方向操作可能なバルーン・カテーテル
長いノーズの操作可能なカテーテルをここで説明する。カテーテルは、一般に、主管腔と隣接するワイヤ管腔とを定める可撓性接合領域を含む。ワイヤ管腔は、可撓性接合領域の遠位端付近に、又は、その遠位端に開口部を有して、押し/引きワイヤを、該ワイヤ管腔を通して押す又は引くことができる。カテーテル組立体は、さらに、少なくとも1つの放射線不透過性マーカ・バンドを含んで、押し/引きワイヤを固定することができる。接合領域は、接合部の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有し、一般に、カテーテルの遠位端に配置される。接合領域自体を変えて、編組部が終端するところから遠位側に延ばすこともできるし、或いは、編組部の一部を囲むように延ばすこともできる。接合領域の長さを変えることによって、該接合領域の曲率及び撓みの量を制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、血管内装置に関する。より特定的には、本発明は、可撓性があり、操作可能なヒンジ又は接合領域を有する血管内カテーテルに関する。さらに、送達管腔を用いて、例えば動脈瘤内に閉塞物質を配置することもできる。
【背景技術】
【0002】
血管内治療は、内出血の制御、腫瘍への血液供給の閉塞、及び動脈瘤の閉塞を含む処置のような異なる状況を処置するために用いられてきた。多くの場合、疾患の目的部位は、到達することが困難である。人体の遠隔領域にアクセスし、診断用又は治療用薬剤を送達する能力のために、カテーテルは、ますます血管内治療の構成要素になってきている。一般に、カテーテルは、鼠蹊部又は頸部にあるもののような大きな動脈に導入され、次いで該カテーテルの遠位先端部が選択された送達部位に到達するまで、動脈系の狭窄領域を通過させられる。適切に使用されるためには、カテーテルは、多くの場合、身体を通って進む際に、該カテーテルの押し進み及び操作を可能にするためにその近位端では剛いが、大きな損傷を血管又は周囲組織にもたらすことなく身体の血管を通して該カテーテルの先端部の通過を可能にするために遠位端では十分に可撓性である。
【0003】
各々がEnglesonに付与された米国特許番号第4,884,579号(特許文献1)及び米国特許番号第4,739,768号(特許文献2)に示されるもの等のマイクロカテーテルは、身体の曲がりくねった脈管構造を通って、肝臓のような遠隔部位又は脳の脳動脈にアクセスする手順の遂行を可能にする。カテーテルが人間の脈管構造を通って進むようにする他の方法(例えば、流れにより向けられるカテーテル)も存在するが、ガイドワイヤを用いたカテーテルが、他の手順より迅速でもあり正確でもあると考えられている。(カテーテルの遠位端の可撓性を高める)撓み可能な又は様々な剛性の遠位端を有するカテーテルは、クライン他に付与された米国特許番号第6,083,222号(特許文献3)、フルカワに付与された米国特許番号第4,983,169号(特許文献4)、サーブに付与された米国特許番号第5,499,973号(特許文献5)、及びバーグ他に付与された米国特許番号第5,911,715号(特許文献6)に開示されている。
【0004】
流体により拡張可能なバルーンをカテーテルの遠位端に付加し、カプラを近位端に付加すると、圧力モニタリング、心拍出量及び流量モニタリング、血管形成、人工血管閉塞、並びに心臓サポート等の種々の経皮的な医療処置が可能になる。バルーン・カテーテルは、一般に、近位端から延びて、流体をバルーンに与えて膨張させる管腔を含む。バルーン・カテーテルの例は、Engleson他に付与された米国特許番号第4,813,934号(特許文献7)及びEngleson他に付与された米国特許番号第5,437,632号(特許文献8)に開示される。調節可能なシャフトを有するバルーン・カテーテルは、Ren他に付与された米国特許番号第5,968,012号(特許文献9)に示される。
【0005】
特定の血管奇形及び動脈瘤の場合には、血管内閉塞を治療部位に生成することが望ましいとすることができる。カテーテルは、通常、血管閉塞装置又は薬剤を身体の脈管構造内に配置して、塞栓を形成することによって血管を通る血液の流れを阻止するか、又は血管から生じる動脈瘤内にこうした塞栓を形成するかのいずれかを行うために使用される。塞栓形成は、ミクロフィブリル・コラーゲン、シラスティック・ビード、又はシアノアクリレート等のポリマー樹脂のような流体塞栓剤の注入を含むこともできる。塞栓化剤は、それ自体を、奇形又は動脈瘤の内壁の不規則な形状に適応させるものであることが理想的である。流体薬剤を動脈瘤内に含有できないことによる偶然の塞栓症は、流体の塞栓剤を用いた場合に生じ得る1つのリスクである。
【0006】
医療用の血管閉塞装置は、塞栓形成に用いることもできる。一般に用いられている血管閉塞装置は、引き伸ばされた直線形態で送達カテーテルを通して導入でき、該装置がカテーテルの端部から解放されたときに不規則な形状をとって動脈瘤等の開放空間を塞ぐワイヤ・コイル又は編組部である。Ritchart他に付与された米国特許番号第4,994,069号(特許文献10)では、小さな血管の血管閉塞に用いるための、可撓性のある、好ましくはコイル状のワイヤを開示する。幾つかの塞栓コイルは、動脈瘤の開放空間内に閉塞コイルを収容することが困難であるという点で流体の塞栓剤におけるものと同じ配置リスクの影響を受けやすい。
【0007】
操作可能なカテーテルの別の例は、Buchbinder他に付与された米国特許番号第4,723,936号(特許文献11)に開示される。Buchbinderは、管腔を定めるばねコイル本体と、カテーテルを貫通する撓みワイヤとを有する操作可能なカテーテルについて述べている。撓みワイヤは、ばねコイル本体の内部又は外部のいずれかに配置されるが、別個のワイヤ管腔内に収容されるものではない。
【0008】
同様にBuchbinderに付与された米国特許番号第4,960,411号(特許文献12)では、別個のワイヤ管腔内に撓みワイヤを有する操作可能なカテーテル装置を開示する。ワイヤ管腔の遠位端は閉じた端部であり、撓みワイヤの遠位端がそこに埋め込まれている。
【0009】
Qin他に付与された米国特許番号第6,251,092号(特許文献13)では、管腔内に収容された撓みワイヤ又は部材を同様に有する撓み可能なガイド・カテーテルを開示する。ワイヤ管腔の遠位端は同様に閉じており、撓み部材の遠位端がそこに埋め込まれている。
【0010】
Toti他に付与された米国特許番号第6,321,749号(特許文献14)では、管腔内の張力ワイヤを介して操作可能な気管内チューブを開示する。ワイヤは、チューブの開放域内に露出され、様々な付勢された撓み部材と併せて用いられて、チューブの操作を助ける。
【0011】
(特許文献のリスト)
【特許文献1】米国特許番号第4,884,579号明細書
【特許文献2】米国特許番号第4,739,768号明細書
【特許文献3】米国特許番号第6,083,222号明細書
【特許文献4】米国特許番号第4,983,169号明細書
【特許文献5】米国特許番号第5,499,973号明細書
【特許文献6】米国特許番号第5,911,715号明細書
【特許文献7】米国特許番号第4,813,934号明細書
【特許文献8】米国特許番号第5,437,632号明細書
【特許文献9】米国特許番号第5,968,012号明細書
【特許文献10】米国特許番号第4,994,069号明細書
【特許文献11】米国特許番号第4,723,936号明細書
【特許文献12】米国特許番号第4,960,411号明細書
【特許文献13】米国特許番号第6,251,092号明細書
【特許文献14】米国特許番号第6,321,749号明細書
【特許文献15】米国特許出願連続番号第09/643,085号号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、いずれの上述の装置も、ここで開示されるような、小径の曲がりくねった血管経路に沿った移動を可能にする、小径で高可撓性の構造を有し、且つ、正確さを保証する融通性のある配置方法を有する血管内装置を開示するものではない。
【0013】
以下に説明されるカテーテル又はカテーテル・セクションを使用して、小径の曲がりくねった血管に沿った移動を可能にすることができる。カテーテルは、可撓性接合領域を貫通する、主管腔と、該可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに開口部を有する、該主管腔と隣接するワイヤ管腔とを定める可撓性接合領域と、該ワイヤ管腔を通して、ワイヤの長手方向軸線に沿って押したり引いたりするように構成された押し/引きワイヤと、を含むことができ、該可撓性接合領域は、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する。また、カテーテル組立体はさらに、可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに少なくとも1つの放射線不透過性のマーカ・バンドを含んで、押し/引きワイヤを固定することができ、該可撓性接合領域は、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する。
【0014】
膨張可能なバルーン部材を、任意的に、カテーテル組立体と共に用いてもよい。膨張可能部材が使用される場合には、可撓性接合部は、様々に、該膨張可能部材の遠位側にあってもよいし、該膨張可能部材内にあってもよいし、或いは前述の膨張可能部材の近位側にあってもよい。
【0015】
カテーテル組立体の1つの特定の変形態様では、該組立体の長さを通して主管腔を定めるカテーテル本体を有することができる。さらに、開放遠位端を有する押し/引きワイヤ管腔を、カテーテル本体の長さを通して、又は、少なくともカテーテル本体の長さの大部分を通して定めることができ、これはカテーテル組立体の近位端の取付具から装置の遠位端付近又はその領域まで延びる。カテーテル本体自体は、各々が異なる度合いの可撓性を有する幾つかの領域から構成することができる。例えば、カテーテル組立体は、取付具の遠位側に第1の剛性を有する第1の部分を含むことができる。第2の剛性を有し、第1の部分の遠位側に位置する第2の部分は、該第1の部分と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。同様に、第3の剛性を有し、第2の部分の遠位側に位置する第3の部分は、第1及び第2の部分と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。このように、カテーテル本体は、カテーテルに沿って遠位側に位置するようになればなるほど、次第に、より可撓性のあるセクションで構成される長さを有することになる。以下にさらに詳細に説明されるように、第3のセクションの遠位側には、曲げ部分すなわち可撓性接合領域を配置することができる。
【0016】
押し/引きワイヤ管腔は、該管腔の長さ全体にわたり組み込まれた編組リボンを含むことができる。或いは、編組リボンを管腔に通して組み込んで、接合領域の近位側で終端させることができる。編組リボンは、均一の編組部とすることもできるし、或いは、様々な編組ピッチで編むこともできる。編組リボンは、多数の材料から作ることができる。例えば、超弾性合金として知られている部類の合金部材の金属を編組材料に使用することができる。
【0017】
操作可能な又は可撓性接合領域は、一般に、カテーテル本体の遠位端に位置し、押し/引きワイヤにより操作された場合に曲がるように構成される。曲げ部分自体を変えて、編組部が終端するところまで延ばすこともできるし、或いは曲げ部分まで延ばして編組部分を囲むこともできる。可撓性接合領域の長さを変えることによって、該接合領域の曲率及び撓みの量を制御することができる。例えば、接合領域の遠位端と編組部の終端部との間に相対的に短くされた長さを有する接合領域は、カテーテルの中間部分と比較して、減少した度合いの撓みを可能にすることができる。これと比較して、より近位側に位置する終端部まで延びる長くされた接合領域は、相対的に大きい度合いの撓みを可能にすることができる。従って、撓みの度合いは、可撓性接合領域の長さにより、ある程度制御できる。このように、可撓性領域は、カテーテル組立体の長手方向軸線に対して90°まで撓ませることができ、幾つかの場合には、該可撓性領域は、可撓性接合領域の長さに応じて、長手方向軸線に対して180°まで撓ませることができる。カテーテルの曲げをさらに容易にするために、コイル等の付加的な部材を、装置内の、例えば遷移領域に組み込んで、接合領域の曲げをさらに制御することを助けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、血管閉塞物質又はインプラントを送達するための多管腔カテーテルに関する。装置は、任意的に、バルーン部材を含むことができる。装置は、同様の番号が同様の要素を示す図面において詳細に示される。カテーテルは、バルーン部材が使用される場合には、バルーンの近傍とすることができる、成形可能な可撓性遠位セクションを含むことが好ましい。可撓性セクション又は「ヒンジ領域」は、血管閉塞装置又は物質を送達する工程中に体外から操作されることが好ましい。これらの「ヒンジ領域」、「ヒンジ」又は「可撓性接合部」という用語は、互換的に用いることができる。
【0019】
