説明

有機保護膜組成物およびこれから製造される有機保護膜を含む薄膜トランジスタ、並びに電子素子

【課題】有機薄膜トランジスタの長期的な信頼性を向上させることのできる有機保護膜組成物を提供する。
【解決手段】下記の一般式1および一般式2の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーと、架橋剤と、を含む。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機保護膜組成物およびこれから製造される有機保護膜を含むトランジスタ、並びに電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタは、一般に、液晶表示装置、有機発光表示装置、電気泳動表示装置(electrophoretic display)などのフラットパネル表示装置のスイッチング素子として用いられる。
薄膜トランジスタの半導体層として、従来、シリコン(Si)などの無機半導体物質が汎用されてきたが、最近、ディスプレイの大面積化、低価格化および柔軟化が進むに伴い、高価格・高温の真空プロセスを必要とする無機系物質を有機半導体物質で代替しようとする研究が盛んになされている。
【0003】
有機薄膜トランジスタは低温で溶液工程によって製作することができ、真空蒸着工程を必要とするシリコン基板物質によるフラットパネル表示装置に比べ、工程を単純化させて生産コストを節減させることができる。
また、有機物質の特性から、ファイバ(fiber)状またはフィルム(film)状にすることができて、可撓性表示装置(flexible display device)の核心素子として注目を集めている。
【0004】
近年、電荷移動度および電流点滅比などの基本的な電気的特性が、a−Siを使用する既存の無機半導体素子に匹敵する性能を有する有機半導体物質を用いた素子が報告されている。
しかしながら、既存の無機半導体素子を代替して商品化するためには、長期的な信頼性を確保することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機半導体を用いた有機薄膜トランジスタを駆動するに際して、素子が長時間に亘って電場に繰り返し露出され、これに伴い、しきい値電圧が変化して移動度が減少するという現象が発生する。
このような現象は、長時間に亘ってバイアスストレス(bias stress)に露出されるために現れるものであり、素子の信頼性を低下させる要因となる。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、有機薄膜トランジスタの長期的な信頼性を向上させることのできる有機保護膜組成物およびこれを含む有機薄膜トランジスタ、並びに電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一実施形態による有機保護膜組成物は、下記の一般式1および一般式2の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーと、架橋剤と、を含むことを特徴とする。
【化1】

上記の一般式1において、Cy1は置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)および C2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれる基である。
【化2】

上記の一般式2において、Cy2は、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基であり、kは、2以上の整数である。
【0007】
前記オリゴマー又はポリマーは、下記一般式3で表される構造単位をさらに含むことが好ましい。
【化3】

上記の一般式3において、Cy3は、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基である。
前記一般式2および一般式3の構造単位は、50:50〜90:10のモル比で存在することが好ましい。
【0008】
前記一般式1のCy1は、下記の一般式4−1または一般式4−2であることが好ましい。
【化4−1】

【化4−2】

上記の一般式4−1および一般式4−2において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L1は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n、m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0009】
前記一般式2は、下記の一般式5−1または一般式5−2であることが好ましい。
【化5−1】

【化5−2】

上記の一般式5−1および一般式5−2において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L2は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n2は、0〜2の整数であり、m3およびm4は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、kおよびk1+k2は、それぞれ独立して、2以上の整数であり、k1およびk2は、0〜4の整数である。
【0010】
前記一般式3は、下記の一般式6−1または一般式6−2であることが好ましい。
【化6−1】

【化6−2】

上記の一般式6−1および一般式6−2において、R〜R11は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L4は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n3は、0〜4の整数であり、m8およびm9は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0011】
前記一般式2は、下記の一般式7−1乃至一般式7−7の群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【化7】

上記の一般式7−1〜一般式7−7において、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、R30およびR31のうちの少なくとも2つはヒドロキシ基であり、aおよびbは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、a+bは、2以上である。
【0012】
上記の一般式3は、下記の一般式8−1乃至一般式8−3よりなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【化8】

上記の一般式8−1〜一般式8−3において、R40およびR41は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、ヒドロキシ基を含んでおらず、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、c+dは、2以上である。
【0013】
前記一般式1の構造単位は、下記の一般式9および一般式10の構造単位を含んでいることが好ましい。
【化9】

上記の一般式9において、Cy4は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれ、少なくとも一つのフルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基で置換されていない環基である、
【化10】

上記の一般式10において、Cy5は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれ、Xは、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、yは、Cy5の結合価数によって決定され、1〜4の整数である。
【0014】
前記一般式9のCy4は、下記の一般式9−1または一般式9−2であることが好ましい。
【化9−1】

【化9−2】

上記の一般式9−1および一般式9−2において、Y〜Yは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L9は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、r、s1およびs2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0015】
前記一般式10のCy5は、下記の一般式10−1または一般式10−2であることが好ましい。
【化10−1】

