説明

木質資材の製造方法

【課題】防虫性に優れる木質資材の製造方法を提供すること。
【解決手段】木材単板、木材小片及び木材繊維から選ばれる少なくとも1種を、接着剤及び一般式(1)〔式中、Aは6−クロロ−3−ピリジニル基、2−クロロ−5−チアゾリル基等を表わす。R1は水素原子またはメチル基を表わし、R2はメチル基等を表わし、Yはシアノ基またはニトロ基を表わす。〕で示される化合物とともに、重ね合せ、100〜250℃及び5〜40kg/cm2にて加熱・加圧接着する工程を有することを特徴とする木質資材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防虫処理された合板、木質ボード等の木質資材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木材資源の多くを海外に依存している我が国にとって木材保存技術はきわめて重要である。
合板は、2方向の強度差が少なく、乾湿による影響を受けにくいという特性を有するのみならず、節、キズなどのない広幅板が容易にでき、原木からの歩留まりがよいという大きな利点を有している。また、資源保護の点から、木材小片、木材繊維を接着剤を用いて成形、熱圧して作られるパーティクルボード、ファイバーボード等の木質ボードは注目されている。
ところで、これらの合板、木質ボード等の木質資材は、建材、建具材、家具材等に使用されているが、シロアリ、キクイムシ類等の木材害虫の被害を受けやすく、防虫処理が必要となる。しかしながら、これらの木質資材は、その製造過程において高熱、高圧にさらされることが避け難いので、限られた殺虫剤を含む接着剤しかその用途に適用できないのが現状である(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−136304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる状況下、本発明者は木質資材につき検討を重ねた結果、接着剤及び一般式(1)で示される特定の化合物とともに、木材単板、木材小片等を加熱・加圧接着することにより、防虫性に優れる木質資材が得られることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、木材単板、木材小片及び木材繊維から選ばれる少なくとも1種を、接着剤及び一般式(1)

(式中、Aは6−クロロ−3−ピリジニル基、2−クロロ−5−チアゾリル基またはテトラヒドロフラン−3−イル基を表わす。R1は水素原子またはメチル基を表わし、R2はメチル基、NHR3またはN(CH3)R3基を表わし、R3は水素原子を表わすか、あるいは、R1およびR3が末端で結合して、CH2CH2基またはCH2OCH2基を表し、Yはシアノ基またはニトロ基を表わす。)
で示される化合物とともに、重ね合せ、100〜250℃及び5〜40kg/cm2にて加熱・加圧接着する工程を有することを特徴とする木質資材の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、防虫性に優れる木質ボード、合板等の木質資材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、用いられる本化合物は、農業用殺虫剤の有効成分として、鱗翅目害虫、半翅目害虫、アザミウマ目害虫、鞘翅目害虫、ダニ目害虫等に対する防除効果が知られているものである。
【0008】
本化合物における一般式(1)の化合物としては例えば、N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン、N−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N−エチル−N‘−メチル−2−ニトロ−1,1−エチリデンジアミン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1,3−ジメチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1,3−ジメチル−3−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−2−シアノグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3−エチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3−メチル−2−トリフルオロアセチルグアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1,3,3−トリメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1−エチル−2−ニトログアニジン、1−(3−ピリジル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−ブロモ−3−ピリジル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(3−シアノフェニル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(4−クロロフェニル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3,3−ジメチル−1−ホルミル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−3,3−ジメチル−1−アセチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログ
アニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−エチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−アセチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジル)メチル−1−メチル−2−トリフルオロアセチルグアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1−メチル−2−ニトログアニジン、1−(5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−メチル−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−メチル−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−フェニル−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3,3−ジエチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−3−エチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−(1−ピロリジニル)−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−1,3,3−トリメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−ブロモ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−ブロモ−5−チアゾリル)メ
【0009】
チル−3,3−ジメチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル−3−メチル−2−シアノグアニジン、1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン、1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−シアノイミノチアゾリン、1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロテトラヒドロピリミジン−2−イミン、3−〔(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル〕−5−メチル−4−ニトロイミノテトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン、3,5−ジメチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3,5−ジメチル−1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−2−ニトロイミノヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、3−エチル−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−n−プロピル−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−n−プロピル−5−メチル−1−[(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ-1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−(2−プロペニル)−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン、3−(2−プロピニル)−5−メチル−1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N−ニトロヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2−イミン等を挙げることができる。
【0010】
本発明により製造される木質資材において、効果的に防除できる木材害虫としては、次のものがあげられる