図1Aは、本発明の1つの変形態様に従って作られたカテーテル組立体23を示す。カテーテル組立体23のこの変形態様では、カテーテルの近位端24と遠位端37との間に延びる内腔を有する薄肉の可撓性本体又はチューブ26からなるカテーテル・シャフト25を含む。チューブ26は、一般的には、この用途に適切な機械的特性を有する非膨張性ポリマーであることが好ましく、ポリエチレン(例えば、HDPE、LDPE、LLDPE、MDPE等)、ポリエステル(ナイロン等)、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、エチルビニルアセテート、ポリエチレン・テレフタレート、ポリウレタン(例えば、バイエル・コーポレーション社により製造されるもののようなTEXIN)、PEBAX、フルオロポリマー、前述のポリマーの混合物、及びこれらのブロック又はランダム共重合体であることが好ましい。
【0020】
カテーテル組立体は、必須ではないが、多くの場合、ガイドワイヤを用いて、脈管構造を通した脳へのアクセスに使用できる。任意的なバルーン部材がカテーテル組立体に組み込まれた場合には、該バルーン部材を膨張させて、血管閉塞装置の配置前又はその最中に、動脈、静脈、オリフィス、キャビティ等、又は動脈瘤の口のような、任意の中空の体腔を閉鎖するか又は制限することができる。一般に、組立体は、カテーテルを通して近位側に延びる押し/引きワイヤにより該カテーテルの遠位端付近又はその「ヒンジ領域」において撓ませることができる。カテーテル組立体により定められる主管腔を使用して、最終的には脈管構造内に配置される血管閉塞装置又は物質を導入することができる。
【0021】
カテーテルの近位端24には、流体を側部ポート16を通してカテーテルの膨張管腔に供給することができる取付具18(例えば、「LuerLok」)が形成されてもよい。カテーテルの近位端には、第2のポート20と取付具22とが形成されており、これを通して押し/引きワイヤを用いて、カテーテルの遠位先端部におけるヒンジ領域32を操作することができる。近位端の取付具18は、カテーテルの送達/ガイドワイヤ管腔と連通する軸方向に延びるポート14を含む。任意的なガイドワイヤ12は、可撓性カテーテルを身体内の意図される部位まで導くのに適した任意の構造を有することができる。ガイドワイヤ12の近位端には、以下にさらに詳細に説明されるように、カテーテル操作中にトルクを該ガイドワイヤ12に加えるためのハンドルを備えることができる。ガイドワイヤは、その長さに沿って、典型的には、例えば、大径のより剛性のある近位側領域と、1つ又はそれ以上の小径のより可撓性のある遠位側領域といった異なる剛性をもつ又は段付きの直径を有することができる。
【0022】
カテーテルの遠位部分35は、典型的にはバルーンである、任意的な膨張可能部材30を含むことができる。カテーテルの遠位端の開口部36はまた、予め選択された血管部位への薬及び/又は血管閉塞装置の送達にも使用できる。カテーテル25の遠位端領域35には、膨張可能なバルーン30を備えることができ、これが膨張した場合には、動脈瘤又は動脈瘤に隣接した動脈への入口を遮断することによって、血管閉塞物質又は装置の配置を助けることができる。可撓性接合部をもつバルーン部材を組み込むカテーテル組立体の例が、共同所有され、引用によりその全体をここに組み入れる、2000年8月21日に出願された米国特許出願連続番号第09/643,085号(特許文献15)にさらに詳細に開示されている。
【0023】
バルーン部材が幾つかの変形態様で示されるが、バルーン部材の使用は任意的なものに過ぎない。バルーンの壁セクション(以下により詳細に説明される)は、ポリマー材料の薄いスリーブから形成され、その反対側のスリーブ端部が相対的により剛なチューブ・セクションに取り付けられることが好ましい。図1A、図1B及び図1Cは、可撓性ヒンジ領域の配置に基づいたカテーテルの遠位先端部35の位置決めについての種々の構成を示す。図1A、図1B及び図1Cはそれぞれ、このような膨張可能部材30がカテーテル組立体に組み込まれた場合に、ヒンジ領域32が該膨張可能部材領域30の近位側に(図1A)、その中に(図1B)、及びその遠位側に(図1C)配置された本発明のカテーテル23の変形態様を示す。ヒンジ領域の撓みは、押し/引きワイヤ21の遠隔操作によって達成できる。
【0024】
図2Aから図2Dまでは、図1A、図1B及び図1Cに示されたカテーテルの遠位端領域35及びヒンジ領域32の変形態様を示す。図2Aのカテーテル・チューブ40は、両端41、43がカテーテル・チューブ壁40に固定された膨張可能スリーブにより形成された、例えばバルーンといった膨張可能部材44を有することができる。膨張可能部材すなわちバルーン44は、通常、神経血管のバルーン・カテーテルに用いられるような形状、厚さ及び材料とすることができる。しかしながら、膨張可能部材すなわちバルーン44は、薄いポリマー材料から形成できるものであることが好ましく、シリコーン・ゴム、ラテックス・ゴム、ポリ塩化ビニルのような伸張可能な弾性材料、C−FLEX等のスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のような複合共重合体、或いはポリエチレン、ポリプロピレン、又はナイロン等のポリアミド系の伸張不能なフィルム材料から形成できるものであることが好ましい。
【0025】
カテーテル・チューブへのスリーブ端部の取り付けは、接着剤、熱収縮、機械式ファスナ、又は他の好適な方法によるものとすることができる。バルーン44が組立体に組み込まれた場合には、同様に任意的な膨張管腔42が、カテーテル・チューブ40に形成された少なくとも1つ開口部50を通して、膨張流体源と該バルーン44との間の連通を可能にする。バルーンの膨張及び収縮は、放射線不透過性流体、生理食塩水、又は他の流体の通過により行われる。押し/引きワイヤ管腔60は、カテーテル・チューブ40全体にわたり延び、押し/引きワイヤ62の通過を保護することができる。押し/引きワイヤ62を囲むチューブ60の潰れを防止するため、及び、作動中のねじれ又は膨らみを防止するために、押し/引きワイヤ管腔60は、以下にさらに詳細に説明されるように、好ましくはより高い剛性のポリマー(例えば、ポリイミド)の層、支持コイル、又は支持編組部により形成される付加的な構造を有することができる。
【0026】
図1Aの近位側のワイヤ・ポート20を介した押し/引きワイヤ62の操作が、カテーテル25の遠位端35の撓みをもたらすことができる。ガイドワイヤ57は、カテーテル・チューブ40の内側にある送達管腔55を貫通することができる。押し/引きワイヤ62は、押し/引きワイヤ管腔60を貫通することができ、これは、カテーテルの遠位端65を取り囲むことができ、ステンレス鋼、白金、金、ニッケル等のような様々な放射線不透過性材料から作ることができる放射線不透過性バンド67に取り付けることができる。押し/引きワイヤ62の近位側操作によってカテーテルの遠位先端部65が撓むヒンジ領域58は、図2A、図2B及び図2Cにそれぞれ示されるように、バルーン(使用される場合)の近位側にも、その中にも、又はその遠位側にも位置されることができる。バルーンのカテーテル組立体への組み込みがここに記載されているが、バルーンは任意的なものであり、カテーテル組立体から完全に省いでもよい。
【0027】
図2Aに示すように、ヒンジ領域58がバルーン44の近位側に配置された場合には、押し/引きワイヤ管腔60は、該バルーン44の遠位端の近位側にある領域まで延びて、バルーン44全体を含む、カテーテルの遠位端65領域の撓みを可能にする。図2Bの場合のように、ヒンジ領域58がバルーン44の内側に配置された場合には、カテーテルの遠位端65の撓みは、撓み点がバルーン内になるように生じる(図1Bにも示される)。図2Cは、ヒンジ58の配置がバルーンの遠位側にある状態を示し、ヒンジが遠位側に配置された場合の撓みは、カテーテルの遠位端65の操作可能領域がバルーン44のいずれの部分も含まないように生じる。
【0028】
図2Dは、ヒンジ領域58がバルーン44の内側に配置された状態を示す。バルーン44は、ガイドワイヤ/送達チューブ56と、環状の膨張管腔42を囲む外側のカテーテル・チューブ40との間に延びる。押し/引きワイヤ62は、ガイドワイヤ/送達管腔チューブ56の遠位端65に取り付けられる。図2Aから図2Dまでに示す変形態様の各々において、押し/引きワイヤ62は、例えば接着剤、クリンピング、機械式ファスナ等といった様々な方法により、その遠位端をカテーテルに取り付けることができる。この変形態様においては、放射線不透過性マーカ・バンド67を用いてワイヤ62を固定することができる。さらに、ヒンジ領域58の遠位側にある押し/引きワイヤ62を取り付けるための他の取り付け部位も明らかであろう。押し/引きワイヤ自体は、座屈する又はねじれることなく、ワイヤ管腔を通してワイヤの長手方向軸線に沿って押す又は引くことができるだけ十分に高い列強度及び引っ張り強度を有するワイヤであることが好ましい。これは、他の断面形状を使用することもできるが、例えば0.025mm及びそれ以上の範囲にわたる直径を有する、円形断面を有するワイヤに製造することができる。押し/引きワイヤは、ステンレス鋼、白金等のような生物的適合性のある金属材料から製造できる。或いは、押し/引きワイヤ62はさらに、その近位端又はその付近の直径が大きく、その遠位端又はその付近の直径が小さい先細ワイヤを含むことができる。適切な直径と、装置の可撓性のある遠位端を操作するのに望ましい十分な列強度及び引っ張り強度とを有する限り、通常のガイドワイヤを押し/引きワイヤとして使用することもできる。
【0029】
図2Dにおいては、膨張管腔42の端部を越える送達管腔チューブ56の延長部は、押し/引きワイヤ62が例えばマーカ又は白金バンド67を用いてカテーテルに取り付けられている場合には、カテーテルの遠位端65の遠隔操作を可能にする。送達管腔チューブ56は、図1のチューブ56に対する上記の材料のいずれかから作ることができる。
【0030】
カテーテルの管腔の種々の構成の幾つか(膨張、押し/引き、送達等)が、図3Aから図3Hまでに示される。図3Aにおいては、任意的な膨張管腔122及び押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120の内側に形成され、カテーテルの内壁がガイドワイヤ管腔128を形成する。図3Bにおいては、カテーテル壁120は、任意的な膨張管腔122と、押し/引きワイヤ管腔124とを収容するガイドワイヤ管腔128を形成する。図3Cでは、任意的な膨張管腔122がカテーテル壁120の内側に形成され、押し/引きワイヤ管腔124は、より大きなコイル管腔128(カテーテル壁120により形成される)内にある。
【0031】
図3Dは、押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120の内側にあり、任意的な膨張管腔122がより大きな主管腔128内にある、図3Cの変形態様である。図3Eにおいては、カテーテルの内壁120が任意的な膨張管腔122を形成し、押し/引きワイヤ管腔124及び主管腔128は該膨張管腔122内にある。図3Fにおいては、任意的な膨張管腔122はガイドワイヤ管腔128を取り囲み、該カテーテル壁120の内側に形成された領域内にあり、押し/引きワイヤ管腔124はカテーテル壁120内にある。図3Gにおいては、1つの共有管腔123が押し/引き及び任意的な膨張管腔として機能し、すなわち、共有された押し/引き及び膨張管腔123が、ガイドワイヤ管腔128と共にカテーテル壁120内にある。図3Hに示す管腔の位置決めについての別の代替的な変形態様では、押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120内に収容される膨張管腔122の内側にあり、ガイドワイヤ128のための別個の管腔もカテーテル壁120内に収容されている。
【0032】
チューブ構成、ヒンジ領域の構造、及びここで説明された種々の管腔を形成する他の管類は、押し出し、順次製造(部品を別個に製造して、後で組み立て合わせる)、又は当業者には知られている何らかの他の方法により形成できる。さらに、バルーンの使用がカテーテル組立体から省かれる場合には、膨張管腔もまた、完全に省くことができる。
【0033】
図4Aは、カテーテル組立体210の別の変形態様の断面側面図を示す。この特定の変形態様では、主管腔216が組立体210の長さを通して定められたカテーテル本体212を有することができる。さらに、押し/引きワイヤ管腔214を、カテーテル本体212の長さを通して、又は少なくともカテーテル本体212の長さの大部分を通して定めることができ、これはカテーテル組立体210の近位端にある取付具232から装置の遠位端付近の領域又は遠位端領域まで延びる。カテーテル本体212自体は、各々が異なる度合いの可撓性を有する幾つかの領域から構成することができる。例えば、カテーテル組立体210は、取付具232の遠位側に、第1の剛性を有する第1の部分220を含むことができる。第2の剛性を有し、第1の部分220の遠位側に位置する第2の部分222は、該第1の部分220と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。同様に、第3の剛性を有し、第2の部分222の遠位側に位置する第3の部分224は、第1の部分220及び第2の部分222と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。このように、カテーテル本体212は、カテーテル212に沿って遠位側になればなるほど、次第に、より可撓性のあるセクションで構成される長さを有することになる。曲げ部分すなわち可撓性接合領域218は、以下にさらに詳細に説明されるように、第3の部分224の遠位側に配置することができる。
【0034】
