説明

映像信号処理装置

【課題】入力映像データの色差信号Cinに含まれるクロスカラー成分を、動きによる色ずれを回避して高精度に除去し、更に、ノイズ成分を除去する。
【解決手段】輝度動き判定回路3は、輝度信号ノイズ除去データS1と、輝度信号1フレーム遅延データS2とに基づき、入力映像データの輝度信号Yinの動きを判定し、輝度動き判定信号S3を出力する。信号Cinの1フレーム分は、フレームメモリ10及び11に格納される。0°位相比較動き判定回路14は、信号Cinとフレームメモリ11からの色差信号0°位相データS11との差分の絶対値から、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定して0°位相動き判定信号S14を出力する。セレクタ18は、色差信号加算平均データS17と、信号Cinとのいずれか一方を、合成判定信号S15により選択し、出力映像データの色差信号Coutを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置、映像記録再生装置等で信号処理されるNTSC(National Television System Committee)方式及びPAL(Phase Alternation by Line color television)方式の映像信号に基づき復調されたコンポーネント映像信号から、色差信号に含まれるクロスカラー成分を動きによる色ずれを回避して高精度に除去でき、更に、ノイズ成分を除去できる映像信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の映像信号処理装置に関する技術としては、例えば、次のような文献に記載されるものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−128936号公報(図1)
【0004】
この特許文献1の図1に記載された映像信号処理装置では、入力映像信号の1フレーム間で同じ位置にある画素を抽出し、これらの画素の1フレーム間の輝度信号の差分値から動き判定を行い、静止と判定した場合に、色差信号の差分値からクロスカラー判定を行い、クロスカラーと判定した場合に、1フレーム前の色差信号と現入力映像信号の色差信号との加算平均処理を行ってクロスカラーを除去している。
【0005】
この方式は、NTSC方式及びPAL方式の映像信号から復調されたコンポーネント映像信号の色差信号に、クロスカラー有無に関わらず時間的信号に変化が無い場合、以下の表1の式が成り立つことを利用している。
【0006】
【表1】

【0007】
ここで、nは現フレーム、n−1は1フレーム前、n−2は2フレーム前を表しており、yccはY(輝度)C(色)分離時に色差成分に混入した輝度成分(クロスカラー)を表しているのだが、入力映像データが常に静止画の時には、NTSC方式、PAL方式それぞれの入力方式で以下の2式が成り立つと考えられる。
NTSC方式
C(n)=C(n-1) ・・・(1)
ycc(n)=ycc(n-1)・・・(2)
PAL方式
C(n)=C(n-2)・・・(3)
ycc(n)=ycc(n-2)・・・(4)
そのため、NTSC方式の場合は、現フレーム色差信号C’(n)と1フレーム前色差信号C’(n−1)を加算平均することにより、PAL方式の場合は、現フレーム色差信号C’(n)と2フレーム前色差信号C’(n−2)を加算平均することにより、C’(n)=C(n)が導き出され、色差信号に入り込んだ輝度成分yccを除去できる。又、前記加算平均において、ycc=0の場合でも成り立ち、yccの値に依存しないため、時間的変化が無い(動きが無い)場合の加算平均は、クロスカラーの有無に関わらず、加算平均がC’(n)=C(n)を満たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の特許文献1の構成では、1フレーム間の輝度信号に差が無い場合、「動き無し」と判定することにより、実際に動きがあった場合でも加算平均を選択し、本来の出力されると予想される色差と違う色差信号を出力するという問題がある。
【0009】
実際に動きがあった場合でも、1フレーム間の輝度信号に差が無いために「動き無し」と判定する条件としては、以下の(a)、(b)の場合がある。
【0010】
(a) クロスカラーが発生するような輝度信号に色副搬送波周波数fsc成分を含む映像信号がYC分離されて、輝度信号が低域成分のみになっている映像信号から、ほぼ同一低域成分の輝度信号に変化した場合。
【0011】
(b) 輝度信号が周波数に関わらずほぼ同一で、色差信号のみ変化があった場合。
【0012】
PAL方式の場合は、NTSC方式と異なり、4フレームで色差信号の位相が同位相となり、半分の2フレームで逆位相となるため、2フレーム後の色差信号でクロスカラー除去を行うことになる。しかし、この場合、動きを正確に検出するには、輝度信号も2フレーム後の信号が必要となり、輝度は1フレーム分のみではなく、2フレーム分のメモリを必要とする問題を有している。又、特許文献1のクロスカラー除去は、加算平均によるもので、この機能自体もノイズ除去の効果があるが、ノイズ除去の効果はノイズの状態に関わらず常に平均1/2(−6dB)程度であり、ランダムなノイズでは除去できる場合と、できない場合が発生する問題を有する。
【0013】
一方、特許文献1以外の技術ではあるが、ランダムなノイズを除去する方法として、フレーム巡回型のノイズ除去を用いることが一般に知られている。しかし、この技術では、加算平均とは別に、フレーム巡回のノイズ除去を行う場合、クロスカラー除去用のフレームメモリの他にもう1つ、フレーム巡回型の色差ノイズ除去用のフレームメモリを必要とする問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来の課題を解決するためのに、本発明の映像信号処理装置では、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段、第1、第2、第3の映像データ記憶手段、輝度動き判定手段、0°位相比較動き判定手段、判定信号合成手段、及び選択手段を有している。
【0015】
前記フレーム巡回輝度ノイズ除去手段は、入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力する。前記第1の映像データ記憶手段は、前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する。前記輝度動き判定手段は、前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する。前記第2の映像データ記憶手は、前記入力映像データの色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する。
【0016】
前記第3の映像データ記憶手段は、前記第2の1フレーム遅延データを入力してこの1フレーム分を格納し、第3の1フレーム遅延データを出力する。前記0°位相比較動き判定手段は、前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定して0°位相動き判定信号を出力する。前記判定信号合成手段は、前記輝度動き判定信号と前記0°位相動き判定信号とを入力してこれらを合成し、合成判定信号を出力する。更に、前記選択手段は、前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号とのいずれか一方を、入力される前記合成判定信号により選択して出力する。
【0017】
本発明の他の映像信号処理装置では、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段、第1、第2、第3の映像データ記憶手段、輝度動き判定手段、及び選択手段を有している。
【0018】
前記フレーム巡回輝度ノイズ除去手段は、入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力する。前記第1の映像データ記憶手段は、前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する。前記輝度動き判定手段は、前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する。
【0019】
前記第2の映像データ記憶手段は、前記色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する。前記第3の映像データ記憶手段は、前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこのいずれか一方を、入力される前記輝度動き判定信号により選択し、この選択したデータを1フレーム分格納して第3の1フレーム遅延データを出力する。更に、前記選択手段は、前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号とのいずれか一方を、入力される前記輝度動き判定信号により選択して出力する。
【0020】
本発明の他の映像信号処理装置では、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段、第1、第2、第3の映像データ記憶手段、輝度動き判定手段、0°位相比較動き判定手段、動き係数生成手段、及び出力手段を有している。
【0021】
前記フレーム巡回輝度ノイズ除去手段は、入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力する。前記第1の映像データ記憶手段は、前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する。前記輝度動き判定手段は、前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値とを比較して輝度動き係数Kyを出力する。前記第2の映像データ記憶手段は、前記入力映像データの色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する。
【0022】
前記第3の映像データ記憶手段は、前記第2の1フレーム遅延データを入力してこの1フレーム分を格納し、第3の1フレーム遅延データを出力する。前記0°位相比較動き判定手段は、前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と色差0°位相動き判定閾値とを比較して色差動き係数Kcを出力する。前記動き係数生成手段は、前記輝度動き係数Kyと前記色差動き係数Kcの最大値を選択して動き係数K及び動き係数(1−K)を生成する。更に、前記出力手段は、前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号に対して前記動き係数Kを乗算して第1の乗算値を求めると共に、前記色差信号加算平均データに対して前記動き係数(1−K)を乗算して第2の乗算値を求め、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値とを加算して出力する。
【0023】
本発明の他の映像信号処理装置では、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段、第1、第2の映像データ記憶手段、輝度動き判定手段、フレーム巡回色差ノイズ除去手段、第1、第2の選択手段、色差ノイズ除去判定手段、及び判定信号合成手段を有している。
【0024】
前記フレーム巡回輝度ノイズ除去手段は、入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力する。前記第1の映像データ記憶手段は、前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する。前記輝度動き判定手段は、前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する。前記フレーム巡回色差ノイズ除去手段は、入力される前記映像データの色差信号と第2の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記色差信号及び前記第2の1フレーム遅延データの相関を利用して前記色差信号のノイズを除去した色差信号ノイズ除去データを出力する。
【0025】