【化10−2】

上記の一般式10−1および一般式10−2において、X〜Xは、それぞれ独立して、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、L10は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、r、s1およびs2は、それぞれ独立して、1〜2の整数である。
上記の一般式10−1および一般式10−2のC6芳香族環は、非置換であるかまたはそれぞれ、C1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基または置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基で置換されている。
【0016】
前記一般式10の構造単位は、一般式9および一般式10の構造単位の合計100モル%を基準として50モル%以下で存在していることが好ましい。
【0017】
前記架橋剤は、2以上のビニルエーテル基を有する化合物であることが好ましい。
【0018】
前記架橋剤は、2,2’−ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパン[BPA−DEVE;2,2’−bis(4−(2−(vinyloxy)ethoxy)phenyl)propane]、1,1,1−トリス(4−2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)エタン[1,1,1−tris(4−(2−(vinyloxy)ethoxy]phenyl)ethane]、1,3,5−トリス(2−(ビニロキシ)エトキシ)ベンゼン[1,3,5−tris(2−(vinyloxy)ethoxy)benzene]、ポリ(エチレングリーコル)ジビニルエーテル[poly(ethyleneglycol)divinylether)、4,4’−ビス−ブト−3−エニロキシ−ビフェニル[4,4’−bis−but−3−enyloxy−biphenyl]、1,5−ビス−ブト−3−エニロキシ−ナフタレン[1,5−bis−but−3−enyloxy−naphthalene]よりなる群から選ばれるか、またはこれらの混合物から選ばれることが好ましい。
【0019】
前記有機保護膜組成物は、光酸発生剤をさらに含んでいてもよい。
【0020】
前記光酸発生剤は、トリアリールスルホニウムペルフルオロアルキルスルホネート、トリアリールスルホニウムトリフレート、ジアリールヨードニウムトリフレート、トリアリールスルホニウムノナフレート、ジアリールヨードニウムノナフレート、スクシンイミジルトリフレート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートよりなる群から選ばれるか、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0021】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機保護膜は、前記有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による薄膜トランジスタは、基板と、前記基板の上に存在するゲート電極と、前記基板の上に存在する有機半導体層と、前記ゲート電極と有機半導体層との間に存在するゲート絶縁膜と、前記有機半導体層と接続されているソース電極及びドレイン電極と、前記有機保護膜組成物から製造され、前記有機半導体層を覆う有機保護膜と、を備えることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子素子は、前記薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
【0024】
前記ゲート絶縁膜は、前記有機保護膜と同じ物質からなっていることが好ましい。
【0025】
前記有機保護膜は、しきい値電圧及び電荷移動度の経時変化を抑えるものであることが好ましい。
【0026】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による太陽電池は、一対の電極の間に存在する有機光活性層と、前記有機光活性層及び前記一対の電極を覆う有機保護膜を備え、前記有機保護膜は、前記保護膜組成物から製造されることを特徴とする。
【0027】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による太陽電池モジュールは、複数の光活性層(それぞれの光活性層は、一対の電極の間に存在する)およびこれを覆う有機保護膜を備え、前記有機保護膜は、前記有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする。
【0028】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機保護膜混合物は、前記一般式1および一般式2の構造単位を含むオリゴマー又はポリマー、及び2以上のビニルエーテル基を有する架橋剤を含む有機保護膜組成物と、グリコール溶媒と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有機保護膜組成物によれば、長時間に亘ってバイアスストレスに露出されても、素子の信頼性を良好に維持し得る保護膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(A)は、ボトム−コンタクト及びボトム−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図であり、(B)は、ボトム−コンタクト及びトップ−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図である。
【図2】(A)は、トップ−コンタクト及びボトム−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図であり、(B)は、トップ−コンタクト及びトップ−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図である。
【図3】(A)、(B)は、本発明の一実施形態による太陽電池の概略断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による太陽電池モジュールの概略断面図である。
【図5】実施例1による有機薄膜トランジスタの線状領域(linear region、VDS=−10V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図6】実施例1による有機薄膜トランジスタの飽和領域(saturation region、VDS=−40V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図7】実施例2による有機薄膜トランジスタの線状領域(VDS=−10V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図8】実施例2による有機薄膜トランジスタの飽和領域(VDS=−40V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図9】実施例3による有機薄膜トランジスタの線状領域(VDS=−10V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図10】実施例3による有機薄膜トランジスタの飽和領域(VDS=−40V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図11】比較例1による有機薄膜トランジスタの線状領域(VDS=−10V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図12】比較例1による有機薄膜トランジスタの飽和領域(VDS=−40V)で測定した電流伝達特性を示すグラフである。
【図13】実施例11による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときのしきい値電圧変化(△VTH)を示すグラフである。
【図14】実施例2による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときのしきい値電圧変化(△VTH)を示すグラフである。
【図15】実施例3による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときのしきい値電圧変化(△VTH)を示すグラフである。
【図16】比較例1による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときのしきい値電圧変化(△VTH)を示すグラフである。
【図17】実施例1による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときの電荷移動度を示すグラフである。
【図18】比較例1による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときの電荷移動度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者が容易に実施できる程度に詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0032】
本明細書中の「C4〜C20の炭素環基」は、単環式脂環族基、(monocyclic alcyclic group)が単独または融合された形の環基であってもよく、前記炭素環基は、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、C1〜C20のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1〜C20のアルコキシ基およびC1〜C10の低級アルキルアミノ基などの置換基を有していてもよい。
本明細書中の「C6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)」とは、単独または融合されて共鳴構造をなすC6〜C20のアリール基またはC6〜C20のヘテロアリール基を意味する。前記単環式芳香族基は、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、C1〜C20のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1〜C20のアルコキシ基およびC1〜C10の低級アルキルアミノ基などの置換基を有していてもよい。
【0033】
本明細書中の「C2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)」とは、環が互いに縮合された形を意味し、縮合環式芳香族基は、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、C1〜C20のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1〜C20のアルコキシ基およびC1〜C10の低級アルキルアミノ基などの置換基を有していてもよい。
【0034】
本明細書中の「芳香族基によって互いに連結されたC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)」とは、複数の芳香族環が単一結合またはリンカー(linker)を介して連結された芳香族システムを意味する。
リンカーは、C1〜C10のアルキレン基、C1〜C10のアルキル基またはC1〜C10のフルオロアルキル基で置換されたC1〜C10のアルキレン基、SO、CO、Oなどを含む。
芳香族基によって互いに連結されたC2〜C20の非縮合多環式芳香族基は、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、C1〜C20のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1〜C20のアルコキシ基およびC1〜C10の低級アルキルアミノ基などの置換基を有していてもよい。
【0035】
本明細書において、別途に断りのない限り、「置換」とは、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、C1〜C15のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、C1〜C15のアルコキシ基およびC1〜C10の低級アルキルアミノ基よりなる群から選ばれる置換基で置換されることを意味する。
本明細書において、別途に断りのない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、PおよびSiよりなる群から選ばれるヘテロ原子を1〜3個を含む官能基を意味する。
また、本明細書中の「*」とは、同じ又は異なる原子または一般式と連結される部分を意味する。
【0036】
図中、複数の層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って類似する部分に対しては同じ図面符号を付する。層、膜、領域、板、パネルなどの部分が他の部分の「上に」あるとしたとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0037】
本発明の一実施形態による有機保護膜組成物は、下記の一般式1および一般式2の構造単位を含み、選択的に一般式3の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマー、および架橋剤を含む。
【0038】
【化1】

