説明

新規製剤、該製剤を含む錠剤、それらの使用及びそれらの調製方法

【課題】新規製剤、該製剤を含む錠剤、それらの使用及びそれらの調製方法を提供する。
【解決手段】本発明は、DPP-4阻害薬とパートナー薬の多剤複合薬を含む医薬組成物、その調製方法、及び特定疾患を治療するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPP-4阻害薬とパートナー薬の多剤混合薬(fixed dose combination)を含む医薬組成物、その調製方法、及び特定疾患を治療するためのそれらの使用に関する。
さらに詳細な態様では、本発明は、選ばれたジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬と特定パートナー薬の多剤混合薬(FDC)のための経口固体剤形に関する。FDC製剤は、化学的に安定であり、a)その遊離混合薬に対してin-vitro溶解プロファイルの類似性を示し、及び/又は生物学的に等価であり、或いはb)in-vitro及びin-vivo性能を所望レベルに調整することができる。好ましい実施形態では、本発明は、合理的な錠剤サイズを用いて、それぞれ個々の実体の対応する単錠剤の元の溶解プロファイルを維持する化学的に安定したFDC製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
CD26としても知られる酵素DPP-4は、そのN-末端にプロリン又はアラニン残基を有するいくつかのタンパク質のN-末端からのジペプチドの切断をもたらすことが分かっているセリンプロテアーゼである。この特性のため、DPP-4阻害薬はペプチドGLP-1などの生理活性ペプチドの血漿レベルと干渉し、糖尿病の治療に有望な薬物と考えられている。
例えば、DPP-4阻害薬及びその使用は、WO 2002/068420、WO 2004/018467、WO 2004/018468、WO 2004/018469、WO 2004/041820、WO 2004/046148、WO 2005/051950、WO 2005/082906、WO 2005/063750、WO 2005/085246、WO 2006/027204、WO 2006/029769若しくはWO2007/014886;又はWO 2004/050658、WO 2004/111051、WO 2005/058901、WO 2005/097798;WO 2006/068163、WO 2007/071738、WO 2008/017670;WO 2007/128721若しくはWO 2007/128761に開示されている。
さらなるDPP-4阻害薬として以下の化合物が挙げられる。
−下記構造式Aを有するシタグリプチン(Sitagliptin)(MK-0431)は、(3R)-3-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-5H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンであり、(2R)-4-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]-1-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-2-アミンとも称する。
【0003】
【化1】

【0004】
一実施形態では、シタグリプチンはその二水素リン酸塩、すなわちシタグリプチンリン酸塩の形態である。さらなる実施形態では、シタグリプチンリン酸塩は結晶性無水物又は一水和物の形態である。この実施形態の分類はシタグリプチンリン酸塩一水和物を表す。シタグリプチン遊離塩基及びその医薬的に許容しうる塩は、米国特許第6,699,871号及びWO 03/004498の実施例7に開示されている。結晶性シタグリプチンリン酸塩一水和物は、WO 2005/003135及びWO 2007/050485に開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−下記構造式Bを有するビルダグリプチン(Vildagliptin)(LAF-237)は、(2S)-{[(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アミノ]アセチル}ピロリジン-2-カルボニトリルであり、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンとも称する。
【0005】
【化2】

【0006】
ビルダグリプチンは、米国特許第6,166,063号及びWO 00/34241の実施例1に詳細に開示されている。WO 2007/019255にはビルダグリプチンの特有の塩が開示されている。ビルダグリプチンの結晶形はWO 2006/078593に開示されている。ビルダグリプチンの結晶形はWO 2006/078593に開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−下記構造式Cを有するサクサグリプチン(Saxagliptin)(BMS-477118)は、(1S,3S,5S)-2-{(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル}-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリルであり、(S)-3-ヒドロキシアダマンチルグリシン-L-cis-4,5-メタノプロリンニトリルとも称する。
【0007】
【化3】

【0008】
サクサグリプチンは、米国特許第6,395,767号及びWO 01/68603の実施例60に詳細に開示されている。WO 2004/052850に開示されているように、一実施形態では、サクサグリプチンはそのHCl塩又はそのモノ安息香酸塩の形態である。さらなる実施形態では、サクサグリプチンは遊離塩基の形態である。なおさらなる実施形態では、WO 2004/052850に開示されているように、遊離塩基の一水和物の形態である。サクサグリプチンのHCl塩及び遊離塩基の結晶形はWO 2008/131149に開示されている。WO 2005/106011及びWO 2005/115982には、サクサグリプチンの調製方法も開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−下記構造式Dを有するデナグリプチン(Denagliptin)(GSK-823093)は、(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロピオニル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリルであり、(2S,4S)-4-フルオロ-1-[4-フルオロ-β-(4-フルオロフェニル)-L-フェニルアラニル]-2-ピロリジンカルボニトリルとも称する。
【0009】
【化4】

【0010】
デナグリプチンは、米国特許第7,132,443号及びWO 03/002531に詳細に開示されている。一実施形態では、デナグリプチンは、WO 03/002531の実施例2に開示されているように、その塩酸塩の形態であり、或いはWO 2005/009956に開示されているように、そのトシル酸塩の形態である。この実施形態の分類は、トシル酸デナグリプチンを表す。結晶性無水トシル酸デナグリプチンはWO 2005/009956に開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−下記構造式Eを有するアログリプチン(アログリプチン)(SYR-322)は、2-({6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル}メチル)ベンゾニトリルである。
【0011】
【化5】

【0012】
アログリプチンは、US 2005/261271、EP 1586571及びWO 2005/095381に詳細に開示されている。一実施形態では、アログリプチンは、それぞれWO 2007/035629に開示されているように、その安息香酸塩、その塩酸塩又はそのトシル酸塩の形態である。この実施形態の分類は安息香酸アログリプチンを表す。WO 2007/035372には安息香酸アログリプチンの多形が開示されている。アログリプチンの調製方法は、WO 2007/112368、詳細にはWO 2007/035629に開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−(S)-1-((2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-1,3,4,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル)-4-フルオロメチル-ピロリジン-2-オン又はその医薬的に許容しうる塩:
【0013】
【化6】

【0014】
この化合物及びその調製方法はWO 2005/000848に開示されている。この化合物(特にその二塩酸塩)の調製方法もWO 2008/031749、WO 2008/031750及びWO2008/055814に開示されている。
従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
−(R)-2-[6-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イルメチル]-4-フルオロ-ベンゾニトリル又はその医薬的に許容しうる塩:
【0015】
【化7】