前記第1の選択手段は、前記色差信号と前記色差信号ノイズ除去データとを入力してこれらのいずれか一方を、入力される色差ノイズ除去判定信号により選択する。前記第2の映像データ記憶手段は、前記第1の選択手段の選択結果を入力してこの1フレーム分を格納し、前記第2の1フレーム遅延データを出力する。前記色差ノイズ除去判定手段は、前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「クロスカラー有り」、小さいときには「ノイズ無し」と判定して前記色差ノイズ除去判定信号を出力する。前記判定信号合成手段は、前記輝度動き判定信号と前記色差ノイズ除去判定信号とを入力してこれらを合成し、合成判定信号を出力する。更に、前記第2の選択手段は、前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号ノイズ除去データとのいずれか一方を、入力される前記合成判定信号により選択して出力する。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係る発明によれば、第2、第3の映像データ記憶手段を用いて0°位相(同位相)比較動き判定を行うことにより、1フレーム間の輝度信号に差が無いと判定される、クロスカラーが発生するような輝度信号にfsc成分を含む映像信号がYC分離されて輝度信号が低域成分のみになっている映像信号から、ほぼ同一低域成分の輝度信号に変化した場合や、輝度信号が周波数に関わらずほぼ同一で、色差信号のみ変化があった場合においても、色差同位相動き判定により動きの判定が可能になる。これにより、クロスカラー除去における、輝度動き判定のみによる加算平均の選択が回避され、クロスカラー除去の誤動作による色ずれの回避が可能となる。
【0027】
請求項2に係る発明によれば、例えば、入力映像信号がPAL方式の場合において、通常2フレーム分必要な輝度信号を格納する第1の映像データ記憶手段が、NTSCと同様に1フレーム分だけでも色差2フレーム間の動きの予測が可能となり、通常発生する輝度信号1フレーム間のみでの動き補償の誤動作を回避して、クロスカラー除去回路を実現することができる。又、例えば、入力映像信号がPAL方式の場合の色差信号を格納する第2、第3の映像データ記憶手段の増加分については、NTSC方式及びPAL方式の映像信号を所定のデータ形式にすることにより、輝度信号、及び色差信号共にPAL方式とNTSC方式で同容量のメモリでのクロスカラー除去の実現が可能となる。
【0028】
請求項3に係る発明によれば、入力される映像信号にノイズが無いか又は少ない場合には、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段の入出力間をスルー状態にするので、入力映像信号がそのまま出力される。これにより、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段の動作による弊害を無くして高速処理が可能になる。
【0029】
請求項4、5、7に係る発明によれば、動き判定で求められた動き係数を複数化しているので、動きの有無の判定が難しい動き判定閾値近傍の場合でも、色差加算平均の色差信号加算平均データを含む色差信号を出力し、クロスカラー除去の動作停止の切り替わりを滑らかに行うことができる。
【0030】
請求項6に係る発明によれば、映像データを記憶する手段はクロスカラー用の第2の映像データ記憶手段のみであるが、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えることにより、映像データ記憶手段を増やすことなく、クロスカラー除去、及び、色差ノイズ除去を行うことができる。しかも、従来のクロスカラー除去は加算平均によるもので、ランダムなノイズでは除去できる場合と、できない場合があるが、本発明では、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えるようにしているので、更に画質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を実施するための最良の形態の映像信号処理装置では、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路、第1、第2、第3のフレームメモリ、輝度動き判定回路、0°位相比較動き判定回路、判定信号合成回路、及びセレクタ等を有している。
【0032】
フレーム巡回輝度ノイズ除去回路は、入力映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、輝度信号及び第1の1フレーム遅延データの相関を利用して輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力する。第1のフレームメモリは、輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、第1の1フレーム遅延データを出力する。輝度動き判定回路は、輝度信号ノイズ除去データと第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する。第2のフレームメモリは、入力映像データの色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する。
【0033】
第3のフレームメモリは、第2の1フレーム遅延データを入力してこの1フレーム分を格納し、第3の1フレーム遅延データを出力する。減算回路及び絶対値回路により、色差信号と第3の1フレーム遅延データとの差分の絶対値が求められる。0°位相比較動き判定回路では、その絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定して0°位相動き判定信号を出力する。判定信号合成回路は、輝度動き判定信号と0°位相動き判定信号とを入力してこれらを合成し、合成判定信号を出力する。加算回路及び平均値回路により、色差信号と第2の1フレーム遅延データとが加算平均され、色差信号加算平均データが生成される。セレクタでは、その色差信号加算平均データと入力映像データの色差信号とのいずれか一方を、合成判定信号により選択し、出力映像データの色差信号を出力する。
【実施例1】
【0034】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1を示す映像信号処理装置の構成図である。
この映像信号処理装置は、入力映像データの輝度信号Yinからノイズを除去した出力映像データの輝度信号Youtを出力する輝度信号ノイズ除去部と、入力映像データの色差信号Cinからクロスカラー(期待値と異なる虹色等の色差)を除去した出力映像データの色差信号Coutを出力するクロスカラー除去部とを備えている。
【0035】
輝度信号ノイズ除去部は、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段(例えば、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路)1を有し、この出力端子及び入力端子間に、第1の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)2が帰還接続され、更に、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1及びフレームメモリ2の出力端子に、輝度動き判定手段(例えば、輝度動き判定回路)3が接続されている。
【0036】
フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2からの第1の1フレーム遅延データ(例えば、輝度信号1フレーム遅延データ)S2との差分から、その2つのデータの相関を利用してノイズ除去を行い、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtである輝度信号ノイズ除去データS1を出力する回路である。このフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、例えば、輝度信号Yinと輝度信号1フレーム遅延データS2との差分値を求める減算回路と、この差分値をフィルタリングするフィルタと、このフィルタの出力の絶対値を求める絶対値回路と、この絶対値回路の出力を閾値と比較してノイズ除去を行うノイズ除去部とにより構成されている。
【0037】
フレームメモリ2は、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtを格納し、フレーム間の輝度信号ノイズ除去データS1を生成するために、輝度信号1フレーム遅延データS2を出力する回路である。更に、輝度動き判定回路3は、輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2からの輝度信号1フレーム遅延データS2との差分から、入力映像データの動きを判定して輝度動き判定信号S3を出力する回路である。
【0038】
クロスカラー除去部は、入力映像データの色差信号Cinを格納し、第2の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号180°位相データ)S10を出力する第2の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)10を有し、この出力端子に、色差信号180°位相データS10を格納して第3の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号0°位相データ)S11を出力する第3の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)11が接続されている。フレームメモリ11の出力端子には、色差信号Cin及び色差信号0°位相データS11に基づき0°位相動き判定信号S14を出力する0°位相比較動き判定手段が接続されている。この0°位相比較動き判定手段は、例えば、入力映像データの色差信号Cinと色差信号0°位相データS11との差分を求める減算回路12と、その差分の絶対値(absolute value;ABS)を求める絶対値回路13と、その絶対値から0°位相時の動き判定を行って0°位相動き判定信号S14を出力する0°位相比較動き判定回路14とにより構成されている。
【0039】
0°位相比較動き判定回路14の出力端子には、判定信号合成手段(例えば、判定信号合成回路)15が接続されている。判定信号合成回路15は、輝度動き判定回路3で生成された輝度動き判定信号S3と、0°位相比較動き判定回路14で生成された0°位相比較動き判定信号S14とを合成して、合成判定信号S15を出力する回路であり、この出力端子に、選択手段が接続されている。この選択手段は、例えば、入力映像データの色差信号Cinと色差信号180°位相データS10とを加算する加算回路16と、その加算値の平均値をとった色差信号加算平均データS17を出力する平均値回路17と、色差信号Cinと色差信号加算平均データS17とのいずれか一方を合成判定信号S15により選択してクロスカラー除去後の出力映像データの色差信号Coutを出力するセレクタ(SEL)18とにより構成されている。
【0040】
(実施例1の動作)
入力映像データの輝度信号Yin及び色差信号Cinが入力されると、輝度信号ノイズ除去部におけるフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1において、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2から出力される輝度信号1フレーム遅延データS2とを差分して、この差分結果の絶対値が閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、差分結果をノイズと判定した場合は、入力映像データの輝度信号Yinからノイズと判定したデータを差分して輝度信号ノイズ除去データS1を出力し、差分結果を動きと判定した場合は、入力映像データの輝度信号Yinがそのまま輝度信号ノイズ除去データS1として出力され、この輝度信号ノイズ除去データS1が出力映像データの輝度信号Youtとなる。
【0041】
フレームメモリ2では、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力された輝度信号ノイズ除去データS1を1フレーム分格納して、輝度信号1フレーム遅延データS2として出力する。すると、輝度動き判定回路3において、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力される輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2から出力される輝度信号1フレーム遅延データS2との差分の絶対値をとり、この絶対値がノイズやジッタ等の考慮したある閾値よりも大きい場合は「動き有り」、小さい場合は「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号S3として出力する。
