説明

有機発光ディスプレイ装置

【課題】有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】半透過電極、半透過電極に対向する反射電極、及び半透過電極と反射電極との間に介された発光層を備える赤色、緑色及び青色ピクセルと、透明電極、透明電極に対向する反射電極、及び透明電極と反射電極との間に介された発光層を備える白色ピクセルと、赤色、緑色、青色及び白色のピクセルのそれぞれに対応して位置した赤色、緑色、青色及び白色フィルタと、少なくとも白色ピクセルの透明電極と白色フィルタとの間に位置した光路調節層と、を備える有機発光ディスプレイ装置である。これにより、視野角特性が確保され、低消費電力及び長寿命の特性を有しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、共振ピクセルと非共振ピクセルとが結合されたハイブリッド構造を有する有機発光ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Device)は、アノード(正極)とカソード(負極)との間に機能性薄膜形態の有機発光層が挿し込まれている構造であって、正極から正孔が注入され、負極から電子が注入されて、有機発光層内で電子と正孔とが再結合しつつ光を放出する素子である。
【0003】
OLEDは、その駆動方式によって、受動駆動方式のパッシブマトリックス(PM:Passive Matrix)型と、能動駆動方式のアクティブマトリックス(AM:Active Matrix)型とに区分される。PM型OLEDは、単純に正極と負極とがそれぞれ列(column)と行(row)とに配列され、負極には、行駆動回路からスキャニング信号が供給され、この時、複数の行のうち一つの行のみが選択される。また、列駆動回路には、各画素にデータ信号が入力される。一方、AM型OLEDは、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を利用して各画素当り入力される信号を制御するものであって、膨大な量の信号処理に適していて、動画を具現するためのディスプレイ装置として多く使われている。
【0004】
現在、低消費電力と高い明室CR(Bright Room Contrast Ratio)特性を有するAM型OLEDの具現のために、前面発光方式のRGB独立蒸着法が多く利用されている。RGB独立蒸着方式は、製作時に、微細金属マスクを使用して、各発光色毎にパターニングしなければならないが、金属マスクを整列する時の精密度やマスクサイズが大きくなることによって発生する垂れ現象によって、大型サイズへの応用が難しい。他のRGB独立発光層を形成する方式のうちの一つであるインクジェット方式は、大型サイズの基板を使用できるという長所はあるが、現在、可溶性(soluble)材料の特性が蒸着用材料の特性より悪くて、物質特性が予め確保されねばならない。それ以外に、レーザを利用してドナーフィルムに形成された発光層を独立的に転写するレーザ転写法(LITI:Laser Induced Thermal Imaging)があるが、OLED素子の寿命が短いという弱点を有している。
【0005】
工程性、収率を考慮する時、白色OLED(White OLED:WOLED)にカラーフィルタ(CF:Color Filter)を採用するWOLED−CF方式が特に注目されている。白色OLEDは、有機発光層内に赤色、緑色及び青色をそれぞれ放出する複数の有機発光材料をいずれも形成するか、または相互補色関係にある二つの有機発光材料の対を形成することによって具現されうる。しかし、WOLED−CF方式は、基本的に白色光をCFを通じて濾過せねばならないので、透光率が独立蒸着方式に比べて相対的に低いという弱点を有している。WOLED−CF方式は、白色光の透過率が約25%ほどである。共振構造を適用すれば、前方への透光率を非共振対比約30〜50%以上向上させつつ、色再現力をNTSC(National Television Systems Committee)対比100%以上増加させうる。ここで、光効率を最大にするためには、共振RGBピクセルと光透過率が100%である非共振白色ピクセルとをいずれも使用するRGBWピクセル構造を有する方式が特に有用な技術となりうる。しかし、共振RGBピクセルと非共振Wピクセルとを使用したRGBWピクセル構造のディスプレイは、共振ピクセル及び非共振ピクセルで視野角による輝度変化の差のため、非原色(non−primary color)で色変化が大きく発生し、特に、白色で視野角による色変化が大きくて、実際のディスプレイへの適用が難しいという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、視野角特性が確保され、低消費電力でありかつ長寿命の有機発光ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明の有機発光ディスプレイ装置は、半透過電極、前記半透過電極に対向する反射電極、及び前記半透過電極と前記反射電極との間に介された発光層を備える赤色、緑色及び青色ピクセルと、透明電極、前記透明電極に対向する反射電極、及び前記透明電極と前記反射電極との間に介された発光層を備える白色ピクセルと、少なくとも前記白色ピクセルの透明電極の下部に位置した光路調節層と、前記赤色、緑色、青色及び白色のピクセルのそれぞれに対応して位置した赤色、緑色、青色及び白色フィルタと、を備えうる。
