、ここでは、ジアミノ末端PDMS材料と2当量のCBCブロックJEFFAMINEとを反応させて対応するCBC末端付加物を与える。次いで、この末端CBC基と適当なフェノール性キャッピング剤とを反応させることによって前記付加物をキャップする。
実施例2
A−B−Aブロックコポリマー型付加物の製造:
【0158】
ここで、ブロックBとして、1当量の官能基化ポリエーテルまたはポリジメチルシロキサン骨格材料 (例えば、ヒドロキシル、無水物、(メタ)アクリレート、またはアミンの内の1つで各末端が停止されている)と適当量(例えば、2当量)のブロックA材料とを反応させる。例えば、アミノ/メルカプト/ヒドロキシ末端ブロックB材料とラクトン、例えば、カプロラクトン(付加物B1−4)との反応、1当量以上のJEFFAMINEをアクリレートまたはメタクリレート末端ブロックB材料へMichael付加反応(付加物K1−10、付加物N1−9)することによるアミンまたはメルカプト含有材料の反応、または(メタ)アクリレート末端ブロックAセグメントへMichael付加反応(付加物Y)することによるアミンまたはメルカプト末端ブロックB材料の反応、または無水物末端ブロックB材料と1当量以上のアミン/メルカプト/ヒドロキシ末端ブロックA材料との反応(付加物E)。
【0159】
適当な化学量論量のブロックAおよびB材料を、反応物の性質および属性によって 適切な温度で1−24時間加熱し、A−B−Aブロックコポリマー型付加物を形成する。
実施例3
アミン末端付加物のエポキシ基によるキャッピング:
【0160】
この反応を、一般的に米国特許第5,084,532号公報に従って実施した。従って、適切なモル比でEPON828とEPON1001とのブレンドを反応容器に仕込み、温度110℃で機械的に攪拌しながら流動性を有する溶融エポキシブレンドを形成するのに十分な時間加熱した。次いで、JEFFAMINE T−403を滴下し、温度110℃で1時間攪拌して反応させた。次いで、この反応混合物に適切なアミン末端付加物を滴下し、さらに攪拌しながら同じ温度で1時間反応させ、それから室温に冷却した。
【0161】
この手順で付加物F、H、M1−10、P1−9及びWを製造した。
実施例4
アミン末端付加物のCBCによるキャッピング:
【0162】
この反応を一般的に、Angew.Chem.Int.Ed.,42,5094−5097(2003)を参照して実施した。
【0163】
アミン末端付加物と適切な必要量のカルボニルビスカプロラクタムとを反応容器に仕込み、攪拌しながら温度100−150℃に1−24時間加熱し、次いで、冷却した。
【0164】
この手順で付加物I、J、L1−9、O1−7、U1、X、AD1−3およびAEを製造した。
実施例5
【0165】
低い温度で良好なウエッジ衝撃強化特性を示す付加物は、JEFFAMINE D−2000を(メタ)アクリレート末端ポリジメチルシロキサン、DMS R11のメタクリレート二重結合にMicheal付加反応することによって製造した。次いで、下記のスキームに示し、前に実施例3および4で記載されたように、初めのアミン末端Micheal付加物(付加物K1−10、N1−9)を、カルボニルビスカプロラクタムとの反応(付加物L1−9、O1−7)、またはエポキシとの反応(付加物P1−9、M1−10)によってキャップした。
【0166】
【化41】