【0042】
一方、クロスカラー部におけるフレームメモリ10において、入力映像データの色差信号Cinを、入力信号の方式がNTSC方式の場合は1フレーム分、PAL方式の場合は2フレーム分格納して、色差信号180°位相データS10として出力する。すると、フレームメモリ11では、フレームメモリ10から出力された色差信号180°位相データS10を、入力信号の方式がNTSC方式の場合は1フレーム分、PAL方式の場合は2フレーム分格納して、色差信号0°位相データS11として出力する。
【0043】
このとき、NTSC方式及びPAL方式の映像信号から復調されたコンポーネント映像信号の色差信号Cinにクロスカラー有無に関わらず時間的信号に変化が無い場合、以下の表2の式が成り立つことを利用している。
【0044】
【表2】

【0045】
ここで、nは現フレーム、n−1は1フレーム前、n−2は2フレーム前を表しており、n−4は4フレーム前を表しており、yccは色差信号にYC分離時に色差に混入した輝度成分(クロスカラー)を表しているのだが、入力映像データが常に静止画の時には、NTSC方式、PAL方式それぞれの入力方式で、以下の3式が成り立つと考えられる。
NTSC方式
C’(n)≒C(n-1)≒C(n-2)・・・(5)
ycc(n)≒ycc(n-1)≒ycc(n-2)・・・(6)
C’(n)=C’(n-2) ・・・(7)
PAL方式
C’(n)≒C(n-2)≒C(n-4)・・・(8)
ycc(n)≒ycc(n-2)≒ycc(n-4)・・・(9)
C’(n)=C’(n-4) ・・・(10)
そのため、NTSC方式の場合は、現フレーム色差信号C’(n)と1フレーム前色差信号C’(n−1)を加算平均することにより、PAL方式の場合は、現フレーム色差信号C’(n)と2フレーム前色差信号C’(n−2)を加算平均することにより、C’(n)=C(n)が導き出され、色差信号Cinに入り込んだ輝度成分yccを除去できる。
【0046】
シーンチェンジ等で入力映像信号に切り替わりがあった場合に、輝度信号のレベルがほぼ同状態では1フレーム間輝度の動き判定では、動きが無いと静止画と判定してしまうが、色差に変化が生じた場合、式(7)及び式(10)が満たされない。そこで、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ11から出力された色差信号0°位相データS11との差分を、減算回路12で求め、絶対値回路13によりその差分の絶対値をとり、この絶対値から0°位相比較動き判定回路14により、ノイズやジッタ等を考慮したある閾値より大きい場合は「動き有り」と判定し、小さい場合は「動き無し」と判定し、0°位相動き判定信号S14を出力する。
【0047】
次に、輝度動き判定回路3から出力された輝度動き判定信号S3と、0°位相比較動き判定回路14から出力された0°位相比較動き判定信号S14とを、判定信号合成回路15で合成し、輝度動き判定信号S3で「動き無し」、且つ、0°位相比較動き判定信号S14で「動き無し」と判定したときのみ、フレームメモリ10から出力された色差信号180°位相データS10と、入力映像データの色差信号Cinとを、加算回路16及び平均値回路17により加算平均して生成された色差信号加算平均データS17を、合成判定信号S15に基づきセレクタ18で選択する。判定信号合成回路15において、輝度動き判定信号S3で「動き有り」、若しくは、0°位相比較動き判定信号S14で「動き有り」と判定した場合は、入力映像データの色差信号Cinを、合成判定信号S15に基づきセレクタ18で選択し、出力映像データの色差信号Coutとして出力する。これにより、従来の誤動作を回避できる。
【0048】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、クロスカラー部において、2フレーム分、若しくは、4フレーム分のフレームメモリ10,11を用いて0°位相(同位相)比較動き判定を行うことにより、1フレーム間の輝度信号に差が無いと判定される、クロスカラーが発生するような輝度信号Yinにfsc成分を含む映像信号がYC分離されて輝度信号が低域成分のみになっている映像信号から、ほぼ同一低域成分の輝度信号に変化した場合や、輝度信号Yinが周波数に関わらずほぼ同一で、色差信号Cinのみ変化があった場合においても、色差同位相動き判定により動きの判定が可能になる。これにより、クロスカラー除去における、輝度動き判定のみによる加算平均の選択が回避され、クロスカラー除去の誤動作による色ずれの回避が可能となる。
【実施例2】
【0049】
(実施例2の構成)
図2は、本発明の実施例2を示す映像信号処理装置の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0050】
この映像信号処理装置は、入力信号がPAL方式の場合に適用可能な装置であり、実施例1と同様に、入力映像データの輝度信号Yinからノイズを除去した出力映像データの輝度信号Youtを出力する輝度信号ノイズ除去部と、入力映像データの色差信号Cinからクロスカラーを除去した出力映像データの色差信号Coutを出力するクロスカラー除去部とを備えている。
【0051】
輝度信号ノイズ除去部は、実施例1と同様のフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1及び輝度動き判定回路3と、実施例1のフレームメモリ2に代えた第1の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)2Aとを有している。フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2Aからの第1の1フレーム遅延データ(例えば、輝度信号1フレーム遅延データ)S2Aとの差分から、その2つのデータの相関を利用してノイズ除去を行い、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtである輝度信号ノイズ除去データS1を出力する回路である。フレームメモリ2Aは、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtを格納し、フレーム間の輝度信号ノイズ除去データS1Aを生成するために、輝度信号1フレーム遅延データS2Aを出力する回路である。又、輝度動き判定回路3は、輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2からの輝度信号1フレーム遅延データS2Aとの差分から、入力映像データの動きを判定して輝度動き判定信号S3を出力する回路である。
【0052】
クロスカラー除去部は、実施例1のフレームメモリ10,11、減算回路12、絶対値回路13、0°位相比較動き判定回路3、及び判定信号合成回路15に代えた第2の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)10A、及び第3の映像データ記憶手段(例えば、セレクタ19及びフレームメモリ11A)と、実施例1とほぼ同様の選択手段(例えば、加算回路16、平均値回路17及びセレクタ18A)とを有している。
【0053】
フレームメモリ10Aは、入力映像データの色差信号Cinを1フレーム分格納し、第2の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号90°位相データ)S10Aを出力するメモリである。フレームメモリ10Aの出力端子は、セレクタ19を介して、フレームメモリ11Aの入力端子に接続されている。セレクタ19は、フレームメモリ10Aからの色差信号90°位相データS10Aと、入力映像データの色差信号Cinとのいずれか一方を、輝度動き判定回路3からの輝度動き判定信号S3により選択してフレームメモリ11Aへ出力するものである。フレームメモリ11Aは、セレクタ19で選択されたデータを1フレーム分格納して第3の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号180°位相データ)S11Aを出力するメモリである。又、選択手段を構成する加算回路16、平均値回路17及びセレクタ18Aにおいて、入力映像データの色差信号Cinとフレームメモリ11Aからの色差信号180°位相データS11Aとを、加算回路16及び平均値回路17により加算平均して色差信号加算平均データS17を求め、このデータS17と入力映像データの色差信号Cinとのいずれか一方を、輝度動き判定信号S3に基づきセレクタ18Aにより選択する構成になっている。
【0054】
(実施例2の動作)
入力映像データの輝度信号Yin及び色差信号Cinが入力されると、先ず、輝度信号ノイズ除去部におけるフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1では、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2Aから出力される輝度信号1フレーム遅延データS2Aとの差分を求め、この差分結果の絶対値が閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、ノイズと判定した場合は、輝度信号Yinからノイズと判定したデータを差分して輝度信号ノイズ除去データS1を出力し、動きと判定した場合は、輝度信号Yinをそのまま輝度信号ノイズ除去データS1として出力する。この輝度信号ノイズ除去データS1が、出力映像データの輝度信号Youtとなる。
【0055】
フレームメモリ2Aでは、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力された輝度信号ノイズ除去データS1を格納して、輝度信号1フレーム遅延データS2Aとして出力する。これにより、輝度動き判定回路3において、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力される輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2Aから出力される輝度信号1フレーム遅延データS2Aとの差分の絶対値をとり、この絶対値がノイズやジッタ等の考慮したある閾値よりも大きい場合は「動き有り」、小さい場合は「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号S3として出力する。
【0056】
一方、クロスカラー除去部におけるフレームメモリ10Aでは、入力映像データの色差信号Cinを格納して、色差信号90°位相データS10Aとしてセレクタ19へ出力する。セレクタ19では、輝度動き判定回路3で「動き有り」と判定した場合は、輝度動き判定信号S3により入力映像データの色差信号Cinを選択し、輝度動き判定回路3で「動き無し」と判定した場合は、輝度動き判定信号S3により色差信号90°位相データS10Aを選択する。この選択されたデータは、フレームメモリ11Aに格納され、色差信号180°位相データS11Aとして出力される。
【0057】
この時、時間をt、入力映像データの輝度信号YinをYt、入力映像データの色差信号CinをCtとすると、フレームメモリ2Aに格納される輝度信号、フレームメモリ10A及びフレームメモリ11Aに格納される色差信号の関係は以下の表3のようになる。
【0058】
【表3】

【0059】
ここで、入力映像信号が常に静止画の場合、以下の2式が成り立つと考えられる。
Yt-2 ≒ Yt-1 ≒ Yt ≒ Yt+1 ≒ Yt+n ・・・(11)
Ct-2 ≒ Ct-1 ≒ Ct ≒ Ct+1 ≒ Ct+n ・・・(12)
これをまとめると以下の表4のようになる。
【0060】
【表4】

【0061】
よって、加算回路16及び平均値回路17により、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ11Aから出力された色差信号180°位相データS11Aとを、加算平均することによってクロスカラーを除去できる。
【0062】
入力映像信号が動画から静止画へ変化した場合、以下の2式が成り立つと考えられる。
Yt-2 ≠ Yt-1 ≠ Yt ≒ Yt+1 ≒ Yt+n ・・・(13)
Ct-2 ≠ Ct-1 ≠ Ct ≒ Ct+1 ≒ Ct+n ・・・(14)
これをまとめると以下の表5のようになる。
【0063】
【表5】

【0064】
この時、動画から静止画に切り替わった時間t+1に注目すると、Yt+1≒Ytとなるため、輝度動き判定信号S3は「動き無し」と判定し、加算回路16及び平均値回路17により、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ11Aから出力された色差信号180°位相データS11Aとを、加算平均した色差信号加算平均データS17を出力する。しかし、Ct+1≒Ct≠Ct−1の関係からCt+1≠Ct−1となり、それぞれの色差信号のデータが異なるため、加算平均されたデータ(Ct+1+Ct−1)/2を使用すると誤動作を起こす。これは、輝度動き判定信号S3が1フレーム分しかないため、2フレーム前の色差信号を使用しても良いかの判定ができないからである。
