説明

板状部材の支持装置および支持方法、ならびに板状部材の搬送装置

【課題】板状部材へのストレスを抑制して所望の保持状態で確実に支持することができる板状部材の支持装置および支持方法、ならびに板状部材の搬送装置を提供すること。
【解決手段】ウェハWに対して角度を変更させた一対の第1保持手段71を直動モータ52が互いに接近させるので、ウェハWの反りが大きい場合でも、当該ウェハWに第1保持手段71を接近させることができ、搬送不良が発生するといった不都合を確実に解消することができる。また、ウェハWをフラットに矯正する際に、直動モータ52および回動モータ53を連動させて一対のアーム6の間隔を調整することで、ウェハWにおける局部応力の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の支持装置および支持方法、ならびに板状部材の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハやフラットディスプレイの基板などに代表される薄板状の部材(板状部材)を搬送する搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の搬送装置は、板状部材を載置して支持する一対のアームと、これらのアームの載置面に設けられた吸引孔からの吸引により板状部材を保持する保持手段とを備え、各アームは、その長手方向に沿った軸回りに回動自在に支持されるとともに、バランサによって載置面が所定の傾斜角度に付勢されるようになっている。このような従来の搬送装置は、板状部材の反りに応じて各アームの載置面を水平面に対して傾斜させ、板状部材に沿って各アームを挿入することで載置面を板状部材に面接触させ、その後に保持手段によって板状部材を吸着保持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−135381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置では、図5(A)に示すように、板状部材90の反りが大きい場合には、板状部材90に保持手段92を接近させることができず、搬送不良を発生するという不都合がある。なお、板状部材が半導体ウェハの場合、回路面が接着シートで保護された状態で、回路面の反対側から50μm前後にまで研削が行われるため、当該接着シートが貼付された半導体ウェハは、接着シートの貼付時の残留応力によって大きく反り返ってしまう場合がある。このような反りは、半導体ウェハに限られず、複層または単層構造の板状部材等であっても、温度や湿度等の雰囲気によっても発生するものである。
【0005】
また、板状部材を反った状態のままで保持して搬送する構成であるため、例えば、搬送先の機器が板状部材全面を吸着保持する構成のものの場合、当該搬送先の機器が板状部材を確実に吸着保持できないという不都合を発生する。 ここで、図5(B)に示すように、傾斜させた保持手段92で板状部材90の端縁を保持してから、保持手段92を回動させることで、板状部材90をフラットに矯正しようとすると、板状部材90の矢印P1〜P4で示した部分に局部的な曲げ応力が作用し、板状部材90を破損させてしまうという不都合を発生する。
以上のことから、板状部材の破損を防止しつつ確実に板状部材を保持することができる支持装置や搬送装置の開発が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、反った状態の板状部材でも確実に支持することができる板状部材の支持装置および支持方法、ならびに板状部材の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の板状部材の支持装置は、板状部材を保持する少なくとも一対の保持手段と、前記板状部材に対する前記一対の保持手段の角度を変更する角度変更手段と、前記一対の保持手段を互いに離間接近方向に変位させる変位手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この際、本発明の板状部材の支持装置では、前記一対の保持手段は、それぞれ前記板状部材の一方または他方の面に対向配置可能な一対の支持部材に設けられ、前記角度変更手段は、前記一対の支持部材の各々を回動させることで前記保持手段の角度を変更し、前記変位手段は、前記一対の支持部材の各々を移動させることで前記保持手段の間隔を調整することが好ましい。
さらに、本発明の板状部材の支持装置では、前記一対の保持手段は、それぞれ第1保持手段と第2保持手段を有して構成され、前記第1保持手段は、前記板状部材の一方または他方の面に対向配置可能かつ当該対向した面に向かって気体を噴出することにより当該板状部材を非接触で吸引可能な吸引手段を有していることが好ましい。
この際、前記第2保持手段は、前記板状部材の外縁に当接可能かつ互いに相対接近することで当該板状部材を把持する把持手段を有して構成されていることが好ましい。