【0167】
より具体的には、洗浄、乾燥した丸底フラスコ中で、JEFFAMINE D−2000(80g、0.04mol)を温度170℃まで加熱し、攪拌しながら(メタ)アクリレート末端PDMS、DMS R11(21g、0.02mol)を滴下した。DMS R11の添加終了後、さらにこの反応物を90分攪拌してから室温に冷却した。初めの付加物(付加物N7)として、黄色の絹のような低い粘度の樹脂を得た。
【0168】
上記の得られた樹脂(37.88g、0.0075mol)をCBCでキャップするために、カルボニルビスカプロラクタム(3.78g、0.015mol)と混合し、減圧下で脱気し、不活性ガスでフラッシュし、温度100℃で90分加熱した。この反応を室温に冷却して黄色のゲル状/半固体の樹脂(付加物O7)を得た。
【0169】
あるいは、エポキシでキャップするため、一般的に、米国特許第5,084,532号(Schenkel)公報の、例えば実施例1に従って反応を実施した。
【0170】
代わりにフェノールでキャップするため、ワンポット合成について開示している下記の段落の記載のように反応を実施した。
【0171】
PPG:PDMS比を4:1で付加物ACの合成
【0172】
オーバヘッド撹拌装置、窒素導入口、温度計、および圧力を一定に保つ滴下漏斗を備えた洗浄、乾燥した丸底フラスコに、PPG2000(120g、0.06mol)、シラノールDMS C16(10.875g、0.015mol)、トリメチロールプロパン(0.76g、0.0056mol)およびヘキサメチレンジイソシアネート(22.96g、0.136mol)を仕込んだ。ジブチル錫ジラウレートを触媒として添加し、この溶液を不活性雰囲気下で攪拌し、温度を60℃に上昇したところで気泡形成とともに反応が開始するのを観察し、温度が80−120℃まで上昇した。内容物を温度80−120℃で90分攪拌し、それから温度80−90℃に冷却した。さらに90分攪拌しながら2,2’−ジアリルビスフェノールAを添加し、最後の30分の攪拌は減圧下で行い、揮発物を除去し、それから室温に冷却した。このように形成された付加物は、下記に示す構造に類似の構造を有すると考えられる。
【0173】
【化42】


実施例6
【0174】
表1は、異なった付加物で製造した一連のモデル配合物を示す。
【0175】
【表3】

*DGEBPAをベースとするニトリルゴム変性エポキシプレポリマー Struktol Company of America社(Stow、OH)から商品として入手可能
**一般的に、米国特許第5,084,532号公報(Schenkel)、例えば、実施例1 に従って製造
***反応性希釈剤
【0176】
表1Aから1Eは、多くの付加物を製造するために使う原材料成分のリストを示し、この付加物は本明細書で参照され以下の実施例で示される。
【0177】
【表4】

【0178】
【表5】

【0179】
【表6】

【0180】
【表7】

【0181】
【表8】

【0182】
上の表1A−1Eに関連して、下記の説明は有用である。
PPG2000=ポリプロピレングリコール(分子量2000)
TMP=トリメチロールプロパン
2,2’−DABPA=2,2’−ジアリルビスフェノールA
ポリTHF2000=ポリテトラヒドロフラン(分子量2000)
IPDI=イソホロンジイソシアネート
DMAP=N,N’−ジメチルアミノピリジン
MDI=HMDI=ヘキサメチレンジイソシアネート
HYCAR1300×21=アミン末端ブタジエン−アクリロニトリル樹脂
VTBN1300×43=ビニル末端ブタジエン−アクリロニトリル樹脂
ポリTHF−ブロック−ポリ−CPL=ポリテトラヒドロフラン−ポリカプロラクトンブロックコポリマー
LP3=液体ポリスルフィド樹脂

シラン/シリコン材料:
Gelest社から:
DMS−A12=ビス(3−アミノプロピル)末端PDMS(分子量900−1000)
DMS−C15=ヒドロキシエチレンオキシドプロピル末端PDMS(分子量1000)
DMS−C21=ヒドロキシエチレンオキシドプロピル 末端PDMS(分子量4500−5500)
DMS−R11=メタクリルオキシプロピル末端PDMS(分子量900−1200)
DMS−U22=(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)末端PDMS(分子量1000−1200)
DBE−U12=アクリルオキシ末端エチレンオキシドジメチルシロキサン−エチレンオキシドABAブロックコポリマー(分子量1500−1600)
DMS−Z21=無水コハク酸末端PDMS(分子量600−800)
PDMS1218=ビス(3−アミノプロピル)末端PDMS(分子量−1200)

Wacker Silicones社から:
PDMS1218=ビス(3−アミノプロピル)末端PDMS(分子量−1200)
PDMS3345=ビス(3−アミノプロピル)末端PDMS(分子量−3350)
SLM446016−15VP=ビス(メタクリルオキシ)メチル末端PDMS(分子量−1330)
SLM446016−50VP=ビス(メタクリルオキシ)メチル末端PDMS(分子量−3880)
SLM446200−350 ♯SB800=ヒドロキシ末端PDMS−コポリカプロラクトンコポリマー(分子量−5800)
SLM446200−350 ♯SB801=ヒドロキシ末端PDMS−コポリカプロラクトンコポリマー(分子量−9030)