上記の一般式1において、Cy1は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれる環基である。
【0039】
【化2】

【化3】

上記の一般式2および一般式3において、Cy2およびCy3は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基であり、kは、2以上の整数である。
【0040】
一般式1のCy1は、下記の一般式4−1または一般式4−2であることが好ましい。
【化4−1】

【化4−2】

上記の一般式4−1および4−2において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L1は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n、m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0041】
一般式1のCy1は、下記の一般式のいずれか一つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【化15A】

【0042】
一般式2のCy2は、下記の一般式のいずれか一つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【化15B】

【0043】
一般式1〜3の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーは、ヒドロキシ基を含有するポリイミドであり、架橋剤は、ビニルエーテル基を2以上含む化合物であることが好ましい。
一般式1〜3の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーが有するポリイミドのヒドロキシ基は、架橋剤のビニルエーテル基と130℃未満の低温でアセタール化(acetalization)反応によって硬化可能であり、フレキシブル電子素子の製造時に求められる低温工程条件を満たすことができる。
【0044】
また、有機半導体層の上部に保護膜を形成する場合、本実施形態による有機保護膜組成物は、有機半導体を損なわない溶媒(例えば、水、アルコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなど)に溶解できるので、有機半導体の特性を低下させることなく、保護膜を形成することができる。
【0045】
一般式1は、二無水物(dianhydride)から誘導される部分を有し、一般式2および一般式3の構造単位は、ジアミンから誘導される部分を有する。一般式2および一般式3の構造単位は、約50:50〜90:10のモル比で存在することが好ましく、より好ましくは、約50:50〜80:20のモル比である。
【0046】
一般式3の構造単位は、線状構造を有しており、分子間の相互作用を向上させることができる。また、一般式2および一般式3の構造単位を前述の範囲で存在するオリゴマーまたはポリマーを用いて保護膜を形成すると、保護膜自体が有している双極子(dipole)相互作用によって、有機半導体層が長期間に亘って電場に繰り返し露出されても、電気的な特性の変化を極力抑えて素子の信頼性を向上させることができる。
【0047】
前述の一般式1が有する二無水物から誘導される部分を誘導するための二無水物の具体例としては、下記の一般式で示されるものが挙げられる。
【化15C】

【0048】
一般式2は、下記の一般式5−1または一般式5−2であることが好ましい。
【化5−1】

【化5−2】

上記の一般式5−1および一般式5−2において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L2は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n2は、0〜2の整数であり、m3およびm4は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、kおよびk1+k2は、それぞれ独立して、2以上の整数であり、k1およびk2は、0〜4の整数である。
一般式5−1および一般式5−2において、2つの連結基は、互いにメタ(meta)位の位置でポリマーまたはオリゴマー主鎖に連結していることが好ましい。
【0049】
一般式3は、下記の一般式6−1または一般式6−2であることが好ましい。
【化6−1】

【化6−2】

上記の一般式6−1および一般式6−2において、R〜R11は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L4は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、n3は、0〜4の整数であり、m8およびm9は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
一般式6−1および一般式6−2において、2つの連結基は、互いにメタ(meta)位の位置でポリマーまたはオリゴマー主鎖に連結されていることが好ましい。
【0050】
一般式2は、下記の一般式7−1〜7−7よりなる群から選ばれるいずれか一つであることが好ましい。
【化7】



【0051】
上記の一般式7において、R30およびR31は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、R30およびR31のうちの少なくとも2つはヒドロキシ基であり、aおよびbは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、a+bは、2以上である。
【0052】
一般式2は、下記の一般式のうちのいずれか一つのジアミンから誘導されることが好ましい。
【化15D】

【0053】
一般式3のCy3は、ヒドロキシ基を含んでおらず、一般式3は下記の一般式8−1〜8−3よりなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【化8】

【0054】
上記の一般式8において、R40およびR41は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、ヒドロキシ基を含んでおらず、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、c+dは、2以上である。
【0055】
一般式3は、下記の一般式のうちのいずれか一つのジアミンから誘導されることが好ましい。
【化15E】

【0056】
一般式1の構造単位は、下記の一般式9および一般式10の構造単位を含んでいることが好ましい。一般式9の構造単位は、フルオロ基またはフルオロアルキル基で置換されていない環基を含み、一般式10の構造単位は、フルオロ基またはフルオロアルキル基で置換された環基を含む。
【化9】

上記の一般式9において、Cy4は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれ、フルオロ基またはフルオロアルキル基で置換されていない環基である。
【0057】
【化10】