【0065】
そこで、輝度動き判定信号S3で「動き有り」と判定した場合は、セレクタ19により入力映像データの色差信号Cinを選択し、フレームメモリ11Aに格納するデータを強制的に以下の表6のようにする。
【0066】
【表6】

【0067】
これにより、時間t+1における色差信号CinのデータはCt+1≒Ct=Ct−1の関係から、Ct+1≒Ct−1となるため、それぞれの色差信号のデータがほぼ等しくなり、加算平均されたデータ(Ct+1+Ct)/2を使用しても誤動作はしない。
【0068】
入力映像信号が常に動画の場合、以下の2式が成り立つと考えられる。
Yt-2 ≠ Yt-1 ≠ Yt ≠ Yt+1 ≠ Yt+n ・・・(15)
Ct-2 ≠ Ct-1 ≠ Ct ≠ Ct+1 ≠ Ct+n ・・・(16)
これをまとめると以下の表7のようになる。
【0069】
【表7】

【0070】
入力映像信号が常に動画のため、フレームメモリ11Aに格納されるデータは、フレームメモリ10Aに格納されるデータと同じになるが、輝度動き判定回路3により、輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2Aから出力される輝度信号1フレーム遅延データS2Aとの差分の絶対値が、ある閾値よりも大きくなって「動き有り」と判定される。そのため、加算回路16及び平均値回路17により、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ11Aから出力された色差信号180°位相データS11Aとを、加算平均した色差信号加算平均データS17がセレクタ18Aで選択されず、入力映像データの色差信号Cinがセレクタ18Aにより選択され、出力映像データの色差信号Coutとしてそのまま出力されるため、誤動作はしない。
【0071】
又、入力映像信号が静止画から動画へ変化した場合は、以下の2式が成り立つと考えられる。
Yt-2 ≒ Yt-1 ≒ Yt ≠ Yt+1 ≠ Yt+n ・・・(17)
Ct-2 ≒ Ct-1 ≒ Ct ≠ Ct+1 ≠ Ct+n ・・・(18)
これをまとめると以下の表8のようになる。
【0072】
【表8】

【0073】
この時、入力映像データが静止画の部分では、Ct−2≒Ct−1、及び、Ct−1≒Ctの関係が成り立っているため、加算回路16及び平均値回路17により、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ11Aから出力された色差信号180°位相データS11Aとを、加算平均して生成された色差信号加算平均データS17をセレクタ18Aで選択し、出力映像データの色差信号Coutとして出力する。又、入力映像データが動画の部分では、Yt≠Yt+1、及び、Yt+1≠Yt+nの関係が成り立っているため、入力映像データの色差信号Cinをセレクタ18Aで選択し、出力映像データの色差信号Coutとして出力する。
【0074】
(実施例2の効果)
本実施例2では、入力映像信号がPAL方式の場合において、通常2フレーム分必要な輝度信号を格納するフレームメモリ2Aが、NTSC方式と同様に1フレーム分だけでも色差2フレーム間の動きの予測が可能となり、通常発生する輝度信号1フレーム間のみでの動き補償の誤動作を回避して、クロスカラー除去回路を実現することができる。
【0075】
又、入力映像信号がPAL方式の場合の色差信号を格納するフレームメモリ10A,11Aの増加分については、
NTSC方式における映像信号のデータ Y:Cb:Cr = 4:2:2
PAL方式における映像信号のデータ Y:Cb:Cr = 4:1:1
但し、Y;輝度信号、Cb;色差信号(青)、Cr;色差信号(赤)
とすることにより、輝度信号、及び色差信号共にPAL方式とNTSC方式で同容量のメモリでのクロスカラー除去の実現が可能となる。
【実施例3】
【0076】
(実施例3の構成)
図3は、本発明の実施例3を示す映像信号処理装置の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0077】
この映像信号処理装置は、入力信号がNTSC方式の場合に適用可能な装置であり、実施例1と同様に、入力映像データの輝度信号Yinからノイズを除去した出力映像データの輝度信号Youtを出力する輝度信号ノイズ除去部と、入力映像データの色差信号Cinからクロスカラーを除去した出力映像データの色差信号Coutを出力するクロスカラー除去部とを備えている。
【0078】
輝度信号ノイズ除去部は、実施例1と同様のフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1及び輝度動き判定回路3と、実施例1のフレームメモリ2に代えた第1の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)2Bとを有している。フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2Bからの第1の1フレーム遅延データ(例えば、輝度信号1フレーム遅延データ)S2Bとの差分から、その2つのデータの相関を利用してノイズ除去を行い、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtである輝度信号ノイズ除去データS1を出力する回路である。フレームメモリ2Bは、ノイズ除去後の出力映像データの輝度信号Youtを格納し、フレーム間の輝度信号ノイズ除去データS1を生成するために、輝度信号1フレーム遅延データS2Bを出力する回路である。又、輝度動き判定回路3は、輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2Bからの輝度信号1フレーム遅延データS2Bとの差分から、入力映像データの動きを判定して輝度動き判定信号S3を出力する回路である。
【0079】
クロスカラー除去部は、フレーム巡回色差ノイズ除去手段(例えば、フレーム巡回色差ノイズ除去回路)20と、第1の選択手段(例えば、セレクタ)21と、第2の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)10Bと、色差ノイズ除去判定手段(例えば、減算回路22、絶対値回路23及び色差ノイズ除去判定回路24)と、判定信号合成手段(例えば、判定信号合成回路)15Bと、第2の選択手段(例えば、加算回路16、平均値回路17及びセレクタ18B)とを有している。
【0080】
フレーム巡回色差ノイズ除去回路20は、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ10Bからの第2の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号180°位相データ)S10Bとの差分から、その2つのデータの相関を利用してノイズ除去を行い、色差信号Cinのノイズを除去した色差信号ノイズ除去データS20を出力する回路であり、この出力端子に、セレクタ21を介してフレームメモリ10Bが接続されている。セレクタ21は、入力映像データの色差信号Cinと色差信号ノイズ除去データS20とのいずれか一方を、色差ノイズ除去判定回路24からの色差ノイズ除去判定信号S24により選択してフレームメモリ10Bへ出力するものである。フレームメモリ10Bは、セレクタ21により選択されたデータを1フレーム分格納し、色差信号180°位相データS10Bを出力する回路であり、この出力端子に、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20、色差ノイズ除去判定手段を構成する減算回路22、及び、第2の選択手段を構成する加算回路16が接続されている。
【0081】
色差ノイズ除去判定手段を構成する減算回路22は、フレームメモリ10Bからの色差信号180°位相データS10Bと、入力映像データの色差信号Cinとの差分を求める回路であり、この出力端子に絶対値回路23が接続されている。絶対値回路23は、減算回路22で求められた差分の絶対値を算出する回路であり、この出力端子に色差ノイズ除去判定回路24が接続されている。色差ノイズ除去判定回路24は、絶対値回路23で求められた絶対値から、色差ノイズの除去判定を行い、判定結果である色差ノイズ除去判定信号S24を出力する回路であり、この出力端子に、判定信号合成回路15Bが接続されている。判定信号合成回路15Bは、輝度動き判定回路3から出力された輝度動き判定信号S3と、色差ノイズ除去判定回路24から出力された色差ノイズ除去判定信号S24とを合成し、この合成判定信号S15Bを、第2の選択手段を構成するセレクタ18Bへ出力する回路である。
【0082】
セレクタ18Bの入力端子側には、加算回路16及び平均値回路17が接続されている。加算回路16は、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ10Bからの色差信号180°位相データS10Bとを加算する回路であり、この出力端子に平均値回路17が接続されている。平均値回路17は、加算回路16で加算された加算値の平均値を求めて色差信号加算平均データS17を出力する回路であり、この出力端子にセレクタ18Bが接続されている。セレクタ18Bは、色差信号加算平均データS17と、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20とのいずれか一方を、判定信号合成回路15Bからの合成判定信号S15Bにより選択し、出力映像データの色差信号Coutを出力するものである。
【0083】
(実施例3の動作)
入力映像データの輝度信号Yin及び色差信号Cinが入力されると、先ず、輝度信号ノイズ除去部におけるフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1において、入力映像データの輝度信号Yinと、フレームメモリ2Bから出力される輝度信号1フレーム遅延データS2Bとの差分を求め、この差分結果の絶対値が、閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、ノイズと判定した場合は、入力映像データの輝度信号Yinからノイズと判定したデータを差分して輝度信号ノイズ除去データS1を出力し、動きと判定した場合は、入力映像データの輝度信号Yinをそのまま輝度信号ノイズ除去データS1として出力し、この輝度信号ノイズ除去データS1が出力映像データの輝度信号Youtとなる。
【0084】
フレームメモリ2Bでは、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力された輝度信号ノイズ除去データS1を1フレーム分格納して、輝度信号1フレーム遅延データS2Bとして出力する。すると、輝度動き判定回路3において、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力される輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2Bから出力される輝度信号1フレーム遅延データS2Bとの差分の絶対値をとり、この絶対値が閾値よりも大きい場合は動き有り、小さい場合は動き無しと判定し、この判定結果を輝度動き判定信号S3として出力する。
【0085】
一方、クロスカラー除去部におけるフレーム巡回色差ノイズ除去回路20において、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ10Bから出力される色差信号180°位相データS10Bとを差分して、この差分結果の絶対値が閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、ノイズと判定した場合は、入力映像データの色差信号Cinからノイズと判定したデータを差分して色差信号ノイズ除去データS20を出力し、動きと判定した場合は、入力映像データの色差信号Cinをそのまま色差信号ノイズ除去データS20として出力する。
【0086】
クロスカラーが発生している場合、振幅が大きい色差フリッカ信号となって通常のノイズは目立たず、クロスカラーが発生していない場合、フリッカが発生しないために通常のノイズが目立つ。これに着眼して本実施例3では、減算回路22及び絶対値回路23により、フレームメモリ10Bから出力された色差信号180°位相データS10Bと、入力映像データの色差信号Cinとの差分の絶対値を求め、この絶対値に基づき、色差ノイズ除去判定回路24において、ある閾値よりも大きい場合は「クロスカラー有り」と判定し、小さい場合は「色差ノイズ有り」と判定して、色差ノイズ除去判定信号S24を出力する。