【0016】
この化合物並びにその調製及び使用方法はWO 2005/095381、US 2007060530、WO 2007/033350、WO 2007/035629、WO 2007/074884、WO 2007/112368及びWO 2008/033851に開示されている。特に請求された塩として、コハク酸塩(WO 2008/067465)、安息香酸塩、ベンセンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、(R)-マンデル酸塩及び塩酸塩が挙げられる。従って、例えばこの化合物又はその塩の製造方法に関する詳細については、これらの文献を参照されたい。
この発明の医薬組成物内でDPP-4阻害薬と併用されるパートナー薬は、ビグアナイド(例えばメトホルミン塩酸塩などのメトホルミン)、チアゾリジノン(例えばピオグリタゾン塩酸塩などのピオグリタゾン)、スタチン(statine)(例えばアトルバスタチン)又はARB(例えばテルミサルタン)である。
ビグアナイド高血糖治療薬メトホルミンは米国特許第3,174,901号に開示されている。メトホルミン(ジメチルジグアニド)とその塩酸塩の製法は最新技術であり、最初にEmil A. Werner及びJames Bell, J. Chem. Soc. 121, 1922, 1790-1794で開示された。メトホルミンの他の医薬的に許容しうる塩は、1999年3月4日提出の米国特許出願第09/262,526号又は米国特許第3,174,901号に開示されている。ここで使用されるメトホルミンはメトホルミン塩酸塩であることが好ましい。
特に言及しない限り、本文脈では、用語「DPP-4阻害薬」、「ビグアナイド」、「チアゾリジン」、「スタチン」、「ARB」、又は「メトホルミン」、「ピオグリタゾン」のようなそのいずれの種も、いずれのその医薬的に許容しうる塩、結晶形、水和物、溶媒和物、ジアステレオマー又はエナンチオマーをも含むものとする。
如何なる疑いをも避けるため、上で引用した前記各文献の開示は、参照によってその全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
選ばれたDPP-4阻害薬の医薬組成物を調製する試みの中で、一級又は二級アミノ基を有するDPP-4阻害薬は、例えば微結晶性セルロース、ナトリウムデンプングリコラート、クロスカルメロースナトリウム、酒石酸、クエン酸、グルコース、フルクトース、サッカロース、ラクトース、マルトデキストリン等のくつかの通例の賦形剤との非適合性、分解の問題、抽出の問題を示すことが観察された。化合物自体は非常に安定であるが、それらは非適合性のパートナー薬、若しくはその不純製品と反応し、及び/又は固体剤形で使われる多くの賦形剤と反応し、また特に錠剤でもたらされる緊密な接触中及び高い賦形剤/薬物比にて賦形剤の不純物と反応する。アミノ基が、還元糖及び他の反応性カルボニル基及び例えば微結晶性セルロースの表面に酸化によって形成されたカルボン酸官能基と反応するようである。これらの不測の問題は主に、DPP-4阻害薬の驚くべき効力のため必要とされる低用量範囲のDPP-4阻害薬を使用する場合、及び/又は高用量範囲のパートナー薬を使用する場合に観察される。従って、医薬組成物は、選ばれたDPP-4阻害化合物の予想外の効力に付随しうるこれらの技術的問題を解決するよう要求される。
当業者には、前記所見及び以下の所見から本発明の他の目的が明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
今や、本明細書でさらに詳細に述べる医薬組成物が驚くべき、特に有利な特性を有することが分かった。
特に、例えば安定剤としての適切な緩衝剤のような、安定化するために適しうる求核性及び/又は塩基性薬剤をこれらの医薬組成物内で使用することによって、これらの問題、例えば非適合性及び不十分な安定性の問題、特に、例えば非適合性パートナー薬、又はその不純製品及び/又は例えばN-アセチル誘導体若しくはN-カルバモイル誘導体などの遊離塩基型DPP-4阻害薬との誘導体を形成するような官能基(例えば糖の還元末端又はアシル基、例えばアセチル若しくはカルバモイル基など)を有する医薬賦形剤と併用した場合に遊離塩基型DPP-4阻害薬の反応(例えば、アシル化、尿素形成又はMaillard反応など)によって起こりうる分解及び/又は「アッセイデグリース(assay decrease)」の問題を克服することができる。従って、これらの医薬組成物内で適切な求核性及び/又は塩基性薬剤(例えば緩衝剤及び/又はpH修正剤)を使用することによって、分解及び崩壊からの保護を達成することができる。
【0019】
従って、本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、求核性及び/又は塩基性薬剤とを含む化学的に安定なFDC製剤に関する。
従って、本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、適切な緩衝剤とを含む化学的に安定なFDC製剤にも関する。
従って、本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、適切なpH修正剤とを含む化学的に安定なFDC製剤にも関する。
本発明の意味の範囲内のDPP-4阻害薬には、限定するものではないが、上述及び後述するいずれの当該DPP-4阻害薬をも包含され、好ましくは経口的に活性なDPP-4阻害薬が挙げられる。
さらに厳密な実施形態では、本発明の意味の範囲内のDPP-4阻害薬には、アミノ基、特に遊離又は一級アミノ基を有するDPP-4阻害薬が含まれる。
なおなさらに厳密な実施形態では、本発明の文脈のDPP-4阻害薬は、一級アミノ基、特に遊離一級アミノ基を有するDPP-4阻害薬である。
【0020】
使用するパートナー薬は、ビグアナイド(例えばメトホルミン塩酸塩などのメトホルミン)、チアゾリジノン(例えばピオグリタゾン塩酸塩などのピオグリタゾン)、スタチン(例えばアトルバスタチン)及びARB(例えばテルミサルタン)から成る群より選択される。この発明の意味の範囲内で好ましいパートナー薬は、メトホルミン、特にメトホルミン塩酸塩(1,1-ジメチルビグアナイド塩酸塩又はメトホルミンHCl)である。
使用する緩衝剤は、分子内アミノ基及びアルカリ特性を有する塩基性アミノ酸(等電点、pI:7.59〜10.76)、例えばL-アルギニン、L-リジン又はL-ヒスチジンであってよい。この発明の意味の範囲内で好ましい緩衝剤はL-アルギニンである。L-アルギニンは、例えば、パートナー薬の存在下でDPP-4阻害薬の分解を抑制することによって、この発明の組成物に適した安定化効果を及ぼす。
本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、求核性及び/又は塩基性薬剤と、1種以上の医薬賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、適切な緩衝剤と、1種以上の医薬賦形剤とを含む医薬組成物にも関する。
本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、pH修正剤と、1種以上の医薬賦形剤とを含む医薬組成物にも関する。
一実施形態では、本発明は、DPP-4阻害薬と、パートナー薬(特にメトホルミン)と、組成物及び/又はDPP-4阻害薬を特に化学分解に対して安定化するためのL-アルギニンと、1種以上の医薬賦形剤とを含む医薬組成物(例えば経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
別の実施形態では、本発明はDPP-4阻害薬と、パートナー薬(特にメトホルミン)と、組成物及び/又はDPP-4阻害薬を特に化学分解に対して安定化するためのL-アルギニンと、1種以上の医薬賦形剤とから得られる医薬組成物(例えば経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般に、使用しうる医薬賦形剤は、1種以上の充填剤、1種以上の結合剤又は希釈剤、1種以上の潤沢剤、1種以上の崩壊剤、及び1種以上の流動促進剤、1種以上のフィルムコーティング剤、1種以上の可塑剤、1種以上の色素などから成る群より選択されうる。
この発明の医薬組成物(錠剤)は通常、結合剤を含む。
さらに詳細には、この発明の医薬組成物(錠剤)は通常、1種以上の充填剤(例えばD-マンニトール、トウモロコシデンプン及び/又はアルファ化デンプン)、結合剤(例えばコポビドン)、潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、及び流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)を含む。
好適には、この発明内で使用する医薬賦形剤は、通常の材料、例えば充填剤としてD-マンニトール、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、結合剤としてコポビドン、潤沢剤としてステアリン酸マグネシウム、流動促進剤としてコロイド無水シリカ、フィルム-コーティング剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、色素として二酸化チタン、酸化鉄赤/黄、及びタルク等である。
本発明の典型的組成物は、結合剤コポビドン(コポリビドン又はKollidon VA64としても知られる)を含む。
さらに、本発明の典型的組成物は、充填剤トウモロコシデンプン、結合剤コポビドン、潤沢剤ステアリン酸マグネシウム、及び流動促進剤コロイド無水シリカを含む。
【0022】
本発明の実施形態の医薬組成物は、糖尿病の治療を想定し、及び/又は1型又は2型糖尿病患者で血糖コントロールを達成することを意図し、適切な医薬賦形剤と共に本明細書に記載の多剤混合薬製剤を含む。さらに、本組成物を用いて、関節リウマチ、肥満症及び骨粗しょう症を治療できるのみならず、同種移植片移植術を補助することができる。
従って、特に、本発明は、DPP-4阻害薬と、メトホルミン塩酸塩と、L-アルギニンと、1種以上の医薬賦形剤、特に1種以上の充填剤、1種以上の結合剤、1種以上の流動促進剤、及び/又は1種以上の潤沢剤とを含む医薬組成物(特に経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
さらに詳しくは、本発明は、DPP-4阻害薬と、メトホルミン塩酸塩と、L-アルギニンと、結合剤としてコポビドンと、1種以上のさらなる医薬賦形剤とを含む医薬組成物(特に経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
この発明の典型的医薬組成物は、DPP-4阻害薬部分にDPP-4阻害薬部分全体の0.1〜10質量%(例えば、約0.1%、0.25%、0.556%、2.12%、2.22%又は10%など)、特に約2%(例えば、さらに詳しくは、無コート単層錠剤の錠剤コア全体の2.12質量%)のL-アルギニンを含みうる。
この発明の典型的医薬組成物はDPP-4阻害薬部分に(DPP-4阻害薬部分全体の質量%)、
0.2〜10%のDPP-4阻害薬、及び
0.1〜10%のL-アルギニン
を含みうる。
この発明の典型的医薬組成物は、DPP-4阻害薬とL-アルギニンを約1:20〜約10:1又は約1:15〜約10:1又は約1:10〜約10:1、特に1:10〜5:2の質量比で、例えば1:10、1:8.5、1:5、1:1、又は1:0.4等の質量比、さらに詳しくは2.5mg:25mg、2.5mg:21.2mg、2.5mg:12.5mg、2.5mg:2.5mg、又は2.5mg:1mgの質量比で含みうる。
この発明の典型的医薬組成物は、メトホルミン塩酸塩とL-アルギニンを約40:1〜約1000:1の質量比、例えば40:1、200:1、340:1、400:1、500:1、850:1、又は1000:1の質量比、さらに詳しくは500mg:12.5mg、850mg:21.2mg、1000mg:25mg、500mg:2.5mg、850mg:2.5mg、1000mg:2.5mg、500mg:1mg、850mg:1mg、又は1000mg:1mgの質量比で含みうる。
この発明の典型的医薬組成物は、DPP4-阻害薬、メトホルミン塩酸塩及びL-アルギニンを約1:200:0.4〜約1:200:5(例えば1:200:0.4、1:200:1、1:200:5)、又は約1:340:0.4〜約1:340:8.5(例えば1:340:0.4、1:340:1、1:340:8.5)、又は約1:400:0.4〜約1:400:10(例えば1:400:0.4、1:400:1、1:400:10)の質量比で含みうる。
【0023】
この発明の典型的医薬組成物は、下記量(コーティング錠剤の総質量の質量%)の1種以上の薬剤を含む:
0.1〜0.5% DPP-4阻害薬、
47〜85% メトホルミンHCl、
0.07〜2.2% L〜アルギニン、
3.9〜8.1% 結合剤(例えばコポビドン)、
2.3〜5.9% 充填剤1(例えばトウモロコシデンプン)、
0〜4.4% 充填剤2(例えばアルファ化デンプン)、
0〜33% 充填剤3(例えばD-マンニトール)、
0.7〜1.5% 潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、及び
0.1〜0.5% 流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)。
この発明のFDC製剤についてのさらなる詳細が、例えば成分、成分の比(例えばDPP-4阻害薬、メトホルミン塩酸塩、L-アルギニン及び/又は賦形剤の比)、特にこの発明で使用する特有の剤形(錠剤)及びそれらの調製について、前記及び後記開示(例としての下記実施例並びに特許請求の範囲を含む)から当業者には明らかになる。
【0024】
第一実施形態(実施形態A)では、本発明の文脈のDPP-4阻害薬は、下記式(I)
【0025】
【化8】