上記の一般式10において、Cy5は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれ、Xは、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、yは、Cy5の結合価数によって決定され、1〜4の整数である。
【0058】
一般式9のCy4は、下記の一般式9−1または一般式9−2であることは好ましい。
【化9−1】

【化9−2】

上記の一般式9−1および9−2において、Y〜Yは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、L9は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、r、s1およびs2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0059】
一般式10のCy5は、下記の一般式10−1または一般式10−2であることが好ましい。
【化10−1】

【化10−2】

【0060】
上記の一般式10−1および一般式10−2において、X〜Xは、それぞれ独立して、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、L10は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(−F、−Cl、−Brまたは−I)、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、t、w1およびw2は、それぞれ独立して、1〜2の整数である。
【0061】
一般式10−1および一般式10−2のC6芳香族環は、それぞれ独立して、C1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基および置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0062】
一般式10の構造単位は、一般式9の構造単位および一般式10の構造単位の合計100モル%を基準として、約50モル%以下であることが好ましく、約5モル%〜約30モル%以下で存在していることがさらに好ましい。一般式9および一般式10の構造単位を組み合わせて、前記範囲において使用すれば、オリゴマーまたはポリマーの撥水性および溶解性を向上させることができる。
【0063】
本実施形態において、架橋剤は、2つ以上のビニルエーテル基を有する化合物である。
2つ以上のビニルエーテル基を有する架橋剤の例としては、2,2’−ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパン[BPA−DEVE;2,2’−bis(4−(2−(vinyloxy)ethoxy)phenyl)propane]、1,1,1−トリス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)エタン[1,1,1−tris(4−(2−(vinyloxy)ethoxy]phenyl)ethane]、1,3,5−トリス(2−(ビニロキシ)エトキシ)ベンゼン[1,3,5−tris(2−(vinyloxy)ethoxy)benzene]、ポリ(エチレングリーコル)ジビニルエーテル[poly(ethyleneglycol)divinylether)、4,4’−ビス−ブト−3−エニロキシ−ビフェニル[4,4’−bis−but−3−enyloxy−biphenyl]、1,5−ビス−ブト−3−エニロキシ−ナフタレン[1,5−bis−but−3−enyloxy−naphthalene]およびこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
一般式2の構造単位を誘導するジアミンとして2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを使用し、架橋剤として2,2’−ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパンを使用する場合、ヒドロキシ基とビニルエーテル基との架橋反応は、下記の反応式1の通りである。
【化15F】

・・・反応式1
【0065】
本実施形態において、有機保護膜組成物は、塗布性を良好にするために、溶媒をさらに含んでいてもよい。このような溶媒の例としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0066】
本実施形態による有機保護膜組成物において、一般式1〜3の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーの含量は、特に制限されないが、オリゴマーまたはポリマーの含量を約5〜約60重量%にして使用することが好ましい。このような範囲で使用すると、組成物の粘度が調節し易く、平滑度に優れた保護膜が製造可能になる。
【0067】
本実施形態において架橋剤は、一般式2の構造単位に存在するヒドロキシ基の含量に応じて決定され、架橋剤の架橋性官能基とヒドロキシ基が約1:0.75〜1:1.25、好ましくは、約1:1のモル比で反応できるように使用する。
【0068】
本実施形態において、有機保護膜組成物は、光酸発生剤(photo acid generator;PAG)をさらに含んで感光性を有していることが好ましい。
本実施形態において用いる光酸発生剤の例としては、トリアリールスルホニウムペルフルオロアルキルスルホネート、トリアリールスルホニウムトリフレート、ジアリールヨードニウムトリフレート、トリアリールスルホニウムノナフレート、ジアリールヨードニウムノナフレート、スクシンイミジルトリフレート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートまたはこれらの混合物が挙げられる。
光酸発生剤のアルキルは、C1〜C10のアルキルであってもよく、アリールは、C6〜C18のアリールであってもよい。
光酸発生剤の量は、一般式1〜3の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマー100重量部に対して、約1〜約15重量部で含むことが好ましい。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、一般式1および2の構造単位を含むオリゴマー又はポリマー及び2以上のビニルエーテル基を有する架橋剤を含む有機保護膜組成物とグリコール溶媒とを含む有機保護膜混合物が提供される。
グリコール溶媒は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートであることが好ましい。
一般式1のCy1は、一般式4−1または一般式4−2であることが好ましい。
一般式2は、一般式5−1または一般式5−2であることが好ましい。
【0070】
本実施形態において、有機保護膜混合物のオリゴマー又はポリマーは、下記の一般式11で表される構造単位を含むことが好ましい。
【化11】

