説明

未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法

【課題】高精度な未加硫タイヤを形成すること。
【解決手段】押出機2と、回転可能に支持されたドラム3と、押出機2から押し出されたゴム部材をドラム3に搬送する複数のコンベア4、5と、該複数のコンベア4、5上でゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断手段6と、を備え、複数のコンベア4、5のうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベア5が、タイヤ構成部材をドラム3に送り出しながら、ドラム3が回転することで、タイヤ構成部材をドラム3の外周面3b側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造装置1であって、複数のコンベア4、5上でゴム部材の断面形状を測定する形状測定手段8と、形状測定手段8により測定された断面形状データに基づいて、送出コンベア5の送出コンベア速度とドラム3の回転速度との速度比を制御する制御部12と、を備えている未加硫タイヤの製造装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、タイヤ構成部材の1つであるトレッド部材を成型ドラムに搬送する搬送装置が知られている。この搬送装置は、押出機と、押出機から押し出されたゴム部材を成型ドラムに搬送する複数のコンベアと、複数のコンベア上でゴム部材からその先端側部分を切り離してトレッド部材を形成する切断手段と、を備えている。そしてこの搬送装置では、複数のコンベアのうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベアが、トレッド部材を成型ドラムに送り出しながら、成型ドラムが回転することで、トレッド部材を成型ドラムの外周面側に巻き付けさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−226332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、押出機から押し出された直後のゴム部材は、例えば複数のコンベアにより搬送されながら収縮する等して形状が安定し難く、トレッド部材の形状は一本ごとにばらつき易い。そのため、前記従来の搬送装置では、成型ドラムに巻き付けられたトレッド部材の厚さや幅、長さなどの形状が一本ごとに異なり、未加硫タイヤを高精度に形成することが困難であった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高精度な未加硫タイヤを形成することができる未加硫タイヤの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る未加硫タイヤの製造装置は、押出機と、回転可能に支持されたドラムと、前記押出機から押し出されたゴム部材を前記ドラムに搬送する複数のコンベアと、該複数のコンベア上で前記ゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断手段と、を備え、前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベアが、前記タイヤ構成部材を前記ドラムに送り出しながら、前記ドラムが回転することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造装置であって、前記複数のコンベア上で前記ゴム部材の断面形状を測定する形状測定手段と、前記形状測定手段により測定された断面形状データに基づいて、前記送出コンベアの送出コンベア速度と前記ドラムの回転速度との速度比を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る未加硫タイヤの製造方法は、押出機からゴム部材を押し出す押出工程と、前記ゴム部材を、回転可能に支持されたドラムに複数のコンベアにより搬送する搬送工程と、前記複数のコンベア上で前記ゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断工程と、前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベアにより、前記タイヤ構成部材を送り出しながら、前記ドラムを回転させ、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付ける巻付工程と、を有する未加硫タイヤの製造方法であって、前記未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを形成することを特徴とする。
【0008】
これらの発明によれば、制御部が、前記断面形状データに基づいて、前記送出コンベア速度と前記回転速度との速度比を制御するので、タイヤ構成部材がドラムに巻き付けられるときに該タイヤ構成部材に加えられる引張力の大きさを、タイヤ構成部材の断面形状に応じて調整することができる。これにより、例えばタイヤ構成部材に大きな引張力を加えて該タイヤ構成部材を引き延ばす等して、タイヤ構成部材を、その形状を整えながらドラムに巻き付けることが可能になり、成型ドラムに巻き付けられたトレッド部材の形状を調整し、高精度な未加硫タイヤを形成することができる。