【0026】
又は下記式(II)
【0027】
【化9】

【0028】
又は下記式(III)
【0029】
【化10】

【0030】
(式中、R1は([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル、(キナゾリン-2-イル)メチル、(キノキサリン-6-イル)メチル、(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル、2-シアノ-ベンジル、(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル、(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル、(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル、又は(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチルを表し、R2は3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ又は(2-(S)-アミノ-プロピル)-メチルアミノを表す)
のいずれかのDPP-4阻害薬、
又はその医薬的に許容しうる塩であり;
第二実施形態(実施形態B)では、本発明の文脈のDPP-4阻害薬は、
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン及びアログリプチン、
又はその医薬的に許容しうる塩
から成る群より選択されるDPP-4阻害薬である。
第一実施形態(実施形態A)に関して、好ましいDPP-4阻害薬は、下記化合物のいずれか又は全て及びそれらの医薬的に許容しうる塩である:
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(142)と比較せよ):
【0031】
【化11】

【0032】
・1-[([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(252)と比較せよ):
【0033】
【化12】

【0034】
・1-[(キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(80)と比較せよ):
【0035】
【化13】

【0036】
・2-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブタ-2-イニル)-5-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3,5-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-4-オン(WO 2004/050658、実施例136と比較せよ):
【0037】
【化14】

【0038】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチイン-1-イル)-8-[(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン(WO 2006/029769、実施例2(1)と比較せよ):
【0039】
【化15】

【0040】
・1-[(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(30)と比較せよ):
【0041】
【化16】

【0042】
・1-(2-シアノ-ベンジル)-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(39)と比較せよ):
【0043】
【化17】

【0044】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(S)-(2-アミノ-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン(WO 2006/029769、実施例2(4)と比較せよ):
【0045】
【化18】

【0046】
・1-[(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(52)と比較せよ):
【0047】
【化19】

【0048】
・1-[(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(81)と比較せよ):
【0049】
【化20】

【0050】
・1-[(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(82)と比較せよ):
【0051】
【化21】

【0052】
・1-[(キノキサリン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(83)と比較せよ):
【0053】
【化22】

