説明

板状部材の支持装置

【課題】板状部材を処理する効率を向上することができるようにすること。
【解決手段】支持装置10は、半導体ウエハWが載置される載置面16を有する載置手段11と、半導体ウエハWの外縁側を検査する検査手段12と、半導体ウエハWの外縁に当接可能な複数の当接手段22と、当接手段22を回転して半導体ウエハWを周方向に回転可能な回動モータ23と、載置面16と平行な方向に当接手段22を移動可能な移動手段26とを備えて構成されている。各当接手段22は、回動モータ23を介して回転することにより、半導体ウエハWを周方向に回転すると同時に、半導体ウエハWを載置面16に離間接近する方向に移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の支持装置に係り、更に詳しくは、支持する板状部材を検査することができる板状部材の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)等の板状部材を支持する支持装置が広く利用されるに至っており、かかる支持装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の支持装置は、ウエハを支持可能な複数のアームからなるステージと、当該ステージを回転させる駆動手段とを備え、当該駆動手段を作動してステージと共にウエハを回転することにより、ウエハの外縁全体を検出できるようになっている。ウエハのステージへの搬入は、搬送ロボットのハンドによりウエハを支持し、搬送ロボットの駆動によって、ウエハをステージ上に移動させてからウエハを下降してステージ上に移載することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−21956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、搬送ロボットによるステージ上へのウエハの載置を完了した後、ウエハを回転して当該ウエハ外縁側の検出が行われるので、ウエハの搬入から検出までの時間が長くなる、という不都合を招来する。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、板状部材を処理する効率を向上することができる板状部材の支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、板状部材を載置可能な載置面を有する載置手段と、前記板状部材の外縁側を検査する検査手段と、前記板状部材の外縁に当接可能な複数の当接手段と、当該当接手段を回転可能な駆動手段と、前記載置面と平行な方向に前記当接手段を移動可能な移動手段とを備え、
前記各当接手段は、前記駆動手段を介して回転することにより、板状部材を周方向に回転すると同時に、板状部材を載置面に離間接近する方向に移動可能に設けられる、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各当接手段の回転により、板状部材の周方向への回転と、載置面に離間接近する方向への移動とを同時に行えるので、板状部材の載置面への搬入中に、板状部材外縁側を検査することができる。これにより、載置面に板状部材が載置する迄に、板状部材の検査を完了することが可能となり、処理効率の向上を図ることができる。特に、板状部材外縁側に異常が検出された場合には、載置面に板状部材が載置される前に、当該板状部材を排除でき、板状部材の搬入から排除するまでの時間の短縮化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る支持装置の概略平面図。
【図2】図1の概略A−A断面B矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「上」、「下」は、図2を基準として用いる。
【0010】
図1及び図2において、支持装置10は、板状部材としてのウエハWが載置される載置手段11と、ウエハWの外縁側を検査可能な検査手段12と、載置手段11に載置されたウエハWの周方向約120°間隔毎に3体設けられた支持ユニット14とを備えて構成されている。
【0011】
前記ウエハWは、平面視略円形をなし、その外縁にVノッチNを備えている。ウエハWは、その下面が回路面とされ、当該回路面には接着シートSが貼付されている。
【0012】
前記載置手段11は、ウエハWを載置可能な載置面16を有する吸着テーブル17と、この吸着テーブル17を下面側から支持するとともに、吸着テーブル17を上下動可能に設けられた駆動機器としての直動モータ18と、この直動モータ18が上面に設置されるベース19とを備えている。載置面16は、図示しない切替弁を介して減圧ポンプ等の減圧手段に接続され、載置面16上でウエハWを吸着保持可能となっている。
【0013】
前記検査手段12は、VノッチNの位置を検出可能なカメラからなり、ウエハWの外縁側を撮像して当該外縁に割れや欠け等の異常が生じているか否か検査可能に設けられるとともに、VノッチNの位置を検出可能に設けられている。カメラの場合、VノッチNの形状を記憶しておき、撮像された画像からマッチングによってウエハWの外縁の欠けとVノッチNとを判別することができる。また、検査手段12は、前記検査のデータやVノッチNの位置データを図示しない制御手段に出力可能に設けられている。
【0014】
前記各支持ユニット14は、ベース19の上面側にそれぞれ設置されており、ウエハWの外縁に当接可能な当接手段22と、当該当接手段22を回転可能な駆動機器であって駆動手段としての回動モータ23と、載置面16と平行な方向に当接手段22を移動可能な移動手段26とをそれぞれ備えている。
【0015】