【0071】
本実施形態において有機保護膜は、有機保護膜混合物から製造されることが好ましい。
有機保護膜混合物のオリゴマー又はポリマーは、一般式3で表される構造単位をさらに含むことが好ましい。
一般式3は、一般式6−1、一般式6−2および一般式8−1〜8−3のいずれか一つであることが好ましい。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、下記の一般式11および12の少なくとも一つの第1の構造単位および一般式13および14の少なくとも一つの第2の構造単位を含むオリゴマー又はポリマーを含む有機保護膜組成物が提供される。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【0073】
一般式11〜14で表される構造単位は、オリゴマー又はポリマー内でランダムに配列されることが好ましい。
前記オリゴマー又はポリマーは、一般式13で表される構造単位に比べて、一般式11で表される構造単位をさらに多量含み、一般式12で表される構造単位に比べて、一般式13で表される構造単位をさらに多量含み、一般式12で表される構造単位に比べて、一般式14で表される構造単位をさらに多量含む。
一般式11及び一般式12の構造単位のモル比は、約2:1〜約4:1であることが好ましく、約3:1であることがさらに好ましい。
【0074】
本発明のさらに他の実施形態によれば、有機保護膜組成物から製造された保護膜を含む有機薄膜トランジスタが提供される。有機薄膜トランジスタ(Organic Thin Film Transistor;OTFT)は、一般に、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース/ドレイン電極、有機半導体層を備えてなるが、その層構造は特に制限されない。
【0075】
以下、図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)を参照して、本発明の一実施の形態による有機薄膜トランジスタを説明する。
図1の(A)は、ボトム−コンタクト及びボトム−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図であり、図1の(B)は、ボトム−コンタクト及びトップ−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図である。
図2の(A)は、トップ−コンタクト及びボトム−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図であり、図2の(B)は、トップ−コンタクト及びトップ−ゲート構造の有機薄膜トランジスタの概略断面図である。
【0076】
図1の(A)に示すように、有機薄膜トランジスタ105は、基板10、ゲート電極20、ゲート絶縁膜30、ソース電極40、ドレイン電極50および有機半導体層60がこの順に積層されて、ソース電極40およびドレイン電極50の上に有機半導体層60が形成されるボトム−コンタクト(BC)及びボトム−ゲート型の構造を有している。
【0077】
図1の(B)に示すように、有機薄膜トランジスタ110は、基板10の上にソース電極40’とドレイン電極50’とが位置し、これらの間に有機半導体層60’が形成され、ソース電極40’、ドレイン電極50’および有機半導体層60’の上にゲート絶縁膜30’が形成され、ゲート電極20’がゲート絶縁膜30’の上に形成されているボトム−コンタクト(BC)及びトップ−ゲート型の構造を有している。
【0078】
また、図2の(A)に示すように、有機薄膜トランジスタ205は、有機半導体層60’の上にマスク蒸着などの方法によって金属電極が形成されるトップコンタクト(TC)及びボトム−ゲート型の構造を有する。
有機薄膜トランジスタ205は、基板10の上に存在するゲート電極20と、ゲート絶縁膜30と、ソース電極40”とドレイン電極50”との間に存在する有機半導体層60”と、を含む。
【0079】
図2の(B)に示すように、有機薄膜トランジスタ210は、トップ−コンタクト(TC)及びトップ−ゲート構造を有していてもよく、基板10の上に位置する有機半導体層60’’’と、基板10及び有機半導体層60’’’の上に位置するソース電極40’’’及びドレイン電極50’’’と、ソース電極40’’’と、有機半導体層60’’’およびドレイン電極50’’’の上に位置するゲート絶縁膜30’’と、ゲート絶縁膜30’’の上に位置するゲート電極20’と、を備える。
【0080】
基板10は、ガラス、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate:PEN)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate:PET)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリビニルブチラル(polyvinylbutyral)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリノルボルネン(polynorbornene)およびポリエーテルスルホン(polyethersulfone:PES)などから形成できるが、これらに限定されない。
【0081】
ゲート電極20、20’、ソース電極40、40’、40’’、40’’’およびドレイン電極50、50’、50’’、50’’’としては、通常の金属を使用することができ、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、透明導電性酸化物、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0082】
ゲート絶縁膜30としては、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)などの無機絶縁体またはポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン(benzocyclobutene)、パリレン(parylene)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルブチラル(polyvinylbutyral)、ポリビニルフェノール(polyvinylphenol)などの有機絶縁体を使用することができる。
【0083】
トップ−ゲート構造を有する有機薄膜トランジスタ110、210は、図1の(B)および図2の(B)に示すように、有機半導体層60’、60’’’の損傷を防ぐために、ゲート絶縁膜30、30’’への塗布時に、非プラズマ (non−plasma)工程が用いられてもよい。
【0084】
ゲート絶縁膜30は、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、パリレン(parylene)、ポリアリレート、ポリビニルブチラル、ポリビニルフェノールなどの有機絶縁物質がゲート絶縁膜30、30’’に使用できるが、これらに限定されるものではない。
前記有機半導体層60、60’、60’’、60’’’は、通常汎用される物質を使用することができ、具体的には、ペンタセン、銅フタロシアニン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンまたはこれらの誘導体を使用することができるが、これらに限定されない。
【0085】
前述の構造を有する有機薄膜トランジスタ105、205は、素子の電気的な特性を向上させ、かつ、長期的な信頼性を向上させるために、有機半導体層60、60’’の上に有機保護膜70を含むボトム−ゲート構造を有し、この有機保護膜70は、本発明の一実施形態による有機保護膜組成物から形成される。
【0086】
トップ−ゲート構造を有する有機薄膜トランジスタ110、210は、ゲート電極20’、ソース電極40’、40’’’、有機半導体層60’、60’’、ゲート絶縁膜30’、30’’およびドレイン電極50’、50’’を含む積層体の上に有機保護膜70を含む。有機保護膜70は、有機保護膜組成物から得られる。
トップ−ゲート構造を有する有機薄膜トランジスタ110、210において、本発明の一実施形態による有機保護膜組成物は、ゲート絶縁膜30’、30’’に代えて有機保護膜70として使用することができる。
このようにトップ−ゲート構造を有する有機薄膜トランジスタ110、210において、有機保護膜組成物は、ゲート絶縁膜30’、30’’および有機保護膜70の役割を兼ねることができる。
【0087】
図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)を参照して、有機薄膜トランジスタについて説明したが、本発明の一実施形態による有機薄膜トランジスタは、前記図1の(A)、(B)、図2の(A)、(B)に示す構造に限定されるものではない。
【0088】
有機薄膜トランジスタの有機保護膜は、スピンコートの他に、スクリーン印刷法、印刷法、ディップ法(dipping)、インキ噴射法またはレーザー蒸着(laser deposition)などによって薄膜として形成され得る。
有機薄膜トランジスタは、プラスチック基盤のスマートカード、インベントリタグ(inventory tag)用のプラスチックチップ、太陽電池、メモリ素子、有機発光素子(OLED)、光センサー、レーザー素子などに種々に応用できる。
【0089】
以下、本発明の一実施形態による太陽電池および太陽電池モジュールについて図3の(A)、(B)、図4を参照して説明する。
図3の(A)および(B)は、本発明の一実施形態による太陽電池の概略断面図であり、図4は、本発明の一実施形態による太陽電池モジュールの概略断面図である。なお、上述した同じ部材の説明は省略する。
【0090】
図3の(A)に示すように、本実施形態による太陽電池100は、基板10と、カバー15と、一対の電極92、94の間に存在する有機光活性層(organic photoactive layer)80と、を備える。
有機保護膜70’は、基板10とカバー15との間に存在する有機光活性層80と一対の電極92、94とを取り囲む。
光活性層80は、電子受容体82及び電子供与体84を含むバイレイヤー(bi−layer)構造を含んでいてもよい。図3の(A)には、電子受容体82の上に存在する電子供与体84が示してあるが、電子供与体84及び電子受容体82の位置は互いに逆になってもよい。すなわち、電子供与体84の上に電子受容体82が位置していてもよい。
【0091】
図3の(B)に示すように、本実施形態による太陽電池101は、有機光活性層81の構造を除き、図3の(A)に示す太陽電池と同じ構造を有する。
図3の(B)に示すように、有機光活性層81は、電子受容体83と混在している電子供与体82を含むバルクヘテロ接合(bulk heterojunction)構造を有する。
【0092】
図4に示すように、本実施形態による太陽電池モジュール103は、一対の電極92、94の間に存在する複数の有機光活性層80、81を含む。
一対の電極92、94の間に存在する複数の有機光活性層80、81は、有機保護膜70’’によって取り囲まれ、所望の電力を得るために、直列、並列及び/又は直列−並列で導線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0093】
太陽電池100、101、太陽電池モジュール103に設けられたカバー15は、ガラス、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate:PEN)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate:PET)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリビニルブチラル(polyvinylbutyral)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリノルボルネン(polynorbornene)およびポリエーテルスルホン(polyethersulfone:PES)などから形成することができるが、これらに限定されない。また、カバー15及び基板10は、互いに同じ又は異なる材料から形成されてもよい。
【0094】
電極92、94は、導電性物質、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
また、電極92、94のいずれか一方は、金属、例えば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0095】
前記有機光活性層80、81の電子受容体82、83及び電子供与体84、85は、一般に用いられる物質、例えば、銅フタロシアニン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン又はこれらの誘導体が使用できるが、これらに限定されない。
前記光活性層70’、70’’は、本発明の一実施形態による有機保護膜組成物から得られる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。但し、下記の実施例は単に説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0097】
〔実施例1〕
10.0gの4,4’−オキシジフタリックアンヒドリドと11.80gの2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを重合して、一般式11のポリヒドロキシイミド(Mn=1,097)を製造した。次に、一般式11の構造単位を含むポリヒドロキシイミド1gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に添加して、15重量%の固形分濃度を有するポリヒドロキシイミド溶液を製造した。次いで、架橋剤としての2,2’ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパン0.547gを入れて混合し、0.45μmのろ過剤を用いてろ過することにより、有機保護膜組成物を製造した。
【化11】