【0054】
これらのDPP-4阻害薬は、例外的な効力及び長く続く作用と、有利な薬理学的特性、受容体選択性及び有利な副作用プロファイルとを兼ね備え、或いは他の医薬活性物質と併用した場合に予想外の治療上の利点又は改善をもたらすので、構造的に匹敵するDPP-4阻害薬から区別される。それらの製法は、言及した公報に開示されている。
この発明の実施形態Aの上記DPP-4阻害薬のうち、より好ましいDPP-4阻害薬は、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、特にその有利塩基である(BI 1356としても知られる)。
第二実施形態(実施形態B)に関して、好ましいDPP-4阻害薬は、ビルダグリプチン、サクサグリプチン及びアログリプチン、並びにそれらの医薬的に許容しうる塩から成る群より選択される。
特に言及しない限り、この発明により、上記DPP-4阻害薬の定義は、それらの医薬的に許容しうる塩並びにそれらの水和物、溶媒和物及び多形を含むものと解釈すべきである。それらの塩、水和物及び多形については、特に上記及び後記で言及する当該塩、水和物及び多形を参照されたい。
実施形態Aについて、この発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の合成方法は当業者に知られている。有利なことに、文献に記載の合成方法を利用して、この発明の実施形態AのDPP-4阻害薬を調製することができる。従って、例えば、WO 2002/068420、WO 2004/018468、WO 2005/085246、WO 2006/029769又はWO 2006/048427(その開示は本明細書に組み込まれる)に記載されているように、式(I)のプリン誘導体を得ることができる。例えば、WO 2004/050658又はWO 2005/110999(その開示は本明細書に組み込まれる)に記載されているように、式(II)のプリン誘導体を得ることができる。例えば、WO 2006/068163、WO 2007/071738又はWO 2008/017670(その開示は本明細書に組み込まれる)に記載されているように、式(III)のプリン誘導体を得ることができる。本明細書で具体的に上述した当該DPP-4阻害薬の製法は、それらと関連して言及した公報に開示されている。特定のDPP-4阻害薬の多形性結晶変態及び処方は、それぞれWO 2007/128721及びWO 2007/128724(その開示全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
実施形態Bについて、実施形態BのDPP-4阻害薬の合成方法は、科学文献及び/又は公開された特許文献、特に本明細書で引用した当該文献に記載されている。
【0055】
第一実施形態(実施形態A)について、実施形態Aで言及したDPP-4阻害薬を経口投与する場合に典型的に必要な用量は、0.5mg〜100mg、好ましくは2.5mg〜50mg又は0.5mg〜10mg、さらに好ましくは2.5mg〜10mg又は1mg〜5mg、各場合1日に1〜4回である。従って、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンを経口投与する場合に必要な用量は、患者1人当たり1日に0.5mg〜10mg、好ましくは患者1人当たり1日に2.5mg〜10mg又は1mg〜5mgである。
実施形態Aで述べたDPP-4阻害薬を含む医薬組成物を用いて調製される剤形は0.1〜100mg、特に0.5〜10mgの用量範囲で活性成分を含む。従って、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの特定の用量強度(dosage strength)は0.5mg、1mg、2.5mg、5mg及び10mgである。本発明の医薬組成物の多剤混合薬組成物に含めるための1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンのさらに詳しい単位用量強度は2.5mgである。
第二実施形態(実施形態B)について、哺乳類、例えば、体重が約70kgの例えばヒトに投与する予定の実施形態Bで述べたDPP-4阻害薬は一般的に、1日1人当たり約0.5mg〜約350mg、例えば約10mg〜約250mg、好ましくは20〜200mg、さらに好ましくは20〜100mgの活性成分、又は1日1人当たり約0.5mg〜約20mg、好ましくは2.5〜10mgであり、好ましくは例えば、同一サイズであってよい1〜4回の単用量に分割される。単用量強度は、例えば、2.5、5、10、25、40、50、75、100、150及び200mgのDPP-4阻害薬活性成分を含む。
【0056】
DPP-4阻害薬シタグリプチンの用量強度は通常25〜200mgの活性成分である。シタグリプチンの推奨用量は、1日1回で活性部分(遊離塩基無水物)について計算される100mgである。シタグリプチン遊離塩基無水物(活性部分)の単位用量強度は25、50、75、100、150及び200mgである。シタグリプチン(例えば1錠剤当たり)の特定の単位用量強度は25、50及び100mgである。医薬組成物ではシタグリプチン遊離塩基無水物に対して等価量のシタグリプチンリン酸塩一水和物、すなわち、それぞれ、32.13、64.25、96.38、128.5、192.75、及び257mgを使用する。腎不全の患者では、調整用量25及び50mgのシタグリプチンを使用する。
DPP-4阻害薬ビルダグリプチンの用量範囲は通常1日10〜150mg、特に1日25〜150mg、25〜100mg又は25〜50mg又は50〜100mgである。1日の経口用量の特定例は、25、30、35、45、50、55、60、80、100又は150mgである。さらに詳しい態様では、ビルダグリプチンの1日の投与は25〜150mg又は50〜100mgである。別のさらに詳しい態様では、ビルダグリプチンの1日の投与は、50又は100mgである。活性成分の適用は1日3回まで、好ましくは1日1又は2回あってよい。特定の用量強度は50mg又は100mgのビルダグリプチンである。
【0057】
メトホルミンは通常、約250mg〜3000mg、特に500mg〜2000mgで変化する用量で1日2500mgまで種々の投与計画を利用して与えられる。
パートナー薬メトホルミンの用量範囲は通常100mg〜500mg又は200mg〜850mg(1日1〜3回)、又は1日1若しくは2回300mg〜1000mgである。
本発明で使うメトホルミン塩酸塩の単位用量強度は、100mg〜2000mg又は250mg〜2000mg、好ましくは250mg〜1000mgである。特定の用量強度は250、500、625、750、850及び1000mgのメトホルミン塩酸塩である。メトホルミン塩酸塩のこれらの単位用量強度は、2型糖尿病を治療するために市販するのに米国で承認されている用量強度に相当する。本発明の多剤混合薬医薬組成物に組み込むためのメトホルミン塩酸塩のさらに詳しい単位用量強度は、500、850及び1000mgのメトホルミン塩酸塩である。
パートナー薬ピオグリタゾンの用量は通常1日1回1〜10mg、15mg、30mg、又は45mgである。
パートナー薬テルミサルタンの用量は通常1日20mg〜320mg又は40mg〜160mgである。
パートナー薬アトルバスタチンの用量は通常1日1回1mg〜40mg又は10mg〜80mgである。
この発明の医薬組成物中のDPP-4阻害薬及びパートナー薬の量は、本明細書で前述したそれぞれの用量範囲に対応する。例えば、医薬組成物は、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンを0.5mg〜10mg(すなわち0.5mg、1mg、2.5mg、5mg又は10mg)の量で含み、メトホルミン塩酸塩を250mg〜1000mg(すなわち250、500、625、750、850又は1000mg)の量で含む。
【0058】
本発明の多剤混合薬中の1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン及びメトホルミン塩酸塩の用量強度の特有の実施形態は以下のとおりである。
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、及び500mgのメトホルミン塩酸塩;
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、及び850mgのメトホルミン塩酸塩;
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、及び1000mgのメトホルミン塩酸塩。
本発明のBI 1356とメトホルミンの特定の多剤混合薬を1日1回又は2回、特に1日2回投与してよい。
【0059】
本発明の好ましい態様では、本発明は、
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、ビルダグリプチン、サクサグリプチン及びアログリプチンから成る群より選択されるDPP-4阻害薬と、
メトホルミン塩酸塩と、
L-アルギニンと、
例えば本明細書に記載のもののような1種以上の医薬賦形剤と
を含むかこれらから得られる医薬組成物(特に経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
この発明の意味の範囲内で強調すべき特に好ましいDPP-4阻害薬は、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基(BI 1356としても知られる)である。
特に、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基とメトホルミンHClのFDC配合用の安定剤としてL-アルギニンが有効であることが分かった。加速条件で6カ月貯蔵した後でさえ、L-アルギニンは、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基の分解を効率的に抑制することができる。この効果は濃度に依存するようである。従って、L-アルギニンは、製剤中で安定剤及び緩衝剤として作用しうる。
【0060】
本発明のさらに好ましい態様では、本発明は、
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基(BI 1356)と、
メトホルミン塩酸塩と、
L-アルギニンと、
例えば本明細書に記載のもののような1種以上の医薬賦形剤と
を含むかこれらから作られる医薬組成物(特に経口固体剤形、特に錠剤)に関する。
この発明の典型的医薬組成物は、下記(1)、(2)又は(3)のいずれか1の量の活性成分とL-アルギニンを含むか又はそれらを混ぜ合わせる工程を含むことによって作られる:
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、500mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mg〜12.5mgのL-アルギニン(具体的には1.0mg、2.5mg又は12.5mgのL-アルギニン);
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、850mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mg〜21.2mgのL-アルギニン(具体的には1.0mg、2.5mg又は21.2mgのL-アルギニン);
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、1000mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mg〜25.0mgのL-アルギニン(具体的には1.0mg、2.5mg又は25mgのL-アルギニン)。
【0061】
本発明のさらなる態様では、本発明は、例えば当業者に周知の方法を利用し、及び/又は本明細書に記載のやり方でこの発明の組成物、製剤、ブレンド又は剤形を製造する方法を提供し、例えば、前述及び後述する成分(component)及び/又は構成要素(ingredient)、又はそのプレ混合物を使用する(例えば混合する、混ぜ合わせる、ブレンドする及び/又は構成する)工程を含む方法によってそれらを得ることができるのみならず、本発明はさらに、これらの方法若しくはプロセスによって得られ、及び/又は前述及び後述する成分、構成要素、プレ混合物及び/若しくは混合物から得られる組成物、製剤、ブレンド若しくは剤形を提供する。
本発明のさらなる態様では、本発明は、不純物及び/又は分解生成物が実質的にないか又はそれらをわずかしか含まないこの発明の医薬組成物、製剤、ブレンド又は剤形を提供する。すなわち例えば、本組成物、製剤、ブレンド又は剤形は、総質量で約<5%、又は約<4%、又は約<3%、又は約2%未満、好ましくは約1%未満、さらに好ましくは約0.5%未満、なおさらに好ましくは約0.2%未満しかいずれか個々又は全体的な不純物若しくは分解生成物、例えば遊離塩基型DPP-4阻害薬のN-アセチル及び/又はN-カルバモイル誘導体を含まないことを意味する。周知の分析方法、例えばHPLC法を利用して含量及び/又は分解を定量することができる。
この文脈では、本発明のさらなる態様において、本発明は、本明細書で述べるように、アミノ基、特に遊離一級アミノ基を有するDPP-4阻害薬の誘導体を提供し、前記誘導体はアミノ基のアセチル化(例えば基-NHC(O)CH3を得るため)又はアミノ基のカルバモイル化(例えば基-NHC(O)NH2得るため)によって得られる。
【0062】
この発明のFDC製剤の剤形:
この発明の別の目的は、合理的な錠剤サイズ、良い錠剤特性(例えば安定性、硬度、もろさ、崩壊、含量均一性など)を有し、かつ好ましい実施形態では、失敗のリスクが最小限の生物学的同等性の所望の証明に備えて、各単錠剤の元の溶解プロファイルを乱すことのない、この発明のFDC製剤を開発することである。
緩衝剤の溶解によるpHの変化は、DPP-4阻害薬又はパートナー薬の溶解プロファイルに影響を及ぼしうるので、錠剤サイズ及び溶解プロファイルを最適化するためのみならず、安定剤の量を最小限にするために剤形の設計は重要事項である。剤形の選択は、使用する活性成分の用量強度とそれらの物理化学的特徴及び固体状態の特徴によって決まる。
通常のアプローチ(すなわち物理的分離)は、この発明の特定DPP-4阻害薬の安定化には有用でないことがある。分解を抑制するため製剤にL-アルギニンのような緩衝剤を添加する必要があるが、L-アルギニンのアルカリ特性がDPP-4阻害薬又はパートナー薬の溶解プロファイル又は安定性に負の影響を及ぼしうるので、L-アルギニンの量を最小限にすることが必要な場合がある。
従って、この発明のFDC製剤に好適な剤形は、フィルムコーティング錠剤(特にパートナー薬を含む錠剤コア上にフィルムコーティングすることによるDPP-4阻害薬装填(loading)のような薬物装填のためのフィルムコーティング)、単層錠剤、二層錠剤、三層錠剤及びプレスコーティング錠剤(例えばDPP-4阻害薬コアを有する錠剤中錠剤又はブルズアイ(bull's eye)錠剤)であることが分かった。剤形は、使用するDPP-4阻害薬とパートナー薬の所望の医薬プロファイル及び特性の検討中に目標を果たすための良い尺度である。
前記剤形は、各単錠剤の元の溶解プロファイルを維持するか又は該プロファイルを所望レベル、例えば持続放出特性、及び合理的な錠剤サイズなどに調整するFDC製剤に適用可能であることが分かった。
この発明の典型的な単層錠剤は、DPP-4阻害薬、メトホルミン塩酸塩、L-アルギニン、1種以上の充填剤(例えばトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)、1種以上の流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ等)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含む。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、本発明は、
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(BI 1356としても知られ、例えば2.5mgの量で)と、
メトホルミン(特にメトホルミン塩酸塩、例えば500mg、850mg又は1000mgの量で)と、
L-アルギニンと、
1種以上の医薬賦形剤、特に1種以上の充填剤(例えばトウモロコシデンプン)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン)、1種以上の流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)及び/又は1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)と、
必要に応じて、例えば1種以上のフィルムコーティング剤(例えばヒプロメロース)、1種以上の可塑剤(例えばプロピレングリコール)、1種以上の色素(例えば二酸化チタン、酸化鉄赤及び/又は酸化鉄黄)及び/又は1種以上の流動促進剤(例えばタルク)を含むフィルムコートと
を含むか又はこれらから作られる経口固体医薬組成物、好ましくは錠剤、特に単層錠剤に関する。
この発明の錠剤の製造方法は、顆粒の形の1種以上の最終ブレンドの錠剤化(例えば圧縮)を含む。当業者に周知の方法(例えば高せん断湿式造粒又は流動床造粒)によって、この発明の(最終)ブレンドの顆粒を調製することができる。以下の実施例で例としてこの発明の顆粒及びこの発明の顆粒を調製するための造粒プロセス(その分離工程を含め)の詳細について述べる。
【0064】
単層組成物を含む顆粒の調製のための例示的造粒プロセスは以下の工程を含む。
i.) L-アルギニンと、結合剤(例えばコポビドン)と、必要に応じて、DPP-4阻害薬(例えばBI 1356)とを、純水などの溶媒又は溶媒混合物中で混ぜ合わせ(例えば溶解又は分散させ)て造粒液を製造する工程;
ii.) 適切な混合機(例えば流動造粒機)内でメトホルミンHClと、充填剤(例えばトウモロコシデンプン)と、必要に応じて、DPP-4阻害薬(例えばBI 1356)とをブレンドしてプレミックスを製造する工程
(ここで、前記DPP-4阻害薬(例えばBI 1356)はi.)で得られる造粒液又はii.)で得られるプレミックスのどちらかに含まれていればよく、好ましくはBI 1356は造粒液に分散しており、プレミックス中には存在しない);
iii.) 造粒液をプレミックスに噴霧し、この混合物を例えば流動床造粒機内で、好ましくは乾燥条件下にて造粒する工程;
iv.) この顆粒を1〜2%の範囲の所望乾燥減量値が得られるまで例えば約70℃の入口空気温度で乾燥させる工程;
v.) この乾燥顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかけることによって、デラッピング(delumping)する工程;
vi.) この篩いにかけた顆粒と好ましくは篩いにかけた流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)を適切なブレンダー内でブレンドする工程;
vii.) 例えば自由落下ブレンダー内で最終ブレンドするため、好ましくは篩いにかけた潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を顆粒に添加する工程。
【0065】
好ましくは、この発明の単層錠剤は、下記(1)、(2)又は(3)のいずれか1の量の活性成分とL-アルギニンを含む混合物を含むか又は該混合物から得られる。
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、500mgのメトホルミン塩酸塩、及び12.5mgのL-アルギニン;
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、850mgのメトホルミン塩酸塩、及び21.2mgのL-アルギニン;
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、1000mgのメトホルミン塩酸塩、及び25mgのL-アルギニン。
この発明の典型的な二層錠剤は、
DPP-4阻害薬、L-アルギニン、1種以上の充填剤(例えばD-マンニトール、アルファ化デンプン及びトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含むDPP-4阻害薬部分と、
メトホルミン塩酸塩、1種以上の充填剤(例えばトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)、1種以上の流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ等)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含むメトホルミンHCl部分と
を含む。
好ましくは、この発明の二層錠剤は、下記(1)、(2)又は(3)のいずれか1の量の活性成分とL-アルギニンを含む混合物を含むか又は該混合物から得られる。
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、500mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン;
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、850mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン;
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、1000mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン。
【0066】
この発明の典型的なプレスコーティング錠剤(錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤)は、
DPP-4阻害薬、L-アルギニン、1種以上の充填剤(例えばD-マンニトール、アルファ化デンプン及びトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含むDPP-4阻害薬コア部分と、
メトホルミン塩酸塩、1種以上の充填剤(例えばトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)、1種以上の流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含むメトホルミンHCl部分と
を含む。
好ましくは、この発明のプレスコーティング錠剤(錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤)は、下記(1)、(2)又は(3)のいずれか1の量の活性成分とL-アルギニンを含む混合物を含むか又は該混合物から得られる。
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、500mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mgのL-アルギニン;
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、850mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mgのL-アルギニン;
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、1000mgのメトホルミン塩酸塩、及び1.0mgのL-アルギニン。
【0067】
この発明の典型的なフィルムコーティング錠剤(メトホルミンHCl錠剤上のDPP-4阻害薬コーティング、すなわち薬物装填のためフィルムコーティングによる薬物層化)は、
メトホルミン塩酸塩、1種以上の充填剤(例えばトウモロコシデンプン等)、1種以上の結合剤(例えばコポビドン等)、1種以上の流動促進剤(例えばコロイド無水シリカ)及び1種以上の潤沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム等)を含むメトホルミンHClコア部分
(ここで、前記コア部分は、1種以上のフィルムコーティング剤(例えばヒプロメロース等)、1種以上の可塑剤(例えばプロピレングリコール等)、1種以上の色素(例えば二酸化チタン、酸化鉄赤及び/又は酸化鉄黄など)及び1種以上の流動促進剤(例えばタルク等)を含むフィルムコートでシールコーティングされている)と、
DPP-4阻害薬、L-アルギニン、1種以上のフィルムコーティング剤(例えばヒプロメロース等)及び1種以上の可塑剤(例えばプロピレングリコール等)を含むDPP-4阻害薬層と
を含む。
好ましくは、この発明のフィルムコーティング錠剤(DPP4-阻害薬装填)は、下記(1)、(2)又は(3)のいずれか1の量の活性成分とL-アルギニンを含む混合物を含むか又は該混合物から得られる。
(1) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、500mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン;
(2) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、850mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン;
(3) 2.5mgの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基、1000mgのメトホルミン塩酸塩、及び2.5mgのL-アルギニン。
好ましくは、これらの上記錠剤(単層、二層、プレスコーティング及び薬物コーティング錠剤)は、フィルムコーティング剤(例えばヒプロメロース等)、可塑剤(例えばプロピレングリコール等)、色素(例えば二酸化チタン、酸化鉄赤及び/又は酸化鉄黄など)及び流動促進剤(例えばタルク等)を含む最終フィルムコートでさらにオーバーコーティングされている。典型的に、この追加のフィルムオーバーコートは、組成物の総質量の1〜4%、好ましくは1〜2%に相当する。
【0068】
薬物の特性及び所望の医薬プロファイルに基づいた1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基(BI 1356)とメトホルミン塩酸塩のFDC製剤に本発明の以下の剤形を適用できる。
a) 単層錠剤
L-アルギニンを含む単層錠剤は満足な安定性結果、良い溶解特性及び良い含量均一性(CU)を示す。通常の技術(例えば、流動床造粒機に造粒液中の散剤として又は水性懸濁液としてDPP-4阻害薬を添加する工程を含む、DPP-4阻害薬とメトホルミン塩酸塩の流動床造粒など)を利用して単層錠剤を製造できる。
b) 二層錠剤
L-アルギニンを含む二層錠剤は有望な安定性結果、良い溶解特性及び良いCUを示す。通常の二層錠剤化技術(例えば回転式二層錠剤機)を利用して二層錠剤を製造できる。
c) プレスコーティング錠剤
プレスコーティング錠剤(錠剤中錠剤及び先進プレスコーティングブルズアイ錠剤)は、有望な安定性、良いCU及び溶解を示す。例えば錠剤中錠剤を得るためのKilian錠剤プレス機又はブルズアイ錠剤を得るための他の通常のプレスコーターによる等の通常のプレスコーティング技術を利用してプレスコーティング錠剤を製造できる。このアプローチの利点として、製剤中のL-アルギニンの量を最小限にすること及びDPP-4阻害薬部分のアッセイ及びCUを制御することが容易である(非常に小量の薬物装填;メトホルミンHClの用量強度が500、850及び1000mg/錠剤の場合2.5mg/錠剤)。別の利点は、DPP-4阻害薬部分及びメトホルミンHCl部分をフレキシブルに設計して錠剤サイズを最小限できることである。「ブルズアイ錠剤」と称する改良プレスコーティング錠剤は、二層錠剤及び他のFDCにとって可能性がある普遍的な投与量であってよい。別個のコア形成(二層錠剤化のような)を必要とせずに、一工程プレスコーティングでブルズアイ錠剤を製造できる。
当業者は、本明細書で使用する表現「ブルズアイ錠剤」が、この発明の意味の範囲内で何を意味するかが分かることに留意すべきである。当業者には既知なように、この錠剤(インレー(inlay)錠剤又はドットとも称する)は、外側コートと内側コアで構成され、かつ、内側コアゾーンが外側コートで完全に囲まれているのではなく、内側コアゾーンに対応するゾーンの一表面が露出している。
【0069】
d) フィルムコーティング錠剤(薬物装填のためのフィルムコーティングによる薬物層化)
メトホルミンHCl錠剤上のDPP-4阻害薬物のコーティングは、許容しうる溶解結果及び有望な安定性データを示す。安定化のため、フィルムコーティングにL-アルギニンを添加する必要がある。このアプローチの利点としては、剤形が改変/制御放出製剤である場合でさえ、DPP-4阻害薬部分をパートナー薬部分にそのまま組み込めることである。フィルムコーティングプロセス内では、コーティング終点の決定は分析を経る必要がある。
本明細書に記載のフィルムコーティングによるDPP-4阻害薬の層化方法(シールコーティング、薬物装填、及び、任意的なオーバーコーティングの工程を含む)は、活性成分(例えば本明細書に記載のパートナー薬)を含みうるいずれの種類のコア又は錠剤、例えばメトホルミンコア又は錠剤、例えば即時放出メトホルミン錠剤、徐放メトホルミン錠剤、持続放出メトホルミン錠剤、改変放出メトホルミン錠剤、制御放出メトホルミン錠剤又は遅延放出メトホルミン錠剤などにも適用可能である。従って、本発明はさらに、DPP-4阻害薬、フィルム形成剤(例えばヒプロメロース)、可塑剤(例えばプロピレングリコール)及びL-アルギニンを含むフィルムコート層を含むか、又は本明細書に記載のフィルムコーティングによるDPP-4阻害薬の該層化方法を利用する工程を含むことによって得られる錠剤に関する。本発明は、即時放出又は持続放出メトホルミン錠剤コアと、シールコートと、DPP-4阻害薬を含むフィルムコート層と、必要に応じて、オーバーコート層(例えばそれぞれ本明細書に記載の)とを含むFDC錠剤、並びにメトホルミン錠剤コア上にシールコーティングする工程と、フィルムコーティングによってDPP-4阻害薬を層化する工程と、必要に応じてオーバーコーティングする工程(例えばそれぞれ本明細書に記載の)とを含むプロセスで製造される該FDC錠剤にも関する。
【0070】
この発明の即時放出医薬剤形は、好ましくは45分後に、各活性成分について、少なくとも75質量%、なおさらに好ましくは少なくとも90質量%のそれぞれの活性成分が溶解されるような溶解特性を有する。特定の実施形態では、30分後に、特にこの発明の単層錠剤(錠剤コア及びフィルムコーティング錠剤を含む)の各活性成分について少なくとも70〜75質量%(好ましくは少なくとも80質量%)のそれぞれの活性成分が溶解される。さらなる実施形態では、15分後に、特にこの発明の単層錠剤(錠剤コア及びフィルムコーティング錠剤を含む)の各活性成分について少なくとも55〜60質量%のそれぞれの活性成分が溶解される。例えば標準的薬局方に従う標準的溶解試験(例えば、50rpmの撹拌速度、37℃の温度で溶解媒体として0.1M塩酸を用いたパドル法、並びにサンプルのHPLC(BI 1356)及びUV(メトホルミン)分析を利用して)で溶解特性を決定することができる。
本発明の医薬組成物及び医薬剤形では、BI 1356、例えばその結晶形は、好ましくはそれぞれの活性医薬成分の少なくとも90%が200μm未満の粒径を有するような粒度分布(好ましくは体積で)、すなわちX90<200μm、さらに好ましくはX90≦150μmを有する。さらに好ましくは、粒度分布はX90≦100μm、なおさらに好ましくはX90≦75μmのようなものである。さらに粒度分布は、好ましくはX90>0.1μm、さらに好ましくはX90≧1μm、最も好ましくはX90≧5μmのようなものである。従って、好ましい粒度分布は、0.1μm<X90<200μm、特に0.1μm<X90≦150μm、さらに好ましくは1μm≦X90≦150μm、なおさらに好ましくは5μm≦X90≦100μmのようなものである。BI 1356の粒度分布の好ましい例は、X90≦50μm又は10μm≦X90≦50μmのようなものである。前述した粒度分布を有するBI 1356を含む医薬組成物は所望の特性(例えば溶解、含量均一性、生産量などに関して)を示すことが分かる。前記粒径特性は、レーザー回折法、特に低角レーザー光散乱、すなわちFraunhofer回折によって決定される。或いは、顕微鏡(例えば電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡)で粒径特性を決定することもできる。異なる技法で決定された粒度分布の結果は相互に関連しうる。
【0071】
メトホルミンHCl部分の最適化製剤:
この発明の別の目的は、この発明の医薬組成物のメトホルミンHCl部分が改良された製剤を提供することである。
メトホルミンHCl部では、合理的な小さい錠剤サイズという前提条件を果たすために高い薬物負荷が有利である。
そこで、水溶性ポリマー、特にコポリビドンによるメトホルミンHClの表面処理によって、この発明の錠剤のメトホルミンHClの薬物負荷及び適合性(圧縮力-破砕強度プロファイル)を改善できることが分かった。
ポリビニルアルコール(PVA)、ヒプロメロース (HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ポビドン(PVP)及びコポリビドン等のいくつかの水溶性ポリマーを試験して、適合性(圧縮力-破砕強度プロファイル)を改善しうる。結果として、適合性についてはPVAが最良の効果を示すが、流動床造粒中の粘着問題のため製造可能性が不十分なことがある。さらに、PVAは、この発明の特定のDPP-4阻害薬の安定性に負の影響を及ぼすため最終的には選択され得ない。
製剤最適化の研究により、水溶性ポリマーコポリビドンによるメトホルミンHClの表面処理によって、組成物が84%より高いメトホルミンHClの薬物負荷を有し、破砕強度が改善されることを確認した。
従って、最終的に、コポリビドンを選択し、その量を最適化することができ、有利なことに、安定製剤をもたらし、かつ造粒溶液の粘度が、水溶液を調製して流動床造粒機による噴霧を操作するのに十分低くなる。
必要に応じてさらに、メトホルミンHCl薬物の加熱/乾燥が、メトホルミンHClと併用するこの発明の特定のDPP-4阻害薬の安定性を改善するのに有効であることが分かった。DPP-4阻害薬との造粒の開始前にメトホルミンHClの前処理を行なう必要がある。流動床造粒機を用いた80℃での加熱/乾燥は、メトホルミンHCl中の過剰量の揮発性不純物(尿素でありうる)を減らすのに役立ちうる。
【0072】
本発明は、本明細書に記載の特有の実施形態によって範囲が限定されることはない。本開示から当業者には、本明細書に記載するものに加えて本発明の種々の変更が明らかになるであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
本明細書で引用した全ての特許出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
以下の実施例から、本発明のさらなる実施形態、特徴及び利点が明白になるであろう。以下の実施例は、例として、本発明を制限することなく本発明の原理を説明するのに役立つ。
【実施例】
【0073】
1.単層錠剤
この発明のDPP-4阻害薬(BI 1356)+メトホルミンHCl FDCの単層錠剤(フィルムコーティング錠剤)の組成を下表1に示す。
【0074】