Tego Chemie社から:
TEGOMER V−Si2250=直鎖アクリルオキシ末端有機官能化PDMS(分子量−2500)
TEGOMER C−Si2342=直鎖カルボキシル末端有機官能化PDMS(分子量−2800)
TEGOMER H−Si2311=直鎖ヒドロキシ末端有機官能化PDMS(分子量−2500)
【0183】
配合物評価の結果を下の表2−14の各々に説明する。
【0184】
表2−14では、付加物AC、V、H、U1、U2、M1、M2、M3、M4、M5、N、O1、O2、およびO3のそれぞれの、ISO11343に従ったグリットブラスト仕上げ軟鋼衝撃剥離試験用の厚さ0.8mmの切取り試片について、室温、−20℃、および−40℃の少なくとも1点で、ウエッジ衝撃性能のために厚さ0.25mmの接合線を使って動的抵抗および衝撃エネルギーを評価した。
【0185】
【表9】

【0186】
【表10】

【0187】
【表11】

【0188】
【表12】

【0189】
【表13】

【0190】
【表14】

【0191】
【表15】

【0192】
【表16】

【0193】
【表17】

【0194】
表中の00は、形成した結合を評価し、手動でも引離すことが可能なほどの、すなわち、ゼロ強度または0.00強度を有することを示す。
【0195】
【表18】

【0196】
【表19】

【0197】
【表20】

【0198】
【表21】

実施例7
【0199】
下の表15で示す量の付加物AE−1を使ってエポキシ組成物を形成した。
【0200】
【表22】

【0201】
試料番号100は、コントロールであり、比較目的で用いた。
【0202】
各試料番号100−104は、次いで温度180℃で30分硬化し、引張剪断強度および剥離強度を評価し、結果を下の表16に記載している。
【0203】
【表23】

【0204】
試料番号100は、低いT剥離強度を示すが、一方、組成物中の付加物AEの濃度を徐々に上げると、例えば、試料番号102−103の20−30重量%のレベルで、引張剪断およびT剥離強度がともに増加し、この付加物が強化目的では有用であることを例示している。
【0205】
また、下の表17に示すように、付加物AEを使って、および比較のために他の強化剤を使ってエポキシ組成物を形成した。
【0206】
【表24】

*ビスフェノールAジグリシジルエーテルエポキシ樹脂のマトリックスに、25重量%のナノサイズのコア−シェルゴムを含むマスターバッチであり、Kaneka社から商品として入手可能
**米国特許第5,084,532号(Schenkel)公報に従って製造
***米国特許第5,278,257号(Mulhaupt)公報、実施例16−20に従って製造
【0207】
試料番号105はコントロールであり、比較する目的で使う。
【0208】
試料番号105−109の各々については、引張剪断強度および剥離強度を評価し、結果は下の表18に記載している。
【0209】
【表25】

【0210】
表18の結果は、付加物AEがリストに挙って評価された強化材との組合せで、共強化材として有用であることを示している。より具体的には、Kaneka MX120コア−シェルゴムまたはエポキシ−JEFFAMINE付加物のいずれか一つと組合せた場合、コントロールと比較して引張剪断強度の値はマイナスに影響するが、T剥離強度は優れた値を達成する。
実施例8
【0211】
JEFFAMINE D2000と10%、20%および50%モル当量のDMS A12(アミノプロピル末端PDMS、分子量800−1100)とのブレンドを各々適量のCBCと反応して、下に示すように、CBCがブロックされたJEFFAMINE D2000と10%、20%および50%のCBCがブロックされたPDMSとの混合物からなる樹脂性の生成物を与える。
【0212】
【化43】

得られた付加物を付加物ADと言う。
【0213】
表19Aおよび19Bは、CBCがブロックされたJEFFAMINEと付加物ADを使って製造された試料の配合物情報を提供する。
【0214】
【表26】

【0215】
【表27】

【0216】
試料番号110は、コントロールであり、比較の目的で使う。下の表20は、エポキシ配合物において付加物AD−1、2および3を使ったT剥離および引張剪断強度の性能を記載し、これらの付加物によって配合物が強化されることを示している。
【0217】
【表28】

