説明

板状部材移載設備

【課題】板状部材を立てた状態でラックに挿入したり、立てた状態のままラックから取り出したりすることができる板状部材移載設備を提供する。
【解決手段】ストッカ設備1は、ガラス板2が立てた状態で前後方向に並べて収納されるラック32と、ガラス板2を左右に移動させてラック32との間で受け取りするトラックロボット10を備えている。トラックロボット10は、トラック側走行基台14と、フリップと、トラック側搬送基台と、ローラとを有する。フリップは、フリップアクチュエータによりトラック側走行基台14に対して軸線回りに回動し、回動することでそこに載せられたガラス板2を立てたり倒したりするように構成されている。ローラは、トラック側搬送基台に回動可能に設けられ、回動することでガラス板2をラック32内に送れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板状部材を立てた状態で並べて収納可能なラックと、前記ラックに板状部材を挿入したり、前記ラックから板状部材を取り出したりする板状部材移載機構とを備える板状部材移載設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を搬送する様々な搬送装置が知られている。それら様々な搬送装置のうちの1つとして、特許文献1に開示されるような、基板をラック(又はカセット等)に収納したり、ラックに収納された基板を取り出したりするロボットがある。特許文献1に記載のロボットは、ロボットアームを備えている。ロボットアームは、3つのリンクを有しており、これら3つのリンクは、鉛直方向に延びる垂直軸線回りに回動可能に連結されている。ロボットアームの先端部には、エンドエフェクタが取付けられている。このエンドエフェクタは、その先端側部分に基板を載置可能に構成されており、その先端部分が水平方向に延びる水平軸線回りに回動可能に構成されている。
【0003】
このように構成されるロボットは、3つのリンクを回動させながらエンドエフェクトを動かし、そこに載置されている基板をラックに挿入したり、ラックから基板を取り出したりする。また、ロボットは、エンドエフェクトの先端部を水平軸線回りに回動させることで、エンドエフェクトに載置された基板を起こしたり倒したりできる。それ故、エンドエフェクトを様々な方向からラックに挿入することができ、ラックの向きに係わらず、基板を挿入したり、そこから基板を取り出したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−522238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のロボットは、基板81〜83をラック84に挿入したり、ラック84から取り出したりする際、ラックの基板を収容する基板収容部の中にエンドエフェクタを挿入するようになっている。他方、複数の基板81〜83は、図29及び30に示すように互いが接触しないように配列方向に並べてラック84に収容されている。従って、複数の基板81〜83を一番前側の基板81から順に搬出する場合、搬出する各基板81〜83の前にエンドエフェクト85を挿入できるオープンスペースが形成されるため、上述するエンドエフェクト85を用いても搬出に何ら問題を生じない。
【0006】
しかし、ラック84に収容された複数の基板81〜83は、必ずしも前の基板81から順番に搬出されるとは限らず、2つの基板81,83の間に収容された基板82を先に取り出すことがしばしばある。この場合、エンドエフェクト85を2つの基板81,82(又は、基板82,83)の間に挿入しなければならない。
【0007】
一般的に、隣接する基板の収容間隔は、ラック84の設置面積に対する収容可能な基板の枚数を密にするべく短くなっている。これに対して、エンドエフェクト85は、基板81〜83を挟持する機能をもたせたり、剛性を確保しなければならなかったりするため厚くなっている。したがって、2つの基板81,82(又は、基板82,83)の間に挿入しようとしても挿入できず、また挿入できたとしても基板81〜83等に当たってそれらを破損させる虞がある。そのため、ラック84における基板の収容間隔を大幅に広げなければならず、そうすると、ラック84の設置面積が大きくなってしまう。
【0008】
このような問題は、基板81〜83を搬出する場合だけでなく、基板81〜83を搬入する場合にも同様の問題が生じる。つまり、基板81〜83を配列方向に順番に搬入する場合についても何ら問題がないが、2つの基板81,83が先にラック84に搬入され、その後から基板82を搬入する場合に搬出時と同様の問題が生じる。この問題を解消するためには、やはりラック84における基板81〜83の収容間隔を大幅に広げなければならず、ラック84の設置面積が大きくなってしまう。
【0009】
そこで本発明は、ラックの基板収容部にエンドエフェクトを挿入することなしに、板状部材の収納ピッチが密であっても間隔をあけた2つの板状部材の間に新たな板状部材を搬入し、また並んだ複数の板状部材の中から何れの板状部材でも搬出することができる板状部材移載設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の板状部材移載設備は、支持部で支持されて搬送方向に延在するように立てられた複数の板状部材を前記搬送方向に交差する配列方向に並べて収納し、且つ挿入口から前記複数の板状部材を前記搬送方向において夫々搬入及び搬出可能に構成されたラックと、前記挿入口から前記板状部材を前記搬送方向において前記ラックに搬入し、また前記ラックから搬出する板状部材移載機構と、を備え、前記板状部材移載機構は、前記ラックの前記挿入口に臨むトラック側空間に位置し、前記板状部材を支持して前記搬送方向に平行な回動軸線回りに回動可能なフリップを有し、前記フリップを回動させて前記板状部材を立て又は倒すフリップ回動機構と、前記搬送方向に延在し、前記フリップ回動機構により立てられた状態の前記板状部材を前記搬送方向に送る送り部を有する搬送機構と、前記フリップ回動機構及び前記搬送機構を配列方向に移動させる移動機構と、を備えており、前記搬送機構は、前記フリップ回動機構が位置するトラック側空間と前記ラックとの間で前記送り部により前記板状部材を立った状態で受け渡しするように構成されているものである。
【0011】
本発明に従えば、板状部材移載機構は、フリップ回動機構によりフリップを回動させてフリップに支持されている板状部材を立てることができる。更に、このフリップ回動機構と搬送機構とをラックの配列方向の任意の位置に移動させ、立てた状態の板状部材を送り機構により搬送方向へと移動させることでトラック側空間にある板状部材を挿入口からラックに搬入して収納することができる。このように板状部材移載機構は、水平状態の板状部材を立ててラックに挿入し、収納することができる。なお、本発明において、「水平状態」とは、真に水平な姿勢になっている状態だけでなく、水平な姿勢から多少傾いた状態のものも含む。
【0012】
また、本発明は、ラックの任意の位置までフリップ回動機構及び搬送機構を移動させて送り部を駆動することで、ラックに収納された板状部材を搬送方向に移動させてトラック側空間に戻すことができる。そして、トラック側空間に戻された板状部材がエンドエフェクトとしてのフリップに載り移った後、フリップ回動機構によりフリップを回動させて倒すことで板状部材を水平状態にすることができる。このように板状部材移載機構は、ラックに立てた状態で収納された板状部材を取り出して水平状態にすることができる。
【0013】
このように、本発明では、送り部により板状部材を搬送方向に移動させて受け渡しするので、板状部材を搬入及び搬出する際に搬送機構やフリップをラック内に直に挿入する必要がない。これにより、設備の設置面積を低減すべく板状部材同士の間隔を狭くして板状部材の配列方向の収納ピッチを密にしても、従来技術のように収納された板状部材とエンドエフェクトとが接触して損傷させるような事態を生じることなく、2つの板状部材の間に新たな板状部材を搬入し、並んだ複数の板状部材の中から何れの位置の板状部材でも搬出することができる。それ故、確実にかつ迅速にラックに対する板状部材の搬入及び搬出を行なうことができる。
【0014】
上記発明において、前記送り部であるトラック側送り部を有し、前記トラック側空間に配置されているトラック側搬送機構と、前記送り部であるラック側送り部を有し、前記ラックに配置されるラック側搬送機構とによって構成されることが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、移動機構によりトラック側搬送機構を収容位置にあるラック側搬送機構の前まで移動させ、トラック側及びラック側送り部を夫々駆動することで、トラック側及びラック側搬送機構の間で板状部材を受け渡しすることができる。それ故、搬送機構自体をスライドさせてラック内に挿入する必要がなく、その時間を省くことができる。これにより、板状部材一枚当りの搬入及び搬出時間を短くすることができる。
【0016】
上記発明において、前記トラック側搬送機構と前記ラック側搬送機構は、前記トラック側送り部と前記ラック側送り部との間で立った状態で前記板状部材を受け渡しするように構成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成に従えば、トラック側搬送機構とラック側搬送機構との間で板状部材を受け渡しすることができるので、トラック側及びラック側搬送機構自体をスライドさせてラック内に挿入することなく、板状部材をラックに挿入することを実現することができる。
【0018】
上記発明において、前記移動機構は、前記トラック側搬送機構を前記配列方向に移動させるトラック側移動機構と、前記ラック側搬送機構を前記配列方向に移動させるラック側移動機構とによって構成されることが好ましい。
【0019】
上記構成に従えば、ラックの収納位置毎にラック側搬送機構を設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。また、例えば、トラック側搬送機構とラック側搬送機構を互いに独立して移動させることで別々の位置にてトラック側搬送機構及びラック側搬送機構を動作させることができ、それらが並行して別の動作を実行させることができる。これにより、搬入及び搬出時間を短縮することができる。
【0020】
上記発明において、前記トラック側移動機構は、前記トラック側搬送機構と一緒に前記フリップ回動機構を前記配列方向に移動するように構成されていることが好ましい。
【0021】
上記構成に従えば、フリップ回動機構とトラック側搬送機構とが一緒に移動するので、これらの機構の位置合わせを行なう必要がなく各機構の動作プログラムが容易にすることができ、また移動機構の部品点数を低減して製造コストを削減することができる。
【0022】
上記発明において、前記ラックは、複数の支持部材を有し、前記複数の支持部材は、前記搬送方向に間隔をあけて配置され、その上面で前記板状部材を夫々支持可能に構成されており、前記ラック側送り部は、ラック側送り部面上を移動させて前記板状部材を送るラック側駆動部材を有し、前記ラック側搬送機構は、前記ラック側送り部面が前記支持部材の上面より高い位置にあるラック側搬送位置と、前記ラック側送り部面が前記支持部材の上面より低い位置にあるラック側待機位置との間で前記ラック側送り部を昇降可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