【0008】
さらに望ましくは、前記光路調節層は、前記白色ピクセルの透明電極との屈折率差が10%以内でありうる。
【0009】
さらに望ましくは、前記光路調節層は、可視光線領域で1.8ないし2.0の屈折率を有しうる。
【0010】
さらに望ましくは、前記光路調節層は、可視光線領域で透光度が90%以上でありうる。
【0011】
さらに望ましくは、前記光路調節層は、有機物、酸化物、硫化物からなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで形成され、例えば、Al、BaO、MgO、HfO、ZrO、CaO、SrO、Y、Si、AlN、GaN、ZnS、CdSからなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで形成されうる。
【0012】
さらに望ましくは、前記光路調節層は、前記白色ピクセルの透明電極の下部と、赤色、緑色及び青色ピクセルの前記半透過電極の下部とに位置することができる。
【0013】
さらに望ましくは、前記白色フィルタは、パネルが要求する白色Cx、Cy値と前記白色ピクセルから生成された白色光のCx、Cy値との差がそれぞれ±0.03以内となるように、特定波長を選択的に吸収できる。
【0014】
さらに望ましくは、前記白色フィルタは、光量を調節できるND(Neutral Density)フィルタ機能をさらに有しうる。
【0015】
さらに望ましくは、前記半透過電極は、透明電極と、前記透明電極の下部に備えられる半透過膜と、を備え、前記半透過膜は、ITO/Ag/ITO、ITO/Ag/IZO、ATD、及びITO/APC/ITOのうち選択された少なくともいずれか一つで形成され、前記透明電極は、ITO、IZO、ZnO及びInのうち選択された少なくともいずれか一つで形成されうる。
【0016】
さらに望ましくは、前記透明電極の厚さ調節によって、前記赤色、緑色及び青色ピクセルの光路を調節できる。
【0017】
さらに望ましくは、前記発光層は、積層式または直列式でありうる。
【0018】
さらに望ましくは、前記発光層は、蛍光物質または燐光物質を含みうる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとが結合されたハイブリッド構造の有機発光ディスプレイ装置であって、白色ピクセルに光路調節層と特定波長の光を選択的に吸収する白色フィルタとを備えることによって、視野角特性が確保され、低消費電力及び長寿命の特性を有しうる有機発光ディスプレイ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の望ましい一実施例による能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の一ピクセルのピクセル回路を示す回路図である。
【図2】図1の回路を具現する本発明の一実施例による有機発光ディスプレイ装置における、隣接する4つのピクセル(R、G、B、W)を概略的に示す断面図である。
【図3】図2の駆動回路を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例による多様な白色フィルタの透過度曲線の例を示す図面である。
【図5】図1の回路を具現する本発明の他の実施例による有機発光ディスプレイ装置における、隣接する4つのピクセル(R、G、B、W)を概略的に示す断面図である。
【図6A】一般的な共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイにおける、視野角による原色(primary color)の輝度変化を示す図面である。
【図6B】一般的な共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイにおける、視野角による原色の色変化を示す図面である。
【図7A】本発明の一実施例によって光路調節層を備えた共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイにおける、視野角による原色の輝度変化を示す図面である。
【図7B】本発明の一実施例によって光路調節層を備えた共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイにおける、視野角による原色の色変化を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の望ましい実施例を、添付した図面を参照して説明する。図面上の同じ符号は、同じ要素を表す。下記の本発明の説明において、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0022】