【0218】
T剥離および引張剪断強度を、以下のそれぞれのパラメータに従って評価した:
180℃引張剥離
ASTM D1876
試験片:グリットブラスト仕上げ軟鋼(GBMS)、基体の厚さ1.00mm
接合線:0.25mm
試験速度:200mm/min
試験温度:環境温度、0、−10、−20、−30、−40℃
引張剪断
ASTM D1002
試験片: グリットブラスト仕上げ軟鋼(GBMS)、基体の厚さ1.6mm
接合線:0.05mm
試験速度:200mm/min
試験温度:環境温度
【0219】
この付加物を使うことで、マスクされたイソシアネート官能基(硬化の間はブロックされない)を介して、硬化エポキシネットワークにPDMSを導入する手段を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式I:
【化1】



(式中、RおよびR’は、各々独立して、ポリエーテル、ペルフルオロポリエーテル、ポリジメチルシロキサンおよびヒドロキシ末端ポリブタジエンの骨格からなる群より選択され、ただし、RがPPGの場合、R’はPPGではないか、またはXはArOではなく;
ZおよびZ’は、各々独立して、−CH−K−(NH)(0,1)CO−から選択され、ここでKは、C1−C70直鎖または分岐鎖アルキレンまたはアルキレンオキシ、C−C12シクロアルキレンまたはシクロアルキレンオキシ、およびC−C15アリーレンまたはアリーレンオキシからなる群より選択され;
Xは、ArO−、ArO−C=O、およびメルカプトまたはアミノ官能基化アルキレンまたはアルキレンオキシ尿素、ウレタンまたはチオウレタンからなる群より選択され、ここでArは、フェニル、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、アリル、アルキル、アルケニル、カルボキシ、N−カルバモイル官能基化5から7員環式アミド、エポキシエーテルおよびヒドロキシル官能基化エーテルからなる群より選択され;および
yは、1−4であり、およびxは、1−3である)を含む付加物。
【請求項2】
前記のポリエーテル骨格が、ポリプロピレングリコール、ポリTHF、ポリエーテルジアミン、およびメルカプト官能基化ポリチオエーテルJEFFAMINE型骨格からなる群より選択される、請求項1に記載の付加物。
【請求項3】
一般式II:
【化2】


II
(式中、X、Z、Rおよびyは、上記で定義されたものと同様である)で表される、請求項1に記載の付加物。
【請求項4】
一般式III:
【化3】


III
(式中、Mは、アルキレン、シクロアルキレン、またはアリーレン結合からなる群より選択され;
Jは、ヒドロキシアルキレン、−OC=O、またはLと共に形成されるリング構造からなる群より選択され;
Lは、Hまたは上記のようにJと共に形成されるリング構造であり;および
R、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である)で表される、請求項1に記載の付加物。
【請求項5】
前記のLおよびJと共に形成されるリング構造が、
【化4】


である、請求項4に記載の付加物。
【請求項6】
一般式IV:
【化5】


IV
(式中、Arはアリール基であり、およびR、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である)で表される、請求項1に記載の付加物。
【請求項7】
一般式V:
【化6】



(式中、nは0−2であり、およびR、Z’、R’、xおよびyは、上記で定義されたものと同様である)で表される、請求項1に記載の付加物。
【請求項8】
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

からなる群より選択される、請求項1に記載の付加物。
【請求項9】
(a)熱硬化性成分;および
(b)請求項1に記載の付加物、を含む硬化性組成物。
【請求項10】
前記の熱硬化性成分が、エポキシ、エピスルフィド、ベンゾキサジン及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記の熱硬化性成分が、
【化14】

(式中、oは、1−4であり、Xは、直接結合(oが2の場合)、アルキル(oが1の場合)、アルキレン(oが2−4の場合)、カルボニル(oが2の場合)、チオール(oが1の場合)、チオエーテル(oが2の場合)、スルホキシド(oが2の場合)、およびスルホン(oが2の場合)から選択され、Rは、水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択され、およびRは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される);
【化15】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2の場合)、ジフェニルメタン(pが2の場合)、ジフェニルイソプロパン(pが2の場合)、ジフェニルスルフィド(pが2の場合)、ジフェニルスルホキシド(pが2の場合)、ジフェニルスルホン(pが2の場合)、およびジフェニルケトン(pが2の場合)から選択され、およびRは、水素、ハロゲン、アルキルおよびアルケニルから選択される)からなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−505020(P2010−505020A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529850(P2009−529850)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/IE2007/000087
【国際公開番号】WO2008/038257
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】