押し/引きワイヤ管腔124は、その長さの少なくとも大部分に沿って補強されることが好ましい。ワイヤ管腔124は、カテーテル本体の長さ226に沿って該管腔214の長さ全体にわたり組み込まれた編組リボン236を含むことができる。或いは、図4Aに示すように、編組リボン236を、管腔214を通して組み込んで、接合領域218の近位側で終端させることができる。編組リボン236は、均一な編組部とすることもできるし、或いは様々な編組ピッチで編むこともできる。例えば、第1の部分220等のカテーテル本体212の近位側セクションは、第3の部分224等の、より遠位側に位置するセクションより緊密な、すなわち高い編組ピッチを有する編組部を有することができる。より低い編組ピッチの領域が、より高い編組ピッチの領域の側部にある場合には、より大きなピッチの領域は、一般に、カテーテルの遠位先端部の操作中に、より剛性になることができる。
【0035】
編組リボン236は、多数の材料から作ることができる。例えば、超弾性合金として知られている部類の合金部材の金属が、編組材料に使用できる。好ましい超弾性合金には、ニチノールとして通常知られているニッケル・チタン材料の部類が含まれる。ステンレス鋼のような他の適切な金属を使用することもできるし、或いは液晶ポリマー(LCP)のようなポリマーを用いることもできる。本発明において使用できる編組部は、市販されている管状製紐機を用いて作られることが好ましい。「編組部」という用語は、一般に、構造を構成するリボンが、単一の管腔を定める管状部材を形成するように横切るときに、イン・アンド・アウト方式で半径方向に織ることができる管状の構造を含むことができる。当該技術分野において通常知られている他の編組部の変形態様を使用することもできる。編組部は、好適な数のリボン又はワイヤから作ることもできる。図4Dは、カテーテル本体212の断面を示す。図示されるように、ワイヤ管腔214は、管腔壁上に配設された、潤滑性のあるポリマー・ライナといったライナ246を有して、これを通る押し/引きワイヤの移動を容易にすることができる。ライナ246は、上述のように、様々な好適なポリマー材料のいずれかから作ることができる。或いは、編組リボン236は、ワイヤ管腔214の内面上に配置してもよい。このような構成においては、潤滑性のあるコーティングは、装置の遠位側に位置する部分から任意的に省いてもよい。
【0036】
様々な剛性をもつ3つのセクションがこの変形態様において記載されているが、これは、例示的なものであることが意図される。様々な剛性をもつ、僅か2つのセクション又は多数の(すなわち、3より多い)セクションを有するカテーテルも、本発明内に入ることが意図される。さらに、これらのセクションは、カテーテル本体212に沿って遠位側になればなるほど、剛性が減るように(すなわち、可撓性をもつように)することが好ましいが、他の変改態様では、剛性が増加した遠位側に配置されたセクション、又は、相対的に剛性があるセクションと、より可撓性があるセクションとが交互になったセクション、或いはその他のあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0037】
第1の部分220は、例えば1つの変形態様においては、72Dの剛性すなわち相対的なデュロメータ硬度値をもつ約100cm(±1cm)の典型的な長さを有することができる。第2の部分222は、63Dのより小さい剛性すなわち硬度をもつ約30cm(±1cm)の長さを有することができる。第3の部分224も、同様に、40Dのさらにより小さい剛性すなわち硬度値をもつ約30cm(±1cm)の長さを有することができる。いずれの場合も、主管腔216は、装置の長さ全体にわたって入れられた、例えば63Dの剛性すなわち相対硬度を有する管類によって定められることができる。セクションの各々は、隣接するセクションと一体化されることが好ましい。様々な剛性は、例えば異なる剛性を有する、異なる鞘又はカバーのような、当該技術分野において一般に知られている様々な方法のいずれか1つによってもたらすことができる。例えば、様々な剛性を有するPEBAX(フランス所在のAtochem Corporation社)又は上述のその他のあらゆるポリマー材料を使用して、それぞれのセクションを覆うことができる。
【0038】
操作可能な又は可撓性接合領域218は、一般に、カテーテル本体212の遠位端に位置し、押し/引きワイヤにより操作された場合に曲がるように構成される。可撓性接合領域218は、例えば3mmから3cmまでの範囲にわたる長さを有するように構成できる。上述のように、編組リボン236は、可撓性接合領域218の近位側で終端することができる。曲げ部分218自体を変えて、編組部236が終端するところまで延ばすこともできるし、或いは曲げ部分228まで延ばして、編組部236の一部を囲むこともできる。可撓性接合領域218は、第3の部分224の剛性より低い、例えば25Dの剛性すなわち硬度を有するPEBAX、又は上述のその他のあらゆるポリマー材料により覆うことができる。
【0039】
上述のように、カテーテル本体212の近位側部分は、取付具232に取り付けることができる。取付具232は、典型的には管腔内カテーテルと共に使用される様々な取付具のいずれかとすることができる。この変形態様においては、取付具232が、主管腔216と連通して、ガイドワイヤ、種々の工具、治療薬等の通過を可能にする開口部234を定めることができる。これは、制御部240をもつ別個に製造された押し/引きワイヤ・ハンドル238を受け入れて、押し/引きワイヤを該ワイヤの長手方向軸線に沿って遠位側に又は近位側に操作するように構成することもできる。或いは、押し/引きワイヤ・ハンドル238は、取付具232と一体化した部品として形成してもよい。図は、開口部234を取付具232の近位端に含む状態を示すが、他の変形態様では、カテーテル本体212自体の本体に沿って定められたガイドワイヤ管腔の開口部を有する迅速交換(RX)形式のカテーテル設計を含むことができる。
【0040】
可撓性接合領域218の遠位端は、図4Bの詳細側面図に示すように、該接合領域218の遠位面242を越えて延長部230として延びる主管腔216を定める管類の一部を有することができる。延長部230の長さは、望ましい曲げ結果に応じて、相対的に短い長さから相対的に長い長さまで様々な長さで延びるように構成できる。延長部230は、近位側に位置するセクション、すなわち可撓性接合領域218の剛性すなわち硬度より高い、例えば63Dといった、相対的な剛性すなわち硬度値を有することができる。さらに、以下にさらに詳細に説明されるように、付加的なコーティングを延長部230上に配設することができ、任意のマーカ・バンド又はワイヤをその上に配置して、組立体を包むことができる。可撓性接合領域218の端面図が図4Cに示され、ここでは、主管腔216に隣接して形成された押し/引きワイヤ管腔214の変形態様が示されている。図示のように、主管腔216は、該主管腔216の内面上に定められた潤滑性のあるライナ244を有して、該主管腔216を通るガイドワイヤ及び/又は他の工具の挿入又は取り外しを容易にすることができる。ライナ244は、上述のように、様々な好適なポリマー材料のいずれかから形成できる。
【0041】
図4Bに戻ると、管類の延長部230は、遠位面242を越えて、短い距離、例えば約0.15cmだけ延びることができる。図5Aにおける遠位部分250の側面図に示すように、上述の放射線不透過性マーカ・バンド262は、延長部230にわたって及び/又はその上に取り付けることができる。ワイヤ管腔214内に配置された押し/引きワイヤ258は、遠位面242の開口部を貫通して、マーカ・バンド262に取り付けることができる。押し/引きワイヤ258は、バンド262と延長部230との間に通すことによって取り付けられ、マーカ・バンド262の周り260で曲げられてもよい。或いは、付加的なマーカ・バンドを延長部230上に配置して、押し/引きワイヤ258をそれぞれのマーカ・バンドの間に挟むように用いてもよい。当該技術分野において一般に知られている、ワイヤ258をマーカ・バンド262に取り付ける他の変形態様も使用できる。マーカ・バンド262を越える延長部230の一部は、そのままにすることもできるし、或いは、該マーカ・バンド262に対して同一平面になるようにトリムすることもできる。付加的なマーカ・バンド262を押し/引きワイヤ管腔214の周りに配置して、蛍光透視鏡等の画像形成システムの下で、カテーテルの位置の方向付けを助けることができる。
【0042】
可撓性接合領域218は、編組部236が終端する部分254から撓み始めることができる。可撓性接合領域218は、さらに、該可撓性接合領域218とカテーテル本体の残りの部分との間に任意的な遷移接合領域252を組み込むことができる。この遷移領域252は、接合領域218の可撓性とカテーテル本体の可撓性との間の中間の可撓性を有することもできるし、或いは、該領域の曲げを容易にするためにいずれの領域よりも可撓性があるように構成することもできる。領域252に沿った主管腔216及び/又はワイヤ管腔214から、どのようなライナ又はコーティングをも省くことによって、少なくとも部分的に、可撓性をこの領域252に付与することができる。いずれの場合も、遷移領域252は、完全に省くことができる。親水性であることが好ましく、装置全体上にでも又は装置の一部の上にでも配設することができるカバーすなわち鞘256も、可撓性接合領域218から省くことができる。所望の結果に応じて、このカバー256を、遷移接合領域252に含めることもできるし、或いはそれから完全に省くこともできる。任意的に、多分35cmから50cmまでの装置の遠位部分(任意的には接合領域252を含む)を、同様に、所望の結果に応じて、親水性コーティングで覆うことができる。
【0043】
可撓性接合領域218の長さを変えることによって、該接合領域218の曲率及び撓みの量を制御することができる。例えば、図5Bに示すように、接合領域218の遠位端と編組部の終端部264との間の相対的に短くされた長さを有する接合領域は、カテーテルの中間部分と比較して減少した度合いの撓み266を可能にすることができる。これと比較して、図5Cに示すように、より近位側に配置された終端部264’まで延びる長くされた接合領域は、図5Bのカテーテルにより示される撓みと比較して相対的に大きい度合いの撓み266’を可能にすることができる。従って、撓みの度合いは、可撓性接合領域の長さによりある程度制御できる。このように、可撓性領域は、カテーテル組立体の長手方向軸線に対して90°まで撓ませることができ、幾つかの場合においては、該可撓性領域は、可撓性接合領域の長さに応じて長手方向軸線に対して180°まで撓ませることができる。カテーテルの曲げをさらに容易にするために、コイル等の付加的な部材を、装置内の、例えば遷移領域内に組み込んで、接合領域の曲げをさらに制御することを助けることができる。
【0044】
上述のように、遠位側の可撓性接合領域218は、好ましくは、本体内における使用を容易にするために親水性であり、図6Aの断面側面図に示すように、該本体上及び延長部230上に配設されて組立体を収めるコーティングすなわちライナ267を有することができる。この変形態様においては、マーカ・バンド262は、延長部230上に配設でき、第2のマーカ・バンド269は、押し/引きワイヤ258が中間に固定された状態で、その上に配設できる。この変形態様においては、第2のマーカ・バンド269は、直径並びに長さがマーカ・バンド262より大きいが、当業者には知られている他のサイズ及び構成を使用してもよい。接合領域218の全長にわたり又は該領域218の一部のみに融着することができるライナ267は、ここに説明された様々な材料のいずれかから作ることができる。マーカ・バンド262、269を使用して、装置の遠位端の位置の視覚化を容易にすることができる。任意的に、第3のマーカ・バンド268を接合領域218の近位側に装置に沿って配置して、該装置の潜在的コイリングの視覚化を助けることができる。
【0045】
可撓性接合領域の撓みを制御する、押し/引きワイヤの前進又は後退を制御するために、様々な制御部を使用することができる。図7Aから図7Cまでは、それぞれ、制御ハンドルの1つの変形態様についての、側面図、端面図及び一部が取り除かれた側面図を示す。押し/引きワイヤガイド270は、ハンドル238から延びて、該押し/引きワイヤをカテーテルに移動させることができる。明確にするために一部が取り除かれたハンドル238を示す図7Cの側面図に示すように、ワイヤ制御部240は、図7Eに示すラック274の係合歯と係合することができる、図7Dに示す同軸線に構成されたギア272をさらに定めるホイールとして構成される。押し/引きワイヤはラック274に取り付けられて、制御部240が回転されたときには、該ラック274を近位側又は遠位側に前進させて、取り付けられた押し/引きワイヤを該ワイヤの長手方向軸線に沿って並進運動させることができる。
【0046】
図8は、組み合わされた取付具/ハンドル組立体280の断面側面図における別の変形態様を示す。ハンドル本体282は、取付具の一体化した部分として押し/引きハンドル部分284を組み込むことができる。組立体280は、主管腔アクセス286並びに押し/引きワイヤ・アクセス288を含むことができる。図9は、ハンドル本体290の別の変形態様の断面側面図を示す。この変形態様においては、キャリッジねじ292をハンドル290内に配置して、ワイヤ・キャリッジ294を、該ハンドル内に定められた前進チャネル296内で移動させるように構成することができる。キャリッジねじ292の近位端は、キャリッジ294、及び、押し/引きワイヤ・アタッチメント300において該キャリッジ294に取り付けることができる押し/引きワイヤを近位側又は遠位側のいずれかに前進させるように回転することができる制御ノブ298に取り付けることができる。
【0047】