上記構成に従えば、ラック側送り部をラック側搬送位置まで上げることでラック内において支持部材に当たることなく板状部材を左右方向にスムーズに移動させることができ、ラックとトラック側空間との間における板状部材の受け渡しをスムーズに行うことができる。また、ラック側送り部をラック側待機位置まで降ろすことで、ラック側送り部面にある板状部材を支持部材に降ろし、更にラック側送り部面から離してラック内に収納することができる。これにより、収納作業において板状部材が損傷することを抑えることができる。
【0024】
上記発明において、前記トラック側送り部は、トラック側送り部面上を移動させて前記板状部材を送るトラック側駆動部材を有し、前記トラック側搬送機構は、前記トラック側送り部面が前記ラック側搬送位置に対応する前記ラック側送り部面と実質的に同じ高さにあるトラック側搬送位置と、前記トラック側送り部面が前記支持部材の上面より低いトラック側待機位置との間で前記トラック側送り部を昇降可能に構成されていることが好ましい。
【0025】
上記構成に従えば、トラック側送り部を搬送位置まで上げることでラック内において支持部材に当たることなく板状部材を左右方向にスムーズに移動させることができ、ラックとトラック側空間との間における板状部材の受け渡しをスムーズに行うことができる。これにより、収納作業において板状部材が損傷することを抑えることができる。また、トラック側送り部を待機位置まで降ろすことができるので、ラックに板状部材を挿入している途中にトラック側送り部を板状部材から離し、前記トラック側送り部をラック側搬送機構に先んじて次の収納位置の前まで移動させることができる。これにより、板状部材の搬出時間を短縮することができる。
【0026】
上記発明において、前記トラック側送り部と前記ラック側送り部とが前記搬送方向に並んでいる否かを検出する位置検出センサを更に備え、前記トラック側送り部及び前記ラック側送り部は、これらが前記搬送方向に並んでいることが前記位置検出センサで検出されると、前記板状部材の受け渡しを行うように構成されていることが好ましい。
【0027】
上記構成に従えば、トラック側送り部とラック側送り部との間で板状部材を受け渡し損ねて損傷することを防ぐことができる。
【0028】
上記発明において、前記フリップ回動機構は、前記移動機構により移動する際、前記フリップを回動させて該フリップに支持された前記板状部材を倒すように構成されていることが好ましい。
【0029】
上記構成に従えば、板状部材を倒した状態でフリップ回動機構を動かすので、板状部材が動くことで発生する風の風量を抑えることができる。移動時に生じる風は、ラックに並べて収納された板状部材をバタつかせ、また損傷させるおそれがあるが、本発明では風を抑えることができるので、このような板状部材のバタつきを抑え、板状部材の損傷を防ぐことができる。
【0030】
上記発明において、前記フリップは、転動可能な複数の球面ローラを有し、前記複数の球面ローラにより前記板状部材の背面を支持するように構成されていることが好ましい。
【0031】
上記構成に従えば、板状部材が転動する球面ローラにより支持されているので、送り機構が板状部材を移動させる際に板状部材をフリップに立て掛けたままスライド移動させても滑らかに動かすことができる。これにより、ラックとフリップとの間で板状部材を受け渡しする際に、板状部材をフリップに沿ってスライド移動させることができフリップが倒れることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ラックの基板収容部にエンドエフェクトを挿入することなしに、板状部材の収納ピッチが密であっても間隔をあけた2つの板状部材の間に新たな板状部材を搬入し、また並んだ複数の板状部材の中から何れの板状部材でも搬出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るストッカ設備の全体を示す平面図である。
【図2】図1に示すストッカ設備が備えるトラックロボット及びラックを拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示すストッカ設備に備わる複数のラックのうち一部分を取外して示す斜視図である。
【図4】図3に示すストッカ設備を正面から見た正面図である。
【図5】図1に示すストッカ設備の制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】図3に示すストッカ設備のトラックロボットを拡大して示す斜視図である。
【図7】図3に示すストッカ設備のトラックロボットを後方から見た拡大斜視図である。
【図8】ストッカ設備のラックの一部分を拡大して示す右側面図であり、(a)は、ラックの上側部分を拡大して示す右側面図であり、(b)は、ラックの下側部分を拡大して示す右側面図である。
【図9】図3に示すストッカ設備のラックロボットを拡大して示す斜視図である。
【図10】図9に示すラックロボットを上方から見た拡大平面図である。
【図11】ラックロボットとストッカとの間におけるセンサやり取りを後方から見て示す斜視図であり、(a)は、ラック側搬送機構と搬送機構とが配列方向にずれている状態を示し、(b)は、ラック側搬送機構と搬送機構とが配列方向に一致している状態を示している。
【図12】ガラス板を搬入及び搬送する際の制御手順を示すダイヤフラム図である。
【図13】図1の状態からフリップを立てたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図14】図12の状態からラックの収納位置の前までストッカを移動させたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図15】図14の状態からラックロボットをラックの収納位置まで移動させたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図16】図15の状態からラックロボットを搬送位置において上昇させたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図17】図16の状態からフリップを略垂直な状態まで立てたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図18】図17の状態におけるストッカ設備を右側方から見た状態のものを拡大して示す右側面図である。
【図19】図18の状態から支持部を下降させた時の状態を示す右側面図である。
【図20】図19の状態からガラス板をスライド移動させてその一部分をラックロボット上に移したときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図21】図20の状態からガラス板をラックの収納位置まで移動させたときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図22】図21の状態からガラス板を降ろしてラックを収納したときの状態を拡大して示す斜視図である。
【図23】第2実施形態のストッカ設備の一部を示す拡大斜視図である。
【図24】図23に示すストッカ設備において、ガラス板を搬入及び搬送する際の制御手順を示すダイヤフラム図である。
【図25】第3実施形態のストッカ設備の制御系の構成を示すブロック図である。
【図26】図25に示すストッカ設備の一部を示す拡大斜視図である。
【図27】第4実施形態のストッカ設備の一部を示す拡大斜視図である。
【図28】図27に示すストッカ設備の制御系の構成を示すブロック図である。
【図29】複数の基板を収納する可能なラックを正面から見た正面図である。
【図30】図29に示すラック及びエンドエフェクタを上方か見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、前述する図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る板状部材移載設備であるストッカ設備1について説明する。なお、実施形態における上下、左右、及び前後等の方向の概念は、説明の便宜上使用するものであって、ストッカ設備1に関して、それらの構成の配置及び向き等をその方向に限定することを示唆するものではない。また、以下に説明するストッカ設備1は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明は実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0035】
[ストッカ設備]
図1に示すように、ストッカ設備1は、1つの処理装置から別の処理装置に板状部材2を搬送する搬送路に設けられ、搬送されてくる板状部材2を一時的に蓄えておくための設備である。板状部材2は、例えば太陽光パネルや液晶パネル等で使用される大型のガラス板であり、以下では、ガラス板2として説明する。但し、板状部材2は、大型のガラス板に限定されず、鋼板や樹脂板であってもよく、板状の部材であればよい。本実施形態において、ストッカ設備1は、1つの処理装置から別の処理装置にガラス板2を搬送するホイールコンベア3に設けられている。
【0036】
ホイールコンベア3は、搬送路に沿って延在する一対の桁4を有しており、一対の桁4には、複数のホイール軸5が設けられている。ホイール軸5は、一対の桁4に回動可能に架け渡され、一対の桁4に直交するように延在している。また、ホイール軸5は、図示しない駆動装置により回動されており、ホイール軸5を回動させることによってそれら上に載置されたガラス板2が一方向(本実施形態では、右方向)に移動するようになっている。
【0037】
また、ホイールコンベア3は、ストッパ6を有している。ストッパ6は、隣接する2つのホイール軸5a,5bの間に設けられている。ストッパ6は、上下に出没可能に構成されており、ストッパ6を突出させることでホイールコンベア3上を移動するガラス板2が停止位置にて止められ、ストッパ6を没入させることでガラス板2が停止位置から下流側(つまり、右側)へと移動することが許容される。ストッカ設備1は、ストッパ6により止められたガラス板2を一時的にストックし、またストックしたガラス板2をホイールコンベア3上に戻して別の処理装置に移送させるように構成されている。以下では、ストッカ設備1の具体的な構成について説明する。
【0038】
<トラックロボット>
ストッカ設備1は、図1乃至図7に示すようにトラックロボット10及びラック32を備えている。ストッカ設備1では、複数のラック32が左右両側に夫々一列に並べられており、各列の間にトラックロボット10が設けられている。トラックロボット10は、図2乃至図4に示すようにスライド装置11を備えている。トラック側移動機構であるスライド装置11は、ガイドレール12とトラック側スライドアクチュエータ13(図5参照)とを有している。ガイドレール12は、設置場所の床等に取り付けられている。ガイドレール12は、その一端がホイールコンベア3付近に位置し、そこから複数のラック32の間を貫くように前後方向に延在している。また、ガイドレール12上には、トラック側走行基台14がスライド可能に取り付けられ、ガイドレール12の中には、トラック側スライドアクチュエータ13が収納されている。トラック側スライドアクチュエータ13は、例えばボールねじ機構及びサーボモータにより構成されており、トラック側走行基台14をガイドレール12に沿って前後方向にスライドさせるようになっている(図6の矢符A参照)。