なお、押出機とドラムとが複数のコンベアを介して直結されているので、未加硫タイヤを効率良く形成することができる。
【0009】
また、前記未加硫タイヤの製造装置では、前記制御部は、前記押出機の押出速度データ、前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も上流側に位置し、前記押出機から前記ゴム部材を受け取る受取コンベアの受取コンベア速度データ、前記複数のコンベア上での前記ゴム部材の温度データ、および前記ゴム部材の先端が前記押出機から押し出されてから、前記切断手段により該ゴム部材からその先端側部分が切り離されるまでの経過時間データのうち、少なくとも1つのデータと、前記断面形状データと、に基づいて前記速度比を制御しても良い。
【0010】
この場合、制御部が、前記断面形状データだけでなく、前記少なくとも1つのデータにも基づいて前記速度比を制御するので、前述の作用効果を効果的に奏功させることができる。
なお、押出機の押出速度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。また、受取コンベアの受取コンベア速度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。さらに、複数のコンベア上でのゴム部材の温度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。さらにまた、前記経過時間が長いほど、ゴム部材が収縮するため、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。
【0011】
また、前記未加硫タイヤの製造装置では、回転可能に支持されるとともに、前記タイヤ構成部材を前記ドラムに押し付ける押圧ローラを備え、前記制御部は、前記断面形状データに基づいて、前記速度比と、前記押圧ローラによる前記タイヤ構成部材の前記ドラムへの押圧力と、を制御しても良い。
【0012】
この場合、制御部が、前記断面形状データに基づいて、前記速度比だけでなく、押圧ローラによるタイヤ構成部材のドラムへの押圧力も制御するので、例えばタイヤ構成部材に大きな押圧力を加えて該タイヤ構成部材を押し潰す等して、タイヤ構成部材を、その形状を整えながらドラムに巻き付けることが可能になり、成型ドラムに巻き付けられたトレッド部材の形状を確実に調整し、より高精度な未加硫タイヤを形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る未加硫タイヤの製造装置および未加硫タイヤの製造方法によれば、高精度な未加硫タイヤを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置の概略を示す側面図である。
【図2】図1に示す未加硫タイヤの製造装置を用いた未加硫タイヤの製造方法におけるデータの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置を説明する。
図1に示すように、未加硫タイヤの製造装置1は、押出機2と、回転可能に支持された成型ドラム3と、押出機2から押し出されたゴム部材を成型ドラム(ドラム)3に搬送する2つ(複数)のコンベア4、5と、複数のコンベア4、5上でゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断手段6と、回転可能に支持され、タイヤ構成部材を成型ドラム3に押し付ける押圧ローラ7と、を備えている。なお、前記タイヤ構成部材としては、例えば帯状に形成された部材であるトレッド部材やサイドウォール部材などが挙げられる。
【0016】
押出機2は、図示しないエンコーダを有する押出モータ2aにより、図示しないギアポンプが駆動されることで、ゴム部材を押し出す。
2つのコンベア4、5としては、押出機2から成型ドラム3に向かう搬送方向の上流側に位置し、押出機2からゴム部材を受け取る受取コンベア4と、前記搬送方向の下流側に位置し、タイヤ構成部材を成型ドラム3に送り出す送出コンベア5と、が備えられている。これら2つのコンベア4、5はそれぞれ、図示しないエンコーダを有する受取コンベアモータ4aおよび送出コンベアモータ5aにより駆動される。なお図示の例では、これらの2つのコンベア4、5は、上面視で同一直線上に配設されており、ゴム部材は、これらの2つのコンベア4、5上を前記搬送方向に沿って真直に搬送される。
【0017】
切断手段6は、2つのコンベア4、5上に位置しており、図示の例では、受取コンベア4と送出コンベア5との間に位置している。この切断手段6は、ゴム部材を前記搬送方向に交差する方向に切断する。
成型ドラム3は、水平方向のうち、前記搬送方向に直交する方向に延びる回転軸回りに回転可能とされ、図示しないエンコーダを有するドラムモータ3aにより回転させられる。この成型ドラム3の外周面3bの上端部上には、送出コンベア5によりタイヤ構成部材が送り出されたときに、このタイヤ構成部材の先端部が位置する。
【0018】