【0087】
色差ノイズ除去判定回路24において、クロスカラーと判定した場合は、色差ノイズ除去判定信号S24に基づき、入力映像データの色差信号Cinをセレクタ21で選択、「色差ノイズ有り」と判定した場合は、色差ノイズ除去判定信号S24に基づき、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20をセレクタ21で選択して出力する。この出力データをフレームメモリ10Bに1フレーム分格納し、色差信号180°位相データS10Bとして出力する。
【0088】
判定信号合成回路15Bにおいて、輝度動き判定信回路3から出力された輝度動き判定信号S3と、色差ノイズ除去判定回路24から出力された色差ノイズ除去判定信号S24とを合成し、輝度動き判定回路3で「動き無し」、且つ、色差ノイズ除去判定回路24で「クロスカラー有り」と判定した場合は、フレームメモリ10Bから出力された色差信号180°位相データS10Bと、入力映像データの色差信号Cinとを、加算回路16及び平均値回路17により加算平均して生成された色差信号加算平均データS17を、合成判定信号S15Bによりセレクタ18Bで選択し、輝度動き判定回路3で「動き有り」、若しくは、色差ノイズ除去判定回路24で「色差ノイズ有り」と判定した場合は、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20をセレクタ18Bで選択し、出力映像データの色差信号Coutとして出力する。
【0089】
(実施例3の効果)
従来の映像信号処理装置では、クロスカラー除去を行わない場合においても常にクロスカラー除去用のフレームメモリが必要であり、同時にフレーム巡回型の色差ノイズ除去を行う場合、クロスカラー除去用のメモリとは別にもう1つ色差ノイズ除去用のフレームメモリを設けなければならず、メモリ数が増加するという欠点があった。このような欠点を解決するために、本実施例3では、フレームメモリはクロスカラー用のフレームメモリ10Bのみであるが、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えることにより、フレームメモリを増やすことなく、クロスカラー除去、及び、色差ノイズ除去を行うことができる。
【0090】
しかも、従来のクロスカラー除去は加算平均によるもので、この機能自体もノイズ除去の効果があるが、このノイズ除去の効果はノイズの状態に関わらず常に平均1/2(−6dB)程度であり、ランダムなノイズでは除去できる場合と、できない場合がある。このような不都合を解決するために、本実施例3では、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えるようにしているので、更に画質の向上を図ることができる。
【実施例4】
【0091】
(実施例4の構成)
図4は、本発明の実施例4を示す映像信号処理装置の構成図であり、実施例1〜3を示す図1〜図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0092】
この映像信号処理装置は、実施例1〜3を組み合わせてPAL−NTSC選択信号PNによりPAL/NTSC方式を切り替えて使用できる共用型にしたものであり、実施例1〜3と同様に、入力映像データの輝度信号Yinからノイズを除去した出力映像データの輝度信号Youtを出力する輝度信号ノイズ除去部と、入力映像データの色差信号Cinからクロスカラーを除去した出力映像データの色差信号Coutを出力するクロスカラー除去部とを備えている。
【0093】
輝度信号ノイズ除去部は、実施例1と同様に、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1、フレームメモリ2、及び輝度動き判定回路3により構成されている。
【0094】
クロスカラー除去部は、実施例1〜3中の回路及び新たな追加回路により構成されており、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20を有している。フレーム巡回色差ノイズ除去回路20は、入力映像データの色差信号Cinと、色差信号1フレーム遅延データS10C−1との差分から、この2つのデータの相関を利用してノイズ除去を行い、色差信号ノイズ除去データS20を出力する回路であり、この出力端子に、セレクタ21が接続されている。セレクタ21は、入力映像データの色差信号Cinと色差信号ノイズ除去データS20とのいずれか一方を、色差ノイズ除去判定信号S24により選択するものであり、この出力端子に、フレームメモリ10C−1が接続されている。フレームメモリ10C−1は、セレクタ21で選択されたデータを格納し、色差信号1フレーム遅延データS10C−1を出力するメモリであり、この出力端子に、減算回路22及び絶対値回路23が接続されている。
【0095】
減算回路22及び絶対値回路23は、フレームメモリ10C−1からの色差信号1フレーム遅延データS10C−1と、入力映像データの色差信号Cinとの差分の絶対値を求める回路であり、この出力端子に、色差ノイズ除去判定回路24が接続されている。色差ノイズ除去判定回路24は、絶対値回路23で求められた絶対値から、色差ノイズの除去判定を行って色差ノイズ除去判定信号S24を出力する回路である。又、フレームメモリ10C−1の出力端子には、セレクタ25−1が接続されている。セレクタ25−1は、フレームメモリ10C−1からの色差信号1フレーム遅延データS10C−1と、セレクタ21で選択されたデータとのいずれか一方を、輝度動き判定回路3から出力された輝度動き判定信号S3により選択するものであり、この出力端子に、フレームメモリ10C−2が接続されている。
【0096】
フレームメモリ10C−2は、セレクタ25−1で選択されたデータを格納し、色差信号1フレーム遅延データS10C−2を出力するメモリであり、この出力端子に、セレクタ25−2が接続されている。セレクタ25−2は、フレームメモリ10C−1からの色差信号1フレーム遅延データS10C−1と、フレームメモリ10C−2からの色差信号1フレーム遅延データS10C−2とのいずれか一方を、PAL−NTSC選択信号PNで選択して色差信号180°位相データS25−2を出力するものであり、この出力端子に、セレクタ19C−1が接続されている。セレクタ19C−1は、セレクタ25−2から出力された色差信号180°位相データS25−2と、セレクタ21から出力されたデータとのいずれか一方を、輝度動き判定信号S3により選択して出力するものであり、この出力端子に、フレームメモリ11C−1が接続されている。
【0097】
フレームメモリ11C−1は、セレクタ19C−1から出力されたデータを格納し、色差信号1フレーム遅延データS11C−1を出力するメモリであり、この出力端子に、セレクタ19C−2が接続されている。セレクタ19C−2は、色差信号1フレーム遅延データS11C−1と、セレクタ21で選択されたデータとのいずれか一方を、輝度動き判定信号S3により選択するものであり、この出力端子に、フレームメモリ11C−2が接続されている。フレームメモリ11C−2は、セレクタ19C−2で選択されたデータを格納し、色差信号1フレーム遅延データS11C−2を出力するものであり、この出力端子に、セレクタ19C−3が接続されている。
【0098】
セレクタ19C−3は、フレームメモリ11C−2からの色差信号1フレーム遅延データS11C−2と、フレームメモリ11C−1からの色差信号1フレーム遅延データS11C−1とのいずれか一方を、PAL−NTSC選択信号PNにより選択して色差信号0°位相データS19C−3を出力するものであり、この出力端子に、減算回路12及び絶対値回路13が接続されている。減算回路12及び絶対値回路13は、セレクタ19C−3からの色差信号0°位相データS19C−3と、入力映像データの色差信号Cinとの、差分の絶対値を求める回路であり、この出力端子に、0°位相比較動き判定回路14が接続されている。0°位相比較動き判定回路14は、絶対値回路13で求めた絶対値から動き判定を行って0°位相動き判定信号S14を出力する回路であり、この出力端子に、判定信号合成回路15Cが接続されている。
【0099】
判定信号合成回路15Cは、0°位相動き判定信号S14と、輝度動き判定回路3から出力された輝度動き判定信号S3と、色差ノイズ除去判定回路24から出力された色差ノイズ除去判定信号S24とを合成して、合成判定信号S15Cを出力する回路であり、この出力端子に、セレクタ18Cが接続されている。セレクタ18Cは、色差信号Cinと色差信号180°位相データS25−2との加算平均を加算回路16及び平均値回路17により求めた色差信号加算平均データS17と、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20とのいずれか一方を、合成判定信号S15Cにより選択し、出力映像データの色差信号Coutを出力するものである。
【0100】
(実施例4の動作)
入力映像データの輝度信号Yin及び色差信号Cinが入力されると、先ず、輝度信号ノイズ除去部において、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1では、輝度信号Yinと、フレームメモリ2から出力される輝度信号1フレーム遅延データS2とを差分して、この差分結果の絶対値が閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、ノイズと判定した場合は、輝度信号Yinからノイズと判定したデータを差分して輝度信号ノイズ除去データS1を出力し、動きと判定した場合は、輝度信号Yinがそのまま輝度信号ノイズ除去データS1として出力され、この輝度信号ノイズ除去データS1が出力映像データの輝度信号Youtとなる。
【0101】
フレームメモリ2では、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力された輝度信号ノイズ除去データS1を格納して、輝度信号1フレーム遅延データS2として出力する。すると、輝度動き判定回路3において、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力される輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2から出力される輝度信号1フレーム遅延データS2との差分の絶対値をとり、この絶対値が閾値よりも大きい場合は動き有り、小さい場合は動き無しと判定し、この判定結果を輝度動き判定信号S3として出力する。
【0102】
一方、クロスカラー除去部において、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20において、入力映像データの色差信号Cinと、フレームメモリ10C−1から出力される色差信号1フレーム遅延データS10C−1とを差分して、この差分結果の絶対値が閾値よりも小さい場合はノイズ、大きい場合は動きと判定し、ノイズと判定した場合は、色差信号Cinからノイズと判定したデータを差分して色差信号ノイズ除去データS20を出力し、動きと判定した場合は、入力映像データの色差信号Cinがそのまま色差信号ノイズ除去データS20として出力される。
【0103】
クロスカラーが発生している場合は、振幅が大きい色差フリッカ信号となるため通常のノイズは目立たず、クロスカラーが発生していない場合は、フリッカが発生しないため通常のノイズが目立つ。これに着眼して本実施例4では、減算回路22及び絶対値回路23より、フレームメモリ10C−1から出力された色差信号1フレーム遅延データS10C−1と、入力映像データの色差信号Cinとの差分の絶対値を求め、色差ノイズ除去判定回路24により、その絶対値がある閾値よりも大きい場合は「クロスカラー有り」と判定し、小さい場合は「色差ノイズ有り」と判定して、色差ノイズ除去判定信号S24を出力する。
【0104】
色差ノイズ除去判定回路24において、クロスカラーと判定した場合は、色差ノイズ除去判定信号S24により、入力映像データの色差信号Cinをセレクタ21で選択して出力し、「色差ノイズ有り」と判定した場合は、色差ノイズ除去判定信号S24により、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20をセレクタ21で選択して出力し、この出力データをフレームメモリ10C−1に1フレーム分格納し、色差信号1フレーム遅延データS10C−1として出力する。
【0105】