本発明の実施例を説明する図面において、ある層や領域は、明細書の明確性のために厚さを拡大して示した。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あるという時、これは、他の部分“真上に”ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0023】
本発明のOLEDディスプレイは、赤色、緑色、青色及び白色(RGBW)の少なくとも4つ以上のピクセルを備え、これらのうち、RGBピクセルのピクセル電極を共振特性のある半透過ミラーで形成し、白色ピクセルのピクセル電極を非共振特性のある透過ミラーで形成する。そして、本発明のOLEDディスプレイは、白色で高視野角性能を確保するために、少なくとも白色ピクセル電極の下段部に白色ピクセル電極と屈折率が類似した光路調節層を備える。そして、本発明のOLEDディスプレイは、白色ピクセルに白色発光層から出るスペクトルを選択的に透過する白色フィルタを配し、白色発光層から出る色をパネルの白色に調節可能にし、高視野角性能を確保する。
【0024】
図1は、本発明の望ましい一実施例による能動駆動型有機発光ディスプレイ装置の一ピクセルのピクセル回路を示す回路図である。
【0025】
図1を参照すれば、本実施例による有機発光ディスプレイ装置は、複数の信号線に連結されており、ほぼ行列(matrix)の形態に配列された複数のピクセル(R、G、B、W)が含まれており、各ピクセルは、ピクセル回路PCを有する。
【0026】
各ピクセルには、データラインData、スキャンラインScan、及び有機発光素子OLEDの一駆動電源となるVdd電源ラインVddが備えられる。ピクセル回路PCは、これらのデータラインData、スキャンラインScan、及びVdd電源ラインVddに電気的に連結されており、有機発光素子OLEDの発光を制御する。
【0027】
各ピクセルは、スイッチングTFT M2と、駆動TFT M1の少なくとも2個のTFTと、キャパシタユニットCstと、有機電界発光素子OLEDと、を備える。
【0028】
前記スイッチングTFT M2は、スキャンラインScanに印加されるスキャン信号によってオン/オフになり、データラインDataに印加されるデータ信号をストレージキャパシタCst及び駆動TFT M1に伝達する。スイッチング素子としては、必ずしも図2のようにスイッチングTFT M2のみに限定されるものではなく、複数のTFTとキャパシタとを備えたスイッチング回路が備えられることもあり、駆動TFT M1のしきい値電圧(Vth値)を補償する回路や、駆動電源Vddの電圧降下を補償する回路がさらに備えられることもある。
【0029】
前記駆動TFT M1は、スイッチングTFT M2を通じて伝えられるデータ信号によって、有機発光素子OLEDに流入される電流量を決定する。
【0030】
前記キャパシタユニットCstは、スイッチングTFT M2を通じて伝えられるデータ信号を1フレームの間に保存する。
【0031】
図1による回路図で、駆動TFT M1及びスイッチングTFT M2は、PMOS TFTと示されているが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、前記駆動TFT M1及びスイッチングTFT M2のうち少なくとも一つをNMOS TFTで形成することもできる。そして、前記のようなTFT及びキャパシタの数は、必ずしもこれに限定されず、これよりさらに多くのTFT及びキャパシタを備えることもできる。
【0032】
図2は、図1の回路を具現する本発明の一実施例による有機発光ディスプレイ装置で、隣接する4つのピクセルR,G,B,Wを概略的に示した断面図である。図3は、図2の駆動回路を概略的に示した断面図である。
【0033】
赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルB及び白色ピクセルWを含む4つのピクセルは、行及び/または列に沿って反復され、ピクセルの配置は、多様に構成されうる。
【0034】
図2を参照すれば、本発明のOLEDディスプレイは、基板100上に赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルB及び白色ピクセルWが備えられる。また、各ピクセルに対応して各ピクセルから放出される白色光を選択的に吸収する赤色、緑色、青色及び白色のフィルタ120R,120G,120B及び120Wを備え、前記各ピクセルと色フィルタとの間に光路調節層114を備える。
【0035】
基板100は、透明基板としてSiOを主成分とするガラス材の基板が使われうる。基板100は、必ずしもこれに限定されず、プラスチック材で形成されてもよく、金属製基板でもよい。