【0009】
一方、本発明の板状部材の搬送装置は、前記いずれかの支持装置と、この支持装置を移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする。
この際、本発明の板状部材の搬送装置は、前記板状部材の反り方向を検出する検出手段を備え、前記移動手段は、検出した反り方向に直交する方向から前記板状部材の一方または他方の面に沿って前記保持手段を誘導することが好ましい。
また、本発明の板状部材の支持方法は、少なくとも一対の保持手段を用いて板状部材を支持する板状部材の支持方法であって、前記板状部材に対する前記一対の保持手段の角度を変更する工程と、前記一対の保持手段を互いに離間接近方向に変位させ、当該保持手段を前記板状部材に接近させて前記板状部材を支持する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、板状部材に対して角度を変更させた一対の保持手段を変位手段が互いに離間接近方向に変位させるので、板状部材の反りが大きい場合に、保持手段を板状部材に接近させることができず、搬送不良が発生するといった不都合を確実に防止することができる。
また、反った状態の板状部材を保持手段で保持し、角度変更手段によって板状部材をフラットな状態に矯正することができるので、搬送先の機器が板状部材全面を吸着保持する構成のものの場合でも、当該搬送先の機器が板状部材を確実に吸着保持できる。
さらに、保持手段の角度を変更する際に、この角度変更に連動して一対の保持手段の間隔を変位手段によって調整することもできるので、角度変更に伴う板状部材への局部応力発生を抑制することができる。
【0011】
また、保持手段を一対の支持部材の各々に設け、これらの支持部材を回動させて保持手段の角度を変更するとともに、支持部材の各々を移動させて保持手段の間隔を調整するように構成すれば、角度変更と間隔調整の動作を精度よく連動させることができる。
さらに、板状部材を非接触で吸引可能な吸引手段を有した第1保持手段と、板状部材の外縁に当接して把持する把持手段を有した第2保持手段とで保持手段を構成すれば、先ず、第1保持手段で板状部材を保持して矯正してから、続いて、第2保持手段で板状部材を機械的に把持する、というような保持手順が採用できる。従って、反った板状部材をフラットな方向へ矯正する際に、非接触で保持可能な第1保持手段を用いることで、板状部材表面への傷付きを防止することができる。さらに、矯正した板状部材の外縁を第2保持手段で保持することで、板状部材の表面への傷付きを防止しつつ、搬送時などの位置ずれも確実に防止することができる。
また、搬送装置において検出手段を用いることで、板状部材の反り方向を判別し、この反り方向に対して的確に保持手段を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る搬送装置の斜視図。
【図2】図1の搬送装置の部分平面図。
【図3】図1の搬送装置の動作説明図。
【図4】図3に続く搬送装置の動作説明図。
【図5】従来技術における不具合例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、2において、本実施形態の搬送装置1は、板状部材としての半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)Wを支持し、ウェハWを吸着支持するリフターLから別の装置等にウェハWを搬送したり、リフターLから浮かせた状態のウェハWに適宜な処理を施したりするための装置である。ここで、ウェハWは、円盤状の薄板であり、図3にも示すように、リフターLに支持された状態の平面視において、その平面(水平面)に沿ってウェハWの中心を通る第1軸(短軸)Aの方向に反っているものとし、この反り方向である第1軸Aと直交する第2軸(長軸)Bには反っておらず、第1軸A方向の長さD1がウェハWの直径よりも小さく、第2軸B方向の長さD2がウェハWの直径と略同一の略楕円形として認識される。リフターLは、全体円柱状に形成されて水平面内で回転可能に設けられるとともに、その上面に図示しない複数の吸引孔を有し、ウェハWの一方の面である下面W1の中央部を吸着保持可能に構成されている。
【0014】
搬送装置1は、ウェハWを支持する支持装置としての支持手段2と、この支持手段2を移動させる移動手段3と、ウェハWの反り方向を検出する検出手段4と、図示しない制御手段とを備えて構成されている。支持手段2は、移動手段3に取り付けられるベース5と、このベース5に支持される支持部材としての一対のアーム6と、各アーム6に各々設けられる保持手段7とを備えて構成されている。
【0015】
移動手段3は、駆動機器としての多関節ロボット31と、多関節ロボット31に設けられて支持手段2を着脱自在に支持するチャック32とを備えて構成されている。この多関節ロボット31としては公知の6軸ロボット等が例示でき、水平面に沿った直交2軸(X軸,Y軸)および鉛直軸(Z軸)の直交三軸方向と、これらの直交三軸方向をそれぞれ軸芯とする回転三方向R1,R2,R3との任意方向に向かって、支持手段2を移動可能に構成されていればよい。