等翅目(Isoptera):Mastotermitidaeムカシシロアリ科,Termopsidaeオオシロアリ科[Zootermopsis属,Archotermopsis属,Hodotermopsis属,Porotermes属,Stolotermes属],Kalotermitidaeレイビシロアリ科[Kalotermes属,Neotermes属,Cryptotermes属,Incisitermes属,Glyptotermes属],Hodotermitidaeシュウカクシロアリ科[Hodotermes属,Microhodotermes属,Anacanthotermes属],Rhinotermitidaeミゾガシラシロアリ科[Reticulitermes属,Heterotermes属,Coptotermes属,Schedolinotermes属],Serritermitidaeノコギリシロアリ科,Termitidaeシロアリ科[Amitermes属,Drepanotermes属,Hopitalitermes属,Trinervitermes属,Macrotermes属,Odontotermes属,Microtermes属,Nasutitermes属,Pericapritermes属,Anoplotermes属]に属する害虫。
【0011】
鞘翅目(Coleoptera):Scolytidaeキクイムシ科[Xyleborus属,Scolytoplatypus属],Cerambycidaeカミキリムシ科[Monochamus属,Hylotrupes属,Hesperophanus属,Chlorophorus属,Palaeocallidium属,Semanotus属,Purpuricenus属,Stromatium属],Rynchophoridaeオサゾウムシ科[Sipalinus属],Platypodidaeナガキクイムシ科[Crossotarsus属,Platypus属],Lyctidaeヒラタキクイムシ科[Lyctus属],Bostrychidaeナガシンクイムシ科[Dinoderus属,Bostrychus属,Sinoderus属], Anobiidaeシバンムシ科[Ernobius属,Anobium属,Xyletinus属,Xestobium属,Ptilinus属,Nicobium属,Ptilineurus属],Buprestidaeタマムシ科に属する害虫。
膜翅目(Hymenoptera):Siricidaeキバチ科[Urocerus属,Sirex属]に属する害虫。
【0012】
上記等翅目(Isoptera)に属する害虫に於いて、特に本邦における防除対象となるシロアリの種類としては、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、コウシュンシロアリ(Neotermes koshunensis)、サツマシロアリ(Glyptotermes satsumensis)、ナカジマシロアリ(Glyptotermes nakajimai)、カタンシロアリ(Glyptotermes fuscus)、コダマシロアリ(Glyptotermes kodamai)、クシモトシロアリ(Glyptotermes kushimensis)、オオシロアリ(Hodotermopsisjaponica)、コウシュウイエシロアリ(Coptotermes guangzhoensis)、アマミシロアリ(Reticulitermesmiyatakei)、キアシシロアリ(Reticulitermes flaviceps amamianus)、カンモンシロアリ(Reticulitermes sp.)、タカサゴシロアリ(Nasutitermes takasagoensis)、ニトベシロアリ(Pericapritermenitobei)、ムシャシロアリ(Sinocapritermes mushae)等をあげることができる。
【0013】
上記鞘翅目(Coleoptera)に属する害虫に於いて、特に本邦における防除対象となる種類としては、アラゲヒラタキクイムシ(Lyctoxylondentatum)、ケブトヒラタキクイムシ(Minthea rugicollis)、アメリカヒラタキクイムシ(Lycutus planicollis)、ケヤキヒラタキクイムシ(L.sinensis)、ナラヒラタキクイムシ(L.linearis)、ヒラタキクイムシ(L.brunneus)、アフリカヒラタキクイムシ(L.africanus)等をあげることができる。
【0014】
本発明における木質資材とは、チップ、製材残材、鋸くず、パルプかす等の木材小片や単板を集めて製造される木材であり、木質ボード、合板、集成材、単板積層材(LVL)等を含むものである。
【0015】
木質ボードとは、木材小片を接着剤を用いて再構成したパーティクルボード(板材)、木材繊維(ファイバー)を接着剤を用いて再構成したファイバーボード等を意味し、例えばスティックランバー、パラレルストランドランバー(PSL)、スティックプライ、配向性ストランドランバー(OSL)、ウェファーボード、ストランドボード、配向性パーティクルボード、フレークボード、パーティクルボード、配向性中比重ファイバーボード、インシュレーションボード、中比重ファイバーボード、ハードボード等を挙げることができる。使用される木材小片としては、チップ、フレーク、セミフレーク、ウェファー、ファイン、シェービング、ストランド、スティック、パーティクルなどを挙げることができ、樹種としてはラワン等の南洋材、アスペン等の広葉樹、サザンパイン等の針葉樹等を挙げることができる。使用される木材繊維としては、例えばアルビジア、ラジアターパイン等を挙げることができる。
【0016】
合板は、奇数枚の木材単板を相隣る単板の繊維方向が直交するように重ね合せた板を言い、単板の数としては通常は3枚が最低枚数で、5、7枚など種々のものがある。一般的には、単板の表面に接着剤を塗布し、重ね合せ、加熱、加圧接着することにより得られる。樹種としては例えば、ラワン、シナ、ナラ、タモ、カバ、ブナ、スギ等を挙げることができる。接着時の温度は通常、100〜250℃であり、接着時の圧力は通常、5〜40kg/cm2である。
【0017】
集成材はひき板または小角等を、単板積層材(LVL)は木材単板を、それぞれの繊維方向が平行するように重ね合せた板を言い、合板と同様の樹種、方法により製造される。