押圧ローラ7は、成型ドラム3の外周面3bの上端部に接近、離間移動可能とされ、タイヤ構成部材が送出コンベア5から送り出されたときに前記上端部に接近し、タイヤ構成部材の先端部を、成型ドラム3の外周面3bの上端部との間に挟み込んで成型ドラム3の外周面3b側に圧着させる。また押圧ローラ7は、成型ドラム3の前記回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に支持されている。
【0019】
そして、この未加硫タイヤの製造装置1は、送出コンベア5がタイヤ構成部材を成型ドラム3に送り出しながら、成型ドラム3が回転することで、タイヤ構成部材を成型ドラム3の外周面3b側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する。なおこのとき、押圧ローラ7は、成型ドラム3の外周面3b側にタイヤ構成部材を押し付けながら、成型ドラム3の回転に伴って回転させられる。
【0020】
ここで、この未加硫タイヤの製造装置1には、受取コンベア4上でゴム部材の断面形状を測定する形状測定器(形状測定手段)8と、受取コンベア4上でのゴム部材の温度を測定する温度計9と、ゴム部材の先端を検出する検出センサ10と、タイヤ構成部材が成型ドラム3に巻き付けられた状態で、タイヤ構成部材の端部同士のジョイント量を測定しジョイントの良否を判断するジョイントセンサ11と、が備えられている。
【0021】
形状測定器8は、受取コンベア4における前記搬送方向の下流側の端部上に配置されており、ゴム部材において前記搬送方向に直交する断面の形状を、例えばレーザ光を利用した光切断法などにより非接触で測定する。
温度計9は、受取コンベア4上において形状測定器8よりも前記搬送方向の上流側に配置されており、ゴム部材の温度を非接触で測定する。
検出センサ10は、切断手段6よりも前記搬送方向の下流側に配置され、図示の例では、送出コンベア5上に配置されており、ゴム部材の先端を非接触で検出する。
【0022】
ジョイントセンサ11は、例えばレーザ光を利用した光学式変位センサとされ、成型ドラム3の外周面3b側にレーザ光を照射し、このセンサ11と成型ドラム3の外周面3b側との間の距離を測定することで、ジョイント量として、タイヤ構成部材の端部同士のドラム周方向に沿ったオーバーラップ量またはオープン量を測定する。そしてジョイントセンサ11は、例えば前記オーバーラップ量および前記オープン量の大きさ等に基づいてジョイントの良否を判断する。
【0023】
さらに本実施形態では、この未加硫タイヤの製造装置1には、送出コンベア5の送出コンベア速度と成型ドラム3の回転速度との速度比、および押圧ローラ7によるタイヤ構成部材の成型ドラム3への押圧力を制御する制御部12が備えられている。
この制御部12には、押出モータ2aおよび受取コンベアモータ4aの各エンコーダから、両モータ2a、4aの回転量データ、つまり押出機2の押出速度データおよび受取コンベア4の受取コンベア速度データが送出される。
【0024】
また制御部12には、形状測定器8により測定された断面形状データ、および温度計9により測定された温度データが送出される。
さらに制御部12は、ゴム部材の先端が押出機2から押し出されてから、切断手段6により該ゴム部材からその先端側部分が切り離されるまでの経過時間を経過時間データとして測定する。
【0025】
次に、前記未加硫タイヤの製造装置1を用いて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造方法について説明する。
なお、成型ドラム3の外周面3b側にタイヤ構成部材を巻き付ける前に、未加硫タイヤの一部を構成する筒状部材が成型ドラム3に予め外装されていても良い。
【0026】
はじめに、押出機2からゴム部材を押し出す押出工程を行うとともに、ゴム部材を2つのコンベア4、5により成型ドラム3に搬送する搬送工程を行う。このとき、押出モータ2aおよび受取コンベアモータ4aの各エンコーダは、押出モータ2aおよび受取コンベアモータ4aの各回転量データを制御部12に送出する。またこのとき、温度計9および形状測定器8は、受取コンベア4上を搬送されるゴム部材の先端側部分の温度および断面形状を測定するとともに、温度データおよび断面形状データを制御部12に送出する。
【0027】
そしてゴム部材の先端が、受取コンベア4から送出コンベア5に受け渡されて前記検出位置に到達し検出センサ10により検出された後、コンベア4、5上でゴム部材からその先端側部分を切断手段6により切り離してタイヤ構成部材を形成する切断工程を行う。なおこのとき、例えばゴム部材の先端が前記検出位置に到達してから、さらにコンベア4、5によりゴム部材を一定の距離だけ搬送した後、切り離しても良い。
【0028】
そして、タイヤ構成部材の先端部が、送出コンベア5により成型ドラム3に送り出され、成型ドラム3の外周面3bの上端部と押圧ローラ7との間に到達した後、押圧ローラ7によりタイヤ構成部材を成型ドラム3の外周面3b側に押し付けて圧着させる。その後、送出コンベア5からタイヤ構成部材を送り出しながら、成型ドラム3を回転させ、タイヤ構成部材を成型ドラム3の外周面3b側に巻き付ける巻付工程を行う。
【0029】