【0016】
検出手段4は、ウェハWを挟んでリフターLと反対側の上方に離れて設けられた撮像装置41を備え、この撮像装置41には、図示しない画像処理装置等が接続されている。撮像装置41としては、CCDカメラや光学センサ等が例示でき、ウェハWの他方の面である上面W2側からウェハWを撮像し、撮像した画像情報を画像処理装置等に出力するものであればよい。画像処理装置は、図3に示すように、撮像装置41が撮像した画像情報を画像データPとして受信し、受信した画像データPに基づいて、長さD1,D2からウェハWの第1軸Aおよび第2軸Bを算出し、第1軸Aに沿った反り方向と、基準軸(X軸)に対する第1軸Aの角度θを検出し、検出したウェハWの反り方向および角度θを図示しない制御手段に出力するように構成されている。
【0017】
支持手段2のベース5は、移動手段3のチャック32に係合して取り付けられる取付支持部51と、この取付支持部51に固定されて図1の状態でX軸方向に延びる駆動機器としての直動モータ52と、直動モータ52の図示しないスライダに固定された駆動機器としての回動モータ53とを備えて構成されている。直動モータ52は、変位手段として機能し、各アーム6を互いに離間接近方向に移動可能に構成されている。回動モータ53は、角度変更手段として機能し、各アーム6の長手方向に沿った回動軸Cを中心にしてアーム6を回動可能に構成されている。
【0018】
一対のアーム6は、それぞれ回動モータ53の出力軸53Aに固定されるとともに、互いに平行に延びる長尺状かつ角柱状の部材からなり、移動手段3の駆動によってウェハWの下面W1に対向配置可能に構成されている。
【0019】
保持手段7は、アーム6の長手方向略中央に設けられる第1保持手段71と、アーム6の長手方向両端部に設けられる第2保持手段72とを有して構成されている。各アーム6における各一対の第1保持手段71および第2保持手段72は、それぞれ各アーム6の長手方向と直交して対称位置に設けられ、後述するように支持手段2を移動手段3で移動させることによって、ウェハWの中心を通る直線を挟んで線対称の位置に配置可能に構成されている。
【0020】
第1保持手段71は、アーム6の側方に突出して設けられるとともに、アーム6の回動に伴って回動してウェハWの下面W1に対向配置可能に設けられている。この第1保持手段71は、下面W1に向かって気体を噴出することによりウェハWの下面W1を非接触で吸引可能な吸引手段としての気体噴出部73と、この気体噴出部73に接続されて気体を供給する図示しない気体供給部とを有して構成されている。すなわち、気体噴出部73は、円環形の開口から外方に向かって気体を噴出することでウェハWの下面W1との間に負圧領域を形成する所謂ベルヌーイチャックである。各アーム6に設けられる一対の第1保持手段71の気体噴出部73によって、下面W1の2箇所が吸引されてウェハWが保持されることとなる。
【0021】
第2保持手段72は、アーム6の基端側(ベース5側)に設けられる駆動機器としての直動モータ74と、この直動モータ74の出力軸74Aに固定される把持手段としての主動チャック75と、アーム6の先端側に設けられて主動チャック75と連動可能に設けられる把持手段としての従動チャック76とを有して構成されている。主動チャック75は、直動モータ74によってアーム6の長手方向に沿って進退駆動され、従動チャック76は、アーム6の長手方向に沿った案内溝61に案内されるとともに、アーム6内部の図示しない連動部を介して主動チャック75と連動可能に接続されている。このような主動チャック75と従動チャック76とは、互いの進退移動方向が逆向き、つまり互いに相対接近または相対離間する方向に駆動され、互いに相対接近することでウェハWの外縁W3を把持可能になっている。従って、各アーム6に設けられる一対の第2保持手段72の主動チャック75および従動チャック76によって、外縁W3の4箇所で把持されてウェハWが保持されることとなる。
【0022】
以上の搬送装置1でウェハWを搬送する手順を説明する。
先ず、リフターLに吸着保持されたウェハWを上方から撮像装置41で撮像し、図3に示すように、画像データPを取得したら、画像処理装置は、画像データPにおけるウェハWの外形および中心を検出し、短辺方向長さD1および長辺方向長さD2に基づいて、反り方向の第1軸Aおよび反り直交方向の第2軸Bを検知するとともに、長さD1,D2の比率からウェハWの反り曲率を演算により算出し、基準軸Xから第1軸Aまでの角度θと反り曲率とを制御手段に出力する。制御手段は、第1軸Aの角度θに基づいて移動手段3に移動指令を出力し、移動手段3は、多関節ロボット31を駆動して支持手段2を回転方向R3に向かって角度θだけ回転させてから、第2軸Bに平行に支持手段2を前進させてウェハWの下面W1に沿ってアーム6を差し込む。なお、ウェハWに対する支持手段2の進入方向への移動は、多関節ロボット31による支持手段2の回転に限らず、リフターLによってウェハWを水平面内で回転させてもよいし、支持手段2およびウェハWの両方を回転させてもよい。