【0075】
製造手順(単層錠剤):
この発明のDPP-4阻害薬(例えばBI 1356)+メトホルミンHCl FDC単層錠剤は、回転式プレス機を用いて流動床造粒プロセス及び通常の錠剤化プロセスで製造される。任意に、活性DPP-4阻害薬成分と混合する前に、流動床造粒機のチャンバー内で加熱することによってメトホルミンHCl及びトウモロコシデンプンを前処理して、過剰のHCl及び/又は不純生成物を除去することができる。メトホルミンHClとトウモロコシデンプンの任意の前処理後、コポリビドン(Kollidon VA64)、L-アルギニン及び純水で構成された「造粒液」を噴霧することによって流動床造粒を行なう前にDPP-4阻害薬を散剤として添加して前混合するか、又はDPP-4阻害薬を直接「造粒液」に分散させる。流動床造粒の仕上げ工程後、顆粒を適切な篩いにかける。篩いにかけた顆粒をコロイド無水シリカ(Aerosil 200)及び潤沢剤としてステアリン酸マグネシウムとブレンドする。最終混合物を通常の回転式錠剤プレス機を用いて圧縮して錠剤を製する。
フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、流動促進剤としてタルク及び色素黄酸化鉄及び/又は赤酸化鉄及び二酸化チタンを含む水性フィルムコーティング懸濁液で錠剤コアをフィルムコーティングすることができる。
【0076】
単層錠剤の好ましい製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) 分配する前にメトホルミンHClとトウモロコシデンプンを0.5〜1mmのメッシュサイズの篩いにかける。
b) プロペラ混合機を用いて周囲温度で純水にL-アルギニン、BI 1356及び最後にコポリビドンを溶解させ、それぞれ分散させて「造粒液」を作る。
c) 適切な流動床造粒機のチャンバー内にメトホルミンHClとトウモロコシデンプンを吸引し、約36℃の生成物温度目標まで前加熱する。
d) 生成物温度目標に到達直後に、流動床造粒のため乾燥条件下で混合物に「造粒液」を噴霧して、造粒中のブロッキングを回避する。
e) 噴霧の最後に、結果として生じた顆粒を所望のLOD値(すなわち1〜2%)に達するまで約70℃の入口空気温度で乾燥させる。
f) 顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g) 篩いにかけた顆粒とコロイド無水シリカ(Aerosil 200)を適切なブレンダーを用いてブレンドする。Aerosil 200は、使用前に、篩いにかけた顆粒のごく一部と前もって0.8mmの篩いにかけるべきである。
h) ステアリン酸マグネシウムを0.8mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続き自由落下ブレンダー内で最終ブレンドすることによって、「最終ブレンド」を製造する。
i) 「最終ブレンド」を回転式プレス機で圧縮して錠剤を製する。
j) 高せん断ホモ混合物機を用いて、二酸化チタン、プロピレングリコール及び酸化鉄(黄、赤又は黄と赤)を純水に分散させる。次に、ヒプロメロースとタルクを加え、ホモ混合物機及びプロペラ混合物機を用いて周囲温度で分散させて「コーティング懸濁液」を製造する。
k) 「コーティング懸濁液」を用いて錠剤コアを目標増量までコーティングして、「フィルムコーティング錠剤」を製造する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌し、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
【0077】
単層錠剤の代替製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) メトホルミンHClを0.5〜1mmのメッシュサイズの篩いにかけた後に秤量する。
b) プロペラ混合物機を用いてL-アルギニンとコポリビドンを純水に周囲温度で溶解させて「造粒液」を製造する。
c) メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で70℃〜80℃にて生成物温度が60℃に達するまで15分より長く加熱する。
d) 容器にBI 1356を添加してから流動床造粒機内でメトホルミンHCl及びトウモロコシデンプンとブレンドする。
e) 流動床造粒のため乾燥条件下で「造粒液」を混合物に噴霧して、造粒中のブロッキングを回避する。
f) 噴霧の最後に、結果として生じた顆粒のLODが2%より高い場合は所望のLOD値(すなわち1〜2%)まで70℃〜80℃で乾燥させる。
g) 顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
h) 篩いにかけた顆粒とコロイド無水シリカ(Aerosil 200)を適切なブレンダーを用いてブレンドする。Aerosil 200は、使用前に0.5mmの篩いにかけるべきである。
i) ステアリン酸マグネシウムを0.5mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続きブレンダー内で最終ブレンドすることによって「最終ブレンド」を製造する。
j) 「最終ブレンド」を回転式プレス機で圧縮して錠剤を製する。
k) プロペラ混合機を用いてヒプロメロースとプロピレングリコールを純水に溶かす。ホモ混合機を用いて、タルク、二酸化チタン、及び酸化鉄(黄、又は黄と赤)を純水に分散させる。懸濁液をヒプロメロース溶液に添加してからプロペラ混合機で周囲温度にて混合して「コーティング懸濁液」を製造する。
l) 目標増量まで錠剤コアを「コーティング懸濁液」でコーティングして「フィルムコーティング錠剤」を製造する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌し、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
【0078】
2.二層錠剤
この発明のDPP-4阻害薬(BI 1356)+メトホルミンHCl FDC二層錠剤(フィルムコーティング錠剤)の組成を下表2に示す。
【0079】