【0098】
次に、洗浄されたガラス基板に、ゲート電極としてのモリブデンを、スパッターリング法によって1000Å蒸着後、SiO絶縁膜を300nmの厚さで成膜した。ポリチオフェンの高分子半導体を1重量%でクロロベンゼンに溶解させた溶液を1000rpmで30秒間スピンコート法により塗布した後、100℃で10分間熱処理して500Åの厚さで成膜した。その上にソース−ドレイン電極としての金(Au)をスパッターリング法によって70nmで蒸着した。その上に製造した有機保護膜組成物をスピンコートした後、130℃で2時間真空条件下で硬化させて1μmの有機保護膜が形成された有機薄膜トランジスタを製作した。
【0099】
〔実施例2〕 10.0gの4,4’−オキシジフタリックアンヒドリド、9.44gの2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1.29gの4,4’−オキシジアニリンを重合して、一般式11と13の構造単位を含むポリヒドロキシイミド(Mn=1,467)を製造した。一般式11と一般式13の構造単位を含むポリヒドロキシイミド1.1gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に添加して、15重量%の固形分濃度を有するポリヒドロキシイミド溶液を製造した。次いで、架橋剤として2,2’−ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパンを0.535g入れて混合し、0.45μmのろ過剤を用いてろ過することにより、有機保護膜組成物を製造した。
【化11】

【化13】

上記の一般式11と一般式13の構造単位のモル比は、8:2である。
製造した有機保護膜組成物を用いて、実施例1の方法と同様にして有機薄膜トランジスタを製作した。
【0100】
〔実施例3〕
8.0gの4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンヒドリド、2.86gのオキシジフタリックアンヒドリド、9.44gの2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び1.29gの4,4’−オキシジアニリンを重合して、一般式11〜14のポリヒドロキシイミド(Mn=2,181)を製造した。一般式11〜14の構造単位を含むポリヒドロキシイミド1gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒に添加して、15重量%の固形分濃度を有するポリヒドロキシイミド溶液を製造した。次いで、架橋剤として2,2’ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパンを0.511g入れて混合し、0.45μmのろ過剤を用いてろ過することにより、有機保護膜組成物を製造した。
【0101】
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