輝度動き判定回路3で「動き有り」と判定した場合は、セレクタ21で選択された色差信号Cin又は色差信号ノイズ除去データS24を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ25−1で選択し、輝度動き判定回路3で「動き無し」と判定した場合は、フレームメモリ10C−1から出力された色差信号1フレーム遅延データS10C−1を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ25−1で選択し、この選択されたデータをフレームメモリ10C−2に1フレーム分格納し、色差信号1フレーム遅延データS10C−2として出力する。このセレクタ25−1のデータ選択理由については、上記の実施例2で説明した通りである。
【0106】
PAL−NTSC選択信号PNがNTSCの場合は、フレームメモリ10C−1から出力された色差信号1フレーム遅延データS10C−1をセレクタ25−2で選択し、PAL−NTSC選択信号PNがPALの場合は、フレームメモリ10C−2から出力された色差信号1フレーム遅延データS10C−2をセレクタ25−2で選択し、この選択されたデータを色差信号180°位相データS25−2として出力する。
【0107】
輝度動き判定回路3で「動き有り」と判定した場合は、セレクタ21で選択された入力映像データの色差信号Cin又は色差信号ノイズ除去データS20を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ19C−1で選択し、輝度動き判定回路3で「動き無し」と判定した場合は、セレクタ25−2から出力された色差信号180°位相データS25−2を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ19C−1で選択し、この選択されたデータをフレームメモリ11C−1に1フレーム分格納し、色差信号1フレーム遅延データS11C−1として出力する。このセレクタ19C−1のデータ選択理由についても、セレクタ25−1と同様である。
【0108】
輝度動き判定回路3で「動き有り」と判定した場合は、セレクタ21で選択された入力映像データの色差信号Cin又は色差信号ノイズ除去データS20を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ19C−2で選択し、輝度動き判定回路3で「動き無し」と判定した場合は、フレームメモリ11C−1から出力された色差信号1フレーム遅延データS11C−1を、輝度動き判定信号S3によりセレクタ19C−2で選択し、この選択されたデータをフレームメモリ11C−2に1フレーム分格納し、色差信号1フレーム遅延データS11C−2として出力する。このセレクタ19C−2のデータ選択理由についても、セレクタ25−1と同様である。
【0109】
PAL−NTSC選択信号PNがNTSCの場合は、セレクタ19C−3により、フレームメモリ11C−1から出力された色差信号1フレーム遅延データS11C−1を選択し、PAL−NTSC選択信号PNがPALの場合は、セレクタ19C−3により、フレームメモリ11C−2から出力された色差信号1フレーム遅延データS11C−2を選択し、この選択されたデータを色差信号0°位相データS19C−3として出力する。
【0110】
減算回路12及び絶対値回路13により、入力映像データの色差信号Cinと、セレクタ19C−3から出力された色差信号0°位相データS19C−3との差分の絶対値を求める。この絶対値に基づき、0°位相比較動き判定回路14により、ノイズやジッタ等を考慮したある閾値より大きい場合は「動き有り」と判定し、小さい場合は「動き無し」と判定し、0°位相動き判定信号S14を出力する。
【0111】
この0°位相動き判定信号S14と、輝度動き判定信号S3と、色差ノイズ除去判定信号S24との3つの判定信号は、判定信号合成回路15Cで合成されて合成判定信号S15Cが出力され、セレクタ18Cに与えられる。輝度動き判定回路3で「動き無し」、色差ノイズ除去判定回路24で「クロスカラー有り」、且つ、0°位相比較動き判定回路14で「0°位相」と判定した場合は、セレクタ25−2から出力された色差信号180°位相データS25−2と、入力映像データの色差信号Cinとを、加算回路16及び平均値回路17により加算平均して生成された色差信号加算平均データS17を、セレクタ18Cで選択する。輝度動き判定回路3で「動き有り」、若しくは、色差ノイズ除去判定回路24で「クロスカラー無し」、若しくは、0°位相比較動き判定回路14で「0°位相でない」と判定した場合は、フレーム巡回色差ノイズ除去回路20から出力された色差信号ノイズ除去データS20を、セレクタ18Cで選択し、出力映像データの色差信号Coutとして出力する。
【0112】
(実施例4の効果)
本実施例4では、次の(i)〜(iv)のような効果がある。
【0113】
(i) 2フレーム分のフレームメモリ10C−1,11C−1、若しくは、4フレーム分のフレームメモリ10C−1,10C−2,11C−1,11C−2を用いて、0°位相比較動き判定回路14で0°位相(同位相)比較動き判定を行うことにより、1フレーム間の輝度信号Yinに差が無いと判定される、クロスカラーが発生するような輝度信号にfsc成分を含む映像信号がYC分離されて輝度信号が低域成分のみになっている映像信号から、ほぼ同一低域成分の輝度信号に変化した場合や、輝度信号Yinが周波数に関わらずほぼ同一で、色差信号Cinのみ変化があった場合においても、色差同位相動き判定により動きの判定が可能になる。これにより、クロスカラー除去における、輝度動き判定のみによる加算平均の選択が回避され、クロスカラー除去の誤動作による色ずれの回避が可能となる。
【0114】
(ii) 入力映像信号がPAL方式の場合において、通常2フレーム分必要な輝度信号を格納するフレームメモリ2が、NTSC方式と同様に1フレーム分だけでも色差2フレーム間の動きの予測が可能になる。これにより、通常発生する輝度信号1フレーム間のみ動き補償の誤動作を回避して、クロスカラー除去回路を実現することができる。
【0115】
(iii) 従来のクロスカラー除去は加算平均によるもので、この機能自体もノイズ除去の効果があるが、ノイズ除去の効果はノイズの状態に関わらず常に平均1/2(−6dB)程度であり、ランダムなノイズでは除去できる場合と、できない場合がある。これに対して本実施例4では、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えることにより、更に画質の向上を図ることができる。
【0116】
(iv) 従来の映像信号処理装置では、クロスカラー除去を行わない場合においても常にクロスカラー除去用のメモリが必要であり、同時にフレーム巡回型の色差ノイズ除去を行う場合、クロスカラー除去用のメモリとは別にもう1つ色差ノイズ除去用のフレームメモリを持たなければならなかった。これに対して本実施例4では、クロスカラー用のフレームメモリ10C−1,10C−2,11C−1,11C−2だけであっても、クロスカラー除去及びフレーム巡回型の色差ノイズ除去を1フレーム内で切り替えることにより、フレームメモリを増やすことなく、クロスカラー除去、及び色差ノイズ除去を行うことができる。
【実施例5】
【0117】
(実施例5の構成)
図1〜図4では、セレクタ18,18A〜18Cにより、入力映像データの色差信号Cin、又は色差信号加算平均データS17のいずれか一方を選択し、これを出力映像データの色差信号Coutとして出力しているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、選択出力される色差信号Coutは、加算平均されたデータ(色差信号加算平均データ)S17の他に、帯域分割等の複数の動き判定、及び、複数の閾値間差により係数Kを与えて、(K)×(色差現データ)、(1−K)×(色差加算平均データ)を生成し、これらを選択して出力しても良い。この構成例を図5に実施例5として示す。
【0118】
図5は、本発明の実施例5を示す色差信号出力部付近の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0119】
本実施例5は、実施例1に適用されるものであり、図1の輝度動き判定回路3及び判定信号合成回路15に代えて、輝度動き判定手段(例えば、輝度動き判定回路)3D、及び動き係数生成手段(例えば、動き係数生成回路)35が設けられ、図1の減算回路12と絶対値回路13との間に、新たにフィルタ36が追加され、図1の0°位相比較動き判定回路14に代えて、0°位相比較動き判定手段(例えば、0°位相比較動き判定回路)14Dが設けられ、更に、図1のセレクタ18に代えて、出力手段(例えば、出力回路)40が設けられている。
【0120】
輝度動き判定回路3Dは、減算回路31、フィルタ32、絶対値回路33、及び動き判定部34により構成され、これらが縦続接続されている。減算回路31は、図1のフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力されたノイズ除去後の輝度信号ノイズ除去データS1と、図1のフレームメモリ2から出力された輝度信号1フレーム遅延データS2との差分をとり、輝度フレーム間差分値を出力する回路であり、この出力端子に、フィルタ32が接続されている。フィルタ32は、ノイズ及びジッタの影響を軽減するために、前記差分値にフィルタリングを行う回路であり、この出力端子に、絶対値回路33が接続されている。絶対値回路33は、フィルタリング後の差分値の絶対値を求めて輝度フレーム間絶対値を出力する回路であり、この出力端子に、動き判定部34が接続されている。動き判定部34は、前記輝度フレーム間絶対値と輝度動き判定閾値TH1とを比較し、輝度動き係数Kyを動き係数生成回路35へ出力するものである。
【0121】
クロスカラー除去部において、減算回路12と絶対値回路13との間に設けられたフィルタ36は、ノイズ及びジッタの影響を軽減するために、減算回路12から出力された差分値のフィルタリングを行うものであり、この出力端子に、絶対値回路13が接続されている。絶対値回路13は、フィルタリング後の差分値の絶対値を求めて色差0°位相絶対値を出力する回路であり、この出力端子に、0°位相比較動き判定回路14Dが接続されている。0°位相比較動き判定回路14Dは、前記色差0°位相絶対値と色差0°位相動き判定閾値TH2とを比較し、色差動き係数Kcを動き係数生成回路35へ出力する回路である。
【0122】
動き係数生成回路35は、動き判定部34から出力された輝度動き係数Kyと、0°位相比較動き判定回路14Dから出力された色差動き係数Kcとの最大値を選択し、動き係数K及び動き係数(1−K)を出力回路40へ出力する回路である。出力回路40は、色差信号Cinに対して動き係数Kを乗算する第1の乗算回路41と、図1の平均値回路17から出力された色差信号加算平均データS17に対して動き係数(K−1)を乗算する第2の乗算回路42と、この乗算回路41,42の出力端子に接続された加算回路43とにより構成されている。なお、実施例1では、動き係数Kが1か0の場合の構成例が示されており、これをセレクタ18により実行するようになっている。
【0123】
各フィルタ32,36は、ローパスフィルタ(以下「LPF」という。)やメディアンフィルタ単独、又は、差分値そのままを含む複数の組み合わせで構成され、ノイズやジッタ等による動き以外のデータを除去することを機能を有している。前記組み合わせを行う場合、複数の信号の最大値(動きの検出を重視)、最小値(ノイズ等の除去を重視)、又は、平均値、中間値(メディアン)により行う。これらのフィルタ32,36は、構成に無くても良い。
【0124】
(実施例5の動作)
入力映像データの輝度信号Yin及び色差信号Cinが入力されると、図1のフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1から出力された輝度信号ノイズ除去データS1と、フレームメモリ2から出力された輝度信号1フレーム遅延データS2とが、図5の輝度動き判定回路3Dに入力されると共に、色差信号Cinと、図1のフレームメモリ11から出力された色差信号0°位相データS11とが、図5の減算回路12に入力される。
【0125】
輝度動き判定回路3Dにおいて、減算回路31により、ノイズ除去後の輝度信号ノイズ除去データS1と、輝度信号1フレーム遅延データS2との差分がとられ、輝度フレーム間差分値が出力される。この差分値に対して、ノイズ及びジッタの影響を軽減するために、フィルタ32によりフィルタリングが行われた後、絶対値回路33により、そのフィルタリング後の差分値の絶対値が求められ、輝度フレーム間絶対値が出力される。輝度フレーム間絶対値は、動き判定部34により、輝度動き判定閾値TH1と比較され、この比較結果である輝度動き係数Kyが動き係数生成回路35へ出力される。輝度動き係数Kyは、例えば、以下のような値になる。