【0036】
前記基板100の上面には、図3に示したような駆動TFT 250が備えられうる。本実施例では、TFTの一例として、トップゲート方式のTFTを示している。しかし、これと異なり、他の構造のTFTが備えられてもよい。
【0037】
前記基板100の上面には、TFT 250を形成する前に、不純物イオンが拡散されることを防止し、水分や外気の浸透を防止し、表面を平坦化するためのバリア層及び/またはバッファ層のような絶縁層211が形成されうる。前記絶縁層211は、SiO及び/またはSiNxで形成されうる。
【0038】
前記絶縁層211上にTFTの活性層221が半導体材料によって形成され、これを覆うように、ゲート絶縁膜213が形成される。活性層221は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンのような無機材半導体や有機半導体が使われ、ソース領域、ドレイン領域とこれらの間のチャンネル領域とを有する。
【0039】
活性層221は、ポリシリコンで形成され、この場合、所定領域が不純物でドーピングされることもある。もちろん、活性層221は、ポリシリコンではないアモルファスシリコンで形成されてもよく、さらに、ペンタセンのような多様な有機半導体物質で形成されてもよい。
【0040】
ゲート絶縁膜213は、活性層221とゲート電極222との間を絶縁するために備えられる。ゲート絶縁膜213は、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような絶縁性物質で形成され、もちろん、これ以外にも絶縁性有機物で形成されることもできる。
【0041】
ゲート絶縁膜213上には、ゲート電極222が備えられ、これを覆うように層間絶縁膜214が形成される。そして、層間絶縁膜214上には、ソース及びドレイン電極223がコンタクトホール225を通じて活性層221と連結される。
【0042】
ゲート電極222は、多様な導電性物質で形成できる。例えば、Mg、Al、Ni、Cr、Mo、W、MoWまたはAuなどの物質で形成でき、この場合にも、単一層だけでなく、複数層の形状に形成することもできるなど、多様な変形が可能である。
【0043】
層間絶縁膜214は、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような絶縁性物質で形成され、もちろん、これ以外にも絶縁性有機物で形成されてもよい。前記層間絶縁膜214とゲート絶縁膜213とを選択的に除去して、ソース及びドレイン領域が露出されるコンタクトホール225を形成できる。そして、前記コンタクトホール225が埋め込まれるように層間絶縁膜214上に前述したゲート電極222用物質で、単一層または複数層の形状にソース及びドレイン電極223を形成する。
【0044】
前記TFT 250のソース及びドレイン電極223は、ピクセルの下部電極と電気的に連結される。
【0045】
このように形成されたTFTは、パッシベーション層112で覆われて保護される。パッシベーション層112は、無機絶縁膜及び/または有機絶縁膜を使用できるが、無機絶縁膜としては、SiO、SiNx、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST、PZTが含まれるようにすることができ、有機絶縁膜としては、一般の汎用高分子(PMMA,PS)、フェノール基を有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びこれらのブレンドが含まれるようにすることができる。パッシベーション層112は、無機絶縁膜と有機絶縁膜との複合積層体としても形成されうる。
【0046】
前記パッシベーション層112の上部には、赤色ピクセルRに対応する赤色フィルタ120R、緑色ピクセルGに対応する緑色フィルタ120G、青色ピクセルBに対応する青色フィルタ120B、及び白色ピクセルWに対応する白色フィルタ120Wが備えられる。
【0047】
色フィルタ120R,120G,120B,120Wは、COA(Color Filteron Array)方式で配されうる。色フィルタ120R,120G,120B,120Wは、各ピクセルから白色光を受信して相異なる色の光を生成する。
【0048】
白色フィルタ120Wは、パネルの白色色特性に合わせるために、白色光を受信して特定波長領域の光を選択的に吸収する。共振赤色/緑色/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとが同時発光してパネルの白色を表現する場合、視野角によって白色の色変化が大きい。したがって、非共振白色ピクセルWに選択的に光を吸収して透過させる白色フィルタ120Wを備え、パネルの白色色特性と近似させる。望ましくは、白色ピクセルWで生成された白色光のCx、Cy値が、パネルが要求する白色Cx、Cy値と±0.03以内となるように、白色フィルタ120Wが選択的に使われる。
【0049】