【0039】
トラック側走行基台14は、大略的に台形状に形成されている。トラック側走行基台14の上部後側には、図7に示すようにヒンジ15が設けられており、更にこのヒンジ15を介してフリップ回動機構16が設けられている。フリップ回動機構16は、フリップ17とフリップアクチュエータ18とを有している(図5参照)。フリップ17は、いわゆるハンド又はエンドエフェクタの役割をするものであり、ヒンジ15に取り付けられている。このフリップ17は、大略的に三叉状に形成されており、その上にガラス板2を載せて支持可能に構成されている。このように構成されているフリップ17は、ヒンジ15を介して左右に延びる回動軸線L1回りに回動可能に構成されている。
【0040】
また、トラック側走行基台14には、フリップアクチュエータ18が設けられている。フリップアクチュエータ18は、例えばサーボモータであり、フリップ17を回動軸線L1回りに回動可能に構成されている。フリップ17は、このフリップアクチュエータ18により、フリップ17が後方側に倒れて水平になる水平姿勢とフリップ17が略直立する直立姿勢との間で姿勢を変えられるように構成されている(図6の矢符B参照及び図7の矢符B参照)。
【0041】
以下では、図6及び図7を参照しながら、フリップ17について更に詳述する。フリップ17は、基部19と3つの支持板20を有している。基部19は、L字板19aと、一対の取付板19bとを有している。L字板19aは、左右方向に延在している部材であり、左右方向に垂直に切断した断面がL字状になるように2つの板が直角に配置されている。このL字板19aの左右両端側には、一対の取付板19bが夫々取付けられている。取付板19bは、2つの板の間に立てた状態で配置されており、これら2つの板の間にはそれらを繋ぐようにヒンジ軸15aが取り付けられている。ヒンジ軸15aは、ヒンジ15を構成する部材であり、トラック側走行基台14に回動軸線L1回りに回動可能に取り付けられている。また、L字板19aの前面には、図6及び7に示すような3つの支持板20が取り付けられている。
【0042】
支持板20は、図6及び7に示すようにL字板19aから後斜め上方に延在する短冊状の板部材であり、その下端側が基部19に固定されている。支持板20は、基部19を回動軸線L1回りに回動させることで、支持板20が上下方向に直立する直立姿勢と、支持板20が略水平に延在する水平姿勢との間でその姿勢を変更できるように構成されている。このように構成される3つの支持板20は、互いに左右に略等間隔をあけて位置しており、その間隔は、ホイールコンベア3のホイール軸5の間隔に合わせて設計されている。これにより、支持板20を水平姿勢にすることで、各支持板20が隣接するホイール軸5aの間に入り、ホイールコンベア3の停止位置に位置するようになっている。
【0043】
また、支持板20の上面20a(支持板20が直立姿勢時の前面に相当)側には、複数の球面ローラ21(本実施形態では、4つの球面ローラ21)が取付けられている。複数の球面ローラ21は、転動可能に支持板20に取付けられ、支持板20が延在する方向(図6において上下方向)に間隔をあけて配置されている。球面ローラ21は、その一部分が支持板20の上面20aから上方に突出し、上面20aに載るガラス板2を点で支持している。また、支持板20の上面20aには、支持部22が取付けられている。支持部22は、大略的に五叉状に形成されており、球面ローラ21より支持板20の基端側に配置されている。支持部22の各先端部分(つまり、下端側の部分)は、前方に向かって突出しており、その突出した部分にガラス板2の下端部を引っ掛けて支持できるように構成されている。このように構成される支持部22には、リフトシリンダ23が設けられており、リフトシリンダ23により上下方向に昇降可能に構成されている(図6の矢符C参照)。
【0044】
また、トラック側走行基台14の上部前側には、トラック側搬送機構24が取付けられている。トラック側搬送機構24は、トラック側搬送基台25を有している。トラック側搬送基台25は、左右横長の板状部材であり、左右両端が両側にあるラック32付近まで延びている。トラック側搬送基台25の上部には、複数の取付部25a(本実施形態では、6つの取付部25a)が形成されている。取付部25aは、左右方向に略等間隔をあけて配置されており、その略中央に上下方向に延びる切欠きが形成されている。取付部25aは、切欠きによって分断された左及び右側部分にトラック側駆動部材であるローラ26が夫々取り付けられている。
【0045】
ローラ26は、トラック側搬送基台25の後部に点在するように取り付けられており、本実施形態ではトラック側搬送基台25に12個のローラ26が取り付けられている。なお、駆動部材をベルトで構成してもよい。例えば、ローラ26に代えてプーリーを設け、2つ又はそれ以上のプーリーにベルトを張架することによって実現することができる。
【0046】
ローラ26は、前後方向に延在する回動軸線回りに回動可能に構成されている。また、トラック側搬送基台25内には、トラック側ローラアクチュエータ27が設けられている(図5参照)。トラック側ローラアクチュエータ27は、例えばタイミングベルト等により構成される伝達機構とサーボモータとから成り、複数のローラ26を同一方向に連動して回動させるように構成されている。また、ローラ26は、その上にガラス板2を載せることができるように形成されている。このように構成されるローラ26及びトラック側ローラアクチュエータ27によってトラック側送り部が構成されており、トラック側送り部は、トラック側ローラアクチュエータ27によってローラ26を駆動することでローラ26の上に載せられたガラス板2を左又は右方向に送ることができるようになっている(図6の矢符D参照)。
【0047】
また、トラックロボット10は、図5に示すように、そこに備わる各アクチュエータ13,18,27及びシリンダ23の動作を制御すべくトラック制御部28を備えている。トラック制御部28は、ストッカ設備1に備わる制御装置29の一部の制御ブロックである。トラック制御部28は、信号配線を介してトラック側スライドアクチュエータ13、フリップアクチュエータ18、リフトシリンダ23、及びトラック側ローラアクチュエータ27に接続されている。トラック制御部28は、制御装置29の記憶部29aに予め記憶されたプログラム及び入力装置30により入力された指令に基づいて前記各アクチュエータ13,18,27及びシリンダ23に信号を送ってそれらの動作を制御する機能を有している。
<ラック及びラックロボット>
このように構成されるトラックロボット10の左右両側には、図3に示すような複数のラック基台31が夫々設けられている。ラック基台31は、図3に示すような台枠であり、設置場所の床等に固定されている。具体的に説明すると、ラック基台31は、平面視で矩形状に形成されており、4つの脚31a及び2つの梁部材31bを有している。4つの脚31aは、四隅に配置されており、梁部材31bは、左右に配置された一対の脚31aの上端部に掛け渡すように固定されている。このように固定されている2つの梁部材31bは、互いに平行、且つ前後方向に離れて位置している。また、2つの梁部材31bには、前後方向に延在する複数の横桁部材31cが掛け渡されており、その上にラック32が載せられている。
【0048】
ラック32は、図2乃至4に示すように直方体の籠状又は檻状に枠組みされた枠体33を有している。枠体33は、底部分に複数の底桁33aを有し、また天井部分に複数の上桁33bを有している。底桁33aは、横桁部材31cと同様に前後方向に延在しており、互いに左右方向に間隔をあけて配置されている。底桁33aの上面には、図8(b)に示すような複数のセパレータ34が設けられている。複数のセパレータ34は、上方に突出する部材であり、前後方向において略等間隔で配置されている。隣接する2つのセパレータ34の間隔は、ガラス板2の厚みより少しだけ広くなっている。
【0049】
また、上桁33bは、底桁33aと同様に前後方向に延在しており、互いに左右方向に間隔をあけて配置されている。上桁33bの下面には、図8(a)に示すような複数の案内ローラ35が取付けられている。複数の案内ローラ35は、前後方向に略等間隔で位置しており、その間隔は、セパレータ34と略同様の間隔となっている。このように構成される案内ローラ35は、上下方向に延在する回動軸線L2回りに回動可能に構成されている。
【0050】
このように構成されるラック32では、ガラス板2が左右方向に延在するように収納されており、その下端が隣接する2つのセパレータ34の間に通され、その上端が隣接する2つの案内ローラ35の間に通されている。これにより、ガラス板2の下端がセパレータ34に、そしてその上端が案内ローラ35により倒れないように夫々支持され、ガラス板2が立った状態でラック32内に収納されている。ラック32には、同様の方法で複数のガラス板2を収容することができ、これにより複数のガラス板2が前後方向(配列方向)に並べて収容される。
【0051】
また、ガラス板2は、ラック32において後側に若干傾けた状態で収納されており、ガラス板2の上端側は、その下端側が通されている2つのセパレータ34よりも平面視で若干後側に位置している2つの案内ローラ35に通されている。このように収納されているガラス板2は、2つのセパレータ34の間及び案内ローラ35の間に一枚一枚通されており、隣接するガラス板2同士がセパレータ34及び案内ローラ35により仕切られている。これにより、ラック32内には、ガラス板2が互いに接触しない程度に密に配置することができる。
【0052】
なお、上桁33bは、必ずしも固定されている必要はなく、その高さを調整できるように構成されていてもよい。上桁33bの位置を調整する調整機構としては、例えばボールねじ機構等の昇降機構が用いられる。また、上桁33bは、昇降機構を用いず手動で調整できるように構成されていてもよい。このように上桁33bを調整可能に構成することで、収納可能なガラス板2の高さに応じて上桁33bの高さを調整することができ、ラック32に収納可能なガラス板2のバリエーションを増やすことができる。なお、本実施形態では、全てのラック32の上桁33bが同じ高さに設定されている。
【0053】
このように構成されるラック32は、各ラック基台31の上に1つずつ載せられており、トラックロボット10の左右両側に前後方向に並ぶように配置されている。これらラック32は、左右両側に開口を有しており、その一方の開口がガラス板2を挿入できる挿入口32aの役割を果たしている。各ラック32は、挿入口32aがトラックロボット10側(即ち、トラック側)に位置するようにラック基台31に載せられている。つまり、トラックロボット10が挿入口32aに臨むように位置している。
【0054】