輝度フレーム間絶対値と輝度動き判定閾値TH1との大小の比較
:輝度動き係数Kyの値
輝度フレーム間絶対値 < TH1 :0
輝度フレーム間絶対値 < TH1+1 :1/4
輝度フレーム間絶対値 < TH1+2 :1/2
輝度フレーム間絶対値 < TH1+3 :3/4
輝度フレーム間絶対値 ≧ TH1+3 :1
【0126】
クロスカラー除去部において、入力映像データの色差信号Cinと、図1のフレームメモリ10及び11から出力された2フレーム(NTSC)又は4フレーム(PAL)の遅延色差データである色差信号0°位相データS11とは、減算回路12で差分がとられ、色差0°位相差分値が出力される。この差分値は、ノイズ及びジッタの影響を軽減するために、フィルタ36によりフィルタリングが行われた後、絶対値回路13で絶対値が求められ、色差0°位相絶対値が出力される。この絶対値は、0°位相比較動き判定回路14Dにより、色差0°位相動き判定閾値TH2と比較され、色差動き係数Kcが動き係数生成回路35へ出力される。色差動き係数Kcは、例えば、以下のような値になる。
色差0°位相絶対値と色差0°位相動き判定閾値TH2との大小の比較
:色差動き係数Kcの値
色差0°位相絶対値 < TH2 :0
色差0°位相絶対値 < TH2+1 :1/4
色差0°位相絶対値 < TH2+2 :1/2
色差0°位相絶対値 < TH2+3 :3/4
色差0°位相絶対値 ≧ TH2+3 :1
【0127】
動き係数生成回路35では、輝度動き係数Kyと色差動き係数Kcの最大値を選択し、動き係数K及び動き係数(1−K)を乗算回路41,42へ出力する。乗算回路41において色差信号Cinと動き係数Kとが乗算されると共に、乗算回路42において色差信号加算平均データS17と動き係数(1−K)とが乗算され、その乗算回路41及び42の第1、第2の乗算値が加算回路43で加算され、出力映像データの色差信号Coutが出力される。動き係数Kにより、色差信号Coutの値は、例えば、以下のような値になる。
動き係数K :色差信号Coutの値
0 :色差信号加算平均データS17×1
1/4 :色差信号Cin×1/4 + S17×3/4
1/2 :Cin×1/2 + S17×1/2
3/4 :Cin×3/4 + S17×1/4
1 :Cin×1
【0128】
(実施例5の効果)
実施例1〜4では、動き係数Kの値が1か0の場合のみであるが、本実施例5では、動き判定部34及び0°位相比較動き判定回路14Dから出力される動き判定信号(即ち、輝度動き係数Ky、色差動き係数Kc)を複数化している。そのため、絶対値回路33から出力される輝度フレーム間絶対値、及び減算回路12から出力される色差0°位相差分値が、動きの有無の判定が難しい動き判定閾値TH1,TH2近傍の値の場合でも、色差加算平均の色差信号加算平均データS17を含む色差信号Coutを出力し、クロスカラー除去の動作停止の切り替わりを滑らかに行うことができる。
【実施例6】
【0129】
実施例6は、図5の構成を実施例2の図2に適用した映像信号処理装置であり、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段(例えば、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路)1と、第1の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)2Aと、輝度動き判定手段(例えば、輝度動き判定回路)3Dと、第2の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)10Aと、第3の映像データ記憶手段(例えば、セレクタ19、及びフレームメモリ11A)と、出力手段(例えば、加算回路16、平均値回路17、及び出力回路40)とを有している。
【0130】
フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、入力される映像データの輝度信号Yinと第1の1フレーム遅延データ(例えば、輝度信号1フレーム遅延データ)S2Aとの差分を求め、この差分から、輝度信号Yin及び輝度信号1フレーム遅延データS2Aの相関を利用して輝度信号Yinのノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データS1を出力する。フレームメモリ2Aは、輝度信号ノイズ除去データS1を入力してこの1フレーム分を格納し、輝度信号1フレーム遅延データS2Aを出力する。輝度動き判定回路3Dは、輝度信号ノイズ除去データS1と輝度信号1フレーム遅延データS2Aとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値TH1とを比較して輝度動き係数Kを出力する。
【0131】
フレームメモリ10Aは、色差信号Cinを入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号90°位相データ)S10Aを出力する。セレクタ19は、色差信号Cinと色差信号90°位相データS10Aとを入力してこのいずれか一方を、輝度動き係数Kにより選択する。選択されたデータは、フレームメモリ11Aにより1フレーム分格納され、第3の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号180°相データ)S11Aが出力される。この色差信号180°位相データS11Aと色差信号Cinとは、加算回路16及び平均値回路17により、加算平均されて色差信号加算平均データS17が生成される。
【0132】
出力回路40では、輝度動き係数Kに基づき係数(1−K)を求め、色差信号Cinに対して輝度動き係数Kを乗算回路41で乗算して第1の乗算値を求めると共に、色差信号加算平均データS17に対して係数(1−K)を乗算回路42で乗算して第2の乗算値を求め、第1の乗算値と第2の乗算値とを加算回路43で加算して、出力映像データの色差信号Coutを出力する。これにより、実施例5とほぼ同様の効果が得られる。
【実施例7】
【0133】
実施例7は、図5の構成を実施例3の図3に適用した映像信号処理装置であり、フレーム巡回輝度ノイズ除去手段(例えば、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路)1と、第1の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)2Bと、輝度動き判定手段(例えば、輝度動き判定回路)3Dと、フレーム巡回色差ノイズ除去手段(例えば、フレーム巡回色差ノイズ除去回路)20と、選択手段(例えば、セレクタ)21と、第2の映像データ記憶手段(例えば、フレームメモリ)10Bと、色差ノイズ除去判定手段(例えば、減算回路222、絶対値回路23、及び色差ノイズ除去判定回路24)と、動き係数生成手段(例えば、動き係数生成回路)35と、出力手段(例えば、加算回路16、平均値回路17、及び出力回路40)とを有している。
【0134】
フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1は、入力される映像データの輝度信号Yinと第1の1フレーム遅延データ(例えば、輝度信号1フレーム遅延データ)S2との差分を求め、この差分から、輝度信号Yin及び輝度信号1フレーム遅延データS2の相関を利用して、輝度信号Yinのノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データS1を出力する。フレームメモリ2Bは、輝度信号ノイズ除去データS1を入力してこの1フレーム分を格納し、輝度信号1フレーム遅延データS2Bを出力する。輝度動き判定回路3Dは、輝度信号ノイズ除去データS1と輝度信号1フレーム遅延データS2Bとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値TH1とを比較して輝度動き係数Kyを出力する。
【0135】
フレーム巡回色差ノイズ除去回路20は、入力される映像データの色差信号Cinと第2の1フレーム遅延データ(例えば、色差信号180°位相データ)S10Bとの差分を求め、この差分から、色差信号Cin及び色差信号180°位相データS10Bの相関を利用して色差信号Cinのノイズを除去した色差信号ノイズ除去データS20を出力する。セレクタ21は、色差信号Cinと色差信号ノイズ除去データS20とを入力してこれらのいずれか一方を、色差ノイズ除去判定信号S24により選択する。フレームメモリ10Bは、セレクタ21の選択結果を入力してこの1フレーム分を格納し、色差信号180°位相データS10Bを出力する。
【0136】
減算回路22及び絶対値回路23は、色差信号Cinと色差信号180°位相データS10Bとの差分の絶対値を求める。色差ノイズ除去判定回路24は、その絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「クロスカラー有り」、小さいときには「ノイズ無し」と判定して、色差ノイズ除去判定信号S24を動き係数生成回路35へ出力する。動き係数生成回路35は、輝度動き係数Kyと色差ノイズ除去判定信号S24とを入力して、動き係数K及び動き係数(1−K)を生成する。加算回路16及び平均値回路17は、色差信号Cinと色差信号180°位相データS10Bとを加算平均して色差信号加算平均データS17を生成し、出力回路40へ出力する。
【0137】
出力回路40は、色差信号ノイズ除去データS20に対して乗算回路41により動き係数Kを乗算して第1の乗算値を求めると共に、色差信号加算平均データS17に対して乗算回路42により動き係数(1−K)を乗算して第2の乗算値を求め、第1の乗算値と第2の乗算値とを加算回路43で加算して、出力映像データの色差信号Coutを出力する。これにより、実施例5とほぼ同様の効果が得られる。
【実施例8】
【0138】
本発明は、上記実施例1〜7に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例である実施例8としては、例えば、次の(1)〜(5)のようなものがある。
【0139】
(1) 実施例1〜4において、例えば、図1の各フレームメモリ2,10,11の入力側にホーマッタをそれぞれ接続すると共に、出力側にリホーマッタをそれぞれ接続し、これらの各リホーマッタを、PAL−NTSC選択信号PNにより切り替えてPAL方式用のフレームメモリの制御を行い、出力を1フレーム遅延と2フレーム遅延の選択を可能にする構成にすれば、同一回路でNTSC方式、及びPAL方式の共用が可能になる。この場合、実施例2においては、NTSC方式でこの実施例2の回路を停止させる構成にする。
【0140】
(2) 実施例1〜4において、NTSC方式の場合、映像信号をY:Cb:Cr=4:2:2データとし、PAL方式の場合、4:1:1データとすることにより、同一容量のフレームメモリ(例えば、図1の2,10,11)での回路構成が可能になる。これにより、フレームメモリ2,10,11の容量を減少できる。
【0141】
(3) 実施例1〜4の輝度動き判定回路3において、輝度信号ノイズ除去データS1の入力側3aと、輝度信号1フレーム遅延データS2,S2A,S2Bの入力側3bとに、LPF等のフィルタFa,Fbをそれぞれ設けても良い。輝度動き判定回路3の入力側3aに設けられるフィルタFaは、1フレーム映像データにおける水平方向、垂直方向、若しくはその両方の近接のデータを利用し、入力される輝度信号ノイズ除去データS1に対してフィルタリングを行って輝度動き判定回路3に与える。同様に、輝度動き判定回路3の入力側3bに設けられるフィルタFbは、1フレーム映像データにおける水平方向、垂直方向、若しくはその両方の近接のデータを利用し、入力される輝度信号1フレーム遅延データS2,S2A,S2Bに対してフィルタリングを行って輝度動き判定回路3に与える。このようなフィルタFa,Fbを設ければ、ノイズ及びジッタの影響を軽減できる。
【0142】
(4) 実施例1、2のフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1において、垂直ブランキング期間等のように、入力映像データの輝度信号Yinにノイズが少ない場合、フレーム巡回輝度ノイズ除去回路1の動作を停止して入出力間をスルー状態にしても良い。又、DVD(Digital Versatile Disc、光ディスク)等のように、常時ノイズが無いか又は少ない場合、フレームメモリ2,2Aとフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1との間の結線を切断して、そのフレーム巡回輝度ノイズ除去回路1を装置から削除しても良く、これにより回路規模を小型化できる。
【0143】