【0080】
製造プロセス(二層錠剤):
多層回転式プレス機を用いて、高せん断湿式造粒プロセス(DPP-4阻害薬顆粒のため)、流動床造粒プロセス(メトホルミンHCl顆粒のため)、及び二層錠剤化プロセスによって、この発明のDPP-4阻害薬(例えばBI 1356)+メトホルミンHCl FDC二層錠剤を製造する。
DPP-4阻害薬顆粒:高せん断造粒機を用いて、活性DPP-4阻害薬成分を希釈剤D-マンニトール及びアルファ化デンプンと前混合する。純水及び結合剤としてコポビドンを含む造粒液で混合物を湿らせる。さらに混合、乾燥及び篩い分け後、乾燥顆粒を潤沢剤としてのステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
BI 1356顆粒の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a. コポビドンとL-アルギニンを純水に周囲温度で溶かして造粒液を製造する。
b. BI 1356、マンニトール及びアルファ化デンプンを適切な混合機でブレンドしてプレミックスを製造する。
c. プレミックスを造粒液で湿らせた後に造粒する。
d. 湿潤顆粒を適切な篩いにかける。
e. 所望の乾燥減量値が得られるまで適切な乾燥器内で約50℃(最高60℃)にて顆粒を乾燥させる。
f. 乾燥顆粒を1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g. ステアリン酸マグネシウムを1.0mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続き適切なブレンダーで最終ブレンドすることによって「最終ブレンドA」を製造する。
【0081】
メトホルミンHCl顆粒:流動床造粒機のチャンバー内で加熱することによってメトホルミンHClとトウモロコシデンプンを前処理して過剰のHCl及び/又は不純生成物を除去する。メトホルミンHClとトウモロコシデンプンの前処理後、コポリビドン(Kollidon VA64)と純水で構成された「造粒液」の噴霧によって流動床造粒を行なう。流動床造粒の仕上げ工程後、顆粒を適切な篩いにかける。篩いにかけた顆粒をコロイド無水シリカ(Aerosil 200)及び潤沢剤としてのステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
メトホルミンHCl顆粒の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) メトホルミンHClを0.5〜1mmのメッシュサイズの篩いにかけた後に秤量する。
b) プロペラ混合機を用いてコポリビドンを純水に周囲温度で溶解させて「造粒液」を製造する。
c) メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で70℃〜80℃にて生成物温度が60℃に達するまで15分より長く加熱する。
d) 流動床造粒のため乾燥条件下で「造粒液」を混合物に噴霧して、造粒中のブロッキングを回避する。
e) 噴霧の最後に、結果として生じた顆粒のLODが2%より高い場合は所望のLOD値(すなわち1〜2%)まで70℃〜80℃にて乾燥させる。
f) 顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g) 篩いにかけた顆粒とコロイド無水シリカ(Aerosil 200)を適切なブレンダーでブレンドする。Aerosil 200は、使用前に0.5mmの篩いにかけるべきである。
h) ステアリン酸マグネシウムを0.5mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続きブレンダーで最終ブレンドすることによって「最終ブレンドB」を製造する。
【0082】
多層回転式プレス機を用いて「最終ブレンドA」と「最終ブレンドB」を圧縮して二層錠剤を製する。フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、流動促進剤としてタルク並びに色素黄酸化鉄及び/又は赤酸化鉄と二酸化チタンを含むフィルムコーティング懸濁液で錠剤コアをフィルムコーティングすることができる。
フィルムコーティングの製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) プロペラ混合機を用いてヒプロメロースとプロピレングリコールを純水に溶かす。ホモ混合機を用いてタルク、二酸化チタン、及び酸化鉄(黄、赤又は黄と赤)を純水に分散させる。懸濁液をヒプロメロース溶液に添加してからプロペラ混合機を用いて周囲温度で混合して「コーティング懸濁液」を製造する。
b) 錠剤コアを「コーティング懸濁液」で目標増量までコーティングして「フィルムコーティング錠剤」を製造する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌して、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
【0083】
3.錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤
この発明のDPP-4阻害薬(BI 1356)+メトホルミンHCl FDC錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤(フィルムコーティング錠剤)の組成を下表3に示す。
【0084】