更に具体的に説明すると、トラックロボット10の左側に位置するラック32は、挿入口32aが右側に位置するようにラック基台31に載せられ、トラックロボット10の右側に位置するラック32は、挿入口32aが左側に位置するようにラック基台31に載せられている。このように、トラックロボット10は、2つのラック32の間であって、各ラック32の挿入口32aに臨むトラック側空間に位置している。また、ラック32は、列毎に挿入口32a側の面が面一になるようにラック基台31に固定されており、このラック基台31には、更にラックロボット40が設けられている。
<ラックロボット>
ラックロボット40は、図4及び図9に示しており、左右両側に一台ずつ設けられ、ラック側移動機構41を備えている。ラック側移動機構41は、一対のガイドレール42,43を有している。一対のレール42,43は、前後方向に延在しており、各ラック基台31の2つの梁部材31bに掛け渡されている。一対のレール42,43は、梁部材31bの下面に固定されており、梁部材31bの左右両端部に離れて位置している。また、一対のレール42,43は、前後に隣接するラック基台31の一対のレール42,43に繋げて増設できるようになっており、複数のラック基台31を一列に並べることでそれらを前後方向に貫通する一対のリニアガイド44,45が形成されている。この一対のリニアガイド44,45には、ラック側走行基台46が掛け渡すように取り付けられている。
【0055】
ラック側走行基台46は、左右横長に形成された走行基台本体47を有しており、走行基台本体47の左右両端部には、スライドブロック48、49が夫々設けられている。この一対のスライドブロック48,49は、前後方向にスライド可能に一対のリニアガイド44,45に夫々取り付けられている。走行基台本体47は、この一対のスライドブロック48,49により一列に並べられた複数のラック基台31の前端から後端まで前後方向にスライドすることができるようになっている(図9の矢符E参照)。なお、走行基台本体47の左右両端部は、前後方向にスライドさせたときにラック基台31に当たらないように形成されている。
【0056】
また、ラック側移動機構41は、一対のスライドブロック48,49をスライドさせるラック側スライドアクチュエータ50を有している(図5参照)。ラック側スライドアクチュエータ50は、例えばラックアンドピニオン機構及びサーボモータで構成されている。ラックギア(図示せず)が一方のリニアガイド44に設けられ、それに対応する一方のスライドブロック48にピニオンギヤ(図示せず)が設けられている。また、サーボモータは、一方のスライドブロック48内に設けられており、ピニオンギヤを回動するように構成されている。サーボモータによりピニオンギヤを回動させると、ピニオンギヤがラックギア上を前後方向に転動し、それに伴ってスライドブロック48,49がリニアガイド44,45上を前又は後方にスライド移動する。つまり、サーボモータを駆動することでラック側走行基台46を前後方向にスライドさせることができる。このようにスライドするラック側走行基台46には、ラック側搬送機構51が取り付けられている。
【0057】
ラック側搬送機構51は、一対の昇降レール52,53を有している。一対の昇降レール52,53は、上下方向に延在しているリニアレールであり、基台本体46の左右両端部に離して設けられている。一対の昇降レール52,53には、図示しないスライダブロックが上下方向にスライド可能に夫々取り付けられており、更にこれらのスライダブロックを介してラック側搬送基台54が設けられている。
【0058】
ラック側搬送基台54は、左右横長の板状部材であり、その左右両端部に前記スライダブロックが夫々固定されている。ラック側搬送基台54は、平面視で一対のリニアガイド44,45の間に位置しており、ラック側走行基台46と共に前後方向にスライドする。また、ラック側搬送基台54は、その上部に複数の取付部54aを有している。各取付部54aは、平面視でラック基台31の横桁31cに重ならないように位置しており、ラック側搬送基台54を上昇させた時に各取付部51aが横桁31cの間又はその横(左又は右側)から上方に突出するように構成されている。この取付部54aには、駆動部材であるローラ55が取り付けられている。
【0059】
ローラ55は、ラック側搬送基台54の後部に点在するように取り付けられており、本実施形態ではラック側搬送基台54に8個のローラ55が取り付けられている。なお、駆動部材であるローラ55は、ベルトであってもよい。例えば、ローラ55に代えてプーリーを設け、2つ又はそれ以上のプーリーにベルトを張架することによって実現することができる。
【0060】
ローラ55は、トラック側搬送基台25のローラ26と同様に、前後方向に延在する回動軸線回りに回動可能に構成されている。また、トラック側搬送基台25内には、ラック側ローラアクチュエータ56が設けられている(図5参照)。ラック側ローラアクチュエータ56は、例えばタイミングベルトなどにより構成される伝達機構とサーボモータとから成り、複数のローラ55を同一方向に連動して回動させるように構成されている。このように構成されるラック側ローラアクチュエータ56は、ローラ55と共にラック側送り部を構成し、ローラ55を回動させてローラ55の上に載せられたガラス板2を左又は右方向に送ることができるようになっている(図9の矢符F参照)。
【0061】
更に、ラック側搬送基台54は、ラック側昇降機構57を有している。ラック側昇降機構57は、前述する一対の昇降レール52,53及びそれらに取り付けられているスライダブロック(図示せず)とボールねじ機構とサーボモータ等から成るラック側昇降アクチュエータ58とを有している(図5参照)。ラック側昇降機構57は、ラック側搬送基台54を昇降可能に構成されており、ラック側搬送基台54は、ローラ55の上面が梁部材31b及び横桁31cの上端よりも高い位置にある搬送位置とローラ55全体が梁部材31b及び横桁31cの上端より低い位置にある待機位置との間を昇降するように構成されている(図9の矢符G参照)。なお、搬送位置では、トラック側トラック側搬送基台25のローラ26の上面(つまり、トラック側送り部面)とラック側搬送基台54のローラ55の上面(つまり、ラック側送り部面)とが略同一平面状に位置している。
【0062】
このように構成されるラックロボット40は、図5に示すように、そこに備わる各アクチュエータ50,56,58の動作を制御すべくラック制御部59を備えている。ラック制御部59は、ストッカ設備1に備わる制御装置29の一部の制御ブロックである。ラック制御部59は、信号配線を介して、ラック側スライドアクチュエータ50、ラック側ローラアクチュエータ56、及びラック側昇降アクチュエータ58に接続されている。ラック制御部59は、制御装置29の記憶部29aに予め記憶されたプログラム及び入力装置30により入力された指令に基づいて前記各アクチュエータ50,56,58に信号を送ってそれらの動作を制御する機能を有している。なお、本実施形態において、ラック制御部59は、左右に夫々配置される2つのラックロボット40の各構成を互いに独立して制御できるように構成されている。
【0063】
<センサ類>
このように構成されるトラックロボット10及びラックロボット40には、図11(a)及び(b)に示すようなセンサ60が設けられている。センサ60は、例えばペア型のファイバーセンサであり、投光部60aと受光部60bとを有している。投光部60aは、例えばトラック側搬送基台25の左右両端面に夫々1つずつ取り付けられ、受光部60bは、例えばラック側搬送基台54の左右両端面のうちトラック側搬送基台25側の端面に取り付けられている。
【0064】
このように取り付けられた投光部60a及び受光部60bは、各基台25,54に取付けられたローラ26,55が一列に並ぶと、投光部60aからの光を受光部60bが受光し(図10の(b)参照)、そこから外れると、受光部60bが投光部60aからの光を受光できない(図10の(a)参照)ようになっている。また、投光部60a及び受光部60bは、信号線を介して制御装置29に接続されている。そして、制御装置29は、投光部60aの動作を制御し、受光部60bの出力結果を受信するように構成されている。なお、センサ60は、ペア型のファイバーセンサに限らず、反射型のファイバーセンサであってもよい。
【0065】
また、トラックロボット10、ラック32及びラックロボット40には、図示しない様々なセンサが設けられている。例えば、トラックロボット10に受け渡しするガラス板2の位置を検出するセンサが設けられていたり、ラック32にその中の何れの位置にガラス板2が収納されているかを検出するセンサが設けられていたりしている。これらのセンサは、例えば反射型ファイバーセンサによって実現することができる。
【0066】
このように構成されるトラックロボット10及びラックロボット40は、ラック32の挿入口32aを介してガラス板2を受け渡すように構成されている。以下では、ホイールコンベア3上を移動するガラス板2をラック32に収容し、また収容されたガラス板2を搬出する際のトラックロボット10及びラックロボット40の動作について、図1、図3、図5及び図12乃至図22を参照しながら説明する。なお、図11以降の図面では、図3と同様に右側のラック32をラック基台31から取り外した状態で示している。
【0067】
<ガラス板の収納動作>
図12は、制御装置29がトラックロボット10及びラックロボット40の動作を制御する際に基づいているダイヤグラム図を示している。ダイヤグラム図の一番左の構成欄には、各ロボット10,40のアクチュエータが示されており、その右側のダイヤグラム欄には、各構成のダイヤグラム、つまり各タイミングにおいて駆動させるアクチュエータに色を付けて示している。以下では、このダイヤグラム図を参照しながら、ガラス板2を収納及び取り出す際のトラックロボット10及びラックロボット40の動作について説明する。
【0068】
まず、ダイヤグラム図に示す制御を実行する前に、制御装置29のトラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13及びフリップアクチュエータ18を駆動してフリップ17を水平姿勢にしてホイールコンベア3の停止位置の下方にて待機させる。トラックロボット10は、この状態でホイールコンベア3上を移動するガラス板2を待つ。更に詳細に説明すると、制御装置29は、トラック側スライドアクチュエータ13の動作を制御し、トラックロボット10のトラック側走行基台14をホイールコンベア3付近まで移動させる。移動させた後、制御装置29は、フリップアクチュエータ18の動作を制御してフリップ17を後側へと倒す。この際、フリップ17の3つの支持板20がホイール軸5の間に夫々入り、フリップ17の球面ローラ21がホイール軸のローラと面一又はそれよりも下側に位置する。そして、ホイールコンベア3は、図示しないコンベア用制御装置がストッパ6を突出させると共にホイール軸5を駆動し(ステップS1)、ホイールコンベア3上を移動してくるガラス板2が停止位置まで来るのを待つ。
【0069】