図4の(a)ないし(c)は、本発明の一実施例による多様な白色フィルタの透過度曲線の例を示す。
【0050】
光源(source)からの白色光の色特性がパネルの白色色特性と異なる場合、これを補償できる適切な白色フィルタを使用できる。図4(a)は、赤色光を吸収し、図4(b)は、緑色光を吸収し、図4(c)は、青色光を吸収する白色フィルタである。本発明の白色フィルタ120Wは、図4の例に限定されず、光源からの光の色特性によって、特定光を選択的に吸収できる多様なフィルタが使われうる。
【0051】
また、前記白色フィルタ120Wは、光量を調節できるND(Neutral Density)フィルタ機能を追加して、明室CR(Bright Room Contrast Ratio)特性をさらに向上させうる。
【0052】
前記色フィルタ120R,120G,120B,120Wの上部には、色フィルタを保護し、色フィルタが形成された層の表面を平坦化するためのオーバーコート層113が備えられうる。前記オーバーコート層113は、無機絶縁膜及び/または有機絶縁膜を使用できるが、無機絶縁膜としては、SiO、SiNx、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST、PZTが含まれるようにすることができ、有機絶縁膜としては、一般汎用高分子(PMMA,PS)、フェノール基を有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びこれらのブレンドが含まれるようにすることができる。オーバーコート層113は、無機絶縁膜と有機絶縁膜との複合積層体としても形成されうる。
【0053】
前記オーバーコート層113は、約1.5ないし2.6の屈折率を有することが望ましい。
【0054】
前記オーバーコート層113の上部には、光路調節層114が備えられる。共振赤色、緑色、青色ピクセルと非共振白色ピクセルとが同時に発光する場合、視野角によって白色の色変化が大きい。したがって、これを克服するために、光路調節層114を挿し込む。
【0055】
前記光路調節層114は、光路調節層114の内部での光損失を最小化するために、透光度が優れたものが良い。光路調節層114は、有機物、酸化物、硫化物からなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで構成され、例えば、Al、BaO、MgO、HfO、ZrO、CaO、SrO、Y、Si、AlN、GaN、ZnS、CdSからなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで構成されうる。光路調節層114の透光度は、可視光線領域で約90%以上であることが望ましい。
【0056】
また、光路調節層114の屈折率は、上部の透明電極137の屈折率と類似していることが望ましく、その差を約10%以内にすることが良い。透明電極137の屈折率を考慮すると、光路調節層114の屈折率は、可視光線領域で約1.8ないし2.0であることが良い。
【0057】
また、光路調節層114の厚さは、約10000Å以下に形成されうる。
【0058】
白色ピクセルW領域において、図面に示していないが、前記光路調節層114の上部または下部に光抽出効率を向上させるための補助層がさらに備えられうる。前記補助層は、例えば、屈折率の低い物質または屈折率の高い物質でLIA(Low Refractive Index Array)またはHIA(High Refractive Index Array)がパターン形成された低屈折率層または高屈折率層であるか、または低屈折率層と高屈折率層との組合せであってよい。前記低屈折率物質の屈折率は、1ないし1.55であり、前記高屈折率物質の屈折率は、1.9ないし2.8でありうる。
【0059】
前記光路調節層114の上部には、赤色、緑色、青色及び白色のフィルタ120R,120G,120Bに対応して赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルB、白色ピクセルWが形成される。
【0060】
前記赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルBのそれぞれは、半透過膜130と透明電極137とを備える半透過電極140、発光層を備える有機層160、及び反射電極180を備える共振構造である。
【0061】
半透過膜130は、光路調節層114の上部に備えられ、金属層と金属層の上下部の伝導性酸化膜とによる多層構造であって、ITO/Ag/ITO、ITO/Ag/IZO(Indium Zinc Oxide)、ATD(ITO/Ag合金/ITO)、ITO/APC(Ag−Pd−Cu合金)/ITO、及びその等価物のうち選択された少なくともいずれか一つで形成されうる。
【0062】
透明電極137は、半透過膜130の上部に備えられ、透明素材の伝導性物質で形成できるが、ITO、IZO、ZnOまたはInで形成でき、フォトリソグラフィ法によって各ピクセル毎に所定のパターンとなるように形成できる。