図10のさらに別の変形態様においては、ハンドル本体310は、解除ねじ314に取り付けられた制御/解除ノブ312を組み込むことができる。ねじ314は、アタッチメント318を介して押し/引きワイヤに取り付けることができるワイヤ・キャリッジ316に取り付けることができる。ノブ312が近位側又は遠位側に並進運動する際に、キャリッジ316は、チャネル320内で、取り付けられた押し/引きワイヤを前進させるか又は後退させるように移動することができる。ノブ312をハンドル310に対してねじ314の周りに締め付けて、必要に応じて、撓み中に押し/引きワイヤの位置を固定することができる。図11のさらに別の変形態様においては、ハンドル本体330は、ワイヤ・キャリッジ334を該ハンドル330内で近位側又は遠位側に前進させるように構成された制御スライド332を有することができる。
【0048】
上述の本発明のカテーテルの用途は、特定の処置に限定されるものではなく、多数の血管疾患を含むことができる。本発明を実行する上述の方法の修正、並びに機械及びガイドワイヤ及び/又はカテーテルの技術分野における当業者には明らである本発明の機械的な態様の変形は、特許請求の範囲内に入ることが意図される。さらに、実施例にわたる種々の態様の組み合わせも、本開示の範囲内に入ることが想定され、考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】カテーテル組立体の1つの変形態様の外観図を示す。
【図1B】カテーテル組立体の遠位側領域の代替的な構成を示す。
【図1C】カテーテル組立体の遠位側領域の代替的な構成を示す。
【図2A】カテーテル組立体の遠位側領域の変形態様における近位側に配置されたヒンジ領域の断面図を示す。
【図2B】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様についての中間にバルーンがあるヒンジ領域の配置の断面図を示す。
【図2C】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様における遠位側に配置されたヒンジ領域の断面図を示す。
【図2D】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様についての付加的な中間にバルーンがあるヒンジ領域の配置の断面図を示す。
【図3A】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3B】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3C】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3D】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3E】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3F】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3G】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3H】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図4A】カテーテル組立体の別の変形態様の断面側面図を示す。
【図4B】主管腔を定める管類の一部が接合領域の遠位面を越える延長部として延びる詳細側面図を示す。
【図4C】図4Bの可撓性接合領域の端面図を示す。
【図4D】ワイヤ管腔及び主管腔を示すカテーテル本体の断面端面図を示す。
【図5A】カテーテル組立体の変形態様の遠位側部分の組立体の側面図を示す。
【図5B】異なる長さの可撓性接合領域を有するカテーテルの可撓性接合領域の曲げを示す。
【図5C】異なる長さの可撓性接合領域を有するカテーテルの可撓性接合領域の曲げを示す。
【図6A】遠位端をライナにより融着することができる装置の別の変形態様の断面側面図を示す。
【図6B】遠位端をライナにより融着することができる装置の別の変形態様の詳細側面図を示す。
【図7A】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の側面図を示す。
【図7B】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の端面図を示す。
【図7C】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の、一部が取り除かれた側面図を示す。
【図7D】押し/引きワイヤを操作するのに使用できるホイールの詳細図を示す。
【図7E】押し/引きワイヤを操作するのに使用できるラックの詳細図を示す。
【図8】組み合わされた取付具/ハンドル組立体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図9】キャリッジねじを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図10】制御/解除ノブを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図11】制御スライドを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、血管内装置に関する。より特定的には、本発明は、可撓性があり、操作可能なヒンジ又は接合領域を有する血管内カテーテルに関する。さらに、送達管腔を用いて、例えば動脈瘤内に閉塞物質を配置することもできる。
【背景技術】
【0002】
血管内治療は、内出血の制御、腫瘍への血液供給の閉塞、及び動脈瘤の閉塞を含む処置のような異なる状況を処置するために用いられてきた。多くの場合、疾患の目的部位は、到達することが困難である。人体の遠隔領域にアクセスし、診断用又は治療用薬剤を送達する能力のために、カテーテルは、ますます血管内治療の構成要素になってきている。一般に、カテーテルは、鼠蹊部又は頸部にあるもののような大きな動脈に導入され、次いで該カテーテルの遠位先端部が選択された送達部位に到達するまで、動脈系の狭窄領域を通過させられる。適切に使用されるためには、カテーテルは、多くの場合、身体を通って進む際に、該カテーテルの押し進み及び操作を可能にするためにその近位端では剛いが、大きな損傷を血管又は周囲組織にもたらすことなく身体の血管を通して該カテーテルの先端部の通過を可能にするために遠位端では十分に可撓性である。
【0003】
各々がEnglesonに付与された米国特許番号第4,884,579号(特許文献1)及び米国特許番号第4,739,768号(特許文献2)に示されるもの等のマイクロカテーテルは、身体の曲がりくねった脈管構造を通って、肝臓のような遠隔部位又は脳の脳動脈にアクセスする手順の遂行を可能にする。カテーテルが人間の脈管構造を通って進むようにする他の方法(例えば、流れにより向けられるカテーテル)も存在するが、ガイドワイヤを用いたカテーテルが、他の手順より迅速でもあり正確でもあると考えられている。(カテーテルの遠位端の可撓性を高める)撓み可能な又は様々な剛性の遠位端を有するカテーテルは、クライン他に付与された米国特許番号第6,083,222号(特許文献3)、フルカワに付与された米国特許番号第4,983,169号(特許文献4)、サーブに付与された米国特許番号第5,499,973号(特許文献5)、及びバーグ他に付与された米国特許番号第5,911,715号(特許文献6)に開示されている。
【0004】
流体により拡張可能なバルーンをカテーテルの遠位端に付加し、カプラを近位端に付加すると、圧力モニタリング、心拍出量及び流量モニタリング、血管形成、人工血管閉塞、並びに心臓サポート等の種々の経皮的な医療処置が可能になる。バルーン・カテーテルは、一般に、近位端から延びて、流体をバルーンに与えて膨張させる管腔を含む。バルーン・カテーテルの例は、Engleson他に付与された米国特許番号第4,813,934号(特許文献7)及びEngleson他に付与された米国特許番号第5,437,632号(特許文献8)に開示される。調節可能なシャフトを有するバルーン・カテーテルは、Ren他に付与された米国特許番号第5,968,012号(特許文献9)に示される。
【0005】
特定の血管奇形及び動脈瘤の場合には、血管内閉塞を治療部位に生成することが望ましいとすることができる。カテーテルは、通常、血管閉塞装置又は薬剤を身体の脈管構造内に配置して、塞栓を形成することによって血管を通る血液の流れを阻止するか、又は血管から生じる動脈瘤内にこうした塞栓を形成するかのいずれかを行うために使用される。塞栓形成は、ミクロフィブリル・コラーゲン、シラスティック・ビード、又はシアノアクリレート等のポリマー樹脂のような流体塞栓剤の注入を含むこともできる。塞栓化剤は、それ自体を、奇形又は動脈瘤の内壁の不規則な形状に適応させるものであることが理想的である。流体薬剤を動脈瘤内に含有できないことによる偶然の塞栓症は、流体の塞栓剤を用いた場合に生じ得る1つのリスクである。
【0006】
医療用の血管閉塞装置は、塞栓形成に用いることもできる。一般に用いられている血管閉塞装置は、引き伸ばされた直線形態で送達カテーテルを通して導入でき、該装置がカテーテルの端部から解放されたときに不規則な形状をとって動脈瘤等の開放空間を塞ぐワイヤ・コイル又は編組部である。Ritchart他に付与された米国特許番号第4,994,069号(特許文献10)では、小さな血管の血管閉塞に用いるための、可撓性のある、好ましくはコイル状のワイヤを開示する。幾つかの塞栓コイルは、動脈瘤の開放空間内に閉塞コイルを収容することが困難であるという点で流体の塞栓剤におけるものと同じ配置リスクの影響を受けやすい。
【0007】
操作可能なカテーテルの別の例は、Buchbinder他に付与された米国特許番号第4,723,936号(特許文献11)に開示される。Buchbinderは、管腔を定めるばねコイル本体と、カテーテルを貫通する撓みワイヤとを有する操作可能なカテーテルについて述べている。撓みワイヤは、ばねコイル本体の内部又は外部のいずれかに配置されるが、別個のワイヤ管腔内に収容されるものではない。
【0008】
同様にBuchbinderに付与された米国特許番号第4,960,411号(特許文献12)では、別個のワイヤ管腔内に撓みワイヤを有する操作可能なカテーテル装置を開示する。ワイヤ管腔の遠位端は閉じた端部であり、撓みワイヤの遠位端がそこに埋め込まれている。
【0009】
Qin他に付与された米国特許番号第6,251,092号(特許文献13)では、管腔内に収容された撓みワイヤ又は部材を同様に有する撓み可能なガイド・カテーテルを開示する。ワイヤ管腔の遠位端は同様に閉じており、撓み部材の遠位端がそこに埋め込まれている。
【0010】
Toti他に付与された米国特許番号第6,321,749号(特許文献14)では、管腔内の張力ワイヤを介して操作可能な気管内チューブを開示する。ワイヤは、チューブの開放域内に露出され、様々な付勢された撓み部材と併せて用いられて、チューブの操作を助ける。
【0011】
(特許文献のリスト)
【特許文献1】米国特許番号第4,884,579号明細書
【特許文献2】米国特許番号第4,739,768号明細書
【特許文献3】米国特許番号第6,083,222号明細書
【特許文献4】米国特許番号第4,983,169号明細書
【特許文献5】米国特許番号第5,499,973号明細書
【特許文献6】米国特許番号第5,911,715号明細書
【特許文献7】米国特許番号第4,813,934号明細書
【特許文献8】米国特許番号第5,437,632号明細書
【特許文献9】米国特許番号第5,968,012号明細書
【特許文献10】米国特許番号第4,994,069号明細書
【特許文献11】米国特許番号第4,723,936号明細書
【特許文献12】米国特許番号第4,960,411号明細書
【特許文献13】米国特許番号第6,251,092号明細書
【特許文献14】米国特許番号第6,321,749号明細書
【特許文献15】米国特許出願連続番号第09/643,085号号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、いずれの上述の装置も、ここで開示されるような、小径の曲がりくねった血管経路に沿った移動を可能にする、小径で高可撓性の構造を有し、且つ、正確さを保証する融通性のある配置方法を有する血管内装置を開示するものではない。
【0013】
以下に説明されるカテーテル又はカテーテル・セクションを使用して、小径の曲がりくねった血管に沿った移動を可能にすることができる。カテーテルは、可撓性接合領域を貫通する、主管腔と、該可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに開口部を有する、該主管腔と隣接するワイヤ管腔とを定める可撓性接合領域と、該ワイヤ管腔を通して、ワイヤの長手方向軸線に沿って押したり引いたりするように構成された押し/引きワイヤと、を含むことができ、該可撓性接合領域は、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する。また、カテーテル組立体はさらに、可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに少なくとも1つの放射線不透過性のマーカ・バンドを含んで、押し/引きワイヤを固定することができ、該可撓性接合領域は、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する。
【0014】
膨張可能なバルーン部材を、任意的に、カテーテル組立体と共に用いてもよい。膨張可能部材が使用される場合には、可撓性接合部は、様々に、該膨張可能部材の遠位側にあってもよいし、該膨張可能部材内にあってもよいし、或いは前述の膨張可能部材の近位側にあってもよい。