【0018】
本化合物を混合した接着剤を用いて木質資材を製造する;本化合物またはその溶媒液を浸漬、塗布、吹き付け等により木質資材表面に処理する;本化合物またはその溶媒液を加圧または減圧により木質資材に注入する;あるいは、木質資材の表面加工の際に本化合物を添加する、等の処方によって、木質資材中に本化合物を含有させることができる。
【0019】
本化合物が接着剤中に混合され使用される場合、例えば、本化合物を固体担体や液体担体と混合し、必要によりさらに界面活性剤やその他の製剤用保助剤を添加して、本化合物の乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、粉剤、泡末剤、ペースト製剤、粒剤、マイクロカプセル剤とした後、通常用いられる接着剤と混合することにより本化合物を含有する接着剤が得られる。
通常用いられる接着剤としては、例えば、でんぷん、にかわ、カゼイングルー、大豆グルー、うるし、レゾルシノール樹脂接着剤、ユリア樹脂接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、架橋型酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、水性高分子−イソシアネート系接着剤、α−オレフィン・無水マレイン酸共重合接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ樹脂接着剤、シアノアクリレート樹脂接着剤、マスチック系接着剤、フェノール樹脂接着剤、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤、メラミン・フェノール共縮合樹脂接着剤を挙げることができる。
【0020】
本発明木質資材中に含まれる本化合物の量は、通常0.01〜500g/m3であり、予め接着剤中に本化合物を、例えば0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%含有させた接着剤を用いて本発明木質資材を製造するのが便利である。
【0021】
本化合物を含有する接着剤を用いて木質資材を製造する場合、合板、木質ボード等の木質資材を製造する通常の方法、例えば木材保存学入門(社団法人日本木材保存協会発行)等に記載の方法によって、本発明の木質資材が得られる。
本化合物またはその溶媒液を浸漬、塗布、吹き付け等により木質資材表面に処理する場合、本化合物またはその溶媒液を加圧または減圧により木質資材に注入する場合、及び木質資材の表面加工の際に本化合物を添加する場合等においても、木材保存学入門等に記載の方法によって、本発明の木質資材が得られる。この場合、本化合物の処理量は、木質資材の表面1m2当り通常、0.003〜200gである。
【0022】
また、本発明の木質資材は、本化合物の他に、特開平9−136304号公報に記載の防虫木質ボードの殺虫活性成分であるシフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、フェンバレレート等を含有させて、効力の向上を図ることもできる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造例1
(a)接着剤の調製
小麦粉18gにメラミンユリヤ樹脂(大鹿レジンPWP−60、大鹿振興製)100gを加え、充分混練し混練物とする。0.1309gの1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン(以下、化合物Aと記す。)、あるいは0.6572gのN1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(以下、化合物Bと記す。)20%液(日本曹達製、商品名:モスピランSP)、あるいは0.1309gの3−〔(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル〕−5−メチル−4−ニトロイミノテトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン(以下、化合物Cと記す。)を、水12gに混合後、混練物に添加、攪拌する。さらに硬化剤0.8gを添加、均一混合して接着剤用糊を得る。
【0024】
(b)合板の作製
広さが30×30cmで、厚さが各々0.85mm/2.4mm/0.85mmの赤ラワン単板3枚を順に、(a)で調製した接着剤を用いて張合わせ、有効成分(化合物AまたはB)を合板1m3当たり100g含有する厚さ4.1mm(単板構成)の3層合板を以下の手順で作製する。
(a)で調整した接着剤を片面に18g塗布し(計36g)張り合わせた後、室温で20分間冷圧(10kg/cm2)後、120℃の熱圧(10kg/cm2)を2分加えて目的の合板を作製する。
【0025】
製造例2
ユリヤ樹脂接着剤63重量部、パラフィンワックス3重量部、硬化剤(塩化アンモニウム)0.95重量部及び化合物Bを0.63重量部を混合して得られる糊剤を、ラジアタパイン材のチップ630重量部にスプレー添加し、成形後、150℃で最大圧締圧力30kg/cm2で4分間圧締し、厚さ12mmのパーティクルボードを製造する。
【0026】
製造例3
フェノール樹脂接着剤63重量部、硬化促進剤(炭酸ナトリウム)0.95重量部、ヨードプロパルギルブチルカーバメート1.2重量部及び化合物B0.63重量部を混合して得られる糊剤を、ラジアタパイン材のチップ630重量部にスプレー添加し、成形後、170℃で最大圧締圧力30kg/cm2で7分間圧締し、厚さ12mmのパーティクルボードを製造する。
【0027】
試験例1
製造例1で作製した合板の四方約1cmを切断した後、5cm×10cmに切断し、供試合板8枚を作製する。各供試合板の上に、32個の穴(φ3mm、4×8個)のあいたアルミプレート(5×10cm)を取り付け、各穴にヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)老熟幼虫を1頭ずつ放虫する。人工粉末飼料(エビオス:小麦粉:セルロース粉末=3:7:10)を各穴に充填した後、別の供試合板をのせゴムバンドで固定する。1ヶ月後、供試合板を羽化した成虫の脱出により供試合板に生成する貫通穴の数を調べる。
【0028】
【表1】