【0023】
次に、制御手段は、ウェハWの反り曲率に基づいて、下面W1とアーム6との距離が最適となるような直動モータ52の移動量および回動モータ53の回動角を算出し、算出した移動量および回動角に基づく移動指令を支持手段2に出力する。支持手段2は、図4(A)に示すように、入力された回動角だけ回動モータ53を駆動し、アーム6を矢印A1方向に回動させるとともに、入力された移動量だけ直動モータ52を駆動し、一対のアーム6を互いに接近する矢印A2方向に移動させる。この際、第2保持手段72は、ウェハWの外縁W3よりも外側に位置するように、主動チャック75および従動チャック76を互いに離間する方向つまりアーム6の両端側に退避させておく。
【0024】
次に、図4(B)に示すように、第1保持手段71は、気体噴出部73から気体を噴出することでウェハWの下面W1を吸引し、非接触でウェハWを保持する。このように第1保持手段71がウェハWを保持した状態において、支持手段2は、同図に示すように、回動モータ53を駆動し、アーム6を矢印A3方向に回動させる。次いで、図4(C)に示すように、直動モータ52を駆動し、一対のアーム6を互いに離間する矢印A4方向に移動させる。これにより、ウェハWがフラットまたはフラットに近い状態(以下、単に「フラット」という)に矯正される。ここで、ウェハWがフラットになったかどうかは、撮像装置41で再度ウェハWを撮像して画像処理を実施し、算出した短辺方向長さD1がウェハWの直径に近づくまたは同一になることで判定することができる。また、互いに離間する方向へ移動させたアーム6の停止位置は、予め設定されており、第1保持手段71がウェハWの外縁W3にできるだけ接近する位置が好ましい。
【0025】
次に、図1、2にも示すように、第2保持手段72が直動モータ74を駆動し、主動チャック75および従動チャック76を互いに相対接近させてウェハWの外縁W3を把持する。このように第1保持手段71および第2保持手段72によってウェハWを保持したら、図4(D)に示すように、リフターLの吸着を解除してから、移動手段3が多関節ロボット31を駆動して支持手段2を移動させ、フラットな状態のままウェハWを適宜な加工装置などに搬送し、第1保持手段71および第2保持手段72の保持を解除してウェハWを受け渡す。その後、搬送装置1は、図3に示す初期位置に支持手段2を復帰させ、次にリフターLが支持したウェハWに対して上述の動作を繰り返す。
【0026】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、ウェハWに対して角度を変更させた一対の第1保持手段71を直動モータ52が互いに接近させるので、ウェハWの反りが大きい場合でも、当該ウェハWに第1保持手段71を接近させることができ、搬送不良が発生するといった不都合を確実に解消することができる。また、フラットに矯正したウェハWを搬送して受け渡すことで、搬送先の装置等で確実にウェハWを支持することができる。また、ウェハWをフラットに矯正する際に、直動モータ52および回動モータ53を連動させて一対のアーム6の間隔を調整することで、ウェハWにおける局部応力の発生を抑制することができる。さらに、第1保持手段71によって非接触で保持したウェハWを矯正することで、第1保持手段71がウェハWに摺接することがなく、ウェハW表面への傷付きを防止することができる。
【0027】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0028】
例えば、前記実施形態では、ウェハWの搬送装置1を例示したが、本発明の支持装置(支持手段2)は、搬送装置1に組み込まれたものに限らず、独立して設けられるものであってもよい。また、前記実施形態では、板状部材が半導体ウェハWである場合を示したが、板状部材は半導体ウェハWに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の部材も対象とすることができ、半導体ウェハとしては、シリコンウェハや化合物ウェハ等が例示できる。
また、前記実施形態では、保持手段7として、第1保持手段71と第2保持手段72とを備えて構成されていたが、いずれか一方だけで保持手段が構成されてもよいし、第3保持手段などを追加で備えていてもよい。
さらに、第1保持手段71としては、ウェハWに向かって気体を噴出することにより非接触で吸引可能なものを例示したが、これに限らず、ウェハW表面に接触して吸着保持可能な吸着手段を用いてもよく、この場合には、ウェハW表面との接触部分に弾性体を設けるなどしてウェハW表面への傷付き防止を図ることが好ましい。