一般式11〜14の構造単位のモル比は、16:4:4:1である。
製造した有機保護膜組成物を用いて、実施例1の方法と同様にして有機薄膜トランジスタを製作した。
【0102】
〔比較例1〕
有機保護膜を形成しない以外は、実施例1の方法と同様にして有機薄膜トランジスタを製作した。
【0103】
〔有機薄膜トランジスタの電気的特性の評価〕
実施例1〜3および比較例1で製造した有機薄膜トランジスタの電気的特性を、KEITHLEY社製のSemiconductor Characterization System(4200−SCS)を用いて評価した。
【0104】
実施例1の有機薄膜トランジスタを線状領域(linear region、VDS=−10V)で駆動させた結果を図5に示し、飽和領域(saturation region、VDS=−40V)で駆動させた結果を図6に示す。
実施例2の有機薄膜トランジスタを線状領域(VDS=−10V)で駆動させた結果を図7に示し、飽和領域(VDS=−40V)で駆動させた結果を図8に示す。
実施例3の有機薄膜トランジスタを線状領域(VDS=−10V)で駆動させた結果を図9に示し、飽和領域(VDS=−40V)で駆動させた結果を図10に示す。
比較例1の有機薄膜トランジスタを線状領域(VDS=−10V)で駆動させた結果を図11に示し、飽和領域(VDS=−40V)で駆動させた結果を図12に示す。
【0105】
実施例1〜3および比較例1による有機薄膜トランジスタを線状領域および飽和領域で駆動させたときのしきい値電圧(threshold voltage)の変化(△VTH)を図13〜図16に示し、これを下記表1にまとめて示す。
【0106】
【表1】

【0107】
表1において、|ΔVTH|は、1000秒におけるVTHと0秒におけるVTHとの差分を意味する。
図5〜図16および表1に示すように、実施例1〜実施例3の有機薄膜トランジスタは、しきい値電圧変化(△VTH)が3.5V以下であり、しきい値電圧の差分の経時変化がほとんどないのに対し、比較例1の有機薄膜トランジスタは、しきい値電圧(△VTH)の経時変化が著しいことが分かる。
【0108】
実施例1と比較例1の有機薄膜トランジスタを、線状領域(VDS=−10V)および飽和領域(VDS=−40V)で駆動させたときの電荷移動度を図17に示し、比較例1の有機薄膜トランジスタを、線状領域(VDS=−10V)と飽和領域(VDS=−40V)で駆動させたときの電荷移動度を図18に示す。
図17と図18に示すように、実施例1による有機薄膜トランジスタの電荷移動度が、比較例1による有機薄膜トランジスタに比べて大幅に低下しないことが分かり、このことにより、有機保護膜が有機薄膜トランジスタの電荷移動度に影響を及ばさないことが分かる。
【0109】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、他の様々な実施形態によって製造可能であり、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な実施形態で実施可能であるということが理解できるであろう。よって、上述の実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的なものであると理解されてはならない。
【符号の説明】
【0110】
10 :基板、
15 : カバー
20、20’ :絶縁膜、
30、30’、30’’ :ゲート電極、
40、40’、40’’、40’’’ :ソース電極、
50、50’、50’’、50’’’ :ドレイン電極、
60、60’、60’’、60’’’ :半導体層、
70、70’、70’’ :有機保護膜、
80、81 :有機光活性層
82、83 :電子受容体
84、85 :電子供与体
92、94 :電極
100、101 :太陽電池
103 :太陽電池モジュール
105、110、205、210 :有機薄膜トランジスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式1および一般式2の構造単位を含むオリゴマーまたはポリマーと、
架橋剤と、
を含むことを特徴とする有機保護膜組成物。
【化1】

上記の一般式1において、
Cy1は置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれる基である。
【化2】

上記の一般式2において、
Cy2は、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基であり、
kは、2以上の整数である。
【請求項2】
前記オリゴマーまたはポリマーは、下記の一般式3の構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【化3】

Cy3は、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基である。
【請求項3】
前記一般式2および一般式3の構造単位が、50:50〜90:10のモル比で含まれることを特徴とする請求項2に記載の有機保護膜組成物。
【請求項4】
前記一般式1のCy1は、下記の一般式4−1または一般式4−2であることを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【化4−1】

【化4−2】

上記の一般式4−1および一般式4−2において、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、
L1は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、
n、m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【請求項5】
前記一般式2は、下記の一般式5−1または一般式5−2であることを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【化5−1】

【化5−2】

上記の一般式5−1および一般式5−2において、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、
L2は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、
n2は、0〜2の整数であり、
m3およびm4は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
kおよびk1+k2は、それぞれ独立して、2以上の整数であり、k1およびk2は、0〜4の整数である。
【請求項6】
前記一般式3は、下記の一般式6−1または一般式6−2であることを特徴とする請求項2に記載の有機保護膜組成物。
【化6−1】

【化6−2】

上記の一般式6−1および一般式6−2において、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、
L4は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、
n3は、0〜4の整数であり、
m8およびm9は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【請求項7】
前記一般式2は、下記の一般式7−1乃至一般式7−7よりなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【化7】






上記の一般式7−1乃至一般式7−7において、
30およびR31は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、R30およびR31のうちの少なくとも2つはヒドロキシ基であり、
aおよびbは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、a+bは、2以上である。
【請求項8】
前記一般式3は、下記の一般式8−1乃至一般式8−3よりなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項2に記載の有機保護膜組成物。
【化8】