【0063】
半透過電極140は、下部のTFTと電気的に連結されうる。半透過電極140は、外部電極端子(図示せず)に連結されてアノードとして機能できる。
【0064】
反射電極180は、半透過電極140に対応して有機層160の上部に備えられる。反射電極180は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、Baまたはこれらの化合物など反射導電物質を全面蒸着して形成することによって、各ピクセルの反射電極が共に連結されている共通型でありうる。反射電極180は、外部電極端子(図示せず)に連結されてカソードとして機能できる。
【0065】
前記半透過電極140と前記反射電極180との極性は、相互逆になってもよい。
【0066】
前記半透過電極140と前記反射電極180との間に介在される有機層160は、発光層(EML:Emission Layer)と、それ以外に正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、及び電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などの機能層のうちいずれか一つ以上の層が単一あるいは複合の構造で積層されて形成されうる。
【0067】
有機層160は、低分子または高分子有機物で備えられうる。低分子有機物材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを初めとして多様に適用可能である。高分子有機物材料を使用した高分子有機層は、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT:Poly−(2,4)−Ethylene−Dihydroxythiophene)やポリアニリン(PANI)を使用して、インクジェットプリンティング法やスピンコーティング法によって形成され、高分子有機発光層は、PPV、可溶性PPV、シアノ−PPV、ポリフルオレンを使用できる。
【0068】
発光層は、積層式または直列式(Tandem Type)でありうる。積層式発光層は、赤色、緑色及び青色のサブ発光層で構成され、これらの積層順序は、特別に限定されない。前記積層式発光層は、赤色、緑色及び青色の発光層がいずれも蛍光発光層であるか、または少なくとも一つ以上の発光層が燐光発光層でありうる。前記直列式発光層は、赤色、緑色及び青色の発光層がいずれも蛍光発光層であるか、少なくとも一つ以上の発光層が燐光発光層でありうる。また、直列式発光層は、CGL(Charge Generation Layer)を介して両側に積層される各発光層が、白色、異なる色、または同じ色を発光でき、この時、異なる色または同じ色は、単色または多色でありうる。
【0069】
各ピクセルのサブ発光層の構造は、相異なり、白色光を出す組合わせならば、赤色、緑色、青色に限らず、多様な色の組合わせで形成できる。
【0070】
発光領域で発生した光のうちの一部が半透過膜130によって反射されつつ、前記反射電極180と半透過電極140との間に共振が発生する。共振によって放出される白色光のスペクトルが特定波長帯域に偏重されることを防止して、各ピクセル毎に最大の光効率が得られるように、反射電極180と半透過電極140との間の厚さを調節することが要求される。このために、前記半透過膜130の上部に透明電極137を形成し、透明電極137の厚さを調節して、反射電極180と半透過電極140との光学距離を調整することができる。他の例として、各ピクセルの透明電極の厚さを同一に形成し、透明電極と類似した屈折率を有し、可視光線で吸収のない誘電体膜を透明電極の上部及び/または下部に挿し込んで誘電体膜の厚さを調節することによって、反射電極180と半透過電極140との光学距離を調整することもできる。さらに他の例として、前記機能層の厚さを調節することによって、反射電極180と半透過電極140との光学距離を調整することもできる。図2では、緑色ピクセルGの透明電極を除去し、赤色ピクセルRと青色ピクセルBとの光学距離は同一に形成することによって、各ピクセル毎に光学距離を調節する一例を示している。しかし、本発明は、これに限定されず、共振特性によって、ピクセル毎に透明電極の厚さ、誘電体膜の厚さ、または機能層の厚さを異ならせてピクセル毎の光学距離を調節できる。
【0071】
前記白色ピクセルWは、透明電極137、発光層を備える有機層160、及び反射電極180を備える非共振構造である。
【0072】
透明電極137は、光路調節層114の上部に備えられ、透明素材の伝導性物質で形成できるが、ITO、IZO、ZnOまたはInで形成され、フォトリソグラフィ法によって各ピクセル毎に所定のパターンに形成できる。透明電極137は、TFTと電気的に連結されうる。透明電極137は、外部電極端子(図示せず)に連結されてアノードとして機能できる。
【0073】