化合物A:1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン
化合物B:N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン
化合物C:3−〔(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル〕−5−メチル−4−ニトロイミノテトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン
【0029】
試験例2
製造例1で作製した合板の四方1cmを切断した後、25×25mmに切断し、供試合板とする。底面に穴(φ2mm程度×9ヶ)を開けたポリエチレンカップ(φ8cm×H4cm)の底に硬石膏を敷き詰め、その上に供試合板を置く。該ポリエチレンカップ中にイエシロアリ職蟻150頭、兵蟻15頭を放虫後、蓋(φ2mm程度×18ヶの穴を開けたもの)をし、蓋をしたポリエチレンカップを湿潤綿を敷き詰めた容器上に置き、室温に静置する。3週間経過後、供試合板の食害程度、生存虫数を観察する。
【0030】
【表2】

化合物A:1−(テトラヒドロフラン−3−イル)メチル−3−メチル−2−ニトログアニジン
化合物B:N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン
化合物C:3−〔(2−クロロ−5−チアゾリル)メチル〕−5−メチル−4−ニトロイミノテトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン
*平均食害度:0(食害無し)〜4(無処理区と同程度)
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、防虫性に優れる木質ボード、合板等の木質資材を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材単板、木材小片及び木材繊維から選ばれる少なくとも1種を、接着剤及び一般式(1)

〔式中、Aは6−クロロ−3−ピリジニル基、2−クロロ−5−チアゾリル基またはテトラヒドロフラン−3−イル基を表わす。R1は水素原子またはメチル基を表わし、R2はメチル基、NHR3またはN(CH3)R3基を表わし、R3は水素原子を表わすか、あるいは、R1およびR3が末端で結合して、CH2CH2基またはCH2OCH2基を表し、Yはシアノ基またはニトロ基を表わす。〕
で示される化合物とともに、重ね合せ、100〜250℃及び5〜40kg/cm2にて加熱・加圧接着する工程を有することを特徴とする木質資材の製造方法。
【請求項2】
接着剤がユリア樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤またはメラミン・フェノール共縮合樹脂接着剤である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
木質資材が合板である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
木質資材がパーティクルボードまたはファイバーボードである請求項1または2記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの製造方法により製造される木質資材。

【公開番号】特開2009−12478(P2009−12478A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177643(P2008−177643)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【分割の表示】特願平11−154948の分割
【原出願日】平成11年6月2日(1999.6.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】