【0015】
カテーテル組立体の1つの特定の変形態様では、該組立体の長さを通して主管腔を定めるカテーテル本体を有することができる。さらに、開放遠位端を有する押し/引きワイヤ管腔を、カテーテル本体の長さを通して、又は、少なくともカテーテル本体の長さの大部分を通して定めることができ、これはカテーテル組立体の近位端の取付具から装置の遠位端付近又はその領域まで延びる。カテーテル本体自体は、各々が異なる度合いの可撓性を有する幾つかの領域から構成することができる。例えば、カテーテル組立体は、取付具の遠位側に第1の剛性を有する第1の部分を含むことができる。第2の剛性を有し、第1の部分の遠位側に位置する第2の部分は、該第1の部分と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。同様に、第3の剛性を有し、第2の部分の遠位側に位置する第3の部分は、第1及び第2の部分と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。このように、カテーテル本体は、カテーテルに沿って遠位側に位置するようになればなるほど、次第に、より可撓性のあるセクションで構成される長さを有することになる。以下にさらに詳細に説明されるように、第3のセクションの遠位側には、曲げ部分すなわち可撓性接合領域を配置することができる。
【0016】
押し/引きワイヤ管腔は、該管腔の長さ全体にわたり組み込まれた編組リボンを含むことができる。或いは、編組リボンを管腔に通して組み込んで、接合領域の近位側で終端させることができる。編組リボンは、均一の編組部とすることもできるし、或いは、様々な編組ピッチで編むこともできる。編組リボンは、多数の材料から作ることができる。例えば、超弾性合金として知られている部類の合金部材の金属を編組材料に使用することができる。
【0017】
操作可能な又は可撓性接合領域は、一般に、カテーテル本体の遠位端に位置し、押し/引きワイヤにより操作された場合に曲がるように構成される。曲げ部分自体を変えて、編組部が終端するところまで延ばすこともできるし、或いは曲げ部分まで延ばして編組部分を囲むこともできる。可撓性接合領域の長さを変えることによって、該接合領域の曲率及び撓みの量を制御することができる。例えば、接合領域の遠位端と編組部の終端部との間に相対的に短くされた長さを有する接合領域は、カテーテルの中間部分と比較して、減少した度合いの撓みを可能にすることができる。これと比較して、より近位側に位置する終端部まで延びる長くされた接合領域は、相対的に大きい度合いの撓みを可能にすることができる。従って、撓みの度合いは、可撓性接合領域の長さにより、ある程度制御できる。このように、可撓性領域は、カテーテル組立体の長手方向軸線に対して90°まで撓ませることができ、幾つかの場合には、該可撓性領域は、可撓性接合領域の長さに応じて、長手方向軸線に対して180°まで撓ませることができる。カテーテルの曲げをさらに容易にするために、コイル等の付加的な部材を、装置内の、例えば遷移領域に組み込んで、接合領域の曲げをさらに制御することを助けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、血管閉塞物質又はインプラントを送達するための多管腔カテーテルに関する。装置は、任意的に、バルーン部材を含むことができる。装置は、同様の番号が同様の要素を示す図面において詳細に示される。カテーテルは、バルーン部材が使用される場合には、バルーンの近傍とすることができる、成形可能な可撓性遠位セクションを含むことが好ましい。可撓性セクション又は「ヒンジ領域」は、血管閉塞装置又は物質を送達する工程中に体外から操作されることが好ましい。これらの「ヒンジ領域」、「ヒンジ」又は「可撓性接合部」という用語は、互換的に用いることができる。
【0019】
図1Aは、本発明の1つの変形態様に従って作られたカテーテル組立体23を示す。カテーテル組立体23のこの変形態様では、カテーテルの近位端24と遠位端37との間に延びる内腔を有する薄肉の可撓性本体又はチューブ26からなるカテーテル・シャフト25を含む。チューブ26は、一般的には、この用途に適切な機械的特性を有する非膨張性ポリマーであることが好ましく、ポリエチレン(例えば、HDPE、LDPE、LLDPE、MDPE等)、ポリエステル(ナイロン等)、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、エチルビニルアセテート、ポリエチレン・テレフタレート、ポリウレタン(例えば、バイエル・コーポレーション社により製造されるもののようなTEXIN)、PEBAX、フルオロポリマー、前述のポリマーの混合物、及びこれらのブロック又はランダム共重合体であることが好ましい。
【0020】
カテーテル組立体は、必須ではないが、多くの場合、ガイドワイヤを用いて、脈管構造を通した脳へのアクセスに使用できる。任意的なバルーン部材がカテーテル組立体に組み込まれた場合には、該バルーン部材を膨張させて、血管閉塞装置の配置前又はその最中に、動脈、静脈、オリフィス、キャビティ等、又は動脈瘤の口のような、任意の中空の体腔を閉鎖するか又は制限することができる。一般に、組立体は、カテーテルを通して近位側に延びる押し/引きワイヤにより該カテーテルの遠位端付近又はその「ヒンジ領域」において撓ませることができる。カテーテル組立体により定められる主管腔を使用して、最終的には脈管構造内に配置される血管閉塞装置又は物質を導入することができる。
【0021】
カテーテルの近位端24には、流体を側部ポート16を通してカテーテルの膨張管腔に供給することができる取付具18(例えば、「LuerLok」)が形成されてもよい。カテーテルの近位端には、第2のポート20と取付具22とが形成されており、これを通して押し/引きワイヤを用いて、カテーテルの遠位先端部におけるヒンジ領域32を操作することができる。近位端の取付具18は、カテーテルの送達/ガイドワイヤ管腔と連通する軸方向に延びるポート14を含む。任意的なガイドワイヤ12は、可撓性カテーテルを身体内の意図される部位まで導くのに適した任意の構造を有することができる。ガイドワイヤ12の近位端には、以下にさらに詳細に説明されるように、カテーテル操作中にトルクを該ガイドワイヤ12に加えるためのハンドルを備えることができる。ガイドワイヤは、その長さに沿って、典型的には、例えば、大径のより剛性のある近位側領域と、1つ又はそれ以上の小径のより可撓性のある遠位側領域といった異なる剛性をもつ又は段付きの直径を有することができる。
【0022】
カテーテルの遠位部分35は、典型的にはバルーンである、任意的な膨張可能部材30を含むことができる。カテーテルの遠位端の開口部36はまた、予め選択された血管部位への薬及び/又は血管閉塞装置の送達にも使用できる。カテーテル25の遠位端領域35には、膨張可能なバルーン30を備えることができ、これが膨張した場合には、動脈瘤又は動脈瘤に隣接した動脈への入口を遮断することによって、血管閉塞物質又は装置の配置を助けることができる。可撓性接合部をもつバルーン部材を組み込むカテーテル組立体の例が、共同所有され、引用によりその全体をここに組み入れる、2000年8月21日に出願された米国特許出願連続番号第09/643,085号(特許文献15)にさらに詳細に開示されている。
【0023】
バルーン部材が幾つかの変形態様で示されるが、バルーン部材の使用は任意的なものに過ぎない。バルーンの壁セクション(以下により詳細に説明される)は、ポリマー材料の薄いスリーブから形成され、その反対側のスリーブ端部が相対的により剛なチューブ・セクションに取り付けられることが好ましい。図1A、図1B及び図1Cは、可撓性ヒンジ領域の配置に基づいたカテーテルの遠位先端部35の位置決めについての種々の構成を示す。図1A、図1B及び図1Cはそれぞれ、このような膨張可能部材30がカテーテル組立体に組み込まれた場合に、ヒンジ領域32が該膨張可能部材領域30の近位側に(図1A)、その中に(図1B)、及びその遠位側に(図1C)配置された本発明のカテーテル23の変形態様を示す。ヒンジ領域の撓みは、押し/引きワイヤ21の遠隔操作によって達成できる。
【0024】
図2Aから図2Dまでは、図1A、図1B及び図1Cに示されたカテーテルの遠位端領域35及びヒンジ領域32の変形態様を示す。図2Aのカテーテル・チューブ40は、両端41、43がカテーテル・チューブ壁40に固定された膨張可能スリーブにより形成された、例えばバルーンといった膨張可能部材44を有することができる。膨張可能部材すなわちバルーン44は、通常、神経血管のバルーン・カテーテルに用いられるような形状、厚さ及び材料とすることができる。しかしながら、膨張可能部材すなわちバルーン44は、薄いポリマー材料から形成できるものであることが好ましく、シリコーン・ゴム、ラテックス・ゴム、ポリ塩化ビニルのような伸張可能な弾性材料、C−FLEX等のスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のような複合共重合体、或いはポリエチレン、ポリプロピレン、又はナイロン等のポリアミド系の伸張不能なフィルム材料から形成できるものであることが好ましい。
【0025】
カテーテル・チューブへのスリーブ端部の取り付けは、接着剤、熱収縮、機械式ファスナ、又は他の好適な方法によるものとすることができる。バルーン44が組立体に組み込まれた場合には、同様に任意的な膨張管腔42が、カテーテル・チューブ40に形成された少なくとも1つ開口部50を通して、膨張流体源と該バルーン44との間の連通を可能にする。バルーンの膨張及び収縮は、放射線不透過性流体、生理食塩水、又は他の流体の通過により行われる。押し/引きワイヤ管腔60は、カテーテル・チューブ40全体にわたり延び、押し/引きワイヤ62の通過を保護することができる。押し/引きワイヤ62を囲むチューブ60の潰れを防止するため、及び、作動中のねじれ又は膨らみを防止するために、押し/引きワイヤ管腔60は、以下にさらに詳細に説明されるように、好ましくはより高い剛性のポリマー(例えば、ポリイミド)の層、支持コイル、又は支持編組部により形成される付加的な構造を有することができる。
【0026】
図1Aの近位側のワイヤ・ポート20を介した押し/引きワイヤ62の操作が、カテーテル25の遠位端35の撓みをもたらすことができる。ガイドワイヤ57は、カテーテル・チューブ40の内側にある送達管腔55を貫通することができる。押し/引きワイヤ62は、押し/引きワイヤ管腔60を貫通することができ、これは、カテーテルの遠位端65を取り囲むことができ、ステンレス鋼、白金、金、ニッケル等のような様々な放射線不透過性材料から作ることができる放射線不透過性バンド67に取り付けることができる。押し/引きワイヤ62の近位側操作によってカテーテルの遠位先端部65が撓むヒンジ領域58は、図2A、図2B及び図2Cにそれぞれ示されるように、バルーン(使用される場合)の近位側にも、その中にも、又はその遠位側にも位置されることができる。バルーンのカテーテル組立体への組み込みがここに記載されているが、バルーンは任意的なものであり、カテーテル組立体から完全に省いでもよい。
【0027】
図2Aに示すように、ヒンジ領域58がバルーン44の近位側に配置された場合には、押し/引きワイヤ管腔60は、該バルーン44の遠位端の近位側にある領域まで延びて、バルーン44全体を含む、カテーテルの遠位端65領域の撓みを可能にする。図2Bの場合のように、ヒンジ領域58がバルーン44の内側に配置された場合には、カテーテルの遠位端65の撓みは、撓み点がバルーン内になるように生じる(図1Bにも示される)。図2Cは、ヒンジ58の配置がバルーンの遠位側にある状態を示し、ヒンジが遠位側に配置された場合の撓みは、カテーテルの遠位端65の操作可能領域がバルーン44のいずれの部分も含まないように生じる。
【0028】
図2Dは、ヒンジ領域58がバルーン44の内側に配置された状態を示す。バルーン44は、ガイドワイヤ/送達チューブ56と、環状の膨張管腔42を囲む外側のカテーテル・チューブ40との間に延びる。押し/引きワイヤ62は、ガイドワイヤ/送達管腔チューブ56の遠位端65に取り付けられる。図2Aから図2Dまでに示す変形態様の各々において、押し/引きワイヤ62は、例えば接着剤、クリンピング、機械式ファスナ等といった様々な方法により、その遠位端をカテーテルに取り付けることができる。この変形態様においては、放射線不透過性マーカ・バンド67を用いてワイヤ62を固定することができる。さらに、ヒンジ領域58の遠位側にある押し/引きワイヤ62を取り付けるための他の取り付け部位も明らかであろう。押し/引きワイヤ自体は、座屈する又はねじれることなく、ワイヤ管腔を通してワイヤの長手方向軸線に沿って押す又は引くことができるだけ十分に高い列強度及び引っ張り強度を有するワイヤであることが好ましい。これは、他の断面形状を使用することもできるが、例えば0.025mm及びそれ以上の範囲にわたる直径を有する、円形断面を有するワイヤに製造することができる。押し/引きワイヤは、ステンレス鋼、白金等のような生物的適合性のある金属材料から製造できる。或いは、押し/引きワイヤ62はさらに、その近位端又はその付近の直径が大きく、その遠位端又はその付近の直径が小さい先細ワイヤを含むことができる。適切な直径と、装置の可撓性のある遠位端を操作するのに望ましい十分な列強度及び引っ張り強度とを有する限り、通常のガイドワイヤを押し/引きワイヤとして使用することもできる。
【0029】
図2Dにおいては、膨張管腔42の端部を越える送達管腔チューブ56の延長部は、押し/引きワイヤ62が例えばマーカ又は白金バンド67を用いてカテーテルに取り付けられている場合には、カテーテルの遠位端65の遠隔操作を可能にする。送達管腔チューブ56は、図1のチューブ56に対する上記の材料のいずれかから作ることができる。