また、第2保持手段72としては、一対のチャック75,76によって、ウェハWの外縁W3を把持するものに限らず、第1保持手段71と同様に気体を噴出することでウェハWを非接触で吸引可能なものでもよいし、ウェハW表面に接触して吸着保持可能なものでもよい。
【0029】
また、移動手段としては、前記実施形態のように多関節ロボット31を備えた六軸駆動可能なものに限らず、一方向に直線移動可能なものや平面2方向に移動可能なものなど、用途に応じて適宜な構成のものが利用可能である。
また、検出手段としては、前記実施形態のように撮像装置41を備えたものに限らず、板状部材の外縁などに接触して形状を認識可能な接触センサでもよいし、赤外線等の光線の反射や透過によって板状部材の形状を認識可能な光センサでもよい。また、撮像データを用いて板状部材の反り方向を検出する方法としては、画像処理に限らず、その他の適宜な自動処理でもよいし、作業者の手動処理でもよい。
さらに、反った状態でないウェハWを支持や搬送の対象としてもよいし、反った状態のウェハWをフラットにすることなく支持したり搬送したりしてもよい。
また、前記実施形態では、ウェハWの両側方がZ軸方向(図4中上方)に反った場合を説明したが、ウェハWの中央がZ軸方向(図4中上方)に反った場合にでも対応が可能である。
さらに、前記実施形態では、保持手段7を左右対象に動作させる例を示したが、ウェハWの形状や反りの状態によっては、一方の保持手段7を移動または回動させないようにしたり、一方の保持手段7の移動または回動量を他方の保持手段7よりも増減させたりして、左右対象に動作させることなく対応させることができる。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0030】
1 搬送装置
2 支持手段(支持装置)
3 移動手段
4 検出手段
6 アーム(支持部材)
7 保持手段
52 直動モータ(変位手段)
53 回動モータ(角度変更手段)
71 第1保持手段
72 第2保持手段
73 気体噴出部(吸引手段)
75 主動チャック(把持手段)
76 従動チャック(把持手段)
W ウェハ(板状部材)
W1 下面(一方の面)
W2 上面(他方の面)
W3 外縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を保持する少なくとも一対の保持手段と、
前記板状部材に対する前記一対の保持手段の角度を変更する角度変更手段と、
前記一対の保持手段を互いに離間接近方向に変位させる変位手段とを備えていることを特徴とする板状部材の支持装置。
【請求項2】
前記一対の保持手段は、それぞれ前記板状部材の一方または他方の面に対向配置可能な一対の支持部材に設けられ、
前記角度変更手段は、前記一対の支持部材の各々を回動させることで前記保持手段の角度を変更し、前記変位手段は、前記一対の支持部材の各々を移動させることで前記保持手段の間隔を調整することを特徴とする請求項1に記載の板状部材の支持装置。
【請求項3】
前記一対の保持手段は、それぞれ第1保持手段と第2保持手段を有して構成され、
前記第1保持手段は、前記板状部材の一方または他方の面に対向配置可能かつ当該対向した面に向かって気体を噴出することにより当該板状部材を非接触で吸引可能な吸引手段を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の板状部材の支持装置。
【請求項4】
前記第2保持手段は、前記板状部材の外縁に当接可能かつ互いに相対接近することで当該板状部材を把持する把持手段を有して構成されていることを特徴とする請求項3に記載の板状部材の支持装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の支持装置と、この支持装置を移動させる移動手段とを備えたことを特徴とする板状部材の搬送装置。
【請求項6】
前記板状部材の反り方向を検出する検出手段を備え、
前記移動手段は、検出した反り方向に直交する方向から前記板状部材の一方または他方の面に沿って前記保持手段を誘導することを特徴とする請求項5に記載の板状部材の搬送装置。
【請求項7】
少なくとも一対の保持手段を用いて板状部材を支持する板状部材の支持方法であって、
前記板状部材に対する前記一対の保持手段の角度を変更する工程と、
前記一対の保持手段を互いに離間接近方向に変位させ、当該保持手段を前記板状部材に接近させて前記板状部材を支持する工程とを有することを特徴とする板状部材の支持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−13944(P2013−13944A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146306(P2011−146306)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】