反射電極180は、半透過電極140に対応して有機層160の上部に備えられる。反射電極180は、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mg、Baまたはこれらの化合物など反射導電物質を全面蒸着して形成することによって、各ピクセルの反射電極が共に連結されている共通型でありうる。反射電極180は、外部電極端子(図示せず)に連結されてカソードとして機能できる。
【0074】
前記透明電極137と前記反射電極180との極性は、相互逆になってもよい。
【0075】
前記透明電極137と前記反射電極180との間に介される有機層160と、有機層に含まれた発光層とは、前述した赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルBの有機層及び発光層と同一であるので、ここで、詳細な説明は省略する。
【0076】
図5は、図1の回路を具現する本発明の他の実施例による有機発光ディスプレイ装置で、隣接する4つのピクセル(R、G、B、W)を概略的に示した断面図である。
【0077】
図5の有機発光ディスプレイ装置は、光路調節層114’が白色ピクセルWのみに備えられる点を除いては、図2の有機発光ディスプレイ装置と同一であるので、同じ構成についての詳細な説明は省略する。
【0078】
図5を参照すれば、光路調節層114’は、白色ピクセルWの下部のみに備えられて白色ピクセルWの視野角による色変化を最小化する。光路調節層114’は、赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルB及び白色ピクセルWを含んで基板全面に積層した後、赤色ピクセルR、緑色ピクセルG、青色ピクセルBの光路調節層を除去して、白色ピクセルWにのみ形成させるようにできる。または、光路調節層114’は、マスクを利用して白色ピクセルWにのみ形成させるようにできる。
【0079】
前述した図2及び図5による実施例は、光が基板100の方向に放出される背面発光型の場合を示したが、本発明は、必ずしもこれに限定されず、前面発光型の場合にも、同一に適用されうる。この場合、各ピクセルの下部電極は、反射電極で形成され、上部電極は、透明電極または半透過電極で形成され、光路調節層は、透明電極または半透過電極の上部に形成されうる。各ピクセルに対応する色フィルタは、前記透明電極の上部に積層式に、または別途の基板に形成できる。
【0080】
図6A及び図6Bは、一般的な共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイで、視野角による原色の輝度変化及び色変化をそれぞれ示す。
【0081】
図6Aを参照すれば、白色は、視野角によって輝度変化がほとんどない一方、赤/緑/青色は、視野角によって輝度変化が非常に大きい。特に、視野角60°では、0°対比40%ほどの輝度値を表している。図6Bを参照すれば、視野角による白色の色変化が非常に大きい。
【0082】
図7A及び図7Bは、本発明の一実施例によって光路調節層を備えた共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイで、視野角による原色の輝度変化及び色変化をそれぞれ示す。本実施例では、非共振白色ピクセルにSiNxを使用して、4000Å厚さの光路調節層を挿し込んだ。
【0083】
図7A及び図7Bを参照すれば、視野角による輝度変化は、共振及び非共振特性をそのまま維持しつつ、白色の色変化が顕著に減ることが確認できる。
【0084】
表1は、本発明の一実施例によって光路調節層が備えられたOLEDディスプレイと比較例との色再現性及び消費電力を比較した結果を表す。
【0085】
表1で、実施例は、光路調節層を備えた共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイであり、比較例1は、同じ白色発光層を使用する共振赤/緑/青色ピクセル構造を有するOLEDディスプレイ、比較例2は、非共振赤/緑/青色ピクセルと非共振白色ピクセルとの構造を有するOLEDディスプレイ、比較例3は、赤/緑/青色発光層の独立蒸着構造に赤色/緑色燐光、青色蛍光が適用されたOLEDディスプレイである。この時、各OLEDディスプレイは、同じパネル要求特性(40インチFull HD、Full White輝度300nit、Peak White輝度600nit)条件を満たす。
【0086】
【表1】

【0087】
表1を参照すれば、本発明の実施例によって光路調節層が白色ピクセルに備えられた場合、比較例に比べて、消費電力及び色再現性が優れているということが確認できる。
【0088】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、ディスプレイ関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
100 基板
112 パッシベーション層
113 オーバーコート層
114 光路調節層
120R,120G,120B,120W 色フィルタ