ここで、押出機2から押し出された直後のゴム部材の形状は安定し難いことから、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が変化し、タイヤ構成部材の形状がばらつき易い。例えば、押出機2の押出速度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。また、受取コンベア4の受取コンベア速度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。さらに、温度計9により測定された温度が低いほど、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。さらにまた、前記経過時間が長いほど、ゴム部材が収縮するため、タイヤ構成部材の単位長さあたりの質量が増加する。
【0030】
そこで図2に示すように、本実施形態では、前記巻付工程の際、制御部12が、前記押出速度データ、前記受取コンベア速度データ、前記温度データ、前記断面形状データ、および前記経過時間データ(以下、5つのデータという)に基づいて、送出コンベア5の送出コンベア速度と成型ドラム3の回転速度との速度比と、押圧ローラ7によるタイヤ構成部材の成型ドラム3への押圧力と、を制御する。
【0031】
このように、送出コンベア5の送出コンベア速度と成型ドラム3の回転速度との速度比を制御することで、タイヤ構成部材が成型ドラム3に巻き付けられるときに該タイヤ構成部材に加えられる引張力の大きさを調整することができる。これにより、例えばタイヤ構成部材に大きな引張力を加えて該タイヤ構成部材を引き延ばす等して、タイヤ構成部材を、その形状を整えながら成型ドラム3に巻き付けることができる。
また、タイヤ構成部材を成型ドラム3に巻き付けるときに、このタイヤ構成部材を押圧ローラ7により成型ドラム3に押し付ける押圧力を制御することで、例えばタイヤ構成部材に大きな押圧力を加えて該タイヤ構成部材を押し潰す等して、タイヤ構成部材を、その形状を整えながら成型ドラム3に巻き付けることができる。
【0032】
なお本実施形態では、制御部12には、前記5つのデータと、これらの5つのデータに対応付けられた前記速度比および前記押圧力と、の関係が記述されている予め作成されたマップが記憶されている。このマップには、前記5つのデータが特定されたときに、これらのデータから推測されるタイヤ構成部材の厚さや幅、長さなどの形状から、タイヤ構成部材が所望の形状に整えられて成型ドラム3に巻き付けられるような前記速度比および前記押圧力が記述されている。このマップは、例えば実験やシミュレーション等に基づいて作成することができる。
【0033】
そして前記巻付工程の際、制御部12が、前記マップを参照して前記5つのデータから前記速度比および前記押圧力を決定して制御することで、タイヤ構成部材が成型ドラム3に対して所望の形状に整えられて巻き付けられる。なお、このときに用いられる前記5つのデータのうち、押出速度データ、受取コンベア速度データ、温度データ、および断面形状データは、例えばタイヤ構成部材について前記搬送方向に間欠的に測定された値の平均などを採用することができる。
【0034】
前記巻付工程の後、ジョイントセンサ11によりジョイントの良否を判断し、ジョイントが否と判断された場合には例えばジョイントの手直し等を行う。その後、例えば図示しない他のタイヤ構成部材を組み合わせる等の後工程を行って未加硫タイヤを形成する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る未加硫タイヤの製造装置1および未加硫タイヤの製造方法によれば、制御部12が、前記断面形状データに基づいて、前記送出コンベア速度と前記回転速度との速度比を制御するので、タイヤ構成部材を、その形状を整えながら成型ドラム3に巻き付けることが可能になり、成型ドラム3に巻き付けられたトレッド部材の形状を調整し、高精度な未加硫タイヤを形成することができる。
また、押出機2とドラム3とが複数のコンベア4、5を介して直結されているので、未加硫タイヤを効率良く形成することができる。
【0036】
また制御部12が、前記断面形状データに基づいて、前記速度比だけでなく、押圧ローラ7によるタイヤ構成部材の成型ドラム3への押圧力も制御するので、成型ドラム3に巻き付けられたトレッド部材の形状を確実に調整し、より高精度な未加硫タイヤを形成することができる。
さらに制御部12が、前記断面形状データだけでなく、前記押出速度データ、前記受取コンベア速度データ、前記温度データ、前記断面形状データ、および前記経過時間データにも基づいて前記速度比および前記押圧力を制御するので、前述の作用効果を効果的に奏功させることができる。
【0037】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、ジョイントセンサ11を備えているものとしたが、ジョイントセンサ11はなくても良い。
【0038】
また前記実施形態では、2つのコンベア4、5が備えられているものとしたが、複数備えられていてれば3つ以上備えられていても良い。この場合、受取コンベアは、複数のコンベアのうち、前記搬送方向の最も下流側に位置するコンベアとなり、送出コンベアは、複数のコンベアのうち、前記搬送方向の最も下流側に位置するコンベアとなる。
【0039】