【0030】
カテーテルの管腔の種々の構成の幾つか(膨張、押し/引き、送達等)が、図3Aから図3Hまでに示される。図3Aにおいては、任意的な膨張管腔122及び押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120の内側に形成され、カテーテルの内壁がガイドワイヤ管腔128を形成する。図3Bにおいては、カテーテル壁120は、任意的な膨張管腔122と、押し/引きワイヤ管腔124とを収容するガイドワイヤ管腔128を形成する。図3Cでは、任意的な膨張管腔122がカテーテル壁120の内側に形成され、押し/引きワイヤ管腔124は、より大きなコイル管腔128(カテーテル壁120により形成される)内にある。
【0031】
図3Dは、押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120の内側にあり、任意的な膨張管腔122がより大きな主管腔128内にある、図3Cの変形態様である。図3Eにおいては、カテーテルの内壁120が任意的な膨張管腔122を形成し、押し/引きワイヤ管腔124及び主管腔128は該膨張管腔122内にある。図3Fにおいては、任意的な膨張管腔122はガイドワイヤ管腔128を取り囲み、該カテーテル壁120の内側に形成された領域内にあり、押し/引きワイヤ管腔124はカテーテル壁120内にある。図3Gにおいては、1つの共有管腔123が押し/引き及び任意的な膨張管腔として機能し、すなわち、共有された押し/引き及び膨張管腔123が、ガイドワイヤ管腔128と共にカテーテル壁120内にある。図3Hに示す管腔の位置決めについての別の代替的な変形態様では、押し/引きワイヤ管腔124がカテーテル壁120内に収容される膨張管腔122の内側にあり、ガイドワイヤ128のための別個の管腔もカテーテル壁120内に収容されている。
【0032】
チューブ構成、ヒンジ領域の構造、及びここで説明された種々の管腔を形成する他の管類は、押し出し、順次製造(部品を別個に製造して、後で組み立て合わせる)、又は当業者には知られている何らかの他の方法により形成できる。さらに、バルーンの使用がカテーテル組立体から省かれる場合には、膨張管腔もまた、完全に省くことができる。
【0033】
図4Aは、カテーテル組立体210の別の変形態様の断面側面図を示す。この特定の変形態様では、主管腔216が組立体210の長さを通して定められたカテーテル本体212を有することができる。さらに、押し/引きワイヤ管腔214を、カテーテル本体212の長さを通して、又は少なくともカテーテル本体212の長さの大部分を通して定めることができ、これはカテーテル組立体210の近位端にある取付具232から装置の遠位端付近の領域又は遠位端領域まで延びる。カテーテル本体212自体は、各々が異なる度合いの可撓性を有する幾つかの領域から構成することができる。例えば、カテーテル組立体210は、取付具232の遠位側に、第1の剛性を有する第1の部分220を含むことができる。第2の剛性を有し、第1の部分220の遠位側に位置する第2の部分222は、該第1の部分220と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。同様に、第3の剛性を有し、第2の部分222の遠位側に位置する第3の部分224は、第1の部分220及び第2の部分222と比較して、より可撓性のあるものとすることができる。このように、カテーテル本体212は、カテーテル212に沿って遠位側になればなるほど、次第に、より可撓性のあるセクションで構成される長さを有することになる。曲げ部分すなわち可撓性接合領域218は、以下にさらに詳細に説明されるように、第3の部分224の遠位側に配置することができる。
【0034】
押し/引きワイヤ管腔124は、その長さの少なくとも大部分に沿って補強されることが好ましい。ワイヤ管腔124は、カテーテル本体の長さ226に沿って該管腔214の長さ全体にわたり組み込まれた編組リボン236を含むことができる。或いは、図4Aに示すように、編組リボン236を、管腔214を通して組み込んで、接合領域218の近位側で終端させることができる。編組リボン236は、均一な編組部とすることもできるし、或いは様々な編組ピッチで編むこともできる。例えば、第1の部分220等のカテーテル本体212の近位側セクションは、第3の部分224等の、より遠位側に位置するセクションより緊密な、すなわち高い編組ピッチを有する編組部を有することができる。より低い編組ピッチの領域が、より高い編組ピッチの領域の側部にある場合には、より大きなピッチの領域は、一般に、カテーテルの遠位先端部の操作中に、より剛性になることができる。
【0035】
編組リボン236は、多数の材料から作ることができる。例えば、超弾性合金として知られている部類の合金部材の金属が、編組材料に使用できる。好ましい超弾性合金には、ニチノールとして通常知られているニッケル・チタン材料の部類が含まれる。ステンレス鋼のような他の適切な金属を使用することもできるし、或いは液晶ポリマー(LCP)のようなポリマーを用いることもできる。本発明において使用できる編組部は、市販されている管状製紐機を用いて作られることが好ましい。「編組部」という用語は、一般に、構造を構成するリボンが、単一の管腔を定める管状部材を形成するように横切るときに、イン・アンド・アウト方式で半径方向に織ることができる管状の構造を含むことができる。当該技術分野において通常知られている他の編組部の変形態様を使用することもできる。編組部は、好適な数のリボン又はワイヤから作ることもできる。図4Dは、カテーテル本体212の断面を示す。図示されるように、ワイヤ管腔214は、管腔壁上に配設された、潤滑性のあるポリマー・ライナといったライナ246を有して、これを通る押し/引きワイヤの移動を容易にすることができる。ライナ246は、上述のように、様々な好適なポリマー材料のいずれかから作ることができる。或いは、編組リボン236は、ワイヤ管腔214の内面上に配置してもよい。このような構成においては、潤滑性のあるコーティングは、装置の遠位側に位置する部分から任意的に省いてもよい。
【0036】
様々な剛性をもつ3つのセクションがこの変形態様において記載されているが、これは、例示的なものであることが意図される。様々な剛性をもつ、僅か2つのセクション又は多数の(すなわち、3より多い)セクションを有するカテーテルも、本発明内に入ることが意図される。さらに、これらのセクションは、カテーテル本体212に沿って遠位側になればなるほど、剛性が減るように(すなわち、可撓性をもつように)することが好ましいが、他の変改態様では、剛性が増加した遠位側に配置されたセクション、又は、相対的に剛性があるセクションと、より可撓性があるセクションとが交互になったセクション、或いはその他のあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0037】
第1の部分220は、例えば1つの変形態様においては、72Dの剛性すなわち相対的なデュロメータ硬度値をもつ約100cm(±1cm)の典型的な長さを有することができる。第2の部分222は、63Dのより小さい剛性すなわち硬度をもつ約30cm(±1cm)の長さを有することができる。第3の部分224も、同様に、40Dのさらにより小さい剛性すなわち硬度値をもつ約30cm(±1cm)の長さを有することができる。いずれの場合も、主管腔216は、装置の長さ全体にわたって入れられた、例えば63Dの剛性すなわち相対硬度を有する管類によって定められることができる。セクションの各々は、隣接するセクションと一体化されることが好ましい。様々な剛性は、例えば異なる剛性を有する、異なる鞘又はカバーのような、当該技術分野において一般に知られている様々な方法のいずれか1つによってもたらすことができる。例えば、様々な剛性を有するPEBAX(フランス所在のAtochem Corporation社)又は上述のその他のあらゆるポリマー材料を使用して、それぞれのセクションを覆うことができる。
【0038】
操作可能な又は可撓性接合領域218は、一般に、カテーテル本体212の遠位端に位置し、押し/引きワイヤにより操作された場合に曲がるように構成される。可撓性接合領域218は、例えば3mmから3cmまでの範囲にわたる長さを有するように構成できる。上述のように、編組リボン236は、可撓性接合領域218の近位側で終端することができる。曲げ部分218自体を変えて、編組部236が終端するところまで延ばすこともできるし、或いは曲げ部分228まで延ばして、編組部236の一部を囲むこともできる。可撓性接合領域218は、第3の部分224の剛性より低い、例えば25Dの剛性すなわち硬度を有するPEBAX、又は上述のその他のあらゆるポリマー材料により覆うことができる。
【0039】
上述のように、カテーテル本体212の近位側部分は、取付具232に取り付けることができる。取付具232は、典型的には管腔内カテーテルと共に使用される様々な取付具のいずれかとすることができる。この変形態様においては、取付具232が、主管腔216と連通して、ガイドワイヤ、種々の工具、治療薬等の通過を可能にする開口部234を定めることができる。これは、制御部240をもつ別個に製造された押し/引きワイヤ・ハンドル238を受け入れて、押し/引きワイヤを該ワイヤの長手方向軸線に沿って遠位側に又は近位側に操作するように構成することもできる。或いは、押し/引きワイヤ・ハンドル238は、取付具232と一体化した部品として形成してもよい。図は、開口部234を取付具232の近位端に含む状態を示すが、他の変形態様では、カテーテル本体212自体の本体に沿って定められたガイドワイヤ管腔の開口部を有する迅速交換(RX)形式のカテーテル設計を含むことができる。
【0040】
可撓性接合領域218の遠位端は、図4Bの詳細側面図に示すように、該接合領域218の遠位面242を越えて延長部230として延びる主管腔216を定める管類の一部を有することができる。延長部230の長さは、望ましい曲げ結果に応じて、相対的に短い長さから相対的に長い長さまで様々な長さで延びるように構成できる。延長部230は、近位側に位置するセクション、すなわち可撓性接合領域218の剛性すなわち硬度より高い、例えば63Dといった、相対的な剛性すなわち硬度値を有することができる。さらに、以下にさらに詳細に説明されるように、付加的なコーティングを延長部230上に配設することができ、任意のマーカ・バンド又はワイヤをその上に配置して、組立体を包むことができる。可撓性接合領域218の端面図が図4Cに示され、ここでは、主管腔216に隣接して形成された押し/引きワイヤ管腔214の変形態様が示されている。図示のように、主管腔216は、該主管腔216の内面上に定められた潤滑性のあるライナ244を有して、該主管腔216を通るガイドワイヤ及び/又は他の工具の挿入又は取り外しを容易にすることができる。ライナ244は、上述のように、様々な好適なポリマー材料のいずれかから形成できる。
【0041】
図4Bに戻ると、管類の延長部230は、遠位面242を越えて、短い距離、例えば約0.15cmだけ延びることができる。図5Aにおける遠位部分250の側面図に示すように、上述の放射線不透過性マーカ・バンド262は、延長部230にわたって及び/又はその上に取り付けることができる。ワイヤ管腔214内に配置された押し/引きワイヤ258は、遠位面242の開口部を貫通して、マーカ・バンド262に取り付けることができる。押し/引きワイヤ258は、バンド262と延長部230との間に通すことによって取り付けられ、マーカ・バンド262の周り260で曲げられてもよい。或いは、付加的なマーカ・バンドを延長部230上に配置して、押し/引きワイヤ258をそれぞれのマーカ・バンドの間に挟むように用いてもよい。当該技術分野において一般に知られている、ワイヤ258をマーカ・バンド262に取り付ける他の変形態様も使用できる。マーカ・バンド262を越える延長部230の一部は、そのままにすることもできるし、或いは、該マーカ・バンド262に対して同一平面になるようにトリムすることもできる。付加的なマーカ・バンド262を押し/引きワイヤ管腔214の周りに配置して、蛍光透視鏡等の画像形成システムの下で、カテーテルの位置の方向付けを助けることができる。
【0042】
可撓性接合領域218は、編組部236が終端する部分254から撓み始めることができる。可撓性接合領域218は、さらに、該可撓性接合領域218とカテーテル本体の残りの部分との間に任意的な遷移接合領域252を組み込むことができる。この遷移領域252は、接合領域218の可撓性とカテーテル本体の可撓性との間の中間の可撓性を有することもできるし、或いは、該領域の曲げを容易にするためにいずれの領域よりも可撓性があるように構成することもできる。領域252に沿った主管腔216及び/又はワイヤ管腔214から、どのようなライナ又はコーティングをも省くことによって、少なくとも部分的に、可撓性をこの領域252に付与することができる。いずれの場合も、遷移領域252は、完全に省くことができる。親水性であることが好ましく、装置全体上にでも又は装置の一部の上にでも配設することができるカバーすなわち鞘256も、可撓性接合領域218から省くことができる。所望の結果に応じて、このカバー256を、遷移接合領域252に含めることもできるし、或いはそれから完全に省くこともできる。任意的に、多分35cmから50cmまでの装置の遠位部分(任意的には接合領域252を含む)を、同様に、所望の結果に応じて、親水性コーティングで覆うことができる。
【0043】