ホイールコンベア3上を移動してきたガラス板2がストッパ部材6(図1参照)により停止位置にて止められると、ホイールコンベア3はホイール軸5の駆動を止める。それに伴って、トラック制御部28は、フリップアクチュエータ18を駆動してフリップ17を前方に起こす(ステップS2)。停止位置の下方で待機しているフリップ17を起こすことで、ガラス板2がフリップ17の上に載せられ、更に起こすことでガラス板2が立ち上がっていく。この際、ガラス板2がフリップ17から脱落しないようにフリップ17の支持部22がガラス板2の下端を下から支持している。
【0070】
次に、トラック制御部28は、ガラス板2の下端を支持部22に支持させた状態のままフリップ17を起こし続け、フリップ17が水平状態から角度α(図13参照)回動したところでフリップアクチュエータ18の動きを一旦止める。なお、角度αは、ガラス板2が直立しない角度であり、フリップ17の各支持板20が少なくともホイール軸5の間から上方に抜け出すように設定されている。このような角度αに設定することで、後述するガラス板2の移動の際にガラス板2が引き起こす風の風量を少なくすることができる。これにより、ラック32に収納されているガラス板2に作用する風量を低減し、ガラス板2の移動時におけるガラス板2のバタつきが抑制できる。
【0071】
また、トラック制御部28は、フリップ17がホイール軸5の間から上方に抜けると、ステップS2に並行してトラック側スライドアクチュエータ13を駆動し、トラック側走行基台14を前方に移動させる(ステップS3)。トラック制御部28は、収納位置の前までトラック側走行基台14を移動させるとトラック側スライドアクチュエータ13の動きを止める(図14)。ここで収納位置とは、フリップ17に載るガラス板2を収納すべきラック32の位置である。この収納位置は、ガラス板2毎に予め決められており、例えばガラス板2に取り付けられたQRコードや非接触型IC等の識別子から該ガラス板2の識別情報を読み取ることでガラス板2の収納位置を取得するようになっている。
【0072】
トラック側搬送基台25が収納位置の前までに辿り着くと、トラック制御部28は、フリップアクチュエータ18を駆動し、辿り着く前までに角度αまで回動させたフリップ17を更に起こす(ステップS4)。トラック制御部28は、フリップ17を略垂直になる角度βまで回動させて略垂直な状態にまでガラス板2を立てる(図17参照)。なお、角度βは、85度以上90度未満の範囲で設定される。但し、この角度βは、前記角度範囲に限定されない。
【0073】
このような一連のトラック制御部28の制御に並行して、ラック制御部59は、ラックロボット40の動作を制御する。具体的には、トラック制御部28がトラック側スライドアクチュエータ13を駆動すると、ラック制御部59もラック側スライドアクチュエータ50を駆動する(ステップS5)。ラック側スライドアクチュエータ50を駆動することで、事前に待機位置まで降ろされているラック側搬送基台54(図13及び図14参照)が前後方向にスライド移動する。ラック制御部59は、ラック側搬送基台54を収納位置に向かって前方又は後方に動かし、ラック側搬送基台54が収納位置に来たところでラック側スライドアクチュエータ50の動きを止める(図15参照)。
【0074】
ラック制御部59は、続けてラック側昇降アクチュエータ58を駆動する(ステップS6)。ラック側昇降アクチュエータ58が駆動することでラック側搬送基台54が昇っていき、やがてラック側搬送基台54が搬送位置にきたところでラック側昇降アクチュエータ58の動きを止める(図16参照)。これにより、トラック側搬送基台25及びラック側搬送基台54が左右方向に一列に並び、それらに備わっているローラ26,55の上面が同一平面状に位置する。センサ60は、このようにラック側搬送基台54及びトラック側搬送基台25が左右に一列に並んだ状態を検出し、そのことを制御装置29へと送信する。
【0075】
これを受信した制御装置29は、各基台25,54に設けられたローラ26,55が一列に並んだと判断する。この判断に基づき、トラック制御部28は、リフトシリンダ23を駆動して、支持部22を降ろす(ステップS7)。支持部22は、トラック側搬送基台25を移動させる際にガラス板2がローラ26やトラック側搬送基台25に当たらないようにローラ26から上方に離れて位置しており(図18参照)、ローラ26よりも高いところにある。そこで、トラック制御部28は、リフトシリンダ23を駆動して支持部22をゆっくりと下降させ、ローラ26の上面にガラス板2を載せる。トラック制御部28は、載せた後も支持部22を更に下降させ、支持部22をガラス板2から離す(図19参照の破線参照)。
【0076】
支持部22からガラス板2が離れると、トラック制御部28は、トラック側ローラアクチュエータ27によりローラ26を反時計回りに回動させる(ステップS8)。ローラ26が反時計回りに回動すると、その上面に載せられたガラス板2が左側へと送られる。この際、ガラス板2はフリップ17の方へと寄り掛かっているが、ガラス板2の背面が球面ローラ21により支持されているので、ガラス板2は、後側や前側に倒れることなく滑らかに移動することができる。
【0077】
左側へと送っていくと、ガラス板2がラック32の挿入口32aに挿入され、やがて、ガラス板2の上端部がラック32の挿入口32a付近にある上桁33bに設けられている隣接する2つの案内ローラ35(図8(a)参照)の間に嵌挿される(つまり、ラック32に搬入される)。これにより、ガラス板2の上端部が案内ローラ35によって支持され、ガラス板2がラック32に送られても倒れることがない。更にガラス板2を左側に送ることで、ガラス板2の下端の左側がラック側搬送基台54のローラ55に乗り移る。
【0078】
ラック制御部59もまた、トラック制御部28と同様に、ラック側ローラアクチュエータ56によりローラ55を反時計回りに回動させている(ステップS9)。ローラ26及びローラ55は、同期しており、ローラ55に乗り移ったガラス板2を協働して左側(つまり、ラック32の奥側)に送る(図20参照)。このようにガラス板2が更に左側に送られることで、ガラス板2の上端部が他の上桁33bの案内ローラ35の間に次々と嵌挿され、ガラス板2は、その上端部を複数の案内ローラ35によって案内されながら収納位置まで移動する。やがて、ガラス板2が収納位置まで達すると、トラック制御部28及びラック制御部59は、ローラアクチュエータ27,56の動きを止めてガラス板2の送るのを止める(図21参照)。
【0079】
ラック側ローラアクチュエータ56の動きを止めた後、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動し、ラック側搬送基台54を降ろす(ステップS10)。収納位置では、ガラス板2の下端が側面視で前後に隣接する2つのセパレータ34の間に位置しており、ラック側搬送基台54を降ろすと各底桁33aに隣接する用に設けられた2つのセパレータ34の間にガラス板2の下端部が挿入される(図8(b)参照)。更に降ろすと、やがて、ガラス板2の下端が各下桁33aに載せられる(図22参照)。このようにガラス板2の下端部が下桁33aにより下から支持され、また上端部を案内ローラ35にもたれ掛かるような状態で、ガラス板2がラック32に少し傾けて収納される。なお、ラック32に収納されるガラス板2は、トラックロボット10からラックロボット40に受け渡す際の傾き、つまりフリップ17の角度βと同じ角度で収納されている。
【0080】
ガラス板2を下桁33aに載せた後も、ラック側昇降機構57は、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動し、ラック側搬送基台54を下降させる。そして、全てのローラ26が下桁33aの下側に抜けてラック側搬送基台54が待機位置まで降りると、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58の動きを止めて、次のガラス板2の取り出し動作又は搬入作業に備える。
【0081】
<ガラス板の取出し動作>
次に、ラック32からガラス板2を取り出す(つまり、ラック32からガラス板2を搬出する)場合のトラックロボット10及びラックロボット40の動作について、図12等を参照しながら説明する。なお、ガラス板2の搬出作業は、ガラス板2の搬入作業の手順と逆の手順を踏むことで実行される作業のため、ガラス板2の搬出作業における各状態における図面として図13〜図22を参照する。
【0082】
トラック制御部28は、ラック制御部59がラック側搬送基台54を降ろしてガラス板2を収納している際、それに並行してトラック側スライドアクチュエータ13を駆動し、搬出すべきガラス板2の収納位置の前までトラック側搬送基台25を移動させる(ステップ11)。そして、収納位置の前にトラック側搬送基台25が辿り着くと、トラック制御部28は、トラック側トラック側スライドアクチュエータ13の動きを止める(図22参照)。また、ラック制御部59は、ラック側搬送基台54を待機位置に戻した後、ラック側スライドアクチュエータ50を駆動し、搬出すべきガラス板2の収納位置に向かってラック側搬送基台54を移動させる(ステップ12)。そして、ラック側搬送基台54が収納位置に来たところでラック側スライドアクチュエータ50の動きを止める(図22参照)。
【0083】
ラック制御部59は、続けてラック側昇降アクチュエータ58を駆動し、ラック側搬送基台54を上昇させる(ステップS13)。ラック側搬送基台54のローラ55は、平面視でガラス板2の下端の真下に位置しており、ラック側搬送基台54を上昇させると、そのローラ55の上面にガラス板2の下端が載る。更にラック側搬送基台54を搬送位置まで上昇させることで、下桁33aに載っていたガラス板2が下桁33aから持ち上がり、やがてガラス板2が倒れないように支持していたセパレータ34とそれに隣接するセパレータ34との間から上方に抜け出す。このようにセパレータ34の間から抜け出してラック側搬送基台54が搬送位置に達すると、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58の動きを止める(図21参照)。
【0084】
また、ラック側搬送基台54が搬送位置に達し、ラック側搬送基台54とトラック側搬送基台25とが左右方向に一列に並ぶと、この状態をセンサ60が検出し、そのことを制御装置29に送信する。これを受信した制御装置29は、各基台25,54に設けられたローラ26,55が一列に並んだと判断する。この判断に基づき、ラック制御部59は、ラック側ローラアクチュエータ56によりローラ55を時計回りに回動させる(ステップS14)。これにより、ガラス板2は、その上端部を複数の案内ローラ35によって案内されながら右側に送られ、やがてその右側がラック32の挿入口32aから出てトラック側搬送基台25のローラ26に乗り移る。
【0085】
トラック制御部28もまた、ラック制御部59と同様に、トラック側ローラアクチュエータ27によりローラ26を時計回りに回動させている(ステップS15)。ローラ26及びローラ55は、同期しており、ローラ26に乗り移ったガラス板2を協働して挿入口32aから右側(つまり、ラック32の手前側)に送り出す(図20参照)。
【0086】