前記当接手段22は、回転中心位置が上下方向に向けられ、外周面に螺旋状に延びる周溝22Aを備えた形状に設けられている。周溝22Aは、その底部がウエハWの外縁に沿って当接するよう円弧状に形成され、ウエハWの外縁側を受容可能に設けられている。これにより、各支持ユニット14の当接手段22によりウエハWの外縁3箇所を受容して支持することができる。また、ウエハWを支持する各当接手段22を回動モータ23により回転することで、ウエハWを周方向に回転すると同時に、当該ウエハWを上下方向に移動可能となっている。ここで、周溝22Aの上端側には、案内部27が形成されている。この案内部27は、平面視で当接手段22の回転中心に近くなるように小径に設けられており、案内部27上端側では、ウエハW外縁との間の隙間を大きく設定でき、ウエハWが搬送されてくる位置に多少のずれがあっても、各当接手段22の案内部27の間にウエハWを搬送し得るようになっている。また、案内部27の上端側は、他の領域の周溝22Aに比べて幅広に設けられており、ウエハW外縁を周溝22A内に呼込み易くなっている。
【0016】
前記移動手段26は、平面視でウエハWの径方向に延びる駆動機器としての直動モータからなり、当該直動モータのスライダ28を介して回動モータ23及びこれに支持される当接手段22がウエハWの外縁に離間接近する方向に移動可能となる。これにより、3体の当接手段22によって、ウエハWの回路面W1と平行な方向から挟み込むように把持したり、当該把持を解除したりすることが可能となる。
【0017】
次に、本実施形態におけるウエハWの支持方法について説明する。
【0018】
図示しない搬送装置により、接着シートSが下側となるようにウエハWを搬送し、各当接手段22の案内部27上に載置させる。次いで、回動モータ23を作動して各当接手段22を回転させると、ウエハWの外縁側が案内部27から周溝22A内に呼込まれる。周溝22A内に呼込まれたウエハWは、周方向に回転すると同時に、載置面16に接近するようにゆっくりと下降される。ウエハWの回転中、検査手段12によりウエハWのVノッチNの位置が認識され、その位置データが図示しない制御手段に出力される。図示しない制御手段は、位置データに基づいて、VノッチNの位置を検出して回動モータ23を介してVノッチNが所定の位置に配置されるようにウエハWを回転させて停止し、直動モータ18を介して停止しているウエハWの接着シートSの下面に載置面16が当接するように、吸着テーブル17を上昇させる。これにより、VノッチNが所定の位置に配置されるようにウエハWを位置決めすることができる。その後、図示しない切替弁を介して減圧手段で当該ウエハWを吸着保持し、支持装置10へのウエハWの支持が完了する。
【0019】
なお、検査手段12では、ウエハWの回転中、ウエハWの外縁に割れや欠け等の異常が生じているか否か検査し、そのデータが前記制御手段に出力される。制御手段では、ウエハW外縁に異常が発見されない場合、前述のようにアライメントを行う一方、異常が発見された場合、回動モータ23の回転方向が逆になるよう制御する。すると、ウエハWが上昇して案内部27上に戻るように移動し、当該案内部27上のウエハWを図示しない搬送装置によって排除可能となる。
【0020】
従って、このような実施形態によれば、ウエハWを載置面16に載置する過程において、ウエハW外縁の異常をチェックすることができ、ウエハWの処理の迅速化を図ることができる。また、ウエハW外縁に異常を発見した場合、ウエハWを載置面16に載置せずに当該ウエハWを排除でき、当該排除の処理時間を短縮することが可能となる。つまり、アライメント機能と検査機能とを備えた支持装置10を提供することができる。
【0021】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0022】
例えば、前述のようにウエハWを支持及び移動し得る限りにおいて、支持ユニット14の設置数を増減したり、設置位置を変更したりしてもよい。
更に、前記検査手段12は、カメラ以外に、接触型、非接触型のセンサや、光反射型、投受光型のセンサや、ラインセンサ、超音波型のセンサ等の他の検出手段を採用してもよい。
【0023】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0024】
更に、本発明において、板状部材は、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。
【符号の説明】
【0025】
10 支持装置
11 載置手段
12 検査手段
16 載置面
22 当接手段
23 回動モータ(駆動手段)
26 移動手段
27 案内部
W 半導体ウエハ(板状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を載置可能な載置面を有する載置手段と、前記板状部材の外縁側を検査する検査手段と、前記板状部材の外縁に当接可能な複数の当接手段と、当該当接手段を回転可能な駆動手段と、前記載置面と平行な方向に前記当接手段を移動可能な移動手段とを備え、
前記各当接手段は、前記駆動手段を介して回転することにより、板状部材を周方向に回転すると同時に、板状部材を載置面に離間接近する方向に移動可能に設けられていることを特徴とする板状部材の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−156422(P2012−156422A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15992(P2011−15992)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】