上記の一般式8−1乃至一般式8−3において、
40およびR41は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のフルオロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、但し、ヒドロキシ基を含んでおらず、
cおよびdは、それぞれ独立して、0〜4の範囲にあり、c+dは、2以上である。
【請求項9】
前記一般式1の構造単位は、下記の一般式9および一般式10の構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【化9】

上記の一般式9において、
Cy4は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれる少なくとも一つであって、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基で置換されていない環基である、
【化10】

上記の一般式10において、
Cy5は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれ、
Xは、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、
yは、Cy5の結合価数によって決定され、1〜4の整数である。
【請求項10】
前記一般式9のCy4は、下記の一般式9−1または一般式9−2であり、一般式10のCy5は、下記の一般式10−1または一般式10−2であることを特徴とする請求項9に記載の有機保護膜組成物。
【化9−1】

【化9−2】

上記の一般式9−1および一般式9−2において、
〜Yは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基であり、
L9は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、
r、s1およびs2は、それぞれ独立して、0〜2の整数である。
【化10−1】

【化10−2】

上記の一般式10−1および一般式10−2において、
〜Xは、それぞれ独立して、フルオロ基またはC1〜C15のフルオロアルキル基であり、
L10は、単一結合、(CR、(SiR(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のフルオロアルキル基、C6〜C20のアリール基よりなる群から選ばれる基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜5の整数である)、SO、O、COよりなる群から選ばれる結合もしくは基、またはこれらの組み合わせから選ばれ、
r、s1およびs2は、それぞれ独立して、1〜2の整数であり、
上記の一般式10−1および一般式10−2のC6芳香族環は、非置換であるか、またはそれぞれ、C1〜C15のアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基よりなる群から選ばれる基で置換されている。
【請求項11】
前記一般式10の構造単位は、一般式9および一般式10の構造単位の合計100モル%を基準として50モル%以下で含むことを特徴とする請求項9に記載の有機保護膜組成物。
【請求項12】
前記架橋剤は、2以上のビニルエーテル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【請求項13】
前記架橋剤は、2,2’−ビス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)プロパン[BPA−DEVE;2,2’−bis(4−(2−(vinyloxy)ethoxy)phenyl)propane]、1,1,1−トリス(4−(2−(ビニロキシ)エトキシ)フェニル)エタン[1,1,1−tris(4−(2−(vinyloxy)ethoxy]phenyl)ethane]、1,3,5−トリス(2−(ビニロキシ)エトキシ)ベンゼン[1,3,5−tris(2−(vinyloxy)ethoxy)benzene]、ポリ(エチレングリーコル)ジビニルエーテル[poly(ethyleneglycol)divinylether)、4,4’−ビス−ブト−3−エニロキシ−ビフェニル[4,4’−bis−but−3−enyloxy−biphenyl]、1,5−ビス−ブト−3−エニロキシ−ナフタレン[1,5−bis−but−3−enyloxy−naphthalene]よりなる群から選ばれるかまたはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【請求項14】
前記有機保護膜組成物は、光酸発生剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有機保護膜組成物。
【請求項15】
前記光酸発生剤は、トリアリールスルホニウムペルフルオロアルキルスルホネート、トリアリールスルホニウムトリフレート、ジアリールヨードニウムトリフレート、トリアリールスルホニウムノナフレート、ジアリールヨードニウムノナフレート、スクシンイミジルトリフレート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートまたはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項14に記載の有機保護膜組成物。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする有機保護膜。
【請求項17】
基板と、
前記基板の上に存在するゲート電極と、
前記基板の上に存在する有機半導体層と、
前記ゲート電極と有機半導体層との間に存在するゲート絶縁膜と、
前記有機半導体層と接続されているソース電極及びドレイン電極と、
前記有機半導体層を覆う有機保護膜と、
を備え、
前記有機保護膜は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項18】
請求項17に記載の薄膜トランジスタを含むことを特徴とする電子素子。
【請求項19】
前記ゲート絶縁膜は、前記有機保護膜と同じ物質からなることを特徴とする請求項17に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項20】
前記有機保護膜は、しきい値電圧及び電荷移動度の経時変化を抑えるものであることを特徴とする請求項17に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項21】
一対の電極の間に存在する有機光活性層と、前記有機光活性層及び前記一対の電極を覆う有機保護膜と、を備え、
前記有機保護膜は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする太陽電池。
【請求項22】
複数の光活性層(それぞれの光活性層は、一対の電極の間に存在する)およびこれを覆う有機保護膜を備え、
前記有機保護膜は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の有機保護膜組成物から製造されることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項23】
下記の一般式1および一般式2の構造単位を含むオリゴマー又はポリマー、及び2以上のビニルエーテル基を有する架橋剤を含む有機保護膜組成物と、グリコール溶媒と、を含むことを特徴とする有機保護膜混合物。
【化1】

上記一般式1において、
Cy1は、置換若しくは無置換のC4〜C20の炭素環基、置換若しくは無置換のC6〜C20の単環式芳香族基(monocyclic aromatic group)、置換若しくは無置換のC2〜C20の縮合多環式芳香族基(condensed polycyclic aromatic group)およびC2〜C20の非縮合多環式芳香族基(non−condensed polycyclic aromatic group)よりなる群から選ばれる基である。
【化2】

上記一般式2において、
Cy2は、置換若しくは無置換のC6〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC3〜C40のヘテロアリーレン基、置換若しくは無置換のC5〜C40のシクロアルキレン基または置換若しくは無置換のC5〜C40のヘテロシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる基であり、
kは、2以上の整数である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−244181(P2012−244181A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115608(P2012−115608)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】