このように右側に送り出されたガラス板2は、その上端部が案内ローラ35の間から次々と抜けて上端部の支えが無くなっていくが、フリップ17が送り出されるガラス板2の角度と略同じ角度βで立てられているため、挿入口32aから送り出された部分がそのままフリップ17の球面ローラ21に支持されその上を移動する。それ故、ガラス板2をラック側搬送基台54からトラック側搬送基台25に受け渡してもガラス板2が後側に倒れたり、またもたれかかって捻れたりして破損するようなことがない。
【0087】
ローラ26及びローラ55が協働してガラス板2を送り出し、ガラス板2の全体がトラック側搬送基台25上(つまり、ローラ26の上面)に載る(図19参照)と、トラック制御部28及びラック制御部59は、トラック側ローラアクチュエータ27,56の動きを止めてガラス板2の送るのを止める。なお、トラック側搬送基台25には、例えば図示しないセンサ(例えば、反射型ファイバーセンサ)が設けられ、このセンサによりガラス板2の全体がトラック側搬送基台25上に載ったか否かを制御装置29が判定できるように構成されている。
【0088】
ガラス板2の全体がトラック側搬送基台25上に載ると、トラック制御部28は、リフトシリンダ23を駆動し、ローラ26の上面より下に位置している支持部22(図19参照)をゆっくりと上昇させる(ステップS16)。上昇させると、やがてガラス板2の下端がローラ26の上面に載り、更に上昇させることでガラス板2の下端がローラ26の上面から離れる。そして、ガラス板2の下端がローラ26の上面から一定距離離れると、トラック制御部28は、リフトシリンダ23の動きを止める(図17及び18参照)。このように上昇させている間もガラス板2は、フリップ17にもたれており、球面ローラ21によって支持されている。また、ラック制御部59は、次のガラス板2の搬入に備えるべく、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動してラック側搬送基台54を待機位置まで降ろす(ステップS17)。
【0089】
リフトシリンダ23の動きを止めた後、トラック制御部28は、続けてフリップアクチュエータ18を駆動し、フリップ17を回動させて後方に倒す(ステップS18)。フリップ17の傾きが角度αになる(図16参照)と、トラック制御部28は、フリップアクチュエータ18を止める。そして、トラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13を駆動してトラック側搬送基台25を後方に移動させる(ステップS19)。そして、トラック側搬送基台25がホイールコンベア3付近まで来ると、トラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13の動きを止める。
【0090】
トラック制御部28は、続けてフリップアクチュエータ18を駆動してフリップ17を倒す(ステップS20)。フリップ17を水平姿勢まで倒すと、フリップ17の各支持板20をホイール軸5の間に入り、フリップ17に支持されていたガラス板2がホイールコンベア3の停止位置に載せられる。トラック制御部28は、フリップ17を水平姿勢まで倒れたところでフリップアクチュエータ18の動きを止める。ホイールコンベア3にガラス板2が載ると、コンベア用制御装置は、突出していたストッパ6を降ろし、ホイール軸5を駆動してガラス板2を下流側へと移動させる。そして次に上流側から移動してくるガラス板2をラック32に収納すべくステップS1に戻る。このようにしてガラス板2の搬入及び搬出が繰り返し行われる。
【0091】
このようにストッカ設備1では、フリップ17とラック32との間において、トラック側搬送基台25及びラック側搬送基台54によりガラス板2を受け渡しすることで、ガラス板2をラック32に収納することができる。この際、ガラス板2がフリップ17により支持されているので、ガラス板2を倒すことなく立てた状態でラック32に収納することができる。また、ラック32に立てた状態で収納されるガラス板2をトラック側搬送基台25及びラック側搬送基台54によりフリップ17に受け渡することができ、ラック32からガラス板2を取り出すことができる。
【0092】
このようにトラック側搬送基台25及びラック側搬送基台54によりガラス板2を左右方向に移動させて受け渡しするので、ガラス板2を搬入及び搬出する際に、従来技術のようにトラックロボット10をラック32内に挿入する必要がない。これにより、ストッカ設備1の設置面積を低減すべくガラス板2同士の間隔を狭くしてガラス板2の収納ピッチを密にしても、2つのガラス板2の間に新たなガラス板2を搬入し、又は並んでいる複数のガラス板2の中から何れのガラス板2でも搬出する際に従来技術のように収納されたガラス板2とエンドエフェクトとが接触して損傷させることがない。それ故、確実にかつ迅速にラック32に対するガラス板2の搬入及び搬出を行なうことができる。
【0093】
また、ガラス板2が太陽光パネルや液晶パネルの場合、様々な構成がガラス板2の一表面に集められているので、ガラス板2の裏側だけに触れることができる。本実施形態のストッカ設備1では、ホイールコンベア3上を移動するガラス板2をトラックロボット10が下から掬って立て、そしてその状態でガラス板2を動かすようになっているので、フリップ17がガラス板2の上面(又は前面)に触れることがない。それ故、ストッカ設備1では、ガラス板2をその一表面を上(又は前)にしてホイールコンベア3とラック32との間を移動させることができ、ガラス板2上の構成を損傷させることなくガラス板2を移動させることができる。
【0094】
また、本実施形態のストッカ設備1では、ラック32側にトラックロボット10と別の搬送用ロボットが備わっているので、トラックロボット10を左右にスライドさせてラック32の収納部分はおろかそれ以外の部分、つまりラック隔壁32の何れの部分にも挿入する必要がない。それ故、トラックロボット10をラック32内に挿入する時間を省くことができる。これにより、一枚当りのラック32に対するガラス板2の搬入及び搬出時間を短くすることが可能になる。
【0095】
更に、本実施形態のストッカ設備1では、トラックロボット10の左右両側にラック32の列を配置し、ラック32毎にラックロボット40が設けられ、各ラックロボット40は、全て独立して動作するように構成されている。例えば、同じ列にある別のラック32からガラス板2を搬出する場合、ラック側搬送基台54を一旦待機位置に降ろしてから収納位置まで移動させ、再度搬送位置に上げる必要がある。しかし、トラックロボット10の左側にあるラック32にガラス板2を搬入し、その後、右側にあるラック32からガラス板2を搬出する場合、各ラックロボット40を独立して動かすことで、左側にあるラックロボット40が搬入動作をしている間に右側のラックロボット40を搬出すべきガラス板2の収納位置に位置させておくことができる。これにより、ラック側搬送基台54を昇降させて移動させる時間の分だけ搬出時間を短縮することができる。
【0096】
また、本実施形態のストッカ設備1では、ラック側昇降アクチュエータ58によりトラック側搬送基台25を昇降させることで、ガラス板2を下桁33aやセパレータ34より高く位置させることができる。これにより、ラック32に対してガラス板2を搬入及び搬出する際にガラス板2が下桁33aやセパレータ34と擦れながら移動することを防ぐことができる。これにより、ガラス板2が傷ついたり、擦れて粉塵が発生したりすることを防ぐことができる。また、収納位置においてガラス板2をガラス板2をゆっくり昇降させるので、下降時にガラス板2が下桁33aに強く当たって破損し、また上昇時にガラス板2がラック側搬送基台54に強く当たって破損することを防ぐことができる。
【0097】
更に、本実施形態のストッカ設備1において、ラック側搬送基台54が搬送位置まで上昇すると、複数の下桁33aの間やその横から取付部54aが突出し、下桁33aより高いところにローラ26の上面が位置する。これにより、ラック32内でもガラス板2を左右方向にスムーズに移動させることができ、ラック32とフリップ17との間のガラス板2の受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0098】
本実施形態のストッカ設備1では、フリップ17が複数の球面ローラ21によりガラス板2を支持している。それ故、ローラ26によりガラス板2をスライド移動させる際、ガラス板2をフリップ17に立て掛けたままスライド移動させても滑らかに動かすことができる。これによりラック32とフリップ17との間でガラス板2を受け渡しする際、ガラス板2が倒れることを防ぐことができる。また、フリップ17の支持板20上を摺動させるとガラス板2が損傷したり、粉塵が発生したりするが、そのようなことも防ぐことができる。
【0099】
更に、本実施形態のストッカ設備1では、トラック側走行基台14によりフリップ17及びトラック側搬送機構24を一緒に動かすことができるので、フリップ17とトラック側搬送機構24との間の位置あわせが不要であるので、動作プログラムを容易にすることができる。また、一緒に動かすことで、フリップ17とトラック側搬送機構24とを別々に動かす場合に比べて部品点数を低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0100】
なお、本実施形態のストッカ設備1では、図示していないがトラック側走行基台14にヒンジ昇降機構が取り付けられていてもよい。ヒンジ15は、このヒンジ昇降機構を介してトラック側走行基台14に取付けられており、ヒンジ昇降機構によってヒンジ15が昇降するようになっている。ヒンジ昇降機構は、支持板20の上面20aがホイールコンベア3の上面より上に位置するまでヒンジ15を上昇させ、また前記支持板20の上面20aがホイールコンベア3の上面より下に位置するまでヒンジ15を下降させる。
【0101】
具体的には、ホイールコンベア3からガラス板2を取る際、フリップ17を回動させる前にヒンジ15を上昇させることで、フリップ17を回動させることなくその上にガラス板2を載せることができる。また、逆にホイールコンベア3にガラス板2を置く際、フリップ17を水平状態にしてヒンジ15を下降させることで、ホイールコンベア3に載せることができる。このようにガラス板2をホイールコンベア3に取り置きすることでガラス板2を水平状態のままフリップ17に載せることができ、取り置きする際にガラス板2が傾くことを防ぐことができる。
【0102】
また、本実施形態のストッカ設備1では、センサ60によりトラック側搬送基台25とラック側搬送基台54とが左右一列に並んでいることが検出さないとガラス板2の受け渡しを行なわないようになっている。それ故、ガラス板2の受け渡しが上手くいかずにガラス板2が底桁33aのところに落ちて損傷したり、また底桁33aに摺りながら移動して粉塵が生じたりすることを防ぐことができる。
【0103】
[第2実施形態]
第2実施形態のストッカ設備1Aは、第1実施形態のストッカ設備1と構成が類似している。そこで、第2実施形態のストッカ設備1Aの構成については、第1実施形態のストッカ設備1の構成と異なる点についてだけ説明し、同じ点については同一の符号を付して説明を省略する。第3及び第4実施形態も同様である。
【0104】