可撓性接合領域218の長さを変えることによって、該接合領域218の曲率及び撓みの量を制御することができる。例えば、図5Bに示すように、接合領域218の遠位端と編組部の終端部264との間の相対的に短くされた長さを有する接合領域は、カテーテルの中間部分と比較して減少した度合いの撓み266を可能にすることができる。これと比較して、図5Cに示すように、より近位側に配置された終端部264’まで延びる長くされた接合領域は、図5Bのカテーテルにより示される撓みと比較して相対的に大きい度合いの撓み266’を可能にすることができる。従って、撓みの度合いは、可撓性接合領域の長さによりある程度制御できる。このように、可撓性領域は、カテーテル組立体の長手方向軸線に対して90°まで撓ませることができ、幾つかの場合においては、該可撓性領域は、可撓性接合領域の長さに応じて長手方向軸線に対して180°まで撓ませることができる。カテーテルの曲げをさらに容易にするために、コイル等の付加的な部材を、装置内の、例えば遷移領域内に組み込んで、接合領域の曲げをさらに制御することを助けることができる。
【0044】
上述のように、遠位側の可撓性接合領域218は、好ましくは、本体内における使用を容易にするために親水性であり、図6Aの断面側面図に示すように、該本体上及び延長部230上に配設されて組立体を収めるコーティングすなわちライナ267を有することができる。この変形態様においては、マーカ・バンド262は、延長部230上に配設でき、第2のマーカ・バンド269は、押し/引きワイヤ258が中間に固定された状態で、その上に配設できる。この変形態様においては、第2のマーカ・バンド269は、直径並びに長さがマーカ・バンド262より大きいが、当業者には知られている他のサイズ及び構成を使用してもよい。接合領域218の全長にわたり又は該領域218の一部のみに融着することができるライナ267は、ここに説明された様々な材料のいずれかから作ることができる。マーカ・バンド262、269を使用して、装置の遠位端の位置の視覚化を容易にすることができる。任意的に、第3のマーカ・バンド268を接合領域218の近位側に装置に沿って配置して、該装置の潜在的コイリングの視覚化を助けることができる。
【0045】
可撓性接合領域の撓みを制御する、押し/引きワイヤの前進又は後退を制御するために、様々な制御部を使用することができる。図7Aから図7Cまでは、それぞれ、制御ハンドルの1つの変形態様についての、側面図、端面図及び一部が取り除かれた側面図を示す。押し/引きワイヤガイド270は、ハンドル238から延びて、該押し/引きワイヤをカテーテルに移動させることができる。明確にするために一部が取り除かれたハンドル238を示す図7Cの側面図に示すように、ワイヤ制御部240は、図7Eに示すラック274の係合歯と係合することができる、図7Dに示す同軸線に構成されたギア272をさらに定めるホイールとして構成される。押し/引きワイヤはラック274に取り付けられて、制御部240が回転されたときには、該ラック274を近位側又は遠位側に前進させて、取り付けられた押し/引きワイヤを該ワイヤの長手方向軸線に沿って並進運動させることができる。
【0046】
図8は、組み合わされた取付具/ハンドル組立体280の断面側面図における別の変形態様を示す。ハンドル本体282は、取付具の一体化した部分として押し/引きハンドル部分284を組み込むことができる。組立体280は、主管腔アクセス286並びに押し/引きワイヤ・アクセス288を含むことができる。図9は、ハンドル本体290の別の変形態様の断面側面図を示す。この変形態様においては、キャリッジねじ292をハンドル290内に配置して、ワイヤ・キャリッジ294を、該ハンドル内に定められた前進チャネル296内で移動させるように構成することができる。キャリッジねじ292の近位端は、キャリッジ294、及び、押し/引きワイヤ・アタッチメント300において該キャリッジ294に取り付けることができる押し/引きワイヤを近位側又は遠位側のいずれかに前進させるように回転することができる制御ノブ298に取り付けることができる。
【0047】
図10のさらに別の変形態様においては、ハンドル本体310は、解除ねじ314に取り付けられた制御/解除ノブ312を組み込むことができる。ねじ314は、アタッチメント318を介して押し/引きワイヤに取り付けることができるワイヤ・キャリッジ316に取り付けることができる。ノブ312が近位側又は遠位側に並進運動する際に、キャリッジ316は、チャネル320内で、取り付けられた押し/引きワイヤを前進させるか又は後退させるように移動することができる。ノブ312をハンドル310に対してねじ314の周りに締め付けて、必要に応じて、撓み中に押し/引きワイヤの位置を固定することができる。図11のさらに別の変形態様においては、ハンドル本体330は、ワイヤ・キャリッジ334を該ハンドル330内で近位側又は遠位側に前進させるように構成された制御スライド332を有することができる。
【0048】
上述の本発明のカテーテルの用途は、特定の処置に限定されるものではなく、多数の血管疾患を含むことができる。本発明を実行する上述の方法の修正、並びに機械及びガイドワイヤ及び/又はカテーテルの技術分野における当業者には明らである本発明の機械的な態様の変形は、特許請求の範囲内に入ることが意図される。さらに、実施例にわたる種々の態様の組み合わせも、本開示の範囲内に入ることが想定され、考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1A】カテーテル組立体の1つの変形態様の外観図を示す。
【図1B】カテーテル組立体の遠位側領域の代替的な構成を示す。
【図1C】カテーテル組立体の遠位側領域の代替的な構成を示す。
【図2A】カテーテル組立体の遠位側領域の変形態様における近位側に配置されたヒンジ領域の断面図を示す。
【図2B】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様についての中間にバルーンがあるヒンジ領域の配置の断面図を示す。
【図2C】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様における遠位側に配置されたヒンジ領域の断面図を示す。
【図2D】カテーテル組立体の遠位側領域の別の変形態様についての付加的な中間にバルーンがあるヒンジ領域の配置の断面図を示す。
【図3A】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3B】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3C】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3D】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3E】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3F】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3G】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図3H】押し/引きワイヤ管腔、主管腔及び任意的な膨張管腔の種々の相対的位置を示すカテーテル・シャフトの断面図である。
【図4A】カテーテル組立体の別の変形態様の断面側面図を示す。
【図4B】主管腔を定める管類の一部が接合領域の遠位面を越える延長部として延びる詳細側面図を示す。
【図4C】図4Bの可撓性接合領域の端面図を示す。
【図4D】ワイヤ管腔及び主管腔を示すカテーテル本体の断面端面図を示す。
【図5A】カテーテル組立体の変形態様の遠位側部分の組立体の側面図を示す。
【図5B】異なる長さの可撓性接合領域を有するカテーテルの可撓性接合領域の曲げを示す。
【図5C】異なる長さの可撓性接合領域を有するカテーテルの可撓性接合領域の曲げを示す。
【図6A】遠位端をライナにより融着することができる装置の別の変形態様の断面側面図を示す。
【図6B】遠位端をライナにより融着することができる装置の別の変形態様の詳細側面図を示す。
【図7A】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の側面図を示す。
【図7B】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の端面図を示す。
【図7C】押し/引きワイヤを操作するための制御ハンドルの1つの変形態様の、一部が取り除かれた側面図を示す。
【図7D】押し/引きワイヤを操作するのに使用できるホイールの詳細図を示す。
【図7E】押し/引きワイヤを操作するのに使用できるラックの詳細図を示す。
【図8】組み合わされた取付具/ハンドル組立体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図9】キャリッジねじを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図10】制御/解除ノブを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【図11】制御スライドを使用するハンドル本体の断面側面図における別の変形態様を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管腔及び該主管腔に隣接するワイヤ管腔が貫通形成され、遠位端付近又は遠位端において前記ワイヤ管腔が開口部を有するようにされた可撓性接合領域と、
前記ワイヤ管腔を通して、ワイヤの長手方向軸線に沿って押したり引いたりするように構成された押し/引きワイヤと、
を備え、
前記可撓性接合領域が、該可撓性接合領域の撓みに影響を与える大きさの所定の長さを有する、
ことを特徴とするカテーテル・セクション。
【請求項2】
前記押し/引きワイヤを固定する少なくとも1つの放射線不透過性バンドを前記可撓性接合領域の遠位端付近又は遠位端にさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項3】
前記可撓性接合領域に沿って膨張可能部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項4】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項5】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域内に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項6】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域の近位側に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項7】
前記膨張可能部材が、エラストマー及び熱可塑性ポリマーからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項8】
前記材料が、エラストマーであることを特徴とする、請求項7に記載のカテーテル・セクション。
【請求項9】
前記エラストマーが、シリコーン・ゴム、ラテックス・ゴム、天然ゴム、ブタジエン・ベースの共重合体、EPDM、ポリ塩化ビニル、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項8に記載のカテーテル・セクション。
【請求項10】
前記エラストマーが、シリコーン・ゴムであることを特徴とする、請求項8に記載のカテーテル・セクション。
【請求項11】
前記材料が、熱可塑性ポリマーであることを特徴とする、請求項7に記載のカテーテル・セクション。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項11に記載のカテーテル・セクション。
【請求項13】
前記可撓性接合領域の近位側に位置するカテーテル本体をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項14】
前記カテーテル本体が、少なくとも、第1の可撓性を有する第1の領域と、前記第1の領域より可撓性のある第2の可撓性を有する第2の領域とを定めることを特徴とする、請求項13に記載のカテーテル・セクション。
【請求項15】
前記第1の領域が、前記第2の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項14に記載のカテーテル・セクション。
【請求項16】
前記第2の領域が、前記第1の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項14に記載のカテーテル・セクション。
【請求項17】
前記第2の領域より可撓性のある第3の可撓性を有する第3の領域をさらに備えたことを特徴とする、請求項16に記載のカテーテル・セクション。
【請求項18】
前記第3の領域が、前記第2の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項17に記載のカテーテル・セクション。
【請求項19】
前記押し/引きワイヤの近位端と連通して、前記可撓性接合領域を操作する制御部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項20】
前記可撓性接合領域が、前記カテーテル・セクションの長手方向軸線に対して180°まで撓むように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項21】