【0085】
製造手順(錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤):
高せん断湿式造粒プロセス(DPP-4阻害薬顆粒のため)、回転式プレス(DPP-4阻害薬コア錠剤のため)、流動床造粒プロセス(メトホルミンHCl顆粒のため)、及びプレス-コーターを用いたプレス-コーティングプロセスによって、この発明のDPP-4阻害薬(例えばBI 1356)+メトホルミンHCl FDC錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤を製造する。
DPP-4阻害薬コア錠剤:高せん断造粒機を用いて活性DPP-4阻害薬成分を希釈剤D-マンニトール及びアルファ化デンプンと前混合する。純水及び結合剤としてコポビドンを含む造粒液で混合物を湿らせる。さらなる混合、乾燥及び篩い分け後、乾燥顆粒を潤沢剤としてのステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
BI 1356コア錠剤の製造プロセスの叙述的なさらに具体的記載:
a. コポビドンとL-アルギニンを純水に周囲温度で溶かして造粒液を製造する。
b. BI 1356、マンニトール及びアルファ化デンプンを適切な混合機内でブレンドしてプレミックスを製造する。
c. プレミックスを造粒液で湿らせた後に造粒する。
d. 湿潤顆粒を適切な篩いにかける。
e. 所望の乾燥減量値が得られるまで適切な乾燥器内で顆粒を約50℃(最高60℃)にて乾燥させる。
f. 乾燥顆粒を1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g. ステアリン酸マグネシウムを1.0mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続き適切なブレンダーで最終ブレンドすることによって「最終ブレンド」を製造する。
h. 回転式プレス機を用いて「最終ブレンド」を圧縮して「BI 1356コア錠剤」を製する。
【0086】
メトホルミンHCl顆粒:メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で加熱することによって前処理して過剰のHCl及び/又は不純生成物を除去する。メトホルミンHClとトウモロコシデンプンの前処理後、コポリビドン(Kollidon VA64)と純水で構成された「造粒液」の噴霧によって流動床造粒を行なう。流動床造粒の仕上げ工程後、顆粒を適切な篩いにかける。篩いにかけた顆粒をコロイド無水シリカ(Aerosil 200)及び潤沢剤としてのステアリン酸マグネシウムとブレンドする。
メトホルミンHCl顆粒の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) メトホルミンHClを0.5〜1mmのメッシュサイズの篩いにかけた後に秤量する。
b) プロペラ混合機を用いてコポリビドンを純水に周囲温度で溶かして「造粒液」を製造する。
c) メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で70℃〜80℃にて生成物温度が60℃に達するまで15分より長く加熱する。
d) 流動床造粒のため乾燥条件下で「造粒液」を混合物に噴霧して、造粒中のブロッキングを回避する。
e) 噴霧の最後に、結果として生じた顆粒のLODが2%より高い場合は所望のLOD値(すなわち1〜2%)まで70℃〜80℃にて乾燥させる。
f) 顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g) 篩いにかけた顆粒とコロイド無水シリカ(Aerosil 200)を適切なブレンダーでブレンドする。Aerosil 200は、使用前に0.5mmの篩いにかけるべきである。
h) ステアリン酸マグネシウムを0.5mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続きブレンダーで最終ブレンドすることによって、「メトホルミンHCl顆粒」(最終ブレンド)を製造する。
【0087】
プレスコーターを用いて「DPP-4阻害薬コア錠剤」と「メトホルミンHCl顆粒」を圧縮して錠剤中錠剤又はブルズアイ錠剤を製する。錠剤中錠剤とブルズアイ錠剤の差異はコア錠剤の位置である。
錠剤中錠剤の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) ダイにメトホルミンHCl顆粒のハーフを詰める。
b) BI 1356コア錠剤をメトホルミンHCl顆粒の表面上に置く。
c) メトホルミンHCl顆粒の第二のハーフでコア錠剤を覆ってから圧縮して錠剤(錠剤中錠剤)を製する。
ブルズアイ錠剤の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) メトホルミンHCl顆粒をダイに詰める。
b) ダイ内のメトホルミンHCl顆粒上にBI 1356コア錠剤を置いてから圧縮して錠剤(ブルズアイ錠剤)を製する。
フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、流動促進剤としてタルク並びに色素黄酸化鉄及び/又は赤酸化鉄と二酸化チタンを含む水性フィルムコーティング懸濁液で錠剤をフィルムコーティングすることができる。
フィルムコーティングの製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) プロペラ混合機を用いてヒプロメロースとプロピレングリコールを純水に溶かす。ホモ混合機を用いてタルク、二酸化チタン、及び酸化鉄(黄、赤又は黄と赤)を純水に分散させる。懸濁液をヒプロメロース溶液に添加してからプロペラ混合機を用いて周囲温度で混合して「コーティング懸濁液」を製造する。
b) 錠剤コアを目標増量まで「コーティング懸濁液」でコーティングして「フィルムコーティング錠剤」を製造する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌し、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
【0088】
4.メトホルミンHCl錠剤上にDPP-4阻害薬-薬物層化(薬物装填のためのフィルムコーティング)
メトホルミンHCl錠剤上にフィルムコーティングすることによる薬物装填によって調製される、この発明のDPP-4阻害薬(BI 1356)+メトホルミンHCl FDC(フィルムコーティング錠剤)の組成を下表4に示す。
【0089】