第2実施形態のストッカ設備1Aのトラックロボット10Aは、隣接する2つの支持板20の間に補助板20Aが設けられている。補助板20Aは、支持板20より短く形成されているが、その長さを除いて支持板20と同じように構成されおり、その前面に複数の球面ローラ21を有している。この補助板20Aを設けることで、第1実施形態で示す大型のガラス板2だけでなく、横幅がガラス板2の横幅の半分しかないハーフサイズのガラス板2A(図23参照)や横幅及び高さがガラス板2のそれの半分しかないクォータサイズのガラス板(図示せず)を2枚同時にフリップ17に載せて、各ガラス板2Aを別々のラック32に収納することができる。以下では、フリップ17に載せられた2枚のガラス板2Aを別々のラック32に収納し、更に他のラック32から2枚のガラス板2Aを同時に取り出す場合について図24のダイヤフラム図を参照しながら説明する。なお、図24のダイヤフラム図の各欄に記載される内容は、図12と同様であるので、説明は省略する。
【0105】
<ガラス板の収納動作>
トラック制御部28及びラック制御部59は、まず第1実施形態のストッカ設備1におけるステップS1〜S9と同様の制御を行う。つまり、ホイールコンベア3上を移動する2枚のガラス板2Aをストッパ6で止め(ステップS31)、トラック制御部28は、フリップ17を前方に回動させて起こして2枚のガラス板2Aをその上に載せる(ステップS32)。更に、トラック制御部28は、フリップ17の傾きが角度αになるまでフリップ17を起こしながらトラック側走行基台14を収納位置まで移動させる(ステップS33)。
【0106】
他方、ラック制御部59は、トラック制御部28の制御に平行して、ラック側搬送基台54を収納位置までスライドさせ(ステップS34)、更に収納位置に来た後、ラック側搬送基台54を搬送位置まで上昇させる(ステップS35)。トラック側搬送基台25が収納位置の前に辿り着き、ラック側搬送基台54が搬送位置まで上昇したところでこれらが一列に並んだことを示す信号がセンサ60から制御装置29に送信される。それに伴って、トラック制御部28は、フリップ17の傾きが角度βになるまで再度フリップ17を起こす(ステップS36)。フリップ17の傾きが角度βになると、トラック制御部28は、支持部22を降ろしてガラス板2Aをトラック側搬送基台25のローラ26に載せ(ステップS37)、ローラ26を回動させる(ステップS38)。ラック制御部59もまた、ローラ26に同期させてラック側搬送基台54のローラ55を回動させており(ステップS39)、これにより1枚のガラス板2Aがフリップ17からラック32に受け渡される。
【0107】
ガラス板2Aが受け渡されてその全体がラック側搬送基台54のローラ26の上面に載ると、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動してラック側搬送基台54を降ろし、ガラス板2Aを下桁33aに載せる(ステップS40)。これにより、1枚のガラス板2Aの収納動作が完了する。なお、ラック制御部59は、収納動作が完了した後もラック側搬送基台54を待機位置まで降ろし、次のガラス板2Aの取り出し作業又は搬入作業に備える。
【0108】
1枚のガラス板2Aを受け渡し、もう1枚のガラス板2Aがトラック側搬送基台25のローラ26の上面に載った状態で、トラック制御部28は、リフトシリンダ23を駆動して支持部22を上昇させ、もう一枚のガラス板2Aをローラ26から持ち上げる(ステップS41)。持ち上げた後、トラック制御部28は、続けてフリップアクチュエータ18を駆動してフリップ17の傾きが角度αになるまでフリップ17を回動させる(ステップS42)。フリップ17の傾きが角度αになったところで、トラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13を駆動し、別の収納位置の前までトラック側搬送基台25を移動させる(ステップS43)。
【0109】
他方、ラック制御部59は、その後、ラック側スライドアクチュエータ50を駆動してラック側搬送基台54を収納位置まで移動させる(ステップS44)。収納位置まで来たところで、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動してラック側搬送基台54を搬送位置まで上昇させる(ステップS45)。トラック側搬送基台25が収納位置の前に辿り着き、ラック側搬送基台54が搬送位置まで上昇したところでこれらが一列に並んだことを示す信号がセンサ60から制御装置29に送信される。それに伴って、トラック制御部28は、フリップアクチュエータ18を駆動してフリップ17の傾きが角度βになるまで再度フリップ17を回動させる(ステップS46)。
【0110】
フリップ17の傾きが角度βになると、トラック制御部28は、支持部22を降ろしてガラス板2Aをトラック側搬送基台25のローラ26に載せ(ステップS47)、ローラ26を回動させる(ステップS38)。ラック制御部59もまた、ローラ26に同期させてラック側搬送基台54のローラ55を回動させており(ステップS49)、これによりもう1枚のガラス板2Aもまたフリップ17からラック32に受け渡される。ガラス板2Aがラック32内に受け渡されてガラス板2Aの全体がラック側搬送基台54のローラ55の上面に載ると、ラック制御部59は、ラック側昇降アクチュエータ58を駆動してラック側搬送基台54を降ろし、ガラス板2Aを下桁33aに載せる(ステップS50)。なお、ラック制御部59は、収納動作が完了した後もラック側搬送基台54を待機位置まで降ろし、次のガラス板2Aの取り出し作業又は搬入作業に備える。
<ガラス板の取り出し動作>
ラック側搬送基台54を降ろしている間、トラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13を駆動し、2枚のガラス板2Aが左右に並べて収納された収納位置までトラック側搬送基台25を移動させる(ステップS51)。ラック制御部59は、ラック側搬送基台54を待機位置まで降ろした後、トラック制御部28の制御に並行してラック側スライドアクチュエータ50を駆動し、ラック側搬送基台54を収納位置へと移動させる(ステップS52)。ラック制御部59は、続けてラック側昇降アクチュエータ58を駆動し、ラック側搬送基台54を搬送位置まで上昇させてローラ55の上面にガラス板2Aを載せる(ステップS53)。
【0111】
ラック側搬送基台54が搬送位置まで達すると、ラック側搬送基台54とトラック側搬送基台25とが左右方向に一列に並び、そのことがセンサ60から制御装置29に送信される。これを受信した制御装置29はローラ26,55が一列に並んだと判断し、ラック制御部59がラック側ローラアクチュエータ56を駆動してローラ55を回動させる(ステップS54)。トラック制御部28もまた、ローラ55に同期させて、トラック側搬送基台25のローラ26を回動させており(ステップS55)、これにより2枚のガラス板2Aがラック32からフリップ17へと受け渡される。
【0112】
2つのガラス板2Aがフリップ17に受け渡されてそれらの全体がトラック側搬送基台25に載ると、トラック制御部28は、第1実施形態のストッカ設備1のステップS16〜ステップS21と同様の制御を行う。つまり、トラック制御部28は、支持部22をゆっくりと上昇させて2枚のガラス板2Aをローラ26から上方に離し(ステップS56)、フリップ17をその傾きが角度αになるまで後方に倒す(ステップS57)。フリップ17を角度αまで倒した後、トラック制御部28は、トラック側搬送基台25をホイールコンベア3付近まで移動させ(ステップS58)、更にフリップ17を水平姿勢まで倒してホイールコンベア3上に2枚のガラス板2Aを載せる。2枚のガラス板2Aがホイールコンベア3上に載せられると、コンベア用制御装置は、突出していたストッパ6を降ろし、ホイール軸5を駆動してガラス板2を下流側へと移動させる。そして、次に上流から移動してくるガラス板2又はガラス板2Aをラック32に収納すべくステップS1又はステップS31に戻り、ガラス板2,2Aの搬入及び搬出が繰り返し行われる。
【0113】
このように本実施形態のストッカ設備1Aでは、2枚のガラス板2Aを同時にフリップ17に載せ、それらを別々のラック32に収納することができる。またラック32の1つの収納位置に2枚並べて収容されているガラス板2Aを同時に搬出することができる。それ故、ガラス板2Aの搬入及び搬出時間を短縮することができる。
【0114】
また、本実施形態のストッカ設備1では、ラックロボット40によりラック32に収納されているガラス板2Aの左右方向に動かしてその位置を変えることができる。これにより、ガラス板2Aが予め収納された収納位置に更にもう1枚のガラス板2Aを収納する場合、収納されているガラス板2Aを左右に動かしてその位置を予め調整しておくことで、その収納位置にもう1枚のガラス板2Aを左右に並ぶように後から収納することができる。このように後からガラス板2Aの左右の位置を調整できるので、ガラス板2Aをラック32に収容する時にその位置をきっちりと決めておく必要がなく、収納位置に2枚のガラス板2Aを並べて収容する際の制御が容易である。
【0115】
その他、ストッカ設備1Aは、第1実施形態のストッカ設備1と同様の作用効果を奏する。
【0116】
このように構成される第1及び第2実施形態のストッカ設備1,1Aにおいて、ラックロボット40は、トラックロボット10より構成部材が少ないので、トラックロボット10よりも素早く動かすことができる。また、ラックロボット40は、トラックロボット10に対して独立して動作することができる。それ故、トラックロボット10からラックロボット40にガラス板2を受け渡した後、ラックロボット40よりもトラックロボット10を先に次の搬出位置に向かって動かすことで、ガラス板2,2Aの搬出時間を短縮することができる。以下では、18Aよりも搬出時間を更に短縮できる第3実施形態に示す。
[第3実施形態]
第3実施形態のストッカ設備1Bでは、トラックロボット10Bが更に昇降機構を有している。トラック側搬送基台25は、このトラック側昇降機構を介してトラック側走行基台14の前部に取付けられている。トラック側昇降機構は、トラック側昇降アクチュエータ71により構成されている。トラック側昇降アクチュエータ71は、例えば空気圧シリンダから成り、トラック側搬送基台25を上下に昇降可能に構成されている(図26参照の矢符H参照)。
【0117】
ストッカ設備1Bでは、ガラス板2,2Aを搬出及び搬入する際、図12及び図24に示すような制御手順と略同じ手順でトラックロボット10B及びラックロボット40の動作を制御している。以下では、制御手順が異なる点についてだけ説明する。
【0118】
ストッカ設備1Bでは、ガラス板2,2Aをトラック側搬送基台25からラック側搬送基台54を送り(例えばステップS8〜S9、ステップS38〜S39、又はステップS48〜S49)、ガラス板2,2Aの少なくとも半分がラック側搬送基台54に乗り移ったときにトラック側昇降アクチュエータ71を駆動し、トラック側搬送基台25を下降させる。これにより、トラック側搬送基台25がガラス板2,2Aから離れる。離れた後、トラック制御部28は、トラック側スライドアクチュエータ13を駆動し、ラック側搬送基台54より先にトラック側搬送基台25を次の収納位置の前に向かって移動させる。このように先に動きの遅いトラック側搬送基台25を動かしておくことで、ガラス板2,2Aの搬出時間を大幅に短縮することができる。