前記可撓性接合領域が、コイル部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項22】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿って編組部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項23】
前記編組部が、前記可撓性接合領域の近位側で終端することを特徴とする、請求項22に記載のカテーテル・セクション。
【請求項24】
前記主管腔が、該主管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項25】
前記ライニングが、潤滑性のあるライニングを備えたことを特徴とする、請求項24に記載のカテーテル・セクション。
【請求項26】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項27】
前記ライニングが、潤滑性のあるライニングを備えたことを特徴とする、請求項26に記載のカテーテル・セクション。
【請求項28】
前記可撓性接合領域が、隣接するポリマーより軟らかいポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項29】
前記可撓性接合領域の少なくとも大部分にわたりコーティングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項30】
貫通する主管腔を定める可撓性接合領域と、
前記主管腔に隣接し、前記可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに開口部を有するワイヤ管腔と、
前記ワイヤ管腔を通して、押し/引きワイヤの長手方向軸線に沿って押す又は引くように構成された押し/引きワイヤと、
前記押し/引きワイヤを固定するための、前記可撓性接合領域の遠位端付近又はそこにおける少なくとも1つの放射線不透過性バンドとを備え、
前記可撓性接合領域が、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する、
ことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項31】
前記カテーテル組立体を導くための、前記主管腔を通して挿入可能で除去可能なガイドワイヤをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項32】
前記可撓性接合領域に沿った膨張可能部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項33】
前記押し/引きワイヤの近位端と連通して、前記可撓性接合領域を操作する制御部をさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項34】
前記可撓性接合領域が、前記カテーテル・セクションの長手方向軸線に対して180°まで撓むように構成されたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項35】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿って編組部を備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項36】
前記編組部が、前記可撓性接合領域の近位側で終端することを特徴とする、請求項35に記載のカテーテル組立体。
【請求項37】
前記主管腔が、該主管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項38】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項39】
前記可撓性接合領域に沿って位置される、少なくとも1つの付加的な放射線不透過性バンドをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項40】
前記主管腔を通して送達するように構成された血管閉塞コイルをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項1】
主管腔及び該主管腔に隣接するワイヤ管腔が貫通形成され、遠位端付近又は遠位端において前記ワイヤ管腔が開口部を有するようにされた可撓性接合領域と、
前記ワイヤ管腔を通して、ワイヤの長手方向軸線に沿って押したり引いたりするように構成された押し/引きワイヤと、
を備え、
前記可撓性接合領域が、該可撓性接合領域の撓みに影響を与える大きさの所定の長さを有する、
ことを特徴とするカテーテル・セクション。
【請求項2】
前記押し/引きワイヤを固定する少なくとも1つの放射線不透過性バンドを前記可撓性接合領域の遠位端付近又は遠位端にさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項3】
前記可撓性接合領域に沿って膨張可能部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項4】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項5】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域内に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項6】
前記膨張可能部材が、前記可撓性接合領域の近位側に位置することを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル・セクション。
【請求項7】
前記膨張可能部材が、エラストマー及び熱可塑性ポリマーからなる群から選択された材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項8】
前記材料が、エラストマーであることを特徴とする、請求項7に記載のカテーテル・セクション。
【請求項9】
前記エラストマーが、シリコーン・ゴム、ラテックス・ゴム、天然ゴム、ブタジエン・ベースの共重合体、EPDM、ポリ塩化ビニル、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項8に記載のカテーテル・セクション。
【請求項10】
前記エラストマーが、シリコーン・ゴムであることを特徴とする、請求項8に記載のカテーテル・セクション。
【請求項11】
前記材料が、熱可塑性ポリマーであることを特徴とする、請求項7に記載のカテーテル・セクション。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びナイロンからなる群から選択されたことを特徴とする、請求項11に記載のカテーテル・セクション。
【請求項13】
前記可撓性接合領域の近位側に位置するカテーテル本体をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項14】
前記カテーテル本体が、少なくとも、第1の可撓性を有する第1の領域と、前記第1の領域より可撓性のある第2の可撓性を有する第2の領域とを定めることを特徴とする、請求項13に記載のカテーテル・セクション。
【請求項15】
前記第1の領域が、前記第2の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項14に記載のカテーテル・セクション。
【請求項16】
前記第2の領域が、前記第1の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項14に記載のカテーテル・セクション。
【請求項17】
前記第2の領域より可撓性のある第3の可撓性を有する第3の領域をさらに備えたことを特徴とする、請求項16に記載のカテーテル・セクション。
【請求項18】
前記第3の領域が、前記第2の領域の遠位側に位置することを特徴とする、請求項17に記載のカテーテル・セクション。
【請求項19】
前記押し/引きワイヤの近位端と連通して、前記可撓性接合領域を操作する制御部をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項20】
前記可撓性接合領域が、前記カテーテル・セクションの長手方向軸線に対して180°まで撓むように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項21】
前記可撓性接合領域が、コイル部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項22】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿って編組部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項23】
前記編組部が、前記可撓性接合領域の近位側で終端することを特徴とする、請求項22に記載のカテーテル・セクション。
【請求項24】
前記主管腔が、該主管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項25】
前記ライニングが、潤滑性のあるライニングを備えたことを特徴とする、請求項24に記載のカテーテル・セクション。
【請求項26】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項27】
前記ライニングが、潤滑性のあるライニングを備えたことを特徴とする、請求項26に記載のカテーテル・セクション。
【請求項28】
前記可撓性接合領域が、隣接するポリマーより軟らかいポリマーからなることを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項29】
前記可撓性接合領域の少なくとも大部分にわたりコーティングをさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル・セクション。
【請求項30】
貫通する主管腔を定める可撓性接合領域と、
前記主管腔に隣接し、前記可撓性接合領域の遠位端付近又はそこに開口部を有するワイヤ管腔と、
前記ワイヤ管腔を通して、押し/引きワイヤの長手方向軸線に沿って押す又は引くように構成された押し/引きワイヤと、
前記押し/引きワイヤを固定するための、前記可撓性接合領域の遠位端付近又はそこにおける少なくとも1つの放射線不透過性バンドとを備え、
前記可撓性接合領域が、該可撓性接合領域の撓みに影響を与えるような大きさにされた所定の長さを有する、
ことを特徴とするカテーテル組立体。
【請求項31】
前記カテーテル組立体を導くための、前記主管腔を通して挿入可能で除去可能なガイドワイヤをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項32】
前記可撓性接合領域に沿った膨張可能部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項33】
前記押し/引きワイヤの近位端と連通して、前記可撓性接合領域を操作する制御部をさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項34】
前記可撓性接合領域が、前記カテーテル・セクションの長手方向軸線に対して180°まで撓むように構成されたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項35】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿って編組部を備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項36】
前記編組部が、前記可撓性接合領域の近位側で終端することを特徴とする、請求項35に記載のカテーテル組立体。
【請求項37】
前記主管腔が、該主管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項38】
前記ワイヤ管腔が、該ワイヤ管腔の少なくとも大部分に沿ってライニングをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項39】
前記可撓性接合領域に沿って位置される、少なくとも1つの付加的な放射線不透過性バンドをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【請求項40】
前記主管腔を通して送達するように構成された血管閉塞コイルをさらに備えたことを特徴とする、請求項30に記載のカテーテル組立体。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−507305(P2007−507305A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534078(P2006−534078)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/032083
【国際公開番号】WO2005/032639
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(500427567)ミクラス エンドバスキュラー コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/032083
【国際公開番号】WO2005/032639
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(500427567)ミクラス エンドバスキュラー コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]