130 半透過膜
137 透明電極
140 半透過電極
160 有機層
180 反射電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過電極、前記半透過電極に対向する反射電極、及び前記半透過電極と前記反射電極との間に介された発光層を備える赤色、緑色及び青色ピクセルと、
透明電極、前記透明電極に対向する反射電極、及び前記透明電極と前記反射電極との間に介された発光層を備える白色ピクセルと、
前記赤色、緑色、青色及び白色のピクセルのそれぞれに対応して位置した赤色、緑色、青色及び白色フィルタと、
少なくとも前記白色ピクセルの透明電極と前記白色フィルタとの間に位置した光路調節層と、を備えることを特徴とする有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記光路調節層は、前記白色ピクセルの透明電極との屈折率差が10%以内であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記光路調節層は、可視光線領域で1.8ないし2.0の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記光路調節層は、可視光線領域で透光度が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記光路調節層は、有機物、酸化物、硫化物からなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記光路調節層は、Al、BaO、MgO、HfO、ZrO、CaO、SrO、Y、Si、AlN、GaN、ZnS、CdSからなる群から選択される一つ又は二つ以上の組合わせで形成されることを特徴とする請求項5に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光路調節層は、前記赤色、緑色及び青色ピクセルの半透過電極と前記赤色、緑色及び青色フィルタとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記白色フィルタは、特定波長を選択的に吸収することを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記白色フィルタは、パネルが要求する白色Cx、Cy値と前記白色ピクセルから生成された白色光のCx、Cy値との差がそれぞれ±0.03以内となるように、特定波長を選択的に吸収することを特徴とする請求項8に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記白色フィルタは、光量を調節できるND(Neutral Density)フィルタ機能を有することを特徴とする請求項8に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記半透過電極は、
透明電極と、
前記透明電極の下部に備えられる半透過膜と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記半透過膜は、ITO/Ag/ITO、ITO/Ag/IZO、ATD、及びITO/APC/ITOのうち選択された少なくともいずれか一つで形成されることを特徴とする請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記透明電極は、ITO、IZO、ZnO及びInのうち選択された少なくともいずれか一つで形成されることを特徴とする請求項1または11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記半透過電極に備えられた前記透明電極の厚さ調節によって、前記赤色、緑色及び青色ピクセルの光路を調節することを特徴とする請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記発光層は、積層式または直列式であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記発光層は、蛍光物質または燐光物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記有機発光ディスプレイ装置は、背面発光型であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記有機発光ディスプレイ装置は、前面発光型であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate


【公開番号】特開2011−165664(P2011−165664A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22462(P2011−22462)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】