【0119】
その他、第3実施形態のストッカ設備1Bは、第1実施形態のストッカ設備1と同様の作用効果を奏する。
【0120】
[第4実施形態]
第4実施形態のストッカ設備1Cでは、トラックロボット10Cがトラック側搬送基台25を有しておらず、その代わりにラックロボット40Cにラック側トラバース機構72を有している。ラック側トラバース機構72は、ラック側走行基台46に設けられており、ボールねじ機構等によって構成されるラック側トラバースアクチュエータ73を有している。搬送機構であるラック側搬送機構51では、ラック側搬送基台54Cがこのラック側トラバース機構72を介してラック側走行基台46に取付けられている。ラック側トラバースアクチュエータ73は、待機位置に位置するラック側搬送基台54Cを左右方向に横移動可能(図27の矢符I参照)に構成されており、ラック側搬送基台54Cは、横移動させることでフリップ17を有するトラックロボット10C側とラック32側との間を架け渡すように横方向に延在する(図27参照)。
【0121】
このような構成を有するストッカ設備1Cでは、ラック側走行基台46を収納位置まで移動させ、またフリップ17を収納位置の前まで移動させると、ラック制御部59がラック側トラバースアクチュエータ73によりフリップ17の支持部22の下方位置までラック側搬送基台54Cを横移動させ、更にラック側昇降アクチュエータ58によりラック側搬送基台54Cを上昇させる。上昇させた後、トラック制御部28がリフトシリンダ23により支持部22を下降させることで、ラック側搬送基台54Cのローラ55の上面にガラス板2が載置される。
【0122】
この状態でラック側ローラアクチュエータ56を駆動すると、フリップ17にもたれかかっていたガラス板2がラック32内へと送られる。ガラス板2の全体がラック32内に収容されたところでラック側昇降アクチュエータ58によりラック側搬送基台54Cを下降させると、ガラス板2が隣接する2つのセパレータ34の間に挿入され、やがて下桁33aに載せられる。これによりガラス板2がラック32に収納される。
【0123】
このように構成されるストッカ設備1Cは、トラックロボット10Cに備わる構成を少なくすることができるので、トラックロボット10Cの重量を低減することができる。これにより、トラックロボット10Cの動きを素早くすることができ、ガラス板2の搬入時間及び搬出時間を短縮することが可能になる。
【0124】
その他、第4実施形態のストッカ設備1Cは、第1実施形態のストッカ設備1と同様の作用効果を奏する。
【0125】
[その他の実施形態]
本実施形態において、トラック側走行基台14を動かす際、ガラス板2が支持板20に支持されているだけであるが、支持板20に吸着機構を設けてガラス板2を吸着するようにしてもよい。また、吸着機構でなくチャック等を設けて、トラック側走行基台14を動かすときだけガラス板2をフリップ17に把持させるような構成であってもよい。
【0126】
また、本実施形態では、トラック側走行基台14を動かす際のフリップ17の傾きを角度αにしているが、必ずしもそのような角度に摺る必要はない。フリップ17の傾きを角度βにしてもよい。この際、制御装置29がスライド装置11の動作を制御し、トラック側走行基台14の移動速度を遅くすることによってガラス板2が引き起こす風の風量を抑えることができる。
【0127】
また、前述するようにローラ26は、ローラに限らず、ベルト機構であってもよく、ガラス板2を左方向又は右方向にスライド移動させることができる構成であればよい。また、本実施形態では、フリップ17を角度αまで起こしたり倒したりしてからトラック側走行基台14をスライド移動させているが、トラック側走行基台14をスライド移動する際、必ずしもそのような動作をする必要はない。フリップ17を倒したままトラック側走行基台14をスライド移動させて収納位置の前に到着した後に角度βまで起こしてもよい。また、収納されたガラス板2を受け取った後、フリップ17を角度βにしたままトラック側走行基台14をスライド移動させてもよい。
【0128】
また、ラック32には、案内ローラ35が設けられているが、必ずしもローラである必要ない。例えば、セパレータ34のような構成であってもよく、隣接して収納される2つのガラス板2を離しておくことができるような構成であればよい。またラック32も上述するような形状でなくてもよい。
【0129】
本実施形態では、トラック側搬送機構24が2つのラック32の間に設けられているが、必ずしもその位置に限定されず、例えば、ラック32の下に設けられてもよい。この場合、各ラック32の下にトラック側走行基台14と同じ構成を有する別の移動装置が設けられ、トラック側搬送機構24は、この動送装置により前後方向に移動可能に構成されている。この場合、トラック側走行基台14と移動装置により移動機構が構成されている。このように構成されるストッカ設備では、トラック側搬送機構24のトラック側搬送基台25がラック32の下からフリップ17の方へとスライド移動し、トラック側搬送基台25によってラック32とフリップ17との間の受け渡しすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、複数の板状部材を立てた状態で並べて収納可能なラックと、前記ラックに板状部材を挿入したり、前記ラックから板状部材を取り出したりする板状部材移載機構とを備えるストッカ設備に適用することができる。
【符号の説明】
【0131】
1,1A〜1C ストッカ設備
2,2A ガラス板
10,10A〜10C トラックロボット
11 スライド装置
16 フリップ回動機構
17 フリップ
21 球面ローラ
22 支持部
24 トラック側搬送機構
26 ローラ
32 ラック
33a 底桁
40,40C ラックロボット
41 ラック側移動機構
51 ラック側搬送機構
55 ローラ
60 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部で支持されて搬送方向に延在するように立てられた複数の板状部材を前記搬送方向に交差する配列方向に並べて収納し、且つ挿入口から前記複数の板状部材を前記搬送方向に夫々搬入及び搬出可能に構成されたラックと、
前記挿入口から前記板状部材を前記搬送方向に前記ラックに搬入し又は前記ラックから搬出する板状部材移載機構と、を備える板状部材移載設備であって、
前記板状部材移載機構は、
前記ラックの前記挿入口に臨むトラック側空間に位置し、前記板状部材を支持して前記搬送方向に平行な回動軸線回りに回動可能なフリップを有し、前記フリップを回動させて前記板状部材を立て又は倒すフリップ回動機構と、
前記搬送方向に延在し、前記フリップ回動機構により立てられた前記板状部材を前記搬送方向に送る送り部を有する搬送機構と、
前記フリップ回動機構及び前記搬送機構を前記配列方向に移動させる移動機構と、を備えており、
前記搬送機構は、前記トラック側空間と前記ラックとの間で前記送り部により前記板状部材を立った状態で受け渡しするように構成されている、板状部材移載設備。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記送り部であるトラック側送り部を有し、前記トラック側空間に配置されているトラック側搬送機構と、前記送り部であるラック側送り部を有し、前記ラックに配置されるラック側搬送機構とによって構成される、請求項1に記載の板状部材移載設備。
【請求項3】
前記トラック側搬送機構と前記ラック側搬送機構は、前記トラック側送り部と前記ラック側送り部との間で立った状態で前記板状部材を受け渡しするように構成されている、請求項2に記載の板状部材移載装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記トラック側搬送機構を前記配列方向に移動させるトラック側移動機構と、前記ラック側搬送機構を前記配列方向に移動させるラック側移動機構とによって構成される、請求項2又は3に記載の板状部材移載設備。
【請求項5】
前記トラック側移動機構は、前記トラック側搬送機構と一緒に前記フリップ回動機構を前記配列方向に移動するように構成されている、請求項2乃至4の何れか1つに記載の板状部材移載設備。
【請求項6】
前記ラックは、複数の支持部材を有し、
前記複数の支持部材は、前記搬送方向に間隔をあけて配置され、その上面で前記板状部材を夫々支持可能に構成されており、
前記ラック側送り部は、ラック側送り部面上を移動させて前記板状部材を送るラック側駆動部材を有し、
前記ラック側搬送機構は、前記ラック側送り部面が前記支持部材の上面より高い位置にあるラック側搬送位置と、前記ラック側送り部面が前記支持部材の上面より低い位置にあるラック側待機位置との間で前記ラック側送り部を昇降可能に構成されている、請求項2乃至5の何れか1つに記載の板状部材移載設備。
【請求項7】
前記トラック側送り部は、前記トラック側送り部面上を移動させて前記板状部材を送るトラック側駆動部材を有し、
前記トラック側搬送機構は、前記トラック側送り部面が前記ラック側搬送位置に対応する前記ラック側送り部面と実質的に同じ高さにあるトラック側搬送位置と、前記トラック側送り部面が前記支持部材の上面より低い待機位置との間で前記トラック側送り部を昇降可能に構成されている、請求項6に記載の板状部材移載設備。
【請求項8】
前記トラック側送り部と前記ラック側送り部とが前記搬送方向に並んでいるか否かを検出する位置検出センサを更に備え、
前記トラック側送り部及び前記ラック側送り部は、これらが前記搬送方向に並んでいることが前記位置検出センサで検出されると、前記板状部材の受け渡しを行うように構成されている、請求項2乃至7の何れか1つに記載の板状部材移載設備。
【請求項9】
前記フリップ回動機構は、前記移動機構により移動する際に前記フリップを回動させて該フリップに支持された前記板状部材を倒すように構成されている、請求項1乃至8の何れか1つに記載の板状部材移載機構設備。
【請求項10】
前記フリップは、転動可能な複数の球面ローラを有し、前記複数の球面ローラにより前記板状部材の背面を支持するように構成されている、請求項1乃至9の何れか1つに記載の板状部材移載設備。


【図5】
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【図8】
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【図25】
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【図28】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−46330(P2012−46330A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190667(P2010−190667)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】