また前記実施形態では、前記5つのデータから前記速度比および前記押圧力を決定する際に、前記マップを参照するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、制御部12が、前記5つのデータと、前記速度比および前記押圧力と、の関数を予め記憶していても良い。
【0040】
また前記実施形態では、形状測定器8および温度計9は、受取コンベア4上でのゴム部材の断面形状および温度をそれぞれ測定するものとしたが、これに限られず、例えば送出コンベア5上でのゴム部材の断面形状および温度をそれぞれ測定しても良い。
【0041】
また前記実施形態では、制御部12が、前記5つのデータに基づいて、前記速度比および前記押圧力を制御するものとしたが、これに限られるものではない。
例えば、制御部12が、押出速度データ、受取コンベア速度データ、温度データ、および経過時間データのうちの少なくとも1つと、断面形状データと、に基づいて、前記速度比および前記押圧力を制御しても良い。さらに制御部12が、断面形状データにのみ基づいて、前記速度比および前記押圧力を制御しても良い。
また例えば、制御部12が、前記5つのデータに基づいて、前記速度比のみを制御しても良く、押出速度データ、受取コンベア速度データ、温度データ、および経過時間データのうちの少なくとも1つと、断面形状データと、に基づいて前記速度比のみを制御しても良く、断面形状データにのみ基づいて、前記速度比のみを制御しても良い。これらの場合、押圧ローラ7はなくても良い。
【0042】
また制御部12は、前記5つのデータに基づいて、タイヤ構成部材の質量を推測することも可能である。
【0043】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 未加硫タイヤの製造装置
2 押出機
3 ドラム
3b 外周面
4 受取コンベア
5 送出コンベア
6 切断手段
7 押圧ローラ
8 形状測定器(形状測定手段)
12 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機と、
回転可能に支持されたドラムと、
前記押出機から押し出されたゴム部材を前記ドラムに搬送する複数のコンベアと、
該複数のコンベア上で前記ゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断手段と、を備え、
前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベアが、前記タイヤ構成部材を前記ドラムに送り出しながら、前記ドラムが回転することで、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付けて未加硫タイヤを形成する未加硫タイヤの製造装置であって、
前記複数のコンベア上で前記ゴム部材の断面形状を測定する形状測定手段と、
前記形状測定手段により測定された断面形状データに基づいて、前記送出コンベアの送出コンベア速度と前記ドラムの回転速度との速度比を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の未加硫タイヤの製造装置であって、
前記制御部は、前記押出機の押出速度データ、前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も上流側に位置し、前記押出機から前記ゴム部材を受け取る受取コンベアの受取コンベア速度データ、前記複数のコンベア上での前記ゴム部材の温度データ、および前記ゴム部材の先端が前記押出機から押し出されてから、前記切断手段により該ゴム部材からその先端側部分が切り離されるまでの経過時間データのうち、少なくとも1つのデータと、前記断面形状データと、に基づいて前記速度比を制御することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の未加硫タイヤの製造装置であって、
回転可能に支持されるとともに、前記タイヤ構成部材を前記ドラムに押し付ける押圧ローラを備え、
前記制御部は、前記断面形状データに基づいて、前記速度比と、前記押圧ローラによる前記タイヤ構成部材の前記ドラムへの押圧力と、を制御することを特徴とする未加硫タイヤの製造装置。
【請求項4】
押出機からゴム部材を押し出す押出工程と、
前記ゴム部材を、回転可能に支持されたドラムに複数のコンベアにより搬送する搬送工程と、
前記複数のコンベア上で前記ゴム部材からその先端側部分を切り離してタイヤ構成部材を形成する切断工程と、
前記複数のコンベアのうち、搬送方向の最も下流側に位置する送出コンベアにより、前記タイヤ構成部材を送り出しながら、前記ドラムを回転させ、前記タイヤ構成部材を前記ドラムの外周面側に巻き付ける巻付工程と、を有する未加硫タイヤの製造方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載の未加硫タイヤの製造装置を用いて未加硫タイヤを形成することを特徴とする未加硫タイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−51159(P2012−51159A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193991(P2010−193991)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】