【0090】
製造手順(メトホルミンHCl錠剤上のフィルムコーティングによるDPP-4阻害薬-薬物層化):
流動床造粒プロセス、通常の錠剤化プロセス、及び3工程(シールコーティング、薬物装填及びオーバーコーティング)を含むフィルムコーティングプロセスによって、薬物コーティングを有するDPP-4阻害薬(例えばBI 1356)+メトホルミンHCl FDCを製造する。安定性が受け入れられる場合、オーバーコーティングを薬物装填と組み合わせることによって、オーバーコーティングを省略することができる。
メトホルミンHCl錠剤:メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で加熱することによって前処理して、過剰のHCl及び/又は不純生成物を除去する。メトホルミンHClとトウモロコシデンプンの前処理後、コポリビドン(Kollidon VA64)と純水で構成された「造粒液」の噴霧によって、流動床造粒を行なう。流動床造粒の仕上げ工程後、顆粒を適切な篩いにかける。篩いにかけた顆粒をコロイド無水シリカ(Aerosil 200)及び潤沢剤としてのステアリン酸マグネシウムとブレンドする。通常の回転式プレス機を用いて圧縮して錠剤を製する。
メトホルミンHCl顆粒の製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) メトホルミンHClを0.5〜1mmのメッシュサイズの篩いにかけた後に秤量する。
b) プロペラ混合機を用いてコポリビドンを周囲温度で純水に溶かして「造粒液」を製造する。
c) メトホルミンHClとトウモロコシデンプンを流動床造粒機のチャンバー内で70℃〜80℃にて、生成物温度が60℃に達するまで15分より長く加熱する。
d) 流動床造粒のため乾燥条件下で「造粒液」を混合物に噴霧して、造粒中のブロッキングを回避する。
e) 噴霧の最後に、結果として生じた顆粒のLODが2%より高い場合は70℃〜80℃で所望のLOD値(すなわち1〜2%)まで乾燥させる。
f) 顆粒を0.5〜1.0mmのメッシュサイズの篩いにかける。
g) 篩いにかけた顆粒とコロイド無水シリカ(Aerosil 200)を適切なブレンダーでブレンドする。Aerosil 200は、使用前に0.5mmの篩いにかけるべきである。
h) ステアリン酸マグネシウムを0.5mmの篩いに通して顆粒に加える。引き続きブレンダーで最終ブレンドすることによって「最終ブレンド」を製造する。
i) 通常の回転式プレス機を用いて「最終ブレンド」を圧縮して錠剤を製する。
【0091】
フィルムコーティング:(1)シールコーティング(フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、流動促進剤としてタルク並びに色素黄酸化鉄及び/又は赤酸化鉄と二酸化チタンを含む水性フィルムコーティング懸濁液で)、(2)薬物装填(フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、薬物としてBI 1356、及び安定剤としてL-アルギニンを含む水性フィルムコーティング懸濁液で)、及び(3)オーバーコーティング(フィルム形成剤としてヒプロメロース、可塑剤としてプロピレングリコール、流動促進剤としてタルク並びに色素黄酸化鉄及び/又は赤酸化鉄と二酸化チタンを含む水性フィルムコーティング懸濁液で)によって錠剤をフィルムコーティングする。
コーティング機を用いたフィルムコーティングの製造プロセスの叙述的なさらに具体的な記述:
a) プロペラ混合機を用いてヒプロメロースとプロピレングリコールを純水に溶かす。ホモ混合機を用いてタルク、二酸化チタン、及び酸化鉄(黄、赤又は黄と赤)を純水に分散させる。懸濁液をヒプロメロース溶液に添加してからプロペラ混合機を用いて周囲温度で混合して「シールコーティング」及び「オーバーコーティング」用の「コーティング懸濁液」を製造する。
b) プロペラ混合機を用いてヒプロメロース、プロピレングリコール及びL-アルギニンを純水に溶かす。BI 1356(活性薬)をヒプロメロース溶液に添加してからプロペラ混合機を用いて周囲温度で分散させて「薬物装填」用の「薬物懸濁液」を製造する。
c) メトホルミンHCl錠剤を「コーティング懸濁液」で目標増量までコーティングして「シールコート」を形成する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌して、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
d) シールコーティング後、メトホルミンHCl錠剤の表面に「薬物懸濁液」を適用して「薬物層を形成する(薬物装填)。使用前に「薬物懸濁液」を再び撹拌して、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。利用可能なPAT(Process Analysis Technology)によってコーティングの終点を決定することができる。
e) 薬物装填後、「コーティング懸濁液」をBI 1356薬物装填錠剤に適用して「オーバーコート」を形成し、「フィルムコーティング錠剤」を製造する。使用前に「コーティング懸濁液」を再び撹拌して、コーティング(噴霧)プロセス中ゆっくり撹拌し続けるべきである。
【0092】
製品記述:
BI 1356+メトホルミンHCl FDC単層錠剤(錠剤コア及びフィルムコーティング錠剤)の製品記述をそれぞれ下表8及び下表9に示す。
【0093】
表8:BI 1356+メトホルミンHCl FDC単層錠剤(錠剤コア)の製品記述

【0094】
表9: BI 1356+メトホルミンHCl FDC単層錠剤(コーティング錠剤)の製品記述

【0095】
安定性データ:
L-アルギニンがあるか又は無い場合のBI 1356+メトホルミンHCl FDC単層錠剤(錠剤コア)の安定性を下表に示す(2週間、1カ月間及び3カ月間)。
【0096】
2.5+500mg錠剤+12.5mgのアルギニン:

【0097】
2.5+500mg錠剤+0mgのアルギニン:

【0098】
2.5+1000mg錠剤+25mgのアルギニン:

【0099】
2.5+1000mg錠剤+0mgのアルギニン:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、1種以上の医薬賦形剤と、前記DPP-4阻害薬を分解に対して安定化するための求核性及び/又は塩基性薬剤とを含むか又はこれらから製造される医薬組成物。
【請求項2】
DPP-4阻害薬と、パートナー薬と、1種以上の医薬賦形剤と、前記DPP-4阻害薬を分解に対して安定化するための緩衝剤とを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記DPP-4阻害薬が、化学分解に対して安定化されている、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記パートナー薬が、メトホルミン塩酸塩などのビグアナイド、ピオグリタゾン塩酸塩などのチアゾリジノン、アトルバスタチン等のスタチン、及びテルミサルタン等のARBから成る群より選択される、請求項1、2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記求核性及び/若しくは塩基性薬剤又は前記緩衝剤が、分子内アミノ基及びアルカリ特性を有する、L-アルギニン、L-リジン及びL-ヒスチジン等の塩基性アミノ酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記DPP-4阻害薬が、分子内の遊離一級又は二級アミノ基を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記DPP-4阻害薬が、ビルダグリプチン、サクサグリプチン及びアログリプチンから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記DPP-4阻害薬が、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン遊離塩基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記DPP-4阻害薬が、約0.5mg〜約20mg、特に約0.5mg〜約10mgの用量範囲で存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記DPP-4阻害薬が、0.5、1、2.5、5又は10mgの用量強度で存在する、請求項8又は9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記DPP-4阻害薬が、2.5mgの用量強度で存在する、請求項8、9又は10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記パートナー薬がメトホルミン塩酸塩である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
メトホルミン塩酸塩が、約100mg〜約1500mgの用量範囲で存在する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
メトホルミン塩酸塩が、250、500、625、750、850又は1000mgの用量強度で存在する、請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
メトホルミン塩酸塩が、500mg、850mg又は1000mgの用量強度で存在する、請求項12、13又は14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記求核性及び/若しくは塩基性薬剤又は緩衝剤がL-アルギニンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
L-アルギニンが、約1mg〜約50mg、好ましくは約1mg〜約25mg存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記DPP-4阻害薬とL-アルギニンが、約1:20〜約10:1、又は約1:15〜約10:1、好ましくは約1:10〜約10:1の質量比で存在する、請求項16又は17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記賦形剤が、D-マンニトール、トウモロコシデンプン及びアルファ化デンプン等の1種以上の充填剤;コポビドン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤沢剤;及びコロイド無水シリカ等の流動促進剤から成る群より選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
結合剤としてコポビドンを含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
下記成分:充填剤トウモロコシデンプン、潤沢剤ステアリン酸マグネシウム、及び流動促進剤コロイド無水シリカの1種以上をさらに含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
錠剤の剤形の、請求項1〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記錠剤が、単層錠剤、二層錠剤、プレスコート錠剤(錠剤中錠剤及びブルズアイ錠剤など)、及び薬物装填のためフィルムコーティングされた錠剤から選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記錠剤がフィルムコートを含む、請求項22又は23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記フィルムコートが、例えばヒプロメロース等のフィルムコーティング剤と、例えばプロピレングリコール等の可塑剤と、必要に応じて例えばタルク等の流動促進剤と、必要に応じて例えば二酸化チタン、酸化鉄赤及び/又は酸化鉄黄などの1種以上の色素とを含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
該医薬組成物が単層錠剤であり、以下:
−メトホルミン塩酸塩の割合が、錠剤コア全体の約85質量%であり、
−DPP-4阻害薬の割合が、錠剤コア全体の約0.2質量%〜0.4質量%であり、
−L-アルギニンの割合が、錠剤コア全体の約2質量%であり、
−錠剤の破砕強度が100N以上であり、
−錠剤のもろさが0.5%以下であり、
−錠剤の厚さが約5.7〜約8.4mmであり、
−錠剤コア質量が約590〜約1180mgであり、及び
−錠剤の崩壊時間が15分以下である;
の1つ以上が適合しうる請求項1〜25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
45分後の溶解試験において各活性成分の少なくとも75質量%が溶解していることを特徴とする即時放出剤形である、請求項22〜26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
下記成分:
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、
メトホルミン塩酸塩、
L-アルギニン、及び
1種以上の充填剤、1種以上の結合剤、1種以上の流動促進剤及び/又は1種以上の潤沢剤
を含むか又は前記成分から製造される固体医薬組成物。
【請求項29】
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンが、X90<200μmの粒度分布を有する、請求項8又は28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
例えばD-マンニトール、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、コポビドン、ステアリン酸マグネシウム、及びコロイド無水シリカから選択される1種以上の医薬賦形剤のような1種以上の医薬賦形剤に活性成分とL-アルギニンを組み入れる工程を含む、請求項1、2、19又は28に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項31】
前記成分を混ぜ合わせる工程を含むことによって製造される、請求項1〜30のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2011−516456(P2011−516456A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502389(P2011−502389)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053978
【国際公開番号】WO2009/121945
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】