(5) 実施例1の減算回路12において、色差信号Cinの入力側と、色差信号0°位相データS11の入力側とに、LPF等のフィルタをそれぞれ設けても良い。これらの各フィルタでは、1フレーム映像データにおける水平方向、垂直方向、若しくはその両方の近接データを利用し、色差信号Cin、及び色差信号0°位相データS11に対してフィルタリングを行って減算回路12に与える。これにより、ノイズ及びジッタの影響を軽減できる。
【0144】
(6) 実施例4の図4では、実施例1〜3の組み合わせの一例を示したが、この実施例1〜3は、任意の組み合わせが可能であり、これらの各実施例1、2、3が有する、色差同位相比較による動き判定強化、輝度1フレームによるPAL方式の動き補償、色差フレーム巡回ノイズ除去切り替えによるノイズ除去の強化の効果は独立しており、組み合わせにより効果が無くなることはない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明の映像信号処理装置は、種々の用途に利用できる。この利用形態として、例えば、次の(A)〜(C)のようなものがある。
【0146】
(A) テレビジョン(TV)等の映像表示装置に用いることで、コンポジット信号が2次元YC分離後の復調されたコンポーネント化された映像信号入力、2次元YC分離後の復調されたコンポーネント化した映像信号で記録された映像信号のYC分離又はコンポーネント再生映像信号入力に対してクロスカラー、及び、ノイズを低減させた映像を簡単に表示することが可能になる。
【0147】
(B) ビデオレコーダ[例えば、VTR(Video Tape Recoder) 、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disk Drive)]等の映像記録装置に用いることで、コンポジット信号が2次元YC分離後の復調されたコンポーネント化された映像信号入力、2次元YC分離後の復調されたコンポーネント化した映像信号で記録された映像信号のYC分離又はコンポーネント再生映像信号入力に対してクロスカラー、及び、ノイズを低減させた映像を簡単に記録することが可能になる。
【0148】
(C) 映像再生装置に用いることで、コンポーネント信号で記録された映像信号に混入したクロスカラー、及び、ノイズを低減させた映像を簡単に出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施例1を示す映像信号処理装置の構成図である。
【図2】本発明の実施例2を示す映像信号処理装置の構成図である。
【図3】本発明の実施例3を示す映像信号処理装置の構成図である。
【図4】本発明の実施例4を示す映像信号処理装置の構成図である。
【図5】本発明の実施例5を示す色差信号出力部付近の構成図である。
【符号の説明】
【0150】
1 フレーム巡回輝度ノイズ除去回路
2,2A,2B フレームメモリ
3,3D 輝度動き判定回路
10,10A,10B,10C−1,10C−2 フレームメモリ
11,11A,11C−1,11C−2 フレームメモリ
12,22 減算回路
13,23 絶対値回路
14,14D 0°位相比較動き判定回路
15,15B,15C 判定信号合成回路
16 加算回路
17 平均値回路
18,18A,18B,18C セレクタ
19,19C−1,19C−2,19C−3,21,25−1,25−2 セレクタ
20 フレーム巡回色差ノイズ除去回路
24 色差ノイズ除去判定回路
35 動き係数生成回路
40 出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する輝度動き判定手段と、
前記入力映像データの色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記第2の1フレーム遅延データを入力してこの1フレーム分を格納し、第3の1フレーム遅延データを出力する第3の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定して0°位相動き判定信号を出力する0°位相比較動き判定手段と、
前記輝度動き判定信号と前記0°位相動き判定信号とを入力してこれらを合成し、合成判定信号を出力する判定信号合成手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号とのいずれか一方を、入力される前記合成判定信号により選択して出力する選択手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する輝度動き判定手段と、
前記色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこのいずれか一方を、入力される前記輝度動き判定信号により選択し、この選択したデータを1フレーム分格納して第3の1フレーム遅延データを出力する第3の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号とのいずれか一方を、入力される前記輝度動き判定信号により選択して出力する選択手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の映像信号処理装置において、
前記映像信号にノイズが無いか又は少ない場合には、前記フレーム巡回輝度ノイズ除去手段の入出力間をスルー状態にする構成にしたことを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項4】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値とを比較して輝度動き係数Kyを出力する輝度動き判定手段と、
前記入力映像データの色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記第2の1フレーム遅延データを入力してこの1フレーム分を格納し、第3の1フレーム遅延データを出力する第3の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と色差0°位相動き判定閾値とを比較して色差動き係数Kcを出力する0°位相比較動き判定手段と、
前記輝度動き係数Kyと前記色差動き係数Kcの最大値を選択して動き係数K及び動き係数(1−K)を生成する動き係数生成手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号に対して前記動き係数Kを乗算して第1の乗算値を求めると共に、前記色差信号加算平均データに対して前記動き係数(1−K)を乗算して第2の乗算値を求め、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値とを加算して出力する出力手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項5】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値とを比較して輝度動き係数Kを出力する輝度動き判定手段と、
前記色差信号を入力してこの1フレーム分を格納し、第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこのいずれか一方を、入力される前記輝度動き係数Kにより選択し、この選択したデータを1フレーム分格納して第3の1フレーム遅延データを出力する第3の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第3の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、且つ、前記輝度動き係数Kに基づき係数(1−K)を求め、前記色差信号に対して前記輝度動き係数Kを乗算して第1の乗算値を求めると共に、前記色差信号加算平均データに対して前記係数(1−K)を乗算して第2の乗算値を求め、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値とを加算して出力する出力手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項6】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「動き有り」、小さいときには「動き無し」と判定し、この判定結果を輝度動き判定信号として出力する輝度動き判定手段と、
入力される前記映像データの色差信号と第2の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記色差信号及び前記第2の1フレーム遅延データの相関を利用して前記色差信号のノイズを除去した色差信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回色差ノイズ除去手段と、
前記色差信号と前記色差信号ノイズ除去データとを入力してこれらのいずれか一方を、入力される色差ノイズ除去判定信号により選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段の選択結果を入力してこの1フレーム分を格納し、前記第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「クロスカラー有り」、小さいときには「ノイズ無し」と判定して前記色差ノイズ除去判定信号を出力する色差ノイズ除去判定手段と、
前記輝度動き判定信号と前記色差ノイズ除去判定信号とを入力してこれらを合成し、合成判定信号を出力する判定信号合成手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、前記色差信号加算平均データと入力される前記色差信号ノイズ除去データとのいずれか一方を、入力される前記合成判定信号により選択して出力する第2の選択手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項7】
入力される映像データの輝度信号と第1の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記輝度信号及び前記第1の1フレーム遅延データの相関を利用して前記輝度信号のノイズを除去した輝度信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回輝度ノイズ除去手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データを入力してこの1フレーム分を格納し、前記第1の1フレーム遅延データを出力する第1の映像データ記憶手段と、
前記輝度信号ノイズ除去データと前記第1の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値と輝度動き判定閾値とを比較して輝度動き係数Kyを出力する輝度動き判定手段と、
入力される前記映像データの色差信号と第2の1フレーム遅延データとの差分を求め、この差分から、前記色差信号及び前記第2の1フレーム遅延データの相関を利用して前記色差信号のノイズを除去した色差信号ノイズ除去データを出力するフレーム巡回色差ノイズ除去手段と、
前記色差信号と前記色差信号ノイズ除去データとを入力してこれらのいずれか一方を、入力される色差ノイズ除去判定信号により選択する選択手段と、
前記選択手段の選択結果を入力してこの1フレーム分を格納し、前記第2の1フレーム遅延データを出力する第2の映像データ記憶手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力してこれらの差分の絶対値を求め、この絶対値が所定の閾値よりも大きいときには「クロスカラー有り」、小さいときには「ノイズ無し」と判定して前記色差ノイズ除去判定信号を出力する色差ノイズ除去判定手段と、
前記輝度動き係数Kyと前記色差ノイズ除去判定信号とを入力して動き係数K及び動き係数(1−K)を生成する動き係数生成手段と、
前記色差信号と前記第2の1フレーム遅延データとを入力し、これらを加算平均して色差信号加算平均データを生成し、入力される前記色差信号ノイズ除去データに対して前記動き係数Kを乗算して第1の乗算値を求めると共に、前記色差信号加算平均データに対して前記動き係数(1−K)を乗算して第2の乗算値を求め、前記第1の乗算値と前記第2の乗算値とを加算して出力する出力手段と、
を有することを特徴とする映像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−237924(P2006−237924A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48303(P2005−48303)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】